JP2016100813A - 防水通音膜と、それを備える防水通音部材、電子機器、電子機器用ケースおよび防水通音構造 - Google Patents

防水通音膜と、それを備える防水通音部材、電子機器、電子機器用ケースおよび防水通音構造 Download PDF

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Abstract

【課題】導電性物質を配合しない場合においても静電気に対する耐性が高く、例えば静電気による放電を受けてもその特性が変化しにくい防水通音膜を提供する。【解決手段】厚さ方向に貫通する、直線状に延びた複数の貫通孔が形成された、非多孔質の樹脂フィルムを備え、放電圧5.0kV、放電距離5mmおよび放電回数10回の放電条件で実施した静電破壊試験により表面に形成される、静電気の放電による破壊痕の長さが30μm以下である防水通音膜とする。【選択図】図1A

Description

本発明は、防水性と通音性とを兼ね備える防水通音膜に関する。また、本発明は、防水通音膜を備える防水通音部材、電子機器、電子機器用ケースおよび防水通音構造に関する。
携帯電話、タブレットコンピューター、デジタルカメラ、ゲーム機器といった電子機器が音声機能を備えることが一般的である。音声機能を備える電子機器の筐体内には、スピーカーなどの発音部およびマイクロフォンなどの受音部が音響部として収容されている。電子機器の筐体におけるこれらの音響部に対応する位置には、通常、開口が設けられており、この開口を介して、電子機器の外部と音響部との間で音が伝達される。
電子機器の性質上、筐体内への水の浸入は防がなければならないが、音を伝達するための上記開口は容易に水が浸入する経路となりうる。特に、携帯用電子機器では、雨や生活上の水にさらされる機会が多いとともに、水を避けうる一定の方向(例えば、雨が吹き込みにくい下方向)に開口の方向を固定できないことから、水が浸入する危険が増す。このため、音響部と外部との間で音を伝達するとともに、外部から上記開口を介して筐体内に水が浸入することを防ぐ防水通音膜が、上記開口を塞ぐように配置される。
防水通音膜の一例は、延伸により生じた無数の細孔の分散構造を有する延伸多孔質膜である。特許文献1には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または超高分子量ポリエチレンの延伸多孔質膜からなる防水通音膜が開示されている。防水通音膜の別の一例は、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔が形成された非多孔質の樹脂フィルムである(特許文献2参照)。
これとは別に、防水通音膜とは関係ないが、導電性物質の配合により帯電防止機能を与えられた制電性不織布および制電性積層体が特許文献3〜5に開示されている。
特開2003-53872号公報 特開2012-195928号公報 特開2009-256815号公報 特開2003-105664号公報 特開平11-300903号公報
電子機器、特に携帯用電子機器に配置された防水通音膜には、静電気に対する耐性が求められる。特許文献3〜5に示すように、防水通音膜を構成する部材に導電性物質を混合して当該膜に制電性を与えることが考えられるが、この方法では、導電性物質の混合が必ずしも均一に行われないことにより制電性および通音性が不均一となったり、導電性物質を含むコーティングにより膜の通音性が低下したりすることがある。
本発明の目的の一つは、導電性物質を配合しない場合においても静電気に対する耐性が高く、例えば静電気による放電を受けてもその特性が変化しにくい防水通音膜の提供にある。
本発明の防水通音膜は、厚さ方向に貫通する、直線状に延びた複数の貫通孔が形成された、非多孔質の樹脂フィルムを備え、放電圧5.0kV、放電距離5mmおよび放電回数10回の放電条件で実施した静電破壊試験により表面に形成される、静電気の放電による破壊痕の長さが30μm以下である。
本発明の防水通音部材は、上記本発明の防水通音膜と、前記防水通音膜に接合された支持体とを備える。
本発明の電子機器は、音響部が収容され、前記音響部と外部との間で音を伝達する開口が設けられた筐体と、前記開口を塞ぐように配置された、前記音響部と外部との間で音を伝達するとともに外部から前記開口を介して前記筐体内に水が浸入することを防ぐ防水通音膜とを備え、前記防水通音膜が上記本発明の防水通音膜である。
本発明の電子機器用ケースは、音響部を有する電子機器を収容する電子機器用ケースであって、前記電子機器の音響部と外部との間で音を伝達する開口が設けられ、前記開口を塞ぐように配置された、前記電子機器の音響部と外部との間で音を伝達するとともに外部から前記開口を介して前記ケース内に水が浸入することを防ぐ防水通音膜を備え、前記防水通音膜が上記本発明の防水通音膜である。
本発明の防水通音構造は、内部と外部との間で音を伝達する開口が設けられた筐体と、前記開口を塞ぐように配置された、内部と外部との間で音を伝達するとともに外部から前記開口を介して内部に水が浸入することを防ぐ防水通音膜とを備え、前記防水通音膜が上記本発明の防水通音膜である。
本発明によれば、導電性物質を配合しない場合においても静電気に対する耐性が高く、例えば静電気による放電を受けてもその特性が変化しにくい防水通音膜が実現する。
本発明の防水通音膜の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の防水通音膜の別の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の防水通音膜のまた別の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の防水通音部材の一例を模式的に示す斜視図である。 本発明の防水通音部材の別の一例を模式的に示す平面図である。 本発明の防水通音膜を備える電子機器の一例を模式的に示す斜視図である。 図5Aの電子機器における防水通音膜の配置を模式的に示す断面図である。 本発明の防水通音膜を備える電子機器用ケースの一例を模式的に示す斜視図である。 図6Aの電子機器用ケースにおける防水通音膜の配置を模式的に示す断面図である。 本発明の防水通音構造の一例を模式的に示す断面図である。 実施例において評価した静電破壊試験後の防水通音膜(実施例1)の表面の状態を示す図である。 実施例において評価した静電破壊試験後の防水通音膜(比較例2)の表面の状態を示す図である。
以下、本発明について図面を参照しながら説明する。本発明は、以下に示す実施の形態に限定されない。
[防水通音膜]
図1Aに、本発明の防水通音膜の一例を示す。図1Aに示す防水通音膜1は、非多孔質の樹脂フィルム2と、樹脂フィルム2の主面上に形成された撥液層3とを備える。樹脂フィルム2には、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔21が形成されている。撥液層3は、貫通孔21に対応する位置(樹脂フィルム2における貫通孔21の開口に対応する位置)に開口31を有する。樹脂フィルム2は、その厚さ方向に通気可能である経路を貫通孔21以外に有さない非多孔質の樹脂フィルムであり、典型的には、当該貫通孔21を除いて無孔の(中実の)樹脂フィルムである。貫通孔21は、樹脂フィルム2の双方の主面に開口を有する。
貫通孔21は、直線状に延びる、すなわち直線状に樹脂フィルム2を貫通するストレート孔である。このとき、貫通孔21は、その径が樹脂フィルム2の一方の主面から他方の主面に至るまでほぼ変化しない孔でありうる。貫通孔21は、例えば、原フィルムである樹脂フィルムへのイオンビームの照射と、照射後のフィルムに対する化学エッチングとにより形成できる。イオンビーム照射およびエッチングでは、樹脂フィルム2の表面における開口径が揃った多数の貫通孔21を当該フィルム2に形成できる。また、イオンビーム照射およびエッチングでは、フィルムの表面を加工したり処理したりする工程をさらに実施しない場合、貫通孔21の開口が形成された以外は原フィルムの表面と同じ状態の表面を有する樹脂フィルム2を得ることができる。このため、例えば、原フィルムとして表面の平滑度の高いフィルムを選択すれば、これに対応する高い平滑度の表面を有する(例えば、上記開口を除き、表面が平坦な)樹脂フィルム2を得ることが可能である。原フィルムは、防水通音膜1とする領域において、その厚さ方向に通気可能である経路を有さない非多孔質のフィルムである。原フィルムは、典型的には無孔の樹脂フィルムである。
貫通孔21の開口の形状は限定されず、例えば、円形であってもよいし不定形であってもよい。
貫通孔21の径は限定されないが、例えば2.0μm以上12.0μm以下である。この範囲において、静電気に対する耐性が特に高い防水通音膜が実現する。また、この範囲において、防水性と通音性との良好なバランスが実現する。貫通孔21の径は、4.5μm以上12.0μm以下が好ましく、5.0μm以上10.0μm以下がより好ましい。
貫通孔21の径とは、貫通孔21の断面形状(例えば開口形状)を円とみなしたときの当該円の直径をいう。貫通孔21の径は、樹脂フィルム2に存在する全ての貫通孔21において一致している必要はないが、樹脂フィルム2の有効部分(防水通音膜1として使用可能な部分)では、実質的に同じ値とみなすことができる程度(例えば、標準偏差が平均値の10%以下)に一致していることが好ましい。貫通孔21の径は、原フィルムをエッチングする時間および/またはエッチング処理液の濃度などにより、調整できる。樹脂フィルム2の有効部分に存在する全ての貫通孔21の径が同一でありうる。
図1Aに示す例では、樹脂フィルム2の主面に垂直な方向に貫通孔21が延びている。貫通孔21が樹脂フィルム2の厚さ方向に貫通する限り、貫通孔21が延びる方向は樹脂フィルム2の主面に垂直な方向から傾いていてもよい。このような貫通孔21が形成された非多孔質の樹脂フィルム2を備える防水通音膜1の一例を図1Bに示す。
図1Bに示す防水通音膜1において、樹脂フィルム2は、当該フィルムの主面に垂直な方向に対して傾いた方向に延びる貫通孔21を有する。そして、傾いて延びる方向が異なる貫通孔21a〜21gが樹脂フィルム2に混在している。換言すれば、樹脂フィルム2の主面に垂直な方向に貫通孔21が傾いて延びて(樹脂フィルム2を貫通して)おり、樹脂フィルム2には、延びる方向が互いに異なる貫通孔21の組み合わせがある。この場合、防水性および通音性をより高いレベルで両立できる。傾いて延びる方向が異なる貫通孔21が樹脂フィルム2に混在している場合においても、当該フィルム2には、延びる方向が同一の貫通孔21の組み合わせがあってもよい。図1Bに示す例では、貫通孔21a,21dおよび21gの延びる方向は同一である。
図1Bに示すような樹脂フィルム2は、例えば、イオンビームを原フィルムの主面に垂直な方向から傾けて照射するとともに、連続的あるいは段階的に当該傾ける方向を変化させ、照射後のフィルムを化学エッチングすることで形成できる。イオンビームは、複数のイオンが互いに平行に飛翔するビームであるため、同じ方向に延びる貫通孔21の組が樹脂フィルム2には通常存在する(同じ方向に延びる複数の貫通孔21が樹脂フィルム2には通常存在する)ことになる。
樹脂フィルム2の主面に垂直な方向に対して傾いた方向に延びる貫通孔21の当該フィルム2の表面における開口形状は、典型的には楕円である。しかし、樹脂フィルム2内の貫通孔21の断面形状(その延びる方向に垂直に切断した断面形状)は、樹脂フィルム2の主面に垂直な方向に対して延びる貫通孔21と同様に円とみなすことができ、この円の直径は、開口形状である上記楕円の最小径と等しい。このため当該最小径を、樹脂フィルム2の主面に垂直な方向に対して傾いた方向に延びる貫通孔21の径とすることができる。
本発明の防水通音膜は、主面に垂直な方向に延びる貫通孔21と、主面に垂直な方向に対して傾いた方向に延びる貫通孔21とが混在した樹脂フィルム2を備えていてもよい。
樹脂フィルム2における(防水通音膜1における)貫通孔21の延びる方向は、例えば、当該フィルムの主面および断面に対して走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行うことで確認できる。
樹脂フィルム2の気孔率は、25%以上45%以下が好ましく、30%以上40%以下がより好ましい。このとき、防水通音膜1としての通音性および防水性の両立のレベルがより高くなる。また、延伸により生じた無数の細孔の分散構造を有する延伸多孔質膜では、このような低い気孔率を有する防水通音膜とすることができない。なお、樹脂フィルム2は、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔が形成された非多孔質フィルムであるため、その気孔率は、樹脂フィルム2の主面の面積に対する、当該主面に開口した貫通孔21の開口面積の合計の割合となる。
樹脂フィルム2における貫通孔21の密度(孔密度)は、例えば、10個/mm2以上1×108個/mm2以下の範囲であり、3×105個/cm2以上4×106個/cm2以下が好ましく、5×105個/cm2以上2×106個/cm2以下がより好ましい。このとき、防水通音膜1としての通音性および防水性の両立のレベルがより高くなる。孔密度は、樹脂フィルム2の全体にわたって一定である必要はないが、樹脂フィルム2の有効部分では、最大の孔密度が最小の孔密度の1.5倍以下となる程度に一定であることが好ましい。孔密度は、原フィルムにイオンビームを照射する際のイオン照射量により調整できる。
樹脂フィルム2の厚さは、例えば、10μm以上100μm以下であり、15μm以上50μm以下が好ましい。
樹脂フィルム2を構成する材料は、非多孔質の樹脂フィルムである原フィルムに貫通孔21を形成できる材料である限り限定されない。樹脂フィルム2は、例えば、アルカリ溶液、酸性溶液、または酸化剤、有機溶剤および界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を添加したアルカリ溶液もしくは酸性溶液により分解する樹脂から構成される。この場合、イオンビーム照射およびエッチングによる原フィルムへの貫通孔21の形成がより容易となる。別の側面から見ると、樹脂フィルム2は、例えば、加水分解または酸化分解によるエッチング可能な樹脂から構成される。樹脂フィルム2は、アルカリ溶液または酸化剤溶液によってエッチング可能な樹脂から構成されうる。
樹脂フィルム2は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエチレンナフタレートおよびポリフッ化ビニリデンから選ばれる少なくとも1種の樹脂から構成される。
貫通孔21を形成するためのエッチングでは、樹脂フィルム2を構成する材料に応じたエッチング処理液が選択される。エッチング処理液は、例えば、アルカリ溶液、酸性溶液、または酸化剤、有機溶剤および界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を添加したアルカリ溶液もしくは酸性溶液である。エッチング処理液は、アルカリ溶液および酸化剤溶液でありうる。アルカリ溶液は、例えば、水酸化カリウムおよび/または水酸化ナトリウムを主成分として含む溶液であり、酸化剤をさらに含んでいてもよい。アルカリ溶液の使用によって、原フィルムを構成する樹脂は加水分解されうる。酸化剤溶液は、例えば、亜塩素酸、亜塩素酸塩、次亜塩素酸、次亜塩素酸塩、過酸化水素および過マンガン酸カリウムから選ばれる少なくとも1種を主成分として含む溶液である。酸化剤溶液の使用によって、原フィルムを構成する樹脂は酸化分解されうる。樹脂フィルム2および原フィルムを構成する樹脂とエッチング処理液との組み合わせの例は、PET、ポリカーボネートおよびポリエチレンナフタレートについてアルカリ溶液(例えば、水酸化ナトリウムを主成分とする溶液)であり、ポリイミドおよびポリフッ化ビニリデンについて酸化剤溶液(例えば、次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする溶液)である。
樹脂フィルム2は、絶縁性材料からなりうる。このとき、例えば、樹脂フィルム2は、導電性材料が配合されていない樹脂フィルムである。このような場合においても、静電気に対する耐性が高く、例えば静電気による放電を受けてもその特性が変化しにくい防水通音膜が得られる。
貫通孔21を有する樹脂フィルム2として、市販のフィルムを使用することができる。市販のフィルムは、例えば、オキシフェン社およびミリポア社から、メンブレンフィルタとして販売されている。
防水通音膜1は、2層以上の樹脂フィルム2を有していてもよい。このような防水通音膜1は、例えば、2層以上の原フィルムを有する積層体にイオンビーム照射およびエッチングして形成できる。
図1Aおよび図1Bに示す防水通音膜1では、撥液層3が、樹脂フィルム2の主面上に形成されている。撥液層3は、樹脂フィルム2の少なくとも一方の主面上に形成されうる。本発明の防水通音膜1は、撥液層3を有さなくてもよい。
撥液層3は、撥水性を有する層であり、撥油性を併せて有することが好ましい。また、撥液層3は、樹脂フィルム2の貫通孔21と対応する位置に開口31を有する。
このような撥液層3は、例えば、撥水剤または疎水性の撥油剤を希釈剤で希釈して調製した処理液を、樹脂フィルム2上に薄く塗布して乾燥させることにより形成できる。撥水剤および疎水性の撥油剤は、例えば、パーフルオロアルキルアクリレート、パーフルオロアルキルメタクリレートである。撥液層3の厚さは、貫通孔21の径の1/2未満が好ましい。
樹脂フィルム2上に処理液を薄く塗布して撥液層3を形成する場合、貫通孔21の径にもよるが、当該貫通孔の内周面も、撥液層3と連続する撥液層で被覆することが可能である(図1に示す例では、このようになっている)。この場合、貫通孔21の径は、本来の径よりも撥液層の厚さに応じて小さくなる。
防水通音膜1は、導電性物質を配合しない場合においても静電気に対する耐性が高い。具体的には、放電圧5.0kV、放電距離5mmおよび放電回数10回の放電条件で実施した静電破壊試験により表面に形成される、静電気の放電による破壊痕の長さが30μm以下である。換言すれば、上記静電破壊試験を経ても、静電気による長さ30μm以上の破壊痕が表面に観察されない防水通音膜である。防水通音膜1は、導電性物質を含まない(導電性物質が配合されていない)形態でありうる。
防水通音膜1では、例えば、静電気による放電を受けてもその特性が変化しにくい。この特性の一例は、耐水性である。
防水通音膜1は、JIS L1092の耐水度試験B法(高水圧法)の規定に準拠して測定した耐水圧が2.0kPa以上であることが好ましい。耐水圧2.0kPaは、日常生活における防滴、防雨を意味している。耐水圧は5.0kPa以上、あるいは10kPa以上とすることも可能である。耐水圧10kPaは水深1mにおける水圧に耐えられることを意味しており、この場合、JIS C0920に定められた「水に対する保護等級7(IPX7)」に相当する防水性が確保される。例えばIPX7相当の機器は、誤って水中に落とされた場合にも、所定の水深および時間内であれば、当該機器内部への浸水を避けることができる。耐水圧が5.0kPa程度であると、JIS C0920に定められた「水に対する保護等級4(IPX4)」に相当する防水性が確保されることが経験的にわかっている。IPX4も、近年、電子機器などにおいて求められる防水性の1つである。防水通音膜1の上記耐水圧が5kPa以上または10kPa以上の場合、IPX4またはIPX7相当の防水性と通音性とを両立させることができ、例えば、防水通音構造に必要な開口のスペースの制約が少なく、小型化および/または薄型化が可能など、デザインを含む設計の自由度が高い機器が実現する。
防水通音膜1では、JIS L1092の耐水度試験B法(高水圧法)の規定に準拠して測定した耐水圧について、上記静電破壊試験の前後における当該耐水圧(単位:kPa)の変化率が、例えば20%以下であり、膜1の構成によっては、15%以下、10%以下、さらには5%以下となりうる。耐水圧の変化率は、以下の式により与えられる。
変化率={1−(試験後の耐水圧−試験前の耐水圧)}×100(%)
防水通音膜1の面密度は、当該膜の強度、取扱性および通音性の観点から、5〜100g/m2が好ましく、10〜50g/m2がより好ましい。なお、特許文献1に開示のような、延伸により生じた無数の細孔の分散構造を有する延伸多孔質膜では、通音性を確保する観点からその面密度を小さくした場合、当該膜の強度、生産の歩留まり、および筐体への取付精度を含む取扱性が低下する。一方、防水通音膜1では、面密度が小さい場合においても、これらの特性の低下が抑制される。この点からも防水通音膜1は有利である。
防水通音膜1は、JIS L1096の規定に準拠して測定したフラジール数(以下、単に「フラジール数」)で示して、2.0cm3/(cm2・秒)以上50cm3/(cm2・秒)以下の通気度を、その厚さ方向に有することが好ましい。撥液層3が当該通気度にほぼ影響を与えないことを考慮すると、樹脂フィルム2は、フラジール数で示して2.0cm3/(cm2・秒)以上50cm3/(cm2・秒)以下の通気度をその厚さ方向に有しうる。このとき、防水通音膜1としての通音性および防水性の両立のレベルがより高くなる。通気度は、フラジール数で示して、5.0cm3/(cm2・秒)以上50cm3/(cm2・秒)以下がより好ましく、11cm3/(cm2・秒)以上50cm3/(cm2・秒)以下がさらに好ましい。
防水通音膜1の厚さは、例えば、10〜100μmであり、15〜50μmが好ましい。
防水通音膜1は、着色処理が施されていてもよい。樹脂フィルム2を構成する材料の種類によるが、着色処理を施していない防水通音膜1の色は、例えば、透明または白色である。このような防水通音膜1が筐体の開口を塞ぐように配置された場合、当該膜1が目立つことがある。目立つ膜はユーザーの好奇心を刺激し、針などによる突き刺しによって防水通音膜としての機能が損なわれることがある。防水通音膜1に着色処理が施されていると、例えば、筐体の色と同色または近似の色を有する膜1とすることにより、相対的にユーザーの注目を抑えることができる。また、筐体のデザイン上、着色された防水通音膜が求められることがあり、着色処理により、このようなデザインの要求に応えることができる。
着色処理は、例えば、樹脂フィルム2を染色処理したり、樹脂フィルム2に着色剤を含ませたりすることで実施できる。着色処理は、例えば、波長380nm以上500nm以下の波長域に含まれる光が吸収されるように実施してもよい。すなわち、防水通音膜1は、波長380nm以上500nm以下の波長域に含まれる光を吸収する着色処理が施されていてもよい。そのためには、例えば、樹脂フィルム2が、波長380nm以上500nm以下の波長域に含まれる光を吸収する能力を有する着色剤を含む、あるいは波長380nm以上500nm以下の波長域に含まれる光を吸収する能力を有する染料によって染色されている。この場合、防水通音膜1を、青色、灰色、茶色、桃色、緑色、黄色などに着色できる。防水通音膜1は、黒色、灰色、茶色または桃色に着色処理されていてもよい。
本発明の防水通音膜は、従来の防水通音膜と同様の用途に使用することができる。
防水通音膜1は、本発明の効果が得られる限り、樹脂フィルム2および撥液層3以外の任意の部材を備えていてもよい。当該部材は、例えば、図2に示す通気性支持層4である。図2に示す防水通音膜1では、図1Aに示す防水通音膜1の樹脂フィルム2における一方の主面に通気性支持層4が配置されている。通気性支持層4の配置により、防水通音膜1としての強度が向上し、また、取扱性も向上する。
通気性支持層4は、樹脂フィルム2に比べて、厚さ方向の通気度が高い層である。通気性支持層4には、例えば、織布、不織布、ネット、メッシュを用いることができる。通気性支持層4を構成する材料は、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、アラミド樹脂である。通気性支持層4が配置される樹脂フィルム2の主面には、撥液層3が形成されていてもいなくてもよい。通気性支持層4の形状は、樹脂フィルム2の形状と同一であってもよいし、異なっていてもよい。例えば、樹脂フィルム2の周縁部のみに配置される形状を有する(具体的に、樹脂フィルムが円形である場合には、その周縁部のみに配置されるリング状の)通気性支持層4でありうる。通気性支持層4は、例えば、樹脂フィルム2との熱溶着、接着剤による接着などの手法により配置される。
通気性支持層4は、樹脂フィルム2の一方の主面に配置されていても、双方の主面に配置されていてもよい。
[防水通音部材]
本発明の防水通音部材の一例を、図3に示す。図3に示す防水通音部材5は、膜の主面に垂直な方向から見た形状が円形である防水通音膜1と、当該膜1の周縁部に接合されたリング状のシートである支持体51とを備える。防水通音膜1に支持体51が接合された形態により、防水通音膜1が補強されるとともに、その取扱性が向上する。また、支持体51が、筐体の開口など、防水通音部材5が配置される部分への取り付けしろとなるため、防水通音膜1の取り付け作業が容易となる。
支持体51の形状は限定されない。例えば、図4に示すように、膜の主面に垂直な方向から見た形状が矩形である防水通音膜1の周縁部に接合された、額縁状のシートである支持体51であってもよい。図3,4に示すように、支持体51の形状を防水通音膜1の周縁部の形状とすることによって、支持体51の配置による防水通音膜1の通気性の低下が抑制される。また、シート状の支持体51が、防水通音部材5の取扱性および筐体への配置性、特に筐体内への配置性、の観点から、好ましい。図3,4に示す例では、支持体51が配置された周縁部を除き、防水通音膜1が露出している(防水通音膜1の両面が露出している)。
支持体51を構成する材料は、例えば、樹脂、金属およびこれらの複合材料である。樹脂は、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;PET、ポリカーボネートなどのポリエステル;ポリイミドあるいはこれらの複合材である。金属は、例えばステンレスやアルミニウムのような耐蝕性に優れる金属である。
支持体51の厚さは、例えば5〜500μmであり、25〜200μmが好ましい。また、取り付けしろとしての機能に着目すると、リング幅(額縁幅:外形と内径との差)は0.5〜2mm程度が適当である。支持体51には、上記樹脂からなる発泡体を使用してもよい。
防水通音膜1と支持体51との接合方法は特に限定されず、例えば、加熱溶着、超音波溶着、接着剤による接着、両面テープによる接着などの方法を採用できる。
防水通音部材5は、2以上の防水通音膜1および/または2以上の支持体51を備えていてもよい。
本発明の防水通音部材は、従来の防水通音部材と同様の用途に使用することができる。
[電子機器]
本発明の防水通音膜を応用した一例が、電子機器である。より具体的に、この電子機器は、音響部が収容され、前記音響部と外部との間で音を伝達する開口が設けられた筐体と、前記開口を塞ぐように配置された、前記音響部と外部との間で音を伝達するとともに外部から前記開口を介して前記筐体内に水が浸入することを防ぐ防水通音膜と、を備え、前記防水通音膜が上記本発明の防水通音膜である。
電子機器の一例を図5Aに示す。図5Aに示す電子機器は、携帯電話の一種であるスマートフォンである。スマートフォン6の筐体61は、発音部および受音部の一種であるトランスデューサーに近接して設けられた開口62aと、受音部の一種であるマイクに近接して設けられた開口62bと、発音部の一種であるスピーカーに近接して設けられた開口62cとを有する。各開口62a〜62cを介して、スマートフォン6の外部と、筐体61内に収容された各音響部(トランスデューサー、マイクおよびスピーカー)との間で音が伝達される。図5Bに示すように、スマートフォン6では、これらの開口62a〜62cを塞ぐように、防水通音膜1が内側から筐体61に取り付けられている。これにより、スマートフォン6の外部と音響部との間で音を伝達できるとともに、外部から開口を介して筐体61内に水が浸入することを防ぐことができる。
電子機器6において防水通音膜1を配置する場所および方法は、当該膜によって当該機器6の筐体61に設けられた開口(開口部)が塞がれる限り、限定されない。図5Bに示す例では、防水通音膜1は、支持体51を介して(すなわち、防水通音部材として)筐体61に接合されている。電子機器6内への防水通音膜1の配置には、両面テープを用いた貼付、熱溶着、高周波溶着、超音波溶着などの手法を採用できる。支持体51は両面テープであってもよい。
筐体61は、樹脂、金属、ガラスおよびこれらの複合材料により構成される。スマートフォンおよびタブレットコンピューターのように、電子機器6の表示部が筐体61の一部を構成していてもよい。
電子機器は、スマートフォン6に限られない。音響部を備え、外部と音響部との間で音を伝達する開口が筐体に設けられ、当該開口を介した水の内部への浸入を防ぐことが必要であり、防水通音膜1を当該開口を塞ぐように配置できる全ての種類の電子機器がこれに該当する。電子機器は、例えば、フィーチャーフォンおよびスマートフォンなどの携帯電話、タブレットコンピューター、ウェアラブルコンピューター、PDA、ゲーム機器、ノート型コンピューターなどのモバイルコンピューター、電子手帳、デジタルカメラ、ビデオカメラ、電子ブックリーダーである。
[電子機器用ケース]
本発明の防水通音膜を応用した別の一例が、電子機器用ケースである。より具体的に、この電子機器用ケースは、音響部を有する電子機器を収容する電子機器用ケースであって、前記電子機器の音響部と外部との間で音を伝達する開口が設けられ、前記開口を塞ぐように配置された、前記電子機器の音響部と外部との間で音を伝達するとともに外部から前記開口を介して前記ケース内に水が浸入することを防ぐ防水通音膜を備え、前記防水通音膜が上記本発明の防水通音膜である。
電子機器用ケースの一例を図6Aに示す。図6Aに示すケース7には、当該ケース7に収容する電子機器の音響部と、ケース7の外部との間で音を伝達する開口71a〜71cが設けられている。図6Aに示すケース7は、図5Aに示すスマートフォン6とは異なるタイプのスマートフォンのケースであり、開口71aはスマートフォンの受話部から音を伝達するために、開口71bはスマートフォンの送話部に音を伝達するために、開口71cはスマートフォンのスピーカーから音を外部に伝達するために、それぞれ設けられている。図6A,6Bに示すように、ケース7は、さらに、開口71a(71b、71c)を塞ぐように配置された防水通音膜1を備えている。当該膜により、ケース7の内部72に収容した電子機器の音響部と外部との間で音が伝達されるととともに、外部から開口71a(71b、71c)を介したケース7の内部72、ひいては電子機器内への水の浸入を防ぐことができる。
電子機器用ケース7において防水通音膜1を配置する方法は、当該膜1によって開口(開口部)71a(71b、71c)が塞がれる限り、限定されない。図6Bに示す例では、防水通音膜1は、支持体51を介して(すなわち、防水通音部材として)ケース7に、その内部72から接合されている。ケース7への防水通音膜1の配置には、両面テープを用いた貼付、熱溶着、高周波溶着、超音波溶着などの手法を採用できる。支持体51が両面テープであってもよい。ケース7の外部から防水通音膜1を配置することも可能である。
電子機器用ケース7は、樹脂、金属、ガラスおよびこれらの複合材料により構成される。電子機器用ケース7は、本発明の効果が得られる限り、任意の構成を有することができる。例えば、図6Aに示すケース7は、スマートフォン用のケースであり、内部に収容するスマートフォンのタッチパネルを外部から操作できるフィルム73を備える。
[防水通音構造]
本発明の防水通音膜を応用したまた別の一例が、防水通音構造である。より具体的に、この防水通音構造は、内部と外部との間で音を伝達する開口が設けられた筐体と、前記開口を塞ぐように配置された、内部と外部との間で音を伝達するとともに外部から前記開口を介して内部に水が浸入することを防ぐ防水通音膜と、を備え、前記防水通音膜が上記本発明の防水通音膜である。
本発明の防水通音構造の一例を図7に示す。図7に示す防水通音構造8は、内部83と外部との間で気体を通過させる開口82が設けられた筐体81と、開口(開口部)82を塞ぐように配置された防水通音膜1とを備える。この防水通音膜1により、筐体81の外部と内部83との間で音が伝達されるとともに、外部から開口82を介した筐体81内への水の浸入を防ぐことができる。図7に示す例では、支持体51を介して防水通音膜1が筐体81に接合されている。換言すれば、防水通音膜1と支持体51とを備える防水通音部材が筐体81に接合されている。また、図7に示す例では、筐体81の内部83から防水通音膜1が筐体81に接合されているが、筐体81の外部から接合されていてもよい。
筐体81は、樹脂、金属、ガラスおよびこれらの複合材料により構成される。
防水通音膜1の配置には、両面テープを用いた貼付、熱溶着、高周波溶着、超音波溶着などの手法を採用できる。支持体51が両面テープであってもよい。
防水通音構造8を有する部品、装置、機器、製品などは限定されない。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
最初に、実施例および比較例で作製した樹脂フィルムおよび防水通音膜の評価方法を説明する。
[貫通孔の径]
樹脂フィルムの双方の主面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、得られたSEM像から任意に選択した10の貫通孔の最小径を各々当該像から求め、その平均値を樹脂フィルムの貫通孔の径とした。
[静電破壊試験]
防水通音膜に対する静電破壊試験は以下のように行った。
静電気放電シミュレーター(KIKUSUI製、KES4021)を用いて、IEC61000−4−2 Ed2に準じた気中放電モードにて、放電圧5.0kV、放電距離5mm、放電間隔1秒、および放電回数10回の放電条件で、防水通音膜に放電試験を実施した。試験後の防水通音膜の双方の主面を光学顕微鏡により観察してその表面を確認し、長さ30μmを超える破壊痕の個数を顕微鏡像の目視により数えた。破壊痕の長さは、当該痕における最大の長さとした。例えば、破壊痕が楕円形状である場合、その長径が長さとなる。光学顕微鏡により観察する範囲は、一つの主面について2.0mm×2.0mmとした。
[耐水圧]
防水通音膜の耐水圧は、JIS L1092の耐水度試験B法(高水圧法)の規定に準拠して求めた。ただし、この規定に示された試験片の面積では膜が著しく変形するため、ステンレスメッシュ(開口径2mm)を膜の加圧面の反対側に設置し、当該膜の変形をある程度抑制した状態で測定した。
[静電破壊試験の前後における耐水圧の変化率]
静電破壊試験の前後における防水通音膜の耐水圧の変化率(以下、単に「耐水圧の変化率」)は、当該試験の前後において防水通音膜の耐水圧を測定し、以下の式により求めた。
変化率={1−(試験後の耐水圧/試験前の耐水圧)}×100(%)
(実施例1)
厚さ方向に貫通する複数の貫通孔が形成された非多孔質の市販のPETフィルム(it4ip製、Track etched membrane、厚さ38μm)を準備した。このフィルムは、無孔のPETフィルムにイオンビームを照射し、照射後のフィルムを化学エッチングして製造されたフィルムである。このフィルムの表面および断面をSEMにより観察したところ、(1)貫通孔が11.8μmの径を有するストレート孔であること、(2)フィルムの主面に対して傾いた方向に延びる貫通孔と、当該主面に対して垂直な方向に延びる貫通孔とがフィルム内に混在していること、(3)フィルムの主面に対して傾いた方向に延びる貫通孔について、その延びる方向が異なる貫通孔が混在していること、が確認された。フィルムの孔密度は、4.0×105個/cm2であった。
次に、このフィルムを撥液処理液に3秒間浸漬した後、常温で30分間放置して乾燥させ、当該フィルムの表面に撥液層を形成して防水通音膜を得た。撥液処理液は、以下のように調整した。最初に、化学式CH2=CHCOOCH2CH2613により示される直鎖状フルオロアルキル基を有する化合物100g、ならびに重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル0.1gおよび溶媒(信越化学製、FSシンナー)300gを窒素導入管、温度計および攪拌機を装着したフラスコ内に投入した後、窒素ガスを導入するとともに内容物を攪拌しながら70℃で16時間、上記化合物の付加重合反応を進行させてフッ素化合物の重合体80gを得た。次に、得られた重合体をその濃度が1.0重量%となるように希釈剤(信越化学製、FSシンナー)で希釈して、撥液処理液を調製した。
このようにして得た防水通音膜の耐水圧は7.2kPaであった。
得られた防水通音膜について、静電破壊試験を実施するとともに静電破壊試験の前後における耐水圧の変化率を評価した。評価結果を表1に示す。なお、表1の破壊痕長は、複数の破壊痕が観察された場合、最も大きな長さを有する破壊痕の当該長さである。
(実施例2〜8、比較例1,2)
表1に示すPETフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして防水通音膜を形成し、得られた防水通音膜について、静電破壊試験を実施するとともに静電破壊試験の前後における耐水圧の変化率を評価した。評価結果を表1に示す。なお、実施例2〜8および比較例1,2で使用したPETフィルムにおける孔密度は全て実施例1と同じである。また、貫通孔が延びる方向は、実施例7および比較例1のみ、PETフィルムの主面に垂直な方向であった。その他の実施例および比較例の貫通孔が延びる方向は実施例1と同じであった。
表1に示すように、各実施例では静電気に対する耐性が高い防水通音膜が実現した。
次に、実施例1および比較例2について、静電破壊試験後におけるそれぞれの防水通音膜の表面の状態を図1および2に示す。図1,2に示すように、実施例1の防水通音膜では静電気の放電による破壊痕は観察されなかったが、比較例2の防水通音膜では、複数の破壊痕が観察された。
本発明の防水通音膜は、従来の防水通音膜と同様の用途に使用できる。
1 防水通音膜
2 樹脂フィルム
3 撥液層
21,21a,21b,21c,21d,21e,21f,21g 貫通孔
31 (撥液層3の)開口
4 通気性支持材
5 防水通音部材
51 支持体
6 電子機器(スマートフォン)
61 筐体
62a,62b,62c 開口
63 (筐体61の)内部
7 電子機器用ケース
71a,71b,71c 開口
72 (ケース7の)内部
73 フィルム
8 防水通音構造
81 筐体
82 開口
83 (筐体81の)内部

Claims (12)

  1. 厚さ方向に貫通する、直線状に延びた複数の貫通孔が形成された、非多孔質の樹脂フィルムを備え、
    放電圧5.0kV、放電距離5mmおよび放電回数10回の放電条件で実施した静電破壊試験により表面に形成される、静電気の放電による破壊痕の長さが30μm以下である防水通音膜。
  2. 前記樹脂フィルムが絶縁性材料からなる請求項1に記載の防水通音膜。
  3. 前記樹脂フィルムが、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエチレンナフタレートおよびポリフッ化ビニリデンから選ばれる少なくとも1種の樹脂から構成される請求項1または2に記載の防水通音膜。
  4. 前記貫通孔の孔径が2.0μm以上12.0μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の防水通音膜。
  5. JIS L1092の耐水度試験B法(高水圧法)の規定に準拠して測定した耐水圧が2.0kPa以上である請求項1〜4のいずれかに記載の防水通音膜。
  6. JIS L1092の耐水度試験B法(高水圧法)の規定に準拠して測定した耐水圧について、前記静電破壊試験の前後における当該耐水圧の変化率が20%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の防水通音膜。
  7. 前記樹脂フィルムの主面上に形成された、前記複数の貫通孔と対応する位置に開口を有する撥液層をさらに備える請求項1〜6のいずれかに記載の防水通音膜。
  8. 前記樹脂フィルムに積層された通気性支持材をさらに備える請求項1〜7のいずれかに記載の防水通音膜。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の防水通音膜と、
    前記防水通音膜に接合された支持体と、を備える防水通音部材。
  10. 音響部が収容され、前記音響部と外部との間で音を伝達する開口が設けられた筐体と、
    前記開口を塞ぐように配置された、前記音響部と外部との間で音を伝達するとともに外部から前記開口を介して前記筐体内に水が浸入することを防ぐ防水通音膜と、を備え、
    前記防水通音膜が請求項1〜8のいずれかに記載の防水通音膜である、電子機器。
  11. 音響部を有する電子機器を収容する電子機器用ケースであって、
    前記電子機器の音響部と外部との間で音を伝達する開口が設けられ、
    前記開口を塞ぐように配置された、前記電子機器の音響部と外部との間で音を伝達するとともに外部から前記開口を介して前記ケース内に水が浸入することを防ぐ防水通音膜を備え、
    前記防水通音膜が請求項1〜8のいずれかに記載の防水通音膜である、電子機器用ケース。
  12. 内部と外部との間で音を伝達する開口が設けられた筐体と、
    前記開口を塞ぐように配置された、内部と外部との間で音を伝達するとともに外部から前記開口を介して内部に水が浸入することを防ぐ防水通音膜と、を備え、
    前記防水通音膜が請求項1〜8のいずれかに記載の防水通音膜である、防水通音構造。
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