JP2016098156A - ガラスフィルムの剥離方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガラスフィルムを支持ガラス板に積層して形成したガラス積層体に対して加熱を伴う処理を行なっても、支持ガラス板からガラスフィルムを容易に剥離できるようにして、剥離時にガラスフィルムが割れる等の事態を回避すること。【解決手段】本発明のガラスフィルムの剥離方法は、ガラスフィルム2を支持ガラス板3に積層して形成したガラス積層体1に対して加熱を伴う処理を行なった後に実施され、ガラス積層体1の支持ガラス板3からガラスフィルム2を剥離する方法において、曲げ力を付与して、ガラス積層体1を湾曲させる曲げ工程と、前記曲げ工程の後に、前記曲げ力を除去して、ガラス積層体1を元の形状に復元させる復元工程とを備える。【選択図】図4
Description
本発明は、ガラスフィルムを支持ガラス板に積層して形成したガラス積層体に対して加熱を伴う処理を行なった後に、ガラス積層体の支持ガラス板からガラスフィルムを剥離する方法に関するものである。
周知のように、近年では、電子機器等の発達に伴って、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ(サーフェイスエミッションディスプレイを含む)およびエレクトロルミネッセンスディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(FPD)やセンサの基板、あるいは固体撮像素子やレーザダイオード等の半導体パッケージ用カバー、さらには薄膜化合物太陽電池の基板等の多種に亘るガラス板が使用されている。
そして、様々な種類のガラス板において、薄板化が進められ、例えば300μm以下の板厚を有する所謂ガラスフィルムと呼ばれるガラス板が開発されるに至っている。ガラスフィルムは、その薄さから可撓性を有し、この可撓性が故に取扱いが難しくなる。
このようなガラスフィルムの取り扱い性を向上させるために、支持ガラス板にガラスフィルムを積層したガラス積層体の形態でガラスフィルムを取り扱うことが、既に提案されている。
しかし、このようなガラス積層体では、製造関連処理等で加熱を伴う処理を行なうと、支持ガラス板にガラスフィルムが接着してしまい、支持ガラス板からガラスフィルムをその周縁部を起点として剥離することが極めて困難になるばかりでなく、剥離時に周縁部周辺でガラスフィルムが割れてしまうという事態をも招来していた。
このような問題に対して、例えば、特許文献1では、加熱を伴う処理を行なった後に、ガラスフィルムを剥離可能なガラスフィルム積層体として、ガラスフィルムと支持ガラス板とが無機薄膜を介して積層されたガラスフィルム積層体が提案されている。
しかしながら、特許文献1に開示されたガラスフィルム積層体であっても、例えば、より高温の加熱を伴う処理を行なった場合等には、その効果が十分に得られない場合があった。そのため、製造関連処理等で加熱を伴う処理を行なうと、支持ガラス板にガラスフィルムが接着することに起因する問題が、依然として残存していた。
本発明は、上記事情に鑑み、ガラスフィルムを支持ガラス板に積層して形成したガラス積層体に対して加熱を伴う処理を行なっても、支持部材からガラスフィルムを容易に剥離できるようにして、剥離時にガラスフィルムが割れる等の事態を回避することを技術的課題とする。
前記課題を解決するために創案された本発明のガラスフィルムの剥離方法は、ガラスフィルムを支持ガラス板に積層して形成したガラス積層体に対して加熱を伴う処理を行なった後に実施され、前記ガラス積層体の前記支持ガラス板から前記ガラスフィルムを剥離する方法において、曲げ力を付与して、前記ガラス積層体を湾曲させることによって、前記ガラスフィルムと前記支持ガラス板との境界部位にせん断応力を生じさせる曲げ工程と、前記曲げ工程の後に、前記曲げ力を除去して、前記ガラス積層体を元の形状に復元させる復元工程と、前記曲げ工程及び前記復元工程を1回又は複数回実施した後に、前記ガラスフィルムと前記支持ガラス板との接着力が弱まって前記支持ガラス板から前記ガラスフィルムを剥離することが可能になったか否かを判定する判定工程とを備え、前記判定工程で、剥離可能になっていないと判定された場合に、前記曲げ工程及び前記復元工程を再び実施し、前記判定工程で、剥離可能になったと判定された場合に、前記ガラス積層体の前記支持ガラス板から前記ガラスフィルムを剥離する剥離工程を実施することを特徴とする。
この構成では、曲げ工程と復元工程とを実施することによって、ガラスフィルムと支持ガラス板との接着力が弱まって支持ガラス板からガラスフィルムを剥離することが可能になる。従って、支持ガラス板からガラスフィルムを容易に剥離できる。これにより、剥離時にガラスフィルムが割れる等の事態を回避することができる。
曲げ工程と復元工程とを実施することによって、ガラスフィルムと支持ガラス板との接着力が弱まる理由には、例えば、次のようなことが考えられる。加熱を伴う処理を行なった後に生じるガラスフィルムと支持ガラス板との接着力の原因としては、例えば、ガラスフィルムと支持ガラス板との間の一部又は全部に形成されている水素結合、共有結合、分子間力等が考えられる。これに対して、曲げ工程では、ガラス積層体の湾曲によって、ガラスフィルムと支持ガラス板との境界部位にせん断応力が生じる。このため、曲げ工程と復元工程を実施すると、このせん断応力によって、これらの結合が切断され、ガラスフィルムと支持ガラス板との接着力が弱まると考えられる。
上記の構成において、前記支持ガラス板における前記ガラスフィルムが積層される側の表面に無機薄膜が形成されていることが好ましい。
この構成であれば、曲げ工程と復元工程の実施によるガラスフィルムと支持ガラス板との接着力を弱める効果が、より確実に得られる。この理由としては、例えば、次のようなことが考えられる。すなわち、ガラス積層体をガラスフィルムの側が凸となるように湾曲させた時に、無機薄膜に引っ張り応力が生じ、これにより無機薄膜に微小なひび割れが生じる。この微小なひび割れにより、無機薄膜とガラスフィルムの間に微小な隙間が生じ、ガラスフィルムと支持ガラス板との接着力が弱まると考えられる。
上記の構成において、前記曲げ工程で、前記ガラス積層体を前記ガラスフィルムの側が凸となるように湾曲させることが好ましい。
この構成であれば、ガラス積層体を湾曲させるためにガラスフィルム側に接触して曲げ力を付与する必要が無いので、ガラスフィルムに傷や割れが生じる可能性を低くすることができる。
以上のように、本発明によれば、ガラスフィルムを支持ガラス板に積層して形成したガラス積層体に対して加熱を伴う処理を行なっても、支持ガラス板からガラスフィルムを容易に剥離できるようにして、剥離時にガラスフィルムが割れる等の事態を回避することができる。
以下、本発明を実施するための形態について図面に基づき説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るガラスフィルムの剥離方法に使用されるガラス積層体を示す側面図である。このガラス積層体1は、ガラスフィルム2を支持ガラス板3に積層して形成される。支持ガラス板3におけるガラスフィルム2が積層される側の表面3aには無機薄膜4が形成されている。無機薄膜4は、支持ガラス板3の表面3aの全面に形成されている。ガラスフィルム2及び支持ガラス板3は、ダウンドロー法、特にオーバーフローダウンドロー法によって成形されたガラスが好ましい。
ガラスフィルム2は、少なくとも支持ガラス板3側の表面2aの表面粗さRaが2.0nm以下である。また、無機薄膜4は、成膜後における表面粗さRaが2.0nm以下となるように形成されている。このため、粘着剤等を使用することなく、ガラスフィルム2を無機薄膜4に接触させた状態で積層するだけで適度に固定することが可能となる。
上述のように、ガラスフィルム2の表面粗さRaは、2.0nm以下であることが好ましいが、1.0nm以下であることがより好ましく、0.5nm以下であることが更に好ましく、0.2nm以下であることが最も好ましい。このような表面粗さRaの値を得るために、ガラスフィルム2は、ダウンドロー法、特にオーバーフローダウンドロー法により形成されたガラスが好ましい。
また、上述のように、無機薄膜4の表面粗さRaは、2.0nm以下であることが好ましいが、1.0nm以下がより好ましく、0.5nm以下が更に好ましく、0.2nm以下が最も好ましい。
支持ガラス板3における表面3aの表面粗さRaについては、表面粗さRaが2.0nm以下になるように無機薄膜4を形成できれば、特に限定されない。しかし、支持ガラス板3の表面3aが粗いと、表面の凹凸が形成後の無機薄膜4に影響を及ぼすため、無機薄膜4の表面粗さRaを2.0nm以下に形成し難くなるおそれがある。従って、支持ガラス板3の表面3aの表面粗さRaは、2.0nm以下が好ましく、1.0nm以下がより好ましく、0.5nm以下がさらに好ましく、0.2nm以下が最も好ましい。このような表面粗さRaの値を得るために、支持ガラス板3は、オーバーフローダウンドロー法により形成されたガラスが好ましい。
また、積層によりガラスフィルム2を支持ガラス板3に適度に固定するために、ガラスフィルム2の支持ガラス板3側の表面2a及び支持ガラス板3上の無機薄膜4の表面のGI値は、それぞれ1000pcs/m2以下であることが好ましく、500pcs/m2以下であることがより好ましく、100pcs/m2以下であることが最も好ましい。ここで、GI値とは、1m2の領域内に存在する長径1μm以上の不純粒子の個数(pcs)のことである。
ガラスフィルム2及び支持ガラス板3は、ケイ酸塩ガラスが好ましく、シリカガラス、ホウ珪酸ガラスがより好ましく、無アルカリガラスが最も好ましい。尚、ここで無アルカリガラスとは、アルカリ成分(アルカリ金属酸化物)が実質的に含まれていないガラスのことであって、具体的には、アルカリ成分の含有量が1000ppm以下のガラスのことである。本発明でのアルカリ成分の含有量は、500ppm以下が好ましく、300ppm以下がより好ましい。
加熱を伴う処理を行なった後の反りを防止する観点からは、ガラスフィルム2と支持ガラス板3との30〜380℃における熱膨張係数の差が、5×10-7/℃以内であることが好ましい。
加熱を伴う処理を行なった後の剥離を容易にするという観点から、ガラスフィルム2と支持ガラス板3で、支持ガラス板3の方が、ヤング率が大きいことが好ましい。これは、支持ガラス板3に曲げ力を加えた際に、支持ガラス板3の歪みが大きくなり、ガラスフィルム2との間に大きなせん断応力が発生するからである。この観点から、ガラスフィルム2と支持ガラス板3とのヤング率の差は、1GPa以上が好ましく、2GPa以上がより好ましく、3GPa以上が最も好ましい。
更に、同様の観点から、ガラスフィルム2と支持ガラス板3は、異なる組成系のガラスであることが好ましく、また、同じ組成系のガラスであっても、組成が異なることが好ましい。
ガラスフィルム2は、正方形状又は長方形状をなす平板状体である。ガラスフィルム2の厚みは、300μm以下が好ましく、5μm〜200μmがより好ましく、50μm〜150μmが最も好ましい。また、ガラスフィルム2の一辺の寸法は、50mm〜300mmが好ましく、80mm〜250mmがより好ましく、100mm〜200mmが最も好ましい。
支持ガラス板3は、正方形状又は長方形状をなす平板状体である。支持ガラス板3の厚みは、350μm〜1mmが好ましい。支持ガラス板3の厚みが350μm未満の場合、支持ガラス板3の可撓性が高過ぎ、支持ガラス板3としての機能が十分に発揮できない可能性がある。また、支持ガラス板3の厚みが1mmを超える場合、湾曲が全く生じず、ガラスフィルム2との接着力を弱める効果が十分に得られない可能性がある。これらの観点から、支持ガラス板3の厚みは、400μm〜700μmがより好ましく、450μm〜550μmが最も好ましい。
支持ガラス板3の一辺の寸法は、50mm〜300mmが好ましい。同一の板厚で比較した場合、一辺の寸法が長い程、その両端に同じ力を付与したとしても、湾曲させやすい。従って、支持ガラス板3の一辺の寸法が50mm未満の場合、支持ガラス板3(ガラス積層体1)を十分に湾曲させられない可能性がある。また、支持ガラス板3の一辺の寸法が300mmを超える場合、支持ガラス板3(ガラス積層体1)が過度に湾曲して破損する可能性がある。これらの観点から、支持ガラス板3の一辺の寸法は、80mm〜250mmがより好ましく、100mm〜200mmが最も好ましい。また、支持ガラス板3の大きさは、縦方向寸法、横方向寸法ともに、ガラスフィルム2よりも大きいことが好ましい。
無機薄膜4は、ITO、FTO、ATO、Ti、Si、Au、Ag、Al、Cr、Cu、Mg、Ti、SiO、SiO2、Al2O3、MgO、Y2O3、La2O3、Pr6O11、Sc2O3、WO3、HfO2、In2O3、ZrO2、Nd2O3、Ta2O5、CeO2、Nb2O5、TiO、TiO2、Ti3O5、NiO、ZnO、Si3N4、NbN、AIN、BN、Si、Al、Zr及びTiの酸窒化物から選択される1種又は2種以上で形成されていることが好ましい。
無機薄膜4は、酸化物薄膜であることがより好ましい。酸化物薄膜は熱的に安定である。そのため、支持ガラス板3に酸化物薄膜を設けることで、ガラス積層体1に対して加熱を伴う処理を行っても、無機薄膜4が形成された支持ガラス板3を繰り返し使用することが可能となる。酸化物薄膜として、ITO、FTO、ATO、SiO、SiO2、Al2O3、MgO、Y2O3、La2O3、Pr6O11、Sc2O3、WO3、HfO2、In2O3、ZrO2、Nd2O3、Ta2O5、CeO2、Nb2O5、TiO、TiO2、Ti3O5、NiO、ZnO及びそれらの組み合わせを使用することが好ましい。
無機薄膜4は、窒化物薄膜であってもよい。窒化物薄膜も熱的に安定である。窒化物薄膜として、Si3N4、NbN、AIN、BN及びそれらの組み合わせを使用することが好ましい。
無機薄膜4は、酸窒化物薄膜であってもよい。酸窒化物薄膜として、Si、Al、Zr及びTiの酸窒化物及びそれらの組み合わせを使用することが好ましい。
無機薄膜4の屈折率は、支持ガラス板3の屈折率より大きいことが好ましく、支持ガラス板3の屈折率より0.1以上大きいことが更に好ましく、0.2より大きいことが最も好ましい。このような無機薄膜4の材質としては、例えば、ITO、FTO、ZrO2、Nb2O5、TiO2が挙げられる。
無機薄膜4の膜厚は、1nm〜200nmが好ましい。無機薄膜4の膜厚が1nm未満の場合には、無機薄膜4とガラスフィルム2とが接着し、ガラスフィルム2が支持ガラス板3から剥離できなくなる可能性がある。無機薄膜4の膜厚が200nmを超える場合には、無機薄膜4とガラスフィルム2とが接着せず、ガラスフィルム2が支持ガラス板3から剥離して脱落する可能性がある。これらの観点から、無機薄膜4の膜厚は、4〜100nmがより好ましく、6〜60nmが更に好ましく、8〜50nmが最も好ましい。
次に、本発明の実施形態に係るガラスフィルムの剥離方法が使用される電子デバイスの製造方法について説明する。この電子デバイス製造方法で製造される電子デバイスは、ガラスフィルム2を基板として、表面2b上にデバイス部(不図示)を形成したものである。このデバイス部は、例えば、ガラスフィルム2の表面2bの有効面上に形成した素子やこの素子を封止する封止基板等を含む。
この電子デバイス製造方法は、図2に示すように、積層体作製工程S1と、デバイス作製工程S2と、デバイス分離工程S3を主要な構成要素とする。
積層体作製工程S1では、最初に、支持ガラス板3の表面3aの全面に、無機薄膜4を形成する。無機薄膜4の形成方法としては、公知の方法を使用することができ、スパッタ法、蒸着法、イオンビーム照射法、CVD法、ゾルゲル法、スクリーン印刷法等を使用することができる。
その後、支持ガラス板3に形成された無機薄膜4上に、ガラスフィルム2を積層することによって図1に示すガラス積層体1を形成する。
デバイス作製工程S2は、ガラス積層体1のガラスフィルム2の表面2bに対し、加熱を伴うデバイス製造関連処理を実施することによってデバイス部を作製する工程である。デバイス作製工程S2で実施される加熱を伴う電子デバイス製造関連処理としては、例えば、CVD法やスパッタリング等による成膜処理等が挙げられる。この成膜処理における温度は、例えば20℃〜650℃である。処理中の温度が高くなる程、処理後のガラスフィルム2と支持ガラス板3との接着力が強くなり、ガラスフィルム2の剥離が難しくなるため、本発明の剥離方法が有用となる。この観点から、処理中の温度は、400℃以上となることが好ましく、450℃以上となることが更に好ましく、500℃以上となることが最も好ましい。
デバイス分離工程S3は、本発明の実施形態に係るガラスフィルムの剥離方法が適用される工程であり、デバイス作製工程S2後に実施され、ガラス積層体1の支持ガラス板3から電子デバイス(デバイス部が作製されたガラスフィルム2)を分離する工程である。
図3に基づいて、デバイス分離工程S3について説明する。
最初に、曲げ工程S31では、例えば図4に示すように、デバイス作製工程S2後のガラス積層体1に対し、両端を固定した後に矢印Aで示す曲げ力を付与して、ガラス積層体1をガラスフィルム2の側が凸となるように湾曲させる。これによって、ガラスフィルム2と無機薄膜4の境界面(接触面)の周辺部位(境界部位P)にせん断応力を生じさせる。この曲げ力の付与は、作業者の手で直接行なってもよいし、所定の治具や装置を使用してもよい。なお、図4では、デバイス部は省略している。
この湾曲では、ガラス積層体1のガラスフィルム2側が板面に沿って伸ばされるように変形する。境界部位Pでは、この変形による変位量が、厚さ方向で、支持ガラス板3側よりガラスフィルム2側の方が大きい。この変位量の差によって、境界部位Pには、ガラスフィルム2と無機薄膜4の境界面でせん断するように作用するせん断応力が生じる。なお、境界部位Pで、変形による変位量は、板面に沿った方向では、ガラスフィルム2の端部側になるほど大きい。このため、境界部位Pに生じるせん断応力は、ガラスフィルム2の端部側になるほど大きくなる。
次に、復元工程S32では、曲げ工程S31で付与していた曲げ力を除去して、ガラス積層体1を元の形状(平板状)に復元させる。
その後、判定工程S33で、ガラス積層体1の支持ガラス板3からガラスフィルム2を剥離することが可能になったか否か判定する。この判定は、例えば、ガラスフィルム2が支持ガラス板3から浮き上がったか否かを目視で確認することによって行なう。なお、上述したように、せん断応力は、ガラスフィルム2の端部側になるほど大きいため、ガラスフィルム2は、支持ガラス板3に対し端部から浮き上がり始めることが多い。勿論、判定の方法は、これに限定されるものでは無く、例えば、ガラスフィルム2が支持ガラス板3から浮き上がったか否かを目視で確認せず、後述の剥離工程S34で使用される治具等で剥離を試みて剥離可能か否かを確認することによって行なってもよい。
そして、この判定工程S33で、剥離可能になっていないと判定された場合には、再び、曲げ工程S31と復元工程S32を実施し、その後、判定工程S33を実施する。
そして、この判定工程S33で、剥離可能になっていると判定された場合には、剥離工程S34を実施する。剥離工程S34では、ガラス積層体1の支持ガラス板3からガラスフィルム2を物理的に剥離する。この物理的な剥離方法としては、例えば、ガラスフィルム2と支持ガラス板3の境界に、ブレードを押し込む方法や、あるいは、吸着パッドを使用してガラスフィルム2と支持ガラス板3に対して相互に離反する方向に力を付与する方法等が挙げられる。
以上のように構成された本発明の実施形態に係るガラスフィルム2の剥離方法では、曲げ工程S31と復元工程S32とを実施することによって、ガラスフィルム2と支持ガラス板3との接着力が弱まって支持ガラス板3からガラスフィルム2を剥離することが可能になる。従って、支持ガラス板3からガラスフィルム2を容易に剥離できる。これにより、剥離時にガラスフィルム2が割れる等の事態を回避することができる。
次に、本発明の実施例に係るガラスフィルムの剥離方法について説明する。
本実施例では、ガラスフィルム2として、厚さ50μm、大きさ100mm×100mmのもの(日本電気硝子社製 ガラスコードOA−10G)を使用した。また、支持ガラス板3として、厚さ500μm、大きさ150mm×150mmのガラス板(日本電気硝子社製 ガラスコードOA−10G)を使用した。
そして、支持ガラス板3の表面3aの全域に、無機薄膜4として厚さ10nmのZrO2膜を形成した。その後、図5、図6に示すように、この支持ガラス板3に形成された無機薄膜4上の中央側領域にガラスフィルム2を積層してガラス積層体1を形成した。
このガラス積層体1を熱CVDプロセス(温度580℃)に流した。その後、ガラス積層体1の湾曲と復元を繰り返した。
ガラス積層体1の湾曲は、次のように行なった。3点曲げの要領で、支持ガラス板3の端部を固定し、図5、図6に示す荷重印加ラインL1〜L6に沿ってガラス積層体1に荷重を印加した。印加荷重は、荷重点における支持ガラス板3のガラスフィルム2側と無機薄膜4に約50MPaの引っ張り応力が発生する荷重を印加した。荷重印加ラインL1,L3,L4,L6は、ガラスフィルム2の端面から3mmの位置である。荷重印加ラインL2とL5は、ガラスフィルム2の縦方向と横方向の中央位置である。なお、この実施例では、縦方向と横方向は、便宜上、図5及び図6における縦方向と横方向をいうものとする。
荷重印加ラインL1,L2,L3の場合を例にとって具体的に説明する。図7(A)に示すように、荷重印加ラインL1への荷重の印加(矢印B1)によって、ガラス積層体1の横方向一端側を湾曲させた。図7(B)に示すように、荷重印加ラインL2への荷重の印加(矢印B2)によって、ガラス積層体1の横方向中央側を湾曲させた。図7(C)に示すように、荷重印加ラインL1への荷重の印加(矢印B3)によって、ガラス積層体1の横方向他端側を湾曲させた。
荷重印加ラインL1〜L6のそれぞれに対して、湾曲と復元を10回繰り返した。その結果、ガラスフィルム2の端部の応力印加(荷重印加ラインL1,L3,L6,L4への荷重印加)により、ガラスフィルム2の端部が、支持ガラス板3から浮き上がった。また、ガラスフィルム2の中央部への応力印加(荷重印加ラインL2,L5への荷重印加)により、ガラスフィルム2全体の支持ガラス板3(無機薄膜4)への接着力が弱まり、剥離しやすくなった。
本発明は、以上の説明に限定されず、その技術的思想の範囲で様々な変形が可能である。例えば、上記の説明では、支持ガラス板3に無機薄膜4が形成されており、この無機薄膜4上にガラスフィルム2を積層しているが、支持ガラス板3に無機薄膜4が形成されておらず、支持ガラス板3に直接ガラスフィルム2を積層してもよい。また、上記の説明では、曲げ工程で、ガラス積層体1をガラスフィルム2の側が凸となるように湾曲させているが、ガラス積層体1を支持ガラス板3の側が凸となるように湾曲させてもよい。また、上記の説明では、曲げ工程S31及び復元工程S32を1回実施した後に、判定S33を実施しているが、曲げ工程S31及び復元工程S32を2回以上実施した後に、判定工程S33を実施してもよい。
1 ガラス積層体
2 ガラスフィルム
3 支持ガラス板
3a 表面
4 無機薄膜
S31 曲げ工程
S32 復元工程
S33 判定工程
S34 剥離工程
P 境界部位
2 ガラスフィルム
3 支持ガラス板
3a 表面
4 無機薄膜
S31 曲げ工程
S32 復元工程
S33 判定工程
S34 剥離工程
P 境界部位
Claims (3)
- ガラスフィルムを支持ガラス板に積層して形成したガラス積層体に対して加熱を伴う処理を行なった後に実施され、前記ガラス積層体の前記支持ガラス板から前記ガラスフィルムを剥離する方法において、
曲げ力を付与して、前記ガラス積層体を湾曲させることによって、前記ガラスフィルムと前記支持ガラス板との境界部位にせん断応力を生じさせる曲げ工程と、
前記曲げ工程の後に、前記曲げ力を除去して、前記ガラス積層体を元の形状に復元させる復元工程と、
前記曲げ工程及び前記復元工程を1回又は複数回実施した後に、前記ガラスフィルムと前記支持ガラス板との接着力が弱まって前記支持ガラス板から前記ガラスフィルムを剥離することが可能になったか否かを判定する判定工程とを備え、
前記判定工程で、剥離可能になっていないと判定された場合に、前記曲げ工程及び前記復元工程を再び実施し、
前記判定工程で、剥離可能になったと判定された場合に、前記ガラス積層体の前記支持ガラス板から前記ガラスフィルムを剥離する剥離工程を実施することを特徴とするガラスフィルムの剥離方法。 - 前記支持ガラス板における前記ガラスフィルムが積層される側の表面に無機薄膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のガラスフィルムの剥離方法。
- 前記曲げ工程で、前記ガラス積層体を前記ガラスフィルムの側が凸となるように湾曲させることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラスフィルムの剥離方法。
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