JP2016098013A - ラミネート紙容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 加熱溶着後の接着強度に優れ、且つ紙基材と樹脂層との剥離が生じ難いラミネート紙容器を提供する。【解決手段】 少なくとも容器内面となる面に樹脂層が設けられたラミネート紙基材からなり、その丸めた両端を重ね合わせて加熱溶着した筒状の胴部材と、少なくとも容器内面となる面に樹脂層が設けられたラミネート紙基材からなり、前記胴部材の下端へと加熱溶着された板状の底部材とを有するラミネート紙容器であって、前記胴部材の容器内面側に、紙基材と隣接する層として(A)ポリプロピレン単独重合体を含む樹脂層と、最も内側の層として(B)プロピレンモノマー単位とエチレンモノマー単位とを有する共重合体を含む樹脂層とが積層されていることを特徴とするラミネート紙容器。【選択図】 図1

Description

本発明はラミネート紙容器、特に加熱溶着後の接着強度に優れ、且つ紙基材と樹脂層との剥離が生じ難いラミネート紙容器に関する。
従来、飲料や食品用の紙容器として、容器内面に樹脂層を設けたラミネート紙基材からなる紙容器が広く用いられている。このラミネート樹脂層は、紙基材への防水性や強度を付与するだけではなく、容器成形時において、丸めた胴部材の端部同士や胴部材と底部材とを加熱溶着(ヒートシール)するために重要な役割を果たしている。このようなラミネート紙容器としては、ヒートシール性や柔軟性等の観点から、一般にポリエチレン樹脂を積層した紙基材が用いられることが多い。他方、電子レンジで加熱することが可能な高耐熱性の紙容器が求められているものの、ポリエチレン樹脂(融点約110〜130℃)は耐熱性が十分でなく、電子レンジで加熱する際に容器内面の樹脂層が溶解してしまうおそれがあり、不向きであった。
これに対して、近年、ポリエチレン樹脂よりも融点の高いポリプロピレン樹脂(融点約165℃)やポリエチレンテレフタレート樹脂(融点約260℃)を積層したラミネート紙基材を用いた高耐熱性の紙容器が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかしながら、これら融点の高い樹脂を積層したラミネート紙基材は、胴部材の端部同士あるいは胴部材と底部材の樹脂層を加熱溶融して接着する際、従来よりも高温で加熱可能な特殊な製造設備が必要となり、製造コストが増加してしまうほか、高温での加熱溶着の際に紙基材が変質してしまうおそれもあった。あるいは、従来の製造設備を用いて加熱溶着したとしても、十分な接着強度が得られず、溶着箇所より漏れが発生したり、容器の強度が不十分であった。
特開2004−18100号公報 特開2004−18101号公報 特開2012−62099号公報
ここで、ポリプロピレン樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂よりも融点の低いプロピレン−エチレン共重合体(融点約140℃)を紙基材へと積層したラミネート紙を用いることで、従来の製造設備を用いて加熱溶着した場合にも比較的良好な接着強度が得られると考えられる。しかし、このラミネート紙は、紙基材とプロピレン−エチレン共重合体との密着性が十分でなく、容器成形加工時、特に板状のラミネート紙を丸めて円筒状の胴部材を形成する工程や、胴部材の上端部を外側にカールさせる工程、あるいは胴部材と底部材とを噛み合わせて固定するための折り返し部分を形成する工程等において、容器内面に積層された樹脂層と紙基材との間で剥離が生じてしまうおそれがあった。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、加熱溶着後の接着強度に優れ、且つ紙基材と樹脂層との剥離が生じ難いラミネート紙容器を提供することにある。
上記課題に鑑み、本発明者らが鋭意検討を行なった結果、胴部材として、紙基材から順に、ポリプロピレン単独重合体を含む樹脂層と、プロピレン−エチレン共重合体を含む樹脂層とを積層したラミネート紙を用いて成形した容器が、丸めた胴部材の端部同士あるいは胴部材と底部材を加熱溶着した際の接着強度に優れるとともに、成形加工時において紙基材と樹脂層との剥離が生じ難いことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかるラミネート紙容器は、少なくとも容器内面となる面に樹脂層が設けられたラミネート紙基材からなり、その丸めた両端を重ね合わせて加熱溶着した筒状の胴部材と、少なくとも容器内面となる面に樹脂層が設けられたラミネート紙基材からなり、前記胴部材の下端へと加熱溶着された板状の底部材とを有するラミネート紙容器であって、前記胴部材の容器内面側に、紙基材と隣接する層として(A)ポリプロピレン単独重合体を含む樹脂層と、最も内側の層として(B)プロピレンモノマー単位とエチレンモノマー単位とを有する共重合体を含む樹脂層とが積層されていることを特徴とするものである。
また、本発明にかかるラミネート紙容器は、前記胴部材の容器内面に積層された(B)層が、モノマー全量中、プロピレンモノマーを50モル%以上有する共重合体を含むことが好適である。
また、本発明にかかるラミネート紙容器は、前記底部材の容器内面において、少なくともポリプロピレン単独重合体を含む樹脂層が積層されていることが好適である。
本発明のラミネート紙容器は、胴部材として、紙基材から順に、(A)ポリプロピレン単独重合体を含む樹脂層と、(B)プロピレン−エチレン共重合体を含む樹脂層とを積層したラミネート紙を用いているため、胴部材の端部同士あるいは胴部材と底部材を加熱溶着した際の接着強度に優れるとともに、成形加工時において紙基材と樹脂層との剥離が生じ難い。
本発明の一実施例にかかるラミネート紙容器10の(a)正面図及び(b)断面図である。 本発明の一実施例にかかるラミネート紙容器10の(a)胴部材及び(b)底部材の要部拡大断面図である。 本発明の一実施例にかかるラミネート紙容器10の(a),(b)胴部材端部同士及び(c)胴部材と底部材の加熱溶着部分の要部拡大断面図である。 ポリプロピレン(PP)ホモポリマーラミネート紙とプロピレン−エチレン‐1−ブテン(PEB)ターポリマーラミネート紙を各種組み合わせて加熱溶着した後の接着強度の測定結果である。 PEBターポリマー/紙の紙基材層と樹脂層とを剥離した後の写真図である。 PEBターポリマー/紙の紙基材層と樹脂層とを剥離した後の(a)紙基材層及び(b)樹脂層の拡大写真図である。 PEBターポリマー/PPホモポリマー/紙の紙基材層と樹脂層とを剥離した後の写真図である。 PEBターポリマー/PPホモポリマー/紙の紙基材層と樹脂層とを剥離した後の(a)紙基材層及び(b)樹脂層の拡大写真図である。
以下、図面を参照して、本発明の構成について詳しく説明する。図1に、本発明の一実施例にかかるラミネート紙容器10の(a)正面図及び(b)断面図を示す。図1(a),(b)に示すように、本発明の一実施例にかかるラミネート紙容器10は、上方から下方へとテーパー状に縮径された円筒状の胴部材12と、円板状の底部材14とからなり、胴部材12の下端に底部材14が接合されている。
図2に、ラミネート紙容器10の(a)胴部材12及び(b)底部材14の要部拡大断面図を示す。
図2(a)に示すように、胴部材12の内面側には、紙基材12aから順に、(A)ポリプロピレン単独重合体を含む樹脂層12b、(B)プロピレン−エチレン共重合体を含む樹脂層12cが順に積層されている。なお、胴部材12の外面側には、ポリプロピレン単独重合体を含む層12bが積層されている。また、図2(b)に示すように、底部材の内面側にもポリプロピレン単独重合体層14bが積層されている。
<胴部材>
(A)ポリプロピレン単独重合体層
本実施形態の胴部材12を構成しているラミネート紙には、紙基材12aの内面側に、該紙基材12aへと隣接するように(A)ポリプロピレン単独重合体層12bが積層されている。紙基材層12aへと直接(A)ポリプロピレン単独重合体層12bが積層されていることで、成形加工時、特に板状のラミネート紙を丸めて円筒状の胴部材を形成する工程や、胴部材の上端部を外側にカールさせる工程等において、紙基材層と樹脂層との剥離を生じ難い。なお、(A)ポリプロピレン単独重合体の融点は約165℃であり、分子量は特に限定されるものではないが、メルトフローレートとして5〜60g/10minの範囲であることが望ましい。また、(A)樹脂層は、ポリプロピレン単独重合体のみによって形成されていてもよく、あるいは30質量%以下、望ましくは10質量%以下の範囲であれば、その他のポリマー(例えば、ポリエチレン等)を混合したブレンドポリマーによって形成されていてもよい。
(B)プロピレン−エチレン共重合体層
また、前記(A)ポリプロピレン単独重合体層12bの内面側には、さらに(B)プロピレン−エチレン共重合体層12cが積層されている。この(B)プロピレン‐エチレン共重合体層12cが容器の最も内面側に設けられていることで、胴部材を丸めた端部同士を加熱溶着したり、あるいは胴部材と底部材を加熱溶着した場合に、溶着部分において優れた接着強度を得ることができる。(B)プロピレン−エチレン共重合体は、プロピレンモノマー単位とエチレンモノマー単位とを有する共重合体であって、例えば、プロピレン−エチレンランダムコポリマー、プロピレン−エチレンブロックコポリマー、プロピレン−エチレン−1−ブテンターポリマー等が挙げられる。なお、(B)プロピレン−エチレン共重合体の融点は約135〜150℃であり、分子量は特に限定されるものではないが、メルトフローレートとして5〜60g/10minの範囲であることが望ましい。また、(B)樹脂層は、これらプロピレン‐エチレン共重合体のみによって形成されていてもよく、あるいは30質量%以下、望ましくは10質量%以下の範囲であれば、その他のポリマー(例えば、ポリエチレン等)を混合したブレンドポリマーによって形成されていてもよい。
(B)プロピレン−エチレン共重合体としては、モノマー全量中、プロピレンモノマーを50モル%以上、好ましくは80モル%以上含有していることが望ましい。プロピレンモノマーの含有量が少ないと、ポリエチレンの性質に近くなるため、融点が下がって耐熱性に劣る場合があるほか、胴部材の端部同士を加熱溶着した際の接着強度が十分に得られない場合がある。本実施形態においては、(A)ポリプロピレン単独重合体層12bと(B)プロピレン−エチレン共重合体層12cは隣接している。(A)ポリプロピレン単独重合体層12bと(B)プロピレン−エチレン共重合体層12cとの間には他の樹脂層が設けられていても構わないが、少なくとも紙基材と隣接する層として(A)ポリプロピレン単独重合体層12b、最も内面側の層として(B)プロピレン−エチレン共重合体層12cが積層されている必要がある。また、本実施形態のように(A)ポリプロピレン単独重合体層12bと(B)プロピレン−エチレン共重合体層12cとが隣接していると、(A)ポリプロピレン単独重合体と(B)プロピレン−エチレン共重合体の親和性が高いため、これらの層間の剥離が生じ難くなる。
また、本実施形態の胴部材12においては、容器の外面を保護するため、紙基材12aの外面側にもポリプロプレン単独重合体を含む樹脂層12bが設けられているものの、これは必須ではない。本発明の胴部材としては、少なくとも紙基材の容器内面側となる一方の面に(A)ポリプロピレン単独重合体層と(B)プロピレン−エチレン共重合体層が設けられていればよい。また、胴部材12の両面に樹脂層が設けられている場合、それぞれの樹脂層が異なる種類の樹脂からなっていてもよい。胴部材には、必要に応じてバリアー層を設けていてもよく、また、端部に露出した紙基材から油やアルコール等が浸み込まないように、胴部材12の端面にスカイブヘミング加工等の端面処理を施していてもよい。
<底部材>
本実施形態の底部材14を構成しているラミネート紙には、紙基材14aの内面側に、ポリプロピレン単独重合体層14bが積層されている。底部材14の容器内面側に積層される樹脂は、特に限定されるものではないが、ポリプロピレン単独重合体を用いることが望ましい。例えば、電子レンジ等に使用するラミネート紙容器においては、特に食品と接触する底部において耐熱性が要求されるもの、底部材の内面にポリプロピレン単独重合体を積層することで優れた耐熱性を発揮することができる。加えて、ポリプロピレン単独重合体は、胴部材の最内面に積層されたプロピレン−エチレン共重合体と親和性が高いため、胴部材12と底部材14とを加熱溶着した際、溶着部分において優れた接着強度を得ることができる。
また、本実施形態の底部材14には、紙基材14aの容器内面側のみにポリプロピレン単独重合体層14bが設けられているものの、例えば、容器の外面を保護するため、紙基材14aの外面側に樹脂層を設けていてもよい。また、底部材14の両面に樹脂層が設けられている場合、それぞれの樹脂層が異なる種類の樹脂からなっていてもよい。あるいは、底部材14の紙基材の一方の面に複数の樹脂層が積層されていてもよいが、少なくとも容器内面側の紙基材と隣接する樹脂層として、ポリプロピレン単独重合体を用いることが望ましい。
<製造方法>
紙基材へと樹脂を積層する方法としては、従来公知の手段を用いればよいが、例えば、溶融押出ラミネート法が挙げられる。また、本発明の胴部材へと使用するラミネート紙のように、紙基材へと複数の樹脂を積層する場合、共押出ラミネート法によって同時に紙基材上へと樹脂を押し出して積層してもよい。紙基材の表面へと積層される樹脂層の膜厚は、通常、10〜100μmの範囲である。膜厚が10μm未満であると、ピンホールが発生する場合があり、100μmを超えると、不経済であるほか、容器の組み立てに支障が生じる場合がある。紙基材としては、100〜400g/mの範囲の坪量のものが好ましい。また、ラミネート特性を改善するため、紙基材へと樹脂をラミネートする際、さらにコロナ放電照射処理あるいはオゾン吹付処理等を行なってもよい。
本実施形態の胴部材12は、扇状のラミネート紙を丸めて両端同士を重ね合わせ、重ね合わせ部分の樹脂層同士を加熱溶着することによって、上方から下方へとテーパー状に縮径された円筒状に形成されている。また、胴部材12の円筒上端部には外巻にカールされたカール部分が形成され、円筒下端部には略180°内側方向に折り曲げられた折り返し部分が形成されている。他方、底部材14は、円板状部分と、その周縁部が略直角に折り曲げられた屈曲部分とを有している。そして、底部材14の屈曲部分が、胴部材12の折り返し部分によって挟み込まれ、底部材の内面樹脂層12bと胴部材の最内面樹脂層14cとが加熱溶着によって接合されている。なお、加熱溶着の方法としては、いずれも熱風、電熱、電子線等、従来公知の手段を用いることができる。
図3(a),(b)に胴部材12の端部同士の加熱溶着部分の要部拡大断面図、(c)に胴部材12と底部材14との加熱溶着部分の要部拡大断面図を示す。なお、図3(a)は鉛直方向の断面図、(b)は水平方向の断面図である。
図3(b)に示すように、本実施形態の胴部材12の端部同士の加熱溶着部では、胴部材の一方の端部にスカイブヘミング加工がなされており、最内層の(B)プロピレン−エチレン共重合体層12c同士が対面するように重ね合わせられ、加熱溶着されている。ここで、スカイブヘミング加工は、主に紙コップ等の紙容器製品の分野において公知の処理方法である。すなわち、スカイブヘミング加工では、板状の積層体の端部から所定の長さ(数mm〜数cm程度)、一方の面から厚みの半分を剥ぎ取って(スカイブ)、剥ぎ取り面が内側になるように折り返す(ヘミング)ことによって、紙基材の端部が露出しないように保護するとともに、積層体の端部において両面の層が一致するようにされている。このため、本実施形態の胴部材12の端部同士の加熱溶着部分では、図3(a),(b)に示すように、最内層のプロピレン‐エチレン共重合体12c同士が加熱溶着されており、この溶着部分において非常に優れた接着強度が得られる。なお、例えば、本実施形態の胴部材12の一方の端部にスカイブヘミング加工がなされていない場合、外面に積層されたポリプロピレン単独重合体層12bと最内面に積層されたプロピレン−エチレン共重合体層12cとの間で加熱溶着されることになるものの、これらの樹脂の組み合わせにおいても良好な接着強度が得られる。他方、図3(c)に示すように、本実施形態の胴部材12と底部材14との接合部では、胴部材12の最内層のプロピレン−エチレン共重合体層12cと底部材14の内層のポリプロピレン単独重合体層14bとの間で加熱溶着されており、これらの樹脂の組み合わせにより、この溶着部分においても良好な接着強度が得られる。
また、先述のとおり、本実施形態の胴部材12は、扇状のラミネート紙を丸めて両端同士を重ね合わせて加熱溶着することによって円筒状に形成されている。ここで、例えば、紙基材12aへと直接(B)プロピレン−エチレン共重合体層12cが積層されている場合、この丸め加工の際に胴部材12内面に負荷がかかって、紙基材と内面樹脂層との間で剥離を生じることがあった。また、円筒状に丸められた胴部材12は、さらに円筒上端部を上から押し込んで外巻にカールさせる工程や、底部材14と噛み合わせるため円筒下端部を内側方向に折り曲げた折り返し部分を形成する工程等もあり、これらの工程においても胴部材12内面に負荷がかかるため、紙基材と内面樹脂層との間で剥離を生じてしまうおそれがあった。このように紙基材と樹脂層とが剥離してしまうと、外観を損なうほか、非常に小さな剥離箇所からでも内容物が侵入して、結果として漏れが発生してしまうことになるため、大きな問題であった。これに対して、本実施形態の胴部材12では、紙基材12aへと、これと隣接するように(A)ポリプロピレン単独重合体層12bが積層されており、紙基材12aの繊維に(A)ポリプロピレン単独重合体12bが絡み付いた状態で強く密着しているため、樹脂層のみが紙基材から剥がれてしまうことがなく、非常に剥離しにくい。
本実施形態のラミネート紙容器10は、底部材が円板状であるカップ形状の容器であるものの、形状はこれに限定されず、例えば底部材が矩形板状の直方体あるいは立方体形状の容器であってもよい。また、必要に応じて、別途製造された蓋材等によって容器を密封し、例えば、電子レンジ等で加熱する際には蓋材を外したり、あるいは一部を開封して使用するものであってもよい。
以下、実施例により、本発明についてさらに具体的に説明を行なうが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<接着性試験>
最初に、本発明者らは、ポリプロピレン(PP)ホモポリマーを積層したラミネート紙とプロピレン−エチレン−1−ブテン(PEB)ターポリマーを積層したラミネート紙を用い、これらを各種組み合わせにて加熱溶着した際の溶着部分の接着強度について評価した。
PPホモポリマー/紙:坪量300g/mの原紙の表面に、コロナ放電処理を行ないながら押出ラミネート機のTダイより285℃でポリプロピレンホモポリマー(PHA03A:サンアロマー社製;融点164℃,MFR42g/10min,密度0.9g/cm)を押し出し、チルロールにより冷却しながら加圧して、ポリプロピレンホモポリマーを厚さ40μmとなるように積層した。また、同様にしてもう一方の表面に厚さ30μmとなるようにPPホモポリマーを積層し、PPホモポリマー/紙を得た。
なお、試験に用いたPPホモポリマー(PHA03A:サンアロマー社製)を分析したところ、アイソタクチックホモポリプロピレンに低密度ポリエチレンを約20質量%程度混合したブレンドポリマーであった。
PEBターポリマー/紙:坪量300g/mの原紙の表面に、コロナ放電処理を行ないながら押出ラミネート機のTダイより285℃でプロピレン−エチレン−1−ブテンターポリマー(FL02C:日本ポリプロ社製,融点138℃,MFR20g/10min,密度0.9g/cm)を押し出し、チルロールにより冷却しながら加圧して、エチレン−プロピレン−1−ブテンターポリマーを厚さ40μmとなるように積層した。また、同様にしてもう一方の表面に厚さ30μmとなるようにエチレン−プロピレン−1−ブテンターポリマーを積層し、PEBターポリマー/紙を得た。
なお、試験に用いたPEBターポリマー(FL02C:日本ポリプロ社製)を分析したところ、構成モノマー比(モル比)がプロピレン:エチレン:1−ブテン=91.7:6.6:1.7のPEB共重合体に低密度ポリエチレンを約10質量%程度混合したブレンドポリマーであった。
以上で得られたPPホモポリマーラミネート紙、PEBターポリマーラミネート紙を用い、(1)PPホモポリマー‐PEBターポリマー、(2)PEBターポリマー‐PEBターポリマー、(3)PPホモポリマー‐PPホモポリマーのそれぞれの組み合わせにて、ヒートシール機(TP0701:テスター産業社製)を用い、圧力2kg/cm×温度230℃,250℃,270℃の各種条件にて加熱溶着した。溶着後の各ラミネート紙について、引っ張り試験機(オートグラフAGS−X:島津製作所製)を用い、試験片幅15mm、つかみ具間50mm、引張速度300mm/minの条件で、接着強度(引張強度)を測定した。
結果を下記表1及び図4に示す。
表1及び図4に示すように、(1)PPホモポリマーとPEBターポリマーあるいは(2)PEBターポリマーとPEBターポリマーの組み合わせにおいては、シーラー設定温度230〜270℃で加熱して溶着した後、引張強度が約4〜7N/15mmであり、PEBターポリマーを用いた場合には、いずれも優れた接着強度が得られることが明らかとなった。これに対して、(3)PPホモポリマーとPPホモポリマーの組み合わせでは、(1)又は(2)の約半分程度の引張強度しか得られず、接着強度に劣っていた。すなわち、(3)PPホモポリマー同士の場合、シーラー設定温度230〜270℃で加熱溶着しても、十分な接着強度が得られないことがわかった。
<剥離強度試験(紙層破壊状態)>
つづいて、本発明者らは、上記試験において加熱溶着後の接着強度の良好であったPEBターポリマー/紙と、さらにPEBターポリマーと紙基材との間にPPホモポリマー層を挟んだPEBターポリマー/PPホモポリマー/紙を作成し、これらの各ラミネート紙の樹脂層と紙基材層との間の剥離強度について評価した。
PEBターポリマー/紙
上記試験にて用いたPEBターポリマー/紙と同様にして作成した。
PEBターポリマー/PPホモポリマー/紙
坪量300g/mの原紙の表面に、コロナ放電処理を行ないながら押出ラミネート機のTダイより、原紙側から順に、ポリプロピレンホモポリマー(PHA03A:サンアロマー社製;融点164℃,MFR42g/10min,密度0.9g/cm)とプロピレン−エチレン−1−ブテンターポリマー(FL02C:日本ポリプロ社製,融点138℃,MFR20g/10min,密度0.9g/cm)を285℃で共押出し、チルロールにより冷却しながら加圧して、ポリプロピレンホモポリマーを30μm、プロピレン−エチレン−1−ブテンターポリマーを厚さ40μmとなるように積層した。また、もう一方の表面に単層のポリプロピレンホモポリマーを厚さ20μmとなるように積層し、PEBターポリマー/PPホモポリマー/紙を得た。
以上で得られたPEBターポリマー/紙とPEBターポリマー/PPホモポリマー/紙を用い、各ラミネート紙の樹脂層と紙基材層を軽く剥離させて切っ掛けを作り、それぞれの層を掴んだ状態で引っ張って強制的に剥離させ、樹脂層と紙基材層との剥離状態(紙層破壊状態)について調べた。評価基準は以下のとおりである。
○:樹脂層に紙基材層の繊維が付着して剥離し、紙層が破壊されていた(剥離強度大)。
×:樹脂層と紙基材層が綺麗に剥離し、紙層が破壊されていなかった(剥離強度小)。
結果を下記表2に示す。また、PEBターポリマー/紙の剥離後の写真を図5,6に、PEBターポリマー/PPホモポリマー/紙の剥離後の写真を図7,8に示す。なお、図6,8において、(a)は紙基材層、(b)は樹脂層の拡大写真である。
図5に示すように、PEBターポリマー/紙は、剥離後の樹脂層と紙基材層とが綺麗に剥離してしまっていた。また、図6(a)より剥離後の紙基材の表面は平滑であり、同図(b)より樹脂層への紙繊維の付着はほとんどみられなかった。これらの結果から、PEBターポリマー/紙は、紙基材とPEBターポリマー層との密着性が十分でなく、剥離強度が十分でないと言える。他方、図7に示すように、PEBターポリマー/PPホモポリマー/紙では、剥離後の樹脂フィルムに紙基材が付着しており、図8(a)より紙基材表面から紙繊維が剥がれ落ち、同(b)より樹脂層表面に紙繊維が絡み付いていることが確認された。したがって、紙基材層とPPホモポリマー層とはラミネートによって強く密着しており、剥離強度に優れていることが明らかとなった。
以上の接着強度試験及び剥離強度試験の結果より、PEBターポリマーのみを積層したラミネート紙は、ラミネート紙同士の加熱溶着後の接着強度には優れているものの、PEBターポリマー層と紙基材層との間の密着性に劣るため、例えば、成形工程等において樹脂層と紙基材層との間で剥離を生じてしまうおそれがある。これに対して、PEBターポリマー層と紙基材層との間にPPホモポリマー層を挟んだPEBターポリマー/PPホモポリマー/紙は、PPホモポリマーと紙基材層との間の密着性が高いため、優れた剥離強度が得られる。これに加えて、表面にPEBターポリマーが積層されているため、ラミネート紙同士を加熱溶着した後の接着強度も高い。
実施例1
胴部材用ラミネート紙として上記PEBターポリマー/PPホモポリマー/紙、底部材用ラミネート紙として、上記PPホモポリマーラミネート紙を用いた。
底部材用のラミネート紙は円形に、胴部材用のラミネート紙は扇形になるように打抜型を用いて打ち抜き、それぞれ円形ブランク、扇形ブランクとした。胴部材に用いる扇型ブランクは、予め一方の端部に、図3(b)に示したようにスカイブヘミング加工を施した。扇形ブランクの丸めた両端を、紙容器成形機により溶着面温度が140〜240℃となるように熱風を送風して加熱溶着し、下方へとテーパー状に縮径された円筒状に成形した。その後、図3(c)に示したように、円筒の上端部にカール加工を施して外巻きのカール部分を形成し、円筒下端部には略180°内側方向に折り曲げられた折り返し部分を形成した。他方、底部材に用いる円形ブランクには、その周縁部を略直角に折り曲げて屈曲部分を形成した。底部材の屈曲部分を、胴部材の折り返し部分に挟みこみ、紙容器成形機により溶着面温度が140〜240℃となるように熱風を送風して加熱溶着し、底部材と胴部材とを一体化して、実施例1のラミネート紙容器(口径144mm,高さ75mm)を得た。
実施例2
胴部材用ラミネート紙及び底部材用ラミネート紙として、いずれも上記PEBターポリマー/PPホモポリマー/紙を用いたほかは、上記実施例1と同様にして、実施例2のラミネート紙容器を得た。
上記実施例にて得られたラミネート紙容器は、いずれも胴部材端部の加熱溶着後の接着強度が良好であり、また、成形加工後においてラミネート紙の樹脂層と紙基材層との剥離は生じていなかった。
10 ラミネート紙容器
12 胴部
14 底部

Claims (3)

  1. 少なくとも容器内面となる面に樹脂層が設けられたラミネート紙基材からなり、その丸めた両端を重ね合わせて加熱溶着した筒状の胴部材と、少なくとも容器内面となる面に樹脂層が設けられたラミネート紙基材からなり、前記胴部材の下端へと加熱溶着された板状の底部材とを有するラミネート紙容器であって、
    前記胴部材の容器内面側に、
    紙基材と隣接する層として(A)ポリプロピレン単独重合体を含む樹脂層と、
    最も内側の層として(B)プロピレンモノマー単位とエチレンモノマー単位とを有する共重合体を含む樹脂層と
    が積層されている
    ことを特徴とするラミネート紙容器。
  2. 前記胴部材の容器内面に積層された(B)層が、モノマー全量中、プロピレンモノマーを50モル%以上有する共重合体を含むことを特徴とするラミネート紙容器。
  3. 前記底部材の容器内面に、少なくともポリプロピレン単独重合体を含む樹脂層が積層されていることを特徴とするラミネート紙容器。
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