以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、便宜上、各図において、Frを前方として設定すると共に、X方向を左右方向(配列方向)とし、Y方向を前後方向(屈曲方向)とし、Z方向を上下方向(接続方向)として設定する。
<第1実施形態>
図1ないし図5を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係るコネクタ1の構成について説明する。ここで、図1はコネクタ1および相手側コネクタ100を示す斜視図である。図2ないし図4はコネクタ1を示しており、図2は分解斜視図、図3は正面図、図4は側面図である。図5は、図3におけるA−A断面図である。
図1に示すように、コネクタ1は、所謂フローティングコネクタであり、基板B1に取り付けられるプラグ(雄型)である。また、相手側基板B2には、レセプタクル(雌型)としての相手側コネクタ100が取り付けられている。相手側コネクタ100にコネクタ1が嵌合することにより、一対の基板B1,B2が電気的に接続される。
図1および図2に示すように、コネクタ1は、基板B1に固定される固定ハウジング2と、固定ハウジング2に対して移動可能に設けられる可動ハウジング3と、固定ハウジング2と可動ハウジング3との間に架け渡されると共に所定間隔で並設される複数の接続端子4と、各接続端子4と同様に、固定ハウジング2と可動ハウジング3との間に架け渡される複数の電源端子5と、を備えている。
図1ないし図3に示すように、固定ハウジング2は、上下方向に貫通する固定側開口部10を有して概略矩形筒状に形成されている。この固定側開口部10は、可動ハウジング3の外側面に対し所定の間隙G1を有して可動ハウジング3を内設可能に形成されている。
固定ハウジング2は、固定側開口部10を挟んで前後に対向配置される前後一対の固定本体壁11と、各固定本体壁11の左右両端から左右方向外側に向かって延設される左右一対の延出壁12が前後に2組と、前後に対向する延出壁12を連結するように設けられる左右一対の基板固定部13と、により合成樹脂等の絶縁性材料で一体成形されている。
図2および図3に示すように、各固定本体壁11は、正面視で上下方向に長い略矩形状に形成されている。各固定本体壁11の上側左右両角部には、それぞれ、斜めに隅切りされる上側傾斜面11aが形成されている。また、各固定本体壁11の外側面は、平滑に形成され、各固定本体壁11の内側面下部、すなわち固定側開口部10の一部を構成する各固定側内壁面11bの下部は、一段内側に突設されている。つまり、各固定本体壁11は、上部よりも下部が分厚く形成されている。
各固定側内壁面11bの下部(分厚く形成されている部分)には、下端から上方に延びる固定側圧入溝14が複数凹設されている(図2参照)。複数の固定側圧入溝14は、左右方向に等間隔に並設されている。各固定側圧入溝14は、平面視で略C字状断面を成すように形成されている。
各延出壁12は、正面視で、各固定本体壁11の下側略半分に連設されており、その下端面は、固定本体壁11の下端面と同一平面を成すように形成されている。各延出壁12は、平面視で、固定本体壁11との接続部分において前後方向外側に向けて傾斜する傾斜部12aと、傾斜部12aの外端部から左右方向外側に向けて延びる平行部12bと、を有している。
各延出壁12の内側面下部、すなわち固定側開口部10の一部を構成する各固定側内壁面12c(図2参照)の下部には、下端から上方に延びる電源固定側圧入溝15が凹設されている(図3参照)。各電源固定側圧入溝15は、平面視で略C字状断面を成し、各固定側圧入溝14と略同一高さ(長さ)に形成されている。また、各電源固定側圧入溝15は、各固定側圧入溝14よりも左右方向に幅広く形成されている。
各基板固定部13は、概略壁状に形成されている。各基板固定部13の下側略半分には、前後に対向配置された延出壁12が接続されている。各基板固定部13の下端面は、各延出壁12(各平行部12b)の下端面よりも一段上方に形成され、各基板固定部13の上端面は、各固定本体壁11の上端面と同一平面上に形成されている。
図2に示すように、各基板固定部13の左右方向内側面には、上下方向略中央部において前後に延びる横凸条部13aと、前後方向略中央部において横凸条部13aの上側から上方に向かって延びる縦凸条部13bと、が突設されている。横凸条部13aおよび縦凸条部13bは、略台形断面を有している。横凸条部13aよりも下側には、略直方体状の係合空間S1が形成されている。
各基板固定部13の左右方向外側面の下部は、一段外側に突設されている。この突設された部分には、平面視で略矩形状の金具固定穴13cが上下方向に貫通形成されている。各金具固定穴13cには、固定金具16が圧入されている(図1参照)。なお、各金具固定穴13cの上方には、左右方向外側から内側に向かって略矩形状の矩形溝13dが形成されている。
各固定金具16は、下方に前後一対の金具脚部16aを有し、略U字状に形成されている。各固定金具16を各金具固定穴13cに圧入した状態で、各金具脚部16aは、基板固定部13の下端面から下方に延出している(図3参照)。各金具脚部16aは、基板B1に形成された貫通孔(図示せず)に挿通し、ハンダ付け等によって固定される。
図1ないし図4に示すように、可動ハウジング3は、上面を開放した可動側開口部20を有して概略矩形筒状に形成される可動本体部21と、可動本体部21の左右両端部から下方に延設される左右一対の可動脚部22と、により合成樹脂等の絶縁性材料で一体成形されている。可動ハウジング3は、可動本体部21と左右一対の可動脚部22とにより正面視で略倒立U字状を成している。
可動側開口部20は、平面視で左右方向に細長い略四角形状に形成されている。可動側開口部20には、複数の相手側端子101が挿入されるようになっている。
可動本体部21は、可動側開口部20を挟んで前後に対向配置される前後一対の可動本体壁23と、前後に対向する可動本体壁23の下部を連結するように設けられる可動底部24(図5参照)と、各可動本体壁23および可動底部24の左右外端を支持するように設けられる左右一対の可動柱部25と、を有している。
図2および図3に示すように、各可動本体壁23は、正面視で左右方向に長い略矩形状に形成されている。各可動本体壁23の内側面、すなわち可動側開口部20の一部を構成する各可動側内壁面23aには、上下方向に延びる可動側圧入溝26が複数凹設されている。複数の可動側圧入溝26は、それぞれ固定側圧入溝14に対応する位置に形成されている。各可動側圧入溝26は、平面視で略U字状断面を有する溝であり、可動本体壁23の下端から上端近傍まで延出して形成されている。なお、各可動側内壁面23aの上端部には、上方に向かって拡開するような傾斜面が形成されている。
図5に示すように、可動底部24は、可動側開口部20の底面を構成するように左右方向に長い略直方体状に形成されている。可動底部24の下端面は、各可動本体壁23の下端面と同一平面上に形成されている。また、可動底部24には、各可動側圧入溝26と対応する位置に上下方向に貫通する端子挿通穴27が複数形成されている。すなわち、複数の端子挿通穴27は、前後一対の可動側内壁面23aに沿ってそれぞれ並設され、前後方向に線対称となるように二列配設されている。なお、各端子挿通穴27内にも、各可動側圧入溝26が形成されている。
図2および図3に示すように、各可動柱部25は、略四角柱状に形成されている。各可動柱部25の上端部には、前後左右の四方が面取りされた嵌合ガイド部25aが形成されている。各嵌合ガイド部25aは、各可動本体壁23の上端面よりも上方に設けられている。また、各可動柱部25の可動側開口部20側には、嵌合ガイド部25aの下側から左右方向内側に向けて下方に傾斜するガイド斜面25bが形成されている。さらに、各可動柱部25の左右方向外側面には、嵌合ガイド部25aの下側から下方に向けて延びるガイド溝25cが凹設されている。
また、各可動柱部25の前後方向両側面(可動側外壁面)には、上下方向に延びる電源可動側圧入溝28が凹設されている。各電源可動側圧入溝28は、それぞれ電源固定側圧入溝15に対応する位置に形成されている。各電源可動側圧入溝28は、平面視で略U字状断面を有する溝であり、可動柱部25の下端から嵌合ガイド部25aの下端まで延出して形成されている。また、各電源可動側圧入溝28は、各可動側圧入溝26よりも左右方向に幅広く形成されている。
図2および図3に示すように、各可動脚部22は、各可動柱部25の下端から下方に向けて延出し、一体に形成されている。各可動脚部22は、正面視で、上下方向下寄り位置から上方に向けて左右方向内側に幅広くなるように形成されている。
各可動脚部22の上部には、前後方向両側面から突出する左右一対の移動規制ブロック30が前後2組設けられている。例えば、前側の左右一対の移動規制ブロック30は、各可動脚部22と各可動柱部25との間において、前側面から左右方向外側面に僅かに回り込むように設けられている。前側の左右一対の移動規制ブロック30には、各可動脚部22および各可動柱部25の左右方向外側面に向けて傾斜する外側傾斜面30aが、それぞれ形成されている。また、前側の左右一対の移動規制ブロック30には、各可動本体壁23の前側面に向かって傾斜する内側傾斜面30bが、それぞれ形成されている。前側の左右一対の内側傾斜面30bの下側には、左右方向外方に向けて下方に傾斜する下側傾斜面30cが、それぞれ形成されている。なお、後側の左右一対の移動規制ブロック30にも、前後方向に線対称となるように、それぞれ外側傾斜面30a、内側傾斜面30bおよび下側傾斜面30cが、それぞれ形成されている。
各移動規制ブロック30の上部には、電源可動側圧入溝28に連通する略矩形状の電源挿通穴30dが貫通形成されている。また、各移動規制ブロック30の下部内面と可動脚部22の表面との間には、移動空間S2が形成されている(図5参照)。なお、左右一対の可動脚部22を水平投影した形状は、固定側開口部10よりもひと回り小さな相似形状を成している。
図2に示すように、各可動脚部22の下端部には、左右方向外側面から突出する略直方体状の係合ブロック31が設けられている。左右一対の係合ブロック31は、それぞれ、各可動脚部22の前後方向両側面と同一平面を成している。また、各係合ブロック31の上部は、正面視で下部よりも一段外側に突設されている。
図1および図2に示すように、複数の接続端子4は、左右方向(配列方向)に等間隔で一列に並べられた端子列40を構成している。第1実施形態に係るコネクタ1では、この端子列40が、各ハウジング2,3に対して前後方向に線対称となるように二列配設されている。複数の接続端子4は、それぞれ同一形状であるため、以下、主に図5および図6を参照して、1本の接続端子4に着目して説明する。ここで、図6(a)は接続端子4の正面図であり、図6(b)は接続端子4の側面図である。なお、以下の説明において、特に明示しない限り、外側(外端)は各ハウジング2,3の前後方向外側を指し、内側(内端)は各開口部10,20の前後方向中央側を指すものとする。
接続端子4は、基板B1側から上方に向けて順に、接続部41と、第1弾性部42と、幅広部43と、第2弾性部44と、端子部45と、によって一体に形成されている。接続端子4は、導電性を有する金属板を細長く打ち抜き、適宜折り曲げ加工等を行うことで形成されている。なお、接続端子4として、所定の形状に打ち抜いて加工した所謂抜き端子を用いてもよい。
接続部41は、固定ハウジング2に保持され、基板B1に固定されている。接続部41は、基板B1にハンダ付け等により電気的に接続される基板実装部41aと、基板実装部41aの内端部(基板B1)から上方に向けて延設される接続側圧入部41bと、を有している。
基板実装部41aは、基板B1に対して平行に形成されている。接続側圧入部41bは、基板実装部41aに対して直角に折り曲げられて形成されている。接続側圧入部41bは、固定側内壁面11bに形成された固定側圧入溝14に圧入されるようになっている(図5参照)。接続側圧入部41bの左右両側面には、左右一対の接続側圧入突起47が上下方向に所定の間隔で3組形成されている。接続側圧入部41bの上下方向の長さは、固定側圧入溝14の上下方向の長さと略同一に形成されている。なお、接続側圧入部41bが固定側圧入溝14に圧入された状態で、基板実装部41aの外端部は、固定ハウジング2の外側に露出している。
第1屈曲部としての第1弾性部42は、接続部41に連設され、弾性変形可能に構成されている。第1弾性部42は、接続側圧入部41bに対して直角に折り曲げられて形成されている。第1弾性部42は、接続側圧入部41b(接続部)の上端部から内側に向けて延設され、基板B1に対し略平行に形成されている。第1弾性部42の前後方向(屈曲方向)の長さは、固定本体壁11の厚みよりも僅かに長く形成されている。
傾斜部としての幅広部43は、第1弾性部42の内側端部から外側に傾斜して、上方に向けて延設されている。幅広部43と第1弾性部42との成す角度θ1は、鋭角(90°未満)に形成されている。幅広部43の上下方向(接続方向)の長さは、可動本体壁23の高さと略同一に形成されている。
第2屈曲部としての第2弾性部44は、端子部45に連設され、弾性変形可能に構成されている。第2弾性部44は、幅広部43の上端部から内側に向けて延設され、基板B1に対し略平行に形成されている。幅広部43と第2弾性部44との成す角度θ2は、鋭角(90°未満)に形成されている。第2弾性部44の前後方向(屈曲方向)の長さは、第1弾性部42の前後方向の長さよりも僅かに短く形成されている。
したがって、上述した幅広部43は、第1弾性部42と第2弾性部44とが互いに逆方向に屈曲するように第1弾性部42と第2弾性部44との間に接続されている。また、幅広部43は、第1弾性部42との成す角度θ1および第2弾性部44との成す角度θ2が、それぞれ鋭角となるように傾斜しつつ、上下方向(相手側コネクタ100への接続方向)に延設されている。すなわち、第1弾性部42、幅広部43および第2弾性部44は、側面視で略Z字状に形成されている(図5および図6(b)参照)。なお、第1実施形態では、角度θ1と角度θ2とは同一角度である。
端子部45は、可動ハウジング3に保持され相手側コネクタ100に電気的に接続される。端子部45は、第2弾性部44に対して直角に折り曲げられて形成されている。端子部45は、第2弾性部44の内側端部から上方(略鉛直上方)に向けて延設されている。端子部45は、可動側内壁面23aに形成された可動側圧入溝26に圧入されるようになっている。端子部45の左右両側面には、左右一対の端子側圧入突起49が上下方向に所定の間隔で3組形成されている。端子部45の上端部には、内側に左右一対の面取り部45aが形成され、各面取り部45aの上方には、外側を除く三方を面取りしたテーパー部45bが形成されている。端子部45の上下方向の長さは、幅広部43と同様に、可動本体壁23の高さと略同一に形成されている。
なお、接続端子4を構成する各部41〜45の延出方向の長さは、各圧入溝14,26の長さや各ハウジング2,3の厚さ等に合わせて任意に設定される。
図6(a)に示すように、接続端子4を構成する各部の左右方向の幅(以下、「左右幅」という。)は、第1弾性部42と第2弾性部44とが同一幅に形成され、接続部41と端子部45とが同一幅に形成されている。第1弾性部42および第2弾性部44の各左右幅は、柔軟な弾性変形が可能となるように(接続端子4において)最も狭く形成されている。接続部41および端子部45の各左右幅は、各弾性部42,44よりも僅かに幅広く形成されている。そして、幅広部43の左右幅は、接続部41および端子部45の各左右幅よりも幅広く形成されている。また、幅広部43の左右幅は、隣り合う幅広部43同士の間隔P1(図3参照)よりも幅広く形成されている。なお、接続部41の左右幅および端子部45の左右幅は、それぞれ任意に設定してもよく、例えば幅広部43よりも幅広く形成してもよい。
図1および図2に示すように、電源端子5は、可動ハウジング3の前後方向両側面において左右方向両端部に、合計4本配設されている。4本の電源端子5は、それぞれ同一形状であるため、以下、主に図7を参照して、1本の電源端子5に着目して説明する。ここで、図7(a)は電源端子5の正面図であり、図7(b)は電源端子5の側面図である。なお、以下、接続端子4と略同様の構成については、その説明を省略する。
電源端子5は、基板B1側から上方に向けて順に、電源側接続部51と、3本の第1電源側弾性部52と、3本の電源側幅広部53と、3本の第2電源側弾性部54と、電源側端子部55と、によって一体に形成されている。電源端子5は、導電性を有する金属板を打ち抜き、適宜折り曲げ加工等を行うことで形成されている。なお、電源端子5として、所定の形状に打ち抜いて加工した所謂抜き端子を用いてもよい。
電源側接続部51は、固定ハウジング2に保持され、基板B1に固定されている。電源側接続部51は、基板B1にハンダ付け等により電気的に接続される電源側実装部51aと、電源側実装部51aに連接され、基板B1から上方に向けて延設される電源側圧入部51bと、を有している。
電源側圧入部51bは、電源側実装部51aよりも左右方向に幅広く形成されている。電源側圧入部51bは、固定側内壁面12cに形成された電源固定側圧入溝15に圧入されるようになっている(図3参照)。電源側圧入部51bの左右両側面には、左右一対の電源接続側圧入突起57が上下に所定の間隔で2組形成されている。電源側実装部51aおよび電源側圧入部51bの上下方向の長さは、それぞれ電源固定側圧入溝15の上下方向の長さと略同一に形成されている。なお、電源固定側圧入溝15に電源側圧入部51bが圧入した状態で、電源側実装部51aの下端部は、固定ハウジング2の下方に露出するようになっている。
3本の第1電源側弾性部52は、所定の間隔P2を有して左右方向に等間隔に並んだ状態で電源側接続部51に連設され、それぞれ弾性変形可能に構成されている。3本の第1電源側弾性部52は、それぞれ、電源側圧入部51bに対して直角に折り曲げられて形成されている。各第1電源側弾性部52は、電源側圧入部51b(接続部)の上端部から内側に向けて延設され、基板B1に対し略平行に形成されている。各第1電源側弾性部52の前後方向の長さは、電源側圧入部51b等の上下方向の長さと略同一に形成されている。
3本の電源側幅広部53は、所定の間隔P2を有して左右方向に等間隔に並設されている。3本の電源側幅広部53は、それぞれ、各第1電源側弾性部52の内側端部から外側に傾斜して、上方に向けて延設されている。各電源側幅広部53と各第1電源側弾性部52との成す角度θ3は、鋭角(90°未満)に形成されている。各電源側幅広部53の上下方向の長さは、電源側接続部51の上下方向の長さと略同一に形成されている。
3本の第2電源側弾性部54は、所定の間隔P2を有して左右方向に等間隔に並んだ状態で電源側端子部55に連設され、それぞれ弾性変形可能に構成されている。3本の第2電源側弾性部54は、それぞれ、各電源側幅広部53の上端部から内側に向けて延設され、基板B1に対し略平行に形成されている。各電源側幅広部53と各第2電源側弾性部54との成す角度θ4は、鋭角(90°未満)に形成されている。各第2電源側弾性部54の前後方向の長さは、可動本体壁23の厚みと略同一に形成されている。
したがって、上述した3本の電源側幅広部53は、それぞれ、各第1電源側弾性部52と各第2電源側弾性部54とが互いに逆方向に屈曲するように各第1電源側弾性部52と各第2電源側弾性部54との間に接続されている。また、各電源側幅広部53は、第1電源側弾性部52との成す角度θ3および第2電源側弾性部54との成す角度θ4が、それぞれ鋭角となるように傾斜しつつ、上下方向(相手側コネクタ100への接続方向)に延設されている。すなわち、第1電源側弾性部52、電源側幅広部53および第2電源側弾性部54は、側面視で略Z字状に形成されている(図7(b)参照)。なお、第1実施形態では、角度θ3と角度θ4とは同一角度である。
電源側端子部55は、可動ハウジング3に保持され相手側コネクタ100に電気的に接続される。電源側端子部55は、各第2電源側弾性部54に対して直角に折り曲げられて形成されている。電源側端子部55は、各第2電源側弾性部54の内側端部から上方(略鉛直上方)に向けて延設されている。電源側端子部55は、可動柱部25に形成された電源可動側圧入溝28に圧入されるようになっている(図3参照)。電源側端子部55の下部左右両側面には、左右一対の電源端子側圧入突起59が上下方向に所定の間隔で3組形成されている。電源側端子部55の上下方向の長さは、可動本体壁23の高さよりも僅かに長く形成されている。
なお、電源端子5を構成する各部51〜55の延出方向の長さは、各圧入溝15,28の長さや各ハウジング2,3の厚さ等に合わせて任意に設定される。
各第1電源側弾性部52の左右幅と各第2電源側弾性部54の左右幅とは、それぞれ、同一幅に形成されている。各第1電源側弾性部52および各第2電源側弾性部54は、それぞれ柔軟な弾性変形が可能となるような左右幅を有している。各電源側幅広部53の左右幅は、それぞれ同一幅に形成されている。各電源側幅広部53の左右幅は、各第1電源側弾性部52および各第2電源側弾性部54よりも幅広く形成されている。また、各電源側幅広部53の左右幅は、間隔P2よりも幅広く形成されている。電源側接続部51の電源側圧入部51bは、3本の第1電源側弾性部52を左右方向に連結するように設けられ、その左右幅は、間隔P2を挟んで並んだ3本の第1電源側弾性部52全体の左右幅よりも幅広く形成されている。同様に、電源側端子部55は、3本の第2電源側弾性部54を左右方向に連結するように設けられ、その左右幅は、間隔P2を挟んで並んだ3本の第2電源側弾性部54全体の左右幅よりも幅広く形成されている。また、等間隔に並んだ3本の電源側幅広部53全体の左右幅は、電源側圧入部51bおよび電源側端子部55の各左右幅よりも幅広く形成されている。なお、電源側接続部51の左右幅および電源側端子部55の左右幅は、それぞれ任意に設定してもよく、例えば3本並んだ電源側幅広部53全体の左右幅よりも幅広く形成してもよい。
次に、図2および図5を参照して、コネクタ1の組立工程について説明する。
まず、複数の接続端子4を可動ハウジング3に固定する。ユーザは、可動ハウジング3の下側の所定位置に、等間隔に並べた複数の接続端子4(2つの端子列40)が臨むように、可動ハウジング3および各接続端子4を固定治具(図示せず)に保持させる。そして、左右方向に並んで開口する各端子挿通穴27(各可動側圧入溝26)に対し、各接続端子4の端子部45を上方に向けて進入させる。なお、可動ハウジング3に対する各端子部45の取付作業は、櫛歯状の取付治具(図示せず)を用いて、複数の接続端子4について略同時に行われる。この取付治具を上方に移動させると、各端子部45が可動ハウジング3の各可動側圧入溝26に押し込まれる。
各端子部45の進入が進むと、上側2組の各端子側圧入突起49が、可動側圧入溝26に圧入される。これにより、複数の端子部45が抜け止め状態で各可動側圧入溝26に保持される。なお、この状態で、最下端の各端子側圧入突起49は可動側圧入溝26の下側に位置している。
以上により、端子列40が可動ハウジング3に固定される。なお、可動ハウジング3に対する各端子列40の固定作業は、前後一対の端子列40について、略同時に行ってもよいし、別々に行ってもよい。
同様に、4本の電源端子5を可動ハウジング3に固定する。ユーザは、可動ハウジング3の下側の所定位置に、各電源端子5が臨むように、可動ハウジング3および各電源端子5を固定治具(図示せず)に保持させる。そして、各電源挿通穴30d(各電源可動側圧入溝28)に対し、各電源端子5の電源側端子部55を上方に向けて進入させる。なお、各電源側端子部55の取付作業も、上述した取付治具を用いて、4本の電源端子5について略同時に行われる。この取付治具を上方に移動させると、各電源側端子部55が各電源可動側圧入溝28に押し込まれる。
各電源側端子部55の進入が進むと、上側2組の各電源端子側圧入突起59が、電源可動側圧入溝28に圧入される。これにより、4本の電源側端子部55が抜け止め状態で各電源可動側圧入溝28に保持される。なお、この状態で、最下端の各電源端子側圧入突起59は電源可動側圧入溝の下側に位置している。また、可動ハウジング3に対する各電源側端子部55の固定作業は、各端子列40の固定と略同時に行ってもよいし、各端子列40の固定に前後して行ってもよい。
次に、前後一対の端子列40および4本の電源端子5を固定した可動ハウジング3を固定ハウジング2に支持させる。まず、ユーザは、固定ハウジング2の下側の所定位置に当該可動ハウジング3が臨むように、固定ハウジング2および可動ハウジング3を固定治具(図示せず)に保持させる。そして、固定側開口部10の下端から上方に向けて可動ハウジング3を進入させる。
固定ハウジング2に対する各接続部41の取付作業は、可動ハウジング3に対する各端子部43の取付作業と略同様に行われる。この取付治具を上方に移動させることで、各接続部41(各接続側圧入部41b)が各固定側圧入溝14に押し込まれると共に、各電源側接続部51(各電源側圧入部51b)が各電源固定側圧入溝15に押し込まれる。
可動ハウジング3の進入(押し込み)が進むと、各接続側圧入部41bに設けられた上側2組の各接続側圧入突起47が、固定側圧入溝14に圧入される。また、略同時に、各電源側圧入部51bに設けられた2組の各電源接続側圧入突起57が、電源固定側圧入溝15に圧入される。そして、所定量の圧入が行われることで、各接続側圧入部41bが抜け止め状態で固定側圧入溝14に保持されると共に、各電源側圧入部51bが抜け止め状態で電源固定側圧入溝15に保持される。なお、この状態で、最下端の各接続側圧入突起47は固定側圧入溝14の下側に位置している。
以上により、コネクタ1の組み立てが完了する。組み立てられたコネクタ1は、基板B1上に配置され、各接続端子4の基板実装部41a、各電源端子5の電源側実装部51aおよび各固定金具16の金具脚部16aが、それぞれハンダ付けされる。
コネクタ1の組み立てが完了した状態で、可動ハウジング3の可動本体部21は、固定ハウジング2の各延出壁12の上端面よりも、上方に位置している。また、この状態で、各固定本体壁11の下端面と各接続部41の基板実装部41aとの間には、僅かな隙間が形成されている。すなわち、コネクタ1が基板B1上に実装された状態で、固定ハウジング2は、各接続端子4等を介して基板B1から僅かに浮き上がった位置で固定されている。
また、コネクタ1の組み立てが完了した状態で、各接続端子4は、固定ハウジング2と可動ハウジング3との間に架け渡され、各第1弾性部42、各幅広部43および各第2弾性部44は、それぞれ、固定側開口部10内において空気に接する露出部分となる。また、隣り合う各部42ないし44の間(間隔P1)には空気が介在している。各第1弾性部42は、固定側内壁面11bから幅広部43を離間させることができる長さに設定されている。各第2弾性部44は、外側に傾斜した幅広部43の上端部から内側に延び、端子部45を可動側圧入溝26に導入可能な長さに設定されている。
同様に、各電源端子5は、固定ハウジング2と可動ハウジング3との間に架け渡され、各第1電源側弾性部52、各電源側幅広部53および各第2電源側弾性部54は、それぞれ、固定側開口部10内および移動空間S2内において空気に接する露出部分となる。また、隣り合う各部52ないし54の間(間隔P2)には空気が介在している。各第1電源側弾性部52は、固定側内壁面12cから電源側幅広部53を離間させることができる長さに設定されている。各第2電源側弾性部54は、外側に傾斜した電源側幅広部53の上端部から内側に延び、電源側端子部55を電源可動側圧入溝28に導入可能な長さに設定されている。
このコネクタ1では、各弾性部42,44および各電源側弾性部52,54が、それぞれ弾性変形することによって、固定ハウジング2に対して可動ハウジング3が前後左右に移動する。正確には、各接続端子4では、各接続部41(接続側圧入部41b)と各第1弾性部42との間の屈曲部分、および、各第1弾性部42と各幅広部43との間の屈曲部分に応力が集中するため、主に当該各屈曲部分が弾性変形する。同様に、各幅広部43と各第2弾性部44との間の屈曲部分、および、各第2弾性部44と各端子部45との間の屈曲部分が、主に弾性変形する。また、各電源端子5では、各電源側接続部51(電源側圧入部51b)と各第1電源側弾性部52との間の屈曲部分、および、各第1電源側弾性部52と各電源側幅広部53との間の屈曲部分が、主に弾性変形する。同様に、各電源側幅広部53と各第2電源側弾性部54との間の屈曲部分、および、各第2電源側弾性部54と各電源側端子部55との間の屈曲部分が、主に弾性変形する。以上のように、コネクタ1の可動ハウジング3は、固定ハウジング2の固定側開口部10内において前後左右に移動可能な状態で複数の接続端子4および複数の電源端子5に支持されている。
可動ハウジング3の左右一対の可動脚部22は、固定側開口部10の左右両端領域に内設されている。各可動脚部22の外側面と固定側開口部10の内周壁面との間には所定の間隙G1が形成されている(図3参照)。また、前後両側において、左右一対の移動規制ブロック30の内側傾斜面30bの間には、それぞれ、各固定本体壁11が所定の隙間を有して位置している。各移動規制ブロック30の下側傾斜面30cは、各固定本体壁11の各上側傾斜面11aに対応する角度に形成されている。
また、図示は省略するが、各可動脚部22に形成された各係合ブロック31は、各基板固定部13の横凸条部13aの下側に形成された係合空間S1に遊嵌している。各係合ブロック31の上面が係合空間S1の天面(横凸条部13aの下面)に当接することで、可動ハウジング3が、固定ハウジング2に対して上方に抜け出さないようになっている。なお、各係合ブロック31の左右両側面と係合空間S1の左右両側面との間には、上記した間隙G1と略同一の間隙がそれぞれ形成されている。
したがって、可動ハウジング3は、固定ハウジング2の固定側開口部10の内側において、所定の間隙G1の範囲で前後左右に移動できるように構成されている。換言すれば、各可動脚部22の外側面が固定側開口部10の内周壁面に当接すると共に、各係合ブロック31の側面が係合空間S1の側面に当接することにより、可動ハウジング3は、所定範囲以上の移動が規制されるようになっている。
次に、図1を参照して、コネクタ1と相手側コネクタ100との接続について簡単に説明する。
相手側コネクタ100は、複数の相手側端子101と、4本の相手側電源端子102と、を有している。複数の相手側端子101は、左右方向に等間隔で並べられた二列の相手側端子列Lを構成している。相手側コネクタ100は、下面を開放した相手側開口部(図示せず)を有する相手側ハウジング103と、相手側開口部に内設され、各相手側端子列Lを保持する相手側嵌合部(図示せず)と、を備えている。
コネクタ1を相手側コネクタ100に接続する場合、ユーザは、コネクタ1の可動ハウジング3を相手側コネクタ100の相手側開口部内に進入させる。この可動ハウジング3の進入は、左右一対の嵌合ガイド部25aによって案内される。一方、相手側嵌合部は、可動ハウジング3の左右一対のガイド斜面25bおよび左右一対のガイド溝25cに案内されながら可動側開口部20内に進入する。これにより、各相手側端子101と各接続端子4の端子部45とが接触すると共に、各相手側電源端子102と各電源端子5の電源側端子部55とが接触する。そして、一対の基板B1,B2が電気的に接続される。
このコネクタ1では、各弾性部42,44および各電源側弾性部52,54が、それぞれ弾性変形することによって、固定ハウジング2に対して可動ハウジング3が移動するため、各接続端子4と各相手側端子101との位置ずれ、および、各電源端子5と相手側電源端子102との位置ずれが、それぞれ許容され、適切な接続が行われるようになっている。なお、各コネクタ1,100が接続された状態で、相手側ハウジング103の下端面は、各移動規制ブロック30の上面に当接するようになっている。これにより、コネクタ1に対する相手側コネクタ100の嵌合方向の移動が規制されるようになっている。
以上説明した本発明の第1実施形態に係るコネクタ1によれば、各接続端子4の幅広部43は、固定ハウジング2と可動ハウジング3との間で露出しており、第1弾性部42および第2弾性部44よりも左右方向(並設方向)に幅広く形成されている。したがって、各幅広部43は各弾性部42,44よりも大きな断面積を有し、且つ、隣り合う幅広部43同士の間隔P1は比較的狭くなる。このため、各接続端子4におけるインピーダンスの整合と、対となる接続端子4間におけるインピーダンスの整合とのうち少なくとも何れか一方を行うことができる。これにより、インピーダンスの不整合による高周波信号の乱れが防止されるため、高周波信号の高速伝送を適切に行うことができる。特に、差動伝送方式を用いる場合に有効である。
同様に、各電源端子5の3本の電源側幅広部53も、固定ハウジング2と可動ハウジング3との間で露出しており、第1電源側弾性部52および第2電源側弾性部54よりも左右方向(並設方向)に幅広く形成されている。したがって、各電源側幅広部53は各電源側弾性部52,54よりも大きな断面積を有し、且つ、隣り合う電源側幅広部53同士の間隔は比較的狭くなる。また、3本の第1電源側弾性部52は電源側接続部51(電源側圧入部51b)によって連結され、3本の第2電源側弾性部54は電源側端子部55によって連結されており、更に3本の電源側幅広部53は各電源側弾性部52,54よりも幅広く形成されているため、比較的大電流を流すことができる。
また、各幅広部43に対して折れ曲がるように形成される第1弾性部42および第2弾性部44は、幅広部43よりも幅狭に形成されている。同様に、各第1電源側弾性部52および各第2電源側弾性部54は、それぞれ、各電源側幅広部53よりも幅狭に形成されている。このため、各弾性部42,44および各電源側弾性部52,54は、柔軟に弾性変形することができる。これにより、可動ハウジング3は、固定ハウジング2に対して円滑に移動することができる。
また、本発明の第1実施形態に係るコネクタ1によれば、各接続端子4の幅広部43に対して、第1弾性部42と第2弾性部44とは互いに逆方向に屈曲しており、各幅広部43と、それぞれの各弾性部42,44とが鋭角(各角度θ1,θ2)を成している。すなわち、幅広部43および各弾性部42,44は、略Z字状に形成されている。このため、各接続部41が固定ハウジング2に保持(圧入)された位置から鉛直上方に延ばした延長線S(図5の一点鎖線参照)と、各端子部45が可動ハウジング3に保持(圧入)された位置との間隔D(前後方向のずれ)が少なくなる。このように、オフセット量が少なくなるため、可動ハウジング3を移動させた際の各第1弾性部42および各第2弾性部44の無理な変形を防止することができる。これにより、固定ハウジング2に対する可動ハウジング3の移動、特に、前後方向(第1弾性部42および第2弾性部44の屈曲方向)への移動を更に円滑に行うことができる。なお、各電源端子5も同様の理由により、前後方向への移動の円滑化を図ることができる。
なお、接続端子4や電源端子5の配設数は任意である。また、各電源端子5の第1電源側弾性部52、電源側幅広部53および第2電源側弾性部54のそれぞれの配設数も任意である。なお、上述した複数の電源側弾性部52,54の左右幅は、それぞれ同一幅に形成されていたが、これに限定されるものではなく、それぞれ異なる左右幅に形成してもよい。同様に、複数の電源側幅広部53の左右幅は、それぞれ同一幅に形成されていたが、これに限定されるものではなく、それぞれ異なる左右幅に形成してもよい。また、上述した角度θ1,θ2を直角(90°)としてもよい。しかしながら、適切な移動を担保するためには、上述したように角度θ1,θ2を鋭角とすることが好ましい。
なお、上述した第1実施形態に係るコネクタ1は、起立姿勢で基板B1に実装されていたが、例えば、相手側コネクタ100との接続方向が基板B1に平行となるように、コネクタ1を横向き姿勢で基板B1に実装してもよい。この場合、固定ハウジング2の前後方向いずれか一方に形成された左右一対の延出壁12(平行部12b)が基板B1に当接する。そして、各接続端子4の接続部41(基板実装部41a)および各電源端子5の電源側接続部51(電源側実装部51a)を、それぞれ基板B1に向けて延設し、ハンダ付けを行う。
<第2実施形態>
次に、図8ないし図10を参照して、第2実施形態に係るコネクタ6について説明する。ここで、図8はコネクタ6および相手側コネクタ200を示す斜視図である。図9はコネクタ6の分解斜視図である。図10は、図8におけるB−B断面図である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態に係るコネクタ1と同様の構成についての説明は適宜省略する。また、第1実施形態に係るコネクタ1と同様の構成には、同一の符号を付す。
図8に示すように、プラグ(雄型)としてのコネクタ6は、基板B3に取り付けられ、相手側基板B4に取り付けられたレセプタクル(雌型)としての相手側コネクタ200に嵌合することにより、一対の基板B3,B4を電気的に接続する。
図9に示すように、コネクタ6は、固定ハウジング7と、可動ハウジング8と、複数の接続端子9と、を備えている。
固定ハウジング7は、合成樹脂等の絶縁性材料によって、左右方向に長い概略矩形箱状に一体形成されている。固定ハウジング7は、下方および前方を開放した固定側開口部70を有している。この固定側開口部70は、可動ハウジング8の外側面に対し所定の間隙G2を有して可動ハウジング8を内設可能に形成されている。
図10に示すように、固定側開口部70の一部を構成する固定側内壁面71の後側面には、下端から上方に延びる固定側圧入溝72が複数凹設されている。複数の固定側圧入溝72は、左右方向に等間隔に並設され、それぞれ平面視で略C字状断面を有している。
図9に示すように、固定ハウジング7の左右方向両外側面は、上部を除いて一段外側に突設されている。この突設された部分には、それぞれ、固定金具16が圧入される略矩形状の金具固定穴73が上下方向に貫通形成されている。また、固定ハウジング7の前端下部には、基板B3に当接する左右一対の接面部7aが形成されている。
可動ハウジング8は、前面を開放した可動側開口部80を有して概略矩形筒状に形成される可動本体部81と、可動本体部81の左右両端部から後方に延設される左右一対の可動脚部82と、左右一対の可動脚部82を連結するように設けられる可動板部83と、により合成樹脂等の絶縁性材料で一体成形されている。可動ハウジング8は、可動本体部81と左右一対の可動脚部82とにより平面視で略U字状を成している。
可動側開口部80は、正面視で左右方向に細長い略四角形状に形成され、相手側コネクタ200の複数の相手側端子201が挿入されるようになっている。
可動本体部81は、可動側開口部80を挟んで前後に対向配置される上下一対の可動本体壁84と、上下に対向する可動本体壁84の後部を連結するように設けられる可動底部85と、各可動本体壁84および可動底部85の左右外端を支持するように設けられる左右一対の可動柱部86と、を有している。
各可動本体壁84は、平面視で左右方向に長い略矩形状に形成されている。図10に示すように、可動側開口部80の一部を構成する可動本体壁84の上側の可動側内壁面84aには、前後方向に延びる可動側圧入溝87が複数凹設されている。複数の可動側圧入溝87は、それぞれ固定側圧入溝72に対応する位置に形成されている。各可動側圧入溝87は、正面視で略U字状断面を有する溝であり、可動本体壁84の後端から前端近傍まで延出して形成されている。
可動底部85は、可動側開口部80の底面を構成するように左右方向に長い略直方体状に形成されている。また、可動底部85には、各可動側圧入溝87と対応する位置に前後方向に貫通する端子挿通穴88が複数形成されている。
図9に示すように、各可動柱部86は、略四角柱状に形成され、その前端部に嵌合ガイド部86aを有している。各可動柱部86の上面には、相手側コネクタ200との接続固定に用いるロック部86bが配設されている。また、可動本体部81の後端部には、可動本体部81および各可動柱部86の表面から突出するフランジ部89が形成されている。
各可動脚部82は、各可動柱部86の後端から後方に向けて延出し、一体に形成されている。各可動脚部82の前側上部には、左右方向外側面から突出する略直方体状の移動規制ブロック82aが設けられている。各可動脚部82の後端部には、左右方向外側面から突出する略直方体状の係合ブロック82bが設けられている。
可動板部83は、左右一対の可動脚部82の間に配設され、各可動脚部82および可動底部85の下部に接続されている。可動板部83の上面は、前後方向略中央から前方に向けて上方に傾斜している(図10参照)。
図9に示すように、複数の接続端子9は、左右方向に等間隔で一列に並べられた1列の端子列90を構成している。複数の接続端子9は、それぞれ同一形状であるため、以下、主に図10および図11を参照して、1本の接続端子9に着目して説明する。ここで、図11(a)は接続端子9の平面図であり、図11(b)は接続端子9の側面図である。
接続端子9は、第1実施形態に係る接続端子4と同様に構成されており、後方から前方に向けて順に、接続部91と、第1弾性部92と、幅広部93と、第2弾性部94と、端子部95と、によって一体に形成されている。
接続部91は、基板B3にハンダ付け等により電気的に接続される基板実装部91aと、基板実装部91aの前端部(基板B3)から上方に向けて延設される接続側圧入部91bと、を有している。
基板実装部91aは、基板B3に対して平行に形成されている。接続側圧入部91bは、基板実装部91aに対して直角に折り曲げられて形成され、固定側内壁面71に形成された固定側圧入溝72に圧入されるようになっている(図10参照)。接続側圧入部91bの下部左右両側面には、第1実施形態に係る接続側圧入部41bと同様に、左右一対の接続側圧入突起97が上下方向に3組突設されている。接続側圧入部91bの上下方向の長さは、固定側圧入溝72の上下方向の長さと略同一に形成されている。なお、固定側圧入溝72に接続側圧入部91bが圧入された状態で、基板実装部91aの後端部は、固定ハウジング7の後方に露出している。
第1弾性部92は、接続側圧入部91bの上端部から上方に僅かに延出し、弾性変形可能に形成されている。
幅広部93は、第1弾性部92に対して直角に折り曲げられて形成されている。幅広部93は、第1弾性部92の上端部から前方に向けて延出し、基板B3に対して略平行に形成されている。幅広部93の前後方向の長さは、固定ハウジング7の前後方向の長さと略同一に形成されている。
第2弾性部94は、幅広部93に対して直角に折り曲げられて形成されている。第2弾性部94は、幅広部93の前端部(一方側端部)から上方に向けて延出し、弾性変形可能に形成されている。第2弾性部94の上下方向の長さは、可動本体壁84の厚みと略同一に形成されている。
したがって、上述した幅広部93は、第1弾性部92と第2弾性部94とが互いに逆方向に屈曲するように第1弾性部92と第2弾性部94との間に接続されている。また、接続端子9を構成する各部の左右幅は、接続部91と第1弾性部92と第2弾性部94とが同一幅に形成され、幅広部93と端子部95とが同一幅に形成されている。つまり、幅広部93は、第1弾性部92および第2弾性部94よりも左右方向(並設方向)に幅広く形成されている。
端子部95は、第2弾性部94に対して直角に折り曲げられて形成されている。端子部95は、第2弾性部94の上端部から前方(一方)に向けて延出し、基板B3に対して略平行に形成されている。端子部95は、可動側内壁面84aに形成された可動側圧入溝87に圧入するようになっている(図10参照)。端子部95の後部左右両側面には、第1実施形態に係る端子部45と同様に、左右一対の端子側圧入突起99が上下方向に3組突設されている。また、端子部95の前端部には、外側を除く三方を面取りしたテーパー部95aが形成されている。
なお、接続端子9を構成する各部91〜95の延出方向の長さは、各圧入溝72,87の長さや各ハウジング7,8の厚さ等に合わせて任意に設定される。
次に、図9および図10を参照して、コネクタ6の組立工程について簡単に説明する。
まず、複数の接続端子9を可動ハウジング8に固定する。ユーザは、可動ハウジング8の後側の所定位置に、等間隔に並べた複数の接続端子9が臨むように、可動ハウジング8および各接続端子9を固定治具(図示せず)に保持させる。そして、各端子挿通穴88(各可動側圧入溝87)に対し、各接続端子9の端子部95を前方に向けて進入させる。可動ハウジング8に対する各端子部95の取付作業は、第1実施形態に係るコネクタ1の組立作業と同様に、取付治具を用いて行われる。各端子部95の各端子側圧入突起99が可動側圧入溝87に圧入されることで、各端子部95が抜け止め状態で保持される。
次に、端子列90を固定した可動ハウジング8を固定ハウジング7に支持させる。まず、ユーザは、固定ハウジング7の下側の所定位置に当該可動ハウジング8が臨むように、固定ハウジング7および可動ハウジング8を固定治具(図示せず)に保持させる。そして、固定側開口部70の下端から上方に向けて可動ハウジング8を進入させ、各接続部91(各接続側圧入部91b)を各固定側圧入溝72に押し込む。この作業も、第1実施形態に係るコネクタ1の組立作業と同様に、取付治具を用いて行われる。各接続側圧入部91bの各接続側圧入突起97が各固定側圧入溝72に圧入されることで、各接続部91が抜け止め状態で保持される。
以上により、コネクタ6の組み立てが完了する。組み立てられたコネクタ6は、基板B3上に配置され、各接続端子9の基板実装部91aおよび各固定金具16の金具脚部16aが、それぞれハンダ付けされる。
コネクタ1の組み立てが完了した状態で、可動ハウジング8と固定ハウジング7とは、基板B3に平行に配置され、可動ハウジング8の可動本体部81は、固定ハウジング7の前端面よりも前方に位置している。また、この状態で、固定ハウジング7の各接面部7aが基板B3に当接し、固定ハウジング7の後部下端面と各接続部91の基板実装部91aとの間には、僅かな隙間が形成されている。すなわち、コネクタ6が基板B3上に実装された状態で、固定ハウジング7は、各接続端子9を介して基板B3から僅かに浮き上がった位置で固定されている。また、可動ハウジング8も基板B3から僅かに浮き上がった位置で支持されている。
また、コネクタ6の組み立てが完了した状態で、各接続端子9は、固定ハウジング7と可動ハウジング8との間に架け渡され、各第1弾性部92、各幅広部93および各第2弾性部94は、それぞれ、固定側開口部70内において空気に接する露出部分となる。また、隣り合う各部92ないし94の間には空気が介在している。このコネクタ6では、各弾性部92,94が、それぞれ弾性変形することによって、固定ハウジング7に対して可動ハウジング8が上下左右に移動する。正確には、各第1弾性部92と各幅広部93との間の屈曲部分に応力が集中するため、主に当該屈曲部分が弾性変形する。同様に、各幅広部93と各第1弾性部92との間の屈曲部分、および、各第1弾性部92と各端子部45との間の屈曲部分が、主に弾性変形する。以上のように、コネクタ6の可動ハウジング8は、固定ハウジング7の固定側開口部70内において上下左右に移動可能な状態で複数の接続端子9に支持されている。
第1実施形態に係るコネクタ1と同様に、可動ハウジング8の左右一対の可動脚部82は、間隙G2を有して固定側開口部70の左右両端領域に内設されている(図10参照)。また、各可動脚部82に形成された係合ブロック82bは、固定側開口部70内(固定ハウジング7の左右方向両側面)に形成された係合空間S3(図10参照)に遊嵌することで、可動ハウジング8が、固定ハウジング7に対して前方に抜け出さないようになっている。
このコネクタ6は、相手側コネクタ200に嵌合し、電気的に接続される。なお、相手側コネクタ200の構造およびコネクタ6と相手側コネクタ200との接続方法は、第1実施形態に係るものと略同一であるため、その説明は省略する。
以上説明した本発明の第2実施形態に係るコネクタ6によれば、上述した第1実施形態に係るコネクタ1と同様の効果を得ることができる。すなわち、各接続端子9におけるインピーダンスの整合と、対となる接続端子9間におけるインピーダンスの整合とのうち少なくとも何れか一方を行うことができ、高周波信号の高速伝送を適切に行うことができる。また、各弾性部92,94は、柔軟に弾性変形することができるため、固定ハウジング2に対して可動ハウジング3を円滑に移動させることができる。なお、接続端子9の配設数は任意である。
なお、図10に二点鎖線で示すように、接続端子9の第1弾性部92を側面視で略L字状に形成し、接続側圧入部91と第1弾性部92とを屈曲するように形成してもよい。
なお、第2実施形態に係るコネクタ6では、各接続端子9の幅広部93が、基板B3と略平行となるように形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1実施形態に係る接続端子4の幅広部43と同様に、各幅広部93を傾斜させてもよい(図示せず)。この場合、幅広部93は、第1弾性部92の上端部から下方に傾斜して、前方(一方)に向けて延出させることが好ましい。すなわち、幅広部93と第1弾性部92との成す角度、および幅広部93と第2弾性部94との成す角度が、それぞれ鋭角(90°未満)となるように傾斜させることが好ましい。
このような構成によれば、第1実施形態に係る各接続端子4と同様に、幅広部93、第1弾性部92および第2弾性部94は、略Z字状に形成される。このため、各接続部91が固定ハウジング7に圧入された位置から前方(相手側コネクタ200の接続方向)に向けて水平に延ばした延長線と、各端子部95が可動ハウジング8に圧入された位置との間隔(ずれ)が少なくなる。これにより、固定ハウジング7に対し、上下(内側と外側とを結ぶ方向)への可動ハウジング8の移動を更に円滑に行うことができる。
なお、上述した本発明の各実施形態の説明は、本発明に係るコネクタにおける好適な実施の形態を説明しているため、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。さらに、上述した本発明の各実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、且つ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能であり、上述した本発明の各実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。