JP2016095263A - 磁気計測装置の製造方法および磁気計測装置 - Google Patents

磁気計測装置の製造方法および磁気計測装置 Download PDF

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Abstract

【課題】製造工数を低減し生産性を向上させることができる磁気計測装置の製造方法および磁気計測装置を提供する。【解決手段】磁場を計測する磁気計測装置100の製造方法は、主室14とリザーバー16と、主室14とリザーバー16とを連通する連通孔15と、を備えたガスセル10のリザーバー16に、アルカリ金属固体24が充填されたアンプル20を配置し、主室14とリザーバー16と連通孔15とを密封する工程と、アンプル20にパルスレーザー光70を照射することによりアンプル20に貫通孔21を形成する貫通孔形成工程と、を含み、リザーバー16には、アンプル20が落ち着く所定の位置が設けられ、貫通孔形成工程では、所定の位置を基準としてアンプル20の複数箇所にパルスレーザー光70を照射することを特徴とする。【選択図】図5

Description

本発明は、磁気計測装置の製造方法および磁気計測装置に関する。
アルカリ金属ガスが封入されたガスセルに直線偏光を照射し、偏光面の回転角に応じて磁場を測定する光ポンピング式の磁気計測装置が知られている。特許文献1に、リザーバー(アンプル収容室)にアルカリ金属が封入されたアンプルを収容し、そのアンプルにレーザー光を照射することによりアンプルのガラス管に貫通孔を形成し、アンプル内のアルカリ金属を蒸発させて、その蒸気(ガス)をリザーバーから連通孔を介して主室内に充満させたガスセルを備えた磁気計測装置が開示されている。
特開2012−183290号公報
ところで、貫通孔を形成する工程において、レーザー光を1箇所に照射して一つの貫通孔を形成する加工だけでは、深さ方向の加工が不十分でアンプルの気密が破れない場合や、貫通孔が形成できてもアンプル内のアルカリ金属の蒸発量が少なく主室内にアルカリ金属ガスが充満するまでに長時間を要する場合がある。しかしながら、確実に貫通孔を形成し、かつ短時間で主室内にアルカリ金属ガスを充満させるために、レーザー光を1箇所に照射する加工を何回も繰り返して行うと、製造工数の増大を招いてしまうという課題がある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る磁気計測装置の製造方法は、磁場を計測する磁気計測装置の製造方法であって、第1室と、第2室と、前記第1室と前記第2室とを連通する連通孔と、を備えたガスセルの前記第2室に、アルカリ金属材料が充填されたアンプルを配置し、前記第1室と前記第2室と前記連通孔とを密封する工程と、前記アンプルにレーザー光を照射することにより前記アンプルに貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、を含み、前記第2室には、前記アンプルが落ち着く所定の位置が設けられ、前記貫通孔形成工程では、前記所定の位置を基準として前記アンプルの複数箇所に前記レーザー光を照射することを特徴とする。
本適用例の製造方法によれば、貫通孔形成工程において、第2室に配置されたアンプルの複数箇所にレーザー光を照射するので、アンプルに複数の貫通孔を並行して形成できる。そのため、レーザー光を1箇所だけに照射する場合と比べて、アンプルの気密を破って貫通孔を形成する確率を高めるとともに、内部のアルカリ金属材料が露出する面積を広くして、短時間で第2室から連通孔を介して第1室内にアルカリ金属ガスを充満させることができる。そして、レーザー光を1箇所に照射する工程を繰り返して複数の貫通孔を形成する場合と比べて、製造工数を低減することができる。また、アンプルが落ち着く所定の位置に配置された状態で、所定の位置を基準としてレーザー光を照射するので、アンプルが落ち着く位置がない場合と比べて、アンプルにレーザー光を照射する位置合わせをより精度良く行うことができる。これらにより、磁気計測装置の製造工数を低減し、生産性を向上させることができる。
[適用例2]上記適用例に係る磁気計測装置の製造方法であって、前記所定の位置は、第1の方向に沿って設けられ、前記アンプルは、長手方向を有し、前記長手方向が前記第1の方向に沿うように前記所定の位置に配置され、前記貫通孔形成工程では、前記第1の方向に沿った前記複数箇所に前記レーザー光を照射することが好ましい。
本適用例の製造方法によれば、アンプルをその長手方向が第1の方向に沿うように所定の位置に配置し、アンプルの長手方向に沿った複数箇所にレーザー光を照射するので、複数の貫通孔を容易に形成できる。また、複数箇所のそれぞれをアンプルの長手方向における幅の中心に合わせ易くなるので、複数箇所のそれぞれにおいてより確実に気密を破ることができる。
[適用例3]上記適用例に係る磁気計測装置の製造方法であって、前記貫通孔形成工程では、前記レーザー光を前記第1の方向に沿って走査して照射することが好ましい。
本適用例の製造方法によれば、レーザー光を第1の方向に沿って走査して照射するので、アンプルの長手方向に沿った複数箇所で並行して貫通孔を形成することができる。
[適用例4]上記適用例に係る磁気計測装置の製造方法であって、前記貫通孔形成工程では、ガルバノスキャナーを用いて前記レーザー光を走査することが好ましい。
本適用例の製造方法によれば、ガルバノスキャナーを用いてレーザー光を第1の方向に沿って走査することができる。
[適用例5]上記適用例に係る磁気計測装置の製造方法であって、前記貫通孔形成工程では、前記レーザー光を前記第1の方向に沿って分岐して照射することが好ましい。
本適用例の製造方法によれば、レーザー光を第1の方向に沿って分岐して照射するので、アンプルの長手方向に沿った複数箇所で並行して貫通孔を形成することができる。
[適用例6]上記適用例に係る磁気計測装置の製造方法であって、前記貫通孔形成工程では、回折格子を用いて前記レーザー光を分岐することが好ましい。
本適用例の製造方法によれば、回折格子を用いてレーザー光を第1の方向に沿って分岐することができる。
[適用例7]上記適用例に係る磁気計測装置の製造方法であって、前記貫通孔形成工程では、前記複数箇所のうちの一部の箇所に重複して前記レーザー光を照射することが好ましい。
本適用例の製造方法によれば、複数箇所のうちの一部の箇所に重複してレーザー光を照射するので、一部の箇所においてより大きな貫通孔を形成することができる。そのため、より短時間で第1室内にアルカリ金属ガスを充満させることができる。
[適用例8]本適用例に係る磁気計測装置は、磁場を計測する磁気計測装置であって、第1室と、第2室と、前記第1室と前記第2室とを連通する連通孔と、を有するセル部と、前記第2室に配置されたアンプルと、前記第1室と前記第2室とに充填されたアルカリ金属のガスと、を備えたガスセルを含み、前記第2室には、前記アンプルが落ち着く所定の位置が設けられ、前記アンプルには、複数の貫通孔が形成されていることを特徴とする。
本適用例の構成によれば、アンプルに複数の貫通孔が形成されているので、貫通孔が1箇所だけ形成されている場合と比べて、アンプルの気密を破る確率を高めるとともに、内部のアルカリ金属材料が露出する面積を広くして短時間で第2室から連通孔を介して第1室内にアルカリ金属ガスを充満させることができる。また、アンプルが落ち着く所定の位置に配置された状態でレーザー光を照射して貫通孔を形成することができるので、アンプルが落ち着く位置がない場合と比べて、アンプルにレーザー光を照射する位置合わせをより精度良く行うことができる。これらにより、生産性を向上させることが可能な磁気計測装置を提供することができる。
本実施形態に係る磁気計測装置の構成を示すブロック図。 第1の実施形態に係るガスセルの構成を示す概略図。 第1の実施形態に係るガスセルおよびアンプルの構成を示す概略図。 第1の実施形態に係るガスセルの製造方法を説明する図。 第1の実施形態に係るガスセルの製造方法を説明する図。 第1の実施形態に係るガスセルの製造方法を説明する図。 第2の実施形態に係るレーザー光の照射方法を説明する図。 変形例1に係る貫通孔の形成例を示す概略図。 変形例2に係るガスセルの構成例を示す概略図。
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大、縮小、あるいは誇張して表示している。また、説明に必要な構成要素以外は図示を省略する場合がある。
(第1の実施形態)
<磁気計測装置の構成>
第1の実施形態に係る磁気計測装置の構成について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る磁気計測装置の構成を示すブロック図である。本実施形態に係る磁気計測装置100は、非線形光学回転(Nonlinear Magneto-Optical Rotation:NMOR)を用いた磁気計測装置である。磁気計測装置100は、例えば、心臓からの磁場(心磁)や脳からの磁場(脳磁)などの生体から発生される微小な磁場を測定する生体状態測定装置(心磁計または脳磁計など)に用いられる。磁気計測装置100は、金属探知機などにも用いることができる。
図1に示すように、磁気計測装置100は、光源1と、光ファイバー2と、コネクター3と、偏光板4と、ガスセル10と、偏光分離器5と、光検出器(Photo Detector:PD)6と、光検出器7と、信号処理回路8と、表示装置9とを備えている。ガスセル10内には、アルカリ金属ガス(気体の状態のアルカリ金属原子)が封入されている。アルカリ金属としては、例えば、セシウム(Cs)、ルビジウム(Rb)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)などを用いることができる。以下では、アルカリ金属としてセシウムを用いる場合を例に取り説明する。
光源1は、セシウムの吸収線に応じた波長(例えばD1線に相当する894nm)のレーザービームを出力する装置、例えばチューナブルレーザーである。光源1から出力されるレーザービームは、連続的に一定の光量を有する、いわゆるCW(Continuous Wave)光である。
偏光板4は、レーザービームを特定方向に偏光させ、直線偏光にする素子である。光ファイバー2は、光源1により出力されたレーザービームを、ガスセル10側に導く部材である。光ファイバー2には、例えば、基本モードのみを伝播するシングルモードの光ファイバーが用いられる。コネクター3は、光ファイバー2を偏光板4に接続するための部材である。コネクター3は、ねじ込み式で、光ファイバー2を偏光板4に接続する。
ガスセル10は、内部に空隙を有する箱(セル)であり、この空隙(図2(b)に示す主室14)にはアルカリ金属の蒸気(図2(b)に示すアルカリ金属ガス13)が封入されている。ガスセル10の構成については、後述する。
偏光分離器5は、入射したレーザービームを、互いに直交する2つの偏光成分のビームに分離する素子である。偏光分離器5は、例えば、ウォラストンプリズムまたは偏光ビームスプリッターである。光検出器6および光検出器7は、レーザービームの波長に感度を有する検出器であり、入射光の光量に応じた電流を信号処理回路8に出力する。光検出器6および光検出器7は、それ自体が磁場を発生すると測定に影響を与える可能性があるので、非磁性の材料で構成されることが望ましい。光検出器6および光検出器7は、ガスセル10からみて偏光分離器5と同じ側(下流側)に配置される。
磁気計測装置100における各部の配置を、レーザービームの経路に沿って説明すると、レーザービームの経路の最上流には光源1が位置し、以下、上流側から、光ファイバー2、コネクター3、偏光板4、ガスセル10、偏光分離器5、および光検出器6,7の順で配置されている。
磁気計測装置100における各部の動作を、レーザービームの進行に沿って説明する。光源1から出力されたレーザービームは、光ファイバー2に導かれて偏光板4に到達する。偏光板4に到達したレーザービームは、偏光度がより高い直線偏光になる。ガスセル10を透過しているレーザービームは、ガスセル10に封入されているアルカリ金属原子を励起(光ポンピング)する。このとき、レーザービームは、磁場の強さに応じた偏光面回転作用を受けて偏光面が回転する。ガスセル10を透過したレーザービームは偏光分離器5により2つの偏光成分のビームに分離される。2つの偏光成分のビームの光量は、光検出器6および光検出器7で計測(プロービング)される。
信号処理回路8は、光検出器6および光検出器7により計測されたビームの光量を示す信号をそれぞれから受け取る。信号処理回路8は、受け取った各信号に基づいて、レーザービームの偏光面の回転角を計測する。偏光面の回転角は、レーザービームの伝播方向の磁場の強さに基づく関数で表される(例えば、D.バドカー、外5名,「原子の共鳴非線形磁気光学回転効果」,レビュー・オブ・モダン・フィジクス誌,米国,米国物理学会,2002年10月,第74巻,第4号,p.1153−1201の数式(2)を参照。数式(2)は線形光学回転に関するものであるが、NMORの場合もほぼ同様の式を用いることができる)。信号処理回路8は、偏光面の回転角からレーザービームの伝播方向における磁場の強さを測定する。表示装置9は、信号処理回路8により測定された磁場の強さを表示する。
続いて、第1の実施形態に係るガスセルとガスセルに用いられるアンプルとについて、図2および図3を参照して説明する。図2は、第1の実施形態に係るガスセルの構成を示す概略図である。詳しくは、図2(a)はガスセルの概略平面図であり、図2(b)は図2(a)のA−A’線に沿った概略断面図であり、図2(c)はガスセルの側面図である。図3は、第1の実施形態に係るガスセルおよびアンプルの構成を示す概略図である。図3(a)は図2(a)のB−B’線に沿ったガスセルの概略断面図であり、図3(b)はアンプルの長手方向に沿った概略断面図であり、図3(c)は図3(b)のC−C’線に沿った概略断面図である。
<ガスセルの構成>
図2(a),(b),(c)および図3(a)に、第1の実施形態に係るガスセル10を示す。図2(a),(b),(c)および図3(a)において、ガスセル10の高さ方向をZ軸とし、上方側を+Z方向とする。Z軸と交差する方向であって、ガスセル10の長さ方向を第1の方向としてのX軸とし、図2(a),(b)における右側を+X方向とする。そして、Z軸およびX軸と交差する方向であって、ガスセル10の幅方向を第2の方向としてのY軸とし、図2(c)および図3(a)の紙面における左側を+Y方向とする。
図2(a)はガスセル10を+Z方向側からみた平面図であり、図2(b)はガスセル10をA−A’線に沿った断面を−Y方向側から見た断面図であり、図2(c)はガスセル10を−X方向側から見た側面図である。なお、本明細書では、図2(a)に示すようにガスセル10を+Z方向側から見ることを「平面視」という。また、ガスセル10の断面を断面と交差する方向から見ること、例えば、図2(b)に示すようにX軸に沿った断面を−Y方向側から見ることを「断面視」という。
図2(a)に示すように、本実施形態に係るガスセル10は、セル部12と封止部19とで構成される。セル部12は、内部に空隙を有する箱(セル)であり、例えば、石英ガラスにより形成されている。セル部12の内壁は、例えばパラフィンなどによりコーティングされていてもよい。セル部12の厚さは、1mm〜5mmであり、例えば、1.5mm程度である。
セル部12は、内部の空隙として、第1室としての主室14と、第2室としてのリザーバー16とを有している。主室14とリザーバー16とは、X方向に沿って並ぶように配置されており、連通孔15を介して連通している。リザーバー16には、アンプル20が配置されている。アンプル20の構成については後述する。リザーバー16の−X方向側、すなわち連通孔15の反対側には、開口部18が設けられている。
なお、A−A’線は、X軸方向に沿って開口部18の中心とリザーバー16と連通孔15の中心と主室14とを通る線である。B−B’線は、Y軸方向に沿ってリザーバー16とアンプル20とを通る線である。
図2(b)に示すように、連通孔15は、主室14およびリザーバー16の上方側(+Z方向側)に設けられている。開口部18は、リザーバー16の上方側に設けられている。セル部12の内部の主室14とリザーバー16とには、アルカリ金属が蒸発したガス(以下ではアルカリ金属ガスという)13が充填されている。主室14とリザーバー16とには、アルカリ金属ガス13の他に、希ガス等の不活性ガスが存在していてもよい。
図2(c)に示すように、連通孔15は円形状である。連通孔15の内径は、例えば、0.4mm〜1mm程度である。開口部18も円形状である。開口部18の内径は、例えば、0.4mm〜1.5mm程度である。開口部18は封止部19により封止されており、これにより、セル部12(主室14およびリザーバー16)が密封されている。封止部19は、例えば矩形状であるが、円形状など他の形状であってもよい。封止部19の材料としては、例えば、石英ガラスが用いられる。封止部19は、例えば、開口部18の周囲に配置された低融点ガラスフリット(図示しない)を介してセル部12に固着されている。
図3(a)に示すように、リザーバー16は、底部側(−Z方向側)に、Y軸方向に沿って傾斜する傾斜面31aと傾斜面31bとを有している。傾斜面31aは+Y方向に向かって上方側から底部側へ傾斜しており、傾斜面31bは−Y方向に向かって上方側から底部側へ傾斜している。これらの互いに反対向きに傾斜して交差する2つの傾斜面31a,31bによって、Y軸方向に沿った断面視で山状の凸状部が構成されている。傾斜面31a,31b同士が交差する交差部32が、断面視で山状の凸状部の頂点となっている。平面視では、交差部32はX軸方向に沿って稜線状に延在している(図2(a)参照)。
<アンプルの構成>
図3(b)に示すように、アンプル20は長手方向を有している。図3(b)には、アンプル20を、その長手方向がX軸方向に沿うように配置したときのX−Z断面を示している。アンプル20は、中空状のガラス管22で構成される。ガラス管22は、例えば、ホウ珪酸ガラスにより形成されている。
ガラス管22は、一方向(図3(b)ではX軸方向)に沿って延在しており、その両端部が溶着されている。これにより、内部が中空状のガラス管22は密封されている。なお、ガラス管22の両端部の形状は、図3(b)に示すような丸い形状に限定されず、平面に近い形状や一部が尖った形状などであってもよい。ガラス管22の中空状の内部には、アルカリ金属材料としてのアルカリ金属固体(粒状や粉末状のアルカリ金属原子)24が充填されている。アルカリ金属固体24としては、上述したように、セシウムの他に、ルビジウム、カリウム、ナトリウムを用いることができる。
図3(b)には、アンプル20(ガラス管22)が密封された状態を示している。アンプル20が製造された段階ではガラス管22は密封された状態であるが、ガスセル10が完成した段階では、ガラス管22に貫通孔21が形成され密封が破られる(図3(a)参照)。これにより、アンプル20内のアルカリ金属固体24が蒸発してガスセル10内に流出し、セル部12の空隙がアルカリ金属ガス13で満たされる(図2(b)参照)。なお、アンプル20内からアルカリ金属固体24が蒸発して流出し易くなるように、アンプル20の上面とセル部12の内面との間には、例えば+Z方向に1.5mm程度の隙間が設けられている。
図3(c)に、アンプル20の長手方向と交差する方向におけるY−Z断面を示す。図3(c)に示すように、ガラス管22のY−Z断面形状は、例えば略円形であるが、他の形状であってもよい。ガラス管22の外径φは、0.2mm≦φ≦1.2mmである。ガラス管22の肉厚tは、0.1mm≦t≦0.5mmであり、概ね外径φの20%程度であることが好ましい。ガラス管22の肉厚tが0.1mm未満であるとガラス管22が破損し易くなり、ガラス管22の肉厚tが0.5mmを超えると、ガラス管22に貫通孔21を形成する加工(詳細は後述する)が困難となる。
<リザーバー内におけるアンプルの配置>
図3(a)に示すように、アンプル20は、リザーバー16内における所定の位置として、傾斜面31bとリザーバー16の側壁16aとに接する位置に配置されている。アンプル20は、その長手方向が側壁16aの延在方向、すなわちX軸方向に沿うように配置されている(図2(a)参照)。これにより、アンプル20は、リザーバー16内に安定した状態で保持される。
図3(a)に、リザーバー16の−X方向側に配置された開口部18をB−B’線に沿った断面に投影した位置を2点鎖線で示す。開口部18は、アンプル20が配置される上述の所定の位置から+Y方向に離れた位置に設けられている。より具体的には、開口部18は、Y軸方向においてアンプル20が配置される所定の位置と交差部32との間、すなわち傾斜面31bにおける最も低い所定の位置よりも上方側の位置であって、傾斜面31bよりも高い位置に設けられている。
開口部18は、アンプル20をリザーバー16内に収納するための孔である。開口部18が傾斜面31bにおける上方側の位置に設けられているので、開口部18から挿入されたアンプル20は、傾斜面31bに沿って最も低い位置である所定の位置に移動する。
連通孔15は、アンプル20が配置される上述の所定の位置から離れた位置に設けられていることが好ましい。連通孔15は、リザーバー16内でアルカリ金属固体24が蒸発したアルカリ金属ガス13を主室14へ流出させるための孔である。一方で、アンプル20に貫通孔21を形成する際に発生したガラス管22の破片やアンプル20内から放出されたアルカリ金属固体24が連通孔15を通って主室14内に侵入すると、磁気計測装置100の計測精度の低下を招くこととなる。したがって、連通孔15は、リザーバー16内の高い位置に設けられていることが好ましい。なお、開口部18に対する連通孔15の相対的な位置は、特に限定されない。
ここで、アンプル20の径をφとし、開口部18の内径をD1とし、連通孔15の内径をD2とする。また、リザーバー16における室内の幅をWとし、室内の高さをH1とし、交差部32の高さをH2とする。アンプル20は、開口部18を通ることが必須であり、連通孔15を通らないことが望ましいので、D2<φ<D1となる。アンプル20をリザーバー16内に容易に収納し安定した状態で所定の位置に保持するためには、φ/2<H2<(H1−φ)であり、かつ、H2≦(H1−D1)であって、4φ<Wであることが好ましい。
例えば、アンプル20の径φを1.0mmとすると、開口部18の内径D1を1.2mm程度とし、連通孔15の内径D2を0.4mm程度とすることができる。また、リザーバー16における室内の幅Wを5.0mm程度とし、室内の高さH1を2.5mm程度とし、交差部32の高さH2を1.2mm程度とすることができる。
<ガスセルの製造方法>
次に、ガスセル10の製造方法を図4、図5、および図6を参照して説明する。図4、図5、および図6は、第1の実施形態に係るガスセルの製造方法を説明する図である。詳しくは、図4(a)は図2(b)に対応するガスセル10の概略断面図であり、図4(b)および図4(c)は図2(c)に対応するガスセル10の側面図である。図5(a)は図3(a)に対応するガスセル10の断面図であり、図5(b)は図3(b)に対応するアンプル20の断面図であり、図5(c)は図5(b)のアンプル20を+Z方向側からみた平面図である。図6(a)および図6(b)はレーザー光の照射方法を説明する図である。
まず、図4(a)に示すセル部12を用意する。図示を省略するが、例えば、石英ガラスからなるガラス板を切断して、セル部12を構成する各壁面に対応するガラス板部材を準備する。そして、これらのガラス板部材を組立て、ガラス板部材同士を接着剤または溶着により接合して、図4(a)に示すような主室14とリザーバー16とを有するセル部12を得る。この段階では、セル部12の開口部18は開放されている。なお、リザーバー16内の傾斜面31a(図3(a)参照),31bは、ガラス板部材を加工して傾斜面を形成するか、または、ガラス板部材を斜めに配置して接合することで構成できる。
続いて、セル部12のリザーバー16内にアンプル20を収納する(配置工程)。図4(b)に示すように、アンプル20は、セル部12のリザーバー16側に設けられた開口部18から挿入され、リザーバー16内に収納される。開口部18は傾斜面31bよりも高い位置にあるので、開口部18から挿入されたアンプル20は、傾斜面31b上に落下する。なお、開口部18を交差部32寄りに設けることで、アンプル20が開口部18から挿入されて傾斜面31b上に落下する際の落差を小さくして、アンプル20が衝撃などで不用意に破損するリスクを低減できる。
また、開口部18は、アンプル20が配置される所定の位置に対して、傾斜面31bにおける上方側に配置されている。そのため、アンプル20は、傾斜面31b上を滑るように、あるいは、その長手方向を回転軸として傾斜面31bを転がるようにして、傾斜面31bに沿って矢印で示す底部側へ移動する。そして、アンプル20は、側壁16aに接する位置、すなわち所定の位置で停止する。このとき、アンプル20は、傾斜面31bと側壁16aとに案内されて、その長手方向がX軸方向に沿うように配置される。したがって、アンプル20を容易にリザーバー16内の所定の位置に配置できる。この傾斜面31bと側壁16aとに接する所定の位置が、アンプル20の落ち着く位置である。
なお、この段階では、アンプル20は、図3(b)に示すように、中空状のガラス管22の内部にアルカリ金属固体24が充填され密封された状態となっている。アンプル20は、真空に近い低圧環境下(理想的には真空中)において、管状のガラス管22の中空状の内部にアルカリ金属固体24を充填し、ガラス管22の両端部をそれぞれ溶着し密封して形成する。アルカリ金属固体24として用いられるセシウムなどのアルカリ金属は、反応性に富み大気中で取り扱うことができないため、低圧環境下でアンプル20内に密封された状態でセル部12に収納される。
続いて、図4(c)に示すように、セル部12内の脱気を十分に行い、内部の空隙に不純物が極めて少ない状態で、セル部12(主室14、連通孔15、およびリザーバー16)を密封する(封止工程)。例えば、真空に近い低圧環境下(理想的には真空中)において、セル部12および封止部19の少なくとも一方における開口部18の周囲に低融点ガラスフリット(図示しない)を配置し、セル部12と封止部19とを固着して封止することにより、セル部12が密封される。
続いて、図5(a)に示すように、パルスレーザー光70を、セル部12を間に介してアンプル20のガラス管22に照射し、ガラス管22に複数の貫通孔21(図5(b)参照)を形成する(貫通孔形成工程)。レーザー光は指向性や収束性に優れているので、パルスレーザー光70を照射することにより、ガラス管22に容易に貫通孔21を形成することができる。
ここでは、セル部12に損傷を与えることなく、アンプル20のガラス管22に貫通孔21を形成する必要がある。そこで、セル部12が石英ガラスで形成されガラス管22がホウ珪酸ガラスで形成されている場合、例えば、紫外線領域の波長のパルスレーザー光70を用いる。紫外線領域の波長の光は、石英ガラスを透過するが、ホウ珪酸ガラスには僅かに吸収される。これにより、セル部12に損傷を与えることなく、アンプル20のガラス管22を選択的に加工して貫通孔21を形成することができる。
図6(a)に、貫通孔形成工程におけるパルスレーザー光70の照射方法を模式的に示す。図6(a)に示すように、第1の実施形態では、ガルバノスキャナー72を用いてレーザー発振器(図示しない)から発せられたパルスレーザー光70の角度を振り、fθレンズ74を用いて集光させることにより、複数のビーム70a,70b,70cを発生させる。なお、fθレンズ74は、例えば、焦点距離が78mmのものを用いることができる。
パルスレーザー光70の照射条件としては、例えば、パルス幅を30nm程度とし、照射点(加工点)1点当たりのパルスエネルギーを50μJ/pulse〜200μJ/pulse程度とする。複数のビーム70a,70b,70cを照射する位置は、アンプル20が配置される所定の位置を基準として設定される。より具体的には、ビーム70a,70b,70cの照射点を、X軸方向、すなわちアンプル20の長手方向に沿った3点とする。そして、図6(b)に示すように、照射時間Tを100msec程度とし、照射の間隔を30μm程度として、X軸方向に沿って走査して照射する。
このように、パルスレーザー光70から複数のビーム70a,70b,70cを発生させてアンプル20に照射することにより、ガラス管22において複数の照射点(加工点)で並行して加工が行われる。この加工により、図5(b)および図5(c)に示すように、アンプル20の長手方向であるX軸方向に沿って一列に並ぶように、ガラス管22に複数の貫通孔21が形成される。
複数のビーム70a,70b,70cをアンプル20の長手方向に沿って照射するので、アンプル20に容易に複数の貫通孔21を形成することができる。また、ビーム70a,70b,70cを照射する複数の照射点のそれぞれをアンプルの長手方向における幅の中心に合わせ易くなるので、複数の貫通孔21のそれぞれにおいてより確実に気密を破ることができる。
アンプル20に貫通孔21を形成することにより、図3(a)に示すように、セル部12のリザーバー16内でアンプル20の密封が破られ、アンプル20内からアルカリ金属固体24が蒸発しアルカリ金属ガス13となって流出する。図2(b)に示すように、リザーバー16内に流出したアルカリ金属ガス13は、連通孔15を通ってセル部12の主室14に流入し拡散する。この結果、セル部12の空隙がアルカリ金属ガス13で満たされる。
ここで、貫通孔形成工程において、パルスレーザー光70を1点に照射して1箇所に貫通孔21を形成する加工だけでは、深さ方向の加工が不十分でアンプル20の気密が破れない場合がある。特に、リザーバー16内でアンプル20が安定した状態で保持されていないと、セル部12を取り扱う際のわずかな傾きや衝撃、あるいは、パルスレーザー光70が照射されたことによる衝撃で、アンプル20が動いてその位置がずれてしまうことがある。アンプル20の位置がずれると、アンプル20に対するパルスレーザー光70の照射点が相対的にずれることとなり、深さ方向の加工が不十分となってしまう。
また、貫通孔21が形成できても、1箇所の貫通孔21からではアンプル20内のアルカリ金属固体24の蒸発量が少なく、主室14内にアルカリ金属ガス13が充満するまでに長時間を要する場合がある。そこで、確実に貫通孔21を形成するため、あるいは、アルカリ金属固体24の蒸発量を多くするために、パルスレーザー光70を1箇所に照射する加工を何回も繰り返して行うと、製造工数の増大を招いてしまうという課題がある。
本実施形態では、貫通孔形成工程においてアンプル20の複数箇所にパルスレーザー光70(ビーム70a,70b,70c)を照射して、アンプル20に複数の貫通孔21を並行して形成する。そのため、パルスレーザー光70を1箇所だけに照射する場合と比べて、アンプル20の気密を破って貫通孔21を形成する確率を高めるとともに、気密を破る範囲(アルカリ金属固体24が露出する面積)を広くして短時間で主室14内にアルカリ金属ガス13を充満させることができる。そして、貫通孔形成工程においてアンプル20に複数の貫通孔21を並行して形成できるので、パルスレーザー光70を1箇所に照射する工程を繰り返す場合と比べて、製造工数を低減することができる。
また、本実施形態では、リザーバー16の底部側にアンプル20が落ち着く所定の位置を有しており、アンプル20がリザーバー16内でX軸方向に沿って所定の位置に配置され、かつ、その位置に安定した状態で保持される。これにより、アンプル20に安定的かつ確実に貫通孔21を形成できるので、ガスセル10の製造歩留まりの低下や製造工数の増大を抑え、生産性を向上させることができる。
なお、アンプル20に貫通孔21を形成する工程では、アンプル20内からアルカリ金属固体24が蒸発して流出すればよいので、貫通孔21の形成に限定されず、例えば、ガラス管22に亀裂を生じさせてアンプル20を分断してもよいし、ガラス管22を破壊してもよい。しかしながら、このような場合に、ガラス管22の破片やアンプル20内から放出されたアルカリ金属固体24が連通孔15を通って主室14内に侵入すると、磁気計測装置100の計測精度の低下を招くこととなる。
本実施形態では、連通孔15が、アンプル20が配置される所定の位置から離れた位置であってリザーバー16内の高い位置に設けられているので、ガラス管22の破片やアルカリ金属固体24の主室14内への侵入を抑えることができる。これにより、優れた計測精度を有する磁気計測装置100を製造し提供することができる。
なお、本実施形態に係る磁気計測装置100の製造方法は、上述したガスセル10の製造方法を含んでいる。本実施形態に係る磁気計測装置100を製造する工程は、ガスセル10を製造する工程以外の工程では公知の方法を用いることができるため、その説明を省略する。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、第1の実施形態に対して、ガスセルの製造方法におけるパルスレーザー光70から複数のビーム70a,70b,70cを発生させる方法が異なるが、それ以外の方法はほぼ同じであり、磁気計測装置100の構成も同じである。第2の実施形態に係るガスセルの製造方法について、図7を参照して、第1の実施形態と異なる点を説明する。図7は、第2の実施形態に係るレーザー光の照射方法を説明する図である。なお、第1の実施形態と共通する構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
<ガスセルの製造方法>
図7に、第2の実施形態に係る貫通孔形成工程におけるパルスレーザー光70の照射方法を模式的に示す。図7に示すように、第2の実施形態では、回折格子76を用いてレーザー発振器(図示しない)から発せられたパルスレーザー光70を複数のビーム70a,70b,70cに分岐し、フーリエ変換レンズ78を用いてビーム70a,70b,70cの焦点をアンプル20に合わせる。
光学的な条件としては、例えば、パルスレーザー光70の波長を355nm程度とし、焦点距離を78mm程度とし、回折格子の分岐数を3とし、回折格子周期を923μm程度とする。パルスレーザー光70を、アンプル20の長手方向であるX軸方向に沿って3つのビーム70a,70b,70cに分岐させる。これにより、X軸方向に沿って直線状に3つのビーム70a,70b,70cが発生し、各ビームの分岐間隔は30μmとなる。
パルスレーザー光70の照射条件としては、例えば、パルス幅を30nm程度とし、照射点(加工点)1点当たりのパルスエネルギーを50μJ/pulse〜200μJ/pulse程度とし、照射時間を300msec程度とする。これにより、ガラス管22において複数の照射点(加工点)で並行して加工が行われ、第1の実施形態と同様に、アンプル20の長手方向であるX軸方向に沿って一列に並ぶように、ガラス管22に複数の貫通孔21が形成される(図5(b)および図5(c)参照)。
ビーム70a,70b,70cの分岐間隔は、回折格子76の周期を変えたものを用いることにより、上述の分岐間隔から変えることができる。なお、回折格子76の断面が正弦波形などのアナログ形状のものを用いると、回折効率が90%以上となるので、パルスレーザー光70の損失を低減することができる。また、回折格子76にセル型のCGH(計算機ホログラム)を用いると、任意の箇所に複数のビーム70a,70b,70cを照射することができる。
第2の実施形態においても、貫通孔形成工程においてアンプル20に複数の貫通孔21を並行して形成できるので、レーザー光を1箇所に照射する工程を繰り返す場合と比べて、製造工数を低減することができる。そして、アンプル20に安定的かつ確実に貫通孔21を形成できるので、ガスセル10の製造歩留まりの低下や製造工数の増大を抑え、生産性を向上させることができる。
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。変形例としては、例えば、以下のようなものが考えられる。
(変形例1)
上記実施形態の磁気計測装置の製造方法では、貫通孔形成工程においてアンプル20にX軸方向に沿って一列に並ぶように複数の貫通孔21を形成する構成であったが、本発明はこのような構成に限定されない。複数の貫通孔21を、他の方向に沿って、あるいは、一列に並ばない状態で形成する構成であってもよい。図8は、変形例1に係る貫通孔の形成例を示す概略図である。図8(a),(b),(c),(d),(e)は図5(c)のアンプル20を+Z方向側からみた平面図に対応する。
図8(a)に示すように複数の貫通孔21をY軸方向に沿って形成してもよいし、図8(b)に示すように複数の貫通孔21をX軸方向とY軸方向とに沿って交差するように形成してもよいし、図8(c)に示すように複数の貫通孔21が円弧状など曲線状に並ぶように形成してもよい。また、図8(d)に示すように、複数の貫通孔21が互いに連続するように形成してもよい。さらに、図8(e)に示すように、パーカッション加工やトレパニング加工などにより、形成した3つの貫通孔21(または、そのうちの一部)に重複してパルスレーザー光70(ビーム70a,70b,70c)を照射し、貫通孔21の径を大きく加工してもよい。
(変形例2)
上記実施形態の磁気計測装置100のガスセル10は、リザーバー16の底部側に交差部32がX軸方向に沿って稜線状に延在する山状の凸状部を有していたが、本発明はこのような構成に限定されない。例えば、リザーバーの底部側に谷状の凹状部を有していてもよいし、交差部がY軸方向に沿って稜線状に延在する山状の凸状部を有していてもよい。図9は、変形例2に係るガスセルの構成例を示す概略図である。
図9(a)に、リザーバー46の底部側に谷状の凹状部を有するガスセル40の概略断面図を示す。図9(a)は、図2(a)のB−B’線に沿った断面図に相当する。セル部42のリザーバー46は、底部側に、Y軸方向に沿って互いに反対向きに傾斜する傾斜面31aと傾斜面31bとを有し、これらの傾斜面31a,31bによってY軸方向に沿った断面視で谷状の凹状部が構成されている。傾斜面31a,31b同士が交差する交差部33が、断面視で谷状の凹状部の谷底となっている。
アンプル20は、リザーバー46内における所定の位置として、アンプル20が傾斜面31aと傾斜面31bとに接して落ち着く位置となる交差部33に配置される。アンプル20は、所定の位置において、傾斜面31aと傾斜面31bとに接し、その長手方向がX軸方向に沿うように安定した状態で保持される。傾斜面31aの傾斜角度と傾斜面31bの傾斜角度とが同じであれば、仮にアンプル20の径φ(図3(a)参照)がばらついた場合でも、アンプル20の中心は交差部33と平面視で重なる位置に配置される。そのため、アンプル20の径φが異なる場合やばらつく場合であっても、貫通孔形成工程において、アンプル20の長手方向に沿って複数のビーム70a,70b,70c(図6(a)参照)を照射する位置を容易に合わせることができる。
図9(b)および図9(c)に、リザーバー56の底部側にX軸方向に沿って傾斜する傾斜面35aと傾斜面35bとを有するガスセル50を示す。図9(b)はガスセル50の概略平面図であり、図9(c)は図9(b)のD−D’線に沿った概略断面図である。図9(b)に示すように、セル部52のリザーバー56において傾斜面35a,35b同士が交差する交差部36はY軸方向に沿って稜線状に延在している。アンプル20は、その長手方向がY軸方向に沿うように配置される。
図9(c)に示すように、アンプル20は、リザーバー56内における所定の位置として、アンプル20が傾斜面35aとリザーバー56の側壁56aとに接して落ち着く位置に、その長手方向がY軸方向に沿うように配置される。アンプル20は、傾斜面35aとリザーバー56の側壁56aとに接し、その長手方向がY軸方向に沿うように安定した状態で保持される。そのため、貫通孔形成工程において、アンプル20の長手方向であるY軸方向に沿って複数のビーム70a,70b,70c(図6(a)参照)を照射する位置を容易に合わせることができる。
(変形例3)
上記実施形態に係るガスセル10を適用可能な装置は、磁気計測装置100に限定されない。ガスセル10は、例えば、原子時計などの原子発振器にも適用できる。原子発振器に用いられるガスセルには小型化が要求されるが、上記実施形態のガスセルの製造方法によれば、小型のガスセル10を安定的に製造できるので、小型の原子発振器に好適に用いることができる。
10,40,50…ガスセル、12,42,52…セル部、13…アルカリ金属ガス(アルカリ金属のガス)、14…主室(第1室)、15…連通孔、16,46,56…リザーバー(第2室)、20…アンプル、21…貫通孔、24…アルカリ金属固体(アルカリ金属材料)、70…パルスレーザー光(レーザー光)、72…ガルバノスキャナー、76…回折格子、100…磁気計測装置。

Claims (8)

  1. 磁場を計測する磁気計測装置の製造方法であって、
    第1室と、第2室と、前記第1室と前記第2室とを連通する連通孔と、を備えたガスセルの前記第2室に、アルカリ金属材料が充填されたアンプルを配置し、前記第1室と前記第2室と前記連通孔とを密封する工程と、
    前記アンプルにレーザー光を照射することにより前記アンプルに貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、を含み、
    前記第2室には、前記アンプルが落ち着く所定の位置が設けられ、
    前記貫通孔形成工程では、前記所定の位置を基準として前記アンプルの複数箇所に前記レーザー光を照射することを特徴とする磁気計測装置の製造方法。
  2. 請求項1に記載の磁気計測装置の製造方法であって、
    前記所定の位置は、第1の方向に沿って設けられ、
    前記アンプルは、長手方向を有し、前記長手方向が前記第1の方向に沿うように前記所定の位置に配置され、
    前記貫通孔形成工程では、前記第1の方向に沿った前記複数箇所に前記レーザー光を照射することを特徴とする磁気計測装置の製造方法。
  3. 請求項2に記載の磁気計測装置の製造方法であって、
    前記貫通孔形成工程では、前記レーザー光を前記第1の方向に沿って走査して照射することを特徴とする磁気計測装置の製造方法。
  4. 請求項3に記載の磁気計測装置の製造方法であって、
    前記貫通孔形成工程では、ガルバノスキャナーを用いて前記レーザー光を走査することを特徴とする磁気計測装置の製造方法。
  5. 請求項2に記載の磁気計測装置の製造方法であって、
    前記貫通孔形成工程では、前記レーザー光を前記第1の方向に沿って分岐して照射することを特徴とする磁気計測装置の製造方法。
  6. 請求項5に記載の磁気計測装置の製造方法であって、
    前記貫通孔形成工程では、回折格子を用いて前記レーザー光を分岐することを特徴とする磁気計測装置の製造方法。
  7. 請求項3から6のいずれか一項に記載の磁気計測装置の製造方法であって、
    前記貫通孔形成工程では、前記複数箇所のうちの一部の箇所に重複して前記レーザー光を照射することを特徴とする磁気計測装置の製造方法。
  8. 磁場を計測する磁気計測装置であって、
    第1室と、第2室と、前記第1室と前記第2室とを連通する連通孔と、を有するセル部と、
    前記第2室に配置されたアンプルと、
    前記第1室と前記第2室とに充填されたアルカリ金属のガスと、を備えたガスセルを含み、
    前記第2室には、前記アンプルが落ち着く所定の位置が設けられ、
    前記アンプルには、複数の貫通孔が形成されていることを特徴とする磁気計測装置。
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