JP2016084452A - 繊維強化樹脂成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリカーボネート樹脂が本来備える透明性を維持しつつ、優れた外観、剛性と高い表面硬度を発現できるポリカーボネート樹脂組成物を成形してなり、特定用途において使用される繊維強化樹脂成形品を提供する。
【解決手段】ポリカーボネート樹脂(A)35〜58重量%及び特定の表面硬度向上剤(B)42〜65重量%からなる樹脂成分100重量部あたり、ミルドファイバー(C)5〜20重量部、及びガラス繊維(D)0〜10重量部を含有し、該表面硬度向上剤(B)が芳香族(メタ)アクリレート単位5〜80重量%およびメチルメタクリレート単位20〜95重量%からなる共重合体であり、かつ当該共重合体の重量平均分子量が5000〜30000であるポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる繊維強化樹脂成形品。
【選択図】なし
【解決手段】ポリカーボネート樹脂(A)35〜58重量%及び特定の表面硬度向上剤(B)42〜65重量%からなる樹脂成分100重量部あたり、ミルドファイバー(C)5〜20重量部、及びガラス繊維(D)0〜10重量部を含有し、該表面硬度向上剤(B)が芳香族(メタ)アクリレート単位5〜80重量%およびメチルメタクリレート単位20〜95重量%からなる共重合体であり、かつ当該共重合体の重量平均分子量が5000〜30000であるポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる繊維強化樹脂成形品。
【選択図】なし
Description
本発明は、表面硬度のみならず透明性、外観および剛性にも優れた、ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる繊維強化樹脂成形品に関する。
ポリカーボネート樹脂は、透明性、耐熱性、熱安定性等に優れた熱可塑性樹脂であることから、電気電子部品の筐体や自動車内装材等の様々な用途に利用されている。
ポリカーボネート樹脂は、透明性を有することから電気機器や電子機器の表示部のカバー、自動車や建材に用いる板ガラスの代替品(例えば、窓部材)への利用が期待されているが、剛性が不十分であり、また、表面硬度が低いことからポリカーボネート樹脂から得られる成形品は傷つきやすいといった欠点があった。
これまで、ポリカーボネート樹脂組成物の剛性を向上させるためにポリカーボネート樹脂を補強するガラス繊維を添加する方法が提案されている。しかし、添加されるガラス繊維材料の屈折率(例:Eガラスの波長589nmにおける屈折率:1.555)とポリカーボネート樹脂の屈折率(1.580〜1.590)とが大幅に異なるため、ポリカーボネート樹脂へガラス繊維を添加すると、両者の屈折率差により組成物の透明性を維持することが難しく、又、成形品表面でガラス浮きと呼ばれる外観不具合が発生するという問題があった。
このような問題に対しては、ガラス繊維の成分組成を改良することによりガラス繊維の屈折率を向上させポリカーボネート樹脂と同程度の屈折率とし、ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂成形品の透明性を維持することが検討されている。
例えば、特許文献1は、特定の無機成分配合により、ガラス繊維の屈折率をポリカーボネート樹脂と同程度の屈折率にしたガラス繊維を配合した透明性を維持したポリカーボネート樹脂組成物が提案されている。しかしながら、表面硬度を改良する点については何ら記載されていない。
また、ポリカーボネート樹脂製成形品の表面の傷付きやすさを改良するために、紫外線硬化型樹脂をポリカーボネート樹脂表面にコーティングする方法が提案されている。しかし、この方法ではポリカーボネート樹脂由来の柔軟性から、ディスプレイ用途などで要求される鉛筆硬度の要求を満たすことができないという問題があった。
他方、表面硬度と透明性に優れた成形体を得るために、ポリカーボネート樹脂とアクリル系の表面硬度向上剤との樹脂組成物が提案されている(特許文献2および特許文献3参照)。しかしながら、これらの文献に記載される樹脂組成物は、表面硬度は高いが色相低下をもたらすという問題があった。
本発明は、前述の諸問題を解決した、すなわち、ポリカーボネート樹脂が本来備える透明性を維持しつつ、優れた外観、剛性と高い表面硬度を発現できるポリカーボネート樹脂組成物を成形してなり、特定用途において使用される繊維強化樹脂成形品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、特定の表面硬度向上剤およびミルドファイバー、また所望によっては特定のガラス繊維とを用いることにより、透明性を維持しつつ、表面硬度のみならず、外観や剛性にも優れたポリカーボネート樹脂組成物が得られ、これを成形してなる成形品が特定用途に好適に適用できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ポリカーボネート樹脂(A)35〜58重量%および表面硬度向上剤(B)42〜65重量%からなる樹脂成分100重量部あたり、ミルドファイバー(C)5〜20重量部、及びガラス繊維(D)0〜10重量部を含有し、該表面硬度向上剤(B)が芳香族(メタ)アクリレート単位5〜80重量%およびメチルメタクリレート単位20〜95重量%からなる共重合体であり、かつ当該共重合体の重量平均分子量が5000〜30000であるポリカーボネート樹脂組成物を成形してなり、電気電子器用、車両用または建築用のいずれかの用途におけるハウジング、ケーシング、カバーまたは窓部材のいずれかである繊維強化樹脂成形品を提供するものである。
本発明の繊維強化樹脂成形品は、ポリカーボネート樹脂が本来備える優れた透明性を維持しつつ表面硬度のみならず外観や剛性をも飛躍的に向上させたものであり、剛性が不十分な事による外部からの応力により変形したり、また、表面硬度が低いことによる成形品が傷つきやすいといった不具合の発生も抑えられ、特定用途の成形品として有用である。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は、以下に示す実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。
本発明の繊維強化樹脂成形品の用途としては、優れた透明性、表面硬度、外観や剛性が求められる電気電子器用、車両用または建築用の部材、例えば、ハウジング、ケーシング、カバー、内装材または窓部材などが好ましい例として挙げられる。特に、携帯用の電子機器ハウジング等が好ましい例として挙げられる。より具体的には、ノート型パソコン、スマートホン等の携帯情報端末、ビデオカメラ、デジタルカメラ、スマートメーター等のハウジング、ケーシング、内部シャーシに用いる金属製品の代替品等である。
また、車両用または建築用の板ガラスの代替品(窓部材/グレージング材)等への適用にも有用である。
本発明にて使用されるポリカーボネート樹脂(A)とは、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類が挙げられる。
これらは単独または2種類以上混合して使用されるが、これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
さらに、上記のジヒドロキシアリール化合物と以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混合使用してもよい。3価以上のフェノールとしてはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタンおよび2,2−ビス−〔4,4−(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル〕−プロパンなどが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は、特に制限はないが、成形加工性、強度の面より通常10000〜100000、より好ましくは14000〜30000、さらに好ましくは16000〜26000の範囲である。また、かかるポリカーボネート樹脂を製造するに際し、分子量調整剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。
ポリカーボネート樹脂(A)の配合量は、35〜58重量%である。58重量%を越えると表面硬度に劣り、35重量%未満では透明性に劣る事から好ましくない。好ましい配合量は、45〜58重量%、更に好ましくは50〜58重量%である。
本発明にて使用される表面硬度向上剤(B)とは、芳香族(メタ)アクリレート単位5〜80重量%およびメチルメタクリレート単位20〜95重量%からなる共重合体であり、かつ当該共重合体の重量平均分子量が5000〜30000であることを特徴とする。尚、本明細書においては(メタ)アクリレートはアクリレート又はメタクリレートを意味する。
芳香族(メタ)アクリレートとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートを挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、好ましくはフェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートであり、より好ましくはフェニルメタクリレートである。
表面硬度向上剤(B)中の芳香族(メタ)アクリレート単位の含有率が5重量%以上であれば、透明性が維持され、80重量%以下であれば、ポリカーボネート樹脂(A)との相容性が高過ぎず、成形体表面への移行性が低下しないため、表面硬度が低下しないので好ましい。また、芳香族(メタ)アクリレート単位の含有率が20〜70重量%の範囲であれば、さらに透明性を維持しつつ高い表面硬度を発現することから、更に好ましい。
表面硬度向上剤(B)には、必要に応じて芳香族(メタ)アクリレート単位およびメチルメタクリレート単位以外の他の単量体単位を含有させてもよい。他の単量体単位を構成するその他の単量体としては、例えば、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリレート;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、プロピルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリシジルアクリレート等のアクリレート;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸系ビニル単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のエチレン系不飽和カルボン酸単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル単量体;マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−メチルマレイミド等のマレイミド系単量体;アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、1,3−ブチレンジメタクリレート等の架橋剤を挙げることができる。これらのうち、好ましくはメタクリレート、アクリレート、シアン化ビニル単量体であり、表面硬度向上剤(B)の熱分解を抑制するという観点からより好ましくはアクリレートである。これらの単量体は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
その他の単量体単位を含有する場合、表面硬度向上剤(B)の構成単量体は、芳香族(メタ)アクリレート単位5〜79.9重量%、メチルメタクリレート単位20〜94.9重量%およびその他の単量体単位0.1〜10重量%の範囲であることが好ましい。
表面硬度向上剤(B)を得るための単量体の重合方法としては、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法等の公知の方法を使用することができる。好ましくは懸濁重合法や塊状重合法であり、さらに好ましくは懸濁重合法である。また、重合に必要な添加剤等は必要に応じて適宜添加することができ、例えば、重合開始剤、乳化剤、分散剤、連鎖移動剤が挙げられる。
表面硬度向上剤(B)の重量平均分子量は、5000〜30000である。重量平均分子量が5000〜30000の範囲において、ポリカーボネート樹脂(A)との相容性が良好であり、表面硬度の向上効果に優れる。尚、好ましくは10000〜25000の範囲である。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定され、その詳細条件は以下のとおりである:
GPCのカラムとして、アジレント・テクノロジー社製 PLGEL 5μm MIXED−Cを使用し、移動相としては、THFを用いた。
GPCのカラムとして、アジレント・テクノロジー社製 PLGEL 5μm MIXED−Cを使用し、移動相としては、THFを用いた。
表面硬度向上剤(B)の配合量は、42〜65重量%である。65重量%を越えると透明性に劣り、42重量%未満では表面硬度に劣る事から好ましくない。好ましい配合量は、42〜55重量%、更に好ましくは42〜50重量%である。
本発明にて使用されるミルドファイバー(C)は、ガラス繊維を特殊な方法で粉砕した粉末状、または、綿状の外観をもつ繊維であり、通常熱可塑性樹脂に使用されているミルドファイバーであれば、いずれも使用出来る。ミルドファイバーに用いられるガラスは無アルカリガラス(Eガラス 波長589nmにおける屈折率:1.555前後)が好ましく、ミルドファイバーの直径は、6〜13μmが好ましく、10μm等が一般的に使用されている。更にミルドファイバーの数平均繊維長は0.01〜1mmが好ましい。これらは従来公知の任意の方法に従い製造される。
数平均繊維長が0.01mm以下では機械的強度の改良が十分でなく、1mmを越えると成形品外観に劣る事から好ましくない。ミルドファイバー(C)の直径は10μmであり、数平均繊維長は、0.02〜1mmがさらに好ましい。
ミルドファイバー(C)はポリカーボネート樹脂との密着性を向上させる目的でアミノシラン、エポキシシラン等のシランカップリング剤などにより表面処理を行う事が出来る。又、ミルドファイバーを取り扱う際、取り扱い性を向上させる目的でウレタンやエポキシ等の集束材などにより集束させることが出来る。
ミルドファイバー(C)の配合量は、5〜20重量%である。5重量%以下では外観に劣ることから好ましくなく、20重量%を超えると透明性に劣ることから好ましくない。好ましい配合量は、5〜15重量%、更に好ましくは5〜10重量%である。
本発明にて使用されるガラス繊維(D)は、通常熱可塑性樹脂に使用されているガラス繊維であれば、いずれも使用出来る。ガラス繊維に用いられるガラスは無アルカリガラス(Eガラス 波長589nmにおける屈折率:1.555前後)が好ましい。ガラス繊維の直径は6μm以上のものが好ましく、最適範囲は6〜20μmである。更にガラス繊維の数平均繊維長は1〜8mmが好ましい。これらは従来公知の任意の方法に従い製造される。
カラス繊維(D)の直径が6〜20μmの範囲であれば、剛性(機械的強度)に優れるため好ましい。また、数平均繊維長が1mm以下では機械的強度の改良が十分でなく、8mmを越えるポリカーボネート樹脂を製造する際、ポリカーボネート樹脂中へのガラス繊維の分散性に劣ることからガラス繊維が樹脂から脱落する等して生産性が低下しやすい。一般的に入手可能なガラス繊維の直径は6μmのものや13μmのものが多く、数平均長さは好ましくは2〜6mmである。
ガラス繊維(D)はポリカーボネート樹脂との密着性を向上させる目的でアミノシラン、エポキシシラン等のシランカップリング剤などにより表面処理を行う事が出来る。又、ガラス繊維を取り扱う際、取り扱い性を向上させる目的でウレタンやエポキシ等の集束材などにより集束させることが出来る。
ガラス繊維(D)の配合量は、0〜10重量%である。10重量%を越えると外観や透明性に劣ることから好ましくない。好ましい配合量は、0〜7重量%、更に好ましくは0〜5重量%である。
更に、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に各種の樹脂、酸化防止剤、蛍光増白剤、顔料、染料、カーボンブラック、充填材、離型剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、ゴム、軟化材、展着剤(流動パラフィン、エポキシ化大豆油等)、難燃剤、有機金属塩等の添加剤、滴下防止用ポリテトラフルオロエチレン樹脂等を配合しても良い。
各種の樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、ABS、AES、AAS、AS、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド樹脂等が挙げられ、これらは一種もしくは二種以上で併用してもよい。
酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤等が挙げられる。なかでも、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好適に使用され、例えば、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレン−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどが挙げられる。とりわけ、下記構造式に示される化合物が好適に用いられる。該酸化防止剤としてはチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製Irganox1076などが挙げられる。
本発明の繊維強化樹脂成形品の成形方法については、押出成形や射出成形方法が用いられる。押出成形については押出機を用いたシートや異形押出といった成形、又、射出成形は該成形品が成形出来るような金型と100〜200Тクラスの射出成形機が用いられる。成形加工温度は230〜260℃が望ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲においては、任意に変更乃至改変して実施することができる。なお、特に断りのない限り、実施例中の「%」及び「部」は、それぞれ重量基準に基づく「重量%」及び「重量部」を示す。
使用した原料の詳細は以下のとおりである。
ポリカーボネート樹脂(A):
ビスフェノールAとホスゲンから合成されたポリカーボネート樹脂
(住化スタイロンポリカーボネート社製 カリバー200−20、粘度平均分子量
19000、以下、「PC」と略記)
表面硬度向上剤(B):
芳香族(メタ)アクリレート単位及びメチルメタクリレート単位の共重合体
(三菱レイヨン株式会社製メタブレンH−880、重量平均分子量10000、
以下「B成分」と略記)
ミルドファイバー(C)
(日東紡 日東紡 PFE‐301S繊維径10μm、繊維長 0.04mm)
以下「MF」と略記
ガラス繊維(D):
Eガラス繊維
(オーウェンスコーニングジャパン CS03 MA737繊維径13μm、
繊維長 3mm)以下「GF」と略記)
ポリカーボネート樹脂(A):
ビスフェノールAとホスゲンから合成されたポリカーボネート樹脂
(住化スタイロンポリカーボネート社製 カリバー200−20、粘度平均分子量
19000、以下、「PC」と略記)
表面硬度向上剤(B):
芳香族(メタ)アクリレート単位及びメチルメタクリレート単位の共重合体
(三菱レイヨン株式会社製メタブレンH−880、重量平均分子量10000、
以下「B成分」と略記)
ミルドファイバー(C)
(日東紡 日東紡 PFE‐301S繊維径10μm、繊維長 0.04mm)
以下「MF」と略記
ガラス繊維(D):
Eガラス繊維
(オーウェンスコーニングジャパン CS03 MA737繊維径13μm、
繊維長 3mm)以下「GF」と略記)
(ポリカーボネート樹脂組成物ペレットの作成)
前述の各種配合成分を表1に示す配合比率にて一括してタンブラーに投入し、10分間乾式混合した後、二軸押出機(神戸製鋼所製KTX37)を用いて、溶融温度250℃にて混練し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
前述の各種配合成分を表1に示す配合比率にて一括してタンブラーに投入し、10分間乾式混合した後、二軸押出機(神戸製鋼所製KTX37)を用いて、溶融温度250℃にて混練し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
(成形品の透明性の評価)
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ120℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度250℃、射出圧力1600kg/cm2にて透明性評価用試験片(50x90x3、2、1mm(3厚み)の3段プレート)を作成した。得られた試験片を用いてJIS K7361に準じ、試験片厚み2mmの光線透過率を測定し、全光線透過率が80%以上、ヘイズが40%以下を良好とした。
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ120℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度250℃、射出圧力1600kg/cm2にて透明性評価用試験片(50x90x3、2、1mm(3厚み)の3段プレート)を作成した。得られた試験片を用いてJIS K7361に準じ、試験片厚み2mmの光線透過率を測定し、全光線透過率が80%以上、ヘイズが40%以下を良好とした。
(成形品の外観の評価)
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ120℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度250℃、射出圧力1600kg/cm2にて外観評価用試験片(50x90x3、2、1mm(3厚み)の3段プレート)を作成した。得られた試験片を用いて目視にて成形品表面を観察した。ガラス浮きと呼ばれる外観不具合が見られない事を良好とした。
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ120℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度250℃、射出圧力1600kg/cm2にて外観評価用試験片(50x90x3、2、1mm(3厚み)の3段プレート)を作成した。得られた試験片を用いて目視にて成形品表面を観察した。ガラス浮きと呼ばれる外観不具合が見られない事を良好とした。
(成形品の曲げ弾性率の評価)
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ120℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度250℃、射出圧力1600kg/cm2にてISO試験法に準じた試験片を作成し、得られた試験片を用いてISO 178に準じ曲げ弾性率(剛性)を測定し、曲げ弾性率が3000MPa以上を良好とした。
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ120℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度250℃、射出圧力1600kg/cm2にてISO試験法に準じた試験片を作成し、得られた試験片を用いてISO 178に準じ曲げ弾性率(剛性)を測定し、曲げ弾性率が3000MPa以上を良好とした。
(鉛筆硬度)
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ120℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度250℃、射出圧力1600kg/cm2にて鉛筆硬度評価用試験片(150x90x2.0mm)を作成した。得られた試験片を用いて、JISK5600−5−4に従い鉛筆硬度測定機(東洋精機社製鉛筆引掻塗膜硬さ試験機)にて、試験片表面に擦り傷が観察されない鉛筆硬度を求めた。この鉛筆硬度を表面硬度の評価として使用し、H以上を良好とした。
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ120℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度250℃、射出圧力1600kg/cm2にて鉛筆硬度評価用試験片(150x90x2.0mm)を作成した。得られた試験片を用いて、JISK5600−5−4に従い鉛筆硬度測定機(東洋精機社製鉛筆引掻塗膜硬さ試験機)にて、試験片表面に擦り傷が観察されない鉛筆硬度を求めた。この鉛筆硬度を表面硬度の評価として使用し、H以上を良好とした。
実施例1〜2に示すように、本発明の構成要件を満足するものについては、要求性能を満たしていた。
一方、比較例1〜4に示すように、本発明の構成要件を満足しないものについては、それぞれ次のとおり欠点を有していた。
比較例1は、B成分(表面硬度向上剤)、MF(ミルドファイバー)、GFの配合量が規定量よりも少ない場合で、鉛筆硬度、曲げ弾性率が不良となった。
比較例2は、MF(ミルドファイバー)の配合量が規定量よりも少ない場合で、曲げ弾性率が不良となった。
比較例3は、B成分(表面硬度向上剤)の配合量が規定量より多く、MF(ミルドファイバー)、GFが少ない場合で、曲げ弾性率が不良となった。
比較例4は、GFが多い場合で、外観、全光線透過率及びヘイズが不良となった。
一方、比較例1〜4に示すように、本発明の構成要件を満足しないものについては、それぞれ次のとおり欠点を有していた。
比較例1は、B成分(表面硬度向上剤)、MF(ミルドファイバー)、GFの配合量が規定量よりも少ない場合で、鉛筆硬度、曲げ弾性率が不良となった。
比較例2は、MF(ミルドファイバー)の配合量が規定量よりも少ない場合で、曲げ弾性率が不良となった。
比較例3は、B成分(表面硬度向上剤)の配合量が規定量より多く、MF(ミルドファイバー)、GFが少ない場合で、曲げ弾性率が不良となった。
比較例4は、GFが多い場合で、外観、全光線透過率及びヘイズが不良となった。
本発明の繊維強化樹脂成形品は、ポリカーボネート樹脂を成形してなる成形品が本来備える優れた透明性を維持しつつ表面硬度のみならず外観や剛性をも飛躍的に向上させたものであり、剛性が不十分なことによる外部からの応力により変形したり、また、表面硬度が低いことによる成形品が傷つきやすいといった不具合の発生も抑えられ、特定用途の成形品として有用であり、その産業上の利用価値は極めて高い。
Claims (3)
- ポリカーボネート樹脂(A)35〜58重量%および表面硬度向上剤(B)42〜65重量%からなる樹脂成分100重量部あたり、ミルドファイバー(C)5〜20重量部、及びガラス繊維(D)0〜10重量部を含有し、該表面硬度向上剤(B)が芳香族(メタ)アクリレート単位5〜80重量%およびメチルメタクリレート単位20〜95重量%からなる共重合体であり、かつ当該共重合体の重量平均分子量が5000〜30000であるポリカーボネート樹脂組成物を成形してなり、電気電子器用、車両用または建築用のいずれかの用途におけるハウジング、ケーシング、カバー、窓部材のいずれかであることを特徴とする、繊維強化樹脂成形品。
- 前記樹脂成分が、ポリカーボネート樹脂(A)45〜58重量%および表面硬度向上剤(B)42〜55重量%からなることを特徴とする、請求項1に記載の繊維強化樹脂成形品。
- 前記ミルドファイバー(C)の数平均繊維長0.01〜1mm、直径6〜13μmであることを特徴とする、請求項1に記載の繊維強化樹脂成形品。
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