JP2016081718A - 燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】固体電解質層とバリア層の間に剥離が生じることを抑制可能な燃料電池を提供する。
【解決手段】燃料電池10は、燃料極20と、固体電解質層30と、中間層40と、バリア層50と、空気極60とを備える。中間層40におけるセリウム濃度は、固体電解質層30側からバリア層50側に向かって徐々に増加している。中間層40におけるジルコニウム濃度は、バリア層50側から固体電解質層30側に向かって徐々に増加している。中間層40の断面において、セリウム濃度とジルコニウム濃度が一致する基準ラインR3は、中間層40を構成する複数の構成粒子と重なる。
【選択図】図3

Description

本発明は、バリア層を備える燃料電池に関する。
従来、燃料極と、空気極と、燃料極と空気極の間に配置される固体電解質層と、固体電解質層と空気極の間に配置されるバリア層とを備える燃料電池が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1において、固体電解質層はYSZ(イットリアで安定化されたジルコニア)によって構成され、バリア層はGDC(ガドリニウムドープセリア)によって構成されている。
特開2013−191546号公報
しかしながら、構成材料の熱膨張係数差に起因して、固体電解質層とバリア層の間に剥離が生じやすいという問題がある。
本発明は、上述の状況に鑑みてなされたものであり、固体電解質層とバリア層の間に剥離が生じることを抑制可能な燃料電池を提供することを目的とする。
本発明に係る燃料電池は、燃料極と、空気極と、固体電解質層と、バリア層と、中間層とを備える。固体電解質層は、燃料極と空気極の間に配置され、ジルコニウムを含む。バリア層は、固体電解質層と空気極の間に配置され、セリウムを含む。中間層は、固体電解質層とバリア層の間に配置され、ジルコニウムとセリウムを含む。中間層におけるセリウム濃度は、固体電解質層側からバリア層側に向かって徐々に増加する。中間層におけるジルコニウム濃度は、バリア層側から固体電解質層側に向かって徐々に増加する。中間層の断面において、セリウム濃度とジルコニウム濃度が一致する基準ラインは、中間層を構成する複数の構成粒子と重なる。
本発明によれば、固体電解質層とバリア層の間に剥離が生じることを抑制可能な燃料電池を提供することができる。
燃料電池の構成を示す拡大断面図 固体電解質層、中間層及びバリア層の断面を示すSEM画像である。 図2に示される断面を電子線後方散乱回折法によって結晶方位解析した結果を示すEBSD画像 基準ラインR3と重なる構成粒子100のTEM明視野像 図4の第1解析点X1における格子定数を示すSAED画像 図4の第2解析点X2における格子定数を示すSAED画像
次に、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なっている場合がある。従って、具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
(燃料電池10の構成)
燃料電池10の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、燃料電池10の構成を示す拡大断面図である。
燃料電池10は、いわゆる固体酸化物型燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)である。燃料電池10は、縦縞型、横縞型、燃料極支持型、電解質平板型、或いは円筒型などの形態を取ることができる。燃料電池10は、図1に示すように、燃料極20、固体電解質層30、中間層40、バリア層50および空気極60を備える。
燃料極20は、燃料電池10のアノードとして機能する。燃料極20は、多孔質の板状焼成体である。燃料極20は、図1に示すように、燃料極集電層21と燃料極活性層22を有する。
燃料極集電層21は、ガス透過性に優れる多孔質体である。燃料極集電層21を構成する材料としては、従来SOFCの燃料極集電層に用いられてきた材料を用いることができ、例えばNiO(酸化ニッケル)-8YSZ(8mol%のイットリアで安定化されたジルコニア)やNiO‐Y(イットリア)が挙げられる。ただし、燃料極集電層21がNiOを含んでいる場合、NiOの少なくとも一部はNiに還元されていてもよい。燃料極集電層21の厚みは、0.2mm〜5.0mmとすることができる。
燃料極活性層22は、燃料極集電層21上に配置される。燃料極活性層22は、燃料極集電層21よりは緻密質な多孔質体である。燃料極活性層22を構成する材料としては、従来SOFCの燃料極活性層に用いられてきた材料を用いることができ、例えばNiO‐8YSZが挙げられる。ただし、燃料極活性層22がNiOを含んでいる場合、NiOの少なくとも一部はNiに還元されていてもよい。燃料極活性層22の厚みは5.0μm〜30μmとすることができる。
固体電解質層30は、燃料極20と空気極60の間に配置される。固体電解質層30は、空気極60で生成される酸素イオンを透過させる機能を有する。固体電解質層30は、ジルコニウムを含む。固体電解質層30は、ジルコニウムをジルコニア(ZrO)として含んでもよい。固体電解質層30は、ジルコニアを主成分として含んでいてもよい。本実施形態において、組成物Xが物質Yを「主成分として含有する」とは、組成物X全体のうち、物質Yが好ましくは60重量%以上を占め、より好ましくは70重量%以上を占め、さらに好ましくは90重量%以上を占めることを意味する。
固体電解質層30は、ジルコニアの他に、イットリア(Y)及び/又は酸化スカンジウム(Sc)等の添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、安定化剤として機能する。固体電解質層30において、安定化剤のジルコニアに対するmol組成比(安定化剤:ジルコニア)は、3:97〜20:80程度とすることができる。従って、固体電解質層30の材料としては、例えば、3YSZ、8YSZ、10YSZ、或いはScSZ(スカンジアで安定化されたジルコニア)などが挙げられる。固体電解質層30の厚みは、例えば30μm以下とすることができる。固体電解質層30は緻密質であり、固体電解質層30の気孔率は10%以下であることが好ましい。
中間層40は、固体電解質層30とバリア層50の間に配置される。中間層40は、ジルコニウムとセリウムとを含む。中間層40は、ジルコニウムをジルコニアとして含んでいてもよい。中間層40は、イットリアやスカンジアで安定化されたジルコニア(例えば、3YSZ、8YSZ、10YSZ、ScSZなど)を含んでいてもよい。中間層40は、セリウムを酸化セリウム(CeO:セリア)として含んでいてもよい。中間層40は、希土類金属酸化物が固溶したセリア(例えば、GDC(ガドリニウムドープセリア)やSDC(サマリウムドープセリア)など)を含んでいてもよい。中間層40において、セリウム(又はセリア)とジルコニウム(又はジルコニア)は固溶体を形成していてもよい。
中間層40は、セリウムとジルコニウムに加えて、固体電解質層30やバリア層50に含まれる添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば、固体電解質層30に含まれるイットリウム(Y)やスカンジウム(Sc)、バリア層50に含まれるガドリニウム(Gd)やサマリウム(Sm)などが挙げられる。中間層40の厚みは、0.3μm〜3μmとすることができる。中間層40は緻密質であり、中間層40の気孔率は1%〜15%とすることができる。中間層40における各元素の濃度分布や中間層40の微構造については後述する。
バリア層50は、固体電解質層30と空気極60の間に配置される。バリア層50は、固体電解質層30と空気極60の間に高抵抗層が形成されることを抑制する。バリア層50は、GDCやSDCなどのセリア系材料を主成分とする。バリア層50の厚みは、3μm〜20μmとすることができる。バリア層50は緻密質であり、バリア層50の気孔率は10%以下とすることができる。
空気極60は、バリア層50上に配置される。空気極60は、燃料電池10のカノードとして機能する。空気極60は、多孔質の焼成体である。空気極60は、一般式ABOで表され、AサイトにLa及びSrの少なくとも一方を含むペロブスカイト型複合酸化物を主成分として含有する。このようなペロブスカイト型複合酸化物としては、(La,Sr)(Co,Fe)O、(La,Sr)FeO、(La,Sr)CoO、LaSrMnOなどが挙げられる。空気極60の厚みは、5μm〜50μmとすることができる。
(中間層40における濃度分布)
次に、中間層40におけるジルコニウムとセリウムの濃度分布について説明する。
中間層40におけるジルコニウムとセリウムの濃度分布は、例えば、原子濃度プロファイルによるライン分析、つまりEPMA(Electron Probe Micro Analyzer)による特性X線強度の比較によって得ることができる。具体的には、燃料電池10の厚み方向(図1の上下方向)に平行な断面において厚み方向に沿ってEPMAでライン分析を行うことによって、中間層40におけるジルコニウム濃度分布データとセリウム濃度分布データを取得することができる。本実施形態において、EPMAは、EDS(Energy Dispersive x−ray Spectroscopy)を含む概念である。
中間層40におけるセリウム濃度は、固体電解質層30側からバリア層50側に向かって徐々に増加している。すなわち、中間層40におけるセリウム濃度は、固体電解質層30付近で最も低く、バリア層50付近で最も高い。中間層40におけるセリウム濃度は、バリア層50に近いほど漸増していればよく、無段階的に変動していてもよいし段階的に変動していてもよい。中間層40の平均セリウム濃度は、バリア層50の平均セリウム濃度よりも低く、固体電解質層30の平均セリウム濃度よりも高い。中間層40の最大セリウム濃度は、バリア層50の最大セリウム濃度よりも低く、バリア層50の最低セリウム濃度と同等である。中間層40の最低セリウム濃度は、固体電解質層30の最低セリウム濃度よりも高く、固体電解質層30の最大セリウム濃度と同等である。
中間層40におけるジルコニウム濃度は、バリア層50側から固体電解質層30側に向かって徐々に増加している。すなわち、中間層40におけるジルコニウム濃度は、固体電解質層30付近で最も高く、バリア層50付近で最も低い。中間層40におけるジルコニウム濃度は、固体電解質層30に近いほど漸増していればよく、無段階的に変動していてもよいし段階的に変動していてもよい。中間層40の平均ジルコニウム濃度は、バリア層50の平均セリウム濃度よりも高く、固体電解質層30の平均ジルコニウム濃度よりも低い。中間層40の最大ジルコニウム濃度は、固体電解質層30の最大ジルコニウム濃度よりも低く、固体電解質層30の最低ジルコニウム濃度と同等である。中間層40の最低ジルコニウム濃度は、バリア層50の最低ジルコニウム濃度よりも高く、バリア層50の最大ジルコニウム濃度と同等である。
ここで、図2は、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)によって3000倍に拡大された固体電解質層30、中間層40及びバリア層50の断面を示すSEM画像である。図3は、図2に示される断面を電子線後方散乱回折(EBSD:Electron Backscatter Diffraction)法によって結晶方位解析した結果を示すEBSD画像である。EBSD法による結晶方位解析では、結晶方位の不連続性を観測することができ、結晶方位差が所定角度(図3では15度)以上の境界によって規定される領域が描画される。図3のEBSD画像に描画された1つ1つの領域は、各層を構成する1つ1つの粒子に対応している。
図2及び図3では、固体電解質層30がYSZによって構成され、中間層40がYSZとGDCの固溶体によって構成され、さらに、バリア層50がGDCによって構成された場合が一例として示されている。
図2及び図3に示すように、中間層40は、第1界面ラインR1と第2界面ラインR2によって規定される。第1界面ラインR1と第2界面ラインR2の間隔は、中間層40の厚みに相当する。
第1界面ラインR1は、固体電解質層30と中間層40の界面を示す。第1界面ラインR1は、固体電解質層30の最大ジルコニウム濃度の85%の濃度を示すラインである。中間層40は、第1界面ラインR1上において最大ジルコニウム濃度と最低セリウム濃度を示す。
第2界面ラインR2は、中間層40とバリア層50の界面を示す。第2界面ラインR2は、バリア層50の最大セリウム濃度の85%の濃度を示すラインである。中間層40は、第2界面ラインR2上において最大セリウム濃度と最低ジルコニウム濃度を示す。
中間層40に含まれるセリウムとジルコニウムは、第1界面ラインR1と第2界面ラインR2の間の全域において固溶体を形成していてもよい。
図3には、第1界面ラインR1と第2界面ラインR2に加えて基準ラインR3が示されている。基準ラインR3は、厚み方向において第1界面ラインR1と第2界面ラインR2の間に位置する。基準ラインR3は、中間層40の断面においてセリウム濃度とジルコニウム濃度が一致するラインである。従って、セリウム系材料とジルコニウム系材料の異種材料が、基準ラインR3上において接合されていると考えることができる。基準ラインR3上におけるセリウム濃度及びジルコニウム濃度は45%〜55%とすることができる。
図3に示すように、基準ラインR3は、EBSD画像上において中間層40の厚み方向と交差している。本実施形態において、基準ラインR3は、中間層40の厚み方向と直交する方向(以下、面方向という。)と略平行である。基準ラインR3は、中間層40の断面において、中間層40を構成する複数の構成粒子と重なっている。すなわち、基準ラインR3は、EBSD画像上において、面方向に並んだ2つ以上の構成粒子上を横切っている。
ただし、基準ラインR3の一部は、中間層40の構成粒子と重なっていなくてもよい。すなわち、基準ラインR3の全体が粒界に沿っているのでなければよく、基準ラインR3の一部は、厚み方向に並ぶ2つの構成粒子の粒界に沿っていてもよい。基準ラインR3は、面方向において複数の構成粒子と連続的に重なっている必要はなく、面方向において複数の構成粒子と断続的に重なっていてもよい。
このように、基準ラインR3が中間層40の複数の構成粒子自体と重なっているため、粒内に異種材料の接合界面が存在していると考えることができる。従って、基準ラインR3が構成粒子どうしの粒界に沿っている場合に比べて、異種材料の接合強度を向上させることができる。その結果、焼成後において、固体電解質層30とバリア層50の熱膨張係数差に起因する剥離が、固体電解質層30とバリア層50の間に生じることを抑制できる。
(中間層40の構成粒子の配列)
次に、図3を参照しながら、中間層40の構成粒子の配列について説明する。
図3に示すように、中間層40は、固体電解質層30上に複数の構成粒子が厚み方向及び面方向に堆積することで構成されている。中間層40は、厚み方向において1段以上7段以下の構成粒子が堆積されていることが好ましい。すなわち、中間層40において、厚み方向に並ぶ構成粒子数は1個以上7個以下であることが好ましい。このように、厚み方向に並ぶ構成粒子の数を制限することによって、固体電解質層30とバリア層50の接合耐久性を向上させることができる。
厚み方向に並ぶ構成粒子数とは、第1界面ラインR1から第2界面ラインR2まで厚み方向に平行な直線を引いたとき、その直線が重なっている構成粒子の数である。この際、第1界面ラインR1と第2界面ラインR2のそれぞれが重なっている構成粒子もカウントするものとする。具体的に、図3に示す直線L1は、3つの構成粒子と重なっている。
(中間層40の構成粒子の格子定数)
次に、中間層40の構成粒子の格子定数について説明する。図4は、図3に示した基準ラインR3と重なる構成粒子100を透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)で14000倍に拡大したTEM明視野像である。図5は、図4の第1解析点X1における格子定数を示す制限視野電子線回折(SAED:Selected Area Electron Diffraction)画像である。図6は、図4の第2解析点X2における格子定数を示すSAED画像である。
図5に示すように、基準ラインR3の固体電解質層30側に位置する第1解析点X1において、a軸、b軸及びc軸それぞれの格子定数の平均値は0.527nmである。固体電解質層30を構成するYSZの格子定数の平均値は0.517nmであるので、第1解析点X1の格子定数は固体電解質層30の格子定数よりも大きい。図6に示すように、基準ラインR3のバリア層50側に位置する第2解析点X2において、a軸、b軸及びc軸それぞれの格子定数の平均値は0.535nmである。バリア層50を構成するGDCの格子定数の平均値は0.546nmであるので、第2解析点X2の格子定数はバリア層50の格子定数よりも小さい。
構成粒子100のうち固体電解質層30側の第1部分100aにおける格子定数は、構成粒子100のうちバリア層50側の第2部分100bにおける格子定数よりも小さい。また、図示しないが、構成粒子100の格子定数は、構成粒子100の内部においてバリア層50側から固体電解質層30側に向かって全体的に低下している。
このように、基準ラインR3と重なる構成粒子100の内部において格子定数が厚み方向において緩やかに変化していると、構成粒子100に転位や積層欠陥が生じることを抑制できる。従って、構成粒子100のうち基準ラインR3付近における残留応力を低減できるため、異種材料の接合強度を向上させることができる。その結果、焼成後において、固体電解質層30とバリア層50の熱膨張係数差に起因する剥離が、固体電解質層30とバリア層50の間に生じることを抑制できる。
(燃料電池10の製造方法)
次に、燃料電池10の製造方法の一例について説明する。
まず、金型プレス成形法で燃料極集電層用粉末を成形することによって、燃料極集電層21の成形体を形成する。
次に、燃料極活性層用粉末と造孔剤(例えばPMMA)との混合物にバインダーとしてPVA(ポリビニルブチラール)を添加して燃料極活性層用スラリーを作製する。そして、印刷法などによって燃料極活性層用スラリーを燃料極集電層21の成形体上に印刷することによって、燃料極活性層22の成形体を形成する。以上によって、燃料極20の成形体が形成される。
次に、ジルコニウムを含む材料粉末にテルピネオールとバインダーを混合して固体電解質層用スラリーを作製する。そして、印刷法などによって固体電解質層用スラリーを燃料極20の成形体上に印刷することによって、固体電解質層30の成形体を形成する。
次に、燃料極20と固体電解質層30の成形体を焼成(1200℃〜1450℃、1時間〜20時間)することによって、燃料極20と固体電解質層30を形成する。
次に、固体電解質層30の表面にRF(radio-frequency)マグネトロンスパッタ装置によってジルコニウムとセリウムの2種のターゲットを用いて反応性スパッタリングすることによって中間層40を形成する。この際、基板温度、スパッタ出力、ガス組成を調整することによって、厚み方向におけるジルコニウム及びセリウムの濃度勾配と、厚み方向における格子定数の勾配とを設けることができる。また、スパッタ時間を調整することによって、厚み方向に並ぶ構成粒子の数を調整することができる。
次に、中間層40を熱処理(600℃〜1000℃、1時間〜20時間)する。予め、スパッタ成膜時の、ジルコニウムとセリウムのスパッタ率からスパッタ膜内のジルコニウムとセリウムの組成を制御することによって、ジルコニウム濃度とセリウム濃度が一致する基準ラインR3が複数の構成粒子に重なるように調整する。
次に、セリアを含む材料粉末にテルピネオールとバインダーを混合してバリア層用スラリーを作製する。そして、スクリーン印刷法などでバリア層用スラリーを中間層40上に塗布することによってバリア層50の成形体を形成する。
次に、バリア層50を焼成(1350℃〜1500℃、1時間〜20時間)することによってバリア層50を形成する。
次に、空気極用粉末にテルピネオールとバインダーを混合して空気極用スラリーを作製する。そして、スクリーン印刷法などで空気極用スラリーをバリア層50上に塗布することによって、空気極60の成形体を形成する。次に、空気極60の成形体を焼成(1000〜1100℃、1〜10時間)することによって空気極60を形成する。
(他の実施形態)
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で種々の変形又は変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、バリア層40は、単層構造を有することとしたが、緻密質のバリア層と多孔質のバリア層が積層された複層構造を有していてもよい。
(サンプルNo.1〜No.9の作製)
以下のようにして、サンプルNo.1〜No.9に係る燃料電池を作製した。
まず、NiO粉末とY粉末と造孔材(PMMA)の調合粉末とIPAを混合したスラリーを窒素雰囲気下で乾燥させることによって混合粉末を作製した。
次に、混合粉末を一軸プレス(成形圧50MPa)することで縦30mm×横30mm、厚み3mmの板を成形し、その板をCIP(成形圧:100MPa)でさらに圧密することによって燃料極集電層の成形体を作製した。
次に、NiO‐8YSZとPMMAの調合粉末とIPAを混合したスラリーを燃料極集電層の成形体上に塗布した。
次に、8YSZにテルピネオールとバインダーを混合して固体電解質層用スラリーを作成した。次に、固体電解質層用スラリーを燃料極の成形体上に塗布することによって固体電解質層の成形体を形成した。
次に、燃料極と固体電解質層の成形体を焼成(1250℃、5時間)して、燃料極と固体電解質層を形成した。
次に、RFマグネトロンスパッタ装置(日電アネルバ製、SPF−210H)によってジルコニウムとセリウムの2種のターゲットを用いて反応性スパッタリングすることによって、固体電解質層の表面に中間層を形成した。この際、基板温度、スパッタ出力、ガス組成を調整することによって、厚み方向におけるジルコニウム及びセリウムの濃度勾配と格子定数の勾配とを調整することができる。また、スパッタ時間を調整することによって、厚み方向に並ぶ構成粒子の数を7個以下に制限した。
次に、中間層を熱処理(600℃〜1000℃、1時間〜20時間)した。この際、熱処理の温度と最高温度のキープ時間を調整することによって、ジルコニウム濃度とセリウム濃度が一致する基準ラインが複数の構成粒子と重なるように調整した。
次に、GDCスラリーを作製し、中間層の成形体上にGDCスラリーを塗布することによってバリア層の成形体を作製した。続いて、バリア層の成形体を焼成(1400℃、5時間)してバリア層を形成した。
次に、LSCFスラリーを作製し、共焼成体上にLSCFスラリーを塗布することによって空気極の成形体を作製した。続いて、空気極の成形体を焼成(1100℃、1時間)して空気極を形成した。
(サンプルNo.10の作製)
サンプルNo.10では、熱処理を行わずに反応性スパッタリングのみで中間層を形成した以外は、上記サンプルNo.1〜No.9と同様の工程を経て燃料電池を作製した。
(セリウム及びジルコニウムの濃度分布の測定)
各サンプルを厚み方向に平行に切断し、FE‐EPMA(電界放射型電子プローブマイクロアナライザ)を用いて断面を元素マッピングすることによって、セリウム及びジルコニウムのシグナル強度を測定した。
(EBSD画像の取得)
各サンプルを厚み方向と平行に切断し、EBSD法によって結晶方位解析することによって、中間層の構成粒子を示すEBSD画像を取得した。
次に、固体電解質層の最大ジルコニウム濃度の85%の濃度を示す第1界面ラインR1とバリア層の最大セリウム濃度の85%の濃度を示す第2界面ラインR2をEBSD画像上に描画することによって中間層の範囲を規定した(図3参照)。
続いて、セリウム濃度とジルコニウム濃度が一致する基準ラインR3をEBSD画像上に描画して、基準ラインR3が中間層の構成粒子と重なっているかどうかを確認した。
表1に示すように、サンプルNo.1〜No.9では、基準ラインR3が中間層の複数の構成粒子と重なっていた(図3参照)。一方で、サンプルNo.10では、基準ラインR3が粒界に沿って延びており、中間層の構成粒子とは重なっていなかった。
(格子定数の測定)
サンプルNo.1〜No.10について、基準ラインR3と重なる一粒子上の複数の解析点におけるSAED画像を取得し、a軸、b軸及びc軸それぞれの格子定数の平均値を算出した。
表1に示すように、サンプルNo.10では、一粒子内における格子定数の平均値は、厚み方向における勾配は見られなかった。サンプルNo.1〜No.9では、一粒子内における格子定数の平均値は傾斜しており、厚み方向においてバリア層側から固体電解質側に向かって徐々に小さくなっていた。
(中間層において厚み方向に堆積する構成粒子数)
サンプルNo.5〜No.9について、EBSD画像を参照することによって、中間層において厚み方向に堆積する構成粒子数を数えて、1枚のEBSD画像上で平均値を算出した。算出結果を表1にまとめて示す。
(焼成後における剥離の観察)
セルの作製後、サンプルNo.1〜No.10それぞれの断面を顕微鏡で観察することによって、固体電解質層とバリア層の間における剥離の有無を確認した。確認結果を表1にまとめて示す。
(熱サイクル試験後における剥離の観察)
サンプルNo.5〜No.9について、Arガス及び水素ガス(Arに対して4%)を燃料極に供給して還元雰囲気を維持した状態で、常温から800℃まで2時間で昇温した後に4時間で常温まで降下させる工程を1サイクルとして10回繰り返した。
その後、各サンプルの断面を顕微鏡で観察することによって、固体電解質層とバリア層の間における剥離の有無を確認した。確認結果を表1にまとめて示す。
表1に示すように、サンプルNo.1〜No.9では、焼成後における剥離頻度を低減することができた。これは、基準ラインR3が中間層の複数の構成粒子と重ねることによって、基準ラインR3が粒界に沿っている場合に比べて異種材料の接合強度を向上できたためである。サンプルNo.1〜No.9では、基準ラインR3と重なる構成粒子内における格子定数が、バリア層側から固体電解質側に向かって徐々に小さくなっていた。
表1に示すように、厚み方向に並ぶ構成粒子の数を7個以下に制限したサンプルNo.5〜No.9では、熱サイクル試験後における剥離頻度を低減することができた。
10 燃料電池
20 燃料極
30 固体電解質層
40 中間層
50 バリア層
60 空気極
R3 基準ライン

Claims (3)

  1. 燃料極と、
    空気極と、
    前記燃料極と前記空気極の間に配置され、ジルコニウムを含む固体電解質層と、
    前記固体電解質層と前記空気極の間に配置され、セリウムを含むバリア層と、
    前記固体電解質層と前記バリア層の間に配置され、ジルコニウムとセリウムを含む中間層と、
    を備え、
    前記中間層におけるセリウム濃度は、前記固体電解質層側から前記バリア層側に向かって徐々に増加し、
    前記中間層におけるジルコニウム濃度は、前記バリア層側から前記固体電解質層側に向かって徐々に増加しており、
    前記中間層の断面において、セリウム濃度とジルコニウム濃度が一致する基準ラインは、前記中間層を構成する複数の構成粒子と重なる、
    燃料電池。
  2. 前記粒子の格子定数の平均値は、前記粒子の内部において前記バリア層側から前記固体電解質層側に向かって徐々に小さくなっている、
    請求項1に記載の燃料電池。
  3. 前記中間層は、厚み方向において1個以上7個以下の粒子を有する、
    請求項1又は2に記載の燃料電池。
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