JP2016079846A - 流体機械の制御装置、及び流体機械の制御方法 - Google Patents

流体機械の制御装置、及び流体機械の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】広い流量制御範囲を確保するとともに、消費電力を低減可能な流体機械の制御装置等を提供する。【解決手段】流体機械1の制御装置20は、電動機14の回転速度、インレットガイドベーン11の開度、及び吐出バルブ17の開度を調整することで、流体の流量及び吐出圧力で特定される動作点を所定の目標点に近づける制御を実行し、前記制御を実行する際、吐出バルブ17の開度を小さくすることによって流体の吐出圧力を上昇させる。【選択図】図1

Description

本発明は、流体機械の制御装置、及び流体機械の制御方法に関する。
送風機や圧縮機等、空気(流体)を圧縮して負荷側に供給する流体機械が知られている。この流体機械は、ケーシング内に設置された羽根車を回転させることで空気を圧縮し、圧縮した空気を負荷側に供給するようになっている。また、前記した羽根車の上流側には、空気の流量や通流方向を調整するインレットガイドベーンが設置されている。このような流体機械に関して、負荷側に供給可能な流量の範囲(以下、流量制御範囲という)を広く確保することが望まれている。
例えば、特許文献1には、可変案内羽根(インレットガイドベーン)の開度と、羽根車に固定された被駆動軸の回転速度と、を制御することで、流体機械の流量を制御する方法について記載されている。
また、特許文献2には、吸込容積流量の限界値を等エントロピーヘッドに基づいて設定し、この限界値と吸込容積流量との大小関係に基づいて、羽根車に固定された被駆動軸の回転速度を変更する流量制御方法について記載されている。
特開2003−322096号公報 特開2003−322097号公報
特許文献1,2に記載の技術では、流体の吐出圧力の目標値を一定で維持しながら流量を小さくする場合、可変案内羽根の開度を小さくするとともに被駆動軸の回転速度を上昇させる制御が行われる。
なお、可変案内羽根の開度を小さくするのみでは、流体の流量だけでなく吐出圧力までも小さくなってしまう。したがって、特許文献1,2では、吐出圧力の減少分を補うために、被駆動軸(つまり、羽根車)の回転速度を大幅に上昇させている。その結果、場合によっては、被駆動軸に連結された電動機を定格回転速度よりも高速で駆動することがあり、流体機械の消費電力が増加してしまうという課題があった。
そこで、本発明は、流量制御範囲を広く確保するとともに、消費電力を低減可能な流体機械の制御装置等を提供することを課題とする。
前記した課題を解決するために、本発明に係る流体機械の制御装置は、電動機の回転速度、インレットガイドベーンの開度、及び吐出バルブの開度を調整することで、流体の流量及び吐出圧力で特定される動作点を所定の目標点に近づける制御を実行し、前記制御を実行する際、吐出バルブの開度を小さくすることによって流体の吐出圧力を上昇させることを特徴とする。
なお、詳細については、発明を実施するための形態において説明する。
発明によれば、広い流量制御範囲を確保するとともに、消費電力を低減可能な流体機械の制御装置等を提供できる。
本発明の一実施形態に係る流体機械の制御装置を含む構成図である。 ケーシング、及びケーシングに設置された各部材の断面図である。 流体機械から吐出される流体の流量と吐出圧力との関係を示す特性図である。 制御装置が実行する処理の流れを示すフローチャートである。 制御装置が運転モード1を実行する処理の流れを示すフローチャートである。 制御装置が運転モード1を実行する処理の流れを示すフローチャートである。 図5のステップS102の処理によって動作点が動く様子を示す説明図である。 図6のステップS106の処理によって動作点が動く様子を示す説明図である。 図6のステップS109の処理によって動作点が動く様子を示す説明図である。 図6のステップS106(2サイクル目)の処理によって動作点が動く様子を示す説明図である。 図5のステップS115の処理によって動作点が動く様子を示す説明図である。 制御装置が運転モード2を実行する処理の流れを示すフローチャートである。 制御装置が運転モード4を実行する処理の流れを示すフローチャートである。
≪実施形態≫
<流体機械の構成>
図1は、本実施形態に係る流体機械の制御装置を含む構成図である。
以下では、まず、流体機械1(制御装置20の制御対象)について説明した後、本実施形態に係る制御装置20の動作について詳細に説明する。
流体機械1は、例えば、ターボ型単段ブロワであり、空気(流体)を吸引して圧縮し、圧縮した空気を負荷側に供給する装置である。図1に示すように、流体機械1は、インレットガイドベーン11と、アクチュエータ12と、羽根車13と、電動機14と、ディフューザベーン15(図2参照)と、ケーシング16と、吐出バルブ17と、各種センサ(流量センサ18a等)と、を備えている。
図2は、ケーシング、及びケーシングに設置された各部材の断面図である。なお、図2では、アクチュエータ12(図1参照)の図示を省略した。
複数のインレットガイドベーン11は、羽根車13に向かう空気の流量や通流方向を調整するものであり、羽根車13の上流側(吸入側)に配置されている。各インレットガイドベーン11は、ケーシング16の筒状部16a内において周方向で略等間隔に配置されている。
各インレットガイドベーン11の径方向外側(羽根車13の回転軸を軸方向とする。)には、回動軸U1の一端が固定されている。それぞれの回動軸U1は径方向に延びており、筒状部16aを貫通している。それぞれの回動軸U1の他端には、筒状部16aを囲むように配置されたリングU2が設置されている。また、回動軸U1とリングU2は、リンク機構又は歯車で動力が伝達される構造となっている。
図1に示すアクチュエータ12は、制御装置20からの指令に従ってインレットガイドベーン11の開度を調整するものであり、複数の回動軸U1(図2参照)のうち一つに設置されている。この回動軸U1がアクチュエータ12によって回動されると、前記したリングU2(図2参照)が周方向に回転することで、他の回動軸U1も連動して回動するようになっている。
そして、回動軸U1に固定されたインレットガイドベーン11も回動することで、羽根車13に向かう空気の旋回成分を調整し、流量を制御する。また、インレットガイドベーン11の開度(つまり、流路断面積)を小さくすると、羽根車13に向かう空気の吸込圧力が小さくなるため、羽根車13に連結された電動機14の仕事量を低減できる。
なお、インレットガイドベーン11の構成は、図2に示すものに限定されない。
図2に示す羽根車13は、インレットガイドベーン11を介して流入する空気を圧縮するものであり、ケーシング16内に配置されている。すなわち、羽根車13は、軸方向に沿う流路L1の下流側、かつ、渦巻状の流路L2の上流側に配置されている。羽根車13は、軸部材U3を介して電動機14に連結され、電動機14が駆動することで軸部材U3と一体で回転するようになっている。
図1に示す電動機14は、制御装置20からの指令に従って駆動するモータであり、前記したように、軸部材U3を介して羽根車13に連結されている。
ディフューザベーン15は、渦巻部16bを通流する空気の運動エネルギを圧力に変換するための複数の羽根であり、羽根車13の下流側に配置されている。なお、本実施形態においてディフューザベーン15の開度は一定であるものとする。
ケーシング16は、インレットガイドベーン11、羽根車13、ディフューザベーン15等を収容するとともに、空気の流路を形成するものである。ケーシング16は、筒状部16aと、渦巻部16bと、を備えている。
筒状部16aは、筒状を呈しており、軸方向に沿う流路L1を有している。渦巻部16bは、筒状部16aの下流側に連なっており、渦巻状の流路L2を有している。
なお、筒状部16aの上流側には吸入管H1(図1参照)が設置され、渦巻部16bの下流側には吐出管H2が設置されている。
図1に示す吐出バルブ17は、制御装置20からの指令に従って、羽根車13から吐出される空気の流量及び圧力を調整するバルブであり、羽根車13の下流側(吐出側)に配置されている。吐出バルブ17は、例えば、バタフライ弁であり、その開度を連続的に調整できるようになっている。
流量センサ18aは、ケーシング16内を通流する空気の流量を検出するセンサであり、吸入管H1に設置されている。流量センサ18aとして、例えば、オリフィス式の流量センサを用いることができる。
吸入圧力センサ18bは、羽根車13の上流側の圧力を検出するセンサであり、吸入管H1に設置されている。吸入温度センサ18cは、羽根車13の上流側の温度を検出するセンサであり、吸入管H1に設置されている。
吐出圧力センサ18dは、羽根車13の下流側の圧力を検出するセンサであり、吐出管H2に設置されている。回転速度センサ18eは、電動機14の回転速度を検出するセンサであり、軸部材U3付近に設置されている。
なお、前記した各センサの検出値は、制御装置20に出力される。
<制御装置>
制御装置20は、流体機械1を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェースなどの電子回路を含んで構成され、設定されたプログラムに従って各種処理を実行する。
制御装置20は、前記した各センサの検出値に応じて、インレットガイドベーン11の開度、電動機14の回転速度、及び吐出バルブ17の開度を調整するようになっている。なお、制御装置20が実行する処理については後記する。
<流体機械の特性>
図3は、流体機械から吐出される流体の流量と吐出圧力との関係を示す特性図である。なお、図3に示す特性図の横軸は、ケーシング16内を通流する空気の流量(流量センサ18aの検出値)であり、縦軸は、羽根車13によって昇圧された空気の吐出圧力(吐出圧力センサ18dの検出値)である。
インレットガイドベーン11の開度、電動機14の回転速度、及び吐出バルブ17の開度のうち少なくとも一つを変化させた場合、流量及び吐出圧力によって特定される動作点の位置も変化する。
例えば、動作点K1(流量Q0、吐出圧力Pdest)の状態から、インレットガイドベーン11及び吐出バルブ17の開度を維持しつつ、電動機14の回転速度を減少させたとする。この場合、空気の流量及び吐出圧力のいずれも減少し、その動作点は抵抗曲線R0に沿って図3の座標軸において流量及び吐出圧力が減少する向きに移動する(図7参照)。
ここで「抵抗曲線」とは、流路抵抗を表す曲線であり、流量の略2乗に比例して流路抵抗が増加する2次曲線になっている。
なお、抵抗曲線の形状は、吐出バルブ17の開度Fに応じて変化する。図3に示す抵抗曲線R0は、吐出バルブ17を全開(開度F=F0)にしたときの抵抗曲線である。また、抵抗曲線R1は、吐出バルブ17を開度F1まで絞ったときの抵抗曲線である。このように、吐出バルブ17の開度Fを小さくするほど抵抗曲線は急勾配になる。なお、各抵抗曲線に関して、流量ゼロのときの吐出圧力P0(切片)は同一である。
また、例えば、動作点K2の状態から、インレットガイドベーン11の開度及び電動機14の回転速度を維持しつつ、吐出バルブ17を開度F1まで絞ったとする。この場合、空気の流量が減少するとともに吐出圧力が増加し、その動作点は性能曲線W13に沿って動作点K3まで移動する。
ここで「性能曲線」とは、流量を変化させることで吐出圧力がどのように変化するかを表す右肩下がりの曲線である。性能曲線の位置及び形状は、電動機14の回転速度及びインレットガイドベーン11の開度に応じて変化する。なお、図3に示す性能曲線W1〜W3、WG、及びW11〜W13については後記する。
インレットガイドベーン11の開度及び電動機14の回転速度を維持した場合、これらに対応する一本の性能曲線(例えば、性能曲線W3)上で、吐出バルブ17の開度に応じて動作点が移動する。
また、吐出バルブ17の開度を維持した場合、これに対応する一本の抵抗曲線(例えば、抵抗曲線R0)上で、インレットガイドベーン11の開度及び電動機14の回転速度に応じて動作点が変化する。
つまり、性能曲線と抵抗曲線との交点が、流体の状態を表す動作点(例えば、動作点K1)になる。
また、図3に示すサージラインJ0,J1は、サージが生じる可能性が高い領域と、それ以外の領域とを区画する線である。前記した「サージ」は、振動を伴う不安定現象であり、流量が小さい領域で発生しやすい。
インレットガイドベーン11を全開にした状態で(開度IGV=IGV0)、サージラインJ0よりも流量が小さくなる側に動作点が存在する場合、サージが発生する可能性が高くなる。
また、インレットガイドベーン11を開度IGV1に絞った状態で(IGV=IGV1)、サージラインJ1よりも流量が小さくなる側に動作点が存在する場合、サージが発生する可能性が高くなる。
このようにサージラインの位置は、インレットガイドベーン11の開度によって変化する。
<制御装置の動作>
本実施形態では、一例として、流体機械1の目標圧力Pdest(図3参照)を固定値とし、空気の流量を変化させる場合について説明する。
図4は、制御装置が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS11において制御装置20は、目標流量Qdestを設定する。目標流量Qdestについては、負荷側の状態に応じて設定してもよいし、運転スケジュール従って変更してもよい。なお、流体の目標圧力Pdestは、前記したように一定である。
ステップS12において制御装置20は、流量センサ18a(図1参照)によって検出された現在の流量Qを読み込む。
ステップS13において制御装置20は、ステップS12で読み込んだ流量Qが、閾値Q1crit(図3参照)よりも大きいか否かを判定する。ここで、閾値Q1critは、動作点の流量が「大流量領域」に存在するか否かの判定基準となる閾値である。
前記した「大流量領域」とは、インレットガイドベーン11を全開で維持しつつ、吐出圧力を目標圧力Pdestにする際に許容される流量の範囲である。
例えば、インレットガイドベーン11を全開にし(IGV=IGV0)、電動機14を定格回転速度Nrで駆動した場合(N=Nr)、動作点は、吐出バルブ17の開度に応じて性能曲線W1(図3参照)上で移動する。
また、インレットガイドベーン11を全開にし(IGV=IGV0)、電動機14を閾値N1critで駆動した場合(N=N1crit<Nr)、動作点は、吐出バルブ17の開度に応じて性能曲線W2(図3参照)上で移動する。
図3に示すように、性能曲線W2上において吐出圧力を目標圧力Pdestにしたときの動作点K4は、サージラインJ0(破線)に達している。仮に、電動機14を閾値N1crit未満で駆動した場合、直線:P=Pdestと性能曲線(図示せず)との交点がサージ領域に入ってしまう。したがって、インレットガイドベーン11を全開にして大流量にした状態で(IGV=IGV0)、吐出圧力を目標圧力Pdestにする際に許容される流量の最小値は閾値Q1critになる。
また、図3に示す「小流量領域」とは、インレットガイドベーン11を開度IGV1まで絞った場合(IGV=IGV1)、吐出圧力を目標圧力Pdestにする際に許容される流量の範囲である。
つまり、目標圧力Pdestに基づき、吐出バルブ17の開度IGV0(全開)に対応して大流量領域が設定され、開度IGV1に対応して小流量領域が設定されている。
図4のステップS13で流量Qが閾値Q1critよりも大きい場合(S13→Yes)、制御装置20の処理はステップS14に進む。この場合、現在の動作点は、図3に示す大流量領域内に存在する。
ステップS14において制御装置20は、現在の流量Qが目標流量Qdestよりも大きいか否かを判定する。つまり、制御装置20は、動作点を目標点G1(図3参照)に近づける際、流量Qを減少させるべきか否かを判定する。なお、「目標点」とは、目標流量Qdest及び目標圧力Pdestで特定される点である。
現在の流量Qが目標流量Qdestよりも大きい場合(S14→Yes)、制御装置20の処理はステップS100に進む。
<運転モード1>
ステップS100において制御装置20は、運転モード1を実行する。なお、「運転モード1」とは、動作点が大流量領域(図3参照)に存在する状態から流量を小さくする運転モードである。
運転モード1では、図3に示す動作点K1から目標点G1に動作点を移動させる場合と、図11に示す動作点K1から目標点G2に動作点を移動させる場合と、について順に説明する。
図5及び図6は、制御装置が運転モード1を実行する処理の流れを示すフローチャートである。
なお、図5の「START」時において、流量Q=Q0(図3参照)、吐出圧力P=Pdest(図3参照)、電動機14の回転速度N=N0、インレットガイドベーン11は全開(IGV=IGV0)、吐出バルブ17も全開(F=F0)であるものとする。
ステップS101において制御装置20は、図4のステップS11で設定した目標流量Qdestが、前記した閾値Q1crit(図3参照)よりも大きいか否かを判定する。
目標流量Qdestが閾値Q1critよりも大きい場合(S101→Yes)、制御装置20の処理はステップS102に進む。この場合、図3の動作点K1に示すように、流量Q0及び目標流量Qdestのいずれも大流量領域に含まれている(S13→Yes,S101→Yes)。したがって、大流量領域(対象領域)内で動作点を移動させればよいことになる。
ステップS102において制御装置20は、流量Qを目標流量Qdestに近づけるように、電動機14の回転速度を変更する。
図7は、図5のステップS102の処理によって動作点が動く様子を示す説明図である。なお、実線W3は、ステップS102の処理前の動作点K1を含む性能曲線であり、実線W4は、ステップS102の処理後の動作点K5を含む性能曲線である。
インレットガイドベーン11の開度、及び吐出バルブ17の開度を維持した状態で電動機14の回転速度を下げると(S102)、抵抗曲線R0に沿って概略として流量0、吐出圧力0の方向に動作点が移動する(図7の矢印を参照)。
なお、回転速度の下げ幅は、予め設定された値であってもよいし、現在の流量Qと目標流量Qdestとの差分に基づく値であってもよい。
図5のステップS103において制御装置20は、回転速度センサ18eによって検出された電動機14の回転速度Nが、閾値N1critを超えているか否かを判定する。この閾値N1critは、流量Qを閾値Q1critまで下げた場合における電動機14の回転速度である(図7の性能曲線W2を参照)。
電動機14の回転速度Nが閾値N1critを超えている場合(S103→Yes)、現在の動作点はサージラインJ0よりも流量が小さくなる側のサージ領域に入っていない。したがって、大流量領域内で動作点をさらに移動させるべく、制御装置20の処理はステップS104に進む。
ステップS104において制御装置20は、流量Qが目標流量Qdestに達しているか否かを判定する。流量Qが目標流量Qdestに達している場合(S104→Yes:図7の動作点K5を参照)、制御装置20の処理は図6のステップS105に進む。一方、流量Qが目標流量Qdestに達していない場合(S104→No)、制御装置20の処理はステップS102に戻る。
図6のステップS105において制御装置20は、吐出圧力センサ18dによって検出された吐出圧力Pが、目標圧力Pdestに達しているか否かを判定する。図7に示す動作点K5では、流量Qが目標流量Qdestに達しているものの、吐出圧力PAが目標圧力Pdestよりも低くなっている。これは、電動機14の回転速度を変化させたことで(S102)、抵抗曲線R0に沿って動作点が移動したからである。
吐出圧力Pが目標圧力Pdestに達している場合(S105→Yes)、制御装置20は処理を終了する(END)。この場合、動作点は目標点G1(図7参照)に達している。
一方、吐出圧力Pが目標圧力Pdestに達していない場合(S105→No)、制御装置20の処理はステップS106に進む。
ステップS106において制御装置20は、吐出圧力Pを目標圧力Pdestに近づけるように、吐出バルブ17の開度を変更する。
図8は、図6のステップS106の処理によって動作点が動く様子を示す説明図である。なお、破線R2は、ステップS106の処理後の動作点K6を含む抵抗曲線である。
インレットガイドベーン11の開度、及び電動機14の回転速度を維持した状態で吐出バルブ17を開度F2まで絞ると(S106)、性能曲線W4に沿って動作点が図8の座標軸において流量が小さく吐出圧力が大きくなる向きに移動する(図8の矢印を参照)。このように、制御装置20は、吐出バルブ17の開度を小さくすることによって、流体の吐出圧力を上昇させる。
次に、ステップS107において制御装置20は、吐出圧力Pが目標圧力Pdestに達しているか否かを判定する。吐出圧力Pが目標圧力Pdestに達している場合(S107→Yes:図8の動作点K6を参照)、制御装置20の処理はステップS108に進む。
一方、吐出圧力Pが目標圧力Pdestに達していない場合(S107→No)、制御装置20の処理はステップS106に戻る。
ステップS108において制御装置20は、流量Qが目標流量Qdestに達しているか否かを判定する。図8に示す動作点K6では、吐出圧力Pが目標圧力Pdestに達しているものの、流量QBが目標流量Qdestよりも小さくなっている。これは、吐出バルブ17の開度を小さくしたことで(S106)、性能曲線W4に沿って動作点が移動したからである。
流量Qが目標流量Qdestに達している場合(S108→Yes)、制御装置20は処理を終了する(END)。一方、流量Qが目標流量Qdestに達していない場合(S108→No)、制御装置20の処理はステップS109に進む。
ステップS109において制御装置20は、流量Qを目標流量Qdestに近づけるように電動機14の回転速度を変更する。
図9は、図6のステップS109の処理によって動作点が動く様子を示す説明図である。なお、実線W5は、ステップS109の処理後の動作点K7を含む性能曲線である。
インレットガイドベーン11の開度、及び吐出バルブ17の開度を維持した状態で電動機14の回転速度を上げると(S109)、抵抗曲線R2に沿って動作点が図9の座標軸において流量及び吐出圧力の両方が増大する向きに移動する(図9の矢印を参照)。
ステップS110において制御装置20は、流量Qが目標流量Qdestに達しているか否かを判定する。流量Qが目標流量Qdestに達している場合(S110→Yes:図9の動作点K7を参照)、制御装置20の処理はステップS105に戻る。その後、吐出圧力Pが目標圧力Pdestに達していない場合(S105→No)、ステップS106において制御装置20は再び吐出バルブ17の開度を変更する。
図10は、図6のステップS106(2サイクル目)の処理によって動作点が動く様子を示す説明図である。なお、破線R3は、ステップS106(2サイクル目)の処理後の動作点K8を含む抵抗曲線である。
インレットガイドベーン11の開度、及び電動機14の回転速度を維持した状態で吐出バルブ17の開度を大きくすると(S106)、性能曲線W5に沿って動作点が図10の座標軸において流量は大きく吐出圧力は小さくなる向きに移動する(図10の矢印を参照)。
このように、制御装置20は、電動機14の回転速度と、吐出バルブ17の開度と、を交互に調整することで(S106,S109)、動作点を目標点G1に近づけていく。
また、図6のステップS110で流量Qが目標流量Qdestに達していない場合(S110→No)、制御装置20の処理はステップS111に進む。
ステップS111において制御装置20は、吐出圧力Pが上限圧力Pcrit(図9参照)を超えているか否かを判定する。なお、上限圧力Pcrit(>Pdest)は、流体機械1の構造等に基づいて予め設定されている。
吐出圧力Pが上限圧力Pcritを超えている場合(S111→Yes)、制御装置20の処理はステップS112に進む。例えば、電動機14の回転速度の変更(S109)に伴うオーバーシュートや、負荷側の状態の変化等によって、吐出圧力Pが上限圧力Pcritを超えることがある。
一方、吐出圧力Pが上限圧力Pcritを超えていない場合(S111→No)、制御装置20の処理はステップS109に戻る。
ステップS112において制御装置20は、吐出圧力Pを目標圧力Pdestに近づけるように、吐出バルブ17の開度を変更する(大きくする)。吐出バルブ17の開度を大きくすることで抵抗曲線の勾配が緩やかになり、吐出圧力Pを上限圧力Pcrit以下まで下げることができる。
ステップS113において制御装置20は、吐出圧力Pが目標圧力Pdestに達しているか否かを判定する。吐出圧力Pが目標圧力Pdestに達している場合(S113→Yes)、制御装置20の処理はステップS114に進む。
一方、吐出圧力Pが目標圧力Pdestに達していない場合(S113→No)、制御装置20の処理はステップS112に戻る。
ステップS114において制御装置20は、流量Qが目標流量Qdestに達しているか否かを判定する。流量Qが目標流量Qdestに達している場合(S114→Yes)、制御装置20は処理を終了する(END)。一方、流量Qが目標流量Qdestに達していない場合(S114→No)、制御装置20の処理は図5のステップS102に戻る。
また、図5のステップS101で目標流量Qdestが閾値Q1crit以下である場合(S101→No)、制御装置20の処理はステップS115に進む。この場合、現在の流量Qは大流量領域に含まれているが(S13→Yes:図4参照)、目標流量Qdestは小流量領域に含まれている(S101→No)。
なお、ステップS103で回転速度Nが閾値N1crit以下である場合も(S103→No)、制御装置20の処理はステップS115に進む。この場合、図3に示すサージラインJ0よりも流量が小さくなる側のサージ領域に動作点が入っている。したがって、次に説明するステップS115の処理(インレットガイドベーン11の開度変更)によって、サージラインの位置を、図3に示すサージラインJ1まで移動させる。
ステップS115において制御装置20は、インレットガイドベーン11を開度IGV1まで絞る。
図11は、図5のステップS115の処理によって動作点が動く様子を示す説明図である。電動機14の回転速度、及び吐出バルブ17の開度(全開)を維持した状態で、インレットガイドベーン11を開度IGV1まで絞ると、動作点K1は抵抗曲線R0に沿って動作点K9に移動する。つまり、大流量領域から小流量領域に動作点が移動する。
このように本実施形態では、インレットガイドベーン11の開度を調整することで、大流量領域・小流量領域のうち、目標点G2の目標流量Qdestを含む小流量領域(対象領域)内に動作点を移動させるようにした。
ここで、図11を参照しつつ、小流量領域について簡単に説明する。
例えば、インレットガイドベーン11を開度IGV1まで絞り(IGV=IGV1)、電動機14を定格回転速度Nrで駆動した場合(N=Nr)、動作点は、吐出バルブ17の開度に応じて性能曲線W11上で移動する。
また、インレットガイドベーン11を開度IGV1まで絞り(IGV=IGV1)、電動機14を閾値N2critの回転速度で駆動した場合(N=N2crit<Nr)、動作点は、吐出バルブ17の開度に応じて性能曲線W12上で移動する。
図11に示すように、性能曲線W12上において吐出圧力を目標圧力Pdestにしたときの動作点K10は、サージラインJ1(破線)に達している。したがって、インレットガイドベーン11を開度IGV1に絞った状態において、吐出圧力を目標圧力Pdestにする際に許容される最小流量は閾値Q2critである。
図5のステップS116において制御装置20は、電動機14の回転速度Nが閾値N2critを超えているか否かを判定する。この閾値N2critは、前記した流量の閾値Q2critに対応する回転速度である(図11の性能曲線W12を参照)。
電動機14の回転速度Nが閾値N2critを超えている場合(S116→Yes)、制御装置20の処理はステップS118に進む。この場合、現在の動作点は、サージラインJ1(図11参照)よりも流量が小さくなる側のサージ領域に入っていない。
一方、電動機14の回転速度Nが閾値N2crit以下である場合(S116→No)、制御装置20の処理はステップS117に進む。この場合、前記したサージ領域に動作点が入っている。
ステップS117において制御装置20は、電動機14の回転速度を閾値N2critよりも大きくする。これによって流量を大きくし、動作点をサージ領域から脱出させることができる。
ステップS118において制御装置20は、吐出圧力Pが目標圧力Pdestに達しているか否かを判定する。吐出圧力Pが目標圧力Pdestに達している場合(S118→Yes)、制御装置20の処理は図6のステップS108に進む。その後、制御装置20は、電動機14の回転速度と、吐出バルブ17の開度と、を交互に調整することで(S106,S109)、動作点を目標点G2(図11参照)に近づけていく。
一方、図5のステップS118で吐出圧力Pが目標圧力Pdestに達していない場合(S118→No)、制御装置20の処理はステップS119に進む。
ステップS119において制御装置20は、吐出圧力Pを目標圧力Pdestに近づけるように、吐出バルブ17の開度を変更する。
ステップS120において制御装置20は、吐出圧力Pが目標圧力Pdestに達しているか否かを判定する。吐出圧力Pが目標圧力Pdestに達している場合(S120→Yes)、制御装置20の処理は図6のステップS108に進む。一方、吐出圧力Pが目標圧力Pdestに達していない場合(S120→No)、制御装置20の処理はステップS119に戻る。
なお、ステップS101〜S114の一連の処理中、制御装置20は、電動機14を定格回転速度Nr以下で駆動させる。前記したように、吐出バルブ17の開度を小さくすることで吐出圧力が高められるため、定格回転速度Nrを超えて電動機14を駆動する必要がないためである。
<運転モード2>
また、図4のステップS14で現在の流量Qが目標流量Qdest以下である場合(S14→No)、制御装置20の処理はステップS200に進む。
ステップS200において制御装置20は、運転モード2を実行する。ここで「運転モード2」とは、大流量領域において流体機械1の流量を大きくする運転モードである。
図12は、制御装置が運転モード2を実行する処理の流れを示すフローチャートである。
なお、図12の「START」時において、流量Q=Q1、吐出圧力P=Pdest、電動機14の回転速度N=N1、インレットガイドベーン11は全開(IGV=IGV0)、吐出バルブ17の開度F=F1(<F0:全開)であるものとする。
ステップS201において制御装置20は、目標流量Qdestが上限流量Qmax(図3参照)を超えているか否かを判定する。この上限流量Qmaxは、インレットガイドベーン11を全開とし、電動機14を定格回転速度Nrで駆動した場合において、吐出圧力Pが目標圧力Pdestになるときの流量である。
ステップS202において制御装置20は、目標流量Qdestが上限流量Qmaxを超えている旨のエラーメッセージをディスプレイ(図示せず)に表示させる。
ステップS203において制御装置20は、操作者の操作に応じて、目標流量Qdestを上限流量Qmax以下の値に再設定する。なお、ステップS202の処理を省略し、操作者による操作を介在させずに目標流量Qdestを再設定するようにしてもよい。
ステップS204において制御装置20は、吐出バルブ17を全開にする。吐出バルブ17を全開にすることで抵抗曲線の勾配が緩やかになり(図3の抵抗曲線R0を参照)、性能曲線W3に沿って動作点が図3の座標軸において流量が増大し吐出圧力は減少する向きに移動する。その結果、流量Qが大きくなるとともに、吐出圧力Pが低下する。このように本実施形態では、吐出バルブ17をいったん全開にして大流量にすることでサージを防止し、その後の処理によって動作点を目標点(図示せず)に近づけるようにした。
ステップS205において制御装置20は、流量Qを目標流量Qdestに近づけるように、定格回転速度Nr以下の範囲で電動機14の回転速度を変更する。
ステップS206において制御装置20は、流量Qが目標流量Qdestに達しているか否かを判定する。流量Qが目標流量Qdestに達している場合(S206→Yes)、制御装置20の処理は、図6のステップS105に進む。その後、制御装置20は、電動機14の回転速度と、吐出バルブ17の開度と、を交互に調整することで(S106,S109)、動作点を目標点(図示せず)に近づけていく。
一方、図12のステップS206で流量Qが目標流量Qdestに達していない場合(S206→No)、制御装置20の処理はステップS205に戻る。
<運転モード3>
また、図4のステップS13で現在の流量Qが閾値Q1crit(図3参照)以下である場合(S13→No)、制御装置20の処理はステップS15に進む。この場合、動作点は小流量領域内に存在している。
ステップS15において制御装置20は、現在の流量Qが目標流量Qdestよりも大きいか否かを判定する。現在の流量Qが目標流量Qdestよりも大きい場合(S15→Yes)、制御装置20の処理はステップS300に進む。
ステップS300において制御装置20は、運転モード3を実行する。ここで「運転モード3」とは、小流量領域において流量を小さくする運転モードである。
運転モード3に関する一連の処理は、運転モード1で説明した図6のフローチャートのステップS105〜S114の処理と同様である。つまり、制御装置20は、電動機14の回転速度と、吐出バルブ17の開度と、を交互に変化させることで(S106,S109)、動作点を目標点(図示せず)に近づけていく。
なお、運転モード3では、ステップS114で流量Qが目標流量Qdestに達していない場合(S114→No)、制御装置20の処理をステップS109に戻すようにする。
<運転モード4>
また、図4のステップS15で現在の流量Qが目標流量Qdest以下である場合(S15→No)、制御装置20の処理はステップS400に進む。
ステップS400において制御装置20は、運転モード4を実行する。ここで「運転モード4」とは、動作点が小流量領域に存在する状態から流量を大きくする運転モードである。
図13は、制御装置が運転モード4を実行する処理の流れを示すフローチャートである。
なお、図13の「START」時において、流量Q=Q2、吐出圧力P=Pdest、電動機14の回転速度N=N2、インレットガイドベーン11の開度IGV=IGV1、吐出バルブ17の開度F=F2である。前記したように、インレットガイドベーン11の開度IGV=IGV1であるから、現在の動作点は小流量領域に存在している(例えば、図3の動作点K3)。
ステップS401において制御装置20は、目標流量Qdestが閾値Q3crit以下であるか否かを判定する。閾値Q3critは、インレットガイドベーン11を開度IGV1まで絞った状態で、吐出圧力を目標圧力Pdestとする際に許容される最大限の流量である。すなわち電動機14を定格回転速度Nrで駆動したとき、性能曲線W11(図3参照)上で吐出圧力P=Pdestになるときの流量である。
なお、図3に示す例では、目標流量Qdestとして大流量領域で許容される下限の閾値Q1critと、小流量領域で許容される上限の閾値Q3critと、が等しい場合を示したが、閾値Q1crit,Q3critは互いに異なる値であってもよい。
ステップS401で目標流量Qdestが閾値Q3crit以下である場合(S401→Yes)、制御装置20の処理はステップS402に進む。この場合、現在の流量Q及び目標流量Qdestのいずれも小流量領域に含まれているため(S13→No,S401→Yes)、小流量領域(対象領域)で動作点を移動させればよいことになる。
ステップS402において制御装置20は、吐出バルブ17を全開(F=F0)にする。吐出バルブ17を全開にすることで抵抗曲線の勾配は緩やかになり、性能曲線W13(図3参照)に沿って動作点が図3の座標軸において流量が増大し吐出圧力は減少する向きに移動する。このように、吐出バルブ17をいったん全開にすることでサージの発生を防止し、その後の処理で動作点を目標点(図示せず)に近づけるようにした。
ステップS403において制御装置20は、流量Qが目標流量Qdestに達しているか否かを判定する。流量Qが目標流量Qdestに達している場合(S403→Yes)、制御装置20は図6に示すステップS105〜S114の処理を実行する。なお、運転モード4では、ステップS114で流量Qが目標流量Qdestに達していない場合(S114→No)、制御装置20の処理をステップS109に戻すようにする。
また、図13のステップS403で流量Qが目標流量Qdestに達していない場合(S403→No)、制御装置20の処理はステップS404に進む。
ステップS404において制御装置20は、流量Qを目標流量Qdestに近づけるように、電動機14の回転速度を変更する。
ステップS405において制御装置20は、流量Qが目標流量Qdestに達しているか否かを判定する。流量Qが目標流量Qdestに達している場合(S405→Yes)、制御装置20は、図5に示すステップS105〜S114の処理を実行する。
一方、流量Qが目標流量Qdestに達していない場合(S405→No)、制御装置20の処理はステップS404に戻る。
また、ステップS401で目標流量Qdestが閾値Q3critよりも大きい場合(S401→No)、制御装置20の処理はステップS406に進む。この場合、現在の流量Qは小流量領域に含まれているが(S13→No:図4参照)、目標流量Qdestは大流量領域に含まれている(S401→No)。
ステップS406において制御装置20は、吐出バルブ17を全開にする(F=F0)。つまり、動作点の流量Qよりも目標流量Qdestが大きい場合、制御装置20は、動作点を大流量領域(対象領域)に移動させる際に吐出バルブを全開にする。
このように吐出バルブ17を全開にすることで抵抗曲線の勾配が緩やかになり、性能曲線W13(図3参照)に沿って動作点が図3の座標軸において流量が増大し吐出圧力は減少する向きに移動する。したがって、その後にインレットガイドベーン11を全開にしたとき(S407)、吐出圧力Pが上限圧力Pcritを超えることを防止できる。
ステップS407において制御装置20は、インレットガイドベーン11を全開にする(IGV=IGV0)。そうすると、動作点は抵抗曲線R0(図3参照)に沿って小流量領域から大流量領域(対象領域)に移動する。
ステップS408において制御装置20は、流量Qが目標流量Qdestに達しているか否かを判定する。流量Qが目標流量Qdestに達している場合(S408→Yes)、制御装置20は図6に示すステップS105〜S114の処理を実行する。一方、流量Qが目標流量Qdestに達していない場合(S408→No)、制御装置20の処理はステップS404に進む。
なお、制御装置20は、運転モード1と同様に、運転モード2〜4の実行中も電動機14を定格回転速度Nr以下で駆動させ続けている。
<効果>
本実施形態によれば、電動機14の回転速度及び吐出バルブ17の開度を調整することで、動作点を目標点に向けて徐々に近づけることができる。例えば、電動機14の回転速度の低下に伴って吐出圧力Pが下がっても(目標圧力Pdestから遠ざかっても)、その後に吐出バルブ17の開度を小さくすることで、吐出圧力Pを目標圧力Pdestに近づけることができる。
このように、吐出バルブ17を絞ることで目標圧力Pdestに対する吐出圧力Pの不足分を補うことができる。したがって、電動機14を定格回転速度以下で使用しつつ動作点を目標点G1まで移動させ、目標流量Qdest及び目標圧力Pdestの空気を負荷側に供給できる。
前記したように、特許文献1,2に記載の技術では、定格回転速度Nrを超えて電動機14を駆動する必要があったが、本実施形態では電動機14を常に定格回転速度Nr以下で駆動できる。ちなみに、流体機械1に用いられる電動機14の消費電力は、電動機14の回転速度の3乗に比例する。したがって、本実施形態によれば、従来と比較して電動機14の消費電力を大幅に低減できる。
また、インレットガイドベーン11の開度を変更することで、大流量領域及び小流量領域の一方から他方に動作点を移動させることができる。その後は、電動機14の回転速度及び吐出バルブ17の開度を調整することで、大流量領域又は小流量領域の中で動作点を目標点に近づけることができる。このように、本実施形態によれば、動作点がサージ領域に入らないようにしつつ、インレットガイドベーン11の開度に応じて広い流量制御範囲を確保できる。
≪変形例≫
以上、本発明に係る流体機械1の制御装置20について説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、前記実施形態では、目標圧力Pdestが固定値である場合について説明したが、これに限らない。すなわち、負荷側の状態に応じて目標圧力Pdestを変化させるようにしてもよい。
この場合、制御装置20は、目標圧力Pdestの変化に応じて、大流量領域及び小流量領域の範囲を変更することが好ましい。目標圧力PdestとサージラインJ0との交点(動作点K4:図3参照)の閾値Q1critは、目標圧力Pdestの値によって変化するからである。
また、目標圧力Pdestを可変にする場合において、大流量領域(IGV=IGV0)及び小流量領域(IGV=IGV1)を設定せずに、インレットガイドベーン11の開度を徐々に変化させるようにしてもよい。すなわち、制御装置20は、電動機14の回転速度、インレットガイドベーン11の開度、及び吐出バルブ17の開度を連続的に変化させることで、動作点を目標点に近づけるようにしてもよい。
また、前記実施形態では、インレットガイドベーン11の開度(IGV=IGV0,IGV1)に対応して、目標流量Qdestの範囲を大流量領域・小流量領域の2つに分ける場合について説明したが、これに限らない。すなわち、インレットガイドベーン11の開度に対応して、目標流量Qdestの範囲を3つ以上に分けるようにしてもよい。この場合において、隣り合う流量範囲が接するようにしてもよいし、重なり合うようにしてもよい。
また、前記実施形態では、流体機械1がターボ型単段ブロワである場合について説明したが、これに限らない。例えば、遠心型圧縮機等、他の種類の流体機械にも前記実施形態を適用できる。
また、前記実施形態では、「流体」が空気である場合について説明したが、空気以外のガス(流体)を流体機械1で圧縮する場合にも前記実施形態を適用できる。
また、前記した各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。
また、前記した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
1 流体機械
11 インレットガイドベーン
12 アクチュエータ
13 羽根車
14 電動機
15 ディフューザベーン
16 ケーシング
17 吐出バルブ
18a 流量センサ
18b 吸入圧力センサ
18c 吸入温度センサ
18d 吐出圧力センサ
18e 回転速度センサ
20 制御装置

Claims (5)

  1. ケーシング内に配置され、回転することで流体を圧縮する羽根車と、
    前記羽根車に連結され、前記羽根車を回転させる電動機と、
    前記羽根車の吸入側に配置されるインレットガイドベーンと、
    前記羽根車の吐出側に配置される吐出バルブと、を備える流体機械を制御する制御装置であって、
    前記電動機の回転速度、前記インレットガイドベーンの開度、及び前記吐出バルブの開度を調整することで、流体の流量及び吐出圧力で特定される動作点を所定の目標点に近づける制御を実行し、
    前記制御を実行する際、前記吐出バルブの開度を小さくすることによって流体の吐出圧力を上昇させること
    を特徴とする流体機械の制御装置。
  2. 前記インレットガイドベーンの開度に対応して複数の流量領域が設定され、
    前記制御装置は、
    前記インレットガイドベーンの開度を調整することで、複数の前記流量領域のうち、前記目標点の目標流量を含む対象領域内に前記動作点を移動させ、
    前記電動機の回転速度、及び前記吐出バルブの開度を調整することで、前記対象領域内において前記動作点を前記目標点に近づけること
    を特徴とする請求項1に記載の流体機械の制御装置。
  3. 前記動作点の流量よりも前記目標流量が大きい場合、前記動作点を前記対象領域内に移動させる際に前記吐出バルブを全開にすること
    を特徴とする請求項2に記載の流体機械の制御装置。
  4. 前記動作点を前記目標点に近づける前記制御の実行中、
    前記電動機を定格回転速度以下で駆動すること
    を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の流体機械の制御装置。
  5. ケーシング内に配置され、回転することで流体を圧縮する羽根車と、
    前記羽根車に連結され、前記羽根車を回転させる電動機と、
    前記羽根車の吸入側に配置されるインレットガイドベーンと、
    前記羽根車の吐出側に配置される吐出バルブと、を備える流体機械を制御する制御方法であって、
    前記電動機の回転速度、前記インレットガイドベーンの開度、及び前記吐出バルブの開度を調整することで、流体の流量及び吐出圧力で特定される動作点を所定の目標点に近づける制御を実行し、
    前記制御を実行する際、前記吐出バルブの開度を小さくすることによって流体の吐出圧力を上昇させること
    を特徴とする流体機械の制御方法。
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