JP2016076576A - 光線指向特性測定装置および光線指向特性測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光線指向特性測定装置1は、基板13と、下部半導体層14と、活性層15と、上部半導体層16とが順に積層され、上部半導体層16の表面に、所定領域を取り囲むように表面から突出して設けられ、先端の射出面から光を放射する光線指向制御部11,12を備える評価用試料10に、基板13の材料のバンドギャップエネルギーよりも小さく、かつ、活性層15の材料のバンドギャップエネルギーよりも大きいエネルギーをもつ励起光を発生させ、この励起光を下部半導体層14側から光線指向制御部11,21、12の中心の直下を含む一部の発光領域15aに照射する発光手段20と、評価用試料10の光線指向制御部11,21、12から射出された光線の指向特性を測定する光検出装置30と、を備える。
【選択図】図1
Description
図7に示すように、特許文献1に記載の発光素子(光線指向型発光素子)110は、n型半導体層114と活性層115とp型半導体層116とが積層され、p型半導体層116の上に複数(図7では3つ)の光線指向制御部(半導体柱状部)111,121,112が形成されている。この発光素子110において、光線指向制御部121,112の高さが、光線指向制御部111の高さと異なるように形成されており、さらに、光線指向制御部121,112の高さが光線指向制御部111の高さよりも高くなるように形成されている。
例えば、p型半導体層116の表面にp型電極が設けられ、n型半導体層114の側面にn型電極が設けられる。このp型電極とn型電極とは、仕事関数が異なる金属材料により形成しなければならないため製造工数が増えてしまう。また、発光素子は微細な構造物であるため、電極の正確な位置合わせには手間と時間を要してしまう。そのため、光線指向制御部111,121,112の高さの差を変えた発光素子を複数作製し、それぞれについて指向特性を測定しようとすると多大な手間と時間を要してしまう。
図7に示したLED構造のp型領域とn型領域とを反転させた構造として、p型領域の上方にn型領域を形成し、円柱構造物をn型半導体によって形成した構造では、n型電極を複数の円柱構造物用の共通電極として使用することができる。そのため、円柱構造物側への外部からの電極配線は共通化されてデバイス作製は容易化される。しかし、発光領域を円柱構造物直下の領域に限定させる必要があるため、p型半導体領域の下方に、微細なp型電極の形成が必要となってしまう。このため、図7の構造を作製する場合と同様、電極の正確な位置合わせや電極配線には手間と時間を要してしまう。
つまり、評価用試料の光線指向制御部において、発光素子の光線指向制御部から出射される光線と同等の光線を出射することができる。よって、この評価用試料の光線指向制御部から出射される光線の特性を測定することは、発光素子の光線指向制御部から出射される光線の特性を測定することと同義であるといえる。そのため、光線指向特性測定装置によれば、発光素子を作製しなくても、発光素子よりも構成が簡素で作製が容易な評価用試料を作製することで、発光素子の光線指向制御部から出射される光線の特性を正確に測定することができる。
そして、このようにして測定された光線の特性に基づいて、発光素子の光線指向制御部の設計の妥当性や形状の正確性の評価を行うことが可能となる。
仮に発光手段から評価用試料に照射される励起光のエネルギーが基板の材料のバンドギャップエネルギーよりも大きい場合、励起光が基板を透過するときに、基板によって一部吸収されてしまう。そのため、下部半導体層、活性層および上部半導体層に入射される光量は、照射された励起光の光量よりも少なくなってしまう。これに対し、発光手段から評価用試料に照射する励起光のエネルギーを、基板のバンドギャップエネルギーよりも小さくすることで、評価用試料の基板側から照射された励起光を、光量を減らさずに、下部半導体層、活性層および上部半導体層に入射させることができる。
また、本発明によれば、発光手段により評価用試料に励起光を照射することで、下部半導体層、活性層および上部半導体層を励起して、活性層のみから光を発生させることができるので、試料表面に電極を形成する必要がなくなる。これにより、電極領域や大きさ、外部配線の形状等により光の干渉の状態が変化するのを回避することができるので、光線指向制御部の構造のみにより得られる光線の指向特性を正確に測定することが可能となる。さらに、発光素子よりも構成を簡素化することができ作製が容易となる。そのため、本発明によれば、発光素子の光線指向制御部として有効な構造を迅速かつ簡易に見つけ出すことが可能となる。
図1及び図2に示すように、光線指向特性測定装置1は、評価用試料10と、発光手段20と、光検出装置30と、を備えている。なお、図1では発光手段20を簡略化して示している。以下では、図3(a),(c)を適宜参照し、図3(b)に示した従来の発光素子110と適宜対比しながら、図3(c)に示した評価用試料10の構成を説明する。なお、図3(b)に示した発光素子110の構成は、光線指向制御部121の高さを他の2本と変えている以外について、図7を参照して説明した発光素子110の構成と同様であるので、ここでは説明を適宜省略する。
ここでは、光線指向制御部11,21,12は、光線指向制御部11,21,12のそれぞれの中心を通る円周の中心と試料表面の中心とが同軸上に位置するように、試料表面に設けられている。
図1に示すように、発光手段20から照射された励起光は、評価用試料10の下側、具体的には基板13の下側から基板13に入射され、この励起光が、基板13を透過して、下部半導体層14、活性層15および上部半導体層16に入射される。
活性層15は、下部半導体層14、当該活性層15および上部半導体層16内に励起光が侵入した部分において光励起されて、当該活性層の発光(フォトルミネッセンス)を生じる。つまり、下部半導体層14、活性層15および上部半導体層16では、励起光が入射されると、励起光が侵入した領域では、熱平衡状態よりも過剰の電子・正孔対が形成される。そして、活性層15中において、熱平衡状態に戻ろうとするときに電子と正孔とが再結合することで発光する。
評価用試料10の光線指向制御部11,21,12のそれぞれの射出面11a,21a,12aから射出した光の干渉によって形成される光線の強度は、下部半導体層14、活性層15および上部半導体層16に入射される励起光の量、および、活性層15で発生した光が光線指向制御部11,21,12の内部に取り入れられる量によって変化する。入射される励起光の量が一定量以下であると、活性層15で十分な発光が得られず、光線指向制御部11,21,12の内部に取り入れられる量が一定量以下となってしまう。そのため、評価用試料10の光線指向制御部11,21,12において、発光素子110の光線指向制御部111,121,112と同等の光線を成形することができない。
受光装置31は、光を検出するものである。例えば、受光装置31は、入射した光強度に比例した電圧を出力するフォトディテクタで構成することができる。この受光装置31は、逐次、移動機構50に沿って移動した位置で検出した光強度(電圧)を測定演算部32に出力する。
入力部33は、受光装置31から、光強度を入力するものである。
測定処理部34は、入力部33で入力した光強度と、後記する記憶手段35に記憶されている受光装置31の位置から、光線の指向特性を演算するものである。この測定処理部34は、入力部33から入力される光強度を、記憶手段35に記憶されている現在の受光装置31の位置と対応付けて記憶手段35に記憶し、検出対象となる位置において、すべて光検出を行ったことを外部から指示された段階で、光線の指向特性を演算する。この測定処理部34は、演算により求められた光線の指向特性を出力部36に出力する。
記憶手段35は、現時点の受光装置31の位置を記憶するとともに、逐次、受光装置31で検出された光強度と、検出時における受光装置31の位置とを対応付けて記憶するものである。この記憶手段35は、一般的なメモリ等で構成することができる。
出力部36は、測定処理部34で演算された光線の指向特性を表示装置に出力するものである。
なお、測定演算部32では、実測された光線の指向特性とFDTD(Finite-Difference Time-Domain)法等のシミュレーションにより得られた光線の指向特性との差分を演算することにより、光線指向制御部の設計の妥当性と形状の正確性を評価するようにしてもよい。
すなわち、光検出装置30は、移動機構50の軌道上において、評価用試料10の試料表面に対する角度を変えながら光を検出することで、指向特性を測定する。より具体的には、光検出装置30は、評価用試料10の試料表面の中心から所定距離真上に離間した位置を天頂部とする半球面を仮定し、この半球面上で位置(法線Mに対する角度)を変えながら光を検出し、指向特性を測定する。
制御信号入力部61は、外部から、受光装置31の半球面上の位置情報を入力するものである。なお、位置情報とは、法線Mに対する角度(X方向の角度、Y方向の角度)である。この制御信号入力部61は、入力された位置情報を、制御信号処理部62に出力する。
制御信号出力部63は、制御信号処理部62で生成された制御信号を移動機構50に出力するものである。
このように、移動制御部60は、外部から順次半球面上の位置情報を入力されることで、受光装置31を半球面体上の所望の位置に移動させることができる。なお、図4(b)示す画像では、原点(中心)Oにおける法線Mに対して、X方向の位置において電界強度が最大となる位置が傾斜角度として示されることで、光線の傾斜を判断することが可能となり、図4(b)では、原点O(図4(a)参照)から右側に光線が傾いていることが分かる(例えば、図4(b)のX方向の角度では4度)。
本実施形態の光線指向特性測定装置1により、評価用試料10の光線指向制御部11,21,12から射出された光線の指向特性を測定するFDTD(Finite-Difference Time-Domain)法によるシミュレーションを行った。なお、図4、図5中に示したシミュレーション結果は、FDTD法で導かれた光を電磁波として取り扱った結果で、電界強度成分の分布であって、発光強度は電界成分の2乗で表される。その際の発光強度分布は、面内から垂直の方向(Z方向)に5400nm上昇した面内(XY平面)での強度分布を表している。
評価用試料10は、発光素子層(上部半導体層16、活性層15および下部半導体層14)が、GaNにInを添加したLEDである。
基板13はサファイアである。
光線指向制御部11,21,12の直径は、放射光の自由空間における発光波長λ0に相当する465nmとした。
隣り合う光線指向制御部間の間隔は、570nmとした。
光線指向制御部12の高さHは、570nmとした。
また、光線指向制御部11の高さは、光線指向制御部12の高さHから、d(d=δH)を引いた[H−d]nmとしている。なお、柱高低差割合δは、光線指向制御部11,12の高さの差の割合であり(δ=d/H)、この柱高低差割合δの値を変化させることで、光線方向が制御される。そして、光線指向制御部21は、光線指向制御部12,11の中間の高さとしている。また、光線指向制御部21は、光線の指向の制御の精度をより高めるために設置されている。すなわち、光線指向制御部11,12の中間となる高さで、光線指向制御部11、21、12として本数を増やし、光線を発生する射出面11a,21a,12aの数を増加さている。ここでは、図4において、d=180nm、図5においてd=0nmとした場合の結果を示した。
活性層15の発光領域15aの直径は、1605nmとした。また、活性層15と原点Oまでの距離(図2のD1、D2に相当)は、465nmとした。
発光手段20は、SLDを用いた。
光検出装置30のレンズ面(図示せず)と、評価用試料10の表面の中心となる原点Oとの距離を5400nmとした。
このようにして、光検出装置30によって検出された光線の評価を行うことで、光線指向制御部11,21,12の設計の妥当性および形状の正確性が確保されているか否かを確認する(光線指向制御部11,21,12の構造の有効性を評価する)ことが可能となる。
図6に示すように、まず、発光手段20の上側に評価用試料10を配置し、発光手段20において発生させた励起光を、射出面20aから評価用試料10の基板13の底面に照射する(ステップS1:照射ステップ)。
評価用試料10を製造する方法としては、公知の種々の微細加工技術を用いることができる。
評価用試料の製造工程の一例を説明する。まず、バッファ層を介してGaN等からなる発光素子層(上部半導体層16、活性層15および下部半導体層14)が形成された基板13を用意する。バッファ層が積層されたサファイア等の基板13の表面に、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、有機金属化学気相成長(MOCVD)法等の成膜方法により、図3(c)に示すように、下部半導体層14を積層し、次に、InGaNの量子井戸層からなる活性層15を形成し、さらに、上部半導体層16を積層する。
本発明の光線指向特性測定装置は、発光手段から評価用試料の活性層に励起光を照射することで、活性層を励起して発光させるものである。そのため、発光手段20から評価用試料10の活性層15に照射する励起光の照射範囲および位置を変更することで、発光領域15aの変更が可能となる。活性層15の発光領域15aの複数のパターンについて光線指向制御部11,21,12により成形される光線の指向特性を測定することで、発光領域15aの範囲および位置が、光線指向制御部11,21,12により成形される光線にどのような影響を与えるかを予め確認することができる。したがって、この結果を考慮して、実際の発光素子の発光部を設計することが可能となる。
また例えば、評価用試料10の活性層15の発光領域15aを、光線指向制御部11,21,12のそれぞれの柱に対応して6つ設けてもよい。この場合、一つの発光手段20により、6つの発光領域15aに励起光を照射可能とするとよい。
さらに、移動機構50は、半円状の曲線に形成されたレールの両基端を支持し、その支持されている部分に回動軸を有することで、半円状のレールを垂直状態から水平状態の方向に傾斜させることで半球面軌道上を受光装置31が移動できるように構成しても構わない。つまり、移動機構50は、支持する受光装置31を、半球面軌道上の所定位置に移動させる構成であれば特に限定されるものではない。
10 評価用試料
11,21,12 光線指向制御部
13 基板
14 下部半導体層
15 活性層
15a 発光領域
16 上部半導体層
20 発光手段
20a 射出面
30 光検出装置
110 発光素子
111,121,112 光線指向制御部
113 基板
114 n型半導体層
115 活性層
116 p型半導体層
130 光検出装置
Claims (3)
- 評価する発光素子と同じ光線指向制御部を備える評価用試料における前記光線指向制御部から射出された光線の指向特性を、前記発光素子の光線指向制御部から射出された光線の指向特性として測定する光線指向特性測定装置であって、
基板上に下部半導体層と、励起光によって励起されて発光する活性層と、上部半導体層とが順に積層されるとともに、前記上部半導体層の表面から突出して設けられ、先端の射出面から光を放射する複数の柱状の前記光線指向制御部とを備える前記評価用試料と、
前記評価用試料の底面側に配置され、当該評価用試料の前記活性層における前記光線指向制御部の中心の直下を含む領域に、前記活性層の材料のバンドギャップエネルギーよりも大きいエネルギーを有する前記励起光を照射する発光手段と、
前記評価用試料の前記光線指向制御部から射出された光線を前記指向特性として測定する光検出装置と、を備え、
当該活性層の表面から前記光線指向制御部の底面までの距離が、前記発光素子の活性層の表面から前記光線指向制御部の底面までの距離と等しいことを特徴とする光線指向特性測定装置。 - 前記励起光は、前記発光素子の前記基板のバンドギャップエネルギーよりも小さいエネルギーを有することを特徴とする請求項1に記載の光線指向特性測定装置。
- 請求項1または請求項2に記載の光線指向特性測定装置により、評価用試料における前記光線指向制御部から射出された光線の指向特性を、前記発光素子の光線指向制御部から射出された光線の指向特性として測定する光線指向特性測定方法であって、
前記発光手段により、前記評価用試料の底面側から、前記活性層における前記光線指向制御部の中心の直下を含む領域に励起光を照射する照射ステップと、
前記光検出装置により、前記評価用試料の中心から所定距離真上に離間した位置を天頂部とする半球面を仮定し、この半球面に沿って移動機構を介して、前記光線指向制御部から射出された光線の前記指向特性を測定する測定ステップと、を含むことを特徴とする光線指向特性測定方法。
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