以下、本発明の詳細を説明する。
(絶縁性粒子付き導電性粒子)
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る絶縁性粒子付き導電性粒子を示す断面図である。なお、各実施形態における異なる部分構成は、適宜置き換えて、組み合わせることが可能である。
図1に示す絶縁性粒子付き導電性粒子1は、導電性粒子2と、複数の絶縁性粒子3とを備える。
導電性粒子2は、導電部12を少なくとも表面に有する。導電部12の外表面は防錆処理されていることが好ましい。
絶縁性粒子3は、導電性粒子2の表面上に配置されている。複数の絶縁性粒子3は、導電性粒子2の表面に接触しており、導電性粒子2の表面に付着している。複数の絶縁性粒子3は、導電性粒子2における導電部12の外表面に接触しており、導電部12の外表面に付着している。導電性粒子2の表面積全体に占める絶縁性粒子3により被覆されている部分の面積である被覆率は60%以上である。
複数の絶縁性粒子3は、導電性粒子2の表面上で、粒子を膨潤処理することで形成されている。複数の絶縁性粒子3の内の少なくとも一部が互いに、点接触ではなく、面接触している。複数の絶縁性粒子3の全個数の内の少なくとも一部の個数が互いに、面接触している。
導電性粒子2は、基材粒子11と、基材粒子11の表面上に配置された導電部12とを有する。導電部12は導電層である。導電部12は、基材粒子11の表面を覆っている。導電性粒子2は、基材粒子11の表面が導電部12により被覆された被覆粒子である。導電性粒子2は表面に導電部12を有する。
絶縁性粒子3は、絶縁性を有する材料により形成されている。絶縁性粒子3の粒子径は、導電性粒子2の粒子径よりも小さい。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る絶縁性粒子付き導電性粒子を示す断面図である。
図2に示す絶縁性粒子付き導電性粒子21は、導電性粒子22と、複数の絶縁性粒子23とを備える。
導電性粒子22は、導電部26を少なくとも表面に有する。導電部26の外表面は防錆処理されている。絶縁性粒子23は、導電性粒子22の表面上に配置されている。導電性粒子22の表面積全体に占める絶縁性粒子23により被覆されている部分の面積である被覆率は60%以上である。
絶縁性粒子付き導電性粒子1と絶縁性粒子付き導電性粒子21とでは、導電性粒子2,22と、絶縁性粒子3,23とが異なる。
導電性粒子22は、基材粒子11と、基材粒子11の表面上に配置された導電部26とを有する。導電性粒子22は、基材粒子11の表面上に複数の芯物質27を有する。導電部26は、基材粒子11と芯物質27とを被覆している。芯物質27を導電部26が被覆していることにより、導電性粒子22は表面に、複数の突起28を有する。芯物質27により導電部26の表面が隆起されており、複数の突起28が形成されている。
複数の絶縁性粒子23は、導電性粒子22の表面上で、粒子を膨潤処理することで形成されている。複数の絶縁性粒子23の内の少なくとも一部が互いに、点接触ではなく、面接触している。
図3は、本発明の第3の実施形態に係る絶縁性粒子付き導電性粒子を示す断面図である。
図3に示す絶縁性粒子付き導電性粒子31は、導電性粒子32と、複数の絶縁性粒子33とを備える。
導電性粒子32は、導電部36を少なくとも表面に有する。絶縁性粒子33は、導電性粒子32の表面上に配置されている。導電性粒子32の表面積全体に占める絶縁性粒子33により被覆されている部分の面積である被覆率は60%以上である。
絶縁性粒子付き導電性粒子1と絶縁性粒子付き導電性粒子31とでは、導電性粒子2,32と、絶縁性粒子3,33とのみが異なる。
導電性粒子32は、基材粒子11と、基材粒子11の表面上に配置された導電部36とを有する。導電性粒子22は芯物質27を有するが、導電性粒子32は芯物質を有さない。導電部36は、第1の部分と、該第1の部分よりも厚みが厚い第2の部分とを有する。導電性粒子32は表面に複数の突起37を有する。複数の突起37を除く部分が、導電部36における上記第1の部分である。複数の突起37は、導電部36の厚みが厚い上記第2の部分である。
複数の絶縁性粒子33は、導電性粒子32の表面上で、粒子を膨潤処理することで形成されている。複数の絶縁性粒子33の内の少なくとも一部が互いに、点接触ではなく、面接触している。
図4は、本発明の第4の実施形態に係る絶縁性粒子付き導電性粒子を示す断面図である。
図4に示す絶縁性粒子付き導電性粒子41は、導電性粒子2と、複数の絶縁性粒子43とを備える。絶縁性粒子43は、導電性粒子2の表面上に配置されている。
複数の絶縁性粒子43は、導電性粒子2の表面上で、粒子を膨潤処理することで形成されている。複数の絶縁性粒子43の内の少なくとも一部が互いに、点接触ではなく、面接触している。
複数の絶縁性粒子43は、複数の第1の絶縁性粒子43Aと、第1の絶縁性粒子43Aよりも50nm以上、500nm以下大きい平均粒子径を有する複数の第2の絶縁性粒子43Bとを含む。絶縁性粒子付き導電性粒子41では、平均粒子径が異なる第1,第2の絶縁性粒子43A,43Bが用いられている。
絶縁性粒子付き導電性粒子1,21,31,41ではいずれも、導電性粒子2,22,32の表面積全体に占める絶縁性粒子3,23,33,43により被覆されている部分の面積である被覆率は60%以上である。さらに、複数の絶縁性粒子3,23,33,43は、導電性粒子2,22,32の表面上で、粒子を膨潤処理することで形成されているか、又は、複数の絶縁性粒子3の内の少なくとも一部が互いに、面接触している。絶縁性粒子付き導電性粒子を用いて上下の電極間を電気的に接続すると、接続されてはならない横方向に隣接する電極間が電気的に接続されるのを抑制できる。すなわち、絶縁信頼性を高めることができる。なお、通常、導電接続時には、絶縁性粒子の脱離に影響する大きな力が付与される結果、絶縁性粒子が脱離して、露出した導電性粒子2,22,32が電極に接触する。複数の絶縁性粒子3,23,33,43は、導電性粒子2,22,32の表面上で、粒子を膨潤処理することで形成されているか、又は、複数の絶縁性粒子3の内の少なくとも一部が互いに、面接触しているので、導電接続時に付与される力によって、導電性粒子2,22,32と電極との間の絶縁性粒子3,23,33,43が複数まとまってとれやすい。このため、導通信頼性を高く維持することができる。
本発明では、複数の絶縁性粒子が、導電性粒子の表面上で、粒子を膨潤処理することで形成されていてもよい。この場合には、絶縁性粒子が互いに面接触又は近接した状態となりやすく、意図しない絶縁性粒子の脱離を防ぐことができ、絶縁信頼性を高めることができる。
本発明では、複数の絶縁性粒子の内の少なくとも一部が互いに、面接触していてもよい。この場合には、絶縁性粒子が互いに面接触していることで、意図しない絶縁性粒子の脱離を防ぐことができ、絶縁信頼性を高めることができる。また、この場合に、衝突等によって複数の絶縁性粒子を互いに面接触させた後に、導電性粒子の表面上に配置してもよい。
絶縁信頼性及び衝撃に対する絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子の表面積全体に占める上記絶縁性粒子により被覆されている部分の面積である被覆率は、好ましくは65%以上、より好ましくは70%以上、より一層好ましくは70%を超え、更に好ましくは75%以上、更に一層好ましくは80%以上、特に好ましくは85%以上、最も好ましくは85%を超える。導通信頼性をより一層高める観点からは、上記被覆率は好ましくは99%以下、より好ましくは98%以下、更に好ましくは95%以下である。
上記導電性粒子の表面積全体に占める上記絶縁性粒子により被覆されている部分の面積である被覆率は、以下のようにして求められる。
走査型電子顕微鏡(SEM)での観察により、例えば20個の絶縁性粒子付き導電性粒子を観察し、絶縁性粒子付き導電性粒子における導電性粒子の被覆率(%)(付着率(%)ともいう)を求める。上記被覆率は、導電性粒子の表面積に占める絶縁性粒子により被覆されている部分の合計の面積(投影面積)である。
具体的には、上記被覆率は、絶縁性粒子付き導電性粒子を一方向から走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した場合、観察画像における絶縁性粒子付き導電性粒子の導電性粒子の表面の外周縁部分の円内(図6(a)の斜線部分)の面積全体に占める、導電性粒子の表面の外周縁部分の円内における絶縁性粒子の合計の面積(図6(b)の斜線部分)を意味する。
導通信頼性及び絶縁信頼性をより一層高める観点からは、互いに面接触している絶縁性粒子において、1つの絶縁性粒子の表面積中の他の絶縁性粒子に面接触している表面積は好ましくは0.5%以上、より好ましくは1%以上、更に好ましくは5%以上、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下である。面接触している表面積には、他の絶縁性粒子と面接触していない絶縁性粒子は考慮されない。
複数の絶縁性粒子の全個数の内の少なくとも30個数%以上が互いに、面接触していることが好ましい。面接触している絶縁性粒子の個数の割合は、より好ましくは40個数%以上、更に好ましくは50個数%以上、好ましくは100個数%以下である。面接触している絶縁性粒子の個数の割合が高いほど、被覆率を効果的に高めることができ、絶縁信頼性を効果的に高めることができる。
上記複数の絶縁性粒子が、複数の第1の絶縁性粒子と、上記第1の絶縁性粒子よりも50nm以上、500nm以下大きい平均粒子径を有する複数の第2の絶縁性粒子とを含んでいてもよい。このような粒子径が異なる2種以上の絶縁性粒子を用いることで、被覆率を効果的に高めることができ、絶縁信頼性を効果的に高めることができる。
導通信頼性、絶縁信頼性及び衝撃に対する絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記絶縁性粒子の平均粒子径Aの上記導電性粒子の粒子径Bに対する比(平均粒子径A/粒子径B)は好ましくは1/1000以上、より好ましくは1/100以上、好ましくは1/3以下、より好ましくは1/10以下である。
上記導電性粒子及び上記絶縁性粒子の粒子径は、上記導電性粒子及び上記絶縁性粒子が真球状である場合には直径を意味し、上記導電性粒子及び上記絶縁性粒子が真球状以外の形状である場合には最大径を意味する。平均粒子径は、任意の粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求めることが好ましい。
絶縁信頼性及び衝撃に対する絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子の表面に、化学結合を介して、上記絶縁性粒子が付着していることが好ましい。
電極間の導通信頼性を高める観点からは、上記導電性粒子は、上記導電部の外表面に複数の突起を有することが好ましい。一般に、導電部の外表面に突起がある導電性粒子では、該突起が大きいほど、絶縁信頼性が低下する傾向がある。本発明に係る絶縁性粒子付き導電性粒子では、上記絶縁性粒子が備えられているので、たとえ突起が大きくても、絶縁信頼性を充分に確保できる。
導通信頼性をより一層高める観点からは、導電性粒子は、上記導電部の外表面に突起を有することが好ましい。導通信頼性をより一層高める観点からは、上記突起の平均高さは好ましくは10nm以上、より好ましくは50nm以上、好ましくは200nm以下、より好ましくは150nm以下である。
導通信頼性及び絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記絶縁性粒子の平均粒子径が、上記突起の平均高さの好ましくは0.1倍以上であることが好ましく、0.3倍以上であることがより好ましく、1倍以下であることが好ましく、1倍未満であることがより好ましく、0.9倍以下であることが更に好ましく、0.8倍以下であることが特に好ましい。
上記絶縁性粒子の平均粒子径は、複数の絶縁性粒子の平均値を示す。上記突起の平均高さは、複数の突起の高さの平均値を示す。上記突起の高さは、導電性粒子の中心と突起の先端とを結ぶ線(図2に示す破線L1)上における、突起が無いと想定した場合の導電層の仮想線(図2に示す破線L2)上(突起が無いと想定した場合の球状の導電性粒子の外表面上)から突起の先端までの距離を示す。すなわち、図2においては、破線L1と破線L2との交点から突起の先端までの距離を示す。
以下、絶縁性粒子付き導電性粒子における導電性粒子、絶縁性粒子の詳細を説明する。
[導電性粒子]
上記導電性粒子は、少なくとも表面に導電部を有していればよい。該導電部は導電層であることが好ましい。導電性粒子は、基材粒子と、基材粒子の表面上に配置された導電層を有する導電性粒子であってもよく、全体が導電部である金属粒子であってもよい。なかでも、コストを低減したり、導電性粒子の柔軟性を高くして、電極間の導通信頼性を高めたりする観点からは、基材粒子と、基材粒子の表面上に配置された導電部とを有する導電性粒子が好ましい。
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子は、金属粒子を除く基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。上記基材粒子は、コアシェル粒子であってもよい。上記コアが有機コアであってもよく、上記シェルが無機シェルであってもよい。
上記基材粒子は、樹脂により形成された樹脂粒子であることが好ましい。絶縁性粒子付き導電性粒子を用いて電極間を接続する際には、絶縁性粒子付き導電性粒子を電極間に配置した後、圧着することにより絶縁性粒子付き導電性粒子を圧縮させる。基材粒子が樹脂粒子であると、上記圧着の際に導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の導通信頼性が高くなる。
上記樹脂粒子を形成するための樹脂として、種々の有機物が好適に用いられる。上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート及びポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、及び、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させて得られる重合体等が挙げられる。導電材料に適した任意の圧縮時の物性を有する樹脂粒子を設計及び合成することができ、かつ基材粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子を形成するための樹脂は、エチレン性不飽和基を複数有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する単量体を重合させて得る場合には、該エチレン性不飽和基を有する単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、及び非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合には、上記基材粒子の材料である無機物としては、シリカ及びカーボンブラック等が挙げられる。上記無機物は金属ではないことが好ましい。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上有するケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子を形成するための金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。但し、上記基材粒子は金属粒子ではないことが好ましい。
上記導電部を形成するための金属は特に限定されない。さらに、導電性粒子が、全体が導電部である金属粒子である場合、該金属粒子を形成するための金属は特に限定されない。該金属としては、例えば、金、銀、パラジウム、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、タングステン、モリブデン、ケイ素及びこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びはんだ等が挙げられる。なかでも、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができるので、錫を含む合金、ニッケル、パラジウム、銅又は金が好ましく、ニッケル又はパラジウムが好ましい。上記導電部の融点は、好ましくは300℃以上、より好ましくは450℃以上である。上記導電部は、はんだではない導電部であってもよい。
上記導電部を構成する金属に錆が生じやすいほど、上記被膜による被覆効果が顕著に得られる。ニッケル、銅又はスズにより形成された導電部では、導電部の外表面に錆が比較的生じやすい。このような導電部の外表面を被膜で被覆することにより、導電部の外表面に錆が生じるのを効果的に抑制できる。上記被膜による被覆効果が効果的に得られるので、上記導電部は、ニッケル、銅又は錫を含んでいてもよい。
なお、導電部の表面には、酸化により水酸基が存在することが多い。一般的に、ニッケルにより形成された導電部の表面には、酸化により水酸基が存在する。このような水酸基を有する導電部の表面(導電性粒子の表面)に、化学結合を介して、絶縁性粒子を付着させることができる。
上記導電層は、1つの層により形成されていてもよい。導電層は、複数の層により形成されていてもよい。すなわち、導電層は、2層以上の積層構造を有していてもよい。導電層が複数の層により形成されている場合には、最外層は、金層、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は錫と銀とを含む合金層であることが好ましく、金層であることがより好ましい。最外層がこれらの好ましい導電層である場合には、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、最外層が金層である場合には、耐腐食性がより一層高くなる。
粒子の表面上に導電部を形成する方法は特に限定されない。導電部を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。なかでも、導電部の形成が簡便であるので、無電解めっきによる方法が好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。
上記導電性粒子の平均粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは5μm以下である。導電性粒子の平均粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、絶縁性粒子付き導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導電性粒子と電極との接触面積が充分に大きくなり、かつ導電層を形成する際に凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電層が基材粒子の表面から剥離し難くなる。
上記導電性粒子の「平均粒子径」は、数平均粒子径を示す。導電性粒子の平均粒子径は、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
導電部の厚みは、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは20nm以上、特に好ましくは50nm以上、好ましくは1000nm以下、より好ましくは800nm以下、更に好ましくは500nm以下、特に好ましくは400nm以下、最も好ましくは300nm以下である。導電部の厚みは、導電部が多層(上記第1,第2の導電部など)である場合には、多層の導電部(第1,第2の導電部)の合計の厚みである。導電部全体の厚みが上記下限以上であると、導電性粒子の導電性がより一層良好になる。導電部全体の厚みが上記上限以下であると、基材粒子と導電部との熱膨張率の差が小さくなり、基材粒子から金属層が剥離し難くなる。
上記導電部が多層である場合に、最外層の導電部の厚みは、好ましくは1nm以上、より好ましくは10nm以上、好ましくは500nm以下、より好ましくは100nm以下である。上記最外層の導電部の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、最外層の導電部による被覆を均一にでき、耐腐食性が充分に高くなり、かつ電極間の接続抵抗が充分に低くなる。また、上記最外層が内層の導電部よりも高価である場合に、最外層の厚みが薄いほど、コストが低くなる。
上記導電部の厚みは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、導電性粒子又は絶縁性粒子付き導電性粒子の断面を観察することにより測定できる。
導電性粒子は、導電部の外表面に複数の突起を有することが好ましい。絶縁性粒子付き導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。導電部の表面に突起を有する絶縁性粒子付き導電性粒子を用いた場合には、電極間に絶縁性粒子付き導電性粒子を配置して圧着させることにより、突起により上記酸化被膜を効果的に排除できる。このため、電極と導電部とがより一層確実に接触し、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。さらに、電極間の接続時に、導電性粒子の突起によって、導電性粒子と電極との間の絶縁性粒子を効果的に排除できる。このため、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
上記突起を形成する方法としては、基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電部を形成する方法、並びに基材粒子の表面に無電解めっきにより導電部を形成した後、芯物質を付着させ、更に無電解めっきにより導電部を形成する方法等が挙げられる。上記突起を形成する他の方法としては、基材粒子の表面上に、第1の導電部を形成した後、該第1の導電部上に芯物質を配置し、次に第2の導電部を形成する方法、並びに基材粒子の表面上に導電部を形成する途中段階で、芯物質を添加する方法等が挙げられる。
上記基材粒子の表面上に芯物質を配置する方法としては、例えば、基材粒子の分散液中に、芯物質を添加し、基材粒子の表面に芯物質を、例えば、ファンデルワールス力により集積させ、付着させる方法、並びに基材粒子を入れた容器に、芯物質を添加し、容器の回転等による機械的な作用により基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法等が挙げられる。なかでも、付着させる芯物質の量を制御しやすいため、分散液中の基材粒子の表面に芯物質を集積させ、付着させる方法が好ましい。
上記芯物質の材料としては、導電性物質及び非導電性物質が挙げられる。上記導電性物質としては、例えば、金属、金属の酸化物、黒鉛等の導電性非金属及び導電性ポリマー等が挙げられる。上記導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン等が挙げられる。上記非導電性物質としては、シリカ、アルミナ及びジルコニア等が挙げられる。なかでも、導電性を高めることができるので、金属が好ましい。上記芯物質は金属粒子であることが好ましい。
上記金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、鉛、錫、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム等の金属、並びに錫−鉛合金、錫−銅合金、錫−銀合金、錫−鉛−銀合金及び炭化タングステン等の2種類以上の金属で構成される合金等が挙げられる。なかでも、ニッケル、銅、銀又は金が好ましい。上記芯物質を構成する金属は、上記導電部(導電層)を構成する金属と同じであってもよく、異なっていてもよい。
上記芯物質の形状は特に限定されない。芯物質の形状は塊状であることが好ましい。芯物質としては、例えば、粒子状の塊、複数の微小粒子が凝集した凝集塊、及び不定形の塊等が挙げられる。
上記芯物質の平均径(平均粒子径)は、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.05μm以上、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。上記芯物質の平均径が上記下限以上及び上限以下であると、電極間の接続抵抗が効果的に低くなる。
上記芯物質の「平均径(平均粒子径)」は、数平均径(数平均粒子径)を示す。芯物質の平均径を細孔電気抵抗法コールターカウンター マルチサイザー4(ベックマンコールター社製)によって測定し、数平均粒子径を算出することにより求められる。
上記導電性粒子1個当たりの上記の突起は、好ましくは3個以上、より好ましくは5個以上である。上記突起の数の上限は特に限定されない。突起の数の上限は導電性粒子の粒子径等を考慮して適宜選択できる。
上記導電部の外表面は防錆処理されていることが好ましい。上記防錆処理は、上記導電部の外表面の腐食を抑える。上記防錆処理は特に限定されない。上記防錆処理として、従来公知の防錆処理を行うことが可能である。
導電層に錆を生じ難くするために、上記導電部の外表面は、炭素数6〜22のアルキル基を有する化合物(以下、化合物Aともいう)により防錆処理されていることが好ましい。上記アルキル基の炭素数が6未満であると、導電層の表面に錆が生じやすくなる。上記アルキル基の炭素数が22を超えると、絶縁性粒子付き導電性粒子の導電性が低くなる。絶縁性粒子付き導電性粒子の導電性をより一層高める観点からは、上記化合物Aにおける上記アルキル基の炭素数は16以下であることが好ましい。上記アルキル基は直鎖構造を有していてもよく、分岐構造を有していてもよい。上記アルキル基は、直鎖構造を有することが好ましい。
上記化合物Aは、炭素数6〜22のアルキル基を有していれば特に限定されない。上記化合物Aは、炭素数6〜22のアルキル基を有するリン酸エステル又はその塩、炭素数6〜22のアルキル基を有する亜リン酸エステル又はその塩、炭素数6〜22のアルキル基を有するアルコキシシラン、炭素数6〜22のアルキル基を有するアルキルチオール、及び炭素数6〜22のアルキル基を有するジアルキルジスルフィドからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。すなわち、上記炭素数6〜22のアルキル基を有する化合物Aは、リン酸エステル又はその塩、亜リン酸エステル又はその塩、アルコキシシラン、アルキルチオール及びジアルキルジスルフィドからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。これらの好ましい化合物Aの使用により、導電層に錆をより一層生じ難くすることができる。錆を更に一層生じ難くする観点からは、上記化合物Aは、上記リン酸エステル又はその塩、亜リン酸エステル又はその塩及びアルコキシシランからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましく、上記リン酸エステル又はその塩及び亜リン酸エステル又はその塩の内の少なくとも1種であることがより好ましい。上記化合物Aは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記化合物Aは、導電部と反応可能な反応性官能基を有することが好ましい。上記化合物Aは、絶縁性粒子と反応可能な反応性官能基を有することが好ましい。導電性粒子の表面に、化学結合を介して絶縁性粒子が付着していることが好ましい。上記反応性官能基の存在により、及び上記化学結合により、導電層に錆がより一層生じ難くなり、かつ導電性粒子の表面から絶縁性粒子が意図せずにより一層脱離し難くなる。
上記炭素数6〜22のアルキル基を有するリン酸エステル又はその塩としては、例えば、リン酸ヘキシルエステル、リン酸ヘプチルエステル、リン酸モノオクチルエステル、リン酸モノノニルエステル、リン酸モノデシルエステル、リン酸モノウンデシルエステル、リン酸モノドデシルエステル、リン酸モノトリデシルエステル、リン酸モノテトラデシルエステル、リン酸モノペンタデシルエステル、リン酸モノヘキシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノヘプチルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノオクチルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノノニルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノデシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノウンデシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノドデシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノトリデシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノテトラデシルエステルモノナトリウム塩及びリン酸モノペンタデシルエステルモノナトリウム塩等が挙げられる。上記リン酸エステルのカリウム塩を用いてもよい。
上記炭素数6〜22のアルキル基を有する亜リン酸エステル又はその塩としては、例えば、亜リン酸ヘキシルエステル、亜リン酸ヘプチルエステル、亜リン酸モノオクチルエステル、亜リン酸モノノニルエステル、亜リン酸モノデシルエステル、亜リン酸モノウンデシルエステル、亜リン酸モノドデシルエステル、亜リン酸モノトリデシルエステル、亜リン酸モノテトラデシルエステル、亜リン酸モノペンタデシルエステル、亜リン酸モノヘキシルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノヘプチルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノオクチルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノノニルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノデシルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノウンデシルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノドデシルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノトリデシルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノテトラデシルエステルモノナトリウム塩及び亜リン酸モノペンタデシルエステルモノナトリウム塩等が挙げられる。上記亜リン酸エステルのカリウム塩を用いてもよい。
上記炭素数6〜22のアルキル基を有するアルコキシシランとしては、例えば、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、トリデシルトリメトキシシラン、トリデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ペンタデシルトリメトキシシラン及びペンタデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
上記炭素数6〜22のアルキル基を有するアルキルチオールとしては、例えば、ヘキシルチオール、ヘプチルチオール、オクチルチオール、ノニルチオール、デシルチオール、ウンデシルチオール、ドデシルチオール、トリデシルチオール、テトラデシルチオール、ペンタデシルチオール及びヘキサデシルチオール等が挙げられる。上記アルキルチオールは、アルキル鎖の末端にチオール基を有することが好ましい。
上記炭素数6〜22のアルキル基を有するジアルキルジスルフィドとしては、例えば、ジヘキシルジスルフィド、ジヘプチルジスルフィド、ジオクチルジスルフィド、ジノニルジスルフィド、ジデシルジスルフィド、ジウンデシルジスルフィド、ジドデシルジスルフィド、ジトリデシルジスルフィド、ジテトラデシルジスルフィド、ジペンタデシルジスルフィド及びジヘキサデシルジスルフィド等が挙げられる。
(絶縁性粒子)
上記絶縁性粒子は、絶縁性を有する粒子である。上記絶縁性粒子は、導電性粒子よりも小さい。絶縁性粒子付き導電性粒子を用いて電極間を接続すると、上記絶縁性粒子により、隣接する電極間の短絡を防止できる。具体的には、複数の絶縁性粒子付き導電性粒子が接触したときに、複数の絶縁性粒子付き導電性粒子における導電性粒子間には上記絶縁性粒子が存在するので、上下の電極間ではなく、横方向に隣り合う電極間の短絡を防止できる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で絶縁性粒子付き導電性粒子を加圧することにより、導電部と電極との間の上記絶縁性粒子を容易に排除できる。導電性粒子の表面に突起が設けられている場合には、導電部と電極との間の上記絶縁性粒子をより一層容易に排除できる。
本発明では、複数の絶縁性粒子を、導電性粒子の表面上で、粒子を膨潤処理することで形成することが好ましい。
膨潤処理する粒子は、例えば、膨潤処理前の絶縁性粒子である。膨潤処理の方法としては、シード重合法等が挙げられる。
具体的な製造方法としては、以下の製造方法が挙げられる。架橋剤を含まないモノマーをソープフリー重合などの手法を使って重合し、膨潤処理前の絶縁性粒子を作製する。その後、導電性粒子を分散した分散液に膨潤処理前の絶縁性粒子を入れ、撹拌することで導電性粒子の表面を膨潤処理前の絶縁性粒子で被覆する。被覆された導電性粒子の分散液に、乳化されたモノマーを更に滴下しながら撹拌することで、絶縁性粒子が乳化モノマーを取り込み膨潤する。膨潤が終了した時点で、分散液の温度を上昇させ、重合反応を行って膨潤処理した絶縁性粒子により被覆された導電性粒子を作製する。
上記絶縁性粒子を構成する材料としては、絶縁性の樹脂、及び絶縁性の無機物等が挙げられる。上記絶縁性の樹脂としては、基材粒子として用いることが可能な樹脂粒子を形成するための樹脂として挙げた上記樹脂が挙げられる。上記絶縁性の無機物としては、基材粒子として用いることが可能な無機粒子を形成するための無機物として挙げた上記無機物が挙げられる。
上記絶縁性粒子の材料である絶縁性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン類、(メタ)アクリレート重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ブロックポリマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の架橋物、熱硬化性樹脂及び水溶性樹脂等が挙げられる。
上記ポリオレフィン類としては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記(メタ)アクリレート重合体としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート及びポリブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記ブロックポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、SB型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、及びSBS型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらの水素添加物等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、ビニル重合体及びビニル共重合体等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。上記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド及びメチルセルロース等が挙げられる。なかでも、水溶性樹脂が好ましく、ポリビニルアルコールがより好ましい。
圧着時の上記絶縁性粒子の脱離性をより一層高める観点からは、上記絶縁性粒子は、無機粒子であることが好ましく、シリカ粒子であることが好ましい。
上記無機粒子としては、シラス粒子、ハイドロキシアパタイト粒子、マグネシア粒子、酸化ジルコニウム粒子及びシリカ粒子等が挙げられる。上記シリカ粒子としては、粉砕シリカ、球状シリカが挙げられる。球状シリカを用いることが好ましい。また、シリカ粒子は表面に、例えばカルボキシル基、水酸基等の化学結合可能な官能基を有することが好ましく、水酸基を有することがより好ましい。無機粒子は比較的硬く、特にシリカ粒子は比較的硬い。このような硬い絶縁性粒子を備える絶縁性粒子付き導電性粒子を用いた場合には、絶縁性粒子付き導電性粒子とバインダー樹脂とを混練する際に、導電性粒子の表面から、硬い絶縁性粒子が脱離しやすい傾向がある。これに対して、本発明に係る絶縁性粒子付き導電性粒子を用いた場合には、硬い絶縁性粒子を用いたとしても、混練後に、絶縁性粒子の残存率が高くなる結果、絶縁信頼性を確保できる。
導電層に錆を生じ難くするために、上記絶縁性粒子の外表面は、炭素数6〜22のアルキル基を有する化合物Aにより防錆処理されていることが好ましい。該化合物Aの好ましい化合物Aは、上記導電部の外表面を防錆処理するために用いる好ましい化合物Aと同様である。
上記導電性粒子の表面に、化学結合を介して、上記絶縁性粒子が付着していることが好ましい。この化学的結合には、共有結合、水素結合、イオン結合及び配位結合等が含まれる。なかでも、共有結合が好ましく、反応性官能基を用いた化学的結合が好ましい。
上記化学的結合を形成する反応性官能基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、シラン基、シラノール基、カルボキシル基、アミノ基、アンモニウム基、ニトロ基、水酸基、カルボニル基、チオール基、スルホン酸基、スルホニウム基、ホウ酸基、オキサゾリン基、ピロリドン基、リン酸基及びニトリル基等が挙げられる。中でも、ビニル基、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
絶縁性粒子の脱離をより一層抑制し、接続構造体における絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記絶縁性粒子として、反応性官能基を表面に有する絶縁性粒子を用いることが好ましい。絶縁性粒子の脱離をより一層抑制し、接続構造体における絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記絶縁性粒子として、反応性官能基を有する化合物を用いて表面処理された絶縁性粒子を用いることが好ましい。
上記絶縁性粒子の表面に導入可能な上記反応性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、グリシジル基、水酸基、ビニル基及びアミノ基等が挙げられる。上記絶縁性粒子が表面に有する上記反応性官能基は、(メタ)アクリロイル基、グリシジル基、水酸基、ビニル基及びアミノ基からなる群から選択された少なくとも1種の反応性官能基であることが好ましい。
上記反応性官能基を導入するための化合物(表面処理物質)としては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、エポキシ基を有する化合物及びビニル基を有する化合物等が挙げられる。
ビニル基を導入するための化合物(表面処理物質)としては、ビニル基を有するシラン化合物、ビニル基を有するチタン化合物、及びビニル基を有するリン酸化合物等が挙げられる。上記表面処理物質は、ビニル基を有するシラン化合物であることが好ましい。上記ビニル基を有するシラン化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン及びビニルトリイソプロポキシシラン等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を導入するための化合物(表面処理物質)としては、(メタ)アクリロイル基を有するシラン化合物、及び(メタ)アクリロイル基を有するチタン化合物、及び(メタ)アクリロイル基を有するリン酸化合物等が挙げられる。上記表面処理物質は、(メタ)アクリロイル基を有するシラン化合物であることも好ましい。上記(メタ)アクリロイル基を有するシラン化合物としては、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン及び(メタ)アクリロキシプロピルトリジメトキシシラン等が挙げられる。
上記導電性粒子及び上記導電部の表面に上記絶縁性粒子を付着させる方法としては、化学的方法、及び物理的もしくは機械的方法等が挙げられる。上記化学的方法としては、例えば、界面重合法、粒子存在下での懸濁重合法及び乳化重合法等が挙げられる。上記物理的もしくは機械的方法としては、スプレードライ、ハイブリダイゼーション法、静電付着法、噴霧法、ディッピング及び真空蒸着による方法等が挙げられる。ただし、ハイブリダイゼーション法では、絶縁性粒子の脱離が生じやすくなる傾向があるので、上記絶縁性粒子を配置する方法は、ハイブリダイゼーション法以外の方法であることが好ましい。絶縁性粒子は、導電性粒子の表面上に、ハイブリダイゼーション法により配置されていないことが好ましい。絶縁性粒子がより一層脱離し難くなることから、導電性粒子の表面に、化学結合を介して絶縁性粒子を配置する方法が好ましい。
上記導電性粒子の表面及び上記導電部の表面に絶縁性粒子を付着させる方法の一例としては、以下の方法が挙げられる。
先ず、水などの溶媒3L中に、導電性粒子を入れ、撹拌しながら、絶縁性粒子を徐々に添加する。十分に撹拌した後、絶縁性粒子付き導電性粒子を分離し、真空乾燥機などにより乾燥して、絶縁性粒子付き導電性粒子を得る。
上記導電部は表面に、上記絶縁性粒子と反応可能な反応性官能基を有することが好ましい。上記絶縁性粒子は表面に、導電部と反応可能な反応性官能基を有することが好ましい。これらの反応性官能基により化学結合を導入することで、導電性粒子の表面から絶縁性粒子が意図せずに脱離し難くなる。また、絶縁信頼性及び衝撃に対する絶縁信頼性がより一層高くなる。
上記反応性官能基として、反応性を考慮して適宜の基が選択される。上記反応性官能基としては、水酸基、ビニル基及びアミノ基等が挙げられる。反応性に優れているので、上記反応性官能基は水酸基であることが好ましい。上記導電性粒子は表面に、水酸基を有することが好ましい。上記導電部は表面に、水酸基を有することが好ましい。上記絶縁性粒子は表面に、水酸基を有することが好ましい。
絶縁性粒子の表面と導電性粒子の表面とに水酸基がある場合には、脱水反応により絶縁性粒子と導電性粒子との付着力が適度に高くなる。
上記水酸基を有する化合物としては、P−OH基含有化合物及びSi−OH基含有化合物等が挙げられる。絶縁性粒子の表面に水酸基を導入するための水酸基を有する化合物としては、P−OH基含有化合物及びSi−OH基含有化合物等が挙げられる。
上記P−OH基含有化合物の具体例としては、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート及びアシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート等が挙げられる。上記P−OH基含有化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記Si−OH基含有化合物の具体例としては、ビニルトリヒドロキシシラン、及び3−メタクリロキシプロピルトリヒドロキシシラン等が挙げられる。上記Si−OH基含有化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
例えば、水酸基を表面に有する絶縁性粒子は、シランカップリング剤を用いた処理により得ることができる。上記シランカップリング剤としては、例えば、ヒドロキシトリメトキシシラン等が挙げられる。
導電性粒子の表面及び絶縁性粒子の表面はそれぞれ、反応性官能基を有する化合物によって被覆されていてもよい。導電性粒子の表面と絶縁性粒子の表面とは、直接化学結合していなくてもよく、反応性官能基を有する化合物によって間接的に化学結合していてもよい。導電性粒子の表面にカルボキシル基を導入した後、該カルボキシル基がポリエチレンイミンなどの高分子電解質を介して絶縁性粒子の表面の官能基と化学結合していても構わない。
(導電材料)
本発明に係る導電材料は、本発明に係る絶縁性粒子付き導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。本発明に係る絶縁性粒子付き導電性粒子をバインダー樹脂中に分散させる際には、導電性粒子の表面から絶縁性粒子が脱離し難い。本発明に係る絶縁性粒子付き導電性粒子は、バインダー樹脂中に分散され、導電材料として用いられることが好ましい。上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。上記導電材料は、電極の電気的な接続に好適に用いられる。上記導電材料は、回路接続材料であることが好ましい。
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂としては、一般的には絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
上記導電材料は、上記絶縁性粒子付き導電性粒子及び上記バインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
本発明に係る導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。本発明に係る導電材料が、導電フィルムである場合には、導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記導電ペーストは、異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは、異方性導電フィルムであることが好ましい。
本発明に係る導電材料は、導電ペーストであることが好ましい。導電ペーストは取り扱い性及び回路充填性に優れている。導電ペーストを得る際には絶縁性粒子付き導電性粒子に比較的大きな力が付与されるものの、上記絶縁性粒子における上記被覆率が高いため、導電性粒子における絶縁性粒子の残存率を高めることができる。
上記導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下である。バインダー樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間に絶縁性粒子付き導電性粒子が効率的に配置され、導電材料により接続された接続対象部材の導通信頼性がより一層高くなる。
上記導電材料100重量%中、上記絶縁性粒子付き導電性粒子の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、好ましくは40重量%以下、より好ましくは20重量%以下、更に好ましくは15重量%以下である。絶縁性粒子付き導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
(接続構造体)
上述した絶縁性粒子付き導電性粒子を用いて、又は該絶縁性粒子付き導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
上記接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、該接続部が上述した絶縁性粒子付き導電性粒子により形成されているか、又は該絶縁性粒子付き導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料(異方性導電材料など)により形成されている接続構造体であることが好ましい。上記第1の接続対象部材は表面に第1の電極を有することが好ましい。上記第2の接続対象部材は表面に第2の電極を有することが好ましい。上記第1の電極と上記第2の電極とが、上記絶縁性粒子付き導電性粒子における上記導電性粒子により電気的に接続されていることが好ましい。上述した絶縁性粒子付き導電性粒子を用いた場合には、接続部自体が絶縁性粒子付き導電性粒子によって形成される。すなわち、第1,第2の接続対象部材が絶縁性粒子付き導電性粒子における導電性粒子により電気的に接続される。
図5は、図1に示す絶縁性粒子付き導電性粒子1を用いた接続構造体を模式的に示す断面図である。
図5に示す接続構造体81は、第1の接続対象部材82と、第2の接続対象部材83と、第1の接続対象部材82と第2の接続対象部材83とを接続している接続部84とを備える。接続部84は、絶縁性粒子付き導電性粒子1とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている。図5では、図示の便宜上、絶縁性粒子付き導電性粒子1は略図的に示されている。絶縁性粒子付き導電性粒子1にかえて、絶縁性粒子付き導電性粒子21,31,41を用いてもよい。
第1の接続対象部材82は表面(上面)に、複数の第1の電極82aを有する。第2の接続対象部材83は表面(下面)に、複数の第2の電極83aを有する。第1の電極82aと第2の電極83aとが、1つ又は複数の絶縁性粒子付き導電性粒子1における導電性粒子2により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材82,83が絶縁性粒子付き導電性粒子1により電気的に接続されている。
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例として、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。上記加圧の圧力は9.8×104〜4.9×106Pa程度である。上記加熱の温度は、120〜220℃程度である。
上記積層体を加熱及び加圧する際に、導電性粒子2と第1,第2の電極82a,83aとの間に存在していた絶縁性粒子3を排除できる。例えば、上記加熱及び加圧の際には、導電性粒子2と第1,第2の電極82a,83aとの間に存在していた絶縁性粒子3が溶融したり、変形したりして、導電性粒子2の表面が部分的に露出する。なお、上記加熱及び加圧の際には、大きな力が付与されるので、導電性粒子2の表面から一部の絶縁性粒子3が脱離して、導電性粒子2の表面が部分的に露出することもある。導電性粒子2の表面が露出した部分が、第1,第2の電極82a,83aに接触することにより、導電性粒子2を介して第1,第2の電極82a,83aを電気的に接続できる。
上記接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板などの電子部品等が挙げられる。上記導電材料はペースト状であり、ペーストの状態で接続対象部材上に塗布されることが好ましい。上記絶縁性粒子付き導電性粒子及び導電材料は、電子部品である接続対象部材の接続に用いられることが好ましい。上記接続対象部材は電子部品であることが好ましい。上記絶縁性粒子付き導電性粒子は、電子部品における電極の電気的な接続に用いられることが好ましい。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、銀電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)導電性粒子の作製
ジビニルベンゼン重合体粒子(平均粒子径3μm)を用意した。上記重合体粒子をエッチングし、水洗した。次に、パラジウム触媒を8重量%含むパラジウム触媒化液100mL中に重合体粒子を添加し、攪拌した。その後、ろ過し、洗浄した。pH6の0.5重量%ジメチルアミンボラン液に重合体粒子を添加し、パラジウムが付着された重合体粒子を得た。
パラジウムが付着された重合体粒子をイオン交換水300mL中で3分間攪拌し、分散させ、分散液を得た。次に、ニッケル粒子スラリー(芯物質であるニッケル粒子の平均粒子径200nm)1gを3分間かけて上記分散液に添加し、芯物質が付着された重合体粒子を得た。
芯物質が付着された重合体粒子を用いて、無電解めっき法により、重合体粒子の表面に、ニッケル層を形成した。ニッケル層の外表面に複数の突起を有する導電性粒子を作製した。なお、ニッケル層の厚さは0.1μmであった。複数の突起の平均高さは250nmであった。さらに、得られた導電性粒子を防錆処理して、防錆処理された導電性粒子Aを得た。
(絶縁性粒子の作製工程)
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管及び温度プローブを取り付けた1000mLセパラブルフラスコに、メタクリル酸グリシジル40重量部、メタクリル酸メチル380重量部、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールメタクリレート9.8重量部、及び2,2’−アゾビス{2−[N−(2−カルボキシエチル)アミジノ]プロパン}11重量部を含むモノマー組成物を入れた。該モノマー組成物を固形分が10重量%となるように蒸留水を添加した後、300rpmで攪拌し、窒素雰囲気下80℃で24時間重合を行った。反応終了後、凍結乾燥して、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールメタクリレートに由来するP−OH基を表面に有する膨潤処理前の絶縁性粒子Bを得た。
(膨潤処理用乳化モノマーの作製工程)
300mlビーカーにメタクリル酸グリシジル4重量部と、メタクリル酸メチル34重量部と、ジメタクリル酸エチレングリコール4重量部と、開始剤(和光純薬工業社製「V−50」)1.0重量部と、乳化剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル(花王社製「エマルゲン106」)2重量部と蒸留水100重量部とを配合し、超音波照射機を使用して十分乳化させて、乳化液を得た。
(絶縁性粒子付き導電性粒子の作製工程)
上記で得られた膨潤処理前の絶縁性粒子Bを超音波照射下で蒸留水に分散させ、絶縁性粒子の10重量%水分散液を得た。得られた導電性粒子A10gを蒸留水500mLに分散させ、絶縁性粒子の水分散液5gを添加し、室温で3時間攪拌した。得られた分散液に、上記で得られた乳化液3gを5時間で徐々に滴下し、さらに10時間攪拌することで膨潤処理を行った。その後、スリーワンモーターで十分に攪拌しながら80℃まで昇温し、80℃で5時間保持して、上記モノマーを重合させた。メッシュフィルターでろ過した後、更にメタノールで洗浄、乾燥し、絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。
走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、絶縁性粒子付き導電性粒子では、突起を有する導電性粒子の表面に、絶縁性粒子による被覆層が形成され、絶縁性粒子により被覆されている面積の被覆率は85%であり、絶縁性粒子の全個数のうち、83%が面接触していた。
(実施例2〜8及び比較例1〜5)
絶縁性粒子の平均粒子径を下記の表1に示すように設定したこと、芯物質であるニッケル粒子の平均粒子径をかえて突起の平均高さを下記の表1に示すように設定したこと、並びに絶縁性粒子の添加量をかえて上記被覆率を下記の表1に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。
(実施例9)
膨潤処理前の絶縁性粒子として、ゾルゲル法により作製されたシリカ粒子(平均粒子径50nm)を準備した。シランカップリング剤を用いてシリカ粒子の表面にビニル基を導入した。4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管及び温度プローブを取り付けた1000mLセパラブルフラスコに、蒸留水500ml、上記のビニル基を導入したシリカ粒子0.1g、メタクリル酸メチル38mmol、ジメタクリル酸エチレングリコール1.3mmol、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールメタクリレート0.05mmol、及び2,2’−アゾビス{2−[N−(2−カルボキシエチル)アミジノ]プロパン}0.1mmolを含むモノマー組成物を入れ、超音波照射機で十分乳化した後、300rpmで攪拌し、窒素雰囲気下80℃で24時間重合を行った。反応終了後、凍結乾燥して、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールメタクリレートに由来するP−OH基を表面に有するシリカ粒子含有ポリマーコーティング絶縁性粒子Cを得た。
得られた絶縁性粒子Cを用いたこと、金属ニッケル粒子の平均粒子径をかえて突起の平均高さを下記の表1に示すように設定したこと、並びに絶縁性粒子の添加量をかえて上記被覆率を下記の表1に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。
(実施例10)
膨潤処理前の絶縁性粒子として、粒子径が異なるゾルゲル法により作製されたシリカ粒子(平均粒子径100nm)を準備した。この膨潤処理前の絶縁性粒子を用いたこと以外は実施例9と同様にして、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールメタクリレートに由来するP−OH基を表面に有するシリカ粒子含有ポリマーコーティング絶縁性粒子を得た。
得られた絶縁性粒子を用いたこと、金属ニッケル粒子の平均粒子径をかえて突起の平均高さを下記の表1に示すように設定したこと、並びに絶縁性粒子の添加量をかえて上記被覆率を下記の表1に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。
(実施例11)
導電性粒子の表面を防錆処理しなかったこと以外は実施例1と同様にして、絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。
(評価)
(1)導電性粒子の表面積全体に占める絶縁性粒子により被覆されている部分の合計の面積である被覆率
SEMでの観察により、20個の絶縁性粒子付き導電性粒子を観察した。導電性粒子の表面積全体に占める絶縁性粒子により被覆されている部分の合計の投影面積である被覆率を求めた。20個の被覆率の平均値を被覆率とした。
(2)複数の絶縁性粒子の全個数の内の互いに、面接触している絶縁性粒子の個数の割合、及び互いに面接触している絶縁性粒子において、1つの絶縁性粒子の表面積中の他の絶縁性粒子に面接触している表面積の割合
SEMでの観察により、20個の絶縁性粒子付き導電性粒子を観察した。導電性粒子を上方から観察した時の導電性粒子1個当たりの絶縁性粒子数、および互いに面接触している絶縁性粒子数をカウントしその割合を評価した。また、導電性粒子1個を上面から観察した時の20個の絶縁性粒子を無作為に観察し、接触無しの粒子は0%、1面接触の粒子は15%、2面接触の粒子は30%、3面接触の粒子は45%、4面接触の粒子は60%、5面接触の粒子は75%としてカウントし、その値を平均化することで、上記の割合を評価した。
(3)凝集状態
得られた絶縁性粒子付き導電性粒子を含有量が10重量%となるように、三井化学社製「ストラクトボンドXN−5A」に添加し、分散させ、異方性導電ペーストを得た。
得られた異方性導電ペーストを25℃で72時間保管した。保管後に、異方性導電ペーストにおいて凝集した絶縁性粒子付き導電性粒子が沈降しているか否かを評価した。凝集状態を下記の基準で判定した。
[凝集状態の判定基準]
○:凝集した導電性粒子が沈降していない
△:小さな凝集した導電性粒子がわずかに沈降している
×:凝集した導電性粒子が多く沈降している
(4)導通性(上下の電極間)
得られた絶縁性粒子付き導電性粒子を含有量が10重量%となるように、三井化学社製「ストラクトボンドXN−5A」に添加し、分散させ、異方性導電ペーストを得た。
L/Sが20μm/20μmであるIZO電極パターンが上面に形成された透明ガラス基板を用意した。また、L/Sが20μm/20μmである金電極パターンが下面に形成された半導体チップを用意した。
上記透明ガラス基板上に、得られた異方性導電ペーストを厚さ30μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、異方性導電ペースト層上に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電ペースト層の温度が185℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、3MPaの圧力をかけて異方性導電ペースト層を185℃で硬化させて、接続構造体を得た。
得られた20個の接続構造体の上下の電極間の接続抵抗をそれぞれ、4端子法により測定した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。導通性を下記の基準で判定した。
[導通性の判定基準]
○○:抵抗値が5Ω以下の接続構造体の個数の割合が90%以上
○:抵抗値が5Ω以下の接続構造体の個数の割合が80%以上、90%未満
△:抵抗値が5Ω以下の接続構造体の個数の割合が60%以上、80%未満
×:抵抗値が5Ω以下の接続構造体の個数の割合が60%未満
(5)絶縁性(横方向に隣り合う電極間)
上記(4)導通性の評価で得られた20個の接続構造体において、隣接する電極間のリークの有無を、テスターで抵抗を測定することにより評価した。絶縁性を下記の基準で判定した。
[絶縁性の判定基準]
○○:抵抗値が108Ω以上の接続構造体の個数の割合が90%以上
○:抵抗値が108Ω以上の接続構造体の個数の割合が80%以上、90%未満
△:抵抗値が108Ω以上の接続構造体の個数の割合が70%以上、80%未満
×:抵抗値が108Ω以上の接続構造体の個数の割合が70%未満