JP2016075675A - 応力ゲージ、及びこれを備えた鋼材 - Google Patents
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Abstract
Description
また、特許文献2には、被計測物に設けた切欠きを有する試験片から発生する音響放出波(AE波)を検出して応力を推定する応力検出装置について開示されている。
すなわち、一般的に使用されるひずみゲージや特許文献2に示す応力検出装置では、計測機器による継続的あるいは断続的な電気的モニタリング、そのための電源の確保、さらにはゲージと計測機器との配線が必要となるため、計測に手間と時間がかかり、コストが増大するという問題があった。一方、特許文献1に示す評価方法についても、応力ゲージとなる試験片のき裂長さを継続的あるいは断続的に測定することが必要であり、ひずみゲージや特許文献2に示す応力検出装置と同様に、計測に手間と時間を要する。結果として、従来の方法については改善の余地があり、新たな技術が求められていた。
このように、本発明に係る応力ゲージは、被計測物の部材表面に設けた検出部材のき裂の進展により、容易に被計測物の応力・ひずみ状態を特定することが可能となる。この結果、従来の方法と比較して、応力・ひずみ状態の評価を簡単に行うことができ、コストの低減を実現することができる。
したがって、ひずみが発生しやすい箇所など測定したい箇所に集中的に検出部材を配置することができ、その付与位置から複数の応力状態を精度よく確認することができる。そのため、インフラ設備の経年劣化の評価に好適である。しかも、複数の検出部材を配置することで、比較的広い範囲の応力・ひずみ状態を評価することができる。
さらに、前記複数の切欠きは、前記切欠きの長さの長い順、短い順、あるいはランダムに配列されていてもよい。
さらにまた、前記切欠きは、互いに対向して配置されるとともに、前記対向する一対の切欠きの切欠き先端同士が互いに前記せん断方向に離れていてもよい。
この場合、一対の切欠きが切欠き先端同士を結ぶ線においてせん断力が作用し、そのせん断ラインでき裂が進展する。これを目視などにより把握することで、被計測物のせん断状態を確認することができる。
また、検出部材に端子を接続し、電気回路の一部として利用することもできる。さらに、蛍光体を含む材料や外部からの電磁波照射に対して発光することや、熱を発生することも可能である。
図1に示すように、本実施の形態の応力ゲージ1は、鋼材2(被計測物)に設けられ、その鋼材2の応力・ひずみ状態を測定するためのものであり、1つの応力ゲージ1中に多数の検出部材3を有している。
ここで、「き裂の進展」とは、切欠き先端3bから生じるき裂の長さ方向に延びるき裂の状態を示すが、破断した状態も含んでいる。
検出部材3は図3に示すように全体(全面)、図4(a)、(b)に示すように一部(符号3c)が接着材により貼着(符号3dは非貼着部)されているもの、あるいは図4(c)に示すように検出部材3がベース部材11に直接貼着されないようにフィルム、紙、金属箔等の材料(符号3e)が検出部材3とベース部材11との間に存在しても良い。例えば、ベース部材11の表面上に検出部材3を直接貼着しない部分では、水溶液や溶剤により除去できる材料をあらかじめコーティングしておいても良い。
図1に示すように、本実施の形態では、被計測物である鋼材2の検出部材3が貼付により設けられた箇所にひずみが生じると、その応力が所定の大きさに達したときに、検出部材3は切欠き3aが拡大することによりその切欠き先端3bからき裂が進展する(図2参照)。そして、この検出部材3のき裂の進展状況を目視やカメラ、或いは他の検出手段(図示省略)によって検出することにより、鋼材2が被った応力・ひずみ状態を容易に測定し、確認することができる。本応力ゲージ1は、検出部材3の材質や切欠きサイズの選択により、検出部材3の切欠き先端3bからき裂が進展することを利用し、鋼材2が被った応力・ひずみ状態を直接的に計測するところに特徴がある。
このように、本実施の形態の応力ゲージ1は、鋼材2の部材表面に設けた検出部材3のき裂の進展により、容易に鋼材2の応力・ひずみ状態を特定することが可能となる。この結果、従来の方法と比較して、応力・ひずみ状態の評価を簡単に行うことができ、コストの低減を実現することができる。
したがって、鋼材2に設けた検出部材3のき裂の進展により、容易に鋼材2の応力・ひずみ状態を特定することが可能となる。この結果、従来の方法と比較して、応力・ひずみ状態の評価を簡単に行うことができ、コストの低減を実現することができる。
そして、半径方向R及び円周方向に配置する検出部材3の数量は、図1に示す形態に限定されることはなく、検出を必要とする応力の方向とその大きさに応じて1〜n個の数を自由に選択することができる。
そのため、インフラ設備の経年劣化の評価に好適である。しかも、複数の検出部材3を配置することで、より広い範囲の応力・ひずみ状態を評価することができる。
そのため、鋼材2の応力・ひずみ状態を精度よく確認することができる。
本実施例では、図5に示すように、厚さ0.15mm×巾30mm ×長さ160mmで、ヤング率210GPaの鋼板41(ベース部材)の上に、異なる切欠き長さaの切欠き42a、42b、42c、42dを有する4つのAl2O3薄膜(検出部材42A〜42D)をPVD法で蒸着した。図5中の検出部材42A〜42Dの接着部4a、4a同士の間の部分には、あらかじめアルコール溶剤で除去できる有機材料を厚さ10〜100nmで設けておく。Al2O3薄膜をPVD法でコーティングした後、鋼板をアルコール溶剤中に入れ、有機材料を除去した。なお、図5の数値の単位はmmである。切欠き42a〜42dの切欠き長さaは、それぞれa=7mm、10mm、13mm、16mmである。検出部材42A〜42Dは、50μm厚、20mm角の正方形で、破壊靭性値KIC =4.0 MPa・√mを有する。
ここで、これら検出部材42A、42B、42C、42Dを備えた鋼板41は応力ゲージ4を構成している。なお、各切欠き42a、42b、42c、42dの先端の形状は、図6に示すように、θ=90°で直角となっている。
クラックが発生するき裂先端における破壊応力σは、上述した(1)式で求められる。
(1)式中のαは、1.12とされる。その結果、クラック発生時の応力の測定値は、それぞれ16.0MPa、17.6MPa、20.0MPa、24.2MPaであった。試験結果と理論値との対応関係を図7に示す。図7の結果より、精度よく応力の検出が可能であることを確認することができる。
図8に示すように、第2の実施の形態による応力ゲージ1Aは、平面視で四角形のベース部材12において複数の検出部材31を配置した構成となっている。
検出部材31の切欠き31aは、スリット状に切り込まれている。その切欠き31aの長さ(切欠き長さ)の異なる検出部材31、31、…を、切欠き長さの長いものから順に一方向から他方向に向けて配列したゲージ群30Aがベース部材12上に4つ設けられている。
これら4つのゲージ群30Aは、それぞれ45°ずつの異なる方向にずらした状態で配置されており、複数の応力の測定に対応できる構成となっている。
次に、上記の実施の形態では検出部材3、31として脆性材料を対象としているが延性材料に適用する場合について説明する。
この場合の検出部材として、延性を有する材料で公称ひずみまで測定すると仮定し、検出部材の材料の降伏強度をσyとし、き裂の進展ひずみをεFとする。ひずみ計測の場合には、εF>1%以上の材料が使用される。
図9に示すように、切欠きを設けた材料では負荷荷重(ひずみ)が大きくなると、切欠き先端で降伏領域が生じるが、その降伏領域の大きさは、γp〜Ω(K/σy)2となる。ここで、Ωは応力状態による定数、Kは応力拡大係数((2)式)、aは切欠き長さを示している。
次に、第4の実施の形態による応力ゲージについて、図面に基づいて説明する。
図10に示す第4の実施の形態による応力ゲージ1Bは、上述した実施の形態と同様に、鋼材2に設けられ、鋼材2の応力・ひずみ状態を測定するためのものであって、1つの検出部材32に複数の切欠長さa1〜a4の異なる切欠き32a〜32dが形成された構成となっている。この検出部材32は、鋼材2のひずみの変化に基づいて、複数の切欠き32a〜32dがそれぞれ拡大することによってき裂の進展が可能なように設けられている。これら複数の切欠き32a〜32dは、切欠き長さの長い順に配列されている。
図11(a)、(b)には、接着部3cを示している。接着部3cは、図11(a)に示すように検出部材32の両端部のみに設けられていてもよいし、図11(b)に示すように検出部材32の両端部および切欠き32a、32b、32c、32d同士の間の部分に設けられていてもよい。
また、一般的な適用例として、図12に示すように、橋梁5の主桁51と横桁52とが補剛材53を介して接合される接合部において、例えば図12において二点鎖線で囲んだ部分5A、5B、5Cの疲労き裂が発生しやすい部分や発生が予想される部分に、上述した複数の検出部材3、31、32を備えた円形状或いは四角形状等の応力ゲージ1、1A、1Bを適宜な箇所に設け、その接合部における応力・ひずみ状態をモニタリングし、疲労き裂の発生・進展の状況を把握することができる。
そして、検出部材は、電気伝導性のものでも良いし、電気絶縁性のものでもよい。
さらに、検出部材は、1つの材料から形成される部材であっても良いし、2つ以上の材料からなる積層構造の部材であってもかまわない。例えば、電気伝導性を有する部材の層と電気絶縁性を有する部材の層を組み合わせて積層させることもできる。
また、検出部材に接続される端子を電気回路の一部として利用することができ、蛍光体を含む材料や外部からの電磁波照射に対して発光することや、熱を発生することも可能である。
さらに、フィルム等のベース部材上に検出部材をコーティング(印刷)した状態で、さらにその表面にベース部材と同じ材料(フィルム等)、或いは異なる材料のものをコーティング(印刷)してもよく、これにより、設置条件(水分、湿度などの影響)による耐環境特性を向上させることができ、測定精度を高めることが可能となる。
ただし、切欠き先端の曲率半径ρが切欠き長さaより小さい(ρ<a)条件を満たす必要がある。そして、前記ラディアスは、自然に発生するき裂を利用しても良い。
検出部材において、切欠きの切欠き長さaが検出部材の最も長い辺よりも小さければ良く、直線であっても、曲線であってもよい。さらに、直線や曲線の一部が2つ以上の直線や曲線に分岐していてもよい。
例えば、図13(a)に示す第1変形例による検出部材33は、同軸上に対向して2つの三角形状の切欠き33aを設けた形状である。
図13(b)に示す第2変形例による検出部材34は、同軸上に対向する2個を、直交方向に配置して計4個の切欠き34aを設けた形状である。
図13(c)に示す第3変形例による検出部材35は、異なる軸上に2個の切欠き35aを設けた形状である。
図13(d)に示す第4変形例による検出部材36は、切欠き36aを1個設けた形状である。
図13(e)に示す第5変形例による検出部材37は、検出部材の形状が四角ではなく、正三角形状をなす場合であって、3つの各辺に切欠き37aを設けた形状である。
これにより、一対の切欠き38a、38aが切欠き先端38b、38b同士を結ぶ線(図14で点線で示すせん断ライン)においてせん断力τが作用し、そのせん断ラインでき裂が進展する。これを上述した実施の形態と同様に目視などにより把握することで、被計測物のせん断状態を確認することが可能である。
図15〜図18に示す適用例1〜4は、それぞれ例えば輸送用で商品梱包用の段ボール箱からなる箱体6を形成する6面のうち1面(これを検出面6Aという)の四隅に応力ゲージ1D〜1Gを貼付したものである。
図15に示す適用例1の応力ゲージ1Dは、1つの切欠き3aを有する平面視で四角形状をなす1枚の検出部材3からなり、その切欠き3aが検出面6Aの角頂部6aに向けた状態で貼り付けられている。適用例1では、輸送時に箱体6の落下や衝突が起こった場合に、応力ゲージ1Dのき裂状況を見ることで、衝撃を受けた履歴がわかり、箱体6内に収容されている商品の状態を簡易に確認することができる。
この場合には、箱体6が受ける応力に応じてひずみが作用すると、先に切欠き3aの長さが長い第2検出部材3Bの切欠き3aが第1検出部材3Aよりも先にき裂が進展し、その後、第1検出部材3Aの切欠き3aでき裂が進展する。そのため、適用例2では、受けた最大応力の程度を段階的に推測することが可能になる。なお、応力ゲージ1Eの枚数は、2枚であることに限定されず、3枚以上を設けるようにしてもよい。
また、上述した適用例1〜4では、箱体6の6面のうち1面のみを検出面6Aとしているが、1面であることに限らず、2面以上、或いは全面に設けられていてもよい。
図19(a)、(b)は、H形鋼からなるガーダー7において、応力集中してき裂Kが発生しやすい箇所を図中の符号R1〜R3の二点鎖線で示している。ガーダー7は、上フランジ71、下フランジ72、及びウェブ73からなり、適宜な箇所にガセットプレート74を接合させた構成となっている。図19(b)は、下フランジ72とガセットプレート74との溶接部に発生しているき裂Kの状態を示している。
図20(b)に示すように、適用例(B)は、上フランジ71とウェブ73のガセットプレート74が接続される部分の近傍において、面外ガセットまわし溶接部W2、すなわち上フランジ71から鉛直力が卓越していると考えられる部分の近傍に複数の応力ゲージ1を貼付した一例を示している。この場合、上フランジ71及びウェブ73のそれぞれにおいて、ガセットプレート74を挟んだ両側に配置されている。
また、図20(d)に示すように、適用例(D)は、板継溶接部W4の近傍に応力ゲージ1を貼付した一例を示している。
2 鋼材(被計測物)
3、31〜38、42A〜42D 検出部材
3a、31a〜38a、42a〜42d 切欠き
3b、31b〜38b 切欠き先端(切欠きの先端部)
11、12 ベース部材
30、30A ゲージ群
R 検出部材の半径方向
Claims (12)
- 被計測物の部材表面に設けられ、該被計測物の応力・ひずみ状態を測定するための応力ゲージであって、
切欠きを有する検出部材を備え、
該検出部材は、前記被計測物のひずみの変化に基づいて、前記切欠きの先端部から発生するき裂が進展可能に設けられ、き裂の進展状況を検出することにより応力・ひずみ状態を測定可能に構成されていることを特徴とする応力ゲージ。 - 前記検出部材は、複数設けられてなり、
これら前記複数の検出部材に設けられる少なくとも2つの切欠きの長さが異なることを特徴とする請求項1に記載の応力ゲージ。 - 前記検出部材は、複数設けられてなり、
これら前記複数の検出部材に設けられる切欠きの長さが同じであることを特徴とする請求項1に記載の応力ゲージ。 - 前記複数の検出部材に設けられる前記切欠きの向きを異なる方向に向けた状態で配置されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の応力ゲージ。
- 前記複数の検出部材は、それぞれ1つの切欠きを有し、前記切欠きの長さの長い順、短い順、あるいはランダムに配列されていることを特徴とする請求項2に記載の応力ゲージ。
- 前記検出部材は、複数の切欠きを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の応力ゲージ。
- 前記複数の切欠きは、前記切欠きの長さの長い順、短い順、あるいはランダムに配列されていることを特徴とする請求項6に記載の応力ゲージ。
- 前記切欠きは、互いに対向して配置されるとともに、前記対向する一対の切欠きの切欠き先端同士が互いに前記せん断方向に離れていることを特徴とする請求項6又は7に記載の応力ゲージ。
- 前記検出部材は、前記被計測物よりも破壊靱性値が小さい材料であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の応力ゲージ。
- 前記検出部材は、き裂の進展ひずみが1%より大きい材料であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の応力ゲージ。
- 前記検出部材には、電気的な機能を有する端子を備えていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の応力ゲージ。
- 請求項1乃至11のいずれか1項に記載の応力ゲージが設けられていることを特徴とする応力ゲージを備えた鋼材。
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- 2015-09-30 JP JP2015194096A patent/JP6536815B2/ja active Active
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