JP7182402B2 - 振動発電型電気防食装置及び振動発電型電気防食装置の設置方法 - Google Patents

振動発電型電気防食装置及び振動発電型電気防食装置の設置方法 Download PDF

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特許法第30条第2項適用 平成29年3月4日 平成28年度土木学会支部 技術研究発表会 東北工業大学八木山キャンパス 4件
本発明は、振動発電型電気防食装置に関するものであり、詳しくは、補強用鋼材とコンクリートから構成されるコンクリート構造物もしくは橋梁等に使用される鋼材露出部分の錆による劣化を防止する目的等に使用される振動発電型電気防食装置及び振動発電型電気防食装置の設置方法に関するものである。
近年、高度経済成長期に建築された橋梁またはビル外壁のコンクリートが、構造物内部に補強材として使用されている鉄筋の腐食が原因とされる劣化により、脱落・落下等の問題を起こしており、その建て替えや補修工事が頻繁に行われている。加えて、少子高齢化による建築現場での技術者の不足により、構造物を含めたインフラ保守の人員不足が懸念され、昨今のコンクリート構造物の計画・設計・施工・維持管理に関する基規準類では、設計供用期間が100年となるように耐久性を確保することが求められている状況にある。コンクリート構造物の主たる劣化要因は、コンクリート内部の鋼材表面において形成される腐食電池による鋼材の腐食である。鋼材腐食が進行すると腐食生成物すなわち錆の膨張圧によってコンクリートにひび割れが生じ、さらに、そのひび割れから浸透する水分や酸素等の外部要因が鋼材表面に過大に供給され、劣化が加速度的に進行する。このような鋼材腐食に起因する劣化に対して、コンクリート構造物の耐久性を向上させる方法としては、常時微弱な防食電流を与え続けてコンクリート中の鋼材表面に生じる腐食電池を制御して鋼材腐食を抑制する電気防食の技術が取り入られ施工されている。
例えば、特許文献1には、太陽電池を用いた防食用電源装置が開示されている。この特許文献1に記載の防食用電源装置は、防食対象物に安定した防食電流を供給することを目的としたものである。
特開2015-183223号公報
しかしながら、従来の電気防食の技術は、耐防食性は高くインフラ保守効果は高いが、常時通電するための電源の確保と、電源とコンクリートを介し鋼材に防食電流を適切に供給できているかの監視が必須であることから、供用環境が厳しい港湾または、劣化破損による社会的影響度が高い高速道路橋などのインフラ等に用いられるのみであり、一般的に広く普及しておらずまた、コンクリート構造物の管理技術者の省人化にも寄与できていないのが実情である。
特許文献1のように、固定電源の代わりに、太陽電池を用いた電気防食技術も取り入れられているが、太陽光発電は日中の日照量をいかに確保するのかが課題であるが、天候・日照量・積雪・台風等設置制約を大きく受けることになり、一般的に広く普及できていないのが実情である。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、防食対象物の防食を確実に実現しつつ防食状態の監視などの労力の低減と導入及び維持コストの低減を実現可能な振動発電型電気防食装置及び振動発電型電気防食装置の設置方法を提供することを目的とする。
本発明に係る振動発電型電気防食装置は、加わる振動によって発電する機能を備えた振動発電素子と、前記振動発電素子から導出した2つの電極間に振動に連動してプラス側とマイナス側に交互に発生する電圧をプラス側のみとなるように整流して出力する整流回路と、前記整流回路で整流されたパルス状の電流を防食対象物に供給するための接続端子とを備えたことを特徴とする。
本発明に係る振動発電型電気防食装置は、加わる振動によって発電する機能を備えた複数の振動発電素子と、前記振動発電素子から導出した2つの電極間に振動に連動してプラス側とマイナス側に交互に発生する電圧をプラス側のみとなるように整流して出力する整流回路と、前記整流回路で整流されたパルス状の電流を防食対象物に供給するための接続端子とを備えており、複数の振動発電素子のそれぞれは、加わる振動を増幅するための弾性部材によって増幅された振動が加わるように構成されており、複数の振動発電素子の各弾性部材は、防食対象物に発生する複数の振動周波数の何れかと共振を発生させる固有振動数となるように形状を設計し、かつ、各弾性部材の固有振動数が相互に異なるように設計したことを特徴とする。
また、本発明に係る振動発電型電気防食装置は、前記振動発電素子は、外形形状の長手方向の一端側のみを固定箇所に固定し、一端側を支点として他端側が振動によって撓むように構成したことを特徴とする。
また、本発明に係る振動発電型電気防食装置は、前記振動発電素子は、ポリフッ化ビニリデン又はポリフッ化ビニリデン三フッ化エチレン共重合体を主成分とした有機圧電フィルムを含むことを特徴とする。
また、本発明に係る振動発電型電気防食装置は、前記振動発電素子は、磁歪材料を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る振動発電型電気防食装置は、前記整流回路は、全波整流回路で構成したことを特徴とする。
また、本発明に係る振動発電型電気防食装置は、前記振動発電素子は、防食対象物に発生する特定の振動周波数の振動と共振を起こすように設置環境を設定するようにしたことを特徴とする。
また、本発明に係る振動発電型電気防食装置は、前記振動発電素子は、振動によって生じた衝撃が加わることで発電する構成としたことを特徴とする。
また、本発明に係る振動発電型電気防食装置は、前記振動発電素子は、振動体に設置した弾性部材が振動によって振幅変化することよって衝撃が加わる構成としたことを特徴とする。
また、本発明に係る振動発電型電気防食装置は、前記振動発電素子は、振動体と振動体に隣接する隣接体との間に挟み込むことで振動体からの振動による衝撃が加わる構成としたことを特徴とする。
本発明に係る振動発電型電気防食装置の設置方法は、加わる振動によって発電する機能を備え、振動による発電量が最大となる撓み方向を持つ振動発電素子と、前記振動発電素子から導出した2つの電極間に振動に連動してプラス側とマイナス側に交互に発生する電圧をプラス側のみとなるように整流して出力する整流回路と、前記整流回路で整流されたパルス状の電流を防食対象物に供給するための接続端子とを備えた振動発電型電気防食装置を、防食対象物としての構造物に設置する際に、前記振動発電素子における振動による発電量が最大となる撓み方向と、防食対象物に対して発生する振動の振幅方向との間の角度が、予め設定した所定角度以内となるように、振動発電型電気防食装置の角度を調整して構造物に設置することを特徴とする。
本発明に係る振動発電型電気防食装置によれば、加わる振動によって発電する機能を備えた振動発電素子によって発電し、発電後の電圧をプラス側のみ使用できるように整流し、整流後のパルス電流によって電気防食を実現するようにしたので、常時通電のための電源を必要とせず、また、パルス状の電流を間欠的に流す構成であるため、常時通電の場合に比較して陽極材料の表面を被覆するバックフィル材の消耗が大幅に軽減される。パルス状の電流であっても、常時通電の場合と同様の電気防食の効果が得られる分極量を確保することが可能である。結果として、防食対象物の防食を確実に実現しつつ劣化監視などの労力の低減と導入及び維持コストの低減を実現することが可能となる。
本発明に係る振動発電型電気防食装置10の構成を表した回路図である。 振動周波数と振動発電素子11の撓み量δ(振動の振幅)の関係を測定するための試験の概要を説明した説明図である。 (a)は、振動発電素子からダイレクトに得られる電圧特性の一例を表した説明図であり、(b)は、振動発電素子からの電圧を全波整流した後に得られる電圧特性の一例を表した説明図である。 (a)は、パルス状の電流を用いた電気防食と従来の常時通電方式の電気防食の比較を行う検証実験に用いた供試体の条件を表した説明図であり、(b)は、各供試体に対してパルス状の電流を用いた電気防食と従来の常時通電方式の電気防食を行った場合のそれぞれのコンクリート内部の鉄筋の分極量を表したグラフである。 実際に振動発電素子に振動を与えて供試体にパルス電流を流した場合のコンクリート内部の鉄筋の分極量を示した表である。 本発明に係る振動発電型電気防食装置10の他の実施の形態に係る構成を表した説明図である。 本発明に係る振動発電型電気防食装置10の他の実施の形態に係る設置の具体例を表した説明図である。 磁歪材料に対して衝撃を与えた場合の電圧値及電流値の変化を表した説明図である。
[第1の実施の形態]
以下、図面を参照しながら、第1の実施の形態に係る振動発電型電気防食装置の例について説明する。図1は、本発明に係る振動発電型電気防食装置10の構成を表した回路図である。この図1に示すように、振動発電型電気防食装置10は、振動発電素子11と、整流回路12と、接続端子13a、13bとを具備している。そして、この振動発電型電気防食装置10が接続端子13a、13bを介して防食対象物20に接続される。
振動発電素子11は、振動発電型電気防食装置10に加わる振動を利用して発電する機能を有した素子である。この振動発電素子11は、振動を利用して発電可能なものであればどのような素子や装置であってもよいが、例えば、水晶などの結晶体、セラミック、磁歪材料、有機圧電フィルムなどの等の圧電素子が挙げられ、又は、これらの圧電素子を複数種類組み合わせて使用することが考えられる。特に、ポリフッ化ビニリデン又はポリフッ化ビニリデン三フッ化エチレン共重合体を主成分としたシートを形、厚みが例えば0.03~0.10mmの範囲のものを積層し、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、低発砲塩化ビニール材等で被覆して形成した有機圧電フィルムは、可撓性を有し、振動の衝撃を吸収して耐久性が高いため、振動発電素子11として好ましい。振動発電素子11には、例えば、表面と裏面にそれぞれ電極を設けて発電された電流を導出するように構成する。
整流回路12は、振動発電素子11で発電された電流を整流する機能を有する。振動発電素子11における発電は、振動の振幅に対応してプラス側とマイナス側に交互に電圧が発生する仕組みとなっているが、電気防食を行う際にはプラス側の電圧のみを使用したいため、この整流回路12によってプラス側の電圧及び電流のみを利用する構成となっている。図1に示す整流回路12は、ダイオードD1~D4の4つのダイオードを使用した全波整流回路であり、マイナス側の発電もプラス側に印加されるようになっている。なお、必ずしも全波整流回路である必要はなく、半波整流回路であってもよい。
図3(a)は、振動発電素子からダイレクトに得られる電圧特性の一例を表した説明図であり、図3(b)は、振動発電素子からの電圧を全波整流した後に得られる電圧特性の一例を表した説明図である。図3(a)に示すように、振動発電素子11で得られる電圧は、振動の振幅に対応してプラス側とマイナス側に交互に電圧が発生する交流電源波形に似た電圧波形が得られる。これを全波整流回路にて整流すると、図3(b)に示すように、プラス側にのみパルス的に波形が現れる電圧波形が得られる。本例では、この図3(b)に示すようなパルス状の電流によって電気防食を実現することを特徴とする。
接続端子13a、13bは、整流回路12で整流した後の電流を防食対象物20に供給するための機能を有する。接続端子13a、13bとして使用する陽極材、陰極材の種類、及び、防食対象物20に対する接続方法は、どのようなものであってもよく、適宜最適なものが選択されるものとする。
以上の振動発電素子11、整流回路12を例えばハウジング等に収納して振動発電型電気防食装置10を形成する。このとき、ハウジング内における振動発電素子11の固定方法は適切に発電することができればどのような固定方法であってもよいが、例えば、振動発電素子11における振動による発電量が最大となる撓み方向と、防食対象物に対して発生する振動の振幅方向との間の角度が、予め設定した所定角度以内となるように、振動発電型電気防食装置の角度を調整して構造物に設置することが好ましい。ここで、撓み方向とは、撓みによって円弧状にRがついた場合における円弧と同一平面上の方向でかつ円弧の弦と垂直な方向である。発電量が最大となる撓み方向とは、振動発電素子に対して同じ強さの振動を加えた場合に最も発電量が大きくなる時の撓み方向を意味する。通常は、同じ強さの振動に対して最も振幅が大きくなる方向が、最も発電量が大きくなる時の撓み方向となるといえる。
具体的な設置方法としては、例えば、振動による振幅が大きくなるように、振動発電素子の外形形状の長手方向の一端側のみを固定箇所に固定し、他端は固定せずにフリーとすることで、一端側を支点として他端側が振動によって撓むように構成することが考えられる。長方形のシート状の有機圧電フィルムの場合には、長方形の一方の短辺側を固定して他方側の短辺部分で振幅が最大となるように設置する。その時、発電量が最大となる撓み方向は、長方形状の振動発電素子を形成した面に略垂直な方向となるので、振動の振幅方向を振動発電素子を形成した面に略垂直な方向とをできるだけ合致させるように振動発電型電気防食装置10を設置すれば、最大に近い発電量を得ることができる。
なお、振動発電素子11における振動による発電量が最大となる撓み方向と、防食対象物に対して発生する振動の振幅方向とが一致する場合が最大発電量となるが、振動発電素子11の最大発電量の条件でなくとも十分に防食効果が得られる場合もある。そのような場合には、振動発電素子11における振動による発電量が最大となる撓み方向と、防食対象物に対して発生する振動の振幅方向とを一致させる必要はなく、防食効果が得られる範囲で2つの方向の間に所定角度が生じても問題ないといえる。すなわち、振動発電素子11における振動による発電量が最大となる撓み方向と、防食対象物に対して発生する振動の振幅方向との間の角度として予め設定する所定角度は、振動発電素子11の最大発電量、振動の振幅及び振動周波数、防食対象物に対する所定面積当たりの振動発電型電気防食装置10の設置個数などによって決定される。このように、設置角度として一定の範囲が許容される状況であれば、設置の条件が緩和されて設置が容易となる効果がある。
次に、本発明に係る振動発電型電気防食装置10がパルス状の電流を用いていても従来の常時通電方式の電気防食装置と同様に電気防食の効果が得られることについて順を追って説明を行う。
先ず、本例が想定する振動でどの程度の発電が可能であるかについて検証した。本発明に係る振動発電型電気防食装置10は、振動が発生する環境において電気防食を行いたい全ての状況に適用可能なものであると考えるが、特に、鉄筋を補強材とするコンクリート構造物や橋梁などに使用される鋼材の錆による劣化を防止することに使用されることを想定したものである。新幹線の高架橋や自動車用の橋梁又はこれらの橋梁と平行して設けられている水道橋などでは鋼材の露出した接続部分が存在し、この鋼材の露出部分で特に錆が発生し易いため、新幹線通過時の振動や自動車通過時の振動によって発電を行って電気防食を行うために開発を行った。
ここで、車両の通過と振動の関係を調べるために、一例として新幹線について調べたところ、一般的な径間10mの高架橋を新幹線が通過するときの速度が時速210kmの時の振動周波数が7.9Hz、時速260kmの時の振動周波数が11.1Hz、時速300kmの時の振動周波数が12.7Hzであった。このときの橋梁の撓み量δは1.0~2.0mmであった。
次に、上記新幹線の通過時に振動発電素子11がどの程度の電流を発生させることができるかについて調べた。新幹線の速度が時速210kmの時の振動周波数である7.9Hzを振動周波数として想定し、7.9Hzの振動周波数のときに振動発電素子11の撓み量δが1.5mm(平均)となる形状を検討した。図2は、振動周波数と振動発電素子11の撓み量δ(振動の振幅)の関係を測定するための試験の概要を説明した説明図である。この図2に示すように、振動試験機のテーブルの端部に、振動発電素子11を備えた振動板を設置する。振動板は、例えば、厚さ5mmの低発泡塩化ビニールで構成し、この低発泡塩化ビニールの板の上に振動発電素子11の一例として有機圧電フィルムを貼着し、有機圧電フィルムの表面と裏面のそれぞれから電極(例えば、Cuテープ)を導出させて構成する。この設置状況において、振動試験機によって7.9Hzの振動を与えたときに、振動板の先端の撓み量δが1.5mm(平均)となる形状を模索した。この条件を満たす振動板の構成は様々な形状が考えられるが、一例としては、振動試験機の端部から振動板の先端までの距離であるスパン長が390mm、振動板の幅が100mm、厚さが5mm、有機圧電フィルムの大きさが長さ280mm×幅80mmとした形状のときに、撓み量δが1.5mmが測定でき、検証した形状の中では最大の発電電圧が得られた。この最大の発電電圧時の電流量(短絡電流)は6.7μAであった。
新幹線の通過時の振動周波数として7.9Hzを用いて説明を行ったが、この振動周波数はあくまで一例であり、これよりも振動周波数の大きな環境やこれよりも振動周波数の小さな環境であっても、それぞれの振動周波数のときに最大量の発電が可能な振動発電素子11の形状を設定することで環境に応じた発電設定が可能であることはいうまでもない。
次に、パルス状の電流を用いた電気防食と従来の常時通電方式の電気防食の比較を行った。図4(a)は、パルス状の電流を用いた電気防食と従来の常時通電方式の電気防食の比較を行う検証実験に用いた供試体の条件を表した説明図であり、図4(b)は、各供試体に対してパルス状の電流を用いた電気防食と従来の常時通電方式の電気防食を行った場合のそれぞれの分極量を表したグラフである。
図4(a)に示すように、供試体は2種類用意し、一方のNo.14の供試体は鉄筋に腐食がほぼないコンクリート供試体であり、他方のNo.4の供試体は鉄筋に腐食が認められるコンクリート供試体である。2つのコンクリート供試体はそれぞれ、縦200mm×横200mm×高さ80mmの直方体状のコンクリート構造物の側面中央を鉄筋が一本通過した状態であり、上面にメッシュ状のチタン系陽極材を設けるとともに陽極材が露出しないようにセメント系被覆材で覆い、鉄筋部分を陰極とする。また、鉄筋の電位状態を測定するための照合電極をコンクリート内部若しくはコンクリート下面に設ける。このような2つのコンクリート供試体のそれぞれに対して、直流電流とパルス電流をそれぞれ印加して分極量を調べた。なお、パルス電流は、新幹線通過時の振動周波数に近い7.7Hzのパルス(オン:65ms、オフ:65ms)に設定して分極の検証実験を行った。検証実験時の計測環境は図4(a)に示す通りである。
検証実験を行った結果、図4(b)に示すように、印加電流の大小にかかわらず、直流電流とパルス電流とで分極量に大きな差は見られなかった。すなわち、パルス電流による電気防食は、直流電流による常時通電方式とほぼ同じ防食効果が得られるといえる。防食効果が期待できる100mV以上の分極が可能な印加電流は、腐食のないNo.14の供試体の場合には1μA以上であり、腐食の認められるNo.4の供試体の場合には1mA以上であった。
最後に、最大の発電電圧時の電流量(短絡電流)は6.7μAを実現した上記の最適化した振動発電素子を、図2に示すように、振動試験機のテーブルの端部に固定し、振動発電素子で発電した電流を整流回路で整流した後に供試体に供給できるように、整流後の接続端子を供試体の陽極材及び陰極(鉄筋)に接続した。その状態で振動試験機によって振動周波数が7.9Hzの振動を発生させて供試体にパルス電流を印加して、供試体の分極量を測定した。使用した供試体は、上記と同様に、鉄筋に腐食がほぼないNo.14の供試体と、鉄筋に腐食が認められるNo.4の供試体の2つである。
図5は、実際に振動発電素子に振動を与えて供試体にパルス電流を流した場合の分極量を示した表である。この図5に示すように、鉄筋に腐食がほぼないNo.14の供試体では、151mVの分極量が得られ、この値は電気防食の効果を得るために十分な分極量であるといえ、本発明に係る振動発電型電気防食装置10の効果を裏付ける結果である。他方、鉄筋に腐食が認められるNo.4の供試体については、分極量が1mVとほとんど得られず、防食の効果が期待できない結果となった。これは、検証実験に使用した振動発電素子が小さく6.7μA程度の電流量しか流せないことに起因する。図4(b)の検証実験結果からも分かるように、腐食の認められるNo.4の供試体の場合には1mA以上の電流を印加した場合に防食効果が期待できる100mV以上の分極量が得られているので、6.7μA程度では、印加電流が小さすぎたといえる。よって、腐食の認められる防食対象物に対して本発明に係る振動発電型電気防食装置10を適用するためには、振動発電素子における発電量を大きくして印加電流を大きくできるように、振動発電素子の材料、外形形状、設置方法などを工夫する、或いは、所定面積当たりの設置数を増やす必要があるといえる。なお、必ずしもこの数値以上でなければ効果がないわけではないが、1m当たり3mA、5Vの供給を行うことが電気防食の効果が得られる一つの基準といえるため、これを基準として所定面積当たりの設置数を検討する。
以上のように、本発明に係る振動発電型電気防食装置10によれば、加わる振動によって発電する機能を備えた振動発電素子によって発電し、発電後の電圧をプラス側のみ使用できるように整流し、整流後のパルス電流によって電気防食を実現するようにしたので、常時通電のための電源を必要とせず、また、パルス状の電流を間欠的に流す構成であるため、常時通電の場合に比較して陽極材料の表面を被覆するバックフィル材の消耗が大幅に軽減される。パルス状の電流であっても、常時通電の場合と同様の電気防食の効果が得られる分極量を確保することが可能である。結果として、防食対象物の防食を確実に実現しつつ劣化監視などの労力の低減と導入及び維持コストの低減を実現することが可能となる。
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、振動発電素子11の外形形状の決定の際には必要とされる発電量を考慮することが好ましい点について説明したが、その際、防食対象物に生じる振動周波数と振動発電素子11の共振を利用すると、より効率よく必要な発電量を確保することが可能となる。
防食対象物に対して振動源由来の決まった振動周波数の振動が発生する場合や、防食対象物の固有振動数による振動が発生する場合など、ある特定の振動周波数の振動が多く発生する現象が防食対象物において起こる。この特定の振動周波数の振動と共振を起こすように、振動発電素子11及び/又は振動発電素子11を載せる振動板の形状の設定、ハウジング内での固定方法の調整などの設置環境の設定を行う。
このように、共振を利用することにより、共振が発生しない場合に比較して振動発電素子11に対して効率よく振動を発生させることができ、また、振動の持続性も向上するため、発電効率が上昇し、結果として効率よく電気防食を実現することが可能となる。
[第3の実施の形態]
第1及び第2の実施の形態においては、振動発電素子に対して振動を加える方法の一例として、外形形状の長手方向の一端側のみを固定して他端側が振動によって撓むように構成する例を用いて説明を行ったが、振動発電素子に対して振動を加えることができれば、他の実施形態であってもよい。例えば、振動による衝撃を振動発電素子に対して直接加える構成としてもよい。
この第3の実施の形態においては、基本的な振動発電型電気防食装置10の構成は図1と同様であるが、振動発電素子に対する振動の加え方が異なる。図6は、本発明に係る振動発電型電気防食装置10の他の実施の形態に係る構成を表した説明図である。図6(a)において、30は、振動発電素子である。この振動発電素子30に対して、直接衝撃を加える手法として、この図6の例では、振動板31を用いている。振動板31の一方端は振動板固定ステージ32に対して固定し、振動板31の他方端付近に振動発電素子30を載置する。振動発電素子30からはリード線33が導出され、このリード線が整流回路12に接続され、整流回路12の後段の接続端子13a、13bが防食対象物20に接続される(図示省略)。
図6(b)において、50は、振動体である。この第3の実施の形態における振動発電型電気防食装置10は、このような振動体50に振動発電素子30を設置して、生じた振動によって弾性部材としての振動板を振動させて振動発電素子30を振動体に衝突させることで、衝突の衝撃で発電を行うようにしたことを特徴とするものである。例えば、自動車用の陸橋などの橋梁に設置する場合には、床版及び主桁は振動体50であるといえる。図6(b)に示すように、振動体50に対して、振動発電素子30、振動板31及び振動板固定ステージ32を設置する。このとき、振動板31の他端側に載置した振動発電素子30が振動体50に隣接或いは当接した状態となるように振動発電型電気防食装置10全体を設置する。このような状態において、振動体50に振動が発生すると振動板固定ステージ32も振動体50と一体となって振動し、その振動の影響で振動板31が振動方向に振幅を持って振動する。振動板31が振幅を持って振動すると、振動体50に隣接或いは当接した状態であった振動発電素子30が振動の影響で振動体50にぶつかることになる。振動発電素子30が振動体50にぶつかった衝撃で振動発電素子30が発電する仕組みとなる。なお、図面上は振動発電素子30、振動板31及び振動板固定ステージ32を剥き出しの状態で描いているが、簡略化のために省略したものであり、図1に示す整流回路12等を含む振動発電型電気防食装置10の構成全体を所定の筐体内に格納して構成してもよいことはいうまでもない。
図6(b)は、振動体50に対して振動発電型電気防食装置10全体を設置する例として説明したが、振動体50に隣接する隣接体との間に振動発電型電気防食装置10を設置するようにしてもよい。図6(c)において、40は、振動体に隣接する隣接体であり、50は、振動体である。例えば、自動車用の陸橋などの橋梁に設置する場合には、床版及び主桁は振動体50であり、支承及び橋脚は隣接体40であるといえる。図6(c)に示すように、振動体50に対して振動板固定ステージ32を設置し、振動板31の他端側に載置した振動発電素子30が隣接体40に隣接或いは当接した状態となるように振動発電型電気防食装置10全体を設置する。このような状態において、振動体50に振動が発生すると振動板固定ステージ32も振動体50と一体となって振動し、その振動の影響で振動板31が振動方向に振幅を持って振動する。振動板31が振幅を持って振動すると、隣接体40に隣接或いは当接した状態であった振動発電素子30が振動の影響で隣接体40にぶつかることになる。振動発電素子30が隣接体40にぶつかった衝撃で振動発電素子30が発電する仕組みとなる。
また、図6(d)に示すように、隣接体40側に振動発電素子30を設置し、振動体50側に設置された振動板31の先端が振動発電素子30に隣接或いは当接した状態となるように構成してもよい。この図6(d)のような設置方法としても、図6(c)と同様に発電が可能となる。なお、図6の例では、振動発電素子30を振動体50又は隣接体40に直接衝突させる構成のように図示して説明を行ったが、これに限定されるものではなく、振動発電素子30に対してぶつかった際の衝撃が伝わる構成であればどのような構成であってもよく、打撃を振動発電素子30に対して的確に伝えるための部材を介在させるようにしてもよい。
図7は、本発明に係る振動発電型電気防食装置10の他の実施の形態に係る設置の具体例を表した説明図である。この図7は、橋梁に設置する場合を例として説明している。図7(a)は、図6のような振動板31を用いた場合の設置の一例を表した説明図である。橋梁は、橋脚の上に床版及び主桁を載せる際に橋脚との間に支承を介在させる構造となっている場合が多いが、このような構成の場合に、図7(a)に示すように、振動体50としての主桁の下面に振動発電素子30、振動板31及び振動板固定ステージ32を設置するようにし、隣接体40としての支承若しくは橋脚に対して振動板31の先端の振動発電素子30が隣接或いは当接した状態となるように位置関係を調整して設置する。このような位置関係で設置することで、床版の上を走る自動車からの振動によって振動板31が撓みながら振動して、その振動による振幅の結果、振動発電素子30が隣接体40としての支承若しくは橋脚に対してぶつかることで、振動発電素子30が発電する。振動発電素子30からの電流は整流回路12によって整流されたあと、防食対象物20(例えば、主桁)に対して接続端子13a、13bから電流が流される。このような構成により、自動車の走行による振動を利用して振動発電型の電気防食を実現することが可能となる。
なお、振動発電素子30に振動を加えることができればどのような構成であってもよいため、必ずしも振動板31を用いる必要はない。図7(b)は、振動板31を用いない場合の設置の一例を表した説明図である。この図7(b)は、橋梁における主桁と支承の間に振動発電素子30を直接設置した例を示している。このような構成であっても、主桁に生じた振動が振動発電素子30に直接加わって発電が可能である。
以上において説明した第3の実施の形態における振動発電素子30は振動を利用して発電可能なものであればどのような素子や装置であってもよいが、打撃による衝撃によって発電する場合には、磁歪材料を採用することが特に好ましい。図8は、磁歪材料に対して衝撃を与えた場合の電圧値及電流値の変化を表した説明図である。この図8は、重さ16gの超硬合金球を100mmの高さから自由落下させ、直径3mm×高さ8mmの円柱形状の磁歪材料に衝突させた時の電圧、電流特性の一例を表したグラフである。この図8からも分かるように、磁歪材料に衝突した直後に、瞬間的ではあるものの、電圧は約30V、電流は約190mAが得られた。これにより、金属をはじめとする硬い材料と磁歪材料を衝突させることによって、非常に高い発電量が得を得ることができるといえる。
前記第3の実施の形態においては、弾性部材の一例として振動板31を用いた例を用いて説明を行ったが、これに限定されるものではなく、振動体に設置した弾性部材が振動によって振幅変化することよって振動発電素子30に対して衝撃が加わる構成であればどのような弾性部材を採用してもよい。例えば、弾性部材として弾性バネを採用し、弾性バネに接続された金属球を振動発電素子30に隣接或いは当接した状態となるように設置する構成であってもよい。振動によって弾性バネが伸縮することで金属球が振動発電素子30に衝突して衝撃を加えることで発電を行うことが可能となる。
[第4の実施の形態]
第2の実施の形態においては、共振周波数となるように振動発電素子11及び振動板の形状の設定、ハウジング内での固定方法の調整などの設置環境の設定を行うことについて説明したが、実際の橋梁等において発生する振動は、単一の周波数ではなく、複数の周波数が組み合わさった状態であり、かつ、通過する車両や橋梁毎に周波数が異なるという状況が想定される。そこで、複数の振動周波数に対して共振を起こせるように振動発電型電気防食装置10に振動発電素子11及び振動板の組み合わせを複数セット搭載するようにしてもよい。
例えば、振動発電素子11及び/又は振動発電素子11を載せる弾性部材としての振動板の外形形状の長手方向の一端側のみを固定箇所に固定して他端は固定せずにフリーとするカンチレバー型構成としたもの固有振動数がそれぞれ異なるように複数設置する。このとき、複数のカンチレバー型構成のそれぞれの固有振動数は、設置個所に発生する複数の振動周波数の何れかに対して共振を発生させる振動数とする。このような構成とすることで、設置個所に発生する複数種類の振動の振動周波数に対して、何れかのカンチレバー型構成が共振を起こして発電量を確保することが可能となるので、1つのカンチレバー型構成のみを採用する場合に比較して発電量の低下を防止することができる。
また、第3の実施の形態に係る弾性部材としての振動板31及び振動発電素子30を用いた振動発電型電気防食装置10においても、設置個所に発生する複数種類の振動の振動周波数に対してそれぞれ共振を起こせるように、固有振動数をそれぞれ異ならせて何れかの振動周波数に対する共振周波数となるように設定した振動発電素子30及び振動板31の組み合わせを複数セット設けるようにしてもよい。
[第5の実施の形態]
第1の実施の形態においては、振動発電素子11は、厚みが例えば0.03~0.10mmの範囲の圧電素子を積層する実施例について説明を行ったが、一般に、圧電素子の厚みが薄いとインピーダンスが小さくなって電流が増加し、厚みが厚いとインピーダンスが大きくなって電圧が増加する。そこで、振動発電型電気防食装置10を適用する防食対象物の防食に際して高い電流値が求められる場合には、薄い圧電素子を積層することで高い電流値を得るように構成する。他方、振動発電型電気防食装置10を適用する防食対象物の防食に際して高い電圧値が求められる場合には、厚い圧電素子を採用することで高い電圧値を得るように構成する。圧電フィルムとして市販されているものとしては厚みが0.01~0.3mmの範囲のものは既に流通しており、このような圧電フィルムを求められる電圧値、電流値等に基づいて適宜選択して最適な振動発電素子11を構成することが可能となる。なお、上記の例示した厚さの範囲は一例であり、これ以外の厚さの圧電素子の採用を妨げるものではない。
10 振動発電型電気防食装置
11 振動発電素子
12 整流回路
13 接続端子
20 防食対象物
30 振動発電素子
31 振動板
32 振動板固定ステージ
33 リード線
40 隣接体
50 振動体

Claims (11)

  1. 加わる振動によって発電する機能を備えた複数の振動発電素子と、
    前記振動発電素子から導出した2つの電極間に振動に連動してプラス側とマイナス側に交互に発生する電圧をプラス側のみとなるように整流して出力する整流回路と、
    前記整流回路で整流されたパルス状の電流を防食対象物にそのまま直接供給するための接続端子と
    を備えており、
    複数の振動発電素子のそれぞれは、加わる振動を増幅するための弾性部材によって増幅された振動が加わるように構成されており、
    複数の振動発電素子の各弾性部材は、防食対象物に発生する複数の振動周波数の何れかと共振を発生させる固有振動数となるように形状を設計し、かつ、各弾性部材の固有振動数が相互に異なるように設計し
    前記振動発電素子は、外形形状の長手方向の一端側のみを固定箇所に固定し、一端側を支点として他端側が振動によって撓むように構成した
    ことを特徴とする振動発電型電気防食装置。
  2. 前記振動発電素子は、ポリフッ化ビニリデン又はポリフッ化ビニリデン三フッ化エチレン共重合体を主成分とした有機圧電フィルムを含む
    請求項1記載の振動発電型電気防食装置。
  3. 前記振動発電素子は、磁歪材料を含む
    請求項1又は請求項記載の振動発電型電気防食装置。
  4. 前記整流回路は、全波整流回路で構成した
    請求項1から請求項の何れかに記載の振動発電型電気防食装置。
  5. 前記振動発電素子は、防食対象物に発生する特定の振動周波数の振動と共振を起こすように設置環境を設定するようにした
    請求項1から請求項の何れかに記載の振動発電型電気防食装置。
  6. 加わる振動によって発電する機能を備えた複数の振動発電素子と、
    前記振動発電素子から導出した2つの電極間に振動に連動してプラス側とマイナス側に交互に発生する電圧をプラス側のみとなるように整流して出力する整流回路と、
    前記整流回路で整流されたパルス状の電流を防食対象物にそのまま直接供給するための接続端子と
    を備えており、
    複数の振動発電素子のそれぞれは、加わる振動を増幅するための弾性部材としての振動板によって増幅された振動が加わるように構成されており、
    複数の振動発電素子の各振動板は、
    防食対象物に発生する複数の振動周波数の何れかと共振を発生させる固有振動数となるように形状を設計し、かつ、各弾性部材の固有振動数が相互に異なるように設計し、
    外形形状の長手方向の一端側を前記防食対象物に固定し、他端側は前記振動発電素子を載せて当該防食対象物に固定せずに設置され、
    前記振動発電素子は、前記振動体に設置した前記振動板が振動により振幅変化することによる振動によって生じた衝撃が加わることで発電する構成とした
    ことを特徴とする振動発電型電気防食装置。
  7. 前記振動発電素子は、振動体と振動体に隣接する隣接体との間に挟み込むことで振動体からの振動による衝撃が加わる構成とした
    請求項記載の振動発電型電気防食装置。
  8. 加わる振動によって発電する機能を備え、振動による発電量が最大となる撓み方向を持つ複数の振動発電素子と、前記振動発電素子から導出した2つの電極間に振動に連動してプラス側とマイナス側に交互に発生する電圧をプラス側のみとなるように整流して出力する整流回路と、前記整流回路で整流されたパルス状の電流を防食対象物にそのまま直接供給するための接続端子とを備え、前記複数の振動発電素子の各弾性部材は、防食対象物に発生する複数の振動周波数の何れかと共振を発生させる固有振動数となるように形状を設計し、かつ、各弾性部材の固有振動数が相互に異なるように設計し、前記複数の振動発電素子は、外形形状の長手方向の一端側のみを固定箇所に固定し、一端側を支点として他端側が振動によって撓むように構成した振動発電型電気防食装置を、
    防食対象物としての構造物に設置する際に、
    前記振動発電素子における振動による発電量が最大となる撓み方向と、防食対象物に対して発生する振動の振幅方向との間の角度が、予め設定した所定角度以内となるように、振動発電型電気防食装置の角度を調整して構造物に設置する
    ことを特徴とする振動発電型電気防食装置の設置方法。
  9. 加わる振動によって発電する機能を備えた振動発電素子と、
    前記振動発電素子から導出した2つの電極間に振動に連動してプラス側とマイナス側に交互に発生する電圧をプラス側のみとなるように整流して出力する整流回路と、
    前記整流回路で整流されたパルス状の電流を防食対象物にそのまま直接供給するための接続端子と
    を備えており、
    前記振動発電素子は、加わる振動を増幅するための弾性部材によって増幅された振動が加わるように構成されており、
    前記弾性部材は、防食対象物に発生する特定の振動周波数と共振を発生させる固有振動数となるように形状を設計し、
    前記振動発電素子は、外形形状の長手方向の一端側のみを固定箇所に固定し、一端側を支点として他端側が振動によって撓むように構成した
    ことを特徴とする振動発電型電気防食装置。
  10. 加わる振動によって発電する機能を備えた振動発電素子と、
    前記振動発電素子から導出した2つの電極間に振動に連動してプラス側とマイナス側に交互に発生する電圧をプラス側のみとなるように整流して出力する整流回路と、
    前記整流回路で整流されたパルス状の電流を防食対象物にそのまま直接供給するための接続端子と
    を備えており、
    前記振動発電素子は、加わる振動を増幅するための弾性部材としての振動板によって増幅された振動が加わるように構成されており、
    前記振動板は、
    防食対象物に発生する特定の振動周波数と共振を発生させる固有振動数となるように形状を設計し
    外形形状の長手方向の一端側を前記防食対象物に固定し、他端側は前記振動発電素子を載せて当該防食対象物に固定せずに設置され、
    前記振動発電素子は、前記振動体に設置した前記振動板が振動により振幅変化することによる振動によって生じた衝撃が加わることで発電する構成とした
    ことを特徴とする振動発電型電気防食装置。
  11. 加わる振動によって発電する機能を備え、振動による発電量が最大となる撓み方向を持つ振動発電素子と、前記振動発電素子から導出した2つの電極間に振動に連動してプラス側とマイナス側に交互に発生する電圧をプラス側のみとなるように整流して出力する整流回路と、前記整流回路で整流されたパルス状の電流を防食対象物にそのまま直接供給するための接続端子とを備え、前記振動発電素子の弾性部材は、防食対象物に発生する特定の振動周波数と共振を発生させる固有振動数となるように形状を設計し、前記振動発電素子は、外形形状の長手方向の一端側のみを固定箇所に固定し、一端側を支点として他端側が振動によって撓むように構成した振動発電型電気防食装置を、
    防食対象物としての構造物に設置する際に、
    前記振動発電素子における振動による発電量が最大となる撓み方向と、防食対象物に対して発生する振動の振幅方向との間の角度が、予め設定した所定角度以内となるように、振動発電型電気防食装置の角度を調整して構造物に設置する
    ことを特徴とする振動発電型電気防食装置の設置方法。
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