JP2016074770A - クロロフルオロオレフィンを構成成分とする共沸様組成物 - Google Patents

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英明 井村
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Naokado Takada
直門 高田
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Abstract

【課題】環境への負荷が少なく、取り扱いも安全であり、液組成の変化が生じにくい、新規の液体混合物を提供する。【解決手段】1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CFO-1214ya)を83〜99.9998モル%と、クロロホルムを0.0001〜15モル%と、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(HCFC-225cb)を0.0001〜2モル%とを含む液体混合物を提供することで、上記課題は解決する。【選択図】図1

Description

本発明は含フッ素オレフィンを含む新規液体に関する。
クロロフルオロカーボン類(以下CFC類と呼ぶ事がある)、ハイドロクロロフルオロカーボン類(HCFC類と呼ぶ事がある)、ハイドロフルオロカーボン類(以下HFC類と呼ぶ事がある)等の含フッ素アルカンは、冷媒、作動流体、発泡剤、スプレー剤、洗浄剤、溶剤、溶媒等の用途で産業の発展に貢献してきた。これらの用途においては、含フッ素アルカンの高い揮発性に着目したものが多い。また含フッ素アルカンは化学的に安定であり、毒性が低いこと、また不燃性/難燃性のものが多く、取り扱いが安全である。中でもHFC類は塩素原子を持たず、安定性が特に高いため、オゾン層を破壊することのない物質として、前記各種用途に広く用いられるようになった。
しかし、HFC類は温暖化係数(GWP)が比較的大きい上に、大気寿命が長いため、地球温暖化の問題が指摘されるに至っている。近年、含フッ素オレフィン(フルオロオレフィンやクロロフルオロオレフィンを指す)が、上記含フッ素アルカンの代替品として提案されている。分子内に二重結合を有する含フッ素オレフィンは、二重結合の無い含フッ素アルカンと比較して、大気中のOHラジカルとの反応性が著しく大きくなる。現在、広く使用されているHFC-365mfc、HFC-245fa、HFC-43-10等の大気寿命は年単位であるのに対して、含フッ素オレフィンの大気寿命は日単位であり、万一、大気に放出された場合でも速やかに分解するので、地球温暖化やオゾン層破壊への影響は低い。一方で毒性は低く、しかも不燃性も保たれ、通常の作業条件下では安全であり、冷媒、作動流体、発泡剤、噴霧剤、洗浄剤、溶剤、溶媒等の各種用途に使用可能なことが報告されている。
しかしながら、含フッ素オレフィンを単独で使用した場合、その分子構造が含フッ素アルカンと大きく異なるため、必要とする性能が十分に発揮されない場合がある。このような問題を解決するため、含フッ素オレフィンに他の液体成分を混合させ、二元系液体(あるいは多元系液体)として使用することが検討されている。例えば、特許文献1には、(Z)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd(Z)と呼ばれる含フッ素オレフィン)、と1,1,2,2−テトラフルオロ−1−メトキシエタン(HFE-254pcと呼ばれる含フッ素エーテル)とを混合すると、共沸様の二元系溶媒が形成され、該二元系溶媒の持つ各種油の洗浄効果が優れた水準にあることが報告されている。また、特許文献2には、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO-1234yfとして知られる含フッ素オレフィン)が、HFCの一種であるジフルオロエタン(HFC-152aとして知られる)間に共沸組成物または共沸様組成物を形成し、当該共沸組成物または共沸様組成物は、発泡剤、噴霧剤、溶剤として有用であることが報告されている。
さらに特許文献3には、Z−1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(Z-1225yeとして知られる含フッ素オレフィン)およびE−1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(E-1225yeとして知られる含フッ素オレフィン)からなる共沸様の二元系溶媒が報告され、該溶媒が発泡剤、噴霧剤或いは消火剤として使用できることが開示されている。
このように、二元系さらには多元系の溶媒とすることで、含フッ素オレフィンを単独で使用した場合に比べて、例えば溶解性能など、その物性が改善されることがある。なお、特許文献2の二元系溶媒の構成要素であるジフルオロエタンはHFCの一種であるが、含フッ素オレフィンとの混合系として使用しているため、HFCとしての使用量が大幅に削減されており、このような多元系の溶媒とすることによって、地球温暖化の影響を大幅に低減することができる。
特開2008-133438号公報 特表2011-522949号公報 特表2010-513595号公報
しかしながら、このような二元系(多元系)の液体には、「液組成が変動しやすい」という問題が通常は内在している。
すなわち、仮に複数種類の液体を混合し、相溶性を確保できたとしても、各成分の沸点差によって液組成が変動しやすいという問題は避けられない。例えば、二元系の液体組成物を超音波洗浄機に入れて、洗浄剤として用いた場合、一般に低沸点成分(蒸気圧の大きい成分)が優先的に揮発し、洗浄槽内に高沸点成分が濃縮される。例えば、洗浄力の高い低沸点成分に洗浄力の低い高沸点成分の組成物の場合、洗浄液における低沸点成分濃度が経時的に減少して、洗浄不良を引き起こす恐れがある。また、洗浄溶媒は、使用後に蒸留等の操作によって回収、再利用するのが、環境保護の面からも経済面からも望ましいが、二成分系の液体の場合、一般に沸点の異なる二成分の液体を別々に回収せざるを得ず、回収・再利用を行うには、操作上の負荷がかかりやすい。
熱力学サイクルの作動流体に用いる場合も、同様の問題がある。すなわち、熱力学サイクルの作動流体として用いる場合も、長時間で見れば液組成が変動する可能性がある。液組成が変動すれば、液体の持つ熱容量、粘土、或いは潤滑剤との親和性に変化が生じ、熱力学サイクルの作動性能が低下することがある。
このため、二元系(多元系)の液体組成物を洗浄剤や作動流体として使用する場合、頻繁に液組成を分析し、適正な組成範囲になるように、絶えず、適切な比率に調合して、揮発した成分を補充しなければならない。しかし、こうした液組成管理は作業上の大きな負荷となり得る。
それゆえ、温暖化の影響を低減し、かつ液組成が変動しにくい組成物が依然として求められている。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CF3CF=CCl2; CFO-1214ya)と、クロロホルム(以下、CHCl3と表すことがある。)と、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(CF2ClCF2CHFCl; HCFC-225cb)から構成される液体組成物は、共沸もしくは共沸様の性質を示すことを見出した。
また、当該組成物が、異物、油脂などの汚染物質を洗浄する溶媒(洗浄溶剤)として、熱力学サイクルの作動流体(熱媒、冷媒)として、さらには発泡剤として適用可能であることを見出した。
本明細書において「共沸」とは熱力学的に厳密な意味での共沸を指す。例えば水/エタノールの混合物の場合、エタノール(96%)と水(4%)の組成物は共沸混合物(azeotrope)であって、これと気液平衡して存在する蒸気も「エタノール(96%):水(4%)」となり、液組成と完全に一致する。この現象を「共沸」と呼ぶ。特定の温度、圧力では共沸混合物の組成は、ただ1点となる。
これに対し「共沸様」は、「擬共沸」とも呼ばれ、熱力学的に厳密な共沸ではないが、ある範囲の組成の液体については、その液組成と、平衡状態にある気体の組成が、実質的に等しいことがあり、そのような現象を指す。完全に気相部と液相部の組成が一致せずとも、実質的に気相部と液相物の組成が一致すれば、当業者は、共沸組成と同様に取り扱うことができる。このとき、気相部と液相部の気液平衡組成差は小さければ小さいほど良い。このように、実質的に気相部と液相部の気液平衡組成が一致する現象を共沸様もしくは擬共沸と呼び、その組成を共沸様組成、もしくは、擬共沸組成と呼ぶ。
学術的には共沸現象と擬共沸現象(または共沸様)は区別すべきであるが、洗浄等の実務においては、共沸現象と共沸様現象(または擬共沸)を区別する必要は無く、同じように取り扱うことができるので、本明細書においては、共沸現象と共沸様現象(または擬共沸)を併せて“共沸(様)”と呼ぶ。また、そのときの組成を“共沸(様)組成”と呼ぶ。
共沸(様)においては、共沸点の有無は問われない。実質的に気相部と液相部の気液平衡組成が一致すれば良い。
「共沸様」は理論的に導かれるものではなく、様々な液体の種類、組成比について気液平衡を調査し、偶然、気相の組成と液相の組成が実質的に一致した時に、初めて見出せるものである。
後に示す気液平行組成図から明らかな通り、1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CF3CF=CCl2; CFO-1214ya)とクロロホルムと1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(CF2ClCF2CHFCl; HCFC-225cb)は、第1の成分である1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CF3CF=CCl2; CFO-1214ya)が83モル%〜99.9998モル%の範囲、第2の成分であるクロロホルムが0.0001モル%〜15モル%の範囲、第3の成分である1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(CF2ClCF2CHFCl; HCFC-225cb)が0.0001モル%〜2モル%の範囲であるときに共沸(様)を示す。ここで、前記モル%の値は、1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CF3CF=CCl2; CFO-1214ya)のモル数とクロロホルムのモル数と1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(CF2ClCF2CHFCl; HCFC-225cb)のモル数の合計値を100としたときの、各成分のモル数の%(すなわち、3成分間の相対的モル%)を表す。この範囲の組成であれば、実務上、液体組成物を開放系で取り扱っても、さらには蒸留による回収操作をおこなっても、組成変動が起こりにくい。中でも、第1の成分である1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CF3CF=CCl2; CFO-1214ya)が88.5モル%〜99.9998モル%の範囲、第2の成分であるクロロホルムが0.0001モル%〜10モル%)の範囲、第3の成分である1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(CF2ClCF2CHFCl; HCFC-225cb)が0.0001モル%〜1.5モル%)の範囲である場合には、液組成の変動が一層起こりにくく、本発明の中で特に好ましい共沸(様)組成物である。
また、本発明者らは、当該組成物が、各種産業用機器から異物(パーティクル)、油脂などの汚染物質を洗浄する溶媒(洗浄溶剤)として、或いは単に「溶剤(溶媒)」として、熱力学サイクルの作動流体(熱媒、冷媒)として、さらには、硬質ポリウレタンフォームまたはポリイソシアヌレートフォーム製造用の発泡剤として適用可能であることを見出した。
さらに、本発明者は、1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CF3CF=CCl2; CFO-1214ya)とクロロホルムと1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(CF2ClCF2CHFCl; HCFC-225cb)を任意の割合で含む新規組成物を見出し、当該組成物が、異物や油脂を溶解、除去するための洗浄剤、あるいはたんに「溶剤(溶媒)」として、さらには硬質ポリウレタンフォームまたはポリイソシアヌレートフォーム製造用の発泡剤として有用であることを見出した。
すなわち、本発明は次の各発明を含む。
[発明1]
1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、クロロホルムと、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンとからなる、共沸または共沸様組成物。
[発明2]
88〜99.998モル%の1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、0.001〜10モル%のクロロホルムと、0.001〜2モル%の1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンからなる、発明1に記載の共沸または共沸様組成物。
[発明3]
発明1又は発明2に記載の共沸もしくは共沸様組成物と、少なくとも一つの追加成分を含む液体組成物。
[発明4]
発明1又は発明2に記載の共沸もしくは共沸様組成物と、該共沸もしくは共沸様組成物に対して、10質量ppm〜30質量%の追加成分を少なくとも一つ含む、液体組成物。
[発明5]
発明1又は発明2に記載の共沸もしくは共沸様組成物の他には、追加成分を実質的に含まない、液体組成物。
[発明6]
発明1もしくは発明2に記載の共沸もしくは共沸様組成物、または、発明3、発明4もしくは発明5に記載の液体組成物を含む、洗浄用溶剤。
[発明7]
発明1もしくは発明2に記載の共沸もしくは共沸様組成物、または、発明3、発明4もしくは発明5に記載の液体組成物を含む、溶剤。
[発明8]
発明1もしくは発明2に記載の共沸もしくは共沸様組成物、または、発明3、発明4もしくは発明5に記載の液体組成物を含む、熱力学的サイクルの作動流体。
[発明9]
発明1もしくは発明2に記載の共沸もしくは共沸様組成物、または、発明3、発明4もしくは発明5に記載の液体組成物を含む、硬質ポリウレタンフォームまたはポリイソシアヌレートフォーム製造用の発泡剤。
[発明10]
発明1もしくは発明2に記載の共沸もしくは共沸様組成物、または、発明3、発明4もしくは発明5に記載の液体組成物を、被洗浄物体に接触させる工程を含む、該被洗浄物体を洗浄する方法。
[発明11]
発明1もしくは発明2に記載の共沸もしくは共沸様組成物、または、発明3、発明4もしくは発明5に記載の液体組成物を熱力学サイクルの作動流体に用いることを特徴とする、加熱又は冷却方法。
[発明12]
発明1もしくは発明2に記載の共沸もしくは共沸様組成物、または、発明3、発明4もしくは発明5に記載の液体組成物を含む発泡剤、1種以上のポリオール、触媒、整泡剤、難燃剤、及び水を含むプレミックスを、イソシアネートと反応させることによって、硬質ポリウレタンフォームまたはポリイソシアヌレートフォームを製造する方法。
[発明13]
1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとクロロホルムと1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンとを含む液体組成物。
本発明により、新規の共沸(様)液体組成物が提供される。当該液体組成物は、開放条件にて使用しても組成が変化しにくく、液体としての性能が維持されやすいという効果を奏する。当該、共沸(様)液体組成物は、環境への負荷が少なく、しかも不燃性(非危険物)である。
当該、共沸(様)液体組成物は、異物、油脂などの汚染物質を洗浄する溶媒(洗浄溶剤)として、熱力学サイクルの作動流体(熱媒、冷媒)として、さらには、硬質ポリウレタンフォームまたはポリイソシアヌレートフォーム製造用の発泡剤として、有用である。
1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CFO-1214ya)とクロロホルムと1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(HCFC-225cb)の3成分系の気液平衡の図である。
本発明の共沸(様)組成物の第1の成分である1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CF3CF=CCl2; CFO-1214ya)は、国際公開第2013-161723号に記載の通り、製造することができる。
本発明の共沸(様)組成物の第2の成分であるクロロホルムは、工業的に容易に入手することが可能である。
本発明の共沸(様)組成物の第3の成分である1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(CF2ClCF2CHFCl; HCFC-225cb)は、例えば、テトラフルオロエチレンと四塩化炭素の付加化合物(CF2ClCF2CCl3)をフッ化水素によりフッ素化した後(CF2ClCF2CFCl2)、水素で還元する方法や、テトラフルオロエチレンとトリクロロフルオロメタンの付加化合物(CF2ClCF2CFCl2)を水素で還元する方法などによって製造することができる。
本発明の共沸(様)組成物は、前記第1の成分と、前記第2の成分と、前記第3の成分を、所定量混合する工程を経て、製造することができる。
本発明の共沸(様)組成物は、不純物が実質的に混入していない、高純度のものが好ましい態様の1つであることは言うまでもない。しかし、用途によっては、それほど高い純度の液体組成物を要求されない場合もある。そのような場合には、第1の成分である1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CF3CF=CCl2; CFO-1214ya)や、第2の成分であるクロロホルムや、第3の成分である1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(CF2ClCF2CHFCl; HCFC-225cb)を合成するための原料物質や、副生成物が少量(通常各成分とも、該共沸(様)組成物に対して通常1質量%未満)、残存したものを用いることもできる。
これに対し、高い純度の共沸(様)組成物が要求される場合には、第1の成分である1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CF3CF=CCl2; CFO-1214ya)と第2の成分であるクロロホルムと第3の成分である1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(CF2ClCF2CHFCl; HCFC-225cb)を混合する前に、それぞれを精密蒸留して原料由来の不純物を除去し、純度を高めた上で、3成分を混合し、本発明の共沸(様)組成物を調製することが好ましい。
本発明の共沸(様)組成物は、「追加成分」として、安定剤、洗浄補助剤を添加したものであっても良い。
そうした安定剤、洗浄補助剤としては、具体的に、アリルグリシジルエーテル、イソブチレンオキサイド、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、エチレンオキサイド、エチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレンクロロヒドリン、エピクロルヒドリン、グリシジルメタアクリレート、グリシドール、グリセリン−α,β−ジクロロヒドリン、グリセリン−α,γ−ジクロロヒドリン、グリセリンポリグリシジルエーテル、グリセリン−α−モノクロロヒドリン、グリセリン−β−モノクロロヒドリン、ジエポキシブタン、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド、テトラメチレンクロロヒドリン、トリメチレンクロロヒドリン、トリメチロールプロパントルグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、α−プロピレンクロロヒドリン、β−プロピレンクロロヒドリン、メチルグリシジルエーテル、イソオイゲノール、オイゲノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルーp−クレゾール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、チモール、tert−ブチルカテコール、ブチルヒドロキシアニソール、p−tert−ブチルフェノール、m−tert−ブチルフェノール、o−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、p−メトキシフェノール、1,2−ジメトキシエタン、アリルエチルエーテル、ジアリルエーテル、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、テトラヒドロフラン、トリメトキシエタン、tert−ブタノール、n−ブタノール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アニリン、エチレンジアミン、N,N−ジエチルアニリン、ジエチレントリアミン、ジフェニルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ジレチルヒドロキシルアミン、テトラエチレンペンタミン、トリアリルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリベンチルアミン、ピコリン、ピリジン、プロピレンジアミン、ベンジルアミン、N−メチルアニリン、メチルアミン、α―メチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、モルホリン、2,6-ジ-tert-ブチルピリジン、2-メチルキノリン、メチルキノール、ジフェニルピリジン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、p−ジニトロベンゼン、2,3−ジメチルニトロベンゼン、2,4−ジメチルニトロベンゼン、2,5−ジメチルニトロベンゼン、2,6−ジメチルニトロベンゼン、3,4−ジメチルニトロベンゼン、3,5−ジメチルニトロベンゼン、トリニトロベンゼン、o−ニトロアセトフェノン、m−ニトロアセトフェノン、p−ニトロアセトフェノン、ニトロエタン、o−ニトロトルエン、m−ニトロトルエン、p−ニトロトルエン、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール、1−ニトロプロパン、2−ニトロプロパン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、α−アミレン、β−アミレン、γ−アミレン、α−イソアミレン、β−イソアミレン、α-メチルスチレンが例示される。
これらの成分が「追加成分」として共存することで、過酷な条件での使用に際する安定性が改善されることがあり、その種類や量については、要求される物性に従って、当業者の知識により最適化することができる。さらには、これらの化合物の同族体、誘導体も、効果が期待できる。これらの成分は単独で用いても良く、複数のものを組み合わせて用いても良い。これらの成分の存在量としては、特に制限はないが本発明の共沸(様)組成物(すなわち、1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CF3CF=CCl2; CFO-1214ya)の質量とクロロホルムの質量と1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(CF2ClCF2CHFCl; HCFC-225cb)の質量の合計値)に対して、10質量ppm〜30質量%が典型的である。
溶解力、洗浄力等をより一層改善するために必要に応じて各種有機溶媒、界面活性剤等を「追加成分」として加えることもできる。
そのような有機溶媒としてはエタノール、2−プロパノール、塩化メチレン、1 , 2−ジクロロエチレン等が挙げられ、これらを添加する場合、その添加量は、本発明の共沸(様)組成物に対して、通常1から20質量%、好ましくは2から10質量%が適切である。
界面活性剤としては、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンのソルビットテトラオレエート等のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンモノラウレート等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンオレイン酸アミド等のポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸アミド類等のノニオン系界面活性剤が挙げられ、これらは単独で使用しても、あるいは2種以上組み合わせて使用してもよい。相乗的に洗浄力及び界面作用を改善する目的で、これらのノニオン系界面活性剤に更にカチオン系界面活性剤又はアニオン系界面活性剤を併用してもよい。これら界面活性剤を使用する場合、その使用量は、その種類等により異なるが、通常本発明の共沸(様)組成物に対して0.1〜20質量%であり、0.3〜5質量%とすることがより好ましい。
なお、前記「追加成分」が液体であると、原則的にこれらの成分も蒸気圧を有することとなる。しかしこの場合も、これら「追加成分」以外の1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CF3CF=CCl2; CFO-1214ya)とクロロホルムと1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(CF2ClCF2CHFCl; HCFC-225cb)の3種類の液体は、依然として「共沸(様)組成物」としての性質を、基本的に維持する。つまり、これら3つの成分の組成比は変動しにくく、「これら3成分であたかも1つの液体のように振舞う」という前記特徴は保たれる。
本発明の共沸(様)組成物のメリットを十分に発揮するためには、通常、添加する「追加成分」の量は、本発明の共沸(様)組成物に対して、特に制限はないが30質量%以下であることが典型的であり、20質量%以下が好ましく、10質量%以下であることが特に望ましい。また「追加成分」が実質的に存在しない(たとえ存在するとしても該共沸(様)組成物に対して0.5質量%未満であるような)共沸(様)組成物も、特に好ましい態様である。
<洗浄剤あるいは溶剤としての使用>
本発明の共沸(様)組成物(あるいは、該共沸(様)組成物を含む液体組成物)は、精密機械部品、電子材料(プリント基板、液晶表示器、磁気記録部品、半導体材料等)、樹脂加工部品、光学レンズ、衣料品などから異物、油脂、グリース、ワックス、フラックス、インキ等を除去するのに好適である。前述の通り、本発明の共沸(様)組成物は不燃性であり、適度な流動性や溶解性を有するので、異物(パーティクルなど)を洗い流したり、又は溶解したりして、除去できる。洗浄の手法は特に限定されないが、精密機械部品、電子材料などに本発明の共沸(様)組成物(あるいは、該共沸(様)組成物を含む液体組成物)を浸漬して汚れを洗い流す、ウェスでふき取る、スプレー洗浄を行う、などの方法が挙げられ、これらを組み合わせて使用しても良い。超音波洗浄機内に当該共沸(様)組成物を入れ、その液中に洗浄対象の物品を浸漬させ、超音波洗浄処理することは、特に好ましい態様の1つである。
既に述べた通り、本発明の共沸(様)組成物は、開放系で使用しても、組成の変動はほとんど起こらないため、さほど頻繁に組成管理をしなくても安定した洗浄力を発揮し、これは実務上の大きなメリットである。
洗浄に用いた洗浄液は、回収した上で、蒸留操作を付せば、油脂や異物(パーティクル)を分離除去でき、本発明の共沸(様)組成物を回収できる。蒸留操作を行う際、1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CF3CF=CCl2; CFO-1214ya)とクロロホルムと1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(CF2ClCF2CHFCl; HCFC-225cb)の3種類の液体成分は、共沸(様)組成物としての性質を維持するので、回収液体は、その後、大掛かりな組成調整を経ることなく、再び洗浄溶剤として使用できる。なお、上記「追加成分」が使われていた場合には、これら「追加成分」は蒸留によって除去されてしまうことが多いので、その場合は、別途補う必要がある。
また、本発明の共沸(様)組成物(あるいは、該共沸(様)組成物を含む液体組成物)は、物(特に好ましくは親油性物質)を溶かすための溶剤(溶媒)としても用いることができる。
<作動流体としての使用>
本発明の共沸(様)組成物(あるいは、該共沸(様)組成物を含む液体組成物)は、熱力学サイクルの作動流体(熱媒、冷媒、伝熱媒体などとも称する)として使用可能である。具体的には、冷凍機(冷蔵庫)の冷媒、ヒーター(エアーコンディショナー)の熱媒など、蒸発による気化熱、あるいは、凝縮による液化熱を発生させることにより冷却、加熱を行うのに好適である。こうした作動流体として用いる場合には、機器の摩擦、磨耗を低減するために、ポリエチレングリコールやパラフィン油のような潤滑剤を混入して使用することが好ましい。
また、安定剤、難燃剤を必要に応じて添加してもよい。
作動流体としての使用は、基本的には閉鎖系における使用となるが、本発明の共沸(様)組成物は、長時間経過後にも、組成変動が一層起こりにくいため、より安定した熱力学サイクルが達成できる。
<発泡剤としての使用>
本発明の共沸(様)組成物は、硬質ポリウレタンフォームまたはポリイソシアヌレートフォームの製造に用いる発泡剤として用いることができる。すなわち、本発明の共沸(様)組成物からなる発泡剤、1種以上のポリオール、触媒、整泡剤、難燃剤、及び水などを混合した混合物(プレミックス)をイソシアネートと反応させることによって、硬質ポリウレタンフォームまたはポリイソシアヌレートフォームを製造することができる。
イソシアネートは、芳香族、環状脂肪族、鎖状脂肪族系等のものが包含され、一般には2官能のものが使用される。このようなイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンイソシアネート等のポリイソシアネートおよびこれらのプレポリマー型変性体、ヌレート変性体、尿素変性体が挙げられる。これらは単独または混合物で用いられる。
プレミックスに含まれるポリオールには、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、多価アルコール、水酸基含有ジエチレン系ポリマー等が挙げられるが、ポリエーテル系ポリオールが一般的に使用される。また、ポリエステル系ポリオール及びポリエーテル系ポリオールを主成分としてもよく、その他のポリオールを使用してもよい。
ポリエステル系ポリオールには、無水フタル酸、廃ポリエステル、ひまし油に由来する化合物の他に縮合系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
発泡剤、添加剤等との相溶性ならびに、発泡性、フォーム物性等の観点から、ポリエステルポリオールの水酸基価(OH価)は100mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であり、かつ粘度が200Pa・s/25℃以上4000mPa・s/25℃以下であることが好ましい。
ポリエーテル系ポリオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール及びそれら変性体の他、糖、多価アルコール、アルカノールアミン等の活性水素を含む化合物をイニシエータにして、これに、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、エピクロルヒドリン、ブチレンオキシド等の環状エーテルを付加したものが好ましく使用される。
ポリエーテルポリオールは、通常、水酸基価が400mgKOH/g以上1000mgKOH/g以下のものが使用される。
プレミックスに含まれる触媒には、有機金属系触媒及び有機アミン系触媒が包含される。有機金属触媒としては、有機スズ化合物が好ましく使用され、スタナスオクトエート、スタナスラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジアセテート等が挙げられる。有機アミン系触媒としては、第3級アミン、例えば、トリエチレンジアミン、N−エチルモルホリン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N‘,N’−トリエチルエタノールアミン等が挙げられる。
プレミックスに含まれる整泡剤としては、通常有機ケイ素化合物系の界面活性剤が用いられ、東レシリコーン(株)製SH−193、SH−195、SH−200またはSRX−253等、信越シリコーン(株)製F−230、F−305、F−341、F−348等、日本ユニカー(株)製L−544、L−5310、L−5320、L−5420、L−5720または東芝シリコーン(株)製TFA−4200、TFA−4202等が挙げられる。
プレミックスに含まれる難燃剤としては、硬質ポリウレタンフォームまたはポリイソシアヌレートフォームに使用されるリン酸エステルであり、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェート、トリスメチルホスフェート、トリスエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート等が挙げられる。
プレミックスには、その他の添加剤を存在させることもでき、そのような添加剤としては、紫外線防止剤、スコーチ防止剤、プレミックス貯蔵安定剤など硬質ポリウレタンフォームまたはポリイソシアヌレートフォームの諸物性を向上させるための添加剤が挙げられる。
水の添加は、フッ素系発泡剤の使用量を低減するため、硬質ポリウレタンフォームまたはポリイソシアヌレートフォームの経済性ならびにプレミックスの蒸気圧低下に寄与する。水をプレミックスに添加し、さらにポリエステル系ポリオールを添加して保存する場合には、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシヘキサン、エポキシシクロヘキサン等のエポキシ化合物、α−メチルスチレン、p−イソプロペニルトルエン、アミレン等の不飽和化合物またはニトロメタン、ニトロエタン、ニトロプロパン、ニトロトルエン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物等の安定剤をプレミックスに添加することが好ましい。
本発明の共沸様組成物を発泡剤として用いる場合は、ポリオール100質量部当たり、通常5質量部以上80質量部以下、好ましくは10質量部以上70質量部以下、より好ましくは15質量部以上60質量部以下で使用される。このような量の本発明の共沸様組成物を発泡剤として使用することにより、20kg/m以上、特に、30kg/m以上80kg/m以下の密度を有する硬質ウレタンフォーム又はポリイソシアヌレートフォームを製造することができる。
また、これらの原料は混合するとすみやかに反応し反応熱を発生し発泡する。混合温度は、5℃以上50℃以下、好ましくは10℃以上40℃以下、より好ましくは15℃以上35℃以下である。本発明の共沸様組成物は蒸気圧を有するためこれらの温度で揮発するが、気液相の組成が実質的に同一であるため、フォーム、断熱性、低温での形状安定性等に優れる。
本発明の共沸(様)組成物を用いた硬質ポリウレタンフォームまたはポリイソシアヌレートフォームを製造する方法は、特に限定されず、従来公知の各種の方法を採用することができる。例えば、ワンショット法やプレポリマー法で製造することができる。また、そのフォームを得る際の発泡方法としては、現場発泡、スラブ発泡、注入発泡(充填法、モールド法)、ラミネート発泡、スプレー発泡等の各種の発泡方法を採用することができる。
<1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CF3CF=CCl2; CFO-1214ya)とクロロホルムと1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(CF2ClCF2CHFCl; HCFC-225cb)を含む新規組成物>
さらに、本発明者は1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CF3CF=CCl2; CFO-1214ya)とクロロホルムと1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(CF2ClCF2CHFCl; HCFC-225cb)とを任意の割合で含む組成物を見出した。当該組成物は、上述の共沸(様)組成物の範囲を外れる組成であっても、相互溶解性(相溶性)は良好であって、異物や油脂を溶解、除去するための洗浄剤としては有用である。また、本発明の1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CF3CF=CCl2; CFO-1214ya)とクロロホルムと1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(CF2ClCF2CHFCl; HCFC-225cb)とを任意の割合で含む組成物は、熱力学サイクルの作動流体(熱媒、冷媒)としての使用、硬質ポリウレタンフォームまたはポリイソシアヌレートフォーム製造用の発泡剤としての使用も可能である。いずれの用途の場合も、これら2成分の以外に適宜「追加成分」を含むことも妨げられず、そうした「追加成分」としては、上述の共沸(様)組成物の項で述べた「追加成分」を再び挙げることができる。
この1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CF3CF=CCl2; CFO-1214ya)とクロロホルムと1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(CF2ClCF2CHFCl; HCFC-225cb)を任意の割合で含む組成物は、消防法における不燃性(非危険物)の性質を示す。
本発明を実施例によって説明する。
[調製例]
圧力計、ニードルバルブの付いた液体導入管、ニードルバルブの付いたガス抜き管を有するSUS316製10Lオートクレーブに、アサヒクリンAK225(製品名、旭硝子株式会社製、HCFC−225caの45面積%とHCFC−225cbの55面積GC%の混合物)6.07kg(225ca換算で13.6モル)、テトラブチルアンモニウムブロマイド 30.11g(0.09モル)を添加した。オートクレーブのジャケットに10℃の冷媒を流し、攪拌しながら内温が15℃以下になるまで冷却した。定量ポンプと液体導入管をPFAチューブで接続し、ポンプにより濃度33重量%の水酸化カリウム水溶液2.54kg(15モル)を18g/分の流量で導入した。導入終了後、同温度で1時間攪拌したところで、下層有機層をガスクロマトグラフィー分析したところ225ca 0.04面積%となり、反応変換率99.9%、選択率99.5%だった。二層分離により、下層有機層 5.78kgを回収し、これを再度オートクレーブに仕込み、水1.96kgを加え洗浄した。二層分離して、有機層 5.67kgを20Lポリエチレン製タンクに回収した。ゼオラム3A(登録商標)を50g加え7℃の冷蔵庫で1日乾燥した。5A濾紙でゼオラム3Aを濾別して、5.04kgの粗CFO−1214yaを回収した。ガスクロマトグラフィー分析したところ、CFO−1214yaは45.4面積%だった。この操作を4回実施し、20.4kgの粗CFO−1214yaを得た。
この粗CFO−1214yaを理論段数47段の蒸留塔で精製し、CFO−1214ya 5.41kgを得た。これに、合成ゼオライト(東ソー製 ゼオラムF9)0.25kg、活性炭(日本エンバイロケミカルズ製 G2X)0.25kgを加え再度乾燥した後、濾別して4.84kgのCFO−1214yaを得た。ガスクロマトグラフィー分析したところ純度99.99面積%だった。
[実施例1]
<1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CF3CF=CCl2; CFO-1214ya)とクロロホルムと1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(CF2ClCF2CHFCl; HCFC-225cb)の混合物の、液相と気相の平衡組成>
[手順1]
調製例で得たCFO-1214yaにクロロホルムを添加し、クロロホルム濃度が2質量%および5質量%のクロロホルム/CFO-1214ya溶液をそれぞれ調製した。
[手順2]
−10℃の冷媒循環可能なジムロートおよびセプタム、攪拌子を備えた50mL三つ口フラスコに、手順1で調製したクロロホルム/CFO-1214ya溶液を20mL添加した。ジムロート上部に合成ゼオライト管を取り付けた。このフラスコをオイルバスに浸し、攪拌しながら還流するまで加熱した。還流が開始してから一時間以上経過した後、セプタムからガスタイトシリンジで気相部をサンプリングして、ガスクロマトグラフィー分析した。液相部は同様に、22ゲージの注射針を備えたポリプロピレン製シリンジを用いて、約1mLをサンプリングし、予め氷水で冷却した2mLバイアル瓶に移した後、ガスクロマトグラフィー分析を実施した。
[手順3]
手順2のサンプリング後のフラスコ内に、手順1で調製したのと同じ濃度のクロロホルム/CFO-1214ya溶液と、任意の濃度となる量のHCFC-225cbを加え、還流が開始してから一時間以上経過した後、セプタムからガスタイトシリンジで気相部をサンプリングして、ガスクロマトグラフィー分析した。液相部は同様に、22ゲージの注射針を備えたポリプロピレン製シリンジを用いて、約1mLをサンプリングし、予め氷水で冷却した2mLバイアル瓶に移した後、ガスクロマトグラフィー分析を実施した。このとき、後述の表1における測定例1−1〜測定例1−8では、クロロホルム/CFO-1214ya溶液としてクロロホルム濃度5質量%のものを用い、測定例2−1〜測定例2−13では、クロロホルム濃度2質量%のものを用いた。
[手順4]
表1において、手順2および3で得られた気相部及び液相部のピーク面積%による比から、予め面積%とモル%に対する検量線を作成し、面積%から導き出したモル%で示した。図1において、三角形の頂点AはCFO-1214yaが100モル%及びクロロホルムが0モル%、頂点Bはクロロホルム20モル%及びHCFC-225cbが0モル%、頂点CではCFO-1214yaが80モル%及びHCFC-225cbが20モル%とし、表1の結果をプロットした。測定例1−1から測定例1−8は丸印で、測定例2−1から測定例2−13は三角印で表し、それぞれ液相部を黒塗り、気相部を白抜きで色分けした。
Figure 2016074770
以上の結果から、1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CF3CF=CCl2; CFO-1214ya)とクロロホルムと1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(CF2ClCF2CHFCl; HCFC-225cb)の混合液体は、クロロホルム濃度が0.0001モル%〜15モル%で且つHCFC-225cb濃度が0.0001モル%〜2モル%である組成範囲、すなわち、(CFO-1214yaが83モル%〜99.9998モル%、クロロホルムが0.0001モル%〜15モル%、HCFC-225cbが0.0001モル%〜2モル%の組成範囲において共沸(様)組成物であると判断できる。とりわけ、CFO-1214yaが88.5モル%〜99.9998モル%の範囲、クロロホルムが0.0001モル%〜10モル%)の範囲、HCFC-225cb)が0.0001モル%〜1.5モル%の組成範囲において一層組成変動の起こりにくい共沸(様)組成物であると判断できる。
[実施例2−1〜実施例2−5]
<1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CF3CF=CCl2; CFO-1214ya)とクロロホルムと1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(CF2ClCF2CHFCl; HCFC-225cb)の混合物の洗浄溶剤としての性能試験>
市販の25ccメスシリンダーを11ccの目盛り線で切断した。直径:約7.2mm×長さ:約40mmの清浄なガラス棒の質量を測定後、表2に記載のオイルに2分間浸漬した。次いで、10分間かけて液切した後のガラス棒の質量(ガラス棒と初期付着オイルとの総質量)を測定した(このとき、ガラス棒に付着しているオイルを「初期付着オイル」と称する。)。その後、このガラス棒を前記メスシリンダーに入れた。
表2に記載の液組成(試験前組成)のCFO-1214yaとクロロホルムとHCFC-225cbからなる混合液体組成物を、前記メスシリンダーに10cc仕込み、20℃の水を満たした小型超音波洗浄機(シチズン製SW5800)の中央部に立てた。その後、超音波を照射して経時的に混合液体組成物を揮発させた。2cc減少した時点で、メスシリンダー内の液組成(試験後組成)をガスクロマトグラフで分析した。
その結果、実施例2−1〜実施例2−5の全てにおいて、2cc揮発したにも関わらず、洗浄前後の液組成は実質に同一であった。すなわち、実機洗浄において、実施例2−1〜実施例2−5で用いたCFO-1214yaとクロロホルムとHCFC-225cbからなる組成物は、部分的に揮発しても残液の組成が実質的に変化しない共沸様組成であることが示された。
次に、前記のガラス棒を乾燥させて質量(ガラス棒と残存オイルとの総質量)を測定して、油除去率(残存オイルの質量÷初期付着オイルの質量×100[%])を求めると共に、拡大鏡で硝子の表面を観察した。その結果、実施例2−1〜実施例2−5の全てにおいて油除去率が100%であり、拡大鏡観察結果においては、油分の残存が認められなかったため良好と判断された。各実施例の結果を以下の表2に示す。
Figure 2016074770
以上の結果から、CFO-1214yaとクロロホルムとHCFC-225cbの混合液体は産業機械から油脂分を除去するための洗浄溶剤として好適であることが確認された。

Claims (13)

  1. 1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、クロロホルムと、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンとからなる、共沸または共沸様組成物。
  2. 83〜99.9998モル%の1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、0.0001〜15モル%のクロロホルムと、0.0001〜2モル%の1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンとからなる、請求項1に記載の共沸または共沸様組成物。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の共沸もしくは共沸様組成物と、少なくとも一つの追加成分を含む液体組成物。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の共沸もしくは共沸様組成物と、該共沸もしくは共沸様組成物に対して、10質量ppm〜30質量%の追加成分を少なくとも一つ含む、液体組成物。
  5. 請求項1又は請求項2に記載の共沸もしくは共沸様組成物の他には、追加成分を実質的に含まない、液体組成物。
  6. 請求項1もしくは請求項2に記載の共沸もしくは共沸様組成物、または、請求項3、請求項4もしくは請求項5に記載の液体組成物を含む、洗浄用溶剤。
  7. 請求項1もしくは請求項2に記載の共沸もしくは共沸様組成物、または、請求項3、請求項4もしくは請求項5に記載の液体組成物を含む、溶剤。
  8. 請求項1もしくは請求項2に記載の共沸もしくは共沸様組成物、または、請求項3、請求項4もしくは請求項5に記載の液体組成物を含む、熱力学的サイクルの作動流体。
  9. 請求項1もしくは請求項2に記載の共沸もしくは共沸様組成物、または、請求項3、請求項4もしくは請求項5に記載の液体組成物を含む、硬質ポリウレタンフォームまたはポリイソシアヌレートフォーム製造用の発泡剤。
  10. 請求項1もしくは請求項2に記載の共沸もしくは共沸様組成物、または、請求項3、請求項4もしくは請求項5に記載の液体組成物を、被洗浄物体に接触させる工程を含む、該被洗浄物体を洗浄する方法。
  11. 請求項1もしくは請求項2に記載の共沸もしくは共沸様組成物、または、請求項3、請求項4もしくは請求項5に記載の液体組成物を熱力学サイクルの作動流体に用いることを特徴とする、加熱又は冷却方法。
  12. 請求項1もしくは請求項2に記載の共沸もしくは共沸様組成物、または、請求項3、請求項4もしくは請求項5に記載の液体組成物を含む発泡剤、1種以上のポリオール、触媒、整泡剤、難燃剤、及び水を含むプレミックスを、イソシアネートと反応させることによって、硬質ポリウレタンフォームまたはポリイソシアヌレートフォームを製造する方法。
  13. 1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとクロロホルムと1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンとを含む組成物。
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