JP2016074440A - 包装材料及び包装容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子レンジ加熱用包装容器に適用する包装材料であって、ガスバリア性を有し、しかも、予定外の蒸気の噴出が生じない包装材料を提供すること。【解決手段】ガスバリア性の外層フィルム11とシーラントフィルム13とを備え、外層フィルムとシーラントフィルムとの間であって、ヒートシールによって包装容器を製造した際に形成されるヒートシール部とは異なる位置に低融点ヒートシール剤又は剥離剤が塗布されており、かつ、この低融点ヒートシール剤又は剥離剤が塗布された領域12xから塗布されていない領域に渡って、外層フィルムに切断線が設けられている包装材料であって、外層フィルムが基材フィルム11aとリン系ガスバリア層11bとを備えて構成されており、リン系ガスバリア層が、多価金属の化合物とリン化合物とが反応して形成されたリン系ガスバリア性複合構造物を含む。【選択図】図4

Description

本発明は、食品等の内容物を包装容器に収容密封したまま電子レンジで加熱する技術に関するもので、より詳しくは、この包装容器及び包装容器に適用される包装材料に関するものである。
従来、調理済み又は半調理済みの食品を常温、低温、あるいは冷凍保存可能に包装袋等の包装容器に収容したものが知られている。この包装容器では、包装容器を開封せずに電子レンジで加熱して、食品を食べられる状態にすることができる。
包装容器を開封せずに電子レンジで加熱すると、包装容器内の水分が水蒸気になり、体積が増加する。したがって、水蒸気を放出可能な隙間がないと包装容器が破裂する等の恐れがある。一方で、包装容器の内容物が半調理状態等の場合は、単に加熱するだけではなく、発生した水蒸気によって内容物を蒸らすこと等が必要となる場合がある。この場合、蒸気を放出する孔等が過度に大きいと、蒸らしが十分行われず、内容物の風味が落ちる等の問題がある。
電子レンジで加熱したときに水蒸気の放出孔が開いて、この放出孔から水蒸気を放出させ、包装容器の破裂を防止することができる包装容器としては、例えば、特許文献1に記載される包装容器が知られている。
特許文献1の包装容器は特定の構造を有する包装材料を使用するものである。包装容器は例えば包装袋であり、前記包装材料はこの包装袋を構成する構成材料として用いられる。また、特許文献1には、上面が開口したカップ状容器本体と蓋材とから成る包装容器も例示されており、前記包装材料はその蓋材として用いられる。
特許文献1の包装材料は、外層とシーラントフィルムとの間に、部分的に低融点ヒートシール剤又は剥離剤の塗布層を設けたものである。外層は延伸フィルムから構成されており、寸法安定性に優れている。一方、シーラントフィルムは無延伸フィルムから構成されており、例えば、包装容器を電子レンジ加熱したときの内圧によって伸びるものである。塗布層は、ヒートシールによって包装容器を製造した際に形成されるヒートシール部とは異なる位置に配置されており、この領域から塗布されていない領域に渡って、前記外層フィルムに切断線が設けられている。
そこで、この包装材料を使用して袋状包装容器を製造し、あるいはこの包装材料を蓋材として使用して包装容器を製造して、電子レンジ中で加熱すると、低融点ヒートシール剤又は剥離剤が塗布された領域ではシーラントフィルムが外層から剥離する。そして、切断線の位置では、包装容器の内圧によって、外層が外側に開き、これに伴ってシーラントフィルムが外側に膨らみながら伸び広がる。一方、これら低融点ヒートシール剤又は剥離剤が塗布されていない領域ではシーラントフィルムは外層から剥離せず、伸び広がることもない。そのため、塗布領域と非塗布領域との境界でシーラントフィルムが破れて水蒸気放出孔が開き、包装容器内部の水蒸気はこの放出孔から容器外部に放出される。
特許第4817583号公報
ところで、このように電子レンジで加熱する包装容器においては、食品などの内容物の保存性を高めるため、前記外層として基材フィルム上にガスバリア性の真空蒸着層を形成した蒸着フィルムを使用することがある。
この場合には、基材フィルムとガスバリア性真空蒸着層との接着強度が十分でなく、このため、剥離層とヒートシール部との交差位置とは異なる位置に孔が開いて、この孔から水蒸気が噴出することがある。
この孔は本来予定しないものであるから、予めその位置を予測することは困難であり、このため、噴出した蒸気によって火傷を負う危険を伴っている。また、このように予定しない放出が生じたときには、内容物を十分に調理することも困難である。
そこで、本発明は、電子レンジ加熱用包装容器に適用する包装材料であって、ガスバリア性を有し、しかも、予定外の蒸気の噴出が生じない包装材料と、この包装材料を使用して製造される包装容器とを提供することを目的とする。
すなわち、請求項1に記載の発明は、ガスバリア性の外層フィルムとシーラントフィルムとを備え、外層フィルムとシーラントフィルムとの間であって、ヒートシールによって包装容器を製造した際に形成されるヒートシール部とは異なる位置に低融点ヒートシール剤又は剥離剤が塗布されており、かつ、前記低融点ヒートシール剤又は剥離剤が塗布された領域から塗布されていない領域にわたって、電子レンジ加熱の際に前記外層フィルムを切断する切断線が設けられている包装材料において、
前記外層フィルムが基材フィルムとリン系ガスバリア層とを備えて構成されており、
前記ガスバリア層が、多価金属の化合物とリン化合物とが反応して形成されたリン系ガスバリア性複合構造物を含む層であることを特徴とする包装材料である。
また、請求項2に記載の発明は、ガスバリア性の外層フィルムとシーラントフィルムとを備え、外層フィルムとシーラントフィルムとの間であって、ヒートシールによって包装容器を製造した際に形成されるヒートシール部とは異なる位置に低融点ヒートシール剤又は剥離剤が塗布されており、かつ、前記低融点ヒートシール剤又は剥離剤が塗布された領域から塗布されていない領域にわたって、電子レンジ加熱の際に前記外層フィルムを切断する切断線が設けられている包装材料において、
前記外層フィルムが基材フィルム、プライマー層、金属酸化物蒸着層、及び珪素系ガスバリア層を、この順に備えて構成されており、
前記プライマー層が次の(1)〜(3)が反応して形成された珪素系複合構造物であり、
前記珪素系ガスバリア層が珪素系ガスバリア性複合構造物であることを特徴とする包装材料である。
(1)一般式RSi(OR (R:アルキル基、ビニル基、グリシドオキシプロピル基など、R:アルキル基などを表す)で表せる3官能オルガノシランあるいはその加水分解物
(2)アクリルポリオール
(3)イソシアネート化合物。
次に、請求項3に記載の発明は、ガスバリア性の外層フィルムとシーラントフィルムとを備え、外層フィルムとシーラントフィルムとの間であって、ヒートシールによって包装容器を製造した際に形成されるヒートシール部とは異なる位置に低融点ヒートシール剤又は剥離剤が塗布されており、かつ、前記低融点ヒートシール剤又は剥離剤が塗布された領域から塗布されていない領域にわたって、電子レンジ加熱の際に前記外層フィルムを切断する切断線が設けられている包装材料において、
前記外層フィルムが基材フィルム、金属酸化物蒸着層、及びガスバリア層を、この順に備えて構成されており、
前記基材フィルムの金属酸化物蒸着層形成面に表面処理が施されており、かつ、この表面処理がリアクティブイオンエッチングモードのプラズマによる処理であり、
前記ガスバリア層が珪素系ガスバリア性複合構造物であることを特徴とする包装材料である。
また、請求項4に記載の発明は、前記珪素系ガスバリア性複合構造物が、次の(4)〜(6)が反応して形成されたものであることを特徴とする請求項2又は3の包装材料である。
(4)一般式Si(OR(RはCH,C,またはCOCHを表す)で表されるケイ素化合物あるいはその加水分解物
(5)一般式(RSi(OR(Rは有機官能基、RはCH,C,またはCOCHを表す)で表されるケイ素化合物あるいはその加水分解物
(6)水溶性高分子。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の包装材料を使用し周囲をヒートシールして成る袋状包装容器である、
また、請求項6に記載の発明は、上面が開口した容器本体と、その開口部を塞いで開口部の周囲にヒートシールされた蓋材とから成り、この蓋材として請求項1〜4のいずれかに記載の包装材料を使用したことを特徴とする包装容器である。
請求項1に記載の発明においては、外層フィルムが基材フィルムとリン系ガスバリア層とを備えて構成されており、しかも、ガスバリア層が、多価金属の化合物とリン化合物とが反応して形成されたリン系ガスバリア性複合構造物を含む層である。このようなリン系ガスバリア層は耐熱性に優れると共に基材フィルムとの密着性に優れており、このため、後述する実施例1,4から分かるように、常温下はもちろん、電子レンジ加熱したときにも剥離が生じない。このため、電子レンジ加熱の際にも予定外の孔が生じることがなく、十分な調理の後に、塗布領域と非塗布領域との境界の位置に水蒸気放出孔が開いて水蒸気を放出する。
なお、このリン系ガスバリア層は、加熱の後にもガスバリア性(酸素バリア性及び水蒸気バリア性)の劣化が生じ難いため、内容物を包装容器に充填密封し、レトルト処理したときにもそのガスバリア性が十分に維持できる。
次に、請求項2に記載の発明においては、基材フィルムと金属酸化物蒸着層との間に特定の珪素系複合構造物から成るプライマー層を有しており、基材フィルムと金属酸化物蒸着層とはこのプライマー層を介して接着している。そして、このプライマー層は基材フィルムと金属酸化物蒸着層の両者に対する密着性に優れているため、後述する実施例2から分かるように、常温下はもちろん、電子レンジ加熱したときにも剥離が生じない。このため、電子レンジ加熱の際にも予定外の孔が生じることがなく、十分な調理の後に、塗布領域と非塗布領域との境界の位置に水蒸気放出孔が開いて水蒸気を放出する。
また、請求項3に記載の発明においては、基材フィルムにリアクティブイオンエッチン
グモードのプラズマによる表面処理が施されており、この表面処理が施された表面に金属酸化物蒸着層が設けられているため、後述する実施例3から分かるように、常温下はもちろん、電子レンジ加熱したときにも剥離が生じない。このため、電子レンジ加熱の際にも予定外の孔が生じることがなく、十分な調理の後に、塗布領域と非塗布領域との境界の位置に水蒸気放出孔が開いて水蒸気を放出する。
本発明の包装材料の概要を示す断面説明図である。 本発明に係る包装容器のうち、袋状包装容器の例を示す斜視図である。 本発明に係る包装容器のうち、容器本体と蓋材とから成る包装容器の例を示す斜視図である。 本発明の包装材料の例を示す分解断面説明図である。 本発明の包装材料の例を示す分解断面説明図である。 本発明の包装材料の例を示す分解断面説明図である。 ホローアノード・プラズマ処理装置の説明図である。 プレーナ型処理装置の説明図である。
本発明の包装材料は、外層フィルムの層構成に応じて3種類に大別できる。外層フィルムの層構成を除くほか、これら3種類の包装材料の構成は共通である。このため、まず、その共通な構成について説明し、次に、これら3種類の包装材料のそれぞれに固有の層構成について説明する。なお、以下の説明では、3種類の包装材料のうち、リン系ガスバリア層を備える外層フィルムを「外層フィルム11A」と呼び、基材フィルムと金属酸化物蒸着層との間にプライマー層を有する外層フィルムを「外層フィルム11B」、基材フィルムの処理面に金属酸化物蒸着層を形成した外層フィルムを「外層フィルム11C」と呼ぶ。
(包装材料に共通の構成)
図1は本発明の包装材料1の概要を示す断面説明図である。そして、この包装材料1を使用し、周囲をヒートシールして袋状の包装容器を製造することができる。また、上面が開口した容器本体と、その開口部を塞いで開口部の周囲にヒートシールされた蓋材とで構成される包装容器を製造する際に、その蓋材として使用することもできる。図2は本発明の包装材料を使用した袋状包装容器の例を示す斜視図、図3は本発明の包装材料を蓋材Cとして、容器本体Bと組み合わせて製造した包装容器の例を示す斜視図である。
図1から分かるように、本発明の包装材料1は、外層フィルム11とシーラントフィルム13とを備えている。そして、これら外層フィルム11とシーラントフィルム13との間に、部分的に塗布層12を備えている。なお、後述するように、外層フィルム11とシーラントフィルム13とは接着剤層を介して積層することができる。
塗布層12は低融点ヒートシール剤又は剥離剤を塗布して形成したもので、電子レンジ加熱の際に外層フィルム11とシーラントフィルム13とを剥離するものである。この理由から、塗布層12は、包装容器を製造した際に形成されるヒートシール部とは異なる位置に設ける必要がある。図2から分かるように、袋状包装容器を製造する際には、その外周にヒートシール部1xが設けられる。また、図3から分かるように、本発明の包装材料を蓋材として容器本体Bの開口部にヒートシールする場合には、開口部の周囲にヒートシール部1xが設けられる。いずれの場合にも、塗布層12は、これらヒートシール部1xとは別の位置に設けられる必要がある。なお、図2、図3において、12xは低融点ヒートシール剤又は剥離剤を塗布した領域(塗布領域)を示している。
そして、本発明の包装材料1では、これら低融点ヒートシール剤又は剥離剤を塗布した領域(塗布領域)12xから塗布されていない領域(非塗布領域)に渡って、前記外層フィルム11に切断線11xが設けられている。このように低融点ヒートシール剤又は剥離剤が部分的に塗布されており、しかも、その塗布領域12xから非塗布領域に渡って外層フィルムに切断線11xが設けられているため、電子レンジ加熱した際には、塗布領域と非塗布領域との境界線と前記切断線11xとの交点の位置でシーラントフィルム13が破断して水蒸気放出孔が開く。このため、前記切断線11xは、塗布領域12xを横断して、塗布領域12xの両側に延在していることが望ましい。
この切断線11xは、電子レンジ加熱したときにここから外層フィルム11を切断して外側に開く役割を有するものである。この切断線11xは、外層フィルム11のガスバリア性を維持するため、外層フィルム11を貫通しないハーフカット線で構成してもよいが、その幅が小さいときには、外層フィルム11を貫通する切断線11xを設けても、実害を生じるほどガスバリア性は低下しない。また、外層フィルム11に加えて、塗布層12を貫通するものであってもよい。図1に示す包装材料1は、これら外層フィルム11と塗布層12の両者を貫通する切断線11xを設けた例である。なお、切断線11xは、実線状の形状のほか、破線状の形状を有するものであってもよい。また、直線状のほか、曲線状であってもよい。
塗布層12は外層フィルム11に任意の低融点ヒートシール剤又は剥離剤を塗布することによって形成することが可能である。例えば、ポリエチレン中にポリブテンを分散させた剥離性低融点ヒートシール剤、無機充填剤を混合したシュラック樹脂系可食インキなどを使用することができる。また、市販の剥離剤を使用することも可能である。例えば、東洋インキ製造(株)の「X218PE」である。
次に、シーラントフィルム13はヒートシール可能であって、電子レンジ加熱の際に内圧によって伸び広がり、かつ、破断する必要がある。このようなシーラントフィルム13としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどの無延伸シートを例示できる。これらの材質から構成されるシーラントフィルム13を、接着剤層を介して、外層フィルム11の塗布層12上に接着することにより、本発明の包装材料を製造することができる。
(外層フィルム11Aの層構成)
次に、外層フィルム11Aの層構成を説明する。図4は外層フィルム11Aを使用した包装材料11の分解断面説明図である。
この外層フィルム11Aは基材フィルム11aとリン系ガスバリア層11bとを必須の構成要素とするものである。その他、これら基材フィルム11aとリン系ガスバリア層11bに加えて他の層を有していてもよい。図4は、インキ層11cを有する例である。このほか、プラスチックフィルム層、無機蒸着層などを有していてもよい。
基材フィルム11aは、樹脂フィルムや紙シートを含む単層又は多層の材料で形成することができる。これらの中でも、基材シート11aを延伸した樹脂フィルムで形成することが好ましい。
樹脂フィルムとしては、ポリオレフィン系樹脂から成るフィルム、ポリエステル系樹脂から成るフィルム、ポリアミド系樹脂から成るフィルム、水酸基含有ポリマーから成るフィルムを例示できる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンが例示できる。ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、あるいはこれらの共重合体を挙げることができる。また、ポリアミド系樹脂としては、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−12などを例示できる。水酸基含有ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などを使用することが可能である。
リン系ガスバリア層11bは、多価金属の化合物とリン化合物とが反応して形成されたリン系ガスバリア性複合構造物を含む層である。この層は、多価金属の化合物を含む溶液又は分散液と、リン化合物を含む溶液とを混合してコーティング液とし、このコーティング液を基材シート11aに塗布し、乾燥して溶剤を除去した後、これら多価金属の化合物とリン化合物とを反応させて形成することができる。多価金属原子をMで表わすと、この反応によって、金属原子Mとリン原子との間にM−O−P−O−Mで表される結合が生成され、しかも、リン原子を中心として3以上の金属原子Mがこの結合によって結合されて、網目状の複合構造物が形成される。あるいは、金属原子Mとリン原子との間にM−O−(P−O−P)−O−Mで結合が生成され、多価金属原子同士が結合する。なお、この式中、nは任意に整数を意味している。
多価金属元素としては、リン化合物の2分子以上が反応できる金属元素であれば、任意の元素を使用できる。半金属元素であってもよい。例えば、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、珪素、チタン、ジルコニウムなどの元素である。中でも、アルミニウムが望ましい。
また、これら金属元素の化合物としては、リン化合物とを反応して複合構造物を形成できるものなら任意の化合物を使用できる。一般に、水酸基を有する化合物である。また、この金属化合物は、溶剤に溶解した溶液の形式で供給されても良いし、金属化合物の微粒子を溶剤に分散した分散液の形式で供給されてもよい。
例えば、硝酸アルミニウムを金属化合物として、その水溶液の形式で供給することができる。
また、金属酸化物の微粒子を水又は水性溶剤中に分散して、分散液の形式で供給することもできる。望ましくは、酸化アルミニウム微粒子の分散液である。一般に、金属酸化物の微粒子はその表面に水酸基を有しており、この水酸基の存在によって前記リン化合物と反応して前記結合を生成する。この金属酸化物微粒子は、例えば、加水分解可能な特性基が金属原子に結合した化合物を原料として、これを加水分解し、この加水分解性生物を縮合させることで合成することができる。原料として使用できる化合物は、例えば、塩化アルミニウム、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムイソプロポキシドなどである。加水分解縮合は、例えば、ゾルゲル法などの液相合成法で可能である。金属酸化物微粒子は、例えば、球状、扁平状、多面体状、繊維状、針状などの形状であってよい。包装材料Aのガスバリア性及びレトルト処理などの熱水処理を経た後のガスバリア性を高めるため、繊維状又は針状であることが望ましい。また、その大きさとしては、包装材料Aのガスバリア性及び透明性を高めるため、平均粒径が1〜100nmの範囲にあることが望ましい。
次に、リン化合物としては、多価金属の化合物と反応して前記結合を生成できるものであれば任意のリン化合物を使用できる。その代表例はリン酸系化合物及びその誘導体である。例えば、リン酸、ポリリン酸、亜リン酸、ホスホン酸などである。なお、ポリリン酸としては、ピロリン酸、三リン酸、あるいは4以上のリン酸が縮合したポリリン酸を使用することができる。また、リン酸系化合物の誘導体としては、その塩、エステル(例えば、リン酸取りメチル)、あるいははハロゲン化物であってもよいし、脱水物(例えば、5酸化リン)、ハロゲン化物を例示できる。
このリン化合物は溶液の形式で供給することができる。例えば、水を溶剤とする水溶液である。また、親水性の有機溶剤の溶液の形式で供給することもできる。例えば、低級アルコールの溶液である。
そして、前述のように、多価金属化合物の溶液又は分散液と、リン化合物の溶液とを混合してコーティング液とすることができる。このコーティング液には、その他の成分を添加することもできる。例えば、高分子化合物、金属錯体、粘土化合物、架橋剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤などである。なお、高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルの部分けん化物、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、多糖類(例えば、でんぷんなど)、アクリル系ポリマー(例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−メタクリル酸共重合体など)及びそれらの塩、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸交互共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体のけん化物などを挙げることができる。
このコーティング液を塗布し、溶剤を除去乾燥して得られた塗布膜を、例えば、加熱処理することにより、多価金属化合物とリン化合物とを反応させて前記結合を生成させ、本発明に係るリン系複合構造物を形成することができる。塗布膜の厚さは0.1μm以上であればよい。例えば、0.2μm以上である。この条件を満たす範囲で、塗布膜は薄い方が好ましい。薄くすることによって、印刷、ラミネートなどの加工時における寸法変化を低く抑えることができ、また、その柔軟性が増してその力学的特性を基材フィルム11aの力学的特性に近づけることができる。例えば、4.0μm以下である。好ましくは2.0μm以下であり、より好ましくは1.0μm以下である。また、0.9μm以下であってもよい。
次に、加熱温度としては、110℃以上であることが望ましく、より望ましくは120℃以上である。さらに望ましくは140℃以上であり、170℃以上で加熱処理することがさらに望ましい。加熱処理温度が低いと十分な結合を生成するために必要な時間が長くなり、生産性が低下する。加熱処理温度の上限は、基材フィルム11aの種類によって異なる。一般に220℃以下、好ましくは190℃以下である。また、加熱処理の時間は、0.1秒〜1時間の間でよい。好ましくは1秒〜15分であり、より好ましくは5秒〜5分である。なお、この加熱処理は、大気雰囲気中で行うことができるほか、窒素雰囲気やアルゴン雰囲気の中で行うことができる。
こうして得られたリン系複合構造物は、金属原子Mとリン原子Pとが酸素原子Oを介して網目状に、かつ、三次元的に結合したものであり、極めて耐熱性に優れている。また、基材フィルム11aとの密着性にも優れている。このため、この外層フィルムAを使用して製造した包装容器を電子レンジで加熱した場合にも、このリン系複合構造物から成るリン系ガスバリア層11bと基材フィルム11aとの間で剥離することがない。前記コーティング剤として、高分子化合物などの成分を混合したコーティング液を使用した場合にも同様であり、こうしてリン系複合構造物と高分子化合物などの成分とを含むリン系ガスバリア層11bを基材フィルム11a上に形成して得られた外層フィルム11Aにおいても、電子レンジ加熱によって剥離することがない。
なお、このリン系複合構造物を含むリン系ガスバリア層11bは、各種ガスバリア性(酸素ガスバリア性及び水蒸気バリア性)にも優れている。中でも、多価金属化合物として酸化アルミニウムの微粒子を使用し、塗布膜の加熱処理を110℃以上で行った場合には、得られるリン系ガスバリア層11bのガスバリア性が特に優れている。このリン系ガスバリア層11bに含まれるリン系複合構造物は、各種原子と酸素原子との結合に由来する赤外線吸収が見られる波数800〜1400cm−1の範囲において、最大の赤外線吸収の吸収ピークが1080〜1130cm−1の範囲に見られる。
(外層フィルム11Bの層構成)
次に、外層フィルム11Bの層構成を説明する。図5は外層フィルム11Bを使用した包装材料11の分解断面説明図である。
この外層フィルム11Bは、基材フィルム11a、プライマー層11d、金属酸化物蒸着層11e、珪素系ガスバリア層11fを必須の構成要素とするものである。その他、他の層を有していてもよい。図5は、インキ層11cを有する例である。外層フィルム11Bの基材フィルム11aは外層フィルム11Aの基材フィルム11aと同様でよい。
プライマー層11dは基材フィルム11aと金属酸化物蒸着層11eとの密着性を高めるもので、電子レンジで加熱した際に両者の剥離を防止するものである。このプライマー層11dは、次の(1)〜(3)が反応して形成された珪素系複合構造物で構成する必要がある。
(1)一般式RSi(OR (R:アルキル基、ビニル基、グリシドオキシプロピル基など、R:アルキル基などを表す)で表せる3官能オルガノシランあるいはその加水分解物
(2)アクリルポリオール
(3)イソシアネート化合物。
3官能オルガノシランは、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン等、一般式RSi(ORで表せるもの、あるいはその加水分解物である。これらの中でも、R中にエポキシ基が含まれているグリシドオキシトリメトキシシランやエポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン等が特に好ましい。加水分解物を得る方法は、3官能オルガノシランに直接酸やアルカリ等を添加して加水分解を行う方法等、既知の方法を用いることができる。
また、アクリルポリオールとは、アクリル酸誘導体モノマーを重合させて得られる高分子化合物もくしは、アクリル酸誘導体モノマー及びその他のモノマーとを共重合させて得られる高分子化合物のうち、末端にヒドロキシル基をもつもので、後に加えるイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応させるものである。これらの中でもエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートやヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート等のアクリル酸誘導体モノマーを単独で重合させたものや、スチレン等のその他のモノマーを加え共重合させたアクリルポリオールが好ましく用いられる。またイソシアネート化合物との反応性を考慮すると、ヒドロキシル価が5〜200(KOHmg/g)の間であることが好ましい。
アクリルポリオールと3官能オルガノシランとの配合比は、重量比で1/1から100/1の範囲であることが好ましく、2/1から50/1の範囲にあることがより好ましい。溶解及び希釈溶媒としては、溶解及び希釈可能であれば特に限定されるものではなく、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が単独および任意に配合されたものを用いることができる。
また、3官能オルガノシランとアクリルポリオールの配合時に反応を促進させるために反応触媒を添加しても構わない。添加される触媒としては、反応性および重合安定性の点から塩化錫(SnCl、SnCl)、オキシ塩化錫(SnOHCl、Sn(OH)Cl)、錫アルコキシド等の錫化合物であることが好ましい。
さらに、混入するイソシアネート化合物とは、アクリルポリオールと反応してできるウレタン結合により基材フィルム11aや金属酸化物蒸着層1eとの密着性を高めるために添加されるもので主に架橋剤もしくは硬化剤として作用する。
これを達成するためにイソシアネート化合物としては、芳香族系のトリレンジイソシアネート(TDI)やジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、脂肪族系のキシレンジイソシアネート(XDI)やヘキサレンジイソシアネート(HMDI)等のモノマー類と、これらの重合体、誘導体が用いられ、これらが単独か又は混合物等として用いられる。
アクリルポリオールとイソシアネート化合物の配合比は特に制限されるのもではないが、イソシアネート化合物が少なすぎると硬化不良になる場合があり、またそれが多すぎるとブロッキング等が発生し加工上問題がある。
そこでアクリルポリオールとイソシアネート化合物との配合比としては、イソシアネート化合物由来のNCO基がアクリルポリオール由来のOH基の50倍以下であることが好ましく、特に好ましいのはNCO基とOH基が当量で配合される場合である。混合方法は、周知の方法が使用可能で特に限定しない。
さらに、上記複合物に調液時に液安定性を向上させるために、金属アルコキシド又はその加水分解物を加えても一向に構わない。この金属アルコキシドとはテトラエトキシシラン〔Si(OC〕、トリプロポキシアルミニウム〔Al(OC〕等一般式M(OR)(MはSi,Al,Ti,Zr等の金属、RはCH,C等のアルキル基)で表せるもの、あるいはその加水分解物である。これらの中でも、テトラエトキシシラン、トリプロポキシアルミニウムあるいは両者の混合物が、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。この金属アルコキシドの加水分解物を得る方法は、前記3官能オルガノシランとともに加水分解を行ってもよいし、また金属アルコキシドの加水分解物を加えることも可能である。また、3官能オルガノシランと金属アルコキシドの配合比は、液安定性の点からモル比で10:1から1:10の範囲であることが望ましい。両者が等モルで配合されることが望ましい。
プライマー層11dは、このような3官能オルガノシランをあらかじめ加水分解反応させたもの、又は3官能オルガノシランを金属アルコキシドとともに加水分解反応させたもの(このとき上述した反応触媒を用いても構わない)を、アクリルポリオールやイソシアネート化合物と混合して複合溶液を作製したものを基材フィルム11aにコーティングして形成することができる。
また、プライマー層11dは、3官能オルガノシラン、アクリルポリオールを溶媒中あらかじめ混合しておき(このとき上述した反応触媒、金属アルコキシドを加えても構わない)加水分解反応を行ったもの、又は3官能オルガノシラン、アクリルポリオールを混合しただけのもの(このとき上述した反応触媒、金属アルコキシドを加えても構わない)の中に、イソシアネート化合物を加え複合溶液を作製したものを基材フィルム11aにコーティングして形成してもよい。
この複合物に各種添加剤を添加することも可能である。このような添加剤としては、例えば、3級アミン、イミダゾール誘導体、カルボン酸の金属塩化合物、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩等の硬化促進剤や、フェノール系、硫黄系、ホスファイト系等の酸化防止剤、レベリング剤、流動調整剤、触媒、架橋反応促進剤、充填剤等を挙げることができる。
こうして形成されたプライマー層11dは、優れた耐熱性と共に基材フィルム11a及び金属酸化物蒸着層11eの両者との密着性に優れており、電子レンジ加熱の際に金属酸化物蒸着層11eが基材フィルム11aから剥離することを防止できる。
次に、金属酸化物蒸着層11eは、包装材料1に酸素バリア性を付与するものである。この金属酸化物蒸着層11eは水蒸気バリア性にも優れるが、後述する珪素系ガスバリア層11fによって水蒸気バリア性を補い、高めている。なお、珪素系ガスバリア層11fは酸素バリア性にも優れており、このため、金属酸化物蒸着層11eと珪素系ガスバリア層11fの両者で高い酸素バリア性と水蒸気バリア性とを実現している。
この金属酸化物蒸着層11eは、酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物を用いて、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法等の薄膜形成手段により形成することができる。これらの中でも、金属酸化物蒸着層11eは酸化アルミニウムで形成されていることが望ましい。
次に、珪素系ガスバリア層11fとしては、次の(4)〜(6)を反応して形成した珪素系ガスバリア性複合構造物を使用することができる。
(4)一般式Si(OR(RはCH,C,またはCOCHを表す)で表されるケイ素化合物あるいはその加水分解物
(5)一般式(RSi(OR(Rは有機官能基、RはCH,C,またはCOCHを表す)で表されるケイ素化合物あるいはその加水分解物
(6)水溶性高分子。
一般式Si(ORで表されるケイ素化合物はテトラアルコキシシランである。例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランである。また、一般式(RSi(ORで表されるケイ素化合物はシランカップリング剤である。例えば、アミンシランカップリング剤、ビニルシランカップリング剤、アクリルシランカップリング剤等を使用することができる。また、イソシアネート基やエポキシ基を持つシランカップリング剤であってもよい。水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニルアルコール部位をもつ有機ポリマーを例示できる。
珪素系ガスバリア層11fは、これら各成分を溶解又は分散させてコーティング液を作成し、このコーティング液を塗布し、加熱して乾燥すると共にこれら各成分を反応させることにより形成することができる。なお、ケイ素成分等の混合方法としては、溶媒中に目視で均一に混合されていればよい。テトラアルコキシシランは水系溶媒中では均一分散しにくいため、加水分解して用いてもよい。また、珪素系ガスバリア層11fのインキ、接着剤との密着性、濡れ性、収縮によるクラック発生防止を考慮して、コーティング液にコロイダルシリカやスメクタイト等の粘土鉱物、安定化剤、着色剤、粘度調整剤等の公知の添加剤等を、ガスバリア性や耐水性を阻害しない範囲で添加することができる。
このコーティング液の塗布方法としては、通常のコーティング方法を用いることができる。例えば、ディッピング法、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、エアナイフコート、コンマコート、ダイコート、スクリーン印刷法、スプレーコート、グラビアオフセット法等を用いることができる。なお、珪素系ガスバリア層11f厚さが50μmを越えるとクラックが生じやすくなる可能性があるため、0.01〜50μmとすることが望ましい。
また、その加熱方法としては、熱風加熱、熱ロール乾燥、高周波照射、赤外線照射、UV照射等が採用できる。
(外層フィルム11Cの層構成)
次に、外層フィルム11Cの層構成を説明する。図6は外層フィルム11Cを使用した包装材料11の分解断面説明図である。この外層フィルム11Cは、基材フィルム11aと金属酸化物蒸着層との間にプライマー層11dを設ける代わりに、表面処理11gを施した基材フィルム11aを使用する点で外層フィルム11Bと異なる。その他は外層フィルム11Bと同様である。このため、表面処理11gについて説明する。
基材フィルム11aの表面処理11gはリアクティブイオンエッチングモード(RIE)のプラズマによる処理である必要がある。このRIEのプラズマによる処理は、ホローアノード・プラズマ処理装置又はプレーナ型処理装置を使用して行うことができる。そこで、これらホローアノード・プラズマ処理装置による表面処理及びプレーナ型処理装置による表面処理について、図面を参照しながら、その処理装置と共に説明する。
まず、図7はホローアノード・プラズマ処理装置100の説明図である。ホロアノード・プラズマ処理装置100は、陽極としての処理ロール101を備える。陰極102、及び陰極102の両端に配置された遮蔽版103は、処理ロール101の外部に処理ロール101と対向するように配置されている。陰極102は、処理ロール101側が開口したボックス形をなしている。遮蔽版103は、処理ロール101に沿った曲面状に形成されている。
ガス導入ノズル105は、陰極102の上方に配置されている。ガス導入ノズル105は、陰極102及び遮蔽版103と処理ロール101との間の隙間106にガスを導入する。マッチングボックス107は、陰極102の背面に配置されている。
そして、基材フィルム11aを処理ロール101に沿って搬送しながら、マッチングボックス107から陰極102に電圧を印加することにより、この基材フィルム11aの表面を、リアクティブイオンエッチングモード(RIE)のプラズマで処理することができる。すなわち、電圧の印加によりガスが導入される隙間106にプラズマを発生し、このプラズマ中のラジカルを陽極である処理ロール101側に引き寄せることによって、基材フィルム11aの表面にラジカルを作用させる。また、陽極として処理ロール101の面積を対極となる基材フィルム11aの面積よりも大きくすることによって、基材フィルム11a上に多くの自己バイアスを発生させることができる。この大きな自己バイアスにより、ラジカルに加えて、プラズマ中のイオン110を基材フィルム11aに引き寄せて、その表面にスパッタ作用(物理的作用)が働くのである。
また、図8はプレーナ型処理装置120の説明図である。プレーナ型処理装置120では、処理ロール101の内側に電極である陰極102を配置し、基材フィルム11aを処理ロール101に沿って搬送する。基材109を搬送しながら、基材フィルム11aの表面にプラズマ中のイオン110を作用させてRIE処理を行うことができる。そして、この方法では、基材フィルム11aを陰極102側に設置することができ、高い自己バイアスを得た状態でRIE処理を行うことができる。
(実施例1)
外層フィルム11として厚さ13μmの外層フィルム11Aを使用し、その片面に、部分的に低融点ヒートシール剤を塗布して塗布層12を形成した。次に、この塗布領域12xから非塗布領域に渡って、基材フィルム11aと塗布層12の両者を貫通する切断線1
1xを設けた。そして、この塗布層12を覆って、その全面にシーラントフィルムを接着して包装材料11を製造した。なお、剥離剤としては東洋インキ製造(株)の「X218PE」を使用し、幅15mm、長さ50mmの直線状に塗布した。また、切断線11xは剥離層塗布領域12xを横断して、両端が非塗布領域に到達するように、70mmの直線状に設けた。また、シーラントフィルムとしては、厚さ40μmの無延伸線状低密度ポリエチレン(LLDPE)シートを使用し、ドライラミネート用接着剤を使用して接着した。
(実施例2)
外層フィルム11として厚さ12μmの外層フィルム11Bを使用し、低融点ヒートシール剤の代わりに剥離剤を使用し、かつ、シーラントフィルムとして厚さ50μmの無延伸LLDPEシートを使用した以外は、実施例1と同様にて包装材料11を製造した。
(実施例3)
外層フィルム11として、厚さ12μmの外層フィルム11Cを使用し、シーラントフィルムとして厚さ50μmの無延伸エチレン−プロピレン共重合体のシートを使用した以外は、実施例1と同様にて包装材料11を製造した。
(実施例4)
実施例1の外層フィルムAにポリアミドフィルムを接着して外層フィルム11とし、低融点ヒートシール剤の代わりに剥離剤を使用し、かつ、シーラントフィルムとして厚さ50μmの無延伸低密度ポリエチレンのシートを使用した以外は、実施例1と同様にて包装材料11を製造した。
(比較例1)
実施例2の外層フィルム11Bにおいてプライマー層11dを省略したものを外層フィルム11とし、シーラントフィルムとして厚さ40μmの無延伸LLDPEシートのシートを使用した以外は、実施例2と同様にて包装材料11を製造した。
(電子レンジ加熱試験)
実施例1〜4及び比較例1の包装材料を使用して、図2に示すピロータイプの袋状包装容器を作成した。そして、畜肉加工惣菜をポリプロピレン製トレーに収容し、このトレーごと前記袋状包装容器に収容して密封した。なお、前記剥離層は、周囲のヒートシール部に交差する位置に配置した。
得られた袋状包装体を電子レンジ中に載置し、出力1000Wで2分間加熱した。剥離層がヒートシール部に交差する位置で水蒸気放出孔が開き、その他の位置で水蒸気の放出がなかったものを「○」と評価し、その他の位置から水蒸気の放出があったものを「×」と評価した。この結果を表1に示す。
Figure 2016074440
この結果から分かるように、本発明に係る包装材料は、剥離層の幅に拘わりなく、電子レンジ加熱によっても剥離せず、予定部位に水蒸気放出孔が開くことが理解できる。
1‥包装材料,1x‥ヒートシール部
11,11A,11B,11C‥外層フィルム
11a‥基材フィルム,11b‥リン系ガスバリア層,11c‥インキ層,11d‥プライマー層,11e‥金属酸化物蒸着層,11f‥珪素系ガスバリア層,11g‥表面処理層
11x:切断線
12‥塗布層,12x‥塗布層の位置
13‥シーラントフィルム
14‥接着層
a‥袋状包装容器,b‥容器本体,c‥蓋材

Claims (6)

  1. ガスバリア性の外層フィルムとシーラントフィルムとを備え、外層フィルムとシーラントフィルムとの間であって、ヒートシールによって包装容器を製造した際に形成されるヒートシール部とは異なる位置に低融点ヒートシール剤又は剥離剤が塗布されており、かつ、前記低融点ヒートシール剤又は剥離剤が塗布された領域から塗布されていない領域にわたって、電子レンジ加熱の際に前記外層フィルムを切断する切断線が設けられている包装材料において、
    前記外層フィルムが基材フィルムとリン系ガスバリア層とを備えて構成されており、
    前記ガスバリア層が、多価金属の化合物とリン化合物とが反応して形成されたリン系ガスバリア性複合構造物を含む層であることを特徴とする包装材料。
  2. ガスバリア性の外層フィルムとシーラントフィルムとを備え、外層フィルムとシーラントフィルムとの間であって、ヒートシールによって包装容器を製造した際に形成されるヒートシール部とは異なる位置に低融点ヒートシール剤又は剥離剤が塗布されており、かつ、前記低融点ヒートシール剤又は剥離剤が塗布された領域から塗布されていない領域にわたって、電子レンジ加熱の際に前記外層フィルムを切断する切断線が設けられている包装材料において、
    前記外層フィルムが基材フィルム、プライマー層、金属酸化物蒸着層、及び珪素系ガスバリア層を、この順に備えて構成されており、
    前記プライマー層が次の(1)〜(3)が反応して形成された珪素系複合構造物であり、
    前記珪素系ガスバリア層が珪素系ガスバリア性複合構造物であることを特徴とする包装材料。
    (1)一般式RSi(OR (R:アルキル基、ビニル基、グリシドオキシプロピル基など、R:アルキル基などを表す)で表せる3官能オルガノシランあるいはその加水分解物。
    (2)アクリルポリオール。
    (3)イソシアネート化合物。
  3. ガスバリア性の外層フィルムとシーラントフィルムとを備え、外層フィルムとシーラントフィルムとの間であって、ヒートシールによって包装容器を製造した際に形成されるヒートシール部とは異なる位置に低融点ヒートシール剤又は剥離剤が塗布されており、かつ、前記低融点ヒートシール剤又は剥離剤が塗布された領域から塗布されていない領域にわたって、電子レンジ加熱の際に前記外層フィルムを切断する切断線が設けられている包装材料において、
    前記外層フィルムが基材フィルム、金属酸化物蒸着層、及びガスバリア層を、この順に備えて構成されており、
    前記基材フィルムの金属酸化物蒸着層形成面に表面処理が施されており、かつ、この表面処理がリアクティブイオンエッチングモードのプラズマによる処理であり、
    前記ガスバリア層が珪素系ガスバリア性複合構造物であることを特徴とする包装材料。
  4. 前記珪素系ガスバリア性複合構造物が、次の(4)〜(6)が反応して形成されたものであることを特徴とする請求項2又は3の包装材料。
    (4)一般式Si(OR(RはCH,C,またはCOCHを表す)で表されるケイ素化合物あるいはその加水分解物。
    (5)一般式(RSi(OR(Rは有機官能基、RはCH,C,またはCOCHを表す)で表されるケイ素化合物あるいはその加水分解物。
    (6)水溶性高分子。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の包装材料を使用し周囲をヒートシールして成る袋状包装容器。
  6. 上面が開口した容器本体と、その開口部を塞いで開口部の周囲にヒートシールされた蓋材とから成り、この蓋材として請求項1〜4のいずれかに記載の包装材料を使用したことを特徴とする包装容器。
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