JP2016072211A5 - - Google Patents

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電池用包装材料
本発明は、基材層表面におけるインキの印刷特性に優れた電池用包装材料に関する。
従来、様々なタイプの電池が開発されているが、あらゆる電池において、電極や電解質等の電池素子を封止するために包装材料が不可欠な部材になっている。従来、電池用包装として金属製の包装材料が多用されていたが、近年、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、パソコン、カメラ、携帯電話等の高性能化に伴い、電池には、多様な形状が要求されると共に、薄型化や軽量化が求められている。しかしながら、従来多用されていた金属製の電池用包装材料では、形状の多様化に追従することが困難であり、しかも軽量化にも限界があるという欠点がある。
そこで、多様な形状に加工が容易で、薄型化や軽量化を実現し得る電池用包装材料として、基材層/接着層/金属層/シーラント層が順次積層されたフィルム状の積層体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このようなフィルム状の電池用包装材料では、シーラント層同士を対向させて周縁部をヒートシールにて熱溶着させることにより電池素子を封止できるように形成されている。
上記のような積層体により形成された種々の包装材料において、基材層の表面にインキを印刷して、バーコード、柄、文字などを形成し、印刷した側の基材層の上に接着剤、金属箔を積層する方法により、包装材料に印字する方法(一般に中刷りと称される)が広く採用されている。しかしながら、基材層と金属層との間にこのような印刷面が存在すると、基材層と金属層との密着性が低下して、層間においてデラミネーションが生じやすくなる。特に、電池用包装材料が適用される電池には、高い安全性が要求されるため、このような中刷りによって印字する方法は、電池用包装材料においては敬遠されている。したがって、従来、電池用包装材料にバーコードなどの印字を形成する場合には、一般に、印字が形成されたシールを基材層の表面に貼り付ける方法が採用されている。
しかしながら、印字が形成されたシールを基材層の表面に貼り付けると、電池用包装材料の厚みや重さが増大する。よって、電池用包装材料に対する近年の更なる薄型化や軽量化の傾向から、電池用包装材料の基材層の表面に直接インキの印刷により印字する方法が検討されている。
電池用包装材料の基材層の表面に直接インキの印刷により印字する方法としては、パッド印刷(タンポ印刷とも称される)が知られている。パッド印刷とは、次のような印刷方法である。まず、印字したいパターンがエッチングされた平板の凹部にインキを流し込む。次に、当該凹部の上からシリコンパッドを押し当てて、シリコンパッドにインキを転移させる。次に、シリコンパッド表面に転移されたインキを印刷対象物に転写して、印刷対象物に印字を形成する。このようなパッド印刷は、弾性のあるシリコンパッドなどを用いてインキが印刷対象物に転写されるため、成形後の電池用包装材料の表面にも印刷しやすく、電池素子を電池用包装材料で封止した後に、電池に印字することができるという利点を有する。
ところで、電池用包装材料においては、電池素子を封入する際に金型で成形し、電池素子を収容する空間が形成される。この成形の際に、電池用包装材料が引き延ばされることによって、金型のフランジ部において、金属層にクラックやピンホールが発生しやすいという問題がある。このような問題を解決するために、電池用包装材料の基材層の表面に滑剤をコーティングしたり、シーラント層表面にブリードアウトした滑剤をロール状態で基材層表面に転移させることなどにより、基材層の滑り性を高める方法が知られている。このような方法を採用することにより、成形時において、電池用包装材料が金型に引き込まれやすくなり、電池用包装材料のクラックやピンホールを抑制することができる。特に、近年の電池用包装材料に対する薄型化及び軽量化の要請から、電池用包装材料の基材層の表面に滑剤を存在させて、電池用包装材料の滑り性を高めることが望ましい。
特開2008−287971号公報
ところが、本発明者らが検討したところ、基材層の表面に滑剤を存在させて、電池用包装材料の成形性を高めた場合には、基材層表面においてインキが弾かれて、インキが定着しにくくなり、インキが形成されない抜け部分が生じることがあることが明らかとなった。特に、パッド印刷によって印刷した場合の印刷適性が不十分になる傾向があることが明らかとなった。
このような状況下、本発明は、基材層表面におけるインキの印刷特性に優れた電池用包装材料を提供することを主な目的とする。さらに、本発明は、当該電池用包装材料の製造方法、及び当該電池用包装材料用いた電池を提供することも目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、少なくとも、基材層と、金属層と、シーラント層とが順次積層された積層体からなる電池用包装材料において、基材層表面のぬれ張力を32mN/m以上に設定することにより、基材層表面におけるインキの印刷特性を効果的に高めることができることを見出した。さらに、本発明者等は、基材層表面(金属層とは反対側の表面)にコロナ処理を施すことにより、当該基材層表面のぬれ張力を32mN/m以上に設定できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 少なくとも、基材層と、金属層と、シーラント層とが順次積層された積層体からなり、
前記基材層表面のぬれ張力が、32mN/m以上である、電池用包装材料。
項2. 前記基材層表面の少なくとも一部に、インキを印刷して使用される、項1に記載の電池用包装材料。
項3. 前記基材層表面の少なくとも一部に、インキが印刷されている、項1に記載の電池用包装材料。
項4. 前記基材層表面が、コロナ処理されてなる、項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
項5. 前記シーラント層表面のぬれ張力が、25mN/m以下である、項1〜4のいずれかに記載の電池用包装材料。
項6. 前記シーラント層の表面に滑剤が存在している、項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料。
項7. 前記基材層と前記金属層との間に接着層が積層されてなる、項1〜6のいずれかに記載の電池用包装材料。
項8. 前記金属層と前記シーラント層との間に接着層が積層されてなる、項1〜7のいずれかに記載の電池用包装材料。
項9. 前記金属層が、アルミニウム箔により形成されている、項1〜8のいずれかに記載の電池用包装材料。
項10. 前記基材層の表面に滑剤が存在している、項1〜9のいずれかに記載の電池用包装材料。
項11. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、項1〜10のいずれかに記載の電池用包装材料内に収容されている、電池。
項12. 少なくとも、基材層と、金属層と、シーラント層とを積層して積層体を得る積層工程と、
前記基材層の表面にコロナ処理を施して、前記基材層の表面のぬれ張力を32mN/m以上にするコロナ処理工程と、
を備える、電池用包装材料の製造方法。
項13. 前記コロナ処理工程の後、基材層表面の少なくとも一部にインキを印刷する工程を備える、項12に記載の電池用包装材料の製造方法。
本発明によれば、基材層表面におけるインキの印刷特性に優れた電池用包装材料を提供することができる。さらに、本発明によれば、当該電池用包装材料を用いた電池、及び当該電池用包装材料の製造方法を提供することもできる。
本発明の電池用包装材料の断面構造の一例を示す図である。 本発明の電池用包装材料の断面構造の一例を示す図である。
本発明の電池用包装材料は、少なくとも、基材層と、金属層と、シーラント層とが順次積層された積層体からなり、基材層表面のぬれ張力が、32mN/m以上であることを特徴とする。以下、本発明の電池用包装材料、当該電池用包装材料の製造方法、当該電池用包装材料を用いた電池について詳述する。
1.電池用包装材料の積層構造
本発明の電池用包装材料は、図1に示すように、少なくとも、基材層1、金属層3、及びシーラント層4が順次積層された積層体からなる。本発明の電池用包装材料において、基材層1が最外層になり、シーラント層4は最内層になる。即ち、電池の組み立て時に、電池素子の周縁に位置するシーラント層4同士が熱溶着して電池素子を密封することにより、電池素子が封止される。
本発明の電池用包装材料は、図1に示すように、基材層1と金属層3との間に、これらの接着性を高める目的で、必要に応じて接着層2が設けられていてもよい。また、図2に示すように、金属層3とシーラント層4との間に、これらの接着性を高める目的で、必要に応じて接着層5が設けられていてもよい。
2.電池用包装材料を形成する各層の組成
[基材層1]
本発明の電池用包装材料において、基材層1は、最外層に位置する層である。基材層1を形成する素材については、絶縁性を備えるものであることを限度として特に制限されるものではない。基材層1を形成する素材としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン、珪素樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテルイミド、ポリイミド、及びこれらの混合物や共重合物等が挙げられる。
ポリエステルとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリカーボネート、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル等が挙げられる。また、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてエチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/フェニル−ジカルボキシレート)、ポリエチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)等が挙げられる。また、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてブチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。これらのポリエステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。ポリエステルは、耐電解液性に優れ、電解液の付着に対して白化等が発生し難いという利点があり、基材層1の形成素材として好適に使用される。
また、ポリアミドとしては、具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体等の脂肪族系ポリアミド;テレフタル酸及び/又はイソフタル酸に由来する構成単位を含むナイロン6I、ナイロン6T、ナイロン6IT、ナイロン6I6T(Iはイソフタル酸、Tはテレフタル酸を表す)等のヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸−テレフタル酸共重合ポリアミド、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等の芳香族を含むポリアミド;ポリアミノメチルシクロヘキシルアジパミド(PACM6)等の脂環系ポリアミド;さらにラクタム成分や、4,4’−ジフェニルメタン−ジイソシアネート等のイソシアネート成分を共重合させたポリアミド、共重合ポリアミドとポリエステルやポリアルキレンエーテルグリコールとの共重合体であるポリエステルアミド共重合体やポリエーテルエステルアミド共重合体;これらの共重合体等が挙げられる。これらのポリアミドは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。延伸ポリアミドフィルムは延伸性に優れており、成形時の基材層1の樹脂割れによる白化の発生を防ぐことができ、基材層1の形成素材として好適に使用される。
基材層1は、1軸又は2軸延伸された樹脂フィルムで形成されていてもよく、また未延伸の樹脂フィルムで形成してもよい。中でも、1軸又は2軸延伸された樹脂フィルム、とりわけ2軸延伸された樹脂フィルムは、配向結晶化することにより耐熱性が向上しているので、基材層1として好適に使用される。また、基材層1は、上記の素材を金属層3上にコーティングして形成されていてもよい。
これらの中でも、基材層1を形成する樹脂フィルムとして、好ましくはナイロン、ポリエステル、更に好ましくは2軸延伸ナイロン、2軸延伸ポリエステル、特に好ましくは2軸延伸ナイロンが挙げられる。
基材層1は、耐ピンホール性及び電池の包装体とした時の絶縁性を向上させるために、異なる素材の樹脂フィルム及びコーティングの少なくとも一方を積層化することも可能である。具体的には、ポリエステルフィルムとナイロンフィルムとを積層させた多層構造や、2軸延伸ポリエステルと2軸延伸ナイロンとを積層させた多層構造等が挙げられる。基材層1を多層構造にする場合、各樹脂フィルムは接着剤を介して接着してもよく、また接着剤を介さず直接積層させてもよい。接着剤を介さず接着させる場合には、例えば、共押
出し法、サンドラミ法、サーマルラミネート法等の熱溶融状態で接着させる方法が挙げられる。また、接着剤を介して接着させる場合、使用する接着剤は、2液硬化型接着剤であってもよく、また1液硬化型接着剤であってもよい。更に、接着剤の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型、UVやEBなどの電子線硬化型等のいずれであってもよい。接着剤の成分としてポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール樹脂系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、アミノ樹脂、ゴム、シリコン系樹脂が挙げられる。
本発明において、電池用包装材料の成形性を高める観点からは、基材層1の表面には、滑剤が付着していることが好ましい。滑剤としては、特に制限されないが、好ましくはアミド系滑剤が挙げられる。アミド系滑剤の具体例としては、例えば、飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、置換アミド、メチロールアミド、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミドなどが挙げられる。飽和脂肪酸アミドの具体例としては、ラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミドなどが挙げられる。不飽和脂肪酸アミドの具体例としては、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドなどが挙げられる。置換アミドの具体例としては、N−オレイルパルチミン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミドなどが挙げられる。また、メチロールアミドの具体例としては、メチロールステアリン酸アミドなどが挙げられる。飽和脂肪酸ビスアミドの具体例としては、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’−ジステアリルセバシン酸アミドなどが挙げられる。不飽和脂肪酸ビスアミドの具体例としては、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどが挙げられる。脂肪酸エステルアミドの具体例としては、ステアロアミドエチルステアレートなどが挙げられる。また、芳香族系ビスアミドの具体例としては、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−システアリルイソフタル酸アミドなどが挙げられる。滑剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の電池用包装材料においては、基材層1の表面のぬれ張力が、32mN/m以上であることを特徴とする。基材層1の表面のぬれ張力が32mN/m以上であることにより、基材層1の表面においてインキが弾かれにくく、印刷適性に優れている。特に、基材層表面に滑剤を存在させて成形性を高めた電池用包装材料に対して、パッド印刷によってインキを印刷すると、基材層1の表面でインキが弾かれ、印刷不良が生じる場合があるが、本発明の電池用包装材料は、このような場合においても、基材層1の表面のぬれ張力が、32mN/m以上であるため、インキが弾かれにくく、パッド印刷によって基材層表面に印字などが形成される電池用包装材料として、特に好適である。
本発明の電池用包装材料において、基材層1の表面のぬれ張力としては、32mN/m以上であれば、特に制限されないが、成形性を高めつつ、印刷適性を向上させる観点からは、好ましくは35mN/m以上、より好ましくは36〜46mN/m程度、さらに好ましくは38〜44mN/m程度が挙げられる。
なお、本発明において、電池用包装材料のぬれ張力は、JIS K6768:1999の規定に準拠した方法により測定される値であり、具体的な方法は、実施例に記載の通り
である。
本発明の電池用包装材料において、基材層1の表面のぬれ張力は、例えば基材層1の表面に対してコロナ処理を施すことにより、好適に32mN/m以上にすることができる。コロナ処理は、市販のコロナ表面処理装置を用いて、基材層1の表面にコロナ放電を照射することによって行うことができる。コロナ処理の条件は、基材層1の表面のぬれ張力が32mN/m以上になる条件であれば、特に制限されない。例えば、照射出力1Kw以上で10MT/minの速度で基材層1の表面を処理することにより、ぬれ張力を32mN/m以上にすることができる。
基材層1の厚さとしては、例えば、10〜50μm程度、好ましくは15〜30μm程度が挙げられる。
本発明の電池用包装材料においては、基材層1の表面の少なくとも一部にインキを好適に印刷することができる。すなわち、本発明において、基材層1の表面にインキが印刷された電池用包装材料は、基材層1の表面に印刷されたインキ(インキの硬化物、乾燥物など)が露出している。印刷されたインキは、例えば、バーコード、柄、文字などの印字を形成することができる。印刷に用いるインキとしては、特に制限されず、公知のものを使用することができ、例えば、紫外線などを照射することにより硬化する光硬化性インキやインクジェットプリンターなどに使用されているインクジェットインキ等を用いることができる。
[接着層2]
本発明の電池用包装材料において、接着層2は、基材層1と金属層3とを接着させるために、必要に応じて設けられる層である。
接着層2は、基材層1と金属層3とを接着可能である接着剤によって形成される。接着層2の形成に使用される接着剤は、2液硬化型接着剤であってもよく、また1液硬化型接着剤であってもよい。更に、接着層2の形成に使用される接着剤の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれであってもよい。
接着層2の形成に使用できる接着剤の樹脂成分としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリカーボネート、共重合ポリエステル等のポリエステル系樹脂;ポリエーテル系接着剤;ポリウレタン系接着剤;エポキシ系樹脂;フェノール樹脂系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ポリアミド等のポリアミド系樹脂;ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、金属変性ポリオレフィン等のポリオレフィン系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;セルロース系接着剤;(メタ)アクリル系樹脂;ポリイミド系樹脂;尿素樹脂、メラミン樹脂等のアミノ樹脂;クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等のゴム;シリコーン系樹脂;フッ化エチレンプロピレン共重合体等が挙げられる。これらの接着剤成分は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。2種以上の接着剤成分の組み合わせ態様については、特に制限されないが、例えば、その接着剤成分として、ポリアミドと酸変性ポリオレフィンとの混合樹脂、ポリアミドと金属変性ポリオレフィンとの混合樹脂、ポリアミドとポリエステル、ポリエステルと酸変性ポリオレフィンとの混合樹脂、ポリエステルと金属変性ポリオレフィンとの混合樹脂等が挙げられる。これらの中でも、展延性、高湿度条件下における耐久性や黄変抑制作用、ヒートシール時の熱劣化抑制作用等が優れ、基材層1と金属層3との間のラミネーション強度の低下を抑えてデラミネーションの発生を効果的に抑制するという観点から、好ましくはポリウレタン系2液硬化型接着剤;ポリアミド、ポリエステル、又はこれらと変性ポリオレフィンとのブレンド樹脂が挙げられる。
また、接着層2は異なる接着剤成分で多層化してもよい。接着層2を異なる接着剤成分で多層化する場合、基材層1と金属層3とのラミネーション強度を向上させるという観点から、基材層1側に配される接着剤成分を基材層1との接着性に優れる樹脂を選択し、金属層3側に配される接着剤成分を金属層3との接着性に優れる接着剤成分を選択することが好ましい。接着層2は異なる接着剤成分で多層化する場合、具体的には、金属層3側に配置される接着剤成分としては、好ましくは、酸変性ポリオレフィン、金属変性ポリオレフィン、ポリエステルと酸変性ポリオレフィンとの混合樹脂、共重合ポリエステルを含む樹脂等が挙げられる。
接着層2の厚さについては、例えば、2〜50μm程度、好ましくは3〜25μm程度が挙げられる。
[金属層3]
本発明の電池用包装材料において、金属層3は、包装材料の強度向上の他、電池内部に水蒸気、酸素、光等が侵入するのを防止するためのバリア層として機能する層である。金属層3を形成する金属としては、具体的には、アルミニウム、ステンレス、チタン等の金属箔が挙げられる。これらの中でも、アルミニウムが好適に使用される。包装材料の製造時にしわやピンホールを防止するために、本発明において金属層3として、軟質アルミニウム、例えば、焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS A8021P−O)又は(JIS A8079P−O)等を用いることが好ましい。
金属層3の厚さについては、例えば、10〜200μm程度、好ましくは20〜100μm程度が挙げられる。
また、金属層3は、接着の安定化、溶解や腐食の防止等のために、少なくとも一方の面、好ましくは少なくともシーラント層4側の面、更に好ましくは両面が化成処理されていることが好ましい。ここで、化成処理とは、金属層3の表面に耐酸性皮膜を形成する処理である。化成処理は、例えば、硝酸クロム、フッ化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、蓚酸クロム、重リン酸クロム、クロム酸アセチルアセテート、塩化クロム、硫酸カリウムクロム等のクロム酸化合物を用いたクロム酸クロメート処理;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、ポリリン酸等のリン酸化合物を用いたリン酸クロメート処理;下記一般式(1)〜(4)で表される繰り返し単位からなるアミノ化フェノール重合体を用いたクロメート処理等が挙げられる。なお、当該アミノ化フェノール重合体において、下記一般式(1)〜(4)で表される繰り返し単位は、1種類単独で含まれていてもよいし、2種類以上の任意の組み合わせであってもよい。
Figure 2016072211
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一般式(1)〜(4)中、Xは水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリル基又はベンジル基を示す。また、R1及びR2は、同一又は異なって、ヒドロキシル基、アルキル基、又はヒドロキシアルキル基を示す。一般式(1)〜(4)において、X、R1、R2で示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖状アルキル基が挙げられる。また、X、R1、R2で示されるヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等のヒドロキシ基が1個置換された炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖状アルキル基が挙げられる。一般式(1)〜(4)において、Xは、水素原子、ヒドロキシル基、及び、ドロキシアルキル基のいずれかであることが好ましい。一般式(1)〜(4)で表される繰り返し単位からなるアミノ化フェノール重合体の数平均分子量は、例えば、約500〜約100万、好ましくは約1000〜約2万が挙げられる。
また、金属層3に耐食性を付与する化成処理方法として、リン酸中に、酸化アルミ、酸化チタン、酸化セリウム、酸化スズ等の金属酸化物や硫酸バリウムの微粒子を分散させたものをコーティングし、150℃以上で焼付け処理を行うことにより、金属層3の表面に耐食処理層を形成する方法が挙げられる。また、耐食処理層の上には、カチオン性ポリマーを架橋剤で架橋させた樹脂層を形成してもよい。ここで、カチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーから
なるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンまたはその誘導体、アミノフェノール等が挙げられる。これらのカチオン性ポリマーは1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、架橋剤としては、例えば、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシル基、及びオキサゾリン基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物、シランカップリング剤等が挙げられる。これらの架橋剤は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの化成処理は、1種の化成処理を単独で行ってもよく、2種以上の化成処理を組み合わせて行ってもよい。更に、これらの化成処理は、1種の化合物を単独で使用して行ってもよく、また2種以上の化合物を組み合わせて使用して行ってもよい。これらの中でも、好ましくはクロム酸クロメート処理、更に好ましくはクロム酸化合物、リン酸化合物、及びアミノ化フェノール重合体を組み合わせたクロメート処理が挙げられる。
化成処理において金属層3の表面に形成させる耐酸性皮膜の量については、特に制限されないが、例えばクロム酸化合物、リン酸化合物、及びアミノ化フェノール重合体を組み合わせてクロメート処理を行う場合であれば、金属層3の表面1m2当たり、クロム酸化
合物がクロム換算で約0.5〜約50mg、好ましくは約1.0〜約40mg、リン化合物がリン換算で約0.5〜約50mg、好ましくは約1.0〜約40mg、及びアミノ化フェノール重合体が約1〜約200mg、好ましくは約5.0〜150mgの割合で含有されていることが望ましい。
化成処理は、耐酸性皮膜の形成に使用する化合物を含む溶液を、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、浸漬法等によって、金属層3の表面に塗布した後に、金属層3の温度が70〜200℃程度になるように加熱することにより行われる。また、金属層3に化成処理を施す前に、予め金属層3を、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法等による脱脂処理に供してもよい。このように脱脂処理を行うことにより、金属層3の表面の化成処理を一層効率的に行うことが可能になる。
[シーラント層4]
本発明の電池用包装材料において、シーラント層4は、最内層に該当し、電池の組み立て時にシーラント層同士が熱溶着して電池素子を密封する層である。
シーラント層4に使用される樹脂成分については、熱溶着可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン、カルボン酸変性環状ポリオレフィンが挙げられる。
前記ポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等のポリプロピレン;エチレン−ブテン−プロピレンのターポリマー;等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。
前記環状ポリオレフィンは、オレフィンと環状モノマーとの共重合体であり、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーであるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、ブタジエン、イソプレン、等が挙げられる。また、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーである環状モノマーとしては、例えば、ノルボルネン等の環状アルケン;具体的には、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン
、シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン等の環状ジエン等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくは環状アルケン、更に好ましくはノルボルネンが挙げられる。
前記カルボン酸変性ポリオレフィンとは、前記ポリオレフィンをカルボン酸でブロック重合又はグラフト重合することにより変性したポリマーである。変性に使用されるカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
前記カルボン酸変性環状ポリオレフィンとは、環状ポリオレフィンを構成するモノマーの一部を、α,β―不飽和カルボン酸又はその無水物に代えて共重合することにより、或いは環状ポリオレフィンに対してα,β―不飽和カルボン酸又はその無水物をブロック重合又はグラフト重合することにより得られるポリマーである。カルボン酸変性される環状ポリオレフィンについては、前記と同様である。また、変性に使用されるカルボン酸としては、前記酸変性シクロオレフィンコポリマーの変性に使用されるものと同様である。
これらの樹脂成分の中でも、好ましくはカルボン酸変性ポリオレフィン;更に好ましくはカルボン酸変性ポリプロピレンが挙げられる。
シーラント層4は、1種の樹脂成分単独で形成してもよく、また2種以上の樹脂成分を組み合わせたブレンドポリマーにより形成してもよい。更に、シーラント層4は、1層のみで成されていてもよいが、同一又は異なる樹脂成分によって2層以上で形成されていてもよい。
本発明の電池用包装材料において、シーラント層4は滑剤を含んでいてもよい。滑剤の種類としては、特に制限されず、例えば、上記の[基材層1]の項目で例示したものが挙げられる。シーラント層4が滑剤を含む場合、その含有量は、適宜選択すればよいが、好ましくは700〜1200ppm程度、より好ましくは800〜1100ppm程度が挙げられる。なお、本発明において、シーラント層4における滑剤の含有量は、シーラント層4の内部に存在する滑剤と、シーラント層4の表面に存在する滑剤との合計量である。
また、シーラント層4の厚さとしては、適宜選定することができるが、10〜100μm程度、好ましくは15〜50μm程度が挙げられる。
本発明においては、シーラント層4の表面(電池素子側の表面であり、金属層3側とは反対側の表面)のぬれ張力が、25mN/m以下であることが好ましい。これにより、シーラント層4表面に対して、基材層1の表面に印字されたインキが転写されることを効果的に抑制することができる。
本発明の電池用包装材料は、生産ラインにおいては、一般に、帯状の積層フィルムとして製造され、これをロール状に巻き取った巻取体として保管、輸送などがされる。そして、電池の製造時に、巻取体から電池用包装材料を巻き出し、電池の製品仕様に従った所定の形状となるようにカットして使用される。また、カットされた電池用包装材料は、基材層1とシーラント層4とが接するようにして積層されることがある。これらの場合においては、電池用包装材料の最外層表面に位置する基材層1表面とシーラント層4表面とが接触し、基材層1表面に印字されたインキがシーラント層4表面に転写される場合がある。このような場合にも、本発明の電池用包装材料において、シーラント層4の表面のぬれ張力が、25mN/m以下に設定されていることにより、シーラント層4表面に対して、基材層1表面に印字されたインキが転写されることを効果的に抑制することが可能となる。
シーラント層4表面に対して、基材層1表面に印字されたインキが転写されることをより効果的に抑制する観点からは、シーラント層4の表面のぬれ張力としては、好ましくは20mN/m以下が挙げられる。
シーラント層4の表面のぬれ張力を25mN/m以下、好ましくは20mN/m以下に設定する方法としては、特に制限されず、例えば、シーラント層4の表面に滑剤を存在させる方法が挙げられる。
シーラント層4の表面に滑剤を存在させる方法としては、電池用包装材料のシーラント層4の表面に滑剤をコーティングしたり、シーラント層4を形成する樹脂に滑剤を配合して表面にブリードアウトさせたりする方法などを採用することができる。
シーラント層4の表面のぬれ張力を25mN/m以下、好ましくは20mN/m以下に設定する観点からは、シーラント層4の内部及び表面(電池素子側の表面であり、金属層3側とは反対側の表面)に位置する滑剤量の合計が、200〜1500ppm程度であることが好ましい。
シーラント層4の表面に存在させることが好ましい滑剤としては、アミド系滑剤が好ましく、アミド系滑剤としては、前述の[基材層1]で例示したアミド系滑剤と同じものが挙げられる。
なお、本発明において、電池用包装材料のシーラント層4表面のぬれ張力は、基材層1と同じく、JIS K6768:1999の規定に準拠した方法により測定される値である。
[接着層5]
本発明の電池用包装材料において、接着層5は、金属層3とシーラント層4を強固に接着させるために、これらの間に必要に応じて設けられる層である。
接着層5は、金属層3とシーラント層4とを接着可能である接着剤によって形成される。接着層5の形成に使用される接着剤について、その接着機構、接着剤成分の種類等は、前記接着層2の場合と同様である。接着層5に使用される接着剤成分として、好ましくはポリオレフィン系樹脂、更に好ましくはカルボン酸変性ポリオレフィン、特に好ましくはカルボン酸変性ポリプロピレンが挙げられる。
接着層5の厚さについては、例えば、2〜50μm、好ましくは15〜30μmが挙げられる。
3.電池用包装材料の製造方法
本発明の電池用包装材料の製造方法については、所定の組成の各層を積層させた積層体が得られる限り、特に制限されないが、例えば、以下の方法が例示される。
まず、基材層1、接着層2、金属層3が順に積層された積層体(以下、「積層体A」と表記することもある)を形成する。積層体Aの形成は、具体的には、基材層1上又は必要に応じて表面が化成処理された金属層3に接着層2の形成に使用される接着剤を、押出し法、グラビアコート法、ロールコート法等の塗布方法で塗布・乾燥した後に、当該金属層3又は基材層1を積層させて接着層2を硬化させるドライラミネーション法によって行うことができる。
次いで、積層体Aの金属層3上に、シーラント層4を積層させる。金属層3上にシーラ
ント層4を直接積層させる場合には、積層体Aの金属層3上に、シーラント層4を構成する樹脂成分をグラビアコート法、ロールコート法等の方法により塗布すればよい。また、金属層3とシーラント層4の間に接着層5を設ける場合には、例えば、(1)積層体Aの金
属層3上に、接着層5及びシーラント層4を共押出しすることにより積層する方法(共押出しラミネーション法)、(2)別途、接着層5とシーラント層4が積層した積層体を形成
し、これを積層体Aの金属層3上にサーマルラミネーション法により積層する方法、(3)
積層体Aの金属層3上に、接着層5を形成させるための接着剤を押出し法や溶液コーティングした高温で乾燥さらには焼き付ける方法等により積層させ、この接着層5上に予めシート状に製膜したシーラント層4をサーマルラミネーション法により積層する方法、(4)
積層体Aの金属層3と、予めシート状に製膜したシーラント層4との間に、溶融させた接着層5を流し込みながら、接着層5を介して積層体Aとシーラント層4を貼り合せる方法(サンドラミネーション法)等が挙げられる。なお、接着層2及び必要に応じて設けられる接着層5の接着性を強固にするために、更に、熱ロール接触式、熱風式、近又は遠赤外線式等の加熱処理に供してもよい。このような加熱処理の条件としては、例えば150〜250℃で1〜5分間が挙げられる。
本発明の電池用包装材料において、積層体を構成する各層は、必要に応じて、製膜性、積層化加工、最終製品2次加工(パウチ化、エンボス成形)適性等を向上又は安定化するために、コロナ処理、ブラスト処理、酸化処理、オゾン処理等の表面活性化処理を施していてもよい。
さらに、本発明の電池用包装材料の製造方法においては、基材層1の表面にコロナ処理を施して、基材層1の表面のぬれ張力を32mN/m以上にするコロナ処理工程を行う。コロナ処理については、上記の通りである。
また、電池用包装材料の表面にインキを印刷する場合には、コロナ処理工程の後、基材層1の表面の少なくとも一部にインキを印刷する工程を行う。印刷方法としては、特に制限されないが、成型後の電池用包装材料に印刷を行う場合には、パッド印刷が好ましい。本発明の製造方法によって得られる電池用包装材料は、基材層1の表面のぬれ張力が32mN/m以上に設定されているため、表面に滑剤が存在する基材層においてインキが弾かれやすいパッド印刷によっても、好適にインキの印刷を行うことができる。従って、基材層1の表面の少なくも一部に、例えば、バーコード、柄、文字などの印字を好適に形成することができる。印刷に用いられるインキとしては、上記の通りである。
4.電池用包装材料の用途
本発明の電池用包装材料は、正極、負極、電解質等の電池素子を密封して収容するための包装材料として使用される。
具体的には、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子を、本発明の電池用包装材料で、前記正極及び負極の各々に接続された金属端子が外側に突出させた状態で、電池素子の周縁にフランジ部(シーラント層同士が接触する領域)が形成できるようにして被覆し、前記フランジ部のシーラント層同士をヒートシールして密封させることによって、電池用包装材料を使用した電池が提供される。なお、本発明の電池用包装材料を用いて電池素子を収容する場合、本発明の電池用包装材料のシーラント部分が内側(電池素子と接する面)になるようにして用いられる。
本発明の電池には、上記本発明の電池用包装材料が用いられているため、電池用包装材料が成型され、電池素子が封止された後の電池の表面に好適にインキを印刷することができる。すなわち、本発明の電池は、表面のぬれ張力が32mN/m以上に設定されているため、表面に滑剤が存在する基材層においてインキが弾かれやすいパッド印刷によっても
、好適にインキの印刷を行うことができ、電池の表面の少なくとも一部に、例えば、バーコード、柄、文字などの印字を好適に形成することができる。
本発明の電池用包装材料は、一次電池、二次電池のいずれに使用してもよいが、好ましくは二次電池である。本発明の電池用包装材料が適用される二次電池の種類については、特に制限されず、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、鉛畜電池、ニッケル・水素畜電池、ニッケル・カドミウム畜電池、ニッケル・鉄畜電池、ニッケル・亜鉛畜電池、酸化銀・亜鉛畜電池、金属空気電池、多価カチオン電池、コンデンサー、キャパシター等が挙げられる。これらの二次電池の中でも、本発明の電池用包装材料の好適な適用対象として、リチウムイオン電池及びリチウムイオンポリマー電池が挙げられる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。但し本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1−8及び比較例1,2
<電池用包装材料の製造>
基材層1/接着層2/金属層3が順に積層された積層体に対して、サーマルラミネート法で接着層5及びシーラント層4を積層させることにより、基材層1/接着層2/金属層3/接着層5/シーラント層4が順に積層された積層体からなる電池用包装材料を製造した。電池用包装材料の具体的な製造条件は、以下に示す通りである。
実施例1−8及び比較例1,2においては、それぞれ、基材層1を構成する樹脂フィルム(厚み25μm)及び金属層2(40μm)として、表1に示すものを用いた。基材層1を構成する樹脂フィルムには、それぞれ、1200ppmのエルカ酸アミドを配合してある。また、アルミニウム箔は、フェノール樹脂、フッ化クロム化合物(三価)、及びリン酸からなる処理液をクロムの塗布量が10mg/m2(乾燥重量)となるように、ロールコート法により金属層の両面に塗布し、皮膜温度が180℃以上となる条件で20秒間焼付けすることにより化成処理した。
まず、基材層1/接着層2/金属層3が順に積層された積層体を作製した。具体的には、基材層1の一方面(コロナ処理面)に、ポリエステル系の主剤とイソシア系硬化剤の2液型ウレタン接着剤からなる接着層2を3μmとなるように形成し、金属層3の化成処理面とサーマルラミネーションし基材層1/接着層2/金属層3が順に積層された積層体を作製した。
また、別途、表1に示されるように、接着層5を構成する酸変性ポリプロピレン樹脂〔不飽和カルボン酸でグラフト変性した不飽和カルボン酸グラフト変性ランダムポリプロピレン(酸変性PP)または酸変性ポリエチレン樹脂〔不飽和カルボン酸でグラフト変性した不飽和カルボン酸グラフト変性ランダムポリエチレン(酸変性PE)と、シーラント層4を構成するポリプロピレン〔ランダムコポリマー(PP)〕またはポリエチレン(PE)を共押出しすることにより、厚さ23μmの接着層5と厚さ23μmのシーラント層4からなる2層共押出しフィルムを作製した。
次いで、前記で作製した基材層1/接着層2/金属層3からなる積層体の金属層に、前記で作製した2層共押出しフィルムの接着層5が接するように重ねあわせ、金属層3が120℃となるように加熱してサーマルラミネーションを行うことにより、基材層1/接着層2/金属層3/接着層5/シーラント層4が順に積層された積層体を得た。得られた積層体を一旦冷却した後に、180℃になるまで加熱し、1分間その温度を保持して熱処理
を施すことにより、電池用包装材料を得た。
さらに得られた各電池用包装材料の基材層側の表面に、以下の条件でコロナ処理を施して、実施例1−8及び比較例1,2の各電池用包装材料を得た。なお、表1において、基材層のPET/ナイロンは、基材層の最表面側から順にPET層(12μm)、ナイロン層(15μm)が積層されていることを意味する。また、シーラント層において、酸変性PP/PPは、金属層側から順に酸変性PP層(23μm)、PP層(23μm)が積層されており、酸変性PE/PEは、金属層側から順に酸変性PE層(23μm)、PE層(23μm)が積層されていることを意味する。
[コロナ処理]
ウエッジ株式会社製のコロナ表面処理装置(商品名CTW-0212)を使用し、表1に示す各出力(Kw)の設定値にて、10MT/minの一定速度で電池用包装材料の基材層1の表面にコロナ放電を照射した。
[インキの印刷特性の評価方法]
実施例1−8及び比較例1,2の各電池用包装材料の基材層表面にパッド印刷を施して、インキの印刷特性を評価した。パッド印刷機は、ミシマ株式会社製SPACE PAD
6GXを使用した。また、インキは、ナビタス株式会社製のUVインキPJU−A黒色を使用した。基材層表面に印刷したインキは、アズワン製のハンディーUVランプ SUV−4で紫外線波長:254nmにて10cmの距離からUVを30秒間照射して硬化させた。硬化後の印刷面を光学顕微鏡で観察し、以下の基準に従ってインキの印刷特性を評価した。なお、インキの印刷は、24℃で相対湿度50%の環境下に行った。結果を表1に示す。
○:印刷の抜けが印刷柄全体の5%以内
△:印刷の抜けが印刷柄全体の5%超10%以内
×:印刷の抜けが印刷柄全体の10%よりも多い
ぬれ張力の測定]
実施例1−8及び比較例1,2の各電池用包装材料の基材層表面のぬれ張力を、JIS K6768:1999の規定に準拠した方法により測定した。印字適正の比較検証を目的として、JIS K6768:1999の規定に準拠したぬれ試薬による電池用包装材料の基材層表面のぬれ張力判定を実施した。ナカライテスク社製のぬれ張力試験用混合液を使用し、球状の脱脂綿に含ませた試薬を、各電池用包装材料の基材層表面に5cmほど線状に塗布し、2秒後に液膜が破れるか否かを目視で判定し、破れなかったぬれ張力をその基材のぬれ張力とした。なお、ぬれ張力の測定は、24℃で相対湿度50%の環境下に行った。結果を表1に示す。
Figure 2016072211
表1に示されるように、基材層表面にコロナ処理を施した実施例1〜8においては、いずれも基材層表面のぬれ張力が32mN/m以上となり、インキの印刷特性に優れていた。一方、基材層表面にコロナ処理を施さず、基材層表面のぬれ張力が32mN/mを下回る比較例1,2では、インキの印刷特性が劣っていた。なお、いずれの電池用包装材料も、成形性は良好であった。
実施例9−12
<電池用包装材料の製造>
シーラント層に、表2に記載の量の滑剤(エルカ酸アミド)を配合したこと以外は、実施例1と同様にして、それぞれの電池用包装材料を作製した。また、得られた電池用包装材料の基材層1の表面に、実施例1の[コロナ処理]と同様にして、コロナ処理を行った。
ぬれ張力の測定]
実施例1の基材層表面の[ぬれ張力の測定]と同じ方法によって、実施例9−12で得られた電池用包装材料の基材層表面及びシーラント層表面のぬれ張力をそれぞれ測定した。結果を表2に示す。
(インキの転写性の評価)
実施例9−12で得られた電池用包装材の基材層表面に、それぞれ、前述の[インキの印刷特性の評価方法]と同様にして、インキを印刷(インキが印刷された部分の面積は、210mm2である)し、各電池用包装材料を巻き取った。このとき、巻取体は、シーラント層を内側とし、基材層表面とシーラント層表面とが接するようにした。また、巻き取った電池用包装材料の長さは200mであり、巻取体は、円断面の直径が300cmの円筒状であった。次に、得られた各巻取体を巻き出し、基材層表面に印刷したインキがシーラント層表面に転写しているか否かを目視で確認した。シーラント層にインキが全く転写していなかった場合を〇、インキが少しでも転写していた場合を×と評価した。結果を表2に示す。
(成形性評価)
実施例9−12で得られた電池用包装材を、それぞれ、80×120mm角に裁断してサンプルを作製した。このサンプルを30×50mmの口径を有する形成金型(雌型)と、これに対応した成形金型(雄型)を用いて、押え圧0.4MPaで0.5mmの成形深さから0.5mm単位で成形深さを変えて、それぞれ10個のサンプルについて冷間成形を行った。冷間成形後のサンプルについて、皺やアルミニウム箔にピンホール、クラックが10個のサンプル全てにおいて発生しない最も深い成形深さを、そのサンプルの限界成形深さとした。この限界成形深さから、以下の基準により電池用包装材料の成形性を評価した。結果を表2に示す。
○:限界成形深さ6.0mm以上
△:限界成形深さ4.0mm〜5.5mm
×:限界成形深さ3.5mm以下
Figure 2016072211
1 基材層
2 接着層
3 金属層
4 シーラント層
5 接着層

Claims (13)

  1. 少なくとも、基材層と、金属層と、シーラント層とが順次積層された積層体からなり、
    前記基材層表面のぬれ張力が、32mN/m以上である、電池用包装材料。
  2. 前記基材層表面の少なくとも一部に、インキを印刷して使用される、請求項1に記載の電池用包装材料。
  3. 前記基材層表面の少なくとも一部に、インキが印刷されている、請求項1に記載の電池用包装材料。
  4. 前記基材層表面が、コロナ処理されてなる、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
  5. 前記シーラント層表面のぬれ張力が、25mN/m以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の電池用包装材料。
  6. 前記シーラント層の表面に滑剤が存在している、請求項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料。
  7. 前記基材層と前記金属層との間に接着層が積層されてなる、請求項1〜6のいずれかに記載の電池用包装材料。
  8. 前記金属層と前記シーラント層との間に接着層が積層されてなる、請求項1〜7のいずれかに記載の電池用包装材料。
  9. 前記金属層が、アルミニウム箔により形成されている、請求項1〜8のいずれかに記載の電池用包装材料。
  10. 前記基材層の表面に滑剤が存在している、請求項1〜9のいずれかに記載の電池用包装材料。
  11. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、請求項1〜10のいずれかに記載の電池用包装材料内に収容されている、電池。
  12. 少なくとも、基材層と、金属層と、シーラント層とを積層して積層体を得る積層工程と、
    前記基材層の表面にコロナ処理を施して、前記基材層の表面のぬれ張力を32mN/m以上にするコロナ処理工程と、
    を備える、電池用包装材料の製造方法。
  13. 前記コロナ処理工程の後、基材層表面の少なくとも一部にインキを印刷する工程を備える、請求項12に記載の電池用包装材料の製造方法。
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