JP2016069740A - ヤンキードライヤーコーティング剤及びこれを用いたヤンキードライヤーコーティング方法 - Google Patents

ヤンキードライヤーコーティング剤及びこれを用いたヤンキードライヤーコーティング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】衛生用紙製造のクレーピング工程に用いられるヤンキードライヤーのドラム表面に、接着力の低く硬いコーティング膜の上に接着力が高く柔らかい接着膜を形成し、該接着膜において一定の接着力を維持できるヤンキードライヤーコーティング剤及びこれを用いたヤンキードライヤーコーティング方法を提供する。【解決手段】ポリエチレンイミン変性体とポリアミドポリアミン−エピクロロヒドリン樹脂を含有するヤンキードライヤーコーティング剤及びこれをヤンキードライヤードラム表面に塗布するヤンキードライヤーコーティング方法。【選択図】なし

Description

本発明は、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、紙タオルなどのクレープ紙製造の際に使用されるヤンキードライヤーコーティング剤及びこれを用いたヤンキードライヤーコーティング方法に関する。
衛生用紙を製造する際に製品に柔軟性や嵩高さを出すため、紙に非常に細かいシワをよらせるクレーピングと呼ばれる工程を行い、クレーピングされた紙をクレープ紙と称する。クレーピングは、湿紙を一般にヤンキードライヤーという名称で知られている回転シリンダー式抄紙乾燥機に密着・乾燥させたのち、ドクターブレードで掻き取ることにより行われる。
クレーピングにおいては、通常、ヤンキードライヤードラム表面への湿紙の接着性を増すため、熱硬化性のポリアミドポリアミン−エピクロロヒドリン樹脂を主成分とするヤンキードライヤーコーティング剤(「クレーピング接着剤」とも称す)が用いられる。ヤンキードライヤーコーティング剤を、紙料に添加する、湿紙にスプレーする、ヤンキードライヤーのドラム表面に直接スプレーする等の方法によって、ヤンキードライヤーのドラム表面に熱硬化性のポリアミドポリアミン−エピクロロヒドリン樹脂がコーティングされる。
ここで用いられるポリアミドポリアミン−エピクロロヒドリン樹脂は、ヤンキードライヤーのドラム表面で、水分の蒸発と同時に熱による架橋反応が始まり、まず粘着性を発現し接着力を有する接着膜を形成し、更に架橋反応が進行し硬化して、最終的には、接着力が低く、硬いコーティング膜を形成する。
ヤンキードライヤーに導入された湿紙は接着力を有するポリアミドポリアミン−エピクロロヒドリン樹脂の接着膜と密着し、乾燥された後、ドクターブレードで接着膜と一緒に掻き取られる。一方、ドクターブレードによって掻き取られず、ヤンキードライヤーのドラム表面に残ったポリアミドポリアミン−エピクロロヒドリン樹脂の接着膜は、接着力が低く硬いコーティング膜となり、ヤンキードライヤーのドラム表面を保護する。
均一なクレーピングが行われるためには、ヤンキードライヤーのドクター部では接着力が低く硬いコーティング膜の上に、均一で高い接着力を有し、かつ、ドクターで掻き取りやすくドクターブレードの摩耗が少ない柔らかい接着膜の2層が形成されることが好ましい。ところが、接着膜・コーティング膜の形成は温度・水分の影響を受け、2層の膜が不均一となり、紙とヤンキードライヤーの密着性が大きく変化するため、均一なクレーピングが行われず、紙切れなどの問題があった。また、本来柔らかく硬度の低い接着膜が形成されるべき上層表面に硬いコーティング膜が形成されるとチャタリングやドクターブレード磨耗を引き起こす原因となる。
この問題を回避するため、水溶性かつ熱不硬化性のポリアミドアミンや変性ポリアミドアミン樹脂をクレープ加工用ドラムの表面に直接適用する(特許文献1参照)ことが提案されている。しかし、熱不硬化性樹脂を用いると、ヤンキードライヤーのドラム表面で接着力が低く硬いコーティング膜が形成されないため、ドクターブレードによる掻き取りが安定的に行われず、紙に穴があく、紙が切れるといった問題がある。また、接着膜の接着性発現時間の延長及び接着力向上を目的として、熱硬化性のポリアミドポリアミン−エピクロロヒドリン樹脂とポリビニルアルコールを併用し再湿潤性を向上させる(特許文献2参照)ことが提案されている。ポリアミノアミドエピハロヒドリン樹脂とポリアミドを混合することによって接着膜の柔らかさと接着力を向上する(特許文献3参照)ことも提案されている。
一方、特許文献4には、オキザリンポリマー、ポリエチレンイミン、及び変性ポリエチレンイミンを含有する含有するクレーピング接着剤が開示され、該変性ポリエチレンイミンには、エピクロロヒドリン変性ポリエチレンイミン及びそれ以外の変性ポリエチレンイミンを含んでいる。更に、特許文献5には、「接着剤として有機合成ポリマーを使用して紙匹をクレーピングシリンダに接着し、圧縮し、かつクレープ加工された紙をクレーピングシリンダから除去することによるクレープ紙の製造方法において、有機合成ポリマーとして、
(i)50000〜2百万の分子量Mwを有するポリエチレンイミン、
(ii)500〜1百万の分子量Mwのポリエチレンイミンと、少なくとも1のC14〜C22−アルキルジケテン、モノカルボン酸、モノカルボン酸のエステルまたはモノカルボン酸の酸塩化物との反応生成物および
(iii)300〜1百万の分子量を有するポリアルキレンポリアミンと、少なくとも1の、300〜3000の分子量Mを有するポリアルキレングリコールのビスクロロヒドリンエーテルまたはビスグリシジルエーテルとの反応生成物
を使用することを特徴とする、クレープ紙の製造方法」が開示され、上記の接着剤(i)〜(iii)は単独で、または相互の混合物として、クレープ加工助剤として使用することができると記載されている。そして、上記の(iii)の300〜1百万の分子量を有するポリアルキレンポリアミンとして、300〜1百万の分子量を有するポリエチレンイミンが有利であることも記載されている。
その他、ポリビニルアルコール、エチレンと酢酸ビニルとからなるコポリマー、ポリ酢酸ビニルおよびポリアクリレート等がヤンキードライヤーコーティング剤として公知である。
このように、クレープ工程で使用されるヤンキードライヤーのドラム表面に適用する各種のコーティング剤やコーティング方法が開示され、また、提案されているが、最近の生産増に対応する抄速の高速化はヤンキードライヤーの回転数増加を伴い、そのため、ヤンキードライヤードラム表面上での均一なコーティング膜と接着膜の迅速な形成が求められ、更に、湿紙のヤンキードライヤーへの安定な接着性を得るため、形成された接着膜において一定の接着力を維持することが求められている。
特表平11−512498号公報 特開昭61−179279号公報 特表2009−522460号公報 米国特許第5980690号公報 特表2008−500459号公報
衛生用紙製造のクレーピング工程において強く望まれている、ヤンキードライヤードラム表面に、接着力が低く硬いコーティング膜を形成し、その上に柔らかく硬度の低い接着膜を形成すること、及び、湿紙のヤンキードライヤーへの安定な接着性を得るため、形成された接着膜において一定の接着力を維持することという2つの課題を解決できるヤンキードライヤーコーティング剤及びこれを用いたヤンキードライヤーコーティング方法を提供する。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、ポリエチレンイミン変性体とポリアミドポリアミン−エピクロロヒドリン樹脂を含有するヤンキードライヤーコーティング剤をヤンキードライヤードラム表面に塗布することで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、従来、ポリエチレンイミン変性体はポリエチレンイミンと組み合わせて用いられ、ポリアミドポリアミン−エピクロロヒドリン樹脂と組み合わせる試みは為されていなかったところ、本発明者らはこの組み合わせによって、ポリエチレンイミン変性体単独、又はポリアミドポリアミン−エピクロロヒドリン樹脂単独のコーティング膜に比べて、接着力の低いコーティング膜の上に高い接着力を有し柔らかく硬度の低い接着膜の2層を形成できること、また、形成された接着膜において一定の接着力を維持できることを見出したのである。
即ち、請求項1に係る発明は、ポリエチレンイミン変性体とポリアミドポリアミン−エピクロロヒドリン樹脂を含有し、ポリエチレンイミン変性体:ポリアミドポリアミン−エピクロロヒドリン樹脂の固形分重量比が90:10〜10:90の範囲にあることを特徴とするヤンキードライヤーコーティング剤である。
請求項2に係る発明は、前記ポリエチレンイミン変性体が、ポリエチレンイミンと、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,3−プロピレングリコールジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、及びセバシン酸からなる群から選択される1種又は2種以上の架橋剤を反応させることを特徴とする請求項1記載のヤンキードライヤーコーティング剤である。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載のヤンキードライヤーコーティング剤を、衛生用紙製造のクレーピング工程において使用されるヤンキードライヤーのドラム表面に塗布することを特徴とするヤンキードライヤーコーティング方法である。
本発明のヤンキードライヤーコーティング剤及びこれを用いたヤンキードライヤーコーティング方法を、衛生用紙製造のクレーピング工程におけるヤンキードライヤーのドラム表面に適用することによって、均一なクレーピングが行われ、紙切れ、ドクターブレード磨耗などの問題が解消されるため、ヤンキードライヤーの安定操業が図られ、また、抄速の高速化にも対応できる。
実施例の接着力維持試験の結果の一部を示す図である。
本発明で用いられるポリエチレンイミン変性体は、ポリエチレンイミンを架橋剤によって架橋反応させた水溶性ポリマーである。
本発明で用いられるポリエチレンイミン変性体を得るために用いられるポリエチレンイミンとしては平均分子量300〜100000のポリエチレンイミンが使用できる。これらのポリエチレンイミンとして、市販品を使用することができ、例えば、ビーエーエスエフ社製のポリミンP、(株)日本触媒製のエポミンSP−003、エポミンSP−006、エポミンSP−012、エポミンSP−018、エポミンSP−200、エポミンP−1000が挙げられる。
本発明で用いられるポリエチレンイミン変性体を得るために用いられる架橋剤は、エピハロヒドリン、ジグリシジルエーテル及びその誘導体、及びジカルボン酸及びその塩又はその誘導体からなる群から任意に選択でき、2種以上を用いることもできる。
エピハロヒドリンとしては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリンがあり、好ましくはエピクロロヒドリンである。エピハロヒドリンのポリエチレンイミンに対する添加量は、0.01%〜10%が好ましい。
ジグリシジルエーテル及びその誘導体としては、ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,3−プロピレングリコールジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどがあり、好ましくはジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテルであり、ジグリシジルエーテルがより好ましい。ジグリシジルエーテル及びその誘導体のポリエチレンイミンに対する添加量は、0.01%〜10%が好ましい。
ジカルボン酸及びその塩又はその誘導体としては、脂肪族ジカルボン酸のマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸;芳香族ジカルボン酸のフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸;これらの脂肪族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩;ジカルボン酸エステルのマロン酸ジエチル、アジピン酸ジメチル、テレフタル酸ジメチル;ジカルボン酸無水物の無水コハク酸、無水グルタル酸、無水フタル酸;ジカルボン酸ハロゲン化物のアジピン酸クロライドなどが挙げられる。中でも炭素数3〜10の脂肪族ジカルボン酸であるマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、及びセバシン酸が好ましく、アジピン酸がより好ましい。ジカルボン酸及びその塩又はその誘導体のポリエチレンイミン水溶液に対する添加量は0.01%〜10%が好ましい。
本発明で用いられるポリアミドポリアミン−エピクロロヒドリン樹脂は、ジカルボン酸とポリアルキレンポリアミンの縮合物であるポリアミド重縮合物をエピクロロヒドリンと反応させた水溶性ポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂である。ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸のマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸;芳香族ジカルボン酸のフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸;これらの脂肪族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩;ジカルボン酸エステルのマロン酸ジエチル、アジピン酸ジメチル、テレフタル酸ジメチル;ジカルボン酸無水物の無水コハク酸、無水グルタル酸、無水フタル酸;ジカルボン酸ハロゲン化物のアジピン酸クロライドなどが挙げられ、2種以上のジカルボン酸を混合して使用しても良い。中でも炭素数3〜10の脂肪族ジカルボン酸であるマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、及びセバシン酸が好ましく、アジピン酸がより好ましい。また、ポリアルキレンポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イミノビスプロピルアミン、3−アザヘキサン−1,6−ジアミン、4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン等が挙げられ、2種以上のポリアルキレンポリアミンを混合して使用しても良い。中でもジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンが好適である。
本発明のヤンキードライヤーコーティング剤は、水溶性溶剤に変性ポリエチレンイミン変性体とポリアミドポリアミン−エピクロロヒドリン樹脂を溶解して調製される。水溶性溶剤は、通常は清浄な水が用いられる。また、変性ポリエチレンイミン変性体とポリアミドポリアミン−エピクロロヒドリン樹脂の溶解順序には特に制限は無い。
本発明のヤンキードライヤーコーティング剤は、必要に応じヤンキードライヤー剥離剤と併用することが出来る。ヤンキードライヤー剥離剤としては、例えば、シリコーンオイル、炭化水素油、酸化ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、ピロリドン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明のヤンキードライヤーコーティング方法は、本発明のヤンキードライヤーコーティング剤をヤンキードライヤーのドラム表面に塗布することを特徴とし、そのためのヤンキードライヤーコーティング剤の添加方法としては、(1)原料調整を行う原質・調成工程での原料スラリーへの添加、(2)ファンポンプ部の紙料スラリーへの添加、(3)プレスパート出口の湿紙の裏側にスプレーする、(4)ヤンキードライヤーのドラム表面に直接スプレーするなどが挙げられるが、このうちのいくつかを併用することもできる。原料や湿紙に添加されたヤンキードライヤーコーティング剤は、湿紙がヤンキードライヤーのドラム表面に接着することによって、湿紙中のヤンキードライヤーコーティング剤が該ドラム表面に供給され塗布される。
本発明のヤンキードライヤーコーティング方法における本発明のヤンキードライヤーコーティング剤の添加量は、ヤンキードライヤーの運転状況により適宜決定すれば良いが、通常は添加個所のパルプ固形分当たりヤンキードライヤーコーティング剤の有効成分換算で、500〜10000mg/パルプ固形分kgである。
本発明のヤンキードライヤーコーティング剤を添加する方法には、薬液ポンプを使用して、原液で添加する、あるいは水に溶解して添加する方法があり、添加個所の状況に応じて、いずれの方法を用いても良い。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。また、特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
(ポリエチレンイミン変性体Aの調製)
温度計、冷却器、撹拌機を備えた500ml四つ口フラスコに、ポリエチレンイミンとして分子量10000〜100000のポリミンP(商品名、ビーエーエスエフ社製)100gに水300gを加え、ここに架橋剤として、エピクロロヒドリン0.05%対PEIを添加して、60℃で5時間攪拌し、固形分12.5%のポリエチレンイミン変性体Aを得た。
(ポリエチレンイミン変性体B〜Jの調製)
表1に示した架橋剤と添加量に変更した以外は、ポリエチレンイミン変性体Aと同様の調製方法にて、固形分12.5%のポリエチレンイミン変性体B〜Jを得た。
Figure 2016069740
(ポリアミド−エピクロロヒドリン樹脂の調製)
温度計、冷却器、撹拌機を備えた500ml四つ口フラスコに、ジエチレントリアミンを112.3g、アジピン酸146.1g、水50gを仕込み、160〜170℃にて脱水反応を6時間行い、ポリアミドを得た。これに、水を加えて50%ポリアミド水溶液とした。次に、温度計、冷却器、撹拌機を備えた500ml四つ口フラスコに、50%ポリアミド水溶液を112.5gと水414.8gを仕込み、さらに、エピクロロヒドリン0.25gを投入した。その後、60℃に昇温し、12時間保持した。過塩素酸滴定により、架橋反応の終結を確認した後、同温で98%硫酸10.8gを加え、固形分12.5%のポリアミドポリアミン−エピクロロヒドリン樹脂(以下、PAE−1と記す)水溶液を得た。
(本発明のヤンキードライヤーコーティング剤の調製)
ポリエチレンイミン変性体A〜Jとポリアミドポリアミン−エピクロロヒドリン樹脂PAE−1を、表2に示した固形分配合比で混合・攪拌し、表2に記した本発明のヤンキードライヤーコーティング剤を得た。
Figure 2016069740
(比較例に用いたヤンキードライヤーコーティング剤の調製)
表3に示した成分―1と成分―2を表3に示した固形分配合比で混合・攪拌し、表3に記した比較例に用いたヤンキードライヤーコーティング剤を得た。尚、表3中、PVAはポリビニルアルコールの略号であり、クラレポバールPVA224(商品名、(株)クラレ製)を使用した。また、PAはポリアミドの略号であり、特表2009−522460公報の実施例1の方法にて調製し、PAE−2はアジピン酸−ジエチレントリアミン−エピクロロヒドリン樹脂の略号であり、同公報の実施例2の方法にて調製し、この2種を混合したコーティング剤No.24は同公報の実施例3の方法にて調製したものである。
Figure 2016069740
ヤンキードライヤーコーティング剤は、ヤンキードライヤーのドラム表面で、水分の蒸発と同時に加熱による架橋反応が始まり、まず粘着性を発現し接着力を有する接着膜を形成し、更に架橋反応が進行し硬化して、最終的には、接着力が低く、硬いコーティング膜を形成することは前述の通りである。その状況を模した膜形成試験を行った。即ち、金属板に塗布したヤンキードライヤーコーティング剤が、加熱により、まず硬度の低い接着膜を形成する試験、更に加熱を継続することで硬度の高いコーティング膜を形成する試験である。
(接着膜形成試験)
コーティング剤No.1〜24を用いて、ヤンキードライヤーのドラム表面を模したステンレス板の表面に供試コーティング剤水溶液を1mmの厚さに塗工し、130℃の乾燥機にて12分間加熱乾燥し試験片を作製した。作製した試験片上に形成された膜(接着膜)の鉛筆硬度をJIS K5600−5−4「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第4節:引っかき硬度(鉛筆法)」に準じて測定し、6B〜6Hの硬度で表した。結果を表4に示した。
(コーティング膜形成試験)
加熱時間を20分間に延長した以外は接着膜形成試験と同様の試験を行い、結果を表4に示した。
Figure 2016069740
表4の実施例に示された通り、本発明のコーティング剤はまず低い硬度の接着膜を形成し、その後、十分に高い硬度を有するコーティング膜を形成する。この特性により、本発明のコーティング剤をヤンキードライヤー適用することによって、接着膜形成段階ではヤンキードライヤーでの湿紙の掻き取りを容易にし、かつ、ドクターブレードの摩耗を軽減し、また、コーティング膜形成段階ではヤンキードライヤーのドラム表面が十分に保護され、1つのコーティング剤の適用により上記2つの効果を同時に達成できることが明示された。
一方、比較例に示されたコーティング剤は、接着膜とコーティング膜のいずれか又は両方が硬度不足あるいは硬度過剰であり、湿紙の容易な掻き取りとドクターブレードの摩耗軽減、及び、ヤンキードライヤーのドラム表面の十分な保護の2つの効果を同時に得ることができないことが示された。
(接着力維持試験)
湿紙のヤンキードライヤーへの安定な接着性を得るため、形成された接着膜において一定の接着力を維持することが必要であり、その接着性の維持効果を接着力維持試験によって評価した。
<評価方法>
ステンレス板の表面に供試コーティング剤水溶液を1mmの厚さに塗工し、130℃の乾燥機にて加熱乾燥した。1分毎にステンレス板を取り出し、縦30mm×横10mmの湿紙を模した木綿の布(以下、「試験布」という)を塗工面に圧着した後、引張り試験機((株)東洋精機製作所ストログラフM)に取り付け、試験布の端をチャックに挟み、チャックを一定速度で引き上げることによって、ステンレス板上の評価サンプルの塗工面に密着した試験布を該塗工面から一定速度で剥離する時の荷重を接着力として連続測定した。試験条件は、剥離角度180°、剥離速度30mm/60秒であり、試験布の端から始まる縦30mmの試験布の剥離は60秒後に試験布の他端に達して終了する。加熱時間6分〜13分目の1分毎の測定での最大荷重を最高接着力とした。最高接着力の結果を表5に示し、また、一部の結果を図1に示した。この測定値は供試コーティング剤によって形成された接着膜の経時的な接着力の変化を示す。
Figure 2016069740
表5の実施例に示された通り、本発明のコーティング剤によって形成された接着膜は、乾燥時間8分目から急速に接着力が上がり、一定で高い接着力が持続した。一方、比較例に示されたコーティング剤によって形成された接着膜は、接着力が一時的に上がるが、その状態が維持されなかった。このことは、ポリエチレンイミン変性体とポリアミドポリアミン−エピクロロヒドリン樹脂を50:50の固形分配合比で配合したコーティング剤No.13、ポリアミドポリアミン−エピクロロヒドリン樹脂単独のコーティング剤No.19、及びポリエチレンイミン変性体単独のコーティング剤No.20の本接着力維持試験結果を示した図1によって、本発明のコーティング剤No.13が他の2種のコーティング剤に比べて0.7kgf以上の高い接着力を安定して一定時間維持していることがより端的に示され、ポリエチレンイミン変性体とポリアミドポリアミン−エピクロロヒドリン樹脂の組み合わせによる本発明の特異な相乗効果が明らかになった。
即ち、本発明のコーティング剤によって形成された接着膜は、均一で高い接着力を維持できるため、湿紙のヤンキードライヤーへの安定な接着性が得られ、抄速の高速化においてもヤンキードライヤーの安定操業と均一なクレーピングに寄与することが期待できる。これに対し、比較例のコーティング剤によって形成された接着膜は、一定で高い接着力も維持されないため、湿紙のヤンキードライヤーへの接着性が不安定となり、均一なクレーピングが得られないばかりか、紙に穴が開く、紙が切れるといった問題が発生し、ヤンキードライヤーの操業に支障をきたすことが予想される。
本発明は、トイレットペーパーやティッシュペーパー等のクレープ紙の製造に好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. ポリエチレンイミン変性体とポリアミドポリアミン−エピクロロヒドリン樹脂を含有し、ポリエチレンイミン変性体:ポリアミドポリアミン−エピクロロヒドリン樹脂の固形分重量比が90:10〜10:90の範囲にあることを特徴とするヤンキードライヤーコーティング剤。
  2. 前記ポリエチレンイミン変性体が、ポリエチレンイミンと、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,3−プロピレングリコールジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、及びセバシン酸からなる群から選択される1種又は2種以上の架橋剤を反応させることを特徴とする請求項1記載のヤンキードライヤーコーティング剤。
  3. 請求項1又は2記載のヤンキードライヤーコーティング剤を、衛生用紙製造のクレーピング工程において使用されるヤンキードライヤーのドラム表面に塗布することを特徴とするヤンキードライヤーコーティング方法。
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