JP2016068903A - バックル装置 - Google Patents

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林 晃司
Koji Hayashi
晃司 林
拓宏 斎藤
Takuhiro Saito
拓宏 斎藤
真 松崎
Makoto Matsuzaki
真 松崎
克也 島津
Katsuya Shimazu
克也 島津
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Abstract

【課題】バックルが通常位置に戻った状態で乗員が感じる締付感を軽減できるバックル装置を得る。
【解決手段】本バックル装置10では、通常位置よりも車両前上側の上昇位置へ移動されたバックル40にシートベルト装置のタングが係合された後にバックル40が通常位置へ戻る際には、バックル40が通常位置を越えて車両下側へ移動された後に、通常位置へ移動される。このため、乗員の身体に装着されたシートベルト装置のウェビングから乗員が受ける締付感を軽減できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、駆動手段の駆動力によってバックルの移動が可能なバックル装置に関する。
シートベルト装置のウェビングに設けられたタングがバックルに係合される前に、モータ等の駆動手段の駆動力によってバックルが通常位置から上昇されるバックル装置がある(一例として下記特許文献1を参照)。この種のバックル装置では、タングがバックルに係合されると、バックルが駆動手段の駆動力によって下降されて通常位置に戻る。ここで、乗員の身体に装着されたウェビングから乗員が受ける締付力は、バックルが下降するに従い強くなる。このため、バックルが通常位置に戻った状態で、乗員は強い締付感を感じることがある。
特開2010−208497号公報
本発明は、上記事実を考慮して、バックルが通常位置に戻った状態で乗員が感じる締付感を軽減できるバックル装置を得ることが目的である。
請求項1に記載のバックル装置は、シートベルト装置のウェビングに設けられたタングが係合されるバックルと、駆動力によって前記バックルを移動させる駆動手段と、通常位置から車両上側へ移動された前記バックルが前記通常位置へ戻る際に、前記バックルが前記通常位置よりも車両下側へ移動された後に前記通常位置へ移動されるように前記駆動手段を制御可能な制御手段と、を備えている。
請求項1に記載のバックル装置では、通常位置から移動されたバックルが通常位置へ戻る際に、バックルは通常位置を越えて車両下側へ移動された後に、通常位置へ移動される。これによって、乗員がウェビングから受ける締付感を軽減できる。
請求項2に記載のバックル装置は、請求項1に記載のバックル装置において、前記通常位置から車両上側へ移動された前記バックルを前記通常位置よりも車両下側へ移動させる移動力の方向が一定とされている。
請求項2に記載のバックル装置では、通常位置よりも車両上側へ移動されたバックルが通常位置側よりも車両下側へ移動させる移動力の方向が一定とされるため、バックルの移動を単純にできる。
請求項3に記載のバックル装置は、請求項2に記載のバックル装置において、前記通常位置よりも車両上側へ移動された前記バックルが前記通常位置側へ移動される際の前記バックルの移動方向と、前記バックルが前記通常位置を越えて車両下側へ移動される際の前記バックルの移動方向とが同じ方向とされている。
請求項3に記載のバックル装置では、通常位置よりも車両上側へ移動されたバックルが通常位置側へ移動される際のバックルの移動方向と、バックルが通常位置を越えて車両下側へ移動される際のバックルの移動方向とが同じ方向であるため、バックルの移動力の方向を一定にでき、バックルの移動を単純にできる。
請求項4に記載のバックル装置は、請求項1から請求項3の何れか1項に記載のバックル装置において、前記制御手段は、危険予知状態で前記バックルを車両下側へ移動させるように前記駆動手段を制御する。
請求項4に記載のバックル装置では、危険予知状態でバックルは車両下側へ移動される。これによって、危険予知状態になった際に乗員の身体をウェビングによって更に強く拘束できる。
以上説明したように、本発明に係るバックル装置は、バックルが通常位置に戻った状態で乗員が感じる締付感を軽減できる。
本発明の一実施の形態に係るバックル装置の正面断面図である。 駆動手段の制御ブロック図である。 駆動手段のメイン制御の概略を示すフローチャートである。 駆動手段のリフトアップ制御の概略を示すフローチャートである。 駆動手段の中途終了制御の概略を示すフローチャートである。 駆動手段のリフトダウン制御の概略を示すフローチャートである。 駆動手段のプリクラッシュ制御の概略を示すフローチャートである。 駆動手段のプリクラッシュ復帰制御の概略を示すフローチャートである。
次に、本発明の一実施の形態を図1から図8に基づいて説明する。なお、図1において矢印FRは本バックル装置10が適用された車両前側を示し、矢印UPは車両上側を示す。
<本実施の形態の構成>
図1に示されるように、本実施の形態に係るバックル装置10は、フレーム12を備えている。フレーム12は車両のシート14の車両幅方向内側に設けられており、ボルト等の締結手段によって車両の床部16又はシート14の骨格部材等の車体側に固定されている。フレーム12は、車両幅方向に対向した一対のガイド壁18、20を備えており、ガイド壁18、20の間には駆動ねじ22が設けられている。
駆動ねじ22の軸方向は車両前後方向に沿っている。駆動ねじ22の車両前側端部は、フレーム12の車両前側に設けられた駆動手段としてのモータアクチュエータ24に連結されており、駆動ねじ22はモータアクチュエータ24のモータ24A(図2参照)の駆動力によって回転される。
また、フレーム12の車両後側にはワイヤガイド26が設けられている。ワイヤガイド26は挿入部28を備えている。挿入部28は、車両幅方向の寸法がガイド壁18、20の間隔に略等しいブロック状に形成されており、フレーム12の車両後側端部からガイド壁18、20の間に挿入されている。これによって、ワイヤガイド26がフレーム12に連結されている。さらに、ワイヤガイド26の挿入部28には車両前側へ開口した軸受孔30が形成されている。軸受孔30には駆動ねじ22の車両後側端部から駆動ねじ22に対して同軸上に突出された軸部32が挿入されており、軸部32が回転自在に支持されている。
一方、ガイド壁18、20の間にはスライダ34が設けられている。スライダ34はブロック状に形成されており、スライダ34の車両幅方向側の面がガイド壁18、20に当接している。また、スライダ34には駆動ねじ22が貫通されるねじ孔が形成されており、駆動ねじ22が回転することによってスライダ34がガイド壁18、20に案内されて車両前後方向へスライドされる。
また、バックル装置10は、連結部材としてのワイヤロープ36を備えている。ワイヤロープ36は長尺状に形成されている。ワイヤロープ36の長手方向中間部よりも基端側では、ワイヤロープ36の長手方向が車両前後方向に沿っており、更に、ワイヤロープ36の長手方向基端部は、駆動ねじ22よりも車両下側でスライダ34に連結されている。このため、スライダ34が車両前後方向へスライドすると、ワイヤロープ36がその長手方向へ移動される。
一方、ワイヤガイド26にはガイド溝38が形成されている。ガイド溝38はワイヤガイド26の車両幅方向外側面で開口しており、ワイヤガイド26の車両幅方向外側に設けられた板状のカバー部材(図示省略)によって閉じられている。また、ガイド溝38の長手方向一端はワイヤガイド26の挿入部28の車両前側端面で開口されている。さらに、ガイド溝38は長手方向中間部で車両幅方向を軸方向とする軸周り方向に湾曲されており、ガイド溝38の長手方向他端はワイヤガイド26の車両上側面で開口されている。ガイド溝38にはワイヤロープ36が貫通されており、ワイヤロープ36の長手方向中間部よりも先端側はガイド溝38の長手方向他端から車両上側に含まれる車両前上側(図1の矢印A方向)へ延びている。
また、ワイヤガイド26の車両上側にはバックル40が設けられている。バックル40は上端部からシートベルト装置のウェビングに設けられたタング(何れも図示省略)の挿入が可能とされており、バックル40にタングが挿入されると、バックル40内に設けられたラッチ(図示省略)によってタングが保持される。これによって、タングがバックル40に係合され、ウェビングが乗員の身体に装着される。
また、バックル40の車両後下側端部からはワイヤ固定部42が車両下側に含まれる車両後下側(図1の矢印B方向)へ延出されており、ワイヤロープ36の長手方向先端部がワイヤ固定部42に固定されている。ワイヤガイド26のガイド溝38の長手方向他端とバックル40のワイヤ固定部42との間ではワイヤロープ36が直線的に延びており、このため、ワイヤロープ36がその長手方向に移動されることによってワイヤ固定部42(すなわち、バックル40)に付与される移動力である押圧力又は引張力は直線的な一定の方向となる。
したがって、ワイヤロープ36がその長手方向先端側へ移動されると、ワイヤロープ36の長手方向先端部からバックル40に付与される押圧力(移動力)によってバックル40が車両前上側(図1の矢印A方向)へ直線的に移動される。また、ワイヤロープ36がその長手方向基端側へ移動されると、ワイヤロープ36の長手方向先端部からバックル40に付与される引張力(移動力)によってバックル40が車両後下側(図1の矢印B方向)へ直線的に移動される。
一方、図2に示されるように、上述したモータアクチュエータ24のモータ24Aは、制御手段を構成するドライバ52に接続されている。ドライバ52は、ドライバ52と共に制御手段を構成するECU54に電気的に接続されており、ECU54から出力された正転駆動信号Ds1及び逆転駆動信号Ds2がドライバ52に入力される。
また、ドライバ52は、車両に搭載された電源としてのバッテリー56に電気的に接続されており、ECU54から出力された正転駆動信号Ds1がLowレベルからHighレベルに切替わると、モータアクチュエータ24がドライバ52によって正転駆動されて、スライダ34が車両後側へスライドされる。また、ECU54から出力された逆転駆動信号Ds2がLowレベルからHighレベルに切替わると、モータアクチュエータ24がドライバ52によって逆転駆動されて、スライダ34が車両前側へスライドされる。
また、ECU54は、シート14のシートクッション14Aに設けられた着座センサ58に電気的に接続されている。着座センサ58からは着座検出信号Ssが出力されており、着座センサ58から出力された着座検出信号SsはECU54に入力される。シート14に乗員が着座し、これによって、一定の大きさ以上の荷重が着座センサ58に作用すると着座センサ58から出力される着座検出信号SsがLowレベルからHighレベルに切替わる。
さらに、ECU54は、バックル40に設けられたバックルスイッチ60に電気的に接続されており、ECU54は、バックルスイッチ60のON状態(導通状態)及びOFF状態(非導通状態)を判定している。バックルスイッチ60にタングが係合されると、バックルスイッチ60がOFF状態からON状態に切替わる。
また、ECU54は、危険予知手段を構成する車速センサ62に電気的に接続されている。車速センサ62からは車速信号Vsが出力されており、車速センサ62から出力された車速信号VsはECU54に入力される。車両の走行速度が一定の大きさ以上になると車速センサ62から出力される車速信号VsがLowレベルからHighレベルに切替わる。
さらに、ECU54は、リミットスイッチ64に電気的に接続されており、ECU54は、リミットスイッチ64のON状態(導通状態)及びOFF状態(非導通状態)を判定している。リミットスイッチ64はフレーム12に設けられており、図1に示されるように、バックル40がシート14のシートクッション14Aの車両上側面(座面)よりも車両上側の通常位置に位置している状態で、リミットスイッチ64はフレーム12に設けられたスライダ34の所定部位によってON状態にされる。さらに、モータアクチュエータ24のモータ24Aの駆動力によって駆動ねじ22が回転され、これによって、スライダ34が車両前後方向へスライドされ、スライダ34の所定部位がリミットスイッチ64から離れると、リミットスイッチ64がOFF状態(非導通状態)にされる。
また、ECU54は、エンコーダカウンタ66を介して回転位置検出手段として危険予知手段を構成するロータリエンコーダ68に電気的に接続されている。ロータリエンコーダ68は、モータアクチュエータ24に設けられており、モータアクチュエータ24のモータ24Aの出力軸が一定角度回転されるごとにロータリエンコーダ68からパルス信号が出力される。ロータリエンコーダ68から出力されたパルス信号はエンコーダカウンタ66に入力される。ECU54によってエンコーダカウンタ66が作動開始されると、エンコーダカウンタ66においてパルス信号のカウントが開始され、パルス信号のカウントの積算値Nに対応する電気信号がエンコーダカウンタ66から出力されてECU54に入力される。
<本実施の形態の作用、効果>
次に、図3から図8のECU54におけるモータアクチュエータ24の制御のフローチャートに基づいて本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
本バックル装置10では、例えば、車両のドアのロックが解除されると、図3に示されるように、ステップ100でモータアクチュエータ24のモータ24Aのメイン制御が開始され、ステップ102で各フラグF1、F2、F3がリセットされる(すなわち、フラグF1、F2、F3に0が代入される)。次いで、ステップ104では、着座センサ58から出力される着座検出信号SsがHighレベルであるか否かが判定される。この状態で乗員がシート14に着座していれば、ステップ106でバックルスイッチ60がON状態(導通状態)か否かが判定される。この状態で、シートベルト装置のタングがバックル40に係合されていなければ、ステップ108でのフラグF1の判定(すなわち、フラグF1に1が代入されているか否かの判定)を経てステップ110でリフトアップ制御が行われる。
図4に示されるように、ステップ200でリフトアップ制御が開始されると、ステップ202でエンコーダカウンタ66におけるパルス信号のカウント数(積算値)Nがリセットされ(すなわち、カウント数Nに0が代入され)、ステップ204でエンコーダカウンタ66が作動開始される。これによって、ロータリエンコーダ68から出力されるパルス信号がエンコーダカウンタ66によってカウントされ、エンコーダカウンタ66がパルス信号のカウントを開始してからのカウント数Nに対応した電気信号がECU54に入力される。
次いで、ステップ206でECU54から出力される正転駆動信号Ds1がLowレベルからHighレベルに切替わる。Highレベルの正転駆動信号Ds1がドライバ52に入力されると、モータアクチュエータ24のモータ24Aが正転駆動され、フレーム12に設けられた駆動ねじ22が回転される。これによって、フレーム12に設けられたスライダ34が車両後側へスライドされる。スライダ34と共にワイヤロープ36の長手方向基端部が車両後側へスライドされると、バックル40がワイヤロープ36の長手方向先端部と共に通常位置よりも車両前上側(図1の矢印A方向)へ移動される。
次いで、ステップ208でエンコーダカウンタ66におけるパルス信号のカウント数Nが所定のN1以上になったか否かが判定される。パルス信号のカウント数NがN1以上になると、ステップ210でECU54から出力される正転駆動信号Ds1がHighレベルからLowレベルに切替わり、これによって、モータアクチュエータ24のモータ24Aが停止され、バックル40が通常位置よりも車両前上側(図1の矢印A方向)へ所定距離(例えば、50mm)離れた上昇位置で停止される。このように、本実施の形態では、シートベルト装置のタングがバックル40に係合される前の状態で、バックル40が通常位置よりも車両前上側へ所定距離移動されるため、タングをバックル40に容易に係合させることができる。
次いで、ステップ212ではフラグF1が立てられ(すなわち、フラグF1に1が代入され)、ステップ214で、図3に示されるモータアクチュエータ24のメイン制御のステップ104に戻る。この状態では、フラグF1が立っているため、この状態からタングのバックル40に対する係合が解除されても、リフトアップ制御は行われない。
また、リフトアップ制御が行われた後にタングがバックル40に係合されることなく、乗員が降車した場合等には、フラグF1が立った状態で着座検出信号SsがHighレベルからLowレベルに切替わる。このような場合には、ステップ114で中途終了制御が行われる。図5に示されるように、ステップ300で中途終了制御が開始されると、ステップ302でECU54から出力される逆転駆動信号Ds2がLowレベルからHighレベルに切替わる。Highレベルの逆転駆動信号Ds2がドライバ52に入力されると、モータアクチュエータ24のモータ24Aが逆転駆動され、フレーム12に設けられた駆動ねじ22が回転される。これによって、フレーム12に設けられたスライダ34が車両前側へスライドされると、バックル40は車両後下側(図1の矢印B方向)へ移動される。
次いで、ステップ304でリミットスイッチ64がON状態であるか否かが判定される。モータアクチュエータ24のモータ24Aの逆転駆動によってバックル40が移動され、バックル40が通常位置に戻ることによって、フレーム12に設けられたリミットスイッチ64がスライダ34の所定部位によってON状態(導通状態)にされると、ステップ306でECU54から出力される逆転駆動信号Ds2がHighレベルからLowレベルに切替わり、これによって、モータアクチュエータ24のモータ24Aが停止される。次いで、ステップ308でフラグF1、F2、F3がリセットされ、ステップ310で図3に示されるモータアクチュエータ24のメイン制御のステップ104に戻る。
一方、リフトアップ制御の後にシートベルト装置のタングがバックル40に係合されると、バックル40に設けられたバックルスイッチ60がON状態になる。これによって、ステップ116でのフラグF2の判定を経て、ステップ118でリフトダウン制御が行われる。
図6に示されるように、ステップ400でリフトダウン制御が開始されると、ステップ402でエンコーダカウンタ66におけるパルス信号のカウント数Nがリセットされる。次いで、ステップ404でECU54から出力される逆転駆動信号Ds2がLowレベルからHighレベルに切替わる。これによって、モータアクチュエータ24のモータ24Aが逆転駆動されてバックル40が車両後下側へ移動される。
次いで、ステップ406でリミットスイッチ64がON状態であるか否かが判定される。モータアクチュエータ24のモータ24Aの逆転駆動によってバックル40が通常位置に戻り、フレーム12に設けられたリミットスイッチ64がスライダ34の所定部位によってON状態にされると、ステップ408でエンコーダカウンタ66が作動開始される。
次いで、ステップ410でエンコーダカウンタ66におけるパルス信号のカウント数Nが所定のN2以上になったか否かが判定される。パルス信号のカウント数NがN2以上になると、ステップ412でECU54から出力される逆転駆動信号Ds2がHighレベルからLowレベルに切替わり、これによって、バックル40は通常位置よりも車両後下側(図1の矢印B方向)へ所定距離(例えば、20mm)離れた引込位置まで移動される。さらに、ステップ414でECU54から出力される正転駆動信号Ds1がLowレベルからHighレベルに切替わる。これによって、モータアクチュエータ24のモータ24Aが正転駆動されてバックル40が引込位置から車両前上側へ移動される。
次いで、ステップ416でリミットスイッチ64がON状態であるか否かが判定される。モータアクチュエータ24のモータ24Aの正転駆動によってバックル40が通常位置に戻り、フレーム12に設けられたリミットスイッチ64がスライダ34の所定部位によってON状態にされると、ステップ418でECU54から出力される正転駆動信号Ds1がHighレベルからLowレベルに切替わる。これによって、モータアクチュエータ24のモータ24Aが停止されて、バックル40が通常位置で停止される。次いで、ステップ420でフラグF2が立てられ、ステップ422でモータアクチュエータ24のメイン制御に戻る。
このように、本バックル装置10では、リフトアップ制御後のリフトダウン制御で、バックル40が通常位置よりも車両後下側の引込位置へ移動される。ところで、乗員の身体が、乗員の身体に装着されたウェビングから受ける締付力は、バックル40が通常位置に位置する状態よりも、バックル40が引込位置に位置した状態の方が大きい。このため、バックル40が引込位置から通常位置へ戻ることによって、乗員の身体がウェビングから受ける締付力は軽減される。このため、バックル40が上昇位置からそのまま通常位置へ戻って停止された場合に比べて、乗員はウェビングから受ける締付けを緩く感じる。これによって、乗員がウェビングから受ける締付感を軽減できる。
図6に示されるように、リフトダウン制御が終了すると、モータアクチュエータ24のメイン制御におけるステップ120で車速信号VsがHighレベルであるか否かが判定される。この状態で、車両の走行速度が一定の大きさ以上であれば、ステップ122で障害物検出信号HsがHighレベルであるか否かが判定される。この状態で、車両前側の障害物まで距離が一定値未満であれば、障害物検出信号HsがHighレベルになるため、ステップ124でのフラグF3の判定を経て、ステップ126でプリクラッシュ制御が行われる。
図7に示されるように、ステップ500でプリクラッシュ制御が開始されると、ステップ502でエンコーダカウンタ66におけるパルス信号のカウント数Nがリセットされる。次いで、ステップ504でエンコーダカウンタ66が作動開始され、ステップ506でECU54から出力される逆転駆動信号Ds2がLowレベルからHighレベルに切替わる。これによって、モータアクチュエータ24のモータ24Aが逆転駆動されてバックル40が車両後下側(図1の矢印B方向)へ移動される。
次いで、ステップ508でエンコーダカウンタ66におけるパルス信号のカウント数Nが所定のN2以上になったか否かが判定される。パルス信号のカウント数NがN2以上になると、ステップ510でECU54から出力される逆転駆動信号Ds2がHighレベルからLowレベルに切替わる。これによって、モータアクチュエータ24のモータ24Aが停止されて、バックル40は通常位置よりも車両後下側の引込位置で停止される。次いで、ステップ512でフラグF3が立てられ、更に、ステップ514で図3に示されるモータアクチュエータ24のメイン制御のステップ104に戻る。
このように、本バックル装置10では、車両が一定の速度以上で走行している状態で、車両前側の障害物までの距離が一定値未満になった危険予知状態では、バックル40が車両後下側へ移動される。これによって、乗員の身体をウェビングによって更に強く拘束できる。
また、本バックル装置10では、ワイヤロープ36がその長手方向に移動されることによってバックル40に付与される移動力である押圧力又は引張力は直線的な一定の方向となる。このため、リフトアップ制御によって車両前上側へ移動されたバックル40が中途終了制御やリフトダウン制御によって通常位置へ戻る際のバックル40の移動方向と、バックル40がリフトダウン制御やプリクラッシュ制御によって通常位置よりも車両後下側へ移動される際の移動方向とが同じ方向になる。しかも、バックル40の通常位置と、リフトアップ制御後のバックル40の上昇位置と、リフトダウン制御やプリクラッシュ制御によるバックル40の引込位置とが、同一直線上にある。これによって、バックル40の移動が直線的な往復移動でよく、バックル40が移動される際にバックル40をガイドする構成等を簡素化できる。
なお、プリクラッシュ制御が行われる前の状態で、車両の走行速度が一定の大きさ未満であったり、また、車両前側の障害物までの距離が一定値以上であったりした場合には、ステップ126へは進まず、ステップ128でのフラグF3の判定を経て、ステップ104へ戻る。
一方、プリクラッシュ制御が行われた後に、車両の走行速度が一定の大きさ未満になったり、また、車両前側の障害物までの距離が一定値以上になったりした場合には、ステップ128でのフラグF3の判定を経て、ステップ130でプリクラッシュ復帰制御が行われる。
図8に示されるように、ステップ600でプリクラッシュ復帰制御が開始されると、ステップ602でECU54から出力される正転駆動信号Ds1がLowレベルからHighレベルに切替わる。これによって、モータアクチュエータ24のモータ24Aが正転駆動されてバックル40が車両前上側へ移動される。次いで、ステップ604でリミットスイッチ64がON状態であるか否かが判定される。
モータ24Aの正転駆動によってバックル40が通常位置に戻り、フレーム12に設けられたリミットスイッチ64がスライダ34の所定部位によってON状態にされると、ステップ606でECU54から出力される正転駆動信号Ds1がHighレベルからLowレベルに切替わる。これによって、モータアクチュエータ24のモータ24Aが停止されて、バックル40が通常位置で停止される。次いで、ステップ608でフラグF3がリセットされて、ステップ610でモータアクチュエータ24のメイン制御に戻る。
なお、本実施の形態では、リフトアップ制御時におけるバックル40の移動量、リフトダウン制御時及びプリクラッシュ制御時におけるバックル40の通常位置よりも車両後下側への移動量がモータアクチュエータ24のモータ24Aの回転量に基づいて制御されていた。しかしながら、例えば、フレーム12におけるリミットスイッチ64の配置位置よりも車両後側にリミットスイッチ64とは別のリミットスイッチを設け、これによって、リフトアップ制御時におけるバックル40の移動量を制御してもよい。また、フレーム12におけるリミットスイッチ64の配置位置よりも車両前側にリミットスイッチ64とは別のリミットスイッチを設け、これによって、リフトダウン制御時及びプリクラッシュ制御時におけるバックル40の通常位置よりも車両後下側への移動量を制御してもよい。このように、バックル40の通常位置からの移動量を制御するための具体的な構成に関しては特に限定されることなく、広く適用できる。
また、本実施の形態では、リフトダウン制御時とプリクラッシュ制御時とでバックル40の通常位置よりも車両後下側への移動量が同じであったが、リフトダウン制御時におけるバックル40の通常位置よりも車両後下側への移動量と、プリクラッシュ制御時におけるバックル40の通常位置よりも車両後下側への移動量を異ならせてもよい。
さらに、本実施の形態では、リフトアップ制御によって車両前上側へ移動されたバックル40が通常位置へ移動される際のバックル40の移動方向と、バックル40が通常位置よりも車両後下側へ移動される際の移動方向とが同じ方向であった。しかしながら、リフトアップ制御によって車両前上側へ移動されたバックル40が通常位置へ移動される際のバックル40の移動方向と、バックル40が通常位置よりも車両後下側へ移動される際の移動方向とが異なる方向であってもよい。
また、本実施の形態において、モータアクチュエータ24のモータ24Aの回転速度の制御に関して特に言及していないが、例えば、リフトダウン制御時とプリクラッシュ制御時とでモータ24Aの回転速度を同じに設定してもよいし、リフトダウン制御時とプリクラッシュ制御時とでモータ24Aの回転速度を異ならせてもよい。
さらに、例えば、リフトダウン制御において、バックル40が通常位置よりも車両下側の下降位置へ移動される際のモータ24Aの回転速度と、バックル40が下降位置から通常位置へ移動される際のモータ24Aの回転速度とを異ならせるようにモータ24Aを制御してもよい。
また、本実施の形態では、リフトダウン制御が終了した状態で、バックル40は通常位置に戻る構成である。しかしながら、例えば、シート14に着座した乗員の体格を着座センサ58等によって検出し、検出された乗員の体格に応じてリフトダウン制御が終了した状態でのバックル40の位置を、通常位置よりも車両前上側又は車両後下側へ移動させてもよい。
10 バックル装置
24 モータアクチュエータ(駆動手段)
40 バックル
52 ドライバ(制御手段)
54 ECU(制御手段)

Claims (4)

  1. シートベルト装置のウェビングに設けられたタングが係合されるバックルと、
    駆動力によって前記バックルを移動させる駆動手段と、
    通常位置から車両上側へ移動された前記バックルが前記通常位置へ戻る際に、前記バックルが前記通常位置よりも車両下側へ移動された後に前記通常位置へ移動されるように前記駆動手段を制御可能な制御手段と、
    を備えるバックル装置。
  2. 前記通常位置から車両上側へ移動された前記バックルを前記通常位置よりも車両下側へ移動させる移動力の方向が一定とされた請求項1に記載のバックル装置。
  3. 前記通常位置よりも車両上側へ移動された前記バックルが前記通常位置側へ移動される際の前記バックルの移動方向と、前記バックルが前記通常位置を越えて車両下側へ移動される際の前記バックルの移動方向とが同じ方向とされた請求項2に記載のバックル装置。
  4. 前記制御手段は、危険予知状態で前記バックルを車両下側へ移動させるように前記駆動手段を制御する請求項1から請求項3の何れか1項に記載のバックル装置。
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