JP2016068362A - 転写シート - Google Patents
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Abstract
Description
項1. 転写用基材上に、少なくとも保護層が積層された転写シートであって、
前記保護層は、無機粒子と硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物により形成されており、
前記保護層の前記転写用基材側表面から前記転写用基材とは反対側に向かうに従い、前記無機粒子の密度が低くなっている、転写シート。
項2. 前記保護層における無機粒子の含有量が、前記硬化性樹脂1質量部に対して1〜10質量部の範囲にある、項1に記載の転写シート。
項3. 前記無機粒子の平均粒子径が500nm以下である、項1または2に記載の転写シート。
項4. 前記無機粒子が、シリカ粒子である、項1〜3のいずれかに記載の転写シート。
項5. 前記保護層が、複数の層により形成されている、項1〜4のいずれかに記載の転写シート。
項6. 前記保護層が、前記転写用基材側に位置する第1の保護層と、前記転写用基材とは反対側に位置する第2の保護層の2層により形成されており、
前記第1の保護層の硬化性樹脂と、前記第2の保護層の硬化性樹脂とが、異なる樹脂である、項5に記載の転写シート。
項7. 前記保護層が、前記転写用基材側に位置する第1の保護層と、前記転写用基材とは反対側に位置する第2の保護層の2層により形成されており、
前記第1の保護層の硬化性樹脂と、前記第2の保護層の硬化性樹脂とが、同一の樹脂である、項5に記載の転写シート。
項8. 前記保護層の上に、プライマー層、装飾層、及び接着層からなる群から選択された少なくとも1層が積層されてなる、項1〜7のいずれかに記載の転写シート。
項9. 前記転写用基材の前記保護層側の表面に離型層が形成されてなる、項1〜8のいずれかに記載の転写シート。
項10. 項1〜9のいずれかに記載の転写シートを成形樹脂層に転写してなる、樹脂成形品。
本発明の転写シートは、転写用基材上に、少なくとも保護層が積層された転写シートであって、保護層が、無機粒子と硬化性樹脂を含む樹脂組成物により形成されており、保護層の転写用基材側表面から転写用基材とは反対側に向かうに従い、無機粒子の密度が低くなっていることを特徴とする。本発明の転写シートは、このような構成を有することにより、優れた耐傷性を有し、かつ、干渉縞が効果的に抑制されている。なお、後述の通り、本発明の転写シートは、装飾層などを有していなくてもよく、例えば透明であってもよい。本発明の転写シートは、転写用基材が最終製品から剥離して用いられる転写用のシートである。具体的には、本発明の転写シートを、種々の被転写層、例えば成形樹脂層に積層し、転写用基材を保護層から剥離することにより、樹脂成形品が得られる。このような樹脂成形品においては、成形樹脂層の上に前記保護層が形成されているため、優れた耐傷性を有する。
本発明の転写シートは、転写用基材1上に、少なくとも保護層3を有する。保護層3は、複数の層により形成されていてもよく、例えば、転写用基材1側に位置する第1の保護層3aと、転写用基材1とは反対側に位置する第2の保護層3bの2層により形成されていてもよい。転写用基材1の保護層3側の表面には、転写用基材1と保護層3との剥離性を高めることなどを目的として、必要に応じて、離型層2を設けてもよい。また、保護層3と、これに隣接する層との密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて、保護層3の下(支持体10とは反対側)にプライマー層4を設けてもよい。転写シートに装飾性を付与することなどを目的として、必要に応じて、装飾層5を設けてもよい。また、保護層3や装飾層5などと、種々の被転写層(例えば、後述する樹脂成形品における成形樹脂層8)などとの密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて、接着層6を有していてもよい。また、プライマー層4と接着層6との密着性を向上させることを目的として、透明樹脂層(図示しない)を設けてもよい。
[支持体10]
本発明の転写シートは、支持体10として、転写用基材1、必要に応じて離型層2を有する。また、後述の通り、転写用基材1の上に形成された保護層3、必要に応じてさらに形成されるプライマー層4、絵柄層5、接着層6、透明樹脂層などが、転写層9を構成している。本発明においては、転写シートを被転写層上に積層した後に、支持体10が剥離除去されて転写が行われる。より具体的には、例えば被転写層として成形樹脂層8を用いることにより、成形樹脂層8上に転写層9が積層された樹脂成形品が得られる。
本発明において、転写用基材1は、転写シートにおいて支持部材としての役割を果たす支持体10として用いられる。本発明で用いられる転写用基材1は、真空成形適性を考慮して選定され、代表的には熱可塑性樹脂からなる樹脂シートが使用される。該熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂;アクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂;ポリカーボネート樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂);塩化ビニル樹脂等が挙げられる。
離型層2は、転写用基材1と保護層3との剥離性を高めることなどを目的として、必要に応じて、転写用基材1の保護層3が積層される側の表面に設けられる。離型層2は、全面を被覆(全面ベタ状)しているベタ離型層であってもよいし、一部に設けられるものであってもよい。通常は、剥離性を考慮して、ベタ離型層が好ましい。
本発明の転写シートにおいては、支持体10の上に形成された、保護層3、必要に応じてさらに形成されるプライマー層4、絵柄層5、接着層6などが、転写層9を構成している。本発明においては、転写シートと成形樹脂を一体成形した後に、支持体10と転写層9の界面が引き剥がされ、転写シートの転写層9が被転写層(例えば、成形樹脂層8など)に転写された樹脂成形品が得られる。
保護層3は、製品の耐傷性、耐候性などを高めることを目的として、最終製品の最表面に位置するようにして、転写シートに設けられる層である。
無機粒子の平均粒子径としては、保護層の膜厚以下であれば特に限定されないが、保護層3に優れた耐傷性及び成形性を付与し、無機粒子を配合することによる干渉縞を効果的に抑制する観点から、好ましくは500nm以下、より好ましくは10〜200nm程度、さらに好ましくは10〜50nm程度が挙げられる。なお、無機粒子の平均粒子径は、溶液中の該粒子を動的光散乱方法で測定し、粒子径分布を累積分布で表したときの50%粒子径(d50:メジアン径)を意味し、Microtrac粒度分析計(日機装株式会社製)を用いて測定された値である。
保護層3は、無機粒子と硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物により形成されている。硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂などを用いることができる。熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。以下、保護層3の形成に用いられる電離放射線硬化性樹脂について詳述する。
保護層3の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂であり、具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、及びモノマーなどのうち少なくとも1種を適宜混合したものが挙げられる。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含むものである。電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であり、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるため、保護層3の形成において好適に使用される。
保護層3を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物には、保護層3に備えさせる所望の物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤、マット剤等が挙げられる。これらの添加剤は、常用されるものから適宜選択して用いることができ、例えばマット剤としてはシリカ粒子や水酸化アルミニウム粒子等が挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
保護層3の形成は、例えば、無機粒子と硬化性樹脂を含む樹脂組成物を調製し、これを塗布し、架橋硬化することにより行われる。なお、樹脂組成物の粘度は、後述の塗布方式により、未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよい。
保護層3の硬化後の厚みについては、特に制限されないが、例えば、1〜1000μm程度、好ましくは1〜50μm程度、更に好ましくは1〜30μm程度が挙げられる。このような範囲の厚みを満たすと、耐傷性、耐候性等の保護層としての十分な物性が得られると共に、硬化性樹脂を均一に硬化することが可能となり、経済的にも有利になる。更に、保護層3の硬化後の厚みが前記範囲を充足することによって、転写シートの成形性が一層向上するため自動車内装用途等の複雑な形状に対して高い追従性を得ることができる。
プライマー層4は、保護層3とその下(支持体10とは反対側)に位置する層との密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて含まれる層である。プライマー層4は、樹脂により形成することができる。
装飾層5は、製品に装飾性を付与するために、必要に応じて設けられる層である。装飾層5は、通常、絵柄層及び/又は隠蔽層により構成される。ここで、絵柄層は、模様や文字等とパターン状の絵柄を表現するために設けられる層であり、隠蔽層は、通常全面ベタ層であり被転写層等の着色等を隠蔽するために設けられる層である。隠蔽層は、絵柄層の絵柄を引き立てるために絵柄層の内側に設けてもよく、また隠蔽層単独で装飾層5を形成してもよい。
接着層6は、転写シートと被転写層(成形樹脂層8など)との密着性などを向上させることなどを目的として、装飾層5、保護層3などの裏面(成形樹脂層8側)に必要に応じて設けられる層である。接着層6を形成する樹脂としては、これらの層間の密着性や接着性を向上させることができるものであれば、特に制限されず、例えば、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の転写シートにおいては、プライマー層4と接着層6との密着性を向上させることなどを目的として、必要に応じて、透明樹脂層を設けてもよい。透明樹脂層は、本発明の転写シートが装飾層5を有さない態様において、プライマー層4と接着層6との密着性を向上させることができるので、本発明の転写シートを透明性が要求される樹脂成形品の製造に供する場合において設けることが特に有用である。透明樹脂層は、透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。透明樹脂層を形成する樹脂成分としては、装飾層5で例示したバインダー樹脂などが挙げられる。
本発明の転写シートは、各種の被転写層上に転写層9を転写し、保護層3により耐傷性に優れた製品を製造する用途に用いることができる。被転写層の材質や形状は特に限定されないが、本発明の転写シートは、被転写層として成形樹脂層8を使用し、樹脂成形品を製造する用途において特に有用である。
(1)まず、上記転写シートの保護層側(支持体と反対側)を金型内に向けて、熱盤によって保護層側から転写用転写シートを加熱する工程、
(2)該転写シートを金型内形状に沿うように予備成形(真空成形)して金型内面に密着させて型締する工程、
(3)樹脂を金型内に射出する工程、
(4)該射出樹脂が冷却した後に金型から樹脂成形品(支持体付き樹脂成形品)を取り出す工程、及び
(5)樹脂成形品の保護層から支持体を剥離する工程。
[転写シートの製造]
以下の手順により、転写用基材側に位置している第1の保護層に含まれる無機粒子の種類、無機粒子と樹脂との質量比、第1の保護層を形成する樹脂組成物の塗布量、第2の保護層を形成する樹脂組成物(無機粒子を含まない)の塗布量が表1の記載となるようにした転写シートをそれぞれ製造した。なお、無機粒子の平均粒子径は、上記の方法で測定した値である。
アクリルポリマー/3官能アクリレートモノマー=7/3(固形分比)の混合物
<実施例における第2保護層の樹脂>
アクリルポリマー/3官能アクリレートモノマー=7/3(固形分比)の混合物
[転写シートの製造]
以下の手順により、保護層(単層)に含まれる無機粒子の種類、無機粒子と樹脂との質量比、保護層を形成する樹脂組成物の塗布量が表2の記載となるようにした転写シートをそれぞれ製造した。なお、無機粒子の平均粒子径は、上記の方法で測定した値である。また、比較例3では、保護層に無機粒子を添加しなかった。
アクリルポリマー/3官能アクリレートモノマー=7/3(固形分比)の混合物
上記で得られた各転写シートを金型に入れて、赤外線ヒーターで350℃、7秒間加熱し、真空成形で金型内の形状に沿うように予備成形して型締した(最大延伸倍率100%)。その後、射出樹脂を金型のキャビティ内に射出し、該転写シートと射出樹脂とを一体化成形し、金型から取り出すと同時に支持体(転写用基材及び離型層)を剥離除去することにより、樹脂成形品を得た。
上記で得られた各樹脂成形品の表面に対して、荷重800g/cm2、摩擦回数100回の条件で測定するマーチンデール法で耐傷性試験を行った後、耐傷性試験を行う前後における表面のグロス値(20°)を測定して、グロス値の維持率(%)を算出した。グロス値(20°)は、BykGardner社製micro-TRI-gloss(カタログNo.4520)を用いて測定した。当該グロス値の維持率が85%以上であれば、耐傷性に優れると判断できる。結果を表1、2に示す。
上記で得られた各樹脂成形品表面に三波長蛍光灯で可視光を照射し、干渉縞の有無を下記の基準で評価した。結果を表1、2に示す。
○:樹脂成形品表面に干渉縞が全く確認できなかった
△:樹脂成形品表面に軽微な干渉縞が確認されたが、実用上問題はない
×:樹脂成形品表面に明瞭に干渉縞が確認された
樹脂成形品の製造の際の成型品の状態を確認し、以下の判定基準に従って、成形性を評価した。結果を表1、2に示す。
(成形性の判定基準)
○:保護層に割れや白化が全く認められず、良好に型の形状に追従できた。
△:形状部又は最大延伸部の一部に微細な塗膜割れ又は白化が認められたが実用上問題なし。
×:型の形状に追従できずに保護層に著しい塗膜割れや白化が見られた。
2 離型層
3 保護層
3a 第1の保護層
3b 第2の保護層
4 プライマー層
5 装飾層
6 接着層
8 成形樹脂層
9 転写層
10 支持体
Claims (10)
- 転写用基材上に、少なくとも保護層が積層された転写シートであって、
前記保護層は、無機粒子と硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物により形成されており、
前記保護層の前記転写用基材側表面から前記転写用基材とは反対側に向かうに従い、前記無機粒子の密度が低くなっている、転写シート。 - 前記保護層における無機粒子の含有量が、前記硬化性樹脂1質量部に対して1〜10質量部の範囲にある、請求項1に記載の転写シート。
- 前記無機粒子の平均粒子径が500nm以下である、請求項1または2に記載の転写シート。
- 前記無機粒子が、シリカ粒子である、請求項1〜3のいずれかに記載の転写シート。
- 前記保護層が、複数の層により形成されている、請求項1〜4のいずれかに記載の転写シート。
- 前記保護層が、前記転写用基材側に位置する第1の保護層と、前記転写用基材とは反対側に位置する第2の保護層の2層により形成されており、
前記第1の保護層の硬化性樹脂と、前記第2の保護層の硬化性樹脂とが、異なる樹脂である、請求項5に記載の転写シート。 - 前記保護層が、前記転写用基材側に位置する第1の保護層と、前記転写用基材とは反対側に位置する第2の保護層の2層により形成されており、
前記第1の保護層の硬化性樹脂と、前記第2の保護層の硬化性樹脂とが、同一の樹脂である、請求項5に記載の転写シート。 - 前記保護層の上に、プライマー層、装飾層、及び接着層からなる群から選択された少なくとも1層が積層されてなる、請求項1〜7のいずれかに記載の転写シート。
- 前記転写用基材の前記保護層側の表面に離型層が形成されてなる、請求項1〜8のいずれかに記載の転写シート。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の転写シートを成形樹脂層に転写してなる、樹脂成形品。
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