JP2016066035A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】定着部材の表面に生じる凹凸が原因する光沢度の変化を、簡単な構成で防止または抑制できる定着装置を提供する。【解決手段】互いに当接してニップ部Nを形成する第1の回転体116B及び第2の回転体116Cと、ニップ部Nの温度を昇温させるための加熱部材116Dと、第1の回転体116B及び/又は第2の回転体116Cに当接して当該回転体116Bの表面状態を改善する当接部材117と、当接部材117を当該回転体116Bに接離させる接離部と、を有し、接離部は、前記ニップ部を通過するときに記録媒体に与えられた推定熱量に基づいて推定された前記表面状態の推定劣化度に応じて、前記当接部材117の当該回転体116Bへの当接を調整する。【選択図】図5

Description

本発明は、定着装置および画像形成装置に関し、さらに詳しくは、定着装置において記録媒体の搬送に用いられる回転体の表面状態を改善する技術に関する。
電子写真方式による画像形成装置においては、潜像担持体である感光体上に形成された静電潜像がトナーにより可視像処理され、トナー像が記録紙などの記録媒体に転写されたうえで定着されることにより複写出力が得られる。
画像形成装置に用いられる定着方式としては、熱ローラ定着方式がよく知られている。
この方式では、記録紙の搬送路を挟んで対向当接する定着ローラおよび加圧ローラを用い、定着ローラ内に設けられている熱源からの熱と加圧ローラとの挟持作用により熱と圧力でトナー像が定着される。
また、定着ローラに代えて熱良導体となる定着ベルトと加圧ローラおよびベルトを捲装されるローラそしてベルトに対する加熱源を設けたベルト定着方式(例えば、特許文献1)が知られている。
ところで、このような定着装置において、多数の用紙を定着すると、用紙の幅方向端部で発生したバリなどによる紙粉、用紙分離用の分離爪の圧接等により、定着部材の表面に微細な疵や凹凸が生ずる。この結果、定着部材に疵や凹みが生じた部分では、用紙に定着された画像の光沢が他の部分と異なり、光沢の差が目立ち易くなる。この場合、線画ではさほど目立たないが、写真画等のベタ画像では目立ち易い。
そこで、定着部材を研磨することによりその表面性をリフレッシュさせる画像形成装置が(例えば、特許文献2乃至4)提案されている。
この技術では、砥粒を含む摩擦部材を回転する定着部材に接触させ、定着部材の表面を研磨する構成が用いられている。
摩擦部材の研磨により定着部材の表面を均一化することで定着時の光沢の差などをなくすことが可能になる。
ところで、画像形成装置で形成される複写画像には、モノクロ画像だけでなく、フルカラー画像や画像全域あるいは局部の光沢度を異ならせた画像がある。
このため、画像形成装置に用いられるトナーには、R,G,B色と補色関係にあるC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)、及びK(黒)の色トナーを準備するほかに、5色目のトナーとして、画像全域での光沢度の変更あるいは局部的に光沢度を変更したスポット画像を形成する際に用いる白トナーや透明トナー(例えば、特許文献5乃至7)を準備する場合がある。
白トナーや透明トナー(クリアトナー)は、特別なトナーとして用いられるもので、フルカラー画像を形成するトナーの上層部に盛り付けて光沢度を出す場合や4色と異なる色の画像を形成するために用いられる。
これらトナーは、定着時に受ける熱による定着部材へのオフセットやトナー粒子同士の付着をそれぞれ防止するためにワックスなどの添加剤が含まれている。
定着装置を通過する用紙が増えるにしたがって、定着部材に付着するトナーおよびこれに含まれているワックスなどの添加剤の量も多くなり、これによっても定着部材の表面での平滑性が失われて上述した場合と同様に光沢度が変化する。
定着部材の平滑性を回復させて表面をリフレッシュすることは、摩擦部材により研磨することで可能となる(例えば、特許文献2,3)。しかし、トナーや添加剤は、摩擦部材の研磨面に埋没すると、研磨作用が十分でなくなることを理由に、研磨とは別に拭き取ることで除去することが多い。
特に、トナーや添加剤の除去には、研磨時の圧力よりも低い圧力で拭き取るだけでよいので、研磨のための摩擦部材とは別に定着部材表面への圧力が研磨と異なるように設定された拭き取り部材を設ける場合がある。
しかし、研磨および拭き取りのための部材を設けるのは構成や動作制御が複雑となる。
研磨に用いられる部材の動作制御に関しては、リフレッシュ動作のために摩擦部材を定着部材に当接させて稼働させる時間を定着部材の表面温度に基づき設定することが行われる(例えば、特許文献2)。リフレッシュ部材を用いた回復処理に要する時間に応じてリフレッシュ時の動作時間を増加させることで定着部材表面での研磨効率の低下を抑制する技術を用いることもある(例えば、特許文献3)。
以上の研磨を対象とする制御は、研磨と機能が全く異なる拭き取り作業にそのまま適用することはできない。つまり、拭き取り作業は、上述したように、研磨と動作条件において共通項がなく、研磨条件をそのまま適用した場合には、研磨部材により定着部材表面が却って荒らされてしまうことになりかねない。これにより、トナーや添加剤が除去された部分の凹凸状態が悪化し、この部分での光沢度が変化するという新たな問題が生じる。
本発明の目的は、回転体の表面に生じる凹凸が原因する光沢度の変化を、簡単な構成で防止または抑制できる定着装置および画像形成装置を提供することにある。
この目的を達成するため、本発明は、互いに当接して記録媒体に対するニップ部を形成する第1の回転体及び第2の回転体と、前記ニップ部の温度を昇温させるための加熱部材と、前記第1の回転体及び/又は前記第2の回転体に当接して当該回転体の表面状態を改善する当接部材と、前記当接部材を当該回転体に接離させる接離部と、を有し、前記接離部は、前記表面状態の推定劣化度に応じて前記当接部材の当該回転体への当接を調整する定着装置にある。
本発明によれば、回転体の表面状態の劣化度を推定した結果に応じて当接部材を回転体に当接させて研磨あるいはトナーやワックスなどのトナー添加剤の除去が可能となり、回転体の表面状態を改善して光沢度の変化を防止または抑制できる。
本発明の実施形態にかかる定着装置の一例を用いる画像形成装置の構成の一例を説明するための図である。 図1に示した定着装置の構成を説明するための模式図である。 図1に示した定着装置に用いられる制御系の構成を説明するためのブロック図である。 図3に示した制御系に用いられる入力条件となるパラメータと制御系により実行される当接部材の動作モードとの関係を説明するための表図である。 図3に示した制御系で実施される当接部材の当接制御の一例に関する原理を説明するためのタイミングチャートである。 図3に示した制御系により実行される当接部材の接離制御の基本的内容を説明するためのフローチャートである。 図3に示した制御系により実行される当接部材の作動モードの一例を実行するための手順を説明するフローチャートである。 図3に示した制御系により実行される当接部材の作動モードの他の例を実行するための手順を説明するフローチャートである。 図3に示した制御系で実行される当接部材の当接条件である線速差によるトナー及び/または添加剤の除去率を説明するための線図である。 図3に示した制御系により実行される当接部材の作動モードの別の例を実行するための手順を説明するフローチャートである。 図3に示した制御系により実行される当接部材の作動モードの他の例を実行するための手順を説明するフローチャートである。
以下、図面に基づき本発明を実施するための形態の一例について説明する。
本発明の実施形態に係る定着装置の一例を用いる画像形成装置100は、プリンタを対象としているが、本発明では、これに限ることなく、複写機やファクシミリ機およびこれら機能の複合機が対象となり得る。
画像形成装置100の内部には、中間転写装置102に備えられている転写ベルト102Aの展張面に沿って複数の感光体ドラム101Y,101M,101C,101K,101Tが並置された作像部101が設けられている。なお、符号Y,M,C,K及びTは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、及び透明を意味している。
作像部101では、上記感光体ドラム101Y,101M,101C,101K,101Tが図示しないユニット内に設けられている。
各ユニット内の構成は同じであるので、いま、透明トナー画像を形成可能な感光体ドラム101Tを備えたユニットを対象としてその構成を説明すると次の通りである。
感光体ドラム101Tは、図示矢印方向に回転することができ、その周囲には、回転方向に沿って画像形成処理を行う帯電装置105T、書き込み装置106T、現像装置107T、除電装置108T、クリーニング装置109Tが配置されている。
感光体ドラム101Tが現像後に移動する位置には、複数のローラ102A1、103(YMCKT)〜104Aなどに掛け回された転写ベルト102Aを備えた中間転写装置102が配置されている。
中間転写装置102の近傍には、転写ベルト102Aを挟んで2次転写ローラ104Aと対向するバックアップローラ104Bを備えた2次転写装置104が設けられている。
作像部101の下方には、給紙装置110が設けられている。
給紙装置110には、記録媒体となる記録紙Pを収容した給紙カセット111と、給紙カセット111から記録紙Pを繰り出す繰り出しローラ112と、レジストローラ113に至る記録紙Pの搬送路114が設けられている。なお、符号をつけないが、搬送路114には、複数の記録紙搬送ローラが設けられている。
作像部101の上方には、画像形成装置本体上面に設けられた原稿載置台115Aと読み取り素子115Bとを備えた原稿走査部115が設けられている。
定着装置116を通過した記録紙は、排出ローラ118を介して排出トレイ119に排出される。
2次転写装置104において転写ベルト102に担持されたトナー像を転写された記録紙Pが移動する位置には、図2において詳細を説明する定着装置116が配置されている。
定着装置116は、図2に示すように、ベルト定着方式が用いられている。
具体的には、記録紙の搬送路に対向する定着ローラ116Aおよび定着ベルト116Bのいずれかが用いられる第1の回転体と、搬送路を挟んで第1の回転体と対向する加圧ローラ116Cが用いられる第2の回転体が設けられている。図に示す構成では、第1の回転体として定着ベルト116Bが選択されている。
定着ベルト116Bは、PI(ポリイミド)樹脂からなる層厚90μmのベース層上にシリコーンゴムなどの弾性層およびその上層に離型層が順次積層された多層構造の無端ベルトである。
定着ベルト116Bの弾性層は,層厚が200μm程度であって,シリコーンゴム、フッ素ゴム、発泡性シリコーンゴム等の弾性材料で形成されている。定着ベルト116Bの離型層は,層厚が20μm程度であって,PFA(4フッ化エチレンバーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、PES(ポリエーテルサルファイド)等で形成されている。
定着ベルト116Bの表層に離型層を設けることにより,トナー(トナー像)に対する離型性(剥離性)が確保されることになる。
定着ベルト116Bと加圧ローラ116Cとは互いに当接しながら回転することによりニップ部Nを形成することができる。
ニップ部Nは、加熱源Hを内蔵している加熱部材である加熱ローラ116Dに定着ベルト116Bが掛け回されて回転移動することにより昇温され、記録紙Pに対して定着に必要な熱を供給することができる。
記録紙Pは、ニップ部Nを通過するときに熱と圧力とを受けることにより、トナーの融解・浸透を介してトナー像が定着される。なお、図2において符号116E,116Fは、ニップ部Nを通過した記録紙を各ローラ表面から剥離する分離部材を示している。また符号TRは、定着ベルト116Bに張力を付加するテンションローラを示している。
定着装置116には、定着ベルト116Bに当接して、その表面状態を改善(リフレッシュ)する当接部材117が設けられている。
当接部材117は、図2に示すように、定着ベルト116Bを挟んで定着ローラ116Aと対向し、ベルト表面に当接して移動可能な部材であり、図2において符号123Aで示す接離部によって定着ベルト116Bに対して接離されるようになっている。当接部材117は、記録紙Pの最大幅に対応する軸線方向の長さを有し、定着ベルト116Bとは独立して回転制御可能である。
当接部材117には、定着ローラ116Aの外周面に当接しながら回転できるローラが用いられ、図2(B)に示すように、その表面に微細な砥粒が多数散乱させてある。具体的には、次の構成を備えている。
芯金117Aの外周に、シリコーンゴムやフッ素系樹脂などを用いたバインダー層117Bが設けられ、バインダー層117Bに砥粒117Cが多数分散されている。砥粒117Cには、白色アルミナ、褐色アルミナ解砕型アルミナ、淡紅色アルミナ、黒色炭化ケイ素、ダイヤモンド、CBNなどが用いられる。砥粒117Cの粒度(粒子の大きさ)は、例えば、♯1500番が用いられているが、定着部材の材質や摺擦条件などに基づき最適な番手が選択される。番手の選択に際しては、表面を荒らしすぎると筋状の異常画像が発生することや、画像の光沢度が低下するなどの弊害が生じないことを目的に選択することが望ましい。これとは逆に荒らし具合が少ないと定着部材の固形物除去及び局所的な塑性変形において均一性が得にくい。このような理由により番手♯600〜3000の範囲から選択することが望ましい。
当接部材117は、定着ベルト116Bに接離可能な研磨部材として用いられる。このため、当接部材117は、研磨時あるいはトナーや添加剤の除去時にバックアップローラとしても機能する定着ローラ116Aと対向する位置に配置されている。なお、当接部材117は、砥粒を表面に散乱させる代わりに、例えば、サンドブラスト処理などにより所定の表面荒さとすることも可能である。
当接部材117を定着ベルト116Bに接離させる接離部123Aは、図3に示して後述する熱量推定手段200および劣化推定手段300を用いて判断される定着ベルト116Bの劣化度に応じて当接部材117を定着部材116Bに当接させる制御を行う。
接離部123Aの接離制御は、図1及び図3に示す制御部400が用いられる。
制御部400は、接離部123Aの接離制御専用に設けられる場合もあるが、図3に示す制御部400は、画像形成装置100の画像形成シーケンス制御に用いられる制御部が援用されている。
図3に示すように、本実施の形態に関連する構成として、インターフェースI/Fを介して制御部400の入力側には操作パネル120と、枚数カウンタ121と、通紙タイマー122が接続され、出力側には接離駆動部123と回転駆動部124が接続されている。
操作パネル120(図1参照)は、印字モード、印字枚数、紙種及び紙厚の入力が可能な部材であり、液晶パネル120Aやキースイッチ120Bが備えられている。
印字モードには、記録紙Pのサイズ及び向きに関する情報も含まれ、モノクロ画像モードと、4色トナーを用いるフルカラー画像モードと、4色トナーに加え白色トナーあるいは透明トナー(特色トナー)を用いる特殊カラーモードとしての5色画像モードのいずれかが選択される。
印字モードの入力時には、読み取り素子115B(図1参照)からの情報を用いた印字率が入力され、記録紙Pに対して使用されるトナーの量を把握できるようになっている。印字率は、記録紙サイズに対する画像面積率が用いられる。
画像面積率は、記録紙の搬送方向に対する記録紙の向きが異なっても同じ値となるので、予め、記録紙の搬送方向に対する向きを指定しておくことで、同じ画像面積率でも通紙時間により熱量が異なる場合に対処できるようにすることが望ましい。
出力側に接続されている接離駆動部123は、当接部材117を定着ベルト116Bに接離させる駆動部であり、また、回転駆動部124は、当接部材117の回転速度や回転方向を設定する駆動部である。
熱量推定手段200は、定着ベルト116Bに接触するトナーの種類、記録媒体として用いられる記録紙の厚さ及び印字率を対象とした記録紙Pの通紙枚数、通紙時間をパラメータとしてトナーの定着に用いられる熱量の積算値を推定する。
熱量推定手段200により推定される熱量の積算値は、定着ベルト116Bに付着するトナーや添加剤の量を推定するために用いられる。熱量推定手段200により推定された熱量は、劣化推定手段300にデータとして送信される。
ここで、トナーや添加剤が定着ベルト116Bに付着した場合の問題点について説明する。トナーや添加剤が定着ベルト116Bに付着すると、これが固着した場合に表面の平滑性が低下し、光沢度などに影響を及ぼす。
そこで、上述した熱量推定手段200により推定された熱量が送信される劣化推定手段300において、上述した各パラメータに基づいて定着ベルト116Bの表面状態の劣化度を推定する。推定した劣化度に基づき、劣化推定手段300は、定着ベルト116Bの研磨条件及びトナーや添加剤の除去条件を割り出し、当接部材117を定着ベルト116Bに接離させる接離部123Aの動作を行わせる。
上述した、当接部材117に接触するトナーとは、定着ベルト116Bの表面に積層されたトナーのうちで最上位のトナーを意味している。
最上位のトナーが当接部材117に接触する場合には、4色のトナーを積層した場合の最上位のトナーが接触する場合、4色トナーの最上位トナーに、例えば、透明トナーを積層した場合あるいは単一色トナーに透明トナーなどを積層させた場合が該当する。単一色のトナー上に透明トナーを積層する画像は、スポットカラー画像の一形態として用いられる。
当接部材117に接触するトナーは、フルカラー画像を対象とする作像モードや単一色の画像を対象とする作像モードあるいは単一色あるいはフルカラーに用いるトナー以外の透明トナー等を用いる特殊画像を対象とする作像モードの選択に応じて決まる。
トナーや添加剤の付着量は、通紙枚数や通紙時間を参考にすることで可能となるが、付着状態は、トナーの定着に用いられる熱量が大きく影響する。このため、上記通紙枚数や通紙時間に加えて、さらに詳細な付着状態が上記パラメータを用いることで判断できるようになっている。
熱量推定手段200では、使用されるトナーの種類に影響する印字モード、記録紙Pの種類及び厚さに基づき、式(1)を用いて定着ベルト116Bの表面状態の改善(リフレッシュ)が必要となる熱量が推定されて推定熱量を得る際に重み付け処理が行われる。なお、推定熱量を求める際の式(1)において重み付け係数は、符号a,bで示されている。
積算熱量(α)=a×フルカラー画像モードの通紙枚数+b×特色トナーを用いる5色
画像モードでの通紙枚数・・・(1)
式(1)において、フルカラーモードとは、C,M,Y,Kの各色トナーを用いた画像形成に相当している。また、透明トナーを用いるモードとは、フルカラー画像の最上位トナーの上層に特色トナーを積層して光沢度を調整する特殊カラーモードによる画像形成に相当している。
重み付け係数a,bに関しては、次の理由により、例えば、a=1.0,b=0.2というように、a>bの関係が用いられている。
透明トナーや白色トナーなどの4色以外の特色トナーを用いる特殊カラーモードの場合、画像上のトナー総量が多くなる。このため、定着時での必要熱量を供給する際には、画像形成処理時間、つまりプロセス線速がフルカラー画像形成の場合よりも低速化される。
プロセス線速を低下させるのに併せて定着温度が低くなる。このため、定着温度が低いほどワックスなどの添加剤の浸み出しが少なくなり、これら物質が定着ベルト116Bに付着する確率は低くなる。この結果、4色以外の特色トナーを用いる5色画像モードを対象とする重み付け係数は、フルカラー画像モードに比べて低い値を用いる。
また、特色トナーである白色トナーや透明トナーは、フルカラー画像に用いられるトナーと処方が異なることが多い。
特に、5色画像モードでの特色トナーがフルカラー画像に用いられるトナー層の最上位トナーの上面に積層されて第1の回転体である定着ベルト116Bに接触する場合には、その特性上、フルカラー画像に用いられるトナーよりも付着率が低い。このような理由からも、4色以外の特色トナーを用いる特殊カラーモードの5色画像モードを対象とする重み付け係数は、フルカラー画像モードに比べて低い値を用いることができる。
熱量推定手段200では、上記式(1)のように、通紙枚数だけでは使用されるトナーの量に応じた定着熱量の推定による推定熱量を正確に判別できない場合がある。つまり、トナーの種類や印字率により同じサイズの記録紙であってもプロセス速度を異ならせる場合があるため、供給される熱量も異なることがある。
そこで、熱量推定手段200では、通紙枚数ではなく、式(2)に示すように、通紙時間を用いて供給熱量を積算して定着熱量を推定して推定熱量を求めることも可能である。
この場合の通紙時間は、上述したように、フルカラー画像を形成する場合とフルカラー画像に用いられるトナーとは別に白色トナーや透明トナーなどの特色トナーを用いる場合などにおいて設定されるプロセス速度の違いと定着温度の違いとを考慮している。
積算熱量(α)=c×フルカラー画像モードの通紙時間+d×特色トナーを用いる5
色画像モードでの通紙時間・・・(2)
式(2)においても、画像モードに応じた推定熱量算出時での重み付け処理が行われ、重み付け係数として、符号c、dが用いられる。
重み付け係数c、dに関しては、例えば、a=1.0,b=0.2というように、a>bとした場合と同様な関係が用いられている。これは、上述したように、例えば、透明トナーを用いる場合には、プロセス線速がフルカラー画像形成時よりも低速化し、また定着温度も低いために供給熱量もフルカラー画像形成時よりも低くなることが理由である。
また、通紙時間を算出するのは、前述したように同じ画像面積率であっても搬送方向に対する記録紙Pの向きによって熱を供給する時間が異なるので、実際に実行される記録紙Pの搬送状況に則した熱量を算出するためである。
上記重み付け係数a〜dに関しては、フルカラー画像モードや透明トナーを用いる特殊カラーモードの5色画像モードなどの印字モードに加えて、操作パネルにおいて指定される記録紙Pの種類、紙厚が考慮されて決められる。
記録紙Pの種類には、普通紙、コート紙、非コート紙が挙げられる。これら紙種は、表面状態が異なる。例えば、コート紙の場合、普通紙よりも表面の平滑性が高められて光沢性も高められており、例えば、白色顔料などが塗工処理された紙である。非コート紙は、コート紙よりも光沢を抑えたケント紙などである。なお、以下の説明において記録紙の種類と同義語として紙種と短く表現する場合があることを前置きしておく。
これら紙種は、表面の平滑性に起因してトナーの付着状態に影響する。また紙厚は、供給熱量に影響する。
以上の要素を考慮して、トナー及び/または添加剤の付着状態の違いにより熱量算出時での重み付け係数を適宜変更する。
図4は、当接部材117の当接制御に用いられる記録紙Pの種類などの各要素をリストアップした表図であり、同図に示すように、定着ベルト116Bに対する供給熱量を算出する際の上記式(1)、(2)に用いられる重み付け係数を決める要件として用いられる。
紙種及び紙厚に基づく重み付け係数、例えば、上記式(1)に用いる重み付け係数a,bは、表1に示す値が用いられている。
Figure 2016066035
制御部400に備えられている劣化推定手段300は、熱量推定手段200において求められた熱量の積算値を、予め登録されている閾値と対比する。この場合の閾値は、当接部材117の当接開始時期に対応する熱量に相当している。この閾値は、劣化推定手段300に接続されているROM301に保存されている。
接離部の接離制御対象としては、上述した当接部材117の当接開始時期、当接時間に加えて、当接部材117の回転方向及び定着部材116Bとの間の線速差を用いることもでき、少なくとも一つが接離制御に用いられる。
劣化推定手段300では、熱量推定手段200から送信される熱量の積算値を閾値と常時対比するだけでなく、事情が許せば、任意時間間隔で対比を行うことができる。
この場合の事情が許せばというのは、例えば、重み付け係数が低くなる条件が継続されているような場合、換言すれば、トナーや添加剤の付着が少ない画像モードが継続されているような場合をいう。
劣化推定手段300は、当接部材117の当接調整制御を行うが、その制御内容としては、当接部材117が、定着ベルト116Bの表面を研磨する第1のモードと、トナーや添加剤を除去する第2のモードとを選択する場合が含まれている。
このため、劣化推定手段300は、通紙枚数あるいは通紙時間により推定される劣化度に応じて第1のモードの選択を、そして、熱量推定手段200により推定された熱量の積算値により第2のモードを選択できるようになっている。選択されたモードの作業内容は、図4において各モードの横に括弧書きにて表示されている。
第1,第2のモードをそれぞれ選択される当接部材117は、劣化推定手段300において推定される定着ベルト116Bでの劣化度に基づき各モードでの当接開始時期および当接時間そして回転方向および回転速度が調整される。
なお、第1,第2のモードのいずれも通紙枚数、通紙時間をパラメータとして用いているので、第1のモード実行時に第2のモードを実行するための条件が整った場合には、第1のモードに連続させて第2のモードを実行すればよい。
また、エラー信号の発信等により、第1のモードを実行する前に第2のモードを実行する条件が整ったと同じ状態が発生した場合には、エラーチェックにより誤った信号であると判断することも可能であるが、次の処理を実行することもできる。つまり、第2のモード実行後に第1のモードを実行し、その後、再度、第2のモードを実行して第1のモード時に荒れた定着ベルト116Bの表面を均すようにしてもよい。
劣化推定手段300により接離制御される接離部123A(図3参照)は、図5のタイミングチャートに示すタイミングにより第1のモードおよび第2のモードが実行される。第1のモードは、例えば、画像モードにおける通紙枚数や通紙時間を開始条件として実行され、第2のモードは、熱量推定手段200からの熱量の積算値に基づき実行される。
図5に示すタイミングチャートは、熱量の積算値が閾値に達する前に通紙枚数あるいは通紙時間が所定値に達した時点が現出し、そしてこの時点の後に熱量の積算値が閾値に達する時点が現出する場合を対象としている。
このため、定着装置の始動時からの経過時間T1において通紙枚数あるいは通紙時間が所定値に達すると、第1のモードが実行され、このときの当接部材117への当接時間(T1’)は、第2のモードでの当接時間(T2’)よりも長くなるように調整されている。これは、トナーや添加剤を除去する場合の拭き取り動作に対して表面を研磨する動作の方が時間を要するためである。このときの当接時間は、予めROM301に登録されている時間が用いられる。従って、当接時間に所定値に達すると、当接部材117は、定着ベルト116Bから離される。このように、接離部123Aは、ニップ部Nを通過する記録紙Pに与えられる熱量を熱量推定手段200により推定された熱量に基づき、劣化推定手段300により判定される劣化度に応じて定着ベルト116Bに当接することができる。
一方、熱量の積算値が閾値に達した時点を開始条件として、定着ベルト116Bから離れていた当接部材117が再度定着ベルト116Bに当接して第2のモードが実行される。
当接部材117は、第2のモード実行時に定着ベルト116Bに当接した際の回転方向及び定着ベルト116Bとの間の線速差が次の状態とされている。
図5(A)は、定着部材116Bの移動方向に倣う順方向に当接部材117が回転する場合を示している。この場合には、研磨効果を高めるために、定着ベルト116Bの移動速度に対して第2のモード時よりも当接部材117の回転速度を速めて(図中、符号V0で示す状態)線速差を大きくしている。
これにより、当接部材117が定着部材116Bの移動方向に倣った方向である順方向に回転する場合には、線速差を大きくすることにより摺擦機会を増やして研磨効果を高めることができる。このときには、いままで継続されている回転方向をそのままにして回転速度のみを上昇させるだけの制御が行われる。
図5(B)は、第1のモード実行時において定着ベルト116Bの移動方向に対して当接部材117の回転方向を逆方向に設定した場合を示している。
図5(B)に示す状態は、図5(A)に示した状態に対して、当接部材117の回転方向及び線速差が異なっている。つまり、第1のモードでは当接部材117の回転方向が定着ベルト116Bの移動方向と逆の関係とされている。
当接部材117が定着ベルト116Bの移動方向と逆方向に回転すると、相対的移動により定着ベルト116Bの表面に対する剪断力が強くなる。このため、定着ベルト116Bの表面を研磨する効率も高くなる。
このときの定着ベルト116Bと当接部材117との線速差は、上記剪断力が強まることを考慮して、図5(A)に示す移動速度(V0)よりも低速(図5(B)中、符号V1で示す速度(V0>V1))とし、線速差を小さくしても研磨効率を低下させないようにできる。
当接部材117の回転方向を、例えば、図5(B)に示したような逆転関係である場合から図5(A)に示した順方向に切り替えた場合には、研磨時に作用する上記剪断力により荒らされていた表面が均されて平滑性を回復できる。
なお、当接部材117は、上述した順方向及び逆方向への切り替えを必須とするものではなく、線速差を適宜変更することで研磨と異物除去とが可能となる。
当接部材117は、研磨及びこれとは機能や動作条件が異なるクリーニングという機能をそれぞれ担う部材として用いられ、その稼働条件は、上述した各パラメータにより決定される。
制御部400では、熱量推定手段200において、式(1)、(2)により求められた熱量の積算値が劣化推定手段300に送信され、予め設定されている閾値との対比が行われた結果から劣化度を推定して当接部材117の当接制御が実行される。制御部400を用いた当接部材117の当接動作は、図6に示すように、当接部材117が定着ベルト116Bに対して所定圧力により当接される(S1)。
当接部材117は、当接しながら回転することによって定着ベルト116Bの表面を研磨あるいは研磨とともにクリーニングすることで定着ベルト116Bの表面状態を回復させ、トナーや添加剤を回収して除去する(S2)。定着ベルト116Bの表面状態が回復(リフレッシュ)され、また表面に付着していたトナーや添加剤が除去されると当接部材117が定着ベルト116Bの表面から離れる(S3)。
次に、制御部400で実行される図5の内容を対象とした制御手順を説明する。なお、図7,図8において同じ処理が用いられるステップの符号は同じ符号で示すことを前置きしておく。
図5(A)に示したタイミングチャートに基づく制御手順は、図7に示すように、通紙枚数あるいは通紙時間がチェックされ(ST10)、これら要件が所定値に達した場合には、第1のモードが実行される(ST11)。
第1のモード実行時には、図6において符号S1〜S3で示すステップの処理が実行される。
一方、熱量推定手段200において実行される式(1)、(2)により熱量の積算値が劣化推定手段300に送信され、劣化推定手段300において閾値と対比される(ST12)。
対比結果に基づき第2のモード実行の場合には、第2のモードに対する当接部材117の当接条件である、回転方向及び定着ベルト116Bとの間の線速差を設定できる回転速度が決められて当接部材117が定着ベルト116Bに当接して回転する(ST13)。
当接部材117が当接しながら所定時間の回転を完了すると、定着ベルト116Bから当接部材117が離される(ST14)。
以上の手順により、当接部材117は、第1のモード実行後に定着ベルト116Bの移動方向に倣った順方向に回転しながら線速差を利用して定着ベルト116Bの表面に付着しているトナーや添加剤を拭き取るとともにその表面を均す。
図5(B)に示したタイミングチャートに基づく制御手順は、図8に示すように、通紙枚数あるいは通紙時間がチェックされ(ST10)、これら要件が所定値に達した場合には、第1のモードが実行される(ST11)。
第1の実行時には、図7に示した手順と同様に、図6において符号S1〜S3で示すステップの処理が実行される。
一方、熱量推定手段200において実行される式(1)、(2)により熱量の積算値が劣化推定手段300に送信され、劣化推定手段300において閾値と対比される(ST12)。
対比結果により第2のモード実行である場合には、第2のモードに対する当接部材117の当接条件である、回転方向及び定着ベルト116Bとの間の線速差を設定できる回転速度が決められて当接部材117が定着ベルト116Bに当接して回転する(ST13’)。
この場合の回転方向は、定着ベルト116Bの移動方向と逆方向であり、また、この回転方向に併せて線速差は、図7に示した場合よりも小さくなる回転速度(V1)が設定される(V0>V1)。
当接部材117が当接しながら所定時間の回転を完了すると、定着ベルト116Bから当接部材117が離される(ST14)。
以上の手順により、当接部材117は、第1のモード実行後に定着ベルト116Bの移動方向と逆方向に回転しながら線速差を利用して定着ベルト116Bの表面に付着しているトナーや添加剤を拭き取るとともにその表面を均す。
以上の構成においては、互いに機能及び動作条件が異なる研磨機能とトナーや添加剤等の異物除去機能を単一部材である当接部材117によって発揮させることができる。
本発明者は、この構成を用いた定着装置の寿命について実験したところ、次の結果を得た。
熱量推定手段200で算出される式(1)による熱量の積算値を基準として当接部材117による研磨及び異物除去を、フルカラー画像モードと透明トナーを用いる特殊カラーモードの5色画像モードとを対象とした。この場合、前者の画像モードで当接部材117の寿命が10倍程度増加した。
また、後者の画像モードでは、フルカラー画像モードと特殊カラーモードの5色画像モードとをそれぞれ50%の使用率とした場合、当接部材117の寿命が1.7倍増加した。
熱量推定手段200で算出される式(2)による熱量の積算値を基準として式(1)を用いた場合と同様に、フルカラー画像モードと透明トナーを用いる特殊カラーモードの5色画像モードとを対象とした結果は、約50%の延命が確認できた。つまり、式(1)での当接部材117の寿命よりもさらに約50%延びる結果が得られた。
また、平均的な使用状況を対象とする評価においては当接部材117の寿命は約50%延びることが確認できた。
一方、式(2)において用いられる重み付け係数c,dを記録紙の紙種や紙厚を基準にして設定することにより、定着ベルト116Bへのトナーや添加剤の付着による光沢ムラなどの異常画像の発生率を約75%低減できることを確認できた。
さらに、平均的な使用状況を対象とする評価においては、当接部材117の寿命が約75パーセント伸びることも確認できた。
定着部材116Bと当接部材117との間に線速差を設けることにより、線速差を設けない場合と比較して以下の結果を得た。
この比較結果は、図5(A)に示したように、当接部材117が定着ベルト116Bの移動方向に倣って順方向に回転する場合を対象とし、例えば、添加剤として用いられるワックスの除去率を用いて表される。
ワックスの付着率は、同量のワックスを定着ベルト116Bに固着させ第2のモードによる除去作業前の定着ベルト116Bの重量を計測して、式(3)により算出した。
除去率(%)=(第2のモード実行前の定着ベルトの重量(g))−(第2のモード実行後の定着ベルトの重量(g))/(第2のモード実行前の定着ベルトの重量(g))−(ワックス固着なし状態での定着ベルトの重量(g))×100(%)・・・(3)
図9は、上記式(3)による除去率を、線速差を設定した場合と線速差がない場合とにおいて比較するための図である。
同図に示すように、線速差を設定した場合の方が、線速差がない場合に比べてワックスの除去率が約3倍程度改善されていることが確認された。
一方、当接部材117による定着ベルト116Bの研磨およびクリーニング作業を行う際の劣化推定手段300での劣化度推定には、上述したようなトナーの添加剤であるワックスの付着あるいは固着量を用いることも可能である。
トナーの表面に添加されているワックスの量は同品種のトナーであっても製造ロット単位で差がある。このため、トナーの表面ワックス量が多いと、トナーのワックス成分が定着ベルト116Bに固着する頻度も高く、逆にトナーの表面ワックス量が少ないと定着ベルト116Bへの固着頻度は低くなる。
そこで、トナーのワックス量をトナー特性値情報として係数化し、この係数化したトナー特性値係数と通紙枚数との乗算値から得られる累積通紙枚数を前述した推定熱量を用いた場合と同様に、定着ベルト116Bの推定劣化度の判別に用いる。
この場合の推定劣化度としては、トナーに含まれるワックスの量に基づくトナー特性値係数と通紙枚数との積に基づいて求められる累積通紙枚数が用いられる。
累積通紙枚数は、制御部400が、図3に示した熱量推定手段200の代わりに累積通紙枚数算出手段200Pとして機能することで算出される。累積通紙枚数算出手段200Pによって算出された累積通紙枚数は、劣化推定手段300にデータとして送信される。劣化推定手段300は、累積通紙枚数が所定値に達した時点で接離部123Aを駆動し、当接部材117を定着ベルト116Bに当接させる制御を行う。
トナー特性値係数は、トナーボトルの製造ロット毎に管理されるトナー表面ワックス量であり、公差中心を1.0とし、本形態では、1.0±0.3の範囲で特性値管理が行われて出荷される。
このトナー特性値係数は、各トナーボトル(図1において符号T1,Y1,M1,C1,K1で示す)に設けられたICチップ(便宜上、図1において透明トナーを対象とするトナーボトルに符号T1Sで示す)に記録されている。
まず、単一色の画像を対象とする作像モードにおいてトナー特性値係数を用いて累積枚数を求める場合には次式(4)が用いられる。
累積通紙枚数=a1×通紙枚数・・・(4)
ただし、a1:トナー特性値係数
累積通紙枚数を用いて定着ベルト116Bのリフレッシュ開始時期であるかどうかの判断は、予め設定されている定着リフレッシュ実行通紙枚数と対比することで行われる。定着リフレッシュ実行通紙枚数を超える場合に当接部材117が定着ベルト116Bに接触を開始される。
この場合の処理は図10に示すフローチャートの手順が実行される。
図10において、累積通紙枚数のチェックはジョブエンド毎に実行される(ST20,ST21)。
ステップST21において累積通紙枚数が定着リフレッシュ実行通紙枚数に達した場合には、定着リフレッシュ作業が実行される(ST22)。この場合の定着リフレッシュ作業は、図7および図8において説明したと同様な、第1のモード、第2のモードを用いることができる。
累積通紙枚数を求める際には、作像モードのうちでフルカラー画像を対象として使用されるトナーが複数ある場合には、次式(5)に示すように、各トナーのトナー特性値係数の平均値を通紙枚数の重み付けに用いる。
累積通紙枚数=(b1+c1+d1+e)/4×通紙枚数・・・(5)
ただし、b1:シアントナー特性値係数、c1:マゼンタトナー特性値係数、d1:イエロートナー特性値係数、e:ブラックトナー特性値係数
ところで、作像モードには、単一色の画像を対象とする作像モードあるいはフルカラー画像を対象とする作像モードが混在して実行される場合がある。この場合には、各作像モードで使用される定着温度が異なる。
具体的には、単一色の画像を対象とする場合には記録媒体上でのトナー総量が少ないため、トナー総量が多くなるフルカラー画像を対象とする場合に比べて定着温度を低めにでき、そしてフルカラー画像作像時には定着温度を高めにする必要がある。このため、作像モードの履歴において作像モードが混在している場合には、それぞれの作像モードでの累積通紙枚数が用いられ。各累積通紙枚数に対して定着温度の違いによる補正処理が行われる。
各作像モードでの累積通紙枚数は、式(4)、(5)に示したように、トナー特性値係数と通紙枚数との乗算値の総和で得られる。
作像モードが混合している場合には、次式(6)に示すように、各作像モードでの累積通紙枚数を対象としてその作像モードでの重み付け係数α、βが用いられる。
累積通紙枚数={α×(b1+c1+d1+e)/4×通紙枚数}+{β×e×通紙枚数}・・・(6)
ただし、α、β:フルカラー画像の作像モード及び単一画像の作像モードでの作像モード係数
この作像モード係数は、作像モードによって上述したように定着温度が異なることを踏まえて定着ベルト116Bへのトナーワックス成分の固着状態が異なることに応じた重み付け係数である。
本形態では、定着温度が低い方が定着工程でのトナーワックスの浸み出し量が少なく、定着ベルト116Bへのトナーワックス成分の固着や付着の程度が低いので、フルカラー画像の作像モードでの係数α(1.0)に対して係数βが0.5に設定されている。
なお、作像モード係数α、βは、定着装置の構成や定着温度条件、トナーの物性等により変更して適正化することが望ましい。
上述した作像モードは、単一色あるいはフルカラーの画像形成を対象としているが、これに加えて、光沢度を向上させるために透明あるいは白色の特殊トナーを用いる特殊画像を対象とする作像モードがある。
特殊画像の作像モードでは、フルカラー画像の作像モードよりもさらに記録媒体上でのトナーの総量が多くなる。このため、定着性を確保するためにプロセス線速がフルカラーの作像モードよりも低速化される。具体的には、単一色あるいはフルカラー画像の作像モード時でのプロセス線速が500mm/secであるのに対し、特殊画像の作像モード時では低速の250mm/secに設定されている。
プロセス線速が低い場合には、ニップ時間が長くなることが原因してトナーワックスの浸み出し量が多くなる。このため、定着ベルト116Bに対するトナーワックス成分の固着や付着の促進度合いが増す結果となる。
このような場合を対象として、累積通紙枚数を求める際には、前述した作像モード係数を、フルカラー画像の作像モードでの作像モード係数よりも高くする。具体的には、単一色画像の場合の係数αを1.0とした場合、フルカラー画像の場合の係数βを0.5とし、特殊画像の場合の係数γを、フルカラー画像の場合よりも大きい2.0とする。
このように累積通紙枚数を求める際の作像モードに応じた重み付けを行い、次式(7)により作像モードの混在時での累積通紙枚数を求める。
累積通紙枚数={α×(b1+c1+d1+e)/4×通紙枚数}+{β×e×通紙枚数}+{γ×(b1+c1+d1+e+f)/5×通紙枚数}・・・(7)
なお、作像モード係数α、β、γは、定着装置の構成や定着温度条件、トナーの物性等により変更して適正化することが望ましい。
以上のような作像モードに応じた累積通紙枚数の算出に際してトナー特性値係数、作像モード係数を用いて重み付けを行う。これによって、定着ベルト116Bのリフレッシュ動作が過剰に行われることがなく、研磨部材や拭き取り部材の寿命低下の防止および定着ベルト116Bの表面改質不足による異常画像の発生を防止又は抑制することができる。
一方、当接部材117による定着ベルト116Bの研磨およびクリーニング作業を行う際の劣化推定手段300での劣化度推定には、使用される銘柄毎の用紙を対象とする種類および厚さに基づく重み付け係数を用いることも可能である。
銘柄毎の用紙、いわゆる銘柄用紙は、図4に示した紙種である普通紙、コート紙および非コート紙とは別に、同一呼称であっても坪量や厚さ等の仕様が製紙メーカー毎で異なり、定着温度も異なる用紙が対象となる。
そこで、本形態では、使用される用紙の銘柄を検知し、用紙銘柄毎に固有の紙種紙厚係数を重み付け係数として予め決めておき、紙種紙厚係数と通紙枚数との積によって求められる累積通紙枚数を推定劣化度の判断に用いるようになっている。
累積通紙枚数は、制御部400が、図3に示した熱量推定手段200の代わりに累積通紙枚数算出手段200Pとして機能することで算出される。累積通紙枚数算出手段200Pによって算出された累積通紙枚数は、劣化推定手段300にデータとして送信される。劣化推定手段300は、累積通紙枚数が所定値に達した時点で接離部123Aを駆動し、当接部材117を定着ベルト116Bに当接させる制御を行う。
累積通紙枚数算出手段200Pで用いられる銘柄用紙毎の紙種紙厚係数a2は、例えば、表2に示す値が選択される。
Figure 2016066035
表2に示す定着条件である定着温度は、紙厚が厚くなるほど一般的に高くなる傾向となる。表2において用紙Dは、厚さが厚い特殊紙であり、同じ坪量の用紙Bに対して定着温度を高く設定する必要がある用紙である。
このように定着温度が高くなると、前述した場合と同様に、ワックス等のトナー成分が定着ベルト116Bの表面に付着あるいは固着する量が増える。このため、劣化判定に用いる累積通紙枚数を求める際の重み付けに用いる紙種紙厚係数a2も大きく設定されている。劣化判定に用いる累積通紙枚数は、式(4)に対応させて通紙枚数と用紙銘柄毎の紙種紙厚係数a2を用いて次式(8)により求められる。
累積通紙枚数=a2×通紙枚数・・・・・(8)
累積通紙枚数を用いた劣化推定手段300での推定劣化判定処理および接離部123Aの接離制御の手順は、図10に示した手順が用いられる。
紙種紙厚係数に関しては、検知された用紙の銘柄に加えて、前述したように、この用紙を対象とする作像モードに応じたトナーの総量、定着性を確保するためのプロセス線速等の定着条件に基づき決定することが必要となる。
例えば、表3には、坪量の異なる銘柄の用紙E,用紙Fを対象として作像モード、作像モードでのトナーの総量およびプロセス線速に基づく紙種紙厚係数b2,c2が示されている。紙種紙厚係数b2,c2は、各モードを対象とする係数に相当している。
Figure 2016066035
紙種紙厚係数の決定に用いられる要件には、定着ベルト116Bに対するワックスなどのトナー成分の付着性あるいは固着性に影響する用紙銘柄、定着温度、プロセス線速そして用紙上のトナーの総量が用いられる。本形態では、紙種紙厚係数を割り出すに当たって、第1に、用紙上のトナー総量上限の設定、第2に、全ベタ画像の作成を条件として連続作像を行い光沢ムラ画像の発生開始枚数を実験によって調査した結果を用いている。なお、紙種紙厚係数に関しては、上記条件にこだわることなく、作像システムや定着構成さらには要求される光沢度などの画像仕様に応じて任意に変更できるものである。
作像モードには、式(1)を用いる場合と同様に、4色の作像ステーション(4st)を用いるフルカラー作像モードと、4色トナーに加えて光沢度を高めるためのトナーが用いられる5色の作像ステーション(5st)を用いる5色クリア作像モードとがある。
同じ銘柄の用紙であっても、作像モードにおいて5色クリア作像モードの方が用紙上でのトナーの総量が多くなる。このため、トナーの総量が多くなる分、ワックスをはじめとするトナー成分が定着ベルト116Bに付着あるいは固着する可能性が高くなる。従って、紙種紙厚係数は、使用トナーの定着に必要な熱量を得るための定着温度を基準として選択されるプロセス線速を参酌して決定される。プロセス線速を参酌した場合の紙種紙厚係数に関しては以下に説明する。
プロセス線速はトナー成分が定着ベルト116Bに付着あるいは固着しやすくなる条件となる。プロセス線速は、同じ銘柄の用紙であっても作像モードによって異なる。具体的には、フルカラー作像モードの場合に標準速度であっても、5色クリア作像モードでは画像光沢品質確保のためにガラス転移状態が得やすくなるようにプロセス線速を低速にしている。このため、プロセス線速が速いほうが必要熱量を得るための定着温度も高くされることから、トナー成分の浸出が多くなることを踏まえ、紙種紙厚係数を大きくしている。
次に、一つの銘柄の用紙を用いて作像モードが異なる場合の紙種紙厚係数について説明する。
画像形成に用いられるトナーには、式(1)の説明に挙げた4色のフルカラートナー、透明トナーや白色トナー等の特色トナーが用いられるが、特色トナーとしては、透明、白色以外に蛍光色のトナーを用いることもある。
これらトナーを用いる作像モードには、4色の作像ステーション(4st)を用いるフルカラー作像モードと、特色トナーを加えて5色の作像ステーション(5st)を用いる5色クリア、5色白、5色蛍光の各作像モードとが選択される。
表4は、一つの銘柄の用紙Gを対象として、各作像モードおよびトナーの総量そしてプロセス線速を基準とする紙種紙厚係数d2,e1,fを示している。
Figure 2016066035
表4において4st,フルカラーモードと表記されている作像モードに対して特色トナーを用いる5色の作像モードの方がトナーの総量が多くなるので、トナー成分も多くなることを考慮して、フルカラーの作像モードに対して紙種紙厚係数が大きくされている。
特色トナー同士での定着ベルト116Bへの付着あるいは固着のしやすさは、トナーの処方の違いに関連づけられる定着温度の違いに基づき次の不等式で示す結果が得られている。なお、次の不等式では、左側の方が付着あるいは固着しやすいことを意味している。
蛍光トナー>>クリア(透明)トナー=白トナー=フルカラートナー
この場合の定着温度の違いは、線速変更に基づく必要熱量の供給を満足させる温度が選択されることに起因して発生する。
これらトナーを用いる作像モードでのプロセス線速は、同じ銘柄の用紙を用いる場合であっても、上述した定着温度の違いにより異なっている。
例えば、フルカラー作像モードの場合には標準速であるが、5st,白モードおよび5st,蛍光モードの場合には、定着性を確保するために中速に設定されている。これに対し、クリアトナーを用いる作像モードでは、ガラス転移を促進して光沢品質確保のために低速に設定されている。
従って、選択されたプロセス線速の違いによりトナー成分が定着ベルト116Bに付着あるいは固着しやすい条件が異なることを踏まえて紙種紙厚係数がそれぞれ設定されている。
一方、同じプロセス線速であっても、作像モードに用いられるトナーの処方の違いにより紙種紙厚係数が異ならせてある。特に、5色白、5色蛍光の各作像モードでは同じプロセス線速が選択されているが、トナー成分が定着ベルト116Bへ付着あるいは固着しやすい蛍光トナーを用いる場合には紙種紙厚係数が大きくされている。これにより、蛍光トナーを用いる場合に実行される定着ベルト116Bの劣化判定条件に用いられる紙種紙厚係数が他のトナーと異ならせてある。
熱量推定手段200では、上記式(1)のように、通紙枚数だけでは使用されるトナーの量に応じた定着熱量の推定による推定熱量を正確に判別できない場合がある。つまり、トナーの種類や印字率(画像面積)により同じサイズの記録紙であってもプロセス速度を異ならせる場合があるため、供給される熱量も異なることがある。
熱量推定手段200では、通紙枚数では用紙のサイズ分別ができないために、トナー成分の浸出度合いに影響するトナー像面積の累積値を得ることが難しい場合がある。
そこで、熱量推定手段200では、以下の式(9)〜(11)に示すように、通紙時間を用いて推定熱量を求めるようになっている。
累積通紙時間=α1×通紙時間・・・・(9)
式(9)は、式(8)に対応して通紙時間を用いたものである。
累積時間=β1×(4st,フルカラーモードの通紙時間)+γ1×(5st,クリアモードの通紙時間)・・・・(10)
ただし、β1:4st,フルカラー作像モードでの紙種紙厚係数、γ1:5st,クリアトナー作像モードでの紙種紙厚係数
式(10)は、式(2)に対応して通紙時間を用いたものである。
累積通紙時間=δ1×(4st,フルカラーモードの通紙時間)+ε×(5st,クリアモードの通紙時間)+ζ×(5st,白モードの通紙時間)+η×(5st,蛍光モードの通紙時間)・・・・(11)
ただし、δ1:4st,フルカラーモードでの紙種紙厚係数、ε:5st,クリアモードでの紙種紙厚係数、ζ:5st,白モードでの紙種紙厚係数、η:5st,蛍光モードでの紙種紙厚係数
式(11)は、式(10)に蛍光モードを実行した場合を加えて式(2)に対応して通紙時間を用いたものである。
累積通紙時間は、制御部400が、図3に示した熱量推定手段200の代わりに累積通紙時間算出手段200Tとして機能することで算出される。累積通紙時間算出手段200Tによって算出された累積通紙枚数は、劣化推定手段300にデータとして送信される。劣化推定手段300は、累積通紙枚数が所定値に達した時点で接離部123Aを駆動し、当接部材117を定着ベルト116Bに当接させる制御を行う。
通紙時間を用いた制御部400での制御手順は、図11のフローチャートに示すとおりである。
図11に示すフローチャートは、図10に示した通紙枚数を通紙時間に置き換えた内容であり、ステップST21’で示す処理において劣化推定の判定基準が通紙枚数から通紙時間に変更されている。
以上のような作像モードに応じた累積通紙枚数の算出に際しての重み付けを行うことで、定着ベルト116Bのリフレッシュ動作が過剰に行われることがなく、研磨部材や拭き取り部材の寿命低下の防止および定着ベルト116Bの表面改質不足による異常画像の発生を防止又は抑制することができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、第1の回転体の一つに用いられる定着ベルト116Bに代えてトナーに接触する定着ローラ116Aを用いることも可能である。また当接部材117が第1の回転体に代えて、あるいは第1の回転体とともに第2の回転体を対象として当接させる構成を採用しても良い。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
100 画像形成装置
116B 第1の回転体
116C 第2の回転体
116D 加熱部材
117 当接部材
123A 接離部
200 熱量推定手段
300 劣化推定手段
N ニップ部
P 記録媒体
特開2004−286922号公報 特開2011−175067号公報 特開2006−259341号公報 特開2013−015658号公報 特許第4819417号公報 特開2005−145376号公報 特許第5339080号公報
特開2004−286922号公報 特開2011−175067号公報 特開2006−259341号公報 特開2013−015658号公報 特許第4819417号公報 特開2009−145376号公報 特許第5339080号公報

Claims (20)

  1. 互いに当接して記録媒体に対するニップ部を形成する第1の回転体及び第2の回転体と、
    前記ニップ部の温度を昇温させるための加熱部材と、
    前記第1の回転体及び/又は前記第2の回転体に当接して当該回転体の表面状態を改善する当接部材と、
    前記当接部材を当該回転体に接離させる接離部と、を有し、
    前記接離部は、前記表面状態の推定劣化度に応じて前記当接部材の当該回転体への当接を調整する定着装置。
  2. 前記表面状態の推定劣化度は、前記ニップ部を通過するときに記録媒体に与えられた推定熱量に基づいて推定されることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  3. 前記加熱部材は、前記第1の回転体と前記第2の回転体との少なくともいずれか一方を対象として加熱することを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  4. 前記当接部材は、前記推定劣化度に応じて前記回転体に対する当接時間及び線速を調整されることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  5. 前記推定熱量は、前記推定熱量を推定する熱量推定手段により、前記記録媒体の少なくとも通紙枚数または通紙時間の積算値に基づいて推定されて前記推定劣化度を推定する劣化推定手段に送信されるとともに、前記劣化推定手段により、予め設定されている所定値との対比が行われるとともにこの対比の結果に基づき前記当接部材の当接時間及び線速の設定が行われることを特徴とする請求項2記載の定着装置。
  6. 前記推定熱量は、前記記録媒体に対して印字される色のトナーの定着温度とその色を対象とする印字率とに基づいて推定されることを特徴とする請求項2または4に記載の定着装置。
  7. 前記推定熱量は、前記記録媒体の厚さ及び/又は種類に応じた定着温度とに基づいて推定されることを特徴とする請求項2または4に記載の定着装置。
  8. 前記表面状態の推定劣化度として、前記記録媒体に対して印字される色のトナーに含まれる添加剤の量に基づくトナー特性値係数と通紙枚数との積に基づいて求められる累積通紙枚数が用いられ、該累積通紙枚数が所定値に達した時点で前記当接部材の当該回転体への当接が開始されることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  9. 前記累積通紙枚数は、フルカラー画像、単一色の画像もしくはフルカラー画像や単一色の画像形成に用いられるトナー以外のトナーを用いる特殊画像を対象として選択される作像モードに応じた重み付け係数と、選択された作像モードに使用されるトナーのトナー特性値係数の平均値と、通紙枚数との乗算値の総和で得られることを特徴とする請求項8記載の定着装置。
  10. 前記推定劣化度に応じて、前記第1の回転体及び/又は第2の回転体に当接して該回転体の表面を研磨する第1のモードと、前記回転体に付着しているトナー及び/又は添加剤を拭き取る第2のモードとの何れかが選択され、前記回転体に対する前記当接部材の当接開始時期、当接時間、回転方向、回転速度の少なくとも1つが調整されることを特徴とする請求項1乃至7のうちのいずれか一つに記載の定着装置。
  11. 前記第1のモードの開始条件として、前記記録媒体の通紙枚数及び/又は通紙時間が所定値に達した時点が用いられ、前記第2のモードの開始条件として、前記記録媒体の通紙枚数及び/又は通紙時間、記録媒体への供給熱量の積算値が閾値に達した時点が用いられることを特徴とする請求項10記載の定着装置。
  12. 前記当接部材は、前記第1のモード時に移動方向を前記回転体の回転方向と順方向もしくは逆方向とされ、該回転体との間に線速差を設定されることを特徴とする請求項10または11記載の定着装置。
  13. 前記当接部材は、前記第2のモード時に移動方向を前記回転体の回転方向と順方向もしくは逆方向とされ、該回転体との間での線速差を前記第1のモード時よりも小さく設定されることを特徴とする請求項10乃至12のうちのいずれか一つに記載の定着装置。
  14. 前記第1の回転体に接触するトナーの種類に応じて前記推定熱量算出時での重み付け係数を変更することを特徴とする請求項1乃至7のうちのいずれか一つに記載の定着装置。
  15. 前記第1の回転体に接触する記録媒体の種類及び/又は厚さに応じて推定熱量算出時での重み付け係数を変更することを特徴とする請求項1乃至7のうちのいずれか一つに記載の定着装置。
  16. 前記当接部材は、前記回転体の回転方向に対して順方向または逆方向に移動可能、かつ、独立して回転制御可能であり、かつ、各移動方向での移動速度を異ならせることが可能であることを特徴とする請求項1乃至13のうちのいずれか一つに記載の定着装置。
  17. 前記記録媒体の種類には、普通紙、コート紙、非コート紙および銘柄用紙が用いられ、これら種類に応じて推定熱量を求める際の重み付け係数が調整されることを特徴とする請求項1乃至16のうちのいずれか一つに記載の定着装置。
  18. トナーは、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックのトナー及び白色、透明トナーもしくは蛍光トナーが用いられ、モノクロ画像、フルカラー画像の形成及び光沢度の変更およびスポットカラー画像のいずれかを形成するために用いられることを特徴とする請求項1乃至17のうちのいずれか一つに記載の定着装置。
  19. 前記当接部材は、前記記録媒体の最大幅に対応する軸線方向の長さを有するローラが用いられることを特徴とする請求項1乃至16のうちのいずれか一つに記載の定着装置。
  20. フルカラー及び/または光沢度を調整可能な画像形成装置であって、
    形成された画像の定着装置として請求項1乃至19のうちのいずれか一つに記載された定着装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
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