JP2016065018A - Cxcr7結合剤およびcxcr7結合剤を含有する医薬組成物 - Google Patents

Cxcr7結合剤およびcxcr7結合剤を含有する医薬組成物 Download PDF

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藤井 信孝
Nobutaka Fujii
信孝 藤井
浩章 大野
Hiroaki Ono
浩章 大野
真也 大石
Shinya Oishi
真也 大石
達彦 久保
Tatsuhiko Kubo
達彦 久保
友子 黒柳
Tomoko Kuroyanagi
友子 黒柳
ニコラ、モンパ
Montpas Nicolas
ニコラウス、ヘヴェカー
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Abstract

【課題】 CXCR7に対する結合活性を有する新たな化合物の提供を目的とする。【解決手段】 シクロ−(−A1−B1−B2−A2−C−)で表される環状ペプチドまたはその塩を含有することを特徴とするCXCR7結合剤とする。A1およびA2は、独立して、側鎖に20個以下の炭素原子からなる芳香環もしくは複素環を有する芳香族アミノ酸、またはアラニンを表し;B1およびB2は、独立して、アルギニン、ホモアルギニン、シトルリン、2,4−ジアミノ酪酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、リジン、オルニチン、これらの誘導体、またはアスパラギン酸、グルタミン酸、2−アミノヘキサン−1、6−ジカルボン酸、これらの側鎖アミド誘導体、またはアラニンを表し;Cは、アラニン、サルコシン、1−アミノシクロペンチル−1−カルボン酸、1−アミノシクロヘキシル−1−カルボン酸、β−アラニン、4−アミノ酪酸、5−アミノペンタン酸、プロリン、またはピペコリン酸を表し;それぞれのアミノ酸残基は、そのアミノ官能基が、1〜18個の炭素原子もしくはヘテロ原子を有するアルキル基、または芳香環もしくは複素環を有するアルキル基で置換されていてもよく;それぞれのアミノ酸残基はD体であってもL体であってもよい。【選択図】なし

Description

本発明は、CXCR7結合剤およびCXCR7結合剤を含有する医薬組成物に関する。
ケモカイン受容体CXCR7/RDC1/ACKR3は、ケモカイン受容体CXCR4の内因性リガンドであるSDF−1のもう1つの受容体として、2005年に報告された。そして、近年、その生理的機能および病態における役割が明らかになりつつあり、例えば、腫瘍細胞の増殖および転移、自己免疫疾患、ならびに神経前駆細胞の遊走等への関与が報告されている。
これらの報告を受けて、現在、CXCR7選択的リガンドの治療薬等への応用に向けた研究開発が行われており、CXCR7に対する生物活性を有するペプチドが報告されている。例えば、特許文献1〜3には、CXCR7に対する生物活性を有する環状ヘキサペプチド誘導体が記載されている。しかしながら、さらに分子サイズが小さく且つCXCR7に対するより強い生物活性を有する新たな化合物が求められている。
国際公開第2011/095218号 国際公開第2011/095220号 国際公開第2011/095607号
そこで、本発明は、新たなCXCR7結合剤およびCXCR7結合剤を含有する医薬組成物の提供を目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、CXCR7に対して結合活性を示す新たな環状ペプチドを見出した。本発明は、以下のとおりである。
本発明のCXCR7結合剤は、下記式(I)で表される環状ペプチドまたはその生理学的に許容される塩を含有することを特徴とする。
シクロ−(−A1−B1−B2−A2−C−) (I)
式(I)中、
A1およびA2は、独立して、側鎖に20個以下の炭素原子からなる芳香環もしくは複素環を有する芳香族アミノ酸、またはアラニンを表し;
B1およびB2は、独立して、アルギニン、ホモアルギニン、シトルリン、2,4−ジアミノ酪酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、リジン、オルニチン、これらの誘導体、またはアスパラギン酸、グルタミン酸、2−アミノヘキサン−1、6−ジカルボン酸、これらの側鎖アミド誘導体、またはアラニンを表し;
Cは、アラニン、サルコシン、1−アミノシクロペンチル−1−カルボン酸、1−アミノシクロヘキシル−1−カルボン酸、β−アラニン、4−アミノ酪酸、5−アミノペンタン酸、プロリン、またはピペコリン酸を表し;
それぞれのアミノ酸残基は、そのアミノ官能基が、1〜18個の炭素原子もしくはヘテロ原子を有するアルキル基、または芳香環もしくは複素環を有するアルキル基で置換されていてもよく;
それぞれのアミノ酸残基はD体であってもL体であってもよい。
本発明のCXCR7拮抗剤および作動剤は、前記本発明のCXCR7結合剤を含有することを特徴とする。
本発明の医薬組成物は、前記本発明のCXCR7結合剤を含有することを特徴とする。
本発明の環状ペプチドまたはその塩は、後述する配列番号13〜34のいずれか一つの式で表されることを特徴とする環状ペプチドまたはその塩である。
本発明のCXCR7結合剤は、CXCR7に対する結合性を有するため、例えば、CXCR7拮抗剤もしくは作動剤として使用でき、また、CXCR7が関与する疾患等に対する医薬組成物として、極めて有益である。
本発明のCXCR7結合剤は、例えば、前記式(I)で表される環状ペプチドまたはその塩が、下記式(II)〜式(VII)のいずれかの一つの式で表される環状ペプチドまたはその塩である。
シクロ−(−LA1−DB1−LB2−LA2−C−) (II)
シクロ−(−DA1−DB1−LB2−DA2−C−) (III)
シクロ−(−DA1−DB1−LB2−LA2−C−) (IV)
シクロ−(−LA1−LB1−LB2−LA2−C−) (V)
シクロ−(−DA1−LB1−LB2−LA2−C−) (VI)
シクロ−(−DA1−LB1−LB2−DA2−C−) (VII)
前記各式中、
A1およびA2は、独立して、側鎖に20個以下の炭素原子からなる芳香環もしくは複素環を有する芳香族アミノ酸、またはアラニンを表し;
B1およびB2は、独立して、アルギニン、ホモアルギニン、シトルリン、2,4−ジアミノ酪酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、リジン、オルニチン、これらの誘導体、またはアスパラギン酸、グルタミン酸、2−アミノヘキサン−1、6−ジカルボン酸、これらの側鎖アミド誘導体、またはアラニンを表し;
Cは、L−アラニン、D−アラニン、サルコシン、1−アミノシクロペンチル−1−カルボン酸、1−アミノシクロヘキシル−1−カルボン酸、β−アラニン、4−アミノ酪酸、5−アミノペンタン酸、L−プロリン、D−プロリン、L−ピペコリン酸、またはD−ピペコリン酸を表し;
それぞれのアミノ酸残基は、アミノ官能基が、1〜18個の炭素原子もしくはヘテロ原子を有するアルキル基、または芳香環もしくは複素環を有するアルキル基で置換されていてもよく;
LはL体(L−)を表し、DはD体(D−)を表す。
本発明のCXCR7結合剤は、例えば、前記式(I)で表される環状ペプチドまたはその塩が、下記式(VIII)〜式(XIII)のいずれか一つの式で示される環状ペプチドまたはその塩である。
シクロ−(−LA1−DB1−LB2−LA2−C−) (VIII)
シクロ−(−DA1−DB1−LB2−DA2−C−) (IX)
シクロ−(−DA1−DB1−LB2−LA2−C−) (X)
シクロ−(−LA1−LB1−LB2−LA2−C−) (XI)
シクロ−(−DA1−LB1−LB2−LA2−C−) (XII)
シクロ−(−DA1−LB1−LB2−DA2−C−) (XIII)
前記各式中、
A1は、チロシン、ヒドロキシフェニルグリシン、アラニン残基を表し;
A2は、フェニルアラニン、トリプトファン、3−(2−ナフチル)アラニン、3−(1−ナフチル)アラニン、3−(2−ベンゾチエニル)アラニン、アラニン残基を表し;
B1およびB2は、アルギニン、ホモアルギニン、グルタミン酸、アラニン残基を表し;
Cは、L−アラニン、D−アラニン、β−アラニン、L−プロリン、D−プロリン、L−ピペコリン酸、D−ピペコリン酸、サルコシン残基を表し;
それぞれのアミノ酸残基は、アミノ官能基が、1〜18個の炭素原子またはヘテロ原子(N、O、S等)を有するアルキル基または芳香環もしくは複素環を有するアルキル基で置換されていてもよく;
LはL−体を表し、DはD−体を表す。
本発明のCXCR7結合剤は、例えば、前記式(I)で表される環状ペプチドまたはその塩が、下記配列番号1〜12のいずれか一つの式で表される環状ペプチドまたはその塩である。
(配列番号1)
シクロ−(−DTyr−DArg−LArg−DNal−LAla−)
(配列番号2)
シクロ−(−DTyr−DArg−LArg−LNal−LAla−)
(配列番号3)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−LAla−)
(配列番号4)
シクロ−(−DTyr−DArg−LArg−DNal−DAla−)
(配列番号5)
シクロ−(−DTyr−DArg−LArg−LNal−DAla−)
(配列番号6)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−DAla−)
(配列番号7)
シクロ−(−DTyr−DArg−LArg−DNal−βAla−)
(配列番号8)
シクロ−(−DTyr−DArg−LArg−LNal−βAla−)
(配列番号9)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−βAla−)
(配列番号10)
シクロ−(−DTyr−DArg−LArg−LNal−Pic−)
(配列番号11)
シクロ−(−DTyr−DArg−LArg−LNal−Sar−)
(配列番号12)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−Sar−)
前記各式中、
DTyrは、D−チロシン残基を、
LArgは、L−アルギニン残基を、
DArgは、D−アルギニン残基を、
LNalは、L−3−(2−ナフチル)アラニン残基を、
DNalは、D−3−(2−ナフチル)アラニン残基を、
LAlaは、L−アラニン残基を、
DAlaは、D−アラニン残基を、
β−Alaは、β−アラニン残基を、
Picは、ピペコリン酸残基を、
Sarは、サルコシン残基を、
それぞれ示す。
本発明のCXCR7結合剤は、例えば、前記式(I)で表される環状ペプチドまたはその塩が、下記配列番号13〜34のいずれか一つの式で表される環状ペプチドまたはその塩である。
(配列番号13:L39)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−LPro−)
(配列番号14:L5)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−DPro−)
(配列番号15:L40)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−LPic−)
(配列番号16:L41)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−DPic−)
(配列番号17:L42)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−LMeAla−)
(配列番号18:L43)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−DMeAla−)
(配列番号19:2A)
シクロ−(−LTyr−LArg−LArg−LNal−LPro−)
(配列番号20:2B)
シクロ−(−DTyr−DArg−LArg−LNal−LPro−)
(配列番号21:2C)
シクロ−(−DTyr−LArg−DArg−LNal−LPro−)
(配列番号22:2D)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−DNal−LPro−)
(配列番号23:3A)
シクロ−(−DMeTyr−LArg−LArg−LNal−LPro−)
(配列番号24:3B)
シクロ−(−DTyr−LMeArg−LArg−LNal−LPro−)
(配列番号25:3C)
シクロ−(−DTyr−LArg−LMeArg−LNal−LPro−)
(配列番号26:3D)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LMeNal−LPro−)
(配列番号27:4A)
シクロ−(−DAla−LArg−LMeArg−LNal−LPro−)
(配列番号28:4B)
シクロ−(−DTyr−LAla−LMeArg−LNal−LPro−)
(配列番号29:4C)
シクロ−(−DTyr−LArg−LMeAla−LNal−LPro−)
(配列番号30:4D)
シクロ−(−DTyr−LArg−LMeArg−LAla−LPro−)
(配列番号31:5A)
シクロ−(−LMeTyr−LArg−LArg−LNal−LPro−)
(配列番号32:5B)
シクロ−(−DTyr−DMeArg−LArg−LNal−LPro−)
(配列番号33:5C)
シクロ−(−DTyr−LArg−DMeArg−LNal−LPro−)
(配列番号34:5D)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−DMeNal−LPro−)
前記各式中、
LTyrは、L−チロシン残基を、
DTyrは、D−チロシン残基を、
LMeTyrは、L−N−メチルチロシン残基を、
DMeTyrは、D−N−メチルチロシン残基を、
LArgは、L−アルギニン残基を、
DArgは、D−アルギニン残基を、
LMeArgは、L−N−メチルアルギニン残基を、
DMeArgは、D−N−メチルアルギニン残基を
LNalは、L−3−(2−ナフチル)アラニン残基を、
DNalは、D−3−(2−ナフチル)アラニン残基を、
LMeNalは、L−N−メチル−3−(2−ナフチル)アラニン残基を、
DMeNalは、D−N−メチル−3−(2−ナフチル)アラニン残基を、
LProは、L−プロリン残基を、
DProは、D−プロリン残基を、
LPicは、L―ピペコリン酸残基を、
DPicは、D―ピペコリン酸残基を、
LMeAlaは、L−N−メチルアラニン残基を、
DMeAlaは、D−N−メチルアラニン残基を、
LAlaは、L−アラニン残基を、
DAlaは、D−アラニン残基を、それぞれ示す。
本発明の医薬組成物は、例えば、CXCR7が関与する疾患を予防または治療するための医薬組成物である。
本発明の医薬組成物は、例えば、前記疾患が、白血病、腫瘍、神経疾患および自己免疫疾患からなる群から選択された少なくとも一つの疾患である医薬組成物である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書に記載されるペプチドは、ペプチド標記の慣例に従って、左端がN末端(アミノ末端)、右端がC末端(カルボキシル末端)である。
本明細書において、アミノ酸等の略号の表示は、例えば、IUPAC−IUB Commission on Biochemical Nomenclature による略号、または当該技術分野における慣用略号に基づく。前記表示の具体例を、以下に示す。アミノ酸に関し、光学異性体が存在する場合、特に明示しない限り、L体を示すものとする。
Gly :グリシン
Ala :アラニン
Arg :アルギニン
Tyr :チロシン
Pro :プロリン
Nal :3−(2−ナフチル)アラニン
Glu :グルタミン酸
Hpg :ヒドロキシフェニルグリシン酸
Pic :ピペコリン酸
Sar :サルコシン
Ile :イソロイシン
Thr :トレオニン
本明細書における置換基、保護基および試薬は、例えば、以下の記号で表記する。
Boc:t−ブチルオキシカルボニル
Br−Z:2−ブロモベンジルオキシカルボニル
Cl−Z:2−クロロベンジルオキシカルボニル
DCC:N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド
Bzl:ベンジル
Cl−Bzl:2,6−ジクロロベンジル
DNP:2,4−ジニトロフェニル
Fmoc:N−9−フルオレニルメトキシカルボニル
HOBt:1−ヒドロキシベンズトリアゾール
HOOBt:3−ヒドロキシ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,3−ベンズトリアゾール
HONB:N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド
Me:メチル
Pbf:2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフラン−5−スルホニル
t−Bu:ターシャリーブチル
Tos:トルエンスルホニル
Trt:トリチル
Z:ベンジルオキシカルボニル
(1)CXCR7結合剤
本発明のCXCR7結合剤は、例えば、CXCR7拮抗剤もしくは作動剤として、さらに、具体例として、医薬組成物として使用できる。前記医薬組成物は、例えば、CXCR7が関与する疾患の予防または治療に使用できる。前記疾患は、例えば、CXCR7の機能異常が病態に関与する疾患であり、具体例として、白血病、腫瘍、神経疾患、自己免疫疾患等があげられる。前記腫瘍は、例えば、増殖腫瘍、転移腫瘍等を含む。前記自己免疫疾患は、例えば、慢性関節リューマチ等の炎症性自己免疫疾患等があげられる。
本発明のCXCR7結合剤は、前述のように、下記式(I)で表される環状ペプチドまたはその生理学的に許容される塩を含有することを特徴とする。以下、「前記環状ペプチドまたはその塩」は、「本発明におけるペプチド」または「本発明における環状ペプチド」と総称する場合もある。
シクロ−(−A1−B1−B2−A2−C−) (I)
式(I)中、
A1およびA2は、独立して、側鎖に20個以下の炭素原子からなる芳香環もしくは複素環を有する芳香族アミノ酸、またはアラニンを表し;
B1およびB2は、独立して、アルギニン、ホモアルギニン、シトルリン、2,4−ジアミノ酪酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、リジン、オルニチン、これらの誘導体、またはアスパラギン酸、グルタミン酸、2−アミノヘキサン−1、6−ジカルボン酸、これらの側鎖アミド誘導体、またはアラニンを表し;
Cは、アラニン、サルコシン、1−アミノシクロペンチル−1−カルボン酸、1−アミノシクロヘキシル−1−カルボン酸、β−アラニン、4−アミノ酪酸、5−アミノペンタン酸、プロリン、またはピペコリン酸を表し;
それぞれのアミノ酸残基は、そのアミノ官能基が、1〜18個の炭素原子もしくはヘテロ原子を有するアルキル基、または芳香環もしくは複素環を有するアルキル基で置換されていてもよく;
それぞれのアミノ酸残基はD体であってもL体であってもよい。
前記式(I)におけるA1は、側鎖に20個以下、好ましくは、14個以下の炭素原子からなる芳香環もしくは複素環を有する芳香族アミノ酸残基(例えば、チロシン、ヒドロキシフェニルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、3−(2−ナフチル)アラニン)、またはアラニン(それぞれL体であってもD体であってもよい)を表し、好ましくは、チロシン、ヒドロキシフェニルグリシン、アラニンを表す。
前記式(I)におけるA2は、側鎖に20個以下、好ましくは14個以下の炭素原子からなる芳香環もしくは複素環を有する芳香族アミノ酸残基(例えば、フェニルアラニン、トリプトファン、3−(2−ナフチル)アラニン)、またはアラニン(それぞれL体であってもD体であってもよい)を表し、好ましくは、フェニルアラニン、トリプトファン、3−(2−ナフチル)アラニン、アラニンを表す。前記A1およびA2は、それぞれ、同じアミノ酸残基であってもよく、異なるアミノ酸残基であってもよい。
前記式(I)におけるB1およびB2は、それぞれ、独立して、アルギニン、ホモアルギニン、シトルリン、2,4−ジアミノ酪酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、リジン、オルニチン残基、もしくはこれらの誘導体;または、アスパラギン酸、グルタミン酸、2−アミノヘキサン−1、6−ジカルボン酸、もしくはこれらの側鎖アミド誘導体;またはアラニン(それぞれL体であってもD体であってもよい)を表し、好ましくは、アルギニン、ホモアルギニン、グルタミン酸、アラニン残基を表す。前記「誘導体」としては、例えば、前記アミノ酸残基の側鎖が修飾されたものが挙げられる。前記アミノ酸残基の側鎖が修飾されたものとしては、例えば、アルキル基(例えば、N−メチル基、N,N−ジメチル基、エチル基、イソプロピル基;ホルミル基)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基)、カルバモイル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基)、グアニジノ基(例えば、グアニジノ基、テトラメチルグアニジノ基)、アミジノ基等で修飾されたもの等が挙げられるが、これらに限定されない。前記側鎖アミド誘導体としては、例えば、グルタミン、アスパラギン等が挙げられる。前記B1およびB2は、それぞれ、同じアミノ酸残基であってもよく、異なるアミノ酸残基であってもよい。
前記式(1)におけるA1、A2、B1、B2およびCの各アミノ酸残基は、各々のアミノ官能基が、例えば、1〜18個の炭素原子またはヘテロ原子(例えば、N、O、S等)を有するアルキル基、好ましくは1〜7個の炭素原子を有するアルキル基、または芳香環もしくは複素環を有するアルキル基で置換されていてもよい。前記アルキル基は、例えば、直鎖でも分岐鎖でもよく、具体例として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基等があげられ、好ましくは、メチル基である。
前記式(I)において、
A1は、例えば、チロシンのD−体またはL−体のアミノ酸残基(例えば、D‐チロシン、L‐チロシン)が好ましく、より好ましくは、D−チロシンであり、
A2は、例えば、3−(2−ナフチル)アラニン、N−メチル−3−(2−ナフチル)アラニンのD−体またはL−体のアミノ酸残基が好ましく、より好ましくは、L−3−(2−ナフチル)アラニン、L−N−メチル−3−(2−ナフチル)アラニンであり、B1およびB2は、アルギニン、N−メチルアルギニンのD−体またはL−体のアミノ酸残基が好ましく、より好ましくは、L−アルギニン、L−N−メチルアルギニンであり、
Cは、例えば、アラニン、サルコシン、1−アミノシクロペンチル−1−カルボン酸、1−アミノシクロヘキシル−1−カルボン酸、β−アラニン、4−アミノ酪酸、5−アミノペンタン酸、プロリン、ピペコリン酸、N−メチルアルギニンのD−体またはL−体のアミノ酸残基が好ましく、より好ましくは、アラニン、プロリン、ピペコリン酸、N−メチルアルギニンのD−体またはL−体のアミノ酸残基であり、さらに好ましくは、D−プロリンまたはL−プロリンであり、特に好ましくは、L‐プロリンである。
前記式(I)において、各々のアミノ酸残基は、例えば、ペプチド結合によって連結されている。
本発明のCXCR7結合剤において、前記ペプチドの塩としては、例えば、酸または塩基との塩が挙げられ、酸付加塩が好ましい。前記塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)との塩等が挙げられる。また、本発明において、前記塩は、例えば、生理学的に許容される塩が好ましい。
本発明のCXCR7結合剤において、前記本発明のペプチド(前記式(I)で表される環状ペプチドまたはその塩)の具体例としては、例えば、下記式(II)〜式(VII)のいずれかの一つの式で表される環状ペプチドまたはその塩があげられる。
シクロ−(−LA1−DB1−LB2−LA2−C−) (II)
シクロ−(−DA1−DB1−LB2−DA2−C−) (III)
シクロ−(−DA1−DB1−LB2−LA2−C−) (IV)
シクロ−(−LA1−LB1−LB2−LA2−C−) (V)
シクロ−(−DA1−LB1−LB2−LA2−C−) (VI)
シクロ−(−DA1−LB1−LB2−DA2−C−) (VII)
前記各式中、
A1およびA2は、独立して、側鎖に20個以下の炭素原子からなる芳香環もしくは複素環を有する芳香族アミノ酸、またはアラニンを表し;
B1およびB2は、独立して、アルギニン、ホモアルギニン、シトルリン、2,4−ジアミノ酪酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、リジン、オルニチン、これらの誘導体、またはアスパラギン酸、グルタミン酸、2−アミノヘキサン−1、6−ジカルボン酸、これらの側鎖アミド誘導体、またはアラニンを表し;
Cは、L−アラニン、D−アラニン、サルコシン、1−アミノシクロペンチル−1−カルボン酸、1−アミノシクロヘキシル−1−カルボン酸、β−アラニン、4−アミノ酪酸、5−アミノペンタン酸、プロリン、またはピペコリン酸を表し;
それぞれのアミノ酸残基は、アミノ官能基が、1〜18個の炭素原子もしくはヘテロ原子(例えば、N、O、S等)を有するアルキル基、または芳香環もしくは複素環を有するアルキル基で置換されていてもよく;
LはL体(L−)を表し、DはD体(D−)を表す。
前記式(II)−(VII)におけるA1、A2、B1、およびB2は、前記(I)と同様の意味であり、また、同様の形態である。すなわち、これらのペプチドは、前記式(I)で表されるペプチドにおいて、構成するアミノ酸残基を特定の光学異性体に限定したものである。
本発明のCXCR7結合剤において、前記本発明のペプチド(前記式(I)で表される環状ペプチドまたはその塩)の具体例としては、例えば、下記式(VIII)〜式(XIII)のいずれかの一つの式で表される環状ペプチドまたはその塩があげられる。
シクロ−(−LA1−DB1−LB2−LA2−C−) (VIII)
シクロ−(−DA1−DB1−LB2−DA2−C−) (IX)
シクロ−(−DA1−DB1−LB2−LA2−C−) (X)
シクロ−(−LA1−LB1−LB2−LA2−C−) (XI)
シクロ−(−DA1−LB1−LB2−LA2−C−) (XII)
シクロ−(−DA1−LB1−LB2−DA2−C−) (XIII)
前記各式中、
A1は、チロシン、ヒドロキシフェニルグリシン、アラニン残基を表し;
A2は、フェニルアラニン、トリプトファン、3−(2−ナフチル)アラニン、3−(1−ナフチル)アラニン、3−(2−ベンゾチエニル)アラニン、アラニン残基を表し;
B1およびB2は、アルギニン、ホモアルギニン、グルタミン酸、アラニン残基を表し;
Cは、L−アラニン、D−アラニン、β−アラニン、L−プロリン、D−プロリン、L−ピペコリン酸、D−ピペコリン酸、サルコシン残基を表し;
それぞれのアミノ酸残基は、アミノ官能基が、1〜18個の炭素原子もしくはヘテロ原子(例えば、N、O、S等)を有するアルキル基、または芳香環もしくは複素環を有するアルキル基で置換されていてもよく;
LはL−体を表し、DはD−体を表す。
すなわち、これらのペプチドは、前記式(I)で表されるペプチドにおいて、構成するアミノ酸残基を特定の光学異性体に限定したものである。
本発明のCXCR7結合剤において、前記本発明のペプチドの具体例としては、例えば、下記配列番号1〜34のいずれか一つの式(アミノ酸配列番号)で表される環状ペプチドまたはその塩があげられる。
(配列番号1)
シクロ−(−DTyr−DArg−LArg−DNal−LAla−)
(配列番号2)
シクロ−(−DTyr−DArg−LArg−LNal−LAla−)
(配列番号3:L36)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−LAla−)
(配列番号4)
シクロ−(−DTyr−DArg−LArg−DNal−DAla−)
(配列番号5)
シクロ−(−DTyr−DArg−LArg−LNal−DAla−)
(配列番号6:L37)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−DAla−)
(配列番号7)
シクロ−(−DTyr−DArg−LArg−DNal−βAla−)
(配列番号8)
シクロ−(−DTyr−DArg−LArg−LNal−βAla−)
(配列番号9:L38)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−βAla−)
(配列番号10)
シクロ−(−DTyr−DArg−LArg−LNal−Pic−)
(配列番号11)
シクロ−(−DTyr−DArg−LArg−LNal−Sar−)
(配列番号12)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−Sar−)
(配列番号13:L39)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−LPro−)
(配列番号14:L5)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−DPro−)
(配列番号15:L40)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−LPic−)
(配列番号16:L41)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−DPic−)
(配列番号17:L42)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−LMeAla−)
(配列番号18:L43)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−DMeAla−)
(配列番号19:2A)
シクロ−(−LTyr−LArg−LArg−LNal−LPro−)
(配列番号20:2B)
シクロ−(−DTyr−DArg−LArg−LNal−LPro−)
(配列番号21:2C)
シクロ−(−DTyr−LArg−DArg−LNal−LPro−)
(配列番号22:2D)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−DNal−LPro−)
(配列番号23:3A)
シクロ−(−DMeTyr−LArg−LArg−LNal−LPro−)
(配列番号24:3B)
シクロ−(−DTyr−LMeArg−LArg−LNal−LPro−)
(配列番号25:3C)
シクロ−(−DTyr−LArg−LMeArg−LNal−LPro−)
(配列番号26:3D)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LMeNal−LPro−)
(配列番号27:4A)
シクロ−(−DAla−LArg−LMeArg−LNal−LPro−)
(配列番号28:4B)
シクロ−(−DTyr−LAla−LMeArg−LNal−LPro−)
(配列番号29:4C)
シクロ−(−DTyr−LArg−LMeAla−LNal−LPro−)
(配列番号30:4D)
シクロ−(−DTyr−LArg−LMeArg−LAla−LPro−)
(配列番号31:5A)
シクロ−(−LMeTyr−LArg−LArg−LNal−LPro−)
(配列番号32:5B)
シクロ−(−DTyr−DMeArg−LArg−LNal−LPro−)
(配列番号33:5C)
シクロ−(−DTyr−LArg−DMeArg−LNal−LPro−)
(配列番号34:5D)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−DMeNal−LPro−)
前記環状ペプチドまたはその塩は、例えば、中でも、配列番号3(L36)、配列番号13(L39)、配列番号15(L40)、配列番号17(L42)、配列番号20(2B)、配列番号23(3A)、配列番号24(3B)、配列番号25(3C)、配列番号26(3D)、配列番号28(4B)、配列番号29(4C)、配列番号31(5A)、配列番号32(5B)、および配列番号33(5C)で示されるアミノ酸配列番号を有する環状ペプチドまたはその塩が好ましい。
配列番号1〜34に示されるアミノ酸配列番号を有する環状ペプチドをはじめとする本発明における前記各種環状ペプチドは、例えば、公知のペプチドの合成法に従って製造することができる。ペプチドの合成法としては、例えば、固相合成法、液相合成法のいずれでも良い。すなわち、例えば、ペプチドを構成し得る部分ペプチドまたはアミノ酸と、残余部分とを縮合させ、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより、目的の環状ペプチドを製造できる。公知の縮合方法および保護基の脱離方法としては、例えば、以下の(i)〜(v)に記載された方法が挙げられる。
(i) M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド シンセシス(Peptide Synthesis)、Interscience Publishers, New York(1966年)
(ii) SchroederおよびLuebke、ザ ペプチド(The Peptide)、Academic Press、New York(1965年)
(iii)泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(1975年)
(iv) 矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座1、蛋白質の化学IV、205、(1977年)
(v) 矢島治明監修、続医薬品の開発 第14巻 ペプチド合成 広川書店
具体的なペプチド合成法として、例えば、以下の方法が挙げられるが、例示であって、これらの方法には制限されない。
環状ポリペプチドの合成は、通常、市販のポリペプチド合成用樹脂を用いることができる。前記樹脂としては、例えば、2−クロロトリチル樹脂等が挙げられる。このような樹脂を用い、例えば、α−アミノ基と側鎖官能基とを適宜保護したアミノ酸を準備し、それらを、目的とするポリペプチドの配列番号通りに、公知の各種縮合方法に従い、樹脂上で縮合させる。反応の最後に、前記樹脂から合成されたポリペプチドを切り出す。そして、前記ポリペプチドの高度希釈溶液を調製し、前記希釈溶液中で前記ポリペプチドについてジフェニルリン酸アジド(DPPA)等により分子内ペプチド結合の形成反応を実施し、最後に各種保護基を除去し、目的の環状ペプチドを取得する。前記保護アミノ酸の縮合には、例えば、ポリペプチド合成に使用できる各種活性化試薬を用いることができ、カルボジイミド類が好ましい。前記カルボジイミド類としては、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド等が使用できる。これらの活性化試薬による活性化には、例えば、ラセミ化抑制添加剤(例えば、HOBt、HOOBt、HONB)とともに、保護アミノ酸を直接前記樹脂に添加してもよいし、対称酸無水物、HOBtエステル、HOOBtまたはHONBエステルとして、あらかじめ前記保護アミノ酸の活性化を行なった後、前記樹脂に添加してもよい。
前記保護アミノ酸の活性化および前記樹脂との縮合に用いられる溶媒としては、例えば、ポリペプチド縮合反応に使用しうることが知られている溶媒を、適宜選択できる。前記溶媒は、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の酸アミド類;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;トリフルオロエタノール等のアルコール類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ピリジン;ジオキサン,テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;またはこれらを適宜混合した混合物等が用いられる。反応温度は、例えば、ポリペプチド結合の形成反応に使用され得ることが知られている範囲から適宜選択でき、通常、約−20℃〜50℃の範囲から適宜選択できる。活性化されたアミノ酸誘導体は、通常、例えば、1.5〜4倍過剰で用いられる。ニンヒドリン反応を用いたテストの結果、例えば、縮合が不十分な場合には、前記保護基の脱離を行うことなく縮合反応を繰り返すことにより、十分な縮合を行なうことができる。また、縮合反応を繰り返しても十分な縮合が得られない場合には、例えば、無水酢酸またはアセチルイミダゾールを用いて、未反応アミノ基をアセチル化することができる。
原料であるアミノ酸のアミノ基の保護基としては、例えば、Z、Boc、ターシャリーペンチルオキシカルボニル、イソボルニルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、Cl−Z、Br−Z、アダマンチルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、フタロイル、ホルミル、2−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニルホスフィノチオイル、Fmoc等が用いられる。カルボキシル基は、例えば、アルキルエステル化(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ターシャリーブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、2−アダマンチル等の直鎖状、分枝状もしくは環状アルキルエステル化)、アラルキルエステル化(例えば、ベンジルエステル、4−ニトロベンジルエステル、4−メトキシベンジルエステル、4−クロロベンジルエステル、ベンズヒドリルエステル化)、フェナシルエステル化、ベンジルオキシカルボニルヒドラジド化、ターシャリーブトキシカルボニルヒドラジド化、トリチルヒドラジド化等によって、保護することができる。
セリンの水酸基は、例えば、エステル化またはエーテル化によって保護することができる。前記エステル化に適する基としては、例えば、アセチル基等の低級アルカノイル基;ベンゾイル基等のアロイル基;ベンジルオキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭酸から誘導される基等が用いられる。また、エーテル化に適する基としては、例えば、ベンジル基、テトラヒドロピラニル基、t−ブチル基等である。チロシンのフェノール性水酸基の保護基としては、例えば、ベンジル、Cl−Bzl、2−ニトロベンジル、Br−Z、ターシャリーブチル等が用いられる。ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、例えば、Tos、4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル、DNP、ベンジルオキシメチル(Bom)、Boc、Trt、Fmoc等が用いられる。
原料であるアミノ酸のカルボキシル基の活性化されたものとしては、例えば、対応する酸無水物、アジド、活性エステル等があげられる。前記活性エステルは、アルコール(例えば、ペンタクロロフェノール、2,4,5−トリクロロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、シアノメチルアルコール、パラニトロフェノール、HONB、N−ヒドロキシスクシミド、N−ヒドロキシフタルイミド、HOBt)とのエステル等が使用できる。
前記保護基の除去(脱離)方法としては、例えば、Pd−黒あるいはPd−炭素等の触媒の存在下における水素気流中での接触還元;無水フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸もしくはこれらの混合液等による酸処理;ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジン等による塩基処理;液体アンモニア中ナトリウムによる還元等も用いられる。前記酸処理による脱離反応は、例えば、一般に、約−20℃〜0℃の温度で行われるが、酸処理においては、例えば、カチオン捕捉剤(例えば、アニソール、フェノール、チオアニソール、メタクレゾール、パラクレゾール、ジメチルスルフィド、1,4−ブタンジチオール、1,2−エタンジチオール等)の添加が有効である。また、ヒスチジンのイミダゾール保護基として用いられる2,4−ジニトロフェニル基は、例えば、チオフェノール処理により除去され、トリプトファンのインドール保護基として用いられるホルミル基は、前記1,2−エタンジチオール、1,4−ブタンジチオール等の存在下における酸処理による脱保護、また、それ以外にも、希水酸化ナトリウム溶液、希アンモニア等によるアルカリ処理によっても除去できる。
前記原料の反応に関与すべきでない官能基の保護および保護基、前記保護基の脱離、ならびに前記反応に関与する官能基の活性化等は、例えば、公知の基または公知の手段から適宜選択しうる。
前記環状ペプチドを得る別の方法としては、例えば、まず、カルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基をアルコール類と縮合して、アミノ酸エステルとして保護した後、アミノ基側にペプチド鎖を所望の鎖長まで延ばした後、前記伸長させたペプチド鎖のN末端のα−アミノ基およびカルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基の保護基をそれぞれ除去する。つぎに、得られたポリペプチドについて、高度希釈溶液を調製し、前記ポリペプチドについて、前記希釈溶液中で、ジフェニルリン酸アジド(DPPA)等により、分子内ペプチド結合の形成反応による環状ペプチドを合成する。なお、前記分子内ペプチド結合形成反応の詳細は、例えば、前述と同様である。そして、前記分子内ペプチド結合形成反応により得られた環状保護ポリペプチドを精製した後、前記方法により前記保護ポリペプチドにおける全ての保護基を除去することで、所望の粗環状ペプチドを得ることができる。前記粗環状ペプチドは、例えば、既知の各種精製手段により精製し、主要画分を凍結乾燥することで、所望の環状ポリペプチド得ることができる。
反応後は、例えば、通常の精製法により、本発明のペプチドを精製単離できる。前記精製法は、例えば、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、再結晶等があげられ、これらを組合せてもよい。前記方法により得られるペプチドが遊離体の場合は、例えば、公知の方法によって適当な塩に変換することができ、また、前記得られるペプチドが塩の場合は、例えば、公知の方法によって遊離体に変換することもできる。
本発明のCXCR7結合剤は、例えば、前記本発明における環状ペプチドからなる結合剤でもよいし、前記環状ペプチドを含む結合剤でもよく、後者の場合は、例えば、その他の成分を含んでもよい。本発明における前記環状ペプチドは、CXCR7に対する結合活性を有している。このため、本発明のCXCR7結合剤は、例えば、前述のように、CXCR7拮抗剤もしくは作動剤として使用でき、また、CXCR7が関連する疾患(すなわち、CXCR7結合剤が治療に有効である疾患)の治療薬や予防薬として使用できる。前記疾患としては、前述のように、白血病、腫瘍(例えば、口腔癌、咽頭癌、口唇癌、舌癌、歯肉癌、鼻咽頭癌、食道癌、胃癌、小腸癌、結腸癌、大腸癌、肝臓癌、胆のう癌、膵臓癌、鼻腔癌、肺癌、骨肉腫、軟部組織癌、皮膚癌、黒色腫、乳癌、子宮癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、陰茎癌、膀胱癌、腎臓癌、脳腫瘍、甲状腺癌、リンパ腫等)、神経疾患、および慢性関節リュウマチ等の自己免疫疾患等が挙げられる。
本発明のCXCR7結合剤を被検体に投与する場合、前記被検体は、例えば、ヒト、非ヒト動物があげられる。非ヒト動物は、例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サル、マントヒヒ、チンパンジー等があげられる。投与形態は、特に制限されず、例えば、経口投与でもよいし、非経口投与でもよい。また、本発明のCXCR7結合剤は、例えば、生体の他に、生体から単離した細胞、その培養細胞等に投与してもよい。
本発明のCXCR7結合剤の形態は、特に制限されず、公知の方法に従って調製できる。本発明のCXCR7結合剤の形態は、例えば、投与形態によって適宜決定でき、前記投与形態は、例えば、経口投与および非経口投与があげられ、前記非経口投与は、例えば、局所的投与、直腸投与、静脈投与等があげられ、具体例として、例えば、注射の形態が例示できる。前記非経口投与は、例えば、鼻腔内投与、点眼投与、膣内投与、経皮投与、ならびに静脈内、筋肉内、皮下、臓器内、皮内、脳内、直腸内、および腹腔内、腫瘍内部、腫瘍の近位への注射があげられる。前記経口投与の場合、例えば、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤等があげられる。また、非経口投与の場合、例えば、前記本発明における環状ペプチドと溶媒とを混合した混合液、具体例として、前記溶媒に溶解した溶液、もしくは懸濁した懸濁液等の形態があげられる。前記溶媒は、例えば、水、またはそれ以外の液体(例えば、生理食塩水、緩衝液等)があげられ、薬学的に許容し得る液体であることが好ましい。前記混合液は、例えば、無菌性であることが好ましく、例えば、注射剤等の形態で使用できる。
また、本発明のCXCR7結合剤は、例えば、さらにその他の成分を含んでもよい。前記成分としては、例えば、生理学的に認められるものが好ましい。前記成分の具体例は、例えば、担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤等の添加剤があげられる。本発明のCXCR7結合剤においては、例えば、前記環状ペプチドを前記その他の成分とともに、一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態で混和することによって製剤化することができる。これら製剤における有効成分量は、特に制限されず、指示された範囲の適当な容量が得られるようにする。
前記添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、アラビアゴム等の結合剤;結晶性セルロース等の賦形剤;コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸等の膨化剤;ステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤;ショ糖、乳糖またはサッカリン等の甘味剤;ペパーミント、アカモノ油またはチェリーミント等の香味剤等が用いられる。調剤単位の形態がカプセルの場合、例えば、さらに、油脂等の液状担体を含有することができる。前記形態が、注射用の無菌組成物の場合、例えば、注射用水等のベヒクル中の活性物質;胡麻油、椰子油等の天然産出植物油等を、溶解または懸濁させるというような、通常の製剤実施にしたがって処方できる。
注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水;ブドウ糖やその他の補助薬(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウム等)を含む等張液等が挙げられ、さらに、適当な溶解補助剤と併用してもよい。前記溶解補助剤は、例えば、アルコール(例えば、エタノール)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80(商標)、HCO−50等)等と併用してもよい。注射用の油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油等があげられ、さらに、適当な溶解補助剤と併用してもよい。前記溶解補助剤は、例えば、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等があげられる。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液等)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカイン等)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコール等)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノール等)、酸化防止剤等を、さらに配合してもよい。調製された注射液は、通常、適当なアンプルに無菌的に充填される。
本発明のCXCR7結合剤は、例えば、このようにして得られる製剤の場合、より安全且つ低毒性である。このため、例えば、前述のような、ヒト、または非ヒト動物(例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サル、マントヒヒ、チンパンジー等の非ヒト哺乳類動物)に対して投与できる。本発明のCXCR7結合剤の投与量は、例えば、投与形態、適応する症例および症状等により適宜決定できる。具体例として、前記CXCR7結合剤を経口投与する場合、体重60kgに対して一回につき、例えば、前記環状ペプチドの量が約0.1〜1000mg、好ましくは約1〜500mg、より好ましくは約1から200mgである。前記CXCR7結合剤を非経口投与する場合、具体的には、静脈注射の場合、体重60kgに対してその一回につき、例えば、前記環状ペプチドの量が約0.01〜300mg、好ましくは約0.1〜200mg、より好ましくは約0.1〜100mgである。投与対象がヒトの場合、例えば、前述のような投与量が設定でき、また、他の動物の場合も、例えば、体重60kg当たりに換算した量を投与できる。
本発明のCXCR7結合剤は、例えば、他の薬物と併用して投与してもよい。本発明のCXCR7結合剤と、他の薬物を併用する場合、本発明のCXCR7結合剤と前記併用薬物との投与時期は、限定されず、例えば、本発明のCXCR7結合剤と前記併用薬物とを、投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をもって投与してもよい。前記併用薬物の投与量は、特に制限されず、臨床上用いられている投与量に準ずることができ、例えば、投与対象、投与ルート、疾患、組み合わせ等により適宜選択できる。
本発明のCXCR7結合剤と併用薬物との投与形態は、特に限定されず、本発明のCXCR7結合剤における環状ペプチドと前記併用薬物とが、同時または時間差をおいて組み合わされていればよい。このような投与形態としては、例えば、以下のような例があげられる。
(1)前記環状ペプチドと前記併用薬物とを同時に製剤化して得られる単一の製剤を投与する形態
(2)前記環状ペプチドと前記併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤を、同一投与経路で、同時に投与する形態
(3)前記環状ペプチドと前記併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤を、同一投与経路で、時間差をもって投与する形態
(4)前記環状ペプチドと前記併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤を、異なる投与経路で、同時に投与する形態
(5)前記環状ペプチドと前記併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤を、異なる投与経路で、時間差をもって投与する形態
前記時間差をもっての投与は、例えば、前記環状ペプチドを投与した後に、前記併用薬物を投与してもよいし、その逆で、前記併用薬物を投与した後に、前記環状ペプチドを投与してもよい。
このように、前記環状ペプチドと前記併用薬物とが単一の製剤である投与形態、すなわち、前記(1)の投与形態の場合、本発明のCXCR7結合剤の一形態として、前記環状ペプチドの他に、さらに前記併用薬物を含むCXCR7結合剤を使用できる。また、前記環状ペプチドと前記併用薬物とが別々である2種の製剤である場合、本発明のCXCR7結合剤と前記併用薬物とのキットとして、使用できる。以下、これらの投与形態をまとめて、本発明の併用剤と略記する。
前記本発明の併用剤は、例えば、毒性が低く、安全に投与できる。前記本発明の併用剤は、例えば、前記環状ペプチドおよび/または前記併用薬物を、公知の方法に従って、担体(例えば、薬理学的に許容される担体)と混合して医薬組成物として、経口投与または非経口投与できる。前記医薬組成物としては、例えば、錠剤(例えば、糖衣錠、フィルムコーティング錠等を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤(例えば、ソフトカプセル等を含む)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤等の形態があげられる。前記非経口投与としては、例えば、局所投与、直腸投与、静脈投与等があげられる。また、前記注射剤の形態の場合、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、臓器内、皮内、脳内、直腸内、および腹腔内、腫瘍内部、腫瘍の近位等への投与、または直接病巣への投与も可能である。
前記薬理学的に許容される担体としては、例えば、前述と同様である。本発明の併用剤において、前記環状ペプチドと前記併用薬物との配合比は、特に制限されず、例えば、投与対象、投与ルート、疾患等により適宜選択できる。本発明の併用剤における前記併用薬物の含有量は、特に制限されず、例えば、製剤の形態によって適宜設定できる。具体例として、製剤全体に対して、前記併用薬物の含有量は、例えば、約0.01〜100重量%、好ましくは約0.1〜50重量%、さらに好ましくは約0.5〜20重量%である。本発明の併用剤において、前記担体等の添加剤の含有量は、特に制限されず、製剤の形態によって適宜設定でき、具体例として、製剤全体に対して、前記添加剤の含有量は、例えば、約1〜99.99重量%、好ましくは約10〜90重量%である。
(2)CXCR7拮抗剤および作動剤
本発明のCXCR7拮抗剤および作動剤は、前述のように、前記本発明のCXCR7結合剤を含有することを特徴とする。本発明のCXCR7拮抗剤もしくは作動剤は、前記環状ペプチドまたはその塩を含むことが特徴であり、その他の構成は、何ら制限されない。本発明のCXCR7拮抗剤および作動剤は、前記本発明のCXCR7結合剤の記載を援用でき、前述の説明において、「CXCR7結合剤」は、「CXCR7拮抗剤もしくは作動剤」に読み替えできる。
また、前記環状ペプチドまたはその塩は、例えば、CXCR7とCXCR7に対する内因性リガンドとの結合を阻害できることから、本発明のCXCR7結合剤は、CXCR7とCXCR7に対するリガンドとの結合を阻害する結合阻害剤ということもできる。前記リガンドとは、特に制限されず、例えば、SDF−1等があげられる。
(3)医薬組成物
本発明の医薬組成物は、前述のように、前記本発明のCXCR7結合剤を含有することを特徴とする。本発明の医薬組成物は、前記環状ペプチドまたはその塩を含むことが特徴であり、その他の構成は、何ら制限されない。本発明の医薬組成物は、前記本発明のCXCR7結合剤の記載を援用でき、前述の説明において、「CXCR7結合剤」は、「医薬組成物」に読み替えできる。
(4)新規環状ペプチド
本発明の環状ペプチドまたはその塩は、前記配列番号13〜34のいずれか一つの式で表されることを特徴とする環状ペプチドまたはその塩である。前記配列番号13〜34で表される環状ペプチドは、前記本発明のCXCR7結合剤における説明を援用でき、前述の説明において、「CXCR7結合剤」は、「本発明の環状ペプチド」に読み替えできる。
(5)治療方法
本発明の治療方法は、前記本発明のCXCR7結合剤を投与する工程を含むことを特徴とする。前述のように、前記本発明のCXCR7結合剤によれば、例えば、CXCR7とそのリガンドとの結合を阻害できるため、CXCR7が関連する疾患の治療に使用できる。本発明において、前記治療は、例えば、予防の意味も含む。
本発明において、前記投与工程は、例えば、被検体への投与工程であり、前記被検体としては、例えば、前述のようなヒトまたは非ヒト動物があげられる。前記投与形態は、特に制限されず、例えば、経口投与および非経口投与があげられる。投与の対象、投与の形態および投与の条件等は、前述の記載を援用できる。
本発明における前記環状ペプチドまたはその塩の使用は、例えば、CXCR7が関連する疾患の治療または予防のための使用である。
以下に実施例を示して、本発明をより具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
[実施例1]
以下の方法により、下記の環状ペプチド(配列番号3)を製造した。
(配列番号3:L36)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−LAla−)
<1>保護ポリペプチド樹脂の合成
Fmoc−LNal−OH(1当量)をジクロロメタン(DCM)に溶解し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(4.1当量)を加え、その溶液を2Cl−(Trt)−Cl樹脂(1.7当量)に加えて2時間振とうした。反応溶液を濾去後、樹脂をDCM/N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)/DIPEA(17:2:1)で洗浄し、20%ピペリジン/DMFでFmoc基を除去することで、H−LNal−2ClTrt樹脂を得た。得られた樹脂にFmoc−LArg(Pbf)−ОH(5当量)を加え、DMF中で、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCDI)−HOBt法により縮合反応を行った。前記反応の完結を確認後、Fmoc基を20%ピペリジン/DMFで除去した。
<2>各アミノ酸の導入
以下同様にして、順次、LArg(Pbf)、DTyr(t−Bu)、LAla残基を樹脂に導入し、保護ポリペプチド樹脂を得た。
<3>樹脂からの鎖状ペプチドの分離
前記保護ポリペプチド樹脂を、1%(v/v)トリフルオロ酢酸(TFA)−DCM溶液中、25℃で2時間反応させ、前記樹脂から鎖状ペプチドを遊離した。そして、反応後の混合物から前記樹脂を濾別し、濾液を20%(v/v)DIPEA−DCM溶液で中和し、減圧濃縮した。
<4>HATU−DIPEAによる環化
前記鎖状ペプチドの減圧濃縮物はDMF溶媒中、1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イウム3−オキシドヘキサフルオロホスファート(HATU)(2当量)とDIPEA(4当量)を加えて25℃で36時間反応させ、その後減圧濃縮した。
<5>脱保護および精製
前記保護環状ペプチドを、95%(v/v)TFA−HO中、25℃で2時間反応させた。前記反応物を減圧濃縮後、冷ジエチルエーテルを加えることでペプチドを析出させた。得られた粗ペプチドの冷ジエチルエーテルによる洗浄を3回行った後、HPLC(コスモシール5C18 AR−IIカラム:アセトニトリル−水)により精製し、単一ピークの環状ペプチドを回収し、凍結乾燥することにより環状ペプチド(配列番号3)を得た。
[実施例2]
以下の方法により、下記の環状ペプチド(配列番号13)を製造した。
(配列番号13:L39)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−LPro−)
<1>保護ポリペプチド樹脂の合成
H−LPro−2ClTrt樹脂に、Fmoc−LNal−ОH(5当量)を加え、DMF中で、DIPCDI−HOBt法により縮合反応を行った。前記反応の完結を確認後、Fmoc基を20%ピペリジン/DMFで除去した。
<2>各アミノ酸の導入
以下同様にして、順次、LArg(Pbf)、LArg(Pbf)、DTyr(t−Bu)残基を樹脂に導入し、保護ポリペプチド樹脂を得た。
<3>樹脂からの鎖状ペプチドの分離
前記保護ポリペプチド樹脂を、20%(v/v)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)−DCM溶液中、25℃で2時間反応させ、前記樹脂から鎖状ペプチドを遊離した。その後、反応後の混合物から前記樹脂を濾別し、濾液を減圧濃縮した。
<4>DPPA−NaHCOによる環化
前記鎖状ペプチドの減圧濃縮物をDMFに溶解し、高希釈DMF溶液(0.67mmol/L)を調製した。前記希釈溶液に、−40℃で、ジフェニルリン酸アジド(DPPA)(2.5当量)とNaHCO(5当量)を加え、25℃で反応させた。目的化合物の生成を確認後、前記反応の混合物からNaHCOを濾別し、残渣をDMFで洗浄し、瀘液と洗液とを合わせ、これを減圧濃縮した。減圧濃縮物をCHCl/メタノール(9:1)に溶解し、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して保護環状ペプチドを得た。
<5>脱保護および精製
前記保護環状ペプチドを、TFA/HO/トリイソプロピルシラン(38:1:1)中、25℃で2時間反応させた。前記反応物に冷ジエチルエーテルを加えることでペプチドを析出させた。得られた粗ペプチドの冷ジエチルエーテルによる洗浄を3回行った後、HPLC(コスモシール5C18 AR−IIカラム:アセトニトリル−水)により精製し、単一ピークの環状ペプチドを回収し、凍結乾燥して環状ペプチド(配列番号13)を得た。
[実施例3]
以下の方法により、下記の環状ペプチド(配列番号20)を製造した。
(配列番号20:2B)
シクロ−(−DTyr−DArg−LArg−LNal−LPro−)
<1>保護ポリペプチド樹脂の合成
H−LPro−2ClTrt樹脂に、Fmoc−LNal−ОH(5当量)を加え、DMF中で、DIPCDI−HOBt法により縮合反応を行った。前記反応の完結を確認後、Fmoc基を20%ピペリジン/DMFで除去した。
<2>各アミノ酸の導入
以下同様にして、順次、LArg(Pbf)、DArg(Pbf)、DTyr(t−Bu)残基を樹脂に導入し、保護ポリペプチド樹脂を得た。
<3>樹脂からの鎖状ペプチドの分離
実施例2と同様にして行った。
<4>DPPA−NaHCOによる環化
実施例2と同様にして行った。
<5>脱保護および精製
保護環状ペプチドを、95%(v/v)TFA−HO溶液中、25℃で2時間反応させた。前記反応物に冷ジエチルエーテルを加えることでペプチドを析出させた。得られた粗ペプチドの冷ジエチルエーテルによる洗浄を3回行った後、HPLC(コスモシール5C18 AR−IIカラム:アセトニトリル−水)により精製し、単一ピークの環状ペプチドを回収し、凍結乾燥した。
[実施例4]
以下の方法により、下記の環状ペプチド(配列番号15)を製造した。
(配列番号15:L40)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−LPic−)
<1>保護ポリペプチド樹脂の合成
H−LArg(Pbf)−2ClTrt樹脂に、Fmoc−DTyr(t−Bu)−ОH(5当量)を加え、DMF中で、DIPCDI−HOBt法により縮合反応を行った。前記反応の完結を確認後、Fmoc基を20%ピペリジン/DMFで除去した。
<2>各アミノ酸の導入
以下同様にして、順次、LPic、LNal、LArg(Pbf)残基を樹脂に導入し、保護ポリペプチド樹脂を得た。
<3>樹脂からの鎖状ペプチドの分離及び脱保護
前記保護ポリペプチド樹脂を、95%(v/v)TFA−HO溶液中、25℃で2時間反応させ、前記樹脂から無保護の鎖状ペプチドを遊離した。そして、反応後の混合物から前記樹脂を濾別し、濾液に冷ジエチルエーテルを加えることでペプチドを析出させ、得られた粗ペプチドを冷ジエチルエーテルで3回洗浄した。
<4>HATU−DIPEAによる環化および精製
前記鎖状ペプチドの沈殿物について、DIPEA(8当量)を含む高希釈DMF溶液(0.67mmol/L)を調製した。HATU(1.5当量)のDMF溶液を、シリンジポンプを用いて6時間かけて滴下し、25℃で反応させ、目的化合物の生成を確認後、減圧濃縮した。その後、HPLC(コスモシール5C18 AR−IIカラム:アセトニトリル−水)により精製し、単一ピークの環状ペプチドを回収し、凍結乾燥した。
[実施例5]
以下の方法により、下記の環状ペプチド(配列番号17)を製造した。
(配列番号17:L42)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−LMeAla−)
<1>保護ポリペプチド樹脂の合成
Fmoc−LMeAla−OHとDIPEA(4当量)をDCMに溶解し、2Cl−(Trt)−Cl樹脂(1.7当量)に加えて2時間振とうした。反応溶液を濾去後、樹脂にメタノール(2mL)を加え、15分間振とうした。その後、CHClとジエチルエーテルで3回ずつ洗浄し、20%ピペリジン/DMFでFmoc基を除去することにより、H−LMeAla−2ClTrt樹脂を得た。得られた樹脂にFmoc−LNal−ОH(5当量)を加え、DMF中で、DIPCDI−HOBt法により縮合反応を行った。前記反応の完結を確認後、Fmoc基を20%ピペリジン/DMFで除去した。
<2>各アミノ酸の導入
以下同様にして、順次、LArg(Pbf)、LArg(Pbf)、DTyr(t−Bu)残基を樹脂に導入し、保護ポリペプチド樹脂を得た。
<3>樹脂からの鎖状ペプチドの分離
実施例2と同様にして樹脂からの鎖状ペプチドの分離を行った。
<4>DPPA−NaHCOによる環化
実施例2と同様にしてDPPA−NaHCOによる環化を行った。
<5>脱保護および精製
実施例2と同様にして脱保護および精製を行った。
[実施例6]
以下の方法により、下記の環状ペプチド(配列番号23および32)を製造した。
(配列番号23:3A)
シクロ−(−DMeTyr−LArg−LArg−LNal−LPro−)
(配列番号32:5B)
シクロ−(−DTyr−DMeArg−LArg−LNal−LPro−)
<1>保護ポリペプチド樹脂の合成
H−LArg(Pbf)−2ClTrt樹脂に、Fmoc−L/DArg(Pbf)−ОH(5当量)を加え、DMF中で、DIPCDI−HOBt法により縮合反応を行った。前記反応の完結を確認後、Fmoc基を20%ピペリジン/DMFで除去した。
<2−1>各アミノ酸の導入
以下同様にして、順次、DTyr(t−Bu)、LPro、LNal残基を樹脂に導入し、保護ポリペプチド樹脂を得た。ただし、メチルアミノ酸においては、そのアミノ酸を樹脂に導入した後に、後記のN末端アミノ酸のメチル化を行い、その次のアミノ酸導入のみ、Fmoc−アミノ酸(5当量)、HATU(5当量)とDIPEA(5当量)を用いてDMF中で2.5時間の縮合反応を行った。
<2−2>N末端アミノ酸のメチル化
メチル化するアミノ酸残基まで導入した樹脂にN−メチルピロリドン(NMP)中、NsCl(2.5当量)と2,4,6−コリジン(5当量)を加え、30分間振とうし、これを2回行った。前記反応の完結を確認後、樹脂にテトラヒドロフラン(THF)中、トリフェニルホスフィン(PPh)(5当量)、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)(5当量)およびメタノール(5当量)を加え、30分間振とうし、この操作を2回行った。その後、樹脂にNMP中、β−メルカプトエタノール(5当量)とジアザビシクロウンデセン(DBU)(2.5当量)を加え、5分間振とうし、この操作を2回行った。
<3>樹脂からの鎖状ペプチドの分離
実施例2と同様にして樹脂からの鎖状ペプチドの分離を行った。
<4>DPPA−NaHCOによる環化
実施例2と同様にしてDPPA−NaHCOによる環化を行った。
<5>脱保護および精製
実施例3と同様にして脱保護および精製を行った。
[実施例7]
以下の方法により、下記の環状ペプチド(配列番号24、25および33)を製造した。
(配列番号24:3B)
シクロ−(−DTyr−LMeArg−LArg−LNal−LPro−)
(配列番号25:3C)
シクロ−(−DTyr−LArg−LMeArg−LNal−LPro−)
(配列番号33:5C)
シクロ−(−DTyr−LArg−DMeArg−LNal−LPro−)
<1>保護ポリペプチド樹脂の合成
H−LPro−2ClTrt樹脂に、Fmoc−LNal−ОH(5当量)を加え、DMF中で、DIPCDI−HOBt法により縮合反応を行った。前記反応の完結を確認後、Fmoc基を20%ピペリジン/DMFで除去した。
<2−1>各アミノ酸の導入
以下同様にして、順次、L/DArg(Pbf)、LArg(Pbf)、DTyr(t−Bu)残基を樹脂に導入し、保護ポリペプチド樹脂を得た。ただし、メチルアミノ酸においては、そのアミノ酸を樹脂に導入した後に、実施例6の手順でN末端アミノ酸のメチル化を行い、その次のアミノ酸導入のみ、Fmoc−アミノ酸(5当量)、HATU(5当量)とDIPEA(5当量)を用いてDMF中で2.5時間の縮合反応を行った。
<2−2>N末端アミノ酸のメチル化
実施例6と同様にしてN末端アミノ酸のメチル化を行った。
<3>樹脂からの鎖状ペプチドの分離
実施例2と同様にして樹脂からの鎖状ペプチドの分離を行った。
<4>DPPA−NaHCOによる環化
実施例2と同様にしてDPPA−NaHCOによる環化を行った。
<5>脱保護および精製
実施例3と同様にして脱保護および精製を行った。
[実施例8]
以下の方法により、下記の環状ペプチド(配列番号26)を製造した。
(配列番号26:3D)
シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LMeNal−LPro−)
<1>保護ポリペプチド樹脂の合成
H−LPro−2ClTrt樹脂に、Fmoc−LNal−ОH(5当量)を加え、DMF中で、DIPCDI−HOBt法により縮合反応を行った。前記反応の完結を確認後、Fmoc基を20%ピペリジン/DMFで除去した。その後、実施例6の手順でN末端アミノ酸のメチル化を行った。
<2>各アミノ酸の導入
以下同様にして、順次、LArg(Pbf)、LArg(Pbf)、DTyr(t−Bu)残基を樹脂に導入し、保護ポリペプチド樹脂を得た。ただし、LMeNalの次のLArg導入のみ、Fmoc−LArg(Pbf)―OH(5当量)、HATU(5当量)とDIPEA(5当量)を用いてDMF中で2.5時間の縮合反応を行った。
<3>樹脂からの鎖状ペプチドの分離及び脱保護
保護ポリペプチド樹脂を、TFA/チオアニソール/m−クレゾール/1,2−エタンジチオール/HO(16:1:1:1:1)溶液中、25℃で2時間反応させ、前記樹脂から無保護の鎖状ペプチドを遊離した。そして、反応後の混合物から前記樹脂を濾別し、濾液に冷ジエチルエーテルを加えることでペプチドを析出させ、得られた粗ペプチドを冷ジエチルエーテルで3回洗浄した。
<4>HATU−DIPEAによる環化および精製
実施例4と同様にしてHATU−DIPEAによる環化および精製を行った。
[実施例9]
以下の方法により、下記の環状ペプチド(配列番号28)を製造した。
(配列番号28:4B)
シクロ−(−DTyr−LAla−LMeArg−LNal−LPro−)
<1>保護ポリペプチド樹脂の合成
H−LArg(Pbf)−2ClTrt樹脂に対し、実施例6の手順でN末端アミノ酸のメチル化を行った。その後、Fmoc−LAla−ОH(5当量)、HATU(5当量)およびDIPEA(5当量)を加え、DMF中で2.5時間の縮合反応を行った。前記反応の完結を確認後、Fmoc基を20%ピペリジン/DMFで除去した。
<2>各アミノ酸の導入
前記樹脂にFmoc−DTyr(t−Bu)−ОH(5当量)を加え、DMF中で、DIPCDI−HOBt法により縮合反応を行い、同様にFmoc基を20%ピペリジン/DMFで除去した。以下同様にして、順次、LPro、LNal残基を樹脂に導入し、保護ポリペプチド樹脂を得た。
<3>樹脂からの鎖状ペプチドの分離
実施例2と同様にして樹脂からの鎖状ペプチドの分離を行った。
<4>DPPA−NaHCOによる環化
実施例2と同様にしてDPPA−NaHCOによる環化を行った。
<5>脱保護および精製
実施例3と同様にして脱保護および精製を行った。
[実施例10]
以下の方法により、下記の環状ペプチド(配列番号29)を製造した。
(配列番号29:4C)
シクロ−(−DTyr−LArg−LMeAla−LNal−LPro−)
<1>保護ポリペプチド樹脂の合成
実施例1で合成したH−LNal−2ClTrt樹脂に、Fmoc−LMeAla−ОH(5当量)を加え、DMF中で、DIPCDI−HOBt法により縮合反応を行った。前記反応の完結を確認後、Fmoc基を20%ピペリジン/DMFで除去した。
<2>各アミノ酸の導入
以下同様にして、順次、LArg(Pbf)、DTyr(t−Bu)、LPro残基を樹脂に導入し、保護ポリペプチド樹脂を得た。ただし、LArg(Pbf)導入のみ、Fmoc−LArg(Pbf)―OH(5当量)、HATU(5当量)とDIPEA(5当量)を用いてDMF中で2.5時間の縮合反応を行った。
<3>樹脂からの鎖状ペプチドの分離
実施例2と同様にして樹脂からの鎖状ペプチドの分離を行った。
<4>DPPA−NaHCOによる環化
実施例2と同様DPPA−NaHCOによる環化を行った。
<5>脱保護および精製
実施例3と同様にして脱保護および精製を行った。
[実施例11]
以下の方法により、下記の環状ペプチド(配列番号31)を製造した。
(配列番号31:5A)
シクロ−(−LMeTyr−LArg−LArg−LNal−LPro−)
<1>保護ポリペプチド樹脂の合成
H−LArg(Pbf)−2ClTrt樹脂に、Fmoc−LArg(Pbf)−ОH(5当量)を加え、DMF中で、DIPCDI−HOBt法により縮合反応を行った。前記反応の完結を確認後、Fmoc基を20%ピペリジン/DMFで除去した。
<2>各アミノ酸の導入
以下同様にして、順次、LTyr(t−Bu)、LPro、LNal残基を樹脂に導入し、保護ポリペプチド樹脂を得た。ただし、メチルアミノ酸においては、そのアミノ酸を樹脂に導入した後に、実施例6の手順でN末端アミノ酸のメチル化を行い、その次のアミノ酸導入のみ、Fmoc−アミノ酸(5当量)、HATU(5当量)とDIPEA(5当量)を用いてDMF中で2.5時間の縮合反応を行った。
<3>樹脂からの鎖状ペプチドの分離
実施例2と同様にして樹脂からの鎖状ペプチドの分離を行った。
<4>DPPA−NaHCOによる環化
実施例2と同様にしてDPPA−NaHCOによる環化を行った。
<5>脱保護および精製
実施例2と同様にして脱保護および精製を行った。
その他のアミノ酸配列番号で表される環状ペプチドは、前記実施例2および公知のペプチドの合成法に従って合成した。
得られたペプチドの物性データを、下記表1〜2に示す。各ペプチドの構造は、下記表3〜7の各ペプチド番号の構造に対応している。
Figure 2016065018
Figure 2016065018
[実施例12]
前記実施例1〜11で合成した各種環状ペプチドについて、CXCR7と[125I]−SDF−1との結合に対する阻害能を確認した。
文献(J. Med. Chem.,56,4236−4251(2013))に記載の方法に準じて、CXCR7受容体を強制的に発現させたCHO細胞(チャイニーズ・ハムスター卵巣細胞)から受容体膜画分を調製した。そして、96穴マイクロタイタープレートの各ウェルに、所定濃度の前記環状ペプチド、前記受容体膜画分、Scintilation proximity assayビーズの混合懸濁液、および[125I]−SDF−1(Perkin Elmer Life Scienceから入手)を加え、25℃で1時間、結合反応を行った。前記ウェルにおいて、前記環状ペプチドの濃度は、10nmol/L〜300μmol/Lとし、[125I]−SDF−1の濃度は、0.25nmol/Lとし、前記受容体膜画分の濃度は、10〜20μg/wellとし、前記ビーズの濃度は、0.25mg/wellとした。そして、各ウェルの放射活性を測定した。前記環状ペプチド非存在下(0μmol/L)における放射活性を100%として、前記各環状ペプチド存在下の放射活性の相対値(%)を求めた。そして、前記相対値に基づいて、前記環状活性ペプチドのCXCR7とSDF−1との結合に対する阻害活性IC50を算出した。
参照例として、CXCR4とSDF−1との結合に対する、前記環状ペプチドの阻害活性について確認した。具体的には、CXCR4受容体を強制発現するHEK293細胞から調製した受容体膜画分を使用した以外は、同様にして、阻害活性IC50を算出した。また、比較例として、前記実施例の環状ペプチドにかえて、FC131(配列番号35)を使用して、同様の測定を行い、前記阻害活性IC50を算出した。これらの結果を、下記表3〜6に示す。
Figure 2016065018
前記表3に示す環状ペプチドは、比較例の前記FC131(配列番号35)と、前記FC131(配列番号35)における5番目のグリシン残基を他のアミノ酸に置換した実施例の環状ペプチドである。前記表3に示すように、前記FC131(配列番号35)の5番目のグリシン残基を他のアミノ酸残基に置換することで、CXCR7とSDF−1との結合に対する阻害活性が向上し、且つ、CXCR4とSDF−1との結合に対する阻害活性との対比により、CXCR7とSDF−1との結合に対する選択性も顕著に向上することがわかった。特に、5番目のアミノ酸残基をLProとしたL39(配列番号13)の環状ペプチドが、非常に高い阻害活性と選択性とを有することがわかった。
Figure 2016065018
前記表4に示す環状ペプチド2B(配列番号20)は、前記L39(配列番号13)における2番目のアミノ酸残基を対掌体(L→D)に置換した環状ペプチドである。2番目がDArgである前記2B(配列番号20)は、前記L39よりも活性が減少したものの、前述した比較例FC131(配列番号35)とは異なり、十分に優れたCXCR7選択的結合阻害活性を示した。また、環状ペプチド3A(配列番号23)−3D(配列番号26)は、前記L39(配列番号13)における1〜4番目の各アミノ酸をN−メチルアミノ酸に置換した環状ペプチドであり、いずれの環状ペプチドもCXCR7選択的結合活性を示した。特に、前記3C(配列番号25)は、前記L39(配列番号13)よりも優れた阻害活性を示した。
Figure 2016065018
前記表5に示す環状ペプチド5A(配列番号31)−5C(配列番号33)は、それぞれ、前記3A(配列番号23)−3C(配列番号25)におけるN−メチルアミノ酸残基を、対掌体(L→DまたはD→L)に置換した環状ペプチドである。いずれの環状ペプチドも、前記3C(配列番号25)よりも活性が減少したものの、CXCR7選択的結合阻害活性を示した。
Figure 2016065018
前記表6に示す環状ペプチドは、前記3C(配列番号25)の2番目または3番目のアミノ酸をAlaまたはMeAlaに置換した誘導体である。前記表6に示すように、いずれの誘導体(4Bおよび4C)も、前記3Cよりも活性が減少したものの、前述した比較例FC131(配列番号35)とは異なり、十分に優れた阻害活性を示した。これらの結果から、特に、前記3Cが、CXCR7結合剤として優れた構造であることが確認できた。
前記表3〜6の結果から、CXCR4に対する選択的阻害剤であるFC131の特定のアミノ酸を置換することにより、CXCR7に対して優れた結合活性と選択性とを有する環状ペンタペプチドが得られることが確認された。特に、L39(配列番号13)および3C(配列番号25)が、極めて優れた阻害活性とCXCR7選択性とを示した。
[実施例13]
前記実施例2および実施例7で合成したL39(配列番号13)および3C(配列番号25)について、CXCR7とβ−アレスチンとの結合に及ぼす影響を精査した。
前記環状ペプチド存在下における、β−アレスチンのCXCR7受容体への結合を、BRET法による検出系を用いて評価した。BRET法は、文献(J. Biol. Chem.,285,37939−37943(2010))に記載の方法に準じて行った。様々な濃度の前記各環状ペプチド存在下におけるβ−アレスチンのCXCR7受容体への結合率(BRET比)をプロットした後、シグモイド曲線に回帰し、前記各環状ペプチドのCXCR7アゴニスト活性EC50を算出した。これらの結果を、下記表7に示す。
Figure 2016065018
前記表7に示すように、実施例の環状ペプチドはCXCR7のアレスチンを介するシグナル伝達経路を活性化することが示された。本発明における環状ペプチドは、これまでに報告されている6アミノ酸残基からなる環状ペプチドと比べ、分子サイズが小さく、且つ、CXCR7に対する優れた生物活性を示したことから、単位分子量あたりのアゴニスト活性値に優れているといえる。このため、本発明の環状ペプチドは、製造コストを低く抑えられる。
本発明のCXCR7結合剤は、CXCR7に対する結合活性を有するため、例えば、CXCR7拮抗剤もしくは作動剤として使用でき、また、CXCR7が関与する疾患等に対する医薬組成物として、極めて有益である。

Claims (12)

  1. 下記式(I)で表される環状ペプチドまたはその塩を含有することを特徴とするCXCR7結合剤。
    シクロ−(−A1−B1−B2−A2−C−) (I)
    式(I)中、
    A1およびA2は、独立して、側鎖に20個以下の炭素原子からなる芳香環もしくは複素環を有する芳香族アミノ酸、またはアラニンを表し;
    B1およびB2は、独立して、アルギニン、ホモアルギニン、シトルリン、2,4−ジアミノ酪酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、リジン、オルニチン、これらの誘導体、またはアスパラギン酸、グルタミン酸、2−アミノヘキサン−1、6−ジカルボン酸、これらの側鎖アミド誘導体、またはアラニンを表し;
    Cは、アラニン、サルコシン、1−アミノシクロペンチル−1−カルボン酸、1−アミノシクロヘキシル−1−カルボン酸、β−アラニン、4−アミノ酪酸、5−アミノペンタン酸、プロリン、またはピペコリン酸を表し;
    それぞれのアミノ酸残基は、アミノ官能基が、1〜18個の炭素原子もしくはヘテロ原子を有するアルキル基、または芳香環もしくは複素環を有するアルキル基で置換されていてもよく;
    それぞれのアミノ酸残基はD体であってもL体であってもよい。
  2. 前記式(I)で表される環状ペプチドまたはその塩が、下記式(II)〜式(VII)のいずれかの一つの式で表される環状ペプチドまたはその塩である、請求項1記載のCXCR7結合剤。
    シクロ−(−LA1−DB1−LB2−LA2−C−) (II)
    シクロ−(−DA1−DB1−LB2−DA2−C−) (III)
    シクロ−(−DA1−DB1−LB2−LA2−C−) (IV)
    シクロ−(−LA1−LB1−LB2−LA2−C−) (V)
    シクロ−(−DA1−LB1−LB2−LA2−C−) (VI)
    シクロ−(−DA1−LB1−LB2−DA2−C−) (VII)
    前記各式中、
    A1およびA2は、独立して、側鎖に20個以下の炭素原子からなる芳香環もしくは複素環を有する芳香族アミノ酸、またはアラニンを表し;
    B1およびB2は、独立して、アルギニン、ホモアルギニン、シトルリン、2,4−ジアミノ酪酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、リジン、オルニチン、これらの誘導体、またはアスパラギン酸、グルタミン酸、2−アミノヘキサン−1、6−ジカルボン酸、これらの側鎖アミド誘導体、またはアラニンを表し;
    Cは、L−アラニン、D−アラニン、サルコシン、1−アミノシクロペンチル−1−カルボン酸、1−アミノシクロヘキシル−1−カルボン酸、β−アラニン、4−アミノ酪酸、5−アミノペンタン酸、L−プロリン、D−プロリン、L−ピペコリン酸、またはD−ピペコリン酸を表し;
    それぞれのアミノ酸残基は、アミノ官能基が、1〜18個の炭素原子もしくはヘテロ原子を有するアルキル基、または芳香環もしくは複素環を有するアルキル基で置換されていてもよく;
    LはL体(L−)を表し、DはD体(D−)を表す。
  3. 前記式(I)で表される環状ペプチドまたはその塩が、下記式(VIII)〜式(XIII)のいずれか一つの式で示される環状ペプチドまたはその塩である、請求項1記載のCXCR7結合剤。
    シクロ−(−LA1−DB1−LB2−LA2−C−) (VIII)
    シクロ−(−DA1−DB1−LB2−DA2−C−) (IX)
    シクロ−(−DA1−DB1−LB2−LA2−C−) (X)
    シクロ−(−LA1−LB1−LB2−LA2−C−) (XI)
    シクロ−(−DA1−LB1−LB2−LA2−C−) (XII)
    シクロ−(−DA1−LB1−LB2−DA2−C−) (XIII)
    前記各式中、
    A1は、チロシン、ヒドロキシフェニルグリシン、アラニン残基を表し;
    A2は、フェニルアラニン、トリプトファン、3−(2−ナフチル)アラニン、3−(1−ナフチル)アラニン、3−(2−ベンゾチエニル)アラニン、アラニン残基を表し;
    B1およびB2は、アルギニン、ホモアルギニン、グルタミン酸、アラニン残基を表し;
    Cは、L−アラニン、D−アラニン、β−アラニン、L−プロリン、D−プロリン、L−ピペコリン酸、D−ピペコリン酸、サルコシン残基を表し;
    それぞれのアミノ酸残基は、アミノ官能基が、1〜18個の炭素原子もしくはヘテロ原子を有するアルキル基、または芳香環もしくは複素環を有するアルキル基で置換されていてもよく;
    LはL−体を表し、DはD−体を表す。
  4. 前記式(I)で表される環状ペプチドまたはその塩が、下記配列番号1〜12のいずれか一つの式で表される環状ペプチドまたはその塩である、請求項1記載のCXCR7結合剤。
    (配列番号1)
    シクロ−(−DTyr−DArg−LArg−DNal−LAla−)
    (配列番号2)
    シクロ−(−DTyr−DArg−LArg−LNal−LAla−)
    (配列番号3)
    シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−LAla−)
    (配列番号4)
    シクロ−(−DTyr−DArg−LArg−DNal−DAla−)
    (配列番号5)
    シクロ−(−DTyr−DArg−LArg−LNal−DAla−)
    (配列番号6)
    シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−DAla−)
    (配列番号7)
    シクロ−(−DTyr−DArg−LArg−DNal−βAla−)
    (配列番号8)
    シクロ−(−DTyr−DArg−LArg−LNal−βAla−)
    (配列番号9)
    シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−βAla−)
    (配列番号10)
    シクロ−(−DTyr−DArg−LArg−LNal−Pic−)
    (配列番号11)
    シクロ−(−DTyr−DArg−LArg−LNal−Sar−)
    (配列番号12)
    シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−Sar−)
    前記各式中、
    DTyrは、D−チロシン残基を、
    LArgは、L−アルギニン残基を、
    DArgは、D−アルギニン残基を、
    LNalは、L−3−(2−ナフチル)アラニン残基を、
    DNalは、D−3−(2−ナフチル)アラニン残基を、
    LAlaは、L−アラニン残基を、
    DAlaは、D−アラニン残基を、
    β−Alaは、β−アラニン残基を、
    Picは、ピペコリン酸残基を、
    Sarは、サルコシン残基を、それぞれ示す。
  5. 前記式(I)で表される環状ペプチドまたはその塩が、下記配列番号13〜34のいずれか一つの式で表される環状ペプチドまたはその塩である、請求項1記載のCXCR7結合剤。
    (配列番号13)
    シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−LPro−)
    (配列番号14)
    シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−DPro−)
    (配列番号15)
    シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−LPic−)
    (配列番号16)
    シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−DPic−)
    (配列番号17)
    シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−LMeAla−)
    (配列番号18)
    シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LNal−DMeAla−)
    (配列番号19)
    シクロ−(−LTyr−LArg−LArg−LNal−LPro−)
    (配列番号20)
    シクロ−(−DTyr−DArg−LArg−LNal−LPro−)
    (配列番号21)
    シクロ−(−DTyr−LArg−DArg−LNal−LPro−)
    (配列番号22)
    シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−DNal−LPro−)
    (配列番号23)
    シクロ−(−DMeTyr−LArg−LArg−LNal−LPro−)
    (配列番号24)
    シクロ−(−DTyr−LMeArg−LArg−LNal−LPro−)
    (配列番号25)
    シクロ−(−DTyr−LArg−LMeArg−LNal−LPro−)
    (配列番号26)
    シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−LMeNal−LPro−)
    (配列番号27)
    シクロ−(−DAla−LArg−LMeArg−LNal−LPro−)
    (配列番号28)
    シクロ−(−DTyr−LAla−LMeArg−LNal−LPro−)
    (配列番号29)
    シクロ−(−DTyr−LArg−LMeAla−LNal−LPro−)
    (配列番号30)
    シクロ−(−DTyr−LArg−LMeArg−LAla−LPro−)
    (配列番号31)
    シクロ−(−LMeTyr−LArg−LArg−LNal−LPro−)
    (配列番号32)
    シクロ−(−DTyr−DMeArg−LArg−LNal−LPro−)
    (配列番号33)
    シクロ−(−DTyr−LArg−DMeArg−LNal−LPro−)
    (配列番号34)
    シクロ−(−DTyr−LArg−LArg−DMeNal−LPro−)
    前記各式中、
    LTyrは、L−チロシン残基を、
    DTyrは、D−チロシン残基を、
    LMeTyrは、L−N−メチルチロシン残基を、
    DMeTyrは、D−N−メチルチロシン残基を、
    LArgは、L−アルギニン残基を、
    DArgは、D−アルギニン残基を、
    LMeArgは、L−N−メチルアルギニン残基を、
    DMeArgは、D−N−メチルアルギニン残基を
    LNalは、L−3−(2−ナフチル)アラニン残基を、
    DNalは、D−3−(2−ナフチル)アラニン残基を、
    LMeNalは、L−N−メチル−3−(2−ナフチル)アラニン残基を、
    DMeNalは、D−N−メチル−3−(2−ナフチル)アラニン残基を、
    LProは、L−プロリン残基を、
    DProは、D−プロリン残基を、
    LPicは、L―ピペコリン酸残基を、
    DPicは、D―ピペコリン酸残基を、
    LMeAlaは、L−N−メチルアラニン残基を、
    DMeAlaは、D−N−メチルアラニン残基を、
    LAlaは、L−アラニン残基を、
    DAlaは、D−アラニン残基を、それぞれ示す。
  6. 前記式(I)で表される環状ペプチドまたはその塩が、配列番号3、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号20、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号28、配列番号29、配列番号31、配列番号32、および配列番号33のいずれか一つの式で表される環状ペプチドまたはその塩である、請求項4または5記載のCXCR7結合剤。
  7. 請求項1から6いずれか一項に記載のCXCR7結合剤を含有することを特徴とするCXCR7拮抗剤。
  8. 請求項1から6いずれか一項に記載のCXCR7結合剤を含有することを特徴とするCXCR7作動剤。
  9. 請求項1から6のいずれか一項に記載のCXCR7結合剤を含有することを特徴とする医薬組成物。
  10. CXCR7が関与する疾患を予防または治療するための医薬組成物である請求項9に記載の医薬組成物。
  11. 前記疾患が、白血病、腫瘍、神経疾患および自己免疫疾患からなる群から選択された少なくとも一つの疾患である請求項9または10記載の医薬組成物。
  12. 前記配列番号13〜34のいずれか一つの式で表されることを特徴とする環状ペプチドまたはその塩。
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