JP2016064659A - 複合成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、金属成形体と樹脂成形体を工業的に有利な方法で、かつ高い接合強度で接合一体化できる技術は実用化されていない。
特許文献2には、特許文献1の発明において、さらに複数回重畳的にレーザースキャニングするレーザー加工方法の発明が開示されている。
さらにクロス方向へのレーザースキャンにより十分な表面粗し処理ができることから、接合強度は高くできることが考えられるが、表面粗さ状態が均一にならず、金属と樹脂との接合部分の強度の方向性が安定しないおそれがあるという問題がある。
例えば、1つの接合体はX軸方向への剪断力や引張強度が最も高いが、他の接合体は、X軸方向とは異なるY軸方向への剪断力や引張強度が最も高く、さらに別の接合体は、X軸及びY軸方向とは異なるZ軸方向への剪断力や引張強度が最も高くなるという問題が発生するおそれがある。
製品によっては(例えば、一方向への回転体部品や一方向への往復運動部品)、特定方向への高い接合強度を有する金属と樹脂の複合体が求められる場合があるが、特許文献1、2の発明では前記の要望には十分に応えることができない。
実施形態1〜3では、金属長尺コイル表面にレーザー照射して凹凸を形成することが記載されている。そして、段落番号10では、金属長尺コイル表面をストライプ状や梨地状に荒らすこと、段落番号19では、金属長尺コイル表面をストライプ状、点線状、波線状、ローレット状、梨地状に荒らすることが記載されている。
しかし、段落番号21、22の発明の効果に記載されているとおり、レーザー照射をする目的は、金属表面に微細で不規則な凹凸を形成し、それによりアンカー効果を高めるためである。特に処理対象が金属長尺コイルであることから、どのような凹凸を形成した場合でも、必然的に微細で不規則な凹凸になるものと考えられる。
よって、特許文献3の発明は、特許文献1、2の発明のようにクロス方向にレーザー照射して表面に微細な凹凸を形成する発明と同じ技術的思想を開示しているものである。
金属成形体と樹脂成形体からなる複合成形体の製造方法であって、
金属成形体の接合面に対して、一方向又は異なる方向に直線及び/又は曲線からなるマーキングを形成するようにレーザースキャンする工程であり、各直線及び/又は各曲線からなるマーキングが互いに交差しないようにレーザースキャンする工程と、
マーキングを形成した金属成形体の接合面を含む部分を金型内に配置して、前記樹脂成形体となる樹脂をインサート成形する工程を有する複合成形体の製造方法を提供する。
レーザースキャンするときは1回だけスキャンする場合と、同じスキャン痕(マーキング)に対して複数回繰り返してスキャンする場合を含む。
金属成形体と樹脂成形体からなる複合成形体の製造方法であって、
金属成形体の接合面に対して、直線及び/又は曲線からなる所望のマーキングパターンを形成するようにレーザースキャンする工程であり、前記所望のマーキングパターンを構成する各直線及び/又は各曲線が互いに交差しないようにレーザースキャンする工程と、
マーキングパターンを形成した金属成形体の接合面を含む部分を金型内に配置して、前記樹脂成形体となる樹脂をインサート成形する工程を有する複合成形体の製造方法を提供する。
レーザースキャンするときは1回だけスキャンする場合と、同じスキャン痕(マーキングパターン)に対して複数回繰り返してスキャンする場合を含む。
さらに用途に応じた所望方向への接合強度の高い複合成形体を得ることができるほか、接合面が複雑な形状の複合成形体の製造も容易である。
図1(a)は、金属平板(又は金属角材や金属丸棒)1の端面1aと樹脂成形体2が接合一体化された複合成形体3の側面図である。
図1(a)及び(b)で示す複合成形体3の製造方法は、次のとおりである。図1(a)は、側面図(又は平面図)であり、(b)は接合面のマーキング状態(マーキング方向)を示す図である。
ここで不連続の直線状にマーキング5を形成するようにレーザースキャンするとは、多数のドット状のマーキングの組み合わせで直線(破線)のマーキング5を形成するようにレーザースキャンすることを意味する。以下の他の実施形態においても同様である。
スキャン方向は一方向のみであるから、図1(b)の方向に代えて、図1(b)の方向とは直交する方向のみにスキャンしてもよいし、斜め方向のみにスキャンしてもよい。
このとき、同じマーキング5に対して複数回繰り返してレーザースキャンすることもできる。同じマーキング5に対するレーザースキャンの回数を増加させることにより、接合強度を高めることができる。
図1(a)及び(c)で示す複合成形体3の製造方法は、次のとおりである。図1(a)は、側面図(又は平面図)であり、(c)は接合面のマーキング状態(マーキング方向)を示す図である。
このようにスキャン方向が180°反対になるように往復してスキャンすることで、同じ本数だけマーキング5を形成する場合には、同一方向からマーキングを形成した場合と比べると、スキャンに要する時間を短縮することができる。
図1(a)及び(d)で示す複合成形体3の製造方法は、次のとおりである。図1(a)は、側面図(又は平面図)であり、(d)は接合面のマーキング状態を示す図である。
この方法で形成されたマーキング5は1点でのみに交差するが、2点以上では交差していない。
また、断面が多角形(例えば六角形)の金属棒を使用する場合には、1面〜6面の一部面及び全ての面に対してレーザースキャンして、金属成形体と1つ又は複数の樹脂成形体を接合することができる。
インサート成形方法は特に制限されるものではなく、金型内に溶融状態の熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂(プレポリマー)を射出する方法、金属成形体1と樹脂成形体2を加熱プレスする方法等を適用することができる。
図2(a)は、金属平板(又は金属角材)1の平面と樹脂成形体2の平面が接合一体化された複合成形体3の側面図である。
図2(a)、(b)及び(c)で示す複合成形体3の製造方法は、次のとおりである。図2(a)は複合成形体3の側面図、図2(b)は(a)の平面図であり、図2(c)は接合面1aのマーキング状態(マーキング方向)を示す図である。
図2(a)、(b)の複合成形体3も図1(a)の複合成形体3と同様にして、接合一体化前の金属平板1の平面(接合面)1aに対して、図1(c)に示すように、長さ方向の一方向のみ(図1(c)中のマーキング5に付した矢印方向)に連続又は不連続の直線状にマーキング5を形成するようにレーザースキャンする。
図2(a)、(b)及び(d)で示す複合成形体3の製造方法は、次のとおりである。図2(a)は複合成形体3の側面図、図2(b)は(a)の平面図であり、図2(d)は接合面1aのマーキング状態(マーキング方向)を示す図である。
第1スキャン工程では、金属成形体1の接合面1aに対して、特定の一方向(図2(d)のマーキング5の矢印方向)にのみ連続又は不連続の直線状にマーキング5を形成するようにレーザースキャンする。
このようにスキャン方向が180°反対になるように往復してスキャンすることで、同じ本数だけマーキング5、5’を形成する場合には、同一方向からマーキングを形成した場合と比べると、スキャンに要する時間を短縮することができる。
図2(c)、(d)におけるマーキング5又はマーキング5、5’の間隔、長さ及び本数は、接合対象となる金属平板1と樹脂平板2の大きさ、質量、種類、さらには求められる接合強度等に応じて適宜決定する。
また、断面が多角形(例えば六角形)の金属棒を使用する場合には、1面〜6面の一部面及び全ての面に対してレーザースキャンして、金属成形体と1つ又は複数の樹脂成形体を接合することができる。
インサート成形方法は特に制限されるものではなく、金型内に溶融状態の熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂(プレポリマー)を射出する方法、金属成形体1と樹脂成形体2を加熱プレスする方法等を適用することができる。
図3(a)は、金属棒(幅方向の断面が円形、楕円形、三角形、四角形、六角形等の多角形の棒)11の一端側の周面11aと樹脂成形体12が接合一体化された複合成形体13の側面図である。
複合成形体13は、金属棒11の一端側の周面11aが樹脂で包み込まれた状態(即ち、樹脂成形体12中に金属棒11の一端側の周面11aが埋設された状態)で接合一体化されている。
図3(a)、(b1)で示す複合成形体13の製造方法は、次のとおりである。
接合一体化前の金属棒11の一端側周面(接合面)11aに対して、図3(b1)に示すように、マーキング15の矢印方向のみに連続又は不連続の螺旋状にマーキング15を形成するようにレーザースキャンした実施形態である。
ここで不連続の螺旋状にマーキング15を形成するようにレーザースキャンするとは、多数のドット状のマーキングの組み合わせで螺旋状の線を形成するようにレーザースキャンすることを意味する。螺旋状の線であるから、マーキング5が交差することはない。以下の他の実施形態においても同様である。
図3(b1)に示すように螺旋状にレーザースキャンしたとき(マーキング15が形成されているとき)、金属棒11のα軸を中心とするときの回転方向(図3(b1)の矢印方向又は反対方向への回転方向。)への接合強度(反対方向の接合強度が高くなる)とα軸方向への接合強度(引張強度)を高くすることができる。
第1スキャン工程では、接合一体化前の金属棒11の接合面11aに対して、特定の一方向(図3(b2)のマーキング15の矢印方向)にのみ連続又は不連続の螺旋状にマーキング15を形成するようにレーザースキャンする。
第2スキャン工程では、第1スキャン工程における特定の一方向とは180°反対方向(第1スキャン工程のスキャン方向とは交差しない方向であり、図3(b2)のマーキング15’の矢印方向)に連続又は不連続の螺旋状にマーキング15’を形成するようにレーザースキャンする。
このようにスキャン方向が180°反対になるように往復してスキャンすることで、同じ本数だけマーキングを形成する場合には、同一方向からマーキングを形成した場合と比べると、スキャンに要する時間を短縮することができる。
図3(a)、(c1)で示す複合成形体13の製造方法は、次のとおりである。
接合一体化前の金属棒11の一端側周面(接合面)11aに対して、図3(c1)に示すように、マーキング15の矢印方向のみに連続又は不連続の直線状にマーキング15を形成するようにレーザースキャンした実施形態である。このとき、一端側周面(接合面)11aの一部面のみスキャンしてもよいし、全周面にスキャンしてもよい。
図3(a)、(c2)で示す複合成形体13の製造方法は、次のとおりである。
第1スキャン工程では、接合一体化前の金属棒11の接合面11aに対して、特定の一方向(図3(c2)のマーキング15の矢印方向)にのみ連続又は不連続の直線状にマーキング15を形成するようにレーザースキャンする。
第2スキャン工程では、第1スキャン工程における特定の一方向とは180°反対方向(第1スキャン工程のスキャン方向とは交差しない方向であり、図3(c2)のマーキング15’の矢印方向)に連続又は不連続の直線状にマーキング15’を形成するようにレーザースキャンする。
このとき、一端側周面(接合面)11aの一部面のみスキャンしてもよいし、全周面にスキャンしてもよい。
このようにスキャン方向が180°反対になるように往復してスキャンすることで、同じ本数だけマーキングを形成する場合には、同一方向からマーキングを形成した場合と比べると、スキャンに要する時間を短縮することができる。
このため、α軸を中心とするときの回転方向が高いことが要求される部品(複合成形体)、例えば、モーター部品の製造方法として好適である。
図3(a)、(d1)で示す複合成形体13の製造方法は、次のとおりである。
接合一体化前の金属棒11の一端側周面(接合面)11aに対して、図3(d1)に示すように、マーキング15の矢印方向のみに間隔をおいて複数本を連続又は不連続の環状にレーザースキャンした実施形態である。ここで不連続の環状とは、多数のドット状のマーキングの組み合わせで環状の線を形成するようにレーザースキャンすることを意味する。環状線であるから、マーキング同士が交差することはない。以下の他の実施形態においても同様である。
図3(a)、(d2)で示す複合成形体13の製造方法は、次のとおりである。
第1スキャン工程では、接合一体化前の金属棒11の接合面11aに対して、特定の一方向(図3(d2)のマーキング15の矢印方向)にのみ連続又は不連続の環状にマーキング15を形成するようにレーザースキャンする。
このため、α軸方向への引張強度が高いことが要求される部品(複合成形体)、例えば、ピストンのような部品の製造方法として好適である。
金属棒11の端面11bに対してレーザースキャンするときは、図1(c)で示すマーキング15、15’が形成されるようにスキャンしてもよいが、図3(e)、(f)に示すように、接合面11bの中心を通る放射状のマーキング15が形成されるようにレーザースキャンしてもよいし、さらに図5(a)〜(f)、図6(a)、(b)、図7(a)、(b)、図8(a)、(b)、図9(a)、(b)に示すマーキングが形成されるようにスキャンしてもよい。
図3(e)、(f)に示すマーキング15は1点でのみ交差して、2点以上では交差していない。
インサート成形方法は特に制限されるものではなく、金型内に溶融状態の熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂(プレポリマー)を射出する方法、金属成形体11と樹脂成形体を加熱プレスする方法等を適用することができる。
図4(a)は、表面に凸部を有する金属板21と樹脂成形体22との複合成形体23の側面図である。凸部は、平面21aと4つの斜面(又は垂直面でもよい)21bから形成されている。
図4(a)、(b)で示す複合成形体23の製造方法は、次のとおりである。
まず、接合一体化前の金属板21の平面(接合面)21aに対して、図4(b)に示すように、一方向のみ(図4(b)中のマーキング25に付した矢印方向)に連続又は不連続の直線状にマーキング25が形成されるようにレーザースキャンする。
また図4(c)に示すように、平面21aだけでなく、4つの斜面21bの一部又は全部の面、必要に応じてさらに凸部周辺の平面24に対してもレーザースキャンしてもよい。
スキャン方向は一方向のみであるから、図4(b)の方向とは直交する方向のみにスキャンしてもよいし、斜め方向のみにスキャンしてもよい。
このとき、同じマーキング25に対して複数回繰り返してレーザースキャンすることもできる。同じマーキング25に対するレーザースキャンの回数を増加させることにより、接合強度を高めることができる。
図4(a)、(d)で示す複合成形体23の製造方法は、次のとおりである。
第1スキャン工程では、金属成形体21の接合面21aに対して、特定の一方向(図4(d)のマーキング25の矢印方向)にのみ連続又は不連続の直線状にマーキング25が形成されるようにレーザースキャンする。
また図4(c)で示すように、平面21aだけでなく、4つの斜面21bの一部又は全部の面、必要に応じてさらに凸部周辺の平面24に対してもレーザースキャンしてもよい。
スキャン方向は一方向のみであるから、図4(d)に示す方向とは直交する方向のみにスキャンしてもよいし、斜め方向のみにスキャンしてもよい。
このようにスキャン方向が180°反対になるように往復してスキャンすることで、同じ本数だけマーキングを形成する場合には、同一方向からマーキングを形成した場合と比べると、スキャンに要する時間を短縮することができる。
インサート成形方法は特に制限されるものではなく、金型内に溶融状態の熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂(プレポリマー)を射出する方法、金属成形体21と樹脂成形体22を加熱プレスする方法等を適用することができる。
本発明の複合成形体の製造方法においては、接合対象となる金属成形体の接合面の形状により、レーザースキャンする工程において所望のマーキングパターンを形成することができる。
このマーキングパターンは、金属成形体の接合面の形状に応じて、接合面の全体又はその一部に対して、所望方向に対して所望強度の接合強度が得られるように形成されるものである。
図5(a)〜(f)は、金属成形体の接合面が四角形のものの実施形態であるが、円形、楕円形、他の多角形のような他の形状からなる接合面にも適用することができる。
図5(a)のマーキングパターン5の場合は、X1及びX2方向への剪断力を高めることができ、特にX2方向への剪断力を高めることができる。
なお、以下の図5の説明において、X1、X2方向というときは、図5(a)に示されたX1、X2方向を基準とする。
図5(b)のマーキングパターン5の場合は、X1及びX2方向への剪断力を高めることができ、特にX2方向への剪断力を高めることができる。
図5(c)のマーキングパターン5の場合は、X1、X2を含む面内のあらゆる方向に対して、方向依存性にない均一な接合力(剪断力)を得ることができる。
図5(d)のマーキングパターン5の場合は、X1、X2を含む面内のあらゆる方向に対して、方向依存性にない均一な接合力(剪断力)を得ることができる。
図5(e)のマーキングパターン5の場合は、X1、X2を含む面内のあらゆる方向に対して、方向依存性にない均一な接合力(剪断力)を得ることができる。
図5(f)のマーキングパターン5の場合は、X1、X2を含む面内のあらゆる方向に対して、方向依存性にない均一な接合力(剪断力)を得ることができる。
図5(a)〜(f)のマーキングパターン5は、いずれにおいても各直線又は各曲線が互いに交差しないように形成されている。
図6(a)、(b)は、金属成形体の接合面が四角形のもの実施形態である、
図6(a)は、金属成形体1の接合面1aに対して、接合面1aと同一形状(四角形)の図形であり、同じ中心点を有し、かつ大きさが異なる複数の図形(四角形)を形成するようにマーキングパターン5を形成している。
なお、図6(a)、(b)のほかに、図1(d)で示すマーキングパターン5、図3(f)で示すマーキングパターン15を形成することもできる。
図6(a)、(b)のマーキングパターン5は、いずれにおいても各直線が互いに交差しないように形成されている。
図7(a)、(b)は、金属成形体の接合面が円形のもの実施形態である、
図7(a)は、金属成形体1の接合面1aに対して、接合面1aと同一形状(円形)の図形であり、同じ中心点を有し、かつ大きさが異なる複数の図形(即ち、同心円)を形成するようにマーキングパターン5を形成している。
この中心点は、面積の中心又は重心の中心である。図7のように接合面1aが円形の場合には面積の中心を中心点とすることが好ましいが、接合面1aが不定形のものの場合には重心を中心点とすることができる。
なお、図7(a)、(b)のほかに、図3(e)で示すマーキングパターン15を形成することもできる。
図7(a)、(b)のマーキングパターン5は、いずれにおいても各曲線が互いに交差しないように形成されている。
図8(a)、(b)は、金属成形体の接合面が楕円形のもの実施形態である、
図8(a)は、金属成形体1の接合面1aに対して、接合面1aと同一形状(楕円形)の図形であり、同じ中心点を有し、かつ大きさが異なる複数の図形(楕円形)を形成するようにマーキングパターン5を形成している。
なお、図8(a)、(b)のほかに、図3(e)で示すマーキングパターン15を利用することもできる。
図8(a)、(b)のマーキングパターン5は、いずれにおいても各曲線が互いに交差しないように形成されている。
図9(a)、(b)は、金属成形体の接合面が三角形のもの実施形態である、
図9(a)は、金属成形体1の接合面1aに対して、接合面1aと同一形状(三角形)の図形であり、同じ中心点を有し、かつ大きさが異なる複数の図形(三角形)を形成するようにマーキングパターン5を形成している。
なお、図9(a)、(b)のほかに、図3(f)で示すマーキングパターン15を利用することもできる。
図9(a)、(b)のマーキングパターン5は、いずれにおいても各直線が互いに交差しないように形成されている。
図10は、金属成形体1の接合面1aに対して、接合面1aと同一形状(星形)の図形であり、同じ中心点を有し、かつ大きさが異なる複数の図形(星形)を形成するようにマーキングパターン5を形成している。
図10のマーキングパターン5は、いずれにおいても各直線が互いに交差しないように形成されている。
図11(a)は、金属成形体1の接合面1aが四角形の場合において、図6(b)に示すマーキングパターン5を複数組み合わせて形成した実施形態である。
図11(b)は、金属成形体1の接合面1aが円形の場合において、図7(b)に示す大きさの異なるマーキングパターン5を複数組み合わせて形成した実施形態である。
このように異なるマーキングパターンを組み合わせることで、所望方向の接合強度が高い複合成形体の製造が容易になる。
公知の繊維状充填材としては、炭素繊維、無機繊維、金属繊維、有機繊維等を挙げることができる。
炭素繊維は周知のものであり、PAN系、ピッチ系、レーヨン系、リグニン系等のものを用いることができる。
無機繊維としては、ガラス繊維、玄武岩繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊維等を挙げることができる。
金属繊維としては、ステンレス、アルミニウム、銅等からなる繊維を挙げることができる。
有機繊維としては、ポリアミド繊維(全芳香族ポリアミド繊維、ジアミンとジカルボン酸のいずれか一方が芳香族化合物である半芳香族ポリアミド繊維、脂肪族ポリアミド繊維)、ポリビニルアルコール繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリオキシメチレン繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、ポリエステル繊維(全芳香族ポリエステル繊維を含む)、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリイミド繊維、液晶ポリエステル繊維を用いることができるが、これらの中でも全芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)がより好ましい。
が、これらの中でも、例えば金属成形体1の接合面1aに対して形成されるマーキングパターン5の幅(溝の幅又は孔の開口径)より小さな繊維径のものを使用することが好ましい。繊維径は、より望ましくは5〜30μm、さらに望ましくは7〜20μmである。
このようなマーキングパターン5の幅より小さな繊維径の繊維状充填材を使用したときには、金属成形体のマーキングパターン5内に繊維状充填材の一部が張り込んだ状態の複合成形体が得られ、金属成形体と樹脂成形体の接合強度が高められるので好ましい。
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性エラストマー100質量部に対する繊維状充填材の配合量は5〜250質量部が好ましい。より望ましくは、25〜200質量部、さらに望ましくは45〜150質量部である。
金属板(SUS303)(幅12.5mm,長さ50mm,厚み0.2mm)とポリアミド66からなる複合成形体(図2(a)で示す形態の複合成形体3)を製造した。
レーザー:YAG
出力:4.5W
波長:1064mm
ビーム径:20μm
線間距離(レーザービームの中心間の距離)(図12で示す隣接するマーキング5の線の中心から中心の間隔):100μm
スキャン速度:100mm/sec
周波数:50kHz
加工エリア面積(マーキング5の形成範囲であり、幅W=5mm,長さL=3mmの範囲):15mm2
なお、レーザースキャンしていない金属板を用いて同様に射出成形した複合成形体を比較例1とした。
樹脂:GF60%強化PA66樹脂(プラストロンPA66−GF60−01(L9):ダイセルポリマー(株)製)
樹脂温度:320℃
金型温度:100℃
射出成形機:FUNAC ROBOSHOT S−2000i−100B
<引張試験条件>
試験機:テンシロンUCT−1T
引張速度:5mm/min
チャック間距離:50mm
引張方向:図12、図13に示す白矢印方向(マーキング5と同一方向)
金属板(SUS303)(幅15mm,長さ60mm,厚み1mm)とポリアミド66からなる複合成形体(図2(a)で示す形態の複合成形体)を製造した。
実施例7の図15(c)のパターンは、直線からなる渦巻き状にスキャンされている。
実施例8は、1つのマーキング60に対して2回スキャンした例である。
<レーザースキャン条件>
レーザー:YAG
出力:表2に示す
波長:1064mm
ビーム径:20μm
線間距離(図15(a)〜(d)で示す隣接する同方向へのマーキング60の線の中心から中心までの間隔):100μm
スキャン速度:100mm/sec
周波数:50kHz
金属板50の接合面51にレーザースキャンした後、下記の方法でインサート成形して、図14で示す金属板50と樹脂成形体が接合一体化された図13と同じ引張試験用のスペーサー7が取り付けられた複合成形体を得た。
樹脂:GF60%強化PA66樹脂(プラストロンPA66−GF60−01(L9):ダイセルポリマー(株)製)
樹脂温度:320℃
金型温度:100℃
射出成形機:FUNAC ROBOSHOT S−2000i−100B
試験機:テンシロンUCT−1T
引張速度:5mm/min
チャック間距離:50mm
引張方向:図14、図15(a)〜(d)に示す白矢印方向。試験は、n数5で行い、それらの平均値を求めた。
1a、11a、21a 接合面
2、12、22 樹脂成形体
3、13、23 複合成形体
5、5’、15、15’、25、25’ マーキング
Claims (6)
- 金属成形体と樹脂成形体からなる複合成形体の製造方法であって、
金属成形体の接合面に対して、一方向又は異なる方向に直線及び/又は曲線からなるマーキングを形成するようにレーザースキャンする工程であり、各直線及び/又は各曲線からなるマーキングが互いに交差しないようにレーザースキャンする工程と、
マーキングを形成した金属成形体の接合面を含む部分を金型内に配置して、前記樹脂成形体となる樹脂をインサート成形して、接着剤を使用しないで前記金属成形体と樹脂成形体を接合する工程を有しており、
前記レーザースキャンする工程が、金属成形体の接合面に対して、同一方向に突き出された複数の折れ線の組み合わせからなるマーキングパターン、同一方向に突き出された複数の円弧を形成する線の組み合わせからなるマーキングパターンから選ばれるマーキングパターンを形成する工程であり、
前記樹脂成形体となる樹脂をインサート成形する工程が、溶融状態の樹脂を前記マーキングパターン内に入り込ませることで、金属成形体と樹脂成形体の接合面内の前記マーキングパターンの突き出された方向に対する剪断力を得る工程である、複合成形体の製造方法。 - 金属成形体と樹脂成形体からなる複合成形体の製造方法であって、
金属成形体の接合面に対して、一方向又は異なる方向に直線及び/又は曲線からなるマーキングを形成するようにレーザースキャンする工程であり、各直線及び/又は各曲線からなるマーキングが互いに交差しないようにレーザースキャンする工程と、
マーキングを形成した金属成形体の接合面を含む部分を金型内に配置して、前記樹脂成形体となる樹脂をインサート成形して、接着剤を使用しないで前記金属成形体と樹脂成形体を接合する工程を有しており、
前記レーザースキャンする工程が、金属成形体の接合面に対して、同一方向に突き出された複数のジグザグ線の組み合わせからなるマーキングパターン、同一方向に突き出された複数の波線の組み合わせからなるマーキングパターン、1本の連続した直線で全体として波線が形成されたマーキングパターン、1本の連続した曲線の組み合わせから全体として波線が形成されたマーキングパターンから選ばれるマーキングパターンを形成する工程であり、
前記樹脂成形体となる樹脂をインサート成形する工程が、溶融状態の樹脂を前記マーキングパターン内に入り込ませることで、金属成形体と樹脂成形体の接合面内のあらゆる方向に対して方向依存性のない剪断力を得る工程である、複合成形体の製造方法。 - 金属成形体と樹脂成形体からなる複合成形体の製造方法であって、
金属成形体の接合面に対して、一方向又は異なる方向に直線及び/又は曲線からなるマーキングを形成するようにレーザースキャンする工程であり、各直線及び/又は各曲線からなるマーキングが互いに交差しないようにレーザースキャンする工程と、
マーキングを形成した金属成形体の接合面を含む部分を金型内に配置して、前記樹脂成形体となる樹脂をインサート成形して、接着剤を使用しないで前記金属成形体と樹脂成形体を接合する工程を有しており、
前記レーザースキャンする工程が、金属成形体の接合面に対して、接合面と同一形状の図形であり、同じ中心点を有し、かつ大きさが異なる複数の図形を形成するようにマーキングパターンを形成する工程であり、
前記樹脂成形体となる樹脂をインサート成形する工程が、溶融状態の樹脂を前記マーキングパターン内に入り込ませることで、金属成形体と樹脂成形体の接合面内のあらゆる方向に対して方向依存性のない剪断力を得る工程である、複合成形体の製造方法。 - 金属成形体と樹脂成形体からなる複合成形体の製造方法であって、
金属成形体の接合面に対して、一方向又は異なる方向に直線及び/又は曲線からなるマーキングを形成するようにレーザースキャンする工程であり、各直線及び/又は各曲線からなるマーキングが互いに交差しないようにレーザースキャンする工程と、
マーキングを形成した金属成形体の接合面を含む部分を金型内に配置して、前記樹脂成形体となる樹脂をインサート成形して、接着剤を使用しないで前記金属成形体と樹脂成形体を接合する工程を有しており、
前記レーザースキャンする工程が、金属成形体の接合面に対して、前記接合面の中心点を基準として渦巻きを形成するようにマーキングパターンを形成する工程であり、
前記樹脂成形体となる樹脂をインサート成形する工程が、溶融状態の樹脂を前記マーキングパターン内に入り込ませることで、金属成形体と樹脂成形体の接合面内のあらゆる方向に対して方向依存性のない剪断力を得る工程である、複合成形体の製造方法。 - 前記金属成形体の接合面が、平面、曲面、凹凸のある平面、凹凸のある曲面及びそれらが組み合わされた面から選ばれるものである、請求項1〜4のいずれか1項記載の複合成形体の製造方法。
- 樹脂成形体が繊維状充填剤を含有しているものであり、前記繊維状充填剤の繊維径が、金属成形体の接合面に形成された各直線及び/又は各曲線からなるマーキングの幅よりも狭い3〜60μmのものである、請求項1〜5のいずれか1項記載の複合成形体の製造方法。
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