JP2016064627A - 処理液、画像形成方法、記録物、記録装置 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、従来の処理液は、画像品質を高める一方でカチオンポリマーの対イオンとなる塩素イオンによって処理液と接触する部材を腐食させてしまうという問題があり、また、対イオンを変更しようとするとコストの問題が生じるため、装置の部材自体や処理・加工等で対応しなければならなかった。
インクが接触した金属部材の腐食を防止するため、インクにリン酸塩とクエン酸塩を添加する方法(特許文献1)や、ブチル安息香酸塩を添加する方法(特許文献2)は公知である。しかし、いずれも処理液に関する発明ではなく、当然ながら、画像品質向上のため処理液を用いることに関する記載もない。
また、特許文献4には、ブリード・裏抜け防止を目的として、反応液に水溶性カチオンポリマーを含有させた発明が開示されている。しかし、本発明とは目的が異なるし、高速画像形成に関する記載や防錆剤に関する記載もない。しかも、段落0020には「水溶性カチオンポリマーの添加量は1〜40質量%が好ましく、より好ましくは3〜30質量%である。」と記載されており、本発明とは添加量が異なる。
また、特許文献5には、商業用印刷用紙への印刷における高速で良好な画像品質と耐擦性向上を目的として、反応液に水溶性脂肪族系有機酸塩化合物のクエン酸塩を含有させた発明が開示されている。しかし、本発明とは目的が異なるし、クエン酸塩は凝集剤として使用されており、防錆剤として使用している本発明とはクエン酸塩の役割も異なる。
更に、通常のインクジェット記録の画像形成速度よりも速い10〜200m/分程度の高速で画像形成を行おうとすると、凝集剤の添加量を増やす必要があり、腐食の進行が加速されてしまう。
そこで検討した結果、処理液中にリン酸系の無機塩又はp−tert−ブチル安息香酸塩を添加すると、SUS部材の不動態膜が孔食された箇所に、リン酸系の無機塩又はp−tert−ブチル安息香酸塩が新たな不動態膜を形成するので、部材の腐食進行を抑制することができ、凝集剤種を変更する必要がないので高画質化も達成できることを見出し、本発明を完成した。
1) 次の要件〔1〕〜〔3〕を満たすことを特徴とする処理液。
〔1〕主鎖に第四級アンモニウムカチオンを有する水溶性カチオンポリマーと、リン酸系の無機塩又はp−tert−ブチル安息香酸塩と、水を含有する。
〔2〕前記リン酸系の無機塩が、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、リン酸一水素カリウム及びリン酸二水素カリウムのいずれかである。
〔3〕前記カチオンポリマーを40〜60質量%含有する。
2) 更にクエン酸塩を含有することを特徴とする1)に記載の処理液。
3) 前記リン酸系の無機塩として、少なくともリン酸一水素ナトリウムを含むことを特徴とする1)又は2)に記載の処理液。
4) 前記p−tert−ブチル安息香酸塩として、ナトリウム塩又はカリウム塩を含むことを特徴とする1)〜3)のいずれかに記載の処理液。
5) 前記カチオンポリマーが下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする1)〜4)のいずれかに記載の処理液。
<一般式(1)>
6) 1)〜5)のいずれかに記載の処理液を記録媒体に付与する処理液付与工程と、処理液を付与された記録媒体に、インクジェット法により水性インクを吐出して画像を形成する画像形成工程を含むことを特徴とする画像形成方法。
7) 前記記録媒体が支持体の少なくとも一方の面上に塗工層を有するものであることを特徴とする6)に記載の画像形成方法。
8) 6)又は7)に記載の画像形成方法により画像が記録されたことを特徴とする記録物。
9) 1)〜5)のいずれかに記載の処理液を記録媒体に付与する処理液付与手段と、処理液を付与された記録媒体に、インクジェット法により水性インクを吐出して画像を形成する画像形成手段を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
本発明の処理液は、凝集剤として前記水溶性カチオンポリマーを含有し、処理液が接触する部材の腐食を防止するための防錆剤としてリン酸系の無機塩又はp−tert−ブチル安息香酸塩を含有する。また、これらの他に、水溶性有機溶剤、固体湿潤剤、界面活性剤、浸透剤、抑泡剤、pH調整剤などの公知の処理液用材料を適宜添加してもよい。
凝集剤は、インクの分散を破壊し凝集を促進して、高画像濃度及びドット均一性を得るために用いる。これにより、ブリード、白抜けなどを防止でき、画像品質が向上する。
凝集剤の添加量は処理液全体の40〜60質量%とする。40質量%未満では、画像形成速度が10〜200m/分程度の通常よりも速い場合に良好な画像品質が得られない。一方、60質量%を超えると、粘度が高くなりすぎて取り扱いに支障を来たす。
また、ポリマーの重量平均分子量は500〜100万が好ましく、1000〜50万がより好ましく、1000〜1万が更に好ましい。500以上であれば、効果的な凝集能が得られ、100万以下であれば水溶液として用いることができる。
なお、ポリアミン−エピクロルヒドリン共重合体は、アミンと、エピクロルヒドリンを含むモノマーを重合させる公知の方法によって、ポリアミド−エピクロルヒドリン共重合体は、アミンと、カルボン酸を含むモノマーを重合させて得られたポリアミドに、エピクロルヒドリンを含むモノマーをグラフト重合させる公知の方法によって得られる。
リン酸系の無機塩又はp−tert−ブチル安息香酸塩は、凝集剤のカウンターイオンである塩素イオンにより不動態膜が破壊された部材に対し、新たな不動態膜を形成して腐食反応の進行を抑制する役割を担う。
リン酸系の無機塩又はp−tert−ブチル安息香酸塩の添加量は、処理液全体の0.20〜2.00質量%が好ましく、0.50〜1.00質量%がより好ましい。0.20〜2.00質量%の範囲であれば、十分な腐食抑制効果が得られる。
リン酸系の無機塩又はp−tert−ブチル安息香酸塩は、例えば、水或いは水溶性の各種有機溶剤、又はこれらの混合液である液媒体に、溶解又は分散させて使用する。
前記p−tert−ブチル安息香酸塩としては、p−tert−ブチル安息香酸ナトリウム、p−tert−ブチル安息香酸カリウム、p−tert−ブチル安息香酸亜鉛、p−tert−ブチル安息香酸・トリエタノールアミン等が挙げられるが、安全性、コストの面から、p−tert−ブチル安息香酸ナトリウム、p−tert−ブチル安息香酸カリウムが好ましい。
リン酸系の無機塩又はp−tert−ブチル安息香酸塩は前述のような効果を有するが、ステンレス部材の不動態膜が破壊された際に、ほんの一部でも新しい不動態膜が形成されなかった場合には、その箇所から腐食が進行してしまう。
その課題に対して、クエン酸塩は、ステンレス部材から溶出した鉄イオンとキレートを形成することにより、腐食反応の進行を一層抑制する役割を担う。
クエン酸塩としては、クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸アンモニウム、クエン酸カルシウム、クエン酸リチウム、クエン酸アルミニウム等が挙げられる。これらの中でも、安全性、臭気、溶出した鉄イオンのキレートの受けやすさの観点から、クエン酸二ナトリウムが好ましい。
クエン酸塩の添加量は、特に限定されないが、0.10〜2.00質量%が好ましく、0.50〜1.00質量%がより好ましい。0.10〜2.00質量%の範囲であれば、十分な腐食抑制効果が得られる。
水溶性有機溶剤及び固体湿潤剤は、処理液中の水分を保持する目的で添加する。これにより、処理液用のノズルや塗布装置の中で処理液中の水分が蒸発した場合でも、処理液の粘度の増加が抑えられ、吐出安定性を維持できる。したがって、水溶性有機溶剤及び固体湿潤剤としては、平衡水分量の高いものを用いることが好ましい。ここで、平衡水分量とは、水溶性有機溶剤又は固体湿潤剤と水の混合物(溶液)を、一定の温度及び湿度条件下で空気中に静置し、溶液中の水分の蒸発と空気中の水分の溶液への吸収が平衡状態になったときの水分量を言う。本発明における平衡水分量は、塩化カリウム飽和水溶液を用いて、温度23±1℃、湿度80±3%に保ったデシケーター内のシャーレに1gの水溶性有機溶剤又は固体湿潤剤を入れ、質量変化がなくなるまでの期間保管した後、次の式により求めたものである。
特に多価アルコール類が好ましく、その例としては、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、グリセリン、ジグリセリン、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール等が挙げられる。中でもグリセリンと1,3−ブタンジオールは、水分を含んだときの粘度が低く、着色剤を凝集させずに安定に保てるので特に好ましい。
水溶性有機溶剤Aを、水溶性有機溶剤及び固体湿潤剤全体の50質量%以上用いると、処理液の吐出安定性が向上し、記録装置への処理液の固着を防止できる点で好ましい。
その例としては、前記水溶性有機溶剤及び固体湿潤剤として挙げた化合物の他に糖類が挙げられる。
前記多価アルコール類の具体例としては、ジプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、プロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、エチレングリコール、トリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
前記多価アルコールアリールエーテル類の具体例としては、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等が挙げられる。
前記含窒素複素環化合物の具体例としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
前記アミン類の具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルモノエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、3−アミノプロピルジエチルアミン等が挙げられる。
前含硫黄化合物類の具体例としては、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジグリコール等が挙げられる。
界面活性剤は、処理液の記録媒体に対する濡れ性を良くするために添加する。
界面活性剤の添加量は、処理液全体の0.001〜5質量%が好ましく、0.05〜2質量%がより好ましい。0.001質量%以上であれば、界面活性剤の添加効果が得られる。しかし、5質量%を超えて添加しても、効果の上積みは期待できない。
界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤等があるが、フッ素系界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤は、1種を単独で用いても2種以上を併用しても良い。
前記フッ素系界面活性剤としては、フッ素で置換された炭素の数が2〜16のものが好ましく、4〜16のものがより好ましい。前記炭素の数が2以上であれば、フッ素系界面活性剤を用いる効果が得られ、16以下であれば保存性等の問題も生じない。
フッ素系界面活性剤の例としては、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物、等が挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤が好ましい。
浸透剤は、記録媒体への処理液の浸透性を良くするために添加する。
浸透剤の添加量は0.1〜5.0質量%が好ましい。0.1質量%以上であれば処理液を浸透させる効果が得られる。また、5.0質量%以下であれば、浸透剤が溶媒から分離して浸透性の向上効果が飽和してしまうようなことはない。
浸透剤としては炭素数8〜11の非湿潤剤性ポリオール化合物又はグリコールエーテル化合物が好ましく、25℃の水中において0.2〜5.0質量%の溶解度を有するものが好ましい。これらの中でも、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール[溶解度:4.2%(25℃)]、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール[溶解度:2.0%(25℃)]が特に好ましい。
その他の併用できる浸透剤としては、処理液中に溶解させて所望の物性に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、例えば、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類、エタノール等の低級アルコール類、等が挙げられる。
抑泡剤は、処理液の発泡を抑えるために添加する。一般に、水のように表面張力が高い液体は、液体の表面積をできるだけ小さくしようとする力が働くため発泡し難いが、表面張力が低く粘度が高い液体は発泡し易く、発生した泡が消泡し難い。本発明の処理液は、前記水溶性カチオンポリマー、水溶性有機溶剤、界面活性剤等を含有すると、表面張力が低下し粘度が上昇するため発泡し易くなるので抑泡剤を添加することが好ましい。
抑泡剤の添加量は、0.01〜10質量%が好ましく、0.02〜5質量%がより好ましい。0.01質量%以上であれば、泡を抑える効果が十分に得られる。また、10質量%以下であれば、抑泡剤が処理液に溶解しなくなったりすることはない。
pH調整剤は、調合される処理液に悪影響を及ぼさずにpHを6〜10に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。pHが10以下であれば、凝集効果が大きく低下することはない。また、pHが6以上であれば、処理液と接触する搬送部材のローラー等が腐食して搬送機能に障害が発生することはない。
好ましいpH調整剤としては、アルコールアミン類、アルカリ金属元素の水酸化物、アンモニウムの水酸化物、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。
前記アルコールアミン類としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3プロパンジオール等が挙げられる。前記アルカリ金属元素の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。前記アンモニウムの水酸化物としては、例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物等が挙げられる。前記ホスホニウム水酸化物としては、例えば、第4級ホスホニウム水酸化物等が挙げられる。前記アルカリ金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
本発明の画像形成方法に用いられるインクは特に限定されず、着色剤、水溶性有機溶剤、界面活性剤、浸透剤、水分散性樹脂などを含有する公知のもので良い。
インクの粘度は、25℃で5〜20mPa・sが好ましい。粘度が5mPa・s以上であれば、記録される画像の濃度や品質が向上する。また、粘度が20mPa・s以下であれば、良好な吐出安定性が得られる。粘度は、東機産業社製の粘度計:RE−550Lを使用して測定することができる。
インクの表面張力は、25℃で20〜35mN/mが好ましく、20〜30mN/mがより好ましい。表面張力が20〜35mN/mであれば、インクの浸透性が高くなり、普通紙に記録した場合にも乾燥性が良好で、カラーブリードが低減される。また記録媒体の処理液の付着部に濡れ易くなり、記録物の彩度が高くなり白ポチも改良される。表面張力が35mN/mを超えると、記録媒体上のインクのレベリングが起こり難く、乾燥時間の長時間化を招くことがある。
着色剤としては、耐候性の面から主として顔料が用いられるが、色調を調整するため、耐候性を劣化させない範囲内で染料を併用しても構わない。
顔料としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、黒色用又はカラー用の無機顔料や有機顔料等が挙げられる。これらの顔料は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
インク中の着色剤の含有量は、固形分で2〜15質量%が好ましく、3〜12質量%がより好ましい。2質量%以上であれば記録物の彩度や濃度が低くなることはなく、15質量%以下であれば、インクの粘度が高くなって吐出安定性が低下するようなことはない。なお、インク中の固形分含有量は公知の方法で測定できるが、例えば、インク中から水分散性着色剤と水分散性樹脂分のみを分離する方法などが挙げられる。
前記有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料等)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等が挙げられる。これらのうち、特に水と親和性の良いものが好ましい。
また、カラー用として、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、408、109、110、117、120、128、138、150、151、153、183、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等が挙げられる。
インクに用いられる水溶性有機溶剤は特に限定されないが、前述した処理液用の水溶性有機溶剤が好ましい。インク中の水分散性着色剤と水溶性有機溶剤の質量比は、ヘッドからのインク吐出安定性に影響を与える。例えば、水分散性着色剤の固形分が多いのに水溶性有機溶剤の配合量が少ないと、ノズルのインクメニスカス付近の水分蒸発が進み吐出不良をもたらすことがある。
水溶性有機溶剤のインク中の含有量は、20〜50質量%が好ましく、20〜45質量%がより好ましい。20質量%以上であれば、吐出安定性が低下したり記録装置の維持装置で廃インクが固着したりすることはない。また、50質量%以下であれば、紙面上での乾燥性が低下したり、記録物の品質が低下したりすることはない。
インクに用いられる界面活性剤としては、前述した処理液に用いられる界面活性剤が好ましい。その中でも、水分散性着色剤の種類や水溶性有機溶剤との組合せによって分散安定性が損なわれず、表面張力が低く、浸透性、レベリング性の高いものを選択することが好ましい。具体的には、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤が好ましく、特に、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
インク中の界面活性剤の含有量は0.01〜3.0質量%が好ましく、0.5〜2質量%より好ましい。0.01質量%以上であれば、界面活性剤の添加効果が十分得られる。また、3.0質量%以下であれば、記録媒体への浸透性が必要以上に高くなって記録された画像の濃度が低下したり裏抜けが発生したりすることはない。
インクに用いられる浸透剤としては、前述した処理液に用いられる浸透剤が好ましい。インク中の浸透剤の含有量は0.1〜4.0質量%が好ましい。0.1質量%以上であれば、乾燥性が低下して記録された画像に滲みが発生するようなことはない。また、4.0質量%以下であれば、着色剤の分散安定性が損なわれたり、記録装置のノズルが目詰まりしやすくなったり、記録媒体への浸透性が必要以上に高くなって記録物の濃度が低下したり裏抜けが発生したりすることはない。
水分散性樹脂は、インクが付着した表面で造膜することにより、記録された画像の撥水性、耐水性、耐候性を高めたり、濃度や彩度を高めたりするために用いられる。
水分散性樹脂としては、例えば、縮合系合成樹脂、付加系合成樹脂、天然高分子化合物等が挙げられる。これらは、2種類以上を併用しても良い。
前記縮合系合成樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
前記付加系合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、不飽和カルボン酸系樹脂等が挙げられる。
前記天然高分子化合物としては、例えば、セルロース類、ロジン類、天然ゴム等が挙げられる。これらの中でも、特にポリウレタン樹脂微粒子、アクリル−シリコーン樹脂微粒子及びフッ素系樹脂微粒子が好ましい。
また、水分散性樹脂は、ホモポリマーでもコポリマーでも良く、単相構造型、コアシェル型、パワーフィード型エマルジョンのいずれでも良い。
水分散性樹脂は、強アルカリ性下や強酸性下では分散破壊や加水分解等の分子鎖の断裂が引き起こされるため、インクに配合される前のpHが4〜12であることが好ましく、特に水分散性着色剤との混和性の点から、pHが6〜11であることがより好ましく、7〜9であることが更に好ましい。
水分散性樹脂の平均粒径(D50)は、分散液の粘度と関係しており、組成及び固形分の濃度が同じ場合には粒径が小さくなるほど粘度が大きくなる。従って、インクにした場合に粘度が高くなり過ぎないように、水分散性樹脂の平均粒径(D50)は50nm以上であることが好ましい。また、粒径が数十μmになると記録装置のヘッドのノズルの径より大きくなる。このような粒径の大きな粒子は、インク中に存在することにより吐出安定性を悪化させる。そこで、インクの吐出安定性を確保するため、水分散性樹脂の平均粒径(D50)は200nm以下が好ましく、150nm以下がより好ましい。
インクには、上記した成分の他に、必要に応じてpH調整剤、防腐防黴剤、キレート試薬、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤等を添加しても良い。
(pH調整剤)
pH調整剤は、調合されるインクに悪影響を及ぼさずにインクのpHを7〜11に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。インクのpHが前記範囲にあれば、インクが記録装置のヘッドやインク供給ユニットを溶かし出し、インクの変質や漏洩を生じたり、吐出不良等の不具合が生じたりすることはない。
pH調整剤としては、前述した処理液の場合と同じものを用いることができる。
防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンナトリウム化合物等が挙げられる。
(キレート試薬)
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、1,2,3−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられる。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、等が挙げられる。
本発明の処理液は塗工層を有する記録媒体(塗工紙)に対して特に有効である。塗工紙としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。ここで塗工紙とは、原紙(支持体)の表面に塗料を塗布し、美観や平滑さを高めた紙のことをいい、表裏両面塗工でも片面塗工でも良い。また、前記塗料はカオリンや炭酸カルシウムなどの白色顔料と、デンプンなどのバインダーを混合したものである。塗工紙の例としては、アート紙、コート紙、軽量コート紙、キャスト紙、微塗工紙などが挙げられる。
塗工紙は、通常、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の転移量が1〜10mL/m2である。動的走査吸液計(例えば、協和精工社製K350シリーズD型)は、極めて短時間における吸液量を正確に測定できる装置である。
本発明の画像形成方法は、記録媒体に処理液を付着させる工程と、該記録媒体にインクジェット法によりインクを吐出し付着させて画像を形成する工程とを含む。また、処理液付着工程と画像形成工程の間に、記録媒体に付着した処理液を乾燥させる工程を設けても良い。
処理液を付着させる工程としては、記録媒体の表面に処理液を均一に付着させることができる方法であれば特に制限はない。その例としては、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本乃至5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法等が挙げられる。
記録媒体への処理液のウエット付着量(記録媒体を乾燥させる前の処理液の付着量)は0.1〜10.0g/m2が好ましく、1.0〜3.0g/m2がより好ましい。ウエット付着量が0.1g/m2以上であれば、記録物の画像の品質(濃度、彩度、カラーブリード、フェザリング)が向上し、10.0g/m2以下であれば、記録物の風合いが損なわれることはなく、コスト面でも問題が生じることはない。なお、10.0g/m2程度で凝集効果は飽和するため、これ以上付着量を増やしても無意味である。
記録媒体に付着した処理液を乾燥させる工程としては、前記処理液付着工程からインクの吐出による画像形成までに接触する搬送部材に、記録媒体に付着した前処理液が転写して搬送部材の障害や汚れの蓄積による画像品質の低下が生じない程度に、人工的に乾燥させる方法を用いればよい。乾燥温度は40℃〜130℃が好ましく、80℃〜100℃がより好ましい。40℃以上であれば乾燥に時間がかかりすぎることはなく、130℃以下であれば、記録媒体に異常をきたすことはない。
乾燥方法としては、ヒートドラム方式、オーブン方式、温風吹き付け方式、プレヒータ方式、加熱ローラー方式等が挙げられる。また、これらの方式を組み合わせても良い。
なお、処理液付与後の「乾燥」とは、記録媒体に処理液が吸収されて、見かけ上乾燥したようになることを意味するものではなく、前処理液中の水分等の液体が蒸発し液体状態を保てなくなって固化することを意味している。
インクを付着させて画像を形成する工程は、処理液を付着させた記録媒体、又は処理液乾燥工程を経た記録媒体にインクを吐出して付着させる工程である。その方法としては、所定の装置でインクに刺激(エネルギー)を加えて吐出させインクを付着させる方法が好ましく、公知の種々のインクジェット記録方法を採用できる。その例としては、ライン化されたヘッドを用いるシングルパス方式により連帳の記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法や、ヘッドを走査する方式のインクジェット記録方法が挙げられる。
インクを吐出させる手段である記録ヘッドの駆動方式には特に限定はない。駆動方式の例としては、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等を用いた圧電素子アクチュエータ、熱エネルギーを作用させる方式、静電気力を利用したアクチュエータ等を利用したオンディマンド型のヘッドを用いる方式、連続噴射型の荷電制御タイプのヘッドで記録する方式等が挙げられる。熱エネルギーを作用させる方式では、液滴の噴射を自在に制御することが困難とされており、記録媒体種等により記録される画像の品質のばらつきが大きくなりがちであるが、前処理液を記録媒体に付与するとこの問題は解消され、記録媒体種によらず安定した高い品質の記録物を得ることができる。
即ち、記録媒体が搬送部材によって例えば10〜200m/分という高速で搬送される場合に、本発明のように特定の処理液の塗布、乾燥、インクの塗布という一連の工程を行うことによって、搬送部材への障害発生や汚れの蓄積による画像品質低下を抑えることができ、また、強制乾燥をした場合においても画像品質が低下しないという効果を得ることができる。
本発明のインクジェット記録装置の一例について、図1の模式図により説明する。
インクジェット記録装置300は、記録媒体搬送部301、記録媒体203に前処理液を塗布する前処理工程部302、画像形成工程部304、画像形成工程を経た記録媒体に後処理液を塗布する後処理工程部305で構成されている。
記録媒体搬送部301は、給紙装置307、複数の搬送ローラ、巻き取り装置308で構成されている。そして図1の記録媒体203はロール状に巻かれた連続紙(ロール紙)の例であり、記録媒体203は搬送ローラによって給紙装置から巻き出され、プラテン上を搬送されて巻き取り装置308によって巻き取られる。
記録媒体搬送部301から搬送された記録媒体203には、前処理工程部302で前処理液が塗布される。インクジェットでは、インクジェット専用紙以外の記録媒体に画像形成を行うと、滲み、濃度、色調や裏写りなどの品質問題や、耐水性、耐候性といった画像堅牢性に関わる問題が発生するため、その対策として、記録媒体に画像を形成する前に、インクの凝集機能を有する前処理液を塗布して画像品質向上を図っている。
前処理工程では、印刷用紙表面に前処理液を均一に塗布するが、塗布方法には特に制限はない。その例としては、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、などが挙げられる。
図2に示すように、記録媒体203は搬送ローラー(図示せず)によって前処理液塗布装置204内に搬送される。前処理液塗布装置204には前処理液205が貯留されており、前処理液205は攪拌・供給ローラ206、移送・薄膜化ローラ207a、207bによって塗布ローラ208のローラ面に薄膜状に転写される。そして、塗布ローラ208は、回転する対向ローラ201に押し付けられながら回転し、その間を記録媒体203が通過することにより、表面に前処理液205が塗布される。
また、対向ローラ201は、圧力調整装置209によって、前処理液を塗布するときのニップ圧を調節することが可能であり、これにより前処理液205の塗布量を変化させることができる。また塗布量は、塗布ローラ208の回転速度を変えることにより調節することも可能である。塗布ローラ208、プラテンローラ202は駆動モーターなどの動力源によって駆動され(図示せず)、その動力源のエネルギーを変えることで回転速度を変化させ、塗布量を調節できる。
このように、画像品質を向上させるための前処理液205を塗布ローラ208で記録媒体203の記録領域に塗布する方法は、噴射ヘッドを用いて処理剤液を記録媒体に吹き付ける方法に比べて、比較的粘度の高い前処理液205を記録媒体203上に薄く塗布することができ、画像の滲みなどを一段と低減できるという特長を有している。
前処理工程後の記録媒体は、画像形成工程部で画像データに応じた画像が形成される。画像形成工程部304は、フルライン型のヘッドであり、記録媒体搬送方向上流側より、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)に対応可能な4つの記録ヘッド304K、304C、304M、304Yが配設されている。例えば、ブラック(K)の記録ヘッド304Kは、図3に示すように、搬送方向と直行する方向に短い4つのヘッドユニット304K−1、304K−2、304K−3、304K−4を千鳥状に配列させることにより印刷領域幅を確保している。図4はヘッドユニット304K−1の拡大図である。図4に示すように、304K−1のノズル面309には多数の印字ノズル310がヘッドユニット304K−1の長手方向に沿って配列されてノズル列を形成している。この例ではノズル列は1列であるが、複数列設けることもできる。なお、他の記録ヘッド304C、304M、304Yも同様の構成であり、4つの記録ヘッド304K、304C、304M、304Yは同じピッチを保持して搬送方向に配列されている。これにより、1回の記録動作で印刷領域幅全体への画像形成が可能となる。
画像形成工程後の記録媒体には、必要に応じて後処理工程部305で後処理液を塗布する。後述する後処理液は記録媒体203上に透明な保護層を形成し得る成分を含有する。後処理工程では、記録媒体203の画像表面の全体にわたって塗布しても、画像表面の特定の部分のみに塗布してもよい。しかし、印刷条件(記録媒体の種類や用紙に吐出されるインク量等)に応じて塗布量、塗布方法を変えることが望ましい。
画像形成後又は後処理工程後には、図1のように乾燥工程306を設ける。
乾燥工程は、例えば図1のようなヒートローラー313、314、及び、温風吹きつけノズルからなる。画像形成後又は後処理後、記録媒体203は、搬送ローラによりヒートローラー313、314に搬送される。ヒートローラー313、314は高温に熱せられており、後処理液を塗布された記録媒体203は、ヒートローラー313、314からの接触伝熱により、水分が蒸発し乾燥する。更に下流において、乾燥手段として温風装置が設けられている。その他に、赤外線乾燥装置、マイクロ波乾燥装置などを用いても良い。
乾燥後の記録媒体203は巻き取り装置308によって巻き取られるが、巻き取り時の押圧が大きいと、裏面へ画像が転写するピッキングなどの現象が起こる可能性がある。しかし、乾燥効率をよくすれば、インク付着量が多い画像を高速印字する場合にも、そのような転写を低減することができる。また、図1のような巻き取り前乾燥部315を追加して設けることも可能である。
以下のようにしてカチオンポリマーを作製し、物性を測定した。
(物性の測定)
・固形分濃度は、熱風循環式恒温槽(ETAC HIFLEX FX422P 楠本化成社製)を使用し、105℃で3時間処理した後、加熱減量分を揮発成分として固形分を求めた。
・粘度は、粘度計(RE−550L、東機産業社製)を使用し、25℃で測定した。
・重量平均分子量は、GPC(HLC−8320GPC EcoSEC、東ソー社製)を使用し、0.1mol/Lのリン酸バッファー(pH2.1)を溶離液とし、カラム温度40℃、流速1.0mL/minで測定し、標準サンプルとしてPEG(ポリエチレングリコール)を用いて分子量換算した。
攪拌機、温度計、及び窒素ガス導入管を付けた1000mLのグラス製オートクレーブに、50%ジメチルアミンを200.0g(2.218モル)、30%トリメチルアミンを291.0g(1.477モル)仕込み、窒素置換した後、40℃に冷却しながらエピクロロヒドリン274.0g(2.961モル)を2時間かけて投入し、40℃で1時間反応させ、更に80℃まで昇温し3時間熟成させた。
冷却後、35%塩酸77.0g及び75%リン酸0.82g(対固形分730ppm)によりpHを5.0に調整し、固形分濃度58%、粘度21mPa・s、重量平均分子量3000のカチオンポリマーを得た。
作製例1と同じオートクレーブに、50%ジメチルアミンを200.0g(2.218モル)、30%トリメチルアミンを174.8g(0.887モル)仕込み、窒素置換した後、40℃に冷却しながらエピクロロヒドリン246.0g(2.659モル)を2時間かけて投入し、40℃で1時間反応させ、更に80℃まで昇温し3時間熟成させた。
冷却後、35%塩酸46.2g及び75%リン酸0.87gによりpHを5.0に調整し、固形分濃度60%、粘度40mPa・s、重量平均分子量6800のカチオンポリマーを得た。
作製例1と同じオートクレーブに、50%ジメチルアミンを200.0g(2.218モル)、30%トリメチルアミンを218.5g(1.109モル)仕込み、窒素置換した後、40℃に冷却しながらエピクロロヒドリン257.0g(2.777モル)を8時間かけて投入し、40℃で4時間反応させ、更に80℃まで昇温し10時間熟成させた。
冷却後、35%塩酸54.5g及び75%リン酸0.92gによりpHを5.0に調整し、固形分濃度50%、粘度546mPa・s、重量平均分子量13000のカチオンポリマーを得た。
上記作製例1〜3のカチオンポリマーを含めた、下記表1−1〜表3の実施例及び比較例の各欄に示す材料を使用し、100mLビーカー中で攪拌子を用いて20分間混合攪拌して処理液を調製した。
なお、表中の「※1」については、pH7〜9となるように適量を添加し、「※2」については、有効成分80%まで濃縮して使用し、「※3」については、有効成分50%まで濃縮して使用した。また、表中の数値は「質量%」を示す。
・PE−10:ジメチルアミン*ポリアルキレンポリアミン*エピクロルヒドリン
(四日市合成社製、有効成分51%)
・G5615:ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド
(第一工業製薬製、有効成分48%)
・PAS−A−1:ジアリルジメチルアンモニウムクロリド*二酸化硫黄共重合体
(Nittobo社製、有効成分40%)
・PS−350:アクリルアミド*[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド(ハイモ社製、有効成分20%)
・KPV100LU:ポリアクリル酸エステル(センカ社製、有効成分26%)
・PAA−03:ポリアリルアミン(Nittobo社製、有効成分15%)
・ラミブルーフA−1:p−tert−ブチル安息香酸カリウム
(第一工業製薬社製、有効成分40%)
[調製例1]
下記処方の材料を混合撹拌し、インクを得た。
・シアン分散体(PAC205、花王社製) 20.0%
・1,3−ブタンジオール 23.0%
・グリセリン 8.0%
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0%
・ゾニールFS−300(デュポン社製、フッ素系界面活性剤) 1.0%
・プロキセルLV(アベシア社製) 0.2%
・2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール 0.3%
・イオン交換水 45.5%
下記処方の材料を混合撹拌し、インクを得た。
・イエロー分散体(PAY204、花王社製) 20.0%
・1,6−ヘキサンジオール 24.5%
・グリセリン 8.0%
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0%
・ゾニールFS−300(デュポン社製、フッ素系界面活性剤) 0.5%
・プロキセルLV(アベシア社製) 0.2%
・2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール 0.3%
・イオン交換水 44.5%
<腐食性>
容量30ccのガラス瓶に実施例及び比較例の各処理液を28.3g計り取り、その中に、一般的なステンレス鋼材のSUS304のペレット(φ=12mm、d=4mm)を入れた。
次いで、50℃で3週間放置した後、SUS304ペレットを取り出し、処理液中と、SUS304ペレット表面の腐食を目視により観察し、下記の基準で評価した。
なお、ペレットは、処理液に入れる前に、ペレット表面の不純物を除去するため、水拭き、エタノール拭き、空拭きを行った。
(評価基準)
◎:腐食が発生せず。
○:僅かに腐食が認められるが、実用上問題ない。
×:腐食がはっきりと認められ、実用上問題があるとみなされる。
(1)塗工層を有する記録媒体(STORA ENSO社製、ルミアートグロス紙、紙厚90g/m2)の塗工層面に、実施例及び比較例の各処理液を、ローラー塗布法により1.9±0.2g/m2付着させた。
(2)前記処理液を付着させた記録媒体を、90℃の恒温槽中に30秒間入れ、記録媒体に付着させた処理液を乾燥させた。
(3)前記(1)の記録媒体(乾燥無し)、及び前記(2)の記録媒体(乾燥有り)の各々に対し、水性インクジェット記録法により、負の電荷を有する顔料粒子が分散されたインクを、シングルパス 600dpi(120m/分)で吐出して画像を形成した後、目視によりビーディングの程度を観察し、下記の基準で評価した。
インクは、調製例1(シアン):調製例(イエロー)=1.15:1.00(質量比)のグリーンインクを使用し、付着量は3.2×10−8g/cm2とした
(評価基準)
◎:全くビーディングが見られない。
○:目を凝らすと僅かにビーディングが認められるが、画像品質上問題ない。
△:ビーディングが確認でき、画像品質上問題がある。
×:明らかにビーディングが目立つ。
前記段落0066の<腐食性>評価は苛酷な条件下で行っているため、目視評価で腐食が見られなければ実用上問題ないといえる。
しかし、処理液の腐食性の優劣を調べるためには、より詳細な評価が必要である。
そこで、電気化学測定法により得られる分極曲線から腐食速度と相関がある溶存酸素電流密度を求めることにより腐食性の優劣を判断した。
電気化学測定ユニットとしては、SI1280B(ソーラトロン社製)を用い、作用極はSUS304の板金が処理液中に1.00cm2だけ浸漬するようにワニ口クリップで固定し、対極にはPtワイヤー(VC−2用Ptカウンター電極:BAS社製)、参照極にはAg/AgCl標準電極〔RE−1B、水系参照電極(Ag/AgCl):BAS社製〕を用いた。
測定条件としては、初期電位(自然電位)から1.5Vまで電位を変動させて酸化分極曲線を測定し、作用極のサンプル及び処理液を新しいものに取り替えた後、更に初期電位(自然電位)から−1.5Vまで電位を変動させて還元分極曲線を測定した。
そして、溶存酸素拡散限界電流密度I(A/cm2)の値について、下記の評価基準でランク付けをした。前記値が小さいほど腐食速度が遅いことを意味している。
(評価基準)
A:I<3.00×10−6
B:3.00×10−6≦I<5.00×10−6
C:5.00×10−6≦I
・実施例の処理液は腐食性に優れ、かつビーディングの点でも優れた画像が得られる。
・クエン酸塩を加えた実施例の処理液の方が加えない場合よりも腐食性に優れる。
・比較例1は、本発明に係るカチオンポリマーの添加量が40%未満の例であり、ビーディングに問題がある。
・比較例2〜3は、本発明に係るカチオンポリマーを適量含むが、リン酸系の無機塩又はp−tert−ブチル安息香酸塩を含まない例であり、腐食性に問題がある。
・比較例4〜5は、他のカチオンポリマーを用いた例であり、防錆剤を含まなくても腐食に関する問題は見られないが、ビーディングに問題がある。
・比較例6は、カチオンポリマー以外の凝集剤を用いた例であり、腐食性及び乾燥なしのビーディングには問題は無いが、処理液付与後に記録媒体を乾燥すると、ビーディングに問題が生じる。
203 記録媒体
204 前処理液塗布装置
205 前処理液
206 攪拌・供給ローラ
207a 移送・薄膜化ローラ
207b 移送・薄膜化ローラ
208 塗布ローラ
209 圧力調整装置
300 インクジェット記録装置
301 記録媒体搬送部
302 前処理工程部
303 前処理後乾燥部
304 画像形成工程部
304K ブラックの記録ヘッド
304K−1 ブラックのヘッドユニット
304K−2 ブラックのヘッドユニット
304K−3 ブラックのヘッドユニット
304K−4 ブラックのヘッドユニット
304C シアンの記録ヘッド
304M マゼンタの記録ヘッド
304Y イエローの記録ヘッド
305 後処理工程部
306 乾燥工程
307 給紙装置
308 巻き取り装置
309 ノズル面
310 印字ノズル
311 ヒートローラー
312 ヒートローラー
313 ヒートローラー
314 ヒートローラー
315 前乾燥部
Claims (9)
- 次の要件〔1〕〜〔3〕を満たすことを特徴とする処理液。
〔1〕主鎖に第四級アンモニウムカチオンを有する水溶性カチオンポリマーと、リン酸系の無機塩又はp−tert−ブチル安息香酸塩と、水を含有する。
〔2〕前記リン酸系の無機塩が、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、リン酸一水素カリウム及びリン酸二水素カリウムのいずれかである。
〔3〕前記カチオンポリマーを40〜60質量%含有する。 - 更にクエン酸塩を含有することを特徴とする請求項1に記載の処理液。
- 前記リン酸系の無機塩として、少なくともリン酸一水素ナトリウムを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の処理液。
- 前記p−tert−ブチル安息香酸塩として、ナトリウム塩又はカリウム塩を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の処理液。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の処理液を記録媒体に付与する処理液付与工程と、処理液を付与された記録媒体に、インクジェット法により水性インクを吐出して画像を形成する画像形成工程を含むことを特徴とする画像形成方法。
- 前記記録媒体が支持体の少なくとも一方の面上に塗工層を有するものであることを特徴とする請求項6に記載の画像形成方法。
- 請求項6又は7に記載の画像形成方法により画像が記録されたことを特徴とする記録物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の処理液を記録媒体に付与する処理液付与手段と、処理液を付与された記録媒体に、インクジェット法により水性インクを吐出して画像を形成する画像形成手段を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
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