JP2016063588A - 固定子コイルの製造方法及びその製造方法に用いる仮組み装置 - Google Patents

固定子コイルの製造方法及びその製造方法に用いる仮組み装置 Download PDF

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Abstract

【課題】整列治具を用いて導体セグメントの仮組みをする際に、導体セグメントの干渉を回避しつつ簡単かつ効率良く行い得るようにした固定子コイルの製造方法を提供する。【解決手段】本発明の固定子コイルの製造方法は、導体セグメント形成工程S110と仮組み工程S120とを備える。仮組み工程S120は、導体セグメント50の一対の脚部が仮組み治具70の所定数の薄板ガイド73を跨ぐようにして傾斜部74上に導体セグメント50を周方向に所定ピッチずらせて1個ずつ投入する導体セグメント投入工程S122と、傾斜部74上に2個目以降の導体セグメント50が投入されるごとに、内周側に滑落移動した全ての導体セグメント50の下端部を同時に持ち上げることにより、直前に投入された導体セグメント50のターン部52を、1回前に投入された導体セグメント50のターン部52の下方に入り込ませて整列させる持ち上げ工程S123とを有する。【選択図】図2

Description

本発明は、車両等に搭載されて電動機や発電機として使用される回転電機用の固定子コイルの製造方法及びその製造方法に用いる仮組み装置に関する。
回転電機用の固定子コイルの製造方法において、環状整列治具を用いて行うコイルセグメントの環状整列方法が特許文献1に開示されている。このコイルセグメントの環状整列方法では、一対の直行部(脚部)と一対の直行部の一端同士を互いに連結する屈曲部(ターン部)とからなる概ねU字形状の電気導体であるコイルセグメント(導体セグメント)を対象としている。
この環状整列方法では、ハット状の環状整列治具の挿置凹部に概ねU字形状のコイルセグメントを一周分セットする。即ち、コイルセグメントの一方の直行部を挿置凹部に挿置し、他方の直行部が環状整列治具の外周面に当たるまで、一周分のコイルセグメントを一緒に回動させ、一周分のコイルセグメントを円環状に整列させる。そして、次のハット状の中間整列治具を被せ、コイルセグメント一式がばらけないようにした上で、同様の手順を繰り返し、多数層のセグメント型コイルに相当する複数周のコイルセグメントの組体を形成して、この組体ごと、そっくり固定子コアのスロットに挿置するようにしている。
特開2004−72839号公報
ところで、上記の環状整列方法で用いられる概ねU字形状のコイルセグメントは、ターン部が固定子コアの径方向外方へ膨らむように湾曲しており、且つターン部の中央部に層変わり用のクランク部を有する。そして、上記のように形成された固定子コイルが固定子コアに巻装されたときには、隣接するターン部同士が固定子コアの軸方向に重なり合った状態になる。そのため、コイルセグメントの組み付け時にコイルセグメントを1方向に移動させるだけではコイルセグメント同士が干渉してしまうため、コイルセグメントの2方向の供給動作が必要となる。そこで、従来は、固定子コアの各スロットに複数のコイルセグメントを順番に直接挿置することができないことから、上記のような整列治具を用いて仮組みすることによってコイルセグメント同士の干渉を回避するようにしていた。
特許文献1の場合には、内側環状整列治具の挿置凹部にコイルセグメントの一方の直行部を一周分だけ挿置する挿入工程を行った後、その一方の直行部を軸にして各コイルセグメントを所定の回転方向に回動させて、他方の直行部を内側環状整列治具の外周面に当接ないし近接させ、セグメント型コイルのうちの二層分を形成するように、コイルセグメントを円環状に整列させる回動工程を行うようにしている。これにより、組み立て工数の低減を可能にしている。しかしながら、整列治具を用いて導体セグメントの仮組みをするに際して、より簡単かつ効率良く行い得るようにすることが望まれる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、整列治具を用いて導体セグメントの仮組みをする際に、導体セグメントの干渉を回避しつつより簡単かつ効率良く行い得るようにした固定子コイルの製造方法及びその製造方法に用いる仮組み装置を提供することを解決すべき課題とするものである。
上記課題を解決するためになされた第一の発明は、
固定子コア(30)に組み付けた複数の導体セグメント(50)を電気的に接続することにより前記固定子コアに巻装される固定子コイル(40)の製造方法において、
矩形断面のコイル線材を成形して、一対の脚部(51a、51b)と一対の前記脚部の一端同士を互いに連結するターン部(52)とからなり前記ターン部に層変わり用のクランク部(54)を有する概ねU字形状の前記導体セグメントを形成する導体セグメント形成工程(S110)と、
回転体(71)の回転軸(L1)を中心にしてそれぞれ放射方向及び軸方向に平面状に広がる複数の薄板ガイド(73)が周方向に所定距離を隔てて円環状に配置され、各前記薄板ガイドの上辺に、外周側から内周側に向かって下降傾斜する傾斜部(74)が形成されている仮組み治具(70)に対して、複数の前記導体セグメントを所定の状態に仮組みする仮組み工程(S120)と、を備え、
前記仮組み工程は、
一対の前記脚部が所定数の前記薄板ガイドを跨ぐようにして前記傾斜部上に前記導体セグメントを周方向に所定ピッチずらせて1個ずつ投入する導体セグメント投入工程(S122)と、
前記傾斜部上に2個目以降の前記導体セグメントが投入されるごとに、内周側に滑落移動した全ての前記導体セグメントの下端部を同時に持ち上げることにより、直前に投入された前記導体セグメントの前記ターン部を、1回前に投入された前記導体セグメントの前記ターン部の下方に入り込ませて整列させる持ち上げ工程(S123)と、
を有することを特徴とする。
この構成によれば、仮組み治具を用いて行う仮組み工程は、一対の脚部が所定数の薄板ガイドを跨ぐようにして傾斜部上に導体セグメントを周方向に所定ピッチずらせて1個ずつ投入する導体セグメント投入工程と、前記傾斜部上に2個目以降の前記導体セグメントが投入されるごとに、内周側に滑落移動した全ての前記導体セグメントの下端部を同時に持ち上げることにより、直前に投入された前記導体セグメントの前記ターン部を、1回前に投入された前記導体セグメントの前記ターン部の下方に入り込ませて整列させる持ち上げ工程と、を有する。そのため、本発明の固定子コイルの製造方法によれば、整列治具を用いて導体セグメントの仮組みをする際に、導体セグメントの干渉を回避しつつより簡単かつ効率良く仮組みを行うことができる。
そして、上記課題を解決するためになされた第二の発明は、
第一の発明に係る固定子コイルの製造方法に用いる仮組み装置であって、
駆動部(72)により回転駆動される回転体(71)と、前記回転体の回転軸(L1)を中心にしてそれぞれ放射方向及び軸方向に平面状に広がり周方向に所定距離を隔てて円環状に配置された複数の薄板ガイド(73)とを有し、各前記薄板ガイドの上辺に、外周側から内周側に向かって下降傾斜する傾斜部(74)が形成されている仮組み治具(70)と、
前記仮組み治具に対して所定数の前記薄板ガイドを跨ぐようにして前記傾斜部上に投入された概ねU字形状の全ての導体セグメント(50)の下端部を同時に持ち上げることにより、直前に投入された前記導体セグメントの前記ターン部を、1回前に投入された前記導体セグメントの前記ターン部の下方に入り込ませて整列させるリフト部材(80)と、
を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、上記の仮組み治具とリフト部材とを備えているため、整列治具を用いて導体セグメントの仮組みをする際に、導体セグメントの干渉を回避しつつより簡単かつ効率良く導体セグメントの仮組みを行うことができる。
なお、この欄及び特許請求の範囲で記載された各部材や部位の後の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的な部材や部位との対応関係を示すものであり、特許請求の範囲に記載された各請求項の構成に何ら影響を及ぼすものではない。
実施形態1に係る製造方法で製造される固定子コイルが巻装された固定子の斜視図である。 実施形態1に係る固定子コイルの製造方法の各工程を示すブロック図である。 実施形態1の導体セグメント形成工程において形成する導体セグメントを示す図であって、(a)はその平面図、(b)はその正面図である。 実施形態1の仮組み工程において用いられる仮組み装置を示す図であって、(a)は仮組み治具の平面図、(b)は仮組み装置の一部を示す部分正面図である。 実施形態1の仮組み工程において用いられる仮組み装置の側面図である。 実施形態1の仮組み工程において仮組み治具に投入された導体セグメントの状態を示す説明図である。 図6及び図8(a)のVII−VII線矢視断面図である。 実施形態1の仮組み工程において行われる持ち上げ工程前後の状態を示す説明図であって、(a)は持ち上げ工程直前の状態を示し、(b)は持ち上げ工程直後の状態を示す。
以下、本発明に係る固定子コイルの製造方法及びその製造方法に用いる仮組み装置の実施形態について図面を参照しつつ具体的に説明する。
〔実施形態1〕
先ず、本実施形態の製造方法で製造される固定子コイルが巻装された固定子の概略構成について説明する。本実施形態の固定子20は、車両用電動機として用いられる回転電機に搭載されるものであって、図1に示すように、周方向に複数のスロット31を有する円環状の固定子コア30と、スロット31に挿入された複数の導体セグメント50の端部同士を固定子コア30の軸方向一方側で電気的に接続することにより固定子コア30に巻装された固定子コイル40と、を備えている。
固定子コア30は、円環状の複数の電磁鋼板を固定子コア30の軸方向に積層して形成された一体型のものである。この固定子コア30は、円環状のバックコア33と、バックコア33から径方向内方へ突出し周方向に所定距離を隔てて配列された複数のティース34とからなり、隣り合うティース34の間にスロット31が形成されている。本実施形態では、3相の固定子コイル40を収容するように、72個のスロット31が周方向に等間隔に配置されている。
固定子コイル40は、固定子コア30のスロット31に挿入された概ねU字形状をなす複数の導体セグメント50の開放端部の端末部同士を溶接で互いに接合することにより固定子コア30に巻装されている。導体セグメント50は、矩形断面の導体の外周面に絶縁被膜が被覆されてなるコイル線材を概ねU字形状に成形したものである。この導体セグメント50は、図3に示すように、互いに平行な一対の脚部51a、51bと、一対の脚部51a、51bの一端同士を互いに連結するターン部52とからなる。
ターン部52の中央部には、固定子コア30の端面30aに対して平行方向に延びる頭頂段部53が設けられている。頭頂段部53の中央部には、一対の脚部51a、51bがスロット31の異なる層に配置されるようにするための、即ち、層変わり用のクランク部54が設けられている。よって、本実施形態の場合には、内周側の層に挿入配置される一方の脚部51aは、外周側の層に挿入配置される他方の脚部51bよりも所定長さだけ短くされている。また、頭頂段部53の両側には、固定子コア30の端面30aに対して平行方向に延びる複数の段部55が設けられている。即ち、ターン部52は、両端から中央の頭頂段部53に向かって上昇する階段状に形成されている。これにより、ターン部52の高さを低くすることができるので、固定子コイル40延いては固定子20の軸方向の小型化を図ることができる。
この固定子コイル40は、所定の導体セグメント50が直列に接続されることにより、固定子コア30のスロット31に沿って所定の状態に巻回された3本の相巻線(U相、V相、W相)からなり、各相巻線の巻線端が星型結線により結線されている。本実施形態の場合には、各スロット31内に、合計10本の導体線(脚部51a,51b)が径方向1列に積層配置されている。
なお、固定子コイル40の各相について、基本となるU字形状の導体セグメント50により、固定子コア30の周りを10周する巻線(コイル)が形成される。しかし、固定子コイル40の各相について、出力用引き出し線及び中性点用引き出し線を一体に有するセグメント、並びに1周目と2周目とを接続するターン部を有するセグメントは、基本となる導体セグメント50とは異なる異形セグメント(図示せず)で構成される。これら異形セグメントを用いて、固定子コイル40の各相の巻線端が星型結線により結線される。
次に、本実施形態の固定子コイル40の製造方法について説明する。本実施形態の固定子コイル40の製造方法は、図2に示すように、導体セグメント形成工程S110と、準備工程S121、導体セグメント投入工程S122、持ち上げ工程S123及び回転工程S124からなる仮組み工程S120と、組み付け工程S130と、接続工程S140とを順に行うものである。以下、各工程について詳しく説明する。
<導体セグメント形成工程S110>
導体セグメント形成工程S110では、矩形断面のコイル線材を成形して、一対の脚部51a、51bと、一対の脚部51a、51bの一端同士を互いに連結するターン部52とからなる、図3に示す概ねU字形状の導体セグメント50を準備する。この導体セグメント50は、固定子コア30に巻装された状態において、ターン部52の軸方向の幅W1が径方向の幅W2よりも小さくなるように形成されている。これにより、導体セグメント50が仮組み治具70に仮組みされる際に、軸方向に重なり合った状態に組み付けられる2つのターン部52同士の干渉が低減するようにされている。
また、本実施形態では、各スロット31の内周側から第1層及び第2層に配置されるものと、第3層及び第4層に配置されるものと、第5層及び第6層に配置されるものと、第7層及び第8層に配置されるものと、第9層及び第10層に配置されるものと、それぞれ大きさが異なる5種類の導体セグメント50を準備する。この場合、外周側の層に配置されるものほど、ターン部の周方向長さが長くされ、脚部51a,51bの長さが長くされている。また、これらの他に、出力用引き出し線及び中性点用引き出し線を一体に有するセグメント、並びに各層の周回終端と周回始端とを接続するターン部を有するセグメント等を、必要に応じて準備する。
<仮組み工程S120>
仮組み工程S120は、図4及び図5に示す仮組み装置の仮組み治具70に対して、導体セグメント形成工程S110で準備した導体セグメント50を所定の状態に仮組みするものである。まず、ここで用いる仮組み装置の概略構成について説明する。この仮組み装置は、図4及び図5に示すように、ベース60上に設置された、水平方向(図4(b)の左右方向)に延びる2本のレール61を備えている。このレール61上には、仮組み治具70及びリフト部材80が、LMガイド62を介して水平方向に一体的に移動可能に設けられている。
仮組み治具70は、駆動部としてのモータ72により回転駆動される回転体71と、回転体71の回転軸L1を中心にしてそれぞれ放射方向及び軸方向に平面状に広がり周方向に所定距離を隔てて円環状に配置された複数の薄板ガイド73とを有する。回転体71は、動力伝達ベルト72aを介してモータ72により回転駆動される回転軸部71aと、回転軸部71aの上端に固定された回転テーブル71bと、回転テーブル71b上に固定された回転基部71cとからなる。この回転体71は、モータ72を所定のタイミングで駆動制御する制御部(図示せず)により、回転軸L1を中心に回転するように構成されている。
各薄板ガイド73は、それぞれの内周側の端部が回転基部71cの外周部に固定されて、周方向に所定距離を隔てて円環状に配置されている。周方向に隣接する2枚の薄板ガイド73の離間距離は、固定子コア30に設けられたスロット31のスロットピッチと同一にされている。即ち、本実施形態の場合には、薄板ガイド73の枚数は、スロット31の個数と同じ72とされている。そして、各薄板ガイド73の上辺には、外周側から内周側に向かって下降傾斜する傾斜部74が形成されている。なお、各傾斜部74の傾斜角度は、所定の角度に統一されている。
リフト部材80は、回転テーブル71bの外側に同軸状に配置されたリング状の支持板81と、支持板81を上下方向に移動させるシリンダ装置82とを備えている。このリフト部材80は、シリンダ装置82を所定のタイミングで駆動制御する制御部(図示せず)により制御される。即ち、リフト部材80は、薄板ガイド73の傾斜部74上に2個目以降の導体セグメント50が投入されるごとに、傾斜部74の内周側に滑落移動した全ての導体セグメント50の下端部を支持板81で同時に持ち上げるように構成されている。
なお、レール61上にLMガイド62を介して設置された仮組み治具70及びリフト部材80は、図4(b)では、スロット31内の内周側から第1層と第2層に挿入配置される導体セグメント50の仮組みを行う第1ステーション(レール61の右端)に位置している。そして、図4(b)の第1ステーションの左側には、スロット31内の内周側から第3層と第4層に挿入配置される導体セグメント50の仮組みを行う第2ステーションが位置している。さらに、第2ステーションの左側には、第5層と第6層の導体セグメント50の仮組みを行う第3ステーション、第7層と第8層の導体セグメント50の仮組みを行う第4ステーション、第9層と第10層の導体セグメント50の仮組みを行う第5ステーションが順に位置している。仮組み治具70及びリフト部材80は、搬送用モータ63によりレール61上を搬送されるように構成されており、第1ステーションから第5ステーションの間を一体的に移動可能とされている。
上記のように構成された仮組み装置を用いて行う仮組み工程S120は、第1〜第5のそれぞれのステーションにおいて、準備工程S121を行った後、導体セグメント投入工程S122と、持ち上げ工程S123と、回転工程S124とを繰り返し行う。導体セグメント投入工程S122は、一対の脚部51a,51bが所定数の薄板ガイド73を跨ぐようにして傾斜部74上に導体セグメント50を周方向に所定ピッチずらせて1個ずつ投入する工程である。また、持ち上げ工程S123は、傾斜部74上に2個目以降の導体セグメント50が投入されるごとに、内周側に滑落移動した全ての導体セグメントの下50端部を同時に持ち上げることにより、直前に投入された導体セグメント50のターン部52を、1回前に投入された導体セグメント50のターン部50の下方に入り込ませて整列させる工程である。
最初の第1ステーションでは、各スロット31内の内周側から第1層と第2層に挿入配置される導体セグメント50の仮組みを行う。先ず、準備工程S121を行う。この準備工程S121では、図4(b)に示す導体セグメント投入位置に設置されている投入装置(図示せず)から、1番目の導体セグメント50Aを、一対の脚部51a,51bが所定数(本実施形態では6枚(6スロットピッチ))の薄板ガイド73を跨ぐようにして傾斜部74上に投入する。投入された導体セグメント50Aは、傾斜部74上を内周側に向かって滑落移動し、傾斜部74下方の所定位置で停止する(図6参照)。このとき、導体セグメント50Aの一方の脚部51aは、スロット31の内周側から第1層の位置に停止し、他方の脚部51bは、スロット31の内周側から第1層の位置に停止する。次いで、モータ72を駆動させて回転軸L1を中心にして回転体71を図4(a)(b)の矢印X方向に所定量(1スロットピッチ)回転させた状態にして、準備工程S121を終了する。
続いて、上記の投入装置から2番目の導体セグメント50Bを傾斜部74上に投入する導体セグメント投入工程S122を行う。2番目の導体セグメント50Bも、1番目の導体セグメント50Aと同様に、一対の脚部51a,51bが所定数(本実施形態では6枚(6スロットピッチ))の薄板ガイド73を跨ぐようにして傾斜部74上に投入する。これにより、投入された2番目の導体セグメント50Bは、図6に示すように、傾斜部74上の投入位置P1から内周側に向かって滑落移動し、そのターン部52が1回前に投入された1番目の導体セグメント50Aのターン部52と当接した状態でP2の位置に停止する。
このとき、2個の導体セグメント50A,50Bは、図7及び図8(a)に示すように、薄板ガイド73の上辺に傾斜部74が設けられているため、高さ方向においてH1だけ位置ずれした状態になっている。そのため、2個の導体セグメント50A,50Bは、ターン部52同士が干渉してしまい、図7に示すように、2番目の導体セグメント50Bは、本来あるべき滑落完了位置(1番目の導体セグメント50Aの下方位置)P3に到達することができない。
この状態で、リフト部材80により持ち上げ工程S123を行う。即ち、シリンダ装置82を作動させて支持板81を上昇させることにより、傾斜部74上の内周側に滑落移動した全て(2個)の導体セグメント50A,50Bの下端部を同時に持ち上げる。これにより、2個の導体セグメント50A,50Bは、図8(b)に示すように、高さ方向におけるH1の位置ずれが解消した状態になるとともに、2個の導体セグメント50A,50Bの干渉していたターン部52同士の間に隙間S1が形成される。これにより、直前に投入された2番目の導体セグメント50Bのターン部52が、1回前に投入された1番目の導体セグメント50Aのターン部52の下方(図7のP3の位置)に入り込み、ターン部52同士が上下方向に重なり合った状態で整列する(図6及び図7参照)。
続いて、回転工程S124を行い、モータ72を駆動させて回転軸L1を中心にして回転体71を図4(a)(b)の矢印X方向に所定量(1スロットピッチ)回転させた状態にする。以後、上記と同じ導体セグメント投入工程S122と、上記と同じ持ち上げ工程S123と、上記と同じ回転工程S124とを連続して繰り返し行う。これにより、一対の脚部51a,51bが所定数の薄板ガイド73を跨ぐようにして傾斜部74上に導体セグメント50を周方向に所定ピッチずらせて1個ずつ投入された導体セグメント50が、仮組み治具70に対して所定の状態に整列させて効率良く仮組みされる。
なお、持ち上げ工程S123を行って、1回前に投入された導体セグメント50のターン部52の下方にターン部が入り込んで一旦整列した導体セグメント50は、その後の持ち上げ工程123が行われる際に整列状態が解消されることはない。そして、72番目の最後に投入された導体セグメント50の整列を完了させることにより、72個の導体セグメント50が仮組み治具70を周方向に1周するように仮組みして、第1ステーションでの仮組み作業を終了する。
その後、仮組み治具70及びリフト部材80を、搬送用モータ63によりレール61上を搬送して第1ステーションから第2ステーションに移動させる。そして、第2ステーションにおいても、第1ステーションと同様に仮組み工程S120を行い、仮組み治具70に対して、スロット31内の内周側から第3層と第4層に挿入配置される導体セグメント50の仮組みを行う。
第2ステーションでの仮組み工程S120を終了後、仮組み治具70及びリフト部材80を、搬送用モータ63によりレール61上を搬送して第2ステーションから第3ステーションに移動させる。そして、第3ステーションにおいても、第1及び第2ステーションと同様に仮組み工程S120を行い、仮組み治具70に対して、スロット31内の内周側から第5層と第6層に挿入配置される導体セグメント50の仮組みを行う。
以後同様にして、第4ステーションにおいて、仮組み治具70に対して、スロット31内の内周側から第7層と第8層に挿入配置される導体セグメント50の仮組みを行い、第5ステーションにおいて、仮組み治具70に対して、スロット31内の内周側から第9層と第10層に挿入配置される導体セグメント50の仮組みを行う。これにより、仮組み治具70に対して、スロット31内の第1層から第10層まで5周分の導体セグメント50を仮組みした状態にし、全ての仮組み工程S120を終了する。
<組み付け工程S130>
組み付け工程S130は、仮組み工程S120において、仮組み治具70に対して所定の状態に仮組みされた複数の導体セグメント50を、固定子コア30のスロット31に挿入して組み付ける工程である。この組み付け工程S130において、固定子コア30に組み付けられた導体セグメント50は、固定子コア30の軸方向一端側の端面30aから軸方向外方にターン部52が突出し、軸方向他端側の端面30aから軸方向外方に両脚部51a,51bが延出した状態になっている。
<接続工程S140>
接続工程S140は、組み付け工程S130において固定子コア30に組み付けられた導体セグメント50のスロット31から軸方向に延出している各脚部51a,51bの開放端部を周方向に捻った後、所定の開放端部の端末部同士を電気的に接続する工程である。なお、導体セグメント50の端末部同士の接続には、例えば公知の溶接等の手法を採用することができる。その後、必要に応じて後処理を行って、図1に示す固定子コア30に巻装された固定子コイル40を完成させる。
以上のように、本実施形態の固定子コイル40の製造方法によれば、仮組み治具70を用いて行う仮組み工程S120は、上記の導体セグメント投入工程S122と、上記の持ち上げ工程S123とを有する。そのため、本実施形態の固定子コイル40の製造方法によれば、整列治具を用いて導体セグメント50の仮組みをする際に、導体セグメント50の干渉を回避しつつ簡単かつ効率良く仮組みを行うことができる。
また、仮組み工程S120は、導体セグメント投入工程S122と持ち上げ工程S123とを行った後に、回転体71を所定ピッチ回転させる回転工程S124を繰り返し行い、仮組み治具70に対して導体セグメント50を2層1周分ずつ仮組みするようにしている。これにより、第1〜第5の各ステーションにおいて、同じ大きさの導体セグメント50ごとに仮組みするようにしているため、仮組み作業の複雑化を回避して、より簡単かつ効率良く仮組みを行うことができる。
さらに、本実施形態で用いられる導体セグメント50は、固定子コア30に巻装された状態において、ターン部52の軸方向の幅が径方向の幅よりも小さくされている。これにより、導体セグメント50が仮組み治具70に仮組みされる際に、軸方向に重なり合った状態に組み付けられる2つのターン部52同士の干渉を低減することができる。
特に、本実施形態では、ターン部52が固定子コア30の軸方向端面と平行な複数の段部53、55を有する階段状に形成されて、ターン部52同士の干渉が発生し易い導体セグメント50が用いられている。そのため、導体セグメント50の干渉を回避しつつ簡単かつ効率良く仮組みを行うことができるという上記の効果を十分に発揮させることができる。また、固定子コア30の端面30aから軸方向外方に突出したターン部52の突出高さを低くすることができる。
そして、本実施形態の固定子コイル40の製造方法に用いる仮組み装置によれば、上記のような仮組み治具70とリフト部材80とを備えているため、整列治具を用いて導体セグメント50の仮組みをする際に、導体セグメント50の干渉を回避しつつより簡単かつ効率良く導体セグメント50の仮組みを行うことができる。
また、仮組み治具70及びリフト部材80は、水平方向に延びるレール61上に設置されて、第1〜第5ステーション間を一体的に移動可能に設けられている。これにより、第1〜第5ステーションで、仮組み治具70に対して、同じ大きさの導体セグメント50ごとに2層1周分ずつ仮組みするようにされている。そのため、仮組み作業の複雑化を回避して、より簡単かつ効率良く仮組みを行うことができる。
〔他の実施形態〕
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更することが可能である。
例えば、実施形態1で用いられた導体セグメント50は、ターン部52が階段形状に形成されたものであるが、これに代えて、ターン部52中央部の両側に階段形状ではなく直線状の傾斜部を有するものであってもよい。
20…固定子、 30…固定子コア、 31…スロット、 40…固定子コイル、 50…導体セグメント、 51a,51b…脚部、 52…ターン部、 53…頭頂段部、 54…クランク部、 55…段部、 61…レール、 70…仮組み治具、 71…回転体、 L1…回転軸、 72…モータ(駆動部)、 73…薄板ガイド、 74…傾斜部、 80…リフト部材、 S110…導体セグメント形成工程、 S120…仮組み工程、 S121…準備工程、 S122…導体セグメント投入工程、 S123…持ち上げ工程、 S124…回転工程、 S130…組み付け工程、 S140…接続工程。

Claims (7)

  1. 固定子コア(30)に組み付けた複数の導体セグメント(50)を電気的に接続することにより前記固定子コアに巻装される固定子コイル(40)の製造方法において、
    矩形断面のコイル線材を成形して、一対の脚部(51a、51b)と一対の前記脚部の一端同士を互いに連結するターン部(52)とからなり前記ターン部に層変わり用のクランク部(54)を有する概ねU字形状の前記導体セグメントを形成する導体セグメント形成工程(S110)と、
    回転体(71)の回転軸(L1)を中心にしてそれぞれ放射方向及び軸方向に平面状に広がる複数の薄板ガイド(73)が周方向に所定距離を隔てて円環状に配置され、各前記薄板ガイドの上辺に、外周側から内周側に向かって下降傾斜する傾斜部(74)が形成されている仮組み治具(70)に対して、複数の前記導体セグメントを所定の状態に仮組みする仮組み工程(S120)と、を備え、
    前記仮組み工程は、
    一対の前記脚部が所定数の前記薄板ガイドを跨ぐようにして前記傾斜部上に前記導体セグメントを周方向に所定ピッチずらせて1個ずつ投入する導体セグメント投入工程(S122)と、
    前記傾斜部上に2個目以降の前記導体セグメントが投入されるごとに、内周側に滑落移動した全ての前記導体セグメントの下端部を同時に持ち上げることにより、直前に投入された前記導体セグメントの前記ターン部を、1回前に投入された前記導体セグメントの前記ターン部の下方に入り込ませて整列させる持ち上げ工程(S123)と、
    を有することを特徴とする固定子コイルの製造方法。
  2. 前記仮組み工程は、前記導体セグメント投入工程と前記持ち上げ工程を行った後に、前記回転体を所定ピッチ回転させる回転工程(S124)を繰り返し行い、前記仮組み治具に対して前記導体セグメントを2層1周分ずつ仮組みすることを特徴とする請求項1に記載の固定子コイルの製造方法。
  3. 前記導体セグメントは、前記固定子コアに巻装された状態において、前記ターン部の軸方向の幅が径方向の幅よりも小さくされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の固定子コイルの製造方法。
  4. 前記ターン部は、前記固定子コアの軸方向端面と平行な複数の段部(53,55)を有する階段状に形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の固定子コイルの製造方法。
  5. 前記仮組み工程を行った後に、所定の状態に仮組みされた複数の前記導体セグメントを前記固定子コアのスロットに挿入して組み付ける組み付け工程(S130)と、前記導体セグメントの前記スロットから軸方向に延出している各前記脚部の開放端部を周方向に捻った後、所定の前記開放端部の端末部同士を電気的に接続する接続工程(S140)と、を行うことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の固定子コイルの製造方法。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の固定子コイルの製造方法に用いる仮組み装置であって、
    駆動部(72)により回転駆動される回転体(71)と、前記回転体の回転軸(L1)を中心にしてそれぞれ放射方向及び軸方向に平面状に広がり周方向に所定距離を隔てて円環状に配置された複数の薄板ガイド(73)とを有し、各前記薄板ガイドの上辺に、外周側から内周側に向かって下降傾斜する傾斜部(74)が形成されている仮組み治具(70)と、
    前記仮組み治具に対して所定数の前記薄板ガイドを跨ぐようにして前記傾斜部上に投入された概ねU字形状の全ての導体セグメント(50)の下端部を同時に持ち上げることにより、直前に投入された前記導体セグメントの前記ターン部を、1回前に投入された前記導体セグメントの前記ターン部の下方に入り込ませて整列させるリフト部材(80)と、
    を備えていることを特徴とする仮組み装置。
  7. 前記仮組み治具及び前記リフト部材は、水平方向に延びるレール(61)上に設置されて一体的に移動可能に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の仮組み装置。
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