JP2016060846A - ゴム組成物および摺動部材 - Google Patents

ゴム組成物および摺動部材 Download PDF

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Abstract

【課題】摩擦係数が小さく、耐摩耗性に優れるゴム組成物を提供する。【解決手段】エチレン−プロピレン−ジエンゴムと、植物原料から製造された多孔性炭素材粒子と、を含有し、多孔性炭素材粒子の含有量がエチレン−プロピレン−ジエンゴム100質量部に対して160質量部以上340質量部以下である、ゴム組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物およびそれを用いて形成される摺動部材に関する。
摺動部材は、例えば産業機器の歯車や金属シャフトの軸受けや軸シール等として用いられている。一般に、摺動部材には、小さな摩擦係数で摺動特性に優れ、かつ小さな摩耗量で耐摩耗性に優れていることが求められる。このような特性を満たす摺動部材を形成する材料として、例えば、合成樹脂にRBセラミックス粒子を含有させた樹脂材料が用いられている(例えば特許文献1を参照)。また例えば、カーボン材料などが用いられている。なお、RBセラミックス粒子とは、植物原料から製造された多孔性炭素材粒子(以下、単に「多孔性炭素材粒子」ともいう)の1種である。
特許第4031266号公報
しかしながら、特許文献1に示す樹脂材料やカーボン材料は、ゴム弾性を得られないため、それからなる摺動部材は衝撃により割れてしまうことがある。
そこで、摺動部材の形成材料としては、ゴム弾性を有しており、また樹脂材料等と同様に摩擦係数が小さく、耐摩耗性に優れるゴム組成物が望まれている。
本発明は、摩擦係数が小さく、かつ耐摩耗性に優れるゴム組成物、およびこれを用いた摺動部材を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様によれば、
エチレン−プロピレン−ジエンゴムと、
植物原料から製造された多孔性炭素材粒子と、を含有し
前記多孔性炭素材粒子の含有量が前記エチレン−プロピレン−ジエンゴム100質量部に対して160質量部以上340質量部以下である、ゴム組成物が提供される。
本発明の第2の態様によれば、
第1の態様のゴム組成物が架橋されたゴム架橋体から形成される摺動部材が提供される。
本発明によれば、摩擦係数が小さく、かつ耐摩耗性に優れるゴム組成物および摺動部材が得られる。
本発明者らは、上述の課題を解決するため、ゴムと多孔性炭素材粒子とを含有するゴム組成物について、ゴムの種類および多孔性炭素材粒子の含有量を変更し、検討を行った。その結果、ゴムの中でもエチレン−プロピレン−ジエンゴム(以下、単に「EPDMゴム」ともいう)がよく、また多孔性炭素材粒子の含有量を多くするとよいことを見出した。EPDMゴムに多孔性炭素材粒子を多量に添加したゴム組成物によると、架橋させたときに、比摩耗量が小さく、高い耐摩耗性が得られるだけでなく、他のゴムを用いたゴム組成物と比較して摩擦係数をより小さくでき、摺動特性をより向上できることを見出した。具体的には、摺動部材において、空気中での摩擦係数を小さくできる上に、水中で、低速かつ低荷重で他の部材と摺動させたときの摩擦係数をより小さくできることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて成されたものである。
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態について説明する。
(1)ゴム組成物
本実施形態に係るゴム組成物は、EPDMゴムと、植物原料から製造された多孔性炭素材粒子(以下、単に多孔性炭素材粒子ともいう)とを含有している。
EPDMゴムは、エチレンとプロピレンとこれら以外の第三成分であるジエンとを共重合させたポリマ(三元共重合体)である。第3成分としては、例えばエチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、ヘキサジエン、オクタジエンなどを挙げることができる。これらのうち、エチリデンノルボルネンを第三成分とするEPDMが、架橋速度が速く、しかも物性のバランスがとれている点から好ましい。
EPDMゴムは、エチレンに由来する構造単位およびジエンに由来する構造単位を有している。後述するようにEPDMゴムには多孔性炭素材粒子を高配合するため、EPDMゴムとしては、エチレン含量およびジエン含量が多いものが好ましい。これらの含量が過度に少ないEPDMゴムでは、多孔性炭素材粒子を高配合した場合、引張り強さなどの機械的強度が大幅に低下し、耐摩耗性を損なうおそれがある。そのため、EPDMゴムとしては、エチレン含量が55質量%以上65質量%以下であり、ジエン含量が4.5質量%以上10.0質量%以下であるEPDMゴムが好ましい。
また、EPDMゴムの硬度は、特に限定されないが、40°以上65°以下であることが好ましい。硬度が40°未満であると、ゴム組成物を架橋させたときの摩擦係数が大きくなり、また比摩耗量が増大して耐摩耗性が低下するおそれがある。硬度が40°以上であれば、摩擦係数を小さい範囲に制御できると共に、比摩耗量を低減して高い耐摩耗性を確保することができる。一方、硬度が65°を超えると、ゴム組成物の硬度が過度に高くなり、架橋させたときに適度なゴム弾性を得られず、耐衝撃性が低下するおそれがある。すなわち、硬度が40°以上65°以下であるEPDMゴムによれば、ゴム組成物の耐衝撃性を確保しつつ、摩擦係数および比摩耗量の小さい摺動部材を得ることができる。
また、EPDMゴムは、主鎖が飽和炭化水素からなるので、二重結合を含まない。そのため、EPDMゴムは、水中に長時間置かれても分子主鎖の切断が起こりにくい。すなわち、EPDMゴムは、他のゴムと比較して耐水性に優れている。
多孔性炭素材粒子は、植物原料から製造されたセラミックス粒子である。多孔性炭素材粒子としては、例えば、米ぬか(Rice Bran)から製造されたRBセラミックス粒子、もみ殻(Rice husk)から製造されたRHセラミックス粒子などが挙げられる。これらの中でも、摩擦係数を低減する効果やEPDMゴムとの相溶性の観点から、RBセラミックス粒子が好ましい。RBセラミックス粒子は、米ぬかから得られる脱脂ぬかの炭化物(軟質なアモルファスカーボン)と、フェノール樹脂等の熱可塑性樹脂の炭化物であるガラス状炭素(硬質なアモルファスカーボン)とで構成され、数種類の気孔を有する多孔性硬質炭素材である。RBセラミックス粒子は、高硬度、低摩擦および耐摩耗という特性を備えており、摺動部材の摩擦係数を低減し、耐摩耗性を向上させる。
多孔性炭素材粒子の含有量は、EPDMゴム100質量部に対して、160質量部以上340質量部以下である。好ましくは、200質量部以上300質量部以下である。多孔性炭素材粒子の含有量が160質量部未満となると、ゴム組成物を架橋させたときの摩擦係数を十分に低減できず、また耐摩耗性を向上させることができなくなる。多孔性炭素材粒子の含有量が340質量部を超えると、ゴム組成物の硬度が過度に高くなるので、摺動部材が十分なゴム弾性を得られなくなる。
多孔性炭素材粒子の平均粒子径は、好ましくは2μm以上53μm以下である。このような平均粒子径とすることにより、多孔性炭素材粒子をEPDMゴム中に均一に分散させると共に、ゴム組成物を架橋させたとき、ゴム弾性を損うことなく摩擦係数を小さくすることができる。
本実施形態のゴム組成物は、架橋させるため、加硫剤(架橋剤)および加硫助剤(架橋助剤)を含有するとよい。
加硫剤としては、硫黄、硫黄化合物、硫黄以外の無機加硫剤、ポリアミン、樹脂加硫剤、オキシム類、ニトロソ化合物、トリアジン系、パーオキサイド系等が挙げられる。これらを1種単独で、もしくは2種以上を併用して用いることができる。
パーオキサイド系の加硫剤としては、例えばジベンゾイルパーオキシドのようなジアシルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、モノパーオキシ化合物(t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソプロビルカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエートのようなパーオキシエステル類等)、ジパーオキシ化合物(2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン、1,4−ビス−(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)−ヘキサンなど)が挙げられる。これらを1種単独で、もしくは2種以上を併用して用いることができる。
加硫助剤としては、上述の加硫剤と併用できるものであれば特に限定されない。例えば、金属酸化物、金属炭酸、アミン類、グアニジン系、アルデヒドアミン系、アルデヒドアンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系、チウラム系、ジチオカルバメート系、ザンテート系、アリル化合物、マレイミド類、メタクリレート類、ジビニル化合物等を用いることができる。これらを1種単独で、もしくは2種以上を併用して用いることができる。
加硫剤および加硫助剤の含有量は、その合計が、EPDMゴム100質量部に対して5質量部以上25質量部以下となることが好ましい。これにより、ゴム組成物を架橋させたゴム架橋体(摺動部材)の硬度を適度な範囲に制御でき、その摩擦係数を小さく、かつ耐摩耗性を向上させやすくなる。
また、ゴム組成物は、加硫剤や加硫助剤の他に、ワックスや鉱物油等の加工助剤、カーボンブラック等の補強剤、充填剤、可塑剤、老化防止剤(酸化防止剤)、安定剤など、その他の添加剤を含有してもよい。これらは、ゴム組成物の特性を損なわない範囲で含有させることができる。
充填剤は、無機系、有機系いずれのものを用いてもよく、無機系充填剤又は有機系充填剤を単独で、或いは両者を併用して使用することが可能である。
無機系充填剤としては、カーボン系、珪酸系、炭酸マグネシウム系、炭酸カルシウム系、珪酸マグネシウム系、珪酸アルミニウム系、酸化アルミニウム系、水酸化アルミニウム系、水酸化マグネシウム系、硫酸バリウム系、炭化珪素系、ガラス系、金属粉末、高強度繊維等を用いることができる。
有機系充填剤としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・ブタジェン・スチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリカーボネート(PC)、ポリアセタール(POM)、ポリオキシメチレン、ポリエステル、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリレート、ポリイミド(PI)、エンプラ系樹脂(液晶ポリマ等)、塩素系樹脂(ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン等)、フッ素系樹脂(ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、エチレン・テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等)、シリコーン系樹脂、高強度繊維、セルロース繊維等を用いることができる。
なお、ゴム組成物は、EPDMゴムや多孔性炭素材粒子、加硫剤、加硫助剤、必要に応じてその他添加剤を混合し、混練することにより得られる。
(2)摺動部材
上述のゴム組成物は、射出成形法や押出成形法により所定の形状に成形された後、架橋されてゴム架橋体となり、摺動部材として形成される。
摺動部材は、EPDMゴムと多量の多孔性炭素材粒子とを含有して構成されており、ゴム弾性を有している。そのため、樹脂材料やカーボン材料から形成される摺動部材と比較して、衝撃により割れにくく、耐衝撃性に優れている。
また、摺動部材は、その表面に多孔性炭素材粒子が露出しているので、小さな摩擦係数で摺動特性に優れ、かつ低摩耗量で耐摩耗性に優れている。具体的には、詳細を後述するように、摺動部材は、空気中(大気中無潤滑下)での摩擦係数が0.75以下と小さく、かつ比摩耗量が2×10−5mm/N以下であって耐摩耗性に優れている。そのため、金属や樹脂などからなる部材を相手材として、所定の圧力が作用するような駆動部品(例えば軸受けや軸シール等)を構成した場合であっても、摩擦による摩耗を抑制し、高い耐摩耗性を長期間にわたって維持することができる。
さらに、摺動部材は、水中での摩擦係数および比摩耗量が小さい。具体的には、詳細を後述するように、水中での摩擦係数が0.15以下と小さく、かつ比摩耗量が2×10−5mm/N以下であって耐摩耗性に優れている。特に、水中で、低速度かつ低荷重で他の部材と摺動させたときの摩擦係数をより小さくすることができる。また、摺動部材は、水により分解しにくいEPDMゴムから構成されているので、耐水性にも優れている。そのため、水中で長期間にわたり、良好な摺動特性および耐摩耗性を維持することができる。なお、水中での摩擦係数をより低減できる理由は、摺動部材の表面に露出する多孔性炭素材粒子がその水を吸収することで、他の部材との摺動領域に水を取り込み、摺動面での過度な摩擦を低減できるため、また、耐水性に優れるEPDMゴムから形成されている摺動部材は、多孔性炭素材粒子が水を吸収しても変性または劣化することなく、多孔性炭素材粒子を保持できるため、と推測される。
本実施形態の摺動部材は、摺動特性および耐摩耗性に優れているので、所定の圧力が作用する駆動部品、例えば、ギア、レバー、軸受け、軸シール(メカニカルシール)などとして用いることができる。さらには、水中での摺動特性だけでなく、耐水性にも優れているので、水環境下で用いられる機器の部品、例えば、水中ギア、水車発電機の主軸を封水するメカニカルシール等として好適に用いることができる。例えば、本実施形態の摺動部材を水車発電機のメカニカルシールとして用いる場合、摺動部材が高い耐摩耗性を長期間にわたって維持できるので、メンテナンスの回数を低減し、発電効率を向上させることができる。
次に、本発明について実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されない。
(1)ゴム組成物の調製
<実施例1>
実施例1では、下記表1に示す配合でゴム組成物を調製した。
具体的には、EPDMゴムを100質量部と、加熱乾燥させた多孔性炭素材粒子を249.63質量部と、カーボンブラックを40質量部と、加硫剤および加硫助剤を合計で11.42質量部と、加工助剤を15質量部とを混合し、この混合物を8インチロール機で混練することで、ゴム組成物を調製した。
なお、EPDMゴムとして、三井化学株式会社製「三井EPT3045」(エチレン含量56質量%、ジエン含量4.7質量%)を用いた。
多孔性炭素材粒子(RBセラミックス)として、三和油脂株式会社製「RBセラミックス粉末」(粒子径10μm以下)を用いた。
カーボンブラックとして、東海カーボン株式会社製「シースト3」(粒子径25nm)を用いた。
加硫剤として、硫黄(ラインケミージャパン株式会社製「レノグランS−80」)を用いた。
加硫助剤として、テトラメチルチウラムジスルフィド(ラインケミージャパン株式会社製「レノグランTMTD−80」)と、テトラエチルチウラムジスルフィド(ラインケミージャパン株式会社製「レノグランTETD−75F」)と、ステアリン酸(日本油脂株式会社製「ビーズステアリン酸」)と、酸化亜鉛(井上石灰工業株式会社製「META−Z L40」)と、を用いた。
加工助剤として、ナフテン油(出光興産株式会社製「ダイアナ プロセスオイルNP−24」)を用いた。
Figure 2016060846
<実施例2>
実施例2では、RBセラミックスの含有量を166.42質量部に変更した以外は実施例1と同様にゴム組成物を調製した。
<実施例3>
実施例3では、EPDMゴムを100質量部と、加熱乾燥させた多孔性炭素材粒子を332.84質量部と、カーボンブラックを10質量部と、充填剤を35質量部と、加硫剤および加硫助剤を合計で10.5質量部と、加工助剤を10質量部とを混合し、この混合物を8インチロール機で混練することで、ゴム組成物を調製した。
なお、EPDMゴムとして、JSR株式会社製「JSR EP21」(エチレン含量61質量%、ジエン含量5.8質量%)を用いた。
多孔性炭素材粒子(RBセラミックス)として、三和油脂株式会社製「RBセラミックス粉末」(粒子径10μm以下)を用いた。
カーボンブラックとして、東海カーボン株式会社製「シースト3」(粒子径25nm)を用いた。
充填剤として、丸尾カルシウム株式会社製「MSK−C」(粒子径0.05μm)を用いた。
加硫剤として、硫黄(細井化学工業株式会社製「微粉硫黄 200mesh」)を用いた。
加硫助剤として、テトラメチルチウラムジスルフィド(大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーTT」)と、テトラエチルチウラムジスルフィド(大内新興化学工業株株式会社製「ノクセラーTET−G」)と、ステアリン酸(日本油脂株式会社製「ビーズステアリン酸」)と、酸化亜鉛(井上石灰工業株式会社製「META−Z L40」)と、を用いた。
加工助剤として、エポキシ化大豆油(DIC株式会社製「エポイサイザー W−100−EL」)を用いた。
<比較例1>
比較例1では、RBセラミックスを添加しない以外は、実施例1と同様にゴム組成物を調製した。
<比較例2>
比較例2では、RBセラミックスの含有量を110.95質量部として160質量部よりも少なくした以外は、実施例1と同様にゴム組成物を調製した。
<比較例3>
比較例3では、RBセラミックスの含有量を388.32質量部として340質量部よりも多くした以外は、実施例3と同様にゴム組成物を調製した。
(2)サンプルの作製
続いて、上述のゴム組成物を用いて摺動部材を模擬したサンプルを作製した。
具体的には、実施例1〜3および比較例1〜3のゴム組成物をそれぞれ、シート状に厚さ5mmで押し出し、そのシートを金型により151℃でプレス加硫することで、ディスク状のサンプルを作製した。
(3)評価方法
作製したサンプルの摩擦性および耐摩耗性を評価するため、サンプルに対して以下に示すように摩擦試験を行い、その摩擦係数および比摩耗量を測定した。
<大気中無潤滑下での摩擦試験>
試験機として、回転型摩擦試験装置を用いて、下記摺動条件1で摩擦試験を行った。
(摺動条件1)
・試験機;回転型摩擦試験装置(回転摺動)
・荷重:1.96N
・摺動速度:1.0m/s
・繰り返し数:1.0×10サイクル
具体的には、ディスク状のサンプルを摩擦試験装置のステージに載置した。この摩擦試験装置に高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)からなる半径4mmの金属球(ボール試験片)を取り付けた。この取り付けの際、サンプルに対して所定の荷重(W)が付加されるように、ボール試験片をサンプルに当接させた。そして、ボール試験片をサンプルに対して所定の速度(摺動速度)となるように回転摺動させることによって、所定のサイクルを繰り返した。
このときの摩擦力を測定し、それから大気中での摩擦係数を算出した。さらに、大気中での摩擦試験における摩耗量(V)を荷重(W)およびすべり距離(L)で除することで、大気中での比摩耗量(V/W・L)を算出した。
本実施例では、大気中無潤滑下での摩擦係数が、摺動速度1.0m/sのときに、0.75以下であれば、低摩擦である(摺動特性に優れている)と評価した。また、大気中無潤滑下での比摩耗量が2×10−5(mm/N)以下であれば、耐摩耗性に優れていると評価した。
<水潤滑下での摩擦試験>
水潤滑下での摩擦試験は、ボール試験片をサンプルに対して摺動させるときに、サンプルを水中に沈めた状態で摺動させたこと、摺動条件を変更したこと以外は、上述の大気中無潤滑下での摩擦試験と同様に行った。なお、本実施例では、試験機として、直動往復型摩擦試験装置または回転型摩擦試験装置を用いて、下記摺動条件2,3で摩擦試験を行った。
(摺動条件2)
・試験機;直動往復型摩擦試験装置(往復摺動)
・荷重:0.98N
・摺動速度:0.001m/s
・繰り返し数:1.0×10サイクル
(摺動条件3)
・試験機;回転型摩擦試験装置(回転摺動)
・荷重:4.9N
・摺動速度:1.0m/s
・繰り返し数:1.0×10サイクル
そして、摩擦試験から、水潤滑下での摩擦係数および比摩耗量を算出した。本実施例では、水潤滑下での摩擦係数が摺動速度の全域(0.001m/s,1.0m/s)で0.15以下であれば、低摩擦である(摺動特性に優れている)と評価した。また、水潤滑下での比摩耗量が2×10−5(mm/N)以下であれば、耐摩耗性に優れていると評価した。
(4)評価結果
大気中の摩擦係数を測定したところ、実施例1では、RBセラミックス粒子を多量に含有させたため、大気中の摩擦係数を0.3とし、0.6以下の範囲内にできることが確認された。実施例2では、RBセラミックスの含有量を実施例1よりも減らしたため、大気中の摩擦係数が0.74であって、実施例1よりも大きいことが分かった。実施例3では、大気中の摩擦係数が0.3であって、実施例1と同様に小さいことが確認された。
比較例1では、RBセラミックス粒子を含有させなかったため、大気中での摩擦係数が1.14と、0.75を超えてしまうことが確認された。比較例2では、RBセラミックス粒子を含有させたものの、含有量が少なすぎたため、大気中の摩擦係数を十分に小さくすることができず、0.77であることが確認された。一方、比較例3では、RBセラミックス粒子の含有量を過度に多くしたことによってサンプルのゴム弾性が著しく低下したためか、摩擦試験中にサンプルが破損してしまい、摩擦係数を測定できないことが確認された。
大気中での比摩耗量を測定したところ、実施例1では、1.73×10−7(mm/N)であり、2×10−5(mm/N)以下であるため、耐摩耗性に優れていることが確認された。同様に、実施例2では1.23×10−5(mm/N)、実施例3では3.02×10−7(mm/N)であり、ともに2×10−5(mm/N)以下であるため、耐摩耗性に優れていることが確認された。
比較例1では、大気中での比摩耗量が5.28×10−7(mm/N)であり、実施例1と同様に所定の耐摩耗性を有していることが確認されたが、RBセラミックス粒子を含有させた実施例1と比較して比摩耗量が大きく、耐摩耗性に劣ることが確認された。比較例2では、RBセラミックスの含有量が少ないため、比摩耗量が2.77×10−5(mm/N)と、2×10−5(mm/N)よりも大きくなり、耐摩耗性に劣ることが確認された。比較例3は、上述したようにサンプルが破損したため、比摩耗量を測定することができなかった。
水中での摩擦係数を測定したところ、実施例1では、摺動速度が1m/sのときに0.05であり、摺動速度が0.001m/sのときに0.11であることが確認された。つまり、実施例1では、摺動速度が低速であるときの摩擦係数が、高速であるときと同様に小さく、摺動速度の高低によらず、摺動速度の全試験速度域で0.15以下となることが確認された。実施例2では、実施例1と同様に摩擦係数が小さく、摺動速度が低速のときに0.13となることが確認された。実施例3は、実施例1,2と同様に、摺動速度の全試験速度域で0.15以下となることが確認された。
比較例1では、摺動速度が0.001m/sときに1.41であり、摺動速度が1m/sのときに0.05であることが確認された。つまり、摺動速度が低速であるほど、水中での摩擦係数が大きくなる傾向にあることが分かった。比較例2は、比較例1と同様の傾向にあることが確認された。比較例3は、サンプルが破壊してしまったため、測定することができなかった。
なお、水中での比摩耗量を測定したところ、実施例1〜3および比較例1〜3では、いずれも2×10−5(mm/N)以下であり、耐摩耗性に優れていることが確認された。
以上、説明したように、本実施例の摺動部材は、大気中無潤滑下での摩擦係数が0.75以下と小さく、かつ比摩耗量が2×10−5mm/N以下と小さい。さらに、本実施例の摺動部材は、水中において、低速度(0.001m/s)で他の部材と摺動させたときの摩擦係数が、高速度(1.0m/s)で摺動させた場合と同様に小さく、0.15以下と小さく、かつ水中での比摩耗量が2×10−5mm/N以下と小さい。したがって、本実施例のゴム組成物によれば、空気中および水中のいずれにおいても摺動特性および耐摩耗性に優れる摺動部材を形成することができる。
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
[付記1]
本発明の一態様によれば、
エチレン−プロピレン−ジエンゴムと、
植物原料から製造された多孔性炭素材粒子と、を含有し、
前記多孔性炭素材粒子の含有量が前記エチレン−プロピレン−ジエンゴム100質量部に対して160質量部以上340質量部以下である、ゴム組成物が提供される。
[付記2]
付記1のゴム組成物が架橋されたゴム架橋体から形成される摺動部材が提供される。
[付記3]
付記2の摺動部材において、好ましくは、
水中で、軸受鋼からなる半径4mmの金属球を0.98N以上4.9N以下の範囲で荷重し、摺動速度を0.001m/s以上1.0m/s以下として摩擦試験を行ったときの摩擦係数が0.15以下である。
[付記4]
付記2又は3の摺動部材において、好ましくは、
大気中で、軸受鋼からなる半径4mmの金属球を1.96Nで荷重し、摺動速度を1.0m/sとして摩擦試験を行ったときの摩擦係数が0.75以下である。
[付記5]
付記3又は4の摺動部材において、好ましくは、
前記摩擦試験を行ったときの比摩耗量が2×10−5mm/N以下である。

Claims (5)

  1. エチレン−プロピレン−ジエンゴムと、
    植物原料から製造された多孔性炭素材粒子と、を含有し、
    前記多孔性炭素材粒子の含有量が前記エチレン−プロピレン−ジエンゴム100質量部に対して160質量部以上340質量部以下である、ゴム組成物。
  2. 請求項1に記載のゴム組成物が架橋されたゴム架橋体から形成される摺動部材。
  3. 水中で、軸受鋼からなる半径4mmの金属球を0.98N以上4.9N以下の範囲で荷重し、摺動速度を0.001m/s以上1.0m/s以下として摩擦試験を行ったときの摩擦係数が0.15以下である、請求項2に記載の摺動部材。
  4. 大気中で、軸受鋼からなる半径4mmの金属球を1.96Nで荷重し、摺動速度を1.0m/sとして摩擦試験を行ったときの摩擦係数が0.75以下である、請求項2又は3に記載の摺動部材。
  5. 前記摩擦試験を行ったときの比摩耗量が2×10−5mm/N以下である、請求項3または4に記載の摺動部材。
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