JP2016057290A - 熱風炉のaeモニタリング装置およびaeモニタリング方法 - Google Patents

熱風炉のaeモニタリング装置およびaeモニタリング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】複数基の熱風炉の損傷をアコースティックエミッション(AE)法でモニタリングするための安価な装置および方法を提供することを目的とする。【解決手段】複数基の熱風炉の各々に、熱風炉から発生する弾性波を検出し、弾性波信号を出力する複数個のAEセンサおよびアンプを配置し、これらから出力される弾性波信号のうち、複数基の熱風炉のいずれか1基からの弾性波信号を信号切替装置により選択して収集し、解析装置により解析して熱風炉の損傷位置を特定する。【選択図】 図1

Description

本発明は、アコースティックエミッション法を用いた構造物の亀裂等をモニタリングするモニタリング装置および方法に関するものであり、特に熱風炉の亀裂や磨耗等をモニタリングするモニタリング装置および方法に関するものである。
熱風炉は空気を加熱して高温となった空気を高炉に供給する設備であり、通常、次のように操業される。高炉から排出された高温の高炉ガスを熱風炉に通すことで、高炉ガスの熱が熱風炉の蓄熱室のレンガに蓄熱され、次に熱風炉に低温の空気を通過させることで、レンガに蓄積された熱が放散して低温の空気が加熱され、高温になった空気は高炉に供給される。このように熱風炉においては、蓄熱と放熱が交互に繰り返される。そのため、1つの高炉には熱風炉が複数基あり、各熱風炉での蓄熱と放熱の切り替えタイミングをずらして高炉には間断なく高温の空気が供給されるように操業される。
上述の蓄熱・放熱の熱サイクルによって熱風炉の炉体は膨張・収縮を繰り返し、炉体に亀裂や磨耗等が発生することがある。炉体の亀裂等が進行すると、場合によっては、高温の空気が炉外に噴出して、操業に多大な影響を与えることとなってしまう。そのため、亀裂等が発生した場合、可能な限り早期に亀裂等の発生位置を特定し、補修を行う必要がある。
そのため、従来から熱風炉(鉄皮)の表面温度を測定し、この測定温度の変化から熱風炉の異常を監視することが行われてきた(特許文献1等)。しかし、温度測定による監視は温度計の設置された位置でしか実施することができず、温度計設置位置以外での異常を検出することは難しいという問題がある。また、亀裂等がある程度進行すれば、熱風炉から熱風がリークして局所的な温度上昇が発生し、異常を検知することができるが、亀裂等が小さい場合には、局所的な温度上昇を検知することができず、異常を検知することができないという問題がある。
そこで、最近では広い範囲で異常を検知することのできるアコースティックエミッション法(以下、AE法という)を用いたモニタリング(監視)が行われるようになってきている。このAE法は、亀裂や磨耗等(以下、損傷ともいう)の進行に伴って、それまで蓄えられていた歪エネルギーが解放されて発生する弾性波(音響)を検出することで、圧力容器、ダム、建造物、道路、飛行機、自動車、工作機械など、さまざまな構造物や設備の異常を非破壊で評価することが可能であることから、有効な設備診断技術とされている(特許文献2等)。
しかし、AE法により熱風炉をモニタリングする場合、1回のモニタリングのみでは、現場ノイズ(熱風炉周辺の騒音等)の影響を受け易く、損傷の発生位置を特定することは困難であるという問題があり、こうした現場ノイズの影響を排除する方法としては、常時、AEセンサを配置しておき、モニタリングを連続的に行う連続モニタリング方法が有効であることが知られている。連続モニタリングにより、多数の時系列データが得られ、これらを解析することで現場ノイズを排除して、損傷の発生位置を精度よく特定できる。
図7に一般的なAE法による連続モニタリング装置の概略図を示す。10は熱風炉(図示せず)から発生する弾性波を検出するために配置された複数個のAEセンサ(図では8個)、20はAEセンサ10から出力される弾性波信号を増幅するためのアンプであり、30は増幅後の弾性波信号を解析して損傷位置を特定するための解析装置である。1個のAEセンサ10には1個のアンプ20が必要であり、また、解析装置30にはAEセンサ10と同数の入力チャンネルが必要である。熱風炉から損傷の進行による弾性波が発生すると、発生位置に近い数個のAEセンサ10が弾性波を検出する。各検出信号(弾性波信号)は対応するアンプ20で増幅されて解析装置30に入力される。解析装置30は増幅された複数の弾性波信号および弾性波を検出したAEセンサの位置等から熱風炉の損傷位置を特定することができる。
実開昭60−29248号公報 特開2003−232782号公報
上述したように、従来のAE法による連続モニタリング装置(以下、AEモニタリング装置という)には、AEセンサと同数のアンプが必要であり、また、AEセンサが出力する弾性波信号を解析する解析装置にもAEセンサと同数の入力チャンネルが必要となり、AEモニタリング装置は非常に高価なものとなる。さらに、高炉用熱風炉の場合、熱風炉は複数基あり、従って、AEモニタリング装置も熱風炉の基数と同じ数が必要となる。アンプに関しては、アンプが内蔵されたAEセンサ(アンプ内蔵型AEセンサ)を使用すれば、装置費用をある程度は抑制できるものの、まだまだ高価である。そのため、外部の計測業者が、必要の都度、AEモニタリング装置による設備診断を行う事例も多く、AEモニタリング装置の導入が進んでいないなどの課題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、複数基の熱風炉をモニタリングするための安価なAEモニタリング装置およびこの装置を用いたAEモニタリング方法を提供することを目的とする。
本発明の熱風炉のAEモニタリング装置およびAEモニタリング方法は、前記課題を解決するために以下の特徴を有する。
[1] 複数基の熱風炉のいずれかを選択して、熱風炉の損傷をアコースティックエミッション法によりモニタリングする熱風炉のAEモニタリング装置であって、
複数基の熱風炉の各々に配置され、熱風炉から発生する弾性波を検出し、弾性波信号を出力する複数個のAEセンサと、
複数基の熱風炉の各々に配置され、前記複数のAEセンサから出力されるそれぞれの弾性波信号を増幅する複数個のアンプと、
前記複数個のアンプから出力される増幅後の弾性波信号のうち、複数基の熱風炉のいずれかに配置された複数個のアンプからの弾性波信号を切り替えにより選択して収集する信号切替装置と、
前記信号切替装置から出力される増幅後の弾性波信号を解析して熱風炉の損傷位置を特定する1台の解析装置とを有することを特徴とする熱風炉のAEモニタリング装置。
[2] 前記信号切替装置の切り替えは外部からの入力信号を受けた前記解析装置によって行われることを特徴とする[1]に記載の熱風炉のAEモニタリング装置。
[3] 前記外部からの入力信号は熱風炉の充圧信号であることを特徴とする[2]に記載の熱風炉のAEモニタリング装置。
[4] 前記外部からの入力信号は、熱風炉への送気配管あるいは熱風炉からの排気配管に設けられる切替バルブの開閉の開閉信号であることを特徴とする[2]に記載の熱風炉のAEモニタリング装置。
[5] 前記信号切替装置から出力される増幅後の弾性波信号を解析することで、切替バルブの開閉動作の異常をモニタリングすることを特徴とする[4]に記載の熱風炉のAEモニタリング装置。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の熱風炉のAEモニタリング装置を用いて複数基の熱風炉をモニタリングすることを特徴とする熱風炉のモニタリング方法。
[7] [5]に記載の熱風炉のAEモニタリング装置を用いて、複数基の熱風炉の損傷をモニタリングするとともに、複数基の熱風炉の切替バルブの開閉動作の異常をモニタリングすることを特徴とする熱風炉のモニタリング方法。
従来は、複数基の熱風炉をAE法でモニタリングするためには、熱風炉ごとに解析装置を必要としたが、本発明によれば、信号切替装置を設け、モニタリングの対象となる熱風炉を選択できるようにしたので、熱風炉の基数に拘わらず解析装置を1台に集約することが可能となり、安価なモニタリング装置および方法を提供することができる。さらに解析装置に外部信号を入力する機能を有するようにすれば、外部からの入力信号に基づいてモニタリング対象の熱風炉を自動的に選択することが可能となる。さらに、外部信号として熱風炉の充圧信号を用いれば、検出精度および検出効率を向上させることができる。
また、本発明は、切替バルブの開閉信号が変化した後に、弾性波信号の振動振幅の変化状況をモニタリングすることで、切替バルブの動作の異常も診断可能である。
図1は、本発明の実施形態1を示す概略図である。 図2は、実施形態1によるモニター画面を示す図である。 図3は、本発明の実施形態2を示す概略図である。 図4は、熱風炉の内部圧力の時間推移を示す図である。 図5は、熱風炉のモニタリングにより特定された亀裂位置を表示したモニター画面を示す図である。 図6は、AEセンサによる弾性波検出の時系列データを示す図である。 図7は、従来のAEモニタリング装置を示す概略図である。 図8は、AEセンサによる弾性波検出の時系列データを示す図である。
以下、本発明の実施形態を説明する。なお、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
[実施形態1]
本発明の実施形態1を図1を用いて説明する。図1は熱風炉が2基の場合を示し、AおよびBが熱風炉である。1Aは熱風炉Aに設置された複数個のAEセンサ(図では8個)であり、熱風炉Aから発生する弾性波(音響)を検出する。2AはAEセンサ1Aから出力される弾性波信号を増幅するためのアンプであり、1個のAEセンサには1個のアンプが必要となる。同様に、1Bは熱風炉Bに設置された複数のAEセンサであり、熱風炉Bから発生する弾性波を検出する。2BはAEセンサ1Bから出力される弾性波信号を増幅するためのアンプである。図1では、AEセンサおよびアンプはアンプ内蔵型AEセンサ(1A,2A)、(1B,2B)として示した。3はコンピュータなどから構成される解析装置であり、アンプ2Aもしくは2Bから出力される弾性波信号を解析して熱風炉の損傷位置を特定する。4は信号切替装置であり、アンプ2A、2Bと解析装置3との間に設けられており、切り替えにより熱風炉A、Bのいずれか一方をモニタリング対象として選択することができる。即ち、信号切替装置4を切り替えることで、アンプ2Aおよび2Bからの出力信号のいずれか一方を収集して解析装置3に入力することができる。
ここで、熱風炉Aが信号切替装置4によりモニタリング対象に選択されているとする。熱風炉Aに亀裂や磨耗等の損傷が進行すると弾性波(音響)が発生する。弾性波が発生すると、複数個のAEセンサ1Aのうち、弾性波の発生位置に近いAEセンサ数個がこれを検出する。弾性波を検出した数個のAEセンサ1Aから出力される弾性波信号はそれぞれ対応するアンプ2Aで増幅され、信号切替装置4を介して解析装置3に入力される。弾性波を検出した各AEセンサ1Aでは弾性波が到着する時刻がそれぞれ異なり、解析装置3では、各AEセンサ1Aでの弾性波到着時刻から各AEセンサ1A間の弾性波到着時刻差を求め、これらの弾性波到着時刻差と、AEセンサ1Aの設置位置および弾性波の伝達速度から損傷の発生位置を計算し、発生位置をモニターに表示する。熱風炉Aのモニタリングが終了すれば、信号切替装置4を熱風炉B側に切り替えて、同様にして熱風炉Bのモニタリングを行うことができる。
図2にモニター画面の一例を示す。モニター画面は熱風炉外面の一部を表示しており、実線は鉄皮の溶接線、丸は特定された損傷の位置である。モニタリングは連続して行っているため、複数個の丸が表示される。図2のように、丸がある範囲に集中している場合は現場ノイズの影響は受けていないと判断し、損傷の有無や位置を特定することができる。
本実施形態によれば、信号切替装置4を設けてモニタリング対象の熱風炉を任意に選択するようにしたので、1台の解析装置で複数の熱風炉をモニタリングでき、装置コストを大きく抑制することができる。なお、AEセンサとアンプはアンプ内蔵型AEセンサとして説明したが、AEセンサとアンプを別々にしてもよい。
以上のようにAEセンサからの弾性波信号をモニタリングすることで、熱風炉の亀裂等の損傷の発生位置を早期に、例えば、熱風のリークが始まる以前に特定することができる。
[実施形態2]
図3を用いて本発明の実施形態2を説明する。実施形態1の装置と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。この実施形態2では、上述の実施形態1に加えて、解析装置3は外部からの入力信号を受けることのできる機能を有し、解析装置3は入力された外部信号に基づいて信号切替装置4を切り替えることで、モニタリング対象の熱風炉を自動的に選択できるようにしている。外部信号としては、熱風炉の操業信号の1つである充圧信号を用いる。図3に示すように、解析装置3は、熱風炉Aから充圧信号5Aを、熱風炉Bから充圧信号5Bを取得し、解析装置3はこれらの充圧信号5A、5Bから充圧状態にある熱風炉を認識し、信号切替装置4を作動させて充圧状態にある熱風炉を選択してモニタリングする。
図4は熱風炉の内部圧力(充圧信号)の時間推移を示した図であり、実線が熱風炉A、点線が熱風炉Bの内部圧力である。熱風炉では、蓄熱と放熱を切り替えて操業が行われ、これに対応して、内部圧力(内圧)も周期的に変化する。熱風炉が充圧状態になると内部圧力は高くなり、それ以外では内部圧力は低くなる。充圧状態では熱風炉の内部圧力が高いことから、亀裂や磨耗等の損傷が進行する可能性が高くなる。
従って、充圧状態にある熱風炉をモニタリングすれば、AEセンサによる弾性波の検出精度や検出効率がよくなる。熱風炉Aの内部圧力が高い状態のときに信号切替装置4を切り替えてAEセンサ1A・アンプ2Aからの弾性波信号をモニタリングし、熱風炉Bの内部圧力が高い状態のときに信号切替装置4を切り替えてAEセンサ1B・アンプ2Bからの弾性波信号をモニタリングする。
内部圧力は、例えば、熱風炉に設けられた圧力計による測定値や設定圧力を用いることができる。充圧信号に基づいて熱風炉を切り替えた後のモニタリング方法は実施形態1と同様であるので、説明は省略する。
本実施形態によれば、充圧状態にある熱風炉を自動的に選択できるので、実施形態1の効果に加えて、検出精度や検出効率を高めることができる。
実施形態2では外部信号として熱風炉の充圧信号を用いたが、これに限る必要はなく、例えば、熱風炉に歪ゲージを貼り付け、該歪ゲージの出力データを用いてもよいし、送風弁の切替信号を用いるようにしてもよい。
[実施形態3]
実施の形態3では、モニタリング対象の熱風炉の切替を行う外部からの入力信号として、以下に説明する送気配管あるいは排気配管に設けられる切替バルブの開閉信号を用いる。
熱風炉では、蓄熱時に、送気配管を介して高温の高炉ガスが供給される。熱風炉では、蓄熱室のレンガに高炉ガスの熱が蓄熱され、排気配管から低温となった高炉ガスが排出される。
放熱時では、熱風炉に送気配管を介して低温の空気が供給される。レンガに蓄積された熱が放散することで、低温の空気が加熱され、高温になった空気は排気配管から高炉に供給される。送気配管および排気配管には切替バルブが設けられており、開閉信号によって切替動作が制御されている。
熱風炉は、大きな容積を持っており、切替バルブの開閉信号を切替えた後、数分かかって目標の内圧に到達する。切替バルブの開閉動作が正常に行われている場合には、内圧が増加していく過程で、低温の空気が充填されて内圧が増加し、亀裂等があれば弾性波が発生し、その振幅も変化する。一方、切替バルブの開閉動作に異常があって、低温の空気の充填が不十分であると、内圧が十分に増加せずに、弾性波の振幅が変化しない。
切替バルブの開閉信号が切替わるタイミングは既知であるため、解析装置は、切替バルブの開閉信号を切替えた後所定の時間内に、検知された弾性波の振幅が変化しているか否かを検知することで、切替バルブの開閉動作の異常発生の有無をモニタリングすることが可能となる。
このように、熱風炉の切替時の弾性波信号の振動振幅の大きさを解析することで、熱風炉の亀裂等の損傷に加えて、切替バルブの作動の異常の有無をモニタリングすることができる。
上記の実施形態1〜3により損傷の発生位置が特定された後は、作業員が目視検査や超音波探傷などにより熱風炉の特定位置を詳細に検査し、場合によっては補修作業を行う。
なお、本発明では連続して熱風炉をモニタリングができることから、弾性波の発生頻度(一定期間内でAEセンサが弾性波を検出する回数)を把握し、発生頻度が予め定めた閾値を超えると、アラームを発令するようにしてもよい。アラームが発令されると、作業員が熱風炉の詳細検査作業や補修作業を行う。
以上、モニタリング対象の熱風炉が2基の場合について述べたが、本発明はこれに限るものではなく、3基以上の熱風炉を対象にすることもできる。
[実施例1]
2基の熱風炉A、Bの蓄熱室に、アンプ内蔵型AEセンサを各々8個と4個を取り付けてモニタリングを実施した。本実施例が対象とする熱風炉A、Bでは、4時間毎に約2時間で蓄熱室への送風・充圧が交互に行われている。そして、8個のセンサを取り付けた熱風炉Aでのモニタリング結果と超音波探傷による検査結果との比較を行った。その結果、モニタリング期間中に弾性波の発生が検出された付近に、約6mmの亀裂進展が超音波探傷検査により確認された。
熱風炉Aのモニタリングにより特定された亀裂位置を表示したモニター画面を図5に、また、AEセンサによる弾性波検出の時系列データ(約12時間分)を図6に示す。図5において、横軸は熱風炉蓄熱室の周方向(X方向)位置、縦軸は高さ方向(Y方向)位置であり、図中の四角は8個のアンプ内蔵型AEセンサ(1A、2A)を示し、黒点は解析装置3が演算により特定した亀裂の位置を示す。黒点は6個あり、X方向位置とY方向位置を平均すると、X=16.81m、Y=10.48mとなった。一方、超音波探傷検査結果では、亀裂進展位置はX=16.50m、Y=10.5mであった。従って、モニタリング結果と実測結果との誤差は、ΔX=0.31m、ΔY=0.02mであり、AEモニタリングにより高精度で亀裂位置を特定することができた。
弾性波が検出された時系列データを確認すると、図6に示すように、熱風炉の蓄熱室への送風・充圧中に弾性波が発生することが確認できた。図6は弾性波を検出した数個のAEセンサのうちの1個のセンサの時系列データであり、横軸は時刻、縦軸は検出された弾性波の振動振幅(dB)を示し、黒丸が検出された弾性波を示す。なお、亀裂発生・進展時に伴う弾性波信号とノイズ信号とを弁別するために、図5では特定範囲におけるプロット数の分布密度が高い信号を選択的に取出し、図6では振幅の大きい信号を選択的に取出してプロットした。
以上、本実施例によれば、充圧状態にある熱風炉をモニタリングすれば、AEセンサによる弾性波の検出精度や検出効率が良くなることがわかる。
なお、本実施例では、AEモニタリング装置として、アンプ内蔵型AEセンサを8個+4個、解析装置を1台、信号切替装置を1台設置しており、各熱風炉毎にAEモニタリング装置(熱風炉A:アンプ内蔵型AEセンサ8個、解析装置1台、熱風炉B:アンプ内蔵型AEセンサ4個、解析装置1台)を設置する場合と比較して、設備費用を約30%抑制することができた。
[実施例2]
本発明の実施の形態3に対応する実験を行った。充圧信号と切替バルブの開閉信号とが同期した状態で、送風・充圧状態となった熱風炉から弾性波信号を入力し、入力された弾性波信号を解析した。
AEセンサによる弾性波検出の時系列データを図8に示す。図8に示す点線は、バルブの開閉信号の切替タイミングを示している。図8に示すように、バルブの開閉信号の切替タイミングから所定の時間内に、入力された弾性波信号の振幅値が大きくなっていることが確認された。この結果から、バルブ切替が正常に行われていることが分かった。
この実験から、熱風炉から弾性波信号を入力し、この弾性波信号を解析することで、熱風炉の亀裂等の損傷に加えて、切替バルブの作動の異常の有無をモニタリングすることができることが分かった。
1A、1B AEセンサ
2A、2B アンプ
3 解析装置
4 信号切替装置
5A、5B 充圧信号
10 AEセンサ
20 アンプ
30 解析装置
A、B 熱風炉

Claims (7)

  1. 複数基の熱風炉のいずれかを選択して、熱風炉の損傷をアコースティックエミッション法によりモニタリングする熱風炉のAEモニタリング装置であって、
    複数基の熱風炉の各々に配置され、熱風炉から発生する弾性波を検出し、弾性波信号を出力する複数個のAEセンサと、
    複数基の熱風炉の各々に配置され、前記複数のAEセンサから出力されるそれぞれの弾性波信号を増幅する複数個のアンプと、
    前記複数個のアンプから出力される増幅後の弾性波信号のうち、複数基の熱風炉のいずれかに配置された複数個のアンプからの弾性波信号を切り替えにより選択して収集する信号切替装置と、
    前記信号切替装置から出力される増幅後の弾性波信号を解析して熱風炉の損傷位置を特定する1台の解析装置とを有することを特徴とする熱風炉のAEモニタリング装置。
  2. 前記信号切替装置の切り替えは外部からの入力信号を受けた前記解析装置によって行われることを特徴とする請求項1に記載の熱風炉のAEモニタリング装置。
  3. 前記外部からの入力信号は熱風炉の充圧信号であることを特徴とする請求項2に記載の熱風炉のAEモニタリング装置。
  4. 前記外部からの入力信号は、熱風炉への送気配管あるいは熱風炉からの排気配管に設けられる切替バルブの開閉信号であることを特徴とする請求項2に記載の熱風炉のAEモニタリング装置。
  5. 前記信号切替装置から出力される増幅後の弾性波信号を解析することで、切替バルブの開閉動作の異常をモニタリングすることを特徴とする請求項4に記載の熱風炉のAEモニタリング装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱風炉のAEモニタリング装置を用いて複数基の熱風炉をモニタリングすることを特徴とする熱風炉のモニタリング方法。
  7. 請求項5に記載の熱風炉のAEモニタリング装置を用いて、複数基の熱風炉の損傷をモニタリングするとともに、複数基の熱風炉の切替バルブの開閉動作の異常をモニタリングすることを特徴とする熱風炉のモニタリング方法。
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