JP2016054668A - 栽培養液作製方法 - Google Patents

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篤樹 柿谷
宗郷 熊谷
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宗郷 熊谷
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【課題】RO装置に替えて無隔膜式の電解装置を使用して生成した電解水を用いて、ナトリウムイオンが十分に除去され、かつ、肥料成分を無駄にすることなく含有させた栽培養液を作製する。【解決手段】植物を栽培するための栽培養液を作製する方法であって、イオン吸着性の電極と対向電極とを有する無隔膜式の電解装置を用いて被処理水から酸性水を調整する工程(P1)と、調整した酸性水に肥料成分を含むアルカリ性のpH調整剤を添加してpHを調整する工程(P2)と、pHを調整した液体に肥料を添加して肥料濃度を調整する工程(P3)と、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、植物を栽培するための栽培養液を作製する方法に関する。
従来から、水に含まれる塩類が植物の生育の妨げになることが知られている。中でも、ナトリウムイオン(Na)の濃度が高い場合に、生育に与える悪影響が大きい。そのため、RO(Reverse Osmosis:逆浸透膜)装置などの脱塩装置を用いて、水道水や地下水などから塩類およびイオンを除去したものが、農業用水として使用されている(例えば、特許文献1)。以下、本明細書においては、植物を栽培するために人工的に供給される水を農業用水と定義し、農業用水に肥料を添加した養分を含む水を栽培養液と定義する。
また、近年、農業においては、土壌を用いずに植物を栽培する水耕栽培が行われており、大規模な水耕栽培システムを備えた植物工場などもある。水耕栽培は、砂漠等の農耕不可能な乾燥地帯であっても、少量の水で植物を栽培することができることから注目されている。例えば、特許文献2には、水耕栽培において、ナトリウムイオン濃度が200ppm以下、pHが4.5〜6.8の範囲の電解水を使用することで、安価に、かつ植物の生育に悪影響を与えることなく、植物を栽培できることが記載されている。また、水耕栽培に限らず、従来から植物の栽培には、アルカリ性よりも弱酸性から中性の水が適しているとされている。
一方、植物の病気を防除することを目的に、植物に酸性水溶液や酸性電解液を散布することも従来から行われている。例えば、特許文献3には、無隔膜式の電解装置を備えた植物用の散布水を調整する方法および装置が記載されている。この方法および装置では、イオンを可逆的に吸着可能な導電性物質を含むイオン吸着電極と対向電極とを有する電解装置を用いて水を電解して、酸性あるいはアルカリ性の散布水を調整する。
電解装置としては、イオン交換膜などの隔膜を用いる隔膜式もあるが、隔膜式は、膜のメンテナンスが必要で、かつ、酸性水とアルカリ水とが共に生成される。そのため、酸性水あるいはアルカリ水の何れか希望しない方の水が廃棄水となり、多くの廃棄水が出るといった問題がある。これに対し、隔膜を用いない無隔膜式は、隔膜のメンテナンスが不要であるだけでなく、酸性水あるいはアルカリ水の一方のみを選択的に生成(調整)することが可能である。但し、イオン吸着電極のクリーニングのために、イオン吸着電極に吸着されたイオン(酸性水の場合は陽イオン、アルカリ水の場合は陰イオン)を水中に放出させる必要があり、その際の水が廃棄水となるものの、極めて少なくて済む。
また、特許文献3には、電解処理する前の水に農作物の成長に必要なイオンを含む塩(例えば、塩化カリウム)を添加しておくことで、pHの調整速度を速めつつ、散布水に肥料を兼ねさせる手法なども記載されている。
特開平01−304823号公報(1989年12月08日公開) 特開平11−289892号公報(1999年10月26日公開) 特開2011−131118号公報(2011年07月07日公開)
しかしながら、上述のような従来技術では、水の少ない地域において植物を栽培するには、以下のような問題がある。
RO装置は、通常のフィルタのように、供給した水の全量を処理水として得られるものではなく、塩類およびイオンを高濃度で含んだ廃棄水が必ず発生する。そのため、RO装置を用いる手法では、農業用水として利用できる水に対する廃棄水の割合が高くなり、水の少ない地域において利用するのは難しい。また、RO装置では、運転時に高圧をかける必要があり、高圧をかけるために安定な高圧電源インフラが必要となる。その他、逆浸透膜のメンテナンスも必要である。
また、特許文献2の水耕栽培方法で用いられる電解水は、塩化ナトリウムを含有しない水に塩酸を添加して塩酸添加水とし、これを無隔膜式の電解槽に通水して電解し、これを水で希釈してpHを4.5〜6.8の範囲に調整することで得ている。そのため、塩酸を添加する水や、希釈する水に、塩化ナトリウムが含有されている場合は、RO装置などを用いて脱塩する必要がある。つまり、特許文献2の水耕栽培方法でも、水そのものに塩化ナトリウムが含まれている場合は、これを除去する必要があり、除去にRO装置を用いた場合は、上記と同様の問題がある。
一方、特許文献3の散布水を調整する調整装置は、散布水のpHを、酸性あるいはアルカリ性に調整するものである。酸性またはアルカリ性の散布水は、植物の病害虫を防除するために利用される。しかしながら、このような調整装置を、前述したRO装置に替えて、農業用水の生成(調整)に用いることについては、何ら考慮されていない。
詳細に説明すると、特許文献3には、電解処理する前の水に、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム等の塩酸塩、硫酸カリウム硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等の硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、有機酸塩、およびそれらの混合物などの塩を添加して、散布水に肥料を兼ねさせる提案がなされている。カリウムが含まれる塩を用いることによって、病害虫の防除と共にカリウムを散布することができ、また、農作物の成長には窒素、リンおよびカリウムの三大栄養素が必要不可欠であるため、塩の添加が望ましいと記載されている。
しかしながら、特許文献3に記載された手順で酸性の散布水を調整すると、電解処理の前に添加された肥料であるカリウムなどの陽イオンによって、除去対象とするナトリウムイオンの相対濃度が低下してしまい、ナトリウムイオンを効果的に吸着除去することができない。また、電解処理の前に添加された肥料の陽イオンが、電解時にイオン吸着電極に吸着されて液中から排出されてしまうといった問題もある。
本願発明は、RO装置に替えて無隔膜式の電解装置を使用して生成した電解水を用いて、ナトリウムイオンを十分に除去し、かつ、肥料成分を無駄にすることなく含有させることができる栽培養液作製方法を提供するものである。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る栽培養液作製方法は、植物を栽培するための栽培養液を作製する方法であって、イオン吸着性の電極と対向電極とを有する無隔膜式の電解装置を用いて被処理水から酸性水を調整する工程と、調整した酸性水に肥料成分を含むアルカリ性のpH調整剤を添加してpHを調整する工程と、pHを調整した液体に肥料を添加して肥料濃度を調整する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の一態様によれば、RO装置に替えて無隔膜式の電解装置を使用して生成した電解水を用いて、ナトリウムイオンが十分に除去され、かつ、肥料成分を無駄にすることなく含有させた栽培養液を作製することができるという効果を奏する。
本発明の実施の一形態に係る栽培養液作製方法の工程図である。 上記栽培養液作製方法を適用した栽培養液作製システムの構成を示す模式図である。 上記栽培養液作製システムにおける電解装置の構成を示す模式図である。 pHダウン剤(酸性のpH調整剤)を用いた場合と上記電解装置を用いた場合の、pHと電気伝導度(EC)との関係を示すグラフである。 液中に残留するナトリウムイオンの濃度と、吸着されたナトリウムイオンと置き換わったカリウムイオンの濃度との関係を調べた結果を示すグラフである。
〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、本発明の実施形態について例を挙げて説明するが、本発明は以下で説明する例に限定されない。以下の説明において特定の数値や特定の材料を例示する場合があるが、本発明の効果が得られる限り、他の数値や他の材料を適用してもよい。
図1は、本実施形態の栽培養液作製方法の工程図である。第1工程(P1)では、イオン吸着電極と対向電極とを有する無隔膜式の電解装置を用いて被処理水を電解して酸性水を調整する。具体的には、イオン吸着電極に被処理水中の陽イオンを吸着させる。植物の生育に悪影響を及ぼすナトリウムイオンも陽イオンであるので、吸着されて、被処理水中より除去される。対向電極では、被処理水である水(HO)を電気分解する。水の電気分解で、酸素ガスと水素イオン(H)とが発生する結果、被処理水のpHが低下し、酸性水となる。
被処理水としては、水道水や地下水、雨水、池水、河川水、海水を淡水化処理した水又はこれらの少なくとも2つを含む混合水などを用いることができる。
第2工程(P2)では、第1工程(P1)で調整した酸性水に肥料成分のイオンを含むアルカリ性のpH調整剤を添加して、栽培する植物に適した目的のpHに調整する。肥料成分のイオンとは、例えば、カリウムイオン(K),カルシウムイオン(Ca2+),マグネシウムイオン(Mg2+)などである。これらのイオンを含むアルカリのpH調整剤としては、水酸化カリウム(KOH),水酸化カルシム(Ca(OH)),水酸化マグネシウム(Mg(OH))などがある。第1工程(P1)で、除去されたナトリウムイオンなどの陽イオンに替わって、肥料成分の陽イオンが置き換わりで含有される。
なお、該第2工程(P2)は、必須の工程ではなく、第1工程(P1)で調整された酸性水のpHが、栽培する植物や栽培工程に適している場合には不要である。また、pH調整を行うにあたり、肥料成分を含むpH調整剤を使用することも必須ではなく、肥料成分を含まないpH調整剤を使用してもよい。
第3工程(P2)では、第2工程(P2)でpHを調整した液体に肥料を添加して肥料濃度を調整する。肥料濃度を調整した液体が栽培養液となる。液体に添加される肥料とは、例えば、窒素(N),リン(P),カリウム(K),カルシウム(Ca),マグネシウム(Mg)などの植物の必須元素である。肥料濃度の調整は、肥料を添加した液体の電気伝導度(EC)を測定し、電気伝導度が目的の値となるように調整する。
また、図示してはいないが、第1工程(P1)の後工程あるいは前工程として、イオン吸着電極に吸着した陽イオンを水中に放出させるクリーニング処理が行われる。陽イオンを放出させる水としては、被処理水を使用できる。陽イオンが放出された水は、廃棄水となるが、その量は、調整される酸性水の量に比べて極めて少なく、水の少ない地域でも問題なく利用できる。
図2は、本実施形態の栽培養液作製方法を適用した栽培養液作製システム1の構成を示す模式図である。栽培養液作製システム1は、酸性水を貯留する酸性水タンク2と、栽培養液を貯留する栽培養液タンク4と、被処理水を酸性水に調整する電解装置8と、センサ部6,7などを備えている。センサ部6,7には、タンク2,4内の液体の電気伝導度を測定するECセンサ、該液体のpHを測定するpHセンサ、該液体のナトリウムイオン濃度を特定するナトリウムイオン濃度センサなどが含まれている。
酸性水タンク2には、水道水や地下水、雨水などが被処理水として供給される。電解装置8は、酸性水タンク2に循環式に接続されている。酸性水タンク2内の液体は、電解装置8に送られてナトリウムイオンなどの陽イオンが除去されると共に酸性化され、その後、再び酸性水タンク2に戻される。酸性水タンク2内の液体である被処理水は、酸性水タンク2と電解装置8との間を循環するうちに、徐々に酸性化され、酸性水へと調整される。本実施の形態では、酸性水タンク2内の液体(酸性水)のpHが設定値に達すると、酸性水の調整が完了したと判断されて、酸性水タンク2内の液体(酸性水)が栽培養液タンク4へと移動される。
栽培養液タンク4には、pH調整剤と肥料とが供給されるようになっている。まずは、栽培養液タンク4内の液体(酸性水)のpHが、栽培する植物に適したpHになるまでpH調整剤が供給される。栽培する植物が、スイカやイチゴ、キャベツ等の場合は、pHが比較的低い弱酸性が適している。
栽培養液タンク4内の液体のpHが設定値となると、次に、肥料が供給される。電気伝導度をモニタしながら、栽培する植物に適した肥料濃度となるように調整される。
図3は、上記栽培養液作製システム1における電解装置8の構成を示す模式図である。図3に示すように、電解装置8は、無隔膜式であり、被処理水を処理する処理槽10と、処理槽10に配置された電極群12と、電極群12に電圧を印加するための電源14とを備えている。電極群12は、イオンを可逆的に吸着可能な導電性物質を含むイオン吸着電極12aと、対向電極12bとを有する。電極群12の好ましい例として、図3の構成では、複数の平板状のイオン吸着電極12aと複数の平板状の対向電極12bとが交互に平行に配置されている。
イオン吸着電極12aは、イオンを可逆的に吸着可能な導電性物質Aを含む。該導電性物質Aは、可逆的にイオンを吸着・放出できる物質であり、例えば、活性炭や黒鉛などの炭素材料を含む。
対向電極12bは、例えば金属電極である。対向電極12bの好ましい例は、水の電気分解が生じやすい金属(たとえば白金)が表面に存在する電極である。対向電極12bとしては、例えば、チタンからなる電極や、白金からなる電極などを用いることができる。
電源14は、イオン吸着電極12aと対向電極12bとの間に電圧(直流電圧)を印加するための電源(直流電源)である。電源は、コンセントからの交流電圧を直流電圧に変換するAC−DCコンバータであってもよい。また、電源は、太陽電池や燃料電池などの発電装置や二次電池であってもよい。
電源14と電極群12との間は、導電材18と配線16とを介して接続されており、イオン吸着電極12aおよび対向電極12bに印加される極性は、スイッチ15によって択一的に切り替えられるようになっている。
また、好ましい例として、図3の構成では、処理槽10の下部に、酸性水タンク2からの流入路20が接続され、処理槽10の上部に、酸性水タンク2への流出路22が接続されている。被処理水の流れを、矢印24にて示すように下から上にすることで、電極12a,12bの表面で発生したガスを速やかに処理槽10の上部より排出できる。
このような電解装置8において、被処理水を酸性水に調整する第1工程(P1)では、イオン吸着電極12aが陰極、対向電極12bが陽極となるように電圧を印加する。これにより、イオン吸着電極12a(陰極)においては、被処理水の中の陽イオン(たとえば水素イオン以外の陽イオン)が、イオン吸着電極12aの導電性物質Aに吸着される。植物の生育に悪影響を与えるナトリウムイオンも導電性物質Aに吸着される。一方、対向電極12bでは、被処理水である水が電気分解され、酸素ガスと水素イオンとが発生する。被処理水の電解処理は、被処理水を流しながら行う流水式でも、被処理水の流れを止めて行うバッチ式のいずれであってもよい。
また、第1工程の前工程あるいは後工程として行われるクリーニング処理では、イオン吸着電極12aが陽極、対向電極12bが陰極となるように電圧を印加する。これにより、イオン吸着電極12aに吸着されていた陽イオンが水中に放出される。なお、クリーニング処理はバッチ式で行い、陽イオンが放出された液体である廃棄水は、酸性水タンク2に戻されることなく廃棄される。
イオン吸着電極12aと対向電極12bとの間に印加される電圧は、対向電極12bにおいて水の電気分解が生じる電圧であれば特に限定はない。一例では、印加する電圧は、3ボルト〜30ボルトの範囲にある。電圧印加の際には、一定の電圧を印加してもよいし、電極間に一定の電流が流れるように電圧を印加してもよい。また、調製された酸性水のpHあるいはナトリウムイオン濃度をモニタして、そのpHあるいはナトリウムイオン濃度に応じて電圧を変化させてもよい。
図4は、pHダウン剤(酸性のpH調整剤)を用いた場合と、電解装置8にて酸性水とした場合の、pHと電気伝導度(EC)との関係を示すグラフである。図4に示すように、pH8,電気伝導度0.2mS/cmの被処理水を、pHダンウ剤を用いて酸性水とすると、pHを低下させるほど電気伝導度は上がった。これは、pHダンウ剤の添加量が増えるに従い、液中のイオン量が増えるためである。一方、電解装置8にて酸性水とした場合は、液中の陽イオンが減少することで、電気伝導度は低下していき、pH5.5では25%ほど低下した。pH5.5における電気伝導度を、pHダウン剤と利用した場合と比較すると45%減少できたこととなる。肥料を添加する前の水の電気伝導度がこのように低いことはつまり、純水に近い状態を示している。したがって、この後の工程での肥料の添加において、栽培する植物の生育に適した肥料濃度への調整が容易になる。
pH5.5の酸性水を得たときの廃棄水(クリーニング処理にて発生した水)の量は、生成された酸性水に対して10%程度であり、高圧電流も必要なかった。また、電解装置8にて調整された酸性水の成分変動(被処理水からの成分変動)を調べたところ、ナトリウムイオンが18.8ppmから9.5ppmに49%減したのに対し、塩素イオン(Cl)は5%減で、ほとんど変化しないことが確認できた。
図5は、処理した液中に残留するナトリウムイオンの濃度と、吸着されたナトリウムイオンと置き換わったカリウムイオンの濃度との関係を調べた結果を示すグラフである。図5に示すように、吸着されたナトリウムイオンが少なく、液中のナトリウムイオン濃度が高いほど(サンプル1)、置き換わるカリウムイオンは少なく濃度が低い。ナトリウムイオンの吸着量が増えて液中のナトリウムイオン濃度が低下すると、置き換わるカリウムイオンが増え、液中のカリウムイオン濃度が上がる(サンプル4)。
このことから、被処理水のナトリウムイオン濃度が高い場合は、より強く酸性化してナトリウムイオン濃度を下げてカリウムイオンなどの必須元素の陽イオンに置き換えることが有効であることがわかる。
また、被処理水の電気伝導度やpHをモニタしながら行うので、季節によって被処理水の電気伝導度やpHが変動しても対応しやすいといった利点もある。
なお、栽培養液は水耕栽培に限らず、土を培地とする養液栽培でも応用可能であり、植物工場やハウス栽培の他、土壌に植物を植えて栽培する場合にも使用できる。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施形態の栽培養液作製方法は、第1工程(P1)の酸性水を調整する工程において、酸性水の調整が完了したと判断する基準が実施の形態1とは異なる。実施の形態1では、酸性水タンク2内の液体(酸性水)のpHに基づいて、酸性水の調整の完了を判断していた。これに対し、本実施の形態では、酸性水タンク2内の液体(酸性水)のナトリウムイオン濃度に基づいて、酸性水の調整の完了を判断する。ナトリウムイオンは、植物の生育に悪影響を及ぼすので、ナトリウムイオンを除去する観点からは、ナトリウムイオン濃度に基づいて酸性水の調整完了を判断することは好ましい。
〔実施の形態3〕
本発明の他の実施形態の栽培養液作製方法は、第1工程(P1)の酸性水を調整する工程において、酸性水の調整が完了したと判断する基準が、実施の形態1,2とは異なる。実施の形態1では、酸性水タンク2内の液体(酸性水)のpHに基づき、また、実施の形態2では、ナトリウムイオン濃度に基づいて、酸性水の調整完了を判断していた。これに対し、本実施の形態では、酸性水タンク2内の液体(酸性水)の電気伝導度が、被処理水の電気伝導度に基づいて、酸性水の調整の完了を判断する。pHセンサや、ナトリウムイオン濃度センサがなくても、肥料濃度の調整に用いるECセンサを流用して、処理前の被処理水の電気伝導度と比較することで、酸性水の調整完了を判断できる。
〔実施の形態4〕
本発明の他の実施形態の栽培養液作製方法は、電解装置8にて電解する前の酸性水タンク2内の被処理水の電気伝導度を測定し、被処理水として水道水などで電気伝導度が高い水を用いる場合には、雨水などの電気伝導度が水道水よりも低い水を混合して用いる点が異なる。
被処理水の電気伝導度が高い場合、第3工程(P3)工程後の栽培養液の電気伝導度が高くなる。栽培養液の電気伝導度が高い場合、電気伝導度が栽培する植物や栽培工程に適した範囲となるように、電気伝導度の低い水を混合して希釈することとなる。しかしながら、その場合、第2工程(P2)で調整したpHが、希釈に用いた水によって変化してしまい、所望のpHの栽培養液を得るためには、再度のpH調整が必要になる。
これに対し、本実施の形態のように、第1工程(P1)で用いる被処理液の電気伝導度が高い場合に、予め下げておくことで、最終的なpH調整が容易になる。
なお、被処理水として好ましい電気伝導度の範囲は、栽培作物の種類や栽培工程によるが、0.05〜5.0mS/cmである。電気伝導度が当該範囲を超えて高いと、栽培の適正範囲よりも電気伝導度が高くなる。一方、電気伝導度が当該範囲を超えて低いと、農業用水の調整を必要としない場合が多く、電解に時間がかかり酸性水の調整に時間がかかるなどの不具合がある。
〔まとめ〕
本発明の一態様に係る栽培養液作製方法は、植物を栽培するための栽培養液を作製する方法であって、イオン吸着性の電極(12a)と対向電極(12b)とを有する無隔膜式の電解装置(8)を用いて被処理水から酸性水を調整する工程と、pHを調整した液体に肥料を添加して肥料濃度を調整する工程と、を含むことを特徴とする。
上記の方法によれば、RO装置に替えて無隔膜式の電解装置を使用して生成した電解水を用いて、水や肥料成分をほとんど無駄にすることなく配合でき、かつ、弱酸性から中性の栽培養液を作製することができる。
つまり、電気分解して酸性水とする前の被処理水に、カリウムなどの陽イオンとなる肥料を添加すると、除去対象とするナトリウムイオンの相対濃度が低下してしまい、ナトリウムイオンを効率的に吸着除去することができない。また、電解処理の前に添加された肥料の陽イオンが、電解時にイオン吸着電極に吸着されて液中から排出されてしまうといった問題もある。しかしながら、このように電解処理後に添加することで、ナトリウムイオンを効率良く除去でき、かつ、カリウムなどの肥料成分を無駄に排出することなく含有させることができる。
さらに、本発明の一態様に係る栽培養液作製方法は、酸性水を調整する前記工程と、肥料濃度を調整する前記工程との間に、肥料成分を含むアルカリ性のpH調整剤を添加して酸性水のpHを調整する工程を含む構成としてもよい。
ナトリウムイオンを除去するために行った電解によって酸性水となり、pHが低くなり過ぎた場合は、アルカリ性のpH調整剤で調整することで、所望のpHに調整できる。しかもその際、肥料成分を含むpH調整剤を用いることで、pH調整後の液体は、酸性水とする前の被処理水と同等の電気伝導度とpHを保持しながら、有害なナトリウムイオンを必須元素のカリウム等の陽イオンに置き換えた水とするようなこともできる。
さらに、本発明の一態様に係る栽培養液作製方法は、前記酸性水を調整する前記工程では、被処理水中のナトリウムイオン濃度が予め設定した濃度以下となるまで酸性化する構成としてもよい。
酸性水を生成する目的は、植物の生育に悪影響を及ぼすナトリウムイオンを除去することであるので、ナトリウムイオン濃度に基づいて酸性水の調整完了を判断することで、確実に希望するナトリウムイオン濃度まで減塩することができる。
さらに、本発明の一態様に係る栽培養液作製方法は、前記被処理水として、水道水、地下水、雨水、池水、河川水、海水を淡水化した水又はこれらの少なくとも2つを含む混合水を用いるものである。
さらに、本発明の一態様に係る栽培養液作製方法は、被処理水として、電気伝導度の高い水を用いる場合は、電気伝導度の低い水を混合して用いるものである。
被処理水の電気伝導度が高い場合、肥料濃度を調整して得た栽培養液の電気伝導度が高くなるため、電気伝導度の低い水を混合して希釈することとなる。しかしながら、その場合、調整済みのpHが、希釈に用いた水のpHによって変化し、再度pH調整が必要になることがある。
上記構成では、被処理水の段階で電気伝導度を下げておくことで、最終的なpH調整が容易になる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、肥料を水に溶かした栽培養液を用いる養液栽培に利用することができる。
1 栽培養液作製システム
2 酸性水タンク
4 栽培養液タンク
6,7 センサ部
8 電解装置
10 処理槽
12 電極群
12a イオン吸着電極
12b 対向電極
14 電源
15 スイッチ
16 配線
18 導電材
20 流入路
22 流出路

Claims (5)

  1. 植物を栽培するための栽培養液を作製する方法であって、
    イオン吸着性の電極と対向電極とを有する無隔膜式の電解装置を用いて被処理水から酸性水を調整する工程と、
    pHを調整した液体に肥料を添加して肥料濃度を調整する工程と、
    を含むことを特徴とする栽培養液作製方法。
  2. 酸性水を調整する前記工程と、肥料濃度を調整する前記工程との間に、肥料成分を含むアルカリ性のpH調整剤を添加して酸性水のpHを調整する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の栽培養液作製方法。
  3. 酸性水を調整する前記工程では、被処理水中のナトリウムイオン濃度が予め設定した濃度以下となるまで酸性化することを特徴とする請求項1又は2に記載の栽培養液作製方法。
  4. 前記被処理水として、水道水、地下水、雨水、河川水、池水、海水を淡水化した水又はこれらの少なくとも2つを含む混合水を用いることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の栽培養液作製方法。
  5. 前記被処理水として、電気伝導度が高い水を用いる場合は、これよりも電気伝導度の低い水を混ぜて用いることを特徴とする請求項2に記載の栽培用液作製方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2021182883A (ja) * 2020-05-22 2021-12-02 国立大学法人島根大学 電気分解装置及びそれを用いた植物工場
JP2022097560A (ja) * 2017-10-05 2022-06-30 国立研究開発法人理化学研究所 植物の灌水量の低減剤、及び植物の灌水量を低減する方法

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