JP2016053144A - 吸水性樹脂粒子、吸水性樹脂粒子の製造方法及び吸収体 - Google Patents

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邦宏 須藤
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Abstract

【課題】セルロース等の生物に由来する吸水性樹脂を材料とし、ママコの形成が抑制され、且つ電解質水溶液に対して良好な吸水性を有する吸水性樹脂粒子、吸水性樹脂粒子の製造方法及び吸収体の提供。【解決手段】多糖、多糖の誘導体、多糖のアルカリ金属塩及び多糖の誘導体のアルカリ金属塩からなる群より選択される少なくとも1種であり、アニオン性官能基を有する樹脂を含むコア粒子と、前記コア粒子の表面に配置されるカチオン性官能基を有する高分子と、を有し、前記アニオン性官能基の少なくとも一部と前記カチオン性官能基の少なくとも一部とがイオン結合を形成している、吸水性樹脂粒子。【選択図】なし

Description

本発明は、吸水性樹脂粒子、吸水性樹脂粒子の製造方法及び吸収体に関する。
吸水性樹脂は、自重の数十倍から数百倍の水を吸水することから、紙オムツ、生理用品等の衛生用品、土木、食品、農業等における産業用資材などとして幅広く用いられている。吸水性樹脂としては、製造コストの面で有利なポリアクリル酸等の合成樹脂が一般的に用いられている。一方で、電解質を含む水溶液に対する吸水性が合成樹脂よりも高い、生分解性に優れる等の理由から、セルロース等の生物に由来する吸水性樹脂の開発が注目されている(例えば、特許文献1参照)。
セルロース等の生物に由来する吸水性樹脂は、上述のように合成樹脂に比べ高い吸水性を有するが、粒子状の吸水性樹脂を電解質水溶液等に接触させると粒子表面の粘着性が上昇してママコと呼ばれる塊を形成し、吸水性が著しく低下し、実用上必要な吸水性としては不十分である場合があった。吸収性樹脂粒子が本来有する吸水性を充分に発揮させるためにママコの形成を抑制するための方法として、吸水性樹脂粒子の有する官能基と反応しうる化合物、多価金属イオン等を用いて粒子の表面を架橋する方法が検討されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、これらの方法でも十分な吸水性が得られなかった。
国際公開2012/147255号公報 特開2005−263858号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、セルロース等の生物に由来する吸水性樹脂を材料とし、ママコの形成が抑制され、且つ電解質水溶液に対して良好な吸水性を有する吸水性樹脂粒子、吸水性樹脂粒子の製造方法及び吸収体を提供するものである。
上記課題を解決するため、本発明者らは、鋭意検討したところ、セルロース等の生物に由来する吸水性樹脂粒子の表面にカチオン性官能基を有する高分子を配置して、コア粒子の表面のアニオン性官能基とカチオン性官能基とをイオン結合させることで、吸水性樹脂粒子表面のゲル強度を高めることが、ママコの形成の抑制と良好な吸水特性に有効であることを見出し、本発明に至った。即ち、本発明は、以下のとおりである。
<1>多糖、多糖の誘導体、多糖のアルカリ金属塩及び多糖の誘導体のアルカリ金属塩からなる群より選択される少なくとも1種であり、アニオン性官能基を有する樹脂を含むコア粒子と、前記コア粒子の表面に配置されるカチオン性官能基を有する高分子と、を有し、前記アニオン性官能基の少なくとも一部と前記カチオン性官能基の少なくとも一部とがイオン結合を形成している、吸水性樹脂粒子。
<2>前記アニオン性官能基はカルボキシ基を含む、<1>に記載の吸水性樹脂粒子。
<3>前記アニオン性官能基を有する樹脂はセルロース誘導体を含む、<1>又は<2>に記載の吸水性樹脂粒子。
<4>前記アニオン性官能基を有する樹脂はカルボキシアルキルセルロースを含む、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の吸水性樹脂粒子。
<5>前記カチオン性官能基を有する高分子はアミノ基及びアンモニウム基からなる群より選択される少なくとも1種を有する高分子を含む、<1>〜<4>のいずれか1項に記載の吸水性樹脂粒子。
<6>前記カチオン性官能基を有する高分子はポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、カチオン化デンプン、キトサン、カチオン化セルロース及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を含む、<1>〜<5>のいずれか1項に記載の吸水性樹脂粒子。
<7><1>〜<6>のいずれか1項に記載の吸水性樹脂粒子の製造方法であって、アニオン性官能基を有する樹脂を含むコア粒子の表面と、カチオン性官能基を有する樹脂とを、前記アニオン性官能基の少なくとも一部と前記カチオン性官能基の少なくとも一部とのイオン結合が形成される条件で接触させる工程を含む吸水性樹脂粒子の製造方法。
<8>前記接触させる工程が60℃以下で行われる、<7>に記載の吸水性樹脂粒子の製造方法。
<9>前記接触させる工程が、噴霧法、滴下法又は溶液法により行われる、<7>又は<8>に記載の吸水性樹脂粒子の製造方法。
<10><1>〜<6>のいずれか1項に記載の吸水性樹脂粒子を含む、吸収体。
本発明によれば、セルロース等の生物に由来する吸水性樹脂を材料とし、ママコの形成が抑制され、且つ電解質水溶液に対して良好な吸水性を有する吸水性樹脂粒子、吸水性樹脂粒子の製造方法及び吸収体を提供することができる。
本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。「吸水性樹脂」とは、自重の数倍から数百倍の水を吸収可能な樹脂を意味する。本発明では、自重の30倍以上の純水を吸収可能な樹脂と定義する。
<吸水性樹脂粒子>
本発明の吸水性樹脂粒子は、多糖、多糖の誘導体、多糖のアルカリ金属塩及び多糖の誘導体のアルカリ金属塩からなる群より選択される少なくとも1種であり、アニオン性官能基を有する樹脂を含むコア粒子と、前記コア粒子の表面に配置されるカチオン性官能基を有する高分子と、を有し、前記アニオン性官能基の少なくとも一部と前記カチオン性官能基の少なくとも一部とがイオン結合を形成している。
本発明の吸水性樹脂粒子は、上記構成を有することにより、電解質水溶液に対して良好な吸水性を有する。これは、コア粒子の表面に存在するアニオン性官能基と、カチオン性官能基を有する高分子のカチオン性官能基と、がイオン結合した状態が形成され、粒子表面のゲル強度が高くなることで、吸水性樹脂粒子が液体と接触した場合にも粒子表面の粘着性の上昇が抑制され、ママコの形成が抑制されるためと考えられる。
また、本発明の吸水性樹脂粒子は、コア粒子の表面に高分子が配置されている。高分子は分子量が大きくコア粒子の内部まで入れないので、上述のように粒子表面のゲル強度の向上に寄与する一方、コア粒子内部の吸水性に寄与する部位には高分子が入り込まずに吸水性を維持することができる。
さらに、本発明の吸水性樹脂粒子は、コア粒子の表面にカチオン性官能基を有する高分子を配置する際に高温で加熱することなく製造することが可能である。加熱を伴う方法では吸水性樹脂粒子の耐熱性が低いとその吸水性が低下したり、黄変したりする場合があるが、本発明によれば吸水性樹脂粒子の耐熱性が低くてもその吸水性が低下したり、黄変したりするのを有効に抑制することができる。
なお、アニオン性官能基を有する樹脂からなるコア粒子を用いた場合とカチオン性官能基を有する樹脂からなるコア粒子を用いた場合を比べると、理由は明らかになっていないが、後者の方が吸水性能が低い。従って、本発明の吸水性樹脂粒子は、コア粒子がカチオン性官能基を有する樹脂からなる吸水性樹脂粒子よりも吸水性能に優れている。また、本発明の吸水性樹脂粒子をパルプ等に担持させた吸収体として用いる場合、一般的にパルプ表面がマイナスに帯電しており、パルプから前記吸水性樹脂粒子が脱落しにくくするという観点から前記吸水性樹脂粒子の表面をプラスに帯電させる。このため、コア粒子がカチオン性官能基を有するよりも、コア粒子の表面に配置される高分子がカチオン性官能基を有することが好ましい。
(コア粒子)
本発明の吸水性樹脂粒子は、多糖、多糖の誘導体、多糖のアルカリ金属塩及び多糖の誘導体のアルカリ金属塩からなる群より選択される少なくとも1種であり、アニオン性官能基を有する樹脂(以下、アニオン性官能基を有する樹脂ともいう)を含むコア粒子を有する。アニオン性官能基は、本発明の効果が達成されるのであれば特に制限はない。具体的にはカルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、シアナト基等が挙げられる。吸水性樹脂粒子の長期安定性の観点からは、カルボキシ基が好ましい。樹脂が有するアニオン性官能基は1種のみでも、2種以上であってもよい。
本発明の吸水性樹脂粒子において、コア粒子に含まれるアニオン性官能基を有する樹脂は生物由来の樹脂である。生物由来の樹脂は一般に耐熱性が低く、加熱により吸水性の低下、変色等が生じやすい。本発明の吸水性樹脂粒子は、生物由来の樹脂をコア粒子として用いてもカチオン性官能基を有する樹脂をコア粒子の表面に配置するのに高温で加熱する必要がないので、電解質水溶液に対して良好な吸水性を有する。本発明の吸水性樹脂粒子において、コア粒子に含まれるアニオン性官能基を有する樹脂は1種でも、2種以上であってもよい。
アニオン性官能基を有する生物由来の樹脂としては、多糖、多糖の誘導体、多糖又は多糖の誘導体のナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩などが挙げられる。具体的には、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等のカルボキシアルキルセルロース、硫酸セルロース、コンドロイチン硫酸ナトリウム、酸化デンプン、リン酸化デンプン、カラギーナン、キサンタンガム、アルギン酸、ヒアルロン酸及びこれらの樹脂のアルカリ金属塩などが挙げられる。吸水性樹脂粒子の長期安定性の観点からは、アニオン性官能基としてカルボキシ基を有する樹脂が好ましく、カルボキシアルキルセルロース及びそのアルカリ金属塩がより好ましい。
アニオン性官能基を有する樹脂がカルボキシアルキルセルロースである場合、重量平均分子量は1000以上であることが好ましく、1万以上であることがより好ましく、10万以上であることがさらに好ましい。また、重量平均分子量は1000万以下であることが好ましく、500万以下であることがより好ましく、400万以下であることがさらに好ましい。重量平均分子量が1000以上であれば吸水性能が十分に確保でき、1000万以下であれば合成時に混練しやすい。
アニオン性官能基を有する樹脂がカルボキシアルキルセルロースである場合、カルボキシ基の置換度は0.1以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましく、0.5以上であることがさらに好ましい。また、カルボキシ基の置換度は2.5以下であることが好ましく、1.4以下であることがより好ましく、1.1以下であることがさらに好ましい。カルボキシ基の置換度が0.1以上であれば、吸水性樹脂粒子としての吸水性が充分に達成できる傾向にあり、カチオン性高分子をコア粒子の表面に配置することによる吸水性の向上効果が充分に達成できる傾向にある。カルボキシ基の置換度が2.5以下であれば、後述する内部架橋が充分となってゲル強度の良好な吸水性樹脂粒子が得られる傾向にある。なお、置換度は、グルコース環1つあたりの水酸基がカルボキシ基に置換された数の平均値を示す。
本発明の吸水性樹脂粒子において、コア粒子に含まれるアニオン性官能基を有する樹脂は架橋した構造を有することが好ましい。アニオン性官能基を有する樹脂が架橋していることにより、吸水性樹脂粒子として必要なゲル強度が付与される。架橋の方法は特に制限されない。例えば、不飽和結合を2個以上有する化合物を架橋剤として用いる方法が挙げられる。なお、ここでいう架橋(以下、内部架橋ともいう)には、内部架橋した樹脂粒子の表面をさらに架橋させる「表面架橋」は含まれないものとする。
内部架橋に使用する架橋剤は特に限定されず、通常用いられるものから選択することができる。具体的には2個以上の官能基を有する多価エポキシ化合物、多価アルデヒド化合物、多価カルボン酸化合物、多価イソシアネート化合物、多価ビニル化合物、多価アクリレート化合物、多価メタクリレート化合物、多価ハロゲン化合物等が挙げられる。
多価エポキシ化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。多価アルデヒド化合物としては、グルタルアルデヒド、グリオキサザール、テレフタルアルデヒド等が挙げられる。多価カルボン酸化合物としては、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、ポリアクリル酸、マレイン酸、コハク酸等が挙げられる。多価イソシアネート化合物としては、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。多価ビニル化合物としては、ジビニルスルホン等が挙げられる。多価アクリレート化合物としては、ポリエチレングリコールジアクリレート等が挙げられる。多価メタクリレート化合物としては、ポリエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。多価ハロゲン化合物としては、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、ジブロモエタン等が挙げられる。異なる官能基を2個以上有するエピクロルヒドリン、グリシジルメタクリレート等の化合物も架橋剤として使用できる。反応後に親水性官能基である水酸基が形成されるため、生成化合物の親水性の観点からは多価エポキシ化合物が好ましく、エチレングリコールジグリシジルエーテルがより好ましい。架橋剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
内部架橋の方法としては、樹脂を合成する際に架橋構造を導入する場合には、多価ビニル化合物、多価アクリレート化合物、多価メタクリレート化合物等を架橋剤として使用して、ラジカル重合によりモノマーを重合させる際に併せて架橋することができる。多糖類又は合成後の樹脂に架橋構造を導入する場合には、樹脂の有するアニオン性官能基、水酸基等の官能基と反応しうる官能基を有する架橋剤を使用して、種々の架橋方法を適用することができる。例えば、塩基性条件下で樹脂中の水酸基をアルコキシド化することにより、多価エポキシ化合物、多価アクリレート化合物、多価ビニル化合物、多価メタクリレート化合物、ハロエポキシ化合物、多価ハロゲン化合物等の架橋剤と反応させることができる。
コア粒子の形状は特に制限されず、アニオン性官能基を有する樹脂の種類、用途等に応じて選択できる。例えば、球状、鱗片状、繊維状、破砕形状等が挙げられる。吸水性樹脂粒子を固定するためにパルプを加える場合、パルプとの混練のしやすさの観点からは、球状又は破砕形状が好ましい。
コア粒子の大きさは特に制限されず、アニオン性官能基を有する樹脂の種類、用途等に応じて選択できる。取扱性の観点からは、平均粒子径が50μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましく、150μm以上であることがさらに好ましい。また、平均粒子径が5mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましく、800μm以下であることがさらに好ましい。平均粒子径が50μm以上であると使用の際に飛散するのを防止できる傾向にあり、5mm以下であると十分な吸水速度を有する傾向にある。コア粒子の平均粒子径は、乾式粒度分布測定器によって測定することができる。
コア粒子はアニオン性官能基を有する樹脂のみから構成されても、必要に応じてその他の成分を含んでもよい。このような成分としては、種々の塩、酵素、ノニオン性高分子、界面活性剤等が挙げられる。
コア粒子に含まれるアニオン性官能基を有する樹脂は、後述する接触工程で用いる溶媒に溶けないことが好ましい。溶媒としては水及び有機溶媒を挙げることができ、有機溶媒としてはメタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン、酢酸、ジメチルスルホキシドなどを挙げることができる。溶媒は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。「溶媒に溶けない」とは、アニオン性官能基を有する樹脂の未溶解量(樹脂と溶媒とを混合した場合に溶媒に溶解しない樹脂の質量)が、樹脂の全質量の50質量%以上であることを意味する。
コア粒子の製造方法は特に制限されず、通常用いられる方法から選択することができる。例えば、国際公開第2012/147255号等に記載されている方法によって製造することができる。
(カチオン性官能基を有する高分子)
本発明の吸水性樹脂粒子は、アニオン性官能基を有する樹脂を含むコア粒子の表面に配置されるカチオン性官能基を有する高分子(以下、カチオン性高分子ともいう)を有する。
ここでいう「配置」とは、コア粒子の表面にカチオン性高分子が存在しており、且つコア粒子のアニオン性官能基と高分子のカチオン性官能基の少なくとも一部が何らかのかたちでイオン結合をしている状態を意味する。これらの一部がイオン結合していると、吸水性樹脂粒子のゲル強度向上の効果がある。また、吸水性樹脂粒子の表面にイオン結合していないカチオン性官能基が一部残っていると、パルプに固定する場合に固定するパルプの表面がマイナスに帯電しているので、吸水性樹脂粒子がパルプの表面に固定されやすくなる。また、一方で吸水性樹脂粒子の表面がプラスに帯電するので、吸水性樹脂粒子同士の粘着抑止の効果も有する。
カチオン性官能基は、本発明の効果が達成されるのであれば特に制限はない。具体的にはアミノ基、アンモニウム基、ピリジニウム基、イミダゾリウム基、ホスホニウム基等が挙げられる。高分子量のポリマーの入手し易さの観点からは、アミノ基及びアンモニウム基からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。カチオン性官能基を有する高分子が有するカチオン性官能基は1種でも、2種以上であってもよい。
本発明の吸水性樹脂粒子において、コア粒子の表面に配置されるカチオン性高分子の種類は、後述する接触工程で用いる溶媒に溶ける性質を有するものであることが好ましい。すなわち、カチオン性高分子が溶媒に溶けるようにカチオン性高分子及び溶媒の種類を選択することが好ましい。カチオン性高分子が溶媒に溶けることによって、コア粒子の表面により均一に付着させることが可能となる。粒子表面のゲル強度を高める効率の観点からは、1分子中にカチオン性官能基を2個以上有する樹脂が好ましい。このような樹脂としては、ポリアリルアミン、アリルアミン−ジアリルアミン共重合体、ポリジメチルアリルアミン、ポリジアリルアミンアミド、ジアリルジメチルアンモニウム、メチルジアリルアミン重合体、ビニルピロリドン−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸重合体、アミノエチル化アクリル樹脂、ポリエチレンイミン、カチオン化タピオカデンプン等のカチオン化デンプン、キチン、キトサン、カチオン化グアーガム、カチオン化セルロース、及びこれらの樹脂の塩等が挙げられる。中でもポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、カチオン化デンプン、キチン、キトサン、カチオン化グアーガム、カチオン化セルロース及びこれらの樹脂の塩が好ましく、ポリエチレンイミン、キトサン、カチオン化デンプン、カチオン化グアーガム、カチオン化セルロース及びこれらの樹脂の塩がより好ましく、ポリエチレンイミンがさらに好ましい。カチオン性高分子は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
溶媒としては水及び有機溶媒を挙げることができ、有機溶媒としてはメタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン、酢酸、ジメチルスルホキシドなどを挙げることができる。溶媒は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。「溶媒に溶ける」とは、カチオン性高分子の溶解量が溶媒の0.001質量%以上であることを意味する。カチオン性高分子の溶解量が溶媒の0.001質量%以上であると、接触工程においてコア粒子の表面に十分な量のカチオン性高分子を供給することができる。
カチオン性高分子の分子量は、本発明の効果が達成されれば特に制限はない。例えば、重量平均分子量が500以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましく、1500以上であることがさらに好ましい。また、カチオン性高分子の重量平均分子量が1000000以下であることが好ましく、500000以下であることがより好ましく、100000以下であることがさらに好ましい。重量平均分子量が500以上であれば、コア粒子の表面にカチオン性高分子を配置させることにより、液体に接触した際の粘着力の上昇を有効に抑制でき、ママコの形成を有効に抑制することができる。重量平均分子量が1000000以下であれば、処理溶液に充分に溶解することができるため、コア粒子の表面に効率よくカチオン性高分子を配置することができる。
カチオン性高分子がポリエチレンイミンである場合、ポリエチレンイミンの数平均分子量は200以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましい。また、ポリエチレンイミンの数平均分子量は1400000以下であることが好ましく、140000以下であることがより好ましい。ポリエチレンイミンの数平均分子量が200以上であれば、接触工程においてカチオン性高分子を表面に配置したコア粒子のゲル強度を確保することができ、1400000以下であれば、より均一にカチオン性高分子をコア粒子の表面に配置することができる。
カチオン性高分子の吸水性樹脂粒子に占める割合は特に制限されず、カチオン性高分子の種類、用途等に応じて選択できる。例えば、カチオン性高分子の吸水性樹脂粒子に占める割合が0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることがさらに好ましい。また、カチオン性高分子の吸水性樹脂粒子に占める割合が20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。カチオン性高分子の吸水性樹脂粒子に占める割合が20質量%以下であると、吸水性が維持できる傾向にあり、0.01質量%以上であると、粘着性を抑制できる傾向にある。
吸水性樹脂粒子において、コア粒子の表面にカチオン性高分子が配置されているか否かは、例えば以下のようにして確認することができる。
吸水性樹脂粒子を塩酸等の強酸性の水溶液中に投入して撹拌すると、コア粒子の表面におけるアニオン性官能基とカチオン性高分子のカチオン性官能基との間のイオン結合が解離し、カチオン性高分子がコア粒子から分離する。水溶液中の分離したカチオン性高分子の存在を調べることで、コア粒子の表面にカチオン性高分子が配置されているか否かを確認することができる。水溶液中の分離したカチオン性高分子の存在は、核磁気共鳴分光法、赤外分光法、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー等の公知の方法で確認することができる。もしくは、粒子の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で測定し、SEM−EDS元素分析で、表面に存在する窒素等のカチオン性高分子由来の元素を検出することでもコア粒子の表面に配置されていることを確認することができる。
本発明における吸水性樹脂粒子の各特性(吸水倍率、保水倍率、吸水速度及びゲル強度)は、以下のようにして評価することができる。
(吸水性樹脂粒子の吸水倍率)
吸水性樹脂粒子の吸水性の評価指標として、吸水倍率がある。
吸水性樹脂粒子の吸水倍率は、40g/g以上(吸水性樹脂粒子1gあたりの吸水量が40g以上)であることが好ましい。吸水倍率が40g/g以上であれば、吸水性樹脂粒子の使用量を抑えつつ充分な吸水量が達成できる傾向にある。吸水倍率は50g/g以上であることがより好ましく、60g/g以上であることがさらに好ましい。吸水倍率の上限は特に制限されないが、ゲル強度の低下及び吸水時の取扱性の悪化を抑制する観点からは3000g/g以下であることが好ましい。
本発明において、吸水性樹脂粒子の吸水倍率の測定はJIS K 7223−1996に準じて行う。すなわち、ナイロン製255メッシュで大きさが20cm×10cmの袋の中に吸水性樹脂粒子約0.5gを入れ、人工尿2Lの入った容器に1時間浸漬する。その後、容器から袋を取り出し、15分間大気中に吊り下げた後の質量(B)を測定する。吸水性樹脂粒子が入っていない上記と同じ袋を人工尿の入った容器に1時間浸漬し、15分間大気中に吊り下げた後の質量(C)も測定する。吸水性樹脂粒子の質量(A)、人工尿吸収後の吸水性樹脂粒子の入った袋の質量(B)及び袋のみの質量(C)から下記式(1)により吸水倍率を求める。人工尿の組成は、10Lのイオン交換水に対して、尿素200g、塩化ナトリウム80g、硫酸マグネシウム・7水和物8g、塩化カルシウム・2水和物6gを溶解させたものである。
人工尿の吸水倍率[g/g]=(B−A−C)/A ・・・(1)
(吸水性樹脂粒子の保水倍率)
吸水性樹脂粒子の吸水性を評価する他の評価指標として、保水倍率がある。なお、保水倍率とは、加圧しても水を再放出しない特性を数値化したものである。
吸水性樹脂粒子の保水倍率は30g/g以上(吸水性樹脂粒子1gあたりの保水量が30g以上)であることが好ましく、40g/g以上であることがより好ましく、50g/g以上であることがさらに好ましい。吸水性樹脂粒子の保水倍率が30g/g以上であれば、吸水性樹脂粒子の使用量を抑えつつ充分な保水量が達成できる傾向にある。保水倍率の上限は特に制限されないが、ゲル強度の低下及び保水時の取扱性の悪化を抑制する観点からは3000g/g以下であることが好ましい。
本発明において、吸水性樹脂粒子の保水倍率の測定はJIS K 7223−1996に準じて行う。すなわち、吸水倍率を測定した後の吸水性樹脂粒子が入った袋を、広口瓶(株式会社テックジャム製)の中に、袋の底が広口瓶の下から1/3の位置に来るように、蓋で袋を押さえるように蓋を閉める。遠心分離機(株式会社トミー精工製、商品名:SPREMA23(「SUPREMA」は、登録商標))にて、1000rpm(回転/分、min−1)で90秒間遠心する。広口瓶の底に溜まった水に触れないように吸水性樹脂粒子の入った袋を取り出し、質量(D)を測定する。吸水性樹脂粒子の入っていない袋も同様に遠心し、質量(C’)を測定する。遠心後の吸水性樹脂粒子の入った袋の質量(D)、遠心後の袋のみの質量(C’)及び吸水性樹脂粒子の質量(A)から下記式(2)により保水倍率を求める。人工尿の組成は、吸水倍率の測定に用いたものと同様である。
人工尿の保水倍率[g/g]=(D−A−C’)/A ・・・(2)
(吸水性樹脂粒子の吸水速度)
吸水性樹脂粒子の吸水速度(吸水性樹脂粒子の1秒あたりの吸水倍率)は、0.4(g/g)/s(秒)以上であることが好ましい。吸水速度が0.4以上であれば、吸水する対象の液体を遅滞なく吸水することができる傾向にある。また、吸水性樹脂粒子の吸水速度は3.0(g/g)/s以下であることが好ましい。吸水速度が3.0以下であれば、吸水性樹脂粒子の一部だけでなく、全体に吸水させることができる傾向にある。
本発明において、吸水性樹脂粒子の吸水速度の測定はJIS K 7224−1996に準じて行う。底面の平らな50mLビーカーに人工尿25gを入れる。中央部の直径が8mm、両端の直径が7mm、長さが30mmのスターラーチップを用いて、毎分600±60回で撹拌しながら吸水性樹脂粒子約2.0gを秤量してビーカーに入れる。試験の終点は、液面が平らになる時点とし、撹拌の開始から終点までの時間(I、単位:秒)を測定する。時間(I)、人工尿の質量(G)及び吸水性樹脂の質量(A)から下記式(3)により吸水速度を求める。人工尿の組成は、吸水倍率の測定に用いたものと同様である。
人工尿の吸水速度[(g/g)/s]=(G/H)/I ・・・(3)
(吸水性樹脂粒子のゲル強度)
吸水性樹脂粒子のゲル強度は2.0N以上であることが好ましく、2.5N以上であることがより好ましい。ゲル強度が2.0N以上であれば、加重時にゲルが変形することによる透水性の低下を有効に抑制できる。ゲル強度の上限は特に制限されないが、ゲル強度が高すぎて吸水性が著しく低下しないように設定することが好ましい。
本発明において、吸水性樹脂粒子のゲル強度の測定は以下のようにして行う。吸水性樹脂粒子1.0gに人工尿20gを吸水させてゲル強度測定用のサンプルとする。サンプルを、内径2.7cm、内側の高さ3.4cmのプラスチック容器に詰め、ゲル強度測定装置(株式会社山電製 卓上型物性測定器、商品名:TPU−2CL)を用いて、直径2.5cmのプランジャーにより、1mm/秒の下降速度で1cm押し込んだ時の強度を測定する。この際のピーク強度をゲル強度とする。人工尿の組成は、吸水倍率の測定に用いたものと同様である。
(変色)
吸水性樹脂粒子の変色の度合いは、一般的な色差計等を用いて測定することができるイエローインデックスによって評価する。具体的な測定法については、ASTM D1925に準拠して算出することができる。イエローインデックスは、45以下であることが好ましく、40以下であることがより好ましい。イエローインデックスが45以下であれば、白色の吸収材に吸水性樹脂粒子を搭載する場合に色の違いが目立たない。
<吸水性樹脂粒子の製造方法>
本発明の吸水性樹脂粒子の製造方法は、アニオン性官能基を有する樹脂を含むコア粒子の表面と、カチオン性官能基を有する高分子(カチオン性高分子)とを、前記アニオン性官能基の少なくとも一部と前記カチオン性官能基の少なくとも一部とのイオン結合が形成される条件で接触させる工程(接触工程)を含む。この方法によれば、アニオン性官能基を有する樹脂を含むコア粒子と、前記コア粒子の表面に配置されるカチオン性高分子と、を有する吸水性樹脂粒子を製造することができる。
本発明の吸水性樹脂粒子の製造方法により得られる吸水性樹脂粒子は、上記構成を有することにより、液体に接触した際にもママコの形成が抑制され、吸水性に優れる。さらに、本発明の吸水性樹脂粒子の製造方法は、接触工程を高温での加熱を伴わずに実施できるため、耐熱性の低い樹脂を用いる場合にも加熱による吸水性の低下、変色等を生じることなく吸水性を向上させることができる。
(接触工程)
アニオン性官能基を有する樹脂を含むコア粒子の表面と、カチオン性高分子とを、前記アニオン性官能基の少なくとも一部と前記カチオン性官能基の少なくとも一部とのイオン結合が形成される条件で接触させる方法は特に制限されない。「前記アニオン性官能基の少なくとも一部と前記カチオン性官能基の少なくとも一部とのイオン結合が形成される条件」とは、アニオン性官能基の少なくとも一部とカチオン性官能基の一部とのイオン結合が形成される条件を意味する。アニオン性官能基の少なくとも一部とカチオン性官能基の一部とのイオン結合が形成される条件であれば、他のアニオン性官能基とカチオン性官能基との間で共有結合又は水素結合が形成されてもよい。条件として具体的には、コア粒子の表面と、カチオン性高分子とを接触させる際の方法、温度、時間等が挙げられる。
接触工程を行う方法として具体的には、カチオン性高分子を溶媒に溶解した溶液(以下、カチオン性高分子溶液ともいう)をコア粒子の表面に噴霧する方法(噴霧法)、コア粒子にカチオン性高分子溶液を滴下する方法(滴下法)、コア粒子を溶媒中に分散させ、その溶媒中にカチオン性高分子溶液を添加する方法(溶液法)等が挙げられる。
接触工程の温度はアニオン性官能基の少なくとも一部とカチオン性官能基の少なくとも一部とのイオン結合が形成される温度であれば特に制限されない。コア粒子に含まれる樹脂の変色や吸水力の低下を抑制する観点からは60℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがより好ましく、50℃未満であることがさらに好ましく、40℃以下であることが特に好ましい。前記温度の下限は特に制限されないが、カチオン性高分子溶液の凝固を抑制する観点からは4℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましく、15℃以上であることがさらに好ましい。接触工程を噴霧法又は滴下法で行う場合の前記温度はコア粒子の温度を意味し、溶液法で行う場合は溶媒の温度を意味する。
接触工程の時間は、アニオン性官能基の少なくとも一部とカチオン性官能基の少なくとも一部とのイオン結合が形成される時間であれば特に制限されない。例えば、カチオン性高分子がコア粒子への浸透を防ぐ観点からは30分以下とすることができ、5分以下であることが好ましく、2分以下であることがより好ましい。前記時間の下限は特に制限されないが、アニオン性官能基とカチオン性官能基とのイオン結合を十分に形成する観点からは10秒以上であることが好ましく、20秒以上であることがより好ましく、30秒以上であることがさらに好ましい。
カチオン性高分子溶液を調製する際にカチオン性高分子を溶解するための溶媒は特に制限されず、水、有機溶媒、これらの混合物等を使用することができる。有機溶媒を用いる場合は、親水性有機溶媒を使用することが好ましい。親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらの溶媒は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。溶媒の種類は、前述のようにアニオン性官能基を有する樹脂がその溶媒に溶けず、カチオン性高分子がその溶媒に溶けるように選択することが好ましい。
カチオン性高分子溶液中のカチオン性高分子の濃度は特に制限されず、製造条件に応じて選択できる。例えば、カチオン性高分子の濃度は0.001質量%以上であることが好ましく、0.01質量%以上であることがより好ましく、0.05質量%以上であることがさらに好ましい。また、カチオン性高分子の濃度は70質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。カチオン性高分子の濃度が0.001質量%以上であれば、カチオン性高分子をコア粒子の表面に充分な量で配置できる傾向にあり、70質量%以下であれば、カチオン性高分子をコア粒子の表面により均等に配置できる傾向にある。
(乾燥工程)
本発明の吸水性樹脂粒子の製造方法は、アニオン性官能基を有する樹脂を含むコア粒子の表面と、カチオン性高分子と、を接触させる工程の後に、カチオン性高分子を接触させたコア粒子を乾燥させる工程をさらに含むことが好ましい。乾燥の方法は特に制限されず、真空乾燥、熱風乾燥等の一般的な乾燥方法が適用できる。中でも、加熱を伴わずに実施できる真空乾燥が好ましい。
乾燥工程の温度は特に制限されないが、コア粒子に含まれる樹脂の変色や吸水力の低下を抑制する観点からは60℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがより好ましく、40℃以下であることがさらに好ましい。前記温度の下限は特に制限されないが、4℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましく、20℃以上であることがさらに好ましい。
乾燥工程の時間は特に制限されないが、コア粒子の1時間での質量変化が1%程度まで乾燥することが好ましい。
<吸収体>
本発明の吸収体は、本発明の吸水性樹脂粒子を含む。本発明の吸収体は、それに含まれる吸水性樹脂粒子が液体に接触した際のママコの形成が抑制されるため、吸水性に優れる。特に、本発明の吸収体に含まれる吸水性樹脂粒子は、電解質を含む尿、血液等の吸収性に優れ、且つ加熱による吸水性の低下、変色等が抑制されている吸収体を提供することができる。本発明の吸収体に含まれる吸水性樹脂粒子の各構成要素の詳細及び好ましい態様は、吸水性樹脂粒子について上述した記載を参照することができる。
本発明の吸収体は、吸水性樹脂粒子に加えてその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、セルロース繊維、パルプ、綿等が挙げられる。本発明の吸収体は、本発明の吸水性樹脂粒子を1種単独で用いても2種以上併用してもよく、本発明の吸水性樹脂粒子以外の吸水性樹脂粒子を併用してもよい。
本発明の吸収体の用途は特に制限されず、紙おむつ、生理用品等の衛生用品、ペット用品、土木用資材、食品用資材、農業用資材などが挙げられる。特に、本発明の吸収体に含まれる吸水性樹脂粒子は生物由来の樹脂を含み、電解質を含む尿、血液等の吸収性に優れ、且つ加熱による吸水性の低下、変色等が抑制されているため、衛生用品としての用途に好適である。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。ただし、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。以下の実施例において、吸水倍率、保水倍率、吸水速度及びゲル強度は、上述した方法により測定したものである。変色は、ASTM D1925に準拠して算出されるイエローインデックスが45以下であるときに「なし」と評価した。
(製造例1)
カルボキシメチルセルロース(和光純薬工業株式会社製、カルボキシメチルセルロースナトリウム、重量平均分子量100万、置換度0.75)28.4gを1.5M水酸化ナトリウム水溶液255gに溶解させた。この水溶液に、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル5.23gを加え、30℃で2時間撹拌混合した。その後、60℃で6時間静置してゲル化させた。このゲルを適当な大きさに粉砕した。粉砕したゲルをメタノール500mL中へ3時間浸漬し、メタノールを除去した。この操作を2回繰り返した。その後、真空乾燥機にて、50℃で3時間乾燥させた。これをさらに粉砕し、篩の目開きが150μmと300μmの間から得られた粒子として吸水性樹脂粒子のコア粒子を得た。
(製造例2)
カルボキシメチルセルロース(ダイセルファインケム株式会社製、CMCダイセル1260、カルボキシメチルセルロースナトリウム、重量平均分子量97万、置換度0.88)20gを1.5M水酸化ナトリウム水溶液80gに溶解させた。この水溶液に、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.392gを加え、30℃で30分撹拌した。その後、60℃で6時間静置してゲル化させた。このゲルを適当な大きさに粉砕した。粉砕したゲルをメタノール500mL中へ3時間浸漬し、メタノールを除去した。この操作を2回繰り返した。その後、60℃の熱風乾燥機にて4時間乾燥させた。これをさらに粉砕し、篩の目開きが150μmと710μmの間から得られた粒子として吸水性樹脂粒子のコア粒子を得た。
(実施例1)
50質量%のポリエチレンイミン(シグマアルドリッチ社製、数平均分子量1800)水溶液500μLに水500μLを加え、さらにメタノール5mLを加え、溶解してカチオン性高分子溶液を調製した。製造例1で作製したコア粒子10gをカチオン性高分子溶液に加えて、25℃で1分間スパチュラで撹拌してカチオン性高分子をコア粒子の表面に接触させた。その後、カチオン性高分子が表面に配置されたコア粒子を濾紙上に載せて余分なカチオン性高分子溶液を除去し、真空乾燥機で室温(25℃)で3時間乾燥して、吸水性樹脂粒子を得た。得られた吸水性樹脂粒子の吸水倍率、保水倍率、吸水速度、ゲル強度及び変色の有無を評価した。結果を表1に示す。
(実施例2)
ポリアリルアミン塩酸塩(シグマアルドリッチ社製、重量平均分子量58000)0.1gを1mLの純水に加え、溶解した。この水溶液にメタノール200mLを加えてカチオン性高分子溶液を調製した。製造例1で作製したコア粒子10gをカチオン性高分子溶液に加えて、25℃で1分間スパチュラで撹拌してカチオン性高分子をコア粒子の表面に接触させた。その後、カチオン性高分子が表面に配置されたコア粒子を濾紙上に載せて余分なカチオン性高分子溶液を除去し、真空乾燥機で室温(25℃)3時間乾燥して、吸水性樹脂粒子を得た。得られた吸水性樹脂粒子の吸水倍率、保水倍率、吸水速度、ゲル強度及び変色の有無を評価した。結果を表1に示す。
(実施例3)
ポリアリルアミン塩酸塩(シグマアルドリッチ社製、重量平均分子量58000)1gを10mLの純水に加え、溶解した。この水溶液にメタノール200mLを加えてカチオン性高分子溶液を調製した。製造例1で作製したコア粒子10gをカチオン性高分子溶液に加えて、25℃で1分間スパチュラで撹拌してカチオン性高分子をコア粒子の表面に接触させた。その後、カチオン性高分子が表面に配置されたコア粒子を濾紙上に載せて余分なカチオン性高分子溶液を除去し、真空乾燥機で室温(25℃)3時間乾燥して、吸水性樹脂粒子を得た。得られた吸水性樹脂粒子の吸水倍率、保水倍率、吸水速度、ゲル強度及び変色の有無を評価した。結果を表1に示す。
(実施例4)
カチオン化タピオカデンプン(三晶株式会社製、SB GUM−POSIT 300)578gを純水20gの入ったビーカーに加えた。ビーカーに蓋をして、90℃のウォータバスで1時間加熱した。製造例2で作製したコア粒子3gにデンプン水溶液8.4gを加えて10分間撹拌した。余分なタンパク質水溶液をろ過した。ろ過した粒子にメタノール100gを加えて撹拌後、3時間静置した。その後、粒子を濾別して乾燥させることで、吸水性樹脂を得た。得られた吸水性樹脂粒子の吸水倍率、保水倍率、吸水速度、ゲル強度及び変色の有無を評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
製造例1で得られたコア粒子について、カチオン性高分子を接触させる工程を行わない状態での吸水倍率、保水倍率、吸水速度、ゲル強度及び変色の有無を評価した。結果を表1に示す。
(比較例2)
製造例2で得られたコア粒子について、カチオン性高分子を接触させる工程を行わない状態での吸水倍率、保水倍率、吸水速度、ゲル強度及び変色の有無を評価した。結果を表1に示す。
表1に示す結果から明らかなように、コア粒子の表面にカチオン性高分子を接触させる工程を行った実施例1〜4では、コア粒子の表面にカチオン性高分子を接触させる工程を行わない比較例1及び2と比較して吸水倍率、保水倍率及び吸水速度の値が大きかった。また、吸水倍率の評価の際にママコの形成が観察されず、樹脂の変色もみられなかった。コア粒子の表面にカチオン性高分子を配置していない比較例1及び2は、吸水倍率の評価の際にママコが形成され、吸水倍率、保水倍率及び吸水速度の値が実施例よりも小さかった。

Claims (10)

  1. 多糖、多糖の誘導体、多糖のアルカリ金属塩及び多糖の誘導体のアルカリ金属塩からなる群より選択される少なくとも1種であり、アニオン性官能基を有する樹脂を含むコア粒子と、
    前記コア粒子の表面に配置されるカチオン性官能基を有する高分子と、を有し、
    前記アニオン性官能基の少なくとも一部と前記カチオン性官能基の少なくとも一部とがイオン結合を形成している、吸水性樹脂粒子。
  2. 前記アニオン性官能基はカルボキシ基を含む、請求項1に記載の吸水性樹脂粒子。
  3. 前記アニオン性官能基を有する樹脂はセルロース誘導体を含む、請求項1又は請求項2に記載の吸水性樹脂粒子。
  4. 前記アニオン性官能基を有する樹脂はカルボキシアルキルセルロースを含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の吸水性樹脂粒子。
  5. 前記カチオン性官能基を有する高分子はアミノ基及びアンモニウム基からなる群より選択される少なくとも1種を有する高分子を含む、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の吸水性樹脂粒子。
  6. 前記カチオン性官能基を有する高分子はポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、カチオン化デンプン、キトサン、カチオン化セルロース及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の吸水性樹脂粒子。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の吸水性樹脂粒子の製造方法であって、アニオン性官能基を有する樹脂を含むコア粒子の表面と、カチオン性官能基を有する樹脂とを、前記アニオン性官能基の少なくとも一部と前記カチオン性官能基の少なくとも一部とのイオン結合が形成される条件で接触させる工程を含む吸水性樹脂粒子の製造方法。
  8. 前記接触させる工程が60℃以下で行われる、請求項7に記載の吸水性樹脂粒子の製造方法。
  9. 前記接触させる工程が、噴霧法、滴下法又は溶液法により行われる、請求項7又は請求項8に記載の吸水性樹脂粒子の製造方法。
  10. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の吸水性樹脂粒子を含む、吸収体。
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