JP2016051998A - 回動固定機構、スピーカ装置及びスピーカシステム - Google Patents

回動固定機構、スピーカ装置及びスピーカシステム Download PDF

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Abstract

【課題】角度や放音方向を容易に調整できるとともに、適度な角度固定感が得られる回動固定機構、スピーカ装置及びスピーカシステムを提供すること。
【解決手段】サテライトスピーカ12のスピーカエンクロージャー35は、基端部51がベース部31に固定された支持部37の先端部55に固定されクリック機構部によって、支持部37の先端部55に対して回転可能に保持される。また、スピーカエンクロージャーは、クリック機構部によって所定の回転角度ごとに位置決めされる。
【選択図】図7

Description

本願に開示の技術は、回転あるいは回動する部材の角度を位置決めする技術に関するものである。
従来、天井や壁等に固定した状態でスピーカユニットから放射される音波の方向(放音方向)を調整できるスピーカ装置がある(例えば、特許文献1など)。特許文献1に開示されるスピーカ装置では、スピーカユニットが取り付けられたスピーカエンクロージャーにボールスティックの下端部が連結されている。ボールスティックは、天井に取り付けたベースプレートに上端部のねじが螺合されており、下端部にスピーカエンクロージャーの上面を連結し天井から吊り下げた状態でスピーカエンクロージャーを保持する。スピーカエンクロージャーの上面には、ボールカバー内に収容されたボール部材が設けられている。スピーカ装置は、ボールカバー内にねじ込まれた角度調整ねじによってボール部材がボールカバーの内周面に押し当てられて摩擦力が発生し、角度調整ねじの締め付けによってスピーカエンクロージャーの回転が規制される。また、スピーカエンクロージャーは、角度調整ねじの締め付けを緩めることによって、ボール部材に上面を接触させながらボール部材の外周面に沿うように回動可能となり、放音方向の向きが調整可能となる。
実開平5−65191号公報
しかしながら、上記したスピーカ装置では、放音方向を変更する度に、角度調整ねじを緩める必要がある。また、このスピーカ装置では、角度調整ねじを緩めるとスピーカエンクロージャーが自由に回動可能となり、例えば、所望の放音方向としたスピーカエンクロージャーを角度が変わらないように手などで支えながら角度調整ねじを締め付けることが必要となる。結果として、このスピーカ装置では、所望の放音方向に調整する作業が煩雑となることが問題であった。
本願に開示される技術は、上記の課題に鑑み提案されたものである。角度や放音方向を容易に調整できるとともに、適度な角度固定感が得られる回動固定機構、スピーカ装置及びスピーカシステムを提供することを目的とする。
本願に開示される技術に係る回動固定機構は、円板形状をなし、外周部分において周方向に沿って形成された複数の歯部が設けられた固定部と、固定部の周囲を回動するばね収容部と、ばね収容部に一端が保持されるとともに、他端の位置が固定部に近接する方向に向かって変位する弾性部材と、弾性部材の他端に設けられるボール部材と、を備え、弾性部材とボール部材との組が2組設けられ、弾性部材及びボール部材の組の各々が、固定部の径方向において互いに対向する位置となり、固定部の径方向の外側からボール部材を歯部に係合させるとともに、ばね収容部の回動に応じて異なる歯部にボール部材を係合させることでばね収容部を位置決めすることを特徴とする。
当該回動固定機構では、外周部分に複数の歯部が設けられた円板形状の固定部を備え、当該固定部の周囲をばね収容部が回動する。弾性部材は、ばね収容部に一端が保持され、固定部に近接する方向に向かって変位する他端にボール部材が設けられる。そして、回動固定機構は、固定部の径方向の外側からボール部材を歯部に係合させて、ばね収容部の回転位置を位置決めする。好適には、当該回動固定機構をスピーカ装置のスピーカエンクロージャーに取り付けることによって、使用者等は、例えば、スピーカエンクロージャーを回転させるだけで、スピーカエンクロージャーに設けられたスピーカユニットの放音方向などを容易に変更することができる。さらに、当該回動固定機構では、弾性部材及びボール部材が2組設けられ、固定部の径方向(円形の直径方向)の両側からボール部材を歯部に係合させる。これにより、当該回動固定機構では、所定の回転角度に位置決めしたばね収容部に振動等が発生したとしても、固定部に対して対称な位置に配置した2組の弾性部材及びボール部材を用いてばね収容部をより安定的に保持し回転角度を維持することが可能となる。
また、本願に開示される技術に係るスピーカ装置は、ベース部と、供給される音響信号に応じて音波を放射するスピーカユニットが設けられたスピーカエンクロージャーと、基端部がベース部に固定され、先端部にスピーカエンクロージャーが接続された支持部と、支持部の先端部に設けられ、スピーカエンクロージャーを支持部に対して回転可能に保持するとともに、所定の回転角度ごとにスピーカエンクロージャーを位置決めするクリック機構部と、を備えることを特徴とする。
当該スピーカ装置では、スピーカエンクロージャーに設けられたスピーカユニットから音響信号に応じた音波を放射する。スピーカエンクロージャーは、基端部がベース部に固定された支持部の先端部に設けられたクリック機構部によって、支持部に対して回転可能に保持される。そして、クリック機構部は、スピーカエンクロージャーを所定の回転角度ごとに位置決めして保持する。ここで、従来のスピーカ装置では、例えば、放音方向を変更する度に、角度調整ねじを緩める、あるいは所望の放音方向としたスピーカエンクロージャーを角度が変わらないように手などで支えながら角度調整ねじを締め付けることが必要であった。これに対し、当該スピーカ装置では、クリック機構部によってスピーカエンクロージャーを支持部に対して回転可能に保持し、所定の回転角度ごとに位置決め可能となる。これにより、使用者等は、例えば、支持部を保持しながらスピーカエンクロージャーを回転させるだけで、スピーカユニットの放音方向を容易に変更することができる。
また、本願に開示される技術に係るスピーカ装置において、クリック機構部は、支持部の先端部に固定される固定部と、スピーカエンクロージャーに固定されるばね収容部と、ばね収容部に収容され一端が保持されるとともに他端の位置が固定部に近接する方向に向かって変位する弾性部材と、弾性部材の他端に設けられるボール部材と、を備え、弾性部材は、弾性力によりボール部材を固定部に当接させることによってスピーカエンクロージャーを所定の回転角度ごとに位置決めする構成としてもよい。
当該スピーカ装置では、支持部の先端部に固定部が設けられる。ばね収容部に収容された弾性部材は、ボール部材を固定部に当接させることによって、スピーカエンクロージャーを所定の回転角度ごとに位置決めする。ここで、従来のスピーカ装置では、例えば、角度を固定する際の角度調整ねじの締め付けが緩かった場合には、音楽を再生することでスピーカエンクロージャーに発生する振動によって、スピーカエンクロージャーの角度がずれてしまいスピーカユニットから視聴者の耳に届く直接音や間接音が変化してしまう虞があった。これに対し、当該スピーカ装置では、角度調整ねじの締め付け等が不要となり、スピーカエンクロージャーの回転角度を保持する保持力が弾性部材の弾性力によって一定の大きさに維持される。この弾性部材の弾性力は、弾性部材の材質や形状、ばね収容部の形状等の設計段階で決定される構造上の特徴によって一義的に設定できる。このため、当該スピーカ装置では、音楽等の再生中においても放音方向をより確実に保持できる。
また、本願に開示される技術に係るスピーカ装置において、固定部は、円板形状をなし、外周部分において周方向に沿って形成された複数の歯部が設けられ、弾性部材は、固定部の径方向の外側からボール部材を歯部に係合させるとともに、スピーカエンクロージャーの回転に応じて異なる歯部にボール部材を係合させることで位置決めする構成としてもよい。
当該スピーカ装置では、円板形状をなす固定部の外周部分に設けた歯部の形状、個数や周方向に並ぶ間隔等を変更することによって、回転動作するスピーカエンクロージャーをどのような回転角度に位置決めするかが調整可能となる。
また、本願に開示される技術に係るスピーカ装置において、弾性部材とボール部材との組が2組設けられ、弾性部材及びボール部材の組の各々が、固定部の径方向において互いに対向する位置となる構成としてもよい。
当該スピーカ装置のクリック機構部は、固定部の径方向(円形の直径方向)の両側からボール部材を歯部に係合させる。これにより、クリック機構部は、所定の回転角度に位置決めしたスピーカエンクロージャーに音楽再生中の振動等が発生したとしても、固定部に対して対称な位置に配置した2組の弾性部材及びボール部材を用いてスピーカエンクロージャーをより安定的に保持し放音方向を維持することが可能となる。
また、本願に開示される技術に係るスピーカ装置において、クリック機構部は、スピーカエンクロージャーが所定の回転角度以上に回転するのを規制する規制部が設けられる構成としてもよい。
スピーカエンクロージャーが回転方向に対して無条件に回転可能となると、スピーカユニットに音響信号を供給する音響ケーブルが絡まったり、断線したりする等の虞がある。これに対し、当該スピーカ装置のクリック機構は、スピーカエンクロージャーが所定の回転角度だけ回転すると、それ以上回転しないように規制部が回転を規制する。これにより、スピーカエンクロージャーの回転動作にともなってスピーカユニットの音響ケーブルが断線等する不具合が防止可能となる。
また、本願に開示される技術に係るスピーカ装置において、クリック機構部は、スピーカエンクロージャーに内蔵される構成としてもよい。
当該スピーカ装置では、クリック機構部がスピーカエンクロージャーに内蔵されることでスピーカ装置全体の小型化が可能となる。
また、本願に開示される技術に係るスピーカ装置において、支持部は、音響信号をスピーカユニットに供給するための音響ケーブルが基端部から先端部まで挿通可能な挿通孔が形成される構成としてもよい。
当該スピーカ装置では、スピーカユニットの音響ケーブルを支持部内に収容することで、音響ケーブルを支持部で保護し断線等を防止することが可能となる。
さらに、本願に係る発明は、スピーカ装置に限定されることなく、複数のスピーカ装置と、低音用のサブスピーカとを備えるスピーカシステムの発明としても実施し得るものである。
本願に開示される技術によれば、角度や放音方向を容易に調整できるとともに、適度な角度固定感が得られる回動固定機構、スピーカ装置及びスピーカシステムを提供することができる。
本実施形態に係るスピーカシステムの正面図である。 サテライトスピーカの斜視図である。 サテライトスピーカの底面図である。 サテライトスピーカの断面の模式図である。 歯車部材を取り外した状態のケースの平面図である。 歯車部材の斜視図である。 サテライトスピーカが回転する様子を説明するための側面図である。
以下、本発明を具体化した一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るスピーカシステム10を前方から見た図である。スピーカシステム10は、2つのサテライトスピーカ12,13と、左右のサテライトスピーカ12,13の間に挟まれたサブウーファー15とを備え、所謂2.1chサラウンドシステムを実現する。なお、サテライトスピーカ12,13は、例えば、指向性が比較的に強い中域から高域の周波数帯の音を出力するスピーカである。サブウーファー15は、例えば、指向性が比較的に弱い低域の周波数帯の音を出力するスピーカである。また、スピーカシステム10は、再生するチャンネル数などに応じてスピーカの数や配置を変更してもよい。
サブウーファー15は、テーブル17の上に載置されたベース部21と、スピーカユニット23が設けられたスピーカエンクロージャー25とを備える。なお、以下の説明では、図1及び図2に示すように、サテライトスピーカ12,13及びサブウーファー15が載置されるテーブル17の載置面に対して直交する方向を上下方向、サテライトスピーカ12,13及びサブウーファー15が並設される方向を左右方向、上下方向及び左右方向に直交する方向を前後方向(図2参照)と称して説明する。図1に示す場合では、サテライトスピーカ12が、スピーカシステム10の前方から見てサブウーファー15の左側に配置され、サテライトスピーカ13が右側に配置されている。
サブウーファー15のベース部21は、上方から見た形状が円形となる板状に形成され、テーブル17の上面と対向する底面には後述するサテライトスピーカ12,13と同様に、ねじ止め等が可能な係合部(図3の係合部43参照)が設けられている。スピーカエンクロージャー25は、前後方向に延びる円筒形状に形成され、前面側の円形の開口にスピーカユニット23が取り付けられている。スピーカエンクロージャー25は、円筒形状の中心軸からの距離、即ち、円筒形状の半径が前方から後方に向かって徐々に縮径した円錐台形状となっている。ベース部21の上面には、上方に向かって突出した支持部27が設けられている。支持部27の上部は、スピーカエンクロージャー25の下部に接続されている。スピーカエンクロージャー25は、支持部27によって下から支えられ、前後方向に対してスピーカユニット23がやや上方を向いた状態で固定されている。
サブウーファー15の背面(前後方向でスピーカユニット23と対向する面)には、スピーカ端子(図示略)が設けられ、当該スピーカ端子にサテライトスピーカ12,13の各々の音響ケーブル(図示略)が接続されている。また、サブウーファー15は、背面に設けられた電源端子に接続されたACケーブル(図示略)から交流電源が供給される。また、サブウーファー15は、CDプレーヤ等の音源から背面に設けられた入力端子に左右2チャンネルの音響信号が供給される。サブウーファー15は、供給された音響信号を内蔵されるオーディオアンプにより増幅し、左右のサテライトスピーカ12,13の各々にチャンネルに応じた音響信号を供給するとともに、スピーカユニット23からも音響信号を再生する。なお、サブウーファー15は、上面(図1における上部の面)に電源のオンオフや音量を調整するスイッチを設けた構成でもよい。また、サブウーファー15は、音響信号の供給を、背面の入力端子を介した有線による供給に限らず、無線による供給が可能な構成としてもよい。例えば、サブウーファー15を、Bluetooth(登録商標)による通信が可能な構成とし、ペアリングしたスマートフォンから無線通信で供給される楽曲を再生する構成としてもよい。
次に、サテライトスピーカ12,13の形状、構成等について説明する。図2は、サテライトスピーカ12を左斜め上方から見た斜視図である。図3は、サテライトスピーカ12の底面図である。サテライトスピーカ12は、テーブル17(図1参照)の上に載置されたベース部31と、スピーカユニット33が設けられたスピーカエンクロージャー35と、スピーカエンクロージャー35をベース部31に対して保持する支持部37とを備える。なお、もう一方のサテライトスピーカ13は、支持部37が左右対象な位置に設けられている点でサテライトスピーカ12と異なるが、主な部分はサテライトスピーカ12と同様であるため、以下の説明では、代表してサテライトスピーカ12について説明し、サテライトスピーカ13についての説明を適宜省略する。
図2に示すように、サテライトスピーカ12のベース部31は、上方から見た形状が円形となる板状に形成されている。図3に示すように、ベース部31は、円形に凹設された下部40が底板41によって閉塞されている。ベース部31は、円形の底板41の中心に挿入されたねじ42によって底板41が下部40に対して固定されており、底板41の内側には底板41と下部40とで囲まれた空間が形成されている。底板41には、一対の係合部43が設けられている。一対の係合部43の各々は、ねじ42が挿入された底板41の中心に対して前後方向で対象となる位置に設けられている。係合部43は、底板41を上下方向に貫通して形成されており、下方から見た形状が前後方向及び左右方向に延びる十字形状をなしている。係合部43は、十字形状の中心部が広く開口されており、十字に延びた部分の端部47の角が丸みを帯びている。この係合部43は、サテライトスピーカ12,13を壁や天井に係止固定するためのものである。
例えば、サテライトスピーカ12を天井に固定する場合には、天井に固定した2つのねじの各々を、各係合部43の十字形状の中心部から挿通し、底板41の内側の内部空間にねじの頭が挿入された状態とする。この状態で、サテライトスピーカ12を、天井に固定したねじが並設される方向にスライドさせることで、ねじの頭が端部47に嵌め込まれる。これにより、サテライトスピーカ12は、2つのねじの頭が端部47に係合され、天井に対して固定された状態となる。
また、図2に示すように、スピーカエンクロージャー35は、前後方向に延びる円筒形状に形成され、前面側の円形の開口にスピーカユニット33が取り付けられている。スピーカエンクロージャー35は、円筒形状の中心軸からの距離、即ち、円筒形状の半径が前方から後方に向かって徐々に縮径した円錐台形状となっている。従って、スピーカエンクロージャー35は、左右方向から見た形状が略台形状をなしている。
また、支持部37は、上下方向に延びる棒状に形成されており、ベース部31の上方にスピーカエンクロージャー35を保持している。支持部37の基端部51は、上下方向に延びる円柱形状の連結部53の下端部に連続して形成され、所定の角度を以て右側に湾曲している。基端部51は、ベース部31の左側の側面49に固定されている。支持部37は、ベース部31に対して基端部51が固定されることにより、上下方向に対して所定の角度を以て後方側に傾いた状態で固定されている(図7参照)。
また、支持部37の先端部55は、上下方向に延びる連結部53の上端部に連続して形成され、所定の角度を以て右側に向かって湾曲している。スピーカエンクロージャー35は、左側の外周面を貫通する貫通孔61が形成されている。貫通孔61には、後述するクリック機構部71が有する歯車部材75の円筒部91が挿通され、その一部が外部に突出している。支持部37の先端部55は、この円筒部91に固定されている。なお、支持部37の内部には、基端部51と先端部55とを結ぶ貫通孔(図示略)が形成されており、この貫通孔内にスピーカユニット33に接続される音響ケーブルが収容されている。この音響ケーブルが、ベース部31から外部に引き出され、サブウーファー15の背面のスピーカ端子に接続される。
図4は、サテライトスピーカ12の断面を模式的に示した図であり、サテライトスピーカ12を右側から見た図である。図4に示すように、スピーカエンクロージャー35は、左側(図4の紙面直交方向の奥側)の内壁63にクリック機構部71が取り付けられている。クリック機構部71は、スピーカエンクロージャー35を支持部37に対して回転可能に保持するとともに、所定の回転角度ごとにスピーカエンクロージャー35を位置決めするものである。
クリック機構部71は、ケース73と、歯車部材75と、歯車部材75の直径を前後方向で挟む一対のばね77とを有している。ケース73は、歯車部材75が収容された歯車収容部79と、歯車収容部79の前後に設けられ各々にばね77が収容されたばね収容部81とを有している。図5は、歯車部材75を外した状態のケース73の平面図を示している。図5に示すように、歯車収容部79は、左右方向から見た形状が略円形をなし、外周部分には4つのねじ止め部79Aが形成されている。ねじ止め部79Aは、歯車収容部79の外周に沿って等間隔(略90度間隔)に形成されている。ねじ止め部79Aは、歯車収容部79の外周部分から径方向の外側に向かって突出して形成されており、突出した部分には左右方向に貫通した貫通孔79Bが形成されている。ケース73は、ねじ止め部79Aの貫通孔79Bに対して左右方向に挿通されたねじ65(図4参照)によってスピーカエンクロージャー35の内壁63に対して固定されている。
また、歯車収容部79には、歯車部材75の大きさに合わせて円筒形状に凹設された凹設部83が形成されている。凹設部83の底部83A(図5の紙面直交方向の奥側の面)は、円形をなし、その中央部に円形の貫通孔85が形成されている。この貫通孔85には、歯車部材75が挿入される。貫通孔85は、上記したスピーカエンクロージャー35の貫通孔61(図2参照)と連通している。
図6は、歯車部材75の斜視図を示している。図6に示すように、歯車部材75は、円筒部91と、歯車部93とを有している。円筒部91は、略円柱形状に形成され、円柱形状の軸方向に貫通する挿通孔91Aが形成されている。この挿通孔91Aには、支持部37の先端部55(図2参照)が挿入される。挿通孔91Aは、先端部55の大きさに合わせて形成されており、内周面には当接部91Bが形成されている。当接部91Bは、挿通孔91Aの周方向に沿って90度ごとに形成され、合計で4つ設けられている。当接部91Bは、挿通孔91Aの内周面から径方向の内側に向かって突出し、周方向の幅を同一としながら挿通孔91Aの軸方向に沿って形成された略直方体形状をなしている。当接部91Bの各々は、挿通孔91Aに挿入された先端部55の外周面に当接し、先端部55を挿通孔91Aの中心に保持する。また、挿通孔91Aは、外周面を径方向に貫通した固定孔91Cが形成されている。支持部37は、固定孔91Cに外側から挿入したねじ等の締結部材が先端部55に螺合されることによって円筒部91が先端部55に固定される。これにより、支持部37は、先端部55に歯車部材75が固定される。そして、図5に示す底部83Aの貫通孔85には、歯車部材75の円筒部91が固定された支持部37の先端部55が挿入される。円筒部91の一部は、スピーカエンクロージャー35の貫通孔61から外部に突出する(図2参照)。
また、円筒部91は、軸方向の一端に歯車部93が設けられている。歯車部93は、円板形状をなし、平板面の中央部に円筒部91が一体形成されている。従って、歯車部93の中心は、円筒部91の中心軸上となっている。また、歯車部93は、支持部37内に挿通された音響ケーブルを通すための挿通孔93Aが中心部分に形成されている(図4参照)。また、歯車部93は、円形の外周に沿って歯部93Bが形成されている。歯部93Bの各々は、周方向の中央部が頂点となる円弧状をなし、径方向の内側に向かって凹設されている。歯部93Bの各々は、隣り合う歯部93B同士が隣接し周方向に向かって連続して形成されている。歯部93Bには、図4に示すばね収容部81に収容されたばね77の先端に配置されるボール部材78が嵌合する。
図5に示すように、ケース73のばね収容部81の各々は、左側(図5における紙面直交方向の奥側)に向かって凹設され、左右方向から見た形状が前後方向に向かって延びる長方形状をなしている。ばね収容部81は、延設方向の一方側(歯車収容部79側)が凹設部83と連通し、他方側には壁部81Aが形成されている。従って、ばね収容部81の各々は、凹設部83側から径方向の外側に向かって突出し、突出した先端が壁部81Aによって閉塞された溝を構成している。
図4に示すように、ばね収容部81の各々には、ばね77が収容されている。ばね77の各々は、一端がばね収容部81の壁部81Aに保持されており、他端にボール部材78が設けられている。ボール部材78は、ばね77が弾性変形することによって、ばね収容部81の溝に沿って移動する。歯車部93の歯部93Bには、ばね77によって付勢されたボール部材78が径方向の外側から嵌め込まれる。これにより、クリック機構部71は、図4における紙面直交方向(左右方向)に沿った直線を回転軸として、ケース73が歯車部材75に対して回転する。そして、クリック機構部71は、スピーカエンクロージャー35を支持部37に対して回転可能に保持する。また、クリック機構部71は、回転方向の力が加わると、ボール部材78が嵌め込まれる歯部93Bが周方向で隣合う歯部93Bに変更されることによって、所定の回転角度ごとに位置決めされる。これにより、図7に示すように、本実施形態のサテライトスピーカ12は、使用者等がスピーカエンクロージャー35を回転方向(図7の矢印で示す方向)に回すと、所定の回転角度ごとにスピーカエンクロージャー35が位置決めされる。
また、図6に示すように、歯車部93は、平板面に係合凸部93Cが形成されている。係合凸部93Cは、円筒部91よりも径方向の外側に形成され、歯車部93の平板面から突出している。一方で、図5に示すように、凹設部83の底部83Aには、係合凸部93Cが挿入される係合凹部87が形成されている。係合凹部87は、底部83Aの周方向、即ち、クリック機構部71の回転方向に沿った溝を構成している。係合凹部87は、回転方向に沿って所定の回転角度(例えば、0度から300度)の範囲内で形成されている。このため、クリック機構部71は、所定の回転角度だけ回転すると、ケース73の係合凹部87に挿入した歯車部材75の係合凸部93Cが、ケース73の係合凹部87の端部に当接する。これにより、スピーカエンクロージャー35は、所定の回転角度の範囲以上は回転しないようになっている。
ちなみに、サテライトスピーカ12,13は、スピーカ装置の一例である。クリック機構部71は、回動固定機構の一例である。歯車部材75は、固定部の一例である。ばね77は、弾性部材の一例である。係合凸部93C及び係合凹部87は、規制部の一例である。
以上、上記した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)サテライトスピーカ12のスピーカエンクロージャー35は、基端部51がベース部31の側面49に固定された支持部37の先端部55に固定されクリック機構部71によって、支持部37の先端部55に対して回転可能に保持されている。クリック機構部71は、スピーカエンクロージャー35を所定の回転角度ごとに位置決めして保持する(図7参照)。これにより、使用者等は、例えば、支持部37を保持しながらスピーカエンクロージャー35を回転させるだけで、スピーカエンクロージャー35に設けられたスピーカユニット33から放射される音波の放音方向を容易に変更することができる。
(2)クリック機構部71は、支持部37の先端部55に歯車部材75が固定されている。スピーカエンクロージャー35の内壁63には、ケース73が固定されている。ケース73の2つのばね収容部81の各々には、ばね77が収容されている。一対のばね77は、一端が壁部81Aに保持されるとともに、他端の位置が歯車部材75の歯車部93に向かって変位する。ばね77は、先端にボール部材78が設けられており、弾性力によってボール部材78を歯車部93の歯部93Bに嵌め込むことによってスピーカエンクロージャー35を所定の回転角度ごとに位置決めする。当該サテライトスピーカ12では、従来のスピーカ装置で用いられていた角度調整ねじの締め付け等が不要となる。このため、角度調整ねじの締め付けが不十分となる等の不具合が発生しない一方で、スピーカエンクロージャー35の回転角度を保持する保持力がばね77の弾性力によって一定の大きさに維持されるため、放音方向をより確実に保持できる。
(3)歯車部材75の歯車部93は、円形の外周部分に複数の歯部93Bが設けられている。ばね77の各々は、歯車部93の径方向の外側からボール部材78を歯部93Bに嵌め込むとともに、スピーカエンクロージャー35の回転に応じて周方向で隣り合う歯部93Bにボール部材78を嵌め込んで位置決めする。このような構成では、歯部93Bの形状、個数や周方向に並ぶ間隔等を変更することによって、回転動作するスピーカエンクロージャー35をどのような回転角度に位置決めするかが調整可能となる。
(4)クリック機構部71は、ばね77とボール部材78との組が2組設けられ、その各々が歯車部93の径方向において互いに対向する対称な位置となっている(図4参照)。ばね77は、歯車部93の径方向の両側からボール部材78を歯部93Bに嵌め込んで歯車部93の位置を保持する。このような構成では、所定の回転角度に位置決めしたスピーカエンクロージャー35に音楽再生中の振動等が発生したとしても、スピーカエンクロージャー35をより安定的に保持することが可能となるとともに、ばね77による付勢力によって回転軸にかかる負担を軽減する、または無くすことができる。
(5)歯車部93は、平板面に係合凸部93Cが形成されている(図6参照)。一方で、凹設部83の底部83Aには、係合凸部93Cが挿入される係合凹部87が形成されている(図5参照)。クリック機構部71は、所定の回転角度だけ回転すると、歯車部材75の係合凸部93Cがケース73の係合凹部87に係合する。このような構成では、スピーカエンクロージャー35が所定の回転角度の範囲以上は回転しないため、回転動作にともなってスピーカユニットの音響ケーブルが断線等する不具合が防止可能となる。
(6)サテライトスピーカ12は、クリック機構部71が円筒形状のスピーカエンクロージャー35に内蔵されているため、小型化を図ることが可能である。
(7)支持部37は、スピーカユニット33の音響ケーブルが挿通可能な挿通孔が形成されており、音響ケーブルを保護し断線等を防止することが可能となっている。
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態では、スピーカシステム10は、1つの低音用のサブウーファー15と、2つのサテライトスピーカ12,13とを備えており、所謂2.1chサラウンドの放音を実現していたが、スピーカ装置の数はこれよりも多くてもよく、あるいは少なくてもよい。例えば、5.1chシステムに対応する数のスピーカ装置を備えていてもよいし、サテライトスピーカ12を1つだけ用いてモノラル再生に使用してもよい。
また、上記したクリック機構部71の構成は、一例であり、適宜変更可能である。例えば、歯車部93の歯部93Bを、径方向の外側に向かって突出した円弧状に形成してもよい。また、ばね77及びボール部材78は、1組でもよいし、3組以上でもよい。また、ばね77及びボール部材78は、歯車部93に対して径方向からボール部材78を当接させずに、歯車部93の平板面に対して直交する方向から当接させる構成でもよい。より具体的には、歯車部93の平板部分に、例えば、周方向に沿って等間隔に形成された凹部を設ける。そして、この凹部に平板面の直交方向からボール部材78を嵌め込んで位置決めを行う構成でもよい。図4に示す場合では、例えば、紙面直交方向の両側から歯車部93を挟むようにばね77及びボール部材78を設けた構成となる。
また、スピーカエンクロージャー35の回転を規制する構成は、係合凸部93C及び係合凹部87に限らず、他の構成、例えば、スピーカエンクロージャー35が所定の回転角度だけ回転すると支持部37に係合する突起を、スピーカエンクロージャー35の外周面に設けてもよい。また、サテライトスピーカ12は、回転を規制する構成を設けない構成でもよい。
また、サテライトスピーカ12は、クリック機構部71をスピーカエンクロージャー35に内蔵しなくともよい。この構成では、極力音響に無関係な機構をスピーカエンクロージャー35内に設けないことで、音質の向上が期待できる。
また、上記実施形態では、弾性部材としてばね77を用いたが、他の弾性変形が可能な部材を用いてもよい。
また、上記実施形態のサテライトスピーカ12では、スピーカエンクロージャー35が1つの支持部37によってベース部31に対して保持されていたが、これに限らず、左右方向で対向する2つの支持部37でスピーカエンクロージャー35を回転可能に保持する構成でもよい。
また、サブウーファー15を、サテライトスピーカ12と同様に、スピーカエンクロージャー25が回転可能な構成としてもよい。
また、上記実施形態では、本願における回動固定機構としてのクリック機構部71を、サテライトスピーカ12(スピーカ装置)に適用したが、回動固定機構を適用する装置等は、スピーカ装置に限定されない。例えば、角度の調整が必要な他の装置(照明装置、レバー、回転スイッチなど)にも適用できることは言うまでもない。
10 スピーカシステム、12,13 サテライトスピーカ、31 ベース部、33 スピーカユニット、35 スピーカエンクロージャー、37 支持部、51 基端部、55 先端部、71 クリック機構部、75 歯車部材、77 ばね、78 ボール部材、81 ばね収容部、87 係合凹部、93B 歯部、93C 係合凸部。

Claims (9)

  1. 円板形状をなし、外周部分において周方向に沿って形成された複数の歯部が設けられた固定部と、
    前記固定部の周囲を回動するばね収容部と、
    前記ばね収容部に一端が保持されるとともに、他端の位置が前記固定部に近接する方向に向かって変位する弾性部材と、
    前記弾性部材の前記他端に設けられるボール部材と、を備え、
    前記弾性部材と前記ボール部材との組が2組設けられ、前記弾性部材及び前記ボール部材の組の各々が、前記固定部の径方向において互いに対向する位置となり、前記固定部の径方向の外側から前記ボール部材を前記歯部に係合させるとともに、前記ばね収容部の回動に応じて異なる歯部に前記ボール部材を係合させることで前記ばね収容部を位置決めすることを特徴とする回動固定機構。
  2. ベース部と、
    供給される音響信号に応じて音波を放射するスピーカユニットが設けられたスピーカエンクロージャーと、
    基端部が前記ベース部に固定され、先端部に前記スピーカエンクロージャーが接続された支持部と、
    前記支持部の先端部に設けられ、前記スピーカエンクロージャーを前記支持部に対して回転可能に保持するとともに、所定の回転角度ごとに前記スピーカエンクロージャーを位置決めするクリック機構部と、
    を備えることを特徴とするスピーカ装置。
  3. 前記クリック機構部は、前記支持部の先端部に固定される固定部と、前記スピーカエンクロージャーに固定されるばね収容部と、前記ばね収容部に収容され一端が保持されるとともに他端の位置が前記固定部に近接する方向に向かって変位する弾性部材と、前記弾性部材の前記他端に設けられるボール部材と、を備え、
    前記弾性部材は、弾性力により前記ボール部材を前記固定部に当接させることによって前記スピーカエンクロージャーを所定の回転角度ごとに位置決めすることを特徴とする請求項2に記載のスピーカ装置。
  4. 前記固定部は、円板形状をなし、外周部分において周方向に沿って形成された複数の歯部が設けられ、
    前記弾性部材は、前記固定部の径方向の外側から前記ボール部材を前記歯部に係合させるとともに、前記スピーカエンクロージャーの回転に応じて異なる歯部に前記ボール部材を係合させることで位置決めすることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のスピーカ装置。
  5. 前記弾性部材と前記ボール部材との組が2組設けられ、前記弾性部材及び前記ボール部材の組の各々が、前記固定部の径方向において互いに対向する位置となることを特徴とする請求項4に記載のスピーカ装置。
  6. 前記クリック機構部は、前記スピーカエンクロージャーが所定の回転角度以上に回転するのを規制する規制部が設けられることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載のスピーカ装置。
  7. 前記クリック機構部は、前記スピーカエンクロージャーに内蔵されることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれかに記載のスピーカ装置。
  8. 前記支持部は、前記音響信号を前記スピーカユニットに供給するための音響ケーブルが前記基端部から前記先端部まで挿通可能な挿通孔が形成されることを特徴とする請求項2乃至請求項7のいずれかに記載のスピーカ装置。
  9. 請求項2乃至請求項8のいずれかに記載のスピーカ装置を複数台と、低音用のサブスピーカとを備えるとともに、複数の前記スピーカ装置の各々が異なるチャンネルの音響信号を再生することを特徴とするスピーカシステム。
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