JP2016051566A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高電位正極を用いた場合であっても、寿命特性に優れるリチウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】 正極、負極及び電解液を備え、前記正極は、正極活物質としてリチウムイオン導電性部材により被覆されたリチウム遷移金属酸化物を含む、リチウムイオン二次電池。前記リチウムイオン導電性部材の含有量が、全正極活物質重量を基準にして、0.1〜20質量%であると好ましい。前記電解液が、環状カーボネート及び鎖状カーボネートを含むと好ましい。前記負極は、負極活物質としてリチウムチタン複合酸化物を含むと好ましい。【選択図】 図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に関するものである。
今日、携帯電話、ノートパソコン、PDA等の移動情報端末の高機能化・小型化及び軽量化が急速に進展している。これらの端末の駆動電源として、高いエネルギー密度を有し、高容量であるリチウムイオン二次電池が広く利用されているが、近年、これらの機器の一層の高機能化に伴い、リチウムイオン二次電池の更なる高容量化が求められている。
また、更なる高エネルギー密度化のために、正極の作動電位をより高くして使用することが検討されている。
特許文献1には、正極活物質及び導電材の少なくとも一部が、リチウムイオン伝導性ガラスで被覆されることにより、自己放電及び高温放置時の電池の膨れが抑制される技術が開示されている。
特許文献2には、正極合剤層に、正極活物質と、無機リン酸塩を含有することで、耐久性を有しながら、高電圧で作動する技術が開示されている。
特開2003−173770号公報 特開2014−103098号公報
特許文献1に記載の技術は、ゾルゲル法を用いて、正極活物質及び導電材の両方にイオン伝導性ガラスを被覆するものである。
しかしながら、正極活物質及び導電材に両方にイオン伝導性ガラスを被覆した場合、電解液と正極間の界面抵抗が大きくなり、高速充放電特性が低下することが予想される。
一方、特許文献2に記載の技術は、正極活物質から金属イオンの溶出が抑えられ、高温サイクル寿命にすぐれる電池を得られるものである。
しかしながら、該電池では電解液と活物質が接触することに起因して、電解液の副反応が進行し充放電効率が低下することで、サイクルの経過に伴って放電容量が低下する。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、高電位正極を用いた場合であっても寿命特性に優れるリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らの鋭意検討の結果、正極、負極及び電解液を備え、前記正極は、正極活物質としてリチウムイオン導電性部材により被覆されたリチウム遷移金属酸化物を含むリチウムイオン二次電池とすることで、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明に係わるリチウムイオン二次電池は、正極、負極及び電解液を備え、前記正極活物質として、リチウムイオン導電性部材により被覆されたリチウム遷移金属酸化物を含むものである。
本発明に係るリチウムイオン二次電池によれば、優れた寿命特性を得ることができる。また、本発明に係るリチウムイオン二次電池によれば、優れた高速放電特性も得ることができる。
前記リチウムイオン導電性部材の成分は、Li1+xZrSixP3−x12またはLi1+xZr2−x/3SixP3−x12−2x/3(1.5<x<2.2)、Li1+xMxTi2−x(PO(M=Al、Sc、Y、またはLa、0≦x<2)、Li0.5−3x0.5+xTiO(M=La、Pr、Nd、またはSm、0≦x≦1/6)、LiSO、LiSiO、LiPO、LiGeO、LiVO、LiMoO、LiZrO、LiCO、LiO、SiO、ZrO、V、P、B、Al、TiO、ZnGeO、LiS、SiS、LiSe、SiSe、B、P、GeS、LiI、LiW、LiNbOからなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。この場合、更に優れた充放電特性を得ることができる。
電解液としては、環状カーボネート及び鎖状カーボネートを含むことが好ましい。
また、前記リチウムイオン導電性部材の含有量は、全正極活物質重量を基準にして、0.1〜20質量%であることが好ましい。この場合、更に優れた高速放電特性を得ることができる。
また、前記負極は、負極活物質としてリチウムチタン複合酸化物を含むことが好ましい。この場合、更に優れた寿命特性を得ることができる。
また、本発明に係るリチウムイオン二次電池において、正極の充電状態における電位が、リチウム基準で4.5V以上、5.1V以下であるであることが好ましい。この場合、高いエネルギー密度を得ることができる。
本発明によれば、高電位正極を用いた場合であっても、寿命特性に優れるリチウムイオン二次電池を提供できる。
本発明のリチウムイオン二次電池の一実施形態を示す斜視図である。 電極群を構成する正極板、負極板及びセパレータを示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
[正極活物質]
本実施の形態の正極活物質は、リチウム遷移金属酸化物と、これを被覆するリチウムイオン導電性部材から構成される。
以下、各成分について説明する。
[リチウム遷移金属酸化物]
リチウム遷移金属酸化物は、リチウムを挿入脱離、溶解析出可能であり、単独または2種以上混合したものを使用することができる。
前記リチウム遷移金属酸化物は、化学式LiMO、LiM(Mは少なくとも1種の遷移金属)で表される。また、前記リチウム遷移金属酸化物の1種であるマンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム等に含有されるMn、Ni、Co等の遷移金属の一部を1種又は2種以上の他の遷移金属で置換したリチウム遷移金属酸化物を用いることもできる。このようなリチウム遷移金属酸化物の具体例としては、例えば、LiNiMn2−X(0.3<X<0.7)、LiCo(1−Y)Ni(0<Y<0.5)が挙げられる。
さらに、前記リチウム遷移金属酸化物の遷移金属の一部をMg、Al等の金属元素(典型元素)で置換したものを用いることもできる。本発明においては、リチウム遷移金属酸化物の遷移金属の一部を金属元素(典型元素)で置換されたものもリチウム遷移金属酸化物と称する。
リチウム遷移金属酸化物の粒子の平均粒子径(一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子のメジアン径d50)は、次の範囲で調整可能である。範囲の下限は、1μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上であり、上限は、30μm以下、好ましくは25μm以下、より好ましくは15μm以下である。
本発明に係わる電解液は、高い電位でも安定であり、前記正極活物質を含む正極の充電状態における電位が、リチウム基準で4.5V以上、5.1V以下で使用するときにより有効であり、4.6V以上、5V以下で使用するときに特に有用である。
このような高電位が達成でき、且つ寿命特性にも優れる観点からは、LiNiMn2−X(0.3<X<0.7)で表されるリチウムニッケルマンガン酸が好ましい。前記リチウムニッケルマンガン酸は、ニッケル又はマンガンの一部が、他の金属で僅かに置換されていてもよい。
前記リチウムニッケルマンガン酸を正極活物質に用いる場合、リチウムニッケルマンガン酸の含有量は、高エネルギー密度の観点から、正極活物質の総量中、70〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましく、90〜100質量%であることがさらに好ましい。
[リチウムイオン導電性部材]
リチウムイオン導電性部材としては、具体的には、Li1+xZrSixP3−x12またはLi1+xZr2−x/3SixP3−x12−2x/3(1.5<x<2.2)、Li1+xMxTi2−x(PO(M=Al、Sc、Y、またはLa、0≦x<2)、Li0.5−3x0.5+xTiO(M=La、Pr、Nd、またはSm、0≦x≦1/6)、LiSO、LiSiO、LiPO、LiGeO、LiVO、LiMoO、LiZrO、LiCO、LiO、SiO、ZrO、V、P、B、Al、TiO、ZnGeO、LiS、SiS、LiSe、SiSe、B、P、GeS、LiI、LiW、LiNbO等が挙げられる。
前記リチウムイオン導電性部材の含有量は、充放電特性、保存特性及び高速放電特性の観点から、正極活物質全量を基準にして、0.1〜20質量%であることが好ましく、0.3〜10質量%であることがより好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
[電解液]
本実施の形態の電解液は、リチウム塩(電解質)と、これを溶解する溶媒から構成される。
発明に係わる溶媒は、環状カーボネート及び鎖状カーボネートを含むと好ましい。
以下、各成分について説明する。
[環状カーボネート]
環状カーボネートを構成するアルキレン基の炭素数は2〜6が好ましく、特に好ましくは2〜4である。環状カーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロエチレンカーボネート、トリフルオロエチレンカーボネート、テトラフルオロエチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート等が挙げられる。これらの中でも特に、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートが好ましい。
前記環状カーボネートの含有量は、寿命特性及び高速放電特性の観点から、溶媒全量を基準にして、20〜50体積%であることが好ましく、20〜45体積%であることがより好ましく、25〜40体積%であることが更に好ましい。
[鎖状カーボネート]
鎖状カーボネートとしては、ジアルキルカーボネートが好ましく、構成するアルキル基の炭素数は、それぞれ、1〜5が好ましく、特に好ましくは1〜4である。具体的には、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート等の対称鎖状カーボネート類;エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート等の非対称鎖状カーボネート類等のジアルキルカーボネートが挙げられる。中でも、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが好ましい。
前記鎖状カーボネートの含有量は、寿命特性及び高速放電特性の観点から、溶媒全量を基準にして、50〜80体積%であることが好ましく、55〜80体積%であることがより好ましく、60〜75体積%であることが更に好ましい。
本発明に係わる溶媒は、環状カーボネート及び鎖状カーボネート以外のその他の溶媒を含んでいてもよい。これらの溶媒として、鎖状エステル、環状エーテル、鎖状エーテル、窒素及び/又は硫黄を含有する複素環化合物、環状カルボン酸エステル、その他分子内に不飽和結合を有する化合物等が挙げられる。
以下に、その他の溶媒を例示する。
・鎖状エステル:酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル等が挙げられる。
・環状エーテル:テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等が挙げられる。
・鎖状エーテル:ジメトキシエタン、ジメトキシメタン等が挙げられる。
・窒素及び/又は硫黄を含有する複素環化合物:特に限定はないが、1−メチル−2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−ピロリジノン、1,5−ジメチル−2−ピロリジノン、1−エチル−2−ピロリジノン、1−シクロヘキシル−2−ピロリジノン等のピロリジノン類;3−メチル−2−オキサゾリジノン、3−エチル−2−オキサゾリジノン、3−シクロヘキシル−2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン類;1−メチル−2−ピペリドン、1−エチル−2−ピペリドン等のピペリドン類;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン等のイミダゾリジノン類;スルホラン、2−メチルスルホラン、3−メチルスルホラン等のスルホラン類;スルホレン;エチレンサルファイト、プロピレンサルファイト等のサルファイト類;1,3−プロパンスルトン、1−メチル−1,3−プロパンスルトン、3−メチル−1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1,3−プロペンスルトン、1,4−ブテンスルトン等のスルトン類等が挙げられる。
・環状カルボン酸エステル:特に限定はないが、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ヘキサラクトン、γ−ヘプタラクトン、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、γ−ドデカラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、α−エチル−γ−ブチロラクトン、α−プロピル−γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−バレロラクトン、α−エチル−γ−バレロラクトン、α,α−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α,α−ジメチル−γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−ヘキサラクトン、δ−オクタラクトン、δ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、δ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトン等が挙げられる。
・その他分子内に不飽和結合を有する化合物:ビニルエチレンカーボネート、ジビニルエチレンカーボネート、メチルビニルカーボネート、エチルビニルカーボネート、プロピルビニルカーボネート、ジビニルカーボネート、アリルメチルカーボネート、アリルエチルカーボネート、アリルプロピルカーボネート、ジアリルカーボネート、ジメタリルカーボネート等のカーボネート類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、メタクリル酸ビニル、酢酸アリル、プロピオン酸アリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル等のエステル類;ジビニルスルホン、メチルビニルスルホン、エチルビニルスルホン、プロピルビニルスルホン、ジアリルスルホン、アリルメチルスルホン、アリルエチルスルホン、アリルプロピルスルホン等のスルホン類;ジビニルサルファイト、メチルビニルサルファイト、エチルビニルサルファイト、ジアリルサルファイト等のサルファイト類;ビニルメタンスルホネート、ビニルエタンスルホネート、アリルメタンスルホネート、アリルエタンスルホネート、メチルビニルスルホネート、エチルビニルスルホネート等のスルホネート類;ジビニルサルフェート、メチルビニルサルフェート、エチルビニルサルフェート、ジアリルサルフェート等のサルフェート類などが挙げられる。
本発明で用いる環状カーボネート及び鎖状カーボネート以外のその他の溶媒は、溶媒全量を基準にして、0〜40体積%であり、好ましくは、0〜30体積%、より好ましくは、0〜20体積%である。
また、過充電防止剤、負極被膜形成剤、正極保護剤等の添加剤が電解液に含まれていてもよい。
前記過充電防止剤としては、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化物、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2−フルオロビフェニル、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化合物の部分フッ素化物;2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、2,6−ジフルオロアニソール、3,5−ジフルオロアニソール等の含フッ素アニソール化合物等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
前記負極皮膜形成剤としては、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物等が挙げられる。好ましくは、無水コハク酸、無水マレイン酸が挙げられる。これらは2種以上併用してもよい。
前記正極保護剤としては、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルサルファイト、ジエチルサルファイト、メタンスルホン酸メチル、ブスルファン、トルエンスルホン酸メチル、ジメチルサルフェート、ジエチルサルフェート、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジフェニルスルフィド、チオアニソール、ジフェニルジスルフィド等が挙げられる。好ましくは、メタンスルホン酸メチル、ブスルファン、ジメチルスルホンが挙げられる。これらは2種以上併用してもよい。
[電解質]
次に電解質について説明する。
電解質としては、リチウム塩が好ましく、リチウム塩としては、リチウムイオン二次電池用として使用可能なリチウム塩であれば特に制限はないが、例えば以下に示す無機リチウム塩、含フッ素有機リチウム塩やオキサラトボレート塩等が挙げられる。
・無機リウム塩:ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、LiAsF、LiSbF等の無機フッ化物塩;LiClO、LiBrO、LiIO等の過ハロゲン酸塩;LiAlCl等の無機塩化物塩等がある。
・含フッ素有機リチウム塩:LiCFSO等のパーフルオロアルカンスルホン酸塩;LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)等のパーフルオロアルカンスルホニルイミド塩;LiC(CFSO等のパーフルオロアルカンスルホニルメチド塩;Li[PF(CFCFCF)]、Li[PF(CFCFCF]、Li[PF(CFCFCF]、Li[PF(CFCFCFCF)]、Li[PF(CFCFCFCF]、Li[PF(CFCFCFCF]等のフルオロアルキルフッ化リン酸塩などがある。
・オキサラトボレート塩:リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート等がある。
これらは、1種を単独で使用しても、2種以上を任意の割合で併用してもよい。
これらの中でも、溶媒に対する溶解性、リチウムイオン二次電池に用いた場合の充放電特性、高速放電特性、寿命特性等を総合的に判断すると、ヘキサフルオロリン酸リチウムが好ましい。
リチウム塩の電解液中の濃度は、特に制限はないが、イオン導電率の観点から、0.5mol/L以上、好ましくは0.7mol/L以上、より好ましくは0.8mol/L以上である。また、その上限は、通常2.0mol/L以下、好ましくは1.6mol/L以下、より好ましくは1.5mol/L以下、特に好ましくは1.3mol/L以下である。
前記電解液は、上述した成分を混合して調製される。
[リチウムイオン二次電池]
次に、リチウムイオン二次電池について説明する。本発明のリチウムイオン二次電池は、上述したリチウムイオン二次電池用電解液と、正極である正極板と、負極である負極板と、前記正極板と前記負極板の間に介在するセパレータと、を備えるものである。
本発明の実施形態として、正極板と負極板とをセパレータを介して積層した積層型リチウムイオン二次電池について説明するが、本発明の実施形態はこれに制限されない。他の実施形態としては、例えば、正極板と負極板とをセパレータを介し積層してなる積層体を巻回した巻回形リチウムイオン二次電池等を挙げることができる。
(1)リチウムイオン二次電池の構成
図1は本発明のリチウムイオン二次電池の一実施形態を示す斜視図である。リチウムイオン二次電池10は、ラミネートフィルム6の電池容器内に、電極群20とリチウムイオン二次電池用電解液を収容したものであり、正極集電タブ2と負極集電タブ4を電池容器外に取り出すようにしている。
そして、図2に示すように、電極群20は正極集電タブ2を取り付けた正極板1、セパレータ5、及び負極集電タブ4を取り付けた負極板3を積層したものである。
なお、正極板1、負極板3、セパレータ5、電極群20及びリチウムイオン二次電池10の大きさ、形状等は任意のものとすることができ、図1及び図2に示されるものに限定されるわけではない。
(2)リチウムイオン二次電池用電解液
リチウムイオン二次電池の電池容器には、上述の電解液が収容されている。
(3)正極板
正極板は、通常、正極活物質層を設けた正極集電体である。
正極集電体の材料には制限はないが、正極集電体の材料としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、タンタル等の金属材料;カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料が挙げられる。中でも金属材料、特にアルミニウムが好ましい。
正極集電体は任意の形態のものでよい。例えば、正極集電体が金属材料の場合は、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等が挙げられる。正極集電体が炭素材料の場合は、炭素板、炭素薄膜、炭素円柱等が挙げられる。これらのうち、金属薄膜が好ましい。なお、薄膜はメッシュ状でもよい。薄膜の厚さは任意であるが、通常1μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、また、通常1mm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。薄膜がこの範囲よりも薄いと、正極集電体として必要な強度が不足する場合がある。逆に、薄膜がこの範囲よりも厚いと、取り扱い性が損なわれる場合がある。
正極活物質層は、正極活物質(リチウムイオン導電性部材により被覆されたリチウム遷移金属酸化物)及び結着材並びに必要に応じて正極用導電材等を含有する。
リチウムイオン導電性部材により被覆されたリチウム遷移金属酸化物は、圧縮せん断衝撃式の粒子複合化装置で作製することが好ましい。本装置を用いた場合において、せん断力(ロータ回転速度)を適切な範囲とすることで、リチウム遷移金属酸化物を破壊することなく、表面にリチウムイオン導電性部材を均一に被覆することができる。
リチウム遷移金属酸化物がリチウムイオン導電性部材により被覆されたことは、エネルギー分散型X線分光法(EDX、Energy dispersive X-ray spectrometry)で確認することができる。例えば、実施例1に示したリチウム遷移金属酸化物としてニッケルマンガン酸リチウム(LiNi0.5Mn1.5)とリチウムイオン導電性部材としてLi1.3Al0.3Ti1.7(POを重量比99:1となるように混合した場合、EDXによって加速電圧20kV、カウント数が5000以上として、正極活物質上に照準を合わせたEDXの点分析において、MnとNi量がそれぞれ、10及び2モル%以下の点は削除してその他の値を5点測定した平均値でPが0.2モル%以上であれば、被覆されているとみなすことができる。
Pの濃度は0.1モル%以上、好ましくは0.15モル%以上、より好ましくは0.2モル%以上である。また、その上限は、3モル%以下、好ましくは2.5モル%以下、より好ましくは2モル%以下である。Pの濃度が0.1モル%以上であると、均一に被覆されており、寿命特性が更に優れる。また、Pの濃度が3モル%以下であると、高いエネルギー密度が得られる。
Mnの濃度は8モル%以上、好ましくは9モル%以上、より好ましくは9モル%以上である。また、その上限は、30モル%以下、好ましくは27モル%以下、より好ましくは25モル%以下である。Mnの濃度がこの範囲よりも高いと、被覆が十分でなく、寿命特性が悪化する場合がある。逆に、Mnの濃度がこの範囲より低いと、エネルギー密度が低下する場合がある。
Niの濃度は2.3モル%以上、好ましくは2.5モル%以上、より好ましくは2.8モル%以上である。また、その上限は、14モル%以下、好ましくは12モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。Niの濃度がこの範囲よりも高いと、被覆が十分でなく、寿命特性が悪化する場合がある。逆に、Niの濃度がこの範囲より低いと、エネルギー密度が低下する場合がある。
リチウムイオン二次電池の電池容器には、上述の正極活物質が収容されている。
結着材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリレート系重合体、ポリイミド、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム等のゴム状高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、またはその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・αオレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体、等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。なお、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の割合で併用してもよい。正極の安定性の観点からは、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系高分子が好ましい。スチレンブタジエンゴムやアクリレート系重合体も好適に使用できる。
結着剤の含有量は、高速放電特性及び寿命特性の観点から、正極活物質の総量に対して、0.5〜10質量%が好ましく、1〜8質量%がより好ましく、2〜7質量%がさらに好ましい。
正極用導電材に制限はないが、正極用導電材としては、例えば、銅、ニッケル等の金属材料;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、アセチレンブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素材料等が挙げられる。なお、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の割合で併用してもよい。
前記正極用導電材を用いる場合の含有量は、高速放電特性及び寿命特性の観点から、正極活物質の総量に対して、1〜10質量%が好ましく、2〜8質量%がより好ましく、3〜7質量%が特に好ましい。
正極板は、正極集電体に正極活物質層を設けて作製してもよいし、正極集電体となる材料上に正極活物質層を設けて正極合材とし、これを適当な手段、例えば切断、で任意の形態として作製してもよい。正極活物質層を設ける方法としては、正極活物質及び結着材並びに必要に応じて正極用導電材等を乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着する方法、または、これらの材料をN−メチル−2−ピロリドン等の溶媒に溶解、分散させてスラリーとし、正極集電体に塗布して乾燥する方法(塗布法)が挙げられる。
塗布法の場合は、正極活物質の充填密度を上げるために、乾燥後、ハンドプレス、ローラープレス等により正極活物質層を圧密化することが好ましい。
(4)負極板
負極板は、通常、負極活物質層を設けた負極集電体である。
負極集電体の材料に制限はないが、負極集電体の材料としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられる。中でも加工し易さとコストの点から銅が負極集電体の材料として好ましい。
負極集電体は任意の形態のものでよい。例えば、負極集電体が金属材料の場合は、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル、パンチングメタル、発泡メタル等が挙げられる。中でも好ましくは金属薄膜、より好ましくは銅箔であり、さらに好ましくは圧延法による圧延銅箔又は電解法による電解銅箔である。銅箔の厚さが25μmよりも薄い場合は、純銅よりも強度の高い銅合金(リン青銅、チタン銅、コルソン合金、Cu−Cr−Zr合金等)を用いることができる。
負極活物質層は、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質(リチウムの挿入脱離が可能な負極活物質)及び結着材並びに必要に応じて負極用導電材等を含有する。
負極活物質としては、炭素材料、金属複合酸化物、リチウムと化合物を形成し結晶間隙に挿入されることでリチウムを吸蔵放出できる13族元素(ケイ素、ゲルマニウム、スズ等)の酸化物若しくは窒化物、リチウム金属、リチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、スズやケイ素等のリチウムと合金形成可能な金属等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の割合で併用してもよい。
金属複合酸化物は、リチウムを吸蔵放出可能であれば特に制限されないが、金属成分としてチタン及び/又はリチウムを含有していることが、充放電特性、特に高速放電特性の観点から好ましい。チタン及び/又はリチウムを含有している金属複合酸化物としては、例えば、リチウムチタン複合酸化物(LiTi12)が挙げられる。
前記リチウムチタン複合酸化物は、スピネル構造のリチウムチタン複合酸化物であることが好ましい。スピネル構造リチウムチタン複合酸化物の基本的な組成式は、Li[Li1/3Ti5/3]Oで表され、結晶構造をより安定させるために、スピネル構造リチウムチタン複合酸化物のLi又はTiサイトの一部をほかの金属で置換したもの、過剰のリチウムを結晶内に存在させたもの、又はOサイトの一部をほかの元素で置換したものを用いることもできる。置換させることのできる他の金属としては、F、B、Nb、V、Mn、Ni、Cu、Co、Zn、Sn、Pb、Al、Mo、Ba、Sr、Ta、Mg、Caを挙げることができる。これらは、1種又は2種以上の金属原子で置換することができる。
上記リチウムチタン複合酸化物の充電状態における電位は、Li/Liに対して1V以上、2V以下となることが好ましい。
リチウムチタン複合酸化物を負極活物質として用いる場合の含有量は、安全性と寿命特性を向上できる観点から、負極活物質の総量中、70〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましく、90〜100質量%であることが更に好ましい。
炭素材料としては、非晶質炭素、天然黒鉛、天然黒鉛に乾式のCVD(Chemical Vapor Deposition)法又は湿式のスプレイ法等で被膜を形成した複合炭素材料、エポキシやフェノール等の樹脂材料又は石油・石炭由来のピッチ系材料を焼成して得られる人造黒鉛、非晶質炭素材料等が挙げられる。
安全性の点からは、負極活物質としてリチウムチタン複合酸化物を用いるのが好ましい。
負極活物質としてリチウムチタン複合酸化物を用いる場合、リチウムチタン複合酸化物の含有量は、安全性と寿命特性を向上できる観点から、負極活物質の総量中、70〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましく、90〜100質量%であることがさらに好ましい。
また、負極活物質としてリチウムチタン複合酸化物を用いる場合、リチウムチタン複合酸化物のレーザー回折法によって求められる平均粒子径は、0.1〜50μmであることが好ましく、0.1〜20μmであることがより好ましく、0.2〜5μmであることが更に好ましい。チタン酸リチウムの平均粒子径とは、以下の方法により求められる値をいう。
純水中に1質量%となるようにリチウムチタン複合酸化物を投入し、超音波で15分間分散し、その後、レーザー回折法により測定される体積基準の累積分布が50%となる粒子径である。
負極活物質を結着する結着材としては、電解液や電極製造時に用いる溶媒に対して安定な材料であれば、特に制限はない。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリレート系重合体、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム等のゴム状高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、又はその水素添加物;エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・αオレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の割合で併用してもよい。ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系高分子、スチレンブタジエンゴム、アクリレート系重合体が好ましい。
結着剤の含有量は、高速放電特性及び寿命特性の観点から、負極活物質の総量に対して、0.5〜10質量%が好ましく、1〜8質量%がより好ましく、2〜6質量%がさらに好ましい。
負極用導電材としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、アセチレンブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素材料が挙げられる。なお、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の割合で併用してもよい。
前記負極用導電材を用いる場合の含有量は、高速放電特性及び寿命特性の観点から、負極活物質の総量に対して、1〜15質量%が好ましく、2〜12質量%がより好ましく、3〜10質量%がさらに好ましい。
負極板は、負極集電体に負極活物質層を設けて作製してもよいし、負極集電体となる材料上に負極活物質層を設けて負極合材とし、これを適当な手段、例えば切断、で任意の形態として作製してもよい。負極活物質層を設ける方法としては、負極活物質及び結着材並びに必要に応じて負極用導電材等をN−メチル−2−ピロリドン等の溶媒に溶解、分散させてスラリーとし、負極集電体に塗布して乾燥する方法が挙げられる。負極活物質の充填密度を上げるために、乾燥後、ハンドプレス、ローラープレス等により負極活物質層を圧密化することが好ましい。
(5)セパレータ
セパレータには、両極間を電子的に絶縁する所定の機械的強度を有し、イオン透過度が大きく、かつ、正極に接する側における酸化性と負極側における還元性への耐性を兼ね備える材料が使用される。
材料としては、通常樹脂材料が使用され、樹脂材料としては、オレフィン系ポリマー、例えば、ポリプロピレン及びポリエチレンが挙げられる。
セパレータは、電解液に対して安定で、保液性に優れた材料の中から選ぶのが好ましい。例えば、セパレータとしては、薄膜形状の多孔性フィルム、具体的には、ポリプロピレン及びポリエチレンの少なくとも一つを材料とする多孔性シート、が挙げられる。
薄膜形状の多孔性フィルムは、孔径0.01〜1μm、厚み15〜50μmのものが好ましい。また、その空孔率は、30〜50%が好ましく、35〜45%がより好ましい。
なお、セパレータは、1枚のセパレータでもよく、2枚以上のセパレータを積層したものでもよい。
(6)電池容器
電池容器は、電極群及びリチウムイオン二次電池用電解液を収容するものである。
電池容器の材料は、リチウムイオン二次電池用電解液に対して安定なものであれば特に制限されない。電池容器の材料としては、金属と樹脂の積層フィルム(ラミネートフィルム)が挙げられ、ラミネートフィルムには、アルミニウムをラミネートしたもの、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム/アルミニウム箔/シーラント層(ポリプロピレン等)の積層体、がある。
(7)リチウムイオン二次電池の作製
リチウムイオン二次電池は次のように作製する。
まず、正極板及び負極板に集電タブを取り付け、正極板、セパレータ及び負極板を積層して電極群とする。
次に、電極群を電池容器内に収容するとともに、この電池容器内にリチウムイオン電解液を注入する。
そして、集電タブを電池容器外に取り出すようにして、電池容器の開口部を閉塞する。
[正極活物質の作製]
(実施例1)
正極活物質のリチウム遷移金属酸化物として平均粒径が20μmのニッケルマンガン酸リチウム(LiNi0.5Mn1.5)とリチウムイオン導電性部材として平均粒径が2μmのLi1.3Al0.3Ti1.7(POを重量比99:1となるように混合した。ナノ粒子複合化装置ノビルタNOB-MINI(ホソカワミクロン株式会社製)を使用して、各材料を撹拌混合し、リチウム遷移金属酸化物の表面にリチウムイオン導電性部材を被覆した。このときのロータ回転速度は2000回転/分(rpm)とした。
(実施例2)〜(実施例6)及び(比較例1)
表1に示した組成にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして正極活物質を作製した。
(比較例2)
表1に示した組成に変更し、混合工程でアルミナ製のボールミルを使用して混合した以外は、実施例1と同様にして正極活物質を作製した。
[正極板の作製]
正極活物質として表2に示した正極活物質、正極用導電材としてアセチレンブラック、結着材としてポリフッ化ビニリデンをそれぞれ88:6:6の質量比で分散溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン中に分散させ混合しスラリーを作製した。このスラリーを正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔上に塗布し、乾燥して分散溶媒であるN−メチル−2−ピロリドンを蒸発・乾燥気化させた後、ロールプレスすることより電極密度2.5g・cm−3の正極合材を作製した。これを幅30mm、長さ45mmに切断して正極板とし、図2に示したようにこの正極板に正極集電タブを取り付けた。
[負極板の作製]
負極物質として平均粒径が1.2μmのリチウムチタン複合酸化物(LiTi12)、負極用導電材としてアセチレンブラック、結着材としてポリフッ化ビニリデンをそれぞれ87:8:5の質量比で分散溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン中に分散させ混合しスラリーを作製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ10μmの銅箔上に塗布し、乾燥して分散溶媒であるN−メチル−2−ピロリドンを蒸発・乾燥気化させた後、ロールプレスすることより電極密度1.7g・cm−3の負極合材を作製した。これを幅31mm、長さ46mmに切断して負極板とし、図2に示したようにこの負極板に負極集電タブを取り付けた。
[電解液の調製]
環状カーボネートとしてエチレンカーボネート(EC)と鎖状カーボネートとしてジメチルカーボネート(DMC)を体積比30:70で混合した溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を、電解液中の濃度が1mol/Lとなるように非水電解液を調製した。
[電極群の作製]
作製した正極板と負極板とを、厚さ30μm、幅35mm、長さ50mmのポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを介して対向させ、積層状の電極群を作製した。
[リチウムイオン二次電池の作製]
この電極群を、図1に示したように、アルミニウム製のラミネートフィルムで構成された電池容器内に収容させると共に、この電池容器内に、上述の調製した非水電解液を1ml注入後、上記の正極集電タブと負極集電タブとを外部に取り出すようにして電池容器の開口部を封口させて、実施例1〜6及び比較例1〜2のリチウムイオン二次電池を作製した。このリチウムイオン二次電池の設計放電容量は20mAhである。なお、アルミニウム製のラミネートフィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム/アルミニウム箔/シーラント層(ポリプロピレン等)の積層体である。
[形態観察・元素分析](モル%)
走査型電子顕微鏡(商品名JSM-6010LA、日本電子株式会社製)を使用し、上記で作製した正極活物質について、形態観察と元素分析を実施した。元素分析は装置に付属のエネルギー分散型X線分光法(EDX)を用いて、加速電圧20kV、カウント数が5000以上になるようにして測定した。
各正極活物質についてEDXを点分析にて実施した結果を表1に示した。モル%の値は、正極活物質上に照準を合わせたEDXの点分析において、MnとNi量がそれぞれ、10及び2モル%以下の点は削除してその他の値を5点測定した平均値とした。
[高速放電特性]
充放電装置HJ1001(商品名、北斗電工株式会社製)を使用し、上記で作製したリチウムイオン二次電池について、25℃で充電終止電圧3.4V、10時間率(電流値2mA)で定電流充電し、次いで充電電圧3.4Vで、終止条件が100時間率となる電流値(電流値0.2mA)で定電圧充電する定電流定電圧充電(この時の正極の電位は、4.95Vvs.Li/Liであった。)を行った後、放電終止電圧2.0Vで10時間率(電流値2mA)の定電流放電を行った。この充放電において、初回充電容量と初回放電容量を測定し、そして、前記条件で充放電を2回繰り返した。その後、10時間率(電流値2mA)の定電流充電後、放電終止電圧2.0V、1/5時間率(電流値100mA)の定電流放電を行い、このときの放電容量を測定した(1/5時間率放電容量という。)。
そして、以下の式から1/5時間率放電効率を算出した。この数値が大きい程、高速充放電特性に優れることを意味する。結果を表1に示した。
1/5時間率放電効率(%)=(1/5時間率放電容量/初回放電容量)×100(%)
ここで、1時間率とはリチウムイオン二次電池の定格容量を1時間で使いきる時の充電又は放電の速度を表す。10時間率では、1時間率の0.1倍、1/5時間率では1時間率の5倍に相当する大電流にて充電又は放電する速度である。
[寿命特性](サイクル容量維持率)
前記高速放電特性評価後、リチウムイオン二次電池を50℃の恒温槽内に入れ、充電終止電圧3.4V、1時間率(電流値20mA)で定電流充電し、次いで充電電圧3.4Vで、終止条件が100時間率となる電流値(電流値0.2mA)で定電圧充電する定電流定電圧充電を実施した後、放電終止電圧2.0V、10時間率(電流値2mA)の定電流放電を行った。この充放電を200回繰り返した。この後、リチウムイオン二次電池を25℃で充電終止電圧3.4V、10時間率(電流値2mA)で定電流充電し、次いで充電電圧3.4Vで、終止条件が100時間率となる電流値(電流値0.2mA)で定電圧充電する定電流定電圧充電を行った後、放電終止電圧2.0Vで10時間率(電流値2mA)の定電流放電を行った。このときの放電容量を測定し、これを「200サイクル後の放電容量」とした。
そして、以下の式からサイクル容量維持率を算出した。この数値が大きい程、寿命特性に優れることを意味する。結果を表1に示した。
サイクル容量維持率(%)=(200サイクル後の放電容量/初回放電容量)×100
Figure 2016051566
表1中、LNMOは、LiNi0.5Mn1.5、LATPはLi1.3Al0.3Ti1.7(PO、LPOはLiPOを表す。
表1により、正極にLi1.3Al0.3Ti1.7(PO、LiPOのいずれかを含む実施例1〜6、ではPが存在していることが分かる。このため、実施例1〜6ではリチウム遷移金属酸化物であるLiNi0.5Mn1.5の表面が、リチウムイオン導電性部材であるLi1.3Al0.3Ti1.7(PO、LiPOのいずれかで覆われていることを意味する。比較例2の形態も正極にLi1.3Al0.3Ti1.7(POを含むが、Pの存在を確認できない。このため、Li1.3Al0.3Ti1.7(POで表面が覆われていないことを意味する。
表1より、実施例1〜6のリチウムイオン二次電池は、サイクル容量維持率に優れることが分かる。
サイクル容量維持率に優れる理由は、リチウムイオン導電性部材層によってリチウム遷移金属酸化物と電解液が絶縁されることにより、電解液の分解による劣化が抑制されるためである。
それに対して、正極にリチウムイオン導電性部材であるLi1.3Al0.3Ti1.7(PO、LiPOのいずれも含まない比較例1のリチウムイオン二次電池は、サイクル容量維持率が劣る結果となった。
サイクル容量維持率が劣る理由は、リチウム遷移金属酸化物と電解液が接触し、副反応による電解液の分解が進行するためであると推測する。
また、正極にリチウムイオン導電性部材であるLi1.3Al0.3Ti1.7(POを単に混合し被覆していない、比較例2のリチウムイオン二次電池は、サイクル容量維持率が劣る結果となった。リチウム遷移金属酸化物と電解液が接触し、副反応による電解液の分解が進行するためであると推測する。
1…正極板、2…正極集電タブ、3…負極板、4…負極集電タブ、5…セパレータ、6…ラミネートフィルム、10…リチウムイオン二次電池、20…電極群。

Claims (6)

  1. 正極、負極及び電解液を備え、前記正極は、正極活物質としてリチウムイオン導電性部材により被覆されたリチウム遷移金属酸化物を含む、リチウムイオン二次電池。
  2. 前記リチウムイオン導電性部材の成分として、Li1+xZrSixP3−x12またはLi1+xZr2−x/3SixP3−x12−2x/3(1.5<x<2.2)、Li1+xMxTi2−x(PO(M=Al、Sc、Y、またはLa、0≦x<2)、Li0.5−3x0.5+xTiO(M=La、Pr、Nd、またはSm、0≦x≦1/6)、LiSO、LiSiO、LiPO、LiGeO、LiVO、LiMoO、LiZrO、LiCO、LiO、SiO、ZrO、V、P、B、Al、TiO、ZnGeO、LiS、SiS、LiSe、SiSe、B、P、GeS、LiI、LiW、LiNbOからなる群より選択される少なくとも一種を含む請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記電解液が、環状カーボネート及び鎖状カーボネートを少なくとも含む請求項1又は請求項2に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 前記リチウムイオン導電性部材の含有量が、全正極活物質重量を基準にして、0.1〜20質量%である請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
  5. 前記負極は、負極活物質としてリチウムチタン複合酸化物を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
  6. 前記正極の充電状態における電位が、リチウム基準で4.5V以上、5.1V以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
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