JP2016050129A - ガラス、ガラス樹脂積層体、機能性ガラス樹脂積層体、機能性ガラス樹脂積層体の製造方法および機能性樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】樹脂フィルムをガラス上に設けた後に所定の処理を実施した際に、樹脂フィルムとガラスの積層体のある方向の反りを抑制することができる機能性樹脂フィルムの製造方法を提供する。また、当該製造方法を実現するためのガラス、および当該ガラス上に樹脂フィルムを設けられたガラス樹脂積層体と、当該ガラス樹脂積層体上にパターンが形成された機能性ガラス樹脂積層体、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】略多角形状である第1面と、該第1面に対向する第2面と、該第1面の形成する略多角形の頂点にあたるコーナー部とを有するガラスであって、該第1面は凸面であり、該第1面が下を向くように該ガラスを平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法により測定した該コーナー部の各隙間の平均値が0.20mm以上であるガラスである。
【選択図】図4
【解決手段】略多角形状である第1面と、該第1面に対向する第2面と、該第1面の形成する略多角形の頂点にあたるコーナー部とを有するガラスであって、該第1面は凸面であり、該第1面が下を向くように該ガラスを平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法により測定した該コーナー部の各隙間の平均値が0.20mm以上であるガラスである。
【選択図】図4
Description
本発明は、機能性樹脂フィルムの製造方法に関し、また、当該機能性樹脂フィルムの製造方法を実現するためのガラス、および当該ガラス上に樹脂フィルムを設けられたガラス樹脂積層体に関し、さらには、当該ガラス樹脂積層体上にパターンが形成された機能性ガラス樹脂積層体、およびその製造方法に関する。
近年、携帯電話、スマートフォンおよびタブレット端末などといった電子デバイス(電子機器)には静電容量式タッチセンサが設けられたものが増えている。このような電子デバイスに用いられる静電容量式タッチセンサ付きディスプレイパネルの方式は、基板上に設けられたタッチセンサのさらに上に別のカバーガラス等を設ける方式と、基板を設けずにカバーガラス等に直接タッチセンサを設ける方式の2種類に大別される。後者は特にタッチセンサ一体型と呼ばれ、ディスプレイ装置の薄型化、軽量化および製造工程の単純化につながっている。
タッチセンサ一体型として一般的に用いられているものは、タッチセンサをカバーガラスに設けるもの(One Glass Solution/Substrate,OGS)であるが、近年、カバーガラスの代わりに樹脂フィルムを用いるもの(One Film Solution/Substrate,OFS)が検討されてきている。樹脂フィルムはガラスと比較してより軽量でかつ柔軟であり、従来とは異なる用途への応用が期待されている。
しかしながら、このような樹脂フィルムはガラスと比較して剛性が低く、軽量であるため、電子デバイスの製造工程におけるハンドリング性が低下する。同様の課題は樹脂フィルムのみでなく、板厚の薄いガラスにおいても従来から知られている。例えば、特許文献1〜6には、薄板ガラスを他の支持ガラス基板と貼り合わせた後、表示装置を製造するための所定の処理を実施し、当該処理の終了後に薄板ガラスと支持ガラス基板とを分離することで表示装置を製造する方法が開示されている。支持ガラス基板は、薄板ガラスと剥離可能に密着される。薄板ガラスから分離された支持ガラス基板は、新たなガラス等と積層されることで再利用することが可能である。
しかしながら、特許文献1〜6に記載の方法はいずれも薄板ガラスのハンドリング性向上に関するものであり、本発明者は、同様の方法を用いて樹脂フィルムを製造すると、樹脂フィルムの品質を損ねることを見出した。例えば、樹脂フィルムの製造工程において樹脂フィルムを支持ガラス基板(以下、キャリアガラスともいう)上に設けた後、所定の処理を実施したところ、樹脂フィルムおよびキャリアガラスが載置された定盤上で下に凸に反ってしまうことがあった。
本発明者は、上記原因について検討を行ったところ、所定の処理において樹脂フィルムが重合などの化学反応や熱による変成を起こした場合、樹脂フィルムが収縮し、結果としてキャリアガラスの当該樹脂フィルムが設けられている面が圧縮応力を受けるために、下に凸に反りが生じることを見出した。また、特に樹脂フィルムの面積が大きくなるほど、反りも大きくなることを見出した。このように定盤上で下に凸に反りが生じてしまうと、所定の処理において樹脂フィルムを設けたキャリアガラスを固定するために真空吸着しようとしても、正しく吸着されず定盤上に固定されなくなる。真空吸着の方法では、平坦か少なくとも定盤上で上に凸のガラスでないと吸着が難しいためである。これにより、タッチセンサ用のパターン等が正確に形成されず、結果として品質の劣化や歩留まりの低下を引き起こすこととなる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、樹脂フィルムをガラス上に設けた後に所定の処理を実施した際に、樹脂フィルムとガラスの積層体のある方向の反りを抑制することができる機能性樹脂フィルムの製造方法を提供することを目的とする。また、当該製造方法を実現するためのガラス、および当該ガラス上に樹脂フィルムを設けられたガラス樹脂積層体と、当該ガラス樹脂積層体上にパターンが形成された機能性ガラス樹脂積層体、およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明を完成した。すなわち、本発明は以下の通りである。
<1> 略多角形状である第1面と、該第1面に対向する第2面と、該第1面の形成する略多角形の頂点にあたるコーナー部とを有するガラスであって、該第1面は凸面であり、該第1面が下を向くように該ガラスを平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法により測定した該コーナー部の各隙間の平均値が0.20mm以上であるガラス。
<2> 該第1面が上を向くように該ガラスを平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法により測定した該コーナー部の各隙間の平均値が0.05mm以下である<1>のガラス。
<3> 該第1面が第1の圧縮応力層を有し、該第2面が第2の圧縮応力層を有し、該第1の圧縮応力層の圧縮強度S1と該第2の圧縮応力層の圧縮強度S2が、S1>S2を満たす<1>または<2>のガラス。
<4> アルミノシリケートガラスである<1>〜<3>のいずれか1のガラス。
<5> 化学強化されてなる<1>〜<4>のいずれか1のガラス。
<6> 線膨張係数が70×10−7K−1以上である<1>〜<5>のいずれか1のガラス。
<7> 板厚が1.0mm以下である<1>〜<6>のいずれか1のガラス。
<8> <1>〜<7>のいずれか1の該ガラスと、該第1面上に設けられる樹脂フィルムと、を有するガラス樹脂積層体。
<9> 略多角形状である第1面と、該第1面に対向する第2面と、該第1面の形成する略多角形の頂点にあたるコーナー部とを有するガラスと、該第1面上に設けられる樹脂フィルムと、を有する機能性ガラス樹脂積層体であって、該樹脂フィルムの表面上に少なくとも1つのタッチセンサ用パターンまたは色パターンが設けられ、該第1面が上を向くように該機能性ガラス樹脂積層体を平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法により測定した該コーナー部の各隙間の平均値が0.20mm以下である機能性ガラス樹脂積層体。
<10> 該第1面が第1の圧縮応力層を有し、該第2面が第2の圧縮応力層を有し、該第1の圧縮応力層の圧縮強度S1と該第2の圧縮応力層の圧縮強度S2が、S1>S2を満たす<9>の機能性ガラス樹脂積層体。
<11> 該第1面が凸面である<9>または<10>の機能性ガラス樹脂積層体。
<12> 該ガラスと該樹脂フィルムの間に粘着層を有する<9>〜<11>のいずれか1に記載の機能性ガラス樹脂積層体。
<13> 該第1面が下を向くように該機能性ガラス樹脂積層体を平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法により測定した該コーナー部の各隙間の平均値が0.80mm以下である<9>〜<12>のいずれか1に記載の機能性ガラス樹脂積層体。
<14> <1>〜<7>のいずれか1のガラスの該第1面上に樹脂フィルムを設ける積層工程と、該樹脂フィルムの該第1面に面しない表面上に少なくとも1つのタッチセンサ用パターンまたは色パターンを形成するパターン形成工程と、を有する機能性ガラス樹脂積層体の製造方法。
<15> 該積層工程において、該樹脂フィルムは、樹脂組成物層が該ガラスの該第1面上に形成された後硬化されることで設けられる<14>の機能性ガラス樹脂積層体の製造方法。
<16> 該積層工程において、該樹脂フィルムと該第1面との間に粘着層を設ける<14>の機能性ガラス樹脂積層体の製造方法。
<17> <14>〜<16>のいずれか1の方法により製造された機能性ガラス樹脂積層体から、該ガラスを剥離して機能性樹脂フィルムを得る剥離工程を有する機能性樹脂フィルムの製造方法。
<1> 略多角形状である第1面と、該第1面に対向する第2面と、該第1面の形成する略多角形の頂点にあたるコーナー部とを有するガラスであって、該第1面は凸面であり、該第1面が下を向くように該ガラスを平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法により測定した該コーナー部の各隙間の平均値が0.20mm以上であるガラス。
<2> 該第1面が上を向くように該ガラスを平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法により測定した該コーナー部の各隙間の平均値が0.05mm以下である<1>のガラス。
<3> 該第1面が第1の圧縮応力層を有し、該第2面が第2の圧縮応力層を有し、該第1の圧縮応力層の圧縮強度S1と該第2の圧縮応力層の圧縮強度S2が、S1>S2を満たす<1>または<2>のガラス。
<4> アルミノシリケートガラスである<1>〜<3>のいずれか1のガラス。
<5> 化学強化されてなる<1>〜<4>のいずれか1のガラス。
<6> 線膨張係数が70×10−7K−1以上である<1>〜<5>のいずれか1のガラス。
<7> 板厚が1.0mm以下である<1>〜<6>のいずれか1のガラス。
<8> <1>〜<7>のいずれか1の該ガラスと、該第1面上に設けられる樹脂フィルムと、を有するガラス樹脂積層体。
<9> 略多角形状である第1面と、該第1面に対向する第2面と、該第1面の形成する略多角形の頂点にあたるコーナー部とを有するガラスと、該第1面上に設けられる樹脂フィルムと、を有する機能性ガラス樹脂積層体であって、該樹脂フィルムの表面上に少なくとも1つのタッチセンサ用パターンまたは色パターンが設けられ、該第1面が上を向くように該機能性ガラス樹脂積層体を平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法により測定した該コーナー部の各隙間の平均値が0.20mm以下である機能性ガラス樹脂積層体。
<10> 該第1面が第1の圧縮応力層を有し、該第2面が第2の圧縮応力層を有し、該第1の圧縮応力層の圧縮強度S1と該第2の圧縮応力層の圧縮強度S2が、S1>S2を満たす<9>の機能性ガラス樹脂積層体。
<11> 該第1面が凸面である<9>または<10>の機能性ガラス樹脂積層体。
<12> 該ガラスと該樹脂フィルムの間に粘着層を有する<9>〜<11>のいずれか1に記載の機能性ガラス樹脂積層体。
<13> 該第1面が下を向くように該機能性ガラス樹脂積層体を平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法により測定した該コーナー部の各隙間の平均値が0.80mm以下である<9>〜<12>のいずれか1に記載の機能性ガラス樹脂積層体。
<14> <1>〜<7>のいずれか1のガラスの該第1面上に樹脂フィルムを設ける積層工程と、該樹脂フィルムの該第1面に面しない表面上に少なくとも1つのタッチセンサ用パターンまたは色パターンを形成するパターン形成工程と、を有する機能性ガラス樹脂積層体の製造方法。
<15> 該積層工程において、該樹脂フィルムは、樹脂組成物層が該ガラスの該第1面上に形成された後硬化されることで設けられる<14>の機能性ガラス樹脂積層体の製造方法。
<16> 該積層工程において、該樹脂フィルムと該第1面との間に粘着層を設ける<14>の機能性ガラス樹脂積層体の製造方法。
<17> <14>〜<16>のいずれか1の方法により製造された機能性ガラス樹脂積層体から、該ガラスを剥離して機能性樹脂フィルムを得る剥離工程を有する機能性樹脂フィルムの製造方法。
本発明によれば、樹脂フィルムをキャリアガラス上に設けた後に所定の処理を実施した際に、樹脂フィルムとキャリアガラスの積層体の反りを抑制することができる
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、以下の実施形態に限定されることはない。また、本発明の範囲を逸脱することなく、以下の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
以下に、機能性ガラス樹脂積層体の製造方法および機能性樹脂フィルムの製造方法について、各工程順に説明する。
[機能性ガラス樹脂積層体の製造方法]
図1は、本発明の機能性ガラス樹脂積層体の製造方法の一実施形態における製造工程を示すフローチャートである。図1に示すように、本発明の機能性ガラス樹脂積層体の製造方法は、積層工程S12およびパターン形成工程S14を備える。パターン形成工程においては複数のパターンを形成してもよい。
図1は、本発明の機能性ガラス樹脂積層体の製造方法の一実施形態における製造工程を示すフローチャートである。図1に示すように、本発明の機能性ガラス樹脂積層体の製造方法は、積層工程S12およびパターン形成工程S14を備える。パターン形成工程においては複数のパターンを形成してもよい。
[機能性樹脂フィルムの製造方法]
図2には、本発明の機能性ガラス樹脂積層体の製造方法、および機能性樹脂フィルムの製造方法のいくつかの実施形態を示す。
図2には、本発明の機能性ガラス樹脂積層体の製造方法、および機能性樹脂フィルムの製造方法のいくつかの実施形態を示す。
以下に、各工程で使用される材料およびその手順について詳述する。まず、積層工程S12について詳述する。
[積層工程]
積層工程S12は、第1面および第2面を有する支持ガラス基板10(以下、キャリアガラス10という)上に、樹脂組成物からなる樹脂フィルムまたは樹脂層を積層して、ガラス樹脂積層体を得る工程である。
積層工程S12は、第1面および第2面を有する支持ガラス基板10(以下、キャリアガラス10という)上に、樹脂組成物からなる樹脂フィルムまたは樹脂層を積層して、ガラス樹脂積層体を得る工程である。
キャリアガラス10上に樹脂フィルムまたは樹脂層を積層する方法は、一般的なものであってよいが、主として2つの態様が存在する。一つには、キャリアガラス10の表面と樹脂フィルムの間に粘着層を介して樹脂フィルムを載置する接着工程S121と、該粘着層を硬化させる粘着層硬化工程S122を有する態様が挙げられる。他の態様としては、キャリアガラス10の表面上に樹脂組成物を塗布して、未硬化の樹脂組成物層(以下、単に樹脂層ともいう)を形成する樹脂層形成工程S123と、該樹脂層を硬化させる樹脂層硬化工程S124を有する態様が存在する。しかしながら、積層工程S12の態様は上記のものに限られず、公知のガラス上に樹脂フィルムまたは樹脂層を積層する方法が利用可能である。
キャリアガラス10として既に一度樹脂フィルムや樹脂層を積層したものを再利用する場合、積層工程S12の前には、後述する剥離工程S16においてキャリアガラスの表面に存在する樹脂フィルム、樹脂層あるいは粘着層を剥離剤で処理することが好ましい。該剥離工程S16を実施することにより、樹脂フィルムと剥離容易に密着するキャリアガラス10を得ることができる。なお、剥離容易とは、後述するガラス樹脂積層体から樹脂フィルムを剥離するための外力を加えた場合、キャリアガラスと粘着層の界面で剥離することも、樹脂フィルム内部または粘着層内部で剥離することもなく、樹脂フィルムと粘着層の界面あるいは樹脂フィルムとキャリアガラス10の界面で剥離しやすいことを意味する。
まず、積層工程S12で使用されるキャリアガラスについて詳述し、その後該積層工程S12の手順について、接着工程S121および粘着層硬化工程S122を有するものと、樹脂層形成工程S123および樹脂層硬化工程S124を有するものについて、それぞれ詳述する。
(キャリアガラス)
キャリアガラス10は、第1面および該第1面と対向する第2面を有するガラス基板である。キャリアガラスは、その第1面を剥離剤などによって表面処理されてもよい。
キャリアガラス10は、第1面および該第1面と対向する第2面を有するガラス基板である。キャリアガラスは、その第1面を剥離剤などによって表面処理されてもよい。
キャリアガラス10の反りの程度は、隙間ゲージ法により測定することができる。隙間ゲージ法による隙間の測定は、次のようにして行われる。まず、測定対象である略多角形状の表面を有するキャリアガラス10を、反りの存在しない平坦かつ水平な定盤上に載置する。次に、キャリアガラス10の略多角形状の頂点にあたる部分(以下、コーナー部という)と該定盤との隙間の距離を隙間ゲージにより測定する。コーナー部は、割れを防止するために斜めにカットされていてもよい。また、コーナー部は同様の理由で丸みを帯びていてもよいが、その場合コーナー部は略多角形状の輪郭において最も曲率半径の小さい部分である。ガラス隙間ゲージはJIS B 7524の規格に適合したものであれば任意のものを利用可能であり、0.01mmを最小単位として隙間を測定できる。
本実施形態のキャリアガラス10は、第1面が凸面であり、第1面が下を向くようにキャリアガラス10を平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法により測定したコーナー部の各隙間の平均値が0.20mm以上であることが好ましい。ここで、キャリアガラス10の凸面が明確でない場合、キャリアガラス10の両面につきそれぞれ下を向くように載置して測定し、測定された各隙間の平均値がより大きくなる場合に下を向いている表面を凸面(すなわち第1面)とみなす。このようなキャリアガラス10には、反りが発生している。このような反りの発生しているキャリアガラス10を用いることで、後述する積層工程S12およびパターン形成工程S14において平坦かつ水平な定盤上でガラス樹脂積層体が下に凸に反り、真空吸着できなくなることを抑制することができる。また、本実施形態のキャリアガラス10は、第1面が下を向くようにキャリアガラス10を平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法により測定したコーナー部間の中間地点(以下、辺部という)の各隙間の平均値が0.10mm以上であることがより好ましい。
さらには、本実施形態のキャリアガラス10は、第1面が下を向くようにキャリアガラス10を平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法により測定したコーナー部の各隙間の平均値が1.0mm以下であることが好ましい。キャリアガラス10の反りの程度が大きすぎると、パターン形成工程S14において平坦かつ水平な定盤上に真空吸着できなくなるおそれがある。同様に、本実施形態のキャリアガラス10は、第1面が下を向くようにキャリアガラス10を平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法により測定した辺部の各隙間の平均値が0.50mm以下であることがより好ましい。
また、キャリアガラス10の第1面が上を向くようにキャリアガラス10を平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法により測定したコーナー部の各隙間の平均値が0.05mm以下であることが好ましい。反りがキャリアガラス10の表面全域にわたり均一に発生しているためである。
本実施形態のキャリアガラス10の組成は一般的なものであってよいが、例えばアルミノシリケートガラスのような、アルカリ元素を含有するガラスであることが好ましい。アルミノシリケートガラスとしては、例えばDragontrail(登録商標)やDragontrail Xが挙げられる。アルカリ元素を含有するガラスは、化学強化処理を行われることにより、少なくともガラスの第1面に第1の圧縮応力層が形成され、その破壊強度を高めることができる。
また、本実施形態におけるキャリアガラス10は、ガラスの第1面に対向する第2面にも第2の圧縮応力層を有し、キャリアガラス10の第1の圧縮応力層の圧縮強度が第2の圧縮応力層の圧縮強度よりも大きいことが好ましい。すなわち、第1の圧縮応力層の圧縮強度をS1、第2の圧縮応力層の圧縮強度をS2としたとき、S1>S2を満たすことが好ましい。第2面は凸面であるガラスの第1面に対向するため、凹面である。このようなキャリアガラス10は、第1面と第2面で圧縮強度が異なることに起因した、第1面が凸面となるような反りを生じるため、隙間ゲージ法で測定するとコーナー部および辺部に隙間が生じやすい。
圧縮強度(Compressive Strength)とは、ガラスの表面付近に残留する圧縮方向の力の度合いを表すパラメータであり、次の数1に表される関係式により求めることができる。ここで、DOLはガラスの表面から圧縮応力が0になる地点までの深さ(以下、圧縮応力深さともいう)であり、y=f(t)はガラス表面からの深さtを変数として圧縮応力yを出力する関数である。
図3は、化学強化処理されたガラスの厚み方向における応力プロファイルの一例である。斜線部の面積は、圧縮強度に相当する。一般的な化学強化処理を行われたガラスの場合、このような応力プロファイルを有するため、圧縮強度は1/2×(表面圧縮応力)×(圧縮応力深さ)で近似できる。すなわち、キャリアガラス10の第1の圧縮応力層と第2の圧縮応力層との圧縮強度の大小は、それぞれの圧縮応力層の圧縮応力深さ(DOL)と表面圧縮応力(CS)から近似的に知ることができる。
第1面と第2面の圧縮強度の比が同等であれば、キャリアガラス10のサイズが異なったとしても、第1面が下を向くようにキャリアガラス10を平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法により測定したコーナー部の各隙間の平均値に大差はない。これは、キャリアガラス10のサイズが大きいほど、キャリアガラス10を載置した際に重力による反りの抑制が起こるため、定盤とキャリアガラス10との隙間はコーナー部に近い部分にしか生じないからである。
キャリアガラス10は耐薬品性、耐透湿性に優れた組成であることが好ましい。
さらに、キャリアガラス10の線膨張係数は70×10−7K−1以上であることが好ましい。線膨張係数としては、JIS R 3102(1995年改正)に規定されている線膨張係数が用いられる。キャリアガラス10の線膨張係数は、80×10−7K−1以上であることがより好ましく、85×10−7K−1以上であることがさらに好ましく、90×10−7K−1以上であることが最も好ましい。キャリアガラス10の線膨張係数が小さいと、キャリアガラス10に樹脂フィルム24が積層され後述するパターン形成工程S14において加熱された際などに、樹脂フィルム24との線膨張係数の差によって、ガラス樹脂界面の整合性が悪化するおそれがある。
キャリアガラス10の材料である板状ガラス基板は、ガラス原料を溶融し、溶融ガラスを板状に成形して得られる。このような成形方法は、一般的なものであってよく、例えば、フロート法、フュージョン法、スロットダウンドロー法、フルコール法、ラバース法などが用いられる。また、特に厚さが薄いガラス基板は、いったん板状に成形したガラスを成形可能温度に加熱し、延伸などの手段で引き伸ばして薄くする方法(リドロー法)で成形して得られる。板状ガラス基板の成形方法としては、フロート法が好ましい。フロート法により成形された板状ガラス基板を用いたキャリアガラス10は、第1面と第2面の化学強化された際に第1の圧縮応力層の圧縮強度が第2の圧縮応力層の圧縮強度よりも大きくなりやすい。
キャリアガラス10の厚さは、特に限定されないが、薄型化および/または軽量化の観点から、また、反りを生じさせることの容易性の観点から、通常1.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.80mm以下である。1.0mm超の場合、キャリアガラス10の薄型化および/または軽量化の要求を満たせず、反りを生じさせることも容易でなくなる。また、キャリアガラス10の厚さは、樹脂フィルムまたは樹脂層を設けた状態で一定以上の剛性を有する必要があることなどの理由から、0.10mm以上であることが好ましい。
なお、キャリアガラス10は2層以上からなっていてもよく、この場合、各々の層を形成する材料は同種材料であってもよいし、異種材料であってもよい。また、この場合、「キャリアガラス10の厚さ」は全ての層の合計の厚さを意味するものとする。
また、キャリアガラス10の一方の表面には、他の層状材料が積層されていてもよい。例えば、キャリアガラス10の強度を補強するために、樹脂層などが積層されていてもよく、酸化インジウム錫や酸化ケイ素などの無機物薄膜層が積層されていてもよい。
[接着工程]
接着工程および後述の粘着層硬化工程は、キャリアガラス10上に樹脂フィルムまたは樹脂層を積層する第1の実施形態である。接着工程S121は、キャリアガラス10の表面と樹脂組成物からなる樹脂フィルム14の間に粘着性組成物からなる粘着層12を介して樹脂フィルム14を載置する工程である。より具体的には、図4(A)〜(C)または図5(A)〜(C)に示すように、キャリアガラス10の表面と樹脂組成物からなる樹脂フィルム14の間に粘着性組成物からなる粘着層12を介して樹脂フィルム14を載置する。粘着層12はキャリアガラス10の表面と、樹脂フィルム14は粘着層12と、それぞれ隙間を空けることなく接している。
接着工程および後述の粘着層硬化工程は、キャリアガラス10上に樹脂フィルムまたは樹脂層を積層する第1の実施形態である。接着工程S121は、キャリアガラス10の表面と樹脂組成物からなる樹脂フィルム14の間に粘着性組成物からなる粘着層12を介して樹脂フィルム14を載置する工程である。より具体的には、図4(A)〜(C)または図5(A)〜(C)に示すように、キャリアガラス10の表面と樹脂組成物からなる樹脂フィルム14の間に粘着性組成物からなる粘着層12を介して樹脂フィルム14を載置する。粘着層12はキャリアガラス10の表面と、樹脂フィルム14は粘着層12と、それぞれ隙間を空けることなく接している。
まず、接着工程で使用される粘着性組成物、粘着層および樹脂フィルムについて詳述し、その後該接着工程S121の手順について詳述する。
(粘着性組成物)
粘着性組成物中に含まれる樹脂としては、粘着層が対象物に対して剥離可能に接着できればよく、この種の液晶表示パネル用部材の製造に一般的に用いられている公知の粘着性組成物を使用することができる。例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。粘着性組成物は、いくつかの種類のモノマーが重合した共重合体樹脂(コポリマー)でもよく、いくつかの種類の樹脂を混合してもよい。中でもアクリル樹脂や、シリコーン樹脂が、耐熱性や剥離性、透明性に優れるため好ましい。
粘着性組成物中に含まれる樹脂としては、粘着層が対象物に対して剥離可能に接着できればよく、この種の液晶表示パネル用部材の製造に一般的に用いられている公知の粘着性組成物を使用することができる。例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。粘着性組成物は、いくつかの種類のモノマーが重合した共重合体樹脂(コポリマー)でもよく、いくつかの種類の樹脂を混合してもよい。中でもアクリル樹脂や、シリコーン樹脂が、耐熱性や剥離性、透明性に優れるため好ましい。
(粘着層)
粘着層は粘着性組成物のみにより構成されてもよいが、粘着層が対象物に対して剥離可能に接着できればそれ以外の成分を含んでいてもよい。例えば、溶媒に可溶な粘着性組成物を該溶媒とともに混合し粘着層としてもよい。また、市販の粘着テープや粘着シートを用いてもよい。
粘着層は粘着性組成物のみにより構成されてもよいが、粘着層が対象物に対して剥離可能に接着できればそれ以外の成分を含んでいてもよい。例えば、溶媒に可溶な粘着性組成物を該溶媒とともに混合し粘着層としてもよい。また、市販の粘着テープや粘着シートを用いてもよい。
粘着層は必ずしも対象物の全面に接していなくてもよく、粘着層が対象物に対して剥離可能に接着できれば、対象物の一部のみに接していてもよい。また、粘着層12を設ける場合、キャリアガラス10と樹脂フィルム14とが積層する部分のうち、最も外側の部分からの距離が10mmの範囲内に設けられることが好ましい。該距離を短くすることで樹脂フィルム14の剥離ならびにキャリアガラス10の破損を効果的に抑制できる。また、後述するパターン形成工程S14における樹脂フィルムの反りも、効果的に低減できる。キャリアガラス10と樹脂フィルム14とが積層する部分のうち、最も外側の部分からの距離は、5mmの範囲内がより好ましく、3mmの範囲内がさらに好ましい。
(樹脂フィルム)
樹脂フィルム14の材質は絶縁性の高い樹脂材料であればよく、例えば、結晶性の熱可塑性樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル、フッ素樹脂もしくはシンジオタクティックポリスチレン等が挙げられる。
樹脂フィルム14の材質は絶縁性の高い樹脂材料であればよく、例えば、結晶性の熱可塑性樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル、フッ素樹脂もしくはシンジオタクティックポリスチレン等が挙げられる。
また、非結晶性の熱可塑性樹脂材料としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、ポリメチルメタクリレートに代表されるアクリル樹脂、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリシクロヘキセン、環状オレフィンコポリマー樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のフィルムが挙げられる。特に非結晶性の樹脂フィルムが好ましい。また、熱可塑性の樹脂フィルムが好ましい。
さらに熱硬化性樹脂であるポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、もしくはポリエーテルニトリル等が挙げられる。
樹脂フィルム14は、いくつかの種類のモノマーが重合した共重合体樹脂(コポリマー)でもよく、いくつかの種類の樹脂を混合してもよい。樹脂フィルム14は耐熱性や可撓性を有することが好ましい。
樹脂フィルム14の厚さは特に限定されないが、1〜500μmであることが好ましく、20〜200μmであることがより好ましく、25〜180μmであることがさらに好ましい。樹脂フィルム14の厚さがこのような範囲であると、樹脂フィルム14とキャリアガラス10との密着が十分になるからである。また、樹脂フィルム14の厚さが厚すぎると、形成するのに時間および材料を要するため経済的ではない。
なお、樹脂フィルム14は2層以上からなっていてもよい。この場合「樹脂フィルム14の厚さ」は全ての層の合計の厚さを意味するものとする。また、樹脂フィルム14が2層以上からなる場合は、各々の層を形成する樹脂の種類が異なってもよい。
樹脂フィルム14の線膨張係数は、一般にキャリアガラス10の線膨張係数よりはるかに大きいが、20×10−5K−1以下であることが好ましい。樹脂フィルム14の線膨張係数が大きすぎると、キャリアガラス10に樹脂フィルム14が積層され後述するパターン形成工程S14において加熱された際などに、キャリアガラス10との線膨張係数の差によって、ガラス樹脂界面の整合性が悪化するおそれがある。
樹脂フィルム14のキャリアガラス10に面しない側の表面には、耐擦傷性を付与するためにハードコート層が設けられていてもよい。ハードコート層は、樹脂フィルム14をキャリアガラス10に接着する前に設けてもよく、接着後に設けてもよい。
(接着工程の手順)
キャリアガラス10に樹脂フィルム14を接着する方法は特に限定されず、公知の方法を使用できる。例えば、図4(B)に示すように、樹脂フィルム14の全面に対し、あるいはその形成領域を囲むようにその一部に対し、粘着層12となる粘着性組成物を塗布することができる。なお、図5(B)に示すように、樹脂フィルム14ではなく、キャリアガラス10の全面に対し、あるいはその形成領域を囲むようにその一部に対し、粘着層12となる粘着性組成物を塗布してもよい。ここで、粘着性組成物の塗布方法は、特に制限されず、ディスペンサやインクジェット装置を用いて描画してもよいし、スクリーン印刷により印刷してもよい。なお、粘着性組成物を塗布する方法に限定されず、先述の粘着テープや粘着シートを載置する方法なども考えられる。
キャリアガラス10に樹脂フィルム14を接着する方法は特に限定されず、公知の方法を使用できる。例えば、図4(B)に示すように、樹脂フィルム14の全面に対し、あるいはその形成領域を囲むようにその一部に対し、粘着層12となる粘着性組成物を塗布することができる。なお、図5(B)に示すように、樹脂フィルム14ではなく、キャリアガラス10の全面に対し、あるいはその形成領域を囲むようにその一部に対し、粘着層12となる粘着性組成物を塗布してもよい。ここで、粘着性組成物の塗布方法は、特に制限されず、ディスペンサやインクジェット装置を用いて描画してもよいし、スクリーン印刷により印刷してもよい。なお、粘着性組成物を塗布する方法に限定されず、先述の粘着テープや粘着シートを載置する方法なども考えられる。
また、上述の通り、粘着層12は必ずしも樹脂フィルム14やキャリアガラス10の全面と接触しなくてもよく、粘着層12が樹脂フィルム14やキャリアガラス10に対して剥離可能に接着できれば、対象物の一部のみに接していてもよい。さらには、粘着層12は必ずしもキャリアガラス10と樹脂フィルム14との間に挟まれなくてもよく、例えば、図6に示すように、樹脂フィルムの外縁部の一部を粘着層12とキャリアガラス10で挟むように接着してもよい。
また、粘着層12を設ける場合、キャリアガラス10と樹脂フィルム14とが積層する部分のうち、最も外側の部分からの距離が10mmの範囲に設けられることが好ましい。該距離を短くすることで樹脂フィルム14の剥離ならびにキャリアガラス10の破損を効果的に抑制できる。また、後述するパターン形成工程S14における樹脂フィルムの端部の反りも、効果的に低減できる。キャリアガラス10と樹脂フィルム14とが積層する部分のうち、最も外側の部分からの距離は、5mmの範囲内がより好ましく、3mmの範囲内がさらに好ましい。
樹脂フィルム14の全面に対し粘着層12となる粘着性組成物が塗布された場合、図4(C)に示すように、キャリアガラス10の上に粘着層12および樹脂フィルム14を載置することができる。1枚のキャリアガラス10に対し、複数の粘着層12および樹脂フィルム14を載置してもよい。
[粘着層硬化工程]
粘着層硬化工程S122は、硬化前の粘着層12に対して硬化処理を施し、粘着層12に含まれる粘着性組成物を硬化させ、樹脂フィルム14を有するガラス樹脂積層体16を得る工程である。
粘着層硬化工程S122は、硬化前の粘着層12に対して硬化処理を施し、粘着層12に含まれる粘着性組成物を硬化させ、樹脂フィルム14を有するガラス樹脂積層体16を得る工程である。
以下に、本工程で実施される工程の手順について詳述し、その後得られたガラス樹脂積層体の構成について詳述する。なお、本工程は粘着層の種類によっては、必ずしも必要ではなく、本発明はこれに限定されない。
(粘着層硬化工程の手順)
粘着層硬化工程S122が接着工程S121に続けて行われる場合、粘着層硬化工程S122では接着工程S121で得られた硬化前の粘着層12に対して硬化処理を施し、粘着層12に含まれる粘着性組成物を硬化させ、樹脂フィルム14を有するガラス樹脂積層体16を得る。
粘着層硬化工程S122が接着工程S121に続けて行われる場合、粘着層硬化工程S122では接着工程S121で得られた硬化前の粘着層12に対して硬化処理を施し、粘着層12に含まれる粘着性組成物を硬化させ、樹脂フィルム14を有するガラス樹脂積層体16を得る。
また、接着工程S121の前に粘着層硬化工程S122を行うこともできる。その場合、粘着層硬化工程S122では、樹脂フィルム14またはキャリアガラス10の全面に対し粘着層12となる粘着性組成物を塗布したのち、これにより形成された粘着層12に対して硬化処理を施し、粘着層12に含まれる粘着性組成物を硬化させる。その後、接着工程S121において、硬化した粘着層12を介して樹脂フィルム14をキャリアガラス10の上に載置し、樹脂フィルム14を有するガラス樹脂積層体16を得る。
粘着層12を硬化させる方法としては、粘着層12に含まれる粘着性組成物の硬化方式に応じて適当な硬化方法を採用でき、その範囲であれば硬化方法は特に制限されず、公知の方法を使用できる。例えば、熱硬化性樹脂を含む粘着層を加熱して硬化する方法、光硬化性樹脂を含む粘着層に露光処理を施すことで硬化する方法、溶媒を含む粘着層から溶媒を揮発させて硬化する方法などが挙げられる。
(ガラス樹脂積層体)
上記粘着層硬化工程S122により得られるガラス樹脂積層体16は、キャリアガラス10の層と粘着層12と樹脂フィルム14の層とを有する。
上記粘着層硬化工程S122により得られるガラス樹脂積層体16は、キャリアガラス10の層と粘着層12と樹脂フィルム14の層とを有する。
得られたガラス樹脂積層体16中、樹脂フィルム14は、粘着層12に剥離可能に接着されている。粘着層12に含まれる粘着性組成物は樹脂フィルム14と接触した状態で硬化できるが、粘着層12は、樹脂フィルム14に対して、固体分子間におけるファンデルワールス力に起因する結合力などの弱い結合力で接着する。粘着層12と樹脂フィルム14とは、粘着層12とキャリアガラス10とよりも弱く接着されていることが好ましい。すなわち、好ましくは、樹脂フィルム14に対する粘着層12の結合力は、キャリアガラス10に対する粘着層12の結合力よりも弱い。
通常、樹脂フィルム24の弾性はキャリアガラス10より十分小さく、積層工程S12においてはキャリアガラス10の反りは抑制されない。すなわち、本実施形態のガラス樹脂積層体16は、キャリアガラス10の第1面が下を向くようにガラス樹脂積層体16を平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法により測定したコーナー部の各隙間の平均値が0.20mm以上であることが好ましい。また、本実施形態のガラス樹脂積層体16は、キャリアガラス10の第1面が下を向くようにガラス樹脂積層体16を平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法により測定した辺部の各隙間の平均値が0.10mm以上であることがより好ましい。これにより、後述するパターン形成工程S14において平坦かつ水平な定盤上でガラス樹脂積層体16が下に凸に反り、真空吸着できなくなることを抑制することができる。
さらには、本実施形態のガラス樹脂積層体16は、キャリアガラス10の第1面が下を向くようにガラス樹脂積層体16を平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法により測定したコーナー部の各隙間の平均値が1.0mm以下であることが好ましい。ガラス樹脂積層体16の反りの程度が大きすぎると、パターン形成工程S14において平坦かつ水平な定盤上に真空吸着できなくなるおそれがある。同様に、本実施形態のガラス樹脂積層体16は、キャリアガラス10の第1面が下を向くようにガラス樹脂積層体16を平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法により測定した辺部の各隙間の平均値が0.50mm以下であることがより好ましい。
また、キャリアガラス10の第1面が上を向くようにガラス樹脂積層体16を平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法により測定したコーナー部の各隙間の平均値が0.05mm以下であることが好ましい。反りがガラス樹脂積層体16の表面全域にわたり均一に発生しているためである。
[樹脂層形成工程]
樹脂層形成工程および後述の樹脂層硬化工程は、キャリアガラス10上に樹脂フィルムまたは樹脂層を積層する第2の実施形態である。樹脂層形成工程S123は、キャリアガラス10の表面上に、樹脂組成物を塗布して、未硬化の樹脂組成物層12を形成する工程である。より具体的には、図7(A)〜(B)に示すように、キャリアガラス10の表面上に、未硬化の樹脂組成物層22が形成される。
樹脂層形成工程および後述の樹脂層硬化工程は、キャリアガラス10上に樹脂フィルムまたは樹脂層を積層する第2の実施形態である。樹脂層形成工程S123は、キャリアガラス10の表面上に、樹脂組成物を塗布して、未硬化の樹脂組成物層12を形成する工程である。より具体的には、図7(A)〜(B)に示すように、キャリアガラス10の表面上に、未硬化の樹脂組成物層22が形成される。
未硬化の樹脂組成物層22はキャリアガラス10の表面と隙間を空けることなく接している。そのため、後述する樹脂層硬化工程S124において、該樹脂組成物層22を硬化させると、キャリアガラス10の平坦な表面が転写された樹脂層を得ることができ、キャリアガラス10の歪みなどが抑えられる。
まず、本工程で使用される樹脂組成物について詳述し、その後樹脂層形成工程S123の手順について詳述する。
(樹脂組成物)
樹脂層形成工程S123で使用される樹脂組成物は、後述する樹脂層硬化工程S124にて樹脂層(密着性樹脂層)を形成しうる組成物である。
樹脂層形成工程S123で使用される樹脂組成物は、後述する樹脂層硬化工程S124にて樹脂層(密着性樹脂層)を形成しうる組成物である。
樹脂組成物中に含まれる樹脂としては、その硬化膜が対象物に対して剥離可能に接着できればよく、公知の熱可塑性樹脂または硬化性樹脂(例えば、熱硬化性組成物、光硬化性組成物など)を使用することができる。例えば、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリイミドなどが挙げられる。いくつかの種類のモノマーが重合した共重合体樹脂(コポリマー)でもよく、いくつかの種類の樹脂を混合してもよい。
樹脂組成物としては、ポリイミドが好ましい。このポリイミドを使用して形成される樹脂層は、キャリアガラス表面に密着するとともにその自由表面は優れた剥離容易性を有するので好ましい。
(樹脂層形成工程の手順)
キャリアガラスの表面上に樹脂組成物を塗布する方法は特に制限されず、公知の方法を採用し得る。例えば、塗布方法としては、スプレーコート法、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、スクリーン印刷法、グラビアコート法などが挙げられる。このような方法の中から、樹脂組成物の種類に応じて適宜選択することができる。
キャリアガラスの表面上に樹脂組成物を塗布する方法は特に制限されず、公知の方法を採用し得る。例えば、塗布方法としては、スプレーコート法、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、スクリーン印刷法、グラビアコート法などが挙げられる。このような方法の中から、樹脂組成物の種類に応じて適宜選択することができる。
また、樹脂層の厚みは特に制限されないが、0.001〜0.500mmであることが好ましく、0.02〜0.20mmであることがより好ましく、0.025mm〜0.180mmであることがさらに好ましい。
なお、樹脂組成物に溶媒が含まれている場合は、必要に応じて、加熱処理を行って、溶媒を揮発させてもよい。
樹脂組成物をキャリアガラス10上に塗布して得られる未硬化の樹脂組成物層22の厚みは特に制限されず、後述する樹脂フィルム24が好適な厚みで得られるように適宜調整される。
形成される未硬化の樹脂組成物層22の外形は、キャリアガラス10の外形と同程度か、それよりも小さいことが好ましい。
[樹脂層硬化工程]
樹脂層硬化工程S124は、上記樹脂層形成工程S123で得られた未硬化の樹脂組成物層22を硬化させ、樹脂フィルム24を有するガラス樹脂積層体26(硬化処理が施されたガラス樹脂積層体)を得る工程である。ここで、樹脂フィルム24は未硬化の樹脂組成物層22が硬化されることにより形成される。より具体的には、図7(C)に示すように、樹脂層硬化工程S124を実施することにより、未硬化の樹脂組成物層22が硬化して樹脂フィルム24が得られ、キャリアガラス10の層と樹脂フィルム24の層とをこの順で有するガラス樹脂積層体26が得られる。
樹脂層硬化工程S124は、上記樹脂層形成工程S123で得られた未硬化の樹脂組成物層22を硬化させ、樹脂フィルム24を有するガラス樹脂積層体26(硬化処理が施されたガラス樹脂積層体)を得る工程である。ここで、樹脂フィルム24は未硬化の樹脂組成物層22が硬化されることにより形成される。より具体的には、図7(C)に示すように、樹脂層硬化工程S124を実施することにより、未硬化の樹脂組成物層22が硬化して樹脂フィルム24が得られ、キャリアガラス10の層と樹脂フィルム24の層とをこの順で有するガラス樹脂積層体26が得られる。
以下に、本工程で実施される工程の手順について詳述し、その後得られた樹脂フィルムおよびガラス樹脂積層体の構成について詳述する。
(樹脂層硬化工程の手順)
本工程で実施される硬化処理は、使用される樹脂の種類によって適宜最適な方法が選択される。
本工程で実施される硬化処理は、使用される樹脂の種類によって適宜最適な方法が選択される。
樹脂組成物層中に含まれる樹脂が熱硬化性である場合は、未硬化の樹脂組成物層に対して加熱処理を施すことにより、該層を硬化させることができる。加熱処理の条件は使用される樹脂の種類に応じて適宜最適な条件が選択される。
樹脂組成物層中に含まれる樹脂が光硬化性樹脂である場合は、未硬化の樹脂組成物層に対して露光処理を施すことにより、該層を硬化させることができる。露光処理の際に照射される光の種類は、樹脂の種類に応じて適宜選択されるが、例えば、紫外光、可視光、赤外光などが挙げられる。
また、樹脂組成物層中に溶媒が含まれている場合は、未硬化の樹脂組成物層に対して加熱処理を施すことにより、溶媒を揮発させるのと同時に該層を硬化させることができる。加熱処理の条件は使用される樹脂の種類に応じて適宜差異的な条件が選択される。
(樹脂フィルム)
次に、ガラス樹脂積層体26中に形成される樹脂フィルム24について詳述する。
次に、ガラス樹脂積層体26中に形成される樹脂フィルム24について詳述する。
樹脂フィルム24の厚さは特に限定されないが、1〜500μmであることが好ましく、20〜200μmであることがより好ましく、25〜180μmであることがさらに好ましい。樹脂フィルム18の厚さがこのような範囲であると、樹脂フィルム24とキャリアガラス10との密着が十分になるからである。また、樹脂フィルム24の厚さが厚すぎると、形成するのに時間および材料を要するため生産性の観点から好ましくない。
なお、樹脂フィルム24は2層以上からなっていてもよい。この場合「樹脂フィルム24の厚さ」は全ての層の合計の厚さを意味するものとする。また、樹脂フィルム24が2層以上からなる場合は、各々の層を形成する樹脂の種類が異なってもよい。
樹脂フィルム24は、ガラス転移点が室温(25℃程度)よりも低い、またはガラス転移点を有しない材料からなることが好ましい。後述する剥離工程S16においてより容易にキャリアガラス10と剥離することができ、同時にキャリアガラス10との密着も十分になるからである。
樹脂フィルム24を形成する樹脂の種類は特に限定されず、上述した樹脂組成物に含まれる樹脂の種類によって異なる。例えば、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。 樹脂フィルム24の線膨張係数は、一般にキャリアガラス10の線膨張係数よりはるかに大きいが、20×10−5K−1以下であることが好ましい。樹脂フィルム24の線膨張係数が大きすぎると、キャリアガラス10に樹脂フィルム24が積層され後述するパターン形成工程S14において加熱された際などに、キャリアガラス10との線膨張係数の差によって、ガラス樹脂界面の整合性が悪化するおそれがある。
(ガラス樹脂積層体)
上記樹脂層硬化工程S124により得られるガラス樹脂積層体26は、キャリアガラス10の層と樹脂フィルム24の層とを有する。
上記樹脂層硬化工程S124により得られるガラス樹脂積層体26は、キャリアガラス10の層と樹脂フィルム24の層とを有する。
得られたガラス樹脂積層体26中、樹脂フィルム24は、キャリアガラス10に剥離可能に密着されている。上述したように、未硬化の樹脂組成物層22はキャリアガラス10と接触した状態で反応硬化するが、形成された樹脂フィルム24はキャリアガラス10に対して、固体分子間におけるファンデルワールス力に起因する結合力などの弱い結合力で密着する。
通常、樹脂フィルム24の弾性はキャリアガラス10より十分小さく、積層工程S12においてはキャリアガラス10の反りは抑制されない。すなわち、本実施形態のガラス樹脂積層体26は、キャリアガラス10の第1面が下を向くようにガラス樹脂積層体26を平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法により測定したコーナー部の各隙間の平均値が0.20mm以上であることが好ましい。また、本実施形態のガラス樹脂積層体26は、キャリアガラス10の第1面が下を向くようにガラス樹脂積層体26を平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法により測定した辺部の各隙間の平均値が0.10mm以上であることがより好ましい。これにより、後述するパターン形成工程S14において平坦かつ水平な定盤上でガラス樹脂積層体26が下に凸に反り、真空吸着できなくなることを抑制することができる。
さらには、本実施形態のガラス樹脂積層体26は、キャリアガラス10の第1面が下を向くようにガラス樹脂積層体26を平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法により測定したコーナー部の各隙間の平均値が1.0mm以下であることが好ましい。ガラス樹脂積層体26の反りの程度が大きすぎると、パターン形成工程S14において平坦かつ水平な定盤上に真空吸着できなくなるおそれがある。同様に、本実施形態のガラス樹脂積層体26は、キャリアガラス10の第1面が下を向くようにガラス樹脂積層体26を平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法により測定した辺部の各隙間の平均値が0.50mm以下であることがより好ましい。
また、キャリアガラス10の第1面が上を向くようにガラス樹脂積層体26を平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法により測定したコーナー部の各隙間の平均値が0.05mm以下であることが好ましい。反りがガラス樹脂積層体26の表面全域にわたり均一に発生しているためである。
[パターン形成工程]
パターン形成工程S14は、上記積層工程S12で得られたガラス樹脂積層体中の樹脂フィルムのキャリアガラスに面しない表面(以下、外表面)上に電子デバイス用パターンを形成し、機能性ガラス樹脂積層体を得る工程である。
パターン形成工程S14は、上記積層工程S12で得られたガラス樹脂積層体中の樹脂フィルムのキャリアガラスに面しない表面(以下、外表面)上に電子デバイス用パターンを形成し、機能性ガラス樹脂積層体を得る工程である。
まず、パターン形成工程で使用される電子デバイス用パターンおよび本実施形態のパターン形成工程が備える各工程について詳述し、その後工程の手順等について詳述する。
(電子デバイス用パターン)
電子デバイス用パターンは、ガラス樹脂積層体中の樹脂フィルムの外表面上に形成され電子デバイスの少なくとも一部を構成するパターンである。より具体的には、電子デバイス用パターンとしては、静電式タッチセンサ以外にも、圧力タッチセンサや光学センサ、加速度センサ等の各種センサパターンが挙げられる。
電子デバイス用パターンは、ガラス樹脂積層体中の樹脂フィルムの外表面上に形成され電子デバイスの少なくとも一部を構成するパターンである。より具体的には、電子デバイス用パターンとしては、静電式タッチセンサ以外にも、圧力タッチセンサや光学センサ、加速度センサ等の各種センサパターンが挙げられる。
静電式タッチセンサ用パターンは、透明導電膜パターン、遮光膜パターン、絶縁膜パターン、金属薄膜パターンなどにより構成される。静電式タッチセンサ用パターンは、本実施形態のように、遮光膜パターン321、第1透明導電膜パターン322、絶縁膜パターン323、第2透明導電膜パターン324、金属薄膜パターン325の順にパターンが積層されて形成されることが好ましい。
透明導電膜パターンは、導電性材料によって形成される構造を含むことが好ましい。導電性材料としてはインジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide,ITO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium zinc oxide,IZO)、アゾ化合物(al−doped ZnO,AZO)又はアンチモン酸化スズ(Antimony Tin oxide,ATO)、ナノ銀(Ag)、ナノ銅(Cu)などが挙げられる。
遮光膜パターンは、透過率の低い材料を用いて形成されればよく、カーボンブラック等の顔料を含有する樹脂組成物や、クロム、ニッケル、アルミニウム等の金属あるいは金属化合物の蒸着膜が例示される。
絶縁膜パターンは、絶縁性材料によって形成される構造を含むことが好ましい。絶縁性材料としては、透明樹脂材料や、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素などが挙げられる。透明樹脂材料は、光硬化性樹脂であることが好ましい。絶縁膜パターンは、単数の絶縁膜を用いたものであっても、複数の絶縁膜を積層して用いたものであっても良い。
金属薄膜パターンに用いられる金属材料としては、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)等が挙げられる。金属薄膜パターンは、上記金属で形成された薄膜の他に、上記金属を主成分とする合金で形成された薄膜、複数の金属(上記のものに限定されない)の層が積層することにより形成された薄膜、或いは上記金属を含む化合物を用いて形成された薄膜を用いても良い。中でも、電気抵抗の観点からMo/Al/Moの3層積層電極薄膜が好ましい。
(遮光膜パターン形成工程)
遮光膜パターン形成工程S141においては、まず、樹脂フィルム30の外表面30aに遮光膜を成膜する。遮光膜パターン321の形成は公知の方法によればよいが、中でもスパッタリング法により形成されることが好ましい。
遮光膜パターン形成工程S141においては、まず、樹脂フィルム30の外表面30aに遮光膜を成膜する。遮光膜パターン321の形成は公知の方法によればよいが、中でもスパッタリング法により形成されることが好ましい。
遮光膜の成膜時には樹脂フィルム30に対し熱処理が実施されるが、熱処理温度は160℃以下が好ましく、熱処理時間は60分以下が好ましい。これにより、樹脂フィルム30が熱により変形しにくくなり、遮光膜パターン321が正しくパターニングされやすくなる。
透明導電膜の成膜後に、後述の第1透明導電膜パターン形成工程S142や絶縁膜パターン形成工程S143、第2透明導電膜パターン形成工程S144においてパターンが形成される領域を囲むように、パターニングにより遮光膜パターン321が形成される。パターニングは公知の方法で行われればよいが、中でもフォトリソグラフィー法により行われることが好ましい。 遮光膜パターン321は好適には黒色であるが、その他の色であってもよく、必ずしも遮光性が高くなくてもよい。また、表示に寄与しない領域を隠す必要がない場合、遮光膜パターン321を形成しなくてもよい。
(第1透明導電膜パターン形成工程)
次いで、第1透明導電膜パターン形成工程S142では、先述の導電性材料を基に透明導電膜を全面に成膜した後、パターニングを行い、透明導電膜パターン322を形成する。透明導電膜の成膜は公知の方法で行われればよいが、中でもスパッタリング法により形成されることが好ましい。
次いで、第1透明導電膜パターン形成工程S142では、先述の導電性材料を基に透明導電膜を全面に成膜した後、パターニングを行い、透明導電膜パターン322を形成する。透明導電膜の成膜は公知の方法で行われればよいが、中でもスパッタリング法により形成されることが好ましい。
透明導電膜の成膜時には樹脂フィルム30に対し熱処理が実施されるが、熱処理温度は160℃以下が好ましく、熱処理時間は60分以下が好ましい。これにより、樹脂フィルム30が熱により変形しにくくなり、第1透明導電膜パターン322が正しくパターニングされやすくなる。
透明導電膜の成膜後に、パターニングにより第1透明導電膜パターン322が形成される。パターニングは公知の方法で行われればよいが、中でもフォトリソグラフィ―法により行われることが好ましい。
(絶縁膜パターン形成工程)
次いで、絶縁膜パターン形成工程S143では、先述の絶縁性材料を基に絶縁膜を第1透明導電膜パターン322上に全面に成膜する。その後、第1透明導電膜パターン322の一部を露出させるようにパターニングを行い、絶縁膜パターン323を形成する。絶縁膜の成膜は公知の方法で行えばよいが、絶縁性材料が光硬化性樹脂である場合、ダイコート法などにより塗布することで成膜を行うことができる。また、絶縁性材料が無機材料である場合、スパッタリング法などにより絶縁膜を成膜を行うことができる。
次いで、絶縁膜パターン形成工程S143では、先述の絶縁性材料を基に絶縁膜を第1透明導電膜パターン322上に全面に成膜する。その後、第1透明導電膜パターン322の一部を露出させるようにパターニングを行い、絶縁膜パターン323を形成する。絶縁膜の成膜は公知の方法で行えばよいが、絶縁性材料が光硬化性樹脂である場合、ダイコート法などにより塗布することで成膜を行うことができる。また、絶縁性材料が無機材料である場合、スパッタリング法などにより絶縁膜を成膜を行うことができる。
絶縁膜パターン323の形成時には樹脂フィルム30に対し熱処理が実施されるが、熱処理温度は160℃以下が好ましく、熱処理時間は60分以下が好ましい。これにより、樹脂フィルム30が熱により変形し、第1透明導電膜パターン322の一部が露出せず、断線する不具合等が発生する可能性が低減する。
絶縁膜の成膜後に、パターニングにより絶縁膜パターン323が形成される。パターニングは公知の方法で行われればよいが、中でもフォトリソグラフィ―法により行われることが好ましい。
(第2透明導電膜パターン形成工程)
次いで、第2透明導電膜パターン形成工程S144では、先述の導電性材料を基に透明導電膜を全面に成膜した後、パターニングを行い、透明導電膜パターン322を形成する。第2透明導電膜パターン324が形成されることで、透明センサ配線部分が完成する。透明導電膜の成膜は公知の方法で行われればよいが、中でもスパッタリング法により行われることが好ましい。
次いで、第2透明導電膜パターン形成工程S144では、先述の導電性材料を基に透明導電膜を全面に成膜した後、パターニングを行い、透明導電膜パターン322を形成する。第2透明導電膜パターン324が形成されることで、透明センサ配線部分が完成する。透明導電膜の成膜は公知の方法で行われればよいが、中でもスパッタリング法により行われることが好ましい。
透明導電膜の成膜時には樹脂フィルム30に対し熱処理が実施されるが、熱処理温度は160℃以下が好ましく、熱処理時間は60分以下が好ましい。これにより、樹脂フィルム30が熱により変形し、第1透明導電膜パターン322が断線する可能性や、第1透明導電膜パターン322が絶縁膜パターン323を超えて第2透明導電膜パターン324と短絡する可能性を低減することができる。
透明導電膜の成膜後に、パターニングにより第2透明導電膜パターン322が形成される。パターニングは公知の方法で行われればよいが、中でもフォトリソグラフィ―法により行われることが好ましい。
(金属薄膜パターン形成工程)
最後に、金属薄膜パターン形成工程S145では、先述の金属材料を基に第2透明導電膜パターン324上に金属薄膜を全面に成膜した後、パターニングを行い、金属薄膜パターン325を形成する。金属薄膜パターン325は透明性を要求されない周辺部の配線として設けられる。金属薄膜は透明導電膜と比較して抵抗率が低く、効率的な配線が可能となる。
最後に、金属薄膜パターン形成工程S145では、先述の金属材料を基に第2透明導電膜パターン324上に金属薄膜を全面に成膜した後、パターニングを行い、金属薄膜パターン325を形成する。金属薄膜パターン325は透明性を要求されない周辺部の配線として設けられる。金属薄膜は透明導電膜と比較して抵抗率が低く、効率的な配線が可能となる。
金属薄膜の成膜は公知の方法により行われるが、中でもスパッタリング法により行われることが好ましい。金属薄膜の成膜時には樹脂フィルム30に対し熱処理が実施されるが、熱処理温度は160℃以下が好ましく、熱処理時間は60分以下が好ましい。これにより、樹脂フィルム30が熱により変形し、第1透明導電膜パターン322や第2透明導電膜パターン324が断線する可能性や、第1透明導電膜パターン322が絶縁膜パターン323を超えて第2透明導電膜パターン324と短絡する可能性を低減することができる。
透明導電膜の成膜後に、パターニングにより金属薄膜パターン325が形成される。パターニングは公知の方法で行われればよいが、中でもフォトリソグラフィ―法により行われることが好ましい。
(パターン形成工程の手順等)
本実施形態のパターン形成工程S14は、遮光膜パターン形成工程S141、第1透明導電膜パターン形成工程S142、絶縁膜パターン形成工程S143、第2透明導電膜パターン形成工程S144、金属薄膜パターン形成工程S145を備えるが、本発明のパターン形成工程はこれに限定されない。
本実施形態のパターン形成工程S14は、遮光膜パターン形成工程S141、第1透明導電膜パターン形成工程S142、絶縁膜パターン形成工程S143、第2透明導電膜パターン形成工程S144、金属薄膜パターン形成工程S145を備えるが、本発明のパターン形成工程はこれに限定されない。
より具体的には、図8に示すように、樹脂フィルム30の外表面30a上に電子デバイス用パターン32を形成し、機能性ガラス樹脂積層体34を得る。本実施形態においては、電子デバイス用パターン32は、遮光膜パターン321、第1透明導電膜パターン322、絶縁膜パターン323、第2透明導電膜パターン324、金属薄膜パターン325を備えるが、本発明はこれに限定されない。
上述した電子デバイス用パターンの形成方法は特に限定されず、電子デバイス用パターンの種類に応じて従来公知の方法にて形成することができる。例えばCVD法、スパッタリング法、真空蒸着法、スクリーン印刷法等を用いて形成することができる。
電子デバイス用パターン32は、生産性の観点から、樹脂フィルム30の外表面30a上に複数設けられることが好ましい。その場合、本実施形態の機能性ガラス樹脂積層体の製造方法は、パターン形成工程S16の後に、電子デバイス用パターンごとに適宜分割、切断を行う工程を備えてもよい。
なお、電子デバイス用パターンは、樹脂フィルムの外表面に最終的に形成されるパターンの全部ではなく、一部であってもよく、残りのパターンをその後の工程で形成することもできる。
また、機能性ガラス樹脂積層体を用いて電子デバイスを組み立て、その後、機能性ガラス樹脂積層体からキャリアガラスを剥離して、電子デバイスを製造することもできる。なお、機能性ガラス樹脂積層体からキャリアガラスを剥離しなくてもよい。
先述の通り、本実施形態のキャリアガラス10には反りが発生しており、樹脂フィルム14もキャリアガラス10の反りに応じた反りを生じている。しかし、樹脂フィルム14は、重合などの化学反応や熱による変成を起こした場合、収縮する。パターン形成工程S14においては、種々のパターンの形成時に熱処理を行うため、樹脂フィルム14は加熱され、一般に収縮する。さらには樹脂フィルム14とキャリアガラス10は互いに接着されているため、樹脂フィルム14の収縮に基づく応力が、キャリアガラス10の樹脂フィルム14に面する表面に新たにかかる。この応力が好適にはキャリアガラス10の凸面側に発生することで、図4(D)、図5(D)および図7(D)に示すように、キャリアガラス10、樹脂フィルム14および機能性ガラス樹脂積層体34の反りが解消される。
パターン形成工程S14においては、種々のパターンの形成時にガラス樹脂積層体16(または26)が保持される必要があるため、ガラス樹脂積層体16(または26)が載置される定盤に設けられた真空吸着手段により、平坦かつ水平な定盤に吸着される。このとき、ガラス樹脂積層体16(または26)が定盤に対して強く下に凸である場合、吸着されにくい。従って、ガラス樹脂積層体16(または26)に設けられるキャリアガラス10の第1面は凸面であることが好ましい。これにより、ガラス樹脂積層体16(または26)が正しく定盤に吸着されるため、パターン形成工程S14における均熱性が高まり、パターニングのための露光マスクをガラス樹脂積層体16(または26)の変形量に合わせて補正する必要がなくなる。このとき、ガラス樹脂積層体16(または26)の反りもキャリアガラス10に追従するため、ガラス樹脂積層体16(または26)にはキャリアガラス10の第1面が凸となるような反りが生じている。
本実施形態の機能性ガラス樹脂積層体34は、キャリアガラス10の第1面が上を向くように機能性ガラス樹脂積層体34を平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法で測定したコーナー部の各隙間の平均値が0.20mm以下である。また、機能性ガラス樹脂積層体34に設けられるキャリアガラス10の第1面は凸面であることが好ましい。これにより、パターン形成工程S14において、平坦かつ水平な定盤上で機能性ガラス樹脂積層体34が強く下に凸に反り、真空吸着できなくなることを抑制することができる。このとき、機能性ガラス樹脂積層体34の反りもキャリアガラス10に追従するため、機能性ガラス樹脂積層体34にはキャリアガラス10の第1面が凸となるような反りが生じている。
また、本実施形態の機能性ガラス樹脂積層体34は、好適にはキャリアガラス10の第1面が下を向くように機能性ガラス樹脂積層体34を平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法で測定したコーナー部の各隙間の平均値が0.80mm以下であることが好ましい。機能性ガラス樹脂積層体34の反りの程度が大きすぎると、パターン形成工程S14において平坦かつ水平な定盤上に真空吸着できなくなるおそれがあるためである。さらに、本実施形態の機能性ガラス樹脂積層体34は、キャリアガラス10の第1面が下を向くように機能性ガラス樹脂積層体34を平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法で測定した各辺部における隙間が0.40mm以下であることがより好ましい。
[剥離工程]
本発明の機能性樹脂フィルムの製造方法は剥離工程を有さなくてもよいが、剥離工程を実施することにより、上記パターン形成工程S14で得られた機能性ガラス樹脂積層体34から、電子デバイス用パターン32を形成された樹脂フィルム30(以下、機能性樹脂フィルム30という)をキャリアガラス10と分離した状態で得ることができる。また、剥離工程により分離されたキャリアガラス10は、新たな樹脂フィルムまたは樹脂層を積層するためのキャリアガラスとして、再度積層工程に供することができる。
本発明の機能性樹脂フィルムの製造方法は剥離工程を有さなくてもよいが、剥離工程を実施することにより、上記パターン形成工程S14で得られた機能性ガラス樹脂積層体34から、電子デバイス用パターン32を形成された樹脂フィルム30(以下、機能性樹脂フィルム30という)をキャリアガラス10と分離した状態で得ることができる。また、剥離工程により分離されたキャリアガラス10は、新たな樹脂フィルムまたは樹脂層を積層するためのキャリアガラスとして、再度積層工程に供することができる。
次に、該剥離工程S16の手順について詳述する。
(剥離工程の手順)
剥離工程S16では、まず、上記パターン形成工程S14で得られた機能性ガラス樹脂積層体34から、機能性樹脂フィルム30とキャリアガラス10または粘着層12の界面を剥離面として、キャリアガラス10または粘着層12を分離・除去して、電子デバイス用パターン32を設けられた機能性樹脂フィルム30を得る。
剥離工程S16では、まず、上記パターン形成工程S14で得られた機能性ガラス樹脂積層体34から、機能性樹脂フィルム30とキャリアガラス10または粘着層12の界面を剥離面として、キャリアガラス10または粘着層12を分離・除去して、電子デバイス用パターン32を設けられた機能性樹脂フィルム30を得る。
剥離時の機能性樹脂フィルム30上の電子デバイス用パターン32が必要な全構成部材の一部である場合には、剥離後、残りの構成部材を機能性樹脂フィルム30上に形成することもできる。
機能性樹脂フィルムとキャリアガラスまたは粘着層を剥離する方法は、特に限定されない。具体的には、例えば、機能性樹脂フィルムとキャリアガラスまたは粘着層との界面に剃刀などの鋭利な刃物状のものを刺入して隙間をつくった後、機能性樹脂フィルムとキャリアガラスまたは粘着層とを引き離す方法がある。機能性樹脂フィルムとキャリアガラスまたは粘着層との界面に、水と圧縮空気との混合流体を吹き付けて剥離してもよい。また、本発明の第2の実施形態のように樹脂層形成工程を経ている場合、機能性樹脂フィルムとキャリアガラスが直接密着しているため、機能性樹脂フィルムとキャリアガラスの線膨張係数の差を利用することで剥離することができる。具体的には、機能性樹脂フィルムの線膨張係数の方が一般的にキャリアガラスの線膨張係数よりも大きいため、機能性ガラス樹脂積層体を50〜100℃の温水に浸すことで機能性樹脂フィルムとキャリアガラスとを剥離することができる。
また、機能性ガラス樹脂積層体からキャリアガラスおよび粘着層を除去する際においては、イオナイザによる吹き付けや湿度を制御することにより、電子デバイスに影響する可能性のある静電気を抑えることができる。あるいは、電子デバイスに静電気を消耗させる回路を組み込んだり、犠牲回路を組み込んで端子部から積層体の外に導通をとったりしてもよい。
このようにして剥離工程により機能性樹脂フィルムまたは粘着層から分離されたキャリアガラスは、積層工程に供する前のキャリアガラスと同様に、隙間ゲージ法で測定した全てのコーナー部における隙間が0.20mm以上であることが好ましい。このようなキャリアガラスは、新たな樹脂フィルムまたは樹脂層を積層するためのキャリアガラスとして、再度積層工程に供することができる。
以下に、実施例等により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
以下の実施例1、2および比較例1では、キャリアガラス用のガラス基板として、アルミノシリケートガラスからなるガラス板(縦1300mm、横1000mm、板厚0.7mm、線膨張係数98×10−7/℃)を使用した。該ガラス板は、フロート法により製造されたガラス板から切り出したものである。切り出しの際、割れ防止のためにキャリアガラスのコーナー部をカットした。
(実施例1)
まず、キャリアガラスとして用いるガラスに対し、以下に示す化学強化条件にしたがって化学強化処理を行った後、純粋による洗浄を行った。
−化学強化条件−
溶融塩:硝酸カリウム(大塚化学社製)
強化温度:410℃
強化時間:4時間
これにより、ガラスの第1面と該第1面に対向する第2面について、第1面には第1の圧縮応力層が形成され、第2面には第2の圧縮応力層が形成される。洗浄後のガラスの第1の圧縮応力層および第2の圧縮応力層の表面圧縮応力はそれぞれ730MPa、740MPaであり、圧縮応力層の深さはそれぞれ36μm、34μmであった。したがって、該ガラスの第1の圧縮応力層の圧縮強度と、第2の圧縮応力層の圧縮強度との比は、(730MPa×36μm)/(740MPa×34μm)=1.045となり、第1の圧縮応力層の圧縮強度は第2の圧縮応力層の圧縮強度よりも大きかった。これに起因して、該ガラスには第1面が凸面となるような反りが発生していた。この反りの程度を評価するために、該ガラスの第1面が下を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、該ガラスの全てのコーナー部の隙間を隙間ゲージ法により測定した。該ガラスにおけるコーナー部C1〜C4および辺部M1〜M4の位置を、図9に示す。これにより測定されたコーナー部C1〜C4の各隙間の平均値を表1に示す。(単位はmm)測定は10枚のキャリアガラスについて行った。また、同時に測定した該ガラスの辺部M1、M3の各隙間の平均値も表1に示す。
まず、キャリアガラスとして用いるガラスに対し、以下に示す化学強化条件にしたがって化学強化処理を行った後、純粋による洗浄を行った。
−化学強化条件−
溶融塩:硝酸カリウム(大塚化学社製)
強化温度:410℃
強化時間:4時間
これにより、ガラスの第1面と該第1面に対向する第2面について、第1面には第1の圧縮応力層が形成され、第2面には第2の圧縮応力層が形成される。洗浄後のガラスの第1の圧縮応力層および第2の圧縮応力層の表面圧縮応力はそれぞれ730MPa、740MPaであり、圧縮応力層の深さはそれぞれ36μm、34μmであった。したがって、該ガラスの第1の圧縮応力層の圧縮強度と、第2の圧縮応力層の圧縮強度との比は、(730MPa×36μm)/(740MPa×34μm)=1.045となり、第1の圧縮応力層の圧縮強度は第2の圧縮応力層の圧縮強度よりも大きかった。これに起因して、該ガラスには第1面が凸面となるような反りが発生していた。この反りの程度を評価するために、該ガラスの第1面が下を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、該ガラスの全てのコーナー部の隙間を隙間ゲージ法により測定した。該ガラスにおけるコーナー部C1〜C4および辺部M1〜M4の位置を、図9に示す。これにより測定されたコーナー部C1〜C4の各隙間の平均値を表1に示す。(単位はmm)測定は10枚のキャリアガラスについて行った。また、同時に測定した該ガラスの辺部M1、M3の各隙間の平均値も表1に示す。
いずれのガラスについても、コーナー部C1〜C4の各隙間の平均値は0.24mm以上であり、第1面を凸面とする強い反りが生じていることが分かった。また、いずれのガラスについても、辺部M1、M3の各隙間の平均値は0.14mm以上であった。
辺部M1〜M4の各隙間の平均値は測定していないが、M1、M3はともに該ガラスの長辺の隙間であるため、長辺より撓みにくい短辺の隙間であるM2、M4はM1、M3の平均値よりは大きくなる。従って、辺部M1〜M4の各隙間の平均値は辺部M1、M3の各隙間の平均値よりも大きくなると推定される。
また、より詳しく反りの程度を評価するために、該ガラスの第1面が上を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、全てのコーナー部の隙間を隙間ゲージ法により測定した。これにより測定されたコーナー部C1〜C4の各隙間の平均値を表2に示す。
いずれのガラスについても、コーナー部C1〜C4の各隙間の平均値が0.03mm未満であり、反りが該ガラスの表面全域にわたり均一に発生していることが分かった。
続いて、表1および表2において例1で示されるキャリアガラスの第1面上に、粘着剤SMP−2006(信越シリコーン社製)をダイコート法により塗布し、180℃にて120分間大気中で加熱硬化したのち、ポリイミドを主成分として含むネオプリムL3430(登録商標、三菱ガス化学社製)樹脂フィルムを、キャリアガラス上の該粘着層の上から載置した。(接着工程)以下、これをガラス樹脂積層体A1と呼ぶ。このガラス樹脂積層体A1を、キャリアガラスの第1面が下を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、隙間ゲージ法により測定されたコーナー部の各隙間の平均値は、0.42mmであった。
続いて、該ガラス樹脂積層体A1の、樹脂フィルム側の表面に対し、種々のパターンの形成を行い、機能性ガラス樹脂積層体A1を得た。(パターン形成工程)パターン形成工程を通じてガラス樹脂積層体A1は定盤上に正しく真空吸着されており、種々のパターンは良好に形成されたことを確認できた。この機能性ガラス樹脂積層体A1を、キャリアガラスの第1面が下を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、隙間ゲージ法により測定されたコーナー部の各隙間の平均値は、0.42mmよりも小さく、反りが抑制されていた。また、機能性ガラス樹脂積層体A1を、キャリアガラスの第1面が上を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、隙間ゲージ法により測定されたコーナー部の各隙間の平均値は0.03mm未満であり、第1面が凸面のままであった。
その後、機能性ガラス樹脂積層体A1における機能性樹脂フィルムと粘着層との界面に、剃刀を刺入して隙間をつくった後、樹脂フィルムと粘着層とを引き離した。その結果、第1面にパターンが形成された機能性樹脂フィルムを剥離することができた。(剥離工程)
(実施例2)
キャリアガラスとしては、実施例1と同じガラスを用いた。従って、該化学強化処理および純水による洗浄を行った後に、該ガラスの第1面が下を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、隙間ゲージ法により測定された全てのコーナー部C1〜C4の各隙間の平均値は0.42mmであった。
キャリアガラスとしては、実施例1と同じガラスを用いた。従って、該化学強化処理および純水による洗浄を行った後に、該ガラスの第1面が下を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、隙間ゲージ法により測定された全てのコーナー部C1〜C4の各隙間の平均値は0.42mmであった。
次に、キャリアガラスの第1面上に、粘着剤SMP−2006(信越シリコーン社製)をダイコート法により塗布し、180℃にて120分間大気中で加熱硬化したのち、PETを主成分として含むコスモシャインA4100(登録商標、東洋紡社製)樹脂フィルムを、キャリアガラス上の該粘着層の上から載置した。(接着工程)以下、これをガラス樹脂積層体A2と呼ぶ。このガラス樹脂積層体A2を、キャリアガラスの第1面が下を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、隙間ゲージ法により測定されたコーナー部の各隙間の平均値は、0.42mmであった。
続いて、該ガラス樹脂積層体A2の、樹脂フィルム側の表面に対し、種々のパターンの形成を行い、機能性ガラス樹脂積層体A2を得た。(パターン形成工程)パターン形成工程を通じてガラス樹脂積層体A2は定盤上に正しく真空吸着されており、種々のパターンは良好に形成されたことを確認できた。この機能性ガラス樹脂積層体A2を、キャリアガラスの第1面が下を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、隙間ゲージ法により測定されたコーナー部の各隙間の平均値は、0.42mmよりも小さく、反りが抑制されていた。また、機能性ガラス樹脂積層体A2を、キャリアガラスの第1面が上を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、隙間ゲージ法により測定されたコーナー部の各隙間の平均値は0.03mm未満であり、第1面が凸面のままであった。
その後、機能性ガラス樹脂積層体A2における機能性樹脂フィルムと粘着層との界面に、剃刀を刺入して隙間をつくった後、樹脂フィルムと粘着層とを引き離した。その結果、第1面にパターンが形成された機能性樹脂フィルムを剥離することができた。(剥離工程)
(実施例3)
キャリアガラスとしては、実施例1と同じガラスを用いた。従って、該化学強化処理および純水による洗浄を行った後に、該ガラスの第1面が下を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、隙間ゲージ法により測定された全てのコーナー部C1〜C4の各隙間の平均値は0.42mmであった。
キャリアガラスとしては、実施例1と同じガラスを用いた。従って、該化学強化処理および純水による洗浄を行った後に、該ガラスの第1面が下を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、隙間ゲージ法により測定された全てのコーナー部C1〜C4の各隙間の平均値は0.42mmであった。
次に、キャリアガラスの第1面上に、粘着剤SMP−2006(信越シリコーン社製)をダイコート法により塗布し、180℃にて120分間大気中で加熱硬化したのち、PENを主成分として含むテテオネックスQ65HA(登録商標、帝人社製)樹脂フィルムを、キャリアガラス上の該粘着層の上から載置した。(接着工程)以下、これをガラス樹脂積層体A3と呼ぶ。このガラス樹脂積層体A3を、キャリアガラスの第1面が下を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、隙間ゲージ法により測定されたコーナー部の各隙間の平均値は、0.42mmであった。
続いて、該ガラス樹脂積層体A3の、樹脂フィルム側の表面に対し、種々のパターンの形成を行い、機能性ガラス樹脂積層体A3を得た。(パターン形成工程)パターン形成工程を通じてガラス樹脂積層体A3は定盤上に正しく真空吸着されており、種々のパターンは良好に形成されたことを確認できた。この機能性ガラス樹脂積層体A3を、キャリアガラスの第1面が下を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、隙間ゲージ法により測定されたコーナー部の各隙間の平均値は、0.42mmよりも小さく、反りが抑制されていた。また、機能性ガラス樹脂積層体A3を、キャリアガラスの第1面が上を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、隙間ゲージ法により測定されたコーナー部の各隙間の平均値は0.03mm未満であり、第1面が凸面のままであった。
その後、機能性ガラス樹脂積層体A3における機能性樹脂フィルムと粘着層との界面に、剃刀を刺入して隙間をつくった後、樹脂フィルムと粘着層とを引き離した。その結果、第1面にパターンが形成された機能性樹脂フィルムを剥離することができた。(剥離工程)
(実施例4)
キャリアガラスとしては、実施例1と同じガラスを用いた。従って、該化学強化処理および純水による洗浄を行った後に、該ガラスの第1面が下を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、隙間ゲージ法により測定された全てのコーナー部C1〜C4の各隙間の平均値は0.42mmであった。
キャリアガラスとしては、実施例1と同じガラスを用いた。従って、該化学強化処理および純水による洗浄を行った後に、該ガラスの第1面が下を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、隙間ゲージ法により測定された全てのコーナー部C1〜C4の各隙間の平均値は0.42mmであった。
次に、キャリアガラスの第1面上に、直鎖状ポリオルガノシロキサンと、分岐状ポリオルガノシロキサンと、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと、白金系触媒とを混合して得られた混合液を、ダイコート法により塗工して、未硬化の樹脂を含む層をキャリアガラス上に設けた。(樹脂層形成工程)直鎖状ポリオルガノシロキサンと分岐状ポリオルガノシロキサンとの混合重量比は、40/60とし、ハイドロシリル基とビニル基のモル比(ハイドロシリル基/ビニル基)は0.9/1となるように、直鎖状ポリオルガノシロキサンと、分岐状ポリオルガノシロキサンと、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとの混合比を調整した。白金系触媒は、直鎖状ポリオルガノシロキサンと、分岐状ポリオルガノシロキサンと、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとの合計100質量部に対して2質量部添加した。以下、これを硬化前ガラス樹脂積層体A4と呼ぶ。
次に、硬化前ガラス樹脂積層体A4を210℃にて30分間大気中で加熱硬化して、厚さ20μmの硬化した樹脂フィルムを含むガラス樹脂積層体A4を得た。(樹脂層硬化工程)このガラス樹脂積層体A4を、キャリアガラスの第1面が下を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、隙間ゲージ法により測定されたコーナー部の各隙間の平均値は、0.30mmであった。
続いて、ガラス樹脂積層体A4の、樹脂フィルム側の表面に対し、種々のパターンの形成を行い、機能性ガラス樹脂積層体A4を得た。(パターン形成工程)パターン形成工程を通じてガラス樹脂積層体A4は定盤上に正しく真空吸着されており、種々のパターンは良好に形成されたことを確認できた。この機能性ガラス樹脂積層体A4を、キャリアガラスの第1面が下を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、隙間ゲージ法により測定された全てのコーナー部の隙間は、0.30mmよりも小さく、反りが抑制されていたであった。また、機能性ガラス樹脂積層体A4を、キャリアガラスの第1面が上を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、隙間ゲージ法により測定されたコーナー部の各隙間の平均値は0.03mm未満であり、第1面が凸面のままであった。
その後、機能性ガラス樹脂積層体A4における機能性樹脂フィルムとキャリアガラスとの界面に、剃刀を刺入して隙間をつくった後、機能性樹脂フィルムとキャリアガラスとを引き離した。その結果、第1面にパターンが形成された機能性樹脂フィルムを剥離することができた。(剥離工程)
(比較例1)
キャリアガラスとして、化学強化処理を行っていないガラスを使用した。該ガラスにおけるコーナー部C1〜C4の位置は、図9に示す。キャリアガラスの表面および裏面が下を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して測定されたコーナー部C1〜C4の各隙間の平均値はいずれも0.03mm未満であった。その後、キャリアガラスの表面を第1面とし、実施例1と同様の方法により、ガラス樹脂積層体B1を得た。(接着工程、粘着層硬化工程)パターン形成工程に供される前に、キャリアガラスの第1面が上を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、隙間ゲージ法により測定されたガラス樹脂積層体B1の全てのコーナー部の各隙間の平均値は0.03mm未満であった。
キャリアガラスとして、化学強化処理を行っていないガラスを使用した。該ガラスにおけるコーナー部C1〜C4の位置は、図9に示す。キャリアガラスの表面および裏面が下を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して測定されたコーナー部C1〜C4の各隙間の平均値はいずれも0.03mm未満であった。その後、キャリアガラスの表面を第1面とし、実施例1と同様の方法により、ガラス樹脂積層体B1を得た。(接着工程、粘着層硬化工程)パターン形成工程に供される前に、キャリアガラスの第1面が上を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、隙間ゲージ法により測定されたガラス樹脂積層体B1の全てのコーナー部の各隙間の平均値は0.03mm未満であった。
次に、実施例1と同様の方法により、ガラス樹脂積層体B1の樹脂フィルム側の表面に対し、種々のパターンの形成を行い、機能性ガラス樹脂積層体B1を得た。(パターン形成工程)パターン形成工程においては、ガラス樹脂積層体B1が定盤上に正しく真空吸着されず、種々のパターンは実施例1と比較してパターンのずれや歪みが確認された。機能性ガラス樹脂積層体B1を、キャリアガラスの第1面が上を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、隙間ゲージ法により測定された全てのコーナー部の各隙間の平均値は0.20mmより大きく、樹脂フィルムの収縮により第1面が凹面となる反りが生じていた。続いて、実施例1と同様に機能性ガラス樹脂積層体B1からパターンが形成された機能性樹脂フィルムを剥離し、キャリアガラスを得た。(剥離工程)
(比較例2)
キャリアガラスとして、比較例1と同様に化学強化処理を行っていないガラスを使用した。キャリアガラスの表面および裏面が下を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して測定されたコーナー部C1〜C4の各隙間の平均値はいずれも0.03mm未満であった。その後、キャリアガラスの表面を第1面とし、実施例2と同様の方法により、ガラス樹脂積層体B2を得た。(接着工程、粘着層硬化工程)パターン形成工程に供される前に、キャリアガラスの第1面が上を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、隙間ゲージ法により測定されたガラス樹脂積層体B2の全てのコーナー部の各隙間の平均値は0.03mm未満であった。
キャリアガラスとして、比較例1と同様に化学強化処理を行っていないガラスを使用した。キャリアガラスの表面および裏面が下を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して測定されたコーナー部C1〜C4の各隙間の平均値はいずれも0.03mm未満であった。その後、キャリアガラスの表面を第1面とし、実施例2と同様の方法により、ガラス樹脂積層体B2を得た。(接着工程、粘着層硬化工程)パターン形成工程に供される前に、キャリアガラスの第1面が上を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、隙間ゲージ法により測定されたガラス樹脂積層体B2の全てのコーナー部の各隙間の平均値は0.03mm未満であった。
次に、実施例2と同様の方法により、ガラス樹脂積層体B2の樹脂フィルム側の表面に対し、種々のパターンの形成を行い、機能性ガラス樹脂積層体B2を得た。(パターン形成工程)パターン形成工程においては、ガラス樹脂積層体B2が定盤上に正しく真空吸着されず、種々のパターンは実施例2と比較してパターンのずれや歪みが確認された。機能性ガラス樹脂積層体B2を、キャリアガラスの第1面が上を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、隙間ゲージ法により測定された全てのコーナー部の各隙間の平均値は0.20mmより大きく、樹脂フィルムの収縮により第1面が凹面となる反りが生じていた。続いて、実施例2と同様に機能性ガラス樹脂積層体B2からパターンが形成された機能性樹脂フィルムを剥離し、キャリアガラスを得た。(剥離工程)
(比較例3)
キャリアガラスとして、比較例1と同様に化学強化処理を行っていないガラスを使用した。キャリアガラスの表面および裏面が下を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して測定されたコーナー部C1〜C4の各隙間の平均値はいずれも0.03mm未満であった。その後、キャリアガラスの表面を第1面とし、実施例3と同様の方法により、ガラス樹脂積層体B3を得た。(接着工程、粘着層硬化工程)パターン形成工程に供される前に、キャリアガラスの第1面が上を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、隙間ゲージ法により測定されたガラス樹脂積層体B3の全てのコーナー部の各隙間の平均値は0.03mm未満であった。
キャリアガラスとして、比較例1と同様に化学強化処理を行っていないガラスを使用した。キャリアガラスの表面および裏面が下を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して測定されたコーナー部C1〜C4の各隙間の平均値はいずれも0.03mm未満であった。その後、キャリアガラスの表面を第1面とし、実施例3と同様の方法により、ガラス樹脂積層体B3を得た。(接着工程、粘着層硬化工程)パターン形成工程に供される前に、キャリアガラスの第1面が上を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、隙間ゲージ法により測定されたガラス樹脂積層体B3の全てのコーナー部の各隙間の平均値は0.03mm未満であった。
次に、実施例3と同様の方法により、ガラス樹脂積層体B3の樹脂フィルム側の表面に対し、種々のパターンの形成を行い、機能性ガラス樹脂積層体B3を得た。(パターン形成工程)パターン形成工程においては、ガラス樹脂積層体B3が定盤上に正しく真空吸着されず、種々のパターンは実施例3と比較してパターンのずれや歪みが確認された。機能性ガラス樹脂積層体B3を、キャリアガラスの第1面が上を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、隙間ゲージ法により測定された全てのコーナー部の各隙間の平均値は0.20mmより大きく、樹脂フィルムの収縮により第1面が凹面となる反りが生じていた。続いて、実施例3と同様に機能性ガラス樹脂積層体B3からパターンが形成された機能性樹脂フィルムを剥離し、キャリアガラスを得た。(剥離工程)
(比較例4)
キャリアガラスとして、比較例1と同様に化学強化処理を行っていないガラスを使用した。キャリアガラスの表面および裏面が下を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して測定されたコーナー部C1〜C4の各隙間の平均値はいずれも0.03mm未満であった。その後、キャリアガラスの表面を第1面とし、実施例4と同様の方法により、ガラス樹脂積層体B4を得た。(接着工程、粘着層硬化工程)パターン形成工程に供される前に、キャリアガラスの第1面が上を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、隙間ゲージ法により測定されたガラス樹脂積層体B4の全てのコーナー部の各隙間の平均値は0.03mm未満であった。
キャリアガラスとして、比較例1と同様に化学強化処理を行っていないガラスを使用した。キャリアガラスの表面および裏面が下を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して測定されたコーナー部C1〜C4の各隙間の平均値はいずれも0.03mm未満であった。その後、キャリアガラスの表面を第1面とし、実施例4と同様の方法により、ガラス樹脂積層体B4を得た。(接着工程、粘着層硬化工程)パターン形成工程に供される前に、キャリアガラスの第1面が上を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、隙間ゲージ法により測定されたガラス樹脂積層体B4の全てのコーナー部の各隙間の平均値は0.03mm未満であった。
次に、実施例4と同様の方法により、ガラス樹脂積層体B4の樹脂フィルム側の表面に対し、種々のパターンの形成を行い、機能性ガラス樹脂積層体B4を得た。(パターン形成工程)パターン形成工程においては、ガラス樹脂積層体B4が定盤上に正しく真空吸着されず、種々のパターンは実施例4と比較してパターンのずれや歪みが確認された。機能性ガラス樹脂積層体B4を、キャリアガラスの第1面が上を向くように平坦かつ水平な定盤上に載置して、隙間ゲージ法により測定された全てのコーナー部の各隙間の平均値は0.20mmより大きく、樹脂フィルムの収縮により第1面が凹面となる反りが生じていた。続いて、実施例4と同様に機能性ガラス樹脂積層体B4からパターンが形成された機能性樹脂フィルムを剥離し、キャリアガラスを得た(剥離工程)。
上記実施例1〜4に示すように、本発明のガラス、ガラス樹脂積層体、機能性ガラス樹脂積層体、および機能性ガラス樹脂積層体の製造方法、機能性樹脂フィルムの製造方法によれば、機能性樹脂フィルムの品質を損ねずに機能性樹脂フィルムを製造することができる。
本発明は、例えば電子デバイス用樹脂フィルムの製造に使用し得るキャリアガラス、ガラス樹脂積層体、機能性ガラス樹脂積層体および機能性ガラス樹脂積層体の製造方法、機能性樹脂フィルムの製造方法に関するものである。
10 支持ガラス基板(キャリアガラス)
12 粘着層
14、24 樹脂フィルム
16 ガラス樹脂積層体
22 樹脂組成物層
26 ガラス樹脂積層体
30 樹脂フィルム(機能性樹脂フィルム)
30a 外表面
32 電子デバイス用パターン
321 遮光膜パターン
322 第1透明導電膜パターン
323 絶縁膜パターン
324 第2透明導電膜パターン
325 金属薄膜パターン
34 機能性ガラス樹脂積層体
12 粘着層
14、24 樹脂フィルム
16 ガラス樹脂積層体
22 樹脂組成物層
26 ガラス樹脂積層体
30 樹脂フィルム(機能性樹脂フィルム)
30a 外表面
32 電子デバイス用パターン
321 遮光膜パターン
322 第1透明導電膜パターン
323 絶縁膜パターン
324 第2透明導電膜パターン
325 金属薄膜パターン
34 機能性ガラス樹脂積層体
Claims (17)
- 略多角形状である第1面と、
前記第1面に対向する第2面と、
前記第1面の形成する略多角形の頂点にあたるコーナー部とを有するガラスであって、
前記第1面は凸面であり、
前記第1面が下を向くように前記ガラスを平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法により測定した前記コーナー部の各隙間の平均値が0.20mm以上であるガラス。 - 前記第1面が上を向くように前記ガラスを平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法により測定した前記コーナー部の各隙間の平均値が0.05mm以下である請求項1に記載のガラス。
- 前記第1面が第1の圧縮応力層を有し、
前記第2面が第2の圧縮応力層を有し、
前記第1の圧縮応力層の圧縮強度S1と前記第2の圧縮応力層の圧縮強度S2が、S1>S2を満たす請求項1または2に記載のガラス。 - アルミノシリケートガラスである請求項1〜3のいずれか1に記載のガラス。
- 化学強化されてなる請求項1〜4のいずれか1に記載のガラス。
- 線膨張係数が70×10−7K−1以上である請求項1〜5のいずれか1に記載のガラス。
- 板厚が1.0mm以下である請求項1〜6のいずれか1に記載のガラス。
- 請求項1〜7のいずれか1に記載の前記ガラスと、
前記第1面上に設けられる樹脂フィルムと、を有するガラス樹脂積層体。 - 略多角形状である第1面と、前記第1面に対向する第2面と、前記第1面の形成する略多角形の頂点にあたるコーナー部とを有するガラスと、
前記第1面上に設けられる樹脂フィルムと、を有する機能性ガラス樹脂積層体であって、
前記樹脂フィルムの表面上に少なくとも1つのタッチセンサ用パターンまたは色パターンが設けられ、
前記第1面が上を向くように前記機能性ガラス樹脂積層体を平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法により測定した前記コーナー部の各隙間の平均値が0.20mm以下である機能性ガラス樹脂積層体。 - 前記第1面が第1の圧縮応力層を有し、
前記第2面が第2の圧縮応力層を有し、
前記第1の圧縮応力層の圧縮強度S1と前記第2の圧縮応力層の圧縮強度S2が、S1>S2を満たす請求項9に記載の機能性ガラス樹脂積層体。 - 前記第1面が凸面である請求項9又は10に記載の機能性ガラス樹脂積層体。
- 前記ガラスと前記樹脂フィルムの間に粘着層を有する請求項9〜11のいずれか1に記載の機能性ガラス樹脂積層体。
- 前記第1面が下を向くように前記機能性ガラス樹脂積層体を平坦かつ水平な定盤上に載置して隙間ゲージ法により測定した前記コーナー部の各隙間の平均値が0.80mm以下である請求項9〜12のいずれか1に記載の機能性ガラス樹脂積層体。
- 請求項1〜7のいずれか1に記載のガラスの前記第1面上に樹脂フィルムを設ける積層工程と、
前記樹脂フィルムの前記第1面に面しない表面上に少なくとも1つのタッチセンサ用パターンまたは色パターンを形成するパターン形成工程と、を有する機能性ガラス樹脂積層体の製造方法。 - 前記積層工程において、前記樹脂フィルムは、樹脂組成物層が前記ガラスの前記第1面上に形成された後硬化されることで設けられる請求項14に記載の機能性ガラス樹脂積層体の製造方法。
- 前記積層工程において、前記樹脂フィルムと前記第1面との間に粘着層を設ける請求項14に記載の機能性ガラス樹脂積層体の製造方法。
- 請求項14〜16のいずれか1に記載の方法により製造された機能性ガラス樹脂積層体から、前記ガラスを剥離して機能性樹脂フィルムを得る剥離工程を有する機能性樹脂フィルムの製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014174911A JP2016050129A (ja) | 2014-08-29 | 2014-08-29 | ガラス、ガラス樹脂積層体、機能性ガラス樹脂積層体、機能性ガラス樹脂積層体の製造方法および機能性樹脂フィルムの製造方法 |
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JP2014174911A JP2016050129A (ja) | 2014-08-29 | 2014-08-29 | ガラス、ガラス樹脂積層体、機能性ガラス樹脂積層体、機能性ガラス樹脂積層体の製造方法および機能性樹脂フィルムの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2016050129A true JP2016050129A (ja) | 2016-04-11 |
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JP2014174911A Pending JP2016050129A (ja) | 2014-08-29 | 2014-08-29 | ガラス、ガラス樹脂積層体、機能性ガラス樹脂積層体、機能性ガラス樹脂積層体の製造方法および機能性樹脂フィルムの製造方法 |
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JP (1) | JP2016050129A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017517051A (ja) * | 2014-03-31 | 2017-06-22 | 東友ファインケム株式会社Dongwoo Fine−Chem Co., Ltd. | 薄膜タッチスクリーンパネルの製造方法 |
JP2020104457A (ja) * | 2018-12-28 | 2020-07-09 | アイシン精機株式会社 | 積層ガラス及び積層ガラスの製造方法 |
JP2021080126A (ja) * | 2019-11-18 | 2021-05-27 | Agc株式会社 | 支持ガラス基板及び積層体 |
WO2022124056A1 (ja) * | 2020-12-10 | 2022-06-16 | 三井化学株式会社 | 積層体およびその製造方法、ならびにポリイミドフィルム、およびその製造方法 |
-
2014
- 2014-08-29 JP JP2014174911A patent/JP2016050129A/ja active Pending
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