JP2016049382A - マウスピース成形用シートの製造方法,マウスピース成形用シート及びマウスピースの成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 歯科医療の現場においても容易に実施可能にして実施容易性及び実用性を高めるとともに、製作工数の低減及びコストダウン、更には、量産性向上,品質向上及び使用時の外観性向上を実現する。
【解決手段】 歯列Tに装着する合成樹脂製のマウスピースMを成形する際に用いるマウスピース成形用シート1を製造するに際し、所定の厚さLaを有する軟質合成樹脂シート2aと所定の厚さLbを有する硬質合成樹脂シート2bを重ね合わせた積層シート2を挟着部Pにおける一対の平坦面Pf,Ps間に挟む積層ステップ(S1…S4)と、挟着部Pにより挟着した積層シート2を真空加熱処理部Hに収容し、予め設定した設定時間にわたって加熱処理及び真空吸引処理を行う溶着ステップ(S5…S8)とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】 歯列Tに装着する合成樹脂製のマウスピースMを成形する際に用いるマウスピース成形用シート1を製造するに際し、所定の厚さLaを有する軟質合成樹脂シート2aと所定の厚さLbを有する硬質合成樹脂シート2bを重ね合わせた積層シート2を挟着部Pにおける一対の平坦面Pf,Ps間に挟む積層ステップ(S1…S4)と、挟着部Pにより挟着した積層シート2を真空加熱処理部Hに収容し、予め設定した設定時間にわたって加熱処理及び真空吸引処理を行う溶着ステップ(S5…S8)とを備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、歯列に装着する合成樹脂製のマウスピースを成形する際に用いるマウスピース成形用シートの製造方法,マウスピース成形用シート及びマウスピースの成形方法に関する。
一般に、歯列に装着することにより歯列矯正を行う合成樹脂製のマウスピースは知られている。この種のマウスピースには、通常、特許文献1に開示されるエチレン・酢酸ビニル共重合樹脂シート(EVAシート)を使用することが多く、このEVAシートを歯列に嵌合するよう成形処理することにより、目的のマウスピースを得ている。一方、マウスピースに対しては様々な改良も行われており、特に、内側に軟質素材を使用し、外側に硬質素材を使用する二層形式のマウスピースも提案されている。
従来、このような二層形式のマウスピースとしては、特許文献2に開示されるフッ素徐放性マウスピースが知られている。このフッ素徐放性マウスピースは、歯冠(歯列)に当接する内側の面にフッ素徐放性ゴムを配し、かつ外側の面に硬質エラストマーを配することにより、本来のマウスピースの機能に加え、歯質の強化やウ触予防の機能を付加したものである。
しかし、上述した従来における二層形式によるマウスピースは、次のような問題点があった。
第一に、二層形式の原理的な構造が開示され、また、その利点も開示されているが、具体的な実施方法(製作方法)については何ら開示されていない。したがって、特許文献2に開示される二層形式のマウスピースを実際に実施しようとする場合、相応の困難性が想定され、実施の容易性を確保できないのみならず、一定の品質を確保することも容易でなく、特に、歯科医療の現場における実用化を図る観点からは不十分である。
第二に、二層形式のマウスピースとなることから、フッ素徐放性ゴムを用いて一層目を形成し、また、硬質エラストマーを用いて二層目を形成する必要があるため、製作工程が増加及び複雑化しやすい。結局、製作工数の増加及びこれに伴うコストアップを招くなど、いわば副作用としてマイナス要素を生じやすい。
第三に、基本的には、歯質の強化やウ触予防の機能を付加することを目的とするため、フッ素徐放性ゴムを用いた一層目と硬質性のゴムを用いた二層目との組合わせである。したがって、全体はゴム素材により形成されるため、マウスピースの使用感などは、従来のマウスピースの域を出ないとともに、歯列に実際に装着した場合、外観的な違和感(審美性の低下)を生じやすい。
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決したマウスピース成形用シートの製造方法,マウスピース成形用シート及びマウスピースの成形方法の提供を目的とするものである。
本発明に係るマウスピース成形用シートの製造方法は、上述した課題を解決するため、歯列Tに装着する合成樹脂製のマウスピースMを成形する際に用いるマウスピース成形用シート1を製造するに際し、所定の厚さLaを有する軟質合成樹脂シート2aと所定の厚さLbを有する硬質合成樹脂シート2bを重ね合わせた積層シート2を挟着部Pにおける一対の平坦面Pf,Ps間に挟む積層ステップ(S1,S2…S4)と、挟着部Pにより挟着した積層シート2を真空加熱処理部Hに収容し、予め設定した設定時間にわたって加熱処理及び真空吸引処理を行う溶着ステップ(S5,S6…S8)とを備えてなることを特徴とする。
また、本発明に係るマウスピース成形用シート1は、上述した課題を解決するため、歯列Tに装着する合成樹脂製のマウスピースMを成形する際に用いるマウスピース成形用シートであって、所定の厚さLaを有する軟質合成樹脂シート2aと所定の厚さLbを有する硬質合成樹脂シート2bを重ね合わせた積層シート2を挟着部Pにおける一対の平坦面Pf,Ps間に挟む積層ステップ(S1…S4)と、挟着部Pにより挟着した積層シート2を真空加熱処理部Hに収容し、予め設定した設定時間にわたって加熱処理及び真空吸引処理を行う溶着ステップ(S5…S8)とを備えてなるマウスピース成形用シートの製造方法により製造したことを特徴とする。
さらに、本発明に係るマウスピースの成形方法は、歯列Tに装着する合成樹脂製のマウスピース1を成形するに際し、所定の厚さLaを有する軟質合成樹脂シート2aと所定の厚さLbを有する硬質合成樹脂シート2bを重ね合わせた積層シート2を挟着部Pにおける一対の平坦面Pf,Ps間に挟む積層ステップ(S1…S4)と、挟着部Pにより挟着した積層シート2を真空加熱処理部Hに収容し、予め設定した設定時間にわたって加熱処理及び真空吸引処理を行う溶着ステップ(S5…S8)とを備えてなるマウスピース成形用シートの製造方法により製造したマウスピース成形用シート1を使用し、軟質合成樹脂シート2a側が歯列T側に位置するように成形処理することを特徴とする。
一方、発明の好適な態様により、軟質合成樹脂シート2a及び硬質合成樹脂シート2bには透明素材を用いることができる。また、軟質合成樹脂シート2aには、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂素材を用いることができるとともに、硬質合成樹脂シート2bには、例えば、ポリカーボネイト樹脂素材を用いることができる。さらに、設定時間としては、軟質合成樹脂シート2aと硬質合成樹脂シート2b間に気泡が残留しないこと,軟質合成樹脂シート2aと硬質合成樹脂シート2b間が溶着すること,の二つの条件を満たす時間を設定することができる。他方、マウスピース成形用シート1は、マウスピース成形後に、歯列Tに隣接する顎粘膜部Jtの少なくとも一部を覆うピース延設部Mpを一体に連続形成可能なサイズ及び形状に選定することができる。
このような本発明に係るマウスピース成形用シートの製造方法,マウスピース成形用シート及びマウスピースの成形方法によれば、次のような顕著な効果を奏する。
(1) マウスピース成形用シート1は、軟質合成樹脂シート2aと硬質合成樹脂シート2bを重ね合わせた積層シート2により得れるため、比較的簡易な製造設備により容易に製作できる。したがって、製作工数の低減及びコストダウンに寄与できるとともに、品質の高いマウスピース成形用シート1の量産も容易に行うことができる。
(2) 基本的な発明対象はマウスピース成形用シートの製造するための手法となり、得られるマウスピース成形用シート1自体は、実質的には一体性を有する二層一枚のシートとなる。したがって、従来からのマウスピース成形用シートに準じて使用できる。即ち、従来より行われているマウスピースMの成形手法(成形工程)をそのまま利用して実施できるため、歯科医療の現場においても容易に実施できるなど、実施容易性及び実用性に優れる。
(3) マウスピースMは、歯列に接触する内面に軟質合成樹脂が接触し、外面に硬質合成樹脂が露出するため、歯列への装着感を高め、かつ食物を噛む使用感を高めることができるなど、機能面からも理想的なマウスピースMとして提供できる。
(4) 好適な態様により、軟質合成樹脂シート2a及び硬質合成樹脂シート2bに、透明素材を用いれば、マウスピース成形用シート1全体が一体性かつ透明性を有するため、歯列に装着した際には、外観的な違和感(審美性の低下)を生じにくく、従来のシートと同様の外観性を確保できるとともに、異なる二種類の素材を生かすことにより、より外観性を高めることも可能となる。
(5) 好適な態様により、軟質合成樹脂シート2aに、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂素材を用いれば、従来のマウスピース成形用シートと同様の素材を、歯列に接触する片面(内面)に使用できるため、従来と同水準の装着感を確保できるなど、最も望ましい実施形態として採用できる。
(6) 好適な態様により、硬質合成樹脂シート2bに、ポリカーボネイト樹脂素材を用いれば、汎用的材料の使用が可能になるため、容易かつ低コストに実施できるとともに、軟質合成樹脂シート2aに用いるエチレン・酢酸ビニル共重合樹脂素材と組合わせることにより、最も望ましい実施形態として採用できる。
(7) 好適な態様により、設定時間として、軟質合成樹脂シート2aと硬質合成樹脂シート2b間に気泡が残留しないこと,軟質合成樹脂シート2aと硬質合成樹脂シート2b間が溶着すること,の二つの条件を満たす時間を設定すれば、品質及び均質性の高いマウスピース成形用シート1の生産、更には量産性向上を容易に実現できる。
(8) 好適な態様により、マウスピース成形用シート1を、マウスピース成形後に、歯列Tに隣接する顎粘膜部Jtの少なくとも一部を覆うピース延設部Mpを一体に連続形成可能なサイズ及び形状に選定すれば、ピース延設部Mpが顎粘膜部Jtに当接する場合であっても、内側(歯列T側)に軟質合成樹脂シート2aを配してなるため、痛みや不快感を生じることなく快適に使用することができる。
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
まず、本実施形態に係るマウスピース成形用シートの製造方法について、図2〜図4を参照しつつ、図1に示すフローチャート(工程図)に従って説明する。
最初に、図2(a)に示す軟質合成樹脂シート2aと硬質合成樹脂シート2bを準備する(ステップS1,S2)。軟質合成樹脂シート2a及び硬質合成樹脂シート2bは、いずれも透明樹脂素材を使用する。これにより、成形後におけるマウスピース成形用シート1の全体が一体性かつ透明性を有し、歯列に装着した際には、外観的な違和感(審美性の低下)を生じにくく、従来のシートと同様の外観性を確保できる。加えて、異なる二種類の素材を生かすことにより、より外観性を高めることも可能となる。
軟質合成樹脂シート2aには、一例として、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)素材を用いることができる。これにより、従来のマウスピース成形用シートと同様の素材を、歯列に接触する片面(内面)に使用できるため、従来と同水準の装着感を確保できるなど、最も望ましい実施形態として採用できる。軟質合成樹脂シート2aは、ディメンションとして、例えば、厚さLaが1.5〜2.5〔mm〕程度,一辺が11〜15〔cm〕程度の一定厚となる正方形のEVAシートとして用意する。なお、軟質合成樹脂シート2aの素材としては、このようなEVA素材に限定されるものではなく、軟質性を有し、かつ望ましくは透明性を有する各種素材を適用できる。
また、硬質合成樹脂シート2bは、一例として、ポリカーボネイト樹脂(PC)素材を用いることができる。これにより、汎用的材料の使用が可能になるため、容易かつ低コストに実施できるとともに、軟質合成樹脂シート2aに用いるエチレン・酢酸ビニル共重合樹脂素材と組合わせることにより、最も望ましい実施形態として採用できる。硬質合成樹脂シート2bは、ディメンションとして、例えば、厚さLbが0.5〜1.5〔mm〕程度,一辺が11〜15〔cm〕程度の一定厚となる正方形のPCシートとして用意する。なお、硬質合成樹脂シート2bの素材としては、このようなPC素材に限定されるものではなく、硬質性を有し、かつ望ましくは透明性を有する各種素材を適用できる。
軟質合成樹脂シート2aと硬質合成樹脂シート2bを用意したなら、図2(b)に示すように、軟質合成樹脂シート2aと硬質合成樹脂シート2bを重ね合わせる(ステップS3)。これにより、積層シート2が得られる。そして、この積層シート2は、図2(c)に示すように、挟着部Pを構成する一対の平坦面Pf,Ps間にセットする(ステップS4)。なお、挟着部Pを構成するに際しては、例えば、二枚の金属プレート11f,11sを用意し、一方の金属プレート11fを上側に配し、他方の金属プレート11sを下側に配すれば足りる。これにより、上側の金属プレート11fの下面が一方の平坦面Pfとなり、下側の金属プレート11sの上面が他方の平坦面Psとなるため、この平坦面Psの上に積層シート2を載置し、さらに、この上に金属プレート11fを載置すればよい。以上のステップS1…S4が積層ステップとなる。
次いで、図3に示すように、挟着部Pにより挟着した状態の積層シート2を、真空加熱処理部Hに収容する(ステップS5)。なお、一例として示す真空加熱処理部Hは真空オーブンHsである。この真空オーブンHsは、ハウジング部の内部ほぼ全面を加熱部により構成した加熱炉21と、この加熱炉21の出入口部を覆うカバー部22と、加熱炉21の内部に収容したワーク載置台23と、加熱炉21の内部を真空吸引する真空ポンプ24と、加熱炉21と真空ポンプ24を作動制御するコントローラ25を備えている。このような真空加熱処理部Hとしては、その他、同様の機能を有する各種真空加熱処理部Hを利用できる。
そして、コントローラ25により加熱部23と真空ポンプ24を駆動制御(作動制御)し、予め設定した設定時間にわたって加熱処理及び真空吸引処理を行う(ステップS6,S7,S8)。図3中、矢印で示すFhは加熱方向、Frは吸気方向をそれぞれ示す。例示の場合、設定時間として、概ね10〔分〕程度を設定し、加熱温度として、150〔℃〕程度を設定した。設定時間は、加熱温度や真空レベルにもよるが、基本的には、軟質合成樹脂シート2aと硬質合成樹脂シート2b間に気泡が残留しないこと,軟質合成樹脂シート2aと硬質合成樹脂シート2b間が溶着すること,の二つの条件を満たす時間を設定することが望ましい。これにより、品質及び均質性の高いマウスピース成形用シート1の生産、更には量産性向上を容易に実現できる。以上のステップS5…S8が溶着ステップとなる。
一方、設定時間が経過したなら、コントローラ25は、加熱部23及び真空ポンプ24の駆動(作動)を停止し、積層シート2を常温まで冷却する冷却処理を行う(ステップS9)。なお、冷却処理は、自然放置による自然冷却処理を行ってもよいし、冷気等を供給する強制冷却処理を行ってもよい。また、冷却時間を速めるため、一定の温度まで低下したなら、積層シート2を挟着部Pから取り出してもよい。そして、常温まで冷却したなら、軟質合成樹脂シート2aと硬質合成樹脂シート2b間に気泡が残留していないこと、軟質合成樹脂シート2aと硬質合成樹脂シート2bが十分に溶着していること等の外観検査や物理的検査を含む必要な検査を行い、良品か不良品かを判別する(ステップS10)。この際、不良品の場合には、不良品として取り除く不良処理を行う(ステップS11,S12)。また、良品の場合には、良品ウントする(ステップS13)。これにより、図4に示す本実施形態に係るマウスピース成形用シート1を得ることができる。
よって、このような本実施形態に係るマウスピース成形用シートの製造方法によれば、基本的なステップとして、所定の厚さLaを有する軟質合成樹脂シート2aと所定の厚さLbを有する硬質合成樹脂シート2bを重ね合わせた積層シート2を挟着部Pにおける一対の平坦面Pf,Ps間に挟む積層ステップ(S1…S4)と、挟着部Pにより挟着した積層シート2を真空加熱処理部Hに収容し、予め設定した設定時間にわたって加熱処理及び真空吸引処理を行う溶着ステップ(S5…S8)とを備えるため、目的とするマウスピース成形用シート1を容易に製造することができる。また、このマウスピース成形用シート1は、軟質合成樹脂シート2aと硬質合成樹脂シート2bを重ね合わせた積層シート2により得れるため、比較的簡易な製造設備により容易に製作できる。したがって、製作工数の低減及びコストダウンに寄与できるとともに、品質の高いマウスピース成形用シート1の量産も容易に行うことができる。
次に、マウスピース成形用シート1を用いた本実施形態に係るマウスピースMの成形方法について、図5〜図8を参照して説明する。
図5及び図6に、マウスピースMを成形するためのマウスピース成形装置Uの一例を示す。例示するマウスピース成形装置Uは、断熱された密閉状のハウジング部31と、このハウジング部31の内部における上下方向の中間位置に設けたシート保持部32と、このシート保持部32よりも下方空間31dに配設し、上端に配した模型載置テーブル33t及びこの模型載置テーブル33tを昇降させる昇降機構33mを備える模型載置機構33と、シート保持部32よりも上方空間31uに配設し、ハウジング部21の内部を加熱する加熱部34と、ハウジング部21の内部における上方空間31uの内部を加圧するエアポンプ35と、昇降機構33m,加熱部34とエアポンプ35を作動制御するコントローラ36を備えている。なお、シート保持部32は、マウスピース成形用シート1の縁部全周を把持し、シート面を水平に保持する機能を備える。
マウスピースMを成形するに際しては、図5に示すように、まず、マウスピース成形装置Uの模型載置機構33における模型載置テーブル33tの上に、予め用意した石膏等により成形した歯型模型50を載置する。この場合、模型載置テーブル33tは下降位置に位置させておく。また、マウスピース成形用シート1は、図5に示すように、縁部全周をシート保持部32により保持する。この際、マウスピース成形用シート1は、軟質合成樹脂シート2a側が下側となるようにセット、即ち、下方空間31dに臨むようにセットする。これにより、ハウジング部31の内部は、マウスピース成形用シート1によって、上方空間31uと下方空間31dに仕切られ、それぞれ独立した密閉空間となる。
次いで、コントローラ36は、加熱部34を作動制御し、マウスピース成形用シート1を加熱する。この際、硬質合成樹脂シート2b部分を含むマウスピース成形用シート1の全体が軟質状態となるように加熱による軟化処理を行う。この状態を図5に示す。なお、図5中、矢印で示すFhは加熱方向を示す。
そして、十分に軟質状態となったなら、コントローラ36は、昇降機構33mを駆動制御(作動制御)し、模型載置テーブル33tを上昇させるとともに、エアポンプ35を駆動制御して圧縮空気を上方空間31uに供給する。これにより、上方空間31uの内部圧力がマウスピース成形用シート1を下方に加圧する成形処理を行う。この結果、軟質状態のマウスピース成形用シート1は、図6に示すように、歯型模型50に対して上から覆い被さるように密着する。即ち、歯型模型50の外観形状に沿った形状に成形される。なお、図5中、矢印で示すFpは圧縮空気の供給方向を示している。この際、成形処理の開始と同時に加熱部34による加熱を停止させてもよいし、一定時間継続させた後に停止させてもよい。
以上の成形処理が終了したなら、上方空間31uの内部加圧及び模型載置テーブル33tの上昇位置はそのまま維持し、常温まで冷却処理を行う。そして、冷却処理が終了したなら、成形されたマウスピース成形用シート1をマウスピース成形装置Uから取り出すとともに、歯型模型50から取り外す。この後、不要部分を除去すれば、図7に示す目的のマウスピースMを得ることができる。
このように、本実施形態に係るマウスピース成形用シート1自体は、実質的に、一体性を有する二層一枚のシートとなるため、従来からのマウスピース成形用シートに準じて使用できる。即ち、従来より行われているマウスピースMの成形手法(成形工程)をそのまま利用して実施できるため、歯科医療の現場においても容易に実施できるなど、実施容易性及び実用性に優れる利点がある。
よって、このような本実施形態に係るマウスピースの製造方法により得られるマウスピースMは、図8に示すように、使用者の歯列Tに装着して使用できる。装着時には、歯列Tに対して軟質合成樹脂シート2a側が当接するため、密着性が確保され、装着感は従来のものと変わりなく確保される。これ対して、外側は、硬質合成樹脂シート2bが露出するため、食べ物を噛む際においても噛み易くなるとともに、歯列Tに対する保護を図ることができる。また、マウスピースMは、歯列に接触する内面に軟質合成樹脂が接触し、外面に硬質合成樹脂が露出するため、歯列への装着感を高め、かつ食物を噛む使用感を高めることができるなど、機能面からも理想的なマウスピースMとして提供できる。
他方、図9及び図10には変更例を示す。図9は、図5(図6)に示したマウスピース成形装置Uの変更例である。図5に示したマウスピース成形装置Uは、ハウジング部31の上方空間31uの内部にエアポンプ35から圧縮空気を供給するとともに、歯型模型50を昇降機構33mにより上昇させるようにしたが、図9に示すマウスピース成形装置Ueは、ハウジング部31の下方空間31dに模型載置台61を固定し、この模型載置台61の上面に歯型模型50を載置するとともに、ハウジング部31の内面に配したガイドレール55,56により、シート保持部32を上下にスライド変位自在に支持し、さらに、エアポンプ35の代わりに真空ポンプ62を使用することにより、模型載置台61の上方に位置する下方空間31dの内部を吸引するようにしたものである。図9に示すマウスピース成形装置Ueであっても図5に示したマウスピース成形装置Uと同様にマウスピースMの成形を行うことができる。なお、図9において、図5(図6)と同一部分には同一符号を付してその構成を明確化するとともに、その詳細な説明は省略する。
また、図10は、図8(図7)に示したマウスピースMの変更例である。図7に示したマウスピースMは、主に歯列Tに被せることを想定したものであるが、図10に示すマウスピースMeは、マウスピースMの下端縁部分に、図7に仮想線で示すように更に延出させたピース延設部Mpを一体に設け、このピース延設部Mpにより、図10示す歯列Tに隣接する少なくとも一部の顎粘膜部Jtを覆うことができるようにしたものである。このため、使用するマウスピース成形用シート1は、マウスピース成形後に、歯列Tに隣接する顎粘膜部Jtの少なくとも一部を覆うピース延設部Mpを一体に連続形成可能なサイズ及び形状に選定する。このようなマウスピース成形用シート1を用いれば、ピース延設部Mpが顎粘膜部Jtに当接する場合であっても、内側(歯列T側)に軟質合成樹脂シート2aを配してなるため、痛みや不快感を生じることなく快適に使用することができる。なお、図10において、図8(図7)と同一部分には同一符号を付してその構成を明確化するとともに、その詳細な説明は省略する。
以上、好適実施形態及び変更例について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。例えば、軟質合成樹脂シート2a及び硬質合成樹脂シート2bには透明素材を用いることが望ましいが、いずれか一方又は双方に非透明素材を用いてもよい。これにより、歯の色に近似した色に着色できるなど、各種態様により実施できる。したがって、素材として、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂素材(軟質合成樹脂シート2a)とポリカーボネイト樹脂素材(硬質合成樹脂シート2b)を例示したが、着色する場合には、使用できる樹脂素材を大幅に広げることができる。
本発明に係るマウスピース成形用シートの製造方法,マウスピース成形用シート及びマウスピースの成形方法は、歯列に装着する合成樹脂製のマウスピースを成形する際に利用できる。この場合、マウスピースは、歯科医療用,スポーツ用など各種の用途に適用することができる。
1:マウスピース成形用シート,2:積層シート,2a:軟質合成樹脂シート,2b:硬質合成樹脂シート,T:歯列,M:マウスピース,Mp:ピース延設部,La:所定の厚さ,Lb:所定の厚さ,P:挟着部,Pf:平坦面,Ps:平坦面,(S1,S2…S4):積層ステップ,H:真空加熱処理部,(S5,S6…S8):溶着ステップ,Jt:顎粘膜部
Claims (8)
- 歯列を覆う合成樹脂製のマウスピースを成形する際に用いるマウスピース成形用シートの製造方法であって、所定の厚さを有する軟質合成樹脂シートと所定の厚さを有する硬質合成樹脂シートを重ね合わせた積層シートを挟着部を構成する一対の平坦面間に挟む積層ステップと、前記挟着部により挟着した積層シートを真空加熱処理部に収容し、予め設定した設定時間にわたって加熱処理及び真空吸引処理を行う溶着ステップとを備えてなることを特徴とするマウスピース成形用シートの製造方法。
- 前記軟質合成樹脂シート及び前記硬質合成樹脂シートは、透明素材を用いることを特徴とする請求項1記載のマウスピース成形用シートの製造方法。
- 前記軟質合成樹脂シートには、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂素材を用いることを特徴とする請求項1又は2記載のマウスピース成形用シートの製造方法。
- 前記硬質合成樹脂シートには、ポリカーボネイト樹脂素材を用いることを特徴とする請求項1,2又は3記載のマウスピース成形用シートの製造方法。
- 前記設定時間は、前記軟質合成樹脂シートと前記硬質合成樹脂シート間に気泡が残留しないこと,前記軟質合成樹脂シートと前記硬質合成樹脂シート間が溶着すること,の二つの条件を満たす時間を設定することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のマウスピース成形用シートの製造方法。
- 歯列を覆う合成樹脂製のマウスピースを成形する際に用いるマウスピース成形用シートであって、所定の厚さを有する軟質合成樹脂シートと所定の厚さを有する硬質合成樹脂シートを重ね合わせた積層シートを挟着部を構成する一対の平坦面間に挟む積層ステップと、前記挟着部により挟着した積層シートを真空加熱処理部に収容し、予め設定した設定時間にわたって加熱処理及び真空吸引処理を行う溶着ステップとを備えてなるマウスピース成形用シートの製造方法により製造したことを特徴とするマウスピース成形用シート。
- 歯列を覆う合成樹脂製のマウスピースの成形方法であって、所定の厚さを有する軟質合成樹脂シートと所定の厚さを有する硬質合成樹脂シートを重ね合わせた積層シートを挟着部における一対の平坦面間に挟む積層ステップと、前記挟着部により挟着した積層シートを真空加熱処理部に収容し、予め設定した設定時間にわたって加熱処理及び真空吸引処理を行う溶着ステップとを備えてなるマウスピース成形用シートの製造方法により製造したマウスピース成形用シートを使用し、軟質合成樹脂シート側が歯列側に位置するように成形処理することを特徴とするマウスピースの成形方法。
- 前記マウスピース成形用シートは、マウスピース成形後に、前記歯列に隣接する顎粘膜部の少なくとも一部を覆うピース延設部を一体に連続形成可能なサイズ及び形状に選定してなることを特徴とする請求項7記載のマウスピースの成形方法。
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