JP2016047940A - ナノ粒子の製造方法 - Google Patents

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【課題】物理蒸着法によって、不純物がなく、粒子径分布の狭い、3次元に成長したナノ粒子を安定して製造することができ、粒子径と製造量を自由に制御できる製造装置及びその製造方法を提供する。【解決手段】物理蒸着装置において、蒸着源3と被蒸着体8の間にシャッター機構4が設けられているナノ粒子の製造装置であり、ナノ粒子の製造に適切な蒸着−非蒸着時間が設定され、間欠的に蒸着されるナノ粒子の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、物理蒸着法によって3次元構造のナノ粒子を製造する装置及びその製造方法に関する。
現在、「ナノテクノロジー」と呼称される概念は、1959年、ノーベル物理学賞受賞者であるファインマン氏が、「底(極微の世界)にはたっぷり空きがある」の発表に始まり、1974年、山梨大学や東京理科大学の教授であった故谷口紀男氏によって「ナノテクノロジー」という言葉が創り出されたもので、かなり古くから存在する。そして、1986年、マサチューセッツ工科大学のドレクスラー氏が著した「創造する機械」によって一般的に知られ、クランフィールド大学のパット・マキューン教授が、「ナノテクノロジーの将来像」を講演したことから、国際用語として広まった。2000年には、米国クリントン大統領が、「ナノテクノロジー」を国家戦略に位置づけるまでになり、それに追従する形で研究開発が世界中で進められるようになった。(非特許文献1、2、及び、3)
一方、このような一種の流行語と言える「ナノテクノロジー」を技術的に見ると、ある構造や形態の物質が、1nm次元の大きさにおいて発現する機能を活用する技術であり、物質の種類、構造や形態、大きさが相互に関連している上、製法の影響も大きい複合技術である。しかも、物質の基本単位である原子や原子間隔が0.1nm次元であることを考慮すると、物質を扱う極限の大きさに迫っており、あらゆる技術を統合する必要がある究極の生産技術であると言える。(非特許文献4)
従って、「ナノテクノロジー」から、次のような効果が期待されている。第一に、単純にあらゆるものが小型化できる効果である。第二に、大きさの2乗に反比例して急増する表面積の効果である。第三に、大きさが激変することによって、物質固有の特性が変化する効果である。第一の効果については、電子工学分野、すなわち、半導体、ディスプレイ、ストレージ等において既に実用化されている。今後は、予測されないことが多いが故に期待が大きい第二、第三の効果を、環境・エネルギー分野、生化学・医学分野、電子工学分野、工業材料分野等で実用化すべく、精力的な研究開発が進められている。(非特許文献5)
特に、第二の大きさの2乗に反比例して急増する表面積の効果は、化学触媒、表面化学反応、複合材料等においては顕著な効能が予測され、様々な物質のナノ粒子が様々な分野で検討されてきた。例えば、化学触媒としては、自動車排出ガスを清浄化するため、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の白金族貴金属ナノ粒子が、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、セリア(CeO)等を主成分とする耐熱性酸化物担持体表面に触媒活性点として分散されている。表面化学反応としては、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度を増加させるため、炭素質材料、金属酸化物、固体電解質等のような無機材料で包埋或いは被覆されたシリコンナノ粒子が負極活物質として検討されている(特許文献1)。また、色素増感型太陽電池の光電変換効率を向上するため、表面プラズモン共鳴効果が期待される金属ナノ粒子が、光電極をなす多孔質のTiO膜表面に担持されている(特許文献2)。一方、複合材料としては、半導体パッケージ材料として用いられているエポキシ樹脂の物性を向上させるため、シリカ(SiO)ナノ粒子が検討されている(非特許文献6)。その結果、実験室レベルでは、ナノ粒子の表面積の効果が認められ、実用化、量産化が期待されている。
しかし、上記実用化、量産化には、大量に、安定した品質で、安価に製造することができるナノ粒子の製造技術が必要であるが、現状の、気相法、液相法、及び、固相法には、次のような問題があり、更なる改良が必要である(非特許文献2)。
気相法には、化学蒸着(CVD)法、蒸発・凝集法、酸化・還元法等がある。CVD法は、プラズマ等によって活性化された反応性モノマーが加熱炉において化学反応し、核生成、凝縮、凝集を経てナノ粒子が形成されるものであるが、生産効率が低く、エネルギー効率が悪いため、製造コストが高いという問題がある。また、核生成、凝縮、凝集というプロセスを経るため、粒子径が不均一になるという課題もある。蒸発・凝集法は、不活性ガス中で、レーザー、スパッタリング、熱等の方法で金属を一旦蒸発させた後、冷却することによってナノ粒子を製造する方法であり、CVD法と同様の問題がある。酸化・還元法は、金属塩化物の反応ガス中で、酸化・還元することによって、ナノ粒子を生成する方法であるが、原料に基づく不純物の混入という問題がある。
液相法としては、液相合成法、沈澱法、噴霧・固化法、液中分散法等がある。この中でも液相合成法がよく用いられ、還元法、水熱合成法、ゾル−ゲル法、中和分解法、加水分解法等がある。特に、分散剤等を含む金属塩の溶解溶液から還元剤で金属粒子に成長させる還元法は、ナノ粒子の製造が容易であるため、利用例が多い(特許文献2)。しかし、この方法は、不純物の混入、粒子径の制御が困難である。超臨界液体を用いる水熱合成法は注目されているが、まだ研究段階である。加水分解、重縮合という化学反応を用いるゾル−ゲル法や沈澱法も簡単にナノ粒子が得られるが、乾燥、焼成という工程が必要で、焼成中の粒子の凝集が大きな課題である。沈澱法は、溶解性金属塩から難溶性金属塩に変化させ、その沈殿物を焼成して製造するため、やはり、焼成における粒子の凝集が大きな問題である上、試薬が限定されるという問題もある。噴霧・固化法は、溶解性金属塩や有機金属化合物等の溶液を噴霧し、乾燥或いは燃焼する方法であるが、粒子径及び粒子組成の制御が困難である。液中分散法は、逆ミセル法やミセル法があり、いずれも、逆ミセル、ミセルを化学反応の場として利用するもので、界面活性剤で粒子径が制御されるが、試薬が限定され、不純物の除去が困難である。このように、液相法は、よく利用されるが、核形成、成長、停止という過程を経るため、粒子径の制御が困難で、数nm以下の微細なナノ粒子を製造することが難しく、不純物の混入を避けることができないという共通の問題がある。
また、固相法は、主として粉砕法が用いられる。この方法は、様々な物質の粒子の量産技術として使用されているが、粒子サイズの限界が1μm程度であり、微細な純度の高いナノ粒子を製造することは困難である上、分級という操作が必要である。従って、現在では、気相法、液相法によるナノ粒子の製造技術の開発に注力されている。
このような従来技術のナノ粒子製造方法の問題点を解決する方法として、一般的な蒸着やスパッタリング等の成膜機構に着目した物理蒸着法を用いたナノ粒子の形成方法が開示されている(例えば、特許文献3)。これは、スパッタリングの成膜機構が、Volmer−Weber(VW)成長、Frank−van der Merwe(FM)成長、Stranski−Krastanov(SK)成長の3様式、中でも、VW成長様式、つまり、成長の初期段階から三次元的な島状の核が形成され,それらが蒸着量の増加とともに成長して合体し、やがて連続的な膜となる「島状成長(Island Growth)様式」に着目したものである。すなわち、蒸着物質と基板の表面エネルギー、温度等様々なパラメーターによって成膜機構に差が生じるが、成膜初期において、VW成長となる条件を見出し、上記母材を撹拌しながら物理蒸着を行えば、常に新しい堆積面が蒸着物質に対して向けられるため、3次元の海−島構造、すなわち、ナノ粒子が次々に生成していくものと考えられることに基づいている(非特許文献8)。しかし、この方法では、蒸着物質が3次元の球状ナノ粒子となることなく、膜に至るという問題がある。
そこで、更に、被蒸着体として粉体を利用する方法が開発された(例えば、特許文献3及び4、非特許文献9)。この方法は、蒸着される粉体の表面が、粉体を撹拌等の方法で蒸着物質に曝される時間が制御され、常に、新しい被蒸着面が蒸着物質に曝されることによって、蒸着物質が3次元のナノ粒子となり、成膜に至ることがないことを見出した。
しかし、この粉体を利用する方法にも、次のような問題があることを見出した。第一に、撹拌による粉体移動だけで蒸着時間を制御しているため、粒子径分布が広くなるという問題がある。第二に、ナノ粒子堆積量を増加させるため、蒸着時間を長くすると、ナノ粒子間の凝集という問題がある。第三に、粉体をナノ粒子の担体としてそのまま利用する場合には極めて有効であるが、ナノ粒子を基板に形成して利用する場合(特許文献5)や、ナノ粒子単体で利用する場合には、工程上の無駄が多いという問題がある。
特開2013−239267号公報 特開2001−035551号公報 国際公開第2012/150802号公報 国際公開第2012/150804号公報 特開2009−246025号公報
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本発明の目的は、物理蒸着法によって、不純物がなく、粒子径分布の狭い、3次元に成長したナノ粒子を安定して製造することができ、その粒子径とその堆積量とを自由に制御できる製造装置及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、物理蒸着法において、不連続的に物理蒸着を行うことによって、粒子径分布の狭い、3次元に成長したナノ粒子を安定して製造することができ、その粒子径とその堆積量とを自由に制御できることを見出し、本発明の完成に至った。すなわち、本発明は、物理蒸着装置において、蒸着物質が堆積する被蒸着体の被蒸着面が蒸着物質に曝される時間を精密に制御することができるように、蒸着源と被蒸着体の間にシャッター機構が設けられていることを特徴とするナノ粒子の製造装置であり、ナノ粒子の製造に適切な蒸着‐非蒸着時間が設定され、間欠的に物理蒸着されることを特徴とするナノ粒子の製造方法である。
更に、本発明は、上記シャッター機構を有する物理蒸着装置において、ナノ粒子が形成される被蒸着体が粉体であり、その粉体が蒸着源に曝される時間を制御することができる撹拌装置を設置したことを特徴とするナノ粒子の製造装置であり、その被蒸着体である粉体が撹拌されながらナノ粒子の製造に適切な蒸着‐非蒸着時間が設定され、間欠的に物理蒸着されることを特徴とするナノ粒子の製造方法である。
特に、上記本発明の適切な蒸着‐非蒸着時間は、蒸着物質、被蒸着体、蒸着条件等によって変化するが、連続して蒸着する蒸着時間が少なくとも0.2sec以下であることが好ましい。
本発明のナノ粒子製造装置及びその製造方法を用いて製造されたナノ粒子は、不純物がなく、粒子径分布の狭い、3次元に成長したナノ粒子を安定して製造することができ、その粒子径とその堆積量とを自由に制御できる。更に、本発明によれば、物理蒸着を行うことができる金属、金属酸化物、セラミックス等あらゆる材質のナノ粒子を製造することができる。
本発明の実施形態である、蒸着源と被蒸着体の間にシャッター機構が設けられた間欠的に物理蒸着を行うナノ粒子製造装置の一例で、(a)は断面概略図、(b)はシャッターの構造である。 本発明の適切な蒸着‐非蒸着時間(Mode‐4)とその比較例(Mode‐1〜3)である。 様々な蒸着‐非蒸着時間で作製されたナノ粒子によって形成された膜の表面抵抗率と膜厚の関係である。 様々な蒸着‐非蒸着時間で作製されたナノ粒子によって形成された膜の光透過率と膜厚の関係である。 様々な蒸着‐非蒸着時間で作製されたナノ粒子によって形成された膜に関する、膜厚2.0nmにおける光吸収率と波長の関係である。 様々な蒸着‐非蒸着時間で作製されたナノ粒子によって形成された膜に関する、膜厚4.0nmにおける光吸収率と波長の関係である。 Mode‐1とMode‐4の蒸着‐非蒸着時間で作製されたナノ粒子の形状と膜厚の関係を示す透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 Mode‐1とMode‐4の蒸着‐非蒸着時間で作製されたナノ粒子によって形成された膜に関する、膜厚50nmにおける結晶構造を示す広角X線回折(WAXD)スペクトルである。 本発明の、シャッター機構を有すると共に、ナノ粒子が形成される粉体が蒸着源に曝される時間を制御することができる撹拌装置を設置したナノ粒子の製造装置の一例である。 従来の撹拌装置を設置したナノ粒子の製造装置である。
本発明のナノ粒子製造装置は、物理蒸着法によるナノ粒子の製造において、蒸着を間欠的に行うことができる、蒸着源と被蒸着体の間にシャッター機構を設けたことを特徴とするものである。物理蒸着法としては、特に制限がなく、真空蒸着法、イオンビーム蒸着法、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法、直流スパッタリング法、高周波スパッタリング法、イオンビームスパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法等一般的な方法を用いることができる。
本発明の具体的な製造方法の一例を図1に示した。これは、イオンビームスパッタリング法を用い、ガス導入口9、排気口10、イオン源2、蒸着源3を少なくとも有する真空蒸着槽1において、蒸着源3と蒸着源3下部に設けられた蒸発物質が堆積する基板8との間に、モーター6で精密に回転するシャッター機構4を設置したことを特徴とするものである。このシャッター機構によって、イオン源2によって叩き出される蒸発物質が、間欠的に基板に蒸着されるナノ粒子製造装置である。
このような装置において、蒸着源3として銀(Ag)、基板8としてポリカーボネート(PC)基板を使用して行った実施例により、本発明の技術的意義を明確にする。
真空蒸着槽1は、約1×10−4torrに保たれ、電子サイクロトロン共鳴(ECR)型イオン源2にアルゴン(Ar)ガスを導入してイオン化し、引出電極により取出したArイオンビームを蒸着源3のAgに照射することによってAg粒子がスパッタされた。そして、シャッター機構4のモーター6の回転数を一定とし、開口部5の中心角αを、360°、180°、90°、及び、45°と変化させることによって、PC基板8にAgが蒸着される蒸着時間と蒸着されない非蒸着時間を、図2に示したMode‐1、2、3、及び、4のように制御した。ここで、Δtが、開口部5が通過する時間、すなわち、PC基板8にAgが蒸着される蒸着時間を示しており、ΔTは、非開口部が通過する時間、すなわち、PC基板8にAgが蒸着されない非蒸着時間を示している。この際の蒸着速度は、0.28Å/secであった。
このようにして作製されたPC基板上のAgナノ粒子によって形成される膜の物性と構造を、表面電気抵抗値(図3)、光透過率(図4)、光吸収率(図5及び6)、TEM観察(図7)、及び、WAXD(図8)により評価した。
図3から明らかなように、Δt=∞secで連続的に蒸着するMode‐1、及び、Δt=0.8sec/ΔT=0.8secで間欠的に蒸着を行うMode‐2では、表面電気抵抗値が、膜厚約4nmから急激に低下し、膜厚約6nmではAg自体の特性を示しており、単位時間あたりにPC基板に到達するAgの質量から均一にAg膜ができるものとしてシミュレーションした結果と同じ挙動を示した。一方、Δt=0.4sec/ΔT=1.2secで間欠的に蒸着を行うMode‐3、そして、Δt=0.2sec/ΔT=1.4secで間欠的に蒸着を行うMode‐4では、Δtが短くなるに従い、表面電気抵抗値の低下が緩やかになり、連続した膜ではなく、ナノ粒子として成長する傾向が認められる。
このことは、図4〜6に示す光の散乱及び吸収の挙動から支持された。一般に、表面プラズモン共鳴は金属表面で起こるものであるが、金属を微小化してナノオーダースケールまで小さくすると、金属ナノ粒子中の自由電子が、光の振動電場に対して集団的に共鳴し、共鳴波長付近では、金属ナノ粒子と光との相互作用が増大し、光を強く吸収、散乱する。これは、局在表面プラズモン共鳴(Localized Surface Plasmon Resonance、LSPR)と呼ばれる。そして、この吸収波長は、金属の種類、粒子の大きさ、形状等によって大きく変化する。図4に示したように、膜厚5〜8nmにおいて、Mode‐1、2、及び、3とMode‐4との光透過率に大きな差が認められる。この差は、前者が均一な薄膜が形成されるのに対し、後者は、Agナノ粒子が独立して多数存在し、光が強く散乱していることに起因しているものと考えられる。更に、図5及び6の膜厚2.0nmと4.0nmにおける各Modeの光吸収率から明らかなように、膜厚2.0nmでは認められなかった光吸収が、膜厚4.0nmでは、500nm付近に、Agナノ粒子に基づくと考えられる吸収が認められ、上記表面抵抗率及び光透過率の差が明確になる膜厚とほぼ一致している。
実際に、TEMにより、Mode‐1と4の膜厚1.0、2.0、及び、3.0nmのAgナノ粒子を観察した。試料は、カーボンの真空蒸着による一段レプリカ法で作製した。図7から明らかなように、膜厚3.0nm以下の蒸着初期において、Mode‐4の方が、Mode‐1よりもナノ粒子の数が多い。従って、このTEM観察に加え、図3、4、5、及び、6における膜厚約4nm辺りから膜の特性の差異を考慮すると、Mode‐1〜3とMode‐4のナノ粒子の成長には次のように異なっていることが分かる。すなわち、蒸着時間Δtが0.2secよりも長いMode‐1〜3の場合、蒸着初期の核の生成に引き続いて、核の成長及び合体までが連続して生起するのに対し、Δtが0.2sec以下であるMode‐4の場合、核の生成後、核の成長まで生起するものの、合体するまでには至らず、非蒸着時間ΔT後には、新たな核の生成及び成長までが生起し、ナノ粒子が独立して積層していくものと考えられる。
しかし、Mode‐4(Δt≦0.2sec)の場合に推測したような、蒸着物質の堆積量の増大に伴うナノ粒子の積層構造については、上述したような電気的や光学的方法では確認できないので、WAXDを用いた結晶構造解析により検討した。その結果を図8に示す。図8は、Mode‐1及び4の方法で、膜厚50nmまで蒸着した膜のWAXDスペクトルである。図から明らかなように、Mode‐1の方法で作製した膜は、Agが結晶化したAg固有の回折パターンであるのに対し、Mode‐4の方法で作製した膜は、広がりを持った回折パターンとなっており、これがナノ粒子特有の特性であるものと考えられる。つまり、Mode‐4の方法によれば、粒子径分布が小さいナノ粒子が、次々に積層されていくことが明らかとなった。
以上の実施例から明らかなように、蒸着時間‐非蒸着時間が適切に設定できるような物理蒸着装置であれば、蒸着源と被蒸着体の間にシャッター機構を設ける以外の方法でもよい。例えば、図9に示したように、粉体を被蒸着体として用い、しかも、装置の底にある粉体11−1が、スクリュー12で粉体11−2のように持ち上げられ、蒸着される粉体11−3が、一定の時間内で蒸着源に曝されない粉体11−4に至るように撹拌装置が備え付けられていてもよい。図9には、シャッター機構が配設されているが、必ずしも必要ではない。しかし、より精度よく粉体上にナノ粒子を製造するためには、360°まで開口を設けることができる回転式シャッター機構と、粉体が蒸着源に曝される時間を制御可能な撹拌装置とを配設したナノ粒子製造装置が好ましい。図10に示した従来のような粉体を用いた物理蒸着法によるナノ粒子の製造装置では、粉体が蒸着源に曝される時間を制御することは不可能である。また、これにシャッター機構を配設しても、粉体11‐1、2、3を上下に移動させることは困難であるため、粉体が蒸着源に曝される時間を制御することはできない。
以上のナノ粒子の製造装置及びその製造方法によって製造されたナノ粒子は、基板または粉体に担持したまま用いることもできるし、基板または粉体を溶解させるような化学的方法、あるいは、基板または粉体から剥がし取るような物理的方法によって、ナノ粒子単体としても活用することができる。
このように、物理蒸着装置において、蒸着源と被蒸着体の間にシャッター機構が設けられていることを特徴とするナノ粒子の製造装置であり、ナノ粒子の製造に適切な蒸着−非蒸着時間が設定され、間欠的に蒸着されることを特徴とするナノ粒子の製造方法物理蒸着法によって、不純物がなく、粒子径分布の狭い、3次元に成長したナノ粒子を安定して製造することができ、その粒子径とその堆積量とを自由に制御できる。
1 物理蒸着槽
2 イオン源
3 蒸着源
4 シャッター
5 スリット
6 モーター
7 蒸着物質
8 被蒸着基板
9 不活性ガス導入系
10 真空排気系
11 粉体
12 スクリュー
13 モーター

Claims (9)

  1. 少なくとも蒸着源、被蒸着体、ガス導入系、真空排気系を有する物理蒸着槽において、前記蒸着源と前記被蒸着体との間に、蒸着物質を間欠的に遮蔽することができるシャッター機構を配設したことを特徴とするナノ粒子製造装置。
  2. 前記シャッター機構が、スリットを設けられた遮蔽板が回転するものであることを特徴とする請求項1に記載のナノ粒子製造装置。
  3. 前記被蒸着体が粉体であり、前記粉体を蒸着ゾーンと非蒸着ゾーンとに位置を移動可能な撹拌装置を更に配設したことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のナノ粒子製造装置。
  4. 物理蒸着において、蒸着物質が被蒸着体に間欠的に堆積されることを特徴とするナノ粒子製造方法。
  5. 前記蒸着物質が前記被蒸着体に連続して蒸着する蒸着時間が少なくとも0.2sec以下であることを特徴とする請求項4に記載のナノ粒子製造方法。
  6. 請求項1に記載のナノ粒子製造装置を用い、蒸着物質が被蒸着体に間欠的に堆積されることを特徴とするナノ粒子製造方法。
  7. 請求項1に記載のナノ粒子製造装置を用い、蒸着物質が被蒸着体に連続して蒸着する蒸着時間が少なくとも0.2sec以下であることを特徴とするナノ粒子製造方法。
  8. 請求項3に記載のナノ粒子製造装置を用い、蒸着物質が被蒸着体に間欠的に堆積されることを特徴とするナノ粒子製造方法。
  9. 請求項3に記載のナノ粒子製造装置を用い、蒸着物質が被蒸着体に連続して蒸着する蒸着時間が少なくとも0.2sec以下であることを特徴とするナノ粒子製造方法。
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