JP2018134589A - 電解水の製造原料及びそれを用いた電解液、並びに、その製造原料、その電解液、及び、その電解水の製造方法 - Google Patents

電解水の製造原料及びそれを用いた電解液、並びに、その製造原料、その電解液、及び、その電解水の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電解水の効能因子である次亜塩素酸が光や空気と接触すると分解したり、タンパク質やアミノ酸を含むものとの混合して失活することを防ぎ、長期間に亘り、抗酸化、抗ウィルス、抗菌、除菌、防カビ、鮮度保持、防臭等の能力を発揮することができる安価な電解水を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、銅ナノ粒子が堆積された塩化物粉末を電解水の製造原料とし、この水溶液又は希塩酸水溶液の電解液を作製し、この電解液の電気分解によって、従来の電解水の課題を解決した銅ナノ粒子を含む安価な電解水を提供することを特徴とする。また、本発明は、銅ナノ粒子が堆積した塩化物粉末の製造方法、銅ナノ粒子が担持された塩化物粉末を水に溶解することを特徴とする電解液の製造方法、及び、その電解液を電気分解することを特徴とする安価な電解水の製造方法を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、洗浄消毒等の抗菌性、抗ウィルス性、防カビ性等に加え、皮膚の老化防止等の抗酸化性を有する電解水を製造する原料及びそれを用いた電解液、並びに、その製造原料、その電解液、及び、その電解水の製造法に関する。
明確な統一された定義はないが、「科学的に受け入れられる原理又は理論に基づく科学的処理を原水に施すことによって再現性のある有用な機能を獲得した水溶液の総称」と定義される「機能水」は、近年、エレクトロニクス産業、食品加工業、サービス業、農林水産業、保健衛生業、水処理業等、あらゆる産業分野で注目され、使用されている(非特許文献1及び2)。
「機能水」は、電解水、磁気水、電子水、及び、超音波水等の電磁場等のエネルギーで処理した水、オゾン水、パイウォーター、ロックウォーター、及び、麦飯石水等のある物質を添加した水、或いは、脱気水、膜処理水、及び、超純水等のある物質を除去した水に分類される(非特許文献1及び2)。
中でも、電解水は、世界で最も大量に消費されている殺菌剤である次亜塩素酸ソーダ(NaClO)に替わる殺菌剤として注目されている。これは、次亜塩素酸ソーダには、次のような問題点が内在しているためである。第一に、有機物の存在下では効果が低下する。第二に、有機物の存在下でトリハロメタンという有害物を生成することである。第三に、NaClOが自己分解しやすく、有害な塩素酸を生成する。その他、食品や食器に付着する塩素臭、濯ぐための大量の水、肌荒れ、酸と混ぜて引き起こす塩素発生事故等数々の問題点がある(非特許文献3)。その点、電解水は、生成原理、生成機器、生成水の規格が明確であり、有効性及び安全性に関する公的及び科学的根拠が示されているため、人にも環境にも優しく有効な機能水であると認められ、衛生管理を主目的とする殺菌・除菌・消毒剤として幅広く利用されるようになってきた(非特許文献1及び2)。例えば、食品加工業では、食材、容器、作業衣等の殺菌や除菌等、医療業では、傷口等の消毒、病棟等の悪臭除去等、あらゆる産業分野に展開されつつある。
このような電解水は、水道水や塩化物イオンを含む水溶液の電気分解によって得られる水溶液の総称であり、陽極側に生成するpHが6.5以下の酸性電解水と、陰極側に生成するpHが7.5以上のアルカリ性電解水とに大別される(非特許文献4)。酸性電解水は、各種病原細菌、食中毒菌、ウィルス等に強い殺菌活性を示し、その殺菌因子は電気分解によって生じる次亜塩素酸(HClO)である。全ての酸性電解水は安全性も高く、急性毒性試験、皮膚刺激試験、変異原性試験、粘膜刺激試験に合格しているため、健康を損なう恐れがないということから食品添加物にも指定され、次亜塩素酸水という名称が付与されている。一方、アルカリ性電解水は、通常各種胃腸症状に対する改善効果が認められている飲用アルカリ性電解水を指すことが多いが、殺菌力を有する電解次亜水、有機物の除去に優れた強アルカリ性電解水も利用されている。
更に、酸性電解水は、電解液組成、電解装置、電解条件等によって、強酸性電解水(強酸性次亜塩素酸水)、弱酸性電解水(弱酸性次亜塩素酸水)、微酸性電解水(微酸性次亜塩素酸水)、中性電解水に分類される。
強酸性電解水は、0.2%以下のNaCl水溶液を、陽極と陰極が隔膜で仕切られた2室型或いは3室型の電解槽内で電気分解し、陽極側において生じる、有効塩素濃度が20〜60ppmのHClOを主成分とするpH2.7以下の電解水である。有効塩素濃度が40ppmの強酸性電解水は、1,000ppmという高濃度の次亜塩素酸ナトリウムに匹敵する抗菌・抗ウィルス活性を示す。弱酸性電解水は、0.2%以下のNaCl水溶液を、陽極と陰極が隔膜で仕切られた2室型或いは3室型の電解槽内で電気分解し、陽極電解水と陰極電解水を装置内で混合した、有効塩素濃度が10〜60ppmのHClOを主成分とするpH2.7〜5.0の電解水である。強酸性電解水と同様の抗菌・抗ウィルス活性と安全性が確認されている。微酸性電解水は、2〜6%の塩酸水或いは塩酸と塩化ナトリウム水溶液の混合液を、陽極と陰極が隔膜で仕切られていない1室型電解槽で電気分解して生成する、有効塩素濃度が10〜80ppmのHClOを主成分とするpH5〜6.5の電解水である。この微酸性電解水は、生成水全てが殺菌水であることが特徴で、強酸性電解水と同様の抗菌・抗ウィルス活性と安全性が確認されており、飲用目的ではないが、pH5.8〜6.5の塩酸電解微酸性電解水は飲用に相応しい水質を持っている。中性電解水は、塩化物イオンが含まれる水道水を一室型無隔膜電解槽で電気分解して生成することができ、数ppmの有効塩素を有し、pH6.5〜7.5を示す。この電解水も殺菌力があるが、食品添加物等の認可を得ていないので、除菌水として扱われている。
また、アルカリ性電解水も、同様に、強アルカリ性電解水、電解次亜水、及び、アルカリイオン水に分類される。強アルカリ性電解水は、0.2%以下のNaCl水溶液を、陽極と陰極が隔膜で仕切られた2室型或いは3室型の電解槽内で電気分解し、陰極側において生成する、pHが10.5〜11.5の強アルカリ性の電解水である。これは、稀薄な水酸化ナトリウム同様、粘膜を損傷する恐れがあり、食品添加物として認可されていない。電解次亜水は、0.2%以下のNaCl水溶液を、陽極と陰極が隔膜で仕切られていない1室型電解装置で電気分解すると生成する、pH7.5以上のアルカリ性の電解水である。この電解水は、陽極反応で生成するHClOの多くが、アルカリ性のために次亜塩素酸イオン(ClO)となり、HClOより殺菌活性が微弱ではあるが、酸性電解水よりも有効塩素濃度(30〜200ppm)が高く、優れた殺菌力を有している。この電解次亜水は、次亜塩素酸ナトリウムの希釈液と同等性があると認められており、食品添加物と同様に使用できる。アルカリイオン水は、家庭用電解水生成器を用いて飲用水を電気分解し、陰極から生成するpH9〜10の弱アルカリ性電解水で、慢性下痢、消化不良、胃酸過多、便秘等の胃腸症状に対する改善効果が認められている。
一方、近年、電解水同様、白金(Pt)、金(Au)、及び、銀(Ag)等の貴金属ナノ粒子の抗酸化、抗菌、除菌、防カビ、鮮度保持、防臭等の効果が注目されている。これは、Pt及びAuも、食品添加物として認可されている安全性の高い素材であり、極めて表面積の大きなナノ粒子を製造することができるようになってきたためである。特に、Pt及びAuナノ粒子の分散液が、癌、糖尿病、アトピー性皮膚炎、アルツハイマー、網膜色素変性症等に関与する活性酸素種(スーパーオキシドアニオン、過酸化水素、ヒドロキシラジカル等)を分解する抗酸化剤としての有用性が高い(特許文献1〜3)。更に、この抗酸化能を利用して、皮膚の老化を防ぐ化粧料や皮膚外用剤等に応用されてきた(特許文献4〜7)。更に、貴金属ナノ粒子は、抗ウィルス能や抗菌能を有することが知られており、NaClOに替わるノロフィルスやインフルエンザ等の抗ウィルス剤(非特許文献3)や、洗濯耐久性に優れた医療用抗菌リネン類、宿泊施設用抗菌リネン類、日用抗菌衣類の抗菌剤等にも応用されるようになってきた(特許文献8)。
このように、電解水も貴金属ナノ粒子分散液も、安全性が高い、抗菌性、抗ウィルス性、抗酸化性等の効能を有する素材であるが、それぞれ、その素材に固有の課題がある。
電解水は、その効能因子であるHClOが光や空気と接触すると分解するため、効果が短いこと、タンパク質やアミノ酸等の有機物を含むものとの混合で失活すること、電解水の表面張力が高いため、濡れ性や浸透性が悪く、効果が不均一であること等が挙げられる。これらの課題に対し、電解水の濡れ性や浸透性を高める方法として、界面活性剤の添加やマイクロバブル処理が報告されているが(特許文献9〜11)、効果が短いこと、及び、有機物を含むものとの混合で失活することに対する具体的対策が見出されていない。
一方、貴金属ナノ粒子分散液は、従来、液相法の一つである還元法を利用されることが多いが(特許文献1〜6及び8)、分散剤等の不純物質を含み、粒子径が小さくてその分布が狭いナノ粒子を製造することが困難であるため、貴金属ナノ粒子が有する各種効能を低下させる原因になるという課題がある(特許文献7及び非特許文献4)。その他液相法としては、超臨界液体を用いる水熱合成法、加水分解及び重縮合という化学反応を用いるゾル−ゲル法、溶解性金属塩から難溶性金属塩に変化させ、その沈殿物を焼成して製造する沈澱法、ミセルを化学反応の場として利用する液中分散法等があるが、いずれも、核形成、成長、停止という過程を経るため、粒子径の制御が困難で、数nm以下の微細な貴金属ナノ粒子を製造することが難しく、分散剤を必要とし、不純物の混入を避けることができないという共通の問題がある。
分散剤を必要としない貴金属ナノ粒子の製造方法としては、化学蒸着(CVD)法、気相合成法、蒸発・凝集法等の気相法がある。いずれにしても、核生成、凝縮、凝集を経てナノ粒子が形成されるため、粒子径が不均一であるという課題に加え、生産効率及びエネルギー効率が悪いという生産性の課題もある。そして、本技術分野の分散液として使用する場合には、貴金属ナノ粒子を無害な液体に均一に分散するための分散剤を必要とするという根本的な課題を解決できるものではない。
更に、近年、溶融塩のプラズマ誘起カソード電解や液相レーザーアブレーションを用いた、分散剤を必要としない貴金属ナノ粒子の製造方法が開発されている(特許文献12〜15)。しかし、プラズマ誘起カソード電解法は、生産性が悪く、エネルギーロスが大きいという問題がある(特許文献12)。また、液相レーザーアブレーション法は、液中で貴金属板にレーザーを照射すると同時に超音波を照射する簡単な方法であり、Ptナノ粒子の化粧料の生成が報告されているが(特許文献7)、粒子径が不均一になるため、レーザーの照射方法(特許文献13)、ヘキサン、トリエチルアミン、シリコンオイル、重水等の溶媒の選択(特許文献14及び15)、プラズマ発生装置の併設(特許文献15)等の課題が山積している。
このような状況において、真空蒸着やスパッタリングによって放出された貴金属蒸気を、基板や担持体上で貴金属ナノ粒子として堆積させる物理蒸着(PVD)法は、真空蒸着法やスパッタリング法による成膜プロセスの制御、すなわち、成膜初期において形成される島状の金属粒で成長を止めることによってナノ粒子を生成する方法であり、粒子径及びその分布を制御しやすく、不純物を含まないナノ粒子の製造方法として注目されている(特許文献16〜18)。しかし、この場合も、貴金属ナノ粒子を無害な液体に均一に分散する必要があるという問題がある。
以上、貴金属ナノ粒子分散液は、製造上の課題及び製造技術に基づく品質の課題もさることながら、高価な貴金属を使用すること自体に、コスト上の大きな問題を含んでいる。しかし、貴金属であるPt、Au、及び、Agに匹敵する抗酸化、抗菌、除菌、防カビ、鮮度保持、防臭等の効果を発現し、安全で安価な金属は見出されていない。
国際公開第2005/023467号公報 国際公開第2006/101106号公報 特開2007−176944号公報 特開2005−139102号公報 特開2005−179500号公報 特開2008−063295号公報 特開2015−067556号公報 特開2008−056592号公報 特開2006−176475号公報 特開2006−176489号公報 特開2013−010758号公報 特開2008−106309号公報 特開2009−299112号公報 特開2010−077458号公報 特開2010−144201号公報 特開2009−511754号公報 国際公開第2012/150804号公報 特開2009−246025号公報 特開2015−120896号公報
鈴木鐵也,「機能性を示す水とは?」,日本食品保蔵科学会誌,VOL.25,NO.6(1999)315−325. 岩本睦夫,「話題の機能水の現状と課題」,日本調理科学会誌,Vol.33,No.4(2000)503−509. 福崎智司,「次亜塩素酸ナトリウムを用いた洗浄・殺菌操作の理論と実際」,調理食品と技術,Vol.16,No.1(2010)1−14. 一般財団法人機能水研究振興財団ホームページ,http://www.fwf.or.jp/index.html,「機能水とは」. 多賀康訓,「薄膜プロセス技術の研究」,総合工学,第22巻(2010)53−64. 熊田誠、その他、「銅表面の抗菌性」、伸銅技術研究会誌、第40巻(2001)、第1号、122−127頁. 菊地靖志、「抗菌性金属材料の現状と課題」、まてりあ、第39巻(2000)、第2号、146−150頁. 山本則幸、杉浦晃治、「銀系無機抗菌剤「ノバロン」の特長と応用」、東亜合成研究年報、TREND 1998 創刊号、pp.28〜33.
本発明の課題は、電解水が有する課題(その効能因子であるHClOが光や空気で分解して効果が短いこと、タンパク質やアミノ酸を含むものとの混合で失活すること、電解水の濡れ性や浸透性が悪くて効果が不均一であること)、並びに、貴金属ナノ粒子分散液が有する課題(粒子径が大きくて粒子径分布が広く、貴金属ナノ粒子の分散液が分散剤等の不純物を含むために、貴金属ナノ粒子の効能を効果的に発揮できないこと、並びに、高価であること)を解決した、抗酸化性、抗ウィルス性、抗菌性、防カビ性、鮮度保持、及び、防臭等を長期間効果的に発現できる、安全性に優れた電解水を製造することが可能な製造原料、及び、その原料を用いた電解液を提供することである。並びに、本発明の課題は、その製造原料、その電解液、及び、その電解水の製造方法を提供することである。
本発明者らは、PVD法によって銅(Cu)のナノ粒子を担持した塩化物粉末を作製し、これらの粉末を水に溶解した後、電気分解することによって得られる、Cuナノ粒子を含む電解水が、電解水とCuナノ粒子とが有する、抗酸化性、抗ウィルス性、抗菌性、防カビ性、鮮度保持、防臭等の効能を長期間効果的に発現できる、安全性に優れた電解水であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、Cuナノ粒子と塩化物粉末とから構成されることを特徴とする電解水の製造原料を提供するものである。更に、この製造原料は、Cuナノ粒子が塩化物粉末上に堆積されていることが好ましく、この製造原料を水又は希塩酸に溶解するだけで、Cuナノ粒子を含む電解液が容易に製造できる。
更に、本発明は、上記電解水の製造原料を水又は希塩酸に溶解した電解液を提供するものである。このような電解液を電気分解することによって、抗酸化性、抗ウィルス性、抗菌性、防カビ性、鮮度保持、防臭等の効能を長期間効果的に発現できる、安全性に優れた電解水を製造することが可能となる。
一方、本発明は、電解水の製造原料の製造方法、電解液の製造方法、及び、電解水の製造方法を提供するものでもある。
本発明の電解水の製造原料の製造方法は、PVD法を用いてCuナノ粒子を塩化物粉末上に堆積することを特徴としている。PVD法によって生成されたCuナノ粒子は、粒子径分布が均一であり、不純物を含まないため、Cu本来の効能を効果的に発現できる。塩化物粉末上にCuナノ粒子が堆積しているので、水又は希塩酸に溶解するだけで、Cuナノ粒子を含む電解液が容易にできる。
また、本発明の電解液の製造方法は、PVD法を用いてCuナノ粒子を塩化物粉末上に堆積する第1の工程と、第1の工程で製造されたCuナノ粒子が担持した塩化物粉末を水又は希塩酸に溶解する第2の工程とから成ることを特徴としている。
更に、本発明の電解水の製造方法は、PVD法を用いてCuナノ粒子を塩化物粉末上に堆積する第1の工程と、第1の工程で製造されたCuナノ粒子が担持した塩化物粉末を水又は希塩酸に溶解する第2の工程と、第2の工程で製造された電解液を電気分解する工程とから成ることを特徴としている。
このように、本発明の上記製造方法により、Cuナノ粒子がPVD法により堆積した塩化物粉末という製造原料に基づき、簡便な工程で、純粋なCuナノ粒子を含む電解液、及び、抗酸化性、抗ウィルス性、抗菌性、防カビ性、鮮度保持、防臭等の効能を長期間効果的に発現できる、安全性に優れた電解水を製造することが可能となる。
本発明のCuナノ粒子の銅としては、純銅だけでなく、高銅合金、黄銅、青銅、銅ニッケル合金等の合金を用いることができるが、純銅、及び、Cu−ベリリウム(Be)−コバルト(Co)系、Cu−チタン(Ti)系、Cu−ニッケル(Ni)−シリコン(Si)系、Cu−Ag系、Cu−錫(Sn)系、Cu−クロム(Cr)系、Cu−ジルコニウム(Zr)系の高銅合金が好ましく、高銅合金であることがより好ましい。これについては、後述するように、Cuの抗菌性がCu2+イオンではなく、Cu表面との直接接触によって発揮されることから(非特許文献6)、Cu表面の酸化及びイオン化が抑制される合金である方が抗菌性等の効果が持続するためである。
また、同じ理由から、Cuナノ粒子の表面積が極めて重要であるため、表面積を規定する平均粒子径が50nm以下であれば、Cuナノ粒子の様々な効能を発揮することができる。よりCuナノ粒子の活性が高くなるためには、平均粒子径が10nm以下であることがより好ましく、5nm以下であることがより更に好ましい。しかし、本発明のCuナノ粒子の製造技術では、平均粒子径1nm以下の粒子を生成することは困難である。
このようなCuナノ粒子は、従来一般的に言われていたことを覆すように、Agナノ粒子以上の抗菌性を示すことが見出された。この原因は、Cuナノ粒子の極めて小さい平均粒子径に基づくものであって、以下のように推測することができる。
従来、抗酸化、抗菌、除菌、防カビ、鮮度保持、防臭等の効果が認められる金属として、Pt、Au、及び、Agの貴金属が最もよく利用されているが、これらの貴金属と並んで、インジウム(Id)、パラジウム(Pd)、Ni、Co、鉄(Fe)、ニオブ(Nb)、ルテニウム(Ru)、亜鉛(Zn)、Cu等の金属も抗菌性を有しており、Zn及びCuがより好ましいと報告されている(例えば、特許文献19)。具体的には、Pt及びAuのように、極めて安定な貴金属を除く、Ag、Zn、及び、Cuの抗菌力が、殺菌力や静菌力として、それぞれ、Agイオン、Zn2+イオン、Cu2+イオンの能力として比較されており、Agイオンが最も優れた能力を保有している(非特許文献7及び8)。しかしながら、Cuの抗菌性は、Cu2+イオンではなく、Cu表面との直接接触によって発揮されると報告されており(非特許文献6)、AgとCuとでは、抗菌力のメカニズムが異なっているのである。従って、Cuの平均粒子径が小さくなり、表面積が急激に増大した領域では、Agと同等以上の抗菌性を示したものと考えられる。
このように、Cuナノ粒子は、安全性も高く、安価な抗菌剤として、極めて優れた材料であることが認められた。
一方、Cuナノ粒子を担持する塩化物粉末としては、電解水を製造する電気分解に適した塩化ナトリウム(NaCl)又は塩化カリウム(KCl)が適しており、不純物の少ない、平均粒子径が1μm〜3mmの粉末が好ましい。水に対する溶解性を考慮すると、平均粒子径が1μm〜1mmであることがより好ましく、1μm〜500μmであることがより更に好ましい。また、塩化物の粉末は、Cuナノ粒子が堆積しやすい球状であることが好ましい。
このような電解水の製造原料を水又は希塩酸に溶解した電解液を電気分解して得られた貴金属ナノ粒子を含む電解水が、電解水単独の課題を解決するために必要なCuナノ粒子が存在すれば、その濃度は、特に限定されるものではないが、効果的かつ経済的には、電解水の種類に係わらず、電解水中に存在するCuナノ粒子の濃度が、0.1〜100μMであることが好ましく、0.1〜5μMであることがより好ましく、0.1〜1μMであることがより更に好ましく、このような濃度となるように、塩化物粉末にCuナノ粒子が蒸着される。
本発明のCuナノ粒子を担持した塩化物粉末を水に溶解した電解液を電気分解して得られる電解水は、電解水及びCuナノ粒子の洗浄・消毒・防臭等の衛生管理や生鮮食品の鮮度維持等に求められる抗菌性、抗ウィルス性、抗カビ性等に加え、Cuナノ粒子の皮膚の老化防止や美肌効果等の健康保全に求められる抗酸化性を有し、電解水の効能因子であるHClOが分解しても、Cuナノ粒子による効能が半永久的に持続することができる。また、従来の電解水は、タンパク質やアミノ酸を含むものとの混合で失活したり、電解水の濡れ性や浸透性が悪くて効果が不均一となったりするが、Cuナノ粒子の存在により、これらの問題を解決することができる。更に、Cuナノ粒子は、PVD法によって塩化物粉末上に担持されるため、分散剤を含まず、粒子径が小さく、粒子径分布の狭い上、これを水に溶解すると、Cuナノ粒子が均一に分散した電解液になるため、従来の貴金属ナノ粒子の効能を凌駕することができる。ただし、分散剤を必要とせず、均一に分散する理由は明らかではないが、塩化物の粉体にCuナノ粒子が担持された状態で水に溶解、分散する工程が関与しているものと考えられる。
従って、Cuナノ粒子を担持した塩化物を水溶液に溶解するだけで、Cuナノ粒子が均一に分散した電解液が得られる。更に、この電解液をそのまま電気分解することによって、洗浄・消毒・防臭等の衛生管理や生鮮食品の鮮度維持等に求められる抗菌性、抗ウィルス性、抗カビ性等に加え、皮膚の老化防止や美肌効果等の健康保全に求められる抗酸化性を有するCuナノ粒子が均一に分散した電解水が簡便に得られる。そして、この電解水は、人体や衣類等に塗布した初期においては、電解水とCuナノ粒子の両効能が相乗的に作用し、電解水のHClOが分解した後は、Cuナノ粒子の効能が半永久的に持続することになる。
更に、農業の分野、特に、土壌や果樹の殺菌や除菌、噴霧冷却等において、Cuナノ粒子を担持したKCl粉末を溶解した電解液を用いて製造された電解水を用いると、土壌に肥料成分であるKが供給され、殺菌、除菌、冷却等の効果に加え、農作物に優れた育成効果をもたらすことができる。
Cuナノ粒子が担持された塩化物粉末を製造する代表的なイオンビームスパッタリング装置の概略図である。 二室型電解槽の原理図である。 三室型電解槽の原理図である。 一室型電解槽の原理図である。
Cuは、純銅だけでなく、高銅合金、黄銅、青銅、銅ニッケル合金等の合金を用いることができるが、純銅、及び、Cu−ベリリウム(Be)−コバルト(Co)系、Cu−チタン(Ti)系、Cu−ニッケル(Ni)−シリコン(Si)系、Cu−Ag系、Cu−錫(Sn)系、Cu−クロム(Cr)系、Cu−ジルコニウム(Zr)系の高銅合金が好ましく、高銅合金であることがより好ましい。
Cuナノ粒子を担持する塩化物は、NaCl又はKClであり、不純物の少ない、平均粒子径が1μm〜3mmの粉末にして用いる。特に、水に対する溶解性を考慮すると、平均粒子径が1μm〜1mmであることがより好ましく、1μm〜500μmであることがより更に好ましい。また、塩化物の粉末は、Cuナノ粒子が堆積しやすい球状であることが好ましい。
上記塩化物粉末にCuナノ粒子を担持させる方法には、PVD法が適しており、真空蒸着法、イオンビーム蒸着法、イオンプレーティング法、及び、各種スパッタリング法を用いることができる。図1には、代表例として、イオンビームスパッタリング法を用いたCuナノ粒子の製造装置の概略図を示した。この製造装置では、イオン源2、蒸着源3、不活性ガス導入系8、真空排気系9を少なくとも有する物理蒸着槽1において、蒸着源3と蒸着源3の下部に設けられた、蒸着物質7が堆積する被蒸着物質である塩化物粉末10との間に、モーター6で精密に回転するスリット5が設けられたシャッター4を設置することによって、イオン源2によって蒸着源3から叩き出される蒸着物質7が、間欠的に塩化物粉末10表面上に蒸着される。しかも、塩化物粉末10が均等に蒸着物質7に暴露されるように、製造装置の底部にスクリュー11が設けられている。このスクリュー11によって、製造装置の底にある塩化物粉末10−1が、塩化物粉末10−2のように持ち上げられ、塩化物粉末10−3で間欠的に蒸着され貴金属ナノ粒子が付着する。その後、一定の時間蒸着源に暴露されない塩化物粉末10−4に至る。図1には、シャッター機構が配設されているが、必ずしもシャッター機構である必要はなく、精度よく塩化物粉末10上にCuナノ粒子が堆積されるように、塩化物粉末10が蒸着物質7に暴露される時間を制御できる機構であれば、どのような方法でも採用することができる。例えば、イオン源2から放出されるイオンビームを直接制御する方法が挙げられる。
塩化物粉末にCuナノ粒子を担持させる上記方法において、Cuナノ粒子が被蒸着物質である塩化物粉末表面上に生成する機構は定かではないが、次のように推測されている。一般的な蒸着やスパッタリング等の成膜機構は、Volmer−Weber(VW)成長、Frank−van der Merwe(FM)成長、Stranski−Krastanov(SK)成長の3様式があると言われている(非特許文献5)。中でも、VW成長様式、つまり、成長の初期段階から三次元的な島状の核が形成され,それらが蒸着量の増加とともに成長して合体しやがて連続的な膜となる「島状成長(Island Growth)様式」に着目すると、物理蒸着物質と基板に関する表面エネルギー、温度等様々なパラメーターによって成膜機構に差が生じるが、成膜初期において、VW成長となる条件を見出し、上記被蒸着物質である塩化物粉末を撹拌しながら物理蒸着を行えば、常に新しい堆積面が蒸着物質に対して向けられるため、3次元の海−島構造、すなわち、貴金属ナノ粒子が塩化物粉末表面上に次々と生成していくものと考えられる(特許文献18)。
ここで、Cuナノ粒子が担持した塩化物粉末の製造における塩化物粉末に対するCuナノ粒子の平均粒子径は、50nm以下であれば、Cuナノ粒子の様々な効能を発揮するが、その表面積が大きい程活性が高くなるため、10nm以下であることがより好ましく、5nm以下であることがより更に好ましい。また、Cuナノ粒子の堆積量は、Cuナノ粒子が担持した塩化物粉末を水又は希塩酸に溶解した電解液の組成に応じて設定されるが、この電解液を電気分解することによって最終的に製造される電解水に、電解水の課題を解決するために必要なCuナノ粒子が存在すれば、その濃度は、特に限定されものではない。ただし、効果的かつ経済的には、電解水の種類に係わらず、電解水中に存在する貴金属ナノ粒子の濃度が、0.1〜100μMであることが好ましく、0.1〜5μMであることがより好ましく、0.1〜1μMであることがより更に好ましく、このような濃度となるように、塩化物粉末にCuナノ粒子を堆積する。
従って、一般的な強酸性電解水、弱酸性電解水、微酸性電解水、電解次亜水、強アルカリ性電解水を製造するための塩化物水溶液は、0.2%以下の濃度で使用されることが多いので、例えば、0.2%のNaCl水溶液100Lから製造する電解水中にCuナノ粒子を0.1〜100μMの濃度で存在させるには、NaCl粉末200gに対して堆積させるCuナノ粒子は、約6.35×10−4〜6.35×10−1gとなる。これは、Cu/NaClの重量比が約3.1×10−6〜3.1×10−3に相当する。このようにして、それぞれの塩化物粉末に対するそれぞれのCuナノ粒子の堆積量を適宜決定することができる。ところで、中性電解水を製造するための塩化物水溶液は、通常、水道水を用いるが、塩化物濃度約2〜6%、塩酸濃度約0.2〜0.6%の電解液を電気分解しても製造できるため、この場合は、塩化物単体を上記Cuナノ粒子を溶解させた塩化物水溶液に加えて濃度を調整して使用される。
具体的には、図1に示した物理蒸着槽1内に、平均粒子径が1μm〜3mmである球状のNaCl又はKCl粉末10を投入し、蒸着源3にCu又はCu合金を備え付ける。次いで、物理蒸着槽1の真空度が1×10−4〜1torrになるように真空排気系9から排気しながら、不活性ガス導入系8から不活性ガスArを物理蒸着槽1内に導入する。真空度が安定したら、スクリュー11及び回転モーター6を回転させながら、蒸着源3のCuを、固定された平面基板上において単位面積当たり1Å〜10μm/分の速度で蒸発させ、所定量のCuナノ粒子の重量となるまでCuナノ粒子を形成する。この蒸発速度は、固定された平面基板上において蒸発させ、一般的な重量法で予め予備実験において設定する。そして、この蒸発速度に対し、Cuの蒸着物質7がNaCl又はKCl粉末10上に連続して蒸着する蒸着時間が少なくとも0.2sec以下であるようにシャッター4のスリット5の形状に応じた回転速度とする。
このようにして製造されたCuナノ粒子担持NaCl又はKCl粉末は、電気分解するための電解液とするため、強酸性電解水、弱酸性電解水、電解次亜水、強アルカリ性電解水の場合には水に、約0.2%以下の塩化物濃度、すなわち、NaCl又はKCl濃度となるように溶解される。微酸性電解水の場合には、約2〜6%の希塩酸、或いは、約2〜6%の希塩酸に、約0.2%以下の塩化物濃度、すなわち、NaCl又はKCl濃度となるように溶解される。いずれの場合にも、使用する水は、水道水、地下水、純水(蒸留水、脱イオン水、RO水等)等、人為的に塩化物を添加していないものであれば制限されるものではないが、不純物の影響が少ない純水が好ましい。
このように調整された電解液は、強電解性電解水、弱酸性電解水、又は、強アルカリ性電解水を製造する場合、図2及び3に示した二室型電解槽及び三室型電解槽を用い、微酸性電解水、中性電解水、又は、電解次亜水を製造する場合は、図4に示した一室型電解槽を用いて、それぞれ、一般的な製造条件で製造される。ここで、電極も、既存の電解槽で使用される炭素(C)、Pt、Au、PtやAuを被覆したTi等を用いることができる。ただし、陰極には、Ti等の様々な材質の電極を用いることができるが、C、Pt、Au等の不溶性電極を用いることが好ましい。これは、陽極と陰極を入れ替える極性反転によって、電極の寿命を延ばすことができるからである。図2〜4は、電解槽の原理図であり、特別な電解槽が必要とされるものではない。一般的に、株式会社東芝、ホシザキ電機株式会社等で市販されている電解槽を用いることができる。
以下、Cuナノ粒子を含有する微酸性電解水を製造するための原料、その原料を用いて製造した電解液、及び、その電解液の電気分解によって製造した電解水を実施例として、本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術思想が実施例によって制限されるものではない。
NaCl粉末は、平均粒子径180〜500μmが85%以上のNaCl粉末(日本精塩製)を80メッシュ(線径0.14mm)のファインメッシュで篩にかけ、180μm以下の微粉を除去したものを用いた。
次いで、図1に示した物理蒸着槽1を用い、Cuナノ粒子をNaCl粉末に堆積させた。上記NaCl粉末を物理蒸着槽1に投入すると共に、Cuを蒸着源3に固定した後、物理蒸着槽1を密閉し、真空度が約1×10−4torrになるように真空排気系9から排気しながら、不活性ガス導入系8から不活性ガスArを物理蒸着槽1内に導入した。真空度が安定した後、スクリュー11及び回転モーター6を回転させながら、蒸着源3のCuを、単位面積当たり1000Å/分の速度で蒸発させ、Cu/NaClの重量比が約1×10−5となるまでCuナノ粒子を形成した。このようにして形成されたCuナノ粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、JIS H 7804:2005に準拠して、撮影倍率500,000倍で観察した約500個の粒子から平均粒子径を求めた結果、4.0nmであることを確認した。
(実施例1)Cuナノ粒子が分散した微酸性電解水
このようにして作製されたCuナノ粒子を担持したNaCl粉末を、35%塩酸(旭硝子製)を水道水で希釈した5%の希塩酸に溶解し、0.1%のNaCl濃度となるように調整したところ、Cuナノ粒子が均一に分散した微酸性電解水用の電解液(1)が得られた。
図4に示した一室型電解槽を用い、上記電解液(1)を、直流電源約3〜4V×4Aで電気分解した後、水道水で希釈し、pH約6、有効塩素濃度約10ppmのCuナノ粒子を含有する微酸性電解水が得られた。このCuナノ粒子が分散した微酸性電解水は、塗布直後の抗酸化性、抗菌性、抗ウィルス性、抗カビ性等は、Cuナノ粒子と微酸性電解水との相乗効果を示し、しかも、これらの効能がCuナノ粒子により半永久的に保持された。
(実施例2)Cuナノ粒子が分散した電解次亜水
実施例1のCuナノ粒子を担持したNaCl粉末を、0.1%NaCl水溶液となるように水道水に溶解したところ、Cuナノ粒子が均一に分散した。このCuナノ粒子が分散したNaCl水溶液に、同量の5%NaCl水溶液を加え、Cuナノ粒子が分散した電解次亜水用の電解液(2)が得られた。
図4に示した一室型電解槽を用い、上記電解液(2)を、直流電源約3〜4V×4Aで電気分解した後、水道水で希釈し、pH約8、有効塩素濃度約10ppmのCuナノ粒子を含有する電解次亜水が得られた。このCuナノ粒子が分散した電解次亜水も、塗布直後の抗酸化性、抗菌性、抗ウィルス性、抗カビ性等は、Cuナノ粒子と電解次亜水との相乗効果を示し、しかも、これらの効能がCuナノ粒子により半永久的に保持された。
(実施例3)Cuナノ粒子が分散した中性電解水
実施例1のCuナノ粒子を担持したNaCl粉末を、0.1%NaCl水溶液となるように水道水に溶解したところ、Cuナノ粒子が均一に分散した。このCuナノ粒子が分散したNaCl水溶液に、NaCl単体を溶解し、4%のNaCl水溶液とし、更に、35%塩酸(旭硝子製)を加えて、塩酸濃度を0.4%とし、Cuナノ粒子が分散した中性電解水用電解液(3)が得られた。
図4に示した一室型電解槽を用い、上記電解液(3)を、直流電源約3〜4V×4Aで電気分解した後、水道水で希釈し、pH約7、有効塩素濃度約10ppmのCuナノ粒子を含有する中性電解水が得られた。このCuナノ粒子が分散した中性電解水も、塗布直後の抗酸化性、抗菌性、抗ウィルス性、抗カビ性等は、Cuナノ粒子と中性電解水との相乗効果を示し、しかも、これらの効能がCuナノ粒子により半永久的に保持された。
本発明は、食品加工業、農業、水産業、サービス業、医療・介護、上下水処理・空気処理等の様々な業種において利用できる。そして、いずれの業種においても、各種食材、作業衣、容器・器具、加工・搬送装置、食指、トイレ、作業場・施設、冷却水・給水・上水・排水等の殺菌、除菌、洗浄、清掃等に用いられるばかりか、防臭、除臭、防カビ等幅広い用途で使用することができる。特に、農業分野で用いる場合、殺菌、除菌、洗浄等の効能に加え、肥料成分が供給されるため、農作物の育成に優れた効能を発揮する。
1 物理蒸着槽
2 イオン源
3 蒸着源
4 シャッター
5 スリット
6 回転モーター
7 蒸着物質
8 不活性ガス導入系
9 真空排気系
10 塩化物粉末
11 スクリュー
12 撹拌モーター
13 被蒸着物質の移動経路
14 電解槽
15 陽極
16 陰極
17 電源
18 陽イオン交換膜
18’陰イオン交換膜
19 電解液導入口
20 酸性電解水出口
21 アルカリ性電解水出口
22 電解液出口
23 水導入口

Claims (9)

  1. 塩化物粉末に銅又は銅合金のナノ粒子が担持されていることを特徴とする電解水の製造原料。
  2. 前記銅又は銅合金が、純銅、又は、Cu−ベリリウム(Be)−コバルト(Co)系、Cu−チタン(Ti)系、Cu−ニッケル(Ni)−シリコン(Si)系、Cu−Ag系、Cu−錫(Sn)系、Cu−クロム(Cr)系、Cu−ジルコニウム(Zr)系の高銅合金であって、前記塩化物が、塩化ナトリウム又は塩化カリウムであることを特徴とする請求項1に記載の電解水の製造原料。
  3. 前記銅又は銅合金のナノ粒子の平均粒子径が、1〜50nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電解水の製造原料。
  4. 請求項1〜3のいずれか一つに記載の電解水の製造原料を水又は希塩酸に溶解したことを特徴とする電解液。
  5. 物理蒸着法を用いて前記銅又は銅合金のナノ粒子を塩化物粉末上に堆積することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の電解水の製造原料の製造方法。
  6. 物理蒸着法を用いて銅又は銅合金のナノ粒子を塩化物粉末上に堆積する第1の工程と、第1の工程で製造された銅又は銅合金のナノ粒子が担持された塩化物粉末を水又は希塩酸に溶解する第2の工程とから成る電解液の製造方法。
  7. 前記銅又は銅合金が、純銅、又は、Cu−ベリリウム(Be)−コバルト(Co)系、Cu−チタン(Ti)系、Cu−ニッケル(Ni)−シリコン(Si)系、Cu−Ag系、Cu−錫(Sn)系、Cu−クロム(Cr)系、Cu−ジルコニウム(Zr)系の高銅合金であって、前記塩化物が、塩化ナトリウム(NaCl)又は塩化カリウム(KCl)であることを特徴とする請求項6に記載の電解液の製造方法。
  8. 物理蒸着法を用いて銅又は銅合金のナノ粒子を塩化物粉末上に堆積する第1の工程と、第1の工程で製造された銅又は銅合金のナノ粒子が担持した塩化物粉末を水又は希塩酸に溶解する第2の工程と、第2の工程で製造された電解液を電気分解する工程とから成る電解水の製造方法。
  9. 前記銅又は銅合金が、純銅、又は、Cu−ベリリウム(Be)−コバルト(Co)系、Cu−チタン(Ti)系、Cu−ニッケル(Ni)−シリコン(Si)系、Cu−Ag系、Cu−錫(Sn)系、Cu−クロム(Cr)系、Cu−ジルコニウム(Zr)系の高銅合金であって、前記塩化物が、塩化ナトリウム(NaCl)又は塩化カリウム(KCl)であることを特徴とする請求項8に記載の電解水の製造方法。
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