JP2016047522A - ディスペンサ装置 - Google Patents

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Nobuhisa Suhara
伸久 須原
邦洋 市田
Kunihiro Ichida
邦洋 市田
祥弘 杉野
Sachihiro Sugino
祥弘 杉野
敦 谷戸
Atsushi Tanido
敦 谷戸
田中 圭
Kei Tanaka
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貴則 上田
Takanori Ueda
貴則 上田
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Abstract

【課題】簡単かつ安定して流動体を供給できるディスペンサ装置を提供する。
【解決手段】ディスペンサ装置10は、施工面1に沿って相対的に移動可能な支持体45と、支持体45に支持される容積式ディスペンサ11と、施工面1に対するディスペンサ11の移動量を検出可能な移動量検出手段(第1転動体52)と、移動量に応じてディスペンサ11のポンプ機構12を駆動させる駆動手段(動力伝達機構58)とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、流動抵抗を有する粘性液体や粉体等の流動体を安定供給可能なディスペンサ装置に関する。
特許文献1には、粘性液体を供給可能な容積式ディスペンサを用いたディスペンサ装置が記載されている。容積式ディスペンサは、流動体(粘性液体)を収容する容器の内部に、ピストンと案内ネジとを備える。案内ネジの一端にはロータが固定されている。このロータの回転に従って案内ネジが回転すると、ピストンが案内ネジに沿って進出または後退する。この容積式ディスペンサは、一対の設置輪を有する台車に装着されている。
このディスペンサ装置は、ロータに巻回したラインの端部を所定の壁に固定して使用する。台車を希望の方向に押すことで、その移動量に応じてロータが回転する。その結果、案内ネジが回転してピストンが容器の先端側に移動することにより、台車が走行する走行面(塗布面)に容器内の流動体が供給される。
しかしながら、特許文献1のディスペンサ装置は、特定の場所にラインの端を結び付けて、台車を移動させなければ使用できないため使用性が悪い。また、ラインを巻回したロータの回転により流動体が供給されるため、ラインの巻回量によって流動体の供給量が変わるという問題がある。詳しくは、ラインの巻回量が多く、引き出されるラインがロータの径方向外側に位置する場合には、ラインが引き出される量(台車の移動量)に対するロータの回転量は少なくなる。逆に、ラインの巻回量が少なく、引き出されるラインがロータの径方向内側に位置する場合には、ラインが引き出される量に対するロータの回転量は多くなる。
特公昭63−59749号公報
本発明は、簡単かつ安定して流動体を供給できるディスペンサ装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決する本発明のディスペンサ装置は、施工面に沿って相対的に移動可能な支持体と、前記支持体に支持される容積式ディスペンサと、前記支持体に設けられ前記施工面に対する前記容積式ディスペンサの移動量を検出可能な移動量検出手段と、前記移動量検出手段によって検出された移動量に応じて前記容積式ディスペンサのポンプ機構を駆動させる駆動手段とを備える。
本発明のディスペンサ装置には、支持体に、容積式ディスペンサと移動量検出手段と駆動手段とが配設されている。よって、施工面に対して支持体を相対的に移動させるだけで、施工面に沿って安定して流動体を供給(塗布)できる。また、容積式ディスペンサは、移動量検出手段によって検出した移動量に応じて、駆動手段によってポンプ機構が駆動されるため、単位長さ当たりの供給量を定量に設定できる。よって、支持体の移動速度に拘わらず、施工面に流動体をムラなく供給することができる。
前記容積式ディスペンサは、前記ポンプ機構を構成する雄ねじ形状からなるロータと、筒状で吸込口から吐出口に向かう流動方向に所定ピッチで形成された雌ねじ形状の貫通孔を有し、前記貫通孔内に前記ロータが挿通され、前記貫通孔の壁面と前記ロータとの間に搬送空間を形成するステータとを備え、前記ロータが正回転することにより前記壁面に前記ロータが内接しながら前記搬送空間で流動体を前記吸込口側から前記吐出口側へと移動させる一軸偏心ねじポンプ式であり、前記ロータが前記駆動手段によって回転される。このようにすれば、支持体の移動を停止させた際に、容積式ディスペンサから流動体が漏出することはない。また、一軸偏心ねじポンプ式の容積式ディスペンサは、ロータを逆回転させると、流動体が吐出口側から吸込口側へ吸い込まれる。そのため、移動停止後に支持体を逆向きに移動させることで、流動体の漏出を効果的に防ぐことができる。
前記移動量検出手段は、前記施工面または前記施工面に対応する基準部を転動する第1転動体を備え、前記駆動手段は、前記第1転動体の転動動作を前記ポンプ機構に動力として伝達する動力伝達機構からなる。このようにすれば、移動量の検出、ポンプ機構の駆動および流動体の供給の全ての動作に電力を必要としない。よって、電力を確保できない場所、例えば月面を含む宇宙、山奥、水中、防爆エリア、空中、高所等の作業エリアでの利用が可能になる。なお、支持体に発電機を搭載することで電力の問題を解消することができるが、この場合には装置全体の重量が増えるため、施工面に対する流動体の供給作業性が悪くなるうえ、現場への搬送面で不都合が生じる。しかし、この態様のディスペンサ装置によれば、このような不都合が生じることもない。
前記容積式ディスペンサに対して前記第1転動体とは反対側に配置される第2転動体を備えることが好ましい。このようにすれば、支持体を安定状態で移動させることができる。
この場合、前記支持体に設けた前記第1転動体の回転軸に配置した第1直結ギアと、前記支持体に設けた前記第2転動体の回転軸に配置した第2直結ギアと、前記第1直結ギアおよび第2直結ギアに噛合された作動ギアと、前記各ギアを回転可能に取り付けた取付枠とを有するギア機構を配置し、前記取付枠に前記駆動手段の入力側を配置することが好ましい。このようにすれば、支持体を曲線的に走行(蛇行)させ、第1転動体および第2転動体の回転(移動)量に差が生じても、流動体を安定して供給できる。
前記動力伝達機構は、前記転動体の回転軸に設けた第1プーリと、前記ポンプ機構の駆動軸に設けた第2プーリと、前記第1プーリと前記第2プーリとに掛け渡されたベルトとを備え、前記第1プーリの回転を前記第2プーリを介して前記ポンプ機構に伝達する。この際、平滑なベルトを用いることで、動力伝達機構に意図しない過度の負荷が加わった際に、ベルトとプーリとの間に滑りが生じるため、動力伝達機構の故障を防止できる。また、タイミングベルト(歯付きベルト)を用いることで、ベルトとプーリとの間の滑りを抑制し、転動体の回転量に応じて確実に定量の流動体を吐出させることができる。
または、前記動力伝達機構は、前記転動体の回転軸に設けた第1ギアと、前記ポンプ機構の駆動軸に設けた第2ギアと、前記第1ギアと前記第2ギアとに噛合する伝動ギア部材とを備え、前記第1ギアの回転を前記第2ギアを介して前記ポンプ機構に伝達する。このようにすれば、転動体の回転量に応じて確実に定量の流動体を吐出させることができる。
前記第2プーリに対する前記第1プーリのプーリ比は1を超える。また、前記第2ギアに対する前記第1ギアのギア比は1を超える。このようにすれば、容積式ディスペンサによる流動体の吐出量に比例する駆動軸の回転量を確保できる。
また、前記動力伝達機構は、前記第1転動体の転動に対する前記ポンプ機構の駆動量を変更可能な変速機を備えることが好ましい。このようにすれば、施工面に対する単位長さ当たりの供給量を定量に維持しつつ、定量供給量自体を調整することができる。この場合、例えばラインを引く際に線の太さを変更できる等の効果を得ることができる。
ディスペンサ装置は、前記容積式ディスペンサの前記ポンプ機構を正回転方向に付勢する付勢手段を備える。このようにすれば、支持体の移動を開始する時の操作をアシストできる。
前記ディスペンサは、前記支持体に移動可能に支持されている。例えば水平方向に移動可能に配置すれば、壁がある施工面の端でも、確実に流動体を供給することができる。また、垂直方向に移動可能に配置すれば、施工面に段差がある場合でも、確実に流動体を供給することができる。なお、前記支持体は、前記施工面に対して手動で移動される。
本発明のディスペンサ装置は、支持体に容積式ディスペンサと移動量検出手段と駆動手段とが配設されているため、流動体を安定して供給(塗布)できる。また、容積式ディスペンサは、検出した移動量に応じて駆動手段によってポンプ機構が駆動されるため、支持体の移動速度に拘わらず、単位長さ当たりの供給量を定量に設定できる。
本発明の第1実施形態のディスペンサ装置を示す断面図。 図1のディスペンサ配設部を示す断面図。 図1の伝達機構配設部を示す断面図。 第2実施形態のディスペンサ装置を示す断面図。 駆動軸を正回転方向に付勢する付勢機構を示す一部断面図。 図5AのI−I線断面図。 第3実施形態のディスペンサ装置を示す断面図。 第4実施形態のディスペンサ装置を示す断面図。 第5実施形態のディスペンサ装置を示す断面図。 第6実施形態のディスペンサ装置を示す断面図。 第7実施形態のディスペンサ装置を示す正面図。 図10のII−II線断面図。 図10のIII−III線断面図。 第8実施形態のディスペンサ装置の一部を示す断面図。 第9実施形態のディスペンサ装置の一部を示す断面図。 第10実施形態のディスペンサ装置を示す側面図。 図14Aの一部を示す正面図。 第11実施形態のディスペンサ装置を示す側面図。 第12実施形態のディスペンサ装置の一部を示す正面図。 第13実施形態のディスペンサ装置の一部を示す正面図。 第14実施形態のディスペンサ装置の一部を示す正面図。 図18Aの一部を示す側面図。 第15実施形態のディスペンサ装置の一部を示す正面図。 図19Aの一部を示す断面図。 第16実施形態のディスペンサ装置の一部を示す正面図。 図20Aの一部を示す側面図。 第17実施形態のディスペンサ装置の一部を示す正面図。 第18実施形態のディスペンサ装置の一部を示す正面図。 第19実施形態のディスペンサ装置の一部を示す正面図。 第20実施形態のディスペンサ装置の一部を示す側面図。 第21実施形態のディスペンサ装置の一部を破断した断面図。 第22実施形態のディスペンサ装置を示す側面図。 図26Aの正面図。
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「側」、「端」含む用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るディスペンサ装置10を示す。このディスペンサ装置10は、塗布面(施工面)1に沿って手動により移動可能な支持体45と、支持体45に支持される容積式ディスペンサ(以下「ディスペンサ」と略す。)11とを備える。このディスペンサ装置10には、支持体45の移動に伴うディスペンサ11の移動量に応じて、ディスペンサ11のポンプ機構12を駆動させる動力伝達機構(駆動手段)58が設けられている。
ディスペンサ11は、筒状の雌ねじ型ステータ(以下「ステータ」と略す。)13と、螺旋状の雄ねじ型ロータ(以下「ロータ」と略す。)19とからなるポンプ機構12を備える一軸偏心ねじポンプである。図1において、ポンプ機構12の上側には駆動軸21が設けられ、ポンプ機構12の下側にはアタッチメント式のノズル部材42が配設されている。
ステータ13は、金属材料からなる外筒体14と、外筒体14の内面に一体化された合成樹脂材料からなる内筒体15とを備える。内筒体15は、上側の吸込口16から下側の吐出口17に向かって所定ピッチでn+1条(本実施形態では2条)の雌ねじ形状に形成された貫通孔18を有する。貫通孔18は、軸方向から見た断面形状が長円であり、内筒体15の両端の吸込口16および吐出口17での中心が、ステータ13の軸心(第1軸心O)に位置している。
ロータ19は、金属材料あるいは合成樹脂材料をn条(本実施形態では1条)の雄ねじ形状に形成されている。ロータ19は、軸方向から見た断面形状が略真円であり、螺旋形状のピッチは、ステータ13の貫通孔18のピッチの1/2である。ロータ19は、ステータ13の吸込口16から上方に突出している。ロータ19の端部には、駆動軸21に連結するための連結部20が設けられている。ロータ19の下端は、ステータ13の吐出口17に位置する。なお、駆動軸21は、ロータ19側に位置するロータ連結部22と、ロータ連結部22と反対側に位置する動力接続部23と、これらの間に位置する位置決めフランジ部24とを備える。
ステータ13は、第1軸心O1が駆動軸21の軸心と一致するように配設される。ロータ19は、ステータ13の貫通孔18内に配置することにより、回転中心(第2軸心O2)がステータ13の第1軸心O1から偏心する。即ち、ロータ19の連結部20は、第2軸心O2が第1軸心O1から偏心するように、駆動軸21に連結されている。これによりロータ19は、駆動軸21が回転されると、第1軸心O1を中心として公転しながら、第2軸心O2を中心として自転する。
ステータ13の貫通孔18の壁面とロータ19との間には、流動体の搬送空間25が形成されている。ロータ19が正回転されると、貫通孔18にロータ19が内接しながら、搬送空間25において流動体が吸込口16側から吐出口17側へと移送される。なお、ロータ19が逆回転されると、流動体は吐出口17側から吸込口16側へと移送される。ステータ13の内径に対するロータ19のしめ代は、搬送する流動体の種類に応じて変更される。例えば、ジュース等の液状で粘性の低い流動体であれば、しめ代を大きくする。また、ペースト状等の粘性の高い流動体であれば、しめ代を小さくする。
図1および図2に示すように、ディスペンサ11は、ケーシング26内に配設された状態で、支持体45に固定される。ケーシング26は、ポンプ機構12を収容するディスペンサケース27と、駆動軸21を収容する駆動軸ケース28とを備える。また、ケーシング26は、ディスペンサケース27の先端に、ノズル部材42を着脱可能に配設するノズル装着部材39を備える。
ディスペンサケース27は、所定間隔をあけてステータ13を取り囲む円筒状の部材である。このディスペンサケース27は、駆動軸ケース28の下端に固定され、駆動軸ケース28にステータ13が固定されることにより、軸心がステータ13の第1軸心O1と一致するように配置される。
駆動軸ケース28は、ディスペンサケース27の上端に連結される流動体ケース29と、流動体ケース29の上端に連結される第1軸受ケース35と、第1軸受ケース35の上端に連結される第2軸受ケース36とを備える。流動体ケース29には、流動体を収容する流動体貯留部30が設けられている。この流動体貯留部30には、径方向外向きに延びる供給流路31が形成され、この供給流路31に流動体供給部材32が連通される。流動体ケース29には、第1軸心O1に沿って延びるステータ取付部33が設けられている。このステータ取付部33は、流動体貯留部30に連通され、流動体貯留部30内の流動体をステータ13内に流入可能としている。ステータ取付部33の外周部には、ディスペンサケース27の上端に内嵌される円筒状のケース取付部34が下向きに突設されている。第1軸受ケース35は、第2軸受ケース36と連結することにより、挿通配置した駆動軸21の位置決めフランジ部24を回転可能かつ軸方向へ移動不可能に保持する。流動体ケース29とロータ連結部22との間、および第1軸受ケース35とロータ連結部22との間は、リップシール37,37によってシールされている。また、第1軸受ケース35の内部には、位置決めフランジ部24の下面を位置決めするためのスペーサ38が配設されている。
ノズル装着部材39は、ディスペンサケース27の下端に固定された円筒状の部材である。このノズル装着部材39の下端内周部には、ノズル部材42を締め付けて装着するための雌ねじ部40が設けられている。また、ノズル装着部材39とステータ13の吐出口17との間は、金属製のノズル41が配置されている。このノズル41は、搬送空間25とノズル部材42とを連通させる略円錐筒状に形成されている。
ノズル部材42は、ノズル装着部材39に装着するための雄ネジ部43を備える。図示のノズル部材42は、先端のノズル部44が直径が細い円筒状に形成されている。但し、ノズル部44は円筒状に限らず、支持体45の走行方向(Y方向)に対して直交方向(X方向)に延びる断面長円(偏平)状に形成し、塗布する線幅を太く変更できるようにしてもよい。また、ノズル部44は、先端の位置を調整できるように伸縮可能とし、塗布面1までの距離(クリアランス)を変更できるようにしてもよい。このように、複数種のノズル部材42を用意し、必要に応じて取り換えて使用することが好ましい。
支持体45は、略逆L字形状の本体46と、図1中左側に位置する本体46の開口部を塞ぐカバー47とを備える。この支持体45には、図1中右側にディスペンサ配設部48が設けられ、図1中左側に伝達機構配設部50が設けられている。ディスペンサ配設部48の下側には、ディスペンサ11を収容したケーシング26が固定される。ディスペンサ配設部48の内部は、ケーシング26から突出した駆動軸21の動力接続部23を収容する第1収容空間49である。伝達機構配設部50は、ディスペンサ配設部48の第1収容空間49と連通する第2収容空間51を備え、この第2収容空間51に動力伝達機構58が配設される。
支持体45の伝達機構配設部50(カバー47)には、塗布面1上を転動する第1転動体52が回転軸53を介して軸支されている。この第1転動体52は円板状をなす車輪であり、支持体45の移動機能と、ディスペンサ11の移動量を機械的に検出する移動量検出手段としての機能とを兼ね備える。回転軸53には、カバー47に対して所定間隔をあけて第1転動体52を位置させるためのスペーサ部材54が配設されている。回転軸53およびスペーサ部材54は、第1転動体52の回転により一体に回転する。
支持体45を安定状態で移動させるために、ディスペンサ11に対して第1転動体52とは反対側に、第2転動体55が設けられている。この第2転動体55は、第1転動体52より小径の円板状であり、支持体45のカバー47に設けた平面視L字形状のブラケット部56の先端に回転可能に軸支されている。第2転動体55の回転軸57と第1転動体52の回転軸53とは、各軸線が平行に延び、これらを含むXZ平面に沿って延びるようにディスペンサ11の第1軸心O1が配置されている。
図1および図3に示すように、支持体45の収容空間49,51には、第1転動体52の回転により、ディスペンサ11のポンプ機構12を駆動させる動力伝達機構58が配置されている。この動力伝達機構58は、第1転動体52の転動動作をポンプ機構12に動力として伝達する。詳しくは、動力伝達機構58は、第1転動体52の回転軸53に設けた第1プーリ(第1伝動部材)59と、ポンプ機構12の駆動軸21に設けた第2プーリ(第2伝動部材)60と、第2プーリ60の側方に配置される一対のローラ61A,61Bとを備える。また、ローラ61A,61Bを介して第1プーリ59と第2プーリ60とに掛け渡されたベルト(無端状部材)64を備える。
第1プーリ59は、第2収容空間51において、カバー47と第1転動体52との間に位置するように、第1転動体52の水平方向に延びる回転軸53のスペーサ部材54に配設されている。第2プーリ60は、第1収容空間49において、回転軸53に対して回転中心が直交方向(垂直方向)に延びる駆動軸21の動力接続部23に配設されている。ローラ61A,61Bは、第1プーリ59の上方かつ第2プーリ60の側方に位置するように設けた屈曲部62に配設されている。屈曲部62は、第2収容空間51を垂直方向(Z方向)に延びるベルト64を、第1収容空間49に向けて水平方向(X方向)に延びるように略90度屈曲させる。この屈曲部62は、第2プーリ60の側方に配置され、支持体45の走行方向(Y方向)に沿って延びる固定軸63を備え、この固定軸63にローラ61A,61Bが回転自在に配置される。
ベルト64は、第1プーリ59および第2プーリ60に巻回されている。詳しくは、U字状に掛け渡した第1プーリ59から一対の帯状部分がZ方向に延び、ローラ61A,61Bにそれぞれ掛け渡されることにより、X方向に方向転換されて第2プーリ60に掛け渡される。そして、屈曲部62をX方向にスライドさせることにより、ベルト64が所定のテンションで架設される。図3において、支持体45を右側に移動させると、転動体52,55が図中時計回りに回転する。第1転動体52の回転に連動して、第1プーリ59およびベルト64も時計回りに回転する。その結果、第2プーリ60を介して駆動軸21が、平面視時計回りに正回転する。これによりディスペンサ11のロータ19が正回転する。
回転軸53の回転量(ディスペンサ11の移動量)に対する駆動軸21の回転量は、第1プーリ59に対する第2プーリ60のプーリ比(回転比)によって決まる。また、駆動軸21の回転量は、ディスペンサ11からの流動体の吐出量に比例し、回転量が多くなれば吐出量も多くなり、回転量が少なくなれば吐出量も少なくなる。そのため、ディスペンサ11からの吐出量を確保(多く)するには、第2プーリ60に対する第1プーリ59のプーリ比は1を超えるように設定することが好ましい。そして、本実施形態では、第1プーリ59(回転軸53)が1回転する間に、第2プーリ60(駆動軸21)が2回転するようにプーリ比を設定している。
このようにしたディスペンサ装置10は、支持体45に、ディスペンサ11と、移動手段と移動量検出手段の役割を兼ねる第1転動体52と、ディスペンサ11を駆動させる動力伝達機構58とを一体に搭載している。そのため、塗布面1に支持体45を置き、手で押して走行させるだけで、転動体52および動力伝達機構58を介してディスペンサ11から流動体を吐出させ、塗布面1に塗布できる。
そして、ディスペンサ11は、第1転動体52の回転量(機械的に検出した移動量)に応じて、動力伝達機構58によってポンプ機構12が駆動されるため、塗布面1に対する単位長さ当たりの供給量を定量に設定できる。よって、支持体45の移動速度に拘わらず、塗布面1に流動体をムラなく供給することができる。また、本実施形態では、第1および第2プーリ59,60のプーリ比が1を超えるため、ディスペンサ11による流動体の吐出量に比例する駆動軸21の回転量を確保できる。
また、本実施形態のポンプ機構12は、雄ねじ形状からなるロータ19と、雌ねじ形状の貫通孔18を有するステータ13とを備える一軸偏心ねじポンプ式であるため、支持体45の移動を停止させた際に、ディスペンサ11から流動体が漏出することはない。また、一軸偏心ねじポンプ式のディスペンサ11は、ロータ19を逆回転させると、流動体を吐出口17側から吸込口16側へ吸い込むことができる。そのため、移動停止(塗布)後に支持体45を逆向きに移動させることで、流動体の漏出を効果的に防ぐことができる。
また、ディスペンサ11を動作させるために、特定の場所に特定のガイド用の部品を固定する必要はないため、利便性を向上できる。しかも、動力伝達機構58は、第1転動体52の転動動作をポンプ機構12を回転させる動力として伝達する構成であり、移動量の検出、ポンプ機構12の駆動および流動体の供給の全ての動作に電力を必要としない。
よって、電力を確保できない場所、例えば月面を含む宇宙、山奥、水中、防爆エリア、空中、高所等の作業エリアでの利用が可能になる。また、電力を必要としないため、電力供給用のケーブル配線も必要としないので、配線の取り回しを考慮することなく自由にディスペンサを動かすことができる。よって、流動体として接着剤を流動体貯留部30に収容させることにより、床面への接着剤塗布、壁面へのタイル用接着剤塗布、レザークラフトにおける皮革への接着剤(ボンド)塗布、および自転車のパンク修理におけるチューブへの接着剤(ボンド)塗布等に使用することができる。
ここで、支持体45に発電機を搭載することで電力や取り回し等の問題は解消することができる。但し、この場合には装置全体の重量が増えるため、施工面に対する流動体の供給作業性が悪くなるうえ、現場への搬送面で不都合が生じる。しかし、本実施形態のディスペンサ装置10によれば、流動体の供給に関する全ての動作に電力を必要としないため、供給作業性や搬送面に不都合が生じることもない。
また、段ボール箱を自動製函する装置において、ブランクに接着剤を塗布する場合等、製造ラインで搬送されるワーク(施工面)に接着剤や塗料を供給することにも使用できる。なお、この種の製造ラインでは、カム方式やクラッチ方式を使用している工程が多く存在している。この製造ラインに本発明のディスペンサ装置10を用いる場合、第1転動体52がワークに接触して転動するように設置する。このようにすれば、ワークが搬送されてきた時には、第1転動体52が回転することでワークの相対的な移動量を機械的に検出し、動力伝達機構58を介してディスペンサ11が駆動されて接着剤や塗料を供給できる。また、ワークが搬送されてない時にはディスペンサ11の駆動および接着剤や塗料の供給を停止できる。よって、接着剤や塗料の供給および停止が自動的かつ迅速に行われるので、カム方式やクラッチ方式の機構と同等の応答性を実現できる。
また、動力伝達機構58は、第1転動体52の回転軸53に設けた第1プーリ59と、ポンプ機構12の駆動軸21に設けた第2プーリ60と、これらに掛け渡されたベルト64とからなる。よって、平滑なベルト64を用いることで、動力伝達機構58に意図しない過度の負荷が加わった際にはベルト64に滑りが生じ、動力伝達機構58が故障することを防止できる。また、ベルト64としてタイミングベルト(歯付きベルト)を用いることで、ベルト64とプーリ59,60との間の滑りを抑制し、第1転動体52の回転量に応じて確実に定量の流動体を吐出させることができる。また、変形可能なベルト64を用いるため、回転軸53と駆動軸21が平行に延びる構成でなくても、方向変換用のローラ61A,61Bを用いることにより、確実に動力を伝達することができる。
また、本発明のディスペンサ装置10は、前述のように一軸偏心ねじポンプ式のディスペンサ11を用いているため、ロータ19を逆回転させることで、流動体を吸い込む方向に流動させることができる。よって、ロータ19を逆回転する方向へ支持体45を移動させることにより、施工面に沿って粉体を含む流動体を吸い込む用途に使用することもできる。
(第2実施形態)
図4から図5Bは第2実施形態のディスペンサ装置10を示す。この第2実施形態では、支持体45に、ディスペンサ11のポンプ機構12の駆動軸21を正回転方向に付勢する付勢機構(付勢手段)65を設けた点で、第1実施形態と相違する。この付勢機構65は、駆動軸21に連結された補助駆動軸66と、補助駆動軸66を覆うように配置されたダイヤル部材69と、ダイヤル部材69の内部に配置した付勢部材であるゼンマイバネ73とを備える。
補助駆動軸66は、下端が駆動軸21に一体に連結され、上端が支持体45の本体46を貫通して上方に突出されている。図5Bに示すように、補助駆動軸66の外周部には、軸方向に延びる係止爪部67が周方向に複数設けられている。係止爪部67は、図5B中矢印で示す駆動軸21の正回転方向(時計回り)に沿って径方向内側へ傾斜して延びる摺接面68を備える。
図4に示すように、ダイヤル部材69は、上端を閉塞するとともに下端を開口した円筒状をなす。このダイヤル部材69は、取付軸70によって補助駆動軸66に対して回転可能かつ軸方向に移動不可能に取り付けられている。図5Aに示すように、ダイヤル部材69の下端面には、鋸歯状をなすように多数の係止凹部71が周方向に設けられている。対向する支持体45の本体46上面には、ダイヤル部材69の正回転方向と逆向きの逆回転方向(反時計回り)の回転を阻止する係止凸部72が設けられている。これによりダイヤル部材69は、本体46に対して正回転方向に回転可能で、逆回転方向に回転不可能な状態で取り付けられる。
図5Bに示すように、ゼンマイバネ73は、板バネを渦巻き状に巻回したもので、ダイヤル部材69内において、平面視で逆回転方向に旋回するように配設されている。ゼンマイバネ73には、径方向外側に位置する一端に、径方向外向きに屈曲されて、ダイヤル部材69の内壁部に固定される固定部74が設けられている。また、径方向内側に位置する他端には、径方向内向きに屈曲されて、補助駆動軸66の係止爪部67に係止される係止部75が設けられている。
この付勢機構65は、ダイヤル部材69を正回転方向に回転させると、ゼンマイバネ73が収縮される。このゼンマイバネ73のバネ力は、ダイヤル部材69を逆回転方向に回転させるように作用するとともに、補助駆動軸66を正回転方向に回転させるように作用する。但し、ダイヤル部材69の逆回転方向の回転は、係止凹部71と係止凸部72の係止により阻止される。また、補助駆動軸66の正回転方向の回転は、ディスペンサ装置10を塗布面1上に配置した状態では、支持体45の重力および各部の摩擦力からなる抵抗により、阻止される。よって、支持体45から手を離しても、ディスペンサ装置10が勝手に進むことはない。
この状態で、支持体45を図4中手前側に押して移動させると、第1実施形態と同様に、第1転動体52の回転力が動力伝達機構58を介して駆動軸21に伝わり、駆動軸21が正回転方向に回転する。この際、ディスペンサ11による吐出量を確保できるように、第1および第2プーリ59,60のプーリ比を設定しているため、移動開始時の操作力が大きくなる。しかし、本実施形態では、付勢機構65のゼンマイバネ73のバネ力によって、駆動軸21に連結した補助駆動軸66が正回転方向に付勢されているため、駆動軸21の回転をアシストできる。よって、第2実施形態のディスペンサ装置10では、第1実施形態と同様の作用および効果を得ることができるうえ、移動を開始する時の操作を補助できる。
なお、ゼンマイバネ73が完全に伸張した状態で、支持体45の移動により駆動軸21が正回転され続けると、補助駆動軸66も正回転され続ける。この場合、ゼンマイバネ73の係止部75は、係止爪部67に係止することなく、各摺接面68を摺動するため、支持体45の移動(流動体の供給)を阻害することはない。
(第3実施形態)
図6は第3実施形態のディスペンサ装置10を示す。この第3実施形態では、支持体45に同一直径の第1および第2転動体52,55を配置し、これら転動体52,55の回転軸53,57をギア機構(差動歯車装置)76で連結することにより、流動体を曲線状に塗布する際に生じる内外輪の回転量(回転数)の違いを調整できるようにした点で、第1実施形態と相違する。
第3実施形態では、第1転動体52および第2転動体55が支持体45の外側部に配設されている。第1の回転軸53は、内端部がカバー47を貫通して支持体45内に配置されている。第2転動体55の第2の回転軸57は、内端部がブラケット部56を貫通して支持体45内に配置されるとともに、第1の回転軸53と軸線が一致するように対向配置されている。
ギア機構76は、回転軸53,57の端部にそれぞれ配置した直結ギア78A,78Bと、これら直結ギア78A,78Bに噛合される作動ギア80A,80Bと、各ギア78A,78B,80A,80Bを回転可能に取り付ける取付枠77とを備える。取付枠77は四角筒状に形成され、対向する一対の壁に回転軸53,57が回転可能に貫通されている。この取付枠77内に位置するように、第1の回転軸53の端部に第1直結ギア78Aが固定され、第2の回転軸57の端部に第2直結ギア78Bが固定されている。取付枠77の他の対向する壁には軸部材79,79が回転可能に配設されている。そして、一方の軸部材79には第1作動ギア80Aが配設され、他方の軸部材79には第2作動ギア80Bが配設されている。本実施形態では、ギア78A,78B,80A,80Bとして傘歯車が使用される。
第3実施形態の動力伝達機構58の第1プーリ59は取付枠77に固定されている。また、第1プーリ59には、第1の回転軸53が回転自在に挿通されている。これにより第1プーリ59は、転動体52,55に直結した回転軸53,57ではなく、転動体52,55の回転数の差を調整して回転する取付枠77と一体に回転する。
詳しくは、支持体45をY方向へ直線的に移動させると、左右の転動体52,55は同一回転数かつ同一方向に回転する。そうすると、回転軸53,57を介して直結ギア78A,78Bが同一回転数かつ同一方向に回転する。そのため、一対の作動ギア80A,80Bは、軸部材79を中心として回転(自転)しない。そして、直結ギア78A,78Bの回転は、軸部材79を介して取付枠77に伝わり、取付枠77が回転する。その結果、第1プーリ59は、転動体52,55と同一回転数かつ同一方向に回転し、ベルト64を介してポンプ機構12の駆動軸21を回転させる。そのため、ディスペンサ11から流動体が供給される。
一方、支持体45をXY平面上で曲線的に移動させると、左右の転動体52,55は異なる回転数かつ同一方向に回転(内輪側が無回転を含む)する。そうすると、回転軸53,57を介して直結ギア78A,78Bが異なる回転数かつ同一方向に回転する。そのため、一対の作動ギア80A,80Bは、直結ギア78A,78Bの回転数の差に応じて軸部材79を中心として自転する。また、直結ギア78A,78Bの回転が軸部材79を介して取付枠77に伝わり、取付枠77が回転する。その結果、第1プーリ59は、転動体52,55に直結した直結ギア78A,78Bの回転数の差を吸収しつつ所定回転数で同一方向に回転し、ベルト64を介してポンプ機構12の駆動軸21を回転させる。そのため、ディスペンサ11から流動体が供給される。なお、第1プーリ59(取付枠77)の回転数は、内輪側が第1転動体52であっても第2転動体55であっても、回転数および回転数差が同一である場合、同一である。
このようにした第3実施形態のディスペンサ装置10は、第1実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。しかも、第1および第2転動体52,55がギア機構76によって連結され、その出力側となる取付枠77に動力伝達機構58の入力側である第1プーリ59が連結されているため、支持体45を曲線的に走行(蛇行)させた際に、左右の転動体52,55の回転(移動)量に差が生じても、流動体を確実に定量供給できる。なお、ギア機構76を用いた第3実施形態のディスペンサ装置10に、更に第2実施形態の付勢機構65を組み合わせて構成してもよい。また、第3実施形態では、一対の作動ギア80A,80Bを配置したが、作動ギアは1個だけ配置してもよい。
(第4実施形態)
図7は第4実施形態のディスペンサ装置10を示す。この第4実施形態では、支持体45に対してディスペンサ11を幅方向(水平方向X)に移動可能に配置した点で、第1実施形態と相違する。詳しくは、第4実施形態では、ポンプ機構12の駆動軸21に対して据付軸81が、同一軸線上に位置するように回転可能に装着されている。この据付軸81は、支持体45の本体46の上壁46a内面に圧接されるフランジ部82を備える。また、支持体45の本体46上壁46aには、据付軸81を貫通させて外方に突出させる挿通孔83が設けられている。この挿通孔83は、支持体45の幅方向に延びる平面視長円形状に形成されている。挿通孔83を通して上壁46aから突出した据付軸81には座金84を配置され、ナット85によって締め付けて位置決め固定できるように設定される。
この第4実施形態のディスペンサ装置10は、ローラ61A,61Bに対するベルト64のテンションを弛めた状態で、駆動機構を含むディスペンサ11を幅方向の所定位置に移動できる。そして、所定位置でナット85を締め付けることにより、フランジ部82と座金84とで支持体45の上壁46aを挟み込んで位置決め固定できる。その後、屈曲部62を幅方向に移動させてベルト64を所定テンションで張設することにより、第1実施形態と同様に、ディスペンサ11から安定して流動体を供給できる。
このようにした第4実施形態のディスペンサ装置10は、第1実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。しかも、ディスペンサ11を支持体45に移動可能に配置しているため、壁がある塗布面1の端でも、確実に流動体を供給する(線を引く)ことができる。よって、作業性を向上できる。なお、支持体45にディスペンサ11を移動可能に支持した第4実施形態のディスペンサ装置10に、更に第3実施形態のギア機構76を用いる構成を組み合わせて構成してもよい。
(第5実施形態)
図8は第5実施形態のディスペンサ装置10を示す。この第5実施形態では、第1転動体52の回転軸53とポンプ機構12の駆動軸21とを、ギア90,91および伝動ギア部材92によって連結した点で、第1実施形態と相違する。詳しくは、第5実施形態の動力伝達機構58は、第1転動体52の回転軸53に設けた第1ギア90と、ポンプ機構12の駆動軸21に設けた第2ギア91と、第1ギア90と第2ギア91に噛合する伝動ギア部材92とを備えている。
まず、第5実施形態の支持体86は、ディスペンサ11を上方から差し込んで固定する取付孔87を備える。この取付孔87の一側には、第1転動体52が回転軸53によって回転可能に軸支されている。対向する取付孔87の他側には、第2転動体55が回転軸57によって回転可能に軸支されている。支持体86には、第1転動体52の上方を覆うように水平(X)方向に突出するギア部材取付部88が設けられている。ギア部材取付部88は、回転軸53の軸線に沿ってXZ平面上に位置し、垂直上(Z)方向に延びる軸線を有するギア部材取付孔89を備える。
第1ギア90は、第2転動体55と逆側に位置する第1転動体52の外側面に固定され、第1転動体52の回転により一体に回転する。この第1ギア90は、歯筋の延び方向が円錐状に傾斜する複数の歯を外周部に備える傘歯車である。第2ギア91は、駆動軸21の上端に同一軸線上に位置するように固定され、この第2ギア91の回転により駆動軸21を一体に回転させる。この第2ギア91は、歯筋が軸線に沿って平行に延びる平歯車である。
伝動ギア部材92は、支持体86のギア部材取付孔89に回転可能に取り付けられ、第1ギア90の回転を第2ギア91に伝達する。この伝動ギア部材92は、一対の軸受け93,93によってギア部材取付孔89内に回転可能に支持される伝動軸94を備える。ギア部材取付孔89から伝動軸94の下端が突出され、その突出部分に第1ギア90に噛合する傘歯車95が配設されている。ギア部材取付孔89から伝動軸94の上端が突出され、その突出部分に第2ギア91に噛合する平歯車96が配設されている。
第2ギア91に対する第1ギア90のギア比は、第1実施形態のプーリ比と同様に1を超えるように設定している。そして、本実施形態では、第1ギア90が1回転する間に第2ギア91が2回転するように、第1および第2ギア90,91と歯車95,96のギア比が設定されている。
この第5実施形態のディスペンサ装置10は、塗布面1上に載置して支持体45を押すことにより、第1および第2転動体52,55が回転する。第1転動体52の回転により第1ギア90が一体に回転することにより、傘歯車95を介して伝動ギア部材92が図8において平面視時計回りに回転する。その結果、第2ギア91が図8において平面視反時計回りに回転することにより、駆動軸21が一体に回転する。これによりディスペンサ11のロータ19が回転する。なお、この第5実施形態では、駆動軸21が第1実施形態と逆回りに回転するが、この逆向きの回転で流動体が供給されるように、ディスペンサ11のステータ13の貫通孔18およびロータ19が設定されている。
このようにした第5実施形態のディスペンサ装置10は、第1実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。しかも、動力伝達機構58をギア接続により構成して滑り等の伝達ロスが生じないようにしているため、第1転動体52の回転量に応じて確実に定量の流動体を吐出できる。なお、動力伝達機構58をギア接続により構成した第5実施形態のディスペンサ装置10に、第2実施形態の付勢機構65を組み合わせて構成してもよいし、第3実施形態のギア機構76を組み合わせて構成してもよい。また、第2ギア91または平歯車96を変更可能とし、第4実施形態のように水平方向Xに移動可能とする構成を組み合わせてもよい。
(第6実施形態)
図9は第6実施形態のディスペンサ装置10を示す。この第6実施形態では、基準部(ラックギア3)に沿ってディスペンサ装置10を走行可能とするとともに、基準部を転動する転動体(ピニオンギア98)によりポンプ機構12の駆動軸21を回転させるようにした点で、第5実施形態と相違する。
詳しくは、塗布面1には、塗布するラインの付近に位置するように一対の脚柱2,2が配置される。これら脚柱2,2に基準部としてラックギア3が架設されている。脚柱2は、ディスペンサ装置10を移動させても追従して移動しない重量であることが好ましい。また、脚柱2は、塗布面1に一時的に固定してもよい。
ディスペンサ装置10には、塗布面1上を転動する転動体52が支持体86に回転自在に配置されている。転動体52には、第5実施形態に示すギア90は配置していない。そして、第5実施形態に示す傘歯車95の代わりに、塗布面1に対応する基準部を転動する第1転動体としてピニオンギア98を伝動ギア部材92の伝動軸94に固定している。
このようにした第6実施形態のディスペンサ装置10は、第5実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。しかも、ディスペンサ11を基準部であるラックギア3に沿って走行させることが可能であるため、容易に意図した線を引くことができる。また、ラックギア3にストッパを設ければ、ディスペンサ11の移動のストロークエンドを規定できるため、容易に意図した長さの線を引くこともできる。
(第7実施形態)
図10から図11Bは第7実施形態のディスペンサ装置100を示す。この第7実施形態では、ディスペンサ101として一対のロータ106A,106Bを備えるロータリーポンプを用いた点、および転動体110を1個だけ用いた点で、各実施形態と相違する。
図10および図11Aに示すように、ディスペンサ101は、転動体(第1転動体)110側を開口した長円形状のケーシング102を備える。ケーシング102の内部には、流動体を貯留する流動体貯留部103が形成されている。ケーシング102の上端には、流動体貯留部103に連通する流動体供給部104が形成されている。また、ケーシング102の下端にはノズル接続部105が設けられている。ノズル接続部105には、第1実施形態と同様に、ノズル41を介してノズル装着部材39が装着され、このノズル装着部材39に所定のノズル部材42が装着される。
ケーシング102の内部には、一対のロータ106A,106Bが回転可能に配置されている。これらロータ106A,106Bは、径方向に対向する位置から扇形状に突出する各一対の羽根部107,107を備えている。ロータ106A,106Bは駆動軸108A,108Bの一端側に連結され、この駆動軸108A,108Bがケーシング102に回転可能かつ液密に挿通されている。
駆動軸108Aを介してロータ106Aは図11Aにおいて時計回りに回転され、駆動軸108Bを介してロータ106Bは図11Aにおいて反時計回りに回転される。これにより、流動体貯留部103内において、流動体供給部104側の流動体がロータ106A,106Bの羽根部107,107によってノズル接続部105側に圧送され、ノズル接続部105から供給される。
図10および図11Bに示すように、第7実施形態の支持体109は、長方形状の中空ケースである。この支持体109によりケーシング102の開口が閉塞される。この支持体109には、ディスペンサ101と逆側の側面に転動体110が回転軸111を介して軸支されている。この転動体110は、第1実施形態と同様に、ディスペンサ101の移動量を機械的に検出する移動量検出手段の役割を兼ねる。
支持体109の内部には、駆動軸108A,108Bおよび回転軸111の端部が挿通配置されている。また、回転軸111の回転が駆動軸108A,108Bに伝達されるように、支持体109の内部に動力伝達機構112が配設されている。この動力伝達機構112は、回転軸111に連結した第1ギア113と、各駆動軸108A,108Bに連結した一対の第2ギア114A,114Bと、第1ギア113と一方の第2ギア114Bとを噛合させる中間ギア115とを備える。
各ギア113,114A,114B,115は平歯車からなる。第1ギア113は、回転軸111を介して転動体110と一体に回転する。一方の第2ギア114Aは駆動軸108Aに連結され、第1ギア113に噛合されている。他方の第2ギア114Bは駆動軸108Bに連結され、中間ギア115を介して第1ギア113に噛合されている。一対の第2ギア114A,114Bと中間ギア115とは、直径および歯数が同一の歯車である。これにより、第1ギア113の回転に連動し、一対の第2ギア114A,114Bが逆方向に回転するように設定している。
この第7実施形態のディスペンサ装置100は、塗布面1上に載置して支持体109を押すことで、転動体110が回転し、第1ギア113が一体に回転することにより、第2ギア114A,114Bがそれぞれに対して逆向きに回転する。これにより、ディスペンサ101内のロータ106A,106Bが正回転することにより、流動体貯留部103内の流動体が、ノズル接続部105からノズル部材42を介して塗布面1に供給される。
このように、ディスペンサ101は一軸偏心ねじポンプに限らず、ロータリーポンプでも適用可能である。また、ダイヤフラムポンプ、ピストンポンプ、スクリューポンプ、ギアポンプ等を用いてもよく、流動体を供給できるポンプであれば、いずれでも適用可能である。
(第8実施形態)
図12は第8実施形態のディスペンサ装置10のノズル部材42を示す。この第8実施形態では、ノズル部材42の先端を塗布面1の凹凸に応じて進退可能とした点で、各実施形態と相違する。この第8実施形態のノズル部材42は、雄ネジ部43(図12には図示せず)を有するノズル部本体44Aと、ノズル部本体44Aに進退可能に配置された可動筒部材44Bとを備える。
ノズル部本体44Aの下端には、可動筒部材44Bの抜け止めを図るストッパ部120が径方向内側に突出するように設けられている。また、ノズル本体44Aの内部には、ストッパ部120に対して設定した間隔をあけて位置するように係止部121が突設されている。可動筒部材44Bは、先端部分がノズル本体44Aの下端から突出するように、ノズル本体44A内に進退可能に配置されている。可動筒部材44Bの上端には、ストッパ部120に係止するストッパ部122が径方向外側に突出して設けられている。ノズル部本体44Aの係止部121と可動筒部材44Bのストッパ部122との間には、スプリング123が配置されている。なお、スプリング123の代わりに、可動筒部材44Bを進出方向に付勢する付勢部材や、可動筒部材44Bを弾性的に移動可能に保持する弾性部材を用いてもよい。
このノズル部材42を配置したディスペンサ装置10は、可動筒部材44Bの先端を塗布面1に当接させた状態で、流動体を塗布面1に供給する。塗布面1に凸部分がある場合には、可動筒部材44Bがスプリング123の付勢力に抗してノズル部本体44A内に没入する。また、塗布面1に凹部分がある場合には、可動筒部材44Bがスプリング123の付勢力でノズル部本体44Aから進出する。よって、塗布面1に凹凸がある場合でも、確実に流動体を供給できる。
(第9実施形態)
図13は第9実施形態のディスペンサ装置10のノズル部材42を示す。この第9実施形態では、ノズル部44の先端に可撓性を有するチューブ125を配置した点で、第8実施形態と相違する。この第9実施形態では、第8実施形態と同様に、チューブ125の先端を塗布面1に当接させた状態で使用することで、塗布面1の凹凸に応じてチューブ125が弾性的に変形する。そのため、第8実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
なお、塗布面1の表面形状に応じて流動体を供給可能とする第8実施形態および第9実施形態の構成を、第1実施形態から第7実施形態のディスペンサ装置10,100に組み合わせてもよい。即ち、ディスペンサ11,101の種類や動力伝達機構58,112の構成に拘わらず、ノズル部材42によって塗布面1の高低差を吸収できるようにしてもよい。また、第9実施形態のチューブ125は、弾性的に変形可能な構成に限らず、所定形状に変形させた状態を維持可能なフレキシブルチューブを用い、垂直方向に延びる塗布面1に流動体を供給できるようにしてもよい。
(第10実施形態)
図14Aおよび図14Bは第10実施形態のディスペンサ装置10を示す。この第10実施形態では、ディスペンサ装置10の支持体45にディスペンサ11を昇降させる昇降機構128を配置した点で、第8実施形態と相違する。ディスペンサ装置10は、昇降機構128によってディスペンサ11を垂直方向Zに移動可能とすることで、ディスペンサ装置10を走行させる床面4と塗布面1の高低差を吸収(調整)する。
図14Aに示すように、昇降機構128は、外側に露出するように配置したハンドル129と、ディスペンサ11のケーシング26に連結した連結部材130とを備える。この昇降機構128は、ハンドル129の回転を連結部材130の垂直方向Zの直線移動に変換可能なラックアンドピニオン等の周知の構成を用いることができる。
図14Bに示すように、この第10実施形態のディスペンサ装置10は、例えば第1転動体52を転動させる基準部(床4)と、流動体を供給する塗布面1(床4上に配置したワーク5の上面)の高さが異なる場合に有効である。詳しくは、ハンドル129の操作によって連結部材130を介してディスペンサ11の高さ調節を行うことで、ディスペンサ11のノズル部44の先端を希望の高さに維持できる。よって、床4と段差があるワーク5(ここではレール)上の塗布面1に、確実に流動体(例えば着火剤のほか潤滑剤や塗料)を供給することができる。本実施形態では、ワーク5としてレールを例に挙げているが、ワーク5はどのような部材であってもよい。
(第11実施形態)
図15は第11実施形態のディスペンサ装置10を示す。この第11実施形態では、塗布面1までの距離を検出する測距手段としてレーザセンサ132を配置し、昇降機構128を介してノズル部44の高さを自動調整できるようにした点で、第10実施形態と相違する。
ディスペンサ装置10には、塗布面1に流動体を供給する際の走行方向前側(図15において右向き)に昇降機構128が配置されている。この昇降機構128には、ハンドル129の代わりに駆動ユニット133が配置されている。駆動ユニット133の下面にはレーザセンサ132が配置されている。また、駆動ユニット133には、動力電力を蓄電したバッテリと、バッテリの電力で昇降機構128を駆動させるモータと、制御手段であるコントローラとが配置されている。
コントローラには、第1転動体52が転動する床4が塗布面1であり、これらが同一平面である場合のレーザセンサ132の焦点とノズル部44の先端のオフセット量が予め設定されている。コントローラには、ディスペンサ装置10を移動させることで、レーザセンサ132から塗布面1の凹凸量に相当する信号が入力される。これによりコントローラは、駆動ユニット133を介して昇降機構128を動作させ、ディスペンサ11のノズル部44を塗布面1に対して一定の間隔に保持する。これにより、塗布面1に凹凸がある場合でも、確実に流動体を定量供給することができる。また、図14Bに示すように、床4と段差があるワーク5上の塗布面1であっても、ノズル部44の高さを自動調整して確実に流動体を供給することができる。
なお、ディスペンサ11を垂直方向Zに移動可能に配置した第10実施形態または第11実施形態と、ディスペンサ11を水平方向Xに移動可能に配置した第4実施形態とを組み合わせて、上下左右に移動可能としてもよい。勿論、昇降機構128によって塗布面1の高低差を吸収する構成は、ディスペンサ11,101の種類や動力伝達機構58,112の構成に拘わらず用いることができる。
(第12実施形態)
図16は第12実施形態のディスペンサ装置10を示す。この第12実施形態では、基準部であるレール6に沿ってディスペンサ装置10を移動させるようにした点で、第6実施形態と相違する。レール6には、ディスペンサ装置10の第1転動体52が配置されている。第1転動体52は、レール6の側面部に係止されるフランジ部135を有する車輪からなる。フランジ部135は、回転軸53の軸方向における第1転動体52の一端側から径方向外向きに突出している。この第12実施形態のディスペンサ装置10は、第6実施形態と同様に、容易に意図した線を引くことができる。
なお、図16に示すディスペンサ装置10では、1本のレール6に対して第1転動体52だけを配置しているが、1本のレール6に対して第1転動体52と第2転動体55とを配置してもよい。この場合、各転動体52,55に形成するフランジ部は、レール6の両側に位置するように配置される。但し、第1転動体52および第2転動体55の形状はレール6上を走行できる構成であれば希望に応じて変更が可能である。また、2本のレール6を配置して、第1転動体52と第2転動体55をそれぞれ配置してもよい。これらのようにすれば、ディスペンサ装置10を安定状態で走行させることができる。
(第13実施形態)
図17は第13実施形態のディスペンサ装置10を示す。この第13実施形態では、基準部であるガイド部材7に沿ってディスペンサ装置10を移動させるようにした点で、第12実施形態と相違する。ガイド部材7は、下向きに窪むガイド溝7aを備える。ディスペンサ装置10の第1転動体52は、回転軸53の軸方向に沿った幅がガイド溝7aの溝幅より小さい車輪からなる。この第13実施形態のディスペンサ装置10は、第12実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
(第14実施形態)
図18Aおよび図18Bは第14実施形態のディスペンサ装置10を示す。この第14実施形態では、基準部であるラックギア8に沿ってディスペンサ装置10を移動させるようにした点で、第12実施形態と相違する。ラックギア8は、等間隔で鋸歯状に突出する歯8aを備える。ディスペンサ装置10の第1転動体52は、歯8aに噛み合う歯137を周方向に等間隔で設けた歯車からなる。この第14実施形態のディスペンサ装置10は、第12実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。また、このディスペンサ装置10は、歯8a,137の噛み合いにより動力伝達機構58が駆動するため、滑りによって流動体の供給が不安定になることはない。
(第15実施形態)
図19Aおよび図19Bは第15実施形態のディスペンサ装置10を示す。この第15実施形態では、基準部であるケーブル9に沿ってディスペンサ装置10を移動させるようにした点で、第12実施形態と相違する。ケーブル9は、塗布面1に配置した図示しない脚柱に架設されている。ディスペンサ装置10の第1転動体52の外周部には、ケーブル9に嵌合する嵌合溝138が形成されている。この第15実施形態のディスペンサ装置10は、第12実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
図9の第6実施形態、および図16の第12実施形態から図19Aおよび図19Bの第15実施形態に示すように、基準部3,6〜9に沿ってディスペンサ装置10を移動可能とする構成は、種々の変更が可能である。また、基準部3,6〜9に沿ってディスペンサ装置10を移動可能とする構成は、ディスペンサ11,101の種類や昇降機構128の有無、動力伝達機構58,112の構成等に拘わらず用いることができる。
(第16実施形態)
図20Aおよび図20Bは第16実施形態のディスペンサ装置10を示す。この第16実施形態では、第1転動体52とディスペンサ11とを、ディスペンサ装置10の走行方向の前後に隣接配置した点で、各実施形態と相違する。本実施形態では、ディスペンサ装置10の走行方向前側に第1転動体52を配置し、ディスペンサ装置10の走行方向後側にディスペンサ11を配置している。
図20Aおよび図20Bでは、基準部をレール6とし、塗布面1をレール6の上面としている。即ち、塗布面1が基準部を兼ねている。そのため、第1転動体52は、図16の第12実施形態と同様に、レール6に沿ってディスペンサ装置10を移動させる車輪を用いている。このようにしたディスペンサ装置10では、各実施形態と同様の作用および効果を得ることができるうえ、塗布面1であるレール6の上面に容易かつ確実に流動体を供給することができる。詳しくは、第1転動体52をレール6に対応した形状にしているため、ワーク自体が塗布軌道を規制する。よって、図9の第6実施形態、および図16の第12実施形態から図19Aおよび図19Bの第15実施形態と同様に、容易に意図した線を引くことができる。
なお、第1転動体52とディスペンサ11とを走行方向の前後に隣接配置する構成は、ディスペンサ11,101の種類や昇降機構128の有無、動力伝達機構58,112の構成等に拘わらず用いることができる。また、ワークはレール6に限られず、図17のガイドレール7や図18のラックギア8に所定の流動体を塗布する場合にも適用できる。
(第17実施形態)
図21は第17実施形態のディスペンサ装置10を示す。この第17実施形態では、基準部であるガイド部材7に第2転動体55を配置することで、ディスペンサ装置10をガイド部材7に沿って移動可能とした点で、第13実施形態と相違する。このように基準部6に第2転動体55をガイドさせる構成としても、第12実施形態から第15実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
(第18実施形態)
図22は第18実施形態のディスペンサ装置10を示す。この第18実施形態では、基準部であるガイド部材7に支持体45から突設したブラケット部56を配置することで、ディスペンサ装置10をガイド部材7に沿って移動可能とした点で、第17実施形態と相違する。このように基準部6にブラケット部56をガイドさせる構成としても、第17実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
(第19実施形態)
図23は第19実施形態のディスペンサ装置10を示す。この第19実施形態では、床4に配置したワーク(レール)5の側面に第1転動体52を当接させるようにした点で、各実施形態と相違する。このディスペンサ装置10の支持体45には、ディスペンサ11に向けて突出する一対のブラケット部140,140が設けられている。これらブラケット部140,140の間には、各実施形態と同様に、第1転動体52が回転軸57によって回転可能に軸支されている。
ブラケット部140,140の間には、第1転動体52と一体に回転する第1プーリ59が配置されている。支持体45の内部には、棒状の伝動軸94が配置されている。第1プーリ59と伝動軸94の下端との間には、ベルト64が巻回されている。なお、伝動軸94の上端とディスペンサ11に連結した第2プーリ60(図23には図示せず)との間には、別のベルトが巻回されている。
この第19実施形態では、ディスペンサ装置10をワーク5に沿って確実に移動させることができる。そして、ワーク5の塗布面1にディスペンサ11から流動体を供給することができる。
なお、ワーク5はレールに限られず、ある程度の高さがある対象物である場合には、第1転動体52を側面から当接させる構成は有効である。また、図9の第6実施形態、図16の第12実施形態から図19Aおよび図19Bの第15実施形態、そして図21の第17実施形態から図23の第19実施形態に示すように、ディスペンサ装置10を基準部に沿って移動させるために、基準部に係着させる部分および構成は希望に応じて変更が可能である。特に、図18Aおよび図18Bに示す第14実施形態の構成を採用し、ワーク5の側面にラックギア8を配置し、第1転動体52を歯車とすることで、確実に流動体を定量供給することができる。
(第20実施形態)
図24は第20実施形態のディスペンサ装置10を示す。この第20実施形態では、多数の凹凸を有する床4を走行可能とした点で、各実施形態と相違する。詳しくは、支持体45には、ディスペンサ装置10の走行方向における第1転動体52の前後両側に補助転動体142A,142Bが回転可能に軸支されている。第1転動体52を含む補助転動体142A,142Bには、無端状の巻回部材143が巻回されている。巻回部材143は、弾性的に変形可能なベルトやキャタピラが用いられる。
例えば床(地面)4に石4aによる凹凸が存在する場合、巻回部材143によって床4の凹凸を吸収しつつ、ディスペンサ装置10の移動量に応じて第1転動体52を転動させることができる。そのため、床4に多数の凹凸が存在しても、確実に流動体を供給することができる。このように、第1転動体52は、他部材(巻回部材143)を介して施工面や基準部に当接し、転動するようにしてもよい。
(第21実施形態)
図25は第21実施形態のディスペンサ装置10を示す。この第21実施形態では、動力伝達機構58に変速機145を設けた点で、各実施形態と相違する。詳しくは、支持体45には、第2プーリ60を含む上部に位置するように変速機145が配置されている。変速機145は、複数の歯車を有する有段変速機や、変速プーリを有する無段変速機等、周知の機構を用いることができる。この変速機145は、第1転動体52の転動(回転数)に対するポンプ機構12の駆動量(駆動軸21の回転数)を変更することで、ディスペンサ11から吐出する流動体の量を調整する。
このようにした第21実施形態では、施工面1に対する単位長さ当たりの供給量を定量に維持しつつ、定量供給量自体を調整することができる。よって、例えばラインを引く際に線の太さを変更することができる。また、接着剤等の塗布量を変更することができる。なお、変速機145は、動力伝達機構58,112の構成に拘わらず用いることができる。また、動力伝達機構58,112に変速機145を用いる構成は、ディスペンサ11,101の種類や昇降機構128の有無に拘わらず用いることができる。
(第22実施形態)
図26Aおよび図26Bは第22実施形態のディスペンサ装置200を示す。この第22実施形態のディスペンサ装置200は、円筒状ワーク201内を走行されることで、塗布面1である円筒状ワーク201の内周面に流動体を供給するようにした点で、各実施形態と相違する。
ディスペンサ装置200は、直方体状の支持体202を備える。支持体202には、ディスペンサ装置200の走行方向に間隔をあけて位置する転動体203A,203Bが設けられている。一対の転動体203A,203Bは、周方向に間隔をあけて3組以上設けることが好ましく、本実施形態では周方向90度間隔で4組設けられている。これら転動体203A,203Bは、円筒状ワーク201の内周面に当接し、ディスペンサ装置200が走行されることで転動する。
支持体202の走行方向後側(図26Aにおいて右側)には、ディスペンサ204が配置されている。ディスペンサ204は、一軸偏心ねじポンプが好ましいが、ロータリーポンプ、ダイヤフラムポンプ、ピストンポンプ、スクリューポンプ、ギアポンプ等であってもよい。ディスペンサ204には、ノズル部材205が配置されている。ノズル部材205は、円筒状ワーク201の内径より僅かに小さい外径の円板状吐出部206を備える。円板状吐出部206には、周方向に所定間隔をあけて流動体を吐出する吐出口(図示せず)が設けられている。
支持体202の内部には、ディスペンサ204のポンプ機構を駆動させる図示しない動力伝達機構(駆動手段)が配置されている。この動力伝達機構は、合計で8個設けられた転動体203A,203Bのうち1個(第1転動体)の転動動作をポンプ機構に動力として伝達する。これにより、支持体202の内部に貯留した流動体がノズル部材205から吐出され、円筒状ワーク201の内周面に塗布される。このように、ディスペンサ装置を走行させるための機構、流動体を塗布するための構成等は、希望に応じて変更が可能である。
なお、本発明のディスペンサ装置10,100,200は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
例えば、動力伝達機構は、プーリ式とギア式を例に挙げて説明したが、転動体の動力を伝達できる機構であれば、いずれでも適用可能である。また、転動体は円板状の車輪を用いたが、球状のボールを用いてもよく、移動を機械的に検出できる構成であれば、いずれでも適用可能である。
また、支持体の中央前方に位置するように補助輪を配置し、走行性を向上できるようにしてもよい。また、各実施形態では、支持体の下側に車輪の機能を兼ね備える転動体を配置し、塗布面上を転動するようにしたが、支持体の上側に配置し、天井(基準部)等に接触させて床等に塗布するようにしてもよい。
また、回転軸と駆動軸の間の動力伝達機構にクラッチ機構を更に設け、動力の伝達を可能な状態と不可能な状態を切換可能としてもよい。また、ローラ61A,61Bの代わりにカム部材を配設し、間欠的に動力が伝達されるようにしてもよい。これらのようにすれば、連続した線だけでなく、不連続な破線を引くことができる。
また、各実施形態では、ディスペンサの移動量検出手段として転動体を用いたが、光センサ等の非接触式センサにより移動量を検出し、その検出した移動量に応じて駆動軸を回転させてもよい。また、支持体は、手動に限らず、車両や自走式ロボットにより移動させてもよい。また、ディスペンサ11,101,204に流動体を供給する構成、および流動体自体も種々の変更が可能である。
また、支持体は転動体によって移動可能とした構成に限定されず、移動不可能な定置式としてもよい。この場合、容積式ディスペンサも移動しないため、第1転動体として風や水(ワーク)の流れを受けて回転する回転部材を配設し、この回転部材の回転量(施工面に対する相対的な移動量)に応じてディスペンサから所定の流動体を定量供給する。例えば、風力によって水や肥料等を散布する用途、水力によって水に浄化や脱臭のための活性炭を加える用途等に用いることができる。
1…塗布面(施工面)
3…ラックギア(基準部)
5…ワーク
6…レール(基準部)
7…ガイドレール(基準部)
8…ラックギア(基準部)
9…ケーブル(基準部)
10…ディスペンサ装置
11…ディスペンサ(容積式ディスペンサ)
12…ポンプ機構
13…ステータ
16…吸込口
17…吐出口
18…貫通孔
19…ロータ
21…駆動軸
25…搬送空間
26…ケーシング
27…ディスペンサケース
42…ノズル部材
45…支持体
52…第1転動体(移動量検出手段)
53…回転軸
55…第2転動体
57…回転軸
58…動力伝達機構(駆動手段)
59…第1プーリ
60…第2プーリ
61A,61B…ローラ
64…ベルト
65…付勢機構
69…ダイヤル部材
73…ゼンマイバネ
76…ギア機構
77…取付枠
78A…第1直結ギア
78B…第2直結ギア
80A…第1作動ギア
80B…第2作動ギア
90…第1ギア
91…第2ギア
92…伝動ギア部材
100…ディスペンサ装置
101…ディスペンサ
106A,106B…ロータ
108A,108B…駆動軸
109…支持体
110…転動体(移動量検出手段)
111…回転軸
112…動力伝達機構(駆動手段)
113…第1ギア
114A,114B…第2ギア
115…中間ギア
145…変速機

Claims (13)

  1. 施工面に沿って相対的に移動可能な支持体と、
    前記支持体に支持される容積式ディスペンサと、
    前記支持体に設けられ、前記施工面に対する前記容積式ディスペンサの移動量を検出可能な移動量検出手段と、
    前記移動量検出手段によって検出された移動量に応じて前記容積式ディスペンサのポンプ機構を駆動させる駆動手段と
    を備えることを特徴とするディスペンサ装置。
  2. 前記容積式ディスペンサは、
    前記ポンプ機構を構成する雄ねじ形状からなるロータと、
    筒状で、吸込口から吐出口に向かう流動方向に所定ピッチで形成された雌ねじ形状の貫通孔を有し、前記貫通孔内に前記ロータが挿通され、前記貫通孔の壁面と前記ロータとの間に搬送空間を形成するステータとを備え、
    前記ロータが正回転することにより前記壁面に前記ロータが内接しながら前記搬送空間で流動体を前記吸込口側から前記吐出口側へと移動させる一軸偏心ねじポンプ式であり、
    前記ロータが前記駆動手段によって回転されることを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ装置。
  3. 前記移動量検出手段は、前記施工面または前記施工面に対応する基準部を転動する第1転動体を備え、
    前記駆動手段は、前記第1転動体の転動動作を前記ポンプ機構に動力として伝達する動力伝達機構からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のディスペンサ装置。
  4. 前記容積式ディスペンサに対して前記第1転動体とは反対側に配置される第2転動体を備えることを特徴とする請求項3に記載のディスペンサ装置。
  5. 前記支持体に設けた前記第1転動体の回転軸に配置した第1直結ギアと、前記支持体に設けた前記第2転動体の回転軸に配置した第2直結ギアと、前記第1および第2直結ギアに噛合された作動ギアと、前記各ギアを回転可能に取り付けた取付枠とを有するギア機構を配置し、
    前記取付枠に前記駆動手段の入力側を配置したことを特徴とする請求項4に記載のディスペンサ装置。
  6. 前記動力伝達機構は、前記転動体の回転軸に設けた第1プーリと、前記ポンプ機構の駆動軸に設けた第2プーリと、前記第1プーリと前記第2プーリとに掛け渡されたベルトとを備え、前記第1プーリの回転を前記第2プーリを介して前記ポンプ機構に伝達することを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載のディスペンサ装置。
  7. 前記第2プーリに対する前記第1プーリのプーリ比は1を超えることを特徴とする請求項6に記載のディスペンサ装置。
  8. 前記動力伝達機構は、前記転動体の回転軸に設けた第1ギアと、前記ポンプ機構の駆動軸に設けた第2ギアと、前記第1ギアと前記第2ギアとに噛合する伝動ギア部材とを備え、前記第1ギアの回転を前記第2ギアを介して前記ポンプ機構に伝達することを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載のディスペンサ装置。
  9. 前記第2ギアに対する前記第1ギアのギア比は1を超えることを特徴とする請求項8に記載のディスペンサ装置。
  10. 前記動力伝達機構は、前記第1転動体の転動に対する前記ポンプ機構の駆動量を変更可能な変速機を備えることを特徴とする請求項3乃至請求項9のいずれか1項に記載のディスペンサ装置。
  11. 前記容積式ディスペンサの前記ポンプ機構を正回転方向に付勢する付勢手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のディスペンサ装置。
  12. 前記ディスペンサは、前記支持体に移動可能に支持されていることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載のディスペンサ装置。
  13. 前記支持体は、前記施工面に対して手動で移動されることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載のディスペンサ装置。
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