JP2016045283A - レンズ鏡筒、及び光学機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】光学式センサを採用しながら、撮像センサへの光漏れを効果的に防いだレンズ鏡筒を提供すること。【解決手段】本発明のレンズ鏡筒は、フォーカスレンズ1と、レンズホルダー2と、レンズホルダー2を光軸方向に移動可能に保持するフォーカスベース10と、フォーカスベース10に保持される光学式センサ14aと、反射スケール3と、を備えている。そしてフォーカスベース10は、少なくとも光学式センサ14aの発光部14bと対向し、且つフォーカスレンズ1と反射スケール3とを遮る第一の面10cと、フォーカスベース10と第一の面10cとを接合する第二の面10dとで構成される遮光壁10bを有している。更に、本発明のレンズホルダー2は、第一の面10cを挟み、反射スケール3まで伸びるスケール保持部2cを有することを特徴とする。【選択図】図2
Description
本発明は、可動レンズを備えた光学機器に関し、特に光学式センサを用いて該レンズの位置を検出するレンズ鏡筒に関する。
近年、スチルカメラやビデオカメラにおいて、オートフォーカス機能の高速化や静粛性が求められている。これに伴い、フォーカスレンズ群の駆動装置として、マグネットやヨークで構成される磁気回路内にコイルを配設した、所謂リニアアクチュエータが用いられるようになってきた。
従来は、こうしたフォーカスレンズ群の位置の検出手段として、磁気感知式センサであるMRセンサと、エンコーダマグネットとを組み合わせたものが公知であった。ところが、マグネットのサイズを大型化したり磁気特性をアップさせたりすると、周辺に漏れる磁束が増加し、磁気干渉によるMRセンサの誤検出が発生しやすい。そのため、こうした磁気で位置検出を行う構成では、リニアアクチュエータとMRセンサとを近接して配置することができず、アクチュエータの高出力化とレンズ鏡筒の小型化とを両立させることが困難であった。
そこで、特許文献1に示す先行技術では、光学式センサと、反射スケールとを組み合わせた位置検出手段を採用している。反射スケールは、光を反射する格子と反射しない格子とを一定の周期で配列した光学格子を有しており、フォーカスレンズ群に一体に保持されている。一方の光学式センサは、発光部と受光部とを有し、反射スケールの周期的な明暗パターンを検出して電気信号に変換するものである。
こうした光学式センサは、磁気の影響をほぼ受けない。そのため、リニアアクチュエータの高出力化を図った場合であっても、アクチュエータと位置検出手段とを近づけて配置でき、またレイアウトの自由度が高く、レンズ鏡筒の小型化が可能である。
ただし、これまでに多くの文献で指摘されているように、光学式センサの発光部から照射された光が撮像センサにまで到達してしまうと、撮像画面内にフレアやゴーストが発生する恐れがある。これに対して、例えば特許文献2に示す先行技術では、駆動力を伝達する連結部と略90度となるようなレンズ枠側面に、発光部もしくはラインセンサを配置している。ここに示される実施形態によれば、発光部から照射された光が直接撮像センサに届かないように、発光部とラインセンサとをできるだけ近づけ、更に集光レンズによって集光する構成となっている。
しかしながら、より高感度の撮像センサを用いた光学機器においては、レンズ鏡筒内で反射し減衰したわずかな光であっても、フレアやゴーストとして静止画像や映像に記録されてしまう。特許文献2に記載の構成では、発光部とラインセンサとを可能な限り近接させるとしても、お互いに接触しない最低限の隙間が必要である。そのため、発光部から広く拡散する比較的弱い光や、ラインセンサに反射した後に周辺へ漏れ出す光などを抑制することはできない。
そこで、本発明は、光学式センサを用いながら、撮像センサへの光漏れを防いだレンズ鏡筒を提供することを目的とする。
本発明のレンズ鏡筒は、レンズと、レンズホルダーと、レンズホルダーを光軸方向に移動可能に保持するベース部材と、ベース部材に保持される検出手段と、被検出手段と、を備えている。そしてベース部材は、少なくとも検出手段の発光部と対向し、且つレンズと被検出手段とを遮る第一の面と、ベース部材と第一の面とを接合する第二の面とで構成される遮光壁を有している。更に、本発明のレンズホルダーは、ベース部材が有する第一の面を挟むように伸張して、被検出手段を保持する被検出手段保持部を有することを特徴とする。
本発明によれば、検出手段の発光部から被検出手段へ向けて照射された光は、ベース部材に形成された遮光壁によって遮られるため、撮像センサには到達しない。そのため、部品を追加することなく、簡単な構成でフレアやゴーストなどの発生を防止することができる。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に従って詳細に説明する。各図面を通して同一符号は、同一または対応部分を示すものである。また、請求項に記載の構成部品を用いる限りは、本実施形態の構成のみに限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
図1は、レンズ鏡筒を展開して示す斜視図である。これより以下は、図1における左右方向つまり水平方向をx、上下方向つまり鉛直方向をy、レンズ鏡筒の光軸方向つまりカメラ本体の厚み方向をzとし、z方向における1群ユニット側を被写体側及び正面側、撮像センサ側を撮影者側及び背面側として説明する。
U1は、本発明の特徴であるフォーカス群やリニアアクチュエータ、またそれらを保持するセンサホルダーなどから構成されるベースユニットである。U2はカム筒ユニットであり、U3は固定筒ユニット、U4は1群ユニットである。固定筒ユニットU3は、ベースユニットU1にビス締結によって固定されるものであって、その外周側の摺動面において、カム筒ユニットU2を回転自在に保持している。カム筒ユニットU2の外周面には、1群ユニットU4を光軸方向に移動させるカム溝が形成されており、カム筒ユニットU2のギア部U2aと不図示の駆動源とがギア連結されている。
1群ユニットU4と固定筒ユニットU3とは、1群ユニットU4の回転方向の移動を規制するように直進溝と直進キーとで嵌合されている。ここで不図示の駆動源を駆動し、カム筒ユニットU2を回転させると、1群ユニットU4は回転を規制されたままの状態で光軸方向に直進する。こうして本実施形態のレンズ鏡筒は、その焦点距離を自在に変更することが可能となっている。
図2は、ベースユニットU1を展開して示す斜視図である。1はフォーカスレンズであり、2はレンズホルダー、3は被検出部材であるところの反射スケールである。4は角筒形状の空芯コイルであり、5は光軸方向と直交する方向に磁化されたマグネットである。6は断面U字形状の内面にマグネット5を保持する第一のヨークであり、7は第一のヨークの開放端に吸着し、協同して磁気回路を形成する第二のヨークである。後述する図6(b)や図8(b)の断面図に示されるように、コイル4の空芯部には所定の隙間を確保しつつ第一のヨーク6の一部が貫通している。ここでコイル4に通電すると、磁気回路の作用によって、レンズホルダー2を光軸方向に移動させることができる。
8はメインガイドバーであり、9はサブガイドバーである。また10はフォーカスベースであり、11はセンサホルダーである。メインガイドバー8とサブガイドバー9とは、それぞれの端をフォーカスベース10とセンサホルダー11とに支持されている。レンズホルダー2は、後述するスリーブ部と振れ止め部とを有し、それぞれがメインガイドバー8とサブガイドバー9とに嵌合している。そしてレンズホルダー2は、フォーカスベース10とセンサホルダー11との間のストロークにおいて、光軸方向に移動可能な状態で保持されている。
12はCCDセンサやCMOSセンサ等の撮像センサ、13はローパスフィルタであり、センサホルダー11の背面側から固定されている。被写体側から入射する光線は、1群ユニットU4やフォーカスレンズ1を通過し、撮像センサ12によって光電変換される。そして撮像センサ12で生成された電気信号は、図示しない画像処理回路において画像の処理が施され、表示や記録など所望の制御が行われる。
尚、図1及び図2では、請求項に記載の内容に注視するため、他の構成部品を省略し、一部のレンズと駆動機構のみを図示している。ただし、一般的にこうしたレンズ鏡筒は、他にも複数のレンズ群や駆動機構などから構成されるものであり、本発明はレンズ鏡筒の詳細な構成を限定するものでない。
14は、フォーカスベース10に固定される第一のフレキシブル基板である。フレキシブル基板14のフォーカスベース10側の面には、反射スケール3に光を照射する光源と、反射スケール3からの反射光を受光する受光素子とを一体化して構成された、後述する光学式センサ14aが実装されている。15は、第一のフレキシブル基板14を介して、光学式センサ14aをフォーカスベース10に付勢し、高精度に位置決めするための固定プレートである。また16は、詳しくは後述するが、フォーカスベース10に保持される弾性部材である。
図3は、フォーカス群を示す斜視図であり、本発明の特徴であるレンズホルダー2の形状を詳細に説明するものである。
2aはレンズホルダー2に形成されたスリーブ部であり、2bは振れ止め部である。また2cは、スリーブ部2aから側面にかけ屈折して伸張した腕状のスケール保持部であり、反射スケール3が接着によって固定されている。前述のように、スリーブ部2aとメインガイドバー8とが、また振れ止め部2bとサブガイドバー9とがそれぞれ嵌合し摺動して、レンズホルダー2を光軸方向に円滑に案内する。スリーブ部2aは、フォーカスベース10に対する、フォーカス群のx方向及びy方向の位置決めとなっている。そのため、スリーブ部2aから一体的に形成されているスケール保持部2cは、反射スケール3をフォーカスベース10に対して、精度良く保持することができる。
17は、コイル4に駆動電流を供給するための第二のフレキシブル基板である。第一のフレキシブル基板14と第二のフレキシブル基板17とは、フォーカスベース10の側面において、コネクタで接続される。本実施形態では、第一のフレキシブル基板14と第二のフレキシブル基板17とを同一面に集結させることで、フレキシブル基板の引き回しが容易な配置となっている。更に、レンズホルダー2が光軸方向に移動する際、第二のフレキシブル基板17が、光軸と直交する方向に撓むことで、レンズホルダー2に不要な負荷を加えにくい構成となっている。
レンズホルダー2は前述のように、磁気回路の作用によって光軸方向に駆動される。このとき、レンズホルダー2の移動に伴って、スケール保持部2cに固定された反射スケール3も一体となって移動する。反射スケール3には、光学式センサ14aによる位置検出のため、光軸方向に一定の周期で配列された光学格子が設けられている。また、反射スケール3には、原点検出のために、光学的な不連続部分が設けられている。尚、反射スケール3における光学格子及び不連続部分については、先行技術1に詳細に記載されており公知の技術であるので、ここでの説明は省略する。
図4は、第一のフレキシブル基板14が取り付けられた状態における、フォーカスベース10を示す斜視図である。一方で図5は、遮光壁の形状を詳細に示す斜視図であり、フォーカスベース10がセンサホルダー11に取り付けられた状態の拡大図である。
10aは、光学式センサ14aと対応する位置に設けられた開口部である。10bは、本発明の特徴である遮光壁である。遮光壁10bは、光学式センサ14aの発光部と対向する第一の面10cと、フォーカスベース10と第一の面10cとを接合し、且つ第一の面10cと垂直である第二の面10dとで構成され、略L字の断面形状となっている。
10eは、詳しくは後述するが、フォーカスベース10の被写体側先端に設けられ、固定筒ユニットU3と係合する先端係合部である。遮光壁における第二の面10dの下側には、第二のフレキシブル基板17が接触して損傷しないように、光軸方向に空間が設けられている。
11aは、センサホルダー11に設けられた開口部であり、この開口部11aに入射した光線が、ローパスフィルタ13を通過して撮像センサ12に到達することになる。11bは、センサホルダー11から被写体側へ突出するように形成された遮光壁であり、フォーカスベース10の遮光壁と同様に、略L字の断面形状である。
光学式センサ14aの発光部及び受光部は開口部10aから露出しており、発光部から発せられた光はレンズ鏡筒内に向けて照射される。このとき第一の面10c及び第二の面10dが、照射された光の経路を遮断し、有害な光が撮像センサ12へ到達するのを防ぐ。また図5に示すように、フォーカスベース10の遮光壁10bと、センサホルダー11の遮光壁11bとは、光軸方向で近接し、凹形状と凸形状との組み合わせによるインロー構造を構成している。これにより、フォーカスベース10の遮光壁10bと、センサホルダー11の遮光壁11bとの継ぎ目からの光漏れを抑制できる。
10fは、遮光壁10bの第一の面10cを成形する際に発生する切り欠きである。フォーカスベース10は、射出成型によって形成されるものであって、第一の面10cを形成するために、光軸方向の前後方向に金型を開く構造である。このため製造上の制約として、先端係合部10eの一部に、切り欠き10fが必要である。こうした成形品の金型構造については、これまで多くの工業製品に採用されている一般的で広く公知な技術であるため、ここでの説明を省略する。
図6は、ベースユニットU1を示しており、本実施形態におけるフォーカス群及びリニアアクチュエータの詳細を説明する図である。図6(a)は、フォーカス群を繰り込んだ状態における正面図であり、図6(b)は、図6(a)におけるS1−S1断面図である。
複数のレンズ群を通過し、更にその中の一つであるフォーカスレンズ1を通った光は、撮像センサ12に結像することによって、電気信号に変換される。例えばデジタルカメラではフォーカス動作として、フォーカスレンズ1を被写体の焦点距離が無限となる図6(b)に示す位置から、図8(b)に示すような至近側、つまり被写体側に向けてフォーカスレンズ1を繰り出していく。そして、撮像センサ12で変換された電気信号から被写体のコントラストを算出し、最もコントラスト信号が大きい位置を被写体距離とする。これは所謂テレビAFであり、従来から広く用いられている技術であるので、以後の詳しい説明は省略する。
こうした撮影に使用する画界は一般的に、x方向が長辺となり、y方向が短辺となる所定の比率の長方形である。そこで本実施形態では、撮像装置が正位置で使用される場合の短辺方向、つまりy方向の上側にリニアアクチュエータを配置している。これにより、レンズ群を通る有効な光線とリニアアクチュエータとの距離を確保でき、第一のヨーク6などに反射した光を起因とするフレアやゴーストが抑制される。
前述のように、コイル4の空芯部には、所定の間隔が設けられて第一のヨーク6の一部が貫通している。マグネット5は、第一のヨーク6における断面U字形状の内面に接着されており、第一のヨーク6は、その逆側の外面をフォーカスベース10にビス締結されることで固定されている。一方、フォーカス群の位置決めであるメインガイドバー8と、振れ止めであるサブガイドバー9とは、それぞれ片端がフォーカスベース10に支持されている。
こうして、フォーカス群とリニアアクチュエータとを同一の部材、つまりフォーカスベース10で保持することで、お互いの位置関係を高精度に決めることができる。具体的には、コイル4と第一のヨーク6との間隔の厳密な管理が可能となり、リニアアクチュエータの出力変動を抑えることができる。
次に図7に従って、遮光壁10bが光学式センサ14aによる光漏れを防ぐ仕組みを説明する。図7(a)は、図6と対応する側面図であり、図7(b)は、図7(a)におけるS2−S2断面図である。
14aは光学式センサであり、発光部14bと受光部14cとをケース内部に収納して、フレキシブル基板14の片面に実装されている。発光部14bは発光ダイオードであり、受光部14cは所謂フォトダイオードである。発光部14bと受光部14cとは、反射スケール3の表面に配列された光学格子と対向するように、y方向の上下にそれぞれ並べて配置されている。
一方の反射スケール3は、フォーカスベース10に形成された第一の面10cと、光学式センサ14aとの間、つまり遮光壁10bで囲われた空間に配置されている。ここで本実施形態に示す反射スケール3は、シリコンウエハーにアルミ膜などの金属蒸着を施し、周期的な明暗パターンを形成した後、フォーカス群のストロークに対応する所望の長さに切り分けられた、四角柱状のシリコンスケールである。
ただし、本発明は被検出手段の構成を限定するものではなく、特許文献1に開示されているマイクロルーフミラーアレイ構造や、特許文献2に開示されている帯状のエンコード板などであっても良い。更に、反射式ではなく透過式の被検出手段であっても本発明を適用することは可能であり、その場合の光学式センサは、受光部と受光部とを分割し、別々に配置しても良い。
レンズホルダー2のスケール保持部2cは、光軸方向へ移動する際にフォーカスベース10の遮光壁10bなどと接触しないよう、遮光壁10bに対して一定以上の隙間を確保して設けられている。ここで図7(b)に示すように遮光壁10bは、レンズ1と反射スケール3とを遮るように配置された第一の面10cと、第一の面10cをフォーカスベース10に接合する第二の面10dとで構成されている。
それに対してスケール保持部2cは、第一の面10cを挟み、跨ぐように屈曲して、その腕の先端を光学式センサ14aに対向する位置にまで伸ばしている。また反射スケール3とフォーカスベース10の開口部10aとの隙間は、スケール保持部2cと遮光壁10bとの他の隙間よりも小さい。
図7(b)に示す鎖線の矢印は、発光部14bからメインガイドバー8に直接向かう光路を示している。図6(b)のようにフォーカス群が繰り込み位置にある場合は、スケール保持部2cが、フォーカスベース10の遮光壁10bで囲われる空間に入り込んで、発光部14bからの光路を塞ぐ。ただし、スケール保持部2cを光軸方向のストロークの全域にわたって形成することはできない。そのため、例えば図8(b)のようにフォーカス群が繰り出し位置にある場合については、鎖線の矢印で示す光路で、発光部14bからメインガイドバー8へ光が向かう。
金属から成るメインガイドバー8や第一のヨーク6の表面は光沢であり、光を反射しやすい。従来は、これらの金属部品を黒色に塗装した構成もあったが、金属特有の光沢を覆い隠すことは容易ではなかった。また塗装工程が高価であったり、特にレンズホルダー2と摺動するメインガイドバー8については表面の平滑性が損なわれたりしていた。
そこで、本発明では、メインガイドバー8や第一のヨーク6を塗装するのではなく、そこへ到達する有害光を抑制する構成となっている。具体的には、遮光壁10bを構成する第一の面10cの先端が、発光部14bと、メインガイドバー8及びマグネット5及び第一のヨーク6との間に入り込み、鎖線の矢印で示す光路を途中で遮断している。
ここで、反射スケール3はレンズホルダー2側に、光学式センサ14aはフォーカスベース10側にそれぞれ配置されなければならない。これは、光学式センサ14aを含むフレキシブル基板の重量が、反射スケール3の重量よりも重いためである。仮に、反射スケール3がフォーカスベース10側に、光学式センサ14aがレンズホルダー2側に保持される、本発明とは逆の配置であった場合、フォーカス群の駆動速度や停止誤差に影響を及ぼす可能性がある。また、レンズホルダー2から引き回される配線数が増加することでフレキシブル基板の剛性が増し、レンズホルダー2が光軸方向に移動する際、加わる負荷が大きくなってしまう恐れがある。
図8及び図9は、本実施形態におけるフォーカス群の制振構造を説明する図である。図8(a)は、フォーカス群を繰り出した状態における正面図であり、図8(b)は、図8(a)におけるS3−S3断面図である。また同様に図9(a)は図8(a)におけるS4−S4断面図であり、図9(b)はS5−S5断面図である。
図8(a)に示すように、固定筒ユニットU3の内周面には、先端係合部10eに光軸方向で対向するように突出した、受け面U3aが形成されている。そして、先端係合部10aと受け面U3aとの間には、制振部材として弾性部材16が配置されている。弾性部材16は、図9(b)に示すように、光軸方向において先端係合部10eと受け面U3aとの間で挟まれ圧縮された状態となっている。
弾性部材16を設けることで、レンズホルダー2のスリーブ部2aとメインガイドバー8との間、又は振れ止め部2bとサブガイドバー8との間の嵌合ガタに起因する振動の発生と、更には固定筒ユニットU3aへの伝播を抑制することができる。また同時に弾性部材16は、リニアアクチュエータを動作させる際、マグネット5に発生する光軸方向の振動を減衰することができる。こうして、各振動によって発生する騒音やレンズ位置精度の低下を防止することができる。
一方、フォーカスベース10自体の剛性を高めたり、フォーカスベース10と固定筒ユニットU3とをビス締結により固定することで、こうした騒音やレンズ位置精度の低下を抑制することも可能ではある。しかし前者の方法は、小型化が望まれるレンズ鏡筒においてはレイアウトの関係から困難である。また後者の方法は、ビス締結することで固定筒ユニットU3に変形や倒れが発生し、固定筒ユニットU3が直進ガイドしている1群ユニットU4の位置精度を低下させたり、倒れを生じさせたりする恐れがある。
これに対し、弾性部材16を介して固定筒ユニットU4とフォーカスベース10とを係合する本実施形態の構成では、小型のレンズ鏡筒に対しても無理なく適用することができ、固定筒ユニットU4の変形や倒れの心配がなく好適である。
図9(b)において2dは、レンズホルダー2に設けられたストッパー部である。リニアアクチュエータでは、これまで説明してきたように、コイル4に通電することでレンズホルダー2の位置を制御する。しかしながら、カメラ本体の電源を切り、コイル4への通電を止めると、レンズホルダー2はそのストロークの領域で光軸方向に自由に動ける状態となる。このときにカメラ本体を揺らしたり、z方向の前後に振ったりすると、フォーカス群がフォーカスベース10やセンサホルダー11と衝突してしまう。こうした衝突は、異音を発生させ品位が低いだけでなく、何度も繰り返されると、レンズホルダー2の変形や破損に繋がる。
そこで、本実施形態では、フォーカス群がフォーカスベース10に衝突するよりも手前で、ストッパー2dと前述の弾性部材16とを当接させる構成となっている。つまり弾性部材16が、ストッパー2dと先に当接して弾性変形することで、衝撃を吸収し、フォーカスベース10とフォーカス群との衝突を和らげることができる。センサホルダー11側については、不図示のゴム部材が貼り付けられており、同様にフォーカス群の衝突を和らげる構成となっている。
図10は、弾性部材16の更に別の機能を説明するため、一部を拡大して示した正面図である。図10(a)は弾性部材16を取り外した状態を、図10(b)は弾性部材16を取り付けた状態を示している。
図4及び図5に従って前述したように、フォーカスベース10は射出成型によって成形されるものであって、遮光壁10bとなる第一の面10cを形成するため、金型構造上の制約によって切り欠き10fが発生する。ところがこうした切り欠き10fは、被写体側から入射する有害光を通過させ、メインガイドバー8まで導いてしまう。前述のようにメインガイドバー8の表面は光沢であるため、この表面で反射した有害光はレンズ鏡筒内に拡散し、撮像センサ12へ到達してフレアやゴーストの原因となる。
これに対し本実施形態では、図9(b)や図10(b)に示すように、弾性部材16の一部を切り欠き10fに入れ込み、光が入らないように覆っている。また図9(b)に従って説明したように、切り欠き10fに入れ込んだ弾性部材16の一部が、フォーカスベース10の先端係止部10eを貫通して、レンズホルダー2のストッパー部2dと当接するように形成されている。こうして弾性部材16は、フォーカス群の制振及び衝撃の緩和と、光漏れ防止との機能を同時に実現するものである。
1 フォーカスレンズ、2 レンズホルダー、3 反射スケール、4 コイル、
5 マグネット、6 第一のヨーク、7 第二のヨーク、8 メインガイドバー、
9 サブガイドバー、10 フォーカスベース、11 センサホルダー、
12 撮像センサ、13 ローパスフィルタ、14 第一のフレキシブル基板、
15 固定プレート、16 弾性部材、17 第二のフレキシブル基板、
U1 ベースユニット、U2 カム筒ユニット、U3 固定筒ユニット、
U1 1群ユニット
5 マグネット、6 第一のヨーク、7 第二のヨーク、8 メインガイドバー、
9 サブガイドバー、10 フォーカスベース、11 センサホルダー、
12 撮像センサ、13 ローパスフィルタ、14 第一のフレキシブル基板、
15 固定プレート、16 弾性部材、17 第二のフレキシブル基板、
U1 ベースユニット、U2 カム筒ユニット、U3 固定筒ユニット、
U1 1群ユニット
Claims (8)
- レンズ(1)と、前記レンズ(1)を保持するレンズホルダー(2)と、前記レンズホルダー(2)を前記レンズ(1)の光軸方向に移動可能に保持するベース部材(10)と、前記ベース部材(10)に保持される検出手段(14a)と、前記検出手段(14a)と近接する被検出手段(3)と、を備え、
前記検出手段(14a)は、発光部(14b)と受光部(14c)とを有し、
前記ベース部材(10)は、少なくとも前記発光部(14b)と対向し、且つ前記レンズ(1)と前記被検出手段(3)とを遮る第一の面(10c)と、前記ベース部材(10)と前記第一の面(10c)とを接合する第二の面(10d)とで構成される遮光壁(10b)を有し、
前記レンズホルダー(2)は、前記第一の面(10c)を挟むように伸張して、前記被検出手段(3)を保持する被検出手段保持部(2c)を有することを特徴とするレンズ鏡筒。 - 前記レンズホルダー(2)を前記レンズ(1)の光軸方向に案内する軸部材(8)を備え、前記第一の面(10c)は、前記発光部(14b)と前記軸部材(8)とを遮ることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
- 前記レンズホルダー(2)に保持されたコイル(4)と、前記ベース部材(10)に保持されたマグネット(5)及びヨーク(6、7)と、を備え、磁気回路によって前記レンズホルダー(2)を駆動することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレンズ鏡筒。
- 撮像センサ(12)を保持するセンサホルダー(11)と、を備え、前記センサホルダー(11)は、前記センサホルダー(11)から前記レンズ(1)の光軸方向における被写体側へ突出し、前記ベース部材(10)の遮光壁(10b)と同一断面形状の遮光壁(11b)を有し、前記ベース部材(10)の遮光壁(10b)と前記センサホルダー(11)の遮光壁(11b)とは、少なくとも一方が凸形状もしくは凹形状を有し、光軸方向で近接して組み合わされることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載のレンズ鏡筒。
- 前記レンズホルダー(2)は、前記軸部材(8)と嵌合する摺動部(2a)を有し、前記被検出部材保持部(2c)は、前記摺動部(2a)と一体に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載のレンズ鏡筒。
- 内周側に受け面(U3a)を有する固定筒(U3)と、弾性部材(16)と、を備え、
前記受け面(U3a)と前記ベース部材(10)との間で、前記弾性部材(16)を圧縮して保持することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載のレンズ鏡筒。 - 前記ベース部材(10)は、射出成型によって成形されるものであって、切り欠き(10f)もしくは貫通孔を有し、前記弾性部材(16)は、前記切り欠き(10f)もしくは貫通孔を覆うことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載のレンズ鏡筒。
- 前記弾性部材(16)は、前記レンズホルダー(2)が前記レンズ(1)の光軸方向における被写体側の端まで移動した際、前記レンズホルダー(2)と当接し弾性変形する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載のレンズ鏡筒。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014168044A JP2016045283A (ja) | 2014-08-21 | 2014-08-21 | レンズ鏡筒、及び光学機器 |
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JP2014168044A JP2016045283A (ja) | 2014-08-21 | 2014-08-21 | レンズ鏡筒、及び光学機器 |
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JP (1) | JP2016045283A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113315888A (zh) * | 2020-02-10 | 2021-08-27 | 三星电机株式会社 | 相机模块 |
WO2023011353A1 (zh) * | 2021-08-03 | 2023-02-09 | 维沃移动通信有限公司 | 摄像头模组和电子设备 |
CN118444451A (zh) * | 2024-06-04 | 2024-08-06 | 深圳市七工匠光电科技有限公司 | 一种基于感应触发的变焦镜头防护装置及防护方法 |
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2014
- 2014-08-21 JP JP2014168044A patent/JP2016045283A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US11874594B2 (en) | 2020-02-10 | 2024-01-16 | Samsung Electro-Mechanics Co., Ltd. | Camera module |
WO2023011353A1 (zh) * | 2021-08-03 | 2023-02-09 | 维沃移动通信有限公司 | 摄像头模组和电子设备 |
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