JP2016042844A - γ−ポリグルタミン酸の製造方法 - Google Patents

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敬史 冨山
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亮 荻田
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亮 荻田
俊雄 田中
Toshio Tanaka
俊雄 田中
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Abstract

【課題】微生物の生合成により高分子量のγ-PGAを得ることを課題とする。【解決手段】 (i) バシラス属細菌由来PgsB又はこれと同等の機能を有するポリペプチドをコードする遺伝子、(ii) バシラス属細菌由来PgsC又はこれと同等の機能を有するポリペプチドをコードする遺伝子、(iii) バシラス属細菌由来PgsA又はこれと同等の機能を有するポリペプチドをコードする遺伝子、及び(iv) バシラス属細菌由来PgsE又はこれと同等の機能を有するポリペプチドをコードする遺伝子を有するバシラス属細菌を培養する工程を含む、少なくとも50,000,000以上のアガロースゲル電気泳動による見かけの分子量を有するγ-ポリグルタミン酸の製造方法により上記の課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、γ-ポリグルタミン酸の製造方法に関する。より具体的には、アガロースゲル電気泳動による見かけの分子量が増大されたγ-ポリグルタミン酸の製造方法に関する。
γ-ポリグルタミン酸(以下、「γ-PGA」ともいう)は、L体及び/又はD体のグルタミン酸がγ-アミド結合により結合した鎖状高分子であり、納豆に含まれる粘稠性物質の主な成分として知られている。γ-PGAは、生分解性であり、高い粘性及び保水性を有することから、食品、化粧品、医療品等の多くの分野で、バイオポリマー素材又は生理活性物質などとして、種々の用途に用いられている。
一般的に、γ-PGAは、その分子量が高ければ高いほど、保湿性、粘性及びカルシウム吸収促進性などにおいて優れたものとなることが知られている。当該技術分野においては、従来から、微生物から得られたγ-PGAにγ線を照射して架橋を施すことにより高分子量のγ-PGAが製造されてきた。しかしながら、γ線照射によって高分子量化されるγ-PGAは、安全性などの観点から、専ら工業用として用いられるのみであり、増粘剤のような食物添加剤などとしては用いられていない。したがって、γ線照射による架橋工程を省略し、微生物の生合成により高分子量のγ-PGAを得ることが従来から望まれていた。
特許文献1は、バシラス エスピー-F-2-01株由来のPgsB、PgsC、PgsA及びPgsEを大腸菌で発現させることによって、γ-PGAの生産量及び平均分子量を増大し得ることを開示している。同文献は、γ線照射をせずに、バイオプロセスのみによって高分子量のγ-PGAの産生を可能にする点で画期的である。
特開2014−60988号公報
本発明は、従来の方法では、とりわけ特許文献1に記載の方法によっても達成することができなかった高分子量のγ-PGAを製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、バシラス属細菌由来PgsBをコードする遺伝子、バシラス属細菌由来PgsCをコードする遺伝子、バシラス属細菌由来PgsAをコードする遺伝子及びバシラス属細菌由来PgsEをコードする遺伝子を有するバシラス属細菌を特定の金属イオンの存在下で培養することにより、γ-PGAの分子量を大幅に増大させることができることを意外にも見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、
(i) バシラス属細菌由来PgsB又はこれと同等の機能を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(ii) バシラス属細菌由来PgsC又はこれと同等の機能を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(iii) バシラス属細菌由来PgsA又はこれと同等の機能を有するポリペプチドをコードする遺伝子、及び
(iv) バシラス属細菌由来PgsE又はこれと同等の機能を有するポリペプチドをコードする遺伝子を有するバシラス属細菌を培養する工程を含む、少なくとも50,000,000以上のアガロースゲル電気泳動による見かけの分子量を有するγ-ポリグルタミン酸の製造方法が提供される。
本発明によれば、アガロースゲル電気泳動による見かけの分子量が増大されたγ-PGAの製造方法を提供することができる。
168BCA株、201BCA株、168BCAE株及び201BCAE株を金属イオンの非存在下で培養することによって産生されたγ-PGAのアガロースゲル電気泳動の結果を示す写真である。 バシラス エスピーF-2-01株のpgsBをコードする核酸配列、pgsCをコードする核酸配列、pgsAをコードする核酸配列及びpgsE遺伝子をコードする核酸配列を含むベクターで形質転換されたBL21大腸菌株によって産生されたγ-PGAのアガロースゲル電気泳動の結果を示す写真である。 168BCAE株を各種金属イオン(0.2 mM)の存在下で培養することによって産生されたγ-PGAのアガロースゲル電気泳動の結果を示す写真である。 201BCAE株を各種金属イオン(0.2 mM)の存在下で培養することによって産生されたγ-PGAのアガロースゲル電気泳動の結果を示す写真である。 168BCAE株を各種濃度のMn2+の存在下で培養することによって産生されたγ-PGAのアガロースゲル電気泳動の結果を示す写真である。 168BCAE株を各種濃度のCu2+の存在下で培養することによって産生されたγ-PGAのアガロースゲル電気泳動の結果を示す写真である。 201BCAE株を各種濃度のCu2+の存在下で培養することによって産生されたγ-PGAのアガロースゲル電気泳動の結果を示す写真である。
本発明において意図するγ-ポリグルタミン酸(以下、「γ-PGA」ともいう)は、アガロースゲル電気泳動において、少なくとも50,000,000以上、好ましくは70,000,000以上、より好ましくは100,000,000以上、更に好ましくは140,000,000以上の見かけの分子量を有する。見かけの分子量の上限は特に限定されないが、特定の実施態様においては、約320,000,000〜約360,000,000の見かけの分子量を有するγ-PGAを製造することも可能である。
見かけの分子量は、DNA(λ-Hind III digest、タカラバイオ株式会社製)を分子量マーカーとして用いる1%アガロースゲル電気泳動によって測定される。上記のDNA分子量マーカーは、約14,000,000、5,800,000、4,000,000、2,650,000、1,430,000、1,250,000、350,000、77,000の各分子量を有することが公知のDNA断片の混合物である。
具体的には、見かけの分子量は、以下のようにして測定する。
1%アガロースゲルを用いる電気泳動によって得られたλ-Hind III digest分子量マーカーの各バンドの分子量に基づいて、横軸を泳動距離、縦軸を分子量の対数として、各バンドをグラフ上にプロットする。これに基づいて得られた累乗近似式によって、γ-PGAの見かけの分子量をDNAの分子量換算で推定する。なお、γ-PGAの見かけの分子量推定に供するバンド位置とは、バンドとバックグラウンド(ゲル)とのサンプルをアプライするウェル側の境界をいうものとする。例えば、図1においては、レーン2〜5の矢印が示す位置を、γ-PGAの貝かけの分子量測定に供するバンド位置としている。
なお、γ-PGAは、L体若しくはD体のグルタミン酸からなっていてもよいし、L体及びD体のグルタミン酸が混在する形態であってもよい。
γ-ポリグルタミン酸は、好ましくは、それを構成するグルタミン酸分子のα位アミノ基とγ位カルボキシル基とが縮合することによって形成されているものである。
培養されるバシラス属細菌は、
(i) PgsB又はこれと同等の機能を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(ii) PgsC又はこれと同等の機能を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(iii) PgsA又はこれと同等の機能を有するポリペプチドをコードする遺伝子、及び
(iv) PgsE又はこれと同等の機能を有するポリペプチドをコードする遺伝子
を有する。
PgsB (PolyGlutamate Synthesis B)は、バシラス属細菌に由来するPgsB又はそれと同等の機能を有するタンパク質であれば特に限定されないが、好ましくはバシラス サチリス亜種サチリス168株(以下、単に「168株」ともいう)に由来するPgsB (配列番号1)又はバシラス エスピー-F-2-01株(以下、単に「201株」ともいう)に由来するPgsB (配列番号3)である。168株に由来するPgsBをコードする遺伝子及び201株に由来するPgsBをコードする遺伝子をそれぞれ配列番号2及び配列番号4として表す。
PgsC (PolyGlutamate Synthesis C)は、バシラス属細菌に由来するPgsC又はそれと同等の機能を有するタンパク質であれば特に限定されないが、好ましくは168株に由来するPgsC (配列番号5)又は201株に由来するPgsC (配列番号7)である。168株に由来するPgsCをコードする遺伝子及び201株に由来するPgsCをコードする遺伝子をそれぞれ配列番号6及び配列番号8として表す。
PgsA (PolyGlutamate Synthesis A)は、バシラス属細菌に由来するPgsA又はそれと同等の機能を有するタンパク質であれば特に限定されないが、好ましくは168株に由来するPgsA (配列番号9)又は201株に由来するPgsA (配列番号11)である。168株に由来するPgsAをコードする遺伝子及び201株に由来するPgsAをコードする遺伝子をそれぞれ配列番号10及び配列番号12として表す。
PgsE (PolyGlutamate Synthesis E)は、バシラス属細菌に由来するPgsE又はそれと同等の機能を有するタンパク質であれば特に限定されないが、好ましくは168株に由来するPgsE (配列番号13)又は201株に由来するPgsE (配列番号15)である。168株に由来するPgsEをコードするポリヌクレオチド及び201株に由来するPgsEをコードするポリヌクレオチドをそれぞれ配列番号14及び配列番号16として表す。
なお、同等の機能とは、PgsB、PgsC、PgsA及びPgsEが互いに協働してγ-PGAを産生するときの各分子が担う機能をいう。
上記(i)〜(iv)の遺伝子は、1つのベクター中にライゲーションされることによって、1つの組換えベクターにおいてγ-PGA産生遺伝子群若しくはオペロンとして存在していてもよいし、1つの組換えベクターにおいてγ-PGA産生遺伝子群若しくはオペロンを形成することなく存在していてもよいし、又は、2以上のベクター中にライゲーションされることによって別々のポリヌクレオチド上に存在していてもよい。好ましくは、上記(i)〜(iv)の遺伝子は、1つのベクター中にライゲーションされることによって、組換えベクターにおいてγ-PGA産生遺伝子群若しくはオペロンとして存在する。
ベクターは、特に限定されず、当業者に公知のものから選択することができる。具体的な例としては、大腸菌由来のプラスミド(例えば、pBR322、pBR325、pTV119N、pBluescript、pHSG298、pHSG396又はpTrc99A等のColE系プラスミド;pACYC177又はpACYC184等のp1A系プラスミド;pMW118、pMW119、pMW218又はpMW219等のpSC101系プラスミド等)、枯草菌由来のプラスミド(例えばpUB110、pTP5等)、YCp型大腸菌−酵母シャトルベクター、YIp型大腸菌−酵母シャトルベクター、大腸菌−枯草菌シャトルベクター(例えばpHT01、pAL10等)、ファージベクター(例えばλファージ、ψX174、M13mp18、M13mp19等)、レトロトランスポゾン(例えばTy因子等)、融合タンパク質として発現する発現ベクター(例えばpGEXシリーズ、pMALシリーズ等)等が挙げられる。ベクターは、好ましくは、pHT01、pAL10である。
上記のベクターに含まれるプロモーターは、特に限定されず、後述の宿主細胞の種類に応じて当業者に公知のものから選択することができる。具体的な例としては、groEプロモーター、lacプロモーター、trpプロモーター、tacプロモーター及びPLプロモーター等の大腸菌での発現に適したプロモーター、アルコール脱水素酵素(ADH)プロモーター、トリオースホスフェートイソメラーゼ(TPI)プロモーター、グリセロアルデヒド脱水素酵素(GPD)プロモーター及びガラクトース発光酵素(GAL1)プロモーター等の酵母での発現に適したプロモーター、低温発現誘導性不飽和化酵素(DES)のプロモーター等の枯草菌での発現に適したプロモーター等が挙げられる。プロモーターは、好ましくは、groEプロモーター、T7プロモーター、lacプロモーターである。
本発明の組換えベクターは、選択マーカー遺伝子、ターミネーター、及びエンハンサー等のその他の因子を機能的に含有してもよい。その他の因子としては、特に限定されず、組換えベクター及び宿主細胞の性質等に基づいて、当業者に公知のものから選択することができる。
本発明の組換えベクターは、例えば、適当な制限酵素で予め消化したベクターに、上記(i)〜(iv)の遺伝子を含むポリヌクレオチドをライゲーションすることにより作製することができる。
ライゲーション方法は、特に限定されず、当業者に公知の任意の方法に従って行うことができる。具体的な例としては、T4リガーゼを用いる方法等が挙げられる。本発明の実施態様においては、DNAライゲーションキット Mighty Mix (タカラバイオ株式会社製)を用いて行われる。
培養されるバシラス属細菌(以下、「培養枯草菌」ともいう)は、上記(i)〜(iv)の遺伝子を発現可能な状態でそのゲノム上に有していてもよいし、上記したように、組換えベクターに組み込まれた形態で有していてもよい。好ましくは、培養枯草菌は、上記(i)〜(iv)の遺伝子を、1つの組換えベクターに組み込まれた形態で、γ-PGA産生遺伝子群若しくはオペロンとして有する。このような培養枯草菌は、組換えベクターを用いて、宿主細胞としてのバシラス属細菌(以下、「宿主枯草菌」又は「宿主細胞」ともいう)を形質転換することによって得ることができる。
宿主枯草菌は、本発明において意図するγ-PGAを得る目的に適したバシラス属細菌であれば特に限定されないが、好ましくはバシラス サチリス亜種サチリス168株又はバシラス エスピー-F-2-01株である。宿主枯草菌は、その野生型株がγ-PGA産生能を有するか否かに拘らず選択することができ、本発明において意図するγ-PGAを産生することができるものであれば、たとえ野生型のバシラス属細菌であったとしても、組換えベクターの導入等の遺伝子組換えのステップを経ることなく、宿主枯草菌を培養枯草菌としてそのまま用いることも可能である。
宿主枯草菌に組換えベクターを導入する等、形質転換をして培養枯草菌を得る場合、形質転換方法は特に限定されず、当業者に公知の方法から選択できる。具体的な例としては、コンピテント細胞法、プロトプラスト法、リン酸カルシウム共沈法、エレクトロポレーション法、マイクロインジェクション法、ウイルス感染法、リポフェクション法等が挙げられる。
培養枯草菌は、好ましくはMn2+若しくはCu2+(以下、「特定の金属イオン」ともいう)又はその両方を含む培地を用いて、室温、好ましくは20〜40℃程度、より好ましくは30〜37℃で、好ましくは16〜48時間、より好ましくは26〜30時間培養される。好ましい実施態様では、当業者に公知の培養プロセスに従って、培養枯草菌を培養することにより、見かけの分子量が増大されたγ-PGAを得ることができる。
ここで、培養プロセスとは、バイオリアクター中で細胞を増殖させる培養方法のうち増殖の制御が可能なものを意図する。そのような培養プロセスとしては、特に限定されず、当業者に公知の任意のプロセスを用いることができる。具体的な例としては、流加培養、回分培養、反復回分培養、連続培養(例えばケモスタット又はタービドスタット)、半連続培養等の培養プロセス及びこれらの組合せが挙げられる。培養条件は、宿主細胞の種類、使用するバイオリアクター等の様々な要因を考慮して、当業者が適宜決定することができる。
バイオリアクターとしては、特に限定されず、宿主細胞の種類等に基づいて、当業者に公知のものから選択できる。具体的な例としては、気泡塔型培養槽、通気撹拌培養槽等が挙げられる。
培地は、バシラス属細菌の培養に適するものであれば特に限定されず、当業者に公知のものから選択できる。具体的な例としては、半合成培地、すなわち複合化合物(例えば酵母抽出物、大豆ペプトン、カザミノ酸)を含む培地(例えばLB培地等)、複合化合物を含まない化学的に定義された物質(例えば、グルコース、塩(NaCl)等の重量に基づいて分子量を算出できる物質)からなる合成培地(例えばDavis培地等)、天然培地等が挙げられる。本発明の実施態様では、半合成培地であるPGA生産培地が用いられる。PGA生産培地の組成を下記の表1に示す。
培地の供給量は、宿主細胞の種類、使用するバイオリアクター、培養時間等の様々な要因を考慮して、当業者が適宜決定することができる。
培地は、好ましくは、Mn2+若しくはCu2+又はその両方を含む。
培地中の金属イオンの含有量は、γ-PGAの産生に関与するタンパク質の性質、使用するプロモーターの性質等の様々な要因を考慮して、当業者が適宜決定することができるが、用いる培地に本来含まれている特定の金属イオンの含有量よりもやや多い量の特定の金属イオンを培地が含んでいることが好ましい。例えば、本発明の実施態様においては、上記表1の組成を有するPGA生産培地を培地として用いるが、当該PGA培地の本来のMn2+及びCu2+含有量は、いずれも0.0001重量%未満である。したがって、培地中のMn2+及びCu2+含有量はそれぞれ0.0001%以上であることが好ましいが、Mn2+の終濃度は、好ましくは少なくとも0.02 mM以上、より好ましくは0.2 mM以上0.4 mMである。また、Cu2+の終濃度は、好ましくは少なくとも0.2 mM以上、より好ましくは0.2 mM以上2 mMである。
これら特定の金属イオンは、培養工程開始時において既に培地に含まれていてもよいし、培養開始後に添加してもよい。好ましくは、特定の金属イオンは、培養工程の開始から3〜4時間後に添加され、より好ましくは、培養工程の開始から3〜4時間後に遺伝子の発現を調節する物質と同時に添加される。
別の実施態様によれば、特定の金属イオン添加のタイミングは、培養液のOD600に着目した方法によって決定することもできる。この場合、特定の金属イオンは、培養液のOD600が好ましくは0.6〜0.9となるとき、より好ましくは0.75〜0.85となるときに添加され、さらに好ましくは培養液のOD600が0.8となるときに遺伝子の発現を調節する物質と同時に添加される。
また、特定の金属イオンは、カウンターイオンとイオン結合等によって結合した金属塩の形態であってもよい。この場合、カウンターイオンの種類は特に限定されないが、好ましくは硫酸イオン、塩化物イオン等である。
なお、特定の金属イオンとして培地に添加されるMn2+及びCu2+は、その両方が用いられる場合、同時に添加されてもよいし、別々に添加されてもよい。
培地は、遺伝子の発現量を調節する物質を含んでいてもよい。このような物質としては、遺伝子の発現量を増大させる物質、特に遺伝子の過剰発現を誘導する物質及び遺伝子の発現量を低減させる物質等が挙げられるが、好ましくは、遺伝子の過剰発現を誘導する物質である。遺伝子の過剰発現を誘導する物質としては、特に限定されず、使用するプロモーターの性質等に基づいて、当業者が適宜決定することができる。例えば、IPTG(イソプロピル-β-チオガラクトピラノシド)、アラビノース、テトラサイクリン等が挙げられる。
遺伝子の発現量を調節する物質は、培養工程開始時において既に培地に含まれていてもよいし、培養工程開始後に添加してもよい。好ましくは、遺伝子の発現量を調節する物質は、培養工程の開始から3〜4時間後に添加され、より好ましくは、培養工程の開始から3〜4時間後に特定の金属イオンと同時に添加される。
別の実施態様によれば、遺伝子の発現量を調節する物質の添加のタイミングは、培養液のOD600に着目した方法によって決定することもできる。この場合、遺伝子の発現量を調節する物質は、培養液のOD600が好ましくは0.75〜0.85となるとき、より好ましくは0.78〜0.8となるときに添加され、さらに好ましくは培養液のOD600が0.78〜0.8となるときに特定の金属イオンと同時に添加される。
本発明の1つの実施態様として、培養枯草菌を前培養してもよい。前培養工程は、室温、好ましくは20〜40℃、より好ましくは30〜37℃で、好ましくは15〜20時間、より好ましくは16〜18時間行われる。
前培養工程において用いられる培地は、培養工程において用いる培地と同じであってもよいし、それとは異なる培地であってもよい。本発明の実施態様においては、前培養工程において用いられる培地として、培養工程において用いられる培地とは異なる培地が用いられ、具体的には、LB液体培地、3% Nutrient Broth“Nissui”(日水製薬製)等が用いられる。前培養工程において用いられる培地は、遺伝子の発現量を調節する物質を含まないことが好ましい。
前培養工程において用いられる培養プロセス及びバイオリアクターについては、培養工程において記載したものと同じものを用いることができる。
前培養工程を行う場合、培養工程は、当該前培養工程において得られた前培養液を培養工程において用いる培地に、培養液のOD600が好ましくは0.05〜0.15となるように、より好ましくは0.08〜0.1となるように前培養液を添加することによって開始する。この場合、培養は、室温、好ましくは20〜40℃程度、より好ましくは30〜37℃で、好ましくは15〜20時間、より好ましくは16〜18時間行われる。
前培養工程を行う場合、特定の金属イオンは、培養工程開始時において既に培地に含まれていてもよいし、培養開始後に添加してもよい。好ましくは、特定の金属イオンは、培養工程の開始から3〜4時間後に添加され、より好ましくは、培養工程の開始から3〜4時間後に遺伝子の発現を調節する物質と同時に添加される。
前培養工程を行う場合、遺伝子の発現量を調節する物質は、培養工程開始時において既に培地に含まれていてもよいし、培養工程開始後に添加してもよい。好ましくは、遺伝子の発現量を調節する物質は、培養工程の開始から3〜4時間後に添加され、より好ましくは、培養工程の開始から3〜4時間後に特定の金属イオンと同時に添加される。
本発明のγ-PGAの製造方法は、分離工程及び回収工程を含んでいてもよい。分離方法及び回収方法は、特に限定されず、当業者に公知の任意の方法を用いることができる。分離工程及び回収工程は、例えば、以下のようにして行われ得る。
まず、培養液と培養細胞とを分離する。分離方法としては、特に限定されず、当業者に公知の任意の方法を用いることができる。具体的な例としては、フィルター濾過、遠心分離等が挙げられる。
得られた培養液からγ-PGAを回収する方法としては、特に限定されず、当業者に公知の任意の方法を用いることができる。具体的な例としては、エタノールを用いて沈殿させる方法、酸を用いて沈殿させる方法等が挙げられる。次いで、透析により培地成分等の夾雑物を除去し、その後、凍結乾燥により乾燥粉末を得る。
本発明は、本発明の製造方法により得られたγ-PGAそのものにも関する。ここで、γ-PGAの性質は、上記したとおりである。
上記のようにして得られる見かけの分子量が増大されたγ-PGAは、本発明のγ-PGAの製造方法に従って培養されるバシラス属細菌により天然に合成されるので、人為的な架橋による高分子化工程の省略を可能にする。したがって、見かけの分子量が増大されたγ-PGAを従来よりも安価に提供することが期待できる。高分子量のγ-PGAは優れた保湿性、粘性及びカルシウム吸収促進性を有するので、食品、化粧品及び医薬品等に用いることが期待できる。また、見かけの分子量が増大されたγ-PGAは免疫亢進作用を有するので、食品又は医薬品等の用途に用いることにより、対象の免疫力を高める効果が期待される。さらに、見かけの分子量が増大されたγ-PGAは、汚染水の浄化に用いることも期待される。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1:金属イオン非存在下における組換え枯草菌株のγ-PGA産生能
(1)組換えベクターの構築
pgsB、pgsC、pgsA及びpgsE遺伝子としては、バシラス サチリス亜種サチリス168株(以下、「168遺伝子供与株」ともいう)及びバシラス エスピー-F-2-01株(以下、「201遺伝子供与株」ともいう)を用いた。
まず、168遺伝子供与株を、下記の表2に示す組成を有するLB液体培地で培養し、得られた細胞から、DNeasy Blood & TissueゲノムDNA抽出キット(QIAGEN社製)を用いて、168遺伝子供与株のゲノムDNAを得た。
次いで、下記の表3に示すプライマーを用いるPCR反応(Mastercycler gradient PCRサーマルサイクラー、Eppendorf社製)によって、PgsB、PgsC及びPgsAをそれぞれコードする遺伝子を含むPGA産生遺伝子群(以下、「pgsBCA」ともいう)、並びに、PgsB、PgsC、PgsA及びPgsEをそれぞれコードする遺伝子を含むPGA産生遺伝子群(以下、「pgsBCAE」ともいう)を増幅した。ここで、バシラス サチリス亜種サチリス168株のゲノムには、PgsB、PgsC、PgsA及びPgsEをそれぞれコードする遺伝子が、これと同じ順序で5’末端から3’末端への方向に並ぶPGA産生遺伝子群として存在することが知られている。すなわち、pgsBCAは下記の表3に記載の168 primer-pgsB-F及び168 primer-pgsA-Rを用いて、pgsBCAEは下記の表3に記載の168 primer-pgsB-F及び168 primer-pgsE-Rを用いて増幅されたものである。なお、これらのプライマーのうち、FプライマーはBamHI制限酵素サイトリンカーを、RプライマーはSmaI制限酵素サイトリンカーを含んでいる。
増幅したpgsBCA及びpgsBCAEを精製し、これらのPCR産物とpHT01ベクター(Mo Bi Tec社製)について、BamHI及びSmaI (いすれもタカラバイオ社製)を用いる制限酵素反応を行い、それらのBamHI及びSmaIサイトを切断した。
次いで、切断したPCR産物とpHT01プラスミドをQIAEXII gel extraction kit(キアゲン製)を用いて精製し、DNAライゲーションキット<Mighty Mix>(タカラバイオ社製)を用いて行い、得られた組換えベクターをDH5αコンピテントセル(大腸菌;タカラバイオ社製)に導入した。いったん得られた形質転換体からベクターを抽出し、ベクターダイマーを得るためにE. coli C600株へ導入し、得られた形質転換体を4℃で保管した。
上記と同様にして、201遺伝子供与株からもpgsBCA又はpgsBCAEを含む組換えベクターを得た。なお、201遺伝子供与株からpgsBCA及びpgsBCAEを得るに際して用いたプライマーを下記の表4に示す。すなわち、pgsBCAは下記の表4に記載の201 primer-pgsB-F及び201 primer-pgsA-Rを用いて、pgsBCAEは下記の表4に記載の201 primer-pgsB-F及び201 primer-pgsE-Rを用いて増幅されたものである。これらのプライマーのうち、FプライマーはSmaI制限酵素サイトリンカーを、RプライマーはBamHI制限酵素サイトリンカーを含んでいる。なお、バシラス エスピー-F-2-01株のゲノムには、バシラス サチリス亜種サチリス168株と同様、PgsB、PgsC、PgsA及びPgsEをそれぞれコードする遺伝子が、これと同じ順序で5’末端から3’末端への方向に並ぶPGA産生遺伝子群として存在することが知られている。
(2)宿主枯草菌の形質転換
次に、上記で得られた形質転換体からpgsBCA又はpgsBCAE組換えベクターをダイマーとして抽出し、宿主細胞としての枯草菌株に導入した。宿主細胞としては、バシラス サチリス亜種サチリス168株(以下、「宿主168株」という)を用いた。まず、宿主168株に、バシラス サチリス亜種サチリス168株由来pgsBCA含有組換えベクター、バシラス サチリス亜種サチリス168株由来pgsBCAE含有組換えベクター、バシラス エスピー-F-2-01株由来pgsBCA含有組換えベクター及びバシラス エスピー-F-2-01株由来pgsBCAE含有組換えベクターをそれぞれ導入し、組換え枯草菌株(それぞれ、168BCA株、168BCAE株、201BCA株及び201BCAE株という)を得た。
得られた組換え枯草菌株を30μg/mlのクロラムフェニコールを含むLB液体培地(5 ml;LB培地自体の組成は上記の表1に示したとおりである)中で、37℃で18時間培養した。得られた前培養液を、5 mlのPGA生産培地(組成は上記の表1に示したものである)にOD600がおよそ0.1となるように添加し、37℃で3時間160 rpmでOD600がおよそ0.8となるまで振盪培養した。
次いで、IPTGを終濃度が0.1 mMとなるように添加し、30℃で24時間160 rpmで振盪培養した。得られた培養液を4℃で1時間8,000 rpmで遠心分離し、上清を回収した。99%エタノールを、エタノール濃度が70%となるように添加し、4℃で1時間8,000 rpmで遠心分離し、上清を回収することでγ-PGAを得た。
上記のようにして168BCA株、168BCAE株、201BCA株及び201BCAE株からそれぞれ得られたγ-PGAを用いて、1%アガロースゲルを用いる電気泳動を行った。電気泳動は、バッファーとしてTAE緩衝液(和光純薬株式会社製)を、ゲルの原料としてアガロース(Agarose L03「TAKARA」、タカラバイオ社製)を用いて、100 Vで27分間行った。電気泳動装置としては、Mupid2plus(アドバンス社製)を用いた。
その後、電気泳動後のゲルを3%酢酸水溶液中の0.5%メチレンブルー(製品名メチレンブルー、和光純薬社製)で染色し、余分なメチレンブルーを蒸留水で脱色後、分子量を比較した。
結果を図1に示す。図1において、左から1および6番目のレーンは、分子量マーカーとして用いたλ-HindIII digest (タカラバイオ社製)である。上記のDNA分子量マーカーは、約14,000,000、5,800,000、4,000,000、2,650,000、1,430,000、1,250,000、350,000、77,000の位置にバンドを示すことが公知である。これに基づいて、X軸を泳動距離、Y軸を分子量の対数として各フラグメントをグラフ上にプロットし、これに基づいて得た累乗近似式によってγ-PGAのみかけの分子量をDNAの分子量換算で推定する。なお、γ-PGAは、広範囲において分子量の分布を示すので、高い生理活性が期待される最大分子量付近を見かけの分子量とした。左から2番目のレーンは168BCA株によって産生されたγ-PGAのバンドを示す。また、左から3番目のレーンは、201BCA株によって産生されたγ-PGAのバンドを示す。これらの株により産生されたγ-PGAは、分子量がおよそ350,000の位置にバンドを示している。
一方、図1において、左から4番目のレーンは、168BCAE株によって産生されたγ-PGAのバンドを示す。レーン2との比較から明らかなように、168BCAE株によって産生されたγ-PGAの分子量は、168BCA株によって産生されるγ-PGAの分子量を大きく上回っている。特に、レーン4のγ-PGAの見かけの分子量は約23,000,000であった。
また、図1において、左から5番目のレーンは、201BCAE株によって産生されたγ-PGAは、その分子量において201BCA株によって産生されるγ-PGAのそれを大きく上回っており、約81,000,000の見かけの分子量を有すると推定された。
これらの結果から、γ-PGAの高分子量化において、PgsEタンパク質の機能が重要な役割を担っていることが改めて確認された。特に、201BCAE株によって産生されたγ-PGAは約81,000,000の見かけの分子量を有すると推定されたため、従来の方法、とりわけ特許文献1に記載の方法によっても達成することができなかった高い見かけの分子量を有していることが示唆された。
比較例:バシラス エスピーF-2-01株のpgsB、pgsC、pgsA及びpgsE遺伝子をコードする配列を含む核酸配列を含むベクターで形質転換されたBL21大腸菌株のγ-PGA産生能
バシラス エスピーF-2-01株のpgsB、pgsC、pgsA及びpgsE遺伝子をコードする配列を含む核酸配列を、NcoI及びBamHIを用いて消化したpET28aベクター(Merck, Germany)にそれぞれライゲーションし、組換えベクターを得た。得られた組換えベクターを大腸菌BL21株(タカラバイオ社製)に導入し、形質転換体を得た。得られた形質転換体を、30μg/mLのカナマイシンを含有する5mLのLB液体培地中で、37℃で16時間前培養した。前培養して得られた細胞を200 mLの下記の表5に示される組成を有する培地にOD660が0.1となるように懸濁し、37℃、140 rpmで振盪培養した。OD660が0.8となったところで、IPTGを1mMとなるように加えて、30℃、140 rpmで振盪培養し、γ-PGA産生を誘導した。
得られた培養液5mLを遠心分離(8,000 rpm、3分間、室温)して、上清を回収した後、3倍量のエタノールを加えてボルテックスし、4℃で16時間静置した。その後、遠心分離(8,000 rpm、30分間、4℃)して、上清を捨てて沈殿物を得た。得られた沈殿物を3mLの脱イオン滅菌水に溶解させ、1%アガロースゲルを用いる電気泳動を行い、メチレンブルー溶液で染色し、分子量を見積もった。
結果を図2に示す。レーン1は、バシラス エスピーF-2-01株のpgsB、pgsC、pgsA及びpgsE遺伝子をコードする配列を含む核酸配列を含むベクターで形質転換されたBL21大腸菌株によって産生されたγ-PGAであり、レーン2は、分子量マーカーとして用いたλ-HindIII digest (タカラバイオ社製)である。図2の結果から、BL21形質転換体によって産生されたγ-PGAは約30,500,000の見かけの分子量を有すると推定された。したがって、上記の実施例1において約81,000,000の見かけの分子量を有すると推定された201BCAE株によって産生されたγ-PGAは、従来の方法、とりわけ特許文献1に記載の方法によっても達成することができなかった高い見かけの分子量を有していることが証明された。
実施例2:種々の金属イオン存在下における168BCAE株のγ-PGA産生能
実施例1で得られた組換え枯草菌株のうち、本実施例では、168BCAE株を用いた。添加した金属イオンはCu2+、Mg2+、Mn2+、Zn2+、Fe2+、Ni2+、Co2+であり、すべて硫酸塩の形態でPGA生産培地に含有させた。
168BCAE株を、30μg/mlのクロラムフェニコールを含むLB液体培地(5 ml)中で、37℃で18時間培養した。得られた前培養液を、5 mlのPGA生産培地にOD600がおよそ0.1となるように添加し、37℃で3時間160 rpmでOD600がおよそ0.8となるまで振盪培養した。
次いで、IPTG及び各種金属塩を終濃度がそれぞれ0.1 mM及び0.2 mMとなるように添加し、30℃で24時間160 rpmで振盪培養した。得られた培養液を4℃で1時間8,000 rpmで遠心分離し、上清を回収した。99%エタノールを、エタノール濃度が70%となるように添加し、4℃で1時間8,000 rpmで遠心分離し、上清を回収することでγ-PGAを得た。
上記のようにして168BCAE株からそれぞれ得られたγ-PGAを用いて、1%アガロースゲルを用いる電気泳動を行い、メチレンブルー溶液で染色し、分子量を比較した。
結果を図3に示す。左から1、6及び11番目のレーンは、分子量マーカーとして用いたλ-HindIII digest (タカラバイオ社製)である。このλ-HindIIIのうち、最大の分子量を示すフラグメントは、分子量がおよそ14,000,000の位置にバンドを示すことが公知である。図3において、各種金属塩とレーン番号の対応は以下のとおりである。レーン2:非添加、レーン3:Mn2+、レーン4:Zn2+、レーン5:Mg2+、レーン7:Cu2+、レーン8:Co2+、レーン9:Fe2+、レーン10:Ni2+ (いずれも0.2 mM、レーン番号は左から数えた)。
図3の結果から明らかなように、0.2 mMのMn2+を添加した場合(レーン3)、及び、0.2 mMのCu2+を添加した場合(レーン7)、168BCAE株によって産生されたγ-PGAの見かけの分子量はおよそ78,000,000と推定された。
実施例3:種々の金属イオン存在下における201BCAE株のγ-PGA産生能
168BCAE株に代えて、201BCAE株を用いたこと以外は実施例1と同様にしてγ-PGAを得、分子量を比較した。
結果を図4に示す。左から1、6及び11番目のレーンは、分子量マーカーとして用いたλ-HindIIIである。図4において、各種金属塩とレーン番号の対応は以下のとおりである。レーン2:非添加、レーン3:Mn2+、レーン4:Zn2+、レーン5:Mg2+、レーン7:Cu2+、レーン8:Co2+、レーン9:Ni2+、レーン10:Fe2+ (いずれも0.2 mM、レーン番号は左から数えた)。
図4の結果から明らかなように、0.2 mMのCu2+を添加した場合(レーン7)、201BCAE株によって産生されたγ-PGAの見かけの分子量はおよそ320,000,000と推定された。
実施例4:種々の濃度のMn2+存在下における168BCAE株のγ-PGA産生能
種々の金属イオンに代えてMn2+のみを用い、Mn2+の濃度を変化させたこと以外は実施例1と同様にしてγ-PGAを得、分子量を比較した。
結果を図5に示す。左から1及び8番目のレーンは、分子量マーカーとして用いたλ-HindIIIである。図5において、Mn2+の濃度とレーン番号の対応は以下のとおりである。レーン2:非添加、レーン3:0.02 mM、レーン4:0.2 mM、レーン5:0.4 mM、レーン6:2 mM レーン7:4 mM (レーン番号は左から数えた)。
図5の結果から明らかなように、0.2〜0.4 mMのMn2+を添加した場合(レーン4及び5)、168BCAE株によって産生されたγ-PGAの見かけの分子量はおよそ140,000,000と推定された。
実施例5:種々の濃度のCu2+存在下における168BCAE株のγ-PGA産生能
種々の金属イオンに代えてCu2+のみを用い、Cu2+の濃度を変化させたこと以外は実施例1と同様にしてγ-PGAを得、分子量を比較した。
結果を図6に示す。左から1及び7番目のレーンは、分子量マーカーとして用いたλ-HindIIIである。図6において、Cu2+の濃度とレーン番号の対応は以下のとおりである。レーン2:非添加、レーン3:0.02 mM、レーン4:0.2 mM、レーン5:2 mM、レーン6:3 mM, レーン7: 4 mM (レーン番号は左から数えた)。
図6の結果から明らかなように、2 mMのCu2+を添加した場合(レーン5)、168BCAE株によって産生されたγ-PGAの見かけの分子量はおよそ360,000,000と推定された。
実施例6:種々の濃度のCu2+存在下における201BCAE株のγ-PGA産生能
種々の金属イオンに代えてCu2+のみを用い、Cu2+の濃度を変化させたこと以外は実施例2と同様にしてγ-PGAを得、分子量を比較した。
結果を図7に示す。左から1、5及び9番目のレーンは、分子量マーカーとして用いたλ-HindIIIである。図7において、Cu2+の濃度とレーン番号の対応は以下のとおりである。レーン2:非添加、レーン3:0.02 mM、レーン4:0.2 mM、レーン6:2 mM、レーン7:3 mM、レーン8:4 mM (レーン番号は左から数えた)。
図7の結果から明らかなように、2 mMのCu2+を添加した場合(レーン6)、201BCAE株によって産生されたγ-PGAの見かけの分子量はおよそ320,000,000と推定された。

Claims (15)

  1. (i) バシラス属細菌由来PgsB又はこれと同等の機能を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
    (ii) バシラス属細菌由来PgsC又はこれと同等の機能を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
    (iii) バシラス属細菌由来PgsA又はこれと同等の機能を有するポリペプチドをコードする遺伝子、及び
    (iv) バシラス属細菌由来PgsE又はこれと同等の機能を有するポリペプチドをコードする遺伝子を有するバシラス属細菌を培養する工程を含む、少なくとも50,000,000以上のアガロースゲル電気泳動による見かけの分子量を有するγ-ポリグルタミン酸の製造方法。
  2. 前記培養工程が、少なくとも0.02 mM以上のMn2+若しくは少なくとも0.2 mM以上のCu2+又はその両方を含む培地を用いて行われる請求項1に記載の製造方法。
  3. Mn2+の濃度が、0.02 mM以上0.4 mM以下である請求項2に記載の製造方法。
  4. Cu2+の濃度が、0.2 mM以上2 mM以下である請求項2又は3に記載の製造方法。
  5. (i) PgsB、(ii) PgsC、(iii) PgsA及び(iv) PgsEのすべてが、バシラス サチリス亜種サチリス168株由来であるか、又は、バシラス エスピー-F-2-01株由来である請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記培養工程において培養されるバシラス属細菌が、バシラス サチリス亜種サチリス168株である請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記γ-ポリグルタミン酸が、それを構成するグルタミン酸分子のα位アミノ基とγ位カルボキシル基とが縮合することによって形成されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記培養工程において培養されるバシラス属細菌を前培養する工程をさらに含み、
    前記培養工程が、前記前培養工程において得られた前培養液を培地に添加することによって開始される請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 前記前培養工程が37℃で16〜18時間行われる請求項8に記載の製造方法。
  10. 前記培養工程において、遺伝子の発現量を調節する物質が培地に添加される請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 遺伝子の発現量を調節する物質の添加が37℃で前記培養工程の開始から3〜4時間後に行われる請求項10に記載の製造方法。
  12. Mn2+若しくはCu2+又はその両方が、前記培養工程において、培地に添加される請求項2〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
  13. 遺伝子の発現量を調節する物質の添加とMn2+若しくはCu2+又はその両方の添加とが同時に行われる請求項12に記載の製造方法。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の製造方法により得られ、かつ、少なくとも50,000,000以上のアガロースゲル電気泳動による見かけの分子量を有するγ-ポリグルタミン酸。
  15. 前記γ-ポリグルタミン酸が、それを構成するグルタミン酸分子のα位アミノ基とγ位カルボキシル基とが縮合することによって形成されている請求項14に記載のγ-ポリグルタミン酸。
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