以下、請求可能発明のいくつかの実施形態を、図を参照しつつ説明する。なお、請求可能発明は、下記実施形態の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
図1に、電子回路部品装着ラインの外観を示す。本装着ラインは、複数の装着モジュール10が、共通で一体のベース12上に、互いに隣接して1列に配列されて固定されることにより構成されている。複数の装着モジュール10はそれぞれ、請求可能発明の一実施形態である電子回路部品装着機であり、回路基板への電子回路部品の装着を分担し、並行して行う。
装着モジュール10については、例えば、特開2004−104075号公報に詳細に記載されており、本請求可能発明に関する部分以外の部分については簡単に説明する。
各装着モジュール10はそれぞれ、図2に示すように、装着機本体たるモジュール本体18,基材搬送装置たる基板搬送装置20,基板保持装置22,部品供給装置24,装着装置26,基準マーク撮像装置28(図4参照),部品撮像装置30およびモジュール制御装置32を備えている。
基板搬送装置20は、本実施形態においては、図2に示すように、2つの基板コンベヤ34,36を備え、モジュール本体18を構成する基台38の装着モジュール10の前後方向の中央部に設けられ、回路基材の一種である回路基板40を複数の装着モジュール10が並ぶ方向と平行な方向であって、水平な方向に搬送する。本実施形態においては、「回路基板」はプリント配線板およびプリント回路板の総称とする。基板保持装置22はモジュール本体18に2つの基板コンベヤ34,36の各々について設けられ、それぞれ、図示は省略するが、回路基板40を下方から支持する支持部材および回路基板40の搬送方向に平行な両側縁部をそれぞれクランプするクランプ部材を備え、回路基板40をその電子回路部品が装着される被装着面が水平となる姿勢で保持し、回路基材保持部を構成している。本実施形態においては、基板搬送装置20による回路基板40の搬送方向をX軸方向、基板保持装置22に保持された回路基板40の被装着面に平行な一平面であって、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向とする。
部品供給装置24は、図2に示すように、基台38の基板搬送装置20に対してY軸方向の一方の側であって、装着モジュール10の正面側に設けられている。本部品供給装置24は、図3に示すように、部品供給具たる部品フィーダの一種である複数のテープフィーダ50と、それらテープフィーダ50を着脱可能に保持する供給具保持部材たるフィーダ保持台52とを含む。本フィーダ保持台52は複数のフィーダ保持部54を備え、基台38に着脱可能に取り付けられ、取り付けられた状態では基台38に固定されている。複数のフィーダ保持部54はそれぞれ、本実施形態においては、前後方向(図3においては左右方向)に延びる溝56,1対の位置決め穴58,60およびコネクタ62を備え、X軸方向(図3においては紙面に直角な方向)に平行な方向に適宜の間隔を隔てて、本フィーダ保持台52では等間隔に設けられている。基台38にフィーダ保持部54が設けられ、基台38の一部がフィーダ保持台とされてもよい。
複数のテープフィーダ50においてそれぞれ電子回路部品は、部品保持テープ64により保持され、テープ化部品66とされて供給される。部品保持テープ64は、テープフィーダ50においては、キャリヤテープ68およびカバーテープ70を含み、テープ化部品保持部材たるリール72に巻き付けられている。本テープフィーダ50は、特開2004−47951号公報に記載のフィーダと同様に構成されており、簡単に説明する。
テープフィーダ50の本体であるフィーダ本体80には、送り装置82,カバーテープ剥離装置84,部品収納装置86,係合装置88およびテープフィーダ制御装置90が設けられている。部品収納装置86はフィーダ本体80の長手方向の一端部である後端部に設けられ、支持軸92を備えており、リール72が支持軸92により回転可能に支持されている。送り装置82は電動モータ98を駆動源とし、スプロケット100の回転により、リール72から引き出されたテープ化部品66を所定の距離、本実施形態においては、部品保持テープ64の電子回路部品の保持間隔に等しい距離ずつ送り、電子回路部品を部品保持テープ64から取り出される部品取出位置に1個ずつ位置決めする。部品取出位置はフィーダ本体80の長手方向の他端部である前端部に設定され、この部分が供給部を構成する。電動モータ98は、本実施形態においては、エンコーダ付きのサーボモータにより構成されている。サーボモータは回転角度の正確な制御が可能な電動回転モータであり、サーボモータに代えてステップモータが使用されてもよい。以下に記載の別の電動モータについても同様である。テープ化部品66の移動は、フィーダ本体80に、フィーダ本体80の前後方向に平行に延びる状態で設けられた上向きの案内面102を含む案内部104により案内される。案内面102は、テープ化部品66を下方から支持する面のみを備えた案内通路を構成すると考えることもできる。
カバーテープ剥離装置84は、本実施形態においては送り装置82と駆動源を共用とし、テープ化部品66が送られる際にカバーテープ70がキャリヤテープ68から剥がされ、電子回路部品はカバーテープ70を剥がされた状態で部品取出位置に位置決めされる。また、フィーダ本体72の前面には、一対の位置決め突部106,108およびコネクタ110が設けられている。
テープフィーダ50は、フィーダ本体80の底面に、その長手方向に延びる状態で設けられたレール112においてフィーダ保持部54の溝56に嵌合され、位置決め突部106,108が位置決め穴58,60に嵌合されるとともに、係合装置88が作業者により操作されてフィーダ保持台52に係合させられる。それにより、テープフィーダ50はフィーダ保持部54により、前後方向ないし長手方向がY軸方向に平行となり、左右方向ないし幅方向がX軸方向に平行な方向となる姿勢で位置決めされるとともに、フィーダ保持台52からの浮上がりを防止された状態で保持される。複数のテープフィーダ50は、各々の供給部がX軸方向に沿って並ぶ状態で、本実施形態においてはX軸方向に平行な一直線上に位置する状態でフィーダ保持台52に取り付けられ、モジュール本体18に取り付けられる。テープフィーダ50は第2部品供給具を構成し、部品収納装置86が収納部を構成し、送り装置82が部品移動部を構成している。
また、コネクタ62,110が接続され、テープフィーダ制御装置90の主体を成すテープフィーダ制御コンピュータ114と、前記モジュール制御装置32の主体を成すモジュール制御コンピュータ120(図32参照)との間における通信およびテープフィーダ50への電力供給が行われるようにされる。電動モータ98は、テープフィーダ制御装置90により制御される。なお、部品供給装置24のように、装着機本体に後述する装着ヘッドの本体である装着部本体を介することなく保持される部品供給装置は、部品フィーダおよびトレイを含む装置としてもよい。
装着装置26は、図6に例示する作業ヘッドたる装着ヘッド130,132と、それら装着ヘッド130,132を移動させるヘッド移動装置134(図4参照)とを備えている。ヘッド移動装置134は、装着ヘッド130,132を、基板保持装置22に保持された回路基板40の被装着面に平行な一平面である水平面内において互いに交差する2方向であって、本実施形態においては互いに直交する2方向に移動させる。X軸方向は、互いに直交する2方向の一方、Y軸方向は他方であり、ヘッド移動装置134は、図4に示すように、X軸方向移動装置136およびY軸方向移動装置138を備え、所謂XYロボットを構成している。Y軸方向移動装置138は、モジュール本体18を構成するクラウン140に、部品供給装置24の供給部と2つの基板保持装置22とに跨って設けられたリニアモータ142を備え、可動部材たる移動部材としてのY軸スライド144をY軸方向の任意の位置へ移動させる。
X軸方向移動装置136はY軸スライド144に設けられ、図5に示すように、Y軸スライド144に対してX軸方向に移動させられるとともに、互いにX軸方向に相対移動させられる第1,第2X軸スライド146,148と、それらスライド146,148をそれぞれ、X軸方向に移動させるX軸スライド移動装置150,151とを備えている。X軸スライド移動装置150,151はそれぞれ、例えば、駆動源たる電動モータ152と、ねじ軸154およびナット156を含む送りねじ機構158とを含むものとされ、X軸スライド146,148をX軸方向の任意の位置へ移動させる。送りねじ機構として、本実施形態においてはボールねじ機構が使用されている。以下に記載の別の送りねじ機構についても同様である。ヘッド移動装置は、X軸スライド上にY軸方向移動装置が設けられたものとされてもよい。
装着ヘッド130,132は第2X軸スライド148に着脱自在に搭載され、ヘッド移動装置134により水平方向に移動させられ、部品供給装置24の部品供給部と2つの基板保持装置22とに跨る移動領域である装着作業領域内の任意の位置へ移動させられる。本実施形態においては、装着ヘッド130,132がそれぞれ装着部を構成し、ヘッド移動装置134が第1相対移動装置を構成している。装着ヘッド130,132は、説明は省略するが、特開2004−221518公報に記載のヘッド取付装置と同様に構成されたヘッド取付装置により、第2X軸スライド148に着脱可能に取り付けられる。装着ヘッド130,132は、部品保持具の一種である吸着ノズルによって電子回路部品を保持するものとされている。装着ヘッド130,132を始めとして、吸着ノズルを保持し、部品保持具保持部材たるノズルホルダの数を異にする複数種類の装着ヘッドが用意され、電子回路部品が装着される回路基板40の種類に応じて、1つが選択的に第2X軸スライド148に取り付けられる。
装着ヘッド130は、図6(a)に示すように、ノズルホルダ160を1つ備え、吸着ノズル162が1つ保持されている。吸着ノズル162は、ノズル本体164と、ノズル本体164の軸方向の一端部に設けられた吸着管166と、板状の背景形成部材168とを備え、ノズル本体164内に設けられた通路(図示省略)を通って吸着管166に負圧が供給され、電子回路部品を吸着する。背景形成部材168は、吸着ノズル162に保持された電子回路部品の部品撮像装置30による撮像時に電子回路部品の背景を形成する。部品保持具には、吸着ノズルの他、例えば、複数の把持部材を備え、それら把持部材が互いに対称に移動させられて電子回路部品を把持,解放する部品把持具がある。
ノズルホルダ160は、図示は省略するが、装着ヘッド130のヘッド本体に設けられた移動装置である昇降装置により、自身の軸線に平行な方向に移動させられて昇降させられ、ヘッド本体に設けられた回転装置により、自身の軸線まわりに回転させられる。また、図示を省略する負圧・正圧供給制御装置の制御により、負圧と正圧とが選択的に吸着ノズルに供給され、供給が遮断される。さらに、装着ヘッド130は、装着ヘッド制御装置169(図32参照)を備えている。装着ヘッド制御装置169は装着ヘッド制御コンピュータ171を主体として構成され、装着ヘッド130が第2X軸スライド148に取り付けられる際にモジュール制御コンピュータ120に接続される。装着ヘッド132は、図6(b)に示すように、ノズルホルダ170を複数、例えば3個以上、図示の例では12個備え、吸着ノズル172が最大12個保持され得る。装着ヘッド132については、後に詳細に説明する。
前記基準マーク撮像装置28は、図4に示すように、第2X軸スライド148に搭載され、ヘッド移動装置134により装着ヘッドと共に移動させられて、回路基板40に設けられた基準マーク(図示省略)を撮像する。ヘッド移動装置134は、基準マーク撮像装置移動装置でもある。また、前記部品撮像装置30は、図2に示すように、基台38の基板搬送装置20と部品供給装置24との間の部分に位置を固定して設けられ、吸着ノズル162により吸着された撮像対象物としての電子回路部品を下方から撮像する。基準マーク撮像装置28および部品撮像装置30は、本実施形態においては、CCDカメラにより構成されている。CMOSカメラにより構成されてもよい。
装着ヘッド132を説明する。
装着ヘッド132は、図6(b)においてはカバー178が被せられた状態が図示されているが、図7にカバー178を外して示すように、前記12個のノズルホルダ170は可動部材たる回転体180により保持されている。回転体180は、軸部182と、軸部182より大径のホルダ保持部184とを備え、軸部182において、装着ヘッド132の本体であるヘッド本体186により、自身の軸線まわりに回転可能に支持されている。ヘッド本体186は装着部本体を構成し、装着ヘッド132が第2X軸スライド148に搭載された状態では、回転体180の軸線は鉛直となる。
回転体180は、可動部材駆動装置たる回転体駆動装置190により回転させられる。回転体駆動装置190は電動モータ192を駆動源とし、電動モータ192の出力軸に固定の駆動歯車194が、軸部182の上部に設けられた被駆動歯車195と噛み合わされている。電動モータ192によって被駆動歯車195が回転させられることにより、回転体182が鉛直軸線まわりに正逆両方向に任意の角度回転させられる。
ホルダ保持部184は横断面形状(軸線に直角な断面における形状)が円形を成し、12個のノズルホルダ170は、ホルダ保持部184の外周部の回転体180の回転軸線を中心とする一円周上において適宜の間隔を隔てた12の位置、本実施形態においては等角度間隔の12の位置にそれぞれ、その軸方向が回転体180の回転軸線に平行となる姿勢で軸方向に相対移動可能に嵌合されている。そのため、回転体180が回転させられることによりノズルホルダ170は、回転体180の回転軸線のまわりに旋回させられ、吸着ノズル172は、その軸方向と交差する方向であって、本実施形態においては直交する方向に移動させられる。この吸着ノズル172の旋回軌跡は円を成す。本実施形態においては、12個のノズルホルダ170,回転体180および回転体駆動装置190が第2相対移動装置を構成している。
ノズルホルダ170のホルダ保持部184から下方へ突出させられた下端部に前記吸着ノズル172が保持されている。吸着ノズル172は、図6(b)に示すように、ノズル本体196,吸着管197および板状の背景形成部材198を含み、ノズルホルダ170により同心状に保持され、ノズルホルダ170は回転体180により、吸着ノズル172の軸方向に進退可能に保持されている。吸着管197は、吸着ノズル172の前端部である下端部に設けられて吸着部を構成し、ノズル本体196,ノズルホルダ170および回転体180内に形成された通路を経て負圧と正圧とが選択的に供給される。負圧および正圧の供給は、12個のノズルホルダ170の各々に対応して設けられた切換弁装置200(図8参照)により選択的に切り換えられる。
切換弁装置200は、本実施形態においてはスプール弁により構成され、図8に示すように切換部材たるバルブスプール202を有する。バルブスプール202は、ホルダ保持部184のノズルホルダ170に隣接する位置に、ノズルホルダ170の軸線と平行な方向に移動可能に嵌合され、上昇端位置に位置する状態において吸着ノズル172を正圧源204(図19参照)に連通させ、下降端位置に位置する状態において吸着ノズル172を負圧源(図示省略)に連通させる。上昇端位置は正圧供給位置であり、下降端位置は負圧供給位置である。
図示は省略するが、バルブスプール202とホルダ保持部184との間の部分にはシール部材たるシールリングが複数設けられ、正圧および負圧の漏れがそれぞれ防止されている。このシールリングの摩擦力により、バルブスプール202は正圧供給位置および負圧供給位置にそれぞれ位置する状態に保たれる。バルブスプール202のホルダ保持部184から上方へ突出させられた上端部には、係合突部206が、ホルダ保持部184の半径方向において外方へ突出する向きに設けられている。係合突部206は板状を成し、係合部を構成している。
ノズルホルダ170のホルダ保持部184から上方へ突出させられた上部には、図8に示すように、係合部材210が相対回転可能かつ軸方向に相対移動不能に嵌合されている。ホルダ保持部184には、12個のノズルホルダ170について、隣接する2個のノズルホルダ170の間の部分に、横断面形状が円形を成すガイドロッド212がノズルホルダ170と平行に立設されている。係合部材210は、1個のノズルホルダ170に隣接する2本のガイドロッド212の各々の外周部の一部であって、中心角が180度より小さい部分に軸方向に相対移動可能に嵌合され、昇降を案内されるとともに、回転体180に対する相対回転を阻止されている。ガイドロッド212は、案内部材および相対回転阻止部材を構成している。
係合部材210の外側面(回転体180の半径方向において外向きの面)の上端部には、図8に示すように、カムフォロワたるローラ220が、回転体180の回転軸線と直交する軸線まわりに回転可能に取り付けられている。係合部材210の外側面にはまた、その下端部に、回転体180の回転軸線に対して直角に、かつ外向きに突出する板状の係合突部222が設けられ、係合部を構成している。
ローラ220は、図7に示すように、ヘッド本体186に固定して設けられたカム230のカム面232に係合させられている。カム230は円筒状を成し、回転体180と同心に設けられ、その下面は、回転体180の回転に伴なうローラ220の旋回軌跡にノズルホルダ170の軸方向において対向するとともに、ノズルホルダ170の軸方向について変化させられてカム面232を構成している。カム面232は、カム230の周方向において高さが変化させられ、本実施形態においては、最も低い位置から正方向および逆方向に向かうに従って高さが滑らかに高くなり、いずれの方向においても120度離れた位置において最も高くなるように形成されている。
ノズルホルダ170は、図8に示すように、係合部材210とホルダ保持部184との間に配設された圧縮コイルスプリング234によって上方へ付勢され、ローラ220がカム面232に係合させられている。したがって、回転体180が回転させられるとき、ローラ220がカム面232に沿って回転しつつ、回転体180の回転軸線に平行な方向における位置が変化させられ、12個のノズルホルダ170が回転体180の回転軸線まわりに旋回させられつつ昇降させられる。
それにより、吸着ノズル172の吸着管197の基板保持装置22からの距離は、ローラ220がカム面232の最も低い部分に係合する位置から最も高い部分に係合する位置へ移動し、その位置が高くなるに従って増大させられる。本実施形態においては、ローラ220およびカム230が距離増大手段を構成している。なお、圧縮コイルスプリング234は、付勢手段の一種である弾性部材たるスプリングである。以後に記載の別の圧縮コイルスプリングあるいは引張コイルスプリングについても同様である。
12個の吸着ノズル172は、回転体180がノズルホルダ170の配設角度間隔に等しい角度、間欠回転させられることにより、12個の停止位置に順次、停止させられる。本実施形態においては、12個の停止位置のうちの1つが、基板保持装置22からの距離が最も短い距離最小停止位置とされ、距離最小停止位置に対して180度、隔たった1つと、その1つの停止位置の正逆両側に隣接する2つずつとの合計5つの停止位置が、基板保持装置22からの距離が最も長い距離最大停止位置とされている。
そして、図11に概略的に示すように、本実施形態においては、距離最小停止位置が回路基板40への電子回路部品の装着が行われる部品装着位置とされ、装着時における回転体180の回転方向(図11において矢印で示す方向)において部品装着位置より下流側に位置し、部品装着位置に最も近い距離最大停止位置が部品受取位置とされ、部品受取位置より下流側の距離最大停止位置であって、部品装着位置に対して180度隔たった距離最大停止位置が部品撮像位置とされている。部品装着位置,部品受取位置および部品撮像位置は、何らかの作業が行われる作業位置であり、吸着ノズル172は回転体180の回転により、部品受取位置から吸着ノズル172の軸方向と交差する方向に外れた外れ位置であって、別の作業位置へ移動させられる。部品受取位置は、吸着ノズル172が後述するバルクフィーダから電子回路部品を受け取る位置であり、その受け取った電子回路部品を部品装着位置において回路基板40に装着する。それに対し、吸着ノズル172による前記テープフィーダ50からの電子回路部品の受取りおよび受け取った電子回路部品の回路基板40への装着はいずれも部品装着位置において行われ、部品装着位置は部品受取装着位置でもある。なお、装着ヘッド132は、本実施形態においては、その第2X軸スライド148に取り付けられる側の部分に、部品撮像位置が位置するように構成されている。
ヘッド本体186の部品撮像位置に対応する部分には、図7に示すように、部品撮像装置240が設けられている。部品撮像装置240は、図6(b)に示すように、撮像器たるCCDカメラ242および導光装置244を含む。CCDカメラ242は、ヘッド本体186の部品撮像位置に対応する部分であって、カム230によって吸着ノズル172の基板保持装置22からの距離が最大とされることにより得られるスペースに対応する部分に設けられ、下向きに設けられている。導光装置244は、入光部を構成する複数のミラーを含み、上記スペースに設けられ、複数のミラーのうちの1つが、部品撮像位置に停止させられた吸着ノズル172の真下に位置させられ、吸着管197と対向させられる。別の1つのミラーはCCDカメラ242の下方に設けられ、像形成光(電子回路部品からの反射光)をCCDカメラ242に入光させる。それにより、吸着ノズル172の吸着管197によって吸着された電子回路部品が、吸着ノズル172の軸方向において撮像される。CCDカメラに代えてCMOSカメラが使用されてもよい。前記部品撮像装置30は、ヘッド本体186を介することなくモジュール本体18に設けられて位置固定の部品撮像装置であり、部品撮像装置240は吸着ノズル172と一緒に基板保持装置22に対して移動させられる可動部品撮像装置である。
ヘッド本体186の部品装着位置および部品受取位置に対応する位置にはそれぞれ、昇降装置260,262が設けられ、ノズルホルダ170を回転体180に対して軸方向に進退させ、昇降させる。
昇降装置260は、本実施形態においては、図7および図8に示すように駆動部材270および駆動部材昇降装置272を含む。駆動部材昇降装置272は、昇降部材274および昇降部材駆動装置276を含み、昇降部材駆動装置276は、駆動源たる電動モータ278と、ねじ軸280およびナット282を含む送りねじ機構284とを含む。ねじ軸280は、ヘッド本体186により鉛直軸線まわりに回転可能かつ軸方向に移動不能に設けられ、ねじ軸280に螺合されたナット282に昇降部材274が固定されている。ねじ軸280が電動モータ278によって回転させられることにより、昇降部材274が案内部材たるガイドロッド286に案内されつつ昇降させられる。
駆動部材270は、図8に示すように、昇降部材274に回転体180側へ延び出す状態で固定して設けられ、その延出端部にローラ290が取り付けられている。ローラ290は、ノズルホルダ170の係合部材210の係合突部222の旋回軌跡上に位置し、旋回軌跡に対する接線と直交する方向であって、旋回中心線と直交する水平軸線まわりに回転可能に取り付けられている。ローラ290は、駆動部材270の当接部たる回転当接部を構成している。駆動部材270の上昇端位置は、ローラ290が、部品装着位置に至ったノズルホルダ170の係合突部222の僅かに上方に位置する位置とされている。
駆動部材270は、上昇端位置においてノズルホルダ170の旋回を許容し、下降によりローラ290が係合突部222に係合し、スプリング234の付勢力に抗してノズルホルダ170を下降させ、吸着ノズル172を基板保持装置22に保持された回路基板40に接近させる。駆動部材270が上昇させられれば、ノズルホルダ170はスプリング234の付勢力により追従して上昇させられ、吸着ノズル172が回路基板40から離間させられる。駆動部材270が上昇端位置へ到達する前にローラ220がカム面232に係合し、回転体180の回転によりノズルホルダ170が旋回可能な状態となる。その後、駆動部材270は上昇端位置へ到達して係合突部22から離間させられる。
駆動部材270にはまた、図8に示すように、ローラ290の下側に係合突部292が設けられている。係合突部292は板状を成し、ノズルホルダ170側に突出する向きに設けられて係合部を構成し、駆動部材270が上昇端位置に位置する状態において、ノズルホルダ170の係合突部222の僅かに下側に位置するように設けられている。したがって、係合突部292はノズルホルダ170の旋回を妨げないが、何らかの事情により、駆動部材270の上昇時にノズルホルダ170がスプリング234の付勢によって上昇しない状態となった場合には、係合突部292がノズルホルダ170の係合突部222に下方から係合し、ノズルホルダ170を強制的に上昇させる。本昇降装置260は、ノズルホルダ170を強制的に下降させるが、上昇は許容する構成の装置である。昇降装置は、上昇および下降共にノズルホルダ170を強制的に移動させる装置としてもよい。
ヘッド本体186の部品受取位置に対応する部分に設けられた昇降装置262は、図9および図10に示すように昇降装置260と同様に構成されており、同じ作用を成す構成要素には同じ符号を付して対応関係を示し、説明を省略する。図9および図10においてはそれぞれ、図示の都合上、昇降装置262の構成要素の一部が示されている。昇降装置262はノズルホルダ170を昇降させ、吸着ノズル172を、部品受取位置に設けられた後述するバルクフィーダの供給部に接近,離間させる。
ヘッド本体186の部品受取位置および部品装着位置に対応する部分にはそれぞれ、バルブ切換装置300,302が設けられている。
ヘッド本体186の部品受取位置に対応する部分に設けられたバルブ切換装置300は、図9に示すように、切換部材310および切換部材駆動装置312を含む。切換部材駆動装置312はエアシリンダにより構成されている。エアシリンダは、駆動源たる流体圧アクチュエータの一種である流体圧シリンダである。切換部材310は板状を成し、シリンダハウジング314から上方へ突出させられたピストンロッド316の先端部に、バルブスプール202側に突出する向きに設けられており、ピストンロッド316の伸縮により昇降させられる。
切換部材310は、常にはピストンロッド316の伸長により、部品受取位置に到達したノズルホルダ170に対応する切換弁装置200のバルブスプール202の係合突部206より上側に位置する上昇端位置ないし非作用位置たる非切換位置に位置させられている。ノズルホルダ170が部品受取位置に到達するとき、切換弁装置200のバルブスプール202は正圧供給位置に位置させられている。ノズルホルダ170の部品受取位置への到達後、切換部材310が下降させられて係合突部206の上面に係合し、バルブスプール202を押し下げて正圧供給位置から負圧供給位置へ移動させる。この切換部材310の位置が作用位置ないし切換位置である。切換え後、切換部材310は非作用位置へ上昇させられ、切換弁装置200の旋回を許容するとともに、次の切換えに備えて待機させられる。
ヘッド本体186の部品装着位置に対応する部分に設けられたバルブ切換装置302は、図8に示すように、切換部材330および切換部材駆動装置332を含む。切換部材駆動装置332は電動モータにより構成されており、切換部材330を、回転体180の回転軸線と直交する軸線まわりに正逆両方向に回動させる。切換部材330の回動軸線と直交する向きに延び出させられた両端部にはそれぞれ、ローラ336,338が切換部材330の回動軸線と平行な軸線まわりに回転可能に取り付けられ、係合部の一種である回転係合部としての係合突部を構成している。
切換部材330は、常には非作用位置たる非切換位置に位置し、バルブスプール202の係合突部206の旋回軌跡の上下両側にそれぞれローラ336,338が位置させられ、バルブスプール202の旋回を許容する。回路基板40に装着する電子回路部品を保持した吸着ノズル172に対応する切換弁装置200のバルブスプール202は、負圧供給位置に位置させられている。そのため、部品装着位置に到達した吸着ノズル172について、切換部材330は、下側のローラ338がバルブスプール202の係合突部206の下面に当接する向きに回動させられ、バルブスプール202を押し上げて負圧供給位置から正圧供給位置へ移動させる。それにより、吸着ノズル172に正圧が供給され、電子回路部品が積極的に解放される。切換え後、切換部材330は非切換位置へ戻され、バルブスプール202の旋回を許容するとともに、次の切換えに備えて待機させられる。
部品装着位置が部品受取装着位置とされ、吸着ノズル172がテープフィーダ50からの電子回路部品を受け取る場合には、切換部材330は、上側のローラ336が、部品受取装着位置へ到達した吸着ノズル172について設けられた切換弁装置200のバルブスプール202の係合突部206の上面に当接する向きに回動させられ、正圧供給位置に位置するバルブスプール202を押し下げ、負圧供給位置へ移動させる。それにより、吸着ノズル172に負圧が供給され、電子回路部品が吸着される。電子回路部品の装着時には、切換部材330は、上述のように、バルブスプール202を押し上げる向きに回動させられる。
ノズルホルダ170は、ノズルホルダ回転駆動装置350により、自身の軸線まわりに回転させられる。ノズルホルダ回転駆動装置350は、図7に示すように、電動モータ352を駆動源とし、12個のノズルホルダ170の全部を一斉に回転させる装置とされている。そのため、12個のノズルホルダ170にはそれぞれ、図9に示すように、その係合部材210が嵌合された部分より上の上端部に歯車354が取り付けられるとともに、ヘッド本体186により、鉛直軸線まわりに回転可能に保持された共通の駆動部材たる歯車(図示省略)に噛み合わされている。
ヘッド本体186には、図示は省略するが、回転軸が回転体180と同心に回転可能に設けられており、その回転軸に上記共通の歯車が固定されている。この回転軸にはまた、図7に示すように、被駆動歯車360が取り付けられ、電動モータ352の出力軸に取り付けられた駆動歯車362と噛み合わされている。そのため、歯車360,362を介して共通の歯車が電動モータ352によって回転させられることにより、12個のノズルホルダ170の各々に取り付けられた歯車354が回転させられ、12個のノズルホルダ170が一斉に自身の軸線まわりにおいて同方向に同角度回転させられる。なお、共通の歯車の歯は上下方向(軸線方向)に長いものとされ、ノズルホルダ170がカム230および昇降装置230,232のいずれによって昇降させられても、歯車354との噛合いが外れないようにされている。
さらに、ヘッド本体186には、装着ヘッド制御装置370(図32参照)が設けられている。装着ヘッド制御装置370は装着ヘッド制御コンピュータ372を主体として構成され、モジュール制御コンピュータ120に接続されて回転体駆動装置190の電動モータ192等を制御する。装着ヘッド制御コンピュータ372には、1つを代表的に示すように、電動モータ192等の各エンコーダ374が接続されている。
ヘッド本体186の部品受取位置に対応する部分には、図10に示すように、部品供給装置400が設けられており、ヘッド移動装置134により吸着ノズル172等と共に回路基板40に対して移動させられる。本部品供給装置400は、バルクフィーダ402により電子回路部品を供給する装置とされており、少なくとも1つ、例えば、複数、本実施形態においては2つのバルクフィーダ402により電子回路部品を供給することができる装置とされている。バルクフィーダ402は、装着部本体を構成するヘッド本体186に保持された第1部品供給具であり、前記部品供給装置24のテープフィーダ50は、ヘッド本体186を介することなく、装着機本体たるモジュール本体18に保持された第2部品供給具である。
2つのバルクフィーダ402は同様に構成されており、本実施形態においてはそれぞれ、図10および図12に示すように、フィーダ本体410,ケース412,部品移動装置414(図19参照)および部品排出促進装置416を備えており、ヘッド本体186に、部品受取位置からY軸方向において部品装着位置側へ延び出す状態で設けられている。2つのバルクフィーダ402は、部品供給具移動装置たるフィーダ移動装置420により、ノズルホルダ170の旋回軌跡に対応する円に接する一直線に平行な方向であって、本実施形態においてはY軸方向に平行な方向に移動させられる。
そのため、本実施形態においては、2つのバルクフィーダ402の各フィーダ本体410は一体的に設けられている。フィーダ本体410は平面視の形状がL字形を成し、L字の一方のアーム部422の下面には、複数の被案内部材たるガイドブロック426が設けられ、ヘッド本体186にY軸方向に平行に設けられた案内部材たるガイドレール428に移動可能に嵌合されている。ガイドブロック426およびガイドレール428は案内装置430を構成している。フィーダ本体410のL字の他方のアーム部432は、Y軸方向に平行に配設されたアーム部422の前部(部品受取位置の部分)からX軸方向へ延び出させられ、その延出端部は、部品受取位置に停止させられた吸着ノズル172の下方に位置する位置に至っている。
フィーダ移動装置420は、本実施形態においてはエアシリンダ434を駆動源とし、ヘッド本体186に設けられている。エアシリンダ434のピストンロッド436はフィーダ本体410に固定されており、ピストンロッド436の伸縮によりフィーダ本体410は案内装置430に案内されつつY軸方向に移動させられる。フィーダ移動装置420は、部品供給装置400を移動させる装置と考えることもでき、バルクフィーダ402と共に部品供給装置400を構成していると考えることもできる。また、フィーダ本体410は、フィーダ移動装置420の可動部材たる移動部材と一体的に設けられていると考えることもでき、フィーダ本体410が可動部材たる移動部材を兼ねていると考えることもできる。案内装置がフィーダ移動装置を構成すると考えることもできる。
2つのバルクフィーダ402の一方を代表的に説明する。
ケース412は帯電防止材料を混入するなどの静電気対策を施した合成樹脂により作られており、製作の都合上、図12および図13に示すように、第1,第2部材440,442を始めとする複数の部材が互いに一体的に組み付られて成り、組付後は、一体のケース412として機能する。ケース412は、幅が狭く、長さが長い偏平な形状を有し、フィーダ本体410のアーム部422の後部に着脱可能に取り付けられ、収納部を構成する。
そのため、第2部材442により構成されるケース412の下部の長手方向の中央部には、図12に示すように、ケース412の底面に開口し、幅方向に貫通する凹部444が形成され、被取付部を構成している。第2部材442の凹部444の前側の側面を画定する部分に係合具たるボールプランジャ446が設けられている。ボールプランジャ446は、ケーシング448内に係合部材としてのボール450が移動可能に嵌合されるとともに、スプリング(図示省略)によりケーシング448から外へ突出する向きに付勢されたものであり、ケース412の長手方向に平行に設けられている。
フィーダ本体410のアーム部422の後部には、図12に示すように、取付部454が設けられている。取付部454は、フィーダ本体410の上面456から上方へ延び出させられ、上面456に平行に前側へ屈曲させられるとともに、その屈曲端部に嵌合部458が突設されている。嵌合部458の前側の端面には、円錐状の凹部460が形成されて被係合部を構成している。
ケース412は、凹部444において嵌合部458に嵌合され、前後方向に位置決めされるとともに、嵌合部458上に載置されて下方から支持される。ボールプランジャ446のボール450は凹部460に嵌入させられ、ケース412を嵌合部458に押し付けるとともに、幅方向において位置決めする。それにより、ケース412は、幅方向がX軸方向に平行となり、長手方向ないし前後方向がY軸方向に平行となる姿勢でフィーダ本体410に着脱可能に固定される。
ケース412の内部の空間470には、図12に示すように、リード線を有しないリードレス電子回路部品であるチップ部品472が複数、バラバラの状態で収納される。チップ部品472には、例えば、コンデンサや抵抗がある。チップ部品472は、以後、場合によって部品472と略称し、あるいはバルク部品472と称する。ケース412の天井部474には、上下方向に貫通し、空間470を外部に連通させる開口476が設けられて部品受入口を構成している。部品472は開口476から空間470内に投入される。
開口476は、天井部474に設けられたシャッタ480により開閉される。天井部474の空間470から上方への突出部には、図13および図14に示すように、幅が開口476と等しく、突出部の上面および後面に開口させられ、前後方向に延びる溝482が形成され、シャッタ480がケース412の長手方向に摺動可能であって開閉可能に嵌合されている。
シャッタ480の両側面にはそれぞれ、長手方向に隔たった2箇所にそれぞれ案内突部490,492が突設されている。一方の側面の案内突部490,492が、溝482の一方の溝側面に形成された案内溝484(図15(a)参照)に移動可能に嵌合され、他方の側面の案内突部490,429が溝482の他方の溝側面に直列に形成された2個の案内溝486,488(図15(b)参照)にそれぞれ、移動可能に嵌合されることにより、シャッタ480の移動が案内される。案内溝484は、その後部側(シャッタ480が開口476を閉じる向きに移動する側)が開口させられている。
シャッタ480は、図12に示すように、溝482の端面との間に配設された圧縮コイルスプリング494により、開口476を閉じる向きに付勢されている。このスプリング494の付勢によるシャッタ480の移動限度は、図15(b)に示すように、案内突部490が案内溝486の端面(案内溝486と488との間の仕切り壁)に当接することにより規定される。この状態におけるシャッタ480の位置が閉位置であり、図12に示すように、開口476はシャッタ480により閉じられた状態となる。
ケース412内の部品472は、ケース412の底部496に設けられた排出穴498から、フィーダ本体410に設けられた案内通路500へ排出される。そのため、空間470の底面502は、図12に示すように、ケース412の長手方向の両端部から中央部に向かうに従って下方へ向かう向きに傾斜させられ、ケース412の長手方向と直角な平面に対して対称に傾斜させられるとともに、図13に示すように、ケース412の幅方向において前記排出穴498から遠い側の端が排出穴498より高く、排出穴498に向かって下方へ凸に湾曲させられた部分円筒面状の傾斜面とされている。
ケース412内の部品の排出は、前記部品排出促進装置416により促進される。部品排出促進装置416は、図12に示すように、排出促進部材としての排出促進筒510および排出促進部材駆動装置としての排出促進筒駆動装置512を含む。排出促進筒510は、フィーダ本体410の前記嵌合部458に上下方向に摺動可能に嵌合されており、その上部は底部496に形成された嵌合穴514にブッシュ516を介して上下方向に摺動可能に嵌合されている。ブッシュ516は、耐摩耗性の高い材料により作られている。嵌合穴514は、図13に示すように、底部496の幅方向の中心部から外れた位置であって、底面502の幅方向において低い側の部分に対応する部分に上下方向に貫通して設けられている。ブッシュ516の上端面は、底面502の一部を成すように形成され、ブッシュ516の上端開口が、ケース402の部品流出側開口であって、空間470の下側の開口517を構成している。
排出促進筒510は筒状の部材であるが、例えば、横断面形状が円形を成し、内部に断面形状が円形の貫通孔を有する。また、排出促進筒510の上面は、下方ほど中心へ向かう向きに傾斜させられて截頭円錐面状の案内面518が形成されている(図13参照)。排出促進筒510の上部は、漏斗状を成すのである。排出促進筒510内には、横断面形状が円形の案内部材たるパイプ520が相対移動可能に嵌合されている。
パイプ520は、図12に示すように、フィーダ本体410の前記嵌合部458の下方に設けられたブロック状の支持部522に上下方向に移動不能に立設され、上端部は、ブッシュ516内に位置させられるとともに、空間470の下側の開口517の近くに位置し、下端部はフィーダ本体410の上面456に近接した位置に位置させられている。パイプ520の空間470側の開口が排出穴498を構成し、この排出穴498からケース412内に収容された部品472が排出される。また、支持部522内には案内通路524が形成され、パイプ520の下端部を、前記案内通路500に連通させている。なお、排出促進部材を四角形断面の貫通孔を有する筒とし、パイプ520を断面形状が四角形のものとしてもよい。部品472はケース412から1個ずつ、排出穴498を通ってパイプ520に進入し、案内通路500に1個ずつ供給され、案内通路500内において一列に整列させられて送られる。
電子回路部品が、横断面形状(長手方向に直角な断面形状)が長方形を成すものである場合、電子回路部品を案内するパイプの横断面形状が円形であれば、パイプを、電子回路部品が任意の回転位相(長手方向の中心軸まわりの向き)でパイプに進入した後、部品移動装置により移動させられる回転位相に整えるものとする。部品移動装置が電子回路部品を、吸着ノズルにより吸着される姿勢で搬送するのであれば、その姿勢で電子回路部品がパイプから部品移動装置に渡されるように、電子回路部品の回転位相が整えられる。パイプの横断面形状が電子回路部品と同様に長方形とされていれば、パイプの横断面形状を、電子回路部品が、パイプから部品移動装置に移動時の姿勢で渡される回転位相でパイプに進入するように設ければよい。移動経路の途中に方向変換手段を設け、パイプから部品移動装置へ任意の回転位相で、あるいは予め定められた回転位相で渡された電子回路部品の回転位相を、供給時の回転位相に整えるようにしてもよい。
案内通路500は、フィーダ本体516の上面456に開口して形成された溝530が、上面456に固定された板状の閉塞体532によって塞がれることにより形成されている。閉塞体532は固定後はフィーダ本体410の一部を構成する。なお、図10においては閉塞体532の図示は省略されている。
排出促進筒駆動装置512は、図12に示すように、駆動部材たる駆動レバー540および駆動部材駆動装置たる駆動レバー揺動装置542を含む。駆動レバー540は、閉塞体532上に軸544により、バルクフィーダ402の幅方向に平行な軸線まわりに回動可能に取り付けられており、軸544から延び出させられた一方のアーム部546の延出端部はヨーク状の係合部548とされ、排出促進筒510に係合させられている。
駆動レバー540は、排出促進筒510およびケース412を介してフィーダ本体410との間に設けられた圧縮コイルスプリング556により、係合部548が下方へ移動する向きに付勢されている。また、排出促進筒510は、ケース412との間に設けられた圧縮コイルスプリング558により、下方へ移動する向きに、すなわち駆動レバー540に係合する向きに付勢されている。
駆動レバー揺動装置542は、駆動源たる電動モータ560と、電動モータ560により回転させられる偏心カム562とを含む。偏心カム562は円板状を成し、電動モータ560の出力軸564に偏心して固定されている。偏心カム562は、駆動レバー540の他方のアーム部566の上方に位置させられている。排出促進筒駆動装置512は、図16に示すように、フィーダ本体410上に、バルクフィーダ402の幅方向においてケース412と重なる位置に設けられ、フィーダ本体410の幅方向においてバルクフィーダ402、1つ分に対応する部分から幅方向において外側へはみ出すことなく設けられている。そのため、排出促進筒駆動装置512を設けることによりバルクフィーダ402の幅が広くなることがなく、2つのバルクフィーダ402の配設に要するスペースが少なくて済む。
アーム部566は、スプリング556の付勢により偏心カム562の外周面に当接させられている。したがって、電動モータ560により偏心カム562が回転させられ、その外周面により構成されるカム面568の駆動レバー540に対する当接部の回転軸線からの距離が増大させられるとき、駆動レバー540がスプリング556の付勢力に抗して回動させられ、排出促進筒510をスプリング558の付勢力に抗して上方へ移動させる。それにより、排出促進筒510は、図12に二点鎖線で示す上昇端位置へ移動させられ、排出穴498および開口517を越えて空間470内に突出させられ、案内面518が排出穴498から部品、複数個分、例えば、2個分、突出させられる。
また、偏心カム562が回転させられ、カム面568の駆動レバー540に対する当接部の回転軸線からの距離が減少させられるとき、駆動レバー540がスプリング556の付勢により回動させられるとともに、排出促進筒510がスプリング558の付勢により駆動レバー540に追従して下降させられ、図12に実線で示すように、案内面518がパイプ520の上面より下方に位置する下降端位置へ移動させられる。スプリング556,558は、駆動レバー540および駆動レバー揺動装置542と共に排出促進筒駆動装置512を構成している。電動モータ560は装着ヘッド制御装置370により制御され、排出促進筒510を上下方向の任意の位置へ移動させることができ、上昇端位置と下降端位置との間の位置に位置させることができる。
ケース412の底部496には、図12に示すように開閉部材たるシャッタ580が設けられ、空間470の下側の開口517を開閉するようにされている。シャッタ580は部品472の寸法より薄い金属製、例えば、ばね鋼製の板により作られ、長手形状を成し、図17に示すように、長手方向の一端部にほぼ半円形状を成す閉塞部582が形成されている。閉塞部582を画定する円の直径はブッシュ516の内径と等しくされ、閉塞部582の外周部は、図18に拡大して示すように、外周縁側ほど厚さが薄くされ、すくい部584が形成されている。
シャッタ580の長手方向の他端部は、図17に示すように、その長手方向に平行な両縁部がそれぞれ幅方向において外側へ突出させられ、長手方向に延びる被案内部586が設けられている。また、シャッタ580の他端部は、操作部材としての操作ロッド590の一端部に嵌合され、固定されている。操作ロッド590は円柱状を成し、シャッタ580は、その長手方向が操作ロッド590の長手方向と平行となる状態で固定されている。
ケース412を構成する前記第1部材440は、図12に示すように、空間470および嵌合穴514の排出穴498よりシャッタ580の厚さ分、上側までの部分を構成し、第2部材442はそれより下側の部分を構成するように設けられている。第1,第2部分440,442は、第1部分440の下面である合わせ面592と、第2部分442の上面である合わせ面594とにおいて互いに合わされて固定され、シャッタ580はそれら第1,第2部材440,442の間に、その長手方向がケース412の長手方向に移動可能に挟まれている。
本実施形態においては、図17に示すように、シャッタ580が嵌合される溝598が第2部材442の合わせ面594に開口して形成されている。溝598はブッシュ516の内径と等しい幅を有し、第2部材442の嵌合穴514を構成する部分と直交する状態で形成されている。溝598はシャッタ580の摺動を許容する長さを有し、その後部には、一対の被案内部586が嵌合される一対の案内溝部600が設けられている。第2部材442にはさらに、溝598に続いて、操作ロッド590が軸方向に摺動可能に嵌合される別の溝602が形成されている。この溝602は横断面形状が半円形を成し、前部が溝598と重複して形成され、後部は第2部材442の後端面に開口させられている。
第1部材440には、図12に示すように、その合わせ面592に開口して、横断面形状が半円形を成す溝604がケース412の長手方向に延び、第1部材440の後端面に開口する状態で形成されている。また、ブッシュ516には、図17(a)に示すように、その中心線と直交するスリット606が形成され、シャッタ580の嵌入を許容するようにされている。スリット606は、ブッシュ580の内径と同じ幅を有する。
ケース412の製作時には、シャッタ580を溝598に嵌合し、一対の被案内部586を一対の案内溝部600に嵌合し、操作ロッド590を溝602に嵌合する。その状態で第1部材440と第2部材442とを合わせて固定する。それにより溝598が塞がれ、シャッタ580は、図12に示すように第1,第2部材440,442により、ケース412の長手方向に移動可能に挟まれる。また、溝604が溝602と共同して横断面形状が円形の嵌合穴を構成し、操作ロッド590が軸方向に摺動可能に嵌合される。
操作ロッド590の後端部は、図12に示すように、第2部材442から後方へ突出させられ、その突出端部に突設された操作部610の軸部612と第2部材442との間に引張コイルスプリング614が張り渡され、操作ロッド590を前進方向に付勢している。それにより、シャッタ580が前進させられ、閉塞部582がスリット606を通ってブッシュ516内に進入させられる。スプリング614の付勢によるシャッタ580の前進限度は、図17(a)に示すように、閉塞部582がブッシュ516の内周面に当接することにより規定され、シャッタ580は、ちょうどパイプ520の上端面上に位置し、開口517を閉じる閉位置に位置させられる。
それに対し、作業者が操作部610の取手部616を持ち、操作ロッド590をスプリング614の付勢力に抗して後退させることによりシャッタ580が後退させられる。取手部616は、例えば、軸部612より大径の円柱状を成す。シャッタ580の後退位置は、図12に示すように、第2部材442に設けられたボールプランジャ618のボール620が、操作ロッド590の外周面に開口して形成された凹部622に嵌入させられることにより規定され、図17(a)に示すように、シャッタ580は閉塞部582がブッシュ516の内側空間の外に退避させられ、開口517を開いた開位置に位置する状態に保たれる。第2部材442はブッシュ516と同様に耐摩耗性に優れた高級材料により作られ、シャッタ580が滑らかに移動するようにされている。
なお、ケース412は、シャッタが嵌合される溝が上側の部材である第1部材側に形成されるように上下に分割されて形成されてもよい。
フィーダ本体410に設けられた前記案内通路500は、図10および図19に示すように、案内通路524から前方へY軸方向に平行に延び出させられた後、延出部である前部がX軸方向と平行となるように湾曲させられ、2つのバルクフィーダ402の各案内通路500の前端部が、部品受取位置に位置決めされた吸着ノズル172の軸線を含み、Y軸方向に平行な鉛直面内に位置し、Y軸方向に平行な方向に並ぶように設けられている。閉塞体532の案内通路500の前端部に対応する部分には、図23に示すように、その厚さ方向に貫通して開口が形成され、部品取出口628が形成されている。部品取出口628は、部品472を1個のみ取り出すことができる大きさとされており、フィーダ本体410の部品取出口628が設けられた部分が供給部を構成している。
フィーダ本体410が前記フィーダ移動装置420に移動させられ、2つのバルクフィーダ402が一体的にY軸方向に移動させられることにより、2つのバルクフィーダ402の供給部が1つずつ択一的に、吸着ノズル172の旋回軌跡の部品受取位置に対応する部分に対向する部品供給位置に択一的に位置決めされ、部品472を供給するようにされる。フィーダ本体410の移動位置は、本実施形態においては、フィーダ移動装置420を構成するエアシリンダのピストンの2つのストロークエンドにより規定され、2つのバルクフィーダ402の各供給部が部品供給位置に位置決めされる。本実施形態においては、フィーダ移動装置420が第3相対移動装置を構成している。
バルクフィーダ402は、図10に示すように、フィーダ本体410のアーム部422およびケース412がY軸方向に平行な姿勢で設けられ、2つのバルクフィーダ402の各アーム部422およびケース412はX軸方向に並んで設けられており、案内通路500が部品受取位置に向かって湾曲させられ、部品472の供給が可能とされている。2つのバルクフィーダ402は、基板搬送方向に平行な方向における寸法が小さくされるとともに、回転体180および吸着ノズル172との干渉を避けつつ、供給部が部品受取位置へ移動させられた吸着ノズル172の下方に位置するようにヘッド本体186に設けられているのであり、装着時における装着ヘッド132の回路基板40から基板搬送方向において一方の側、本実施形態においては上流側へのはみ出しを低減させることができ、装着ヘッド132について電子回路部品の広い装着範囲が得られる。また、装着ヘッド132がテープフィーダ50から電子回路部品を受け取る場合には、広い受取範囲が得られる。特に、吸着管197の基板保持装置22からの距離が最大である距離最大停止位置が部品受取位置とされることにより、吸着管197の下側には基板保持装置22との間にバルクフィーダ402の配設スペースが確保されるため、回転体180の高さを高くして配設スペースを確保することなく、バルクフィーダ402を配設することができ、装着ヘッド132の回路基板40からのはみ出しの低減にも有効である。
前記部品移動装置414は、本実施形態においては、空気の流れによって部品472をケース412側から供給部へ移動させる装置とされており、図19に示すように、フィーダ本体410内には、1つの案内通路500についてエア噴出通路630が複数、例えば、2つ、形成されている。これらエア噴出通路630は案内通路500に対して傾斜して設けられ、一端部は案内通路500に開口させられるとともに、他端部より、部品移動方向において下流側に位置するように設けられている。2つのエア噴出通路630の他端部は、フィーダ本体410内に形成された共通の通路632,フィーダ本体410外に設けられた接続通路634によって正圧源204に接続されている。
接続通路634には、電磁制御弁の一種である電磁開閉弁638が設けられている。電磁開閉弁638は常閉弁とされており、部品移動時に開かれ、エア噴出通路630から案内通路500に圧縮エアが噴出させられる。それにより、ケース412側から部品取出口628へ向かう向きの空気の流れが形成され、案内通路500内に1列に整列させられた部品472が供給部に向かって移動させられる。本実施形態においては、部品移動装置414および案内通路500が部品移動部を構成している。
部品472の移動はストッパ644により止められ、部品472は部品取出口628内に位置する部品取出位置に位置決めされ、供給部に位置決めされる。ストッパ644は、本実施形態においては、図19に示すように、部品受け646に設けられている。部品受け646は、図21に示すように、上方に開口させられた容器状を成し、4つの側壁のうちの1つである側壁648の上部に切欠650が形成され、側方に開放されている。この切欠650内にストッパ644が固定されている。
ストッパ644は薄い板状を成し、図20に示すように、多数の穴652が厚さ方向に貫通し、千鳥状に形成されている。穴652の直径は、空気の通過は許容するが、部品472の通過は阻止する大きさとされている。ストッパ644は、図19および図21に示すように、外面が側壁648の外面と同一面内に位置する状態で切欠650の下部に固定されている。部品受け646にはまた、側壁648と対向する側壁662の内側面の上部に緩衝材654が貼り付けられている。緩衝材654は、例えば、発泡ゴムにより作られ、切欠650およびストッパ644と対向させられている。
側壁648の外面には、図21に示すように、一対のレール664が上下方向に延びる姿勢で互いに平行に設けられ、被案内部ないし係合部を構成している。これらレール664は、横断面形状が台形状を成し、あり溝に嵌合されるものとされている。また、側壁648の一対のレール664の間の部分には、凹部666,668が上下方向に距離を隔てて設けられ、被係合部を構成している。フィーダ本体410のアーム部432の先端面には、図22に示すように、2つのあり溝670が上下方向に貫通して形成され、案内部ないし係合部を構成するとともに、それらあり溝670の間の部分にボールプランジャ672が設けられている。
部品受け646は、図23に示すように、一対のレール664がそれぞれあり溝670に嵌合され、ボールプランジャ672のボール674が凹部666,668の一方に選択的に嵌入させられることにより、フィーダ本体410との間に隙間がない状態でフィーダ本体410に固定される。これらボールプランジャ672および凹部666,668により、ストッパ644は、図23(a)に示すように、案内通路500に対向して塞ぎ、部品472の移動を止める作用位置ないし停止位置と、図23(b) に示すように、案内通路500の下方に位置し、その開口を解放する非作用位置ないし解放位置とに位置決めされる。部品受け646は、図23(a)に示す非収容位置と、図23(b)に示す収容位置とに位置決めされる。部品受け646は、非収容位置と収容位置とのいずれに位置する状態においても、緩衝材654が案内通路500と対向するとともに、案内通路500より上下両側に位置する状態となるように設けられている。なお、バルクフィーダ402の前記フィーダ移動装置420のエアシリンダ434および部品移動装置414の電磁開閉弁638は、装着ヘッド制御装置370により制御される。
本装着モジュール10は、図24に示すように、部品投入装置700を備えている。ここにおいては、前記2つのバルクフィーダ402は異なる種類のチップ部品472を供給するものとされている。そのため、部品投入装置700は2つ設けられ(図24には1つが代表して図示されている)、それぞれ異なる種類の部品472を保持し、保持した部品472と同種の部品472を供給するバルクフィーダ402に部品472を投入する。
部品投入装置700は、本実施形態においてはフィーダ保持台52に保持され、モジュール本体18により保持される。部品投入装置700は、装着ヘッド132のヘッド本体186を介することなく、モジュール本体18に保持されるのである。そのため、部品投入装置700の装置本体702は、テープフィーダ50のフィーダ本体80と同様に構成され、その底面に設けられたレール704においてフィーダ保持台52の溝56に嵌合される。また、装置本体702の長手方向の一端部である前端部の前面に設けられた一対の位置決め突部706,708が位置決め穴58,60に嵌合されて位置決めされるとともに、係合装置710によりフィーダ保持台52に固定される。さらに、コネクタ712がコネクタ52に接続される。
部品投入装置700は、装置本体702に設けられた部品収容部材たるケース720,部品搬送装置722および部品投入装置制御装置724を含む。ケース720は、幅が狭く、長さが長い扁平な形状を有し、装置本体702の長手方向の他端部である後端部に設けられ、収容部を構成している。ケース720内の空間730には、図25に示すように、天井部732に設けられた開口(図示省略)から部品472が投入され、ケース720の空間730の底部を構成する部分に設けられた排出口734から排出される。天井部732には、前記ケース412のシャッタ482と同様のシャッタ(図示省略)が設けられており、作業者により操作され、開口が開閉される。なお、図24においては、装置本体702を構成する複数の部材のうち、側板を外した状態が図示されている。
上記排出口734は空間730の長手方向の中央より前側に設けられ、図25に示すように、空間730の底面736のうち、排出口734より前側の部分は後側の部分より短く、後方ほど下方へ向かう向きに傾斜させられ、後側の部分は前方ほど下方へ向かう向きに傾斜させられ、前後いずれの部分も排出口734に向かって傾斜させられている。ケース720の排出口734が設けられた部分の下面は、前方ほど上方へ向かう向きに傾斜させられた傾斜面738とされ、排出口734の空間730側とは反対側の開口端縁は傾斜面738内に位置させられている。
部品搬送装置722は、本実施形態においては、図24に示すように、搬送部材としての無端の部品搬送ベルト750および搬送部材駆動装置としてのベルト周回装置752を含み、部品搬送部ないし部品移動部を構成している。ベルト周回装置752は、図24および図26に示すように、駆動源たる電動モータ754,案内部材の一種である回転案内部材たるガイドローラ756,758,760,762,764および電動モータ754により回転させられる駆動ローラ(図示省略)を含む。
ガイドローラ756〜764はそれぞれ、装置本体702に、幅方向に平行な軸線まわりに回転可能に取り付けられており、その前後方向と高さ方向との少なくとも一方の位置が互いに異ならされている。それにより、部品搬送ベルト750は、図25に示すように、排出口734の下方を通り、図24に示すように、後方から前方に向かって高くなる向きに傾斜させられた傾斜部770と、傾斜部770の前端から前方へ水平に延び出させられた水平部772とを含む。部品搬送ベルト750は、傾斜部770および水平部772においてそれぞれ、案内部材たるガイドレール774,776により下方から支持され、移動を案内される。部品搬送ベルト750は、水平部772を画定する2つのガイドローラ758,760のうち、前側のガイドローラ760に上側から巻き掛けられた後、後方へ水平に折り返され、ガイドローラ762によって駆動ローラへ案内されている。
部品搬送ベルト750の外面には、図26に示すように、その外面に複数の突部780が部品搬送ベルト750の長手方向において等間隔に突設されている。突部780は、図28に示すように、部品搬送ベルト750のガイドローラ756等に巻き掛けられる部分の幅より短く、前記ケース412の開口476の幅より短い長さの突条を成す。そのため、部品搬送ベルト750の内周面が巻き掛けられるガイドローラ756,758,760は、図28にガイドローラ756を代表で示すように、横断面形状が円形を成す巻掛部782の軸方向の両端部にそれぞれ、部品搬送ベルト750の幅方向の移動を規制する鍔部784を有するものとされている。また、部品搬送ベルト750の外周面が巻き掛けられるガイドローラ762,764は、図29にガイドローラ762を代表で示すように、ベルト750の突部780が設けられていない両縁部が巻き掛けられる巻掛部786,一対の鍔部788および突部780が収容される円環状の凹部790を有するものとされている。
装置本体702は複数の部材が一体的に組み付けられて成り、図30に示すように、部品搬送ベルト750を幅方向の両側および上方から覆う側壁部796,798および天井部800を備えている。天井部800には、その内側面に開口し、ちょうど突部780が収容される幅および深さの凹部802が部品搬送ベルト750の長手方向に平行に形成されている。それにより、部品搬送ベルト750に設けられた複数の突部780のうちの隣接する一対と、凹部802の底面およびベルト周回方向に平行な一対の側面とにより画定され、図27に示すように、平面視の形状が矩形を成す部品収容凹部804が複数、部品搬送ベルト750の長手方向に等間隔に形成されている。
装置本体702の部品搬送ベルト750の水平部772を覆う部分は、図26に示すように、ガイドローラ760より前方へ水平に延び出させられ、延出部810が設けられている。装置本体702の側壁部796,798の延出部810を構成する部分の下端部811,813は、図31に示すように、互いに接近する向きに延び出させられ、それら下端部811,813の下側に、図26および図31に示すように駆動部材812が設けられている。
駆動部材812は、平面視の形状が矩形を成し、バルクフィーダ402のケース412の天井部474に設けられた溝482と同じ幅を有し、長手方向が延出部810の長手方向に平行に設けられている。駆動部材812は、延出部810の前端からガイドローラ760より後部側に至る長さを有し、上下方向に貫通する開口が形成され、部品投入装置700の部品排出口814を形成している。部品排出口814は、長さが、ケース412の天井部474に設けられた開口476の長さより短くされ、幅は開口476の幅より狭くされている。駆動部材812の部品排出口814を画定する部分であって、駆動部材812の長手方向に隔たった2部分の上面は、図26に示すように、互いに接近するほど下方へ向かう向きに傾斜させられた傾斜面815,816とされている。また、側壁部796,798の下端部811,813の間隔は、図31に示すように部品排出口814より狭くされ、下端部811,813の内側面は、互いに接近する側ほど下方へ向かう向きに傾斜させられた傾斜面817,818とされている。そのため、チップ部品472を受け止める上向きの面がなく、部品排出口814および開口476を通ってケース412内に入ることが妨げられるチップ部品472が生じることが回避される。さらに、駆動部材812の長手方向に平行な一方の外側面には、ケース412の天井部474に設けられた溝484に嵌入可能なレール820が水平に設けられ、被案内部を構成している。
なお、ガイドローラ756等をそれぞれ回転可能に支持する各軸は、側壁部796,798に取り付けられているが、延出部810の幅は、上記軸を含めてバルクフィーダ402のケース412の幅より狭いものとされている。
部品投入装置制御装置724は部品投入装置制御コンピュータ822(図32参照)を主体として構成されており、電動モータ754のエンコーダ824が接続され、電動モータ754を制御する。このコンピュータ822は、コネクタ712,110の接続によりモジュール制御コンピュータ120に接続される。部品投入装置制御コンピュータ822のRAMには、図34に示す部品投入ルーチンが記憶させられている。
モジュール制御装置32は、図32に示すように、駆動回路830を介してリニアモータ142等、装着モジュール10を構成する種々の装置の駆動源等を制御し、制御回路832を介して表示画面834を制御する。制御回路832および表示画面834により報知装置たる表示装置836が構成され、文字,図形等により種々の情報等が表示される。報知装置としては、ランプの点灯,点滅、ブザーの鳴動,音声によるアナウンス,作業者が有する携帯端末への通信等、種々の態様で情報等を報知する装置が採用可能である。
モジュール制御コンピュータ120の入出力インタフェースには、基準マーク撮像装置28および部品撮像装置30の撮像により得られたデータを処理する画像処理コンピュータ840,X軸スライド移動装置150の電動モータ等に設けられたエンコーダ842(図32には1つが代表して図示されている),テープフィーダ制御コンピュータ114,装着ヘッド制御コンピュータ171,372および部品投入装置制御コンピュータ822等が接続されている。なお、装着ヘッド132の部品撮像装置240の撮像データは、装着ヘッド制御装置370からモジュール制御コンピュータ120を介して画像処理コンピュータ840へ送られ、処理される。そして、必要なデータがモジュール制御コンピュータ120から装着ヘッド制御コンピュータ372へ送られる。
入出力インタフェースにはまた、他の装着モジュール10のモジュール制御装置32および装着ライン全体を統括制御するライン制御装置844が通信ケーブル846を介して接続されている。さらに、モジュール制御コンピュータ120のRAMには、図33および図35にフローチャートで表すルーチンを始めとし、回路基板40への電子回路部品の装着のための種々のプログラムおよびデータ等が記憶させられている。
このプログラムの1つである生産プログラムには、電子回路部品が装着される回路基板40の種類,枚数,装着される電子回路部品の種類,数等が含まれる。また、別のプログラムである装着プログラムには、回路基板40の被装着面上に設定された部品装着箇所を規定する座標,各部品装着箇所に装着される電子回路部品の種類,電子回路部品を供給する部品フィーダの形態(バルクフィーダであるかテープフィーダであるか),部品供給装置指定データ,部品フィーダ指定データ,電子回路部品の装着姿勢等が装着順序と対応付けられたデータが含まれる。
部品供給装置指定データは、電子回路部品が装着ヘッド132の部品供給装置400により供給されるか基台38に設けられた部品供給装置24により供給されるかを指定するデータであり、電子回路部品が部品供給装置400により供給される場合には、ヘッド本体保持部品供給装置指定データが作成され、部品供給装置24により供給される場合には、モジュール本体保持部品供給装置指定データが作成される。ヘッド本体保持部品供給装置指定データは、装着部本体に保持された第1部品供給具による電子回路部品の供給を指定する第1部品供給具使用指定データであり、モジュール本体保持部品供給装置指定データは、装着部本体を介することなく、装着機本体に保持された第2部品供給具による電子回路部品の供給を指定する第2部品供給具使用指定データである。
部品フィーダ指定データは、同じ部品供給装置の複数の部品フィーダのうち、電子回路部品を供給する部品フィーダを指定するデータであり、例えば、装着部本体により保持された部品供給装置の部品フィーダは、その装着部本体における位置により指定され、装着機本体により保持された部品供給装置の部品フィーダは、その装着機本体における位置により指定される。2つのバルクフィーダ402により電子回路部品を供給する部品供給装置400についてはバルクフィーダ指定データが作成され、2つのバルクフィーダ402のうちバルク部品472を供給するバルクフィーダ402がヘッド本体186上におけるX軸方向の配設位置により指定される。2つのバルクフィーダ402の一体的に設けられたフィーダ本体410には、各バルクフィーダ402のケース412が取り付けられる取付部454がX軸方向に並んで設けられており、それら2つの取付部454のX軸方向における位置により、電子回路部品を供給するバルクフィーダ402が指定されるのである。複数のテープフィーダ50により電子回路部品を供給する部品供給装置24についてはテープフィーダ指定データが作成され、複数のテープフィーダ50のうち電子回路部品を供給するテープフィーダ50が、フィーダ保持台52におけるテープフィーダ50の保持位置により指定される。
装着ヘッド132による電子回路部品の回路基板40への装着を説明する。
電子回路部品装着ラインを構成する複数の装着モジュール10のうちの少なくとも1つにおいて第2X軸スライド148に装着ヘッド132が搭載され、電子回路部品の装着に使用される。ここにおいては、装着ヘッド132は、12個のノズルホルダ170の全部が同種の吸着ノズル172を保持し、バルクフィーダ402およびテープフィーダ50からそれぞれ電子回路部品を取り出して回路基板40に装着することとする。回路基板40に装着される電子回路部品の種類がバルクフィーダ402の数より多く、不足分の種類の電子回路部品がテープフィーダ50により供給される。また、回路基板24には24個の電子回路部品が装着され、そのうちの21個がバルク部品472、3個がテープフィーダ50により供給される電子回路部品(以後、場合によってテープフィーダ供給部品と称する)であり、1枚の回路基板40について装着ヘッド132が回転体180の2回転(以後、回転体180の1回転による装着を1サイクルと称する)で装着し、1サイクル目の装着において12個のバルク部品472を装着し、2サイクル目の装着において9個のバルク部品472および3個のテープフィーダ供給部品を装着することとする。
回路基板40は基板搬送装置20により装着モジュール10に搬入され、基板保持装置22により保持される。基板保持装置22は、回路基板40を保持する際および保持を解除する際には、それの支持部材およびクランプ部材が移動させられるが、保持後は移動せず、電子回路部品の装着作業中は静止状態を保つ。基板保持装置22により保持された回路基板40の基準マークが基準マーク撮像装置28により撮像され、複数の部品装着箇所の各位置誤差が算出される。この位置誤差には、X軸,Y軸方向の各位置誤差および回路基板40の被装着面に直角な軸線まわりの位置誤差である回転位置誤差が含まれる。
装着ヘッド132の12個の吸着ノズル172は、まず、回転体180の回転により順次、部品受取位置へ旋回させられ、バルクフィーダ402から部品472を取り出す。電子回路部品の装着時には、装着プログラムから電子回路部品の種類,部品供給装置指定データ,電子回路部品を供給する部品フィーダを指定するデータ,部品装着箇所等のデータが装着順に読み出される。装着プログラムから読み出されたデータは、モジュール制御コンピュータ120から装着ヘッド制御コンピュータ372へ送られ、そのデータに含まれるヘッド本体保持部品供給装置指定データおよびバルクフィーダ指定データに基づいてフィーダ移動装置420が制御され、指定されたバルクフィーダ402が部品供給位置に位置決めされ、設定された種類のバルク部品472を供給する。また、ヘッド本体保持部品供給装置指定データに基づいて昇降装置262およびバルブ切換装置300が作動させられ、部品受取位置において吸着ノズル172にバルク部品472を受け取らせる。
ノズルホルダ170は、部品受取位置において昇降装置262により下降させられるとともに、そのノズルホルダ170に対応して設けられた切換弁装置200のバルブスプール202がバルブ切換装置300により押し下げられて正圧供給位置から負圧供給位置へ移動させられ、吸着ノズル172に負圧が供給されてバルク部品472を吸着する。昇降装置262の駆動部材270は、ノズルホルダ170の係合部材210の係合突部222の旋回方向において下流側の端部が、駆動部材270のローラ290の下方に至った状態で下降させられ、ノズルホルダ170を押し下げる。ノズルホルダ170の旋回と下降とが並行して行われるのであり、この並行動作はローラ290の回転により許容される。
バルクフィーダ402においては、ストッパ644が停止位置に位置させられ、案内通路500内において先頭の部品472がストッパ644に当接し、部品取出位置に位置し、部品取出口628の下方に位置させられている。吸着ノズル172は、下降させられて部品472を吸着した後、上昇させられ、部品取出口628を通って部品472を案内通路500から取り出す。取出し後、エア噴出通路630から案内通路500へ圧縮エアが噴出され、部品472が供給部へ移動させられる。ストッパ644には複数の穴652が形成されており、エアが穴652を通ってストッパ644を抜け、空気の流れが得られる。先頭の部品472はストッパ644に当接して停止させられ、取出しに備えて待機させられる。
部品排出促進装置416は、ここにおいては、予め設定された数の部品472が供給される毎に作動させられる。作動時には、排出促進筒510が吸着ノズル172の下降と並行して下降端位置から上昇端位置へ上昇させられ、ケース412内のバルク部品472内に進入させられる。それにより、バルク部品472間のブリッジが解消されるとともに、案内面518が排出穴498より上方に位置させられ、パイプ520内へのバルク部品472の進入が案内される。排出促進筒510は、部品472の送りと並行して下降端位置へ下降させられる。
部品受取位置においてバルク部品472を受け取った吸着ノズル172は、回転体180の回転により部品撮像位置へ移動させられ、部品撮像装置240によりバルク部品472が撮像され、撮像データが画像処理されて吸着ノズル172によるバルク部品472の保持位置誤差が算出される。保持位置誤差には、X軸,Y軸方向の位置誤差および軸線まわりの位置誤差である回転位置誤差が含まれる。撮像後、回転体180の回転により部品装着位置へ至る吸着ノズル172は、昇降装置260により下降させられてバルク部品472を回路基板40の部品装着箇所に装着する。バルクフィーダ402がヘッド本体186に搭載されているため、吸着ノズル172によるバルクフィーダ402からのバルク部品472の受取りおよび吸着ノズル172に保持されたバルク部品472の撮像と並行して、装着ヘッド132をヘッド移動装置134により基板保持装置22に対して移動させ、吸着ノズル172を部品装着箇所上に位置決めし、保持したバルク部品472を回路基板40に装着させることができる。
この際、装着ヘッド132の移動位置の修正により、吸着ノズル172により保持されたバルク部品472および回路基板40の部品装着箇所の各X軸,Y軸方向の位置ずれが修正される。また、ノズルホルダ170がノズルホルダ回転駆動装置350により自身の軸線まわりに回転させられ、吸着ノズル172により保持されたバルク部品472および部品装着箇所の各回転位置誤差が修正される。また、それと同時に電子回路部品の保持方位の変更も行われる。ノズルホルダ回転駆動装置350は、12個のノズルホルダ170を同時に回転させるため、ノズルホルダ170の回転は、他のノズルホルダ170の回転角度を考慮して行われる。撮像に基づいてバルク部品472の回転位置誤差を取得する場合も同様である。全部のノズルホルダ170の同時回転のための制御等は、例えば、特開平10−163677号公報等により知られており、説明を省略する。
バルク部品472の装着時にも、ノズルホルダ170の旋回と下降とが並行して行われる。また、バルブ切換装置302により、負圧供給位置に位置するバルブスプール202が正圧供給位置へ上昇させられ、吸着ノズル172への負圧の供給が遮断されるとともに正圧が供給される。
バルクフィーダ402および部品撮像装置240は吸着ノズル172と共にヘッド本体186に設けられており、基板保持装置22に対して一緒に移動させられるとともに、12個の吸着ノズル172は回転体180の回転により、バルクフィーダ402および部品撮像装置240に対して移動させられる。そのため、装着ヘッド132の位置を問わず、部品受取位置に至った吸着ノズル172はバルクフィーダ402からバルク部品472を受け取ることができ、部品撮像装置に至った吸着ノズル172が保持する電子回路部品を部品撮像装置240に撮像させることができ、複数の吸着ノズル172のうちの1つによるバルク部品472のバルクフィーダ402からの取出し、別の1つが保持するバルク部品472の部品撮像装置240による撮像、およびさらに別の1つが保持するバルク部品472の回路基板40への装着を並行して行うことができる。
この並行動作により、1サイクル目の12個のバルク部品472の回路基板40への装着が行われる。さらに、ここでは、1サイクル目における12個のバルク部品472の装着に続いて2サイクル目の9個のバルク部品472の回路基板40への装着が行われ、1サイクル目のバルク部品472の装着と、2サイクル目のバルク部品472のバルクフィーダ402からの受取りおよび撮像とが並行して行われる。そして、9個の吸着ノズル172がバルク部品472を受け取って回路基板40に装着する。
2サイクル目では、3個のテープフィーダ供給部品が回路基板40に装着されるため、2サイクル目の9個のバルク部品472の装着終了後、装着ヘッド132は、12個の吸着ノズル172のいずれも電子回路部品を保持しない状態で部品供給装置24へ移動させられる。装着プログラムから読み出されたデータに含まれるモジュール本体保持部品供給装置指定データおよびテープフィーダ指定データに基づいてヘッド移動装置134が作動させられ、装着ヘッド132が指定されたテープフィーダ50へ移動させられ、現に部品受取装着位置に位置する吸着ノズル172およびその吸着ノズル172に回転体180の回転方向において上流側に隣接する2個の吸着ノズル172の合計3個の吸着ノズル172にテープフィーダ50から電子回路部品を受け取らせる。この際、モジュール本体保持部品供給装置指定データに基づいて、昇降装置260およびバルブ切換装置302が作動させられ、部品受取装着位置において吸着ノズル172によるテープフィーダ供給部品の受取りが行われる。部品供給装置指定データは、吸着ノズル172に、12個の停止位置のうちのいずれにおいて電子回路部品の受取りを行わせるかを指定する部品受取停止位置指定データでもあり、昇降装置260,262およびバルブ切換装置300,302のいずれを作動させるかを指定するデータでもある。
部品受取り後、回転体180が一挙に120度、回転させられてテープフィーダ供給部品を保持した先頭の吸着ノズル172、すなわち回転体180の回転方向において最も下流側に位置する吸着ノズル172が部品撮像位置へ移動させられ、テープフィーダ供給部品が撮像される。その後、回転体180の間欠回転により、残りの2個の吸着ノズル172が保持した各テープフィーダ供給部品が撮像された後、回転体180が一挙に120度、回転させられ、先頭の吸着ノズル172が部品受取装着位置へ移動させられ、テープフィーダ供給部品を回路基板40に装着する。その後、回転体180の間欠回転により、残りの2個の吸着ノズル172が部品受取装着位置へ移動させられ、保持したテープフィーダ供給部品を回路基板40に装着する。
そして、1枚の回路基板40について予定された全部の電子回路部品を装着する毎に、全部の吸着ノズル172が電子回路部品を保持せず、装着ヘッド132が空の状態とされ、その状態から次に搬入される回路基板40について電子回路部品の装着を行う。装着ヘッド132は、回路基板40への装着モジュール10への搬入時や基準マーク撮像装置28による基準マークの撮像時等に、吸着ノズル172にバルクフィーダ402からのバルク部品472の受取りを行わせるとともに、部品撮像装置240にバルク部品472を撮像させ、回路基板40への装着に備えさせることができる。装着ヘッド132の2サイクル目におけるテープフィーダ供給部品の回路基板40への装着と並行して、次の回路基板40に装着される1サイクル目のバルク部品472を吸着ノズル172に受け取らせることも可能である。
本装着モジュール10において装着ヘッド132は、ケース412にバルク部品472が収容されず、パイプ520および案内通路500にもバルク部品472がなく、バルクフィーダ402全体にバルク部品472が全く保持されていない空の状態で第2X軸スライド148に取り付けられ、回路基板40へのバルク部品472の装着開始に先立って、部品投入装置700によりケース412にバルク部品472が投入される。部品投入装置700によるケース412へのバルク部品472の投入は、必要に応じて、回路基板40へのバルク部品472の装着の途中にも行われる。
まず、モジュール制御コンピュータ120において図33に示す初期投入数設定ルーチンが実行され、2つのバルクフィーダ402についてそれぞれ、空のケース412に投入すべきバルク部品472の数である初期投入数が設定される。初期投入数は、目標投入量たる目標投入数である。
ステップ1(以後、S1と略記する。他のステップも同じ。)において、回路基板40の生産予定数、すなわち装着モジュール10により電子回路部品が装着されることが予定されている回路基板40の数が生産プログラムから読み出される。次いでS2において、1枚の回路基板40の生産のために2つのバルクフィーダ402の各々から供給すべきバルク部品472の数が生産プログラムから読み出される。そして、S3が実行され、S1,S2において読み出された回路基板40の生産予定数と1つのバルクフィーダ402の供給部品数との積が算出され、それにより得られる数に、吸着ノズル172によるバルク部品472の吸着ミスや装着ミス等のリカバリのために必要な数を加えた数が、予定数の回路基板40の生産のために、1つのバルクフィーダ402から供給されるバルク部品472の総数(以後、総バルク部品供給数と称する)とされる。
次いでS4において、2つのバルクフィーダ402の一方について、総生産時間が、そのバルクフィーダ402により供給されるバルク部品472の黒化限界時間より長いか否かが判定される。総生産時間は、生産予定数の回路基板40にそれぞれ、装着ヘッド132の前記2サイクルの動作によって21個のバルク部品472および3個のテープフィーダ供給部品を装着するために要する時間の総計であり、1枚の回路基板40について、基準マークの撮像,部品受取りおよび部品装着等のための装着ヘッド132の移動距離および移動速度等に基づいて生産時間を算出し、その生産時間に生産予定数を掛けることにより算出される。なお、ここでは、単純化のために、部品排出促進装置416によるケース412からパイプ520へのバルク部品472の排出促進動作に起因するバルク部品472の黒化は無視することとするが、この黒化を考慮して総生産時間を算出してもよい。
黒化は、装着ヘッド132が移動させられる際にケース412内においてバルク部品472が擦れ合うことにより生じ、移動時間が長いほど黒化が進行し、やがて電子回路部品として使用不可能となる。黒化限界時間は、バルク部品472が使用不可能なほど黒化が進行することがないことが保証される範囲でできる限り長い時間であり、バルク部品472の種類毎に予め実験により取得され、バルク部品472の種類と対応付けてモジュール制御コンピュータ120のRAMに設けられた黒化時間メモリに記憶させられている。黒化時間メモリは記憶手段を構成している。他のメモリについても同様である。
総生産時間が黒化限界時間より長いのであればS8が実行され、黒化限界を超えない範囲での最大部品供給数が初期投入数に設定され、一方のバルクフィーダ402にバルク部品472を投入する部品投入装置700の制御コンピュータ822へ出力される。バルクフィーダ402と部品投入装置700とは、バルクフィーダ402が供給するバルク部品472の種類によって対応付けられる。黒化限界を超えない範囲での最大部品供給数は、例えば、黒化限界時間内に生産可能な回路基板40の枚数を算出し、その枚数に、1枚の回路基板40に装着するために一方のバルクフィーダ402により供給されるバルク部品472の数を掛けることにより算出される。ここでは、この最大部品供給数が目標供給量たる目標供給数である。
次いでS9が実行され、S8において算出された最大部品供給数がケース412の上限供給可能量たる上限供給可能数以上であるか否かが判定される。上限供給可能数はケース412に適正に(例えば、上部に適正な空間が残る状態で)収容できるバルク部品472の最大数であり、バルク部品472の種類毎に予め設定され、バルク部品472の種類と対応付けてモジュール制御コンピュータ120のRAMに設けられた上限供給可能数メモリに記憶させられている。
最大部品供給数が上限供給可能数より少ないのであれば、S9がNOになってS10が実行され、最大部品供給数が初期投入数に設定され、一方のバルクフィーダ402にバルク部品472を投入する部品投入装置制御コンピュータ822へ出力される。S10においてはまた、初期投入数である最大部品供給数が、バルクフィーダ402から供給可能なバルク部品472の量である供給可能数の初期値として、モジュール制御コンピュータ120のRAMに設けられた供給可能数初期値メモリにバルクフィーダ特定データと対応付けて記憶させられる。初期投入数は、ケース412に当初収容されるバルク部品472の数であって、下記の追加投入実行時期を決定するために、バルク部品472が1個供給される毎の減算が開始されるべき数である。また、S4の判定結果がYESになって初期投入数が設定される場合、初期投入数は総バルク部品供給数より少ない。黒化限界時間が総生産時間より短く、黒化限界時間以下の時間内に供給されるバルク部品472の数は、総バルク部品供給数より少ないからである。そのため、予定数の回路基板40へのバルク部品472の装着の途中に、バルクフィーダ402へのバルク部品472の補給ないし追加投入が必要であり、その旨がバルクフィーダ特定データと対応付けてモジュール制御コンピュータ120のRAMに設けられた補給要否メモリに記憶させられる。
最大部品供給数がケース412の上限供給可能数以上であれば、S9がYESになってS11が実行され、ケース412の上限供給可能数が初期投入数に設定される。そして、初期投入数の部品投入装置制御コンピュータ822への出力,部品補給要の記憶,初期投入数である上限供給可能数の部品供給可能数の初期値への設定が行われる。この場合、目標供給数が上限供給可能数以上となり、上限供給可能数が目標供給数であると考えることもできる。
それに対し、総生産時間が黒化限界時間以下であればS5が実行され、総バルク部品供給数がケース412の上限供給可能数以下であるか否かが判定される。総バルク部品供給数がケース412の上限供給可能数以下であれば、S6が実行され、一方のバルクフィーダ402についてS3において算出した総バルク部品供給数が初期投入数に設定され、部品投入装置制御コンピュータ822へ出力される。この場合、バルク部品472の補給は不要であり、その旨がバルクフィーダ特定データと対応付けて補給要否メモリに記憶させられる。供給可能数の初期値の設定は行われない。ここでは、総バルク部品供給数が目標供給数である。
総生産時間が黒化限界時間以下であるが、総バルク部品供給数がケース412の上限供給可能数より多い場合にはS5がNOになり、S7がS11と同様に実行される。総生産時間が短くても、回路基板1枚あたりのバルク部品472の装着数によっては、ケース412の上限供給可能数を超えることがあるのである。
S6,S7,S10,S11のいずれかの実行後、S12が実行され、全部のバルクフィーダ402について初期投入数が設定されたか否かが判定される。ここではまだ、2つのバルクフィーダ402の一方について初期投入数が設定されたのみであるため、S12がNOになり、他方のバルクフィーダ402についてS4〜S11が実行される。
2つのバルクフィーダ402について初期投入数が設定されれば、S13が実行され、装着ヘッド132の移動により、2つのバルクフィーダ402のうち、予め設定された一方が、そのバルクフィーダ402のケース412にバルク部品472を投入する部品投入装置700へ移動させられる。装着ヘッド132は、バルクフィーダ402のX軸方向の位置が部品投入装置700と一致する位置へ移動させられた後、Y軸方向へ移動させられ、部品投入装置700に接近させられる。
それに伴って、図36(a)に示すように、ケース412のシャッタ480が部品投入装置700の駆動部材812に接近させられ、図36(b)に示すように、溝482に駆動部材812が嵌合される。また、レール820が案内溝484に嵌合され、ケース412の駆動部材812に対する移動を案内する。そして、シャッタ480が駆動部材812に当接した後は、シャッタ480がスプリング494の付勢力に抗して後退させられ、開口476が開かれる。装着ヘッド132は部品投入装置700に対して予め設定された位置であって、図36(b)に示すように、シャッタ480が開位置へ移動させられて開口476全体が開かれ、駆動部材812の部品排出口814と対向し、連通して部品投入状態が得られる位置まで移動させられる。この位置が部品投入位置であり、部品排出口814は平面視において開口476の内側に位置させられる。移動後、移動完了を表す信号がモジュール制御コンピュータ120から部品投入装置制御コンピュータ822へ出力される。
部品投入装置700においては、図34に示す部品投入ルーチンが実行され、ケース412へのバルク部品472の投入が行われる。まず、S21においてバルクフィーダ402の移動が完了したか否か、すなわち装着ヘッド132が予め設定された部品投入位置へ移動させられてケース412の開口476が開かれたか否かの判定が行われる。モジュール制御装置32から移動完了信号が出力されれば、S21がYESになり、S22において電動モータ754が起動され、部品搬送ベルト750が周回させられる。
それにより、バルク部品472が収容された先頭の部品収容凹部804であって、水平部772の先端に至った部品収容凹部804が下向きになってバルク部品472がバラバラの状態で落下し、側壁部796,798の下端部811,813の間,部品排出口814,開口476を通ってケース412内に落下させられる。部品収容凹部804から出たバルク部品472の部品排出口814への進入は、傾斜面815,816,817,818により案内される。また、部品搬送ベルト750の移動に伴って、図25に示すように、空の部品収容凹部804が順次、ケース720の排出口734と対向する位置に至り、ケース720内のバルク部品472が排出口734を通って部品収容凹部804内に入る。
S23では、バルク部品472のケース412への実際の投入量である実投入数が目標投入数、ここでは初期投入数に到達したか否かが判定される。S23の判定は、部品搬送ベルト750を周回させる電動モータ754の回転角度が設定回転角度以上になったか否かにより行われる。1つの部品収容凹部804に収容されるバルク部品472の平均値は予め取得されており、その数と目標投入数とから、ケース412に部品を投入させる部品収容凹部804の数が得られる。そして、この設定数の部品収容凹部804にバルク部品472を投入させるために必要な部品搬送ベルト750の送り量が設定され、電動モータ754の回転角度が設定されてS23の判定に使用される。設定回転角度は、部品投入装置制御コンピュータ822において設定される。電動モータ754の回転角度から、バルク部品472を投入した部品収容凹部804の数を求め、1つの部品収容凹部804における部品収容数を掛けることにより実投入数を算出し、目標投入数と比較してもよい。
電動モータ754の回転角度が設定回転角度以上になり、実投入数が目標投入数に達するまでS23が繰返し実行される。実投入数が目標投入数に達すれば、S24が実行され、電動モータ754が停止させられる。電動モータ754は停止後、逆方向に回転させられ、部品搬送ベルト750が設定距離戻される。設定距離は、バルク部品472が収容された先頭の部品収容凹部804が水平で上向きの状態となることが保証される距離であり、例えば、部品収容凹部804の2つ分の距離戻される。先頭の部品収容凹部804には、予定数のバルク部品472の全部が収容されているとは限らず、一部が落ちて供給されていてもよい。
部品搬送ベルト750を戻すことにより、投入終了時に、バルク部品472が収容された先頭の部品収容凹部804が傾いた状態で部品搬送ベルト750が停止させられ、部品収容凹部804内にバルク部品472が残ることがあっても、その部品収容凹部804は水平で上向きの状態となり、部品収容凹部804からバルク部品472が落下しないことが保証される。そのため、部品投入開始時には、部品搬送ベルト750はまず、上記戻し距離に等しい距離、前方へ送られ、その後、電動モータ754の回転角度が設定回転角度以上になるまで送られる。この部品収容凹部804に残った分、バルク部品472が余分にケース412に投入されることとなるが、投入量全体に比較すれば少なく、支障はない。部品搬送ベルト750の戻し後、バルク部品472の投入終了を表す信号がモジュール制御コンピュータ120へ出力される。
部品投入の間、初期投入数設定ルーチンにおいてはS14が繰返し実行されている。部品投入装置制御コンピュータ822から部品投入終了信号が出力されれば、S14の判定がYESになってS15が実行され、2つのバルクフィーダ402について部品投入が行われたか否かが判定される。ここではまだ、2つのバルクフィーダ402について部品投入が済んでいないため、S15の判定がNOになり、他方のバルクフィーダ402についてS13およびS14が実行される。装着ヘッド132はまず、Y軸方向において一方のバルクフィーダ402が部品投入装置700から離間する向きに移動させられる。それにより、装着ヘッド132は、駆動部材812が溝482から抜け出せられ、開口476が部品排出口814から離間した離間位置へ移動させられるとともに、シャッタ480がスプリング494の付勢により移動させられて開口476が閉じられ、部品排出口814との連通を遮断する遮断状態が得られる。装着ヘッド132は、ケース412全体が部品投入装置700の延出部810から外れるまでY軸方向へ移動させられた後、他方のバルクフィーダ402が、そのバルクフィーダ402のケース412にバルク部品472を投入する部品投入装置700へ移動させられる。
他方のバルクフィーダ402の部品投入装置700に対する位置決め,シャッタ480の開閉および部品投入は、一方のバルクフィーダ402と同様に行われ、投入が終了すれば、部品投入終了信号が部品投入装置制御コンピュータ822からモジュール制御コンピュータ120へ送られる。それによりS14の判定がYESになり、S15の判定もYESになってS16が実行され、投入終了が表示画面834に表示され、報知される。ケース412に上限供給可能数のバルク部品472が入れられる場合、供給可能数が上限に達したとき、報知が行われることとなる。また、装着ヘッド132は基板保持装置22へ移動させられ、回路基板40へのバルク部品472の装着が開始される。投入終了は、1つのバルクフィーダ402について部品投入が終了する毎に報知されてもよい。
回路基板40へのバルク部品472の装着時には、モジュール制御コンピュータ120において図35に示す追加投入数設定ルーチンが実行される。このルーチンは、2つのバルクフィーダ402の各々について別々に実行される。以下、1つのバルクフィーダ402についての追加投入数の設定を説明する。
まず、S31において部品の補給が必要であるか否かの判定が行われる。この判定は、バルクフィーダ402についてバルク部品472の初期投入数が設定される際に、補給が必要とされたか否かにより行われる。初期投入数が総バルク部品供給数に設定されていれば、予定数の回路基板40への装着に必要な数のバルク部品472がバルクフィーダ402に保持されているため、補給は不要であり、S31の判定はNOになり、ルーチンの実行は終了する。
初期投入数が総バルク部品供給数より少なく、部品補給が必要であれば、S32が実行され、バルク部品472が吸着ノズル172によってバルクフィーダ402から取り出されたか否かが判定される。追加投入数設定ルーチンが実行されるバルクフィーダ402についてバルク部品472の取出しが行われたのであれば、S33が実行され、バルクフィーダ402が供給することが可能なバルク部品472の数である供給可能数が1減算させられる。供給可能数の初期値は、S7,S10,S11のいずれかにおいて初期投入数に設定されている。
そして、S34が実行され、供給可能数が設定下限数以下であるか否かが判定される。設定下限数は、バルクフィーダ402にまだバルク部品472が残っているが、供給を続ければ、例えば、装着ヘッド132の複数の吸着ノズル172によるバルク部品472の受取りの途中でバルク部品472がなくなったり、吸着ミスあるいは装着ミスのリカバリが行われれば、バルク部品472が不足したりする恐れがある数に設定されている。供給可能数が設定下限数より多い状態では、S34はNOになってルーチンの実行は終了する。
供給可能数が設定下限数以下になれば、S35が実行され、未装着部品数が初期投入数より多いか否かの判定が行われる。未装着部品数は、生産予定数の回路基板40についてバルクフィーダ402から供給すべきバルク部品472のうち、まだ装着されていないバルク部品472の数であり、総バルク部品供給数から既に装着の済んだバルク部品472の数を引くことにより得られる。装着済み部品数は、装着の済んだ回路基板40の数,1枚当たりのバルク部品472の装着数,1枚の回路基板40への装着の途中であれば、さらに、その回路基板40に装着されたバルク部品472の数により得られる。
未装着部品数が初期投入数より多いのであれば、S36が実行され、初期投入数から設定下限数を引いた数が、部品投入装置700がバルクフィーダ402に追加で投入する部品数に設定され、部品投入装置制御コンピュータ822へ出力される。そして、S37の実行により、装着ヘッド132が部品投入装置700へ移動させられ、部品投入装置700によるバルク部品472の投入が行われる。部品投入装置700においては部品投入ルーチンが実行され、追加投入数を目標投入数として、初期投入時と同様にバルク部品472の投入が行われる。但し、電動モータ754の設定回転角度は、追加投入数に基づいて設定される。部品投入が終了すれば、部品投入終了信号の出力に基づいてS38の判定がYESになってS39が実行され、投入終了が報知されるとともに、装着ヘッド132が基板保持装置22へ移動させられ、回路基板40へのバルク部品472の装着が再開される。
未装着部品数が初期投入数以下になれば、S40が実行され、未装着部品数から設定下限数を引いた数が追加投入数に設定されて部品投入装置制御コンピュータ822へ出力され、部品投入装置700によりバルク部品472の追加投入が行われるようにされる。この場合、更なるバルク部品472の投入は不要であるため、部品補給要に代えて部品補給不要が補給要否メモリに記憶させられる。そのため、次にS31が実行されるとき、その判定はNOになり、S32〜S40がスキップされる。
バルクフィーダ402からの部品の強制排出を説明する。
強制排出は、本実施形態においては、ケース412および送り通路500について行われ、バルクフィーダ402全体が空にされる。強制排出は、例えば、バルクフィーダ402が供給する部品の種類が変わる場合や、装着モジュール10において装着ヘッド132を用いた電子回路部品の回路基板への装着が終了する場合に行われる。この際、まず、装着ヘッド132が、その移動領域内において予め設定された部品排出作業位置、例えば、前後方向においては装着モジュール10の最も前側であって、左右方向においては中央の位置へ移動させられて停止させられる。
そして、作業者はケース412をフィーダ本体410から外す。この際、まず、図37に示すように、排出促進筒510が排出促進筒駆動装置512により、その上端面がパイプ510の上端面および排出穴498と同一平面内に位置するケース取外し位置へ上昇させられる。その状態で作業者は操作部610を持ち、操作ロッド590に前進方向の力を加えてボールプランジャ618のボール620を凹部622から抜け出させ、操作ロッド590との係合を外す。それにより、操作ロッド590がスプリング614の付勢力により前進させられ、シャッタ580が閉位置へ移動させられ、図38に示すように、空間470の下側の開口517を閉じる。この際、シャッタ580は、閉塞部582が排出促進筒510およびパイプ520の上端面と、それら上端面上に載っているバルク部品472との間に分け入り、すくい上げつつ前進させられる。
開口517がシャッタ580により閉じられた後、作業者はケース412を上方へ持ち上げ、図39に示すように、ボールプランジャ446のボール450を凹部460から抜け出させ、ケース412をフィーダ本体410から外す。作業者は外したケース412を装着モジュール10外に設けられた部品収容器(図示省略)へ持って行き、ケース412を逆さまにし、シャッタ480を開いてバルク部品472を部品収容器に収容させ、ケース412を空にする。作業者は空のケース412の凹部444を取付部454に嵌合してフィーダ本体410に取り付け、シャッタ580を開位置へ移動させ、開口517を開く。空のケース412には部品投入装置700により電子回路部品が投入される。
パイプ520および案内通路500内に残ったバルク部品472は、部品移動装置414によって前方へ送られ、部品受け646に受けられる。この際、ストッパ644は解放位置へ移動させられて案内通路500を解放し、部品受け646は収容位置に位置させられる。そのため、エア噴出通路630からエアが噴出され、空気の流れによってバルク部品472が案内通路500を前方へ移動させられるとき、バルク部品472は案内通路500から飛び出して部品受け646に受けられる。この際、バルク部品472は緩衝材654に当たって部品受け646との衝突の衝撃が緩和され、破損を回避されて落下し、部品受け646に収容される。
全部のバルク部品472の排出後、作業者は部品受け646をフィーダ本体410から外し、収容されたバルク部品472を回収する。作業者は、部品受け646をあり溝670に沿って上方あるいは下方へ移動させてフィーダ本410から外し、収容されたバルク部品472を部品収容器に収容させる。バルク部品472の回収後、レール664をあり溝670に嵌合させて部品受け646をフィーダ本体410に非収容位置に位置する状態で取り付け、ストッパ644が停止位置に位置させられる。
装着ヘッド132の使用終了に伴ってバルク部品472の強制排出を行う場合、装着ヘッド132を第2X軸スライド148から取り外した状態で行ってもよい。案内通路500およびパイプ520内のバルク部品472の強制排出は、装着ヘッド132が第2X軸スライド148に取り付けられた状態で行い、ケース412内のバルク部品472の強制排出は、装着ヘッド132が第2X軸スライド148から取り外された状態で行ってもよく、両方共に装着ヘッド132が第2X軸スライド148に取り付けられた状態で行われてもよい。
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、昇降装置262が第1接近,離間装置たるノズルホルダ進退装置を構成し、昇降装置260が第2接近,離間装置および第3接近,離間装置を構成し、第3接近,離間装置が第2接近,離間装置を兼ねている。また、シャッタ480およびヘッド移動装置134が連通,遮断装置を構成している。ヘッド移動装置134は、バルクフィーダ402と部品投入装置700とを相対移動させ、シャッタ480を開位置と閉位置とにさせる相対移動装置ないしシャッタ駆動装置でもある。さらに、モジュール制御装置32のヘッド移動装置134を制御し、装着ヘッド132を部品投入位置と離間位置とに移動させる部分が部品投入制御部を構成している。さらにまた、ケース412がフィーダ本体410に対して着脱可能とされた構成と、フィーダ本体410に着脱可能に取り付けられた部品受け646と、モジュール制御装置32の部品移動装置414を制御し、パイプ520および案内通路500内のバルク部品472を送って部品受け646に収納させる部分が強制排出手段を構成している。
また、モジュール制御コンピュータ120のS1〜S3およびS6を実行する部分が第1目標供給量決定部を構成し、S4,S8およびS10を実行する部分が第2目標供給量決定部を構成し、これらが目標供給量設定部を構成している。さらに、モジュール制御コンピュータ120のS6,S7,S10およびS11を実行する部分が初期投入量決定部および初期保持量決定部を構成し、S36およびS40を実行する部分が追加投入量決定部を構成し、これらが目標投入量設定部を構成している。モジュール制御コンピュータ120のS7,S11を実行する部分はまた、収納部上限供給可能量依拠初期投入量決定部および収納部上限供給可能量依拠初期保持量決定部を構成しており、収納部上限供給可能量依拠目標供給量設定部を構成していると考えることもできる。
さらに、部品投入装置制御コンピュータ822のS23を実行する部分が実投入量検出装置を構成し、S24を実行する部分が自動投入停止部を構成している。さらに、モジュール制御コンピュータ120のS16,S39を実行する部分が投入終了報知部を構成し、S33を実行する部分が供給可能量検出装置を構成し、S37を実行する部分が投入開始制御部を構成している。
なお、S4およびS5が省略され、S6が行われる態様が、黒化に起因する性能低下の限界に関係なく、目標供給量を決定する第1目標供給量決定部の一例である。
上記実施形態においては、装着ヘッド132によるバルク部品472およびテープフィーダ供給部品の受取りおよび装着について単純なケースを説明したが、電子回路部品の受取り等の作動および制御はこれに限定されるものではない。例えば、12個の吸着ノズル172によってバルク部品472とテープフィーダ供給部品とが少なくとも1個ずつ交互に受け取られ、回路基板40に装着されるようにしてもよく、複数のサイクルの各々においてバルク部品とテープフィーダ供給部品との両方の受取りおよび装着が行われるようにしてもよい。あるいは、1サイクルにおいてテープフィーダ供給部品のみの受取りおよび装着が行われるようにしてもよい。
また、1枚の回路基板にバルク部品のみが装着され、装着ヘッド132が吸着ノズル172と一緒に移動するバルクフィーダ402からのみ電子回路部品を受け取って回路基板に装着するようにしてもよい。場合によっては、装着ヘッド132をテープフィーダ供給部品のみの装着に使用することも可能である。
さらに、バルクフィーダ402の案内通路500およびパイプ520内に残った部品の強制排出は、部品受取位置において吸着ノズル172にバルク部品472を受け取らせ、部品受取位置より、回転体180の回転方向において下流側の停止位置に設けられた部品収容位置においてバルク部品472を解放させ、部品収容位置に設けられた部品収容器に収容させることにより行うようにしてもよい。部品収容器はヘッド本体186に設けられてもよく、モジュール本体18に設けられてもよい。いずれにしても、部品収容器は着脱可能に設けられ、作業者が取り外して収容されたバルク部品472を回収する。
また、バルクフィーダの収納部への電子回路部品の実投入量の検出は、投入時間の計測により行われてもよく、部品排出口と部品受入口との少なくとも一方を通る電子回路部品の数のカウントにより行われてもよい。投入時間は、例えば、部品搬送ベルトの移動時間の計測や、部品排出口と部品受入口との少なくとも一方における電子回路部品の通過時間の計測により取得される。
部品投入装置にシャッタを設け、部品排出口を開閉させるようにしてもよい。その一例を図40〜図45に基づいて説明する。
本実施形態の部品投入装置900は、図40に一部を示すように、シャッタ902が設けられて部品排出口904が開閉させられることを除き、前記実施形態の部品投入装置700と同様に構成されている。部品投入装置900について、部品投入装置700の構成要素と同じ作用を成す構成要素には同一の符号を付して対応関係を示し、説明を省略する。
シャッタ902は、図40および図44に示すように、直方体状を成し、バルクフィーダ402のケース412の天井部474に設けられた溝482に嵌合可能な幅を有する。シャッタ902の長手方向の一方の側部である前部に、厚さ方向に貫通して開口910が形成されている。開口910は、図42に示すように横断面形状が矩形を成し、幅および長さがいずれも、天井部474に設けられた開口476より小さいものとされている(図45(b)参照)。また、シャッタ902の両側面の長手方向の他端部にはそれぞれ、被案内部たるレール912が長手方向に平行に設けられている。
部品投入装置900の装置本体920の前端部に設けられた延出部922には、図40および図43に示すように、その部品搬送ベルト750およびガイドローラ760等が収容された収容空間923より下側の部分に、前端面および下面に開口させられ、延出部922の長手方向に延びる溝924が形成されている。この溝924の底壁であって、溝924と収容空間923とを仕切る仕切壁926には、厚さ方向ないし上下方向に貫通して開口が形成され、部品排出口904を構成している。部品排出口904は横断面形状が矩形を成し、その4つの側面928はそれぞれ、収容空間923側から溝924側に向かうに従って互いに接近する向きに傾斜させられた傾斜面とされ、溝924に開口させられた部分は、シャッタ902の開口910より小さくされている。
溝924の長手方向に平行な両側壁部にはそれぞれ、図40および図43に示すように、溝924に開口し、長手方向に延びる案内溝930が形成され、案内部を構成している。シャッタ902は、1対のレール912が案内溝930に長手方向に摺動可能に嵌合されるとともに、溝924の後端面との間に配設された圧縮コイルスプリング932(図41参照)により、装置本体920から前方へ突出する向きに付勢されている。
このスプリング932の付勢によるシャッタ902の前進限度は、図41に示すように、シャッタ902の上面に突設された係合突部934が、仕切壁926に形成された係合凹部たる長穴936の前側の端面に係合することにより規定される。その状態では、シャッタ902は、開口910が装置本体902より前方へ突出させられるとともに、シャッタ902の長手方向の他方の部分である後部が部品排出口904を塞ぐ閉位置に位置させられる。スプリング932の付勢力は、ケース412のシャッタ480を閉位置に向かって付勢するスプリング494の付勢力より大きくされている。部品投入装置900においては、部品472をケース412に投入しないときには、シャッタ902が閉位置に位置させられ、収容空間923からの部品472の落下が防止されている。
部品投入時には、装着ヘッド132の移動により、ケース412が部品投入装置900に対してX軸方向において位置決めされた状態で、Y軸方向において部品投入装置900に向かって移動させられる。そして、図45(a)に示すように、溝482にシャッタ902が嵌合されてシャッタ480に当接する。その状態から更にケース412が移動させられるが、シャッタ480を閉位置に向かって付勢するスプリング494の付勢力より、シャッタ902を閉位置に向かって付勢するスプリング932の付勢力の方が大きくされているため、シャッタ902は装置本体920に対して移動させられず、図45(b)に示すように、シャッタ480がスプリング494の付勢力に抗して開位置へ移動させられつつ、ケース412が部品投入装置900に向かって移動させられる。
本実施形態においては、シャッタ480のケース412に対する移動端は、案内突部490が案内溝486の案内溝488側とは反対側の端面に当接することにより規定される。それにより、シャッタ902のケース412に対する移動端も規定され、図45(b)に示すように、シャッタ480が開位置に位置させられて開口476が開かれるとともに、シャッタ902の開口910が開口476と重なった状態となる。
この状態から更に装着ヘッド132が部品投入装置900側へ移動させられるが、シャッタ902のケース412に対する移動が止められているため、ケース412はシャッタ902をスプリング932の付勢力に抗して装置本体920に対して移動させる。シャッタ902の移動は、レール912および案内溝930により案内される。装着ヘッド132は、図45(c)に示すように、シャッタ902が開位置に位置し、部品排出口904が開口910,476と重なり、開かれた状態となる位置まで移動させられ、停止させられる。そして、部品搬送ベルト750が移動させられ、部品472が部品排出口904,開口910,476を通ってケース412内の空間470に投入される。
部品投入が終了したならば、装着ヘッド132が部品投入装置900から離間する向きに移動させられる。この際、まず、シャッタ902はスプリング932の付勢により、ケース412に追従して装置本体920に対して移動させられ、シャッタ480が開位置に位置する状態を保ってシャッタ902が閉位置へ移動させられ、図45(b)に示すように、部品排出口904を閉じる。そして、係合突部934が長穴936の前側の端面に当接し、シャッタ902の装置本体920に対する移動が止められた後は、図45(a)に示すように、ケース412がシャッタ902および装置本体920に対して移動させられ、シャッタ480がスプリング494の付勢により前進させられて開口476が閉じられる。
このように本実施形態の部品投入装置900においては、部品排出口904がシャッタ902によって開閉させられるため、部品投入終了後、シャッタ902が閉じられれば部品が装置本体920から落ちることがなく、部品が収容された先頭の部品収容凹部804から部品が落ちないようにするために部品搬送ベルト750を戻さなくて済む。投入後、シャッタ902によって部品排出口904が閉じられた状態で部品収容凹部804から部品が落ちることがあっても、その部品472はシャッタ902により受けられる。この部品472は、次回のケース412への部品投入時に部品排出口904が開かれる際に、側面928により装置本体920に対する移動を止められてシャッタ902に対して移動させられ、部品排出口904が開かれれば、部品排出口904および開口910,476を通ってケース412に投入される。また、部品投入装置900の部品排出口904の方がケース412の開口476より後で開かれ、先に閉じられるため、収容空間923内において部品収容凹部804から落ちた部品472がケース412以外の空間へ落下することが回避される。
バルクフィーダの収納部をフィーダ本体から取り外す場合、収納部の部品流出側開口を形成する部分の外周に近接させて磁石を設け、収納部からの部品の流出が防止されるようにしてもよい。その一例を図46および図47に基づいて説明する。
本実施形態のバルクフィーダ950は、シャッタ580に代えて電磁石952が設けられることを除いて、前記バルクフィーダ402と同様に構成されており、同じ作用を成す構成要素には同一の符号を付して対応関係を示し、説明を省略する。
本バルクフィーダ950のケース960は、空間470および嵌合穴514が設けられる部分が一体的に構成され、ケース960の嵌合穴514のブッシュ516が嵌合される部分であって、下降端位置に位置する排出促進筒510より上側の部分を形成する部分に電磁石952が埋設されている。電磁石952は1対、嵌合穴514の直径方向に隔たって設けられている。
1対の電磁石952はそれぞれ、図47に示すように、鉄心962にコイル964が巻かれたものであり、嵌合穴514の中心線と直交する姿勢で設けられ、1対の電磁石952の各コイル964は巻き方向が逆方向にされている。1対の電磁石952の各コイル964はコード966に接続され、コード966は、装着ヘッド132の電源コネクタ968に接続されたコード970にプラグ972によって接続される。コード970の途中には、スイッチ974が設けられている。このスイッチ974は、作業者の手動操作によって開閉が切り換えられる手動スイッチであり、その切換えにより、2つのコイル964に電流が供給され、供給が遮断される。
ケース960がフィーダ本体410に取り付けられた状態では、コード966がコード970に接続されているが、スイッチ974は開位置にあって開かれている。そのため、電磁石952に電流が供給されず、電磁石952は消磁状態にあって、開口517からの部品472の流出が許容された流出許容状態とされている。
ケース960をフィーダ本体410から取り外す際には、作業者はスイッチ974を閉位置に切り換える。それにより、1対の電磁石952の各コイル964に電流が供給され、磁化状態とされる。2つの電磁石952の各鉄心962の互いに対向する端部には異なる磁極が発生させられ、それらの間に発生させられる磁界により、ブッシュ516内において、下降端位置に位置する排出促進筒510の上側にある複数の部品472の各電極が磁化される。それにより、部品472が互いに吸着させられてつながるとともに、ブッシュ516の内周面に押し付けられて開口517からの落下が防止される。
そのため、作業者は、電磁石952に電流が供給されたままの状態でケース960をフィーダ本体410から外し、開口517を上に向けてケース960から部品472が落ちることがないようにした後、スイッチ974を開位置に切り換えるとともに、コード966をコード970から外す。そして、作業者はケース960を装着モジュール10外に設けられた部品収容器へ持って行き、シャッタ480を開いて開口476から部品472を排出させて部品収容器に収容させる。
部品供給具を複数、それらの供給部が回転体の回転に伴う吸着ノズルの旋回軌跡に対向する円弧に沿って並べて設けてもよい。その一例を図48に基づいて説明する。
本実施形態の装着ヘッドは、図示は省略するが、前記装着ヘッド132と同様に構成されており、5つの距離最大停止位置のうちの複数、例えば、部品装着時における回転体の回転方向において最も上流側の距離最大停止位置およびその距離最大停止位置に隣接する3つの合計4つの距離最大停止位置がそれぞれ部品受取位置とされ、最も下流側の距離最大停止位置が部品撮像位置とされている。
ヘッド本体の4つの部品受取位置に対応する部分にそれぞれ、部品供給具、例えば、バルクフィーダ980が1つずつ設けられている。バルクフィーダ980は前記バルクフィーダ402と同様に構成されており、図48に概念的に示すように、供給部が、部品受取位置に停止させられた吸着ノズルの真下の位置に位置するように設けられている。4つの部品受取位置の各バルクフィーダ980の各ケースには、異なる種類の部品が収容されている。また、ヘッド本体の4つの部品受取位置の各々に対応する部分にはそれぞれ、前記昇降装置262およびバルブ切換装置300と同様に構成された昇降装置およびバルブ切換装置が設けられている。
本実施形態においては、12個の吸着ノズル172はそれぞれ、4つの部品受取位置のうちのいずれか1つにおいてバルクフィーダ980から電子回路部品を受け取り、他の3つの部品受取位置においては電子回路部品の受取動作を行わず、部品撮像位置において電子回路部品が撮像され、部品装着位置において電子回路部品を回路基板に装着する。12個の吸着ノズル172は、装着プログラムにおいて設定された順に電子回路部品を回路基板40に装着する。そのため、12個の吸着ノズル172がそれぞれ受け取る電子回路部品の種類は装着プログラムにより決まり、それにより電子回路部品を受け取る部品受取位置が決まる。複数の吸着ノズルが電子回路部品の受取りを行う部品受取位置に同時に位置させられることがあれば、同時に受取り動作を行わされる。
装着ヘッドを、前記装着ヘッド132とは異なり、回転体の回転軸線が、回路基材保持部に保持された回路基材の被装着面に直角な方向に対して傾かされており、かつ、その回転軸線を中心線とするとともに回路基材保持部から遠い部分ほど直径が小さい円錐面の母線に沿ってノズルホルダが進退可能に保持された構成を有し、その構成が距離増大手段を構成するようにすることも可能である。その一例を図49〜図52に基づいて説明する。
図49〜図51に示す装着ヘッド1000は、特開平10−163677号公報に記載された装着ヘッドに、複数(図示の例では4つ)のバルクフィーダを付加したものであり、このバルクフィーダに関連する部分以外は実質的に同様の構成を有するものであるため、簡単に説明する。図49において、装着ヘッド1000は複数の部材が互いに固定されて成るヘッド本体1002を含んでいる。図示のヘッド本体1002は、X軸用サーボモータ1004,ねじ軸1006およびナット1008によりX軸方向に移動させられるX軸スライドと一体に構成されているが、前記装着ヘッド132と同様にX軸スライドとは別体に構成され、X軸スライドに対して工具を用いることなく脱着可能なヘッド本体とすることも可能である。
ヘッド本体1002には、回転軸1010が、Y軸に対して直角な鉛直面内において鉛直方向に対して45度傾斜した回転軸線まわりに回転可能に保持され、その回転軸1010の下端に、上記回転軸線に直角な回転盤1012が固定され、これらにより回転体1014が構成されている。回転盤1012の外周部には複数のノズルホルダ1016がそれぞれ回転軸線まわりに回転可能に保持され、各ノズルホルダ1016に吸着ノズル1018が着脱可能に保持されるようになっている。これらノズルホルダ1016および吸着ノズル1018の回転軸線は、上記回転軸1010の回転軸線を中心線とし、頂角が90度である円錐面の母線と一致させられている。したがって、回転体1014が旋回用サーボモータ1020および回転伝達装置1022により回転させられるのに伴って、各吸着ノズル1018が上記円錐面に沿って旋回する。
上記回転軸1010の外側に中空軸1030が、回転軸1010と同軸にかつ回転軸1010に対して相対回転可能に配設され、その中空軸1030の下端に固定の駆動歯車1032が、上記ノズルホルダ1016の各々に固定の被駆動歯車1034と噛み合わされている。したがって、中空軸1030が、ノズルホルダ回転用サーボモータ1036および回転伝達装置1038により回転させられることにより、複数の吸着ノズル1018が一斉に回転させられ、吸着ノズル1018に保持された部品(チップ部品)472の、吸着ノズル1018の回転軸線まわりの回転位置、すなわち吸着ノズル1018による部品472の保持方位が変更される。
前記ヘッド本体1002には図52(a)〜(c)に示す状態にバルクフィーダ1050が保持されている。図52においては、煩雑さを避けるために、装着ヘッド1000の具体的な図示は省略し、複数の吸着ノズル1018とバルクフィーダ1050との相対位置関係のみを概略的に示す。図52において、回転体1014の間欠回転に伴って複数個(図示の例では16個)の吸着ノズル1018の回転軸線1052の停止位置を一点鎖線で、吸着ノズル1018の先端の旋回軌跡1054を二点鎖線でそれぞれ示し、バルクフィーダ1050のケース(収納部)1056および案内通路1058を実線で示す。
案内通路1058は単純に1本の実線で示すが、実際は、案内通路500と同様に構成され 旋回軌跡1054に対向する位置に、吸着ノズル1018の回転軸線に直角な(水平面および鉛直面の両方に対して傾斜した)溝底面により部品472を支持した状態で供給する供給部1060を備えている。また、案内通路1058は、図52(b),(c)から明らかなように、X軸方向に直角な鉛直面に沿って延びており、図52(a)に示すように、それぞれ鉛直部1062と水平面に対して傾斜した傾斜部1064とを有している。ただし、特別な場合として、図52(a)において最も上に示す案内通路1058は鉛直部1062を有さず(鉛直部1062の長さが0)、また、最も下に示す案内通路1058は傾斜部1064の傾斜角が0とされている。
ケース1056はヘッド本体1002から取り外し可能であり、かつ、ケース1056と案内通路1058との間に、図12に示した排出促進筒510のような排出促進装置、およびシャッタ580(あるいは図46に示した電磁石952)のような流出防止手段が設けられている。また、案内通路1058は鉛直部1062や傾斜部1064を備えており、これらの部分内においては部品472が重力によって供給部1060へ移動させられるが、必要に応じて前記実施例におけるように、案内通路1058に沿って部品472を積極的に移動させる手段を講ずることも可能である。さらに、詳細な説明は省略するが、供給部1060には、案内通路1058内を移動してきた部品472を停止させたり、供給部1060から1個の部品472が取り出される際に、その部品472に後続する部品472が押し付けられ、取出しが妨げられることを防止する手段が設けられている。
図51に示すように、装着ヘッド1000に対してバルクフィーダ1050とは反対側には撮像装置1070が、ヘッド本体1002に保持させられている。撮像装置1070は、吸着ノズル1018の停止位置の1つにおいて、吸着ノズル1018の回転軸線に平行な方向から吸着ノズル1018の端面に対向する入光部1072を有する導光装置1074と、その導光装置1074により導かれた光に基づいて部品472を含む電子回路部品を撮像するカメラ1076とを備えている。装着ヘッド1000の吸着ノズル1018の回転軸線が鉛直となる位置が、電子回路部品の装着位置とされているが、この位置は同時に、静止して設けられた部品供給装置からの部品受取位置とされており、図52(a)に示す直線1080に沿って複数のテープフィーダが配列されている。
複数の吸着ノズル1018の各々は、回転体1014の間欠回転につれて複数のバルクフィーダ1050の供給部1060あるいはテープフィーダの供給部に対向する状態で電子回路部品を受け取った後、撮像装置1070の入光部1072に対向する撮像位置に停止し、その位置において電子回路部品の撮像が行われる。その後、装着ヘッド1000が回路基板保持装置に保持された回路基板上方の位置へ移動させられ、回路基板に対する電子回路部品の装着が行われる。その際、吸着ノズル1018による電子回路部品の保持位置誤差の修正が行われるのであるが、それと同時に電子回路部品の保持方位の変更も行われる。複数の吸着ノズル1018は、前述のように共通のノズルホルダ回転用サーボモータ1036により一斉に回転させられ、かつ、電子回路部品の装着時には各電子回路部品の方位を予め定められている方位とする必要があるため、撮像装置1070による撮像時には、電子回路部品の方位が回路基板への装着状態における方位と一致しているとは限らない。この点は、特開平10−163677号公報に記載された装着ヘッドと同様であるが、本実施例においては、さらに独特の事情がある。以下、その点について説明する。
図52から明らかなように、案内通路1058の傾斜部1064は、回転軸1010の回転軸線と吸着ノズル1018の各停止位置における回転軸線1052とを含む平面に沿って延びているわけではなく、しかもその平面に対する傾き角度が互いに異なっているため、複数の案内通路1058の供給部1060の各々から吸着ノズル1018に供給される部品472の、回転軸線1052に直角な平面内における吸着ノズル1018に対する相対回転位置、すなわち吸着ノズル1018による部品472の保持方位は、吸着ノズル1018の停止位置毎に異なっている。したがって、撮像装置1070による撮像結果に基づく電子回路部品の保持方位誤差の取得、ならびに回路基板への装着に当たってはこの事実が考慮されることが必要であるという独特の事情があるのである。
なお、ノズルホルダ回転駆動装置を、複数のノズルホルダ1016の各々を個別に回転させるものとすることが可能である。前記各実施形態においても同様である。
さらに付言すれば、バルクフィーダ内の電子回路部品を回収するための部品受けは、部品受け移動装置を設け、非収容位置と収容位置とに自動的に移動させられるようにしてもよい。それにより、例えば、電子回路部品の送り時には部品受けを非収容位置に位置させ、ストッパを停止位置に位置させて電子回路部品を部品取出位置に停止させ、吸着ノズルによる電子回路部品の取出し時に部品受けを収容位置に位置させてストッパを解放位置に位置させ、吸着ノズルによって取り出される電子回路部品と、その電子回路部品に対して部品移動方向上流側に隣接する電子回路部品との間の摩擦が軽減されるようにすることができる。電子回路部品の取出し後、部品受けを非収容位置へ移動させ、ストッパを停止位置に位置させる。部品受け移動装置と共に、あるいはそれに代えてストッパ移動装置を設け、ストッパを部品受けに対して自動的に停止位置と解放位置とに移動させるようにしてもよい。
また、バルクフィーダの部品移動部は、電動モータを駆動源とする装置により電子回路部品を移動させるものとしてもよく、磁石を使用して電子回路部品を一列に整列させるものとしてもよい。電動モータを駆動源とする部品移動装置は、例えば、部品移動部材としての無端のベルトおよび電動モータを駆動源とするベルト周回装置を備え、ベルト上に一列に整列させられた電子回路部品を移動させるものとされる。
さらに、部品投入装置にシャッタを設けて部品排出口を開閉させる場合、そのシャッタおよびバルクフィーダのケースのシャッタをそれぞれ閉位置に向かって付勢するスプリングの付勢力を同じにし、部品投入装置のシャッタとバルクフィーダのケースのシャッタとが同時に開かれ、同時に閉じられるようにしてもよい。
また、複数の部品供給具の装着部本体上における移動方向は、Y軸方向に限らず、他の方向でもよい。例えば、X軸方向に移動させてもよく、X軸方向およびY軸方向に対して傾斜した方向に移動させてもよい。
さらに、第1部品供給具が部品フィーダを含むとともに、部品フィーダが複数設けられる場合、全部が同じ形態の部品フィーダとされてもよく、少なくとも2つが異なる形態の部品フィーダとされてもよい。第2部品供給具についても同様である。
上記の課題は、 (A)装着機本体と、(B)その装着機本体に対して少なくとも電子回路部品の装着作業中は静止状態を保ち、回路基材を保持する回路基材保持部と、(C)その回路基材保持部に保持された回路基材に電子回路部品を装着する装着部と、(D)その装着部を前記回路基材保持部に対して、その回路基材保持部に保持された回路基材の被装着面に平行な一平面内における任意の位置へ移動させる第1相対移動装置とを含み、前記回路基材保持部に保持された回路基材の前記被装着面に、前記装着部により電子回路部品を装着する電子回路部品装着機の前記装着部を、(a)装着部本体と、(b)その装着部本体に保持され、軸方向に進退が可能であり、前端部に吸着部を有する吸着ノズルと、(c)複数の電子回路部品を収納する収納部,電子回路部品を1つずつ供給する供給部,およびその供給部へ前記収納部から電子回路部品を移動させる部品移動部を備えて、前記装着部本体に保持された部品供給具と、(d)前記装着部本体に保持され、前記吸着ノズルと前記部品供給具の前記供給部とを吸着ノズルの前記軸方向と交差する方向に相対移動させる第2相対移動装置と、(e)前記装着部本体に保持され、前記吸着ノズルと前記部品供給具の前記供給部とを互いに接近,離間させる第1接近,離間装置とを含むものとするとともに、当該電子回路部品装着機を、前記吸着ノズルと前記回路基材保持部に保持された回路基材とを互いに接近,離間させる第2接近,離間装置を含み、前記部品供給具が、前記収納部が複数の電子回路部品をバラバラの状態で収納し、前記部品移動部がそのバラバラの状態の電子回路部品を一列に整列させて前記供給部へ移動させるものであるバルクフィーダを含み、さらに、前記装着機本体に保持され、前記装着部本体に保持される前記バルクフィーダの前記収納部に前記バラバラの状態の電子回路部品を投入する部品投入装置を含むものとすることにより解決される。
本発明に係る電子回路部品装着機によれば、吸着ノズルと部品供給具の供給部とは、回路基材に対して一緒に移動させられるため、移動中に吸着ノズルに部品供給具から電子回路部品を受け取らせ、あるいは回路基材に対して任意の位置に位置する状態で吸着ノズルに部品供給具から電子回路部品を受け取らせることができ、電子回路部品の受取りおよび回路基材への装着を能率良く行うことができる。しかも、吸着ノズルと部品供給具の供給部とは、吸着ノズルの軸方向と交差する方向に相対移動させられるため、吸着ノズルは、その軸方向と交差する方向において供給部から外れることができる。それにより、吸着ノズルについて、例えば、装着部本体に保持された部品供給具の供給部からの電子回路部品の受取り以外の作業、例えば、装着部本体を介することなく装着機本体に保持された部品供給具からの吸着ノズルによる電子回路部品の取出しや、吸着ノズルが保持した電子回路部品の撮像を行わせることができ、より装着能率が高く、使い勝手の良い電子回路部品装着機が得られる。また、吸着ノズルおよび部品供給具が静止状態の回路基材に対して移動させられるため、吸着ノズルおよび部品供給具と回路基材保持部との両方を移動させる場合に比較して第1相対移動装置を簡易に構成することができる。さらに、装着機本体に保持された部品投入装置によって装着部本体に保持されるバルクフィーダの収納部にバラバラの状態の電子回路部品を投入するため、黒化の発生を抑制することができる。