JP2016042183A - アルミニウム反射部材及びその製造方法、並びに殺菌・消毒用紫外線反射部材及びインク硬化用紫外線反射部材 - Google Patents

アルミニウム反射部材及びその製造方法、並びに殺菌・消毒用紫外線反射部材及びインク硬化用紫外線反射部材 Download PDF

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Abstract

【解決課題】アルミニウム材の表面に反射層、又は、反射層及びUV透過性樹脂層を有し、波長領域200〜700nmの光線に対する反射性能及び耐食性に優れたアルミニウム反射部材及びその製造方法を提供する。【解決手段】アルミニウム材の表面に反射層、又は、反射層及びUV透過性樹脂層を有するアルミニウム反射部材であって、反射層が、アルミニウム材の表面にベーマイト皮膜を形成するベーマイト処理工程と、ベーマイト皮膜を加圧蒸気雰囲気下に保持して封孔する加圧蒸気処理工程とを有する表面処理により形成され、かつ、反射層における波長領域200〜700nmの範囲の光線に対する平均反射率が60%以上であるアルミニウム反射部材及びその製造方法である。【選択図】なし

Description

この発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材の表面に、反射層又は紫外線透過性樹脂層(UV透過性樹脂層)で被覆された反射層を有するアルミニウム反射部材及びその製造方法、並びに、前記アルミニウム反射部材を用いて形成され、特定の波長の紫外線に対して優れた反射率を有する殺菌・消毒用紫外線反射部材及びインク硬化用紫外線反射部材に関する。
アルミニウム材は、強度、低温特性、電気伝導性、熱伝導性、非磁性、無毒性、スクラップ再生性、耐食性等に優れた金属でありながら、軽量で加工性にも優れていることから、その使用目的に応じて表面に陽極酸化処理等の表面処理を施し、建築材料、車両用材料、電子・電気機器材料、器物、一般機械、箔製品等の極めて多くの分野で多用されている。
そして、表面処理により表面に反射層が形成されたアルミニウム反射部材については、例えば、健康医療機器、食品関連消毒装置、浄水設備、空調設備等に付設される紫外線殺菌装置等の紫外線を利用する様々な装置で使用され、高度の紫外線反射性及び耐食性が求められる紫外線反射部材としての利用も試みられており(特許文献1及び2参照)、また、UVインクを用いる印刷システムのインク硬化装置においては、紫外線ランプとこの紫外線ランプからの紫外線を照射対象物に向けて反射する紫外線反射板とを備えた紫外線照射部が用いられているが(特開2007-276,414号公報参照)、上記紫外線反射板としての利用も検討され始めている。
例えば、特許文献1においては、アルミニウム製基板の少なくとも片面に中心線平均粗さ(Ra)0.3〜2.0μmの粗面を形成し、この基板の粗面に耐食性付与を目的とした陽極酸化皮膜を形成してなる紫外線拡散反射板が提案されており、また、特許文献2においては、純度99質量%以上であって、(220)面/(200)面のX線回折強度比及び(111)面/(200)面のX線回折強度比のいずれか一方又は両方が1.0以上であるアルミニウムからなり、表面に耐食性付与を目的とした陽極酸化皮膜を形成してなる紫外線反射板が提案されている。
そして、これら特許文献1及び2においては、アルミニウム材の表面に反射層として陽極酸化皮膜を形成するに際し、硫酸水溶液を電解液とする陽極酸化処理が行われており、また、この陽極酸化処理で形成される陽極酸化皮膜の膜厚については、厚くなり過ぎると紫外線反射率が低下し、反対に、薄くなり過ぎると十分な耐食性を付与できないことから、膜厚1〜3μmの範囲が適当であるとされている。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、硫酸水溶液を電解液とする陽極酸化処理で得られた陽極酸化皮膜を反射層とした場合には、海水に浸漬した際の耐食性が必ずしも十分ではなく、また、外観が白色化して紫外線反射性を長時間維持できないという問題がある。
ところで、アルミニウム材に耐食性を付与する方法としては、特許文献1及び2に記載されたアルミニウム材の表面に陽極酸化皮膜を形成する陽極酸化処理以外に、アルミニウム材を75℃以上の水又は水蒸気と接触させてその表面にベーマイト皮膜を形成するベーマイト処理が知られており(非特許文献1)、また、このベーマイト処理を応用した幾つかの具体的な提案、例えば優れた接着初期強度及び耐久接着強度を発現し得る自動車構造部材用アルミニウム合金の接合方法(特許文献3)や、調理用鍋等の用途に用いられる酸化物被膜を有するアルミニウム(特許文献4)も知られている。しかしながら、このようなベーマイト処理によりアルミニウム材の表面に形成されるベーマイト皮膜が紫外線等の光線に対する反射層として利用できることについては記載されておらず、また、これまでに知られていない。
特許第2,946,396号公報 特開2001-281,426号公報 特開平05-070,742号公報 特開平07-126,857号公報
山田啓之・岡本常義著「ベーマイト皮膜の厚さにおよぼす添加剤および処理液量の影響−ベーマイト処理に関する研究(第1報)−」軽金属(1971)398〜404頁
本発明者らは、ベーマイト処理によりアルミニウム材の表面に形成されるベーマイト皮膜の耐食性に着目し、ベーマイト皮膜を反射層として利用するための方法について鋭意検討した結果、意外なことには、アルミニウム材の表面に形成されたベーマイト皮膜に対して加圧蒸気雰囲気下に保持して封孔する加圧蒸気処理を施すことにより、この加圧蒸気処理後のベーマイト皮膜が光線、特に波長領域200〜700nmの光線に対して優れた反射性能を有するだけでなく、優れた耐食性をも有し、アルミニウム反射部材の反射層として最適であることを見出し、本発明を完成した。
また、本発明者らは、このような反射層を有し、波長254nmの紫外線に対する反射率が60%以上のアルミニウム反射部材が、殺菌・消毒装置に使用される殺菌・消毒用途の反射部材として好適であることを見出し、更に、このような反射層の上に更にUV透過性樹脂層を有し、波長360nmの紫外線に対する反射率が60%以上のアルミニウム反射部材が、インク硬化装置に使用されるインク硬化用途の反射部材として好適であることを見出し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、アルミニウム材の表面に反射層を有し、波長領域200〜700nmの光線に対する反射性能及び耐食性に優れたアルミニウム反射部材及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、アルミニウム材の表面に反射層を有すると共にこの反射層の上にUV透過性樹脂層を有し、波長領域200〜700nmの光線に対する反射性能及び耐食性に優れたアルミニウム反射部材及びその製造方法を提供することにある。
更に、本発明の他の目的は、アルミニウム材の表面に上記の如き反射層を有し、波長254nmの紫外線に対する反射率が60%以上のアルミニウム反射部材からなり、殺菌・消毒装置に使用される殺菌・消毒用紫外線反射部材を提供することにあり、また、アルミニウム材の表面に上記の如き反射層及びこの反射層の上に形成されたUV透過性樹脂層を有し、波長360nmの紫外線に対する反射率が60%以上のアルミニウム反射部材からなり、インク硬化装置に使用されるインク硬化用紫外線反射部材を提供することにある。
すなわち、本発明の要旨は、以下の通りである。
(1) アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材の表面に反射層を有するアルミニウム反射部材であって、前記反射層が層厚0.5〜3.0μmの完全封孔状態のベーマイト皮膜であり、かつ、前記反射層における波長領域200〜700nmの範囲の光線に対する平均反射率が60%以上であることを特徴とするアルミニウム反射部材である。
(2) 前記(1)のアルミニウム反射部材の製造方法であって、アルミニウム材をトリエタノールアミン(TEA)溶液中に浸漬して加熱することによりアルミニウム材の表面にベーマイト皮膜を形成するTEAベーマイト処理工程と、このTEAベーマイト処理工程で形成されたベーマイト皮膜を加圧蒸気雰囲気下に保持して封孔する加圧蒸気処理工程とを有する表面処理により形成されることを特徴とするアルミニウム反射部材の製造方法である。
(3) 前記(1)のアルミニウム反射部材であって、前記反射層における波長254nmの紫外線に対する反射率が60%以上であり、殺菌・消毒装置に使用される殺菌・消毒用途の反射部材であることを特徴とする殺菌・消毒用紫外線反射部材である。
(4) アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材の表面に反射層を有するアルミニウム反射部材であって、前記アルミニウム材が、アルミニウム純度99.99質量%以上の高純度アルミニウム材であり、前記反射層が層厚0.5〜3.0μmの完全封孔状態のベーマイト皮膜であり、かつ、前記反射層における波長領域200〜700nmの範囲の光線に対する平均反射率が60%以上であることを特徴とするアルミニウム反射部材である。
(5) 前記(4)のアルミニウム反射部材の製造方法であって、アルミニウム材を純水中に浸漬して加熱することによりアルミニウム材の表面にベーマイト皮膜を形成する純水ベーマイト処理工程と、この純水ベーマイト処理工程で形成されたベーマイト皮膜を加圧蒸気雰囲気下に保持して封孔する加圧蒸気処理工程とを有する表面処理により形成されることを特徴とするアルミニウム反射部材の製造方法である。
(6) 前記(4)のアルミニウム反射部材であって、前記反射層における波長254nmの紫外線に対する反射率が60%以上であり、殺菌・消毒装置に使用される殺菌・消毒用途の反射部材であることを特徴とする殺菌・消毒用紫外線反射部材である。
(7) アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材の表面に反射層を有すると共にこの反射層の上にUV透過性樹脂層を有するアルミニウム反射部材であって、前記反射層が層厚0.5〜3.0μmの完全封孔状態のベーマイト皮膜であり、また、表面に前記UV透過性樹脂層を有した反射層における波長領域200〜700nmの範囲の光線に対する平均反射率が60%以上であり、更に、前記UV透過性樹脂層が層厚5〜150μmの樹脂層であることを特徴とするアルミニウム反射部材である。
(8) 前記(7)のアルミニウム反射部材の製造方法であって、アルミニウム材の表面にベーマイト皮膜を形成するベーマイト処理工程と、このベーマイト処理工程で形成されたベーマイト皮膜を加圧蒸気雰囲気下に保持して封孔する加圧蒸気処理工程とを有する表面処理により形成されることを特徴とするアルミニウム反射部材の製造方法である。
(9) 前記(7)のアルミニウム反射部材であって、前記反射層における波長360nmの紫外線に対する反射率が60%以上であり、インク硬化装置に使用されるインク硬化用途の反射部材であることを特徴とするインク硬化用紫外線反射部材である。
本発明において、アルミニウム反射部材を形成するアルミニウム材としては、アルミニウム反射部材の用途に応じて適宜選択することができ、特に制限されるものではなく、例えば、海水殺菌等の用途には5000系、6000系、高純度系(Al純度:99.99%以上)等のアルミニウム材が、また、淡水殺菌等の用途には1000系、5000系、6000系、高純度系(Al純度:99.99%以上)等のアルミニウム材が好適に用いられる。
また、本発明においては、前記アルミニウム材の表面に、波長領域200〜700nmの範囲の光線に対して平均反射率60%以上、好ましくは70%以上の優れた反射率を有する反射層が形成される必要があり、この波長領域200〜700nmの範囲の光線に対する平均反射率が60%に満たないと、アルミニウム反射部材の用途が、例えば、紫外線反射等である場合には十分な紫外線照度を得るために出力の高い光源を選定する必要性が出る等の問題があり、また、アルミニウム反射部材の用途が、例えば、可視光線反射等である場合には十分な照度を得るために出力の高い光源を選定する必要性が出る等の問題がある。ここで、上記の波長領域200〜700nmの範囲の光線は、微生物の殺菌や不活化あるいは紫外線硬化インク等に有効な紫外線を含むと共に、蛍光灯の反射等に有用な可視光を含むものである。
本発明において、アルミニウム材の表面に前述の優れた反射率を有する反射層を形成する方法としては、以下の表面処理の方法が挙げられる。
すなわち、第1の方法としては、前記アルミニウム材をトリエタノールアミン(TEA)溶液中に浸漬して加熱することによりアルミニウム材の表面にベーマイト皮膜を形成するTEAベーマイト処理工程と、このTEAベーマイト処理工程で形成されたベーマイト皮膜を加圧蒸気雰囲気下に保持して封孔する加圧蒸気処理工程とを有する表面処理により形成する方法である。
この第1の表面処理による方法において、TEAベーマイト処理工程で用いるTEA水溶液については、そのTEA濃度が0.5質量%以上5.0質量%以下、好ましくは1.0質量%以上3.0質量%以下であるのがよく、また、このTEA水溶液中にアルミニウム材を浸漬する際の条件については、温度が90℃〜煮沸であって、時間が5分以上、好ましくは30分以上60分以下であるのがよい。この際のTEA水溶液におけるTEA濃度が0.5質量%未満であると、耐食性が良い皮膜が得られないという問題があり、反対に、5.0質量%より高くなると、紫外線反射率が著しく低下するという問題が生じる虞がある。また、TEA水溶液中にアルミニウム材を浸漬する際の条件については、温度が90℃より低いと、耐食性が良い皮膜が得られないという問題があり、また、時間が5分より短いと、十分な皮膜厚さが得られないという問題が生じる虞がある。
また、第2の方法としては、アルミニウム材としてアルミニウム純度99.97質量%以上、好ましくは99.99質量%以上の高純度アルミニウム材を用い、この高純度アルミニウム材を純水中に浸漬して加熱することによりアルミニウム材の表面にベーマイト皮膜を形成する純水ベーマイト処理工程と、この純水ベーマイト処理工程で形成されたベーマイト皮膜を加圧蒸気雰囲気下に保持して封孔する加圧蒸気処理工程とを有する表面処理により形成する方法である。ここで、上記の第2の表面処理における純水ベーマイト処理工程で用いる「純水」とは、具体的には、導電率が1mS/m以下の水等である。
この第2の表面処理による方法においては、反射層を形成する際の表面処理におけるベーマイト処理工程が純水を用いる純水ベーマイト処理工程であることから、使用するアルミニウム材のアルミニウム純度が99.99質量%以上より低いと、アルミニウム材中のアルミニウム以外の金属に起因して、所望の反射率や耐食性が得られなくなる。また、この純水ベーマイト処理工程において純水中にアルミニウム材を浸漬する際の温度及び時間については、TEAベーマイト処理工程の場合と同様である。
そして、上記の第1の表面処理において前記TEAベーマイト処理工程に続いて行われる加圧蒸気処理工程、又は、上記の第2の表面処理において純水ベーマイト処理工程に続いて行われる加圧蒸気処理工程では、TEAベーマイト処理後又は純水ベーマイト処理後のアルミニウム材を、110℃以上150℃以下、好ましくは120℃以上140℃以下の加圧蒸気の雰囲気下に10分以上、好ましくは30分以上60分以下の条件で保持する加圧蒸気処理が行われる。この加圧蒸気処理で用いられる加圧蒸気の温度が110℃より低いと耐食性の良い皮膜が得られ難いという問題が生じ、反対に、150℃より高くなると皮膜間で剥離が発生し易くなるという問題が生じる虞がある。また、上記の加圧蒸気処理により、ベーマイト皮膜のポアは完全に封孔されて、完全封孔状態のベーマイト皮膜が形成される。
上記の第1の表面処理及び第2の表面処理により形成される反射層の層厚については、ベーマイト皮膜を形成するためのベーマイト処理工程によっても異なるが、好ましくは0.5μm以上3μm以下、より好ましくは1μm以上2.5μm以下、更に好ましくは1.5μm以上2.0μm以下であるのがよく、例えばTEAベーマイト処理工程の場合には0.5μm以上3μm以下が好ましく、0.7μm以上2.5μm以下がより好ましく、また、純水ベーマイト処理工程の場合には、0.5μm以上2μm以下が好ましく、0.7μm以上1.5μm以下がより好ましい。この反射層の層厚が、0.5μmより薄いと、アルミニウム反射部材の用途が、例えば、海水・淡水殺菌用紫外線反射材等である場合には腐食等の問題が生じる虞があり、反対に、3μmより厚くなると、皮膜間で剥離が発生し易くなるという問題が生じる虞がある。
また、本発明においては、前記TEAベーマイト処理に先駆けて、その前処理として、サンドブラストを始めとする物理的研磨、酸性エッチング若しくはレーザー処理等を施し、予めアルミニウム材の表面に凹凸を設けてもよい。このような前処理を行うことで、アルミニウム材の表面を反射した反射光において拡散反射光の割合が増加し、反射光における光線の割合を均一化にすることができる。アルミニウム材の表面に凹凸を設ける上記の前処理方法については、特に限定されるわけではなく、既存の方法であれば上記以外の方法でも適用可能である。
更に、本発明において、例えばアルミニウム反射部材の用途がインク硬化用紫外線反射部材であるような場合には、耐汚性,非粘着性の向上を目的として、前記反射層の上に紫外線透過性樹脂層(UV透過性樹脂層)を設けるのがよい。
上記のUV透過性樹脂層を形成する樹脂については、紫外線に対して優れた耐性を有すると共に紫外線により劣化しないものであればよく、具体的には、例えば、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン(FEP)、エチレン四フッ化エチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂を始めとする種々の耐光性樹脂を挙げることができ、これらの耐光性樹脂については、その1種のみを単独で用いることができるほか、2種以上を混合物として使用することもできる。
また、このようなUV透過性樹脂層を上記の反射層の上に形成する方法についても、特に限定されるものではなく、例えばスプレー塗装、スピンフロー塗装、ディッピング塗装、流動浸漬塗装、静電粉体塗装等の種々の方法を用いることができ、特に、例えばインク硬化用紫外線反射部材を製造する際に好適なプライマーレス塗装を採用することができる。ここで、一般的なフッ素系樹脂の塗装においては、フッ素系樹脂、バインダー樹脂、及び分散剤からなる液体プライマー塗料と、フッ素系樹脂に必要により顔料やフィラー等を添加して液体状又は粉体状に調製したトップコート塗料とを用意し、ブラスト処理等の前処理が施されたアルミニウム材の表面に、前記液体プライマー塗料を塗布し、乾燥させてプライマー層を形成し、次いでこのプライマー層の上に前記トップコート塗料を塗布し、焼成してトップコート塗料中のフッ素系樹脂を溶融させてトップコート塗膜を形成させるが、この際に、プライマー層中のフッ素樹脂はトップコート塗膜側に移動し、このトップコート塗膜とアルミニウム材の表面との間にはバインダー樹脂からなる接合層が介在する。そこで、このようなフッ素系樹脂の一般的な塗装で形成されたアルミニウム反射部材を紫外線照射環境下で使用すると、トップコート塗膜とアルミニウム材の表面との間にはバインダー樹脂からなる接合層が紫外線を吸収して劣化し、短期間で使用し得なくなる場合がある。しかるに、プライマーレス塗装により形成された本発明のアルミニウム反射部材においては、プライマー塗料由来のバインダー樹脂からなる接合層が介在しないので、長期に亘ってアルミニウム材の反射率を低下させることなく、アルミニウム材とUV透過性樹脂層との間の密着性を維持することができる。
また、本発明において、UV透過性樹脂層の層厚については、UV透過性樹脂層を形成するための塗装方法によっても異なるが、通常は5μm以上150μm以下であり、例えば、スプレー塗装の場合には5μm以上20μm以下が好ましく、10μm以上15μm以下がより好ましく、また、静電粉体塗装の場合には20μm以上150μm以下が好ましく、30μm以上100μm以下がより好ましい。スプレー塗装の場合において、前記UV透過性樹脂層の層厚が5μmより薄いと、ピンホールが発生するという問題が生じる虞があり、反対に、20μm以上に厚くなると、塗膜割れが生じ易くなるという問題が生じる虞がある。また、静電粉体塗装の場合においては、スプレー塗装よりもUV透過性樹脂層を厚く塗装できるため、塗布後のアルミニウム反射部材の耐食性を高めることが可能になる。
本発明のアルミニウム反射部材について、その反射層における波長254nmの紫外線に対する反射率が60%以上、好ましくは70%以上である場合には、特に殺菌・消毒装置に使用される殺菌・消毒用途の反射部材である殺菌・消毒用紫外線反射部材として有用であり、また、本発明のアルミニウム反射部材が反射層とその上に形成されたUV透過性樹脂層とを有し、前記反射層における波長360nmの紫外線に対する反射率が60%以上、好ましくは70%以上である場合には、特にインク硬化装置に使用されるインク硬化用途の反射部材であるインク硬化用紫外線反射部材として有用である。
本発明のアルミニウム反射部材は、波長領域200〜700nmの光線に対して優れた反射性能を有するだけでなく、優れた耐食性をも有する反射層を備えており、種々の用途に用いられる反射部材として有用である。
特に、波長254nmの紫外線に対する反射率が60%以上の反射層を有するアルミニウム反射部材は、殺菌・消毒装置に使用される殺菌・消毒用途の反射部材として好適であり、また、反射層の上に更にUV透過性樹脂層を有すると共にこの反射層における波長360nmの紫外線に対する反射率が60%以上のアルミニウム反射部材は、インク硬化装置に使用されるインク硬化用途の反射部材として好適である。
本発明において、第1のアルミニウム反射部材は、アルミニウム材の表面に反射層を有するアルミニウム反射部材であって、前記反射層が、アルミニウム材の表面にベーマイト皮膜を形成するTEAベーマイト処理工程と、このTEAベーマイト処理工程で形成されたベーマイト皮膜を加圧蒸気雰囲気下に保持して封孔する加圧蒸気処理工程とを有する表面処理により形成され、かつ、前記反射層における波長領域200〜700nmの範囲の光線に対する平均反射率が60%以上である。
また、本発明において、第2のアルミニウム反射部材は、アルミニウム材の表面に反射層を有するアルミニウム反射部材であって、前記アルミニウム材がアルミニウム純度99.99質量%以上の高純度アルミニウム材であり、前記反射層が、アルミニウム材の表面にベーマイト皮膜を形成する純水ベーマイト処理工程と、この純水ベーマイト処理工程で形成されたベーマイト皮膜を加圧蒸気雰囲気下に保持して封孔する加圧蒸気処理工程とを有する表面処理により形成され、かつ、前記反射層における波長領域200〜700nmの範囲の光線に対する平均反射率が60%以上である。
更に、本発明において、第3のアルミニウム反射部材は、アルミニウム材の表面に反射層を有すると共にこの反射層の上にUV透過性樹脂層を有するアルミニウム反射部材であって、前記反射層が、アルミニウム材の表面にベーマイト皮膜を形成するベーマイト処理工程と、このベーマイト処理工程で形成されたベーマイト皮膜を加圧蒸気雰囲気下に保持して封孔する加圧蒸気処理工程とを有する表面処理により形成され、また、表面に前記UV透過性樹脂層を有した反射層における波長領域200〜700nmの範囲の光線に対する平均反射率が60%以上であり、更に、前記UV透過性樹脂層が層厚5〜20μmの樹脂層である。
アルミニウム材の表面に反射層を形成する表面処理において、ベーマイト皮膜を形成する際に純水ベーマイト処理工程を採用する上記第2のアルミニウム反射部材の場合には、アルミニウム材としてアルミニウム純度99.99質量%以上の高純度アルミニウム材を使用することが不可欠であり、アルミニウム以外の添加金属を0.001質量%以上の割合で含むアルミニウム合金からなるアルミニウム材や、不純物金属〔特に、鉄(Fe)〕を0.1質量%以上の割合で含むアルミニウム材を使用すると、人工海水を用いた耐食性評価試験において孔食が発生し、所望の耐食性が得られない。これは、純水ベーマイト処理工程で形成されたベーマイト皮膜には、その表面に第二相化合物が形成されて点在し、このベーマイト皮膜の表面に点在する第二相化合物〔特に、鉄に由来するAlFe化合物〕がカソードとして作用することに起因しているものと思われる。
これに対して、反射層を形成する表面処理において、ベーマイト皮膜を形成する際にTEAベーマイト処理工程を採用する上記第1のアルミニウム反射部材の場合には、上記の純水ベーマイト処理工程を採用する第2のアルミニウム反射部材の場合とは異なり、アルミニウム材として高純度アルミニウム材を使用した場合でも、また、アルミニウム以外の添加金属を0.1質量%以上の割合で含むアルミニウム合金からなるアルミニウム材を使用した場合でも、人工海水を用いた耐食性評価試験において孔食の問題が発生し難くなり、人工海水を用いた耐食性評価試験において所望の耐食性が得られる。これは、TEAベーマイト処理の場合には、同一処理時間において形成される皮膜の厚さが純水ベーマイト処理の場合よりも厚くなることと、アルミニウム以外の添加金属により形成される第二相化合物上にも厚い皮膜が形成されることに起因しているものと考えられる。
そして、アルミニウム材の表面に反射層を有すると共にこの反射層の上にUV透過性樹脂層を有する第3のアルミニウム反射部材においては、上記の第1のアルミニウム反射部材又は第2のアルミニウム反射部材の反射層の上に、一般的なフッ素系樹脂の塗装の場合とは異なり、プライマーを省略したプライマーレス塗装が可能である。これは、上記の第1及び第2のアルミニウム反射部材の反射層が、耐光性樹脂と強固に密着するためであり、具体的にはベーマイト皮膜の微少凹凸部内に耐光性樹脂が入り込み固着することに基づいているものと考えられる。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の内容をより具体的に説明する。
〔実験例1〜28〕
アルミニウム材としてアルミニウム純度99.99質量%の高純度アルミニウム板材(JIS A1050)と、アルミニウム純度99.5質量%のアルミニウム板材(JIS A1050H24)とを使用し、50mm×50mm×0.8mmの大きさのアルミ片を切り出した。
得られた各アルミ片について、前処理として、30wt%-硝酸水溶液に常温(25℃)で1分間浸漬した後にイオン交換水で洗浄し、次いで、5wt%-水酸化ナトリウム水溶液に50℃で1分間浸漬した後にイオン交換水で洗浄し、更に、30wt%-硝酸水溶液に常温(25℃)で1分間浸漬した後にイオン交換水で洗浄した。
1.TEAベーマイト処理
得られた前処理後のアルミ片について、表1に示すTEA濃度(0.5〜5.0質量%)のTEA水溶液を用い、表1に示す温度(95℃)及び時間(10〜60分)の条件で前記TEA水溶液中に浸漬する水和処理を実施し、アルミ片の表面にベーマイト皮膜を形成させた。
2.純水ベーマイト処理
得られた前処理後のアルミ片について、イオン交換水(1mS/m以下)を用い、表1に示す温度(95℃)及び時間(10〜60分)の条件で前記イオン交換水中に浸漬する水和処理を実施し、アルミ片の表面にベーマイト皮膜を形成させた。
3.加圧蒸気処理
上記のTEAベーマイト処理又は純水ベーマイト処理を行った後のベーマイト処理後のアルミ片について、加圧蒸気装置(エスペック社製 EHS-411M)を用い、表1に示す処理条件(温度:110〜150℃及び時間:30分)で加圧蒸気雰囲気下に保持し、ベーマイト皮膜の加圧蒸気処理を実施し、各実験例1〜28の試験片(アルミニウム反射部材)を調製した。
4.反射率の測定
上記各実験例1〜28の試験片について、分光光度計(パーキンエルマー社製 LAMBDA 750S)を用い、波長領域200〜700nmの範囲の光線に対する平均反射率と波長254nmの紫外線に対する反射率とをそれぞれ測定した。
5.耐食性試験
また、上記各実験例1〜28の試験片について、以下のようにして耐食性試験を実施した。
すなわち、先ず、人工海水(八洲薬品製 アクアマリン)をpH8.2に調整して腐食試験液を調製し、この腐食試験液中に各実験例1〜28の試験片を浸漬し、これを25℃の恒温槽中に入れて30日後に取り出し、各試験片の腐食の程度を○:外観変化無し、及び×:孔食発生部有りの基準で評価した。
6.総合評価
上記各実験例1〜28の試験片について、その波長領域200〜700nmの範囲の光線に対する平均反射率と耐食性試験の評価結果とを基に、○:反射率低下無し、及び×:反射率低下の基準で、アルミニウム反射部材としての総合的な評価を行った。
以上の実験例1〜28の結果を表1に示す。
Figure 2016042183
〔比較例1:低電圧シュウ酸陽極酸化処理〕
アルミニウム材としてアルミニウム純度99.99%の高純度アルミニウム(JIS A1050)を用い、上記実験例1〜28の場合と同様にして前処理後のアルミ片を調製し、0.3モル(M)濃度のシュウ酸水溶液を用い、浴温度18℃及び印加電圧15Vの条件で膜厚1μmの陽極酸化皮膜が得られるまで陽極酸化処理を実施後、加圧蒸気処理(130℃、30分)を施し、比較例1の試験片(アルミニウム反射部材)を得た。
得られた比較例1の試験片について、上記実験例1〜28の場合と同様に反射率の測定及び耐食性試験を行った。結果は、波長領域200〜700nmの範囲の光線に対する平均反射率が64%であって波長254nmの紫外線に対する反射率が66%であり、また、耐食性の評価結果が○であって、総合評価が×であった。
〔比較例2:硫酸陽極酸化処理〕
アルミニウム材としてアルミニウム純度99.99%の高純度アルミニウム(JIS A1050)を用い、上記実験例1〜28の場合と同様にして前処理後のアルミ片を調製し、2モル(M)濃度の硫酸水溶液を用い、浴温度18℃及び印加電圧60Vの条件で膜厚5μmの陽極酸化皮膜が得られるまで陽極酸化処理を実施し、加圧蒸気処理(130℃、30分)を施し、比較例2の試験片(アルミニウム反射部材)を得た。
得られた比較例2の試験片について、上記実験例1〜28の場合と同様に反射率の測定及び耐食性試験を行った。結果は、波長領域200〜700nmの範囲の光線に対する平均反射率が73%であって波長254nmの紫外線に対する反射率が75%であり、また、耐食性の評価結果が×であって、総合評価が×であった。
〔実験例29〜41〕
アルミニウム材としてアルミニウム純度99.99質量%の高純度アルミニウム板材(JIS A1050)と、アルミニウム純度99.5質量%のアルミニウム板材(JIS A1050H24)とを使用し、50mm×50mm×0.8mmの大きさのアルミ片を切り出した。
得られた各アルミ片について、上記実験例1〜28の場合と同様にして前処理を行い、得られた前処理後のアルミ片について、上記実験例1〜28の場合と同様にして表2に示す条件で、それぞれTEAベーマイト処理、純水ベーマイト処理、及び加圧蒸気処理を行い、各アルミ片の表面に反射層を形成した。
7.UV透過性樹脂層の形成
このようにして形成された表面に反射層を有する各アルミ片について、フッ素樹脂としてPFA(ダイキン製ネオフロンAD-2CRER)又はPTFE(ダイキン製ポリフロンD-210C)を用い、エアースプレーガン(岩田製ANEST IWATA W-101)を用いて、引き込み圧0.2MPaで表2に示す層厚が得られるまで噴霧し、次いで室温(25℃)で15分間、次いで100℃で15分間乾燥させた後、380℃で15分間焼結させ、反射層の上に表2に示すUV透過性樹脂層が形成された各実験例29〜41の試験片(アルミニウム反射部材)を得た。
8.碁盤目テープ試験
得られた各実験例29〜41の試験片について、上記の実験例1〜28の場合と同様にして反射率の測定(波長領域200〜700nmの範囲の光線に対する平均反射率と波長360nmの紫外線に対する反射率)及び耐食性試験を行うと共に、JIS K5600-5-6(ISO2409)に準拠して碁盤目テープ試験を実施し、UV透過性樹脂層の密着性の評価を行った。
9.総合評価
上記各実験例29〜41の試験片について、その波長領域200〜700nmの範囲の光線に対する平均反射率と、耐食性試験の評価結果と、密着性の評価結果とを基に、○:平均反射率60%以上かつ耐食性試験後に腐食発生無し、及び×:平均反射率60%未満あるいは耐食性試験後に腐食発生ありの基準で、アルミニウム反射部材としての総合的な評価を行った。
以上の実験例29〜41の結果を表2に示す。
Figure 2016042183
〔実験例42〜49〕
アルミニウム材としてアルミニウム純度99.5質量%のアルミニウム板材(JIS A1050H24)を使用し、実験例1〜28の場合と同様にして、アルミニウム板材からアルミ片を切り出し、前処理を行い、前処理後のアルミ片について、表3に示す条件でTEAベーマイト処理、純水ベーマイト処理、及び加圧蒸気処理を行い、各アルミ片の表面に反射層を形成した。
次いで、このようにして形成された表面に反射層を有する各アルミ片について、フッ素樹脂としてPFA(ダイキン製ネオフロンAD-2CRER)を用い、静電粉体塗装により各アルミ片の反射層の上に表3に示す層厚が得られるまで塗装し、340℃で15分間焼結させて反射層の上に表3に示すUV透過性樹脂層を形成し、各実験例42〜49の試験片(アルミニウム反射部材)を得た。
得られた各実験例42〜49の試験片について、上記の実験例29〜41の場合と同様に、反射率の測定(波長領域200〜700nmの範囲の光線に対する平均反射率と波長360nmの紫外線に対する反射率)、耐食性試験、及び碁盤目テープ試験を実施し、UV透過性樹脂層の密着性の評価を行い、実験例29〜41の場合と同様に、アルミニウム反射部材としての総合的な評価を行った。
以上の実験例42〜49の結果を表3に示す。
Figure 2016042183

Claims (18)

  1. アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材の表面に反射層を有するアルミニウム反射部材であって、
    前記反射層が層厚0.5〜3.0μmの完全封孔状態のベーマイト皮膜であり、かつ、
    前記反射層における波長領域200〜700nmの範囲の光線に対する平均反射率が60%以上であることを特徴とするアルミニウム反射部材。
  2. 前記請求項1に記載されたアルミニウム反射部材の製造方法であって、
    アルミニウム材をトリエタノールアミン(TEA)溶液中に浸漬して加熱することによりアルミニウム材の表面にベーマイト皮膜を形成するTEAベーマイト処理工程と、このTEAベーマイト処理工程で形成されたベーマイト皮膜を加圧蒸気雰囲気下に保持して封孔する加圧蒸気処理工程とを有する表面処理により形成されることを特徴とするアルミニウム反射部材の製造方法。
  3. 前記TEAベーマイト処理工程において、TEA濃度0.5〜5.0質量%のTEA水溶液中にアルミニウム材を浸漬し、90℃〜煮沸及び5分以上の条件で加熱する請求項2に記載のアルミニウム反射部材の製造方法。
  4. 前記加圧蒸気処理工程において、TEAベーマイト処理後のアルミニウム材を110〜150℃の加圧蒸気雰囲気下に30分以上保持する請求項2又は3に記載のアルミニウム反射部材の製造方法。
  5. 前記請求項1に記載されたアルミニウム反射部材であって、前記反射層における波長254nmの紫外線に対する反射率が60%以上であり、殺菌・消毒装置に使用される殺菌・消毒用途の反射部材であることを特徴とする殺菌・消毒用紫外線反射部材。
  6. アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材の表面に反射層を有するアルミニウム反射部材であって、
    前記アルミニウム材が、アルミニウム純度99.99質量%以上の高純度アルミニウム材であり、
    前記反射層が層厚0.5〜3.0μmの完全封孔状態のベーマイト皮膜であり、かつ、
    前記反射層における波長領域200〜700nmの範囲の光線に対する平均反射率が60%以上であることを特徴とするアルミニウム反射部材。
  7. 前記請求項6に記載されたアルミニウム反射部材の製造方法であって、
    アルミニウム材を純水中に浸漬して加熱することによりアルミニウム材の表面にベーマイト皮膜を形成する純水ベーマイト処理工程と、この純水ベーマイト処理工程で形成されたベーマイト皮膜を加圧蒸気雰囲気下に保持して封孔する加圧蒸気処理工程とを有する表面処理により形成されることを特徴とするアルミニウム反射部材の製造方法。
  8. 前記請求項6に記載されたアルミニウム反射部材であって、前記反射層における波長254nmの紫外線に対する反射率が60%以上であり、殺菌・消毒装置に使用される殺菌・消毒用途の反射部材であることを特徴とする殺菌・消毒用紫外線反射部材。
  9. アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材の表面に反射層を有すると共にこの反射層の上にUV透過性樹脂層を有するアルミニウム反射部材であって、
    前記反射層が層厚0.5〜3.0μmの完全封孔状態のベーマイト皮膜であり、
    また、表面に前記UV透過性樹脂層を有した反射層における波長領域200〜700nmの範囲の光線に対する平均反射率が60%以上であり、
    更に、前記UV透過性樹脂層が層厚5〜150μmの樹脂層であることを特徴とするアルミニウム反射部材。
  10. 前記UV透過性樹脂層の層厚が30〜100μmであることを特徴とする請求項9に記載のアルミニウム反射部材。
  11. 前記UV透過性樹脂層が、PFA、PTFE、FEP、及びETFEから選ばれた1種又は2種以上の樹脂からなる樹脂層である請求項9又は10に記載のアルミニウム反射部材。
  12. 前記請求項9〜11のいずれかに記載されたアルミニウム反射部材の製造方法であって、
    アルミニウム材の表面にベーマイト皮膜を形成するベーマイト処理工程と、このベーマイト処理工程で形成されたベーマイト皮膜を加圧蒸気雰囲気下に保持して封孔する加圧蒸気処理工程とを有する表面処理により形成されることを特徴とするアルミニウム反射部材の製造方法。
  13. 前記ベーマイト処理工程でのベーマイト処理が、純水中にアルミニウム材を浸漬し、90℃〜煮沸及び5分以上の条件で加熱する純水ベーマイト処理である請求項12に記載のアルミニウム反射部材の製造方法。
  14. 前記ベーマイト処理工程でのベーマイト処理が、TEA濃度0.5〜5.0質量%のTEA水溶液中にアルミニウム材を浸漬し、90℃〜煮沸及び5分以上の条件で加熱するTEAベーマイト処理である請求項12に記載のアルミニウム反射部材の製造方法。
  15. 前記加圧蒸気処理工程において、ベーマイト処理後のアルミニウム材を110〜150℃の加圧蒸気雰囲気下に30分以上保持する請求項12〜14のいずれかに記載のアルミニウム反射部材の製造方法。
  16. 前記アルミニウム反射部材のUV透過性樹脂層が、静電粉体塗装により形成された樹脂層である請求項12〜15のいずれかに記載のアルミニウム反射部材の製造方法。
  17. 前記アルミニウム反射部材のUV透過性樹脂層が、プライマーレス塗装により形成された樹脂層である請求項12〜16のいずれかに記載のアルミニウム反射部材の製造方法。
  18. 前記請求項9〜11のいずれかに記載されたアルミニウム反射部材であって、前記反射層における波長360nmの紫外線に対する反射率が60%以上であり、インク硬化装置に使用されるインク硬化用途の反射部材であることを特徴とするインク硬化用紫外線反射部材。
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