JP2016040757A - 赤外線処理装置 - Google Patents

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雄樹 藤田
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Abstract

【課題】赤外線ヒーターの監視又は制御の少なくとも一方を、より精度よく行う。
【解決手段】赤外線処理装置10では、放射強度センサ60aが赤外線ヒーター30からの赤外線の第1放射強度を検出し、放射強度センサ60bが赤外線ヒーター30からの赤外線の第2放射強度を検出する。そして、検出された第1放射強度及び第2放射強度に基づいて、赤外線ヒーター30の監視及び制御を行う。コントローラー90は、検出された第1放射強度及び第2放射強度に基づいて赤外線ヒーター30の赤外線強度分布に関する分布関連情報としての温度Tを導出し、導出した温度Tに基づいて赤外線ヒーター30の監視及び制御を行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、赤外線処理装置に関する。
従来、塗膜などの処理対象に対して赤外線ヒーターから赤外線を放射して乾燥などの処理を行う赤外線処理装置が知られている。こうした赤外線処理装置に用いられる赤外線ヒーターとして、例えば特許文献1には、加熱すると赤外線を放出するロッド状の発熱体と、この発熱体が気密的に収容された透光性アルミナセラミックス製筒形状の保護管とを備えた赤外線ヒーターが記載されている。
特開2006−294337号公報
ところで、赤外線ヒーターの監視や制御を行うにあたり、発熱体の温度を測定して発熱体の状態を検出することが考えられる。しかしながら、特許文献1に記載の赤外線ヒーターでは、発熱体が保護管に気密的に収容されており、発熱体は保護管内に温度センサを取り付けて温度を直接検出することは困難であった。また、例えば保護管の外表面に温度センサを取り付けて発熱体の温度を間接的に検出すると、誤差が生じる場合があった。その結果、赤外線ヒーターの監視や制御の精度が低下する場合があった。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、赤外線ヒーターの監視又は制御の少なくとも一方を、より精度よく行うことを主目的とする。
本発明は、上述した主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の赤外線処理装置は、
処理対象に赤外線を放射して赤外線処理を行う赤外線処理装置であって、
前記赤外線処理を行う処理空間を形成する炉体と、
前記処理空間に配置され発熱体を備えた赤外線ヒーターと、
前記赤外線ヒーターからの赤外線のうち第1波長領域の放射強度である第1放射強度を検出する第1放射強度センサと、
前記赤外線ヒーターからの赤外線のうち前記第1波長領域とは異なる第2波長領域の放射強度である第2放射強度を検出する第2放射強度センサと、
前記検出された第1放射強度及び第2放射強度に基づいて、前記赤外線ヒーターの監視及び制御の少なくとも一方を行う監視制御手段と、
を備えたものである。
この本発明の赤外線処理装置では、第1放射強度センサが赤外線ヒーターからの赤外線のうち第1波長領域の放射強度である第1放射強度を検出し、第2放射強度センサが赤外線ヒーターからの赤外線のうち第1波長領域とは異なる第2波長領域の放射強度である第2放射強度を検出する。そして、検出された第1放射強度及び第2放射強度に基づいて、赤外線ヒーターの監視及び制御の少なくとも一方を行う。このように、第1,第2放射強度センサは発熱体の温度ではなく赤外線の放射強度を検出する。そのため、例えば温度センサを用いる場合と比較して、第1,第2放射強度センサが赤外線ヒーターの外にあるなど発熱体から離れた位置に設けられていても、精度よく検出を行うことができる。しかも、放射強度を検出する波長領域の異なる2つの放射強度センサが検出した放射強度に基づくため、赤外線ヒーターの状態をより精度よく検出して、監視及び制御の少なくとも一方をより精度よく行うことができる。ここで、「赤外線ヒーターの監視」とは、例えば故障や劣化の有無の確認など、赤外線ヒーターの出力(赤外線の放射強度)の異常の有無を確認することを含む。また、「赤外線ヒーターの制御」とは、発熱体に供給する電力を調整して赤外線ヒーターの出力を制御することや、発熱体を冷却する冷媒の流量を調整することを含む。なお、「監視及び制御の少なくとも一方」を「監視制御」と表記する場合がある。また、「赤外線処理」は、例えば加熱処理,乾燥処理,脱水処理など処理対象の少なくとも一部を物理変化させる処理や,処理対象の少なくとも一部を化学反応させる処理などを含む。また、「第1波長領域とは異なる第2波長領域」とは、第1波長領域と第2波長領域とが全く同じ領域ではないことを意味する。例えば、第1波長領域と第2波長領域とは全く重複しなくてもよいし、一部が重複してもよい。また、前記制御手段は、前記第1放射強度と前記第2放射強度との一方に基づいて前記赤外線ヒーターの監視を行い、他方に基づいて前記赤外線ヒーターの制御を行ってもよい。
本発明の赤外線処理装置において、前記監視制御手段は、前記検出された第1放射強度及び第2放射強度に基づいて前記赤外線ヒーターの赤外線強度分布に関する分布関連情報を導出し、該導出した分布関連情報に基づいて前記赤外線ヒーターの監視及び制御の少なくとも一方を行ってもよい。ここで、「分布関連情報」は、赤外線ヒーターの赤外線強度分布に対応して1つに定まる情報である。分布関連情報は、例えば赤外線ヒーターから放射させる赤外線のピーク波長、赤外線ヒーターから放射される赤外線のうち所定の波長の放射強度、発熱体の温度、第1放射強度と第2放射強度との比、赤外線強度分布そのもの(波形)、の少なくとも1つを含んでもよい。この場合において、前記監視制御手段は、前記分布関連情報と閾値とを比較して異常の有無を判定することで前記赤外線ヒーターの監視を行ってもよい。また、前記監視制御手段は、前記分布関連情報が目標値に近づくように赤外線ヒーターを制御してもよい。
分布関連情報を導出する態様の本発明の赤外線処理装置において、前記第1放射強度及び前記第2放射強度と、前記分布関連情報と、の対応関係を記憶する記憶手段、を備え、前記監視制御手段は、前記検出された第1放射強度及び第2放射強度に対応する分布関連情報を前記対応関係に基づいて導出し、該導出した分布関連情報に基づいて前記赤外線ヒーターの監視及び制御の少なくとも一方を行ってもよい。
分布関連情報を導出する態様の本発明の赤外線処理装置において、前記監視制御手段は、前記分布関連情報として前記発熱体の温度と前記赤外線ヒーターから放射される赤外線のピーク波長との少なくとも一方を導出してもよい。
分布関連情報を導出する態様の本発明の赤外線処理装置において、前記監視制御手段は、前記分布関連情報として、前記赤外線ヒーターから放射される赤外線のうち前記第1波長領域及び前記第2波長領域とは異なる第3波長の放射強度である第3放射強度を導出してもよい。
第3放射強度を導出する態様の本発明の赤外線処理装置において、前記監視制御手段は、前記赤外線ヒーターの少なくとも制御を行い、前記導出される第3放射強度が該第3放射強度の目標値に近づくように前記赤外線ヒーターを制御してもよい。この場合において、前記第3波長は、前記処理対象の前記赤外線処理に最も寄与する波長としてもよい。こうすれば、第3放射強度に基づく赤外線ヒーターの制御を行うことで、赤外線処理後の処理対象の品質がよりばらつきにくくなる。また、放射強度センサが放射強度を測定できる第1波長領域及び第2波長領域が赤外線処理に最も寄与する波長を含んでいない場合でも、第3放射強度を導出することで、処理対象に適した制御を行うことができ、処理対象の品質がばらつきにくくなる。なお、「前記処理対象の前記赤外線処理に最も寄与する波長」とは、例えば処理対象のうち赤外線処理で物理変化又は化学反応させる物質における赤外線の吸収率が最大となる波長としてもよい。
本発明の赤外線処理装置において、前記第1放射強度センサは、受光した赤外線の前記第1放射強度を検出する検出部と、該検出部へ到達可能な赤外線の入射方向を制限する絞り部と、を有していてもよい。こうすれば、放射強度の検出対象以外の物体から放射される赤外線の影響をより抑制でき、第1放射強度の検出精度が向上する。前記第1放射強度センサと同様に、前記第2放射強度センサについても、前記第2放射強度を検出する検出部と、該検出部へ到達可能な赤外線の入射方向を制限する絞り部と、を有していてもよい。なお、絞り部を備える場合において、前記第1放射強度センサや第2放射強度センサは、前記絞り部の開口が前記赤外線ヒーターに向くように配置されていてもよいし、前記発熱体に向くように配置されていてもよい。
本発明の赤外線処理装置において、前記第1放射強度センサは、受光した赤外線のうち前記第1波長領域以外の赤外線を遮蔽するフィルタ部と、前記フィルタ部を通過した後の赤外線の放射強度を検出する検出部と、を有していてもよい。前記第1放射強度センサと同様に、前記第2放射強度センサについても、受光した赤外線のうち前記第2波長領域以外の赤外線を遮蔽するフィルタ部と、前記フィルタ部を通過した後の赤外線の放射強度を検出する検出部と、を有していてもよい。
赤外線処理装置10の断面図。 図1のA−A断面図。 監視制御ルーチンの一例を示すフローチャート。 対応関係テーブル93の一例を示す説明図。 対応関係テーブル93で対応づけられた第1,第2放射強度と発熱体の温度及びピーク波長との関係を示す説明図。
次に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態である赤外線処理装置10の縦断面図である。図2は、図1のA−A断面図である。赤外線処理装置10は、シート80上に塗布された処理対象としての塗膜82の赤外線処理(本実施形態では乾燥処理)を赤外線を用いて行うものであり、炉体12と、赤外線ヒーター30と、放射強度センサ60と、コントローラー90と、操作パネル98と、を備えている。また、赤外線処理装置10は、炉体12の前方(図1の左側)に設けられたロール21と、炉体12の後方(図1の右側)に設けられたロール25と、を備えている。この赤外線処理装置10は、塗膜82が上面に形成されたシート80を、ロール21,25により連続的に搬送して乾燥を行う、ロールトゥロール方式の乾燥炉として構成されている。本実施形態において、左右方向、前後方向及び上下方向は、図1,図2に示した通りとする。
炉体12は、塗膜82の赤外線処理を行う処理空間12aを形成するものである。炉体12は、略直方体に形成された断熱構造体であり、前端面13,後端面14,左端面15,右端面16と、内部の空間である処理空間12aと、炉体の前端面13及び後端面14にそれぞれ形成され外部から処理空間12aへの出入口となる開口17,18とを有している。この炉体12は、前端面13から後端面14までの長さが例えば2〜10mである。片面に塗膜82が塗布されたシート80は、処理空間12aを開口17から開口18まで略水平に通過していく。処理空間12aには、赤外線ヒーター30,放射強度センサ60などが配置されている。
赤外線ヒーター30は、炉体12内の塗膜82に赤外線を放射する装置である。赤外線ヒーター30は、炉体12の前後方向(図1の左右方向)に複数本(本実施形態では3本)が略等間隔に並べて取り付けられている。3本の赤外線ヒーター30を前方向から順に赤外線ヒーター30a,30b,30cと称する。赤外線ヒーター30a,30b,30cは、いずれも長手方向が左右方向(図2の左右方向)に沿うように取り付けられている。赤外線ヒーター30a,30b,30cはいずれも同様の構成をしているため、以下、中央の赤外線ヒーター30bの構成について説明する。
赤外線ヒーター30bは、図1,図2に示すように、発熱体であるフィラメント32を内管36が囲むように形成されたヒーター本体38と、このヒーター本体38を囲むように形成された外管40と、外管40の両端に気密に嵌め込まれた有底筒状のキャップ42と、ヒーター本体38と外管40との間に形成され第1冷媒が流通可能な第1冷媒流路47と、を備えている。また、外管40の上側の表面には、反射層41が形成されている。外管40の下側の表面には、外管40の表面温度を検出する温度センサ56が取り付けられている(図2)。
フィラメント32は、加熱すると赤外線を放射する発熱体であり、本実施形態ではW(タングステン)製の電線を螺旋状に巻いたものとした。なおフィラメント32の材料としては、他にNi−Cr合金,Mo,Ta,及びFe−Cr−Al合金などを挙げることができる。このフィラメント32は、電力供給源50から電力が供給されて、例えば700〜1700℃に通電加熱されると、波長が3.5μm以下(例えば2〜3μm付近)の赤外線領域にピークを持つ赤外線を放射する。フィラメント32に接続された電気配線34は、キャップ42に設けられ炉体12の上部(天井)を貫通する配線引出部44を介して気密に外部へ引き出され、電力供給源50に接続されている。内管36,外管40は、フィラメント32から放射された電磁波のうち3.5μm以下の波長の赤外線を通過し3.5μmを超える波長の赤外線を吸収するフィルタとして機能する赤外線吸収材料で形成されている。内管36,外管40に用いるこのような赤外線透過材料としては、例えば、石英ガラスなどが挙げられる。本実施形態では、内管36,外管40は、いずれも石英ガラスで形成されているものとした。内管36の内部は、アルゴンガスにハロゲンガスを添加した雰囲気となっている。
ヒーター本体38は、両端がキャップ42の内部に配置されたホルダー49に支持されている。各キャップ42は、第1冷媒出入口48を有している。第1冷媒出入口48の一方には、第1冷媒供給源52から第1冷媒が供給される。一方の第1冷媒出入口48から外管40内に流入した第1冷媒は、冷媒流路47を流通して他方の第1冷媒出入口48から流出するようになっている。第1冷媒流路47を流れる第1冷媒は、例えば空気や不活性ガスなどの気体であり、内管36と外管40とに接触して熱を奪うことによりこれらを冷却する。
反射層41は、外管40の外周面のうち、フィラメント32からみて塗膜82とは反対側(上側)を含む領域に形成され、フィラメント32の周囲の一部のみを覆うように設けられている。本実施形態では、反射層41は、外管40の上側半分を全て覆っているものとした。反射層41は、その断面の円弧を含む円の中心位置にフィラメント32が位置するように配置されている。この反射層41は、フィラメント32から放射される電磁波のうち赤外線の少なくとも一部を反射する赤外線反射材料で形成されている。赤外線反射材料としては、例えば金,白金,アルミニウムなどが挙げられる。反射層41は、特に、フィラメント32から放射される波長3.5μm以下の赤外線の反射率が高いことが好ましい。反射層41は、外管40の表面に塗布乾燥、スパッタリングやCVD、溶射といった成膜方法を用いて赤外線反射材料を成膜することで形成されている。
こうして構成された赤外線ヒーター30(赤外線ヒーター30a,30b,30c)では、フィラメント32から波長が3.5μm以下にピークを持つ赤外線が放射されると、そのうち主に3.5μm以下の波長の赤外線(波長0.7μ〜3.5μmの近赤外線)が内管36や外管40を通過して炉体12内部の塗膜82に放射される。なお、内管36や外管40は、3.5μmを超える波長の赤外線を吸収するが、第1冷媒流路47を流れる第1冷媒によって冷却されることで(例えば200℃以下)、自身が赤外線の二次放射体となることを抑制可能である。
放射強度センサ60は、赤外線ヒーター30から離間して配置され、赤外線ヒーター30の外側からフィラメント32が放射する赤外線を受光してその赤外線の放射強度を検出するセンサである。放射強度センサ60は、赤外線ヒーター30a,30b,30cの各々に複数個(本実施形態では2個の放射強度センサ60a,60b)が対応して配置されている。すなわち、本実施形態では放射強度センサ60が計6個(放射強度センサ60a,60bが各3個)配置されている。放射強度センサ60aは、処理空間12a内の左側に配置され、放射強度センサ60bは、処理空間12aの右側に配置されている。複数の放射強度センサ60は、放射強度センサ60aと放射強度センサ60bとで放射強度を検出する波長領域が異なる点以外はいずれも同様の構成をしている。そのため、以下、中央の赤外線ヒーター30bに対応する放射強度センサ60aの構成について説明する。
放射強度センサ60aは、図2の拡大図に示すように、本体部である筒状体61と、筒状体61の先端に取り付けられた絞り部(アパーチャ)62と、筒状体61の内部に取り付けられたフィルタ部63及び検出部64と、筒状体61の外周を覆うように取り付けられた第2流路形成部材66と、を備えている。絞り部62は、略円盤状の部材であり、中央に開口62aが形成されている。絞り部62は、放射強度センサ60の外部から検出部64に到達可能な赤外線の入射方向を制限するものであり、主に開口62aの延長上の領域から放射される赤外線が検出部64に到達するようになっている。放射強度センサ60aは、水平方向から角度θだけ傾けて処理空間12a内に取り付けられている。そのため、開口62aの中心軸の方向、すなわち検出部64に到達可能な赤外線の主な入射方向は、水平方向から角度θだけ傾いている。特にこれに限定するものではないが、本実施形態では、角度θは45°とした。開口62aの直径は、フィラメント32の太さやフィラメント32と放射強度センサ60aとの距離に応じて適宜定めることができ、例えば数mm〜十数mmである。絞り部62の材質としては、赤外線の透過率及び吸収率が低く、赤外線の反射率が高いものが好ましい。本実施形態では、絞り部62はアルミニウム製とした。
フィルタ部63は、略円盤状の部材であり、開口62aを通過して検出部64へ向かう赤外線のうち所定の第1波長領域以外の赤外線を遮蔽するバンドパスフィルタとして機能する部材である。フィルタ部63は、例えばサファイア,石英,シリコンなどの表面にGe,ZnSなどの薄膜をコーティングした干渉フィルタとして構成されている。本実施形態では、フィルタ部63はサファイアにGeをコーティングしたものとし、第1波長領域は波長3μm付近(より具体的には波長3±0.25μm)の領域とした。すなわち、フィルタ部63は、波長3μm付近の領域の赤外線を透過し、それ以外の波長領域の赤外線を遮蔽するものとした。
検出部64は、開口62a,フィルタ部63を通過したあとの赤外線を受光し、受光した赤外線の放射強度を検出する装置である。検出部64は、受光した放射強度に応じた電気信号(例えば電圧や電流)を電気配線65を介してコントローラー90に出力する。電気配線65は、筒状体61の下端に設けられ炉体12の底部を貫通する配線引出部69を介して気密に外部へ引き出され、コントローラー90に接続されている。検出部64としては、例えばInAs,InAsSb,InSb,PbSeなどからなるフォトダイオードを用いることができる。本実施形態では、検出部64は周知のInAsフォトダイオードとし、受光した赤外線の放射強度に応じて例えば0mV〜数百mVの電圧を出力するものとした。なお、検出部64には上述したようにフィルタ部63を通過したあとの赤外線が入力される。そのため、本実施形態では、検出部64は開口62aを通過した赤外線のうち第1波長領域(波長3±0.25μmの領域)の赤外線の放射強度を検出することになる。検出部64が検出した第1波長領域の放射強度を、第1放射強度と称する。
第2流路形成部材66は、放射強度センサ60aを冷却して過熱を抑制するための部材である。第2流路形成部材66は、開口62aを覆わないように形成され、本実施形態では筒状体61の外周面を覆う円筒状の部材とした。第2流路形成部材66は、内部に円筒状の空間である第2冷媒流路67が形成されている。また、第2流路形成部材66は、2箇所に形成された第2冷媒出入口68を有している。第2冷媒出入口68の一方には、炉体12の外部に配置された第2冷媒供給源54から第2冷媒が供給される。一方の第2冷媒出入口68から第2流路形成部材66内に流入した第2冷媒は、第2冷媒流路67を流通して他方の第2冷媒出入口68から流出するようになっている。第2冷媒流路67を流れる第2冷媒は、例えば水などの液体であり、第2流路形成部材66に接触して熱を奪うことにより、放射強度センサ60aを冷却する。
なお、放射強度センサ60bは、放射強度センサ60aと左右対称に配置されている。また、放射強度センサ60aとは異なり、放射強度センサ60bのフィルタ部63は第1波長領域とは異なる第2波長領域以外の赤外線を遮蔽する。それ以外は、放射強度センサ60bは放射強度センサ60aと同様の構成をしている。そのため、放射強度センサ60bも放射強度センサ60aと同様に水平方向から角度θ(=45°)だけ傾けて処理空間12a内に取り付けられているものとした。なお、本実施形態では、第2波長領域は2μm付近の領域とした。なお、このような波長2μm付近の領域以外の赤外線を遮蔽するフィルタ部63は、上述した干渉フィルタの材質やコーティングの膜厚を適宜変更することで得られる。本実施形態では、放射強度センサ60aと放射強度センサ60bとでフィルタ部63の材質は同じとした。具体的には、放射強度センサ60bのフィルタ部63は、波長2±0.25μmの領域(=第2波長領域)以外の赤外線を遮蔽するものとした。放射強度センサ60bの検出部64には上述したようにフィルタ部63を通過したあとの赤外線が入力されるため、本実施形態では、検出部64は開口62aを通過した赤外線のうち第2波長領域(波長2±0.25μmの領域)の赤外線の放射強度を検出することになる。放射強度センサ60bの検出部64が検出した第2波長領域の放射強度を、第2放射強度と称する。
シート80は、特に限定するものではないが、例えば、アルミニウムや銅等の金属シートである。シート80は、特に限定するものではないが、例えば厚さ10〜100μm,幅200〜1000mmである。また、シート80上の塗膜82は、例えば乾燥後に電池用の電極として用いられるものであり、特に限定するものではないが、例えばリチウムイオン二次電池用の電極となる塗膜である。塗膜82としては、例えば、電極材(正極活物質又は負極活物質)とバインダーと導電材と溶剤とを共に混練した電極材ペーストを、シート80上に塗布したもの等が挙げられる。塗膜82の厚みは、特に限定するものではないが、例えば20〜1000μmである。
コントローラー90は、CPU91を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、各種処理プログラムや各種データなどを記憶したフラッシュメモリー92と、一時的にデータを記憶するRAM94と、操作パネル98などと通信する図示しない内部通信インタフェース(I/F)と、を備えている。フラッシュメモリー92は、後述する監視制御ルーチンに用いる各種の設定値や閾値,及び対応関係テーブル93などを記憶している。
このコントローラー90は、熱電対である温度センサ56が検出した外管40の温度を入力したり、放射強度センサ60の検出部64が検出した赤外線の放射強度を表す電圧を電気配線65を介して入力したりする。また、コントローラー90は、第1冷媒供給源52の図示しない開閉弁や流量調整弁に制御信号を出力して、外管40の温度が所定の上限値を超えないように赤外線ヒーター30の第1冷媒流路47を流れる第1冷媒の流量を制御する。また、コントローラー90は、第2冷媒供給源54の図示しない開閉弁や流量調整弁に制御信号を出力して、第2冷媒流路67を流れる第2冷媒の流量を制御する。更に、コントローラー90は、電力供給源50からフィラメント32へ供給される電力の大きさを調整するための制御信号を電力供給源50へ出力して、赤外線ヒーター30の出力(フィラメント32からの赤外線の放射強度)を個別に制御する。また、コントローラー90は、図示しないモーターに制御信号を出力してロール21,ロール25の回転速度を制御することで、炉体12内のシート80及び塗膜82の通過時間やシート80及び塗膜82にかかる張力を調整する。コントローラー90は、操作パネル98の操作に応じて発生する操作信号を入力したり、操作パネル98に表示指令を出力したりする。
操作パネル98は、表示部と、この表示部を含んで構成された操作部とを備える。表示部は、タッチパネル式の液晶ディスプレイとして構成されており、メニューや項目を選択する選択/設定ボタン、各種数値を入力するための数字ボタン、赤外線処理を開始するスタートボタンなどを表示してタッチ操作を受け付け、タッチ操作に基づく操作信号をコントローラー90に送信する。また、コントローラー90からの表示指令を受信すると、表示指令に基づく画像や文字,数値などを表示部に表示する。
ここで、赤外線ヒーター30b,放射強度センサ60a,60b及び塗膜82の位置関係について図2を用いて説明する。本実施形態では、フィラメント32の真下を塗膜82が通過するものとした。また、塗膜82の左右方向の幅は、フィラメント32からの赤外線の放射強度が均一になるように、フィラメント32の左右方向の幅よりも小さく、キャップ42の真下まではみ出す部分がないものとした。シート80の左右方向の幅についても同様とした。放射強度センサ60a,60bは、いずれもフィラメント32からみて処理空間12aを通過する塗膜82と同じ方向(すなわち真下)に位置し、且つフィラメント32から塗膜82への赤外線の放射を遮らないように塗膜82から左右にずれて位置しているものとした。そして、放射強度センサ60aは、上述した角度θが45°であることで、開口62aの開口の中心軸がフィラメント32のうち塗膜82の真上の領域内の検出箇所32aと交差するように配置されている。これにより、放射強度センサ60aが塗膜82から左方向にずれて位置していても、検出部64にはフィラメント32のうち塗膜82の真上の領域内にある検出箇所32aからの赤外線が主に到達する(図2のフィラメント32から放射強度センサ60aに向かう破線矢印参照)。そのため、放射強度センサ60aは、この検出箇所32aからの赤外線の第1放射強度を検出する。同様に、放射強度センサ60bも、上述した角度θが45°であることで、開口62aの開口の中心軸がフィラメント32のうち塗膜82の真上の領域内の検出箇所32bと交差するように配置されている。これにより、放射強度センサ60bが塗膜82から右方向にずれて位置していても、検出部64にはフィラメント32のうち塗膜82の真上の領域内にある検出箇所32bからの赤外線が主に到達する(図2のフィラメント32から放射強度センサ60bに向かう破線矢印参照)。そのため、放射強度センサ60bは、この検出箇所32bからの赤外線の第2放射強度を検出する。
なお、赤外線ヒーター30a,30cと各ヒーターに対応する放射強度センサ60a,60b及び塗膜82の位置関係は図2と同様であるため、図示及び説明を省略する。
次に、こうして構成された赤外線処理装置10を用いて赤外線処理(乾燥処理)を行って塗膜82を乾燥する様子について説明する。まず、ユーザーが操作パネル98を操作してスタートボタンを押下すると、操作パネル98はコントローラー90に処理開始信号などを送信する。処理開始信号を入力したコントローラー90は、ロール21,ロール25を回転させ、シート80の搬送を開始する。これにより、赤外線処理装置10の左端に配置されたロール21からシート80が巻き外されていく。また、シート80は開口17から炉体12内に搬入される直前に図示しないコーターによって上面に塗膜82が塗布される。そして、塗膜82が塗布されたシート80は、炉体12内に搬送される。なお、コントローラー90は、設定値としてフラッシュメモリー92に記憶された塗膜82の処理時間(炉体12の通過時間)やシート80の張力などに基づいてローラー21,25の回転速度を制御する。また、コントローラー90は、後述する監視制御ルーチンを実行して電力供給源50を制御し、赤外線ヒーター30の監視制御を行う。これにより、赤外線ヒーター30a〜30cのフィラメント32が通電されて加熱され、フィラメント32からは赤外線が放射される。そして、シート80が炉体12の処理空間12a内を通過する間に、シート80の上面に形成された塗膜82は、フィラメント32からの赤外線が照射されることによって乾燥される。これにより、塗膜82は上述した電極となり、開口18から搬出される。そして、この電極(塗膜82)は、炉体12の右端に設置されたロール25にシート80とともに巻き取られる。
また、これと同時に、コントローラー90は、第1冷媒供給源52を制御して第1冷媒流路47に第1冷媒を流通させる。これにより、内管36及び外管40は、冷媒流路47を流れる第1冷媒によって冷却される。なお、本実施形態では、コントローラー90は、温度センサ56から入力した外管40の温度に基づいて、外管40の温度が塗膜82から蒸発する溶剤の着火点未満の温度(例えば200℃以下など)に維持されるように、第1冷媒供給源52を制御して第1冷媒の流量を調整するものとした。また、コントローラー90は、第2冷媒供給源54を制御して第2冷媒流路67に第2冷媒を流通させる。これにより、放射強度センサ60は、第2冷媒流路67を流れる第2冷媒によって冷却される。なお、本実施形態では、第2冷媒流路67を流れる第2冷媒の流量は予め固定の設定値として定められており、その設定値に基づく流量の第2冷媒が第2冷媒流路67を流通するように第2冷媒供給源54を制御するものとした。
ここで、監視制御ルーチンについて詳細に説明する。図3は、監視制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、フラッシュメモリー92に記憶されている。このルーチンは、コントローラー90が、ユーザーから操作パネル98を介してスタートボタンが押下されたことを表す処理開始信号を入力すると、赤外線処理が終了するまで繰り返し実行される。なお、監視制御ルーチンは、赤外線ヒーター30a〜30cのそれぞれについて実行するが、処理内容はいずれも同様であるため、赤外線ヒーター30bについて監視制御ルーチンを実行する場合を例として説明する。
この監視制御ルーチンが実行されると、CPU91は、まず、赤外線ヒーター30bに対応する放射強度センサ60a,60bの検出値(電圧)を電気配線65を介して取得し、取得した値に基づく第1,第2放射強度をRAM94に記憶する(ステップS100)。なお、本実施形態では、放射強度センサ60a,60bから取得した検出値で表される第1,第2放射強度に対して、それぞれ所定の形態係数を加味した補正を行い、フィラメント32から真下の塗膜82に放射される赤外線の放射強度を表す補正後第1,第2放射強度を導出して、この補正後第1,第2放射強度の値をRAM94に記憶するものとした。すなわち、本実施形態では放射強度センサ60を角度θ=45°だけ傾けて配置して検出箇所32a,32bからの赤外線の第1,第2放射強度を検出しているが、塗膜82の位置において角度θ=90°の向き(開口62aが真上に開口する向き)で検出箇所32a,32bからの赤外線の第1,第2放射強度を検出した場合の放射強度に換算した値として補正後第1,第2放射強度を導出し、これをRAM94に記憶するものとした。なお、形態係数は、フィラメント32の赤外線の放射面と検出部64の受光面の形状及び大きさや位置関係などにより定まる値であり、放射強度センサ60a,60bのそれぞれについて予めフラッシュメモリー92に設定値として記憶されているものとした。また、監視制御ルーチンの以降の処理では、補正後第1放射強度及び補正後第2放射強度を、それぞれ単に第1放射強度及び第2放射強度と称する。
続いて、CPU91は、ステップS100で記憶した第1,第2放射強度に基づいてフィラメント32の温度T(分布関連情報)を導出する(ステップS110)。この処理は、フラッシュメモリー92に記憶された対応関係テーブル93を用いて行う。図4は、対応関係テーブル93の一例を示す説明図である。図4に示すように、対応関係テーブル93は、第1,第2放射強度と、分布関連情報としてのフィラメント32の温度T及びフィラメント32からの赤外線のピーク波長Lと、を対応づけたテーブルである。この対応関係テーブル93では、ある第1放射強度と第2放射強度との組み合わせに対して、温度Tとピーク波長Lとがそれぞれ1つ対応している。図5は、対応関係テーブル93で対応づけられた第1,第2放射強度と、温度T及びピーク波長Lとの関係を示す説明図である。赤外線ヒーター30bは、フィラメント32に電力が供給されて発熱すると、フィラメント32の温度に応じて放射する赤外線の強度分布(図5における波長と放射強度との関係を表す波形)が変化する。具体的には、フィラメント32の温度TがTa,Tb,Tcと大きくなるに従って放射強度は全体的に大きくなっていき、ピーク波長LはLa,Lb,Lcと小さくなっていく。この温度T及びピーク波長Lと、赤外線ヒーター30の赤外線強度分布とは1対1に対応する。また、赤外線強度分布が変化すると、そのとき放射強度センサ60a,60bにより検出される第1放射強度及び第2放射強度も変化する。そのため、第1放射強度及び第2放射強度の値から、赤外線強度分布を知ることができる。例えば、図5において第1放射強度がRa1且つ第2放射強度がRa2であった場合には、赤外線ヒーター30からの赤外線強度分布は、温度T=Ta,ピーク波長L=Laのときの波形であることがわかる。同様に、第1放射強度がRc1且つ第2放射強度がRc2であった場合には、赤外線ヒーター30からの赤外線強度分布は、温度T=Tc,ピーク波長L=Lcのときの波形であることがわかる。このように、第1放射強度及び第2放射強度と、赤外線強度分布と、分布関連情報(温度T,ピーク波長L)との間には対応関係が存在する。対応関係テーブル93は、この対応関係に基づいて第1放射強度及び第2放射強度と、分布関連情報(温度T,ピーク波長L)と、を対応づけてテーブルにしたものである。このような対応関係テーブル93は、予め実験により求めておくことができる。なお、図5に示す斜線の領域は、波長3.5μmを超える赤外線の領域である。この領域の赤外線は、内管36及び外管40によってほとんどが吸収されるため、赤外線ヒーター30bからの放射強度は図5に示した波形よりも小さくなる。ただし、本実施形態では、第1放射領域(波長3±0.25μm)及び第2放射領域(波長2±0.25μm)はいずれも波長3.5μm以下の領域に存在するため、対応関係テーブル93の対応関係には影響せず、問題はない。
ステップS110では、CPU91は、この対応関係テーブル93を用いて、ステップS100で記憶した第1,第2放射強度に対応するフィラメント32の温度Tを導出する。例えば、第1放射強度がRa1且つ第2放射強度がRa2であった場合には、温度Tとして値Taを導出することになる。続いて、CPU91は、導出した温度Tに基づいて赤外線ヒーター30bに異常があるか否かを判定する(ステップS120)。この判定は、例えば温度Tが高すぎる又は低すぎるか否かなど、所定の許容範囲の上下限から外れているか否かを判定することで行う。温度Tの許容範囲は、予めフラッシュメモリー92に記憶されている。なお、温度Tの許容範囲は、固定の範囲としてもよいし、前回実行した監視制御ルーチンのステップS140(後述)で出力した赤外線ヒーター30bへの供給電力値Waの値に応じて可変としてもよい。例えば、供給電力値Waが大きいほど許容範囲の上限及び下限がともに大きくなる傾向にあるものとしてもよい。許容範囲が可変の場合、スターボタンが押下されて最初に実行するステップS120では、供給電力値Waが所定の初期値(例えば0kW,0%など)とした場合の許容範囲に基づいて異常の判定を行ってもよい。
ステップS120で温度Tが許容範囲内であり異常がないと判定したきには、CPU91は、ステップS110で導出した温度Tとフィラメント32の温度の目標値Ttとに基づいて、フィードバック制御により電力供給源50から赤外線ヒーター30bに供給すべき供給電力値Waを決定する(ステップS130)。目標値Ttは、塗膜82の乾燥処理に適した赤外線強度分布に対応する値として予め定められてフラッシュメモリー92に記憶されている。なお、フィードバック制御に用いるパラメーターも、フラッシュメモリー92に予め記憶されているものとした。ステップS130のフィードバック制御は、例えば目標値Ttと温度Tとの差分がゼロになるようにPID制御により供給電力値Waを決定することで行う。供給電力値Waは、例えば電力供給源50が供給可能な最大の電力を100%として0%から100%の間で定められる値としてもよいし、電力の値そのものとしてもよい。なお、ステップS130では、PID制御に限らずPI制御など他のフィードバック制御を採用してもよい。
ステップS130で供給電力値Waを決定すると、CPU91は、決定した供給電力値Waを電力供給源50に出力して(ステップS140)、本ルーチンを終了する。これにより、決定した供給電力値Waに基づく電力が赤外線ヒーター30bに供給される。また、ステップS120で異常があると判定すると、CPU91は、異常がある旨を表示して報知するよう操作パネル98に制御信号を送信して(ステップS150)、本ルーチンを終了する。なお、操作パネル98への表示に加えて又は代えて、操作パネル98に異常を報知する音声を出力させたりしてもよい。また、ステップS150では、異常の報知に加えて又は代えて、赤外線ヒーター30への電力の供給の停止やローラー21,25の回転の停止など赤外線処理を中止する処理を行ってもよい。
ここで、上述したように、赤外線ヒーター30a〜30cは、3.5μmを超える波長の赤外線を吸収する内管36及び外管40を有しているため、赤外線ヒーター30a〜30cからは波長3.5μm以下の赤外線(近赤外線)が主に放射される。波長3.5μm以下の赤外線は、水や溶剤などの分子中の水素結合を切断する能力に優れている。そのため、塗膜82を効率よく乾燥することができる。なお、本実施形態では、塗膜82のうち赤外線処理で乾燥させる物質である水及び溶剤における赤外線の吸収率が最大となる波長が3μm付近であるものとした。すなわち、塗膜82の乾燥に最も寄与するのは、波長3μm付近の赤外線であるものとした。なお、第1波長領域は、上述したように波長3μmを含んでいる。
なお、赤外線ヒーター30a,30cについても監視制御ルーチンは同様に行うが、ステップS130におけるフィードバック制御の目標値Ttは、赤外線ヒーター30毎に異なっていてもよい。例えば、乾燥の初期,中期,後期で適切な赤外線の赤外線強度分布が変わる場合には、赤外線ヒーター30a,30b,30c毎に異なる目標値Ttを用いてもよい。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の赤外線処理装置の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の炉体12が本発明の炉体に相当し、フィラメント32が発熱体に相当し、赤外線ヒーター30が赤外線ヒーターに相当し、放射強度センサ60aが第1放射強度センサに相当し、放射強度センサ60bが第2放射強度センサに相当し、コントローラー90が監視制御手段に相当する。また、対応関係テーブル93が、第1放射強度及び第2放射強度と分布関連情報との対応関係に相当し、フラッシュメモリー92が記憶手段に相当する。
以上説明した本実施形態の赤外線処理装置10によれば、放射強度センサ60aが赤外線ヒーター30からの赤外線の第1放射強度を検出し、放射強度センサ60bが赤外線ヒーター30からの赤外線の第2放射強度を検出する。そして、検出された第1放射強度及び第2放射強度に基づいて、赤外線ヒーター30の監視及び制御を行う。このように、放射強度センサ60a,60bはフィラメント32の温度ではなく赤外線の放射強度を検出する。そのため、温度センサを用いる場合と比較して、放射強度センサ60a,60bが赤外線ヒーター30の外にあるなどフィラメント32から離れた位置に設けられていても、精度よく検出を行うことができる。これに対し、例えば、温度センサを内管36の内部に配置して直接フィラメント32の温度を測定することは困難である。また、外管40の表面に設けられた温度センサ56は第1冷媒の影響を受けるため、温度センサ56でフィラメント32の温度を測定しても誤差が大きい。あるいは、処理空間12a内に温度センサ56を配置しても、周囲の雰囲気やフィラメント32以外の物体の影響を受けるため、やはりフィラメント32の温度を正確に測ることは難しい。なお、予め供給電力値Waと温度T(分布関連情報)との対応関係を記憶しておき、この対応関係に基づいて目標値Ttに対応する供給電力値Waを電力供給源50に出力することも考えられる。ただし、赤外線ヒーター30の経年変化などの影響がある場合、温度Tなどの分布関連情報や赤外線強度分布と供給電力値Waとの対応関係が変わってしまう場合がある。このような場合には、予め記憶した対応関係のみに基づいて制御を行うと、目標値Ttに対応する供給電力値Waを電力供給源50に出力しても、実際にはフィラメント32の温度Tが目標値Tにならない。これに対し本実施形態の赤外線処理装置10では、制御の対象となるフィラメント32の温度Tそのものを第1放射強度及び第2放射強度に基づいて精度よく導出できるため、上記のような経年変化や外乱にも対応して、フィラメント32の温度Tを目標値Ttに精度良く近づけることができる。
また、赤外線処理装置10では、放射強度を検出する波長領域の異なる2つの放射強度センサ60a,60bが検出した第1,第2放射強度に基づく監視及び制御を行う。そのため、赤外線ヒーター30の状態をより精度よく検出して、監視及び制御をより精度よく行うことができる。例えば、図5に示すように温度Tが値Taから値Tcまで変化したときの第1放射強度の変化量(Rc1−Ra1)は、第2放射強度の変化量(Rc2−Ra2)に比べると比較的小さい。そのため、放射強度センサ60aが検出した第1放射強度のみに基づいて監視や制御を行おうとすると、制御の精度が十分高くならない場合がある。これに対して、第1放射強度と第2放射強度との両方に基づくことで、赤外線ヒーター30の赤外線強度分布や分布関連情報をより精度よく導出でき、監視や制御をより精度よく行うことができる。
また、コントローラー90は、検出された第1放射強度及び第2放射強度に基づいて赤外線ヒーター30の赤外線強度分布に関する分布関連情報としての温度Tを導出し、導出した温度Tに基づいて赤外線ヒーター30の監視及び制御を行う。このように第1放射強度及び第2放射強度に基づいて導出された温度Tは、例えば赤外線ヒーター30の外側などフィラメント32から離れて配置された温度センサを用いて測定した温度と比べて精度の高い値となる。そのため、この温度Tに基づくことで、赤外線ヒーター30の監視及び制御をより精度よく行うことができる。また、コントローラー90は、温度Tと閾値(上限,下限)とを比較して異常の有無を判定することで赤外線ヒーター30の監視を行っている。コントローラー90は、温度Tが目標値Ttに近づくように赤外線ヒーター30を制御している。さらに、赤外線処理装置10は、第1放射強度及び第2放射強度と、分布関連情報と、の対応関係テーブル93を記憶するフラッシュメモリー92、を備え、コントローラー90は、検出された第1放射強度及び第2放射強度に対応する温度Tを対応関係テーブル93に基づいて導出し、導出した温度Tに基づいて赤外線ヒーター30の監視及び制御を行っている。
さらに、放射強度センサ60aは、受光した赤外線の第1放射強度を検出する検出部64と、検出部64へ到達可能な赤外線の入射方向を制限する絞り部62と、を有し、絞り部62の開口62aがフィラメント32に向くように配置されている。そのため、フィラメント32以外の物体から放射される赤外線の影響をより抑制でき、第1放射強度の検出精度が向上する。放射強度センサ60bについても同様である。
さらにまた、放射強度センサ60aは、受光した赤外線のうち第1波長領域以外の赤外線を遮蔽するフィルタ部63と、フィルタ部63を通過した後の赤外線の放射強度を検出する検出部64と、を有している。同様に、放射強度センサ60bは、受光した赤外線のうち第2波長領域以外の赤外線を遮蔽するフィルタ部63と、フィルタ部63を通過した後の赤外線の放射強度を検出する検出部64と、を有している。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、コントローラー90は、監視制御ルーチンのステップS120により赤外線ヒーター30の監視を行い、ステップS130,140により赤外線ヒーター30の制御を行っているが、これに限られない。例えばステップS120とステップS130,140との一方を省略するなど、コントローラー90は第1放射強度及び第2放射強度に基づく監視又は制御の少なくとも一方を行えばよい。
上述した実施形態では、コントローラー90は監視制御ルーチンのステップS110で分布関連情報として温度Tを導出したが、これに限らず他の分布関連情報を導出してもよい。例えば、分布関連情報として、赤外線ヒーター30のピーク波長L、赤外線ヒーターから放射される赤外線のうち所定の波長の放射強度、第1放射強度と第2放射強度との比、赤外線強度分布そのもの(波形)、のいずれかを導出してもよい。これらは、いずれも図5に示した赤外線強度分布に対応して1つに定まる情報である。そのため、上述した実施形態と同様に、第1放射強度及び第2放射強度と、それらに対応する赤外線強度分布と、の関係に基づいて、例えば予め記憶した対応関係テーブルなどを用いて導出することができる。例えばピーク波長Lは、上述した実施形態の対応関係テーブル93でも対応づけられているため、これを用いて導出することができる。なお、温度Tとピーク波長Lとを導出するなど、2つ以上の情報を含む分布関連情報を導出してもよい。
上述した実施形態では、第1放射強度及び第2放射強度と対応関係テーブル93とに基づいて分布関連情報としての温度Tを導出したが、これに限られない。例えば、分布関連情報として、赤外線ヒーター30から放射される赤外線のうち第1波長領域及び第2波長領域とは異なる所定の波長(第3波長と称する)の放射強度である第3放射強度を導出してもよい。例えば、第3波長を波長2.5μmとして、この第3波長の放射強度である第3放射強度を導出してもよい。上述した図5の対応関係から明らかなように、第1放射強度及び第2放射強度とそれに対応する赤外線強度分布との関係に基づいて、対応する赤外線強度分布の波形から第3波長(例えば波長2.5μm)の放射強度である第3放射強度は容易に導出することができる。そのため、例えば第1放射強度及び第2放射強度と第3放射強度との対応関係を予め調べてフラッシュメモリー92に記憶しておき、この対応関係を用いることで、第1放射強度及び第2放射強度から第3放射強度を導出することができる。この場合、ステップS120において、導出した第3放射強度と予めフラッシュメモリー92に記憶された許容範囲とに基づいて赤外線ヒーター30の異常を判定してもよい。また、ステップS130において、導出した第3放射強度とその目標値とに基づいてフィードバック制御により供給電力値Waを決定してもよい。なお、このような制御を行う場合には、処理対象の赤外線処理に最も寄与する波長を第3波長として定めることが好ましい。例えば、処理対象の赤外線処理に最も寄与する波長が2.5μmのときに、第3波長を2.5μmとすれば、第1波長領域及び第2波長領域が波長2.5μmを含まない場合でも、赤外線処理に最も寄与する波長の放射強度を目標値に近づけるように赤外線ヒーター30を制御することができる。そのため、処理対象に適した制御を行うことができ、処理対象の品質がばらつきにくくなる。また、こうすれば、処理対象が変わる毎に第1,第2波長領域の異なる放射強度センサ60a,60bを用意する必要がない。処理対象に適した第3波長を設定して第3放射強度を導出できるように、第1放射強度及び第2放射強度と複数種類の波長(第3波長の候補)との対応関係をそれぞれ求めてフラッシュメモリー92に記憶しておけばよい。
上述した実施形態では、第1放射強度及び第2放射強度と対応関係テーブル93とに基づいて分布関連情報としての温度Tを導出したが、これに限られない。例えば、対応関係テーブル93の代わりに、第1放射強度及び第2放射強度と分布関連情報との対応関係を表すマップや計算式などを用いてもよい。
上述した実施形態では、第1放射強度及び第2放射強度に基づいてまず温度Tを導出し、温度Tに基づく監視及び制御を行ったが、これに限らず分布関連情報の導出を省略してもよい。例えば、予め第1放射強度及び第2放射強度と異常の有無との対応関係をフラッシュメモリー92に記憶しておき、検出した第1放射強度及び第2放射強度から直接異常の有無を判定してもよい。このような対応関係は、例えば上述した実施形態における対応関係テーブル93と、ステップS120で用いた温度Tの許容範囲(固定の範囲)と、に基づいて予め定めておくことができる。なお、第1放射強度及び第2放射強度と、前回実行した監視制御ルーチンのステップS140で出力した赤外線ヒーター30への供給電力値Waの値と、ステップS120で用いた温度Tの許容範囲(供給電力値Waによって可変)と、に基づいて、第1放射強度及び第2放射強度と異常の有無との対応関係を予め定めておいてもよい。同様に、ステップS130のフィードバック制御においても、第1放射強度及び第2放射強度と目標値Ttと供給電力値Waとの対応関係を予め定めてフラッシュメモリー92に記憶しておき、温度Tの導出を省略してもよい。
上述した実施形態では、第1放射強度及び第2放射強度に基づいて導出した温度Tを用いて、赤外線ヒーター30の監視と制御との両方を行ったが、これに限られない。例えば、温度Tを用いて赤外線ヒーター30の監視を行い、第1放射強度と第2放射強度との比を用いて赤外線ヒーター30の制御を行うなど、監視と制御とで異なる分布関連情報を用いてもよい。また、例えば温度Tを用いて赤外線ヒーター30の監視を行い、第1放射強度が目標値になるようにフィードバック制御により赤外線ヒーター30の制御を行ってもよい。こうすれば、第1波長領域は塗膜82の赤外線処理に最も寄与する波長(3μm付近)を含んでいるため、第1波長強度に基づく制御を行うことで、処理対象に適した制御を行うことができ、処理対象の品質がばらつきにくくなる。しかも、異常の判定については、温度変化に対する変化の少ない第1波長強度ではなく、温度Tそのものを用いて判定を行うため、異常の判定もより精度よく行うことができる。
上述した実施形態では、ステップS120で異常がある(温度Tが高すぎる又は低すぎる)と判定すると、異常がある旨を操作パネル98に表示させるものとしたが、これに限られない。例えば、ステップS120で異常があるときには、高すぎる(又は低すぎる)温度Tが適切になるように、赤外線ヒーター30に供給する供給電力値Waが低め(又は高め)になるように補正してもよい。例えば、異常がある間は、ステップS130で決定した供給電力値Waから値を減算(又は加算)してからステップS140の処理を行うようにしたり、ステップS130で用いる目標値Ttを低め(又は高め)に変更したりしてもよい。
上述した実施形態では、ステップS120において、導出した温度Tに基づいて赤外線ヒーター30の異常の有無を判定したが、これに限られない。例えば、ステップS100で記憶した第1放射強度及び第2放射強度の少なくとも一方に基づいて、赤外線ヒーター30の異常の有無を判定してもよい。例えば、汚れなどにより赤外線ヒーター30の外管40に曇りが生じたりすると、フィラメント32の温度やピーク波長が同じでも第1放射強度や第2放射強度が小さくなる場合がある。そこで、例えば赤外線ヒーター30への供給電力値Waと第1放射強度(又は第2放射強度)との関係を予め調べて、供給電力値Waに応じた第1放射強度の許容範囲をフラッシュメモリー92に記憶しておく。そして、ステップS100で記憶した第1放射強度(又は第2放射強度)の値が、前回実行したステップS140で出力した赤外線ヒーター30への供給電力値Waの値に応じた許容範囲の下限を下回るときには、異常があるとCPU91が判定してもよい。この場合、CPU91は、外管40に曇りが生じており清掃が必要である旨を表示して報知するよう操作パネル98を制御してもよいし、赤外線処理を中止してもよい。あるいは、赤外線ヒーター30に供給する供給電力値Waが高めになるように補正して、不足する放射強度を補うようにしてもよい。例えば、ステップS130で決定した供給電力値Waに値を加算してからステップS140の処理を行うようにしたり、ステップS130で用いる目標値Ttを高めに変更したりして、不足する放射強度を補ってもよい。また、第1放射強度と第2放射強度との比(=フィラメント32の温度やピーク波長に関連する値)に基づいてフィラメント32の異常の有無を判定し、異常がない場合には上記のように第1放射強度の値に基づいて外管40の異常の有無を判定してもよい。こうすれば、フィラメント32の異常と外管40の異常とを共に判定することができる。これに限らず、複数種類の異常の判定を適宜組み合わせてもよい。
上述した実施形態では、放射強度センサ60は絞り部62の開口62aがフィラメント32に向くように配置されているものとしたが、放射強度センサ60が赤外線ヒーター30からの赤外線の放射強度を検出できればよい。例えば、開口62aが赤外線ヒーター30のうちフィラメント32以外の部分を向くように配置されていてもよい。ただし、開口62aがフィラメント32を向くように放射強度センサ60が配置されていることが好ましい。
上述した実施形態では、導出した温度Tとフィラメント32の温度の目標値Ttとに基づいて、フィードバック制御により電力供給源50から赤外線ヒーター30bに供給すべき供給電力値Waを決定するものとしたが、これに限られない。コントローラー90は、温度Tが目標値Ttに近づくように制御すればよく、フィードバック制御以外の制御を行ってもよい。あるいは、コントローラー90は供給電力値Waの制御に代えて又は加えて、第1冷媒流路47を流れる第1冷媒の流量を制御することでフィラメント32の温度を変化させてもよい。例えば、コントローラー90は、温度Tが目標値Ttよりも高いときには、供給電力値Waの値を小さくするように電力供給源50を制御し、温度Tが目標値Ttよりも低いときには、第1冷媒流路47を流れる第1冷媒の流量を小さくするように第1冷媒供給源52を制御してもよい。また、コントローラー90は、温度Tが目標値Ttよりも低く且つ外管40の温度が目標値(例えば溶剤の着火点未満の所定温度)よりも十分小さいとき(例えば目標値と温度センサ56が検出した温度との差が所定の閾値以上のとき)には第1冷媒流路47を流れる第1冷媒の流量を小さくするように電力供給源50を制御し、温度Tが目標値Ttよりも低く且つ外管40の温度が目標値に近いときには供給電力値Waの値を大きくするように第1冷媒供給源52を制御してもよい。
上述した実施形態では、第2冷媒流路67を流れる第2冷媒の流量は予め固定の設定値として定められているものとしたが、これに限られない。例えば、コントローラー90が、放射強度センサ60が検出した放射強度が大きいほど第2冷媒の流量が大きくなるように第2冷媒の流量を制御しても良い。
上述した実施形態では、放射強度センサ60は第2流路形成部材66を備えており第2冷媒供給源54からの第2冷媒によって冷却されるものとしたが、これに限られない。例えば、第2冷媒で冷却する代わりにペルチェ素子を用いて放射強度センサ60を冷却してもよい。また、放射強度センサ60を冷却する機構を備えないものとしてもよい。
放射強度センサ60の構成は、上述した実施形態に限られない。例えば、フィルタ部63は、所定の波長領域の上限を超える赤外線を遮蔽するフィルタと、所定の波長領域の下限を下回る赤外線を遮蔽するフィルタとを組み合わせて構成してもよい。また、放射強度センサ60aと放射強度センサ60bとが、フィルタ部63が異なるだけでなく検出部64も異なっていてもよい。例えば、放射強度センサ60aの検出部64には第1波長領域の検出感度が高いものを用い、放射強度センサ60bの検出部64には第2波長領域の検出感度が高いものを用いてもよい。
上述した実施形態では、赤外線ヒーター30からの赤外線のみにより塗膜82を乾燥させるものとしたが、例えば空気などの熱風を炉体12内に送風する給気装置を備えるものとし、熱風と赤外線とにより塗膜82を乾燥させてもよい。熱風に限らず、炉体12内に送風する給気装置を備えていてもよい。
上述した実施形態では、赤外線処理装置10は、塗膜82を連続的に搬送して乾燥を行うロールトゥロール方式の乾燥炉としたが、これに限られない。例えば、赤外線処理装置10を、ロールトゥロール方式以外の連続炉として構成してもよいし、塗膜82が炉体12内で停止した状態で乾燥を行うバッチ炉として構成してもよい。
上述した実施形態では、赤外線処理装置10は赤外線処理として塗膜82の乾燥処理を行うものとしたが、これに限られない。赤外線処理装置10は処理対象に赤外線を放射して処理を行うものであればよい。赤外線処理として、例えば加熱処理,乾燥処理,脱水処理などを行うものとしてもよい。また、赤外線処理として、処理対象を脱水環化反応させるなど、化学反応させる処理を行うものとしてもよい。
上述した実施形態では、処理対象である塗膜82として、乾燥後にリチウムイオン二次電池用の電極となる塗膜を例示したが、乾燥対称はこれに限られない。例えば、MLCC(積層セラミックコンデンサ)用の薄膜として用いられる塗膜を処理対象としてもよい。この場合、塗膜は例えばセラミック粉末又は金属粉末と、有機バインダーと、有機溶剤とを含むものとしてもよい。また、シートはPETなどの樹脂としてもよい。あるいは、塗膜82は、LTCC(低温焼成セラミックス)やその他のグリーンシート用の薄膜として用いられるものとしてもよい。また、処理対象は膜状のものに限らず、例えばチップ状のものとしてもよい。
10 赤外線処理装置、12 炉体、12a 処理空間、13 前端面、14 後端面、15 左端面、16 右端面、17,18 開口、21,25 ローラー、30,30a〜30c 赤外線ヒーター、32 フィラメント、32a,32b 検出箇所、34 電気配線、36 内管、38 ヒーター本体、40 外管、41 反射層、42 キャップ、44 配線引出部、48 第1冷媒出入口、47 第1冷媒流路、49 ホルダー、50 電力供給源、52 第1冷媒供給源、54 第2冷媒供給源、56 温度センサ、60,60a,60b 放射強度センサ、61 筒状体、62 絞り部、62a 開口、63 フィルタ部、64 検出部、65 電気配線、66 第2流路形成部材、67 第2冷媒流路、68 第2冷媒出入口、69 配線引出部、80 シート、82 塗膜、90 コントローラー、91 CPU、92 フラッシュメモリー、93 対応関係テーブル、94 RAM、98 操作パネル。

Claims (5)

  1. 処理対象に赤外線を放射して赤外線処理を行う赤外線処理装置であって、
    前記赤外線処理を行う処理空間を形成する炉体と、
    前記処理空間に配置され発熱体を備えた赤外線ヒーターと、
    前記赤外線ヒーターからの赤外線のうち第1波長領域の放射強度である第1放射強度を検出する第1放射強度センサと、
    前記赤外線ヒーターからの赤外線のうち前記第1波長領域とは異なる第2波長領域の放射強度である第2放射強度を検出する第2放射強度センサと、
    前記検出された第1放射強度及び第2放射強度に基づいて、前記赤外線ヒーターの監視及び制御の少なくとも一方を行う監視制御手段と、
    を備えた赤外線処理装置。
  2. 前記監視制御手段は、前記検出された第1放射強度及び第2放射強度に基づいて前記赤外線ヒーターの赤外線強度分布に関する分布関連情報を導出し、該導出した分布関連情報に基づいて前記赤外線ヒーターの監視及び制御の少なくとも一方を行う、
    請求項1に記載の赤外線処理装置。
  3. 前記監視制御手段は、前記分布関連情報として前記発熱体の温度と前記赤外線ヒーターから放射される赤外線のピーク波長との少なくとも一方を導出する、
    請求項2に記載の赤外線処理装置。
  4. 前記監視制御手段は、前記分布関連情報として、前記赤外線ヒーターから放射される赤外線のうち前記第1波長領域及び前記第2波長領域とは異なる第3波長の放射強度である第3放射強度を導出する、
    請求項2に記載の赤外線処理装置。
  5. 前記監視制御手段は、前記赤外線ヒーターの少なくとも制御を行い、前記導出される第3放射強度が該第3放射強度の目標値に近づくように前記赤外線ヒーターを制御する、
    請求項4に記載の赤外線処理装置。
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