JP2016039146A - 非水電解質二次電池用として好適な複合体 - Google Patents
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Abstract
Description
リチウムイオン二次電池の課題の一つとして、レート特性の向上が挙げられ、電極の電気抵抗を低減させることが求められている。特許文献1には、電極の電気抵抗を低減させるために、導電材として繊維状炭素を単独または球状炭素と組み合わせて正極に加えることが提案されている。
また、本発明は、複合体、その複合体を含む炭素系導電助剤、その導電助剤を含む非水電解質二次電池用電極合剤層、及びその電極合剤層を含む非水電解質二次電池用電極の導電性が向上し優れた出力特性を有する非水電解質二次電池、特には、リチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明の複合体は、上記非水電解質二次電池用電極として極めて有用であるが、その他、例えば電池用途以外の導電材料や放熱材料としても適用可能である。
本明細書において、超極細繊維状炭素およびその実効長は以下のように定義される。
本発明において、超極細繊維状炭素とは、平均繊維径が100nm超900nm以下であって、10μm以上200μm以下の平均実効長を有する繊維状の炭素材料をいう。かかる炭素材料としては、例えば、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、炭素繊維を挙げることができる。以下、超極細繊維状炭素を、単に繊維状炭素ということがある。
本発明に用いる繊維状炭素の長さは、実際の繊維長ではなく、実効長によって定義される。なぜなら、繊維状炭素は、電極合剤層内において実際の繊維長で導電に寄与しているとは限らないからである。例えば、電極合剤層内で繊維が折れ曲がったり丸まったりして、実際の繊維長で導電に寄与していない場合がある。本発明において、繊維状炭素の実効長は、単体の繊維状炭素に両端が接する最長の線分の長さとして定義される。換言すれば、単体の繊維状炭素が導電することができる最大の直線距離である。即ち、繊維状炭素が完全な直線構造を有する場合は、実効長はその繊維長と略等しい。繊維状炭素が分岐構造を有する場合や丸まっている場合は、その単体の繊維状炭素上にある2点間を結ぶ最大の線分の長さをいう。
本発明の複合体は、超極細繊維状炭素と球状炭素とを含む複合体であって、該超極細繊維状炭素が、直線構造を有し、平均繊維径が100nm超、900nm以下であり、該前記極細繊維状炭素と前記球状粒子の合計量に対する超極細繊維状炭素の質量比率が50質量%超、100質量%未満である、複合体である(態様1)。
態様1において、本発明の複合体に含まれる超極細繊維状炭素は、平均実効長が10μm以上200μm以下である。(態様2)。
本発明の導電助剤は、態様1または2のいずれか1の態様の複合体を含む導電助剤である(態様3)。
態様4の非水電解質二次電池用電極合剤層において、前記超極細繊維状炭素の平均実効長が、前記電極合剤層の膜厚の1/3以下である超極細繊維状炭素を含むことを特徴とする(態様5)。
態様4または5のいずれか1の態様の非水電解質二次電池用電極合剤層において、前記非水電解質二次電池用電極合剤層の膜厚が50μm以上である(態様6)。
態様4から6のいずれか1の態様の非水電解質二次電池用電極合剤層において、前記非水電解質二次電池用電極合剤層の総質量に対して、10質量%以下の前記炭素系導電助剤を含むことを特徴とする(態様7)。
本発明の非水電解質二次電池は、態様8の非水電解質二次電池用電極を含む、非水電解質二次電池である(態様9)。
以下、本発明について更に詳細に説明をする。
本発明の複合体は、超極細繊維状炭素と球状炭素とを含む複合体であって、該超極細繊維状炭素が、直線構造を有し、平均繊維径が100nm超、900nm以下であり、前記極細繊維状炭素と前記球状粒子の合計量に対する超極細繊維状炭素の質量比率が50質量%超、100質量%未満である、複合体である。
本発明の複合体の密度と球状炭素の密度とが略同一であるときに、本発明の複合体が、球状炭素に対して略同等から1/100倍以下の体積抵抗率を有することが好ましい。
本明細書において、超極細繊維状炭素をCNFと称する場合がある。
本発明における超極細繊維状炭素の平均繊維径(直径)は、100nm超、900nm以下の範囲にある。この平均繊維径は、電界放射型走査電子顕微鏡によって倍率2,000倍にて撮影した写真図より測定された値である。上記超極細繊維状炭素の平均繊維径は、100nm超、600nm以下の範囲にあることが好ましく、150nm超、500nm以下の範囲にあることがより好ましく、200nm超、400nm以下の範囲にあることが更に好ましい。
なお、上記超極細繊維状炭素は、上記100nm超900nm以下の範囲内であれば、2以上の平均繊維径を有していてもよい。
本発明における超極細繊維状炭素は、100nm超の繊維径を有し、かつ直線構造を有するため、凝集しにくく、複合体形成時に高導電ネットワークの効率的な形成に有効である。
本発明における超極細繊維状炭素の平均実効長は、10〜200μmの範囲であることが好ましい。平均実効長が10〜200μmの範囲にあり、かつ直線構造を有することで、超極細繊維状炭素に対し、球状炭素が少量含まれていても効率的に導電ネットワークを形成することができる。本発明における超極細繊維状炭素の平均実効長は、10〜100μmであることがより好ましく、15〜50μmであることがさらに好ましい。また、200μm超の長さである場合、超極細繊維状炭素が凝集してしまう場合がある。
なお、上記超極細繊維状炭素は、上記10〜200μmの範囲内であれば、2以上の平均実効長を有していてもよい。
本発明における超極細繊維状炭素は、X線回折法により測定した(002)面の平均面間隔d(002)が0.335〜0.340nmであることがより好ましい。
ここで、本発明における、代表的な超極細繊維状炭素の走査型電子顕微鏡写真(2,000倍)を図1に示す。図1から明らかなように、本発明における超極細繊維状炭素は直線構造を有して、平均繊維径が100nm超、900nm以下、平均実効長が10〜200μmであることが確認される。
本発明における球状炭素は、通常球形の粒子であり、直径としては10〜200nmの範囲のものを用いることができる。具体的な化合物としては、カーボンブラックであることが好ましい。カーボンブラックは、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャネルブラック、サーマルブラック等が挙げられるが、アセチレンブラックであることが好ましい。
本発明の炭素系導電助剤は、本発明の複合体を含む炭素系導電助剤である。本発明の炭素系導電助剤は、本発明の複合体を含むが、電極材料の導電性を向上させることができる限り、更に本発明の複合体以外の材料、例えば鱗片状炭素、グラフェン、グラファイトなどの炭素系材料等を含んでよい。
次に、本発明による非水電解質二次電池用電極合剤層について詳細に説明する。
本発明の非水電解質二次電池用電極合剤層は、電極活物質と、導電助剤と、バインダーとを少なくとも含む電極合剤層であって、導電助剤として、本発明の複合体を含むものである。
繊維状炭素の平均実効長は電極合剤層の厚さ(膜厚)の1/3以下であることが好ましく、3/10以下であることがより好ましい。1/3を超える場合、繊維状炭素が面内方向に配向し易くなり、3次元でランダムに配向させることが困難になる。厚み方向にランダムに配向することにより、導電パスが形成しやすくなる。
また、繊維状炭素の平均実効長は電極合剤層の厚さ(膜厚)の1/100以上であることが好ましく、1/70以上であることがより好ましく、1/50以上であることがさらに好ましい。1/100未満である場合、繊維状炭素により形成される導電パスが短くなり易い。その結果、電極合剤層の膜厚方向の抵抗値が十分に低下しない場合がある。
次に、本発明の非水電解質二次電池用電極合剤層に含まれる電極活物質(正極活物質、負極活物質)について詳細に説明する。
本発明の非水電解質二次電池用電極合剤層に含まれる正極活物質としては、非水電解質二次電池において、正極活物質として知られている従来公知の材料の中から、任意のものを一種又は二種以上適宜選択して用いることができる。例えばリチウムイオン二次電池であれば、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なリチウム含有金属酸化物が好適である。 このリチウム含有金属酸化物としては、リチウムと、Co、Mg、Mn、Ni、Fe、Al、Mo、V、W及びTiなどからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含む複合酸化物を挙げることができる。
上記正極活物質は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、当該正極活物質の平均粒子径は、本発明の効果を奏するものであればよく、特に限定されるものではない。
本発明の非水電解質二次電池用電極合剤層に含まれる負極活物質としては、非水電解質二次電池において、負極活物質として知られている従来公知の材料の中から、一種又は二種以上選択して用いることができる。例えばリチウムイオン二次電池であれば、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材料、Si及びSnのいずれか、又はこれらの少なくとも一種を含む合金や酸化物などを用いることができる。これらの中でも炭素材料が好ましい。
上記炭素材料としては、天然黒鉛、石油系及び石炭系コークスを熱処理することで製造される人造黒鉛、樹脂を炭素化したハードカーボン、メソフェーズピッチ系炭素材料などを代表例として挙げることができる。天然黒鉛や人造黒鉛を用いる場合、電池容量の増大の観点から、粉末X線回折による黒鉛構造の(002)面の面間隔d(002)が0.335〜0.337nmの範囲にあるものが好ましい。
また、人造黒鉛とは、広く人工的な手法で作られた黒鉛及び黒鉛の完全結晶に近い黒鉛質材料をいう。代表的な例としては、石炭の乾留、原油の蒸留による残渣などから得られるタールやコークスを原料にして、500〜1000℃程度の焼成工程、2000℃以上の黒鉛化工程を経て得たものが挙げられる。また、溶解鉄から炭素を再析出させることで得られるキッシュグラファイトも人造黒鉛の一種である。
Si系合金としては、B、Mg、Ca、Ti、Fe、Co、Mo、Cr、V、W、Ni、Mn、Zn及びCuなどからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素と、Siとの合金などを挙げることができる。具体的には、SiB4、SiB6、Mg2Si、Ni2Si、TiSi2、MoSi2、CoSi2、NiSi2、CaSi2、CrSi2、Cu5Si、FeSi2、MnSi2、VSi2、WSi2、ZnSi2などからなる群より選ばれる少なくとも一種が挙げられる。
本発明においては、負極活物質として、既述の材料を一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、当該負極活物質の平均粒子径は本発明の効果を奏するものであればよく、特に限定されるものではない。
次に、本発明の非水電解質二次電池用電極合剤層に含まれるバインダーについて、詳細に説明する。
本発明の非水電解質二次電池に含まれるバインダーとしては、電極成形が可能であり、十分な電気化学的安定性を有していれば好適に用いることが可能である。かかるバインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フルオロオレフィン共重合体架橋ポリマー、ポリイミド、ポリアミドイミド、アラミド、フェノール樹脂等よりなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましく、特にポリフッ化ビニリデン(PVDF)が好ましい。
バインダーを溶解する上記溶媒としては、バインダーを溶解するものである限り特に制限はない。具体的には、例えばN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホオキシド(DMSO)、水等よりなる群から選ばれる1種類以上を挙げることができ、特にNMP又はDMAcが好適である。
以下、本発明の非水電解質二次電池用電極について説明する。本発明の非水電解質二次電池用電極は、集電体及び該集電体上の電極合剤層活物質層を有する非水電解質二次電池用電極であって、電極合剤層活物質層が本発明の非水電解質二次電池用電極合剤層から成る電極である。
非水電解質二次電池用電極の作製方法としては、以下の二つの手法が一般的である。一つの方法は、電極活物質、炭素系導電助剤及びバインダーを混合・混練して、押し出し成形によりフィルム化して、これを圧延、延伸した後、集電体と張り合わせる方法である。もう一つの方法は、電極活物質、炭素系導電助剤、バインダー及びバインダーを溶解する溶媒を混合してスラリーを調製し、このスラリーを基板上へ塗布し溶媒を除去後にプレスを行う方法である。
本発明における電極の作製において、スラリー中の炭素系導電助剤の添加割合としては、電極活物質、炭素系導電助剤及びバインダーからなる電極合剤層、つまり、電極活物質、炭素系導電助剤及びバインダーの合計量に対して20質量%以下であることが好ましい。上記の添加割合としては15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらにより好ましい。炭素系導電助剤の添加割合が20質量%より多いと、任意の容量セルを製造しようとした場合、電極中の活物質量が少なくなってしまい、エネルギー密度の要求の高い電源用途への適用は困難となってしまうことがある。
上記スラリーは、後述する集電体上に塗布する。塗布するには、例えばドクターブレード等の適宜の塗布方法を採用することができる。塗布後、例えば60〜150℃、好ましくは80〜120℃において、好ましくは60〜180分処理することにより溶媒を除去する。その後、溶媒除去後の塗布物をプレスすることにより、電極合剤層を製造することができる。
集電体の厚みとしては、特に限定されないが、10〜50μmが好適である。
本発明の非水電解質二次電池用電極の厚みとしては、上記非水電解質二次電池用電極合剤層の厚みと上記集電体の厚みの合計(和)で表され、60〜250μmの範囲にあることが好ましい。
以下、本発明の非水電解質二次電池について説明する。本発明の非水電解質二次電池は、本発明の非水電解質二次電池用電極を含む電池である。
本発明による非水電解質二次電池は、例えば、リチウムイオン二次電池、リチウム電池、リチウムイオンポリマー電池等が挙げられるが、リチウムイオン二次電池であることが好ましい。本発明の非水電解質二次電池では、正極材料層が集電体の表面に形成されてなる正極、電解質を含む電解質層、及び本発明の非水電解質二次電池用負極が、正極材料層と本発明による負極の負極材料層とが向き合い、かつ、正極材料層と本発明による負極材料層との間に電解質層が挿入されるようにして積層されていてよい。また、本発明の非水電解質二次電池では、本発明の非水電解質二次電池用正極、電解質を含む電解質層、及び負極材料層が集電体の表面に形成されてなる負極が、本発明による正極の正極材料層と負極の負極材料層とが向き合い、かつ、本発明による正極の正極材料層と負極材料層との間に電解質層が挿入されるようにして積層されていてよい。さらに、本発明の非水電解質二次電池では、本発明の非水電解質二次電池用正極、電解質を含む電解質層、及び本発明の非水電解質二次電池用負極が、本発明による正極の正極材料層と本発明による負極の負極材料層とが向き合い、かつ、本発明による正極の正極材料層と本発明による負極の負極材料層との間に電解質層が挿入されるようにして積層されてよい。
液体電解質のための有機溶媒としては例えば、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等を使用することができる。これらの有機溶媒は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、液体電解質のためのリチウム塩としては例えば、LiPF6、LiClO4、LiN(CF3SO2)2、LiBF4等を使用することができる。これらのリチウム塩は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、電解質層としては、固体電解質を用いることもでき、この場合には、別個のスペーサーを省略することができる。
また、サイクル安定性、充放電効率の向上等を目的として、電解質に公知の添加剤を添加してもよい。
を受けるものではない。
実施例中の各種測定は、それぞれ以下の方法に従って行った。
(1)超極細繊維状炭素の繊維径及び実効長の測定
走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製S−2400)を用いて観察及び写真撮影を行った。超極細繊維状炭素等の平均繊維径は、得られた電子顕微鏡写真から無作為に300箇所を選択して繊維径を測定し、それらのすべての測定結果(n=300)の平均値を平均繊維径とした。平均実効長についても同様に算出した。
(2)超極細繊維状炭素のX線回折測定
X線回折測定はリガク社製RINT−2100を用いてJIS R7651法(2007年度)に準拠し、格子面間隔(d002)及び結晶子大きさ(Lc002)を測定した。
[製造例1]
熱可塑性樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン(MFR=1g/10min)90質量部、及び炭素前駆体としてメソフェーズピッチ(メソフェーズ率90.9%、軟化点303.5℃)10質量部を同方向二軸押出機(東芝機械(株)製「TEM−26SS」、バレル温度300℃、窒素気流下)で溶融混練してメソフェーズピッチ組成物を調製した。このメソフェーズピッチ組成物をシリンダー式単孔紡糸機を用いて、330℃の紡糸口金より紡糸し、熱可塑性樹脂−繊維複合体(メソフェーズピッチを島成分として含有する海島型複合繊維)を作成した。ついで、この熱可塑性樹脂−繊維複合体を反応容器に仕込み、気相状態の酸化性物質として酸素を0.7体積%含む窒素との混合ガスを流速0.0025m/sで吹き込みながら180分間保持することにより、メソフェーズピッチを安定化させ、熱可塑性樹脂−安定化繊維複合体を得た。次に、上記熱可塑性樹脂−安定化繊維複合体を、真空ガス置換炉中で、窒素置換を行った後に1kPaまで減圧した。減圧状態下で、5℃/分の昇温速度で500℃まで昇温し、500℃で1時間保持することにより、熱可塑性樹脂を除去して安定化繊維を得た。得られた安定化繊維をエタノール/イオン交換水混合溶媒(体積比1/1)中に加え、ミキサーで10分間粉砕することにより分散させた。得られた分散液は濾過した。この安定化繊維を流量1l/minの窒素下で室温から1000℃まで5℃/minの条件で昇温し、1000℃到達後30分間保持することで炭化を行った。さらに、アルゴンガス雰囲気下、室温から3時間で3000℃まで昇温することで超極細繊維状炭素(CNF)を作製した。得られた超極細繊維状炭素は乾式ジェットミルにて解砕処理を行った。
得られた超極細繊維状炭素の平均繊維径は288nm、平均実効長は23μmであり、分岐構造は見られなかった。また、X線回折法により測定した(002)面の平均面間隔d002が0.3373nm、結晶子大きさLc002は47.6nmであった。ここで撮影した電子顕微鏡写真を図2に示す。
[実施例1]
上記で得られた1.9質量部の超極細繊維状炭素および0.1質量部のアセチレンブラック(AB、電気化学工業株式会社製、デンカブラック75%プレス品、直径36μm)を、エタノール溶液を用いて湿式撹拌装置(「あわとり練太郎」(登録商標)ARV−310、シンキー社製)により分散させることにより、複合体を作製した。この複合体に含まれる上記超極細繊維状炭素の平均実効長は分散前の値とほぼ同じであった。
得られた複合体2質量部を炭素系導電助剤として、正極活物質(LiFePO4;宝泉株式会社製、SLFP−ES01)を91質量部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(株式会社クレハ製、W#7200)を7質量部、溶液としてN−メチルピロリドンを用いることによりスラリーを作製した。作製したスラリーをアルミニウム箔(厚み15μm)に塗布、乾燥させることで、電極を作製した。電極を構成する電極合剤層の膜厚は120μm、空孔率はおよそ25%、密度は2.5g/cm3であった。
炭素系導電助剤として、上記で得られた1.8質量部の超極細繊維状炭素および0.2質量部のアセチレンブラック(電気化学工業株式会社製、デンカブラック75%プレス品)を用いた以外は実施例1と同様の方法で電極を作製した。
炭素系導電助剤として、上記で得られた1.6質量部の超極細繊維状炭素および0.4質量部のアセチレンブラック(電気化学工業株式会社製、デンカブラック75%プレス品)を用いた以外は実施例1と同様の方法で電極を作製した。
炭素系導電助剤として、上記で得られた1.4質量部の超極細繊維状炭素および0.6質量部のアセチレンブラック(電気化学工業株式会社製、デンカブラック75%プレス品)を用いた以外は実施例1と同様の方法で電極を作製した。
炭素系導電助剤として、上記で得られた2質量部の超極細繊維状炭素を用いた以外は実施例1と同様の方法で電極を作製した。
炭素系導電助剤として、上記で得られた1.0質量部の超極細繊維状炭素および1.0質量部のアセチレンブラック(電気化学工業株式会社製、デンカブラック75%プレス品)を用いた以外は実施例1と同様の方法で電極を作製した。
炭素系導電助剤として、上記で得られた0.2質量部の超極細繊維状炭素および1.8質量部のアセチレンブラック(電気化学工業株式会社製、デンカブラック75%プレス品)を用いた以外は実施例1と同様の方法で電極を作製した。
炭素系導電助剤として、2質量部のアセチレンブラック(電気化学工業株式会社製、デンカブラック75%プレス品)を用いた以外は実施例1と同様の方法で電極を作製した。
ポテンショスタット/ガルバノスタット(北斗電工株式会社製HA−151)を用いて、作製した電極の膜厚方向の電極抵抗を測定した結果と、その抵抗値から算出される電気伝導度を表1および図3に示す。表1および図3から明らかなように、複合体における超極細繊維状炭素の質量比率が50wt%超100質量%未満である複合体を含む電極は、抵抗が低く、電気伝導度が非常に高い。
上記実施例1,2,4及び比較例1,3で作製した正極を、ガラス繊維不織布セパレータ、又は、ポリエチレン多孔質セパレータのいずれかを介して金属リチウムと対向させ、1mol/L濃度のLiPF6を含むエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート混合溶液(3/7質量比、キシダ化学社製)からなる電解液を2032型コインセルに注入して、電池評価用のコインセルを作製した。
作製したコインセルを用いて直流(分極)抵抗を測定した。充電深度(SOC)50%の状態において、0.2C放電した際の電圧降下分を0.2Cに対応する放電電流値によって除することで直流抵抗を算出することができる。結果を図4に示す。
Claims (9)
- 超極細繊維状炭素と球状炭素とを含む複合体であって、該超極細繊維状炭素は直線構造を有し、平均繊維径が100nm超、900nm以下であり、かつ前記超極細繊維状炭素と前記球状粒子の合計量に対する超極細繊維状炭素の質量比率が50質量%超、100質量%未満である、複合体。
- 前記超極細繊維状炭素の平均実効長が、10μm以上200μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の複合体。
- 請求項1または2に記載の複合体を含む、導電助剤。
- 電極活物質、炭素系導電助剤及びバインダーを含む非水電解質二次電池用電極合剤層であって、該炭素系導電助剤が、請求項3に記載の導電助剤を含む、非水電解質二次電池用電極合剤層。
- 請求項3に記載の複合体に含まれる超極細繊維状炭素の平均実効長が、前記電極合剤層の膜厚の1/3以下である請求項4に記載の非水電解質二次電池用電極合剤層。
- 前記非水電解質二次電池用電極合剤層の膜厚が50μm以上である、請求項4または5に記載の非水電解質二次電池用電極合剤層。
- 前記非水電解質二次電池用電極合剤層の総質量に対して、10質量%以下の前記炭素系導電助剤を含む、請求項4〜6のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用電極合剤層。
- 請求項4〜7のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用電極合剤層を含む、非水電解質二次電池用電極。
- 請求項8に記載の非水電解質二次電池用電極を含む、非水電解質二次電池。
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