JP2016037765A - 光制御装置及び光制御装置の設置方法 - Google Patents

光制御装置及び光制御装置の設置方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光の進行方向及び透過光量を調整可能であって取扱性にも優れた光制御装置を提供する。【解決手段】光制御装置1は、入射角度に応じて進行方向を調整して光を透過させる偏向層10と、互いに対して相対移動可能な第1調光制御パネル20及び第2調光制御パネル30と、を備える。第1調光制御パネル20及び第2調光制御パネル30の両方を透過する光の透過率は、第1調光制御パネル20及び第2調光制御パネル30の相対位置に応じて変化する。【選択図】図5

Description

本発明は、透過させる光の向き及び光量を調整可能な光制御装置に関する。また、本発明は、この光制御装置の設置方法に関する。
例えば、建物の窓ガラスに貼り付けられて、建物に取り込まれる外光の進行方向を調整する偏向シートが知られている。例えば特許文献1には、太陽光の入射方向に応じて太陽光を透過させる向きを調整するいわゆるルーバーシートが開示されている。ルーバーシートには、水平方向に延びる複数の反射機能面が鉛直方向に並べられている。ルーバーシートは、夏季の高い高度の太陽から降り注ぐ太陽光を反射機能面で反射して天井に向かわせ室内の防眩を図る一方で、冬季の低い高度の太陽から降り注ぐ太陽光を進行方向を維持したまま透過させて室内の明るさを確保する。
このように、ルーバーシートに代表される偏向シートは、室内に取り込まれる光の出射方向を調整して防眩機能を発揮する。ただし、偏向シートは、室内に取り込まれる光の光量を調整する調光機能や室外からの観察を遮る遮蔽機能が充分ではない。通常は、窓ガラスを覆うようにカーテンやブラインドをさらに設置して、採光される光の光量を調整したり遮蔽したりしている。
特開2010−259406号公報
しかしながら、窓に偏向シートとは別途にカーテンやブラインドを設置するのは煩わしい。とりわけ、作業スペースの確保が困難な場所においては、カーテンやブラインドを設置するのに非常に手間がかかる。
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであって、透過させる光の向き及び光量を調整可能であって取扱性にも優れた光制御装置を提供することを目的とする。また、本発明は、この光制御装置を設置する方法を提供する。
本発明による光制御装置は、第1調光制御パネルと、前記第1調光制御パネルに少なくとも部分的に対面する位置に配置され且つ前記第1調光制御パネルに対して相対移動可能な第2調光制御パネルと、を備え、前記第1調光制御パネル及び前記第2調光制御パネルの両方を透過する光の透過率は、前記第1調光制御パネル及び前記第2調光制御パネルの相対位置に応じて変化し、入射角度に応じて進行方向を調整して光を透過させる偏向層が設けられている。
本発明による光制御装置において、前記偏向層と、前記第1調光制御パネルと、前記第2調光制御パネルとは、この順で並んでいてもよい。
本発明による光制御装置において、前記第1調光制御パネルのパネル面に沿った長手方向を有し、且つ、前記長手方向と交差すると共に当該第1調光制御パネルのパネル面に沿った配列方向に配列された複数の反射機能面が、前記偏向層に形成されていてもよい。
本発明による光制御装置において、前記第1調光制御パネルは、透過光の偏光状態を互いに異なる状態に制御し且つ交互に繰り返し配列された第1領域及び第2領域を含む第1光制御シートを有し、前記第2調光制御パネルは、可視光波長域の透過光の偏光状態を互いに異なる状態に制御し且つ交互に繰り返し配列された第3領域及び第4領域を含む第2光制御シート有してもよい。
本発明による光制御装置において、前記第1調光制御パネルは、前記第1光制御シート、第1偏光板、及び、第1透明支持板を、前記第2調光制御パネルに近接する側からこの順番で有し、前記第1調光制御パネルの前記第1光制御シートは、前記第1領域と前記第2領域との間で異なる位相変調を透過光に生じさせる位相差フィルムであり、前記第2調光制御パネルは、前記第2光制御シート、第2偏光板、及び、第2透明支持板を、前記第1調光制御パネルに近接する側からこの順番で有し、前記第2調光制御パネルの前記第2光制御シートは、前記第3領域と前記第4領域との間で異なる位相変調を透過光に生じさせる位相差フィルムであってもよい。
本発明による光制御装置において、前記第1光制御シートに含まれる前記第1領域及び前記第2領域が繰り返し配列された方向は、前記偏向層に含まれる前記反射機能面の配列方向に沿っていてもよい。
本発明による光制御装置の設置方法は、前記いずれかの特徴をもつ光制御装置を、2つの空間を区画する区画部材に設置する工程を備える。
本発明による光制御装置の設置方法において、前記光制御装置は、前記偏向層が積層された前記第1調光制御パネルと、前記第2調光制御パネルとを、互いに相対移動可能に保持するフレームを有し、前記設置する工程において、前記フレームを前記区画部材に設けられた開口に嵌め込んでもよい。
本発明によれば、第1調光制御パネルと第2調光制御パネルとの相対位置に応じて透過する光の光量を調整し、偏向層によって光の進行方向を調整することができる。このため、別途にカーテンやブラインドのような調光乃至遮蔽部材を設置する必要がない。これらの結果、本発明によれば、光の進行方向及び透過光量を調整可能であって取扱性にも優れた光制御装置が提供される。
光制御装置を示す断面斜視図。 図1に示す光制御装置を壁に設置した状態を室内からみた図。 図1に示す光制御装置の偏向層及び第1調光制御パネルを示す断面図。 図1に示す光制御装置の第2調光制御パネルを示す断面図。 第1調光制御パネルと第2調光制御パネルとの相対位置に応じて透過する光の光量が変化する機能を説明するための断面図。 図5に示す状態から第1調光制御パネルと第2調光制御パネルとの相対位置を変化させた状態を示す断面図。 第1、第2光制御シートをなす位相差フィルムの層構成を説明するための断面図。 図5に示す状態の光制御装置の作用を説明するための断面図。 図6に示す状態の光制御装置を示す背面図。 図9に示す状態の光制御装置の作用を説明するための断面図。 調光制御パネルの領域分割に関する一変形例を示す平面図。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。図1〜図10は本発明による一実施の形態およびその変形例を説明するための図である。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
なお、本明細書において、「パネル」、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「パネル」は、板、シート、フィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念であり、したがって、一例として、「調光制御パネル」は、「調光制御板」、「調光制御シート」、「調光制御フィルム」と呼ばれる部材と呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1に示すように、光制御装置1は、互いに対向して配置された第1調光制御パネル20及びカバーパネル40を含んでいる。第1調光制御パネル20とカバーパネル40との間には、第2調光制御パネル30が配置され、第2調光制御パネル30は、第1調光制御パネル20及びカバーパネル40に対して相対移動可能になっている。第1調光制御パネル20の第2調光制御パネル30とは反対側を向く面には、偏向層10が積層されている。そして、第1調光制御パネル20、第2調光制御パネル30及びカバーパネル40の周りをフレーム2が取り囲んで、これらを保持している。
図1に示す光制御装置1は、2つの空間S1、S2を区画する区画部材100に設置され得る。図2に、室外S1と室内S2とを区画する壁100に設置した例を示す。光制御装置1を壁100に設置した状態を室内S2側からみた図を示す。図2に示す例では、光制御装置1は、壁100に設けられた開口101に嵌め込まれている。光制御装置1は、偏向層10によって、室外S1から入射する外光を室内S2に透過させる向きを調整する。また、第1調光制御パネル20と第2調光制御パネル30との相対位置に依存して、室外S1から室内S2に透過させる外光の光量を調整する。つまり、光制御装置1によれば、外光を室外S1から取り込んで室内S1に透過させる光の向き及び光量を調整することが可能となる。
図1に示すように、第1調光制御パネル20及びカバーパネル40は、互いに平行となるように、フレーム2に保持されている。そして、第1調光制御パネル20とカバーパネル40との間に、第2調光制御パネル30が保持されている。第2調光制御パネル30は、少なくとも部分的に第1調光制御パネル20と対面しており、第2調光制御パネル30のパネル面は、第1調光制御パネル20のパネル面と平行になっている。なお、本明細書において、「パネル面(板面、シート面)」とは、対象となるパネル状の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となる板状部材の平面方向と一致する面のことを指す。
本実施の形態では、第2調光制御パネル30は、第1調光制御パネル20のパネル面に沿った第1方向d1に沿ってフレーム2内で第1調光制御パネル20に対して相対移動可能になっている。図1及び図2に示す第1方向d1は、鉛直方向に平行である。図2に示すように、フレーム2及びカバーパネル40の各々に第1方向d1に沿って延びる長孔2a、40aが形成されている。つまみ3が、各長孔2a、40aを貫通して第2調光制御パネル30に取り付けられている。つまみ3を第1方向d1に沿って移動させることにより、つまみ3に固定された第2調光制御パネル30を第1方向d1に沿って移動させることができる。なお、第2調光制御パネル30は、第1調光制御パネル20とカバーパネル40との間で適度な保持力で挟持されている。このことから、第2調光制御パネル30は、第1調光制御パネル20に対して相対移動可能でありながら、自重でずれないようになっている。
図示された例において、各パネル20、30、40は、平面視において矩形形状となるように形成されている。そして、各パネル20、30、40の周縁をフレーム2が覆い、フレーム2は平面視において矩形の輪郭をもつように形成されている。
次に、取り込んだ外光の光量を調整する第1調光制御パネル20及び第2調光制御パネル30の構成について、図3及び図4を参照して説明していく。図3及び図4は、それぞれ、第1調光制御パネル20及び第2調光制御パネル30の一例を示す断面図である。図3に示された例において、第1調光制御パネル20は、第1光制御シート25、接合層24、第1偏光板23、接合層22、第1透明支持板21を、第2調光制御パネル30に近接する側からこの順番にて、含んでいる。一方、図4に示された例において、第2調光制御パネル30は、第2光制御シート35、接合層34、第2偏光板33、接合層32お及び第2透明支持板31を、第1調光制御パネル20に近接する側からこの順番にて、含んでいる。また、第1調光制御パネル20の第2調光制御パネル30とは反対側を向く面に、偏向層10が積層されている。第1調光制御パネル20は、偏向層10が積層されている点のみにおいて第2調光制御パネル30と異なっており、その他において第2調光制御パネル30と同一となっている。以下、各層について説明していく。
第1透明支持板21および第2透明支持板31は、光制御シート25,35及び偏光板23,33を支持するための支持体である。第1透明支持板21および第2透明支持板31として、例えば可視光に対して優れた透過性を有したガラス、ポリカーボネートやアクリル等の透明な樹脂等を用いることができる。一例として、第1透明支持板21および第2透明支持板31の厚みは、2〜4mm程度に設定される。
第1偏光板23及び第2偏光板33は、一方の直線偏光成分の光を高い透過率で透過させるとともに、一方の直線偏光成分と直交する方向に振動する他方の直線偏光成分の光を吸収する機能を有している。本実施の形態において、第1偏光板23と第2偏光板33とは、その吸収軸の向きが互いに非平行となっている。とりわけ図示する例では、第1偏光板23及び第2偏光板33は、それぞれの吸収軸が互いに直交するようにして、すなわちクロスニコル状態で配置されている。第1偏光板23及び第2偏光板33として、ポリビニルアルコールにヨウ素や二色性色素を吸着させてなる広く普及した偏光板を用いることができる。
第1光制御シート25及び第2光制御シート35は、透過光の偏光状態を制御可能となっている。図3に示すように、第1光制御シート25は、透過光の偏光状態に互いに異なる作用を及ぼす第1領域Z1及び第2領域Z2を含んでいる。とりわけ、本実施の形態の第1光制御シート25は、位相差フィルムとして形成され、第1領域Z1と第2領域Z2との間で、異なる位相変調を透過光に生じさせる。具体的には、第1領域Z1及び第2領域Z2は、共に、リタデーションがλ/4の位相差フィルムからなる。ただし、当該位相差フィルムは、遅相軸が互いに直交するようにして配置されている。したがって、第1光制御シート25は、第1領域Z1を透過する光に対して「λ/4」の位相変調を引き起こし、第2領域Z2を透過する光に対して「−λ/4」の位相変調を引き起こす。
また、第1光制御シート25の第1領域Z1及び第2領域Z2は、第1方向d1に交互に隙間なく配置され、第1方向d1に沿って同一な幅Wを有している。したがって、第1領域Z1及び第2領域Z2は、各領域の幅の二倍「W×2」となる一定ピッチでそれぞれ第1方向d1に配列されている。一例として、第1領域Z1乃至第2領域Z2の幅Wは、3mm〜15mm程度に設定される。
第2光制御シート35は、第1光制御シート25と同様に構成され得る。すなわち、第2光制御シート35は、透過光の偏光状態に互いに異なる作用を及ぼす第3領域Z3及び第4領域Z4を含んでいる。第2光制御シート35は、位相差フィルムとして形成され、第3領域Z3と第4領域Z4との間で、異なる位相変調を透過光に生じさせる。具体的には、第3領域Z3及び第4領域Z4は、共に、リタデーションがλ/4の位相差フィルムからなり、ただし、当該位相差フィルムは、遅相軸が互いに直交するようにして配置されている。そして、第2光制御シート35は、第3領域Z3を透過する光に対して「λ/4」の位相変調を引き起こし、第4領域Z4を透過する光に対して「−λ/4」の位相変調を引き起こす。
また、第2光制御シート35の第3領域Z3及び第4領域Z4は、第1方向d1に交互に隙間なく配置され、第1方向d1に沿って同一な幅Wを有している。第3領域Z3及び第4領域Z4は、各領域の幅の二倍「W×2」となる一定ピッチでそれぞれ第1方向d1に配列されている。
本実施の形態では、第1偏光板23の吸収軸に対して、第1光制御シート25の第1領域Z1の遅相軸は45°をなし、第1光制御シート25の第2領域Z2の遅相軸は−45°をなしている。第1光制御シート25の第1領域Z1の遅相軸と、第2光制御シート35の第3領域Z3の遅相軸とは平行となっている。また、第1光制御シート25の第2領域Z2の遅相軸と、第2光制御シート35の第4領域Z4の遅相軸とは平行となっている。この場合、図5及び図6を参照して以下に説明するように、遮光と透過との切り換えを効果的に行うことができる。
図5に、第1光制御シート25の第1領域Z1と第2光制御シート35の第3領域Z3とが重なり、第1光制御シート25の第2領域Z2と第2光制御シート35の第4領域Z4とが重なった状態を示す。図5に示す場合、第1偏光板23を透過した一方の偏光成分の光は、第1光制御シート25及び第2光制御シート35の両方を透過した後に、振動方向を90°回転させる。したがって、図5に示すように、第1光制御シート25及び第2光制御シート35の両方を透過した光は、一方の偏光成分とは振動方向が直交する他方の偏光成分の光となっており、第2偏光板33を透過することができる。
一方、図6に、第1光制御シート25の第1領域Z1と第2光制御シート35の第4領域Z4とが重なり、第1光制御シート25の第2領域Z2と第2光制御シート35の第3領域Z3とが重なった状態を示す。図6に示す場合、第1偏光板23を透過した一方の偏光成分の光は、第1光制御シート25及び第2光制御シート35の両方を透過した後に、第1光制御シート25及び第2光制御シート35を透過する前の振動方向を維持する。したがって、図6に示すように、第1光制御シート25及び第2光制御シート35の両方を透過した光は、一方の偏光成分の光のままであり、第2偏光板33で吸収され、第2偏光板33を透過することはできない。
次に、第1光制御シート25及び第2光制御シート35をなす位相差フィルム250の層構成について図7を参照して説明する。図7は、位相差フィルム250の層構成の一例を示す断面図である。位相差フィルム250は、トリアセチルセルロース等の低リタデーション透光性基材としての基材251と、基材251上に形成されたパターン配向膜252と、パターン配向膜252上に形成されたパターン位相差層253と、を有する。パターン配向膜252及びパターン位相差層253は、第1領域Z1及び第2領域Z2に対応した二つの領域252a、252b、253a、253b、あるいは、第3領域Z3及び第4領域Z4に対応した二つの領域252a、252b、253a、253bにそれぞれ区分けされる。
パターン配向膜252は、二つの領域252a、252b間で、異なる方向に配向規制力を発揮する。パターン位相差層253は、パターン配向膜252の配向規制力により配向される棒状化合物を含んでいる。パターン配向膜252が、2つの領域252a、252b間で互いに異なる方向に配向規制力を発現するため、パターン位相差層253の2つの領域253a、253bに含有される棒状化合物は、互いに異なる方向に配向される。パターン位相差層253の各領域253a、253bは、分子の配向方向に対応した方向に、例えば分子が配向した方向に直交する方向に、遅相軸を持つようになる。本実施の形態では、パターン位相差層253の一方の領域253aでの遅相軸の方向と、パターン位相差層253の他方の領域253bでの遅相軸の方向とが、互いに交差、とりわけ直交するようになる。
このような位相差フィルム250は、例えば国際公開第2013−054673号パンフレット、特開2012−137725号公報、または特開2012−198522号公報等に開示された製法を用いて作製され得るため、ここではこれ以上詳細な説明を省略する。
なお、位相差フィルム250は、パターン位相差層253に上記棒状化合物が含有されることにより、位相差性を発現するものである。この場合、位相差フィルム250の位相変調量は、棒状化合物の種類およびパターン位相差層253の厚みによって調整することが可能である。
さて、各調光制御パネル20、30に含まれる接合層22,24,32,34は、隣り合う二つの層を接合するための層であり、十分な接合強度が得られれば特に限定されない。例えば、粘着剤を用いた粘着層や、接着剤を用いた接着層を、接合層22,24,32,34として用いることができる。また、一以上の接合層22,24,32,34に、赤外線遮蔽機能、帯電防止機能等の種々の機能を付与してもよい。
また、各調光制御パネル20、30は、種々の機能層をさらに含んでいてもよい。例えば、光制御シート25、35を保護するべく、当該光制御シート25、35を覆うオーバーコート層がさらに設けられていてもよい。さらに、耐擦傷性を付与する観点から、オーバーコート層に、ハードコート性を付与してもよいし、その他防眩機能、反射防止機能、赤外線遮蔽機能、帯電防止機能等を付与してもよい。
次に、第1調光制御パネル20に積層された偏向層10について説明する。図3に示すように、偏向層10は、第1調光制御パネル20の第2調光制御パネル30とは反対側を向く面に、接合層19を介して接合されている。偏向層10は、第1調光制御パネル20のパネル面内を延びる配列方向P1に沿って交互に繰り返し並べられた複数の第1部分11及び複数の第2部分12を有している。図3に示す例において、配列方向P1は、第1方向d1に平行となっている。各第1部分11及び各第2部分12は、第1調光制御パネル20のパネル面内を延び配列方向P1に交差する長手方向L1を有している(図1参照)。また、偏向層10は、第1部分11及び第2部分12に積層された層をなすシート状のランド層13をさらに含んでいる。このランド層13は、第2部分12と一体的に形成されており、第2部分12とともに本体部14を形成している。言い換えると、偏向層10は、長手方向L1をもつ複数の溝15を配列方向P1に並べて形成された本体部14を有し、本体部14の複数の溝15内にそれぞれ第1部分11が配置されている。そして、本体部14のうちの隣り合う溝15の間の部分が、第2部分12を画定している。
本実施の形態において、第1部分11乃至本体部14をなす樹脂材料は、第2部分12をなす樹脂材料よりも屈折率の小さい材料からなる。このため、第1部分11と第2部分12との境界に、屈折率差をもつ反射機能面16が形成されている。上述のように、複数の第1部分11と複数の第2部分12とは、長手方向L1に交差する配列方向P1に交互に繰り返し配列されている。したがって、複数の反射機能面16は、配列方向P1に沿って配列されることになる。本明細書でいう反射機能面16とは、光制御装置1に取り込まれることが意図された光に対して全反射作用を及ぼすことが期待された面をいう。本実施の形態において、反射機能面16の配列方向P1は、鉛直方向に一致し、鉛直方向における上方(紙面の上方)から降り注ぐ太陽光を反射機能面16で反射させることが意図されている。したがって、本実施の形態では、第1部分11と、当該第1部分11と鉛直方向における下側(紙面における下側)で隣接する第2部分12との境界が反射機能面16をなす。一例として、反射機能面16のピッチ、つまり隣り合う反射機能面16の間隔は、20μm〜1000μm程度に設定される。
図3に示すように、反射機能面16によれば、偏向層10への入射角度θ1が大きい光L1を反射機能面16で反射して室内の天井に向かわせることができる。一方、偏向層10への入射角度θ2が小さい光L2を、進行方向を維持したまま透過させることができる。すなわち、反射機能面16によれば、入射角度θ1、θ2に応じて進行方向を調整して光L1、L2を透過させることができるため、直達光の到達を防止しながら室内S1に光L1、L2を有効に取り込むことが可能となる。なお、偏向層10への入射角度θ1とは、偏向層10に入射する光L1、L2が偏向層10への法線方向ndに対してなす角度をいう。
とりわけ、図3に示す反射機能面16は、鉛直方向における下方(紙面における下方)に凸となるように屈曲している。すなわち、反射機能面16の入光側の部分16aは、反射機能面16の出光側の部分16bよりも、偏向層10への法線方向ndに対してなす角度が大きくなるように傾斜している。このような形態によれば、第1調光制御パネル20への入射角度θ3がある程度大きい光L3を出光側の部分16bで反射させて室内の天井に向かわせることができる。ただし、光L4が第1調光制御パネル20に入射する入射角度θ4が相当に大きくなってしまうと、出光側の部分16bへの入射角度が出光側の部分16bの全反射臨界角よりも小さくなってしまい、当該出光側の部分16bを透過していってしまう。そこで、反射機能面16の入光側の部分16aを出光側の部分16bよりも大きく傾斜させることで、第1調光制御パネル20への入射角度θ4が相当に大きい光L4を入光側の部分16aで全反射させることができる。したがって、反射機能面16の入光側の部分16aを出光側の部分16bよりも大きく傾斜させることで、優れた防眩機能を発揮することに寄与する。
次に、このような構成からなる光制御装置1の作用について図8乃至図10を参照して説明する。図8は、2つの調光制御パネル20、30が図5に示す明状態に配置されたときの光制御装置1の作用を説明するための断面図である。図9は、図5に示す明状態から図6に示す暗状態となるまで第2調光制御パネル30を相対移動させたときの光制御装置1を示す背面図である。図10は、2つの調光制御パネル20、30が図6に示す暗状態に配置されたときの光制御装置1の作用を説明するための断面図である。
夏季、特に昼間の時間帯においては、太陽の高度は比較的高い。上述のように、第1調光制御パネル20のパネル面が鉛直方向に平行に設置され、偏向層10への法線方向ndが水平方向を向いている。このため、太陽光L5は、偏向層10への入射角度θ5が比較的大きい方向から偏向層10に入射する。図8に示すように、このような大きく傾斜した方向から第2部分12内を進行する太陽光L5は、反射機能面16にて全反射する。この全反射した光L5は、進行方向を上方に向かうように変更させられ、第1調光制御パネル20に向かっていく。
一方、冬季や朝や夕方の時間帯において、太陽の高度は比較的低い。このため、太陽光L6は、偏向層10への入射角度θ6が比較的小さい方向から偏向層10に入射する。図8に示すように、このような小さく傾斜した方向から第2部分12内を進行する太陽光L6の多くは、反射機能面16に入射することなく進行方向を維持したままで偏向層10を透過し、第1調光制御パネル20に向かっていく。
偏向層10にて向きを調整された光L5、L6は、第1調光制御パネル20に入射して第1偏光板23に向かう。第1調光制御パネル20及び第2調光制御パネル30が図8に示す明状態に配置されている場合、第1偏光板23を透過した一方の直偏光成分の光は、第1光制御シート25及び第2光制御シート35の両方を透過した後に、振動方向を90°回転させる。したがって、図8に示すように、第1光制御シート25及び第2光制御シート35の両方を透過した光は、一方の直線偏光成分とは振動方向が直交する他方の直線偏光成分の光となっており、第2偏光板33を透過することができる。したがって、図8に示す状態において、室内S2に太陽光L5、L6を採光して、室内S2への直達光の到達の抑制を図ると共に室内S2を明るく照らすことができる。また、図8に示す状態においては、当該光制御装置1を介して室内S1と室外S2との間の透視を可能とすることができる。
一方、図2の状態から、つまみ3を握って第2調光制御パネル30を第1方向d1に沿って図9に示す暗状態まで相対移動させる。上述のようにして、入射角度θ7、θ8に応じて偏向層10にて向きを調整された光L7、L8は、第1調光制御パネル20に入射して第1偏光板23に進入していく。第1調光制御パネル20及び第2調光制御パネル30が図10に示す暗状態に配置されている場合、第1偏光板23を透過した一方の直線偏光成分の光は、第1光制御シート25及び第2光制御シート35の両方を透過した後に、振動方向を維持する。したがって、第1光制御シート25及び第2光制御シート35の両方を透過した光は、一方の直線偏光成分の光のままであり、第2偏光板33で吸収され、第2偏光板33を透過することはできない。したがって、図10に示す状態において、2つの調光制御パネル20,30によって、光L7、L8を遮光すると共に、光制御装置1を介して室外S1から室内S2を目視により透視されることを効果的に防止することができる。
以上のように、本実施の形態によれば、第1調光制御パネル20と、第1調光制御パネル20に少なくとも部分的に対面する位置に配置され且つ第1調光制御パネル20に対して相対移動可能な第2調光制御パネル30と、を備え、第1調光制御パネル20及び第2調光制御パネル30の両方を透過する光の透過率は、第1調光制御パネル20及び第2調光制御パネル30の相対位置に応じて変化し、入射角度θ1〜4に応じて進行方向を調整して光L1〜4を透過させる偏向層10が設けられている。このような形態によれば、第1調光制御パネル20と第2調光制御パネル30との相対位置に応じて透過する光の光量を調整し、偏向層10によって光の進行方向を調整することができる。このため、光制御装置1の他に、別途にカーテンやブラインドのような調光乃至遮蔽部材を設置する必要がない。以上のことから、本実施の形態によれば、光の進行方向及び透過光量を調整可能であって取扱性にも優れた光制御装置1が提供される。
とりわけ、本実施の形態によれば、偏向層10と、第1調光制御パネル20と、第2調光制御パネル30とは、この順で並べられている。すなわち、2つの調光制御パネル20、30の間に偏向層10が配置されていない。上述のように、2つ調光制御パネル20、30は、互いの組み合わせにより光に光学作用を及ぼして当該光の光量を調整する。2つの調光制御パネル20、30の間に偏向層10が配置されていない場合、調光制御パネル20、30の間の光路を進行中の光を偏向層10が選択的に偏向させてしまうことがない。このため、2つの調光制御パネル20、30の組み合わせにより発揮される光学作用が偏向層10による影響を及ぼされることなく安定して発揮することができる。
また、本実施の形態によれば、偏向層10は、第1調光制御パネル20の第2調光制御パネル30とは反対側を向く面に、接合層19を介して接合されている。この場合、偏向層10と第1調光制御パネル20とを一体として取り扱うことができるため、光制御装置1の取り扱い性を向上させることができる。
とりわけ、本実施の形態によれば、光制御装置1は、偏向層10が積層された第1調光制御パネル20と、第2調光制御パネル30とを、互いに相対移動可能に保持するフレーム2を有している。そして、フレーム2を区画部材100に設けられた開口101に嵌め込むことで、光制御装置1を区画部材100に設置する。この場合、光の進行方向及び透過光量の両方を調整可能な光制御装置1を区画部材100に容易に設置することができ、とりわけ作業スペースの確保が困難な場所において、設置の手間を大幅に減らすことが可能となる。
なお、上述した一実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を適宜参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した一実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
上述した実施の形態では、図3に示すように、配列方向P1に交互に並べられた第1部分11と第2部分12との境界に、屈折率差をもつ反射機能面16が形成された例を示したが、反射機能面16の形態は、このような例に限定されない。例えば、反射機能面は、偏向層内で配列方向P1に沿って配列されたミラー面であってもよい。この場合、ミラー面は、銀やアルミのような高反射率をもつ材料にて形成される。あるいは、偏向層に、配列方向P1に沿って配列された複数のプリズム要素が配置され、プリズム要素の一方の斜面が反射機能面として機能してもよい。
また、上述した実施の形態では、図1に示すように、偏向層10が第1調光制御パネル20に接合層19を介して接合された例を示したが、偏向層10の態様は、このような例に限定されない。例えば、偏向層10は、第1調光制御パネル20及び第2調光制御パネル30の一方に含まれていてもよい。
また、上述した実施の形態において、第1調光制御パネル20及び第2調光制御パネル30の相対移動が、直線移動である例を示したが、このような例に限定されない。図11に、第1調光制御パネル20及び第2調光制御パネル30の相対移動が、回転方向になされる例を示す。図11に示すように、第1調光制御パネル20が第2調光制御パネル30に対して相対回転するようにしてもよい。図11に示された例における相対回転の回転軸線dcは、第1調光制御パネル20の法線方向と一致している。また、第1調光制御パネル20の第1領域Z1及び第2領域Z2は、相対回転の回転軸線dcを中心とする扇形の領域となっている。すなわち、第1領域Z1及び第2領域Z2は、第1調光制御パネル20及び第2調光制御パネル30の相対移動方向dbと平行な方向に、交互に配列されていることになる。各第1領域Z1及び第2領域Z2をなす扇形領域の中心角θxは互いに同一とすることができる。第2調光制御パネル30は、第1調光制御パネル20と同様に構成することができる。このような光制御装置1においても、第1調光制御パネル20及び第2調光制御パネル30を中心角θxと同一角度だけ相対回転させることにより、第1領域Z1と第3領域Z3とが対面し且つ第2領域Z2と第4領域Z4とが対面する明状態と、第1領域Z1と第4領域Z4とが対面し且つ第2領域Z2と第3領域Z3とが対面する暗状態との間で、光制御装置1の調光状態を切り替えることができる。
さらに、上述した実施の形態において、第1偏光板23及び第2偏光板33が、クロスニコルの状態で配置される例を示したが、これに限られず、第1偏光板23及び第2偏光板33が、パラレルニコルの状態で配置されていてもよい。この例では、第1光制御シート25の第1領域Z1と第2光制御シート35の第4領域Z4とが対面し、第1光制御シート25の第2領域Z2と第2光制御シート35の第3領域Z3とが対面した図6の状態にて、光制御装置1が暗状態となる。一方、第1光制御シート25の第1領域Z1と第2光制御シート35の第3領域Z3とが対面し、第1光制御シート25の第2領域Z2と第2光制御シート35の第4領域Z4とが対面した図5の状態で、光制御装置1が暗状態となる。
さらに、上述した実施の形態において、各調光制御パネル20,30が、透過光の偏光状態を制御する光制御シート25,35としてパターン位相差フィルムを含み、さらに別途に偏光板23,33を含む例を示した。しかしながら、この例に限られず、第1光制御シート25の第1領域Z1及び第2領域Z2が、共に、偏光板からなり、ただし、当該偏光板は、第1領域Z1及び第2領域Z2において、吸収軸が互いに直交するようにして配置されているようにしてもよい。この例では、第2光制御シート35の第3領域Z3及び第4領域Z4が、共に、偏光板からなり、ただし、当該偏光板が、第3領域Z3及び第4領域Z4において、吸収軸が互いに直交するようにして配置する。そして、第1光制御シート25の第1領域Z1での吸収軸と、第2光制御シート35の第3領域Z3での吸収軸とを平行とする。また、第1光制御シート25の第2領域Z2での吸収軸と、第2光制御シート35の第4領域Z4での吸収軸とを平行とする。この変形例では、第1光制御シート25の第1領域Z1と第2光制御シート35の第3領域Z3とが対面し、第1光制御シート25の第2領域Z2と第2光制御シート35の第4領域Z4とが対面した状態で、光制御装置1は明状態となる。一方、第1光制御シート25の第1領域Z1と第2光制御シート35の第3領域Z3とが対面し、第1光制御シート25の第2領域Z2と第2光制御シート35の第4領域Z4とが対面した状態で、光制御装置1が暗状態となる。そしてこの例では、上述した第1偏光板23及び第2偏光板33は不要とすることができ、光制御装置1の単純化を図ることができる。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
1 光制御装置
2 フレーム
10 偏向層
16 反射機能面
20 第1調光制御パネル
21 第1透明支持板
23 第1偏光板
25 第1光制御シート
30 第2調光制御パネル
31 第2透明支持板
33 第2偏光板
35 第2光制御シート
100 区画部材
101 開口
Z1 第1領域
Z2 第2領域
Z3 第3領域
Z4 第4領域

Claims (7)

  1. 第1調光制御パネルと、
    前記第1調光制御パネルに少なくとも部分的に対面する位置に配置され且つ前記第1調光制御パネルに対して相対移動可能な第2調光制御パネルと、を備え、
    前記第1調光制御パネル及び前記第2調光制御パネルの両方を透過する光の透過率は、前記第1調光制御パネル及び前記第2調光制御パネルの相対位置に応じて変化し、
    入射角度に応じて進行方向を調整して光を透過させる偏向層が設けられている、光制御装置。
  2. 前記偏向層と、前記第1調光制御パネルと、前記第2調光制御パネルとは、この順で並んでいる、請求項1に記載の光制御装置。
  3. 前記第1調光制御パネルのパネル面に沿った長手方向を有し、且つ、前記長手方向と交差すると共に当該第1調光制御パネルのパネル面に沿った配列方向に配列された複数の反射機能面が、前記偏向層に形成されている、請求項1または2に記載の光制御装置。
  4. 前記第1調光制御パネルは、透過光の偏光状態を互いに異なる状態に制御し且つ交互に繰り返し配列された第1領域及び第2領域を含む第1光制御シートを有し、
    前記第2調光制御パネルは、可視光波長域の透過光の偏光状態を互いに異なる状態に制御し且つ交互に繰り返し配列された第3領域及び第4領域を含む第2光制御シート有する、請求項3に記載の光制御装置。
  5. 前記第1調光制御パネルは、前記第1光制御シート、第1偏光板、及び、第1透明支持板を、前記第2調光制御パネルに近接する側からこの順番で有し、
    前記第1調光制御パネルの前記第1光制御シートは、前記第1領域と前記第2領域との間で異なる位相変調を透過光に生じさせる位相差フィルムであり、
    前記第2調光制御パネルは、前記第2光制御シート、第2偏光板、及び、第2透明支持板を、前記第1調光制御パネルに近接する側からこの順番で有し、
    前記第2調光制御パネルの前記第2光制御シートは、前記第3領域と前記第4領域との間で異なる位相変調を透過光に生じさせる位相差フィルムである、請求項4に記載の光制御装置。
  6. 請求項1〜5に記載された光制御装置を、2つの空間を区画する区画部材に設置する工程を備える、光制御装置の設置方法。
  7. 前記光制御装置は、前記偏向層が積層された前記第1調光制御パネルと、前記第2調光制御パネルとを、互いに相対移動可能に保持するフレームを有し、
    前記設置する工程において、前記フレームを前記区画部材に設けられた開口に嵌め込む、請求項6に記載の光制御装置の設置方法。
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WO2022163221A1 (ja) * 2021-01-29 2022-08-04 日東電工株式会社 偏光性間仕切り、偏光性間仕切りセットおよびこれらを用いて仕切られた区画

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