JP2016036897A - 熱間アルミニウム圧延板のトリミング装置 - Google Patents

熱間アルミニウム圧延板のトリミング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明はアルミニウム圧延板幅方向両端の耳の部分の切断性に優れ、耳切断後のアルミニウム圧延板への切削粉の付着や巻き込みを少なくできる熱間アルミニウム圧延板のトリミング装置の提供を目的とする。【解決手段】本発明は、熱間アルミニウム圧延板の幅方向両端の耳の部分を一対の円盤状回転トリマー刃を用いて切断除去するトリミング装置において、前記円板状回転トリマー刃による熱間アルミニウム圧延板のせん断箇所に基油と水と乳化剤を混合してなるエマルジョンを噴射ノズルを通じて噴射供給する機構を備えた熱間アルミニウム圧延板のトリミング装置に関する。【選択図】図2

Description

本発明は、熱間圧延装置で圧延した後のアルミニウム圧延板の端部をトリミングする装置に関する。
アルミニウム圧延板の製造工程において、圧延時に発生するサイドクラックその他の欠陥を除去するために、圧延ラインにアルミニウム圧延板の幅方向両端のエッジ部を除去するためのトリミング装置が設けられている。
このトリミング装置において、エッジ部のせん断加工部から切削粉が発生し、この切削粉が製品側のアルミニウム圧延板表面に巻き込まれて付着し、そのままコイルに巻き込まれることがある。この切削粉の巻き込みにより、さらに下工程の圧延、熱処理その他の工程によりアルミニウム圧延板の表面に切削粉が固定されると、凹凸キズ、線状模様など、アルミニウム製品に重大な欠陥を及ぼすおそれがある。
このトリミング装置の一例として、ロータリー式のサイドトリマーをアルミニウム圧延板の移動経路両サイド側の上下に備え、サイドトリマーの下流側に所定の距離隔ててトリム屑チョッパーとガイド部材を備えた装置が知られている(特許文献1参照)。
このトリミング装置は、サイドトリマーでアルミニウム圧延板の両耳部分をせん断した後、せん断して分離した耳の部分をチョッパーにて長さ方向に複数に裁断し、トリム屑として回収している。
特開昭60−029206号公報
従来のトリミング装置においてトリマー刃に切削油を塗布してトリマー刃の「切れ」を良くする技術などが開示されているが、トリマー刃に切削油を供給するのみでは比較的厚いアルミニウム圧延板のトリミングにおいては十分といえず、切削粉の発生を完全に防ぐことはできなかった。特に、熱間圧延後の中高温のアルミニウム圧延板の切断においては、被加工材の硬度が低いため、構成刃先の形成が起こりやすく、切断後の端面が2次せん断断面となりやすい問題がある。例えば、構成刃先はトリマー刃の刃先を保護するようにアルミニウム材料が付着して生じるので、精度の良好な切断ができなくなり、2次せん断面が生じ易くなる傾向がある。
アルミニウム圧延板の切断部分に2次せん断断面を生じると、次工程において2次せん断断面に起因する欠陥を生じるおそれがある。
例えば、アルミニウム圧延板において、2次せん断面部を有する端面は、圧延継続すると、2次せん断面部を起点にクラックが発生することでクラックカスが圧延板に飛び込み固着するか、コイルに巻き込まれ、さらに圧延されると、巻き込み部を起点に、穴欠陥の発生、または、巻き込みカスがとれて剥離状模様欠陥などに進展するおそれがある。
本発明は前述の課題に鑑みなされたもので、アルミニウム圧延板幅方向両端の耳の部分の切断性に優れ、耳切断後のアルミニウム圧延板への切削粉の付着や巻き込みを少なくできる熱間アルミニウム圧延板のトリミング装置の提供を目的とする。
本発明は前記課題を解決するために、熱間アルミニウム圧延板の幅方向両端の耳の部分を一対の円盤状回転トリマー刃を用いて切断除去するトリミング装置において、前記円板状回転トリマー刃による熱間アルミニウム圧延板のせん断箇所に基油と水と乳化剤を混合してなるエマルジョンを噴射ノズルから噴射供給する機構を備えたことを特徴とする。
本発明において、前記エマルジョンが、基油の混合割合4〜10質量%であり、残部が水および乳化剤と添加剤からなるものでもよい。
本発明において、前記噴射ノズルを通じて前記エマルジョンを前記せん断箇所に噴射供給するに際し、被せん断板材に対する噴射角度を30°〜50°の範囲、噴射拡がり角を15°〜65°の範囲、エマルジョン流量を1.0〜3.0リットル/分の範囲とすることができる。
本発明において、前記円盤状回転トリマー刃の下方にエマルジョン回収用のピットが設けられ、前記ピットに戻管を介しエマルジョンの供給タンクが接続され、前記供給タンクに供給管とポンプを介し前記噴射ノズルが接続された構成を採用できる。
本発明は、熱間アルミニウム圧延板の耳の部分を円盤状回転トリマー刃を用いて切断除去するトリミング装置において、熱間アルミニウム圧延板をせん断する部分に噴射ノズルからエマルジョンを吹き付けつつ耳の部分を切断除去できる。切断部分にエマルジョンを吹き付けることで、トリマー刃による耳の部分の切断箇所に生じる切断粉を洗い流して切断粉の圧延板側への付着を防止できるとともに、トリマー刃の適切な潤滑作用による2次せん断面発生も抑制できる。
熱間アルミニウム圧延板の切断部分に2次せん断面を生じさせることなく耳の部分の切断分離ができるので、製品として得られる熱間アルミニウム圧延板に切削粉などの異物を混入させることがなくなり、アルミニウム圧延板の製品歩留まりを向上できる。
前記エマルジョンが、基油を4〜10%含み、残部水および乳化剤・添加剤であるので、円盤状回転トリマー刃によって熱間アルミニウム圧延板の耳の部分を除去する場合に切削粉の発生を抑制でき、円盤状回転トリマー刃の潤滑も十分に行えるので、円盤状回転トリマー刃の寿命を延ばすことができ、熱間アルミニウム圧延板の耳の部分に対し切れの良い切断ができる。
本発明の一実施形態のトリミング装置の構成図。 同トリミング装置の側面図。 同トリミング装置により両端部をせん断された熱間アルミニウム圧延板を示す平面図。 同トリミング装置に設けられている噴射ノズルおよびピットの配置例を示す構成図。 同トリミング装置に設けられている噴射ノズルの配置例を示す側面図。 同トリミング装置によりトリミングされた熱間アルミニウム圧延板を巻き取ったコイルの断面部分を示す写真。 従来のトリミング装置によりトリミングされた熱間アルミニウム圧延板巻き取ったコイルの断面部分を示す写真。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴部分を強調する目的で、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、同様の目的で、特徴とならない部分を省略して図示している場合がある。
図1において、符号1はトリミング装置の一部を構成する上丸刃(円盤状回転トリマー刃)、符号2はトリミング装置の一部を構成する下丸刃(円盤状回転トリマー刃)である。この下丸刃2の同軸上には、熱間圧延後に搬送されてきたアルミニウムまたはアルミニウム合金のストリップ(熱間アルミニウム圧延板)Sの幅方向端部にトリミングと同時に切り込みを入れ、トリム屑を細断状態で切り出すための円盤状のチョッパー3が設けられている。本実施形態のトリミング装置Aは、上丸刃1と下丸刃2とチョッパー3を備えて構成され、更に後述する噴射ノズル5、6などを備えている。
本実施形態のトリミング装置Aは、熱間圧延装置から搬送ラインに沿って水平搬送されてくる熱間圧延板としての帯状のストリップSの幅方向左右両側に上丸刃1を個々に設置させて設けられ、左右一対の上丸刃1の内側、下方よりの位置に下丸刃2が設置されている。
上丸刃1と下丸刃2は互いにそれらの中心軸周りに回転自在に、かつ、個々に鉛直向きに支持され、上丸刃1の下端を下丸刃2の上端よりも若干下に位置させ、上丸刃1を外側に下丸刃2を内側に配置し、ストリップSの幅方向端部を上下から挟み込むように配置されている。上丸刃1と下丸刃2は搬送されてきたストリップSの両端の耳の部分を所定幅にわたり、図2に示すように咬み込んでせん断できるように配置されている。ストリップSが搬送ラインに沿って順次搬送され、上丸刃1と下丸刃2の間に順次咬み込まれるに従い、図2、図3に示すようにストリップSの耳の部分はストリップSの長さ方向に順次せん断されて分離される。
チョッパー3は、下丸刃2の外側に隣接して上丸刃1の直下に回転自在に設置され、その周方向に適宜間隔をおいて複数のチョッパー刃4が設けられている。
チョッパー3は下丸刃2よりも若干径の小さい円盤状に形成され、その周回りに間欠的に複数のチョッパー刃4が設けられている。各チョッパー刃4はチョッパー3の厚さと同程度の長さの刃先を有し、この刃先をチョッパー3の周面から外側に突出するように向けてチョッパー3の円周周りに複数のチョッパー刃4が間欠的に取り付けられている。各チョッパー刃4の刃先はチョッパー3の厚さ方向に延在するように配置されている。
これらのチョッパー刃4が図2に示すようにストリップSの耳の部分にその長さ方向に間欠的に切り込みbを入れ、ストリップSの耳の部分を複数に分断して単板状のトリム屑aとして分離することができる。
上丸刃1と下丸刃2およびチョッパー3はストリップSの両側にそれぞれ配置されていて、上丸刃1と下丸刃2およびチョッパー3により、ストリップSの両端の耳の部分をせん断分離してトリミングするとともに細断し、単板状のトリム屑aとして分離することができる。この結果、ストリップSのトリミングにより生じるトリム屑aを長さ方向に細断した状態でストリップSから切り出すことができる。
このようなストリップSのトリミング工程において、本実施形態では、上丸刃1と下丸刃2によってストリップSをせん断する位置に向かって後述するエマルジョンを噴射する噴射ノズル5、6が設けられている。
一方の噴射ノズル5は、上丸刃1の内側側方に先端部を斜め下向きに、かつ、先端部を上丸刃1と下丸刃2の交差する位置に向けて配置され、他方の噴射ノズル6は、下丸刃2の外側側方に先端部を斜め上向きに、かつ、先端部を上丸刃1と下丸刃2の交差する位置に向けて配置されている。なお、噴射ノズル5は上丸刃1の内側に配置されているので、図2に示す側面視では上丸刃1の裏側に噴射ノズル5が設置されているが、図面として見やすくするために、上丸刃1の手前側に噴射ノズル5を描いている。従って、噴射ノズル5は上丸刃1と下丸刃2によるストリップSのせん断部分に向けてエマルジョンを噴射している。
これらの噴射ノズル5、6は、後に詳述するエマルジョンを収容した第二の供給タンク12にポンプPと供給管8を介し接続されていて、噴射ノズル5、6から必要量のエマルジョンを上丸刃1と下丸刃2の交差部分に噴射することができる。このため、上丸刃1と下丸刃2によってストリップSの耳の部分をせん断する場合、潤滑剤として以下のエマルジョンを必要量供給することができる。
エマルジョンとは、一般に分散質と分散媒が共に液体である分散系溶液を示すが、本実施形態で用いるエマルジョンは、熱間圧延用の圧延油を基油として4〜10質量%含有し、残部90〜96%が水および乳化剤・添加剤(乳化剤・添加剤は少量)からなる。
エマルジョンにおいて、基油の含有量を4%未満とすると、エマルジョンの組成が水に近くなり、潤滑力が低下するとともに上丸刃1と下丸刃2がストリップSをせん断する場合に構成刃先を生成し易くなり、ストリップSのせん断面に2次せん断断面が生じ易くなる。エマルジョンにおいて10質量%を超える基油含有量とすると、油汚れ不良が発生し易くなる。
用いる基油は、特に限定されないが、例えば動粘度100mm/s程度のマシン油、タービン油などのパラフィン系、ナフテン系などの鉱物油を用いることができる。エマルジョンを形成するための乳化剤は、特に限定されないが、陰イオン性や非イオン性の界面活性剤などが挙げられ、エマルジョン総重量に対して5%以下程度の少量を配合する。その他、安定剤や潤滑性向上剤などを少量(5%以下程度)添加することができる。
エマルジョンの動粘度は、90mm/s以下であることが好ましい。エマルジョンについて90mm/sを超える粘度にすると油汚れが発生し易くなる。ここでの動粘度は、エマルジョンから水を分離したあとの油分のみの動粘度を測定した値を示す。
なお、上丸刃1と下丸刃2の下方側には図4に示すようにエマルジョン回収用のピット9が設けられ、このピット9は戻管11を介し、第1のタンク7に接続され、第1のタンク7は第1のポンプPとフィルタ10を介し第二のタンク12に接続され、この第二のタンク12が第二のポンプPを備えた供給管8を介し噴射ノズル5、6に分岐接続されている。
上丸刃1と下丸刃2に噴射されたエマルジョンはピット9に落下して集められ、ろ過装置10により切削粉などの異物が除去された後、第二の供給タンク12に戻されて再利用できるように構成されている。
エマルジョンを噴射ノズル5、6から上丸刃1と下丸刃2に吹き付けてストリップSのせん断を行う場合、各噴射ノズル5、6からの噴射量は、1.0リットル/分〜3.0リットル/分の範囲とすることが好ましい。
エマルジョンの噴射量について、1.0リットル/分未満であると、上丸刃1と下丸刃2によるストリップSのせん断位置での潤滑性が不足となりストリップSのせん断面において2次せん断面が発生し易くなり、4.0リットル/分を超える噴射量であると、エマルジョンの散乱による不良発生などの不具合を生じ易くなる。このため噴射量は1.0リットル/分以上、3.0リットル/分以下の範囲が好ましい。
噴射ノズル5、6からエマルジョンを噴射する場合の噴射角度は、図4に示すように噴射ノズル5、6を上丸刃1と下丸刃2の側面側から見た場合、噴射ノズル5による噴射角度θについては水平搬送されるストリップSに対してθ=30゜〜50゜の範囲、噴射ノズル6による噴射角度θについてはストリップSに対してθ=30゜〜50゜の範囲に設定することが好ましい。
噴射ノズル5、6による噴射角度を30゜未満とすると、噴射ノズル5、6と刃先が接触するために不都合であり、
噴射ノズル5、6による噴射角度が50゜超えとすると、切断部へのエマルジョン供給量が不足するために不都合である。
また、噴射ノズル5、6において、左右方向の噴射角度の拡がり角については、図5に示すように噴射ノズル5による左右方向の噴射角度の拡がり角θについてθ=15゜〜65゜の範囲、噴射ノズル6による左右方向の噴射角度の拡がり角θについてはθ=15゜〜65゜の範囲とすることが好ましい。
噴射ノズル5、6による左右方向の噴射角度を15゜未満とすると、切断部へエマルジョンのピンポイント供給となり振動などでノズル位置がずれたときに切断部へのエマルジョン供給が不十分となるために不都合であり、
噴射ノズル5、6による左右方向の噴射角度を65゜超えとすると、エマルジョンが分散しすぎ切断部への供給量が不足するために不都合である。
上述の噴射ノズル5、6において、噴射角度、噴射量、拡がり角の値は、いずれにおいてもストリップSの耳の部分をせん断する位置から、ノズル先端位置を200mm〜500mmの離間した範囲内の値である。せん断位置〜ノズル先端位置の距離が200mm以下の場合、エマルジョンの散乱や、回転刃や被切断板材への接触の危険性が生ずる。また該距離が500mmを越えると、振動などによって噴射位置が不安定になるため好ましくない。
前記トリミング装置Aによりトリミング対象とするアルミニウムまたはアルミニウム合金のストリップ(圧延板)Sは、熱間圧延仕上り板であり、一例として、トリミング処理する場合の板厚が2〜15mm、板材温度が200〜400℃の範囲のストリップSに適用できる。
本実施形態のトリミング装置Aに対し、熱間圧延装置で例えば2〜15mmの板厚になるように圧延された200〜400℃のストリップSが熱間圧延機後段の搬送ライン(搬送路)に沿って水平に搬送される。
そして、このストリップSの幅方向両端側にそれぞれ設けられている上丸刃1と下丸刃2でストリップSの幅方向両端側を挟み込み、所定幅の部分を耳の部分としてトリミング装置Aでせん断除去する。
ストリップSの両端部分が上丸刃1と下丸刃2の間に差し掛かると上丸刃1と下丸刃2によるせん断力を受けて図1、図2に示すようにストリップSの幅方向両端部分が所定の幅にわたり耳の部分として分離され除去される。また、ストリップSの両端から分離された耳の部分はチョッパー刃4により長さ方向に所定間隔で細断され、トリム屑aとして除去される。
このストリップSの耳の部分のせん断に先立ち、噴射ノズル5、6から上丸刃1と下丸刃2にエマルジョンを吹き付けて上丸刃1と下丸刃2の潤滑を行う。
この場合、前述の望ましい混合比、動粘度のエマルジョンを用いているので、ストリップSのせん断面に2次せん断面を生じない良好なせん断ができる。このため、せん断時に生じる切削粉を極力少なくできる結果、製品として利用されるストリップSに切削粉の付着を生じないように耳の部分の除去ができる。
従って切削粉の付着に伴う欠陥を生じることのない、欠陥を有していないストリップSを製品として後工程に供給できる。
例えば、後工程が製缶工程であるならば、異物混入などの欠陥の無いアルミニウム缶を製造することができる。アルミニウム缶の表面には焼付け塗装などを施して表面を綺麗に仕上げるので、表面に異物混入などを生じていると、欠陥品となる問題がある。
この点、上述の切削粉を生じないトリミング工程を経るならば、熱間仕上後のストリップSから耳の部分を除去し、その後、冷間圧延して薄いアルミニウム板としてから、DI加工などの製缶工程を経た場合であっても異物に伴う欠陥発生率の低い製缶工程を実施することができる。
なお、トリミング装置Aを作動させてストリップSの耳の部分を切断し、噴射ノズル5、6により切断部分にエマルジョンを吹き付けている間、上丸刃1と下丸刃2に吹き掛けた使用済みのエマルジョンは落下してピット9に貯留され、戻管11を介し供給タンク7、ろ過装置10を介し第二の供給タンク12に戻される。第一の供給タンク7と第二の供給タンク12の間にろ過装置10を組み込んであるので、エマルジョンに含まれている切削粉は除去され、切削粉を含んでいない清浄なエマルジョンを第二の供給タンク12に戻すことができる。
この第二の供給タンク12に収容されている清浄なエマルジョンを再度ポンプPにより噴射ノズル5、6に送って再利用できるので、エマルジョンを繰り返し再利用でき、エマルジョンの利用効率を高めることができる。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
JIS3004アルミニウム合金(Al-1.2Mn-1.0Mg)からなり、厚さ4.5mm、幅1500mmのアルミニウム合金熱間圧延板(ストリップ)の両端部分について、図1、図2に示す構成のトリミング装置により幅1400mmの部分を残して他の部分を耳としてせん断により除去し、コイル状に巻き取った。
ストリップの耳の部分をトリミングする場合、以下に示す組成のエマルジョンを上下の噴射ノズルから噴射角度45゜で上丸刃1とストリップとの間、噴射角度45゜で下丸刃2とストリップとの間の部分にそれぞれ噴射量3リットル/分で吹き付けた。トリミング位置と噴射ノズルの間隔は、400mmに設定した。
用いたエマルジョンは、クーラント(基油)6%(乳化剤を微量含む)、水94%である。
ストリップの耳の部分をトリミングした後、ストリップをコイル状に巻き取り、コイルの側面(せん断面)を観察した。図6に巻き取ったコイル側面の部分拡大写真を示す。
次に、前記と同等の条件において、ストリップの耳の部分をトリミングする際、エマルジョンを吹きかけないでトリミングした後、ストリップをコイル状に巻き取り、コイルの側面(せん断面)を観察した。図7に巻き取ったコイル側面の部分拡大写真を示す。
図6と図7に示す断面の対比から明らかなように、図6に示す切断面には2次せん断面が見られず、ほぼ均一なせん断面であるのに対し、図7に示す切断面には多数の2次せん断面が見られた。図7において2次せん断面は、コイル巻きしたストリップにおいて層状に巻き付けた各板厚の厚さ方向中央部分に周囲より黒く不規則に描かれている部分を示す。図7に示すように2次せん断面がコイル巻きしたストリップの断面にその全長にわたり、不規則にばらついて存在していたので、エマルジョンを吹き掛けることなく耳の部分を切断した場合、2次せん断面が頻繁に発生していることがわかる。
図6と図7に示すストリップのせん断面の対比から、エマルジョンを吹き掛けつつストリップの耳の部分をせん断するならば、2次せん断面を生じることなくトリミングできることがわかる。
次に、前記ストリップの耳の部分を図1、図2に示すトリミング装置の上丸刃1と下丸刃2でせん断する場合、上丸刃1と下丸刃2に吹き掛けるエマルジョンの基油量(mass%)、噴射量(リットル/min)、噴射角度(゜)、拡がり角(゜)について、それぞれ変更した場合の影響について調べた。その結果を以下の表1にまとめて示す。
表1において2次せん断面率は、トリミング後巻取りコイルの側面を写真撮影し、画像解析により測定した。2次せん断面の有無は画像上のコントラストを検出することで判別できる。表1において欠陥率とは2次せん断面発生、あるいは異物巻き込みなど、耳の部分を切断したことによる欠陥に起因した不良によって製品化不可能となった部分の重量(格下げ量)の、装置負荷した材料の総量に対する割合(重量%)を示す。
表1に示すNo.1、4の試料は、エマルジョンの噴射を行っていない試料であるが、耳の部分の切断面の100%に2次せん断面が発生した。
No.1の試料に対し、基油量5mass%あるいは6mass%に調整したエマルジョンを噴射したNo.2、3、5、6の試料はいずれも2次せん断面が発生せず、欠陥も生じなかった。
No.7の試料は、噴射ノズルからエマルジョンを吹き付ける場合の噴射角度を30゜に狭くした場合に得られた試料であるが、2次せん断面が僅かながら発生した。エマルジョンの噴射角度を狭くした場合、ストリップの搬送ラインから伝達される振動等により狙いの切断部分にエマルジョンを吹きつけできなくなるおそれがあるので、噴射角度について30゜以上とすることが好ましい。
No.8の試料は基油量を10mass%に設定して得た試料であるが、2次せん断面が僅かに発生し、油汚れによる欠陥も僅かながら発生したが、全体の欠陥率は比較的低く許容範囲であった。
No.9の試料はエマルジョン中に基油量を多くし過ぎた試料であるが、油汚れによる欠陥率が上昇した。
No.10の試料は、エマルジョンの噴射量を小さくし過ぎた試料であるが、2次せん断面が発生した。
No.11の試料は、エマルジョンの噴射量を大きくし過ぎた試料出るが、他の噴射したエマルジョンが周囲に散乱して油汚れが発生した。
No.12の試料は、エマルジョンの噴射角度が広すぎて切断部位に供給できるエマルジョンが減少した結果、2次せん断面を生じた試料である。
No.13の試料は、エマルジョン噴射の拡がり角を狭くしたため、装置全体の振動により噴射ポイントがずれた結果、エマルジョンの供給不足となり、2次せん断面を生じた試料である。
No.14の試料は、エマルジョン噴射の拡がり角を広くし過ぎたため、エマルジョンの供給不足となり、2次せん断面を生じた試料である。
以上の結果から、切断部分に吹き付けるエマルジョンにおいて含まれる基油量を4〜10mass%の範囲に設定することが重要であることが判る。
また、エマルジョンを吹き付ける場合、2次せん断面が生じないような適切な量を吹き付けること、装置全体から受ける振動を考慮して吹き付ける部分の位置ずれを生じないことなどを考慮すると、噴射角度を30°〜50°の範囲に設定し、噴射の拡がり角を15°〜65°の範囲に設定し、噴射ノズルからのエマルジョン流量として1.0〜3.0リットル/分の範囲に設定することが、2次せん断面を生じさせないためには重要であることが分かった。
A…トリミング装置、S…ストリップ、1…上丸刃(円盤状回転トリマー刃)、2…下丸刃(円盤状回転トリマー刃)、3…チョッパー、4…チョッパー刃、a…耳、b…切り込み、5、6…噴射ノズル、7…供給タンク、8…供給管、9…ピット、10…ろ過装置、11…戻管、12…第二供給タンク。

Claims (4)

  1. 熱間アルミニウム圧延板の幅方向両端の耳の部分を一対の円盤状回転トリマー刃を用いて切断除去するトリミング装置において、前記円板状回転トリマー刃による熱間アルミニウム圧延板のせん断箇所に基油と水と乳化剤を混合してなるエマルジョンを噴射ノズルから噴射供給する機構を備えた熱間アルミニウム圧延板のトリミング装置。
  2. 前記エマルジョンが、基油の混合割合4〜10質量%であり、残部が水および乳化剤と添加剤からなることを特徴とする請求項1に記載の熱間アルミニウム圧延板のトリミング装置。
  3. 前記噴射ノズルを通じて前記エマルジョンを前記せん断箇所に噴射供給するに際し、被せん断板材に対する噴射角度が30°〜50°の範囲であり、噴射拡がり角が15°〜65°の範囲であり、エマルジョン流量が1.0〜3.0リットル/分であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱間アルミニウム圧延板のトリミング装置。
  4. 前記円盤状回転トリマー刃の下方にエマルジョン回収用のピットが設けられ、前記ピットに戻管を介しエマルジョンの供給タンクが接続され、前記供給タンクに供給管とポンプを介し前記噴射ノズルが接続されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱間アルミニウム圧延板のトリミング装置。
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