JP2016035300A - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

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聖二 増永
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孝幸 安藤
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Abstract

【課題】変速ショックを低減すること。【解決手段】入力軸11と出力軸12との間に配置された複数の係合装置21を目標変速段に応じて係合又は解放させる変速制御の実施に際して、変速制御の変速目標値と変速目標値を実現させる制御操作量との対応関係と、変速制御における入力軸11の要求入力トルクを受け持つ係合側の係合装置と解放側の係合装置のそれぞれの基準トルク分担率と、が示された変速モデルを用いる自動変速機10の変速制御装置において、変速制御中に入力軸11の実際の角加速度と目標角加速度との間に差が生じている場合、その差の正負と変速パターンとに基づいて、実際の角加速度が目標角加速度に近づくように、係合側の係合装置21の基準トルク分担率と解放側の係合装置21の基準トルク分担率の内の少なくとも一方を補正すること。【選択図】図1

Description

本発明は、目標変速段に応じて係合又は解放される複数の係合装置を備えた自動変速機の変速制御装置に関する。
従来、この種の自動変速機の変速制御装置が知られている。例えば、下記の特許文献1には、自動変速機の入力軸と出力軸との間に配置された複数の係合装置を目標変速段に応じて係合又は解放させる変速制御の際に、変速制御の変速目標値と当該変速目標値を実現させる制御操作量との対応関係と、変速制御における係合側の係合装置のトルク容量と解放側の係合装置のトルク容量のそれぞれのトルク分担率と、が示されている変速モデルを用いる技術が開示されている。この特許文献1の技術では、変速制御の際に、変速目標値として入力軸の目標角加速度と出力軸の目標出力トルクとを算出し、かつ、変速モデルに基づいて制御操作量として入力軸の入力トルクと係合側の係合装置のトルク容量と解放側の係合装置のトルク容量とを算出している。尚、下記の特許文献2には、変速後の変速機の入力部材の回転速度に基づく目標値で解放側クラッチの回転を制御しながら変速機のイナーシャを吸収する制御を行い、その後、入力部材の回転速度を目標値に維持できるように、変速機の総伝達トルクを求め、解放側クラッチのトルク分担を漸減させ、係合側クラッチのトルク分担を漸増させて、これに基づいて摩擦係合要素の各係合制御量を調整し、クラッチの掛け替えを行う、という技術が開示されている。また、下記の特許文献3には、クラッチツウクラッチ変速中における自動変速機の出力トルクの目標変化パターンを変速出力時の入力トルクと目標変速時間に基づいて決定し、解放側摩擦係合装置と係合側摩擦係合装置のうちのいずれか一方のトルク容量を目標変化パターンに基づく目標出力トルクとトルク分担率に基づいて算出すると共に、他方の摩擦係合装置のトルク容量を一方の摩擦係合装置のトルク容量と目標出力トルクに基づいて算出し、算出したトルク容量がそれぞれ得られるように解放側摩擦係合装置と係合側摩擦係合装置を制御する、という技術が開示されている。
国際公開第2014/020685号 特開2008−025638号公報 特開2008−051186号公報
ところで、係合装置においては、その個体差や経年変化等によって、実際のトルク容量が制御目標値に対してずれてしまっている場合がある。そして、このようなトルク容量のずれは、自動変速機の入力軸の角加速度についても実際の値と制御目標値との間にずれを生じさせ、その結果、変速ショックを発生させてしまう可能性がある。
そこで、本発明は、変速ショックの低減が可能な自動変速機の変速制御装置を提供することを、その目的とする。
上記目的を達成する為、本発明は、動力源の動力が入力される入力側回転部材と変速後の動力を出力する出力側回転部材との間に配置された複数の係合装置を目標変速段に応じて係合又は解放させる変速制御の実施に際して、該変速制御の変速目標値と当該変速目標値を実現させる制御操作量との対応関係と、複数の前記係合装置の内の前記変速制御における前記入力側回転部材の要求入力トルクを受け持つ係合側の係合装置と解放側の係合装置のそれぞれの基準トルク分担率と、が示された変速モデルを用いる自動変速機の変速制御装置において、前記変速目標値としての前記入力側回転部材の目標角加速度と前記出力側回転部材の目標出力トルクとを算出し、かつ、前記変速モデルに基づいて前記制御操作量としての前記入力側回転部材の要求入力トルクと前記係合側の係合装置の要求トルク容量と前記解放側の係合装置の要求トルク容量とを算出して、前記変速制御を行う制御部を設け、前記制御部は、前記変速制御中に前記入力側回転部材の実際の角加速度と当該入力側回転部材の前記目標角加速度との間に差が生じている場合、該差の正負と変速パターンとに基づいて、前記実際の角加速度が前記目標角加速度に近づくように、前記変速制御における前記係合側の係合装置の基準トルク分担率と前記解放側の係合装置の基準トルク分担率の内の少なくとも一方を補正することを特徴としている。
ここで、前記制御部は、前記係合側の係合装置と前記解放側の係合装置の内、現在の基準トルク分担率が高い方を基準トルク分担率の補正対象とすることが望ましい。
また、前記制御部は、前記差と前記変速パターンに加えて、前記変速制御の変速進行度に基づいて前記基準トルク分担率の補正を行うことが望ましい。
本発明に係る自動変速機の変速制御装置は、変速制御中の入力側回転部材の実際の角加速度と目標角加速度との間に差が生じている場合、その変速制御における係合側の基準トルク分担率と解放側の基準トルク分担率の内の少なくとも一方を補正することによって、係合側の係合装置と解放側の係合装置の内の少なくとも一方の要求トルク容量を補正することができる。このため、この変速制御装置は、その補正の対象となった係合装置の実際のトルク容量(つまり実際の伝達トルク)が要求トルク容量に近づくように又は要求トルク容量に補正され、入力側回転部材の実際の角加速度を目標角加速度に近づくように又は目標角加速度に補正することができる。よって、この変速制御装置は、変速ショックを低く抑えることができる。
図1は、実施例及び変形例における自動変速機の変速制御装置とその適用対象たる自動変速機の一例を示す図である。 図2は、自動変速機における作動係合表を示す図である。 図3は、基準トルク分担率の調整量について説明する図である。 図4は、基準トルク分担率の調整量について説明する図である。 図5は、基準トルク分担率の調整量について説明する図である。 図6は、基準トルク分担率の調整量について説明する図である。 図7は、実施例の変速制御について説明するフローチャートである。 図8は、実施例の変速制御について説明するタイムチャートである。 図9は、実施例の変速制御について説明するタイムチャートである。 図10は、実施例の変速制御について説明するタイムチャートである。 図11は、実施例の変速制御について説明するタイムチャートである。 図12は、変形例1の変速制御について説明するフローチャートである。 図13は、変形例1の変速制御について説明するタイムチャートである。 図14は、変形例2の変速制御について説明するフローチャートである。 図15は、自動変速機の油温と係合装置の無駄時間との対応関係の一例を示すマップである。 図16は、基準トルク分担率の調整量の補正量を求めるマップの一例である。 図17は、変形例5の変速制御について説明するタイムチャートである。
以下に、本発明に係る自動変速機の変速制御装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
[実施例]
本発明に係る自動変速機の変速制御装置の実施例を図1から図11に基づいて説明する。
この変速制御装置は、図1に示すように、自動変速機10の制御を行う電子制御装置(以下、「変速機ECU」という。)1を備える。その変速機ECU1には、変速制御装置における制御部が行う様々な演算処理機能を後述するように設けている。例えば、その制御部は、自動変速機10の目標変速段(目標変速比)への変速制御やニュートラル状態への変速制御を行う。
その自動変速機10は、動力源100の動力が入力される入力軸(入力側回転部材)11と、変速後の動力を駆動輪(図示略)に向けて出力する出力軸(出力側回転部材)12と、を備える。その入力軸11と出力軸12は、変速機本体20に設けている。尚、動力源100とは、機関(内燃機関又は外燃機関等のエンジン)や回転機(電動機等)のことである。この動力源100の動作(始動制御や停止制御、出力制御等)は、電子制御装置(以下、「動力源ECU」という。)110によって制御される。
本実施例の変速制御装置が適用される自動変速機10とは、その入力軸11と出力軸12との間に、変速制御の目標変速段に応じて係合又は解放される複数の係合装置21を備えたものである。図1には、この自動変速機10の具体例の1つを示している。この例示の自動変速機10は、前進6段と後進1段の変速段を有する。
変速機本体20は、係合装置21としての第1及び第2のクラッチCL1,CL2並びに第1から第3のブレーキBK1,BK2,BK3と、ワンウェイクラッチFと、第1及び第2の遊星装置22,23と、を筐体CA内に備える。
第1遊星装置22は、シングルピニオン型の遊星歯車機構であり、差動回転が可能な複数の回転要素として、サンギヤSとリングギヤRと複数のピニオンギヤPとキャリアCとを有する。第2遊星装置23は、ラビニヨ型の遊星歯車機構であり、差動回転が可能な複数の回転要素として、第1サンギヤS1と、第2サンギヤS2と、リングギヤRrと、第2サンギヤS2とリングギヤRrとに噛み合う複数のロングピニオンギヤPlと、第1サンギヤS1とロングピニオンギヤPlとに噛み合う複数のショートピニオンギヤPsと、各ロングピニオンギヤPlと各ショートピニオンギヤPsとを保持するキャリアCrと、を有する。この変速機本体20においては、第1遊星装置22のサンギヤSが入力軸11と一体になって回転できるように接続されている。一方、この変速機本体20においては、第2遊星装置23のキャリアCrの回転軸が出力軸12となる。この変速機本体20においては、第1遊星装置22のキャリアCと第2遊星装置23の第1サンギヤS1とが一体になって回転できるように接続されている。
第1クラッチCL1は、第2遊星装置23の第2サンギヤS2と一体になって回転可能な第1係合部と、入力軸11及び第1遊星装置22のサンギヤSと一体になって回転可能な第2係合部と、を備える。第2クラッチCL2は、第2遊星装置23のリングギヤRrと一体になって回転可能な第1係合部と、入力軸11及び第1遊星装置22のサンギヤSと一体になって回転可能な第2係合部と、を備える。これら第1及び第2のクラッチCL1,CL2は、油圧駆動の摩擦係合装置(摩擦クラッチ)である。
第1ブレーキBK1は、第1遊星装置22のキャリアCと一体になって回転可能な第1係合部と、筐体CAに固定された第2係合部と、を備える。第2ブレーキBK2は、第2遊星装置23のリングギヤRrと一体になって回転可能な第1係合部と、筐体CAに固定された第2係合部と、を備える。第3ブレーキBK3は、第1遊星装置22のリングギヤRと一体になって回転可能な第1係合部と、筐体CAに固定された第2係合部と、を備える。これら第1から第3のブレーキBK1,BK2,BK3は、油圧駆動の摩擦係合装置(摩擦ブレーキ)である。
第1及び第2のクラッチCL1,CL2は、それぞれの第1係合部と第2係合部との間の係合動作と解放動作を油圧制御回路としての油圧アクチュエータ24に実施させる。また、第1及び第2のブレーキBK1,BK2は、それぞれの第1係合部と第2係合部との間の係合動作と解放動作を油圧制御回路としての油圧アクチュエータ25に実施させる。その油圧アクチュエータ24,25は、変速機ECU1の変速制御部の指令によって動作し、制御対象の係合装置21への供給油圧を調整することで、その係合装置21を係合又は解放させる。その変速制御部は、変速制御装置の制御部として動作するものである。
ワンウェイクラッチFは、第2遊星装置23のリングギヤRr及び第2クラッチCL2の第1係合部及び第2ブレーキBK2の第1係合部と一体になって回転可能な第1係合部と、筐体CAに固定された第2係合部と、を備える。このワンウェイクラッチFは、そのリングギヤRr等の一方向への回転を禁止する。
図2は、その第1及び第2のクラッチCL1,CL2と第1から第3のブレーキBK1,BK2,BK3とワンウェイクラッチFの変速レンジ毎の作動係合表である。この作動係合表において、丸印は係合状態を表し、空欄は解放状態を表している。尚、本図の「P」は、駐車レンジを表している。「R」は、後退レンジを表している。「N」は、ニュートラルレンジを表している。「1st」、「2nd」、「3rd」、「4th」、「5th」及び「6th」は、それぞれに前進レンジDにおける1速から6速までの変速段を表している。本図からも明らかなように、係合装置21(第1及び第2のクラッチCL1,CL2並びに第1から第3のブレーキBK1,BK2,BK3)には、変速制御の目標変速段に応じて係合状態に制御されるもの(以下、「係合側の係合装置」という。)と、その目標変速段に応じて解放状態に制御されるもの(以下、「解放側の係合装置」という。)と、が存在する。以下においては、説明の便宜上、係合側の係合装置21Aと称すると共に、解放側の係合装置21Bと称する。
この自動変速機10においては、その変速機本体20と動力源100との間にトルクコンバータ30を介在させている。
トルクコンバータ30は、ポンプインペラ31とタービンランナ32とステータ33とを備える。ポンプインペラ31には、回転軸13を介して動力源100の出力軸101が一体となって回転できるように接続されている。タービンランナ32には、入力軸11が一体となって回転できるように接続されている。ステータ33は、筐体CAにワンウェイクラッチ34を介して接続されている。また、このトルクコンバータ30には、ロックアップクラッチ35が設けられている。そのロックアップクラッチ35は、第1係合部と第2係合部との間の係合動作又は解放動作を油圧制御回路としてのアクチュエータ36に実施させる。
この自動変速機10においては、変速モデルを用いて変速制御部が変速制御を実施する。
その変速モデルは、変速制御の変速目標値と当該変速目標値を実現させる制御操作量との対応関係を示すものである。その対応関係は、この自動変速機10のギヤトレーン運動方程式として表されている。そのギヤトレーン運動方程式は、この技術分野において周知のものである。このギヤトレーン運動方程式としては、例えば前述した特許文献1で示されたものが知られている。
変速目標値とは、変速に際して実現したい自動変速機10の変化態様(例えば変速時間や駆動力等)の目標値のことである。具体的に、変速目標値とは、入力軸11の目標角加速度αと出力軸12の目標出力トルクToutのことである。変速機ECU1には、この変速目標値を算出する変速目標値算出部を設けている。その変速目標値算出部は、変速制御装置の制御部として動作するものである。変速目標値算出部は、変速制御における変速パターン毎の変速進行度(厳密には変速制御開始からの経過時間)に応じた変速目標値を算出する。
ここでこの例示では、変速パターンとして、パワーオンアップシフトとパワーオフアップシフトとパワーオンダウンシフトとパワーオフダウンシフトとを示す。パワーオンアップシフトとは、運転者がアクセルペダルを踏み込んだ状態で行われるアップシフトのことである。パワーオフアップシフトとは、運転者がアクセルペダルから足を離した状態で行われるアップシフトのことである。パワーオンダウンシフトとは、運転者がアクセルペダルを踏み込んだ状態で行われるダウンシフトのことである。パワーオフダウンシフトとは、運転者がアクセルペダルから足を離した状態で行われるダウンシフトのことである。
パワーオンアップシフト制御とパワーオフダウンシフト制御においては、目標変速段に応じた各係合装置21に対する油圧制御を開始すると、その各係合装置21におけるそれぞれの要求トルク容量の分担が変化するトルク相の段階となり、その後、変速比が変化するイナーシャ相の段階を経て変速終了となる。つまり、これらの変速制御における変速進行度は、トルク相前の段階、トルク層の段階、イナーシャ相の段階、変速終了時の段階へと進んでいく。
一方、パワーオンダウンシフト制御とパワーオフアップシフト制御においては、目標変速段に応じた各係合装置21に対する油圧制御を開始すると、変速比が変化するイナーシャ相の段階となり、その後、その各係合装置21におけるそれぞれの要求トルク容量の分担が変化するトルク相の段階を経て変速終了となる。つまり、これらの変速制御における変速進行度は、イナーシャ相前の段階、イナーシャ相の段階、トルク層の段階、変速終了時の段階へと進んでいく。
制御操作量とは、変速目標値の実現のために操作する制御対象に対しての制御要求値のことである。具体的に、制御操作量とは、入力軸11の要求入力トルクTinreqと係合側の係合装置21Aの要求トルク容量Tcbapl−reqと解放側の係合装置21Bの要求トルク容量Tcbdrn−reqのことである。変速機ECU1には、この制御操作量を算出する制御操作量算出部を設けている。その制御操作量算出部は、変速制御装置の制御部として動作するものである。制御操作量算出部は、変速制御における変速パターン毎の変速進行度(厳密には変速制御開始からの経過時間)に応じた制御操作量を算出する。
ここで、制御操作量算出部は、2つの変速目標値を実現させるための制御操作量を3つ求めなければならない。このため、この例示においては、変速モデル(ギヤトレーン運動方程式)に拘束条件を追加することによって、その3つの制御操作量をそれぞれに算出する。その拘束条件とは、例えば前述した特許文献1で示された当該技術分野において周知のものである。具体的に、変速制御においては、入力軸11の要求入力トルクTinreqを係合側の係合装置21Aと解放側の係合装置21Bとで受け持ちつつ、変速進行度に応じて、係合側の係合装置21Aと解放側の係合装置21Bとにおける要求入力トルクTinreqの分担を変えていく。そこで、この例示では、拘束条件として、変速制御における係合側の係合装置21Aの要求トルク容量のトルク分担率xAPLと解放側の係合装置21Bの要求トルク容量のトルク分担率xDRNとを設定する。変速機ECU1には、そのトルク分担率xAPL,xDRNを算出するトルク分担率算出部を設けている。そのトルク分担率算出部は、変速制御装置の制御部として動作するものである。
トルク分担率算出部は、変速制御における変速パターン毎の変速進行度(厳密には変速制御開始からの経過時間)に応じたトルク分担率xAPL,xDRNを算出する。この例示の変速モデルでは、変速制御における係合側の係合装置21Aの要求トルク容量のトルク分担率の基準値(以下、「基準トルク分担率」という。)xAPL0と、変速制御における解放側の係合装置21Bの要求トルク容量のトルク分担率の基準値(以下、「基準トルク分担率」という。)xDRN0と、を設定している。その基準トルク分担率xAPL0,xDRN0は、変速パターン毎の変速進行度に応じたものとして示されている。このため、トルク分担率算出部は、その変速パターン毎の変速進行度に応じた基準トルク分担率xAPL0,xDRN0を、それぞれに変速パターン毎の変速進行度に応じたトルク分担率xAPL,xDRNとして算出する。尚、同じ経過時間においては、その基準トルク分担率xAPL0,xDRN0の和が100%になる。
制御操作量算出部は、変速モデル(ギヤトレーン運動方程式)と、変速目標値算出部が算出した変速目標値と、トルク分担率算出部が算出したトルク分担率xAPL,xDRNと、に基づいて制御操作量(入力軸11の要求入力トルクTinreq、係合側の係合装置21Aの要求トルク容量Tcbapl−req及び解放側の係合装置21Bの要求トルク容量Tcbdrn−req)を算出する。その算出は、例えば前述した特許文献1で示された当該技術分野において周知の方法によって行う。変速制御部は、その様にして算出された要求トルク容量Tcbapl−req,Tcbdrn−reqとなるように、変速進行度(厳密には変速制御開始からの経過時間)に応じて係合側の係合装置21Aと解放側の係合装置21Bの制御を行う。また、動力源ECU110の出力制御部は、変速進行度(厳密には変速制御開始からの経過時間)に応じた要求入力トルクTinreqに基づいて、その経過時間毎の動力源100の出力制御を行う。
ところで、係合装置21の摩擦材については、その個体差や経年変化等によって、変速モデルの設定に際して想定していた値に対して摩擦係数がずれている場合がある。また、この係合装置21の油圧制御回路については、その個体差や経年変化等によって、変速モデルの設定に際して想定していた値に対して応答特性がずれている場合がある。このため、係合装置21においては、その個体差や経年変化等によって、トルク容量が実際の値と制御目標値との間でずれてしまっている場合がある。そして、このようなトルク容量のずれは、入力軸11の角加速度についても実際の値(以下、「実角加速度」という。)αと目標角加速度αとの間にずれを生じさせ、その結果、変速ショックを発生させてしまう可能性がある。
そこで、本実施例においては、変速制御中に実角加速度αと目標角加速度αとの間に差が生じている場合、係合側の係合装置21Aの要求トルク容量の基準トルク分担率(以下、「係合側の基準トルク分担率」という。)xAPL0と解放側の係合装置21Bの要求トルク容量の基準トルク分担率(以下、「解放側の基準トルク分担率」という。)xDRN0の内の少なくとも一方を補正して、実角加速度αを目標角加速度αに近づけるようにする。つまり、トルク分担率算出部は、変速制御中に実角加速度αと目標角加速度αとの間に差が生じている場合、その差の正負と変速パターンとに基づいて、実角加速度αが目標角加速度αに近づくように、その変速制御における係合側の基準トルク分担率xAPL0と解放側の基準トルク分担率xDRN0の内の少なくとも一方を補正する。
トルク分担率算出部は、下記の式1と式2を用いて、係合側のトルク分担率xAPLと解放側のトルク分担率xDRNの算出を行う。そのトルク分担率xAPL,xDRNは、その式1と式2を用いて算出されることによって、変速制御中に実角加速度αと目標角加速度αとの間に差が生じている場合(つまり補正の必要がある場合)、その差が縮まるように補正される。
xAPL=xAPL0+βAPL … (1)
xDRN=xDRN0+βDRN=100−xAPL0+βDRN … (2)
「βAPL」は、係合側の基準トルク分担率xAPL0を補正するための係合側の調整量である。「βDRN」は、解放側の基準トルク分担率xDRN0を補正するための解放側の調整量である。変速機ECU1には、その調整量βAPL,βDRNを算出する調整量算出部を設ける。その調整量算出部は、変速制御装置の制御部として動作するものである。
この調整量算出部は、変速制御中に実角加速度αと目標角加速度αとの間に差が生じている場合、その差の正負と変速パターンとに基づいて、実角加速度αが目標角加速度αに近づくように、より好ましくは実角加速度αが目標角加速度αとなるように、調整量βAPL,βDRNを算出する。より好ましくは、その差の正負と変速パターンに加えて、更に変速進行度に基づいて、調整量βAPL,βDRNの算出を行う。
図3から図6には、実角加速度αと目標角加速度αとの差の正負、変速パターン及び変速進行度に応じて算出された調整量βAPL,βDRNの一例を示している。その各図では、補正の対象となる基準トルク分担率xAPL0,xDRN0に関わる調整量βAPL,βDRNについて示している。
図3は、実角加速度αが目標角加速度αよりも大きくなっている場合(α>α)のパワーオンアップシフト制御時とパワーオフダウンシフト制御時の調整量βAPL,βDRNの一例である。
パワーオンアップシフト制御の場合について説明する。
調整量算出部は、変速制御開始時を含むトルク相前の段階からトルク相が終わるまでの間、正の解放側の調整量βDRNを算出する(βDRN>0)。また、調整量算出部は、イナーシャ相の間、つまりトルク相の終了時(=イナーシャ相の開始時)から変速制御終了時{=イナーシャ相の終了時(変速終了時)}までの間、解放側の調整量βDRNを0にする。このため、変速制御を開始してからトルク相が終わるまでの間は、解放側の基準トルク分担率xDRN0が高い値へと補正されるので、補正前の基準トルク分担率xDRN0に対して解放側のトルク分担率xDRNが高く設定される。また、イナーシャ相が開始してから変速制御が終わるまでの間は、解放側の基準トルク分担率xDRN0が補正されないので、その基準トルク分担率xDRN0が解放側のトルク分担率xDRNに設定される。その解放側の調整量βDRNは、トルク相において、イナーシャ相の開始時(=トルク相の終了時)に0となるように、トルク相の開始と共に徐々に小さくすればよい。
一方、調整量算出部は、トルク相前の段階において、係合側の調整量βAPLを0にする。また、調整量算出部は、トルク相の開始時から変速制御終了時(=イナーシャ相の終了時)までの間、正の係合側の調整量βAPLを算出する(βAPL>0)。このため、変速制御を開始してからトルク相が始まるまでの間は、係合側の基準トルク分担率xAPL0が補正されないので、その基準トルク分担率xAPL0が係合側のトルク分担率xAPLに設定される。また、トルク相が始まってから変速制御が終わるまでの間は、係合側の基準トルク分担率xAPL0が高い値へと補正されるので、補正前の基準トルク分担率xAPL0に対して係合側のトルク分担率xAPLが高く設定される。その係合側の調整量βAPLは、トルク相の終了時(=イナーシャ相の開始時)まで、トルク相の開始と共に徐々に大きくすればよい。更に、変速制御終了時には、例えば、係合側の調整量βAPLを0にして、係合側のトルク分担率xAPLを補正前の基準トルク分担率xAPL0に応じた値へと戻してもよい。また、イナーシャ相の終了時から変速制御終了時までの間に時間がある場合、調整量算出部は、その間、正の係合側の調整量βAPLを算出する。
パワーオフダウンシフト制御の場合について説明する。
調整量算出部は、トルク相前の段階からトルク相が終わるまでの間、負の解放側の調整量βDRNを算出する(βDRN<0)。また、調整量算出部は、トルク相の終了時から変速制御終了時(=イナーシャ相の終了時)までの間、解放側の調整量βDRNを0にする。このため、変速制御を開始してからトルク相が終わるまでの間は、解放側の基準トルク分担率xDRN0が低い値へと補正されるので、補正前の基準トルク分担率xDRN0に対して解放側のトルク分担率xDRNが低く設定される。また、イナーシャ相が開始してから変速制御が終わるまでの間は、解放側の基準トルク分担率xDRN0が補正されないので、その基準トルク分担率xDRN0が解放側のトルク分担率xDRNに設定される。その解放側の調整量βDRNは、トルク相において、イナーシャ相の開始時(=トルク相の終了時)に0となるように、トルク相の開始と共に徐々に大きくすればよい。
一方、調整量算出部は、トルク相前の段階において、係合側の調整量βAPLを0にする。また、調整量算出部は、トルク相の開始時から変速制御終了時(=イナーシャ相の終了時)までの間、負の係合側の調整量βAPLを算出する(βAPL<0)。このため、変速制御を開始してからトルク相が始まるまでの間は、係合側の基準トルク分担率xAPL0が補正されないので、その基準トルク分担率xAPL0が係合側のトルク分担率xAPLに設定される。また、トルク相が始まってから変速制御が終わるまでの間は、係合側の基準トルク分担率xAPL0が低い値へと補正されるので、補正前の基準トルク分担率xAPL0に対して係合側のトルク分担率xAPLが低く設定される。その係合側の調整量βAPLは、トルク相の終了時(=イナーシャ相の開始時)まで、トルク相の開始と共に徐々に小さくすればよい。更に、変速制御終了時には、例えば、係合側の調整量βAPLを0にして、係合側のトルク分担率xAPLを補正前の基準トルク分担率xAPL0に応じた値へと戻してもよい。また、イナーシャ相の終了時から変速制御終了時までの間に時間がある場合、調整量算出部は、その間、負の係合側の調整量βAPLを算出する。
図4は、実角加速度αが目標角加速度αよりも大きくなっている場合(α>α)のパワーオンダウンシフト制御時とパワーオフアップシフト制御時の調整量βAPL,βDRNの一例である。
パワーオンダウンシフト制御の場合について説明する。
調整量算出部は、変速制御中、つまり変速制御開始時からトルク相の終了時(=変速制御終了時)までの間、正の解放側の調整量βDRNを算出する(βDRN>0)。また、調整量算出部は、トルク相の終了時に解放側の調整量βDRNを0にする。このため、変速制御中は、解放側の基準トルク分担率xDRN0が高い値へと補正されるので、補正前の基準トルク分担率xDRN0に対して解放側のトルク分担率xDRNが高く設定される。その解放側の調整量βDRNは、トルク相において、トルク相の終了時に0となるように、トルク相の開始と共に徐々に小さくすればよい。
一方、調整量算出部は、変速制御開始時からトルク相の開始時(=イナーシャ相の終了時)までの間、係合側の調整量βAPLを0にする。また、調整量算出部は、トルク相の開始時からトルク相の終了時(=変速制御終了時)までの間、正の係合側の調整量βAPLを算出する(βAPL>0)。このため、変速制御を開始してからトルク相が始まるまでの間は、係合側の基準トルク分担率xAPL0が補正されないので、その基準トルク分担率xAPL0が係合側のトルク分担率xAPLに設定される。また、トルク相が始まってから変速制御が終わるまでの間は、係合側の基準トルク分担率xAPL0が高い値へと補正されるので、補正前の基準トルク分担率xAPL0に対して係合側のトルク分担率xAPLが高く設定される。その係合側の調整量βAPLは、トルク相の終了時(=イナーシャ相の開始時)まで、トルク相の開始と共に徐々に大きくすればよい。更に、変速制御終了時には、例えば、係合側の調整量βAPLを0にして、係合側のトルク分担率xAPLを補正前の基準トルク分担率xAPL0に応じた値へと戻してもよい。また、トルク相の終了時から変速制御終了時までの間に時間がある場合、調整量算出部は、その間、正の係合側の調整量βAPLを算出する。
パワーオフアップシフト制御の場合について説明する。
調整量算出部は、変速制御中に、負の解放側の調整量βDRNを算出する(βDRN<0)。また、調整量算出部は、トルク相の終了時に解放側の調整量βDRNを0にする。このため、変速制御中は、解放側の基準トルク分担率xDRN0が低い値へと補正されるので、補正前の基準トルク分担率xDRN0に対して解放側のトルク分担率xDRNが低く設定される。その解放側の調整量βDRNは、トルク相において、トルク相の終了時に0となるように、トルク相の開始と共に徐々に小さくすればよい。
一方、調整量算出部は、変速制御開始時からトルク相の開始時(=イナーシャ相の終了時)までの間、係合側の調整量βAPLを0にする。また、調整量算出部は、トルク相の開始時からトルク相の終了時(=変速制御終了時)までの間、負の係合側の調整量βAPLを算出する(βAPL<0)。このため、変速制御を開始してからトルク相が始まるまでの間は、係合側の基準トルク分担率xAPL0が補正されないので、その基準トルク分担率xAPL0が係合側のトルク分担率xAPLに設定される。また、トルク相が始まってから変速制御が終わるまでの間は、係合側の基準トルク分担率xAPL0が低い値へと補正されるので、補正前の基準トルク分担率xAPL0に対して係合側のトルク分担率xAPLが低く設定される。その係合側の調整量βAPLは、トルク相の終了時(=イナーシャ相の開始時)まで、トルク相の開始と共に徐々に小さくすればよい。更に、変速制御終了時には、例えば、係合側の調整量βAPLを0にして、係合側のトルク分担率xAPLを補正前の基準トルク分担率xAPL0に応じた値へと戻してもよい。また、トルク相の終了時から変速制御終了時までの間に時間がある場合、調整量算出部は、その間、負の係合側の調整量βAPLを算出する。
図5は、実角加速度αが目標角加速度αよりも小さくなっている場合(α<α)のパワーオンアップシフト制御時とパワーオフダウンシフト制御時の調整量βAPL,βDRNの一例である。
パワーオンアップシフト制御の場合について説明する。
調整量算出部は、トルク相前の段階からトルク相が終わるまでの間、負の解放側の調整量βDRNを算出する(βDRN<0)。また、調整量算出部は、トルク相の終了時から変速制御終了時(=イナーシャ相の終了時)までの間、解放側の調整量βDRNを0にする。このため、変速制御を開始してからトルク相が終わるまでの間は、解放側の基準トルク分担率xDRN0が低い値へと補正されるので、補正前の基準トルク分担率xDRN0に対して解放側のトルク分担率xDRNが低く設定される。また、イナーシャ相が開始してから変速制御が終わるまでの間は、解放側の基準トルク分担率xDRN0が補正されないので、その基準トルク分担率xDRN0が解放側のトルク分担率xDRNに設定される。その解放側の調整量βDRNは、トルク相において、イナーシャ相の開始時(=トルク相の終了時)に0となるように、トルク相の開始と共に徐々に大きくすればよい。
一方、調整量算出部は、トルク相前の段階において、係合側の調整量βAPLを0にする。また、調整量算出部は、トルク相の開始時から変速制御終了時(=イナーシャ相の終了時)までの間、負の係合側の調整量βAPLを算出する(βAPL<0)。このため、変速制御を開始してからトルク相が始まるまでの間は、係合側の基準トルク分担率xAPL0が補正されないので、その基準トルク分担率xAPL0が係合側のトルク分担率xAPLに設定される。また、トルク相が始まってから変速制御が終わるまでの間は、係合側の基準トルク分担率xAPL0が低い値へと補正されるので、補正前の基準トルク分担率xAPL0に対して係合側のトルク分担率xAPLが低く設定される。その係合側の調整量βAPLは、トルク相の終了時(=イナーシャ相の開始時)まで、トルク相の開始と共に徐々に小さくすればよい。更に、変速制御終了時には、例えば、係合側の調整量βAPLを0にして、係合側のトルク分担率xAPLを補正前の基準トルク分担率xAPL0に応じた値へと戻してもよい。また、イナーシャ相の終了時から変速制御終了時までの間に時間がある場合、調整量算出部は、その間、負の係合側の調整量βAPLを算出する。
パワーオフダウンシフト制御の場合について説明する。
調整量算出部は、トルク相前の段階からトルク相が終わるまでの間、正の解放側の調整量βDRNを算出する(βDRN>0)。また、調整量算出部は、トルク相の終了時から変速制御終了時(=イナーシャ相の終了時)までの間、解放側の調整量βDRNを0にする。このため、変速制御を開始してからトルク相が終わるまでの間は、解放側の基準トルク分担率xDRN0が高い値へと補正されるので、補正前の基準トルク分担率xDRN0に対して解放側のトルク分担率xDRNが高く設定される。また、イナーシャ相が開始してから変速制御が終わるまでの間は、解放側の基準トルク分担率xDRN0が補正されないので、その基準トルク分担率xDRN0が解放側のトルク分担率xDRNに設定される。その解放側の調整量βDRNは、トルク相において、イナーシャ相の開始時(=トルク相の終了時)に0となるように、トルク相の開始と共に徐々に小さくすればよい。
一方、調整量算出部は、トルク相前の段階において、係合側の調整量βAPLを0にする。また、調整量算出部は、トルク相の開始時から変速制御終了時(=イナーシャ相の終了時)までの間、正の係合側の調整量βAPLを算出する(βAPL>0)。このため、変速制御を開始してからトルク相が始まるまでの間は、係合側の基準トルク分担率xAPL0が補正されないので、その基準トルク分担率xAPL0が係合側のトルク分担率xAPLに設定される。また、トルク相が始まってから変速制御が終わるまでの間は、係合側の基準トルク分担率xAPL0が高い値へと補正されるので、補正前の基準トルク分担率xAPL0に対して係合側のトルク分担率xAPLが高く設定される。その係合側の調整量βAPLは、トルク相の終了時(=イナーシャ相の開始時)まで、トルク相の開始と共に徐々に大きくすればよい。更に、変速制御終了時には、例えば、係合側の調整量βAPLを0にして、係合側のトルク分担率xAPLを補正前の基準トルク分担率xAPL0に応じた値へと戻してもよい。また、イナーシャ相の終了時から変速制御終了時までの間に時間がある場合、調整量算出部は、その間、負の係合側の調整量βAPLを算出する。
図6は、実角加速度αが目標角加速度αよりも小さくなっている場合(α<α)のパワーオンダウンシフト制御時とパワーオフアップシフト制御時の調整量βAPL,βDRNの一例である。
パワーオンダウンシフト制御の場合について説明する。
調整量算出部は、変速制御中に、負の解放側の調整量βDRNを算出する(βDRN<0)。また、調整量算出部は、トルク相の終了時に解放側の調整量βDRNを0にする。このため、変速制御中は、解放側の基準トルク分担率xDRN0が低い値へと補正されるので、補正前の基準トルク分担率xDRN0に対して解放側のトルク分担率xDRNが低く設定される。その解放側の調整量βDRNは、トルク相において、トルク相の終了時に0となるように、トルク相の開始と共に徐々に大きくすればよい。
一方、調整量算出部は、変速制御開始時からトルク相の開始時(=イナーシャ相の終了時)までの間、係合側の調整量βAPLを0にする。また、調整量算出部は、トルク相の開始時からトルク相の終了時(=変速制御終了時)までの間、負の係合側の調整量βAPLを算出する(βAPL<0)。このため、変速制御を開始してからトルク相が始まるまでの間は、係合側の基準トルク分担率xAPL0が補正されないので、その基準トルク分担率xAPL0が係合側のトルク分担率xAPLに設定される。また、トルク相が始まってから変速制御が終わるまでの間は、係合側の基準トルク分担率xAPL0が低い値へと補正されるので、補正前の基準トルク分担率xAPL0に対して係合側のトルク分担率xAPLが低く設定される。その係合側の調整量βAPLは、トルク相の終了時(=イナーシャ相の開始時)まで、トルク相の開始と共に徐々に小さくすればよい。更に、変速制御終了時には、例えば、係合側の調整量βAPLを0にして、係合側のトルク分担率xAPLを補正前の基準トルク分担率xAPL0に応じた値へと戻してもよい。また、トルク相の終了時から変速制御終了時までの間に時間がある場合、調整量算出部は、その間、負の係合側の調整量βAPLを算出する。
パワーオフアップシフト制御の場合について説明する。
調整量算出部は、変速制御中に、正の解放側の調整量βDRNを算出する(βDRN>0)。また、調整量算出部は、トルク相の終了時に解放側の調整量βDRNを0にする。このため、変速制御中は、解放側の基準トルク分担率xDRN0が高い値へと補正されるので、補正前の基準トルク分担率xDRN0に対して解放側のトルク分担率xDRNが高く設定される。その解放側の調整量βDRNは、トルク相において、トルク相の終了時に0となるように、トルク相の開始と共に徐々に大きくすればよい。
一方、調整量算出部は、変速制御開始時からトルク相の開始時(=イナーシャ相の終了時)までの間、係合側の調整量βAPLを0にする。また、調整量算出部は、トルク相の開始時からトルク相の終了時(=変速制御終了時)までの間、正の係合側の調整量βAPLを算出する(βAPL>0)。このため、変速制御を開始してからトルク相が始まるまでの間は、係合側の基準トルク分担率xAPL0が補正されないので、その基準トルク分担率xAPL0が係合側のトルク分担率xAPLに設定される。また、トルク相が始まってから変速制御が終わるまでの間は、係合側の基準トルク分担率xAPL0が高い値へと補正されるので、補正前の基準トルク分担率xAPL0に対して係合側のトルク分担率xAPLが高く設定される。その係合側の調整量βAPLは、トルク相の終了時(=イナーシャ相の開始時)まで、トルク相の開始と共に徐々に大きくすればよい。更に、変速制御終了時には、例えば、係合側の調整量βAPLを0にして、係合側のトルク分担率xAPLを補正前の基準トルク分担率xAPL0に応じた値へと戻してもよい。また、トルク相の終了時から変速制御終了時までの間に時間がある場合、調整量算出部は、その間、正の係合側の調整量βAPLを算出する。
尚、補正後のトルク分担率xAPL,xDRNの和は、必ずしも100%になるとは限らない。
図7は、本実施例の変速制御装置の演算処理動作について説明するフローチャートである。その演算処理動作においては、変速制御中の全工程に関する制御操作量を一括して算出するものであってもよく、変速制御中の変速進行度(変速制御開始からの経過時間)毎に制御操作量を算出するものであってもよい。以下の例示では、後者の演算処理動作を説明する。
トルク分担率算出部は、自動変速機10が変速制御中であるのか否かを判定する(ステップST1)。トルク分担率算出部は、変速制御中ではない場合、この演算処理を一旦終わらせる。
変速制御中の場合、トルク分担率算出部は、入力軸11の実角加速度αが目標角加速度αに制御されているのか否かを判定する(ステップST2)。自動変速機10には、入力軸11の回転角を検出する回転角センサ41が設けられている。このため、トルク分担率算出部は、その判定に際して、回転角センサ41の検出信号から得られた入力軸11の角速度ωの時間微分値(実角加速度α)を求める。
実角加速度αが目標角加速度αに制御されていない場合(α≠α)、調整量算出部は、図3から図6の説明で示した調整量βAPL,βDRNに基づいて、入力軸11の回転数差ΔNinの正負と変速パターンと変速進行度に応じた調整量βAPL,βDRNを算出する(ステップST3)。
一方、実角加速度αが目標角加速度αに制御されている場合(α=α)、調整量算出部は、調整量βAPL,βDRNを共に0に設定する(ステップST4)。
トルク分担率算出部は、ステップST3又はステップST4で決められた調整量βAPL,βDRNを上記の式1と式2にそれぞれ代入して、その式に応じたトルク分担率xAPL,xDRNを算出する(ステップST5)。
また、変速目標値算出部は、この変速制御の変速目標値(入力軸11の目標角加速度α、出力軸12の目標出力トルクTout)を算出する(ステップST6)。
制御操作量算出部は、変速モデル(ギヤトレーン運動方程式)と変速目標値とステップST5で求めたトルク分担率xAPL,xDRNとに基づいて、制御操作量(入力軸11の要求入力トルクTinreq、係合側の係合装置21Aの要求トルク容量Tcbapl−req及び解放側の係合装置21Bの要求トルク容量Tcbdrn−req)を算出する(ステップST7)。
変速制御部は、その制御操作量に基づいて、係合装置21(係合側の係合装置21Aと解放側の係合装置21B)のトルク容量を制御すると共に、動力源ECU110の出力制御部に動力源100の出力制御を実施させる(ステップST8)。
図8から図11は、その演算処理に伴うトルク分担率xAPL,xDRN等の変化を示すタイムチャートである。これらのタイムチャートでは、入力軸11の実際の回転数(実回転数)Ninと、入力軸11の実角加速度αと、出力軸12の実際の出力トルク(実出力トルク)Toutと、係合側のトルク分担率xAPLと、解放側のトルク分担率xDRNと、係合側の係合装置21Aの要求トルク容量Tcbapl−reqと、解放側の係合装置21Bの要求トルク容量Tcbdrn−reqと、を示している。そのトルク分担率xAPL,xDRNについては、要求値と実際の値とを示している。尚、補正したトルク分担率xAPL,xDRNについては、比較のために、基準トルク分担率xAPL0,xDRN0についても併記している。また、補正した要求トルク容量Tcbapl−req,Tcbdrn−reqについては、比較のために、基準トルク分担率xAPL0,xDRN0に応じた補正前の要求トルク容量Tcbapl−req,Tcbdrn−reqについても併記している。
図8は、実角加速度αが目標角加速度αよりも小さくなっている場合(α<α)のパワーオンアップシフト制御時のタイムチャートの一例である。このときには、図5に示す調整量βAPL,βDRNに基づいて基準トルク分担率xAPL0,xDRN0が補正される。このため、変速制御が始まってからトルク相が終わるまでの間は、解放側のトルク分担率xDRNが低くなり、解放側の係合装置21Bの要求トルク容量Tcbdrn−reqが減少側に補正される。その要求トルク容量Tcbdrn−reqは、イナーシャ相において0になる。また、トルク相が始まってから変速制御が終了するまでの間は、係合側のトルク分担率xAPLが低くなり、係合側の係合装置21Aの要求トルク容量Tcbapl−reqが減少側に補正される。よって、この自動変速機10においては、パワーオンアップシフトの変速制御中に入力軸11の実角加速度αが目標角加速度αに制御されるので、変速制御中の変速ショックを低く抑えることができる。
図9は、実角加速度αが目標角加速度αよりも小さくなっている場合(α<α)のパワーオフダウンシフト制御時のタイムチャートの一例である。このときには、図5に示す調整量βAPL,βDRNに基づいて基準トルク分担率xAPL0,xDRN0が補正される。このため、変速制御が始まってからトルク相が終わるまでの間は、解放側のトルク分担率xDRNが高くなり、解放側の係合装置21Bの要求トルク容量Tcbdrn−reqが増加側に補正される。その要求トルク容量Tcbdrn−reqは、イナーシャ相において0になる。また、トルク相が始まってから変速制御が終了するまでの間は、係合側のトルク分担率xAPLが高くなり、係合側の係合装置21Aの要求トルク容量Tcbapl−reqが増加側に補正される。よって、この自動変速機10においては、パワーオフダウンシフトの変速制御中に入力軸11の実角加速度αが目標角加速度αに制御されるので、変速制御中の変速ショックを低く抑えることができる。
図10は、実角加速度αが目標角加速度αよりも小さくなっている場合(α<α)のパワーオンダウンシフト制御時のタイムチャートの一例である。このときには、図6に示す調整量βAPL,βDRNに基づいて基準トルク分担率xAPL0,xDRN0が補正される。このため、変速制御中は、解放側のトルク分担率xDRNが低くなり、解放側の係合装置21Bの要求トルク容量Tcbdrn−reqが減少側に補正される。その要求トルク容量Tcbdrn−reqは、トルク相の終了時(=変速制御終了時)に0になる。また、トルク相においては、係合側のトルク分担率xAPLが低くなり、係合側の係合装置21Aの要求トルク容量Tcbapl−reqが減少側に補正される。よって、この自動変速機10においては、パワーオンダウンシフトの変速制御中に入力軸11の実角加速度αが目標角加速度αに制御されるので、変速制御中の変速ショックを低く抑えることができる。
図11は、実角加速度αが目標角加速度αよりも小さくなっている場合(α<α)のパワーオフアップシフト制御時のタイムチャートの一例である。このときには、図6に示す調整量βAPL,βDRNに基づいて基準トルク分担率xAPL0,xDRN0が補正される。このため、変速制御中は、解放側のトルク分担率xDRNが高くなり、解放側の係合装置21Bの要求トルク容量Tcbdrn−reqが増加側に補正される。その要求トルク容量Tcbdrn−reqは、トルク相の終了時(=変速制御終了時)に0になる。また、トルク相においては、係合側のトルク分担率xAPLが高くなり、係合側の係合装置21Aの要求トルク容量Tcbapl−reqが増加側に補正される。よって、この自動変速機10においては、パワーオフアップシフトの変速制御中に入力軸11の実角加速度αが目標角加速度αに制御されるので、変速制御中の変速ショックを低く抑えることができる。
このように、本実施例の変速制御装置は、変速制御中の入力軸11の実角加速度αと目標角加速度αとの間に差が生じている場合、その変速制御における係合側の基準トルク分担率xAPL0と解放側の基準トルク分担率xDRN0の内の少なくとも一方を補正することによって、係合側の係合装置21Aと解放側の係合装置21Bの内の少なくとも一方の要求トルク容量を補正することができる。このため、この変速制御装置においては、その補正の対象となった係合装置21の実際のトルク容量(つまり実際の伝達トルク)が要求トルク容量に近づくように又は要求トルク容量に補正され、入力軸11の実角加速度αを目標角加速度αに近づくように又は目標角加速度αに補正することができる。よって、この変速制御装置は、変速ショックを低く抑えることができる。
[変形例1]
前述した実施例の変速制御装置では、基準トルク分担率xAPL0,xDRN0の内の何れか一方を補正する際に、係合側の係合装置21Aと解放側の係合装置21Bの内のどちらを補正の対象とするのか特に定めていない。このため、実施例では、入力軸11の実角加速度αの調整に対する寄与度の低い係合装置21のトルク分担率を補正する場合があり、この場合、変速ショックの抑制効果が小さくなっている可能性がある。
そこで、本変形例の変速制御装置は、実角加速度αの調整に対する寄与度の高い係合装置21を基準トルク分担率の補正の対象とする。
ここで、実角加速度αの調整に対する寄与度の高い係合装置21とは、係合側の係合装置21Aと解放側の係合装置21Bの内で、基準トルク分担率xAPL0,xDRN0が高く設定されている方のことである。このため、本変形例の変速制御装置では、係合側の係合装置21Aと解放側の係合装置21Bの内、現在の基準トルク分担率xAPL0,xDRN0が高い方を補正の対象とする。
図12は、本変形例の変速制御装置の演算処理動作について説明するフローチャートである。その演算処理動作においては、変速制御中の全工程に関する制御操作量を一括して算出するものであってもよく、変速制御中の変速進行度(変速制御開始からの経過時間)毎に制御操作量を算出するものであってもよい。以下の例示では、後者の演算処理動作を説明する。尚、ここでは、便宜上、図7のフローチャートと同じ演算処理が行われる工程(ST〜)の説明を省略する。
ステップST2で変速制御中に実角加速度αが目標角加速度αに制御されていないと判定された場合(α≠α)、調整量算出部は、現在の係合側の基準トルク分担率xAPL0と現在の解放側の基準トルク分担率xDRN0とを比較する(ステップST11)。ここでは、係合側の基準トルク分担率xAPL0が解放側の基準トルク分担率xDRN0以上に設定されているのか否かを判定している。その比較には、例えば、要求値として設定された基準トルク分担率xAPL0,xDRN0を用いればよい。
調整量算出部は、係合側の基準トルク分担率xAPL0が解放側の基準トルク分担率xDRN0以上に設定されていると判定した場合、係合側の基準トルク分担率xAPL0を補正するべく、係合側の調整量βAPLを現状の変速制御の変速パターンに応じて算出すると共に、解放側の調整量βDRNを0に設定する(ステップST12)。
これに対して、調整量算出部は、係合側の基準トルク分担率xAPL0が解放側の基準トルク分担率xDRN0より低く設定されていると判定した場合、解放側の基準トルク分担率xDRN0を補正するべく、解放側の調整量βDRNを現状の変速制御の変速パターンに応じて算出すると共に、係合側の調整量βAPLを0に設定する(ステップST13)。
この変速制御装置においては、ステップST5に進み、ステップST4、ステップST12又はステップST13で決められた調整量βAPL,βDRNを上記の式1と式2にそれぞれ代入して、トルク分担率xAPL,xDRNを算出する。そして、この変速制御装置は、これ以降、図7と同じ演算処理を行いつつ、変速制御を進める。
図13は、その演算処理に伴う基準トルク分担率xAPL0,xDRN0等の変化を示すタイムチャートの一例である。この図13は、実角加速度αが目標角加速度αよりも大きくなっている場合(α>α)のパワーオンアップシフト制御時のタイムチャートの一例である。このときの調整量βAPL,βDRNは、図3の例示を基にして算出する。変速制御が始まってからトルク相で基準トルク分担率xAPL0,xDRN0が一致するまでの間(厳密には補正前の基準トルク分担率xAPL0,xDRN0が一致するまでの間)は、解放側の基準トルク分担率xDRN0の方が係合側の基準トルク分担率xAPL0よりも高くなっているので(厳密には補正前の解放側の基準トルク分担率xDRN0の方が補正前の係合側の基準トルク分担率xAPL0よりも高くなっているので)、解放側の基準トルク分担率xDRN0を高い値に補正し、かつ、係合側の基準トルク分担率xAPL0を補正しない。このため、この間は、解放側の係合装置21Bの要求トルク容量Tcbdrn−reqが増加側に補正される。トルク相で基準トルク分担率xAPL0,xDRN0が一致してから変速制御が終了するまでの間は、係合側の基準トルク分担率xAPL0の方が解放側の基準トルク分担率xDRN0よりも高くなっているので、係合側の基準トルク分担率xAPL0を高い値に補正し、かつ、解放側の基準トルク分担率xDRN0を補正しない。このため、この間は、係合側の係合装置21Aの要求トルク容量Tcbapl−reqが増加側に補正される。よって、この自動変速機10においては、パワーオンアップシフトの変速制御中に入力軸11の実角加速度αが目標角加速度αに制御されるので、変速制御中の変速ショックを低く抑えることができる。
このように、本実施例の変速制御装置は、変速制御中の入力軸11の実角加速度αと目標角加速度αとの間に差が生じている場合、その変速制御における現在の係合側の基準トルク分担率xAPL0と現在の解放側の基準トルク分担率xDRN0の内、高く設定されている方を補正して、その補正の対象となった係合装置21の要求トルク容量を補正する。つまり、本実施例の変速制御装置では、実角加速度αの調整に対する寄与度の高い係合装置21の基準トルク分担率を補正する。このため、この変速制御装置は、低く設定されている基準トルク分担率を補正した場合と比べて、入力軸11の実角加速度αと目標角加速度αとの間の差を縮め易いので、変速ショックの抑制効果を高めることができる。
[変形例2]
係合装置21は、そのトルク容量が油圧によって制御されるので、制御指令を出力してからトルク容量が当該制御指令に応じた大きさとなるまでに、無駄時間(応答遅れ)が存在している可能性がある。そして、このような場合には、前述した変形例1の変速制御装置のように補正対象を決めてトルク分担率の補正を行ったとしても、変速ショックの抑制効果が少なくなってしまう可能性がある。
そこで、本変形例の変速制御装置は、係合側の係合装置21Aと解放側の係合装置21Bのそれぞれの無駄時間を予測し、この無駄時間を考慮した上で現在の基準トルク分担率xAPL0,xDRN0を推定する。そして、この変速制御装置は、その推定した現在の基準トルク分担率xAPL0,xDRN0を比較し、数値の高い方の係合装置21を基準トルク分担率xAPL0,xDRN0の補正対象とする。
図14は、本変形例の変速制御装置の演算処理動作について説明するフローチャートである。その演算処理動作においては、変速制御中の全工程に関する制御操作量を一括して算出するものであってもよく、変速制御中の変速進行度(変速制御開始からの経過時間)毎に制御操作量を算出するものであってもよい。以下の例示では、後者の演算処理動作を説明する。尚、ここでは、便宜上、図7や図12のフローチャートと同じ演算処理が行われる工程(ST〜)の説明を省略する。
ステップST2で変速制御中に実角加速度αが目標角加速度αに制御されていないと判定された場合(α≠α)、調整量算出部は、係合側の係合装置21Aと解放側の係合装置21Bのそれぞれの無駄時間を取得する(ステップST21)。この無駄時間は、この演算処理を行う度に予測してもよいが、予め予測しておいたものを読み込ませることが望ましい。例えば、変速機ECU1の記憶装置(図示略)には、自動変速機10の油温と係合装置21の無駄時間との対応関係を示すマップ(図15)を係合装置21毎に用意しておく。そのマップは、予め行った実験やシミュレーションに基づいて導出してもよく、又は、設計的に導出してもよい。無駄時間は、自動変速機10の油温の高くなるほど短くなる。自動変速機10の油温が高くなったときには、ミッションオイルの粘度が低温時よりも低下するからである。ステップST21においては、油温センサ42で検出した自動変速機10の油温に対応する係合装置21の無駄時間をマップから読み込む。
調整量算出部は、それぞれの無駄時間に基づいて現在の基準トルク分担率xAPL0,xDRN0を推定する(ステップST22)。このステップST22では、要求値として設定された基準トルク分担率xAPL0,xDRN0を無駄時間分遅らせた値となるように算出し、これらを現在の基準トルク分担率xAPL0,xDRN0として推定する。
調整量算出部は、ステップST11に進み、そのようにして推定された現在の係合側の基準トルク分担率xAPL0と現在の解放側の基準トルク分担率xDRN0とを比較して、ステップST12又はステップST13で調整量βAPL,βDRNを決める。変速制御装置は、これ以降、図12と同じ演算処理を行いつつ、変速制御を進める。
このように、本実施例の変速制御装置は、変速制御中の入力軸11の実角加速度αと目標角加速度αとの間に差が生じている場合、無駄時間を考慮に入れた現在の係合側の基準トルク分担率xAPL0と現在の解放側の基準トルク分担率xDRN0の内、高く設定されている方を補正して、その補正の対象となった係合装置21の要求トルク容量を補正する。つまり、本実施例の変速制御装置では、係合装置21の無駄時間を考慮に入れた上で、実角加速度αの調整に対する寄与度の高い係合装置21の基準トルク分担率を補正する。このため、この変速制御装置は、無駄時間を考慮していない場合と比べて、入力軸11の実角加速度αと目標角加速度αとの間の差をより縮め易いので、変速ショックの抑制効果を更に高めることができる。
[変形例3]
基準トルク分担率xAPL0,xDRN0を過度に補正した場合には、却って変速ショックを悪化させてしまう可能性がある。そこで、本変形例の変速制御装置は、前述した実施例や変形例1,2の変速制御装置において、調整量βAPL,βDRNを算出する際に入力軸11の実角加速度αと目標角加速度αとの差を考慮して、基準トルク分担率xAPL0,xDRN0の過度の補正を抑える。
例えば、調整量算出部は、図16のマップに基づいて、入力軸11の実角加速度αと目標角加速度αとの差αの絶対値に応じた調整量βAPL,βDRNの補正量βco(>0)を算出する。そして、調整量算出部は、その補正量βcoを調整量βAPL,βDRNから減算し、補正後の調整量βAPL,βDRNを用いて基準トルク分担率xAPL0,xDRN0の補正を行う。
そのマップは、その差αの絶対値が所定値α1以下の場合、補正量βcoを0にして、調整量βAPL,βDRNの補正が行われないようにするものである。一方、このマップは、その差αの絶対値が所定値α1よりも大きい場合、その差αの絶対値が大きくなるほど、補正量βcoを大きくして、調整量βAPL,βDRNが小さくなるようにするものである。よって、本変形例の変速制御装置は、入力軸11の実角加速度αと目標角加速度αとの差が広がるほど、調整量βAPL,βDRNが小さくなり、基準トルク分担率xAPL0,xDRN0の過度の補正を抑えることができるので、基準トルク分担率xAPL0,xDRN0の補正に伴い変速ショックが悪化するという事態を回避することができる。尚、そのマップは、係合装置21毎に用意する。
ここで、係合装置21は、前述した経年変化等によって、実際のトルク容量が要求トルク容量に対してばらついてしまうことがある。そして、そのばらつきが大きい場合には、補正量βcoにずれが生じ、調整量βAPL,βDRNを誤補正してしまう可能性がある。このため、調整量算出部には、変速制御を実施する度に入力軸11の実角加速度αと目標角加速度αとの差αの絶対値を求めさせ、複数回の変速制御における当該差αの絶対値の平均値を算出させる。そして、この調整量算出部には、その平均値と図16のマップに基づいて補正量βcoを算出させる。これにより、本変形例の変速制御装置は、係合装置21のトルク容量のばらつきに起因する調整量βAPL,βDRNの誤補正を抑えることができ、精度の高い基準トルク分担率xAPL0,xDRN0の補正が可能になるので、より適切に変速ショックの悪化を回避することができる。
また、その補正量βcoによる調整量βAPL,βDRNの補正は、変速の過渡期に実施した場合、係合装置21の要求トルク容量を急変させ、変速ショックを悪化させてしまう可能性がある。このため、その補正量βcoを反映させた調整量βAPL,βDRNは、補正量βcoが算出された変速制御を終えた後、つまり次回の変速制御で用いることが望ましい。これにより、本変形例の変速制御装置は、変速の過渡期の要求トルク容量の急変を回避することができるので、変速ショックの悪化を抑えることができる。
[変形例4]
前述した実施例や変形例1−3の変速制御装置においては、係合装置21の状態(経年変化等)、変速パターンや変速進行度等の自動変速機10の状態を表すパラメータに応じて、調整量βAPL,βDRNを設定している。但し、自動変速機10の状態を表すパラメータとしては、これらの他に、自動変速機10の油温、アクセル開度(又はスロットル開度)、動力源100の出力トルク、車速等が存在している。
そこで、調整量算出部には、例えば、その複数の自動変速機10の状態を表すパラメータの中から適宜組み合わせを設定し、その設定されたパラメータに応じて調整量βAPL,βDRNを算出させてもよい。これにより、本変形例の変速制御装置は、自動変速機10の状態に応じた精度の高いトルク分担率xAPL,xDRNを求めることができるので、変速ショックをより低く抑えることができるようになる。
[変形例5]
前述した実施例や変形例1−4の変速制御装置においては、変速制御の途中で目標変速段が変わらないものとして説明している。しかし、変速制御の形態としては、変速制御の途中で目標変速段が変化してしまう多重変速制御が存在する。本変形例では、その多重変速制御について説明する。
図17は、その多重変速制御の一例を示したタイムチャートである。このタイムチャートは、入力軸11の実角加速度αが目標角加速度αよりも大きくなっている場合(α>α)であり、n速からn+1速へのパワーオンアップシフト制御の途中(トルク相)でn−1速へのパワーオンダウンシフト制御に変更されたものを示している。この例示の多重変速制御において、n速で係合状態になっている係合装置21は、n+1速とn−1速とで解放されるので、解放側の係合装置21Bとなる。一方、n速で解放状態になっている係合装置21は、n+1速とn−1速とで係合されるので、係合側の係合装置21Aとなる。
パワーオンアップシフト制御中は、図3に示す調整量βAPL,βDRNに基づいて基準トルク分担率xAPL0,xDRN0が補正される。パワーオンダウンシフト制御中は、図4に示す調整量βAPL,βDRNに基づいて基準トルク分担率xAPL0,xDRN0が補正される。
パワーオンアップシフト制御においてパワーオンダウンシフト要求が検出されるまでの間は、解放側の基準トルク分担率xDRN0が高くなり、補正前の基準トルク分担率xDRN0が適用された場合と比較して、解放側の係合装置21Bの要求トルク容量Tcbdrn−reqが増加側に補正される。一方、係合側のトルク分担率xAPLは、パワーオンアップシフト制御のトルク相に入ってから基準トルク分担率xAPL0を増加させる。このため、そのトルク相では、補正前の基準トルク分担率xAPL0が適用された場合と比較して、係合側の係合装置21Aの要求トルク容量Tcbapl−reqが増加側に補正される。
解放側の基準トルク分担率xDRN0は、パワーオンダウンシフト要求後のイナーシャ相において、パワーオンアップシフト制御のために減少させられていた値からn速の値にまで増加し、そのn速の値のまま保持される。このため、そのイナーシャ相における解放側の基準トルク分担率xDRN0は、補正前の基準トルク分担率xDRN0の変化に沿いつつ、この補正前の基準トルク分担率xDRN0よりも高い値に補正される。よって、このイナーシャ相においては、補正前の基準トルク分担率xDRN0が適用された場合と比較して、解放側の係合装置21Bの要求トルク容量Tcbdrn−reqが増加側に補正される。一方、係合側の基準トルク分担率xAPL0は、そのイナーシャ相において、パワーオンアップシフト制御のために増加させられていた値からn速の値にまで減少し、そのn速の値のまま保持される。このため、そのイナーシャ相においては、係合側の基準トルク分担率xAPL0が補正前の基準トルク分担率xAPL0に戻るので、増加側に補正されていた係合側の係合装置21Aの要求トルク容量Tcbapl−reqが補正前の基準トルク分担率xAPL0に応じた大きさになる。
パワーオンダウンシフト制御のトルク相において、解放側の基準トルク分担率xDRN0は、トルク相の終了時(=変速制御終了時)に補正前の基準トルク分担率xDRN0となるように、補正前の基準トルク分担率xDRN0よりも高い状態を保ちつつ、徐々に補正前の基準トルク分担率xDRN0との差を縮めていく。このトルク相においては、補正前の基準トルク分担率xDRN0が適用された場合と比較して、解放側の係合装置21Bの要求トルク容量Tcbdrn−reqが増加側に補正される。その要求トルク容量Tcbdrn−reqは、トルク相の終了時(=変速制御終了時)に0になる。一方、このトルク相においては、係合側の基準トルク分担率xAPL0が高くなり、補正前の基準トルク分担率xAPL0が適用された場合と比較して、係合側の係合装置21Aの要求トルク容量Tcbapl−reqが増加側に補正される。その基準トルク分担率xAPL0は、トルク相の終了時(=変速制御終了時)に補正前の基準トルク分担率xAPL0に戻る。
本変形例の変速制御装置は、このような多重変速制御中であっても、入力軸11の実角加速度αを目標角加速度αに制御することができるので、多重変速制御中の変速ショックを低く抑えることができる。
1 変速機ECU
10 自動変速機
11 入力軸
12 出力軸
21 係合装置
41 回転角センサ
42 油温センサ
BK1 第1ブレーキ(係合装置)
BK2 第2ブレーキ(係合装置)
BK3 第3ブレーキ(係合装置)
CL1 第1クラッチ(係合装置)
CL2 第2クラッチ(係合装置)

Claims (3)

  1. 動力源の動力が入力される入力側回転部材と変速後の動力を出力する出力側回転部材との間に配置された複数の係合装置を目標変速段に応じて係合又は解放させる変速制御の実施に際して、該変速制御の変速目標値と当該変速目標値を実現させる制御操作量との対応関係と、複数の前記係合装置の内の前記変速制御における前記入力側回転部材の要求入力トルクを受け持つ係合側の係合装置と解放側の係合装置のそれぞれの基準トルク分担率と、が示された変速モデルを用いる自動変速機の変速制御装置において、
    前記変速目標値としての前記入力側回転部材の目標角加速度と前記出力側回転部材の目標出力トルクとを算出し、かつ、前記変速モデルに基づいて前記制御操作量としての前記入力側回転部材の要求入力トルクと前記係合側の係合装置の要求トルク容量と前記解放側の係合装置の要求トルク容量とを算出して、前記変速制御を行う制御部を設け、
    前記制御部は、前記変速制御中に前記入力側回転部材の実際の角加速度と当該入力側回転部材の前記目標角加速度との間に差が生じている場合、該差の正負と変速パターンとに基づいて、前記実際の角加速度が前記目標角加速度に近づくように、前記変速制御における前記係合側の係合装置の基準トルク分担率と前記解放側の係合装置の基準トルク分担率の内の少なくとも一方を補正することを特徴とした自動変速機の変速制御装置。
  2. 前記制御部は、前記係合側の係合装置と前記解放側の係合装置の内、現在の基準トルク分担率が高い方を基準トルク分担率の補正対象とすることを特徴とした請求項1に記載の自動変速機の変速制御装置。
  3. 前記制御部は、前記差と前記変速パターンに加えて、前記変速制御の変速進行度に基づいて前記基準トルク分担率の補正を行うことを特徴とした請求項1又は2に記載の自動変速機の変速制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018132152A (ja) * 2017-02-16 2018-08-23 トヨタ自動車株式会社 車両の制御装置

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