JP2016033475A - 感圧シート、及び、検知装置 - Google Patents

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貴智 片山
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Abstract

【課題】廃棄及びリサイクルを容易にすることが可能であると共に、耐久性に優れ対象物を傷つける可能性を軽減することが可能である。
【解決手段】光の減衰に基づいて対象物を検知する感圧シート101であって、対象物により外力が付与される検知面20を有した有機材料製のシート部材10と、検知面20と共に変形するように設けられた有機材料製の光ファイバ11とを有する。感圧シート101は、外力の付与により光ファイバ11の一部に検知面20の変形よりも大きい曲率の変形を生じさせる線形部材12を有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、光の減衰に基づいて対象物を検知する感圧シート、及び、これを用いた検知装置に関する。
従来、光ファイバを用いて対象物の動作を検知するセンサとして、特許文献1のようなものがある。特許文献1には、光ファイバが配されたセンサシートと、光ファイバの一端から光ファイバに所定のパワーの光を入力する光源手段と、光ファイバの他端から出力される光の状態変化に基づいてセンサシート上での対象物の動きを検知する検知手段とを有るセンサシステムが開示されている。
特開2006−127467号公報
しかしながら、上記従来の構成において、光ファイバはガラス製のものが一般的であった。そのため、センサシートの廃棄が及びリサイクルにコストが増加し、センサシート自体の価格が上昇する結果となっていた。また、ガラス製の光ファイバは破損し易いうえに破損個所が鋭利になり易く、検知対象を傷つけてしまう虞があった。
本発明は、上記の問題を鑑みてされたものであり、廃棄及びリサイクルを容易にすることが可能であると共に、耐久性に優れ対象物を傷つける可能性を軽減することが可能な感圧シート、及び、検知装置を提供することを目的とする。
本発明は、光の減衰に基づいて対象物を検知する感圧シートであって、前記対象物により外力が付与される検知面を有した有機材料製のシート部材と、前記検知面と共に変形するように設けられた有機材料製の光ファイバとを有すると共に、前記外力の付与により光ファイバの一部に前記検知面の変形よりも大きい曲率の変形を生じさせる構成を有している。
上記の構成によれば、シート部材の検知面に対して対象物から外力が付与されると、検知面の変形と共に光ファイバが撓むことになる。これにより、光ファイバに光が導通されると、光ファイバの変形量に応じた減衰量や減衰率で光が減衰することから、光の減衰量や減衰率を閾値と比較することによりシート部材に外力を付与した対象物を検知することできる。また、対象物からの外力の大きさに応じて光ファイバの変形量が変化して光の減衰量が変化するため、感圧シートに対する外力の大きさを測定することができる。そして、このように構成された感圧シートは、シート部材及び光ファイバが有機材料製であるため、シート部材や光ファイバが無機材料製の場合よりも、廃棄及びリサイクルが容易であると共に、大きな変形や衝撃に対して破損し難いため、耐久性に優れている。また、大きな変形や衝撃に対して破損し難いため、感圧シートの破損個所が対象物を傷つけることを防止できる。さらに、光ファイバが外力の付与により検知面の変形よりも大きい曲率の変形を生じるため、外力の付与に対する光ファイバの局所的な変形量が増加するため、感圧シートの検出感度を向上させることができる。
また、本発明の感圧シートにおいて、前記シート部材の少なくとも一部は、不織布で形成されていてもよい。
上記の構成によれば、シート部材における不織布で形成された部位が不織布の連通孔により通気性を有することによって、例えばベッド上に感圧シートを敷いたときに、ベッドに横たわった身体から放出された汗が感圧シートで遮られて蒸れてしまうという現象を防止することができる。
また、本発明の感圧シートにおいて、前記シート部材の少なくとも一部は、糸状部材で形成されており、当該糸状部材が前記光ファイバの一部に偏在されていると共に前記光ファイバを固定するように配置されていてもよい。
上記の構成によれば、シート部材における糸状部材で形成された部位が糸状部材間の連通孔により通気性を有すると共に、偏在された糸状部材により光ファイバの一部が他の部位よりも大きな変形量で変形し易いため、小さな外力であっても、大きく光を減衰させることが可能になることから、感知性能を向上させることができる。
また、本発明の前記感圧シートは、前記光ファイバに沿って設けられた樹脂層を有していてもよい。
上記の構成によれば、樹脂層により光ファイバにさらに弾性力を備えさせることができるため、外力により変形しても、外力が無くなれば元の状態、即ち、初期状態に復帰する性能を向上することができる。これにより、さらに繰り返して使用することが可能になる。
また、本発明の前記感圧シートは、前記光ファイバの端部に接続された有機材料製の光コネクタを有していてもよい。
上記の構成によれば、リサイクル性を損なわずに、光ファイバとの接続を容易に行うことができる。
また、本発明の検知装置は、上記に記載の感圧シートと、前記感圧シートにおける前記光ファイバに前記光を導通させる光出射機構と、前記光ファイバを導通した前記光の減衰の程度を検知する光検知機構と、前記光の減衰の程度に基づいて前記対象物の状態を判定する判定機構とを有する。
廃棄及びリサイクルを容易にすることが可能であると共に、耐久性に優れ対象物を傷つける可能性を軽減することが可能である。
感圧シートの説明図である。 感圧シートの曲折状態を示す説明図である。 検知装置の説明図である。 感圧シートの使用状態を示す説明図である。 本実施形態の変形例に係る感圧シートの説明図である。 本実施形態の変形例に係る光ファイバの説明図である。 本実施形態の変形例に係る光ファイバの説明図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
(感圧シート)
本発明の実施形態に係る感圧シートは、光の減衰に基づいて対象物を検知するものであり、すべてが有機材料で形成されている。本発明の感圧シートは、当該感圧シートにかかる力の有無の検知、または、当該感圧シートにかかる力の大きさを測定する用途に応用できる。具体的には、離床センサ、防爆スイッチ、無呼吸状態の検知、荷重計等の種々の用途に適用可能である。また、感圧シートは有機材料製であり錆等による劣化が無く、さらに電気方式を用いず光学方式のみで実現可能であるため漏電の心配がない。これにより、特に液体が介在する状態においても対象物を検知することが可能である。図1に示すように、感圧シート1は、対象物により外力が付与される検知面20を有した有機材料製のシート部材10(シート層10a・10b)と、検知面20と共に変形するように設けられた有機材料製の光ファイバ11とを有する。
ここで、「対象物による外力」とは、感圧シート1に対して検知面20を変形させる応力を付与するものであれば特に限定されない。例えば、対象物が感圧シート1上に位置し、対象物の重さによって感圧シート1へ応力を付与するものであってもよい。また、対象物の変形に応じて感圧シート1が変形することにより、感圧シート1に応力が発生するものであってもよい。また、対象物が感圧シート1へ間接的に応力を付与するものであってもよい。「対象物により外力が付与される検知面」とは、図1に示すようにシート部材10の一方の面のみであってもよいし、シート部材10の両面であってもよい。また、シート部材10の面の一部を示すものであってもよい。また、「検知面と共に変形する」とは、検知面の変形に光ファイバが追従することに限定されず、検知面の変形に応じて光ファイバに何らかの変形が生じればよいことを示す。尚、「検知面の変形」とは、曲折された状態に限定されず、伸び状態、縮み状態を含むものであってもよい。即ち、対象物からの外力により検知面の変形し、その結果光ファイバ自体に曲げが生じればよく、検知面の変形態様は限定されない。
具体的に、感圧シート1は、面状のシート部材10を構成するシート層10a・10b間に光ファイバ11と、複数の線形部材12とが張り巡らされて形成されている。光ファイバ11は、光が入射される入射端部11aと、光が出射される出射端部11bとが感圧シート1の角部に、幅方向の一方縁から突出するように並んで配置される。光ファイバ11は、入射端部11aから感圧シート1の外縁に沿うよう幅方向、長手方向、幅方向に延在して配置された後、幅方向端部でU字を描くように180度湾曲され、これが複数回往復されることによりシート部材10に蛇行配置される。即ち、光ファイバ11は、U字状部が互い違いに対向してシート部材10の幅方向端部に形成された態様で配置される。そして、光ファイバ11は、蛇行配置された後に出射端部11bに至る。入射端部11a、及び、出射端部11bは、有機材料製の光コネクタ13に接続され、光を入出力するための光ファイバが接続可能にされている。
複数の線形部材12は、それぞれ直線状に形成されており、シート部材10の長手方向に所定間隔で並列に配置される。即ち、線形部材12は、光ファイバ11と積層方向に交差するように配置される。これにより、光ファイバ11は、外力の付与により検知面20に変形が生じた際、検知面20の変形よりも小さな曲率半径の曲げが生じる。換言すれば、線形部材12によって、検知面20の変形よりも大きい曲率の変形が光ファイバ11に生じることになる。尚、曲率は、曲率半径の逆数である。
具体的に、図2に示すように、感圧シート1上に対象物2が配置された場合、シート部材10のシート層10aは、対象物2の重さによって湾曲した状態となる。このように、検知面20が変形することにより、シート層10aに接触する線形部材12に撓み方向への応力が生じる。さらに、光ファイバ11と、線形部材12とが押し付け合うような応力が生じる。その結果、光ファイバ11には、線形部材12と交差する箇所において、検知面20の変形よりも大きい曲率の変形が生じることになる。
一方、光ファイバ11は、コア11cとクラッド11dとを有している。光ファイバ11のコア11cに入射された入射光30は、クラッド11dとの境界面で全反射を繰り返しながら進行し、出射端において出射光40として出射される。ここで、光ファイバ11において、上述のような変形が生じている場合、光ファイバ11中を進行する光のうち一部の光が全反射できない角度になることにより、損失光50として光ファイバ11の外へ漏れることになる。従って、出射光40は、損失光50が減衰したものとなる。
このように、シート部材10の検知面20に対して対象物から外力が付与されると、検知面20の変形と共に光ファイバ11が撓むことになる。これにより、光ファイバ11に光が導通されると、光ファイバ11の局所的な変形量に応じた減衰量や減衰率で光が減衰することから、光の減衰量や減衰率を閾値と比較することによりシート部材10に外力を付与した対象物を検知することできる。また、対象物からの外力の大きさに応じて光ファイバ11の変形量が変化して光の減衰量が変化するため、感圧シート1に対する外力の大きさを推定することができる。そして、このように構成された感圧シート1は、シート部材10及び光ファイバ11が有機材料製であるため、シート部材10や光ファイバ11が無機材料製の場合よりも、廃棄及びリサイクルが容易であると共に、大きな変形や衝撃に対して破損し難いため、耐久性に優れることになる。また、大きな変形や衝撃に対して破損し難いため、感圧シート1の破損個所が対象物を傷つけることを防止できる。
(シート部材10)
シート部材10は、シート層10a・10bからなる。これらの少なくとも何れか一方の少なくとも一部は、不織布で形成されていることが好ましい。これにより、シート部材10における不織布で形成された部位が不織布の連通孔により通気性を有することによって、例えばベッド上に感圧シート1を敷いたときに、ベッドに横たわった身体から放出された汗が感圧シート1で遮られて蒸れてしまうという現象を防止することができる。
不織布の材料の例としては、ポリオレフィン繊維、アラミド繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維等が挙げられる。具体的には、ユニチカ株式会社製のマリックス(登録商標)シリーズなどが挙げられる。
各シート層10a・10bの厚みの下限は、50μmが好ましく、100μmがより好ましい。各シート層10a・10bの厚みの上限は、3000μmが好ましく、2000μmがより好ましい。
尚、シート層10a・10bは、ラミネート加工により、光ファイバ11及び光ファイバ11を挟持した状態で接着されるがこれに限定されない。例えば、シート層10a・10bの少なくとも何れか一方の光ファイバ11側に接着層を設けて、シート層10a・10bが接着されるものであってもよい。
(光ファイバ11)
本実施形態の光ファイバ11は、光を導波させるためのコア及びクラッドを形成する光ファイバ素線である。尚、これに1以上の保護層を被覆した光ファイバ心線であってもよい。
光ファイバ11は、有機材料製である、POF(Plastic Optical Fiber)を用いる。POFの例としては、三菱レイヨン株式会社製エスカ(商標登録)CKシリーズなどが挙げられる。
光ファイバ11が光ファイバ心線である場合、被覆材料の例としては、ポリエチレン、塩化ビニル、ナイロン等が挙げられる。
光ファイバ11の外径は、検知する対象物の荷重によって適宜選択されるが、以下の外径を用いてもよい。具体的に、光ファイバ11の外径の下限は、125μmが好ましく、200μmがより好ましい。光ファイバ11の外径の上限は、5000μmが好ましく、3000μmがより好ましい。
(線形部材12)
線形部材12の材料は特に限定されないが有機材料製であることが好ましい。例えば、光ファイバ11と同様の光ファイバを用いてもよい。その他、線形部材12の材料としては、ポリエチレン、塩化ビニル、ナイロン等が挙げられる。
本実施形態では、光ファイバ11に、複数の線形部材12を交差させるように重ねることで、光ファイバ11の一部に検知面20の変形よりも大きい曲率の変形を生じさせる構成としているがこれに限定されない。例えば、光ファイバ11を延長して、線形部材12としてもよいし、シート部材10に凹凸を設けて光ファイバ11に局所的に変形が生じる構成としてもよい。
(光コネクタ13)
光コネクタ13は、有機材料製で形成されており、光ファイバ11の端部(入射端部11a、出射端部11b)に接続される。図示しないが、光コネクタ13には、入射端部11a及び出射端部11bの夫々に対向して光ファイバを接続するための接続部が設けられている。光コネクタ13の材料の例としては、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)、PC(ポリカーボネート)、PPA(ポリフタルアミド)、POM(ポリオキシメチレン)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PP(ポリプロピレン)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等が挙げられる。
(検知装置)
次に、感圧シート1を用いた検知装置について説明する。図3に示すように、検知装置100は、感圧シート1と、感圧シート1における光ファイバ11に光を導通させる光出射機構3と、光ファイバ11を導通した光の減衰の程度を検知する光検知機構4と、光の減衰の程度に基づいて対象物の状態を判定する判定機構5とを有している。
具体的に、光出射機構3は、光源装置と光源装置からの光を光コネクタ13を介して、光ファイバ11に入射させるための光ファイバとを有している。光出射機構3の光源としては、LED(Light Emitting Diode)、LD(Laser Diode)等が挙げられる。尚、光出射機構3は、判定機構5へ、出力する光信号(光ファイバ11への入射光)のパワーレベルを通知するものであってもよい。また、光源の波長は限定されないが、感圧シートを暗所に設置する必要がある等、光ファイバからの光の漏えいを嫌う用途に用いる場合は可視できない赤外光の波長範囲であることが好ましい。また、目視により光ファイバの断線を確認したい用途の場合は、光源の波長は可視光の波長範囲であることが好ましい。可視光の場合は、緑色の波長範囲であることがより好ましい。
また、光検知機構4は、光ファイバ11から出射する光を光コネクタ13を介して導波させる光ファイバと、O/E(Optical /Electronic)コンバータとを有している。O/Eコンバータは、光信号を電気信号に変換して判定機構5へ送信する。
判定機構5は、光検知機構4からの電気信号に基づいて、入射光に対する出射光の損失量を算出し、感圧シート1へ付与された圧力を判定する。尚、光出射機構3から、出力する光信号のパワーレベルが通知されるものである場合は、入射光と出射光とのパワーレベルを正確に比較することが可能となる。
また、検知装置100は、報知機構6を備える。報知機構6は、判定機構5の結果に基づいて外部への報知を行う。例えば、報知機構6は、予め設定された閾値以上の圧力である場合や、予め設定された閾値以下の圧力となった場合に、外部へ報知するものであってもよい。また、報知機構は、外部へ光、音声、及び、映像等によって報知するものであってもよいし、外部装置へ無線又は有線により報知のための信号を送信する通信装置であってもよい。
(感圧シート1の適用例)
感圧シート1を、ベッドに設置する離床センサに適用した場合について説明する。図4に示すように、ベッド9の上にシーツ7でくるまれたマットレス8が敷かれている。このような、ベッドの上に位置する対象物(人)2が離床することを検知するために、感圧シート1を用いる。感圧シート1は、マットレス8の上に載置され、シーツ7で覆われた状態にされる。尚、図示しないが、畳等の床に布団を敷き、その上の対象物(人)の離床を検知することも可能である。この場合は、感圧シート1が布団の下や布団の上に配置される。このように配置された感圧シート1に対し、検知装置100が有する他の構成(図3参照)が接続され、光ファイバ11へ光が入射されると共に、光ファイバ11からの出射光を監視する状態にされる。尚、図4では、感圧シート1は、マットレス8の一部を覆うものであるが、全面を覆うものであってもよい。
対象物2が布団7上に位置する場合、布団7は対象物2からの圧力によって変形が生じることになる。この布団7の変形に追従して感圧シート1が変形する。感圧シート1が変形することによって、感圧シート1内部の光ファイバ11に変形が生じ、光ファイバ11を導波する光に損失が生じる。これにより、布団7上に対象物2が位置していることを検知することができる。
対象物2が布団7上に位置しない場合、布団7に対する対象物2からの圧力が消失する。即ち、感圧シート1における光ファイバ11等の弾性力によりもとに戻ろうとする力によって光ファイバ11の変形が減少する。従って、光ファイバ11を導波する光の損失が減少されることになる。これにより、布団7上に対象物2が位置していないことを検知することができる。
以上の詳細な説明では、本発明をより容易に理解できるように、特徴的部分を中心に説明したが、本発明は、以上の詳細な説明に記載する実施形態に限定されず、その他の実施形態にも適用することができ、その適用範囲は可能な限り広く解釈されるべきである。
(実施例)
実際に、図4のような状態で、対象物の離床の有無を計測した。実施例は、図1に示すような感圧シート1である。また、比較例は、図1に示すような感圧シートから線形部材12を除外したものを用いた。何れも、光ファイバはPOFであり、三菱レイヨン株式会社製エスカ(商標登録)CK−10(直径0.25mm)を用いた。光ファイバにおける蛇行配置の繰り返し間隔(同方向を向くU字の間隔)は、20mmである。実施例の線形部材の配置間隔は5mmである。シート部材は、900mm×600mmの大きさのものを用いた。光出射機構の光源はLEDであり、京セミ株式会社製のKED661(波長:660nm)を用いた。光検知機構はPD(Photo Diode)であり、京セミ株式会社製のKPD101M34を用いた。
計測の結果、対象物が離床している状態において、実施例及び比較例のいずれも出射光は減衰されていなかった。また、実施例では、対象物が布団におり感圧シートに荷重がある状態において、入射光に対する出射光のパワーレベルは40%に減衰されており、対象物2の離床を検知することができた。一方、比較例では、対象物が布団におり感圧シートに荷重がある状態において、出射光は減衰されていなかった。
(変形例)
本実施形態では、外力の付与により光ファイバ11の一部に検知面20の変形よりも大きい曲率の変形を生じさせるために、光ファイバ11上に線形部材12を配置した構成であったがこれに限定されない。例えば、シート部材の少なくとも一部が糸状部材で形成され、この糸状部材が光ファイバの一部に偏在されていると共に前記光ファイバを固定するように配置されていてもよい。糸状部材とは、糸、綱、縄、紐等の細長く曲折自在に形成された有機材料製のものであれば特に限定されない。
具体的に、図5を用いて本変形例の感圧シート101について説明する。感圧シート101は、有機材料製の糸110aで編まれたシート部材110と、このシート部材110に糸110aと共に編み込まれた光ファイバ111とを有している。図5に示すように、光ファイバ111は、複数個所で糸110aが巻回されている。これにより、光ファイバ111の一部に検知面の変形よりも大きい曲率の変形を生じさせることができるようになっている。このように、感圧シート101のシート部材110は、光ファイバ111を編み込んだ編物で形成されている。尚、糸110aが光ファイバ111に巻回されていることに限定されない。例えば、シート部材が、糸状部材を組み合わせて形成された織物や組紐であってもよく、このようなシート部材に光ファイバを組み込んでもよい。
このように、シート部材110における編物で形成された部位が編物の連通孔により通気性を有すると共に、偏在された糸により光ファイバ111の一部が他の部位よりも大きな変形量で変形し易いため、小さな外力であっても、大きく光を減衰させることが可能になることから、感知性能を向上させることができる。また、感圧シートにおいて、このような光ファイバを編み込んで形成する部位と、不織布で挟み込んで形成する部位とを設けることで、高度の感度を要する部位には編物を配置し、低度の感度で良い部位には不織布を配置することによって、所望の感度を有した感圧シートを可能な限り安価に製造することができる。
また、図6に示すように、樹脂層2111は、光ファイバ211の外周全体をコーティングするように被覆するものであってもよい。
尚、樹脂層2111は、親水性の材料により形成されていてもよい。これにより、シート部材が連通孔と親水性の樹脂層2111により多くの水を吸収することを可能にすることから、タオルやハンカチとして機能させることが可能になる。
また、樹脂層2111は、疎水性の材料により形成されていてもよい。これにより、通気性を確保しながら、多くの水が発生したときには疎水性の樹脂層2111が水を弾くことによって、水を感圧シート上に留めることが可能になる。即ち、感圧シートを防水シートして機能させることが可能になる。
さらに、樹脂層2111において、親水性の材料と疎水性の材料とを平面方向で組み合わせることによって、感圧シート全体として通気性を確保しながら、吸水性を発揮する部位と撥水性を発揮する部位とを多量の水が発生する可能性に応じて混在させる必要がある用途に好適に用いることができる。また、樹脂層2111において、親水性の材料と疎水性の材料とを感圧シートの厚み方向(表面側と裏面側)で組み合わせることによって、感圧シート全体として通気性を確保しながら、汗等の少量の水分は吸水性を発揮する表面側で効率よく吸収し、多量の水は裏面側の撥水性を発揮する部位で留めることが必要な用途に好適に用いることができる。
また、例えば、図7に示すように、樹脂層3111は、光ファイバ311の外周の一部において長手方向に延在するよう積層されるものであってもよい。
このように、樹脂層2111及び3111により光ファイバ211及び311にさらに弾性力を備えさせることができるため、外力により変形しても、外力が無くなれば元の状態、即ち、初期状態に復帰する性能を向上することができる。これにより、繰り返して使用することが可能になる。尚、樹脂層2111及び3111は、光ファイバ311よりも硬さが高い樹脂を用いることが好ましい。例えば、樹脂層2111及び3111の材料としてはポリエチレン、ウレタン、テフロン等が挙げられる。
尚、樹脂層は、シート部材を形成する不織布や糸表面に形成されても良いし、不織布や糸を編み込むことで感圧シートを形成した後に、感圧シートの表面(上面や裏面)に形成されてもよい。
以上の詳細な説明では、本発明をより容易に理解できるように、特徴的部分を中心に説明したが、本発明は、以上の詳細な説明に記載する実施形態に限定されず、その他の実施形態にも適用することができ、その適用範囲は可能な限り広く解釈されるべきである。また、本明細書において用いた用語及び語法は、本発明を的確に説明するために用いたものであり、本発明の解釈を制限するために用いたものではない。また、当業者であれば、本明細書に記載された発明の概念から、本発明の概念に含まれる他の構成、システム、方法等を推考することは容易であると思われる。従って、請求の範囲の記載は、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で均等な構成を含むものであるとみなされるべきである。また、本発明の目的及び本発明の効果を充分に理解するために、すでに開示されている文献等を充分に参酌することが望まれる。
1・101 感圧シート
2 対象物
3 光出射機構
4 光検知機構
5 判定機構
6 報知機構
7 布団
8 マットレス
9 ベッド
10・110 シート部材
10a・10b シート層
11・111・211・311 光ファイバ
11a 入射端部
11b 出射端部
11c コア
11d クラッド
12 線形部材
13 光コネクタ
20 検知面
30 入射光
40 出射光
100 検知装置
110a 糸

Claims (6)

  1. 光の減衰に基づいて対象物を検知する感圧シートであって、
    前記対象物により外力が付与される検知面を有した有機材料製のシート部材と、
    前記検知面と共に変形するように設けられた有機材料製の光ファイバと
    を有すると共に、
    前記外力の付与により光ファイバの一部に前記検知面の変形よりも大きい曲率の変形を生じさせる構成を有していることを特徴とする感圧シート。
  2. 前記シート部材の少なくとも一部は、不織布で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の感圧シート。
  3. 前記シート部材の少なくとも一部は、糸状部材で形成されており、当該糸状部材が前記光ファイバの一部に偏在されていると共に前記光ファイバを固定するように配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の感圧シート。
  4. 前記感圧シートは、前記光ファイバに沿って設けられた樹脂層を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の感圧シート。
  5. 前記光ファイバの端部に接続された有機材料製の光コネクタを有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の感圧シート。
  6. 請求項1乃至5の何れか1項に記載の感圧シートと、
    前記感圧シートにおける前記光ファイバに前記光を導通させる光出射機構と、
    前記光ファイバを導通した前記光の減衰の程度を検知する光検知機構と、
    前記光の減衰の程度に基づいて前記対象物の状態を判定する判定機構と
    を有することを特徴とする検知装置。
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