JP2016032579A - 運動能力算出方法、運動能力算出装置、運動能力算出システム、およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】ユーザーに対して、筋肉能力に関するアドバイスを適切に行うことが可能な運動能力算出方法、運動能力算出装置、運動能力算出システム、および運動能力算出装置を備えた運動能力算出システムにより運動能力算出方法を実行させるプログラムを提供する。【解決手段】被験者に装着した慣性センサーの出力から加速度および速度の情報を取得するステップと、被験者の体重の情報を取得するステップと、加速度、速度、および前記体重の情報から所定時間内の運動量を示す運動出力を算出するステップと、を含むことを特徴とする運動能力算出方法。【選択図】図3
Description
本発明は、運動能力算出方法、運動能力算出装置、運動能力算出システム、および運動能力算出装置を備えた運動能力算出システムにより運動能力算出方法を実行させるプログラムに関する。
従来、例えば、特許文献1に記載されているように、被験者のストライドと直前ステップで検出されたピッチとを乗じて、単位時間あたりにおける被験者の走行距離を算出するとともに、当該走行距離にR A M 2 0 3 に記憶された被験者の体重を乗じて運動強度[ W ] を求め、これを[ k p m / 分] に換算し、単位時間当たりの運動強度を算出する方法が記載されている。
例えば、ランニングや競歩等の運動量を測定するにあたり、ある瞬間(単位時間)における運動の強さを指す運動強度と、ある時間内における運動の量を指す運動出力の考え方がある。被験者の運動能力を求めるには、運動出力に基づいた運動能力の算出が有効である。 しかしながら、特許文献1では、運動強度を算出する方法は記載されているが、慣性センサーによるセンシングデータに基づいて運動出力を求める方法については開示されていないという課題があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1] 本適用例にかかる運動能力算出方法は、被験者に装着した慣性センサーの出力から加速度および速度の情報を取得するステップと、前記被験者の体重の情報を取得するステップと、前記加速度、前記速度、および前記体重の情報から所定時間内の運動量を示す運動出力を算出するステップと、を含むことを特徴とする。
本適用例によれば、被験者に装着した慣性センサーにより取得された加速度および速度の情報と、被験者の体重の情報とから、被験者の所定時間内の運動量を示す運動出力を精度よく求めることができ、求めた運動出力に基づいて被験者の運動能力を評価することができる。
[適用例2] 上記適用例にかかる運動能力算出方法において、前記被験者の脈拍数の情報を取得するステップを含み、前記脈拍数と、前記運動出力とに基づいて拍出量を算出するステップを有することを特徴とする。
本適用例によれば、被験者の脈拍数と運動能力とに基づいて拍出量を算出し、その拍出量を用いて被験者の心臓能力を含めた運動能力を求めることができる。 なお、本適用例を含め、以下の適用例において「脈拍数」は「心拍数」を含むものとする。
[適用例3] 本適用例にかかる運動能力算出方法は、前記脈拍数の情報は、前記被験者に装着した脈拍計により計測された脈拍数であることを特徴とする。
本適用例によれば、リアルタイムで被験者の脈拍数の情報と加速度、速度の情報とを取得できるので、被験者の運動能力を精度よく評価することができる。
[適用例4] 本適用例にかかる運動能力算出方法は、前記拍出量が、前記運動出力を前記脈拍数で除した値に基づいて推定されることを特徴とする。
本適用例によれば、通常、特殊な設備や器具を必要とする拍出量を、慣性センサーにより取得された情報などから算出される運動出力と、測定した脈拍数とから比較的容易に推定することができる。そして、得られた拍出量により、被験者の運動能力を算出することができる。
[適用例5] 上記適用例にかかる運動能力算出方法において、算出された前記拍出量と、該拍出量の比較対象となる基準拍出量とを比較した比較結果に基づいて運動能力を評価することを特徴とする。
本適用例によれば、例えば、被験者と同年代の拍出量の基準値や、被験者自身の過去の拍出量を基準拍出量として、今回算出された拍出量と比較することにより、運動能力が基準値に対して向上あるいは劣化したかや、その度合を被験者に認識させることができる。
[適用例6] 上記適用例にかかる運動能力算出方法において、前記脈拍数と前記運動出力との関係を示す第1のデータと、該第1のデータとは異なる脈拍数と運動出力との関係を示す第2のデータとを比較した結果に基づいて前記運動能力を評価することを特徴とする。
本適用例によれば、被験者の脈拍数と運動出力との関係を示す第1のデータと、例えば、被験者と同世代、あるいは被験者自身の過去の脈拍数と運動出力との関係を示す第2のデータと比較するので、被験者が自身の運動能力を相対的に認識することができる。
[適用例7] 上記適用例にかかる運動能力算出方法において、所定の脈拍数における前記第1のデータと前記第2のデータとの前記運動出力を比較することを特徴とする。
本適用例によれば、同じ脈拍数における運動出力が低いほど運動能力は高いと判断できるので、被験者が自身の運動能力を第2のデータの運動能力に対して相対的に把握することができる。
[適用例8] 上記適用例にかかる運動能力算出方法において、所定の運動出力に対する前記第1のデータと前記第2のデータとの脈拍数を比較することを特徴とする。
本適用例によれば、同じ運動出力における脈拍数が低いほど運動能力は高いと判断できるので、被験者が自身の運動能力を第2のデータの運動能力に対して相対的に把握することができる。
[適用例9] 上記適用例にかかる運動能力算出方法において、前記第1のデータと前記第2のデータとの運動出力が飽和する脈拍数を比較することを特徴とする。
本適用例によれば、運動出力が飽和したときの脈拍数が低いほど、脈拍数に見合うだけの運動出力ができなくなるポイントが低いということになるので運動能力は低いと判断することができる。これにより、被験者が自身の運動能力を第2のデータの運動能力に対して相対的に把握することができる。
[適用例10] 上記適用例にかかる運動能力算出方法において、前記第1のデータと前記第2のデータとの最高脈拍数を比較することを特徴とする。
本適用例によれば、最高脈拍数が高ければ高いほど運動能力は高いと判断できるので、被験者が自身の運動能力を第2のデータの運動能力に対して相対的に把握することができる。
[適用例11] 上記適用例にかかる運動能力算出方法において、前記脈拍数と前記運動出力との関係を示すグラフの実測区間の傾きから非測定区間の傾きを推測し、所定の脈拍数における前記運動出力を推定することを特徴とする。
本適用例によれば、非測定区間の脈拍数と運動出力との関係を含めて、所定の脈拍数における運動出力を推定することができるので、被験者の運動能力を精度よく算出することができる。 また、非測定区間としての例えば最大運動出力や最高脈拍数を推定することができる。
[適用例12] 上記適用例にかかる運動能力算出方法において、推定された前記運動出力に基づいて最大酸素摂取量を推定することを特徴とする。
本適用例によれば、非測定区間の脈拍数と運動出力との関係を推定することができるので、最高脈拍数での最大出力の推定値に対して必要な酸素量を最大摂取酸素量として推定することができる。
[適用例13] 上記適用例にかかる運動能力算出方法において、前記所定の脈拍数は、被験者の最高脈拍数であることを特徴とする。
本適用例によれば、最高脈拍数の推定値と対応する運動出力を最大運動出力推定値として、その最大運動出力推定値に必要な酸素量を、運動能力評価の有効な指標である最大酸素摂取量として推定することができる。
[適用例14] 本適用例にかかる運動能力算出装置は、被験者に装着した慣性センサーの出力から加速度および速度の情報、および、前記被験者の体重の情報を取得する受信部と、前記加速度、前記速度、および前記体重の情報から所定時間内の運動量を示す運動出力を算出する演算部と、を含むことを特徴とする。
本適用例によれば、被験者に装着した慣性センサーにより取得された加速度および速度の情報と、被験者の体重の情報とから、被験者の所定時間内の運動量を示す運動出力を精度よく求めることができ、求めた運動出力に基づいて被験者の運動能力を評価すること可能な運動能力算出装置を提供することができる。
[適用例15] 上記適用例にかかる運動能力算出装置において、前記受信部は、前記被験者の脈拍数の情報を取得する機能を含み、前記演算部は、前記脈拍数と、前記運動出力とに基づいて拍出量を算出する機能を含むことを特徴とする。
本適用例によれば、被験者の脈拍数と運動能力とに基づいて拍出量を算出し、その拍出量を用いて被験者の心臓能力を含めた運動能力を求めることができる。
[適用例16] 被験者に装着される慣性センサーと、前記慣性センサーの出力から加速度および速度の情報、および、前記被験者の体重の情報を取得する受信部、前記加速度、前記速度、および前記体重の情報から所定時間内の運動量を示す運動出力を算出する演算部、を含む運動能力算出装置と、を備えた運動能力算出システム。
本適用例によれば、被験者に装着した慣性センサーにより取得された加速度および速度の情報と、被験者の体重の情報とから、被験者の所定時間内の運動量を示す運動出力を精度よく求めることができ、求めた運動出力に基づいて被験者の運動能力を評価することが可能な運動能力算出システムを提供することができる。
[適用例17] 本適用例にかかる運動能力演算システムは、前記被験者に装着され該被験者の脈拍数を計測する脈拍計を含み、前記演算部は、前記脈拍数と、前記運動出力とに基づいて拍出量を算出する機能を含むことを特徴とする。
本適用例によれば、被験者の脈拍数と運動能力とに基づいて拍出量を算出し、その拍出量を用いて被験者の心臓能力を含めた運動能力を求めることができる。
[適用例18] 被験者に装着した慣性センサーの出力から加速度および速度の情報を得ることと、前記被験者の体重の情報を得ることと、前記加速度、前記速度、および前記体重の情報から、所定時間内の運動量を示す運動出力を算出することと、をコンピュータに実行させるプログラム。
本適用例によれば、コンピュータに対して、被験者に装着した慣性センサーにより加速度および速度
の情報を取得させ、被験者の体重の情報を取得させ、それらの情報から、被験者の所定時間内の運動量を示す運動出力を要求させ、要求した運動出力に基づいて被験者の運動能力を評価させる制御を実行させることができる。
の情報を取得させ、被験者の体重の情報を取得させ、それらの情報から、被験者の所定時間内の運動量を示す運動出力を要求させ、要求した運動出力に基づいて被験者の運動能力を評価させる制御を実行させることができる。
[適用例19] 前記被験者に装着された脈拍計により該被験者の脈拍数を計測することと、前記脈拍数と、前記運動出力とに基づいて拍出量を算出することと、を含むプログラム。
本適用例によれば、コンピュータに対して、被験者の脈拍数と運動能力とに基づいて拍出量を算出させ、その拍出量を用いて被験者の心臓能力を含めた運動能力を求めさせる制御を実行させることができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材について実際とは異なる尺度で示している場合がある。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
(実施形態1) まず、実施形態1に係る運動能力算出システムの概略構成について図面に沿って説明する。
〔1.運動能力算出システム〕 1.システムの概要 図1は、本実施形態の運動能力算出システム1の概要について説明するための図である。図1に示すように、本実施形態の運動能力算出システム1は、運動能力算出装置2及び表示装置3を含んで構成されている。 本実施形態の運動能力算出装置2は、被験者の胴体部分(例えば、右腰、左腰、又は腰の中央部)に装着される。運動能力算出装置2は、慣性センサーを備えた慣性計測ユニット(IMU:Inertial Measurement Unit)10を内蔵し、被験者の走行(歩行も含む)における動きを捉えて、速度、位置、姿勢角(ロール角、ピッチ角、ヨー角)等を計算し、さらに、被験者の運動を解析し、被験者の全身持久力に関する物理量を計測する。本実施形態では、被験者が静止している状態で、慣性計測ユニット(IMU)10の1つの検出軸(以下ではz軸とする)が重力加速度方向(鉛直下向き)とほぼ一致するように、運動能力算出装置2が被験者に装着される。
表示装置3は、リスト型(腕時計型)の携帯情報機器であり、被験者の手首等に装着される。ただし、表示装置3は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head Mount Display)やスマートフォン等の携帯情報機器であってもよい。被験者は、走行開始前又は走行中に表示装置3を操作して運動能力算出装置2による計測(後述する慣性航法演算処理及び運動能力算出処理)のスタートやストップを指示することができる。また、被験者は、走行終了後に表示装置3を操作して運動能力算出装置2による運動能力評価情報に基づいたフィードバック情報の表示(後述)や走行分析処理(後述)の開始や終了を指示することができる。表示装置3は、計測スタートや計測ストップを指示するコマンド、運動能力評価情報に基づいたフィードバック情報の表示や走行分析処理の開始や終了を指示するコマンド等を運動能力算出装置2に送信する。 また、本実施形態の表示装置3には、図示を省略した脈拍計70が実装されている。リスト型の表示装置3に備わる脈拍計70により被験者の手首部で計測された脈拍数の情報は、通信部14を介して運動能力算出装置2に送信される。なお、被験者に装着される脈拍計は、例えば、リスト型の表示装置3に限らず、ハートレートセンサーをベルトで胸に巻き付けて走行し、当該脈拍計あるいは当該ハートレートセンサーの計測値を用いて、運動解析情報の一項目として被験者の走行中の心拍数を算出してもよい。なお、本実施形態を含め、以下の実施形態やその他明細書の内容において、「脈拍数」は「心拍数」を含むものとする。
運動能力算出装置2は、計測スタートのコマンドを受信すると、慣性計測ユニット(IMU)10による計測を開始し、慣性計測ユニット10の慣性センサーの出力から得られる加速度および速度の情報や、別途入力された被験者の体重などの基礎情報などに基づいて、所定時間内の被験者の運動量を示す運動出力を算出し、算出された運動能力に基づいて被験者の運動能力データを生成する。運動能力算出装置2は、生成した運動能力データの少なくとも一部を表示装置3に送信する。そして、表示装置3は運動能力データを受信し、受信した運動能力データを文字、図形、音、振動等の各種の形態で被験者に提示する。被験者は、走行中に表示装置3を介して運動能力データ(フィードバック情報、アドバイス)を認識することができる。
また、運動能力算出装置2は、走行分析処理の開始を指示するコマンドを受信すると、過去の走行中に生成した運動解析情報を用いて、当該過去の走行を分析し、分析結果の情報を表示装置3又は不図示のパーソナルコンピューターやスマートフォン等の情報機器に送信する。そして、表示装置3又は当該情報機器は、分析結果の情報を受信し、受信した運動解析情報を文字、図形、音、振動等の各種の形態で被験者に提示する。被験者は、表示装置3又は当該情報機器を介して過去の走行の分析結果を認識することができる。
なお、運動能力算出装置2と表示装置3との間のデータ通信は、無線通信でもよいし、有線通信でもよい。
本実施形態では、以下において、運動能力算出装置2が被験者の走行運動(ランニング)時における運動出力に基づいて運動能力データを生成する場合を例に挙げて詳細に説明するが、本実施形態の運動能力算出システム1は、走行以外の運動における運動出力に基づいて運動能力データを生成する場合にも、同様に適用することができる。
2.座標系 以下の説明において必要となる座標系を定義する。 ・eフレーム(Earth Centerd Earth Fixed Frame):地球の中心を原点とし、自転軸に平行にz軸をとった右手系の三次元直交座標 ・nフレーム(Navigation Frame):移動体(被験者)を原点とし、x軸を北、y軸を東、z軸を重力方向とした三次元直交座標系 ・bフレーム(Body Frame):センサー(慣性計測ユニット(IMU)10)を基準とする三次元直交座標系 ・mフレーム(Moving Frame):移動体(被験者)を原点とし、移動体(被験者)の進行方向をx軸とした右手系の三次元直交座標系
3.システムの構成 図2は、運動能力算出装置2及び表示装置3の構成例を示す機能ブロック図である。図2に示すように、運動能力算出装置2は、慣性計測ユニット(IMU)10、処理部20、記憶部30、通信部40、GPS(Global Positioning System)ユニット50及び地磁気センサー60を含んで構成されている。処理部20は、計測データ取得部21および運動能力データ生成部250を含む。ただし、本実施形態の運動能力算出装置2は、これらの構成要素の一部を削除又は変更し、あるいは、他の構成要素を追加した構成であってもよい。
慣性計測ユニット10(慣性センサーの一例)は、加速度センサー12、角速度センサー14及び信号処理部16を含んで構成されている。
加速度センサー12は、互いに交差する(理想的には直交する)3軸方向の各々の加速度を検出し、検出した3軸加速度の大きさ及び向きに応じたデジタル信号(加速度データ)を出力する。
角速度センサー14は、互いに交差する(理想的には直交する)3軸方向の各々の角速度を検出し、計測した3軸角速度の大きさ及び向きに応じたデジタル信号(角速度データ)を出力する。
信号処理部16は、加速度センサー12及び角速度センサー14から、それぞれ加速度データと角速度データを受け取って時刻情報を付して不図示の記憶部に記憶し、記憶した加速度データ、角速度データ及び時刻情報を所定のフォーマットに合わせたセンシングデータを生成し、処理部20に出力する。
加速度センサー12及び角速度センサー14は、それぞれ3軸が、慣性計測ユニット10を基準とするセンサー座標系(bフレーム)の3軸と一致するように取り付けられるのが理想的だが、実際には取り付け角の誤差が生じる。そこで、信号処理部16は、取り付け角誤差に応じてあらかじめ算出された補正パラメーターを用いて、加速度データ及び角速度データをセンサー座標系(bフレーム)のデータに変換する処理を行う。なお、信号処理部16の代わりに後述する処理部20が当該変換処理を行ってもよい。
さらに、信号処理部16は、加速度センサー12及び角速度センサー14の温度補正処理を行ってもよい。なお、信号処理部16の代わりに後述する処理部20が当該温度補正処理を行ってもよいし、加速度センサー12及び角速度センサー14に温度補正の機能が組み込まれていてもよい。
加速度センサー12と角速度センサー14は、アナログ信号を出力するものであってもよく、この場合は、信号処理部16が、加速度センサー12の出力信号と角速度センサー14の出力信号をそれぞれA/D変換してセンシングデータを生成すればよい。
GPSユニット50は、測位用衛星の一種であるGPS衛星から送信されるGPS衛星信号を受信し、当該GPS衛星信号を利用して測位計算を行ってnフレームにおける被験者としてのユーザーの位置及び速度(大きさと向きを含むベクトル)を算出し、これらに時刻情報や測位精度情報を付したGPSデータを処理部20に出力する。なお、GPSを利用して、位置や速度を算出する方法や時刻情報を生成する方法については公知であるため、詳細な説明を省略する。
地磁気センサー60は、互いに交差する(理想的には直交する)3軸方向の各々の地磁気を検出し、検出した3軸地磁気の大きさ及び向きに応じたデジタル信号(地磁気データ)を処理部20に出力する。ただし、地磁気センサー60は、アナログ信号を出力するものであってもよく、この場合は、処理部20が、地磁気センサー60の出力信号をA/D変換して地磁気データを生成してもよい。
記憶部30は、例えば、ROM(Read Only Memory)やフラッシュROM、RAM(Random Access Memory)等の各種ICメモリーやハードディスクやメモリーカードなどの記録媒体等により構成される。
記憶部30には、処理部20によって読み出され、運動能力算出処理(図3参照)を実行するための運動能力評価プログラム370、および、運動解析処理を実行するための運動解析プログラム300が記憶されている。 また、記憶部30には、基準データとしての運動能力基準データ380、センシングデータプログラム310、GPSデータテーブル320、地磁気データテーブル330、算出データテーブル340及び運動解析情報350等が記憶される。
運動能力基準データ380は、処理部20が運動能力評価情報を生成する際に、慣性計測ユニット10、GPSユニット50及び地磁気センサー60からそれぞれ受け取ったセンシングデータ、GPSデータ及び地磁気データの少なくとも一部を用いて得られるユーザーの全身持久力に関する計測データと比較される、全身持久力に関する基準データである。本実施形態では、全身持久力の指標として最大酸素摂取量が用いられ、その最大酸素摂取量の年齢毎の基準値が男女別に運動能力基準データ380として記憶部30に
記憶されている。
記憶されている。
センシングデータテーブル310は、処理部20が慣性計測ユニット10から受け取ったセンシングデータ(慣性計測ユニット10の検出結果)を時系列に記憶するデータテーブルである。
GPSデータテーブル320は、処理部20がGPSユニット50から受け取ったGPSデータ(GPSユニット(GPSセンサー)50の検出結果)を時系列に記憶するデータテーブルである。
地磁気データテーブル330は、処理部20が地磁気センサー60から受け取った地磁気データ(地磁気センサーの検出結果)を時系列に記憶するデータテーブルである。
算出データテーブル340は、処理部20がセンシングデータを用いて算出した速度、位置及び姿勢角を時系列に記憶するデータテーブルである。
運動解析情報350は、ユーザーの運動に関する各種情報であり、処理部20が生成したユーザーの運動の解析情報や走行軌跡情報、あるいはユーザーにより予め入力される体重等の入力情報などの各種情報を含む。
処理部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等により構成され、記憶部30に記憶されている各種プログラムに従って、各種の演算処理や制御処理を行う。例えば、処理部20は、慣性計測ユニット10、GPSユニット50及び地磁気センサー60からそれぞれセンシングデータ、GPSデータ及び地磁気データを受け取り、これらのデータを用いてユーザーの速度、位置、姿勢角等を算出してユーザーの全身持久力に関する計測データとして取得する計測データ取得部21を有している。また、処理部20は、計測データ取得部21の計測データと、記憶部30の運動能力基準データ380とを比較し、その比較結果に基づいて、ユーザーの筋肉能力を主なものとした運動能力評価情報を生成する運動能力データ生成部250を有している。そして、処理部20は、生成した運動能力評価情報の少なくとも一部を、通信部40を介して表示装置3に送信し、表示装置3は受信した運動能力評価情報をテキスト、画像、音、振動等の形態で出力する。
通信部40は、表示装置3の通信部140との間でのデータ通信を行うものであり、処理部20が生成した運動能力情報や走行中出力情報、あるいは走行後出力情報を受け取って表示装置3に送信する処理、表示装置3から送信されたコマンド(計測スタート/ストップのコマンドや走行分析処理の開始/終了のコマンド等)を受信して処理部20に送る処理等を行う。
表示装置3は、処理部120、記憶部130、通信部140、操作部150、計時部160、表示部170、音出力部180及び振動部190を含んで構成されている。ただし、本実施形態の表示装置3は、これらの構成要素の一部を削除又は変更し、あるいは、他の構成要素を追加した構成であってもよい。 また、表示装置3は脈拍計70を備えている。
処理部120は、記憶部130に記憶されているプログラムに従って、各種の演算処理や制御処理を行う。例えば、処理部120は、操作部150から受け取った操作データに応じた各種処理(計測スタート/ストップのコマンドや走行分析処理の開始/終了のコマンドを通信部140に送る処理や操作データに応じた表示処理や音出力処理等)、通信部140から走行中出力情報や走行後出力情報を受け取り、走行中出力情報や走行後出力情報に応じたテキストデータや画像データを表示部170に送る処理、走行中出力情報や走行後出力情報に応じた音データを音出力部180に送る処理、走行中出力情報に応じた振動データを振動部190に送る処理を行う。また、処理部120は、計時部160から受け取った時刻情報に応じた時刻画像データを生成して表示部170に送る処理等を行う。
記憶部130は、例えば、処理部120が各種処理を行うためのプログラムやデータが記憶されるROMや処理部120の作業領域となるRAM等の各種ICメモリーにより構成される。
通信部140は、運動能力算出装置2の通信部40との間でのデータ通信を行うものであり、処理部120から操作データに応じたコマンド(計測スタート/ストップのコマンドや走行分析処理の開始/終了のコマンド等)を受け取って運動能力算出装置2に送信する処理、運動能力算出装置2から送信された運動能力評価情報や走行中出力情報、走行後出力情報を受信して処理部120に送る処理、あるいは脈拍計70から出力された脈拍数の計測データを運動能力算出装置2に送信する。
操作部150は、ユーザーからの操作データ(計測スタート/ストップ、表示内容の選択等の操作データ)を取得し、処理部120に送る処理を行う。操作部150は、例えば、タッチパネル型ディスプレイ、ボタン、キー、マイクなどであってもよい。 なお、本実施形態の運動能力算出処理で用いるユーザーの体重の情報などの基礎データを操作部150が取得し、処理部120に送る処理を行う構成としてもよい。操作部150により所得され処理部120に送られた基礎データは、通信部120を介して運動能力算出装置2へ送信される。
計時部160は、年、月、日、時、分、秒等の時刻情報を生成する処理を行う。計時部160は、例えば、リアルタイムクロック(RTC:Real Time Clock)ICなどで実現される。
表示部170は、処理部120から送られてきた画像データやテキストデータを、文字、グラフ、表、アニメーション、その他の画像として表示するものである。表示部170は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ、EPD(Electrophoretic Display)等のディスプレイで実現され、タッチパネル型ディスプレイであってもよい。なお、1つのタッチパネル型ディスプレイで操作部150と表示部170の機能を実現するようにしてもよい。
音出力部180は、処理部120から送られてきた音データを、音声やブザー音等の音として出力するものである。音出力部180は、例えば、スピーカーやブザーなどで実現される。
振動部190は、処理部120から送られてきた振動データに応じて振動する。この振動が表示装置3に伝わり、表示装置3を装着したユーザーが振動を感じることができる。振動部190は、例えば、振動モーターなどで実現される。
〔運動能力算出方法(処理の手順)〕 次に、ユーザーの運動能力算出方法について図面を参照しながら説明する。本実施形態では、ユーザーがランニングを実施した際の運動能力算出方法について説明する。図3は、処理部20が行う運動能力算出処理の手順の一例(運動能力算出方法の一例)を示すフローチャートである。処理部20は、記憶部30に記憶されている運動能力算出プログラム370を実行することにより、図3のフローチャートの手順で運動能力算出処理を実行する。
図3において、処理部20は、計測スタートのコマンドを受信するまで待機し(ステップS10のN)、計測スタートのコマンドを受信した場合(ステップS10のY)、まず、ユーザーが静止しているものとして、慣性計測ユニット10が計測したセンシングデータ、及び、GPSデータを用いて、初期姿勢、初期位置、初期バイアスを計算するとともに、ユーザーに最大努力の走行開始を求めるためのデータを生成して表示装置3に送る(ステップS20)。走行開始を求めるためのデータは、上述のテキストデータ、画像データ、音データ、および振動データのうち、ユーザーが表示部170を見続けていなくても走行開始が求められたことを認識できる音データや振動データが好ましいが、テキストデータや画像データを表示装置3に表示させることとしてもよい。ユーザーは、走行開始を求めるデータを表示装置3からの音や振動などにより認識したとき、運動能力算出処理のための走行を開始する。
ステップS20において開始されたユーザーの走行中に、処理部20は、慣性計測ユニット10からセンシングデータを取得する。センシングデータは、加速度センサー12および角速度センサー14の出力と、GPSユニット50の検出結果から得られるGPSデータ及び地磁気センサー60の検出結果から得られる地磁気データを用いて演算を行うことによって算出される加速度、角速度、速度、位置、姿勢角、距離、ストライド及び走行ピッチなどを含む。これらのセンシングデータは計測データ取得部21に取得され、記憶部30のセンシングデータテーブル310に時系列的に付加される(ステップS30)。
また、処理部20は、ユーザーの体重の情報を取得する(ステップS40)。ユーザーの体重の情報は、上述したように、表示装置3の操作部15を操作することにより予め入力されて運動能力算出装置2に送られ、記憶部30に記憶される。ユーザーの体重の情報の取得のタイミングは、ステップS20のユーザーの走行開始後でなくてもよい。
また、処理部20の計測データ取得部21は、表示装置3の脈拍計70により計測される脈拍数の情報を取得する(ステップS50)。
次に、処理部20は、運動能力データ生成部250により、ユーザーの運動能力データを生成する。運動能力データ生成部250の運動能力データの生成では、まず、ステップS30で取得した加速度および速度を含むセンシングデータと、ユーザーの体重の情報とから、所定時間内の運動量を示す運動出力を算出する(ステップS60)。 次に、運動能力データ生成部250は、ステップS50で取得したユーザーの脈拍数と、ステップS60で算出した運動出力とに基づいて、拍出量を算出する(ステップS70)。拍出量SV、脈拍数HR、および運動出力の関係は、運動出力=a(SV×HR)の式で表すことができる。ここで、aは、上述の体重の情報などに基づく係数である。これにより、拍出量は、運動出力SVを脈拍数HRで除した値に基づいて推定することができる。
次に、処理部20は、ステップS70で生成した運動能力データに基づいて、ユーザーの運動能力の評価を行う(ステップS80)。図4は、運動能力算出処理における、ユーザーの運動能力の評価の一例を示す説明図である。 図4において、縦軸は運動出力、横軸は脈拍数である。この2軸の指標の関係を示す図表に、今回のユーザーの運動能力を示すデータB、および、当該ユーザーの前回、あるいは過去の運動能力を示すデータAがプロットされている。
図4において、ユーザーの今回生成された運動能力データBと、ユーザーの前回、あるいは過去の運動能力データAとの同じ運動出力における脈拍数の値を比較してみると、前回あるいは過去の運動能力データAの脈拍数よりも、今回の運動能力データBの脈拍数の方が少ない結果となっている。これは、同じ強度の運動出力の運動をしたときの脈拍数が下がったということであり、運動能力は向上したと評価することができる。これは、同じ脈拍数における運動出力の比較をした場合でも同様な評価を行うことができる。
図3に戻り、次に、処理部20は、ステップS80の運動能力評価結果の内容をユーザーに通知するか否かを判定する(ステップS90)。運動能力の評価結果の内容をユーザーに通知する必要がないと判断した場合(ステップS90でN)、運動能力算出理を終了する。これとは異なり、例えば、図4に示す運動能力の評価結果において、ある範囲を超えて運動能力が向上したか、逆に運動能力が低下したときなどのように、運動能力評価結果をユーザーに通知すると判断した場合(ステップS90でY)、処理部20は、運動能力の評価結果の内容に応じて、ユーザーに通知する所望のデータ種類にて通知データ(アドバイスデータ)を生成し(ステップS100)、通信部40を介して表示装置3に送る(ステップS110)。通知データは、例えば、運動能力が前回トレーニング時よりも向上し
ているといったことや、筋力や持久力などを向上させるトレーニングの必要性を通知するメッセージなど、様々な通知が考えられる。 なお、運動能力の評価結果の内容の通知をリアルタイムに常時行う構成としてもよい。 通知データをユーザーに通知した後は、一連の運動能力算出処理の工程を終了する。
ているといったことや、筋力や持久力などを向上させるトレーニングの必要性を通知するメッセージなど、様々な通知が考えられる。 なお、運動能力の評価結果の内容の通知をリアルタイムに常時行う構成としてもよい。 通知データをユーザーに通知した後は、一連の運動能力算出処理の工程を終了する。
なお、以上説明した実施形態1の運動能力算出方法では、今回算出された運動出力と脈拍数との関係を示すデータと、過去の運動出力と脈拍数との関係を示すデータとの比較により、ユーザーの運動能力の変化の有無や大きさ(度合)を把握したが、これに限らず、上記実施形態1の運動能力算出処理にて得られたユーザーの拍出量と、例えば過去の自分の拍出量や同性・同年齢の拍出量の基準値との比較により、その比較結果に基づいてユーザーの運動能力を評価する構成としてもよい。この他にも、実施形態1の運動能力算出方法で得られた拍出量と脈拍数とから、最大酸素摂取量を推測する構成とすることもできる。
以上述べたように、実施形態1の運動能力算出装置2、運動能力算出システム1、および、それを用いた運動能力評価方法によれば、以下の効果を得ることができる。 (1)例えば、実施形態1に係る運動能力算出システム1、および、それを用いた運動能力算出処理(運動能力算出方法)によれば、ユーザーに対して、ユーザー自身の運動能力の相対的な評価結果を示すことができる。これにより、ユーザーの運動能力の向上あるいは低下などの変化やその度合を示してユーザーに認識させ、その後のトレーニング方法を決めるうえでのヒントとさせたり、ユーザーのトレーニングに対するモチベーションの向上を図ったりする効果が期待できる。
(2)また、実施形態1の運動能力算出システム1によれば、被験者に装着された慣性センサーを備えた慣性計測ユニット10と、慣性センサーの出力から加速度および速度の情報、および、被験者の体重の情報などを取得する受信部としての計測データ取得部21と、加速度、速度、および体重の情報から所定時間内の被験者の運動出力を算出する演算部としての運動能力データ生成部250と、を含む運動能力算出装置2と、を備えている。 これにより、被験者に装着された慣性センサーにより取得された加速度および速度の情報と、被験者の体重の情報とから、被験者の所定時間内の運動量を示す運動出力を精度よく求めることができ、求めた運動出力に基づいて被験者の運動能力を評価することが可能な運動能力算出システム1を提供することができる。
(3)実施形態1の運動能力演算システム1は、被験者の脈拍数を計測する脈拍計を含み、その脈拍計により計測した被験者の脈拍数と、上述した運動出力とに基づいて拍出量を算出する機能を有する構成とした。また、脈拍計は、リスト型の表示装置3に実装され、被験者の手首部の脈拍数を計測する構成とした。 この構成によれば、被験者の脈拍数と運動能力とに基づいて拍出量を算出し、その拍出量を用いて被験者の心臓能力を含めた運動能力を比較的容易に求めることができる。また、脈拍計をリスト型の表示装置3に実装したタイプとすることにより、例えば、胸に巻きつけて装着するハートレートセンサーなどに比して被験者の装着による煩わしさを軽減しながら、常時連続して脈拍値の計測データを得ることができる。
(4)また、本実施形態の運動能力算出方法では、ユーザーが装着した慣性計測ユニット10の出力から加速度および速度の情報を取得し、ユーザーの体重の情報を取得し、取得したそれらの情報から所定時間内の運動量を示す運動出力を算出するステップと、を含む構成とした。 これにより、ユーザーの所定時間内の運動量を示す運動出力を比較的簡単に精度よく求めることができ、求めた運動出力に基づいてユーザーの運動能力を評価することができる。
(5)また、本実施形態では、ユーザーに装着した脈拍計により脈拍数の情報を取得するステップを含み、脈拍数と、運動出力とに基づいて拍出量を算出するステップを有する構成とした。 これにより、リアルタイム且つ高精度にてユーザーの脈拍数を取得しながら、その脈拍数と運動能力とに基づいて拍出量を算出し、その拍出量を用いて被験者の心臓能力を含めた運動能力を求めることができる。
(6)また、本実施形態では、拍出量を、運動出力を脈拍数で除した値に基づいて推定する構成とした。 これにより、通常は、特殊な設備や器具を必要とする拍出量の計量を、慣性センサーにより取得された情報などから算出される運動出力と、脈拍計70で測定した脈拍数とから比較的容易に推定することができ、得られた拍出量により、ユーザーの運動能力を算出することができる。
なお、本発明は上述した実施形態1に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。上記実施形態の他の実施形態について以下に述べる。
<その他の実施形態> なお、本発明は上述した実施形態1に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。上記実施形態の他の実施形態について以下に述べる。なお、実施形態1と同一の構成部位については、同一の番号を使用し、重複する説明は省略する。
(実施形態2) 図5は、実施形態2の運動能力算出処理における、ユーザーの運動能力の評価の一例を示す説明図である。 図5において、縦軸は運動出力、横軸は脈拍数である。この2軸の指標の関係を示す図表に、今回のユーザーの運動能力を示す第1のデータS、および、当該ユーザーの前回、あるいは過去の運動能力を示す第2のデータTがプロットされている。 図5において、ユーザーの今回生成された運動能力データである第1のデータSと、ユーザーの前回、あるいは過去の運動能力データである第2のデータTとの比較評価のポイントが大きく4つある。その4つの比較評価の方法について、以下、説明する。
≪C部≫ まず、図5の矢印Cで指し示す部分においては、所定の運動出力に対する第1のデータSと第2のデータTとの脈拍数を比較する。これは、上記実施形態1で行った評価方法と同じである。即ち、所定の同じ運動出力における第1のデータSと第2のデータTとの脈拍数の値を比較してみると、第1のデータSの脈拍数の方が第2のデータTの脈拍数よりも少ない。同じ強度の運動出力の運動をしたときの脈拍数が少ないということは、第1のデータSの方が、第2のデータTよりも運動能力が高いということができる。このように、同じ運動出力における脈拍数が低いほど運動能力は高いと判断でき、被験者が自身の運動能力を相対的に把握することができる。
≪D部≫ 次に、図5の矢印Dで指し示す部分においては、上述の矢印Cとは逆に、所定の脈拍量に対する第1のデータSと第2のデータTとの運動出力を比較する。所定の同じ脈拍量における第1のデータSと第2のデータTとの運動出力の値を比較してみると、C部と同様に、第1のデータSの運動出力の方が第2のデータTの運動出力よりも大きい。少ない脈拍量の状態でより強い運動出力が得られている第1のデータSの方が、第2のデータTよりも運動能力が高い判断でき、被験者が自身の運動能力を相対的に把握することができる。
≪E部≫ 次に、図5の矢印Eで指し示す部分(2ケ所)においては、第1のデータSおよび第2のデータTそれぞれの運動出力が飽和する脈拍数を比較する。運動出力が飽和するとは、運動出力を上げていくのに略比例して直線的に増加していく脈拍量がある値に達すると、脈拍数は増加しても運動出力が上昇しなくなり、さらには脈拍数が増えるのに運動出力が減る状態となることもある。図5では、第1のデータSよりも少ない脈拍量で第2のデータTの運動出力が飽和している。このように、運動出力が飽和したときの脈拍数が低いほど、脈拍数に見合うだけの運動出力ができなくなるポイントが低いことから、第1のデータSよりも第2のデータTの運動能力の方が低いと判断することができる。
≪F部≫ 次に、図5の矢印Fで指し示す部分は、第1のデータSおよび第2のデータTの最高脈拍数である。本実施形態では、最高脈拍数は最大心拍数と同じものとする。図5では、第1のデータSの方が第2のデータTよりも最高脈拍数が高い。この実施形態によれば、最高脈拍数が高いほどに運動能力は高いと判断することができる。
(実施形態3) 図6および図7は、実施形態3の運動能力算出処理におけるユーザーの運動能力の評価の一例を示す説明図であり、図6は実測区間の運動出力と脈拍数との関係から非実測区間の運動出力と脈拍数との関係を推定する方法を示す説明図であり、図7は、図6に示す推定結果から被験者の運動能力を算出する方法を示す説明図である。
図6に示す運動出力(縦軸)と脈拍数(横軸)との関係を示すデータ(グラフ)において、実測区間に示されたグラフ線は、上記実施形態1で説明した運動能力算出方法(図3のステップS1〜ステップS60(S70))により実測値されたセンシングデータや脈拍数データに基づいて算出されプロットされたものである。 これに対して、図中、非測定区間と示された区間のグラフ線は、実測区間のグラフ線の傾きから推測されたものである。 非推定区間の推測値(グラフ線)からは、所定の脈拍数における運動出力を推定することができるので、被験者の運動能力を算出することができる。 ここで、所定の脈拍数として、最高脈拍数を推定することができる。また、最高脈拍数を所定の脈拍数とすることで、最大運動出力推定値Qを推定することができる。
図7は、縦軸に酸素摂取量、横軸に運動出力として、図6で推定した最大運動出力から、最大酸素摂取量を推定した運動能力算出方法を示している。具体的には、図6により算出した最大運動出力推定値Qに対応する酸素摂取量を最大酸素摂取量として推定している。これにより、運動能力評価の有効な指標である最大酸素摂取量を算出することができる。
以上、発明者によってなされた本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
10…慣性計測ユニット。
Claims (19)
- 被験者に装着した慣性センサーの出力から加速度および速度の情報を取得するステップと、 前記被験者の体重の情報を取得するステップと、 前記加速度、前記速度、および前記体重の情報から所定時間内の運動量を示す運動出力を算出するステップと、を含むことを特徴とする運動能力算出方法。
- 請求項1に記載の運動能力算出方法において、 前記被験者の脈拍数の情報を取得するステップを含み、 前記脈拍数と、前記運動出力とに基づいて拍出量を算出するステップを有することを特徴とする運動能力算出方法。
- 請求項2に記載の運動能力算出方法において、 前記脈拍数の情報は、前記被験者に装着した脈拍計により計測された脈拍数であることを特徴とする運動能力算出方法。
- 請求項2または3に記載の運動能力算出方法において、 前記拍出量は、前記運動出力を前記脈拍数で除した値に基づいて推定されることを特徴とする運動能力算出方法。
- 請求項2〜4のいずれか一項に記載の運動能力算出方法において、 算出された前記拍出量と、該拍出量の比較対象となる基準拍出量とを比較した比較結果に基づいて運動能力を評価することを特徴とする運動能力算出方法。
- 請求項2〜5のいずれか一項に記載の運動能力算出方法において、 前記脈拍数と前記運動出力との関係を示す第1のデータと、該第1のデータとは異なる脈拍数と運動出力との関係を示す第2のデータとを比較した結果に基づいて前記運動能力を評価することを特徴とする運動能力算出方法。
- 請求項6に記載の運動能力算出方法において、 所定の脈拍数における前記第1のデータと前記第2の
データとの前記運動出力を比較することを特徴とする運動能力算出方法。 - 請求項6に記載の運動能力算出方法において、 所定の運動出力に対する前記第1のデータと前記第2のデータとの脈拍数を比較することを特徴とする運動能力算出方法。
- 請求項6に記載の運動能力算出方法において、 前記第1のデータと前記第2のデータとの運動出力が飽和する脈拍数を比較することを特徴とする運動能力算出方法。
- 請求項6に記載の運動能力算出方法において、 前記第1のデータと前記第2のデータとの最高脈拍数を比較することを特徴とする運動能力算出方法。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の運動能力算出方法において、 前記脈拍数と前記運動出力との関係を示すグラフの実測区間の傾きから非測定区間の傾きを推測し、所定の脈拍数における前記運動出力を推定することを特徴とする運動能力算出方法。
- 請求項11に記載の運動能力算出方法において、 推定された前記運動出力に基づいて最大酸素摂取量を推定することを特徴とする運動能力算出方法。
- 請求項11に記載の運動能力算出方法において、 前記所定の脈拍数は、被験者の最高脈拍数であることを特徴とする運動能力算出方法。
- 被験者に装着した慣性センサーの出力から加速度および速度の情報、および、前記被験者の体重の情報を取得する受信部と、 前記加速度、前記速度、および前記体重の情報から所定時間内の運動量を示す運動出力を算出する演算部と、を含むことを特徴とする運動能力算出装置。
- 請求項14に記載の運動能力算出装置において、 前記受信部は、前記被験者の脈拍数の情報を取得する機能を含み、 前記演算部は、前記脈拍数と、前記運動出力とに基づいて拍出量を算出する機能を含むことを特徴とする運動能力算出装置。
- 被験者に装着される慣性センサーと、 前記慣性センサーの出力から加速度および速度の情報、および、前記被験者の体重の情報を取得する受信部、前記加速度、前記速度、および前記体重の情報から所定時間内の運動量を示す運動出力を算出する演算部、を含む運動能力算出装置と、 を備えた運動能力算出システム。
- 請求項16に記載の運動能力算出システムにおいて、 前記被験者に装着され該被験者の脈拍数を計測する脈拍計を含み、 前記演算部は、前記脈拍数と、前記運動出力とに基づいて拍出量を算出する機能を含むことを特徴とする運動能力演算システム。
- 被験者に装着した慣性センサーの出力から加速度および速度の情報を得ることと、 前記被験者の体重の情報を得ることと、 前記加速度、前記速度、および前記体重の情報から、所定時間内の運動量を示す運動出力を算出することと、をコンピュータに実行させるプログラム。
- 請求項18に記載のプログラムにおいて、 前記被験者に装着された脈拍計により該被験者の脈拍数を計測することと、 前記脈拍数と、前記運動出力とに基づいて拍出量を算出することと、を含むプログラム。
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