JP2016030997A - 揚土船用バックホウのバケット - Google Patents
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Abstract
【課題】バケットからの土砂の零れによる周辺水域の汚濁を防止し、かつバケット内壁面への土砂の付着を原因とした揚土効率の低下を防止できる揚土船用バックホウのバケットを提供する。【解決手段】バケット10の開口部28の元部に、回動ピン16と軸線が平行な回動軸30を介して、バケット10の開口部28を覆う蓋板31の元部を連結する。リフトアーム15の先部と蓋板31とを、バケット10の開口部28の閉蓋位置に位置するよう連結部材により連結する。バケット10の開口部28の周縁部分に、閉蓋時、開口部28と蓋板31との隙間を塞ぐパッキン37を設ける。バケット10の内壁面のみに補強リブ35,36を設け、バケットの内外壁面に、合成樹脂を主成分とする塗料を塗布して土砂付着防止膜を形成するで、バケットの内外壁面の摩擦係数を塗料の塗布前に比較して小さくする。【選択図】図1
Description
この発明は、揚土船用バックホウのバケット、詳しくは土運船から土砂を揚土船により陸揚げする際に使用される揚土船用バックホウのバケットに関する。
例えば、港湾の浚渫作業では、グラブ式浚渫船を用いて浚渫した土砂を土運船により岸壁まで運搬し、ここで、揚土船に搭載したバックホウを利用して土運船の泥艙から土砂を浚い取り、その後、この土砂を圧送機やベルトコンベアなどの揚土機に投下し、内陸へ運搬している。
従来、揚土船に搭載されたバックホウとして、例えば特許文献1の「バックホウ式揚土船」に記載されたものが知られている。このバックホウのリフトアームの先端部には、回動ピンを介してバケットが片持ち状態で連結されている。バケットは、リフトアームに設けた油圧シリンダのロッドの突出または没入により回動操作される。
従来、揚土船に搭載されたバックホウとして、例えば特許文献1の「バックホウ式揚土船」に記載されたものが知られている。このバックホウのリフトアームの先端部には、回動ピンを介してバケットが片持ち状態で連結されている。バケットは、リフトアームに設けた油圧シリンダのロッドの突出または没入により回動操作される。
しかしながら、従来の揚土船用バックホウのバケットは、開口部が常に開いていた。そのため、土運船から掬った土砂を揚土機に移動する途中で、バケットの開口部から土砂が海面に落下し、海中に濁水が発生して湾岸環境に悪影響を与えていた。
また、従来のバケットでは、一部の土砂がバケットの内壁面や外壁面に付着して残存していた。このような場合、以下の課題が懸念される。すなわち、バックホウのリフトアームを旋回してバケットを土運船と揚土機との間で移動させる際、バケットの外壁面の付着物が海面に零れ落ちるおそれがあった。また、土砂がバケットの内壁面に付着した分だけ、次回のバケットの開閉操作で浚われる土砂の量が減少し、揚土効率が低下するおそれがあった。
また、一般的に揚土船用バックホウのバケットは大型で、1回の操作で掬い取る土砂の量は例えば4〜5tと多い。そこで、バケットの両側板には、強度を確保するために補強リブが配設されている。しかしながら、従来のバケットでは、その補強リブがバケットの両側板の外壁面に配設されていたため、土運船から土砂を掬ったとき、バケットの両側板に土砂が多量に付着していた。この付着した土砂がリフトアームの旋回中に海面に落下するおそれがあった。
また、従来のバケットでは、一部の土砂がバケットの内壁面や外壁面に付着して残存していた。このような場合、以下の課題が懸念される。すなわち、バックホウのリフトアームを旋回してバケットを土運船と揚土機との間で移動させる際、バケットの外壁面の付着物が海面に零れ落ちるおそれがあった。また、土砂がバケットの内壁面に付着した分だけ、次回のバケットの開閉操作で浚われる土砂の量が減少し、揚土効率が低下するおそれがあった。
また、一般的に揚土船用バックホウのバケットは大型で、1回の操作で掬い取る土砂の量は例えば4〜5tと多い。そこで、バケットの両側板には、強度を確保するために補強リブが配設されている。しかしながら、従来のバケットでは、その補強リブがバケットの両側板の外壁面に配設されていたため、土運船から土砂を掬ったとき、バケットの両側板に土砂が多量に付着していた。この付着した土砂がリフトアームの旋回中に海面に落下するおそれがあった。
そこで、発明者は鋭意研究の結果、バケットの開口部を閉じる蓋板を設けるとともに、開口部の周縁部分に土砂の流出を防ぐパッキンを設け、かつバケットの外壁面および内壁面に、これらの面より表面の摩擦係数が小さく土砂が付着し難くなる土砂付着防止膜を形成し、さらにはバケットの両側板の内壁面に補強リブを配設すれば、上述した問題は解消されることを知見し、この発明を完成させた。
すなわち、この発明は、バケットからの土砂の零れによる周辺水域の汚濁を防止し、かつバケット内壁面への土砂の付着を原因とした揚土効率の低下を防止することができる揚土船用バックホウのバケットを提供することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、揚土船に設けられ、土運船の泥艙に溜まった土砂を掬うバックホウのリフトアームの先端部に、回動ピンを介して開口部の元部が連結された揚土船用バックホウのバケットにおいて、蓋板の元部を、前記バケットの開口部の元部に、前記回動ピンの軸線と平行な軸線を有する回動軸を介して連結し、前記リフトアームの先部と前記蓋板とを連結部材により連結することで、前記バケットの開口部を閉蓋する位置に前記蓋板が設けられ、前記開口部と前記蓋板とをパッキンにより隙間なく閉蓋可能とし、前記バケットを補強する補強リブを、前記バケットの内壁のみに設け、前記バケットの内外壁面に、合成樹脂を主成分とする塗料を塗布して土砂付着防止膜を形成することにより、前記バケットの内外壁面の摩擦係数を前記塗料の塗布前に比較して小さくした揚土船用バックホウのバケットである。
バックホウが設けられた揚土船は、バックホウを利用して、土運船の泥艙に溜まった土砂を掬い取るもので、自走式のものでも、曳航式のものでもよい。
バックホウは、揚土船に固定式のものでも、自走式のものでもよい。
バケットは、バックホウのリフトアームの先端部に、軸線がリフトアームの長さ方向に直交する回動ピンを介して、片持ち状態で連結可能なものであれば、その形状、サイズなどは任意である。
バケットの開口部は矩形状で、その4つの辺部のうち、リフトアームが連結される辺部をバケットの開口部の元部とし、この元部と対向する辺部をバケットの開口部の先部とする。
バックホウは、揚土船に固定式のものでも、自走式のものでもよい。
バケットは、バックホウのリフトアームの先端部に、軸線がリフトアームの長さ方向に直交する回動ピンを介して、片持ち状態で連結可能なものであれば、その形状、サイズなどは任意である。
バケットの開口部は矩形状で、その4つの辺部のうち、リフトアームが連結される辺部をバケットの開口部の元部とし、この元部と対向する辺部をバケットの開口部の先部とする。
また、リフトアームには、泥艙の形成壁付近に溜まった土砂をバケットにより掬う際、バックホウの操縦者がその掬い取り状況を視認するため、連結部材を巻き上げるウインチ(油圧式のものなど)を設けた方が望ましい。例えば、土運船の泥艙に溜まった土砂のうち、泥艙の揚土船側の形成壁付近の土砂を掬う際など、バックホウの操縦者が土砂の掬い取り状況を視認し難い場合には、リフトアームに設けたウインチを作動し、連結部材を巻き上げて、回動軸を中心にして蓋板を上方に回動させる。これにより、バケットの上方で蓋板が起立し、バックホウの操縦者が土砂の掬い取り状況を視認し易くなる。しかも、あらかじめ蓋板を立ち上げるため、泥艙の揚土船側の形成壁付近に溜まった土砂を掬う際に、蓋板が邪魔にならない。
蓋板の形状およびサイズは、バケットの開口形状およびサイズに応じて適宜変更される。
蓋板は、バケットの開口部の元部に、軸線が回動ピンの軸線と平行な回動軸を介して連結されている。
連結部材は、例えば、チェーン、ワイヤ、ロープなどであり、蓋板を吊り下げるように連結部材と蓋板とを連結することにより蓋板が所定位置に設けられる。この連結部材は、蓋板とリフトアームとが連結可能な長さを有している。そして、蓋板とリフトアームとを連結部材を介して連結すすることにより、バケットの開口部の閉蓋位置に蓋板が設けられる。これにより、蓋板は、上方への回動のみが許容された状態で、リフトアームの先端部の前方(リフトアームの引き寄せ方向または手前方向)で、連結部材により連結される。
「バケットの開口部の閉蓋位置」とは、リフトアームの後側面(バックホウの上部旋回体側の面)を基準として、この開口部が45°〜90°傾斜する位置である。
連結部材の使用数は、1本でも、2本以上でもよい。
蓋板は、バケットの開口部の元部に、軸線が回動ピンの軸線と平行な回動軸を介して連結されている。
連結部材は、例えば、チェーン、ワイヤ、ロープなどであり、蓋板を吊り下げるように連結部材と蓋板とを連結することにより蓋板が所定位置に設けられる。この連結部材は、蓋板とリフトアームとが連結可能な長さを有している。そして、蓋板とリフトアームとを連結部材を介して連結すすることにより、バケットの開口部の閉蓋位置に蓋板が設けられる。これにより、蓋板は、上方への回動のみが許容された状態で、リフトアームの先端部の前方(リフトアームの引き寄せ方向または手前方向)で、連結部材により連結される。
「バケットの開口部の閉蓋位置」とは、リフトアームの後側面(バックホウの上部旋回体側の面)を基準として、この開口部が45°〜90°傾斜する位置である。
連結部材の使用数は、1本でも、2本以上でもよい。
パッキンとしては、例えば、流体の圧力を利用して密閉性を高めるセルフシールパッキン(Oリングやリップパッキン)を採用することができる。
パッキンは、バケットの開口部の全周またはその一部を除く部分に設けられる。
補強リブとしては、バケットの内壁面に直交するフィン状のリブでも、バケットの部分的な厚みを増す平板状のリブでもよい。補強リブの形成位置は任意である。例えば、バケットの両側板の内壁面でも、バケットの胴板(本体板)の内壁面でもよい。
パッキンは、バケットの開口部の全周またはその一部を除く部分に設けられる。
補強リブとしては、バケットの内壁面に直交するフィン状のリブでも、バケットの部分的な厚みを増す平板状のリブでもよい。補強リブの形成位置は任意である。例えば、バケットの両側板の内壁面でも、バケットの胴板(本体板)の内壁面でもよい。
土砂付着防止膜の原料となる合成樹脂としては、例えば、各種のエステル系樹脂(アルキド樹脂を含む)、各種のアクリル系樹脂、各種のフェノール系樹脂などを採用することができる。具体的には、メタアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、酢酸ビニル、およびエチレンから選ばれた不飽和基を含有する有機化合物と、アクリル酸などを採用することができる。その他、アルコキシシロキサンを主成分とする硬化性組成物に、平均粒径2μm以下の酸化亜鉛を混合したものなどを採用することができる。
バケットの内外壁面への土砂付着防止膜による被覆方法としては、例えば、土砂付着防止塗料の塗布、その後の乾燥工程を有するものなどを採用することができる。
土砂付着防止膜の厚さは、例えば100μm〜200μmである。
土砂付着防止膜によって被覆されるのは、バケットの内壁面の全面および外壁面の全面が好ましい。これにより、バケットの内外壁面への土砂の付着量を最小にすることができる。ただし、土砂付着防止膜による被覆部分は、これらの面の各一部でもよい。なお、蓋板の表裏面にも土砂付着防止膜を形成した方が、蓋板に付着した土砂の落下による周辺水域の汚濁防止効果が得られる。
土砂付着防止膜の厚さは、例えば100μm〜200μmである。
土砂付着防止膜によって被覆されるのは、バケットの内壁面の全面および外壁面の全面が好ましい。これにより、バケットの内外壁面への土砂の付着量を最小にすることができる。ただし、土砂付着防止膜による被覆部分は、これらの面の各一部でもよい。なお、蓋板の表裏面にも土砂付着防止膜を形成した方が、蓋板に付着した土砂の落下による周辺水域の汚濁防止効果が得られる。
前記土砂付着防止膜としては、アルキド樹脂塗料を乾燥させた塗膜を採用することができる。この場合には、土砂に対する土砂付着防止膜の低い摩擦係数を確保しながら、土砂付着防止膜に対して高い耐水性、高い耐薬品性(一般的にpH8程度の海水への対応)、高い耐衝撃性、高い耐摩耗性を付与することができる。そのため、土砂付着防止膜は、一般的な揚土作業を行った場合で、10日前後の連続使用に耐える。
アルキド樹脂塗料としては、例えば、日本化学塗料株式会社製の「ケミカNo.2クリヤー」を採用することができる。
なお、合成樹脂塗料膜の表面に重ねて、フッ素樹脂塗料などの高摺動性塗料を塗布、乾燥させてもよい。
アルキド樹脂塗料としては、例えば、日本化学塗料株式会社製の「ケミカNo.2クリヤー」を採用することができる。
なお、合成樹脂塗料膜の表面に重ねて、フッ素樹脂塗料などの高摺動性塗料を塗布、乾燥させてもよい。
請求項2に記載の発明は、前記蓋板の先端部に、該蓋板の幅方向に長い複数の短冊板を、下方へのみ回動可能な複数のヒンジによって隣り合う短冊板同士を連結した延長蛇腹板部を設け、該延長蛇腹板部を構成する前記複数の短冊板のうち、最も先側に配置された短冊板に、前記連結部材の下端部を連結した請求項1に記載の揚土船用バックホウのバケットである。
短冊板としては、例えば、蓋板の幅と同じ長さを有する細長い金属(鉄、鋼など)製の板材を採用することができる。短冊板の使用数は2つ以上であれば任意である。
延長蛇腹板部における蓋板の長さ方向の長さ(短冊板の連結方向の長さ)は、蓋板の長さの10〜50%である。なお、延長蛇腹板部だけでなく、蓋板も延長蛇腹板部と同一構造として、下方への回動のみが可能な構造としてもよい。ただし、蓋板はパッキンを介してバケットの開口部を密封する部材であるため、変形しない1枚板の方が好ましい。
下方への回動のみが可能なヒンジとしては、例えば、各種の片開き蝶番などを採用することができる。ヒンジには、構成体のすきまに土砂が流入するのを防ぐカバー部材を設けた方が望ましい。
「複数の短冊板のうち、最も先側に配置された短冊板」とは、延長蛇腹板部を構成する複数の短冊板のうちで、蓋板から最も離れた短冊板をいう。
延長蛇腹板部における蓋板の長さ方向の長さ(短冊板の連結方向の長さ)は、蓋板の長さの10〜50%である。なお、延長蛇腹板部だけでなく、蓋板も延長蛇腹板部と同一構造として、下方への回動のみが可能な構造としてもよい。ただし、蓋板はパッキンを介してバケットの開口部を密封する部材であるため、変形しない1枚板の方が好ましい。
下方への回動のみが可能なヒンジとしては、例えば、各種の片開き蝶番などを採用することができる。ヒンジには、構成体のすきまに土砂が流入するのを防ぐカバー部材を設けた方が望ましい。
「複数の短冊板のうち、最も先側に配置された短冊板」とは、延長蛇腹板部を構成する複数の短冊板のうちで、蓋板から最も離れた短冊板をいう。
請求項3に記載の発明は、前記蓋板の先端部は上方に湾曲し、該蓋板の湾曲部分には、前記回動軸と軸線と平行な軸線を有し、前記蓋板より先方に突出する緩衝ローラを設けた請求項1に記載の揚土船用バックホウのバケットである。
「蓋板の先端が上方に湾曲する」とは、蓋板の先端部が蓋板の表面より外方に曲がっている状態を意味する。なお、蓋板の先端部は湾曲でなく、屈曲でもよい。
緩衝ローラの素材としては、例えば船舶の着岸時の衝撃を緩和するため、舷側に固定される防舷材と同じ耐摩耗性の合成ゴムなどを採用することができる。その他、緩衝ローラの素材は金属でもよいが、緩衝性が高い合成ゴムが好ましい。
緩衝ローラの素材としては、例えば船舶の着岸時の衝撃を緩和するため、舷側に固定される防舷材と同じ耐摩耗性の合成ゴムなどを採用することができる。その他、緩衝ローラの素材は金属でもよいが、緩衝性が高い合成ゴムが好ましい。
緩衝ローラの直径および長さは任意である。ただし、緩衝ローラの直径は、緩衝ローラの外周部の一部が、蓋板の湾曲した先端部から外方(蓋板の前方)へ突出するサイズでなければならない。
緩衝ローラの使用数は、1つでも2つ以上でもよい。ただし、それが複数の場合には、各緩衝ローラを蓋板の幅(蓋板の幅方向または蓋板の先端側の辺の長さ方向)に離間した方が、蓋板の先端が泥艙の揚土船側の形成壁に衝突した時の衝撃の緩和性が高まる。このローラ衝突時、蓋板は上方への回動のみ許容され、下方への回動はできない構造となっている。これは、バケットの開口部の閉蓋位置に蓋板がリフトアームの先部に連結部材によって連結されているためである。
緩衝ローラの使用数は、1つでも2つ以上でもよい。ただし、それが複数の場合には、各緩衝ローラを蓋板の幅(蓋板の幅方向または蓋板の先端側の辺の長さ方向)に離間した方が、蓋板の先端が泥艙の揚土船側の形成壁に衝突した時の衝撃の緩和性が高まる。このローラ衝突時、蓋板は上方への回動のみ許容され、下方への回動はできない構造となっている。これは、バケットの開口部の閉蓋位置に蓋板がリフトアームの先部に連結部材によって連結されているためである。
請求項1に記載の発明によれば、土運船の泥艙内で土砂を掬ったバケットを、回動ピンを中心にして上方へ回動する。その途中、バケットの開口部が閉蓋位置に到達し、バケットの開口部が蓋板により閉蓋される。なお、バケットの上方への回動をさらに進めても、リフトアームの先部と蓋板とを連結する連結部材が緩むだけで、蓋板が開口部を塞いだ状態は維持される。この状態のまま、リフトアームを土運船の上方で旋回し、土砂を掬ったバケットを揚土機の上方まで移動する。その後、回動ピンを中心にして、バケットを下方へ回動することにより、バケットの開口部の蓋板が開蓋し、土砂が揚土機に投入される。
このように、移動中のバケットの開口部は、常時、蓋板により閉蓋されている。また、この閉蓋時、開口部と蓋板との隙間はパッキンにより塞がれる。そのため、土運船から掬った土砂を揚土機に移動する途中、バケットの開口部から零れた土砂が水面に落下し、水中に濁水が発生して環境に悪影響を与えるおそれが低減される。
このように、移動中のバケットの開口部は、常時、蓋板により閉蓋されている。また、この閉蓋時、開口部と蓋板との隙間はパッキンにより塞がれる。そのため、土運船から掬った土砂を揚土機に移動する途中、バケットの開口部から零れた土砂が水面に落下し、水中に濁水が発生して環境に悪影響を与えるおそれが低減される。
また、一般的に鋼材からなるバックホウのバケットの内外壁面には、合成樹脂を主成分とする塗料を塗布し、土砂付着防止膜が形成されている。この土砂付着防止膜により、塗布前に比較して、浚った土砂に対するバケットの内外壁面の摩擦抵抗が低下する(摩擦係数が小さくなる)。これにより、泥艙での土砂掬い上げ時および土砂の揚土機投入時において、バケットの内外壁面からの土砂の滑落性が高まり、バケット表面(内外壁面)対する土砂の付着量が低減する。その結果、バックホウのリフトアームを旋回してバケットを揚土機に移動する途中、バケットの外壁面に付着した土砂がバケットから零れることで発生する、揚土作業を行う水域周辺の汚濁を防止することができる。
特に、補強リブをバケットの内壁面に設けたため、バケットの外壁面に補強リブを配した従来品に比べてバケット外壁面の平坦性が高まり、このバケット外壁面に対する土砂の付着量が減少し、揚土作業を行う水域周辺の汚濁防止効果がさらに高まる。また、バケットの内壁面への土砂の付着量も減少するため、この内壁面付着を原因とした次回のバックホウによる掬い上げ作業により浚い取れる土砂量を最大に近い状態で安定化でき、揚土効率の低下を防ぐことができる。
特に、補強リブをバケットの内壁面に設けたため、バケットの外壁面に補強リブを配した従来品に比べてバケット外壁面の平坦性が高まり、このバケット外壁面に対する土砂の付着量が減少し、揚土作業を行う水域周辺の汚濁防止効果がさらに高まる。また、バケットの内壁面への土砂の付着量も減少するため、この内壁面付着を原因とした次回のバックホウによる掬い上げ作業により浚い取れる土砂量を最大に近い状態で安定化でき、揚土効率の低下を防ぐことができる。
特に、請求項2に記載の発明によれば、蓋板の先端部に、複数の短冊板をヒンジにより連結した、下方へのみ回動可能な多関節の延長蛇腹板部を設け、かつ各短冊板のうち、最も先側の短冊板とリフトアームの先部とを連結することで、蓋板と延長蛇腹部とは、1枚の大判板としてバケットの開口部の閉蓋位置に連結部材によって蓋板の機能を果たす。そのため、土砂を掬ったバケットの開口部が閉蓋位置に到達した際、仮に土砂が山積み状態であっても、バケットの上方回動をさらに進めるだけで、回動ピンを中心とした蓋板の上方回動が進行し(蓋板が持ち上がり)、連結部材が緩んで延長蛇腹板部が各ヒンジを中心にして蛇腹状に下方へ折れ曲がる。その結果、この延長蛇腹板部によって、バケットの開口部を越した土砂の山積み部分を被う。これにより、リフトアームの旋回途中で懸念される、この土砂の山積み部分の崩れ落ちを原因とする、揚土作業の周辺水域の汚濁を防止できる。
また、請求項3に記載の発明によれば、土運船の泥艙に溜まった土砂のうち、泥艙の揚土船側の形成壁付近に溜まった土砂をバケットにより浚う際には、バケットの開口面を略垂直にして、リフトアームを泥艙の揚土船側の形成壁へ引き寄せる。このとき、蓋板は回動軸により元部がリフトアームの先端部に連結され、かつ蓋板の先端部が連結部材によりリフトアームの先部に連結されているため、蓋板は、常に土砂の表面に接して移動する。その結果、バケットがその形成壁近くに到達すると、まず蓋板の緩衝ローラが土運船の泥艙の形成壁に衝突する。その後もこの引き寄せを続行することで、緩衝ローラが泥艙の揚土船側の形成壁を上方へ向かって転動しながら、蓋板は回動軸を中心にして徐々に上方へ回動する。すなわち、蓋板は、専用の駆動源を用いることなく、リフトアームの引き寄せ力を利用して自動的に上方へ退避する。これにより、泥艙の揚土船側の形成壁付近に溜まった土砂をバケットにより浚う際、蓋板が邪魔にならない。
以下、この発明の実施例を具体的に説明する。ここでは、湾岸の浚渫作業の後処理として、土運船の泥艙に溜まった土砂を、岸壁に停泊する揚土船のバックホウによって揚土する際に使用される、揚土船用バックホウのバケットを例にとる。
図1および図2において、10はこの発明の実施例1に係る揚土船用バックホウのバケット(以下、バケット)で、このバケット10は、揚土船11に搭載され、かつ土運船12の泥艙13に溜まった土砂を掬うバックホウ14のリフトアーム15の先端部に、回動ピン16を介して片持ち状態で開口部28の元部が連結されたものである。
以下、これらの構成体を具体的に説明する。
図1に示すように、土運船12は自航式のもので、船体17の内部空間の大半部分が泥艙13となっている。この泥艙13に、浚渫船によって湾岸の海底から浚渫された土砂が積載されている。
揚土船11は、バックホウ14と、湾岸の海底の土砂の陸揚げ用の揚土機18とが甲板に搭載されている。揚土機18には、土砂を陸揚げするベルトコンベアが連結されている。
バックホウ14は、クローラ式の下部走行体21を有し、その上部に上部旋回体22が旋回可能に設けられている。上部旋回体22の前側部分には、泥艙13に溜まった土砂の揚土作業を行う作業装置23が搭載されている。
以下、これらの構成体を具体的に説明する。
図1に示すように、土運船12は自航式のもので、船体17の内部空間の大半部分が泥艙13となっている。この泥艙13に、浚渫船によって湾岸の海底から浚渫された土砂が積載されている。
揚土船11は、バックホウ14と、湾岸の海底の土砂の陸揚げ用の揚土機18とが甲板に搭載されている。揚土機18には、土砂を陸揚げするベルトコンベアが連結されている。
バックホウ14は、クローラ式の下部走行体21を有し、その上部に上部旋回体22が旋回可能に設けられている。上部旋回体22の前側部分には、泥艙13に溜まった土砂の揚土作業を行う作業装置23が搭載されている。
作業装置23は、上部旋回体22に設けられたブーム24と、ブーム24の先端部に設けられたリフトアーム15と、リフトアーム15の先端部に水平な回動ピン16を介して連結されたバケット10と、基端部が上部旋回体22に取り付けられ、かつロッドの先端部がブーム24に取り付けられたブームシリンダ25と、基端部がブーム24に取り付けられ、かつロッドの先端部がリフトアーム15に取り付けられたアームシリンダ26と、基端部がリフトアーム15に取り付けられ、かつロッドの先端部がリンク機構体27を介してバケット10の開口部28の元部に取り付けられたバケットシリンダ29とを有している。この開口部28は、バケット10の元先方向に長い矩形状の開口を有している。
作業装置23による揚土作業時には、上部旋回体22を旋回し、ブームシリンダ25のロッドおよびアームシリンダ26のロッドを突出または没入することにより、ブーム24およびリフトアーム15を介してバケット10を水平旋回および昇降する。さらに、バケットシリンダ29のロッドを突出または没入することで、回動軸30を中心としてバケット10を正回転(土砂を掬う方向の回転)、または、逆回転(土砂を落とす方向の回転)する。
作業装置23による揚土作業時には、上部旋回体22を旋回し、ブームシリンダ25のロッドおよびアームシリンダ26のロッドを突出または没入することにより、ブーム24およびリフトアーム15を介してバケット10を水平旋回および昇降する。さらに、バケットシリンダ29のロッドを突出または没入することで、回動軸30を中心としてバケット10を正回転(土砂を掬う方向の回転)、または、逆回転(土砂を落とす方向の回転)する。
図1に示すように、バケット10の開口部28の元部には、回動ピン16と軸線が平行な回動軸30を介して、開口部28を覆う土砂零れ防止用の蓋板31が片持ち状態で連結されている。蓋板31は、バケット10の開口と同一形状および同一サイズの、厚肉でかつ元先方向が幅方向よりも長い矩形状の板部材である。
蓋板31がバケット10の開口部28の閉蓋位置Pに位置するよう、蓋板31の先端部とリフトアーム15の先部とが2本のチェーン(連結部材)32により連結されている。各チェーン32の長さは、蓋板31をバケット10の開口部28の閉蓋位置Pに位置できる長さである。
ここでいう閉蓋位置Pとは、リフトアーム15の後側面(上部旋回体22側の面)を基準として略60°傾斜した位置である。これにより、蓋板31は、回動軸30を中心とした上方への回動のみの許容状態で閉蓋位置Pに略60°の傾斜状態で設けられる。蓋板はリフトアームの下面と略60度の角度をなして吊り下げられている。
蓋板31がバケット10の開口部28の閉蓋位置Pに位置するよう、蓋板31の先端部とリフトアーム15の先部とが2本のチェーン(連結部材)32により連結されている。各チェーン32の長さは、蓋板31をバケット10の開口部28の閉蓋位置Pに位置できる長さである。
ここでいう閉蓋位置Pとは、リフトアーム15の後側面(上部旋回体22側の面)を基準として略60°傾斜した位置である。これにより、蓋板31は、回動軸30を中心とした上方への回動のみの許容状態で閉蓋位置Pに略60°の傾斜状態で設けられる。蓋板はリフトアームの下面と略60度の角度をなして吊り下げられている。
次に、図1を参照して、バケット10を詳細に説明する。
図1に示すように、バケット10は、開口部28の先側の辺部に爪が存在せず、側面視して大略V字形状にして湾曲した底板33と、底板33の開口する両端面を塞ぐ一対の側板34とからなる容器である。バケット10の両側板34の内壁面とバケット10の底板33の内壁面とには、複数の側板用リブ板(補強リブ)35と、複数の底板用リブ板(補強リブ)36とが配設されている。このうち、各側板用リブ板35は、バケット10の両側板34の内壁面に溶接された円弧状の板である。また、各底板用リブ板36は、バケット10の幅方向に所定間隔をあけて溶接された湾曲する長板である。各側板用リブ板35と各底板用リブ板36とにより、両側板34と底板33とは、補強リブが形成された部分のみ肉厚となる。
図1に示すように、バケット10は、開口部28の先側の辺部に爪が存在せず、側面視して大略V字形状にして湾曲した底板33と、底板33の開口する両端面を塞ぐ一対の側板34とからなる容器である。バケット10の両側板34の内壁面とバケット10の底板33の内壁面とには、複数の側板用リブ板(補強リブ)35と、複数の底板用リブ板(補強リブ)36とが配設されている。このうち、各側板用リブ板35は、バケット10の両側板34の内壁面に溶接された円弧状の板である。また、各底板用リブ板36は、バケット10の幅方向に所定間隔をあけて溶接された湾曲する長板である。各側板用リブ板35と各底板用リブ板36とにより、両側板34と底板33とは、補強リブが形成された部分のみ肉厚となる。
バケット10の開口部28の周縁部分には、蓋板31による開口部28の閉蓋時、開口部28と蓋板31との隙間を塞ぐパッキン37が設けられている。
また、バケット10の内外壁面の全域は、厚さ200μmの土砂付着防止膜により被覆されている。
土砂付着防止膜とは、アルキド樹脂系の土砂付着防止塗料膜である、日本化学塗料株式会社製の「ケミカNo.2クリヤー」を乾燥させた塗膜である。土砂付着防止膜は、その硬化を保持するため、稼働10日ごとに再塗布するメンテナンスを行った方が好ましい。
また、バケット10の内外壁面の全域は、厚さ200μmの土砂付着防止膜により被覆されている。
土砂付着防止膜とは、アルキド樹脂系の土砂付着防止塗料膜である、日本化学塗料株式会社製の「ケミカNo.2クリヤー」を乾燥させた塗膜である。土砂付着防止膜は、その硬化を保持するため、稼働10日ごとに再塗布するメンテナンスを行った方が好ましい。
次に、図2〜図5を参照して、実施例1に係るバケット10を用いた揚土作業を説明する。
図2に示すように、土運船12が揚土船11の舷側に横付けされた後、揚土船11の甲板上でバックホウ14の上部旋回体22を所定方向に旋回し、ブーム24を土運船12の泥艙13の上方に移動する。その後、ブームシリンダ25のロッドを突出してブーム24を下方へ回動させ、アームシリンダ26のロッドを突出してリフトアーム15を下方へ回動させることで、バケット10を泥艙13に溜まった土砂に差し込む(図3)。その後、バケットシリンダ29のロッドを突出することにより、バケット10が回動軸30を中心として正回動して土砂を掬う。
その後も、バケット10の正回動を進めて行くと、バケット10の開口部28が閉蓋位置Pに到達し、開口部28が蓋板31により閉蓋される(図4)。このとき、開口部28と蓋板31との隙間はパッキン37により塞がれる。なお、バケット10の上方への回動をさらに進めても、リフトアーム15の先部に上端が連結されたチェーン32が緩むだけで、蓋板31が開口部28を塞いだ状態は維持される。
図2に示すように、土運船12が揚土船11の舷側に横付けされた後、揚土船11の甲板上でバックホウ14の上部旋回体22を所定方向に旋回し、ブーム24を土運船12の泥艙13の上方に移動する。その後、ブームシリンダ25のロッドを突出してブーム24を下方へ回動させ、アームシリンダ26のロッドを突出してリフトアーム15を下方へ回動させることで、バケット10を泥艙13に溜まった土砂に差し込む(図3)。その後、バケットシリンダ29のロッドを突出することにより、バケット10が回動軸30を中心として正回動して土砂を掬う。
その後も、バケット10の正回動を進めて行くと、バケット10の開口部28が閉蓋位置Pに到達し、開口部28が蓋板31により閉蓋される(図4)。このとき、開口部28と蓋板31との隙間はパッキン37により塞がれる。なお、バケット10の上方への回動をさらに進めても、リフトアーム15の先部に上端が連結されたチェーン32が緩むだけで、蓋板31が開口部28を塞いだ状態は維持される。
次に、この閉蓋状態のまま、ブームシリンダ25のロッドを引き込ませ、かつアームシリンダ26のロッドを引き込ませて、バケット10を土運船12の泥艙13の上方に持ち上げ、さらに上部旋回体22をリフトアーム15とともに旋回することで、土砂を掬ったバケット10が揚土機18の上方に移動する(図5)。その後、回動ピン16を中心にして、バケット10を逆回動することにより、バケット10の開口部28の蓋板31が開蓋し、土砂が揚土船11の揚土機18の投入口11aに投入される。揚土機18に投入された土砂は、ベルトコンベアによって所定の保管場まで搬送される。
このように、移動中のバケット10の開口部28は、常時、蓋板31により閉蓋され、かつこの閉蓋時、開口部28と蓋板31との隙間はパッキン37により塞がれる。そのため、土運船12から掬った土砂を揚土機18に移動する途中、バケット10の開口部28から零れた土砂が水面に落下し、水中に濁水が発生して環境に悪影響を与えるおそれが低減される。
また、一般的に鋼材からなるバックホウ14のバケット10の内外壁面には、合成樹脂を主成分とする塗料を塗布し、土砂付着防止膜が形成されている。この土砂付着防止膜により、塗布前に比較して、浚った土砂に対するバケット10の内外壁面の摩擦抵抗が低下する。これにより、泥艙13での土砂掬い上げ時および土砂の揚土機投入時において、バケット10の内外壁面からの土砂の滑落性が高まり、バケット10内外壁面対する土砂の付着量が低減する。その結果、バックホウ14のリフトアーム15を旋回してバケット10を揚土機18に移動する途中、バケット10の外壁面に付着した土砂がバケット10から零れることを防止でき、揚土作業を行う水域周辺の汚濁を防止することができる。
また、一般的に鋼材からなるバックホウ14のバケット10の内外壁面には、合成樹脂を主成分とする塗料を塗布し、土砂付着防止膜が形成されている。この土砂付着防止膜により、塗布前に比較して、浚った土砂に対するバケット10の内外壁面の摩擦抵抗が低下する。これにより、泥艙13での土砂掬い上げ時および土砂の揚土機投入時において、バケット10の内外壁面からの土砂の滑落性が高まり、バケット10内外壁面対する土砂の付着量が低減する。その結果、バックホウ14のリフトアーム15を旋回してバケット10を揚土機18に移動する途中、バケット10の外壁面に付着した土砂がバケット10から零れることを防止でき、揚土作業を行う水域周辺の汚濁を防止することができる。
特に、補強リブをバケット10の内壁面に設けたため、バケット10の外壁面に補強リブを配した従来品に比べてバケット外壁面の平坦性が高まり、このバケット外壁面に対する土砂の付着量が減少し、揚土作業を行う水域周辺の汚濁防止効果がさらに高まる。また、バケット内壁面への土砂の付着量も減少するため、この内壁面付着を原因とした次回のバックホウ14による掬い上げ作業により浚い取れる土砂量を最大に近い状態で安定化でき、揚土効率の低下を防ぐことができる。
次に、図6および図7を参照して、この発明の実施例2に係る揚土船用バックホウのバケットについて説明する。
図7(a)および図7(b)に示すように、実施例2の揚土船用バックホウのバケット(以下、バケット)10Aの特徴は、蓋板31の先端部に、蓋板31の幅方向に長い3枚の短冊板40を、下方への回動のみが可能な複数のヒンジ41によって、隣合う短冊板同士を連結した延長蛇腹板部42を設け、延長蛇腹板部42を構成する複数の短冊板40のうち、最も先側に配置された短冊板40に、一対のチェーン32の下端部を連結し、また蓋板31の内外壁面の全域に土砂付着防止膜を形成した点である。具体的には、3枚の短冊板のうちの1枚目の短冊板は、蓋板の長さ方向にヒンジを介して蓋板に取り付けられることにより、蓋板の長さが延長されるように設けられている。2枚目の短冊板は、1枚目の短冊板にヒンジを介して取り付けられることにより、蓋板の長さがさらに延長されるように取り付けられている。3枚目の短冊板は2枚目の短冊板にヒンジを介して取り付けられることにより、さらに蓋板の長さが延長されるように取り付けられている。このような取り付け構成により、蓋板に延長蛇腹板部が設けられた形状は平面視して矩形状となる。
図7(a)および図7(b)に示すように、実施例2の揚土船用バックホウのバケット(以下、バケット)10Aの特徴は、蓋板31の先端部に、蓋板31の幅方向に長い3枚の短冊板40を、下方への回動のみが可能な複数のヒンジ41によって、隣合う短冊板同士を連結した延長蛇腹板部42を設け、延長蛇腹板部42を構成する複数の短冊板40のうち、最も先側に配置された短冊板40に、一対のチェーン32の下端部を連結し、また蓋板31の内外壁面の全域に土砂付着防止膜を形成した点である。具体的には、3枚の短冊板のうちの1枚目の短冊板は、蓋板の長さ方向にヒンジを介して蓋板に取り付けられることにより、蓋板の長さが延長されるように設けられている。2枚目の短冊板は、1枚目の短冊板にヒンジを介して取り付けられることにより、蓋板の長さがさらに延長されるように取り付けられている。3枚目の短冊板は2枚目の短冊板にヒンジを介して取り付けられることにより、さらに蓋板の長さが延長されるように取り付けられている。このような取り付け構成により、蓋板に延長蛇腹板部が設けられた形状は平面視して矩形状となる。
延長蛇腹板部42における蓋板31の長さ方向の長さは、蓋板31の長さの約3分の1で、細長い各短冊板40における長さは、蓋板31の幅方向の長さと同一である。
各ヒンジ41としては、一対の連結板片43の元部に有する軸筒44に軸体45が挿通された片開き構造の長蝶番が採用されている(図7(b))。各ヒンジ41は、短冊板40の下方へのみ回動が許容されるように、隣接する一対の短冊板40の下面(裏面)に、一対の連結板片43がそれぞれ固定されている。各連結板片43の最大回動角は略90°である。
また、一対の連結部材は、リフトアームの先部と最も先側に配置された短冊板40の中央部とに、蓋板31の幅方向に離間してそれぞれ固定されている。
各ヒンジ41としては、一対の連結板片43の元部に有する軸筒44に軸体45が挿通された片開き構造の長蝶番が採用されている(図7(b))。各ヒンジ41は、短冊板40の下方へのみ回動が許容されるように、隣接する一対の短冊板40の下面(裏面)に、一対の連結板片43がそれぞれ固定されている。各連結板片43の最大回動角は略90°である。
また、一対の連結部材は、リフトアームの先部と最も先側に配置された短冊板40の中央部とに、蓋板31の幅方向に離間してそれぞれ固定されている。
以上の構成とすることで、蓋板31と延長蛇腹板部42とは、1枚の大判板としてバケット10Aの開口部28の閉蓋位置Pに一対のチェーン32によって吊り下げられている。そのため、土砂を掬ったバケット10Aの開口部28が閉蓋位置Pに到達した際、仮に土砂が山積み状態であっても、バケット10Aの上方回動をさらに進めるだけで、回動ピン16を中心とした蓋板31の上方回動が進行し(蓋板31が持ち上がり)、チェーン32が緩んで延長蛇腹板部42が各ヒンジ41を中心にして蛇腹状に下方へ折れ曲がる。
その結果、バケット10Aの開口部28を越した土砂の山積み部分aが、延長蛇腹板部42によって被われる。これにより、リフトアーム15の旋回途中で懸念される、土砂の山積み部分aの崩落を原因とした揚土作業の周辺水域の汚濁を防止することができる。
また、蓋板31の内外壁面の全域に土砂付着防止膜を形成したため、蓋板31に付着した土砂の滑落による周辺水域の汚濁防止効果が得られる。
その他の構成、作用および効果は、実施例1と同じであるため、説明を省略する。
その結果、バケット10Aの開口部28を越した土砂の山積み部分aが、延長蛇腹板部42によって被われる。これにより、リフトアーム15の旋回途中で懸念される、土砂の山積み部分aの崩落を原因とした揚土作業の周辺水域の汚濁を防止することができる。
また、蓋板31の内外壁面の全域に土砂付着防止膜を形成したため、蓋板31に付着した土砂の滑落による周辺水域の汚濁防止効果が得られる。
その他の構成、作用および効果は、実施例1と同じであるため、説明を省略する。
次に、図8および図9を参照して、この発明の実施例3に係る揚土船用バックホウのバケットについて説明する。
図8に示すように、この実施例3の揚土船用バックホウのバケット(以下、バケット)10Bの特徴は、蓋板31の先端部が上方に湾曲し、この蓋板31の湾曲部分31aに、各ローラ軸50の軸線が回動軸30の軸線と平行で、かつ蓋板31より先方に外周部の一部が突出した2つの緩衝ローラ51を、対配置の軸受52を介して、互いに蓋板31の幅方向に所定ピッチで離間して設けた点である。各緩衝ローラ51は、蓋板31の湾曲部分31aの裏面のうち、蓋板31の幅方向の両端部に離間して配置されている。
図8に示すように、この実施例3の揚土船用バックホウのバケット(以下、バケット)10Bの特徴は、蓋板31の先端部が上方に湾曲し、この蓋板31の湾曲部分31aに、各ローラ軸50の軸線が回動軸30の軸線と平行で、かつ蓋板31より先方に外周部の一部が突出した2つの緩衝ローラ51を、対配置の軸受52を介して、互いに蓋板31の幅方向に所定ピッチで離間して設けた点である。各緩衝ローラ51は、蓋板31の湾曲部分31aの裏面のうち、蓋板31の幅方向の両端部に離間して配置されている。
次に、図9を参照して、実施例3のバケット10Bによる、泥艙13の揚土船11側の形成壁付近に溜まった土砂の掬い取り作業を説明する。
この作業時には、まずバケット10Bの開口部28を略垂直にして、リフトアーム15を泥艙13の揚土船11側の形成壁へ引き寄せる。このとき、蓋板31は回動軸30により元部がリフトアーム15の先端部に連結され、かつ蓋板31の先端部が湾曲自在な各チェーン32によりリフトアーム15の先部に吊られているため、蓋板31は、常に土砂の表面に接して移動する。その結果、バケット10Bがその形成壁近くに到達すると、まず蓋板31の緩衝ローラ51が土運船12の泥艙13の形成壁に衝突する(図9(a))。その後も、この引き寄せを続行することで、緩衝ローラ51が泥艙13の揚土船11側の形成壁を上方へ向かって転動しながら、蓋板31は回動軸30を中心にして徐々に上方へ回動する。すなわち、蓋板31は、専用の駆動源を用いることなく、リフトアーム15の引き寄せ力を利用して自動的に上方へ退避する(図9(b))。これにより、泥艙13の揚土船11側の形成壁付近に溜まった土砂をバケット10Bにより浚う際、蓋板31が邪魔にならない。
なお、バケット10Bが土運船12の泥艙13の形成壁に近接した後は、バケットシリンダ29のロッドを突出することにより、回動軸30を中心としてバケット10をその開口部28の先端が泥艙13の形成壁に当接するまで矢印S1方向に正回動する。その後、土砂をバケット10Bを垂直に所定距離だけ上昇させて残りの土砂を掬い取り(矢印S2)、その直後、回動軸30を中心としてバケット10をその開口部28が水平状態となるまで正回動するとともに、この正回動をしながらアームシリンダ26のロッドを引き込ませてリフトアーム15を矢印S3方向に移動させる。この移動中、開口部28の先端は常に泥艙13の形成壁に当接するように操作した方が、開口部の先端からの土砂の零れが少なくなるために好ましい。
その他の構成、作用および効果は、実施例1と同じであるため、説明を省略する。
この作業時には、まずバケット10Bの開口部28を略垂直にして、リフトアーム15を泥艙13の揚土船11側の形成壁へ引き寄せる。このとき、蓋板31は回動軸30により元部がリフトアーム15の先端部に連結され、かつ蓋板31の先端部が湾曲自在な各チェーン32によりリフトアーム15の先部に吊られているため、蓋板31は、常に土砂の表面に接して移動する。その結果、バケット10Bがその形成壁近くに到達すると、まず蓋板31の緩衝ローラ51が土運船12の泥艙13の形成壁に衝突する(図9(a))。その後も、この引き寄せを続行することで、緩衝ローラ51が泥艙13の揚土船11側の形成壁を上方へ向かって転動しながら、蓋板31は回動軸30を中心にして徐々に上方へ回動する。すなわち、蓋板31は、専用の駆動源を用いることなく、リフトアーム15の引き寄せ力を利用して自動的に上方へ退避する(図9(b))。これにより、泥艙13の揚土船11側の形成壁付近に溜まった土砂をバケット10Bにより浚う際、蓋板31が邪魔にならない。
なお、バケット10Bが土運船12の泥艙13の形成壁に近接した後は、バケットシリンダ29のロッドを突出することにより、回動軸30を中心としてバケット10をその開口部28の先端が泥艙13の形成壁に当接するまで矢印S1方向に正回動する。その後、土砂をバケット10Bを垂直に所定距離だけ上昇させて残りの土砂を掬い取り(矢印S2)、その直後、回動軸30を中心としてバケット10をその開口部28が水平状態となるまで正回動するとともに、この正回動をしながらアームシリンダ26のロッドを引き込ませてリフトアーム15を矢印S3方向に移動させる。この移動中、開口部28の先端は常に泥艙13の形成壁に当接するように操作した方が、開口部の先端からの土砂の零れが少なくなるために好ましい。
その他の構成、作用および効果は、実施例1と同じであるため、説明を省略する。
この発明の揚土船用バックホウのバケットは、海底、湖底または河底から浚渫された土砂を陸揚げする際に用いられる揚土船に搭載された、バックホウ用のバケットとして有用である。
10,10A,10B 揚土船用バックホウのバケット、
11 揚土船、
13 泥艙、
14 バックホウ、
15 リフトアーム、
16 回動ピン、
28 開口部、
30 回動軸、
31 蓋板、
31a 湾曲部分、
32 チェーン(連結部材)、
37 パッキン、
35 側板用リブ板(補強リブ)、
36 底板用リブ板(補強リブ)、
40 短冊板、
41 ヒンジ、
42 延長蛇腹板部、
51 緩衝ローラ、
P 閉蓋位置。
11 揚土船、
13 泥艙、
14 バックホウ、
15 リフトアーム、
16 回動ピン、
28 開口部、
30 回動軸、
31 蓋板、
31a 湾曲部分、
32 チェーン(連結部材)、
37 パッキン、
35 側板用リブ板(補強リブ)、
36 底板用リブ板(補強リブ)、
40 短冊板、
41 ヒンジ、
42 延長蛇腹板部、
51 緩衝ローラ、
P 閉蓋位置。
この発明は、揚土船用バックホウのバケット、詳しくは土運船から土砂を揚土船により陸揚げする際に使用される揚土船用バックホウのバケットに関する。
例えば、港湾の浚渫作業では、グラブ式浚渫船を用いて浚渫した土砂を土運船により岸壁まで運搬し、ここで、揚土船に搭載したバックホウを利用して土運船の泥艙から土砂を浚い取り、その後、この土砂を圧送機やベルトコンベアなどの揚土機に投下し、内陸へ運搬している。
従来、揚土船に搭載されたバックホウとして、例えば特許文献1の「バックホウ式揚土船」に記載されたものが知られている。このバックホウのリフトアームの先端部には、回動ピンを介してバケットが片持ち状態で連結されている。バケットは、リフトアームに設けた油圧シリンダのロッドの突出または没入により回動操作される。
従来、揚土船に搭載されたバックホウとして、例えば特許文献1の「バックホウ式揚土船」に記載されたものが知られている。このバックホウのリフトアームの先端部には、回動ピンを介してバケットが片持ち状態で連結されている。バケットは、リフトアームに設けた油圧シリンダのロッドの突出または没入により回動操作される。
しかしながら、従来の揚土船用バックホウのバケットは、開口部が常に開いていた。そのため、土運船から掬った土砂を揚土機に移動する途中で、バケットの開口部から土砂が海面に落下し、海中に濁水が発生して湾岸環境に悪影響を与えていた。
また、従来のバケットでは、一部の土砂がバケットの内壁面や外壁面に付着して残存していた。このような場合、以下の課題が懸念される。すなわち、バックホウのリフトアームを旋回してバケットを土運船と揚土機との間で移動させる際、バケットの外壁面の付着物が海面に零れ落ちるおそれがあった。また、土砂がバケットの内壁面に付着した分だけ、次回のバケットの開閉操作で浚われる土砂の量が減少し、揚土効率が低下するおそれがあった。
また、一般的に揚土船用バックホウのバケットは大型で、1回の操作で掬い取る土砂の量は例えば4〜5tと多い。そこで、バケットの両側板には、強度を確保するために補強リブが配設されている。しかしながら、従来のバケットでは、その補強リブがバケットの両側板の外壁面に配設されていたため、土運船から土砂を掬ったとき、バケットの両側板に土砂が多量に付着していた。この付着した土砂がリフトアームの旋回中に海面に落下するおそれがあった。
また、従来のバケットでは、一部の土砂がバケットの内壁面や外壁面に付着して残存していた。このような場合、以下の課題が懸念される。すなわち、バックホウのリフトアームを旋回してバケットを土運船と揚土機との間で移動させる際、バケットの外壁面の付着物が海面に零れ落ちるおそれがあった。また、土砂がバケットの内壁面に付着した分だけ、次回のバケットの開閉操作で浚われる土砂の量が減少し、揚土効率が低下するおそれがあった。
また、一般的に揚土船用バックホウのバケットは大型で、1回の操作で掬い取る土砂の量は例えば4〜5tと多い。そこで、バケットの両側板には、強度を確保するために補強リブが配設されている。しかしながら、従来のバケットでは、その補強リブがバケットの両側板の外壁面に配設されていたため、土運船から土砂を掬ったとき、バケットの両側板に土砂が多量に付着していた。この付着した土砂がリフトアームの旋回中に海面に落下するおそれがあった。
そこで、発明者は鋭意研究の結果、バケットの開口部を閉じる蓋板を設けるとともに、開口部の周縁部分に土砂の流出を防ぐパッキンを設け、かつバケットの外壁面および内壁面に、これらの面より表面の摩擦係数が小さく土砂が付着し難くなる土砂付着防止膜を形成し、さらにはバケットの両側板の内壁面に補強リブを配設すれば、上述した問題は解消されることを知見し、この発明を完成させた。
すなわち、この発明は、バケットからの土砂の零れによる周辺水域の汚濁を防止し、かつバケット内壁面への土砂の付着を原因とした揚土効率の低下を防止することができる揚土船用バックホウのバケットを提供することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、揚土船に設けられ、土運船の泥艙に溜まった土砂を掬うバックホウにあって、このバックホウのリフトアームの先端部に、回動ピンを介してその開口部の元部が連結された揚土船用バックホウのバケットにおいて、蓋板の元部を、前記バケットの開口部の元部に、前記回動ピンの軸線と平行な軸線を有する回動軸を介して連結し、前記リフトアームの先部と前記蓋板とを連結部材により連結することで、前記バケットの開口部を閉蓋する位置に前記蓋板が設けられ、前記開口部と前記蓋板とをパッキンにより隙間なく閉蓋可能とし、前記バケットを補強する補強リブを、前記バケットの内壁のみに設け、前記バケットの内外壁面に、合成樹脂を主成分とする塗料を塗布して土砂付着防止膜を形成することにより、前記バケットの内外壁面の摩擦係数を前記塗料の塗布前に比較して小さくした揚土船用バックホウのバケットであって、該蓋板の幅方向に長い複数の短冊板を有し、前記蓋板の先端部に、下方へのみ回動可能な複数のヒンジによって隣り合う短冊板同士を連結した延長蛇腹板部を設け、該延長蛇腹板部を構成する前記複数の短冊板のうち、最も先側に配置された短冊板に、前記連結部材の下端部を連結した揚土船用バックホウのバケットである。
バックホウが設けられた揚土船は、バックホウを利用して、土運船の泥艙に溜まった土砂を掬い取るもので、自走式のものでも、曳航式のものでもよい。
バックホウは、揚土船に固定式のものでも、自走式のものでもよい。
バケットは、バックホウのリフトアームの先端部に、軸線がリフトアームの長さ方向に直交する回動ピンを介して、片持ち状態で連結可能なものであれば、その形状、サイズなどは任意である。
バケットの開口部は矩形状で、その4つの辺部のうち、リフトアームが連結される辺部をバケットの開口部の元部とし、この元部と対向する辺部をバケットの開口部の先部とする。
バックホウは、揚土船に固定式のものでも、自走式のものでもよい。
バケットは、バックホウのリフトアームの先端部に、軸線がリフトアームの長さ方向に直交する回動ピンを介して、片持ち状態で連結可能なものであれば、その形状、サイズなどは任意である。
バケットの開口部は矩形状で、その4つの辺部のうち、リフトアームが連結される辺部をバケットの開口部の元部とし、この元部と対向する辺部をバケットの開口部の先部とする。
また、リフトアームには、泥艙の形成壁付近に溜まった土砂をバケットにより掬う際、バックホウの操縦者がその掬い取り状況を視認するため、連結部材を巻き上げるウインチ(油圧式のものなど)を設けた方が望ましい。例えば、土運船の泥艙に溜まった土砂のうち、泥艙の揚土船側の形成壁付近の土砂を掬う際など、バックホウの操縦者が土砂の掬い取り状況を視認し難い場合には、リフトアームに設けたウインチを作動し、連結部材を巻き上げて、回動軸を中心にして蓋板を上方に回動させる。これにより、バケットの上方で蓋板が起立し、バックホウの操縦者が土砂の掬い取り状況を視認し易くなる。しかも、あらかじめ蓋板を立ち上げるため、泥艙の揚土船側の形成壁付近に溜まった土砂を掬う際に、蓋板が邪魔にならない。
蓋板の形状およびサイズは、バケットの開口形状およびサイズに応じて適宜変更される。
蓋板は、バケットの開口部の元部に、軸線が回動ピンの軸線と平行な回動軸を介して連結されている。
連結部材は、例えば、チェーン、ワイヤ、ロープなどであり、蓋板を吊り下げるように連結部材と蓋板とを連結することにより蓋板が所定位置に設けられる。この連結部材は、蓋板とリフトアームとが連結可能な長さを有している。そして、蓋板とリフトアームとを連結部材を介して連結すすることにより、バケットの開口部の閉蓋位置に蓋板が設けられる。これにより、蓋板は、上方への回動のみが許容された状態で、リフトアームの先端部の前方(リフトアームの引き寄せ方向または手前方向)で、連結部材により連結される。
「バケットの開口部の閉蓋位置」とは、リフトアームの後側面(バックホウの上部旋回体側の面)を基準として、この開口部が45°〜90°傾斜する位置である。
連結部材の使用数は、1本でも、2本以上でもよい。
蓋板は、バケットの開口部の元部に、軸線が回動ピンの軸線と平行な回動軸を介して連結されている。
連結部材は、例えば、チェーン、ワイヤ、ロープなどであり、蓋板を吊り下げるように連結部材と蓋板とを連結することにより蓋板が所定位置に設けられる。この連結部材は、蓋板とリフトアームとが連結可能な長さを有している。そして、蓋板とリフトアームとを連結部材を介して連結すすることにより、バケットの開口部の閉蓋位置に蓋板が設けられる。これにより、蓋板は、上方への回動のみが許容された状態で、リフトアームの先端部の前方(リフトアームの引き寄せ方向または手前方向)で、連結部材により連結される。
「バケットの開口部の閉蓋位置」とは、リフトアームの後側面(バックホウの上部旋回体側の面)を基準として、この開口部が45°〜90°傾斜する位置である。
連結部材の使用数は、1本でも、2本以上でもよい。
パッキンとしては、例えば、流体の圧力を利用して密閉性を高めるセルフシールパッキン(Oリングやリップパッキン)を採用することができる。
パッキンは、バケットの開口部の全周またはその一部を除く部分に設けられる。
補強リブとしては、バケットの内壁面に直交するフィン状のリブでも、バケットの部分的な厚みを増す平板状のリブでもよい。補強リブの形成位置は任意である。例えば、バケットの両側板の内壁面でも、バケットの胴板(本体板)の内壁面でもよい。
パッキンは、バケットの開口部の全周またはその一部を除く部分に設けられる。
補強リブとしては、バケットの内壁面に直交するフィン状のリブでも、バケットの部分的な厚みを増す平板状のリブでもよい。補強リブの形成位置は任意である。例えば、バケットの両側板の内壁面でも、バケットの胴板(本体板)の内壁面でもよい。
土砂付着防止膜の原料となる合成樹脂としては、例えば、各種のエステル系樹脂(アルキド樹脂を含む)、各種のアクリル系樹脂、各種のフェノール系樹脂などを採用することができる。具体的には、メタアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、酢酸ビニル、およびエチレンから選ばれた不飽和基を含有する有機化合物と、アクリル酸などを採用することができる。その他、アルコキシシロキサンを主成分とする硬化性組成物に、平均粒径2μm以下の酸化亜鉛を混合したものなどを採用することができる。
バケットの内外壁面への土砂付着防止膜による被覆方法としては、例えば、土砂付着防止塗料の塗布、その後の乾燥工程を有するものなどを採用することができる。
土砂付着防止膜の厚さは、例えば100μm〜200μmである。
土砂付着防止膜によって被覆されるのは、バケットの内壁面の全面および外壁面の全面が好ましい。これにより、バケットの内外壁面への土砂の付着量を最小にすることができる。ただし、土砂付着防止膜による被覆部分は、これらの面の各一部でもよい。なお、蓋板の表裏面にも土砂付着防止膜を形成した方が、蓋板に付着した土砂の落下による周辺水域の汚濁防止効果が得られる。
土砂付着防止膜の厚さは、例えば100μm〜200μmである。
土砂付着防止膜によって被覆されるのは、バケットの内壁面の全面および外壁面の全面が好ましい。これにより、バケットの内外壁面への土砂の付着量を最小にすることができる。ただし、土砂付着防止膜による被覆部分は、これらの面の各一部でもよい。なお、蓋板の表裏面にも土砂付着防止膜を形成した方が、蓋板に付着した土砂の落下による周辺水域の汚濁防止効果が得られる。
前記土砂付着防止膜としては、アルキド樹脂塗料を乾燥させた塗膜を採用することができる。この場合には、土砂に対する土砂付着防止膜の低い摩擦係数を確保しながら、土砂付着防止膜に対して高い耐水性、高い耐薬品性(一般的にpH8程度の海水への対応)、高い耐衝撃性、高い耐摩耗性を付与することができる。そのため、土砂付着防止膜は、一般的な揚土作業を行った場合で、10日前後の連続使用に耐える。
アルキド樹脂塗料としては、例えば、日本化学塗料株式会社製の「ケミカNo.2クリヤー」を採用することができる。
なお、合成樹脂塗料膜の表面に重ねて、フッ素樹脂塗料などの高摺動性塗料を塗布、乾燥させてもよい。
アルキド樹脂塗料としては、例えば、日本化学塗料株式会社製の「ケミカNo.2クリヤー」を採用することができる。
なお、合成樹脂塗料膜の表面に重ねて、フッ素樹脂塗料などの高摺動性塗料を塗布、乾燥させてもよい。
短冊板としては、例えば、蓋板の幅と同じ長さを有する細長い金属(鉄、鋼など)製の板材を採用することができる。短冊板の使用数は2つ以上であれば任意である。
延長蛇腹板部における蓋板の長さ方向の長さ(短冊板の連結方向の長さ)は、蓋板の長さの10〜50%である。なお、延長蛇腹板部だけでなく、蓋板も延長蛇腹板部と同一構造として、下方への回動のみが可能な構造としてもよい。ただし、蓋板はパッキンを介してバケットの開口部を密封する部材であるため、変形しない1枚板の方が好ましい。
下方への回動のみが可能なヒンジとしては、例えば、各種の片開き蝶番などを採用することができる。ヒンジには、構成体のすきまに土砂が流入するのを防ぐカバー部材を設けた方が望ましい。
「複数の短冊板のうち、最も先側に配置された短冊板」とは、延長蛇腹板部を構成する複数の短冊板のうちで、蓋板から最も離れた短冊板をいう。
延長蛇腹板部における蓋板の長さ方向の長さ(短冊板の連結方向の長さ)は、蓋板の長さの10〜50%である。なお、延長蛇腹板部だけでなく、蓋板も延長蛇腹板部と同一構造として、下方への回動のみが可能な構造としてもよい。ただし、蓋板はパッキンを介してバケットの開口部を密封する部材であるため、変形しない1枚板の方が好ましい。
下方への回動のみが可能なヒンジとしては、例えば、各種の片開き蝶番などを採用することができる。ヒンジには、構成体のすきまに土砂が流入するのを防ぐカバー部材を設けた方が望ましい。
「複数の短冊板のうち、最も先側に配置された短冊板」とは、延長蛇腹板部を構成する複数の短冊板のうちで、蓋板から最も離れた短冊板をいう。
請求項2に記載の発明は、揚土船に設けられ、土運船の泥艙に溜まった土砂を掬うバックホウにあって、このバックホウのリフトアームの先端部に、回動ピンを介してその開口部の元部が連結された揚土船用バックホウのバケットにおいて、蓋板の元部を、前記バケットの開口部の元部に、前記回動ピンの軸線と平行な軸線を有する回動軸を介して連結し、前記リフトアームの先部と前記蓋板とを連結部材により連結することで、前記バケットの開口部を閉蓋する位置に前記蓋板が設けられ、前記開口部と前記蓋板とをパッキンにより隙間なく閉蓋可能とし、前記バケットを補強する補強リブを、前記バケットの内壁のみに設け、前記バケットの内外壁面に、合成樹脂を主成分とする塗料を塗布して土砂付着防止膜を形成することにより、前記バケットの内外壁面の摩擦係数を前記塗料の塗布前に比較して小さくした揚土船用バックホウのバケットであって、前記蓋板の先端部は上方に湾曲し、該蓋板の湾曲部分には、前記回動軸の軸線と平行な軸線の回転軸を有し、前記蓋板より先方に突出する緩衝ローラを設けた揚土船用バックホウのバケットである。
「蓋板の先端が上方に湾曲する」とは、蓋板の先端部が蓋板の表面より外方に曲がっている状態を意味する。なお、蓋板の先端部は湾曲でなく、屈曲でもよい。
緩衝ローラの素材としては、例えば船舶の着岸時の衝撃を緩和するため、舷側に固定される防舷材と同じ耐摩耗性の合成ゴムなどを採用することができる。その他、緩衝ローラの素材は金属でもよいが、緩衝性が高い合成ゴムが好ましい。
緩衝ローラの素材としては、例えば船舶の着岸時の衝撃を緩和するため、舷側に固定される防舷材と同じ耐摩耗性の合成ゴムなどを採用することができる。その他、緩衝ローラの素材は金属でもよいが、緩衝性が高い合成ゴムが好ましい。
緩衝ローラの直径および長さは任意である。ただし、緩衝ローラの直径は、緩衝ローラの外周部の一部が、蓋板の湾曲した先端部から外方(蓋板の前方)へ突出するサイズでなければならない。
緩衝ローラの使用数は、1つでも2つ以上でもよい。ただし、それが複数の場合には、各緩衝ローラを蓋板の幅(蓋板の幅方向または蓋板の先端側の辺の長さ方向)に離間した方が、蓋板の先端が泥艙の揚土船側の形成壁に衝突した時の衝撃の緩和性が高まる。このローラ衝突時、蓋板は上方への回動のみ許容され、下方への回動はできない構造となっている。これは、バケットの開口部の閉蓋位置に蓋板がリフトアームの先部に連結部材によって連結されているためである。
緩衝ローラの使用数は、1つでも2つ以上でもよい。ただし、それが複数の場合には、各緩衝ローラを蓋板の幅(蓋板の幅方向または蓋板の先端側の辺の長さ方向)に離間した方が、蓋板の先端が泥艙の揚土船側の形成壁に衝突した時の衝撃の緩和性が高まる。このローラ衝突時、蓋板は上方への回動のみ許容され、下方への回動はできない構造となっている。これは、バケットの開口部の閉蓋位置に蓋板がリフトアームの先部に連結部材によって連結されているためである。
請求項1に記載の発明によれば、土運船の泥艙内で土砂を掬ったバケットを、回動ピンを中心にして上方へ回動する。その途中、バケットの開口部が閉蓋位置に到達し、バケットの開口部が蓋板により閉蓋される。なお、バケットの上方への回動をさらに進めても、リフトアームの先部と蓋板とを連結する連結部材が緩むだけで、蓋板が開口部を塞いだ状態は維持される。この状態のまま、リフトアームを土運船の上方で旋回し、土砂を掬ったバケットを揚土機の上方まで移動する。その後、回動ピンを中心にして、バケットを下方へ回動することにより、バケットの開口部の蓋板が開蓋し、土砂が揚土機に投入される。
このように、移動中のバケットの開口部は、常時、蓋板により閉蓋されている。また、この閉蓋時、開口部と蓋板との隙間はパッキンにより塞がれる。そのため、土運船から掬った土砂を揚土機に移動する途中、バケットの開口部から零れた土砂が水面に落下し、水中に濁水が発生して環境に悪影響を与えるおそれが低減される。
このように、移動中のバケットの開口部は、常時、蓋板により閉蓋されている。また、この閉蓋時、開口部と蓋板との隙間はパッキンにより塞がれる。そのため、土運船から掬った土砂を揚土機に移動する途中、バケットの開口部から零れた土砂が水面に落下し、水中に濁水が発生して環境に悪影響を与えるおそれが低減される。
また、一般的に鋼材からなるバックホウのバケットの内外壁面には、合成樹脂を主成分とする塗料を塗布し、土砂付着防止膜が形成されている。この土砂付着防止膜により、塗布前に比較して、浚った土砂に対するバケットの内外壁面の摩擦抵抗が低下する(摩擦係数が小さくなる)。これにより、泥艙での土砂掬い上げ時および土砂の揚土機投入時において、バケットの内外壁面からの土砂の滑落性が高まり、バケット表面(内外壁面)対する土砂の付着量が低減する。その結果、バックホウのリフトアームを旋回してバケットを揚土機に移動する途中、バケットの外壁面に付着した土砂がバケットから零れることで発生する、揚土作業を行う水域周辺の汚濁を防止することができる。
特に、補強リブをバケットの内壁面に設けたため、バケットの外壁面に補強リブを配した従来品に比べてバケット外壁面の平坦性が高まり、このバケット外壁面に対する土砂の付着量が減少し、揚土作業を行う水域周辺の汚濁防止効果がさらに高まる。また、バケットの内壁面への土砂の付着量も減少するため、この内壁面付着を原因とした次回のバックホウによる掬い上げ作業により浚い取れる土砂量を最大に近い状態で安定化でき、揚土効率の低下を防ぐことができる。
特に、補強リブをバケットの内壁面に設けたため、バケットの外壁面に補強リブを配した従来品に比べてバケット外壁面の平坦性が高まり、このバケット外壁面に対する土砂の付着量が減少し、揚土作業を行う水域周辺の汚濁防止効果がさらに高まる。また、バケットの内壁面への土砂の付着量も減少するため、この内壁面付着を原因とした次回のバックホウによる掬い上げ作業により浚い取れる土砂量を最大に近い状態で安定化でき、揚土効率の低下を防ぐことができる。
特に、請求項1に記載の発明によれば、蓋板の先端部に、複数の短冊板をヒンジにより連結した、下方へのみ回動可能な多関節の延長蛇腹板部を設け、かつ各短冊板のうち、最も先側の短冊板とリフトアームの先部とを連結することで、蓋板と延長蛇腹部とは、1枚の大判板としてバケットの開口部の閉蓋位置に連結部材によって蓋板の機能を果たす。そのため、土砂を掬ったバケットの開口部が閉蓋位置に到達した際、仮に土砂が山積み状態であっても、バケットの上方回動をさらに進めるだけで、回動ピンを中心とした蓋板の上方回動が進行し(蓋板が持ち上がり)、連結部材が緩んで延長蛇腹板部が各ヒンジを中心にして蛇腹状に下方へ折れ曲がる。その結果、この延長蛇腹板部によって、バケットの開口部を越した土砂の山積み部分を被う。これにより、リフトアームの旋回途中で懸念される、この土砂の山積み部分の崩れ落ちを原因とする、揚土作業の周辺水域の汚濁を防止できる。
また、請求項2に記載の発明によれば、土運船の泥艙に溜まった土砂のうち、泥艙の揚土船側の形成壁付近に溜まった土砂をバケットにより浚う際には、バケットの開口面を略垂直にして、リフトアームを泥艙の揚土船側の形成壁へ引き寄せる。このとき、蓋板は回動軸により元部がリフトアームの先端部に連結され、かつ蓋板の先端部が連結部材によりリフトアームの先部に連結されているため、蓋板は、常に土砂の表面に接して移動する。その結果、バケットがその形成壁近くに到達すると、まず蓋板の緩衝ローラが土運船の泥艙の形成壁に衝突する。その後もこの引き寄せを続行することで、緩衝ローラが泥艙の揚土船側の形成壁を上方へ向かって転動しながら、蓋板は回動軸を中心にして徐々に上方へ回動する。すなわち、蓋板は、専用の駆動源を用いることなく、リフトアームの引き寄せ力を利用して自動的に上方へ退避する。これにより、泥艙の揚土船側の形成壁付近に溜まった土砂をバケットにより浚う際、蓋板が邪魔にならない。
以下、この発明の実施例を具体的に説明する。ここでは、湾岸の浚渫作業の後処理として、土運船の泥艙に溜まった土砂を、岸壁に停泊する揚土船のバックホウによって揚土する際に使用される、揚土船用バックホウのバケットを例にとる。
図1および図2において、10はこの発明の参考例1に係る揚土船用バックホウのバケット(以下、バケット)で、このバケット10は、揚土船11に搭載され、かつ土運船12の泥艙13に溜まった土砂を掬うバックホウ14のリフトアーム15の先端部に、回動ピン16を介して片持ち状態で開口部28の元部が連結されたものである。
以下、これらの構成体を具体的に説明する。
図1に示すように、土運船12は自航式のもので、船体17の内部空間の大半部分が泥艙13となっている。この泥艙13に、浚渫船によって湾岸の海底から浚渫された土砂が積載されている。
揚土船11は、バックホウ14と、湾岸の海底の土砂の陸揚げ用の揚土機18とが甲板に搭載されている。揚土機18には、土砂を陸揚げするベルトコンベアが連結されている。
バックホウ14は、クローラ式の下部走行体21を有し、その上部に上部旋回体22が旋回可能に設けられている。上部旋回体22の前側部分には、泥艙13に溜まった土砂の揚土作業を行う作業装置23が搭載されている。
以下、これらの構成体を具体的に説明する。
図1に示すように、土運船12は自航式のもので、船体17の内部空間の大半部分が泥艙13となっている。この泥艙13に、浚渫船によって湾岸の海底から浚渫された土砂が積載されている。
揚土船11は、バックホウ14と、湾岸の海底の土砂の陸揚げ用の揚土機18とが甲板に搭載されている。揚土機18には、土砂を陸揚げするベルトコンベアが連結されている。
バックホウ14は、クローラ式の下部走行体21を有し、その上部に上部旋回体22が旋回可能に設けられている。上部旋回体22の前側部分には、泥艙13に溜まった土砂の揚土作業を行う作業装置23が搭載されている。
作業装置23は、上部旋回体22に設けられたブーム24と、ブーム24の先端部に設けられたリフトアーム15と、リフトアーム15の先端部に水平な回動ピン16を介して連結されたバケット10と、基端部が上部旋回体22に取り付けられ、かつロッドの先端部がブーム24に取り付けられたブームシリンダ25と、基端部がブーム24に取り付けられ、かつロッドの先端部がリフトアーム15に取り付けられたアームシリンダ26と、基端部がリフトアーム15に取り付けられ、かつロッドの先端部がリンク機構体27を介してバケット10の開口部28の元部に取り付けられたバケットシリンダ29とを有している。この開口部28は、バケット10の元先方向に長い矩形状の開口を有している。
作業装置23による揚土作業時には、上部旋回体22を旋回し、ブームシリンダ25のロッドおよびアームシリンダ26のロッドを突出または没入することにより、ブーム24およびリフトアーム15を介してバケット10を水平旋回および昇降する。さらに、バケットシリンダ29のロッドを突出または没入することで、回動軸30を中心としてバケット10を正回転(土砂を掬う方向の回転)、または、逆回転(土砂を落とす方向の回転)する。
作業装置23による揚土作業時には、上部旋回体22を旋回し、ブームシリンダ25のロッドおよびアームシリンダ26のロッドを突出または没入することにより、ブーム24およびリフトアーム15を介してバケット10を水平旋回および昇降する。さらに、バケットシリンダ29のロッドを突出または没入することで、回動軸30を中心としてバケット10を正回転(土砂を掬う方向の回転)、または、逆回転(土砂を落とす方向の回転)する。
図1に示すように、バケット10の開口部28の元部には、回動ピン16と軸線が平行な回動軸30を介して、開口部28を覆う土砂零れ防止用の蓋板31が片持ち状態で連結されている。蓋板31は、バケット10の開口と同一形状および同一サイズの、厚肉でかつ元先方向が幅方向よりも長い矩形状の板部材である。
蓋板31がバケット10の開口部28の閉蓋位置Pに位置するよう、蓋板31の先端部とリフトアーム15の先部とが2本のチェーン(連結部材)32により連結されている。各チェーン32の長さは、蓋板31をバケット10の開口部28の閉蓋位置Pに位置できる長さである。
ここでいう閉蓋位置Pとは、リフトアーム15の後側面(上部旋回体22側の面)を基準として略60°傾斜した位置である。これにより、蓋板31は、回動軸30を中心とした上方への回動のみの許容状態で閉蓋位置Pに略60°の傾斜状態で設けられる。蓋板はリフトアームの下面と略60度の角度をなして吊り下げられている。
蓋板31がバケット10の開口部28の閉蓋位置Pに位置するよう、蓋板31の先端部とリフトアーム15の先部とが2本のチェーン(連結部材)32により連結されている。各チェーン32の長さは、蓋板31をバケット10の開口部28の閉蓋位置Pに位置できる長さである。
ここでいう閉蓋位置Pとは、リフトアーム15の後側面(上部旋回体22側の面)を基準として略60°傾斜した位置である。これにより、蓋板31は、回動軸30を中心とした上方への回動のみの許容状態で閉蓋位置Pに略60°の傾斜状態で設けられる。蓋板はリフトアームの下面と略60度の角度をなして吊り下げられている。
次に、図1を参照して、バケット10を詳細に説明する。
図1に示すように、バケット10は、開口部28の先側の辺部に爪が存在せず、側面視して大略V字形状にして湾曲した底板33と、底板33の開口する両端面を塞ぐ一対の側板34とからなる容器である。バケット10の両側板34の内壁面とバケット10の底板33の内壁面とには、複数の側板用リブ板(補強リブ)35と、複数の底板用リブ板(補強リブ)36とが配設されている。このうち、各側板用リブ板35は、バケット10の両側板34の内壁面に溶接された円弧状の板である。また、各底板用リブ板36は、バケット10の幅方向に所定間隔をあけて溶接された湾曲する長板である。各側板用リブ板35と各底板用リブ板36とにより、両側板34と底板33とは、補強リブが形成された部分のみ肉厚となる。
図1に示すように、バケット10は、開口部28の先側の辺部に爪が存在せず、側面視して大略V字形状にして湾曲した底板33と、底板33の開口する両端面を塞ぐ一対の側板34とからなる容器である。バケット10の両側板34の内壁面とバケット10の底板33の内壁面とには、複数の側板用リブ板(補強リブ)35と、複数の底板用リブ板(補強リブ)36とが配設されている。このうち、各側板用リブ板35は、バケット10の両側板34の内壁面に溶接された円弧状の板である。また、各底板用リブ板36は、バケット10の幅方向に所定間隔をあけて溶接された湾曲する長板である。各側板用リブ板35と各底板用リブ板36とにより、両側板34と底板33とは、補強リブが形成された部分のみ肉厚となる。
バケット10の開口部28の周縁部分には、蓋板31による開口部28の閉蓋時、開口部28と蓋板31との隙間を塞ぐパッキン37が設けられている。
また、バケット10の内外壁面の全域は、厚さ200μmの土砂付着防止膜により被覆されている。
土砂付着防止膜とは、アルキド樹脂系の土砂付着防止塗料膜である、日本化学塗料株式会社製の「ケミカNo.2クリヤー」を乾燥させた塗膜である。土砂付着防止膜は、その硬化を保持するため、稼働10日ごとに再塗布するメンテナンスを行った方が好ましい。
また、バケット10の内外壁面の全域は、厚さ200μmの土砂付着防止膜により被覆されている。
土砂付着防止膜とは、アルキド樹脂系の土砂付着防止塗料膜である、日本化学塗料株式会社製の「ケミカNo.2クリヤー」を乾燥させた塗膜である。土砂付着防止膜は、その硬化を保持するため、稼働10日ごとに再塗布するメンテナンスを行った方が好ましい。
次に、図2〜図5を参照して、参考例1に係るバケット10を用いた揚土作業を説明する。
図2に示すように、土運船12が揚土船11の舷側に横付けされた後、揚土船11の甲板上でバックホウ14の上部旋回体22を所定方向に旋回し、ブーム24を土運船12の泥艙13の上方に移動する。その後、ブームシリンダ25のロッドを突出してブーム24を下方へ回動させ、アームシリンダ26のロッドを突出してリフトアーム15を下方へ回動させることで、バケット10を泥艙13に溜まった土砂に差し込む(図3)。その後、バケットシリンダ29のロッドを突出することにより、バケット10が回動軸30を中心として正回動して土砂を掬う。
その後も、バケット10の正回動を進めて行くと、バケット10の開口部28が閉蓋位置Pに到達し、開口部28が蓋板31により閉蓋される(図4)。このとき、開口部28と蓋板31との隙間はパッキン37により塞がれる。なお、バケット10の上方への回動をさらに進めても、リフトアーム15の先部に上端が連結されたチェーン32が緩むだけで、蓋板31が開口部28を塞いだ状態は維持される。
図2に示すように、土運船12が揚土船11の舷側に横付けされた後、揚土船11の甲板上でバックホウ14の上部旋回体22を所定方向に旋回し、ブーム24を土運船12の泥艙13の上方に移動する。その後、ブームシリンダ25のロッドを突出してブーム24を下方へ回動させ、アームシリンダ26のロッドを突出してリフトアーム15を下方へ回動させることで、バケット10を泥艙13に溜まった土砂に差し込む(図3)。その後、バケットシリンダ29のロッドを突出することにより、バケット10が回動軸30を中心として正回動して土砂を掬う。
その後も、バケット10の正回動を進めて行くと、バケット10の開口部28が閉蓋位置Pに到達し、開口部28が蓋板31により閉蓋される(図4)。このとき、開口部28と蓋板31との隙間はパッキン37により塞がれる。なお、バケット10の上方への回動をさらに進めても、リフトアーム15の先部に上端が連結されたチェーン32が緩むだけで、蓋板31が開口部28を塞いだ状態は維持される。
次に、この閉蓋状態のまま、ブームシリンダ25のロッドを引き込ませ、かつアームシリンダ26のロッドを引き込ませて、バケット10を土運船12の泥艙13の上方に持ち上げ、さらに上部旋回体22をリフトアーム15とともに旋回することで、土砂を掬ったバケット10が揚土機18の上方に移動する(図5)。その後、回動ピン16を中心にして、バケット10を逆回動することにより、バケット10の開口部28の蓋板31が開蓋し、土砂が揚土船11の揚土機18の投入口11aに投入される。揚土機18に投入された土砂は、ベルトコンベアによって所定の保管場まで搬送される。
このように、移動中のバケット10の開口部28は、常時、蓋板31により閉蓋され、かつこの閉蓋時、開口部28と蓋板31との隙間はパッキン37により塞がれる。そのため、土運船12から掬った土砂を揚土機18に移動する途中、バケット10の開口部28から零れた土砂が水面に落下し、水中に濁水が発生して環境に悪影響を与えるおそれが低減される。
また、一般的に鋼材からなるバックホウ14のバケット10の内外壁面には、合成樹脂を主成分とする塗料を塗布し、土砂付着防止膜が形成されている。この土砂付着防止膜により、塗布前に比較して、浚った土砂に対するバケット10の内外壁面の摩擦抵抗が低下する。これにより、泥艙13での土砂掬い上げ時および土砂の揚土機投入時において、バケット10の内外壁面からの土砂の滑落性が高まり、バケット10内外壁面対する土砂の付着量が低減する。その結果、バックホウ14のリフトアーム15を旋回してバケット10を揚土機18に移動する途中、バケット10の外壁面に付着した土砂がバケット10から零れることを防止でき、揚土作業を行う水域周辺の汚濁を防止することができる。
また、一般的に鋼材からなるバックホウ14のバケット10の内外壁面には、合成樹脂を主成分とする塗料を塗布し、土砂付着防止膜が形成されている。この土砂付着防止膜により、塗布前に比較して、浚った土砂に対するバケット10の内外壁面の摩擦抵抗が低下する。これにより、泥艙13での土砂掬い上げ時および土砂の揚土機投入時において、バケット10の内外壁面からの土砂の滑落性が高まり、バケット10内外壁面対する土砂の付着量が低減する。その結果、バックホウ14のリフトアーム15を旋回してバケット10を揚土機18に移動する途中、バケット10の外壁面に付着した土砂がバケット10から零れることを防止でき、揚土作業を行う水域周辺の汚濁を防止することができる。
特に、補強リブをバケット10の内壁面に設けたため、バケット10の外壁面に補強リブを配した従来品に比べてバケット外壁面の平坦性が高まり、このバケット外壁面に対する土砂の付着量が減少し、揚土作業を行う水域周辺の汚濁防止効果がさらに高まる。また、バケット内壁面への土砂の付着量も減少するため、この内壁面付着を原因とした次回のバックホウ14による掬い上げ作業により浚い取れる土砂量を最大に近い状態で安定化でき、揚土効率の低下を防ぐことができる。
次に、図6および図7を参照して、この発明の実施例2に係る揚土船用バックホウのバケットについて説明する。
図7(a)および図7(b)に示すように、実施例2の揚土船用バックホウのバケット(以下、バケット)10Aの特徴は、蓋板31の先端部に、蓋板31の幅方向に長い3枚の短冊板40を、下方への回動のみが可能な複数のヒンジ41によって、隣合う短冊板同士を連結した延長蛇腹板部42を設け、延長蛇腹板部42を構成する複数の短冊板40のうち、最も先側に配置された短冊板40に、一対のチェーン32の下端部を連結し、また蓋板31の内外壁面の全域に土砂付着防止膜を形成した点である。具体的には、3枚の短冊板のうちの1枚目の短冊板は、蓋板の長さ方向にヒンジを介して蓋板に取り付けられることにより、蓋板の長さが延長されるように設けられている。2枚目の短冊板は、1枚目の短冊板にヒンジを介して取り付けられることにより、蓋板の長さがさらに延長されるように取り付けられている。3枚目の短冊板は2枚目の短冊板にヒンジを介して取り付けられることにより、さらに蓋板の長さが延長されるように取り付けられている。このような取り付け構成により、蓋板に延長蛇腹板部が設けられた形状は平面視して矩形状となる。
図7(a)および図7(b)に示すように、実施例2の揚土船用バックホウのバケット(以下、バケット)10Aの特徴は、蓋板31の先端部に、蓋板31の幅方向に長い3枚の短冊板40を、下方への回動のみが可能な複数のヒンジ41によって、隣合う短冊板同士を連結した延長蛇腹板部42を設け、延長蛇腹板部42を構成する複数の短冊板40のうち、最も先側に配置された短冊板40に、一対のチェーン32の下端部を連結し、また蓋板31の内外壁面の全域に土砂付着防止膜を形成した点である。具体的には、3枚の短冊板のうちの1枚目の短冊板は、蓋板の長さ方向にヒンジを介して蓋板に取り付けられることにより、蓋板の長さが延長されるように設けられている。2枚目の短冊板は、1枚目の短冊板にヒンジを介して取り付けられることにより、蓋板の長さがさらに延長されるように取り付けられている。3枚目の短冊板は2枚目の短冊板にヒンジを介して取り付けられることにより、さらに蓋板の長さが延長されるように取り付けられている。このような取り付け構成により、蓋板に延長蛇腹板部が設けられた形状は平面視して矩形状となる。
延長蛇腹板部42における蓋板31の長さ方向の長さは、蓋板31の長さの約3分の1で、細長い各短冊板40における長さは、蓋板31の幅方向の長さと同一である。
各ヒンジ41としては、一対の連結板片43の元部に有する軸筒44に軸体45が挿通された片開き構造の長蝶番が採用されている(図7(b))。各ヒンジ41は、短冊板40の下方へのみ回動が許容されるように、隣接する一対の短冊板40の下面(裏面)に、一対の連結板片43がそれぞれ固定されている。各連結板片43の最大回動角は略90°である。
また、一対の連結部材は、リフトアームの先部と最も先側に配置された短冊板40の中央部とに、蓋板31の幅方向に離間してそれぞれ固定されている。
各ヒンジ41としては、一対の連結板片43の元部に有する軸筒44に軸体45が挿通された片開き構造の長蝶番が採用されている(図7(b))。各ヒンジ41は、短冊板40の下方へのみ回動が許容されるように、隣接する一対の短冊板40の下面(裏面)に、一対の連結板片43がそれぞれ固定されている。各連結板片43の最大回動角は略90°である。
また、一対の連結部材は、リフトアームの先部と最も先側に配置された短冊板40の中央部とに、蓋板31の幅方向に離間してそれぞれ固定されている。
以上の構成とすることで、蓋板31と延長蛇腹板部42とは、1枚の大判板としてバケット10Aの開口部28の閉蓋位置Pに一対のチェーン32によって吊り下げられている。そのため、土砂を掬ったバケット10Aの開口部28が閉蓋位置Pに到達した際、仮に土砂が山積み状態であっても、バケット10Aの上方回動をさらに進めるだけで、回動ピン16を中心とした蓋板31の上方回動が進行し(蓋板31が持ち上がり)、チェーン32が緩んで延長蛇腹板部42が各ヒンジ41を中心にして蛇腹状に下方へ折れ曲がる。
その結果、バケット10Aの開口部28を越した土砂の山積み部分aが、延長蛇腹板部42によって被われる。これにより、リフトアーム15の旋回途中で懸念される、土砂の山積み部分aの崩落を原因とした揚土作業の周辺水域の汚濁を防止することができる。
また、蓋板31の内外壁面の全域に土砂付着防止膜を形成したため、蓋板31に付着した土砂の滑落による周辺水域の汚濁防止効果が得られる。
その他の構成、作用および効果は、参考例1と同じであるため、説明を省略する。
その結果、バケット10Aの開口部28を越した土砂の山積み部分aが、延長蛇腹板部42によって被われる。これにより、リフトアーム15の旋回途中で懸念される、土砂の山積み部分aの崩落を原因とした揚土作業の周辺水域の汚濁を防止することができる。
また、蓋板31の内外壁面の全域に土砂付着防止膜を形成したため、蓋板31に付着した土砂の滑落による周辺水域の汚濁防止効果が得られる。
その他の構成、作用および効果は、参考例1と同じであるため、説明を省略する。
次に、図8および図9を参照して、この発明の実施例3に係る揚土船用バックホウのバケットについて説明する。
図8に示すように、この実施例3の揚土船用バックホウのバケット(以下、バケット)10Bの特徴は、蓋板31の先端部が上方に湾曲し、この蓋板31の湾曲部分31aに、各ローラ軸50の軸線が回動軸30の軸線と平行で、かつ蓋板31より先方に外周部の一部が突出した2つの緩衝ローラ51を、対配置の軸受52を介して、互いに蓋板31の幅方向に所定ピッチで離間して設けた点である。各緩衝ローラ51は、蓋板31の湾曲部分31aの裏面のうち、蓋板31の幅方向の両端部に離間して配置されている。
図8に示すように、この実施例3の揚土船用バックホウのバケット(以下、バケット)10Bの特徴は、蓋板31の先端部が上方に湾曲し、この蓋板31の湾曲部分31aに、各ローラ軸50の軸線が回動軸30の軸線と平行で、かつ蓋板31より先方に外周部の一部が突出した2つの緩衝ローラ51を、対配置の軸受52を介して、互いに蓋板31の幅方向に所定ピッチで離間して設けた点である。各緩衝ローラ51は、蓋板31の湾曲部分31aの裏面のうち、蓋板31の幅方向の両端部に離間して配置されている。
次に、図9を参照して、実施例3のバケット10Bによる、泥艙13の揚土船11側の形成壁付近に溜まった土砂の掬い取り作業を説明する。
この作業時には、まずバケット10Bの開口部28を略垂直にして、リフトアーム15を泥艙13の揚土船11側の形成壁へ引き寄せる。このとき、蓋板31は回動軸30により元部がリフトアーム15の先端部に連結され、かつ蓋板31の先端部が湾曲自在な各チェーン32によりリフトアーム15の先部に吊られているため、蓋板31は、常に土砂の表面に接して移動する。その結果、バケット10Bがその形成壁近くに到達すると、まず蓋板31の緩衝ローラ51が土運船12の泥艙13の形成壁に衝突する(図9(a))。その後も、この引き寄せを続行することで、緩衝ローラ51が泥艙13の揚土船11側の形成壁を上方へ向かって転動しながら、蓋板31は回動軸30を中心にして徐々に上方へ回動する。すなわち、蓋板31は、専用の駆動源を用いることなく、リフトアーム15の引き寄せ力を利用して自動的に上方へ退避する(図9(b))。これにより、泥艙13の揚土船11側の形成壁付近に溜まった土砂をバケット10Bにより浚う際、蓋板31が邪魔にならない。
なお、バケット10Bが土運船12の泥艙13の形成壁に近接した後は、バケットシリンダ29のロッドを突出することにより、回動軸30を中心としてバケット10をその開口部28の先端が泥艙13の形成壁に当接するまで矢印S1方向に正回動する。その後、土砂をバケット10Bを垂直に所定距離だけ上昇させて残りの土砂を掬い取り(矢印S2)、その直後、回動軸30を中心としてバケット10をその開口部28が水平状態となるまで正回動するとともに、この正回動をしながらアームシリンダ26のロッドを引き込ませてリフトアーム15を矢印S3方向に移動させる。この移動中、開口部28の先端は常に泥艙13の形成壁に当接するように操作した方が、開口部の先端からの土砂の零れが少なくなるために好ましい。
その他の構成、作用および効果は、参考例1と同じであるため、説明を省略する。
この作業時には、まずバケット10Bの開口部28を略垂直にして、リフトアーム15を泥艙13の揚土船11側の形成壁へ引き寄せる。このとき、蓋板31は回動軸30により元部がリフトアーム15の先端部に連結され、かつ蓋板31の先端部が湾曲自在な各チェーン32によりリフトアーム15の先部に吊られているため、蓋板31は、常に土砂の表面に接して移動する。その結果、バケット10Bがその形成壁近くに到達すると、まず蓋板31の緩衝ローラ51が土運船12の泥艙13の形成壁に衝突する(図9(a))。その後も、この引き寄せを続行することで、緩衝ローラ51が泥艙13の揚土船11側の形成壁を上方へ向かって転動しながら、蓋板31は回動軸30を中心にして徐々に上方へ回動する。すなわち、蓋板31は、専用の駆動源を用いることなく、リフトアーム15の引き寄せ力を利用して自動的に上方へ退避する(図9(b))。これにより、泥艙13の揚土船11側の形成壁付近に溜まった土砂をバケット10Bにより浚う際、蓋板31が邪魔にならない。
なお、バケット10Bが土運船12の泥艙13の形成壁に近接した後は、バケットシリンダ29のロッドを突出することにより、回動軸30を中心としてバケット10をその開口部28の先端が泥艙13の形成壁に当接するまで矢印S1方向に正回動する。その後、土砂をバケット10Bを垂直に所定距離だけ上昇させて残りの土砂を掬い取り(矢印S2)、その直後、回動軸30を中心としてバケット10をその開口部28が水平状態となるまで正回動するとともに、この正回動をしながらアームシリンダ26のロッドを引き込ませてリフトアーム15を矢印S3方向に移動させる。この移動中、開口部28の先端は常に泥艙13の形成壁に当接するように操作した方が、開口部の先端からの土砂の零れが少なくなるために好ましい。
その他の構成、作用および効果は、参考例1と同じであるため、説明を省略する。
この発明の揚土船用バックホウのバケットは、海底、湖底または河底から浚渫された土砂を陸揚げする際に用いられる揚土船に搭載された、バックホウ用のバケットとして有用である。
10,10A,10B 揚土船用バックホウのバケット、
11 揚土船、
13 泥艙、
14 バックホウ、
15 リフトアーム、
16 回動ピン、
28 開口部、
30 回動軸、
31 蓋板、
31a 湾曲部分、
32 チェーン(連結部材)、
37 パッキン、
35 側板用リブ板(補強リブ)、
36 底板用リブ板(補強リブ)、
40 短冊板、
41 ヒンジ、
42 延長蛇腹板部、
51 緩衝ローラ、
P 閉蓋位置。
11 揚土船、
13 泥艙、
14 バックホウ、
15 リフトアーム、
16 回動ピン、
28 開口部、
30 回動軸、
31 蓋板、
31a 湾曲部分、
32 チェーン(連結部材)、
37 パッキン、
35 側板用リブ板(補強リブ)、
36 底板用リブ板(補強リブ)、
40 短冊板、
41 ヒンジ、
42 延長蛇腹板部、
51 緩衝ローラ、
P 閉蓋位置。
Claims (3)
- 揚土船に設けられ、土運船の泥艙に溜まった土砂を掬うバックホウのリフトアームの先端部に、回動ピンを介して開口部の元部が連結された揚土船用バックホウのバケットにおいて、
蓋板の元部を、前記バケットの開口部の元部に、前記回動ピンの軸線と平行な軸線を有する回動軸を介して連結し、
前記リフトアームの先部と前記蓋板とを連結部材により連結することで、前記バケットの開口部を閉蓋する位置に前記蓋板が設けられ、
前記開口部と前記蓋板とをパッキンにより隙間なく閉蓋可能とし、
前記バケットを補強する補強リブを、前記バケットの内壁のみに設け、
前記バケットの内外壁面に、合成樹脂を主成分とする塗料を塗布して土砂付着防止膜を形成することにより、前記バケットの内外壁面の摩擦係数を前記塗料の塗布前に比較して小さくした揚土船用バックホウのバケット。 - 前記蓋板の先端部に、該蓋板の幅方向に長い複数の短冊板を、下方へのみ回動可能な複数のヒンジによって隣り合う短冊板同士を連結した延長蛇腹板部を設け、
該延長蛇腹板部を構成する前記複数の短冊板のうち、最も先側に配置された短冊板に、前記連結部材の下端部を連結した請求項1に記載の揚土船用バックホウのバケット。 - 前記蓋板の先端部は上方に湾曲し、
該蓋板の湾曲部分には、前記回動軸と軸線と平行な軸線を有し、前記蓋板より先方に突出する緩衝ローラを設けた請求項1に記載の揚土船用バックホウのバケット。
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