JP2016030311A - 物理量センサーの製造方法、物理量センサー、圧力センサー、高度計、電子機器および移動体 - Google Patents

物理量センサーの製造方法、物理量センサー、圧力センサー、高度計、電子機器および移動体 Download PDF

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洋司 北野
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Abstract

【課題】優れた検出特性を有する物理量センサーの製造方法および物理量センサーを提供すること、また、かかる物理量センサーを備える圧力センサー、高度計、電子機器および移動体を提供すること。【解決手段】本発明の物理量センサー1の製造方法は、半導体基板21の一方の面側に凸状の犠牲層を形成する工程と、犠牲層の半導体基板21とは反対側の面に沿って成膜して、被覆層641を形成する工程と、犠牲層の少なくとも一部をエッチングにより除去することにより、半導体基板21と被覆層641との間に空洞部Sを形成する工程と、半導体基板21を他方の面側から加工して、空洞部Sを介して被覆層641に対向するダイヤフラム部20を形成する工程と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、物理量センサーの製造方法、物理量センサー、圧力センサー、高度計、電子機器および移動体に関するものである。
受圧により撓み変形するダイヤフラムを備えた圧力センサーが広く用いられている。このような圧力センサーは、一般に、ダイヤフラムが壁部の一部を構成する空洞部を備えており、ダイヤフラム上に配置されたセンサー素子でダイヤフラムの撓みを検出することにより、ダイヤフラムに加わった圧力を検出する。
一方、前述したような空洞部を備える構造体としては、半導体プロセスを用いて形成された空洞部を備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の構造体では、基板と、この基板上に成膜により積層された複数の層からなる被覆構造体とによって、振動子を収納する空洞部が画成されている。また、特許文献1に記載の構造体では、被覆構造体の空洞部を介して基板に対向する部分(天井部)が熱ストレスにより基板とは反対側に湾曲変形していて、これにより、かかる部分が振動子に接触するのを抑制している。
しかし、特許文献1に記載の構造体は、前述したようなダイヤフラムを有する圧力センサーに適用した場合、天井部に残留している応力がダイヤフラムに及んでしまい、その結果、感圧精度を悪化させてしまうという問題がある。
特開2012−96316号公報
本発明の目的は、優れた検出特性を有する物理量センサーの製造方法および物理量センサーを提供すること、また、かかる物理量センサーを備える圧力センサー、高度計、電子機器および移動体を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
[適用例1]
本発明の物理量センサーの製造方法は、基板の一方の面側に犠牲層を凸状に配置する工程と、
前記犠牲層の前記基板とは反対側の面に沿って成膜して、天井部を形成する工程と、
前記犠牲層の少なくとも一部をエッチングにより除去することにより、前記基板と前記天井部との間に空洞部を形成する工程と、
前記基板の前記空洞部を介して前記天井部に対向する位置にダイヤフラム部を形成する工程と、
を含むことを特徴とする。
このような物理量センサーの製造方法によれば、犠牲層の基板とは反対側の面を成形面として利用して、ドーム状の天井部を形成することができる。そのため、得られる物理量センサーにおいて、天井部がドーム状をなすため、天井部が潰れるのを低減することができる。特に、得られる物理量センサーにおいて、天井部が犠牲層の成形面を利用してドーム状に成形されているため、天井部に残留する応力を少なくすることができ、そのため、かかる応力がダイヤフラム部に及んで悪影響を与えるのを低減することができる。このようなことから、優れた検出特性を有する物理量センサーを提供することができる。
[適用例2]
本発明の物理量センサーの製造方法では、前記犠牲層を形成する工程では、マスクを用いたパターニングを行うことが好ましい。
これにより、任意の形状の犠牲層を簡単かつ高精度に形成することができる。そのため、所望形状の天井部を簡単に形成することができる。
[適用例3]
本発明の物理量センサーの製造方法では、前記犠牲層を形成する工程では、前記犠牲層を複数の成膜ステップに分けて形成することが好ましい。
これにより、天井部と基板との間の距離が大きくても、複数の犠牲層を重ねて形成することにより、任意の形状の犠牲層を簡単かつ高精度に形成することができる。
[適用例4]
本発明の物理量センサーの製造方法では、前記複数の成膜ステップは、第1犠牲層を形成するステップと、前記第1犠牲層とは面積の異なる第2犠牲層を前記第1犠牲層に重ねて形成するステップと、を含むことが好ましい。
これにより、比較的簡単に、犠牲層の成形面をドーム状とすることができる。そのため、ドーム状の天井部を簡単に形成することができる。
[適用例5]
本発明の物理量センサーの製造方法では、前記第2犠牲層の面積は、前記第1犠牲層の面積よりも大きいことが好ましい。
これにより、第1犠牲層による段差を第2犠牲層により緩和して、犠牲層の成形面を連続的な面とすることができる。そのため、得られる天井部に段差が形成されるのを低減することができる。その結果、天井部の機械的強度を優れたものとし、天井部の潰れを効果的に低減することができる。
[適用例6]
本発明の物理量センサーの製造方法では、前記第2犠牲層の面積は、前記第1犠牲層の面積よりも小さいことが好ましい。
これにより、犠牲層の成形面に、第1犠牲層による段差を形成することができる。そのため、得られる天井部に段差を形成することができる。その結果、仮に天井部に応力が残留したとしても、その応力を天井部の段差により効果的に緩和することができる。
[適用例7]
本発明の物理量センサーの製造方法では、前記空洞部を形成する工程の前に、前記基板の前記一方の面側に前記空洞部の側壁部を複数の成膜ステップに分けて形成することが好ましい。
これにより、得られる物理量センサーにおいて、空洞部の側壁部に残留する応力を低減することができる。
[適用例8]
本発明の物理量センサーの製造方法では、前記天井部は、金属を含んで構成されていることが好ましい。
これにより、比較的簡単に、優れた気密性を有する空洞部を形成することができる。
[適用例9]
本発明の物理量センサーは、本発明の物理量センサーの製造方法を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、優れた検出特性を有する物理量センサーを提供することができる。
[適用例10]
本発明の圧力センサーは、本発明の物理量センサーを備えることを特徴とする。
これにより、優れた検出特性を有する圧力センサーを提供することができる。
[適用例11]
本発明の高度計は、本発明の物理量センサーを備えることを特徴とする。
これにより、優れた検出特性を有する高度計を提供することができる。
[適用例12]
本発明の電子機器は、本発明の物理量センサーを備えることを特徴とする。
これにより、優れた検出特性を有する物理量センサーを備える電子機器を提供することができる。
[適用例13]
本発明の移動体は、本発明の物理量センサーを備えることを特徴とする。
これにより、優れた検出特性を有する物理量センサーを備える移動体を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る物理量センサーを示す断面図である。 図1に示す物理量センサーのピエゾ抵抗素子の配置を示す拡大平面図である。 図1に示す物理量センサーの作用を説明するための図であって、(a)は加圧状態を示す断面図、(b)は加圧状態を示す平面図である。 図1に示す物理量センサーの製造工程を示す図である。 図1に示す物理量センサーの製造工程を示す図である。 図1に示す物理量センサーの製造工程を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る物理量センサーを示す断面図である。 図7に示す物理量センサーの製造工程を示す図である。 図7に示す物理量センサーの製造工程を示す図である。 図7に示す物理量センサーの製造工程を示す図である。 本発明の圧力センサーの一例を示す断面図である。 本発明の高度計の一例を示す斜視図である。 本発明の電子機器の一例を示す正面図である。 本発明の移動体の一例を示す斜視図である。
以下、本発明の物理量センサーの製造方法、物理量センサー、圧力センサー、高度計、電子機器および移動体を添付図面に示す各実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.物理量センサー
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る物理量センサーを示す断面図、図2は、図1に示す物理量センサーのピエゾ抵抗素子の配置を示す拡大平面図である。また、図3は、図1に示す物理量センサーの作用を説明するための図であって、図3(a)は加圧状態を示す断面図、図3(b)は加圧状態を示す平面図である。なお、以下では、説明の便宜上、図1中の上側を「上」、下側を「下」という。
図1に示す物理量センサー1は、ダイヤフラム部20を有する基板2と、ダイヤフラム部20に配置されている複数のピエゾ抵抗素子5(歪検出素子)と、導体層3およびダイヤフラム部20とともに空洞部S(キャビティ)を形成している積層構造体6と、基板2と積層構造体6との間に配置されている導体層3と、を備えている。
以下、物理量センサー1を構成する各部を順次説明する。
−基板−
基板2は、半導体基板21と、半導体基板21の一方の面上に設けられた絶縁膜22と、絶縁膜22の半導体基板21とは反対側の面上に設けられた絶縁膜23と、を有している。
半導体基板21は、単結晶シリコンで構成されているシリコン層211(ハンドル層)と、シリコン酸化膜で構成されている酸化シリコン層212(ボックス層)と、単結晶シリコンで構成されているシリコン層213(デバイス層)とがこの順で積層されたSOI基板である。なお、半導体基板21は、SOI基板に限定されず、例えば、単結晶シリコン基板等の他の半導体基板であってもよい。
絶縁膜22は、例えば、シリコン酸化膜であり、絶縁性を有する。また、絶縁膜23は、例えば、シリコン窒化膜であり、絶縁性を有するとともに、フッ酸を含むエッチング液に対する耐性をも有する。ここで、半導体基板21(シリコン層213)と絶縁膜23(シリコン窒化膜)との間に絶縁膜22(シリコン酸化膜)が介在していることにより、絶縁膜23の成膜時に生じた応力が半導体基板21に伝わるのを絶縁膜22により緩和することができる。また、絶縁膜22は、半導体基板21およびその上方に半導体回路を形成する場合、素子間分離膜として用いることもできる。なお、絶縁膜22、23は、前述した構成材料に限定されず、また、必要に応じて、絶縁膜22、23のうちのいずれか一方を省略してもよい。
このような基板2の絶縁膜23上には、パターニングされた導体層3が配置されている。この導体層3は、例えば、単結晶シリコン、多結晶シリコン(ポリシリコン)またはアモルファスシリコンにリン、ボロン等の不純物をドープ(拡散または注入)して構成されており、導電性を有する。そのため、例えば、空洞部Sの外側において基板2上にMOSトランジスタを形成する場合、導体層3の一部をMOSトランジスタのゲート電極として用いることができる。また、導体層3の一部を配線として用いることもできる。なお、本実施形態では、導体層3の一部が空洞部S内に露出しているが、導体層3全体が空洞部Sの外側に位置していてもよい。また、導体層3は、省略してもよい。
このような基板2には、周囲の部分よりも薄肉であり、受圧によって撓み変形するダイヤフラム部20が設けられている。ダイヤフラム部20は、半導体基板21の下面に有底の凹部24を設けることで形成されている。このようなダイヤフラム部20は、その下面が受圧面25となっている。本実施形態では、図2に示すように、ダイヤフラム部20は、正方形の平面視形状である。
本実施形態の基板2では、凹部24がシリコン層211を貫通しており、ダイヤフラム部20が酸化シリコン層212、シリコン層213、絶縁膜22および絶縁膜23の4層で構成されている。ここで、酸化シリコン層212は、後述するように、物理量センサー1の製造工程において凹部24をエッチングにより形成する際にエッチングストップ層として利用することができ、ダイヤフラム部20の厚さの製品ごとのバラツキを少なくすることができる。
なお、凹部24がシリコン層211を貫通せず、ダイヤフラム部20がシリコン層211の薄肉部、酸化シリコン層212、シリコン層213、絶縁膜22および絶縁膜23の5層で構成されていてもよい。
−ピエゾ抵抗素子−
複数のピエゾ抵抗素子5は、図1に示すように、それぞれ、ダイヤフラム部20の空洞部S側に形成されている。ここで、ピエゾ抵抗素子5は、半導体基板21のシリコン層213に形成されている。
図2に示すように、複数のピエゾ抵抗素子5は、ダイヤフラム部20の外周部に配置されている複数のピエゾ抵抗素子5a、5b、5c、5dで構成されている。
基板2の厚さ方向から平面視(以下、単に「平面視」という)で四角形をなすダイヤフラム部20の4つの辺にそれぞれ対応して、ピエゾ抵抗素子5a、ピエゾ抵抗素子5b、ピエゾ抵抗素子5c、ピエゾ抵抗素子5dが配置されている。
ピエゾ抵抗素子5aは、ダイヤフラム部20の対応する辺に対して垂直な方向に沿って延びている。そして、ピエゾ抵抗素子5aの両端部には、1対の配線214aが電気的に接続されている。同様に、ピエゾ抵抗素子5bは、ダイヤフラム部20の対応する辺に対して垂直な方向に沿って延びている。そして、ピエゾ抵抗素子5bの両端部には、1対の配線214bが電気的に接続されている。
一方、ピエゾ抵抗素子5cは、ダイヤフラム部20の対応する辺に対して平行な方向に沿って延びている。そして、ピエゾ抵抗素子5cの両端部には、1対の配線214cが電気的に接続されている。同様に、ピエゾ抵抗素子5dは、ダイヤフラム部20の対応する辺に対して平行な方向に沿って延びている。そして、ピエゾ抵抗素子5dの両端部には、1対の配線214dが電気的に接続されている。
なお、以下では、配線214a、214b、214c、214dをまとめて「配線214」ともいう。
このようなピエゾ抵抗素子5および配線214は、それぞれ、例えば、リン、ボロン等の不純物をドープ(拡散または注入)したシリコン(単結晶シリコン)で構成されている。ここで、配線214における不純物のドープ濃度は、ピエゾ抵抗素子5における不純物のドープ濃度よりも高い。なお、配線214は、金属で構成されていてもよい。
また、複数のピエゾ抵抗素子5は、例えば、自然状態における抵抗値が互いに等しくなるように構成されている。
以上説明したようなピエゾ抵抗素子5は、配線214等を介して、ブリッジ回路(ホイートストンブリッジ回路)を構成している。このブリッジ回路には、駆動電圧を供給する駆動回路(図示せず)が接続されている。そして、このブリッジ回路では、ピエゾ抵抗素子5の抵抗値に応じた信号(電圧)として出力される。
−積層構造体−
積層構造体6は、前述した基板2との間に空洞部Sを画成するように形成されている。ここで、積層構造体6は、ダイヤフラム部20のピエゾ抵抗素子5側に配置されていてダイヤフラム部20とともに空洞部S(圧力基準室)を構成している「壁部」である。
この積層構造体6は、基板2上に平面視でピエゾ抵抗素子5を取り囲むように形成された層間絶縁膜61と、層間絶縁膜61上に形成された配線層62と、配線層62および層間絶縁膜61上に形成された層間絶縁膜63と、層間絶縁膜63上に形成され、複数の細孔642(開孔)を備えた被覆層641を有する配線層64と、配線層64および層間絶縁膜63上に形成された表面保護膜65と、被覆層641上に設けられた封止層66とを有している。
層間絶縁膜61、63は、それぞれ、例えば、シリコン酸化膜で構成されている。また、配線層62、64および封止層66は、それぞれ、アルミニウム等の金属で構成されている。また、表面保護膜65は、例えば、シリコン窒化膜である。ここで、配線層62、64は、それぞれ、平面視で空洞部Sを囲むように形成されている部分を含んでいる。
また、被覆層641は、積層構造体6の空洞部Sを介してダイヤフラム部20に対向する「天井部」を構成しており、基板2とは反対側を凸とするようにして湾曲したドーム状をなしている。これにより、被覆層641の機械的強度を高め、被覆層641が潰れてダイヤフラム部20やピエゾ抵抗素子5に接触するのを低減することができる。
特に、被覆層641は、後に詳述するように、犠牲層の形状を利用してドーム状に形成されているため、残留する応力が小さい。そのため、被覆層641に残留した応力がダイヤフラム部20に及んで感圧精度を低下させるのを低減することができる。
また、封止層66は、被覆層641が有する細孔642を封止するとともに、被覆層641を補強する機能を有し、被覆層641とともに「天井部」を構成している。
このような積層構造体6は、CMOSプロセスのような半導体製造プロセスを用いて形成することができる。なお、シリコン層213上およびその上方には、半導体回路が作り込まれていてもよい。この半導体回路は、MOSトランジスタ等の能動素子、その他必要に応じて形成されたコンデンサ、インダクタ、抵抗、ダイオード、配線(ピエゾ抵抗素子5に接続されている配線を含む)等の回路要素を有している。
基板2と積層構造体6とによって画成された空洞部Sは、密閉された空間である。この空洞部Sは、物理量センサー1が検出する圧力の基準値となる圧力基準室として機能する。本実施形態では、空洞部Sが真空状態(300Pa以下)となっている。空洞部Sを真空状態とすることによって、物理量センサー1を、真空状態を基準として圧力を検出する「絶対圧センサー」として用いることができ、その利便性が向上する。
ただし、空洞部Sは、真空状態でなくてもよく、大気圧であってもよいし、大気圧よりも気圧が低い減圧状態であってもよいし、大気圧よりも気圧が高い加圧状態であってもよい。また、空洞部Sには、窒素ガス、希ガス等の不活性ガスが封入されていてもよい。
以上、物理量センサー1の構成について簡単に説明した。
このような構成の物理量センサー1は、図3(a)に示すように、ダイヤフラム部20の受圧面25が受ける圧力に応じて、ダイヤフラム部20が変形し、これにより、図3(b)に示すように、ピエゾ抵抗素子5a、5b、5c、5dが歪み、ピエゾ抵抗素子5a、5b、5c、5dの抵抗値が変化する。それに伴って、ピエゾ抵抗素子5a、5b、5c、5dが構成するブリッジ回路の出力が変化し、その出力に基づいて、受圧面25で受けた圧力の大きさを求めることができる。
より具体的に説明すると、前述したようなダイヤフラム部20の変形が生じる前の自然状態では、例えば、ピエゾ抵抗素子5a、5b、5c、5dの抵抗値が互いに等しい場合、ピエゾ抵抗素子5a、5bの抵抗値の積とピエゾ抵抗素子5c、5dの抵抗値の積とが等しく、ブリッジ回路の出力(電位差)はゼロとなる。
一方、前述したようなダイヤフラム部20の変形が生じると、図3(b)に示すように、ピエゾ抵抗素子5a、5bにその長手方向に沿った圧縮歪みおよび幅方向に沿った引張歪みが生じるとともに、ピエゾ抵抗素子5c、5dその長手方向に沿った引張歪みおよびその幅方向に沿った圧縮歪みが生じる。したがって、前述したようなダイヤフラム部20の変形が生じたとき、ピエゾ抵抗素子5a、5bの抵抗値とピエゾ抵抗素子5c、5dの抵抗値とのうち、一方の抵抗値が増加し、他方の抵抗値が減少する。
このようなピエゾ抵抗素子5a、5b、5c、5dの歪みにより、ピエゾ抵抗素子5a、5bの抵抗値の積とピエゾ抵抗素子5c、5dの抵抗値の積との差が生じ、その差に応じた出力(電位差)がブリッジ回路から出力される。このブリッジ回路からの出力に基づいて、受圧面25で受けた圧力の大きさ(絶対圧)を求めることができる。
ここで、前述したようなダイヤフラム部20の変形が生じたとき、ピエゾ抵抗素子5a、5bの抵抗値とピエゾ抵抗素子5c、5dの抵抗値とのうち、一方の抵抗値が増加し、他方の抵抗値が減少するため、ピエゾ抵抗素子5a、5bの抵抗値の積とピエゾ抵抗素子5c、5dの抵抗値の積との差の変化を大きくすることができ、それに伴って、ブリッジ回路からの出力を大きくすることができる。その結果、圧力の検出感度を高めることができる。
以上のような物理量センサー1では、後に詳述するように、積層構造体6(壁部)がCMOSプロセスのような半導体製造プロセスを用いて形成されている。これにより、ダイヤフラム部20とピエゾ抵抗素子5および空洞部Sとの位置決め精度を高めるとともに、小型化を図ることができる。
特に、被覆層641が基板2とは反対側を凸とするようにして湾曲したドーム状をなしているため、被覆層641が潰れてダイヤフラム部20やピエゾ抵抗素子5に接触するのを低減することができる。特に、被覆層641の上面および下面のそれぞれが連続した面で構成されているため、被覆層641の機械的強度が優れており、被覆層641の潰れを効果的に低減することができる。しかも、後に詳述するように、被覆層641のドーム状が犠牲層の形状を利用して形成されているため、被覆層641に残留する応力が小さい。そのため、被覆層641に残留した応力がダイヤフラム部20に及んで感圧精度を低下させるのを低減することができる。このようなことから、物理量センサー1は、優れた検出特性(信頼性および感圧精度)を有する。
(物理量センサーの製造方法)
次に、物理量センサー1の製造方法を簡単に説明する。
図4〜図6は、図1に示す物理量センサーの製造工程を示す図である。以下、物理量センサー1の製造方法を、これらの図に基づいて説明する。
[歪検出素子形成工程]
まず、図4(a)に示すように、SOI基板である半導体基板21を用意する。
そして、半導体基板21のシリコン層213にリン(n型)またはボロン(p型)等の不純物をドープ(イオン注入)することにより、図4(b)に示すように、複数のピエゾ抵抗素子5および配線214を形成する。
例えば、ボロンを+80keVでイオン注入を行う場合、ピエゾ抵抗素子5へのイオン注入濃度を1×1014atoms/cm程度とする。また、配線214へのイオン注入濃をピエゾ抵抗素子5よりも多くする。例えば、ボロンを10keVでイオン注入を行う場合、配線214へのイオン注入濃度を5×1015atoms/cm程度とする。また、前述したようなイオン注入の後、例えば、1000℃程度で20分程度のアニールを行う。
[絶縁膜等形成工程]
次に、図4(c)に示すように、シリコン層213上に絶縁膜22、絶縁膜23および導体層3をこの順で形成する。
絶縁膜22、23の形成は、それぞれ、例えば、スパッタリング法、CVD法等により行うことができる。導体層3は、例えば、多結晶シリコンをスパッタリング法、CVD法等により成膜した後、その膜にリン、ボロン等の不純物をドープ(イオン注入)し、エッチングによりパターニングすることで形成することができる。
[層間絶縁膜・配線層形成工程]
次に、図4(d)に示すように、絶縁膜23上に、犠牲層41を形成する。
この犠牲層41は、後述する空洞部形成工程により除去されるものであり、平面視で空洞部Sとなる領域の中央部に形成される。犠牲層41の構成材料は、後述する空洞部形成工程により除去可能な材料であれば、特に限定されないが、前述した層間絶縁膜61、63と同様の材料、すなわち、酸化シリコンであることが好ましい。また、犠牲層41の形成は、スパッタリング法、CVD法等により成膜し、その膜をエッチングによりパターンニングすることにより行うことができる。
また、犠牲層41の平面視形状および大きさは、目的とする被覆層641の形状等に応じて決められる。
また、犠牲層41の厚さは、目的とする被覆層641の形状等に応じて決められるものであり、特に限定されないが、例えば、200nm以上5000nm以下程度とされる。
次に、図5(e)に示すように、絶縁膜23上および犠牲層41上に、犠牲層42を形成する。
この犠牲層42は、後述する空洞部形成工程により除去されるものであり、平面視で犠牲層41を包含するように空洞部Sとなる領域の中央部に形成される。これにより、犠牲層42は、犠牲層41と重なっている部分と重なっていない部分とを有することとなる。したがって、犠牲層41および犠牲層42からなる積層体は、平面視における中央部の厚さが外周部よりも厚くなっている。ここで、犠牲層42の半導体基板21とは反対側の面は、犠牲層41による段差(凸部)の影響を受けて形成された段差(凸部)を有するが、その段差の立ち上がりは、犠牲層41による段差の立ち上がりよりも緩やかになる。すなわち、犠牲層41を覆って犠牲層42を形成することにより、犠牲層41による段差が緩和される。
犠牲層42の構成材料は、犠牲層41と同様、後述する空洞部形成工程により除去可能な材料であれば、特に限定されないが、前述した層間絶縁膜61、63と同様の材料、すなわち、酸化シリコンであることが好ましい。また、犠牲層42の形成は、犠牲層41と同様、スパッタリング法、CVD法等により成膜し、その膜をエッチングによりパターンニングすることにより行うことができる。
また、犠牲層42の平面視形状および大きさは、目的とする被覆層641の形状等に応じて決められる。
また、犠牲層42の厚さは、目的とする被覆層641の形状等に応じて決められるものであり、特に限定されないが、例えば、200nm以上5000nm以下程度とされる。
次に、図5(f)に示すように、絶縁膜23上、犠牲層42上および導体層3上に、犠牲層43を形成した後に、犠牲層43上に配線層62を形成する。
この犠牲層43は、後述する空洞部形成工程により一部が除去され、残部が層間絶縁膜61となるものである。犠牲層43の形成は、シリコン酸化膜をスパッタリング法、CVD法等により形成し、そのシリコン酸化膜をエッチングによりパターンニングすることにより行う。
また、犠牲層43の厚さは、特に限定されないが、例えば、500nm以上5000nm以下程度とされる。
このように形成された犠牲層43は、平面視で、犠牲層41および犠牲層42からなる積層体を包含している。そして、犠牲層41、犠牲層42および犠牲層43からなる積層体は、空洞部Sとなる領域内において、外周部側から中央部側に向けて厚さが連続的または段階的に厚くなっている。ここで、犠牲層43の半導体基板21とは反対側の面は、犠牲層41および犠牲層42による段差(凸部)の影響を受けて形成された段差(凸部)を有するが、その段差の立ち上がりは、犠牲層41および犠牲層42による段差の立ち上がりよりも緩やかになる。すなわち、犠牲層41および犠牲層42を覆って犠牲層43を形成することにより、犠牲層41および犠牲層42による段差が緩和される。
また、配線層62の形成は、犠牲層43上に、例えばアルミニウムよりなる層をスパッタリング法、CVD法等により形成した後、パターニング処理することにより行う。
ここで、配線層62の厚さは、特に限定されないが、例えば、300nm以上900nm以下程度とされる。
次に、図5(g)に示すように、犠牲層43上および配線層62上に、犠牲層44を形成した後に、犠牲層44上に配線層64を形成する。このとき、配線層64は、犠牲層44の上面の形状に追従して湾曲した形状に形成される。
すなわち、半導体基板21の一方の面側に、犠牲層45〜48からなる積層体で構成された凸状の「犠牲層」(以下、単に「犠牲層」ともいう)が形成され、その犠牲層の半導体基板21とは反対側の面に沿って成膜が行われることにより、ドーム状の被覆層641(天井部)が形成される。
この犠牲層44は、後述する空洞部形成工程により一部が除去され、残部が層間絶縁膜63となるものである。犠牲層44の形成は、犠牲層43と同様、シリコン酸化膜をスパッタリング法、CVD法等により形成し、そのシリコン酸化膜をエッチングによりパターンニングすることにより行う。
また、犠牲層44の厚さは、特に限定されないが、例えば、500nm以上5000nm以下程度とされる。
このように形成された犠牲層44は、平面視で、犠牲層41、犠牲層42および犠牲層43からなる積層体を包含している。そして、犠牲層41、犠牲層42、犠牲層43および犠牲層44からなる積層体は、空洞部Sとなる領域内において、外周部側から中央部側に向けて厚さが連続的に厚くなっている。ここで、犠牲層44の半導体基板21とは反対側の面は、犠牲層41および犠牲層42による段差(凸部)の影響を受けて段差(凸部)が形成されたとしても、その段差の立ち上がりは、犠牲層43に形成された段差の立ち上がりよりもさらに緩やかになる。すなわち、犠牲層43上に犠牲層44を形成することにより、犠牲層41および犠牲層42による段差がさらに緩和される。
また、配線層64の形成は、犠牲層44上に、配線層62と同様、例えばアルミニウムよりなる層をスパッタリング法、CVD法等により形成した後、パターニング処理することにより行う。
ここで、配線層64の厚さは、特に限定されないが、例えば、300nm以上900nm以下程度とされる。
このような犠牲層41〜44および配線層62、64からなる積層構造は、通常のCMOSプロセスを用いて形成され、その積層数は、必要に応じて適宜に設定される。すなわち、必要に応じてさらに多くの犠牲層や配線層が積層される場合もある。また、犠牲層41、42の形成は、それぞれ、犠牲層43の形成と犠牲層44の形成との間、または、犠牲層44の形成後に行ってもよい。また、犠牲層41の形成と犠牲層42の形成の順序を逆にしてもよい。
[空洞部形成工程]
次に、犠牲層41、42および犠牲層43、44の一部を除去することにより、図6(h)に示すように、半導体基板21と被覆層641との間に空洞部S(キャビティ)を形成する。これにより、層間絶縁膜61、63が形成される。
空洞部Sの形成は、被覆層641に形成された複数の細孔642を通じたエッチングにより、犠牲層41、42および犠牲層43、44の一部を除去することにより行う。ここで、かかるエッチングとしてウェットエッチングを用いる場合、複数の細孔642からフッ酸、緩衝フッ酸等のエッチング液を供給し、ドライエッチングを用いる場合、複数の細孔642からフッ化水素酸ガス等のエッチングガスを供給する。このようなエッチングの際、絶縁膜23がエッチングストップ層として機能する。また、絶縁膜23は、エッチング液に対する耐性を有することから、絶縁膜23に対して下側の構成部(例えば、絶縁膜22、ピエゾ抵抗素子5、配線214等)をエッチング液から保護する機能をも有する。
ここで、かかるエッチングの前に、スパッタリング法、CVD法等により表面保護膜65を形成する。これにより、かかるエッチングの際、犠牲層43、44の層間絶縁膜61、62となる部分を保護することができる。表面保護膜65の構成材料としては、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、ポリイミド膜、エポキシ樹脂膜など、素子を水分、ゴミ、傷などから保護するための耐性を有するものが挙げられ、特に、シリコン窒化膜が好適である。表面保護膜65の厚さは、特に限定されないが、例えば、500nm以上2000nm以下程度とされる。
[封止工程]
次に、図6(i)に示すように、被覆層641上に、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、Al、Cu、W、Ti、TiN等の金属膜等からなる封止層66をスパッタリング法、CVD法等により形成し、各細孔642を封止する。これより、空洞部Sが封止層66により封止され、積層構造体6を得る。
ここで、封止層66の厚さは、特に限定されないが、例えば、1000nm以上5000nm以下程度とされる。
[ダイヤフラム形成工程]
次に、シリコン層211の下面を必要に応じて研削した後、シリコン層211の下面の一部をエッチングにより除去(加工)することにより、図6(j)に示すように、凹部24を形成する。これにより、空洞部Sを介して被覆層641に対向するダイヤフラム部20が形成される。
ここで、シリコン層211の下面の一部を除去する際、酸化シリコン層212がエッチングストップ層として機能する。これにより、ダイヤフラム部20の厚さを高精度に規定することができる。
なお、シリコン層211の下面の一部を除去する方法としては、ドライエッチングであっても、ウェットエッチング等であってもよい。
以上のような工程により、物理量センサー1を製造することができる。
以上説明したような物理量センサー1の製造方法は、[1]半導体基板21の一方の面側に犠牲層41〜44からなる積層体で構成された凸状の犠牲層を形成する工程と、[2]その犠牲層の半導体基板21とは反対側の面に沿って成膜して、被覆層641(天井部)を形成する工程と、[3]その犠牲層の少なくとも一部をエッチングにより除去することにより、半導体基板21と被覆層641との間に空洞部S(キャビティ)を形成する工程と、[4]半導体基板21を他方の面側から加工して、空洞部Sを介して被覆層641に対向するダイヤフラム部20を形成する工程と、を有する。
このような物理量センサー1の製造方法によれば、犠牲層41〜44からなる積層体で構成された犠牲層の半導体基板21とは反対側の面を成形面として利用して、ドーム状の被覆層641を形成することができる。そのため、得られる物理量センサー1において、被覆層641がドーム状をなすため、被覆層641が潰れるのを低減することができる。特に、得られる物理量センサー1において、被覆層641が犠牲層の成形面を利用してドーム状に成形されているため、被覆層641に残留する応力を少なくすることができ、そのため、かかる応力がダイヤフラム部20に及んで悪影響を与えるのを低減することができる。このようなことから、優れた検出特性を有する物理量センサー1を提供することができる。
ここで、[1]犠牲層を形成する工程において、マスクを用いたパターニングを行うことにより、任意の形状の犠牲層を簡単かつ高精度に形成することができる。そのため、所望形状の被覆層641を簡単に形成することができる。
また、[1]犠牲層を形成する工程において、犠牲層を複数の成膜工程に分けて形成することにより、被覆層641と半導体基板21との間の距離が大きくても、すなわち、空洞部Sの高さが高くても、複数の犠牲層41〜44を重ねて形成することにより、任意の形状の犠牲層を簡単かつ高精度に形成することができる。
また、[1]犠牲層を形成する工程における複数の成膜工程は、犠牲層41を形成する工程と、犠牲層41とは面積の異なる犠牲層42、犠牲層43および犠牲層44を犠牲層41に重ねて形成する工程と、を有する。これにより、比較的簡単に、犠牲層の成形面をドーム状とすることができる。そのため、ドーム状の被覆層641を簡単に形成することができる。
本実施形態では、犠牲層41の形成後に形成される犠牲層42(第2犠牲層)の面積は、犠牲層41(第1犠牲層)の面積よりも大きい。また、犠牲層42の形成後に形成される犠牲層43、44のそれぞれの面積は、犠牲層42の面積よりも大きい。これにより、これらの犠牲層を面積の小さいものから大きいものへ順に重ねて形成することで、犠牲層41による段差を犠牲層42により緩和するとともに、犠牲層41および犠牲層42による段差を犠牲層43、44により緩和して、犠牲層の成形面を連続的な面(段差を低減した滑らかな面)とすることができる。そのため、得られる被覆層641に段差が形成されるのを低減することができる。その結果、被覆層641の機械的強度を優れたものとし、被覆層641の潰れを効果的に低減することができる。
また、[3]空洞部Sを形成する工程の前に、半導体基板21の一方の面側に空洞部Sの側壁部を複数の成膜工程に分けて形成するため、得られる物理量センサー1において、かかる側壁部を1回の成膜工程で形成する場合に比べて、空洞部Sの側壁部に残留する応力を低減することができる。
また、被覆層641または封止層66が金属を含んで構成されているため、比較的簡単に、優れた気密性を有する空洞部Sを形成することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図7は、本発明の第2実施形態に係る物理量センサーを示す断面図である。
以下、本発明の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
第2実施形態は、空洞部の天井部の構成およびその製造方法が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。
図7に示す物理量センサー1Aは、配線層64Aを有する積層構造体6Aを備えている。配線層64Aは、複数の細孔642(開孔)を備えた被覆層641Aを有する。被覆層641Aは、空洞部Sを介してダイヤフラム部20に対向する「天井部」を構成しており、基板2とは反対側を凸とするようにして下面に段差643、644を有する形状をなしている。これにより、被覆層641Aが潰れてダイヤフラム部20やピエゾ抵抗素子5に接触するのを低減することができる。また、段差643、644を形成することにより、仮に被覆層641に応力が残留したとしても、その応力を段差643、644で緩和することができる。このような段差643、644は、以下のようにして形成することができる。
(物理量センサーの製造方法)
図8〜図10は、図7に示す物理量センサーの製造工程を示す図である。以下、物理量センサー1Aの製造方法を、これらの図に基づいて説明する。
[歪検出素子形成工程]
まず、前述した第1実施形態と同様、図8(a)に示すように、SOI基板である半導体基板21を用意し、図8(b)に示すように、複数のピエゾ抵抗素子5および配線214を形成する。
[絶縁膜等形成工程]
次に、前述した第1実施形態と同様、図8(c)に示すように、シリコン層213上に絶縁膜22、絶縁膜23および導体層3をこの順で形成する。
[犠牲層形成工程(層間絶縁膜・配線層形成工程)]
次に、図8(d)に示すように、絶縁膜23上および導体層3上に、犠牲層45を形成した後に、犠牲層45上に第1実施形態と同様にして配線層62を形成する。
この犠牲層45は、後述する空洞部形成工程により一部が除去され、残部が層間絶縁膜61となるものである。犠牲層45の形成は、前述した第1実施形態の犠牲層43と同様に行うことができる。
次に、図9(e)に示すように、犠牲層45上および配線層62上に、犠牲層46を形成する。
この犠牲層46は、後述する空洞部形成工程により一部が除去され、残部が層間絶縁膜63となるものである。犠牲層46の形成は、前述した第1実施形態の犠牲層44と同様に行うことができる。
次に、図9(f)に示すように、犠牲層46上に、犠牲層47を形成する。
この犠牲層47は、後述する空洞部形成工程により除去されるものであり、平面視で空洞部Sとなる領域の中央部に形成される。この犠牲層47の形成は、前述した第1実施形態の犠牲層42の形成と同様に行うことができる。
次に、図9(g)に示すように、犠牲層47上に、犠牲層48を形成する。これにより、半導体基板21の一方の面側に、犠牲層45〜48からなる積層体で構成された凸状の「犠牲層」が形成される。
この犠牲層48は、後述する空洞部形成工程により除去されるものであり、平面視で犠牲層47に包含されるように空洞部Sとなる領域の中央部に形成される。これにより、犠牲層48は、犠牲層47と重なっている部分と重なっていない部分とを有することとなる。したがって、犠牲層47および犠牲層48からなる積層体は、平面視における中央部の厚さが外周部よりも厚くなっている。ここで、犠牲層45〜48からなる積層体の半導体基板21とは反対側の面は、犠牲層47および犠牲層48による段差(凸部)を有する。
この犠牲層48の形成は、前述した第1実施形態の犠牲層41と同様に行うことができる。
次に、図9(h)に示すように、犠牲層46をパターニングした後、犠牲層46上、犠牲層47上および犠牲層48上に、配線層64Aを形成する。このとき、配線層64Aは、犠牲層45〜48からなる積層体の上面の形状に追従して段差を有する形状に形成される。
配線層64Aの形成は、前述した第1実施形態の配線層64の形成と同様に行うことができる。
[空洞部形成工程]
次に、犠牲層45、46の一部および犠牲層47、48を除去することにより、図10(i)に示すように、空洞部Sを形成する。これにより、層間絶縁膜61、63が形成される。
空洞部Sの形成は、前述した第1実施形態と同様、被覆層641に形成された複数の細孔642を通じたエッチングにより行う。また、かかるエッチングの前に、スパッタリング法、CVD法等により表面保護膜65を形成する。
[封止工程]
次に、図10(j)に示すように、被覆層641A上に、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、Al、Cu、W、Ti、TiN等の金属膜等からなる封止層66をスパッタリング法、CVD法等により形成し、各細孔642を封止する。これより、空洞部Sが封止層66により封止され、積層構造体6Aを得る。
[ダイヤフラム形成工程]
次に、シリコン層211の下面を必要に応じて研削した後、シリコン層211の下面の一部をエッチングにより除去することにより、図10(k)に示すように、凹部24を形成する。これにより、周囲よりも薄肉なダイヤフラム部20が形成される。
以上のような工程により、物理量センサー1Aを製造することができる。
以上説明したような物理量センサー1Aの製造方法は、犠牲層45〜48からなる積層体として構成された犠牲層の上面の形状を利用して、被覆層641Aの凸形状を形成するため、得られる物理量センサー1Aにおいて、被覆層641Aに残留する応力が少なく、そのため、かかる応力がダイヤフラム部20に及んで悪影響を与えるのを低減することができる。
また、本実施形態では、犠牲層46の形成後に形成される犠牲層47(第2犠牲層)の面積は、犠牲層46(第1犠牲層)の面積よりも小さい。また、犠牲層47の形成後に形成される犠牲層48(第2犠牲層)の面積は、犠牲層47(第1犠牲層)の面積よりも小さい。これにより、これらの犠牲層を面積の大きいものから小さいものへ順に重ねて形成することで、これらの積層体からなる犠牲層の成形面に、犠牲層47、48による段差を形成することができる。そのため、得られる被覆層641Aに段差643、644を形成することができる。その結果、仮に被覆層641Aに応力が残留したとしても、その応力を被覆層641Aの段差643、644により効果的に緩和することができる。
2.圧力センサー
次に、本発明の物理量センサーを備える圧力センサー(本発明の圧力センサー)ついて説明する。図11は、本発明の圧力センサーの一例を示す断面図である。
図11に示すように、本発明の圧力センサー100は、物理量センサー1と、物理量センサー1を収納する筐体101と、物理量センサー1から得た信号を圧力データに演算する演算部102とを備えている。物理量センサー1は、配線103を介して演算部102と電気的に接続されている。
物理量センサー1は、筐体101の内側に、図示しない固定手段により固定されている。また、筐体101には、物理量センサー1のダイヤフラム部20が、例えば大気(筐体101の外側)と連通するための貫通孔104を有している。
このような圧力センサー100によれば、貫通孔104を介してダイヤフラム部20が圧力を受ける。この受圧した信号を配線103を介して演算部に送信し、圧力データに演算する。この演算された圧力データは、図示しない表示部(例えば、パーソナルコンピューターのモニター等)を介して表示することができる。
3.高度計
次に、本発明の物理量センサーを備える高度計(本発明の高度計)の一例について説明する。図12は、本発明の高度計の一例を示す斜視図である。
高度計200は、腕時計のように、手首に装着することができる。また、高度計200の内部には、物理量センサー1(圧力センサー100)が搭載されており、表示部201に現在地の海抜からの高度、または、現在地の気圧等を表示することができる。
なお、この表示部201には、現在時刻、使用者の心拍数、天候等、様々な情報を表示することができる。
4.電子機器
次に、本発明の物理量センサーを備える電子機器を適用したナビゲーションシステムについて説明する。図13は、本発明の電子機器の一例を示す正面図である。
ナビゲーションシステム300には、図示しない地図情報と、GPS(全地球測位システム:Global Positioning System)からの位置情報取得手段と、ジャイロセンサーおよび加速度センサーと車速データとによる自立航法手段と、物理量センサー1と、所定の位置情報または進路情報を表示する表示部301とを備えている。
このナビゲーションシステムによれば、取得した位置情報に加えて高度情報を取得することができる。高度情報を得ることにより、例えば、一般道路と位置情報上は略同一の位置を示す高架道路を走行する場合、高度情報を持たない場合には、一般道路を走行しているのか高架道路を走行しているのかナビゲーションシステムでは判断できず、優先情報として一般道路の情報を使用者に提供してしまっていた。そこで、本実施形態に係るナビゲーションシステム300では、高度情報を物理量センサー1によって取得することができ、一般道路から高架道路へ進入することによる高度変化を検出し、高架道路の走行状態におけるナビゲーション情報を使用者に提供することができる。
なお、表示部301は、例えば液晶パネルディスプレイや、有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイなど、小型かつ薄型化が可能な構成となっている。
なお、本発明の物理量センサーを備える電子機器は、上記のものに限定されず、例えば、パーソナルコンピューター、携帯電話、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレーター等に適用することができる。
5.移動体
次いで、本発明の物理量センサーを適用した移動体(本発明の移動体)について説明する。図14は、本発明の移動体の一例を示す斜視図である。
図14に示すように、移動体400は、車体401と、4つの車輪402とを有しており、車体401に設けられた図示しない動力源(エンジン)によって車輪402を回転させるように構成されている。このような移動体400には、ナビゲーションシステム300(物理量センサー1)が内蔵されている。
以上、本発明の物理量センサーの製造方法、物理量センサー、圧力センサー、高度計、電子機器および移動体を図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や、工程が付加されていてもよい。
また、1つのダイヤフラム部に設けられるピエゾ抵抗素子の数は、前述した実施形態では4つである場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、1つ以上3つ以下、または、5つ以上であってもよい。また、ピエゾ抵抗素子の配置や形状等も前述した実施形態に限定されず、例えば、前述した実施形態において、ダイヤフラム部の中央部にもピエゾ抵抗素子を配置してもよい。
また、前述した実施形態では、ダイヤフラム部の撓みを検出する素子としてピエゾ抵抗素子を用いた場合を例に説明したが、かかる素子としては、これに限定されず、例えば、共振子であってもよい。
また、前述した実施形態では、シリコン酸化膜の一部をエッチングにより除去して圧力基準室を形成する際に、シリコン窒化膜をエッチングストップ層として利用する場合を例に説明したが、シリコン窒化膜に代えて、ドープされていないポリシリコン膜やアモルファスシリコン膜を設け、ポリシリコン膜やアモルファスシリコン膜をエッチングストップ層として用いてもよい。この場合、ポリシリコン膜やアモルファスシリコン膜と歪検出素子との間には、シリコン酸化膜等の絶縁膜が設けられていることが好ましい。
1‥‥物理量センサー
1A‥‥物理量センサー
2‥‥基板
3‥‥導体層
5‥‥ピエゾ抵抗素子
5a‥‥ピエゾ抵抗素子
5b‥‥ピエゾ抵抗素子
5c‥‥ピエゾ抵抗素子
5d‥‥ピエゾ抵抗素子
6‥‥積層構造体
6A‥‥積層構造体
20‥‥ダイヤフラム部
21‥‥半導体基板
22‥‥絶縁膜
23‥‥絶縁膜
24‥‥凹部
25‥‥受圧面
41‥‥犠牲層
42‥‥犠牲層
43‥‥犠牲層
44‥‥犠牲層
45‥‥犠牲層
46‥‥犠牲層
47‥‥犠牲層
48‥‥犠牲層
61‥‥層間絶縁膜
62‥‥配線層
63‥‥層間絶縁膜
64‥‥配線層
64A‥‥配線層
65‥‥表面保護膜
66‥‥封止層
100‥‥圧力センサー
101‥‥筐体
102‥‥演算部
103‥‥配線
104‥‥貫通孔
200‥‥高度計
201‥‥表示部
211‥‥シリコン層
212‥‥酸化シリコン層
213‥‥シリコン層
214‥‥配線
214a‥‥配線
214b‥‥配線
214c‥‥配線
214d‥‥配線
300‥‥ナビゲーションシステム
301‥‥表示部
400‥‥移動体
401‥‥車体
402‥‥車輪
641‥‥被覆層
641A‥‥被覆層
642‥‥細孔
643‥‥段差
644‥‥段差
S‥‥空洞部

Claims (13)

  1. 基板の一方の面側に犠牲層を凸状に配置する工程と、
    前記犠牲層の前記基板とは反対側の面に沿って成膜して、天井部を形成する工程と、
    前記犠牲層の少なくとも一部をエッチングにより除去することにより、前記基板と前記天井部との間に空洞部を形成する工程と、
    前記基板の前記空洞部を介して前記天井部に対向する位置にダイヤフラム部を形成する工程と、
    を含むことを特徴とする物理量センサーの製造方法。
  2. 前記犠牲層を形成する工程では、マスクを用いたパターニングを行う請求項1に記載の物理量センサーの製造方法。
  3. 前記犠牲層を形成する工程では、前記犠牲層を複数の成膜ステップに分けて形成する請求項1または2に記載の物理量センサーの製造方法。
  4. 前記複数の成膜ステップは、第1犠牲層を形成するステップと、前記第1犠牲層とは面積の異なる第2犠牲層を前記第1犠牲層に重ねて形成するステップと、を含む請求項3に記載の物理量センサーの製造方法。
  5. 前記第2犠牲層の面積は、前記第1犠牲層の面積よりも大きい請求項4に記載の物理量センサーの製造方法。
  6. 前記第2犠牲層の面積は、前記第1犠牲層の面積よりも小さい請求項4に記載の物理量センサーの製造方法。
  7. 前記空洞部を形成する工程の前に、前記基板の前記一方の面側に前記空洞部の側壁部を複数の成膜ステップに分けて形成する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の物理量センサーの製造方法。
  8. 前記天井部は、金属を含んで構成されている請求項1ないし7のいずれか1項に記載の物理量センサーの製造方法。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の物理量センサーの製造方法を用いて製造されたことを特徴とする物理量センサー。
  10. 請求項9に記載の物理量センサーを備えることを特徴とする圧力センサー。
  11. 請求項9に記載の物理量センサーを備えることを特徴とする高度計。
  12. 請求項9に記載の物理量センサーを備えることを特徴とする電子機器。
  13. 請求項9に記載の物理量センサーを備えることを特徴とする移動体。
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