上述したように、従来、土地は適正に評価され、その技法も開発されてきたが、建築物自体を総合的に評価する技法は殆どなく、そのため、築年数を経た建築物、特に住居用の建築物は無価値と判断され、流通時の資産価値、抵当権価値などを適正に評価できないという課題がある。このような建物の資産価値や抵当権価値などの算出のためには、新築、経年時を問わず建物の品質を適正に評価することが不可欠であるが、建物の品質を簡易かつ簡便に評価する技法は開発されていない。
一方、建築業界や建設業界では、コンピュータ化が進み、図面を3次元CADで作成したり、部材、ユニットなどの部材単価、工事単価などにより見積り情報や積算情報を作成したりすることが一般的になりつつある。このようなコンピュータ化された図面情報およびこれに付属する部材情報、或いは、積算情報、見積り情報、積算見積り情報などは、建築や建設が終了するまでは使われるが、その後では有効活用されることは少なかった。
本発明者らは、かかる状況に鑑み、従来手法の欠点を克服するために、既に存在するコンピュータ化された建築や土木用の部材情報などを巧みに活用して、個別の建築物の状況を適正に評価した建築物品質評価を得る技法に想到した。
そこで、本発明の目的は、コンピュータ化された建築や土木用の部材情報を活用して、個別の建築物の建築物品質を適正に評価する建築物品質評価装置、建築物品質評価装置、その方法、プログラムおよび記憶媒体を提供することである。
上述した諸課題を解決すべく、第1の発明による建築物品質評価装置は、
評価対象建築物に含まれる部材に対する部材情報(例えば、部材を示す名称、コードなどである。好適には部材の数量も含む。部材メンテナンス情報を含んでもよい。)を取得する取得部と、
建築物の部材情報と、該部材情報に関連付けられた部材品質管理情報とを含む部材品質管理マスターテーブルを格納する記憶部と、
前記取得した部材情報に基づき、前記部材品質管理マスターテーブルを参照して、対応する部材品質管理情報を抽出し、該抽出した部材品質管理情報を含む前記評価対象建築物の評価を生成する品質評価部と、
を有する。
建築物の部材情報は、例えば、部材を示す名称、仕様、品質、品番、型番、コードなどである。
部材品質管理情報は、例えば、耐久性、耐用年数、品質保持のために要求される定期検査頻度、経年変化による品質劣化の程度(新品時を10とし、1年後8、3年後7など)、部品交換回数限度、運転時間限度、使用回数限度、設置年度・時間、品質状態を示す点数、指数、ランク付け、段階などである。或いは、部材品質管理情報は、災害に対するリスクを示すリスク情報、例えば、火災、地震、津波、洪水、土砂災害などの災害に対する強さを示す点数、指数、ランク付けなどである。
また、第2の発明による建築物品質評価装置は、
前記取得部が、
部材メンテナンス情報(部材の保守管理情報、例えば、新品、交換してからの月数、年数、交換回数、交換履歴、点検時からの時間、月数、定期点検までの時間、月数など)を含む前記部材情報を取得し、
前記品質評価部が、
前記取得した部材メンテナンス情報を含む部材情報に基づき、前記部材品質管理マスターテーブルを参照して、対応する部材品質管理情報を抽出し、該抽出した部材品質管理情報を含む前記評価対象建築物の評価を生成する、
ことを特徴とする。
また、第3の発明による建築物品質評価装置は、
前記部材品質管理情報が、部材の品質情報を示す数値、指標またはランク付けを含み、
前記品質評価部は、
前記取得した部材情報に基づき、前記部材品質管理マスターテーブルを参照して、対応する部材品質管理情報を抽出し、該抽出した部材品質管理情報に含まれる数値、指標またはランク付けに基づく前記評価対象建築物の評価(例えば、数値の集計値、数値やランク付けの平均値など)を生成する、
ことを特徴とする。
また、第4の発明による建築物品質評価装置は、
前記記憶部が、
前記部材情報と、該部材情報に関連付けられた災害に対するリスクを示すリスク情報(例えば、火災、地震、津波、洪水、土砂災害などの災害に対する強さを示す点数、ランク付けなど)とを含むリスクマスターテーブルをさらに格納し、
前記品質評価部が、
前記取得した部材情報に基づき、前記リスクマスターテーブルを参照して、該当するリスク情報を抽出し、該抽出したリスク情報をさらに含む前記評価対象建築物の評価を生成する、
ことを特徴とする。
また、第5の発明による建築物品質評価装置は、
前記リスク情報が、リスクを示す数値、指標またはランク付けを含み、
前記品質評価部は、
前記取得した部材情報に基づき、前記リスクマスターテーブルを参照して、該当するリスク情報を抽出し、該抽出したリスク情報に含まれるリスクを示す数値、指標またはランク付けに基づく前記評価対象建築物の評価(例えば、数値の集計値、数値やランク付けの平均値など)を生成する、
ことを特徴とする。
また、第6の発明による建築物品質評価装置は、
前記記憶部が、
建築物の評価と、金額とに基づき現在金額を生成するための第1の金額評価ルールをさらに格納し、
前記取得部が、
前記評価対象建築物の構築時或いは購入時の金額である初期金額を取得し、
前記品質評価部が、
前記初期金額と前記評価対象建築物の評価に基づき、前記第1の金額評価ルールを使用して、現在の前記評価対象建築物に対する評価金額である現在金額(例えば、資産価値、抵当金額、融資対象金額など)を生成する(評価に含めて生成または出力してもよい)、
ことを特徴とする。
第1の金額評価ルールは、例えば、計算式やテーブルとすることができる。
また、第7の発明による建築物品質評価装置は、
前記記憶部が、
建築物の部材或いは複数の部材に関連する現在の部材金額である部材金額テーブル(部材相場や工事費の相場に対応した金額や複数の部材を含む費用相場(例えば、浴室ユニットの坪単価、鋼材相場、大工職人の工賃相場など)を含む金額)をさらに格納し、
前記品質評価部が、
前記部材金額前記初期金額と前記評価対象建築物の評価に基づき、前記第1の金額評価ルールを使用して、現在の前記評価対象建築物に対する評価金額である現在金額を生成し、前記部材金額テーブルを参照して、前記現在の部材金額に基づき、前記現在金額を調整する、
ことを特徴とする。
また、第8の発明による建築物品質評価装置は、
前記記憶部が、
建築物の評価と、複数の金額とに基づき現在金額を生成するための第2の金額評価ルールをさらに格納し、
前記取得部が、
前記評価対象建築物の構築時或いは購入時の金額である初期金額、および、前記評価対象建築物のリフォーム、メンテナンス、環境機器(住環境、安全、利便性、環境対策を向上させたり、CO2やエネルギーコストを削減したりする機器や装置など、例えば、免震機器、制振機器などである)に関連する金額であるリフォーム・メンテナンス金額(部材費用、機器費用、および工事費用を含むことが好適である)を取得し、
前記品質評価部が、
前記初期金額と、前記リフォーム・メンテナンス金額と、前記評価対象建築物の評価とに基づき、前記第2の金額評価ルールを使用して、現在の前記評価対象建築物に対する評価金額である現在金額(例えば、リフォーム後またはメンテナンス後の資産価値、抵当金額、融資対象金額など)を生成する(評価に含めて生成または出力してもよい)、
ことを特徴とする。
第2の金額評価ルールは、例えば、計算式やテーブルとすることができる。
また、第9の発明による建築物品質評価装置は、
前記記憶部が、
前記評価対象建築物の評価或いは該評価に含まれる項目と、該評価或いは該評価に含まれる項目に関連付けられた金額とを格納する金額マスターテーブルをさらに格納し、
前記品質評価部が、
前記評価対象建築物の評価に基づき、前記金額マスターテーブルを参照して、該当する金額を抽出し、該抽出した金額に基づき、評価対象建築物に対する評価金額(抵当金額、融資対象金額など)を生成する(評価に含めて生成または出力してもよい)、
ことを特徴とする。
好適には、金額に代えて金額に関連するファクターを出力し、別途設けた、地価や地域における不動産相場の金額とファクターとに基づき金額を生成または出力する。当該金額は、抵当金額や融資金額となり得る。
また、品質評価部が、評価対象建築物の評価に基づき、前記金額マスターテーブルを参照して、該当する金額を抽出し、該抽出した金額と、初期金額やリフォーム・メンテナンス金額に基づき、評価対象建築物に対する評価金額(抵当金額、融資対象金額など)を生成してもよい(評価に含めて生成または出力してもよい)。
また、第10の発明による建築物品質評価装置は、
前記記憶部が、
建築物の評価と、該評価に関連付けられた保険料関連情報(損害保険や生命保険などの保険料、保険料への重み付けとなる数値やランクなど)とを含む保険マスターテーブルをさらに格納し、
前記建築物品質評価装置が、
前記評価対象建築物の評価に基づき前記保険マスターテーブルを参照して、該当する保険関連情報を抽出する保険情報抽出部(さらに、抽出した保険関連情報から前記評価対象建築物に関連する保険料を算出する保険料算出部、または、従来の手順で計算された基礎保険料を参照して、基礎保険料と抽出した保険関連情報から評価対象建築物に関連する保険料を算出する保険料算出部を設けてもよい)をさらに有する、
ことを特徴とする。
また、第11の発明による建築物品質評価装置は、
前記取得部が、
前記評価対象建築物に対する複数のオブジェクトを含む3次元CAD情報、および/または、該3次元CAD情報に関連付けられたCAD関連情報(BIM情報、積算情報、見積情報など)を含む前記部材情報を取得し、
前記記憶部が、
オブジェクトの位置、オブジェクトの形状、オブジェクトの寸法、複数のオブジェクトの接続状況、複数のオブジェクトの配置状況、のうちの少なくとも1つの構造情報と、該構造情報に関連付けられた災害に対する影響度を示す構造起因リスク情報を含む構造リスクマスターテーブルをさらに格納し、
前記品質評価部が、
前記取得した部材情報に含まれる3次元CAD情報、および/または、該3次元CAD情報に関連付けられたCAD関連情報に基づき、前記構造リスクマスターテーブルを参照して、該当する構造起因リスク情報を抽出し、該抽出した構造起因リスク情報をさらに含む前記評価対象建築物の評価を生成する、
ことを特徴とする。
また、第12の発明による建築物品質評価装置は、
前記取得部が、
前記評価対象建築物の地理的位置に関連する地理的情報(地理的座標、高度を含む地理的座標、住所、地域)をさらに取得し、
前記記憶部が、
地理的情報(地理的座標、高度を含む地理的座標、住所、地域)と、該地理的情報に関連付けられた地震、爆発、火山活動、放射線被爆、台風、火災、液状化現象、洪水、高波、津波、土砂災害の少なくとも1つを含む災害(自然災害や人為的な災害)に起因する地理的危険度情報とを含むハザードマップをさらに格納し、
前記品質評価部が、
前記取得した地理的情報に基づき、前記ハザードマップを参照して、該当する地理的危険情報を抽出し、該抽出した地理的危険情報をさらに含む前記評価対象建築物の評価を生成する、
ことを特徴とする。
また、第13の発明による建築物品質評価装置は、
前記記憶部が、
建築物の部材情報(1つの部材(器具、装置、装備など)、複数の部材のグループ、或いは、複数の部材の配置や結合で構成される構造、構成など)と、該部材情報に関連付けられた部材格付け情報とを含む部材格付けマスターテーブルをさらに格納し、
前記品質評価部が、
前記取得した部材情報に基づき、前記部材品質管理マスターテーブルを参照して、対応する部材品質管理情報を抽出し、
前記取得した部材情報に基づき、前記部材格付けマスターテーブルを参照して、対応する部材格付け情報を抽出し、
該抽出した部材品質管理情報および部材格付け情報を含む前記評価対象建築物の評価を生成する、
ことを特徴とする。
或いは、評価対象建築物の評価を、抽出した部材格付け情報を使用して、再評価してもよい。また、抽出した部材格付け情報と、初期金額、リフォーム金額やメンテナンス金額などの少なくとも1つとを使用して、現在金額を生成してもよい。
また、第14の発明による建築物品質評価装置は、
前記取得部が、
前記評価対象建築物の評価に関連する、構造級別情報、住宅性能情報、住宅履歴情報、何らかの建築物外部格付け情報、のうちの少なくとも1つの建築物外部評価情報をさらに取得し、
前記記憶部が、
建築物の評価に関連する構造級別情報、住宅性能情報、住宅履歴情報、何らかの建築物外部格付け情報のうちの少なくとも1つの建築物外部評価情報と、該建築物外部評価情報に関連付けられた災害に対する影響度を示す外部評価影響度情報を含む外部評価マスターテーブルをさらに格納し、
前記品質評価部が、
前記取得した少なくとも1つの建築物外部評価情報に基づき、前記外部評価マスターテーブルを参照して、該当する外部評価影響度情報を抽出し、該抽出した外部評価影響度情報に基づき前記評価対象建築物の評価を調整する(数値の増減、ランクの上昇下降など)、
ことを特徴とする。
上述したように本発明の解決手段を装置として説明してきたが、本発明はこれらに実質的に相当する方法、プログラム、プログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。なお、下記の方法やプログラムの各ステップは、データの処理においては必要に応じて、CPU、DSPなどの演算処理装置を使用するものであり、入力したデータや加工・生成したデータなどを磁気テープ、HDD、メモリなどの記憶装置に格納するものである。
また、本発明をプログラムとして実現させた第15の発明によるプログラムは、
コンピュータを、第1〜14のいずれかの発明の建築物品質評価装置として機能させるための建築物品質評価プログラムである。
また、本発明を記憶媒体として実現させた第16の発明による記憶媒体は、
第15の発明に記載の建築物品質評価プログラムを格納したコンピュータで読み取り可能な記憶媒体である。
また、本発明を方法として実現させた第17の発明によるコンピュータを使用した建築物品質評価方法は、
評価対象建築物に含まれる部材に対する部材情報を取得する取得ステップと、
記憶ユニットが、建築物の部材情報と、該部材情報に関連付けられた部材品質管理情報とを含む部材品質管理マスターテーブルを格納する格納ステップと、
演算ユニットが、前記取得した部材情報に基づき、前記部材品質管理マスターテーブルを参照して、対応する部材品質管理情報を抽出し、該抽出した部材品質管理情報を含む前記評価対象建築物の評価を生成する品質評価ステップと、
を有する。
また、第18の発明による建築物品質評価方法は、
前記取得ステップが、
部材メンテナンス情報を含む前記部材情報を取得し、
前記品質評価ステップが、
前記取得した部材メンテナンス情報を含む部材情報に基づき、前記部材品質管理マスターテーブルを参照して、対応する部材品質管理情報を抽出し、該抽出した部材品質管理情報を含む前記評価対象建築物の評価を生成する、
ことを特徴とする。
また、第19の発明による建築物品質評価方法は、
前記部材品質管理情報が、部材の品質情報を示す数値、指標またはランク付けを含み、
前記品質評価ステップは、
前記取得した部材情報に基づき、前記部材品質管理マスターテーブルを参照して、対応する部材品質管理情報を抽出し、該抽出した部材品質管理情報に含まれる数値、指標またはランク付けに基づく前記評価対象建築物の評価を生成する、
ことを特徴とする。
また、第20の発明による建築物品質評価方法は、
前記格納ステップは、
記憶ユニットが、前記部材情報と、該部材情報に関連付けられた災害に対するリスクを示すリスク情報とを含むリスクマスターテーブルをさらに格納するステップを含み、
前記品質評価ステップが、
前記取得した部材情報に基づき、前記リスクマスターテーブルを参照して、該当するリスク情報を抽出し、該抽出したリスク情報をさらに含む前記評価対象建築物の評価を生成する、
ことを特徴とする。
また、第21の発明による建築物品質評価方法は、
前記リスク情報が、リスクを示す数値、指標またはランク付けを含み、
前記品質評価ステップは、
前記取得した部材情報に基づき、前記リスクマスターテーブルを参照して、該当するリスク情報を抽出し、該抽出したリスク情報に含まれるリスクを示す数値、指標またはランク付けに基づく前記評価対象建築物の評価を生成する、
ことを特徴とする
また、第22の発明による建築物品質評価方法は、
前記格納ステップは、
前記記憶ユニットが、建築物の評価と、金額とに基づき現在金額を生成するための第1の金額評価ルールをさらに格納し、
前記取得ステップが、
前記評価対象建築物の構築時或いは購入時の金額である初期金額を取得し、
前記品質評価ステップが、
前記初期金額と前記評価対象建築物の評価に基づき、第1の金額評価ルールを使用して、現在の前記評価対象建築物に対する評価金額である現在金額(例えば、資産価値、抵当金額、融資対象金額など)を生成する(評価に含めて生成または出力してもよい)、
ことを特徴とする。
また、第23の発明による建築物品質評価方法は、
前記格納ステップは、
前記記憶ユニットが、建築物の部材或いは複数の部材に関連する現在の部材金額である部材金額テーブル(部材相場や工事費の相場に対応した金額や複数の部材を含む費用相場(例えば、浴室ユニットの坪単価、鋼材相場、大工職人の工賃相場など)を含む金額)をさらに格納し、
前記品質評価ステップが、
前記部材金額前記初期金額と前記評価対象建築物の評価に基づき、前記第1の金額評価ルールを使用して、現在の前記評価対象建築物に対する評価金額である現在金額を生成し、前記部材金額テーブルを参照して、前記現在の部材金額に基づき、前記現在金額を調整する、
ことを特徴とする。
また、第24の発明による建築物品質評価方法は、
前記格納ステップは、
前記記憶ユニットが、建築物の評価と、金額とに基づき現在金額を生成するための第2の金額評価ルールをさらに格納し、
前記取得ステップが、
前記評価対象建築物の構築時或いは購入時の金額である初期金額、および、前記評価対象建築物のリフォーム、メンテナンス、環境機器(住環境、安全、利便性、環境対策を向上させたり、CO2やエネルギーコストを削減したりする機器や装置など、例えば、免震機器、制振機器などである)に関連する金額であるリフォーム・メンテナンス金額(機器費用および工事費用を含むことが好適である)を取得し、
前記品質評価ステップが、
前記初期金額と、前記リフォーム・メンテナンス金額と、前記評価対象建築物の評価とに基づき、前記第2の金額評価ルールを使用して、現在の前記評価対象建築物に対する評価金額である現在金額(例えば、リフォーム後またはメンテナンス後の資産価値、抵当金額、融資対象金額など)を生成する(評価に含めて生成または出力してもよい)、
ことを特徴とする。
また、第25の発明による建築物品質評価方法は、
前記格納ステップは、
記憶ユニットが、建築物の評価或いは該評価に含まれる項目と、該評価或いは該評価に含まれる項目に関連付けられた金額とを格納する金額マスターテーブルをさらに格納するステップを含み、
前記品質評価ステップが、
前記評価対象建築物の評価に基づき、前記金額マスターテーブルを参照して、該当する金額を抽出し、該抽出した金額に基づき、評価対象建築物に対する評価金額を生成する、
ことを特徴とする。
また、第26の発明による建築物品質評価方法は、
前記格納ステップは、
記憶ユニットが、建築物の評価と、該評価に関連付けられた保険料関連情報とを含む保険マスターテーブルをさらに格納するステップを含み、
前記建築物品質評価方法が、
前記演算ユニットが、前記評価対象建築物の評価に基づき前記保険マスターテーブルを参照して、該当する保険関連情報を抽出する保険情報抽出ステップをさらに有する、
ことを特徴とする。
また、第27の発明による建築物品質評価方法は、
前記取得ステップが、
前記評価対象建築物に対する複数のオブジェクトを含む3次元CAD情報、および/または、該3次元CAD情報に関連付けられたCAD関連情報を含む前記部材情報を取得し、
前記格納ステップは、
記憶ユニットが、オブジェクトの位置、オブジェクトの形状、オブジェクトの寸法、複数のオブジェクトの接続状況、複数のオブジェクトの配置状況、のうちの少なくとも1つの構造情報と、該構造情報に関連付けられた災害に対する影響度を示す構造起因リスク情報を含む構造リスクマスターテーブルをさらに格納するステップを含み、
前記品質評価ステップが、
前記取得した部材情報に含まれる3次元CAD情報、および/または、該3次元CAD情報に関連付けられたCAD関連情報に基づき、前記構造リスクマスターテーブルを参照して、該当する構造起因リスク情報を抽出し、該抽出した構造起因リスク情報をさらに含む前記評価対象建築物の評価を生成する、
ことを特徴とする。
また、第28の発明による建築物品質評価方法は、
前記取得ステップが、
前記評価対象建築物の地理的位置に関連する地理的情報をさらに取得し、
前記格納ステップは、
記憶ユニットが、地理的情報と、該地理的情報に関連付けられた地震、爆発、火山活動、放射線被爆、台風、火災、液状化現象、洪水、高波、津波、土砂災害の少なくとも1つを含む災害に起因する地理的危険度情報とを含むハザードマップをさらに格納するステップを含み、
前記品質評価ステップが、
前記取得した地理的情報に基づき、前記ハザードマップを参照して、該当する地理的危険情報を抽出し、該抽出した地理的危険情報をさらに含む前記評価対象建築物の評価を生成する、
ことを特徴とする。
また、第29の発明による建築物品質評価方法は、
前記格納ステップは、
記憶ユニットが、建築物の部材情報(1つの部材(器具、装置、装備など)、複数の部材のグループ、或いは、複数の部材の配置や結合で構成される構造、構成など)と、該部材情報に関連付けられた部材格付け情報とを含む部材格付けマスターテーブルをさらに格納し、
前記品質評価ステップが、
前記取得した部材情報に基づき、前記部材品質管理マスターテーブルを参照して、対応する部材品質管理情報を抽出し、
前記取得した部材情報に基づき、前記部材格付けマスターテーブルを参照して、対応する部材格付け情報を抽出し、
該抽出した部材品質管理情報および部材格付け情報を含む前記評価対象建築物の評価を生成する、
ことを特徴とする。
或いは、評価対象建築物の評価を、抽出した部材格付け情報を使用して、再評価してもよい。
また、第30の発明による建築物品質評価方法は、
前記取得ステップは、
前記評価対象建築物の評価に関連する、構造級別情報、住宅性能情報、住宅履歴情報、何らかの建築物外部格付け情報、のうちの少なくとも1つの建築物外部評価情報をさらに取得し、
前記格納ステップは、
記憶ユニットが、建築物の評価に関連する構造級別情報、住宅性能情報、住宅履歴情報、何らかの建築物外部格付け情報のうちの少なくとも1つの建築物外部評価情報と、該建築物外部評価情報に関連付けられた災害に対する影響度を示す外部評価影響度情報を含む外部評価マスターテーブルをさらに格納し、
前記品質評価ステップが、
前記取得した少なくとも1つの建築物外部評価情報に基づき、前記外部評価マスターテーブルを参照して、該当する外部評価影響度情報を抽出し、該抽出した外部評価影響度情報に基づき前記評価対象建築物の評価を調整する(数値の増減、ランクの上昇下降など)、
ことを特徴とする。
本発明によればコンピュータ化された建築や土木用の部材情報を活用して、個別の建築物の建築物品質を適正に評価することが可能となる。即ち、本発明によれば、コンピュータ化された建築や土木用の積算情報や見積り情報(或いは、CAD情報)を活用して、個別の建築物の品質を簡便に求めることが可能となる。或いは、CAD情報を活用して、個別の建築物の品質を簡便に求めることが可能となる。また、例えば、個別の建築物の災害影響度(災害が建築物に及ぼすリスク)を適正に評価することが可能となる。さらに、本発明によれば、従来は不可能であった建築物によるリスク細分型の融資額決定、資産査定、担保評価、抵当権評価など可能となる。また、保険のための影響度や保険料の設定も可能になる。
以降、諸図面を参照しながら、本発明の実施態様を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施態様による建築物品質評価装置の概要を示すブロック図である。図に示すように、建築物品質評価装置100(BQED)は、制御部(CPU、プロセッサ)110、入力部120、出力部130、通信部140、記憶部150、および、表示部160を有する。記憶部150は、建築物の部材情報(例えば、部材を示す名称、仕様、品質、品番、型番、コードなど)と、該部材情報に関連付けられた部材品質管理情報(耐久性、耐用年数、品質保持のために要求される定期検査頻度、経年変化による品質劣化の程度(新品時を10とし、1年後8、3年後7など)、部品交換回数限度、運転時間限度、使用回数限度、設置年度・時間、品質状態を示す点数、指数、ランク付け、段階など、或いは、災害に対するリスクを示すリスク情報、例えば、火災、地震、津波、洪水、土砂災害などの災害に対する強さを示す点数、指数、ランク付けなど)とを含む部材品質管理マスターテーブルMQMTを格納する。
制御部110は、評価対象建築物に含まれる部材に対する部材情報(例えば、部材を示す名称、コードなどである。好適には部材の数量も含む。部材メンテナンス情報を含んでもよい。)を取得する取得部111と、取得した部材情報に基づき、部材品質管理マスターテーブルMQMTを参照して、対応する部材品質管理情報を抽出し、該抽出した部材品質管理情報を含む前記評価対象建築物の評価を生成する品質評価部112とを有する。取得部111が取得した部材情報および後述する3次元CAD情報は、記憶部150の部材情報格納領域MIRに格納することが好適である。取得部111が取得する部材情報や3次元CAD情報は、外部にある、例えば、CAD情報サーバCADISや端末PCからネットワークNETおよび通信部140を介して取得する。
好適には、取得部111が、部材メンテナンス情報(部材の保守管理情報、例えば、部材が新品か交換品か否か、交換してからの月数、年数、交換回数、交換履歴、点検時からの時間、月数、定期点検までの時間、月数など)を含む部材情報を取得し、品質評価部112が、取得した部材メンテナンス情報を含む部材情報に基づき、部材品質管理マスターテーブルMQMTを参照して、対応する部材品質管理情報を抽出し、該抽出した部材品質管理情報を含む評価対象建築物の評価を生成する。
好適には、部材品質管理情報が、部材の品質情報を示す数値、指標またはランク付けを含み、品質評価部112は、取得した部材情報に基づき、部材品質管理マスターテーブルMQMTを参照して、対応する部材品質管理情報を抽出し、該抽出した部材品質管理情報に含まれる数値、指標またはランク付けに基づく評価対象建築物の評価(例えば、数値の集計値、数値やランク付けの平均値、品質に関連する数値や項目などの集計表など)を生成または出力する。
建築物品質評価装置100は、通信部140、ネットワークNETを介して、銀行や保険会社などの金融機関サーバFS、銀行や保険代理店の社員などの保険業や金融業の従事者が持つ端末PC1、PC2、携帯端末PDA1、携帯電話端末MS1などと接続して、本装置100により生成された情報を送信したり、本装置100の処理に必要な情報を取得したりなどの情報のやり取りを行う。出力部130は、プリンタPRNに本装置に格納される情報や生成された情報を出力することができる。表示部160も、本装置に格納される情報や生成された情報を表示することができる。入力部120は、マウスMUSやキーボードKBDを介して入力される操作指示や情報入力を受け付ける。このように、生成した情報や中間データおよび取得したデータを外部に送信したり、表示部に表示したり、生成した情報や中間データおよび取得したデータなどを記憶部に格納したりすることは、後述する他の実態態様でも同様に可能であることに注意されたい。
記憶部150は、部材情報と、該部材情報に関連付けられた災害に対するリスクを示すリスク情報(例えば、火災、地震、津波、洪水、土砂災害などの災害に対する強さを示す点数、ランク付けなど)とを含むリスクマスターテーブルRMTをさらに格納する。リスク情報は、部材品質管理マスターテーブルに格納してもよいが、管理上は、別途、リスクマスターテーブルRMTとして構築した方が便利である。品質評価部112は、取得した部材情報に基づき、リスクマスターテーブルRMTを参照して、該当するリスク情報を抽出し、該抽出したリスク情報をさらに含む評価対象建築物の評価を生成する。また、リスク情報が、リスクを示す数値、指標またはランク付けを含む場合は、品質評価部112は、取得した部材情報に基づき、リスクマスターテーブルRMTを参照して、該当するリスク情報を抽出し、該抽出したリスク情報に含まれるリスクを示す数値、指標またはランク付けに基づく評価対象建築物の評価(例えば、数値の集計値、数値やランク付けの平均値など)を生成または出力することが可能となる。即ち、本装置は、建築物リスク評価装置として機能させることが可能である。
記憶部150は、評価対象建築物の評価或いは該評価に含まれる項目と、該評価或いは該評価に含まれる項目に関連付けられた金額とを格納する金額マスターテーブルMMTをさらに格納し、品質評価部112は、評価対象建築物の評価に基づき、金額マスターテーブルMMTを参照して、該当する金額を抽出し、該抽出した金額に基づき、評価対象建築物に対する評価金額(抵当金額、融資対象金額など)を生成または出力する(或いは評価に含めて出力してもよい)。
なお、本装置は、汎用コンピュータ、特定用途コンピュータ、サーバ、PCなどのコンピュータ、或いは、これらコンピュータに本システムの機能や処理手順(方法)をコンピュータ上で実現(実行)するプログラムモジュールをコンピュータが持つCPU、プロセッサ、記憶部に保持したり、外部のサーバやストレージから読み込んだりすることで、コンピュータ上に本装置を構築することが好適であり、後続の各実施態様においても同様である。
図2は、図1に示した建築物品質評価装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。図に示すように、ステップS11にて、取得部111は、評価対象建築物に含まれる部材に対する部材情報(例えば、部材を示す名称、コードなどである。好適には部材の数量も含む。部材メンテナンス情報を含んでもよい。)を取得する。次にステップS12では、記憶部150が、建築物の部材情報(例えば、部材を示す名称、仕様、品質、品番、型番、コードなど)と、該部材情報に関連付けられた部材品質管理情報(耐久性、耐用年数、品質保持のために要求される定期検査頻度、経年変化による品質劣化の程度(新品時を10とし、1年後8、3年後7など)、部品交換回数限度、運転時間限度、使用回数限度、設置年度・時間、品質状態を示す点数、指数、ランク付け、段階など、或いは、災害に対するリスクを示すリスク情報、例えば、火災、地震、津波、洪水、土砂災害などの災害に対する強さを示す点数、指数、ランク付けなど)とを含む部材品質管理マスターテーブルMQMTを格納する。
そして、ステップS13では、品質評価部112が、取得した部材情報に基づき、部材品質管理マスターテーブルを参照して、対応する部材品質管理情報を抽出し、該抽出した部材品質管理情報を含む評価対象建築物の評価を生成する。部材情報は、CADデータのオブジェクトに含まれる属性情報を使用してもよいが、好適には、評価対象建築物を対象とした積算データベース、見積データベース、これらを兼ねた積算見積りデータベース、或いは、これらのデータベースを管理するサーバであるCAD情報サーバCADISから取得したものを使用する。或いは、例えば、BIMサーバなどで体系的な部材情報に調整、修正、追加したものを使用することが好適である。例えば、部材情報や属性情報には、部材の品番や商品名などがあり、BIMサーバの情報や建築部材販売業者のサーバの情報を使って、品番や商品名からその部材トの材料、素材、耐火性、耐震性、制震性、免震性、耐震等級などの諸データを求めることが可能であり、これら諸データに基づき、部材品質管理情報を求めて、部材品質管理マスターテーブルMQMTを事前に構築しておくことが好適である。ステップS12のような格納ステップは、一回実施しておけば、その情報が変更されるまでは再実施する必要はない。或いは、格納ステップは、当該情報を格納したROMやフラッシュメモリなどのメモリを装置やコンピュータに搭載することで不要となる。このことは後続の実施例でも同様である。
図3は、図2のフローチャートの処理で使用される部材品質管理マスターテーブルMQMTを示す図である。図に示すように、例えば、部材コード、部材名称を含む部材情報に対して、検査頻度、新品時の品質を示す数値、経年した場合の品質を示す数値、経年した場合の定期検査をパスした場合の数値、耐火性、耐震性の数値、耐用年数(交換時期)などの部材品質管理情報が関連付けられる。耐火性、耐震性の数値は、リスク情報であり、リスクマスターテーブルRMTとして、部材品質管理マスターテーブルMQMTとは別に格納してもよい。
このテーブルでは排水設備の部材コードはZZ101であり、例えば、積算/見積りデータベースから取得した部材コードZZ101で検索可能であり、このコードには、部材品質管理情報「新品時10、5年経過時7、10年で5、15年で3(交換時期)、耐火性 大(不燃物、耐火性ポイント10)、耐震性 n/a (該当せず))」が関連付けられている。即ち、品質評価部112は、取得した部材情報の部材コードZZ101に基づき、部材品質管理マスターテーブルMQMTを参照して、簡便に、該当する品質管理情報を抽出することが可能である。
また、素材や材料の部材としては、コンクリートがあり、部材情報である部材名「コンクリート内の鉄筋」「部材コードZZ201」は、災害に対するリスク/影響度を示す品質管理情報、即ち、リスク情報(耐火性:大(耐火性ポイント10)、耐震性:大(耐震性ポイント10)に関連付けられている。品質評価部112は、取得した部材情報:部材名「コンクリート内の鉄筋」に基づき、部材品質管理マスターテーブルMQMTを参照して、該当する品質管理情報のうちリスク情報(耐火性ポイント10、耐震性ポイント10)を抽出する。このようにして、幾つかの部材情報に基づき抽出された品質管理情報(リスク情報)の耐火性ポイントの合計、耐震性ポイントの合計し、これら数値(リスク情報)から評価対象建築物に対する災害のリスクを評価することが可能となる。例えば、耐火性ポイントの合計数値(リスク情報)が高いほど耐火性が高く、合計数値が低いほど耐火性が低いと評価でき、耐震性ポイントの合計数値が高いほど耐震性が高く、合計数値が低いほど耐震性が低いと評価できる。
図4は、図1に示した建築物品質評価装置により出力される評価対象建築物の評価を示す図である。図に示すように評価表EV1は、数値で評価したものであり、品質を示す数値の合計値、平均値、耐火性ポイント、耐震性ポイントの平均値、合計値、ランク付けの平均などで評価されている。
取得部が、部材メンテナンス情報(部材の保守管理情報、例えば、新品、交換してからの月数、年数、交換回数、交換履歴、点検時からの時間、月数、定期点検までの時間、月数など)を含む前記部材情報を取得した場合には、品質評価部が、取得した部材メンテナンス情報を含む部材情報に基づき、前記部材品質管理マスターテーブルを参照して、対応する部材品質管理情報を抽出し、該抽出した部材品質管理情報を含む前記評価対象建築物の評価を生成することが可能となる。このときには、評価表EV2のように、「新品時の品質合計値=300、平均値10、経年変化、定期検査を考慮した場合の品質合計値=200、平均値=7」という評価を生成することが可能となる。
図5は、図1に示した建築物品質評価装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。この態様では、部材情報に部材メンテナンス情報を含む場合を説明する。図に示すように、ステップS21にて、取得部111は、評価対象建築物に含まれる部材に対する、部材メンテナンス情報を含む部材情報を取得する。部材メンテナンス情報には、例えば、部材の保守管理情報、例えば、新品、交換してからの月数、年数、交換回数、交換履歴、点検時からの時間、月数、定期点検までの時間、月数などが含まれる。次にステップS22では、記憶部150が、建築物の部材情報(例えば、部材を示す名称、仕様、品質、品番、型番、コードなど)と、該部材情報に関連付けられた部材品質管理情報(耐久性、耐用年数、品質保持のために要求される定期検査頻度、経年変化による品質劣化の程度(新品時を10とし、1年後8、3年後7など)、部品交換回数限度、運転時間限度、使用回数限度、設置年度・時間、品質状態を示す点数、指数、ランク付け、段階など、或いは、災害に対するリスクを示すリスク情報、例えば、火災、地震、津波、洪水、土砂災害などの災害に対する強さを示す点数、指数、ランク付けなど)とを含む部材品質管理マスターテーブルMQMTを格納する。
そして、最後にステップS23では、品質評価部112が、取得した部材メンテナンス情報を含む部材情報に基づき、部材品質管理マスターテーブルを参照して、対応する部材品質管理情報を抽出し、該抽出した部材品質管理情報を含む評価対象建築物の評価を生成する。このようにして抽出・出力されたのが図3の評価表EV2である。
図6は、図1に示した建築物品質評価装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。この態様では、部材情報に部材メンテナンス情報を含み、部材品質管理情報とリスク情報とを含む評価を生成または出力する場合を説明する。図に示すように、ステップS31にて、取得部111は、評価対象建築物に含まれる部材に対する、部材メンテナンス情報を含む部材情報を取得する。次にステップS32では、記憶部150が、建築物の部材情報(例えば、部材を示す名称、仕様、品質、品番、型番、コードなど)と、該部材情報に関連付けられた部材品質管理情報(耐久性、耐用年数、品質保持のために要求される定期検査頻度、経年変化による品質劣化の程度(新品時を10とし、1年後8、3年後7など)、部品交換回数限度、運転時間限度、使用回数限度、設置年度・時間、品質状態を示す点数、指数、ランク付け、段階など、或いは、災害に対するリスクを示すリスク情報、例えば、火災、地震、津波、洪水、土砂災害などの災害に対する強さを示す点数、指数、ランク付けなど)とを含む部材品質管理マスターテーブルMQMTを格納し、部材情報と、該部材情報に関連付けられた災害に対するリスクを示すリスク情報とを含むリスクマスターテーブルRMTをさらに格納する。そして、最後にステップS33では、品質評価部112が、取得した部材メンテナンス情報を含む部材情報に基づき、部材品質管理マスターテーブルMQMTを参照して、対応する部材品質管理情報を抽出し、さらに、取得した部材情報に基づき、リスクマスターテーブルRMTを参照して、該当するリスク情報を抽出し、抽出した部材品質管理情報およびリスク情報を含む評価対象建築物の評価を生成する。このようにして抽出・出力されたものは、例えば、図3の評価表EV1のような形式となる。図3のような合計値や平均値として評価書を生成または出力することができるが、抽出したものを全て項目とした表形式で出力してもよい。
図7は、図1に示した建築物品質評価装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。この態様では、建築物に対する評価を金額または金額に関連するファクターとして出力する場合を説明する。図に示すように、ステップS41にて、取得部111は、評価対象建築物に含まれる部材に対する部材情報を取得する。次にステップS42では、記憶部150が、建築物の部材情報と、該部材情報に関連付けられた部材品質管理情報とを含む部材品質管理マスターテーブルMQMTを格納し、建築物の評価或いは該評価に含まれる項目と、該評価或いは該評価に含まれる項目に関連付けられた金額または金額に影響を及ぼすファクターとを格納する金額マスターテーブルMMTをさらに格納する。そして、最後にステップS43では、品質評価部112が、取得した部材情報に基づき、部材品質管理マスターテーブルMQMTを参照して、対応する部材品質管理情報を抽出し、評価対象建築物の評価を出力または生成し、さらに、出力または生成した評価対象建築物の評価に基づき、金額マスターテーブルMMTを参照して、該当する金額または金額に影響を及ぼすファクターを抽出し、該抽出した金額または金額に影響を及ぼすファクターに基づき、評価対象建築物に対する評価金額または金額に影響を及ぼすファクター(抵当金額、融資対象金額、資産金額、金額に関連するファクターなど)を生成または出力する。或いは、この金額を含めた評価対象建築物の評価を出力してもよい。生成または出力されたものが金額に影響を及ぼすファクターの場合は、当該ファクターまたはファクターの集計値や平均値によって、本装置の記憶部、金融機関サーバFS、或いは外部の不動産企業サーバ(図示せず)などに格納された評価対象建築物の標準相場や土地化価格、近隣相場などの諸データに対して当該ファクターとを乗算して資産金額、融資金額、抵当金額の設定を生成、または出力することが可能である。
図8は、本発明の一実施態様による建築物品質評価装置の概要を示すブロック図である。図に示すように、建築物品質評価装置200(BQED)は、制御部(CPU、プロセッサ)210、入力部220、出力部230、通信部240、記憶部250、および、表示部260を有する。本実施態様では、特に言及しない限り図1の実施態様で示した機能部(取得部、品質評価部、出力部、制御部など)や記憶部を有し、当該機能部や記憶部による処理も同様のものを実行することが可能であり、図2−7のフローチャート、マスターテーブルを使用して同様の処理結果、或いは本実施態様の処理を加えた処理結果を得ることが可能であることに注意されたい。
記憶部250は、建築物の部材情報と、該部材情報に関連付けられた部材品質管理情報とを含む部材品質管理マスターテーブルMQMTを格納する。制御部210は、評価対象建築物に含まれる部材に対する部材情報を取得する取得部211と、取得した部材情報に基づき、部材品質管理マスターテーブルMQMTを参照して、対応する部材品質管理情報を抽出し、該抽出した部材品質管理情報を含む前記評価対象建築物の評価を生成する品質評価部212とを有する。取得部211が取得した部材情報および後述する3次元CAD情報は、記憶部250の部材情報格納領域MIRに格納することが好適である。取得部211が取得する部材情報や3次元CAD情報は、外部にある、例えば、CAD情報サーバCADISや端末PCからネットワークNETおよび通信部240を介して取得する。
好適には、取得部211が、部材メンテナンス情報(部材の保守管理情報、例えば、部材が新品か交換品か否か、交換してからの月数、年数、交換回数、交換履歴、点検時からの時間、月数、定期点検までの時間、月数など)を含む部材情報を取得し、品質評価部212が、取得した部材メンテナンス情報を含む部材情報に基づき、部材品質管理マスターテーブルMQMTを参照して、対応する部材品質管理情報を抽出し、該抽出した部材品質管理情報を含む評価対象建築物の評価を生成する。
好適には、部材品質管理情報が、部材の品質情報を示す数値、指標またはランク付けを含み、品質評価部212は、取得した部材情報に基づき、部材品質管理マスターテーブルMQMTを参照して、対応する部材品質管理情報を抽出し、該抽出した部材品質管理情報に含まれる数値、指標またはランク付けに基づく評価対象建築物の評価(例えば、数値の集計値、数値やランク付けの平均値、品質に関連する数値や項目などの集計表など)を生成または出力する。
建築物品質評価装置200は、通信部240、ネットワークNETを介して、銀行や保険会社などの金融機関サーバFS、銀行や保険代理店の社員などの保険業や金融業の従事者が持つ端末PC1、PC2、携帯端末PDA1、携帯電話端末MS1などと接続して、本装置200により生成された情報を送信したり、本装置100の処理に必要な情報を取得したりなどの情報のやり取りを行う。出力部130は、プリンタPRNに本装置に格納される情報や生成された情報を出力することができる。表示部260も、本装置に格納される情報や生成された情報を表示することができる。
記憶部250は、部材情報と、該部材情報に関連付けられた災害に対するリスクを示すリスク情報とを含むリスクマスターテーブルRMTをさらに格納する。リスク情報は、部材品質管理マスターテーブルに格納してもよいが、管理上は、別途、リスクマスターテーブルRMTとして構築した方が便利である。品質評価部212は、取得した部材情報に基づき、リスクマスターテーブルRMTを参照して、該当するリスク情報を抽出し、該抽出したリスク情報をさらに含む評価対象建築物の評価を生成する。また、リスク情報が、リスクを示す数値、指標またはランク付けを含む場合は、品質評価部212は、取得した部材情報に基づき、リスクマスターテーブルRMTを参照して、該当するリスク情報を抽出し、該抽出したリスク情報に含まれるリスクを示す数値、指標またはランク付けに基づく評価対象建築物の評価(例えば、数値の集計値、数値やランク付けの平均値など)を生成または出力することが可能となる。
記憶部250は、評価対象建築物の評価或いは該評価に含まれる項目と、該評価或いは該評価に含まれる項目に関連付けられた金額とを格納する金額マスターテーブルMMTをさらに格納し、品質評価部212は、評価対象建築物の評価に基づき、金額マスターテーブルMMTを参照して、該当する金額を抽出し、該抽出した金額に基づき、評価対象建築物に対する評価金額(抵当金額、融資対象金額など)を生成または出力する(或いは評価に含めて生成または出力してもよい)。
本実施態様では、記憶部250は、建築物の評価(品質の評価、リスクの評価、或いは、品質およびリスクの評価など)と、該評価に関連付けられた保険料関連情報(損害保険や生命保険などの保険料、保険料への重み付けとなる数値やランクなど)とを含む保険マスターテーブルIMTをさらに格納する。制御部210は、評価対象建築物の評価に基づき保険マスターテーブルIMTを参照して、該当する保険関連情報を抽出する保険情報抽出部213(さらに、抽出した保険関連情報から前記評価対象建築物に関連する保険料を算出する保険料算出部、または、従来の手順で計算された基礎保険料を参照して、基礎保険料と抽出した保険関連情報から評価対象建築物に関連する保険料を算出する保険料算出部を設けてもよい)をさらに有する。本実施態様では、主として、火災保険、地震保険、建物保険などの損害保険を想定しているが、生命保険にも適用可能である。例えば、生命保険の場合は、職業別に死亡リスクを考慮した保険料率があるが、生活の本拠である勤務先の建築物、居住している建築物における災害リスクを考慮した保険料率、保険関連の数値を保険関連情報に規定しておき、保険情報抽出部213によって、このようなリスクを勘案した評価対象建築物に関連した生命保険料や疾病などの保険料を評価、算出することが可能となる。
本実施態様では、取得部211は、取得部111の機能に加えて、評価対象建築物に対する複数のオブジェクトを含む3次元CAD情報、および/または、該3次元CAD情報に関連付けられたCAD関連情報(BIM情報、積算情報、見積情報など)を含む部材情報を取得することが可能である。記憶部250が、オブジェクトの位置、オブジェクトの形状、オブジェクトの寸法、複数のオブジェクトの接続状況、複数のオブジェクトの配置状況、のうちの少なくとも1つの構造情報と、該構造情報に関連付けられた災害に対する影響度(リスク)を示す構造起因リスク情報を含む構造リスクマスターテーブルSRMTをさらに格納する。品質評価部212が、取得した部材情報に含まれる3次元CAD情報、および/または、該3次元CAD情報に関連付けられたCAD関連情報に基づき、構造リスクマスターテーブルSRMTを参照して、該当する構造起因リスク情報を抽出し、該抽出した構造起因リスク情報をさらに含む評価対象建築物の評価を生成する。
生命保険のリスクの場合は、土砂災害、津波、洪水などの生命リスクを勘案すれば、鉄筋コンクリートの3階以上の建築物に勤務したり、居住したりする場合には、ハザードマップによる危険地域であっても、リスクは大幅に軽減されるため、構造リスクマスターテーブルにおける災害に対する影響度(リスク)を示す構造起因リスク情報、或いは、保険マスターテーブルの数値やランクを低く(低リスクに、或いは、保険金額を低額に)設定することが好適である。また、鉄筋コンクリート、3階以上の建築物などのファクターは、当該地域の抱えるリスク(例えば、想定津波3m、10m)の程度によって、設定することが好適である。
図9は、図8に示した建築物品質評価装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。この態様では、建築物の品質を災害に対する耐性/リスクとして評価し、その耐性/リスクに対する保険関連情報として生成・出力する場合を説明する。図に示すように、最初に、ステップS51にて、取得部111は、評価対象建築物に含まれる部材に対する部材情報を取得するが、このステップは図2にステップS11と同様の処理であり、後続のステップS52、ステップS53も、図2にS12,S13と同様の処理である。次にステップS54では、記憶部が、建築物の評価と、該評価に関連付けられた保険料関連情報とを含む保険マスターテーブルIMTをさらに格納する。最後にステップS55では、保険情報抽出部213が、生成された建築物の評価に基づき保険マスターテーブルIMTを参照して、該当する保険関連情報を抽出する。
図10は、図9のフローチャートの処理で使用される保険マスターテーブルIMTを示す図である。図に示すように、保険マスターテーブルIMTには、例えば、耐火性の影響度については、耐火性ポイントが200以上の場合は、保険料が100円/平米、耐火性ポイントが100以上200未満の場合は、保険料が150円/平米、耐火性ポイントが100未満の場合は、保険料が250円/平米などのように規定されている。また、保険マスターテーブルには、例えば、耐震性の影響度については、耐震性ポイントが200以上の場合は、保険料が10円/平米、耐震性ポイントが100以上200未満の場合は、保険料が13円/平米、耐震性ポイントが100未満の場合は、保険料が20円/平米などのように規定されている。これらのポイント数や、金額は例示であり、耐震性や耐火性は、3段階で規定してあるが、任意の段階で規定することが可能である。また、洪水、台風、津波などの影響度による保険料を規定してもよい。また、この例では、保険金額で規定してあるが、既存の保険料に対する重み付け数値で規定してもよい。例えば、影響度により被害が大きいと予測される場合は、重み付けを1.2にし、中くらいと予測される場合は重み付けを1.0とし、低いと予測される場合は、重み付けを0.8とする。例えば、品質評価部212が、取得した部材情報、或いは、取得した部材情報に基づき、部材品質管理マスターテーブルEQMTを参照して、該当するリスク情報を抽出し、その抽出したリスク情報から評価対象建築物の少なくとも一部(好適には建物全体)に対する災害のリスクを評価する。このように、品質評価部212は、部材品質管理マスターテーブルEQMTを使って、該当する耐火性ポイントの合計を求め、図10の保険マスターテーブルIMTを参照して、該当の保険料を特定し、生成または出力することが可能となる。この保険マスターテーブルIMTは、外部のデータベース、例えば、金融機関サーバFSを参照して、そこに格納された情報を使用してもよい。
図11は、図8に示した建築物品質評価装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。この態様では、建築物のCADデータを利用して最終的に保険関連情報を抽出する処理に言及し、その際、一例として、オブジェクトに含まれる情報である属性情報および構造情報を部材情報として使用する。これまでは、部材情報は、積算データベース、見積りデータベース、或いはこれらを格納したサーバなどから取得する形式で説明したが、この例のように3次元CADデータ、或いは、CADデータを包括して含むBIMデータベースやBIMサーバからも部材情報を取得することが可能である。また、前述した他のフローチャートに含まれる処理と同様の処理を幾つか含むが、特に言及がない限り、他の処理と同様のものである。また、予め、建築物の影響度(リスク)と、該影響度に関連付けられた保険料関連情報とを含む保険マスターテーブルIMTが記憶部に格納されているものとする。図に示すように、ステップS61にて、記憶部250は、オブジェクトの属性情報と、属性情報に関連付けられた災害に対する影響度を示す影響度情報とを含む部材品質管理マスターテーブルMQMTを格納する。MQMTの代わりに、オブジェクトの属性情報と、該属性情報に関連付けられた災害に対する影響度を示すリスク情報とを含むリスクマスターテーブルRMTを格納して、後続の処理でリスクマスターテーブルRMTを参照して抽出や演算処理をしてもよい。次にステップS62では、記憶部250は、オブジェクトの位置、オブジェクトの形状、オブジェクトの寸法、複数のオブジェクトの接続状況、複数のオブジェクトの配置状況、のうちの少なくとも1つの構造情報と、該構造情報に関連付けられた災害に対する影響度を示す構造起因リスク情報を含む構造リスクマスターテーブルSRMTをさらに格納する。次にステップS63にて、取得部211が、評価対象建築物に対する複数のオブジェクトを含む3次元CAD情報を部材情報として取得する。そして、ステップS64では、品質評価部212が、取得した3次元CAD情報に含まれる複数のオブジェクトに関する少なくとも1つの情報に基づき、部材品質管理マスターテーブルMQMTをさらに参照して、該当するリスクを抽出し、取得した3次元CAD情報に含まれる複数のオブジェクトに関する少なくとも1つの構造情報に基づき、構造マスターテーブルSRMTを参照して、該当する構造起因影響度情報を抽出し、その抽出したリスクおよび構造起因影響度情報から評価対象建築物の少なくとも一部に対する災害のリスクを評価する。最後に、ステップS65では、品質評価部212が、評価されたリスクに基づき、保険マスターテーブルIMTを参照して、該当する保険関連情報を抽出する。
図12は、図11のフローチャートの処理で使用される構造リスクマスターテーブルSRMTを示す図である。図に示すように、構造リスクマスターテーブルSRMTには、例えば、垂直方向に延びる厚さ15cm(この数値は任意に設定可能)のオブジェクトは、基本的には「コンクリートの壁材」であるため、このような構造情報に、災害に対する影響度を示す構造起因リスク情報「耐火性:大(耐火性ポイント10)、耐震性:大(耐震性ポイント10)」が関連付けられている。他には、厚さが、例えば、12cm以上(この数値は任意に設定可能)のオブジェクトは、コンクリート耐力壁である蓋然性が高いため、そのオブジェクト内に配置される棒状オブジェクトは、基本的には、補強用の鉄筋であると想定される。このような棒状オブジェクトの構造情報のうち鉄筋の太さやピッチ(配置頻度)の段階別に、災害に対する影響度を示す構造起因リスク情報が関連付けられている。また、建築物の下部である基礎部分にある「地中(下方)に突出す棒状オブジェクト」は、建築物を地面に固定するための「杭」である蓋然性が高いため、このような構造情報のうち杭の太さやピッチ(配置頻度)によって、災害に対する影響度を示す構造起因リスク情報が段階別に関連付けられている。これらには、一例であって、様々な構造に起因する影響度/リスクを定義しておくことが可能である。
CAD情報には、レイヤー情報が付属していることが多いが、このレイヤー情報を利用することで、必要とされる「構造情報」や「属性情報」をCAD情報から容易に抽出して、部材情報として利用することが可能である。ここで、レイヤー情報は、オブジェクトの属性情報に含まれることもできるし、オブジェクトの外部に各レイヤーのオブジェクトを関連付ける外部情報として存在させてもよい。例えば、属性情報に「レイヤー情報フィールド:1」、「レイヤー情報フィールド:2」、「レイヤー情報フィールド:3」、或いは、「レイヤー情報フィールド:基本構造(主要構造)」、「レイヤー情報フィールド:内装」、「レイヤー情報フィールド:基礎構造」、「レイヤー情報フィールド:建具」といった情報が含まれる。CADユーザは、レイヤー1を指定すれば、多数のオブジェクトから、レイヤー1の属性情報を持つオブジェクトのみを抽出することが可能である。これを利用すれば、耐震に影響を及ぼすオブジェクトのみを、或いは、耐震に影響を及ぼす傾向が高いオブジェクトを効率よく抽出することが可能であり、例えば、耐震性については、レイヤー情報フィールド:基本構造(主要構造)」、或いは「レイヤー情報フィールド:基礎構造」をレイヤーとして選択して、抽出すると、耐震性への関連性が非常に高いオブジェクトを抽出することが可能である。取得部211または品質評価部212は、このようなレイヤーのうち適正なレイヤーの数値や文字情報を指定して、必要とされるオブジェクトを効率良く抽出する機能を有する。
図13は、本発明の一実施態様による建築物品質評価装置の概要を示すブロック図である。図に示すように、建築物品質評価装置300(BQED)は、制御部(CPU、プロセッサ)310、入力部320、出力部330、通信部340、記憶部350、および、表示部360を有する。本実施態様では、特に言及しない限り図1や図8の実施態様で示した機能部(取得部、品質評価部、出力部、制御部など)や記憶部を有し、当該機能部や記憶部による処理も同様のものを実行することが可能であり、前述したフローチャート、各マスターテーブルを使用して同様の処理結果、或いは本実施態様の処理を加えた処理結果を得ることが可能であることに注意されたい。
この実施態様では、取得部311は、通信部340、ネットワークNETを介して、外部にある、例えば、地図情報会社やインターネット検索サイトの地理情報サーバGISから、評価対象建築物の地理的位置に関連する地理的情報(地理的座標、高度を含む地理的座標、住所、地域)をさらに取得する。記憶部350は、地理的情報(地理的座標、高度を含む地理的座標、住所、地域)と、該地理的情報に関連付けられた地震、爆発、火山活動、放射線被爆、台風、火災、液状化現象、洪水、高波、津波、土砂災害の少なくとも1つを含む災害(自然災害や人為的な災害)に起因する地理的危険度情報とを含むハザードマップHZMをさらに格納する。品質評価部312が、取得した地理的情報に基づき、ハザードマップHZMを参照して、該当する地理的危険情報を抽出し、該抽出した地理的危険情報をさらに含む評価対象建築物の評価を生成する。或いは、品質評価部(リスク評価部)312は、取得した部材情報が3次元CAD情報に含まれる複数のオブジェクトである場合は、少なくとも1つのオブジェクトに基づき、リスクマスターテーブルRMTを参照して、該当するリスク情報を抽出し、取得した地理的情報に基づき、ハザードマップHZMを参照して、該当する地理的危険度情報を抽出し、抽出したリスク情報および地理的危険度情報から評価対象建築物の少なくとも一部に対する災害のリスクを評価する。
また、本実施態様では、取得部311が、評価対象建築物の評価に関連する、構造級別情報、住宅性能情報、住宅履歴情報、何らかの建築物格付け情報、のうちの少なくとも1つの建築物評価情報をさらに取得する。記憶部350は、建築物の評価に関連する構造級別情報、住宅性能情報、住宅履歴情報、何らかの建築物外部格付け情報のうちの少なくとも1つの建築物外部評価情報と、該建築物外部評価情報に関連付けられた災害に対する影響度を示す外部評価影響度情報を含む外部評価マスターテーブルOEMTをさらに格納する。品質評価部312が、前記取得した少なくとも1つの建築物外部評価情報に基づき、前記外部評価マスターテーブルOEMTを参照して、該当する外部評価影響度情報を抽出し、該抽出した外部評価影響度情報をさらに含む、評価対象建築物の評価を生成する、例えば、外部評価影響度情報に基づき評価対象建築物の評価を調整する(数値の増減、ランクの上昇下降など)。
図23は、建築物外部評価情報の一例である住宅履歴情報証明書を示す図である。図中の(a)は住宅履歴情報証明書であり、(b)は住宅履歴情報として保管されている文書一覧である。これは、監督官庁の認可を受けたIT事業者が発行する証明書であり、保管されている文書(CAD図面、検査済み証など)は改竄されていない真正の正式な文書の一覧である。一覧に提示された文書の少なくとも一部を建築物外部評価情報として取得することが好適である。従って、本実施態様では、このような住宅履歴情報が提供される建築物の場合は、評価のランクを1段階、また数段階上になるよう調整する機能を提供する。保管されている履歴情報によっては、評価が下がることもあり得る。そのとき、保管されている文書は部材情報の一部として取得してもよいが、このように建築物外部評価情報として別個に評価して、最終評価の調整情報として利用する方が、処理が簡単である。
記憶部350は、建築物の影響度評価と、該影響度評価に関連付けられた保険料関連情報(損害保険や生命保険などの保険料、保険料への重み付けとなる数値やランクなど)とを含む保険マスターテーブルIMTをさらに格納する。そして、制御部310は、評価された災害のリスクに基づき、保険マスターテーブルIMTを参照して、該当する保険関連情報を抽出し、生成または出力する保険情報抽出部313(或いは、抽出した保険関連情報から評価対象建築物に関連する保険料を算出し、生成または出力する保険料算出部(図示せず)、または、従来の手順で計算された基礎保険料を参照して、基礎保険料と抽出した保険関連情報から評価対象建築物に関連する保険料を算出し、生成または出力する保険料算出部(図示せず)を設けてもよい)をさらに有する。
記憶部350は、オブジェクトの位置、オブジェクトの形状、オブジェクトの寸法、複数のオブジェクトの接続状況、複数のオブジェクトの配置状況、のうちの少なくとも1つの構造情報と、該構造情報に関連付けられた災害に対する影響度を示す構造起因リスク情報を含む構造リスクマスターテーブルSRMTをさらに格納する。品質評価部312が、取得した3次元CAD情報に含まれる複数のオブジェクトに関する少なくとも1つの情報に基づき、リスクマスターテーブルEMTを参照して、該当するリスク情報を抽出し、取得した3次元CAD情報に含まれる複数のオブジェクトに関する少なくとも1つの構造情報に基づき、構造リスクマスターテーブルSRMTをさらに参照して、該当する構造起因リスク情報を抽出し、抽出したリスク情報および構造起因リスク情報から評価対象建築物の少なくとも一部に対する災害のリスクを算出する。
図14は、図13に示した建築物品質評価装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。この態様でも、部材情報は、3次元CADデータやCADデータに含まれるオブジェクトから取得したものを使用するが、積算データベースから取得したものでもよい。また、前述した他のフローチャートに含まれる処理と同様の処理を幾つか含むが、特に言及がない限り、他の処理と同様のものである。また、予め、建築物の影響度(リスク)と、該影響度に関連付けられた保険料関連情報とを含む保険マスターテーブルIMT、および、建築物の部材情報と、該部材情報に関連付けられた部材品質管理情報とを含む部材品質管理マスターテーブルMQMTが記憶部に格納されているものとする。図に示すように、ステップS71にて、記憶部350は、地理的情報(地理的座標、高度を含む地理的座標、住所、地域)と、該地理的情報に関連付けられた地震、爆発、火山活動、放射線被爆、台風、火災、液状化現象、洪水、高波、津波、土砂災害の少なくとも1つを含む災害(自然災害、人為的な災害、工場や発電所などの事故災害)に起因する地理的危険度情報とを含むハザードマップHZMをさらに格納する。ハザードマップHZMは、インターネットを介して外部の公共機関(自治体、政府研究所、大学など)のリスク情報提供サーバ(図示せず)から取得するのが好適である。或いは、ハザードマップの情報は、影響度/リスクや品質を評価する処理のたびに、外部のサーバにあるものを直接読み取って直接使用してもよい。
次にステップS72にて、取得部311が、評価対象建築物の部材情報を取得し、さらに、評価対象建築物の地理的位置に関連する地理的情報(地理的座標、高度を含む地理的座標、住所、地域)を取得する。或いは、評価対象建築物に対する複数のオブジェクトを含む3次元CAD情報を部材情報として取得してもよい。地理的情報は、外部からインターネットを介して取得するのが好適であるが、記憶部350に格納したもの(図示せず)を取得してもよい。また、地理的情報は、GPS衛星のGPS信号や携帯電話基地局の信号などから求めて画像情報に埋め込まれた撮影時の位置情報を、取得部が取得してもよい。また、このときの画像情報は、保険関連情報を抽出するときのファクターとして使用してもよい。即ち、評価対象建築物を撮影した画像情報は、隣接土地の状況、隣接家屋の状況、現地の実際の建築物の状態、メンテナンス状況、使用状況(住居使用、工場使用、事務所使用など)を判定するために使用することも可能である。
そして、ステップS73では、品質評価部312が、取得した部材情報に基づき、部材品質管理マスターテーブルMQMTを参照して、対応する部材品質管理情報を抽出し、評価対象建築物の評価を出力または生成し、取得した地理的情報に基づき、ハザードマップHZMを参照して、該当する地理的危険度情報を抽出し、抽出した影響度情報および地理的危険度情報から評価対象建築物の少なくとも一部に対する災害の影響度(リスク)を評価する。最後に、ステップS74では、品質評価部312が、評価された影響度に基づき、保険マスターテーブルを参照して、該当する保険関連情報を抽出する。なお、構造情報に基づく評価処理を本フローチャートに適用してもよい。また、ハザードマップは、地震用ハザードマップ、火災用ハザードマップ、洪水用ハザードマップなどを複数個、使用することが可能であり、1つのハザードマップに2以上の災害影響を含む形式のものを使用してもよい。
図15は、図14の処理の変形例を示すフローチャートである。この態様では、建築物のCADデータから保険関連情報を抽出する処理に言及し、その際、一例として、CADデータのオブジェクトに含まれる情報として、属性情報を使用する。この属性情報を部材情報として扱う。また、部材品質管理マスターテーブルの形式も、上述したものとは異なるフォーマットのものを使用する。また、図15には、前述したフローチャートに含まれる処理と同様の処理を含むが、特に言及がない限り、それらの処理と同様のものである。また、予め、上述した幾つかのマスターテーブルが記憶部に格納されているものとする。図に示すように、ステップS81にて、記憶部350は、オブジェクトの属性情報と、属性情報に関連付けられた災害に対する影響度を示す影響度情報とを含む部材品質管理マスターテーブルMQMTを格納する。次にステップS82にて、記憶部350は、地理的情報(地理的座標、高度を含む地理的座標、住所、地域)と、該地理的情報に関連付けられた地震、爆発、火山活動、放射線被爆、台風、火災、液状化現象、洪水、高波、津波、土砂災害の少なくとも1つを含む災害(自然災害、人為的な災害、工場や発電所などの事故災害)に起因する地理的危険度情報とを含むハザードマップHZMをさらに格納する。次にステップS83にて、取得部311が、評価対象建築物に対する複数のオブジェクトを含む3次元CAD情報を取得し、さらに、評価対象建築物の地理的位置に関連する地理的情報(地理的座標、高度を含む地理的座標、住所、地域)を取得する。地理的情報は、外部からインターネットを介して取得するのが好適であるが、記憶部350に格納したものを取得してもよい。そして、ステップS84では、品質評価部312が、取得した3次元CAD情報に含まれる複数のオブジェクトに関する少なくとも1つの情報に基づき、部材品質管理マスターテーブルMQMTを参照して、該当する影響度情報を抽出し、取得した地理的情報に基づき、ハザードマップHZMを参照して、該当する地理的危険度情報を抽出し、抽出した影響度情報および地理的危険度情報から評価対象建築物の少なくとも一部に対する災害の影響度を評価する。最後に、ステップS85では、保険情報抽出部313(或いは、品質評価部でもよい)が、評価された影響度に基づき、保険マスターテーブルIMTを参照して、該当する保険関連情報を抽出する。なお、構造情報に基づく評価処理を本フローチャートに適用してもよい。また、ハザードマップは、地震用ハザードマップ、火災用ハザードマップ、洪水用ハザードマップなどを複数個、使用することが可能であり、1つのハザードマップに2以上の災害影響を含む形式のものを使用してもよい。
図16は、図14または図15のフローチャートの処理で使用される液状化現象用ハザードマップを示す図である。図に示すように、液状化現象用ハザードマップHZM1には、リスク領域AR11が地理的座標(経度、緯度)、或いは、住所表示で規定されている。この領域には、地震などにより液状化現象が起こり易いといった自然災害などに起因する地理的危険度情報が関連付けられている。また、液状化現象用ハザードマップHZM1には、リスク領域AR12が地理的座標(経度、緯度)、或いは、住所表示で規定されている。この領域には、地震などにより液状化現象が「極めて起こり易い」、或いは、震度の数値別の液状化発生リスクの数値、リスクの指数といった自然災害などに起因する地理的危険度情報が関連付けられている。このようなリスク領域は、一般的には、砂地の低地であり、砂州や湖沼を埋め立てた土地である場合が多い。このような液状化現象用ハザードマップに、地震の発生頻度や活断層などを規定した地震用ハザードマップを併用すれば、地震発生時の液状化現象のリスクを評価対象建築物の地理的位置に応じて評価することが可能となる。本装置は、このような地震による液状化災害リスクに対して建物自体にどの程度の影響を与えるかを個別に極めて容易に評価することが可能であり、最終的には、不動産としてどの程度の資産価値があるのか、担保価値があるのか、融資限度額なのか、どの程度の保険料で保険を請け負うべきか、或いは、保険料がいくらになるべきかのために、保険金額を決定する際の評価指数などで生成または出力することが可能である。ハザードマップは、図16のような地図で表現することが好適であるが、住所や座標による地理的情報と、その地理的情報に自然災害などに起因する地理的危険度情報を関連付けてもよい。例えば、「…県…区…町…丁目;液状化現象が起こり易い」、「東経xx度、北緯yy度の座標から半径1kmの地域:液状化現象は震度3で20%の確率で発生、震度5で60%の確率で発生、震度6で90%の確率で発生」といった形式でもよい。このことは後続のハザードマップでも同様である。
図17は、図14または図15のフローチャートの処理で使用される火災用ハザードマップを示す図である。図に示すように、火災用ハザードマップHZM2には、リスク領域AR21が地理的座標(経度、緯度)、或いは、住所表示で規定されている。この領域には、当該領域で火災が発生した場合、延焼して大規模火災が起こり易いといった災害などに起因する地理的危険度情報が関連付けられている。このようなリスク領域は、一般的には、古い木造住宅が密集した地域であり、道路が狭く、延焼し易い地域である場合が多い。本装置は、このような火災リスクに対して建物自体にどの程度の影響を与えるかを個別に極めて容易に評価することが可能であり、最終的にはどの程度の保険料で保険を請け負うべきか、或いは、保険料がいくらになるべきかのために、保険料を決定する際の評価指数などで生成または出力することが可能である。また、この図のように、隣接土地の状況、隣接家屋の状況が描画されるマップ情報がある場合は、延焼の被害が発生しやすいのか、否かを判断することも可能である。例えば、評価対象建築物と、隣接建物の距離を、保険料率を決定するファクターの1つにすることも可能である。
図18は、図14または図15のフローチャートの処理で使用される地震用ハザードマップを示す図である。図に示すように、地震用ハザードマップHZM3には、リスク領域AR31が地理的座標(経度、緯度)、或いは、住所表示で規定されている。この領域には、「地震が起こり易い」といった自然災害に起因する地理的危険度情報が関連付けられている。また、地震用ハザードマップHZM3には、リスク領域AR32が地理的座標(経度、緯度)、或いは、住所表示で規定されている。この領域には、地震が「極めて起こり易い」といった自然災害などに起因する地理的危険度情報が関連付けられている。このようなリスク領域は、一般的には、活断層がある、長い間地震が起こっていないためエネルギーが蓄積されている、地盤が弱くて揺れやすい、といった土地や地域である場合が多い。例えば、このような地震用ハザードマップに、他のハザードマップを併用すれば、地震発生に伴う幾つかリスクを包括的に評価対象建築物の地理的位置に応じて評価することが可能となる。本装置は、このような地震による災害リスクに対して建物自体にどの程度の影響を与えるかを個別に極めて容易に評価することが可能であり、最終的にはどの程度の保険料で評価対象建築物の保険を請け負うべきか、或いは、保険料をいくらにするべきかのために、保険料を決定する際の評価指数などで生成または出力することが可能である。
図19は、CAD情報のレイヤーや属性情報を利用し、必要とされるオブジェクトを効率良く抽出する機能を説明する模式図である。図に示すように、CAD情報であるオブジェクトOB10は、1つの建築物を構成する複数のオブジェクトを含む。取得部またはリスク評価部は、任意のレイヤーのオブジェクトのみを抽出することが可能である。例えば、図に示すように、主要構造部のレイヤーのみを抽出することが可能であり、屋根、壁、柱(図示せず)などの主要構造部のみのオブジェクトOB11が抽出される。このようにして、耐震性への関連性が非常に高いオブジェクトを効率よく抽出することが可能であり、後続の影響度の評価が効率よく適正に行うことが可能となる。また、取得部またはリスク評価部は、主要構造以外の防火材、耐火材のレイヤーのみを抽出することが可能であり、防火材、耐火材のみのオブジェクトOB12が抽出される。オブジェクトOB12のように、各部屋の天井および天井に接続する壁の上部に耐火材を使用すると、木造建築物であっても耐火性を相当に向上させることが可能である。従って、このようなオブジェクトOB12には、耐火ポイントが高く設定され、評価された影響度も、木造建築物としては比較的に耐火性が高い、燃えにくい建築物として評価される。このようにして、火災への関連性が非常に高いオブジェクトを効率よく抽出することが可能であり、後続の影響度の評価が効率よく適正に行うことが可能となる。特に、木造建築物の場合の火災影響度は、この手法を使えば非常に効率よくかつ適正に評価することが可能となり、最終的には、適正に保険料を評価、算出することを可能にする。オブジェクトOB13は、免震部材、免震器具、耐震器具、これらを収納する部材のみのレイヤーでフィルタリングしたオブジェクトである。このレイヤーで取得したオブジェクトを使用して、地震への耐性に関する品質やリスクを容易に評価することが可能となる。また、このようなレイヤー指定による抽出以外に、属性情報にある文字情報を抽出キーワードに指定しても、同様に、効率よくかつ適正にオブジェクトを抽出することが可能である。但し、属性情報の文字情報には、まれにノイズが含まれることがあるため、構造的にノイズが発生しないレイヤー情報を利用するか、CAD情報作成時やBIM情報作成時にノイズを除去する事前処理として属性情報の文字情報を標準化すること、より好適である。
図20は、本発明の一実施態様による建築物品質評価装置の概要を示すブロック図である。本実施態様では、金額評価ルールを利用して、建築物/建設物の現在の金額的価値を評価する具体例を提示する。図に示すように、建築物品質評価装置400(BQED)は、制御部(CPU、プロセッサ)410、入力部420、出力部430、通信部440、記憶部450、および、表示部460を有する。本実施態様では、特に言及しない限り図1、図8、図13の実施態様で示した機能部(取得部、品質評価部、出力部、制御部など)や記憶部を有し、当該機能部や記憶部による処理も同様のものを実行することが可能であり、前述したフローチャート、各マスターテーブルを使用して同様の処理結果、或いは本実施態様の処理を加えた処理結果を得ることが可能であることに注意されたい。
この実施態様では、記憶部450が、建築物の評価と、金額とに基づき現在金額を生成するための第1の金額評価ルールMER1をさらに格納する。取得部411は、評価対象建築物の構築時或いは購入時の金額である初期金額を取得する。そして、品質評価部412が、初期金額と評価対象建築物の評価に基づき、第1の金額評価ルールMER1を使用して、現在の評価対象建築物に対する評価金額である現在金額(例えば、資産価値、抵当金額、融資対象金額など)を生成する(評価に含めて生成または出力してもよい)。
第1の金額評価ルールMER1は、例えば、計算式やテーブルとすることができる。
例えば、計算式は下記のようになる。
現在金額=初期金額×評価ランク
評価ランクが高い方からA,B,Cの場合、評価ランクAのときは金額×0.9、評価ランクBのときは金額×0.7、評価ランクCのときは金額×0.5などのように金額に乗算すべき係数を評価順に高い数値から低い数値へと漸減させる。
また、本実施態様では、記憶部450が、建築物の評価と、複数の金額とに基づき現在金額を生成するための第2の金額評価ルールをさらに格納する。取得部411が、前記評価対象建築物の構築時或いは購入時の金額である初期金額、および、前記評価対象建築物のリフォーム、メンテナンス、環境機器(住環境、安全、利便性、環境対策を向上させたり、CO2やエネルギーコストを削減したりする機器や装置など、例えば、免震機器、制振機器などである)に関連する金額であるリフォーム・メンテナンス金額(機器費用および工事費用を含むことが好適である)を取得する。また、品質評価部412が、初期金額と、リフォーム・メンテナンス金額と、評価対象建築物の評価とに基づき、第2の金額評価ルールMER2を使用して、現在の前記評価対象建築物に対する評価金額である現在金額(例えば、リフォーム後またはメンテナンス後の資産価値、抵当金額、融資対象金額など)を生成する(評価に含めて生成または出力してもよい)。
第2の金額評価ルールMER2は、例えば、計算式やテーブルとすることができる。
例えば、計算式は下記のようになる。
現在金額=初期金額×リフォーム後の評価ランク+リフォーム・メンテナンス金額
或いは、
現在金額=初期金額×リフォーム前の評価ランク+リフォーム・メンテナンス金額リフォーム後の評価ランク
現在金額=(初期金額+リフォーム・メンテナンス金額)リフォーム後の評価ランク
第6の発明と同様に、評価ランクが高い方からA,B,Cの場合、評価ランクAのときは金額×0.9、評価ランクBのときは金額×0.7、評価ランクCのときは金額×0.5などのように金額に乗算すべき係数を評価順に高い数値から低い数値へと漸減させる。
また、本実施態様では、記憶部450が、建築物の部材情報(1つの部材(器具、装置、装備など)、複数の部材のグループ、或いは、複数の部材の配置や結合で構成される構造、構成など)と、該部材情報に関連付けられた部材格付け情報とを含む部材格付けマスターテーブルMEMTをさらに格納する。品質評価部412が、取得した部材情報に基づき、部材品質管理マスターテーブルMQMTを参照して、対応する部材品質管理情報を抽出し、さらに、取得した部材情報に基づき、部材格付けマスターテーブルMEMTを参照して、対応する部材格付け情報を抽出し、抽出した部材品質管理情報および部材格付け情報を含む前記評価対象建築物の評価を生成する。或いは、評価対象建築物の評価を、抽出した部材格付け情報を使用して、再評価してもよい。また、抽出した部材格付け情報と、初期金額、リフォーム金額やメンテナンス金額などの少なくとも1つとを使用して、現在金額を生成してもよい。
図21は、図20に示した建築物品質評価装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。この態様では、初期金額は、積算データベースや見積りデータベースを含むCAD情報サーバCADISから取得したものを使用するが、別途、他のサーバやデータベースから取得してもよい。また、前述した他のフローチャートに含まれる処理と同様の処理を幾つか含むが、特に言及がない限り、他の処理と同様のものである。図21の(a)に示すように、ステップS91にて、記憶部450が、建築物の評価と、金額とに基づき現在金額を生成するための第1の金額評価ルールMER1をさらに格納する。ステップS92にて、取得部411は、評価対象建築物の構築時或いは購入時の金額である初期金額を取得する。そして、ステップS93にて、品質評価部412が、初期金額と評価対象建築物の評価に基づき、第1の金額評価ルールMER1を使用して、現在の評価対象建築物に対する評価金額である現在金額(例えば、資産価値、抵当金額、融資対象金額など)を生成する(評価に含めて生成または出力してもよい)。
図21の(b)に示すように、ステップS101にて、記憶部450が、建築物の評価と、複数の金額とに基づき現在金額を生成するための第2の金額評価ルールをさらに格納する。ステップS102にて、取得部411が、評価対象建築物のリフォーム、メンテナンス、環境機器(住環境、安全、利便性、環境対策を向上させたり、CO2やエネルギーコストを削減したりする機器や装置など、例えば、免震機器、制振機器などである)に関連する金額であるリフォーム・メンテナンス金額(機器費用および工事費用を含むことが好適である)を取得する。また、ステップS103にて、品質評価部412が、初期金額と、リフォーム・メンテナンス金額と、評価対象建築物の評価とに基づき、第2の金額評価ルールMER2を使用して、現在の前記評価対象建築物に対する評価金額である現在金額(例えば、リフォーム後またはメンテナンス後の資産価値、抵当金額、融資対象金額など)を生成する(評価に含めて生成または出力してもよい)。
図22は、図20に示した建築物品質評価装置により生成される現在金額の推移を示すグラフである。図22の(a)に示すように、現在金額曲線PMLは、新築時の時間t1の初期金額IPから時間経過に伴い、評価対象建築物の評価が下降し、その評価の下降によって、評価対象建築物の現在金額も下降する。例えば、時間t3、t4の間で、主要部材が耐用年数に到達した場合であって、何らのメンテナンスを施さない場合は、それによって評価が急落し、その急落によって最終的には現在金額も急落する。現在金額曲線PMLは、部材品質管理マスターテーブルMQMT、リスクマスターテーブルRMT,金額マスターテーブMMT,金額評価ルールMER1,MER2、構造リスクマスターテーブルSRMT、ハザードマップHZM,外部評価マスターテーブルOEMT,部材格付けマスターテーブルHEMTの少なくとも1つ、2個以上を利用して求めることができる。
実際に評価や金額を求める場合の式の例を幾つか例示する。
f(建築物の評価値、評価ランクなど)=部材品質(Σa1,a2,・・・,an)×地理的災害リスク(Σdis1,dis2,・・・,disn)
f(建築物の評価値、評価ランクなど)=部材品質(Σa1,a2,・・・,an)×地理的災害リスク(Σdis1,dis2,・・・,disn)+リフォーム・メンテナンス後の部材品質
f(建築物の金額的価値)=f(建築物の評価)×初期金額
f(建築物の金額的価値)=金額変換指数×f(建築物の評価)×初期金額+リフォーム・メンテナンス金額
f(建築物の金額的価値)=金額変換指数×f(建築物の評価)×初期金額×投資効果指数×リフォーム・メンテナンス金額
図22の(b)は、時間t4のときに耐用期間が満了した主要部材の交換を伴いリフォームをした場合の現在金額曲線PMLを示した図である。リフォーム費用r1の投資によって、価格差m1を超える回復金額m2を得ていることが観察できる。そして、その後の時点でメンテナンスなしの場合と比べて価格差m4が生じていることが理解できる。このように、適切な時期に適切なリフォームやメンテナンスをしたことを適切に評価して、建築物の資産価値を評価することが可能となる。
金額評価ルール、外部評価マスターテーブル、部材格付けマスターテーブル、保険マスターテーブルなどは、金融機関が個別にカスタマイズしたものを構築することが好適であり、このようなテーブルは、外部サーバに設けて利用する態様で本装置を構成せてもよい。
図24は、図20に示した建築物品質評価装置により生成される現在金額の推移を示すグラフである。この例では、図20の記憶部450に格納されている部材金額テーブルMPTを利用して、鋼材や人件費を考慮した建築物の現在金額を評価する態様を説明する。記憶部450は、建築物の部材或いは複数の部材に関連する現在の部材金額である部材金額テーブルMPT(部材相場や工事費の相場に対応した金額や複数の部材を含む費用相場(例えば、浴室ユニットの坪単価、鋼材相場、大工職人の工賃相場など)を含む金額)をさらに格納する。品質評価部412が、部材金額前記初期金額と評価対象建築物の評価に基づき、第1の金額評価ルールを使用して、現在の評価対象建築物に対する評価金額である現在金額を生成し、部材金額テーブルMPTを参照して、前記現在の部材金額に基づき、前記現在金額を調整する。
図24の(a)に示すように、現在金額曲線PMLは、新築時の時間t1の初期金額IPから時間経過に伴い、評価対象建築物の評価が下降し、その評価の下降によって、評価対象建築物の現在金額も下降する。即ち、図中の(a)は、部材金額を評価しない場合の現在金額曲線を示すグラフであり、(b)は、部材金額を評価した場合の現在金額曲線を示すグラフである。(b)に示すように、例えば、時間t3の後、部材金額平均曲線MMMLが上昇すると、現在金額はこの部材金額の上昇に応じて、時間t4の時点では、評価しないグラフである(a)に比べて上昇している。部材金額の相場を考慮しない場合に比べて、金額差m11が生じるほど、金額が高く評価される。このように、本装置は、様々なファクターを要素にして、建築物の現在の資産価値を適正に評価することが可能である。この例では、説明を簡単にするために、部材金額の平均値を使用したが、評価対象建築物の部材を抽出して、抽出した部材の部材金額を合計した数値で評価することも可能である。
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部、各ステップなどに含まれる処理や機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段/部やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。或いは、本発明による装置、方法、プログラムなどの一部の構成要素、機能、処理、ステップなどを遠隔地のサーバ、端末、PCなどに配置することも可能であることに注意されたい。