JP2016027528A - 電気デバイス用負極、及びこれを用いた電気デバイス - Google Patents

電気デバイス用負極、及びこれを用いた電気デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】高いサイクル特性を維持しつつ、かつ、初期容量も高くバランスよい特性を示すLiイオン二次電池等の電気デバイス用負極を提供する。
【解決手段】集電体と、前記集電体の表面に配置された負極活物質、導電助剤、およびバインダを含む電極層と、を有する電気デバイス用負極であって、前記負極活物質が、下記式(1):
【化1】

(上記式(1)において、Mは、C、Nbおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの金属であり、前記Aは、不可避不純物であり、x、y、z、およびaは、質量%の値を表し、この際、0<x<100、0<y<100、0<z<100、および0≦a<0.5であり、x+y+z+a=100である。)で表される合金を含み、かつ、電極層における伸び(δ)が、1.29<δ<1.70%であることを特徴とする電気デバイス用負極。
【選択図】図14

Description

本発明は、電気デバイス用負極、及びこれを用いた電気デバイスに関する。本発明の電気デバイス用負極及びこれを用いた電気デバイスは、例えば、二次電池やキャパシタ等として電気自動車、燃料電池車及びハイブリッド電気自動車等の車両のモータ等の駆動用電源や補助電源に用いられる。
近年、大気汚染や地球温暖化に対処するため、二酸化炭素量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池などの電気デバイスの開発が盛んに行われている。
モータ駆動用二次電池としては、携帯電話やノートパソコン等に使用される民生用リチウムイオン二次電池と比較して極めて高い出力特性、及び高いエネルギーを有することが求められている。従って、全ての電池の中で最も高い理論エネルギーを有するリチウムイオン二次電池が注目を集めており、現在急速に開発が進められている。
リチウムイオン二次電池は、一般に、バインダを用いて正極活物質等を正極集電体の両面に塗布した正極と、バインダを用いて負極活物質等を負極集電体の両面に塗布した負極とが、電解質層を介して接続され、電池ケースに収納される構成を有している。
従来、リチウムイオン二次電池の負極には充放電サイクルの寿命やコスト面で有利な炭素・黒鉛系材料が用いられてきた。しかし、炭素・黒鉛系の負極材料ではリチウムイオンの黒鉛結晶中への吸蔵・放出により充放電がなされるため、最大リチウム導入化合物であるLiCから得られる理論容量372mAh/g以上の充放電容量が得られないという欠点がある。このため、炭素・黒鉛系負極材料で車両用途の実用化レベルを満足する容量、エネルギー密度を得るのは困難である。
これに対し、負極にLiと合金化する材料を用いた電池は、従来の炭素・黒鉛系負極材料と比較しエネルギー密度が向上するため、車両用途における負極材料として期待されている。例えば、Si材料は、充放電において下記の反応式(1)のように1molあたり4.4molのリチウムイオンを吸蔵放出し、Li22Si(=Li4.4Si)においては理論容量2100mAh/gである。さらに、Si重量当りで算出した場合、3200mAh/g(参考例Bの比較参考例18参照)もの初期容量を有する。
しかしながら、負極にLiと合金化する材料を用いたリチウムイオン二次電池は、充放電時の負極での膨張収縮が大きい。例えば、Liイオンを吸蔵した場合の体積膨張は、黒鉛材料では約1.2倍であるのに対し、Si材料ではSiとLiが合金化する際、アモルファス状態から結晶状態へ転移し大きな体積変化(約4倍)を起こすため、電極のサイクル寿命を低下させる問題があった。また、Si負極活物質の場合、容量とサイクル耐久性はトレードオフの関係であり、高容量を示しつつ高サイクル耐久性を向上させることが困難であるといった問題があった。
こうした問題を解決すべく、式;SiAlを有するアモルファス合金を含む、リチウムイオン二次電池用の負極活物質が提案されている(例えば、特許文献1参照)。ここで、式中x、y、zは原子パーセント値を表し、x+y+z=100、x≧55、y<22、z>0、Mは、Mn、Mo、Nb、W、Ta、Fe、Cu、Ti、V、Cr、Ni、Co、Zr及びYの少なくとも1種からなる金属である。かかる特許文献1に記載の発明では、段落「0018」に金属Mの含有量を最小限にすることで、高容量の他に、良好なサイクル寿命を示すことが記載されている。
特表2009−517850号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の式;SiAlを有するアモルファス合金を有する負極を用いたリチウムイオン二次電池の場合、良好なサイクル特性を示すことができるとされているものの、初期容量が十分とはいえなかった。またサイクル特性も十分なものとはいえなかった。
そこで、本発明の目的は、高いサイクル特性を維持しつつ、かつ、初期容量も高くバランスよい特性を示すLiイオン二次電池等の電気デバイス用負極を提供することにある。
本発明者らは、負極活物質材料として、3元系のSi−Al−M系の合金を適用し、かつ、電極層(負極活物質層)の伸びを所定範囲に設定することで、上記課題を解決し得ることを見出し、かかる知見に基づき本発明に至ったものである。
本発明によれば、SiとLiとが合金化する際、3元系のSi−Al−M系の合金を適用することで、アモルファス−結晶の相転移を抑制しサイクル寿命を向上させるという作用が得られる。さらに、電極層の伸びを所定範囲に設定した。ここで、電極層の伸びを所定範囲の下限より大きくすることで、充放電による負極活物質の膨張・収縮による体積変化に対し、活物質以外の電極構成要素が追随することができ、電極全体の体積変化を抑制させることができる。また、電極層の伸びを所定範囲の上限より小さくすることで、電極層の伸びが充放電に伴う負極活物質へのリチウムイオンの反応(挿入・脱離)を阻害するのを抑制することができる。こうした複合的な作用の結果として、本発明に係る負極は、初期容量も高く、高容量・高サイクル耐久性、とりわけ高い放電容量向上率を有するという有用な効果が得られる。
本発明に係る電気デバイスの代表的な一実施形態である積層型の扁平な非双極型リチウムイオン二次電池の概要を模式的に表した断面概略図である。 本発明に係る電気デバイスの代表的な実施形態である積層型の扁平なリチウムイオン二次電池の外観を模式的に表した斜視図である。 本発明の参考例Aで行った各サンプル(サンプル番号1〜33)を用いた電池の1サイクル目の放電容量(mAhg)を、容量の大きさにより色分けして(濃淡を付して)プロットしたSi−Al−C系の3元系合金の組成図である。 本発明の参考例Aで行った各サンプル(サンプル番号1〜33)を用いた電池の50サイクル目での放電容量維持率(%)を、放電容量維持率の大きさにより色分けして(濃淡を付して)プロットしたSi−Al−C系の3元系合金の組成図である。 図3のSi−Al−C系の3元系合金の組成図に参考例AのSi−Al−C合金サンプルの組成範囲を色分けして(濃淡をつけて)囲った図面である。ここで、Si+Al+C(いずれの単位もwt%/100である。)=1.00であり、0.36≦Si(wt%/100)<1.00であり、0<Al(wt%/100)<0.64であり、0<C(wt%/100)<0.64である。 図4のSi−Al−C系の3元系合金の組成図に参考例AのSi−Al−C合金サンプルのうち、好ましい組成範囲を色分けして(濃淡をつけて)囲った図面である。ここで、Si+Al+C(いずれの単位もwt%/100である。)=1.00であり、0.36≦Si(wt%/100)≦0.80であり、0.10≦Al(wt%/100)≦0.56であり、0.03≦C(wt%/100)≦0.37である。 図4のSi−Al−C系の3元系合金の組成図に参考例AのSi−Al−C合金サンプルのうち、より好ましい組成範囲を色分けして(濃淡をつけて)囲った図面である。ここで、Si+Al+C(いずれの単位もwt%/100である。)=1.00であり、0.41≦Si(wt%/100)≦0.71であり、0.10≦Al(wt%/100)≦0.56であり、0.03≦C(wt%/100)≦0.29である。 図4のSi−Al−C系の3元系合金の組成図に参考例AのSi−Al−C合金サンプルのうち、特に好ましい組成範囲を色分けして(濃淡をつけて)囲った図面である。ここで、Si+Al+C(いずれの単位もwt%/100である。)=1.00であり、0.41≦Si(wt%/100)≦0.71であり、0.15≦Al(wt%/100)≦0.56であり、0.03≦C(wt%/100)≦0.29である。 図4のSi−Al−C系の3元系合金の組成図に参考例AのSi−Al−C合金サンプルのうち、とりわけ好ましい組成範囲を色分けして(濃淡をつけて)囲った図面である。ここで、Si+Al+C(いずれの単位もwt%/100である。)=1.00であり、0.43≦Si(wt%/100)≦0.61であり、0.20≦Al(wt%/100)≦0.54であり、0.03≦C(wt%/100)≦0.29である。 本発明の参考例Aのサンプル7で得られたSi(58wt%)−Al(38wt%)−C(4wt%)合金を負極活物質とする評価用電極を用いた評価用セル(CR2032型コインセル)での1〜50サイクルまでのすべての充放電曲線を表す図面である。 図11は、Si−Al−Nb系の三元系合金の組成図における各例のプロットを、0.27<Si(質量%/100)<1.00、0.00<Al(質量%/100)<0.73、0.00<Nb(質量%/100)<0.58の領域で囲った図面である。 図12は、Si−Al−Nb系の三元系合金の組成図における各例のプロットを、0.47<Si(質量%/100)<0.95、0.02<Al(質量%/100)<0.48、0.01<Nb(質量%/100)<0.23の領域で囲った図面である。 図13は、Si−Al−Nb系の三元系合金の組成図における各例のプロットを、0.61<Si(質量%/100)<0.84、0.02<Al(質量%/100)<0.25、0.02<Nb(質量%/100)<0.23の領域、または、0.47<Si(質量%/100)<0.56、0.33<Al(質量%/100)<0.48、0.01<Nb(質量%/100)<0.16の領域で囲った図面である。 実施例において、電極層の伸びと放電容量向上率の関係を表す図面である。 実施例において、電極層に含まれるバインダのE弾性率と電池の放電容量向上率との関係を示す図面である。 実施例において、負極集電体の弾性伸びと電池の放電容量向上率との関係を表す図面である。 実施例におけるSi合金の含有率と、エネルギー密度または放電容量維持率と、の関係を示す図面である。
以下、図面を参照しながら、本発明の電気デバイス用負極およびこれを用いてなる電気デバイスの実施形態を説明する。但し、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみには制限されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
本発明の電気デバイス用負極は、集電体と、前記集電体の表面に配置された負極活物質、導電助剤及びバインダを含む電極層とを有するものである。更に前記負極活物質が下記式(1)で表される合金(以下、単に「合金」または「Si合金」とも称する)を含み、かつ電極層における伸び(δ)が、1.29<δ<1.70%の範囲であることを特徴とするものである。
上記式(1)において、Mは、C、Nb、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの金属である。前記Aは、不可避不純物である。前記x、y、zおよびaは、質量%の値を表し、この際、0<x<100、0<y<100、0<z<100、および0≦a<0.5であり、x+y+z+a=100である。
以下、本発明の電気デバイス用の負極が適用され得る電気デバイスの基本的な構成を、図面を用いて説明する。本実施形態では、電気デバイスとしてリチウムイオン二次電池を例示して説明する。なお、本発明において「電極層」とは、負極活物質、導電助剤、およびバインダを含む合剤層を意味するが、本明細書の説明では「負極活物質層」とも称することがある。同様に、正極側の電極層を「正極活物質層」とも称することがある。
まず、本発明に係る電気デバイス用負極の代表的な一実施形態であるリチウムイオン二次電池用の負極およびこれを用いてなるリチウムイオン二次電池では、セル(単電池層)の電圧が大きく、高エネルギー密度、高出力密度が達成できる。そのため本実施形態のリチウムイオン二次電池用の負極を用いてなるリチウムイオン二次電池では、車両の駆動電源用や補助電源用として優れている。その結果、車両の駆動電源用等のリチウムイオン二次電池として好適に利用できる。このほかにも、携帯電話などの携帯機器向けのリチウムイオン二次電池にも十分に適用可能である。
すなわち、本実施形態の対象となるリチウムイオン二次電池は、以下に説明する本実施形態のリチウムイオン二次電池用の負極を用いてなるものであればよく、他の構成要件に関しては、特に制限されるべきものではない。
例えば、上記リチウムイオン二次電池を形態・構造で区別した場合には、積層型(扁平型)電池、巻回型(円筒型)電池など、従来公知のいずれの形態・構造にも適用し得るものである。積層型(扁平型)電池構造を採用することで簡単な熱圧着などのシール技術により長期信頼性を確保でき、コスト面や作業性の点では有利である。
また、リチウムイオン二次電池内の電気的な接続形態(電極構造)で見た場合、非双極型(内部並列接続タイプ)電池および双極型(内部直列接続タイプ)電池のいずれにも適用し得るものである。
リチウムイオン二次電池内の電解質層の種類で区別した場合には、電解質層に非水系の電解液等の溶液電解質を用いた溶液電解質型電池、電解質層に高分子電解質を用いたポリマー電池など従来公知のいずれの電解質層のタイプにも適用し得るものである。該ポリマー電池は、更に高分子ゲル電解質(単にゲル電解質ともいう)を用いたゲル電解質型電池、高分子固体電解質(単にポリマー電解質ともいう)を用いた固体高分子(全固体)型電池に分けられる。
したがって、以下の説明では、本実施形態のリチウムイオン二次電池用の負極を用いてなる非双極型(内部並列接続タイプ)リチウムイオン二次電池につき図面を用いてごく簡単に説明する。但し、本実施形態のリチウムイオン二次電池の技術的範囲が、これらに制限されるべきものではない。
<電池の全体構造>
図1は、本発明の電気デバイスの代表的な一実施形態である、扁平型(積層型)のリチウムイオン二次電池(以下、単に「積層型電池」ともいう)の全体構造を模式的に表した断面概略図である。
図1に示すように、本実施形態の積層型電池10は、実際に充放電反応が進行する略矩形の発電要素21が、外装体であるラミネートシート29の内部に封止された構造を有する。ここで、発電要素21は、正極集電体11の両面に正極活物質層13が配置された正極と、電解質層17と、負極集電体12の両面に負極活物質層15が配置された負極とを積層した構成を有している。具体的には、1つの正極活物質層13とこれに隣接する負極活物質層15とが、電解質層17を介して対向するようにして、負極、電解質層および正極がこの順に積層されている。
これにより、隣接する正極、電解質層、および負極は、1つの単電池層19を構成する。したがって、図1に示す積層型電池10は、単電池層19が複数積層されることで、電気的に並列接続されてなる構成を有するともいえる。なお、発電要素21の両最外層に位置する最外層の正極集電体には、いずれも片面のみに正極活物質層13が配置されているが、両面に活物質層が設けられてもよい。すなわち、片面にのみ活物質層を設けた最外層専用の集電体とするのではなく、両面に活物質層がある集電体をそのまま最外層の集電体として用いてもよい。また、図1とは正極および負極の配置を逆にすることで、発電要素21の両最外層に最外層の負極集電体が位置するようにし、該最外層の負極集電体の片面または両面に負極活物質層が配置されているようにしてもよい。
正極集電体11および負極集電体12は、各電極(正極および負極)と導通される正極集電板25および負極集電板27がそれぞれ取り付けられ、ラミネートシート29の端部に挟まれるようにしてラミネートシート29の外部に導出される構造を有している。正極集電板25および負極集電板27は、それぞれ必要に応じて正極リードおよび負極リード(図示せず)を介して、各電極の正極集電体11および負極集電体12に超音波溶接や抵抗溶接等により取り付けられていてもよい。
上記で説明したリチウムイオン二次電池は、負極活物質として、3元系のSi−Al−M系の合金を含み、更に負極活物質層の伸び(δ)が1.29<δ<1.70%の範囲である負極に特徴を有する。以下、当該負極を含めた電池の主要な構成部材について説明する。
<活物質層>
活物質層13または15は活物質を含み、必要に応じてその他の添加剤をさらに含む。
[正極活物質層]
正極活物質層13は、正極活物質を含む。
(正極活物質)
正極活物質としては、例えば、リチウム−遷移金属複合酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、リチウム−遷移金属硫酸化合物、固溶体系、3元系、NiMn系、NiCo系、スピネルMn系などが挙げられる。
リチウム−遷移金属複合酸化物としては、例えば、LiMn、LiCoO、LiNiO、Li(Ni、Mn、Co)O、Li(Li、Ni、Mn、Co)O、LiFePO及びこれらの遷移金属の一部が他の元素により置換されたもの等が挙げられる。
固溶体系としては、xLiMO・(1−x)LiNO(0<x<1、Mは平均酸化状態が3+、Nは平均酸化状態が4+である1種類以上の遷移金属)、LiRO−LiMn(R=Ni、Mn、Co、Fe等の遷移金属元素)等が挙げられる。
3元系としては、ニッケル・コバルト・マンガン系(複合)正極材等が挙げられる。
NiMn系としては、LiNi0.5Mn1.5等が挙げられる。
NiCo系としては、Li(NiCo)O等が挙げられる。
スピネルMn系としてはLiMn等が挙げられる。
場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。好ましくは、容量、出力特性の観点から、リチウム−遷移金属複合酸化物が、正極活物質として用いられる。なお、上記以外の正極活物質が用いられてもよいことは勿論である。活物質それぞれの固有の効果を発現する上で最適な粒子径が異なる場合には、それぞれの固有の効果を発現する上で最適な粒子径同士をブレンドして用いればよく、全ての活物質の粒子径を必ずしも均一化させる必要はない。
正極活物質層13に含まれる正極活物質の平均粒子径は特に制限されないが、高出力化の観点からは、好ましくは1〜30μmであり、より好ましくは5〜20μmである。なお、本明細書において、「粒子径」とは、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用いて観察される活物質粒子(観察面)の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離を意味する。また、本明細書において、「平均粒子径」の値は、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。他の構成成分の粒子径や平均粒子径も同様に定義することができる。
(正極用バインダ)
正極活物質層は、バインダを含む。正極活物質層に用いられるバインダとしては、特に限定されないが、例えば、以下の材料が挙げられる。ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物などの熱可塑性高分子、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴム、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアミドイミドであることがより好ましい。これらの好適なバインダは、耐熱性に優れ、さらに電位窓が非常に広く正極電位、負極電位双方に安定であり正極活物質層に使用が可能となる。これらのバインダは、1種単独で用いてもよいし、2種併用してもよい。
正極活物質層中に含まれるバインダの含有量は、正極活物質を結着することができる量であれば特に限定されるものではないが、好ましくは正極活物質層に対して、0.5〜15質量%であり、より好ましくは1〜10質量%である。
正極活物質層に含まれうるその他の添加剤としては、例えば、導電助剤、電解質塩(リチウム塩)、イオン伝導性ポリマー等が挙げられる。
(正極用導電助剤)
正極活物質層は、導電助剤を含む。ここでいう正極用導電助剤とは、正極活物質層の導電性を向上させるために配合される添加物をいう。この導電助剤としては、短鎖状カーボンブラック(短鎖状アセチレンブラック等)、長鎖状カーボンブラック(長鎖状アセチレンブラック)ケッチェンブラック(ファーネスブラック)、チャネルブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)等のカーボン粉末;気相法炭素繊維又は液相法炭素繊維(カーボンナノチューブ(CNT)、黒鉛ファイバー等)、カーボンナノファイバなどの炭素繊維(カーボンファイバ);バルカン、ブラックパール、カーボンナノホーン、カーボンナノバルーン、ハードカーボン、フラーレン、膨張黒鉛などの炭素材料が挙げられるが、これらに限定されないことはいうまでもない。尚、上記炭素繊維はCNTや炭素ファイバー(黒鉛状、ハードカーボン状等(合成時の燃焼温度によって変化))であるが、これらは液相法でも気相法でも合成可能である。正極活物質層が導電助剤を含むことで、正極活物質層の内部における3次元の電子(導電性)ネットワークが効果的に形成され、電池の出力特性の向上に寄与しうる。
正極活物質層へ混入されてなる導電助剤の含有量は、正極活物質層の総量に対して、1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上の範囲である。また、正極活物質層へ混入されてなる導電助剤の含有量は、正極活物質層の総量に対して、15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下の範囲である。活物質自体の電子導電性は低く導電助剤の量によって電極抵抗を低減できる正極活物質層での導電助剤の配合比(含有量)を上記範囲内に規定することで以下の効果が発現される。即ち、電極反応を阻害することなく、電子導電性を十分に担保することができ、電極密度の低下によるエネルギー密度の低下を抑制でき、ひいては電極密度の向上によるエネルギー密度の向上を図ることができる。
また、上記導電助剤とバインダの機能を併せ持つ導電性結着剤をこれら導電助剤とバインダに代えて用いてもよいし、あるいはこれら導電助剤とバインダの一方ないし双方と併用してもよい。導電性結着剤としては、既に市販のTAB−2(宝泉株式会社製)を用いることができる。
(正極活物質層の製法)
正極(正極活物質層)は、通常のスラリーを塗布(コーティング)する方法のほか、混練法、スパッタ法、蒸着法、CVD法、PVD法、イオンプレーティング法および溶射法のいずれかの方法によっても形成することができる。
[負極活物質層]
負極活物質層15は、負極活物質として3元系のSi−Al−M系の合金を含み、さらに負極活物質層の伸び(δ)が1.29<δ<1.70%の範囲であることを特徴とする。本実施形態の負極活物質層を適用することで、高容量・高サイクル耐久性を有する良好なリチウムイオン二次電池用負極となる。また、本実施形態の負極活物質層を有する負極を用いることで、高容量でサイクル耐久性、特に放電容量向上率に優れる良好な電池特性を有するリチウムイオン二次電池となる。
(負極活物質)
本実施形態において、負極活物質として用いられる3元系のSi−Al−M系の合金は、下記化学式(1)で表される。
上記式(1)において、Mは、C、Nb、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの金属である。また、Aは、不可避不純物である。さらに、x、y、z、およびaは、質量%の値を表し、この際、0<x<100、0<y<100、0<z<100、および0≦a<0.5であり、x+y+z+a=100である。また、本明細書において、前記「不可避不純物」とは、Si合金において、原料中に存在したり、製造工程において不可避的に混入するものを意味する。当該不可避不純物は、本来は不要なものであるが、微量であり、Si合金の特性に影響を及ぼさないため、許容されている不純物である。
本実施形態では、負極活物質として、第1添加元素であるAlと、第2添加元素であるM(C、Nb、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの金属)を選択したことによって、Li合金化の際に、アモルファス−結晶の相転移を抑制してサイクル寿命を向上させることができる。また、これによって、従来の負極活物質、例えば炭素系負極活物質よりも高容量のものとなる。
ここでLi合金化の際、アモルファス−結晶の相転移を抑制するのは、Si材料ではSiとLiが合金化する際、アモルファス状態から結晶状態へ転移し大きな体積変化(約4倍)を起こすため、粒子自体が壊れてしまい活物質としての機能が失われるためである。そのためアモルファス−結晶の相転移を抑制することで、粒子自体の崩壊を抑制し活物質としての機能(高容量)を保持することができ、サイクル寿命も向上させることができるものである。かかる第1及び第2添加元素を選定することにより、高容量で高サイクル耐久性を有するSi合金負極活物質を提供できる。
上述のように、Mは、C、Nb、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの金属である。よって、以下、SiAl、およびSiAlNbのSi合金について、それぞれ説明する。
(SiAlで表される合金)
上記SiAlは、上述のように、第1添加元素であるAlと、第2添加元素であるCを選択したことによって、Li合金化の際に、アモルファス−結晶の相転移を抑制してサイクル寿命を向上させることができる。また、これによって、従来の負極活物質、例えば炭素系負極活物質よりも高容量のものとなる。
上記合金の組成において、前記x、y、およびzが、下記数式(1):
を満たすことが好ましい。
具体的にはSi−Al−C合金の組成比が図5の太い実線で囲われた範囲内(三角形の内側)の場合には、既存のカーボン系負極活物質では実現不可能な格段に高い高容量化を実現できる。同様に既存のSn系合金負極活物質と比較してもより初期容量が高く(初期容量1113mAh/g以上)と高容量化でき、かつ高い初期充放電効率(94%以上)を実現できる。更に高容量化とトレードオフの関係にあるサイクル耐久性についても、高容量であるがサイクル耐久性の悪いSn系負極活物質や特許文献1に記載の多元系合金負極活物質と比較した場合には格段に優れたサイクル耐久性を実現できる優れたSi合金負極活物質を提供できる。
一実施形態において、前記x、y、およびzが、下記数式(2):
を満たすことがさらに好ましい。このように、第1添加元素であるAlと第2添加元素のC、更に高容量元素Siの組成比が上記に規定する適切な範囲である場合に、より良好な特性を有するSi合金負極活物質を提供できる。具体的にはSi−Al−C合金の組成比が図6の太い実線で囲われた範囲内(図6の六角形の内側)の場合にも、既存のカーボン系負極活物質では実現不可能な格段に高い高容量化を実現できる。同様に既存のSn系合金負極活物質と比較してもより初期容量が高く(初期容量1113mAh/g以上)と高容量化でき、かつ高い初期充放電効率(94%以上)を実現できる。特に、この場合は、参考例Aのサンプル1〜18で具体的に初期容量が高く高容量化でき、かつ高い初期充放電効率を実現できた組成範囲を選択した(=図6の太い実線で囲われた六角形とした)。更に高容量化とトレードオフの関係にあるサイクル耐久性についても、高容量であるがサイクル耐久性の悪いSn系負極活物質や特許文献1に記載の多元系合金負極活物質と比較した場合には優れたサイクル耐久性を実現できる優れたSi系合金負極を提供できる。
一実施形態において、前記x、y、およびzが、下記数式(3):
を満たすことがさらにより好ましい。このように、第1添加元素であるAlと第2添加元素のC、更に高容量元素Siの組成比が上記に規定する適切な範囲である場合に、より良好な特性を有するSi合金負極活物質を提供できる。具体的にはSi−Al−C合金の組成比が図7の太い実線で囲われた範囲内(図7の六角形の内側)の場合にも、既存のカーボン系負極活物質では実現不可能な格段に高い高容量化を実現できる。同様に既存のSn系合金負極活物質と比較してもより初期容量が高く(初期容量1133mAh/g以上)と高容量化でき、かつ高い初期充放電効率(94%以上)を実現できる。更に高容量化とトレードオフの関係にあるサイクル耐久性についても、高容量であるがサイクル耐久性の悪いSn系負極活物質や特許文献1に記載の多元系合金負極活物質と比較した場合には格段に優れたサイクル耐久性を実現できる。具体的には、50サイクル目での高い放電容量維持率64%以上を実現できる。特に、この場合には、参考例Aのサンプル1〜18のうち具体的に初期容量が高く高容量化でき、初充放電効率が高く、さらに高いサイクル耐久性をバランスよく実現できた組成範囲のみ選択した(=図7の太い実線で囲われた六角形とした)ものである。これにより、高性能なSi合金負極活物質を提供できる(表1及び図3、4、7参照のこと)。
一実施形態において、前記x、y、およびzが、下記数式(4):
を満たすことが特に好ましい。本実施形態では、第1添加元素であるAlと第2添加元素のC、更に高容量元素Siの組成比が上記に規定する適切な範囲である場合に、特に良好な特性を有するSi合金負極活物質を提供できる。具体的にはSi−Al−C合金の組成比が図8の太い実線で囲われた範囲内(小さい六角形の内側)の場合にも、既存のカーボン系負極活物質では実現不可能な格段に高い高容量化を実現できる。同様に既存のSn系合金負極活物質と比較してもより初期容量が高く(初期容量1133mAh/g以上)と高容量化でき、かつ高い初期充放電効率(94%以上)を実現できる。更に高容量化とトレードオフの関係にあるサイクル耐久性についても、高容量であるがサイクル耐久性の悪いSn系負極活物質や特許文献1に記載の多元系合金負極活物質と比較した場合には格段に優れたサイクル耐久性を実現できる。具体的には、50サイクル目での高い放電容量維持率74%以上を実現できる。即ち、この場合には、参考例Aのサンプル1〜18のうち初期容量が高く高容量化でき、初充放電効率が高く、より一層高いサイクル耐久性を非常にバランスよく実現できた組成範囲を選択した(図8の太い実線で囲われた小さな六角形とした)ものである。これにより、より高性能なSi合金負極活物質を提供できる(表1及び図3、4、8参照のこと)。
一実施形態において、前記x、y、およびzが、下記数式(5):
を満たすことが中でも特に好ましい。本実施形態では、第1添加元素であるAlと第2添加元素のC、更に高容量元素Siの組成比が上記に規定する適切な範囲である場合に、最も良好な特性を有するSi合金負極活物質を提供できる。具体的にはSi−Al−C合金の組成比が図9の太い実線で囲われた範囲内(最も小さい六角形の内側)の場合には、既存のカーボン系負極活物質では実現不可能な格段に高い高容量化を実現できる。同様に既存のSn系合金負極活物質と比較してもより初期容量が高く(初期容量1192mAh/g以上)と高容量化でき、かつ高い初期充放電効率(97%以上)を実現できる。更に高容量化とトレードオフの関係にあるサイクル耐久性についても、高容量であるがサイクル耐久性の悪いSn系負極活物質や特許文献1に記載の多元系合金負極活物質と比較した場合には格段に優れたサイクル耐久性を実現できる。具体的には、50サイクル目でのより一層高い放電容量維持率81%以上を実現できる。即ち、この場合には、参考例Aのサンプル1〜18のうちより初期容量が高く高容量化でき、初充放電効率が高く、より一層高いサイクル耐久性を最もバランスよく実現できた組成範囲(ベストモード)のみを選択した(=図9の太い実線で囲われた最も小さな六角形とした)ものである。これにより、極めて高性能なSi合金負極活物質を提供できる(表1及び図3、4、9参照のこと)。一方、組成式SiAl(A)で表される3元系合金でのSiへの添加金属元素のいずれか一方を含まない2元系合金(y=0のSi−C合金やz=0のSi−Al合金)やSi単体では、高い初期充放電効率と、高いサイクル特性の実現が困難である。そのため、初期充放電効率が十分ではなく、サイクル特性が低下(劣化)するため、上記したような、より初期容量が高く高容量化でき、初期充放電効率がより高く、より一層高いサイクル耐久性を最もバランスよく実現することはできていない。
詳しくは、負極活物質は、製造された状態(未充電状態)において、上記した適切な組成比を有するSiAl(A)で表される3元系のアモルファス合金である。そして、本実施形態の負極活物質を用いたリチウムイオン二次電池では、充放電により、SiとLiが合金化する際にも、アモルファス状態から結晶状態へ転移し大きな体積変化を起こすのを抑制し得る顕著な特性を有するものである。また特許文献1のSiAlで表される他の3元系や4元系の合金でも、やはり高いサイクル特性、特に50サイクル目の高放電容量維持率の維持が困難であるため、サイクル特性が急激に低下(劣化)するという大きな問題が生じる。即ち、特許文献1の3元系や4元系の合金では、初期容量(1サイクル目の放電容量)は、既存のカーボン系負極活物質(理論容量372mAh/g)に比して格段に高容量であり、Sn系負極活物質(理論容量600〜700mAh/g程度)と比較しても高容量となっている。しかしながら、サイクル特性が、600〜700mAh/g程度と高容量化し得るSn系負極活物質の50サイクル目の放電容量維持率(60%程度)と比較した場合に非常に悪く十分なものとはいえなかった。即ち、トレードオフの関係にある高容量化とサイクル耐久性とのバランスが悪く実用化し得ないものであった。具体的には、特許文献1の実施例1のSi62Al18Fe16Zrの4元系合金では、図2から初期容量は1150mAh/g程度と高容量であるが、僅か5〜6サイクル後の循環容量で既に1090mAh/g程度しかないことが図示されている。即ち、特許文献1の実施例1では、5〜6サイクル目の放電容量維持率が既に95%程度まで大幅に低下しており、1サイクルごとに放電容量維持率が概ね1%ずつ低下していることが図示されている。このことから50サイクル目では、放電容量維持率がほぼ50%低下する(=放電容量維持率がほぼ50%まで低下してしまう)ことが推測される。同様に実施例2のSi55Al29.3Fe15.7の3元系合金では、図4から初期容量が1430mAh/g程度と高容量であるが、僅か5〜6サイクル後の循環容量が既に1300mAh/g程度にまで大きく低下していることが図示されている。即ち、特許文献1の実施例2では、5〜6サイクル目の放電容量維持率が既に90%程度まで急激に低下しており、1サイクルごとに放電容量維持率が概ね2%ずつ低下していることが図示されている。このことから50サイクル目では、放電容量維持率がほぼ100%低下する(=放電容量維持率がほぼ0%まで低下してしまう)ことが推測される。実施例3のSi60Al20Fe12Tiの4元系合金及び実施例4のSi62Al16Fe14Tiの4元系合金では、初期容量の記載はないが、表2から僅か5〜6サイクル後の循環容量で既に700〜1200mAh/gの低い値になっていることが示されている。特許文献1の実施例3の5〜6サイクル目の放電容量維持率は実施例1〜2と同程度以下であり、50サイクル目の放電容量維持率も概ね50%〜100%低下する(=放電容量維持率がほぼ50%〜0%まで低下してしまう)ことが推測される。なお、特許文献1の合金組成は原子比で記載されているため、本実施形態と同様に、質量比に換算すると、実施例ではFeが20質量%程度入っており、第一添加元素となっている合金組成が開示されていると言える。
そのため、これら2元系合金や特許文献1記載の3元系や4元系合金を用いた電池では、車両用途のようにサイクル耐久性が強く求められる分野では実用化レベルを満足するサイクル特性が十分に得られない等、その信頼性・安全性に課題があり、実用化が困難である。一方、本実施形態のSiAl(A)で表される3元系合金を用いた負極活物質では、高いサイクル特性として50サイクル目の高い放電容量維持率を有する(図7〜9参照)。さらに初期容量(1サイクル目の放電容量)も既存のカーボン系負極活物質より格段に高く、また既存のSn系負極活物質と比べても同等以上と高く(表1および図3参照)、さらに初期充放電効率も高く、バランスよい特性を示す負極活物質を提供できる。即ち、既存のカーボン系やSn系負極活物質や特許文献1記載の3元系や4元系合金ではトレードオフの関係にあり実現できていなかった高容量化とサイクル耐久性に加え、さらに初期充放電効率も高次元でバランスよく成立し得る合金を用いた負極活物質を見出したものである。詳しくは、非常に多種多様な組合せが存在する1又は2以上の添加元素種よりなる群から、Al、Cの2種を選択し、さらにこれら添加元素種と高容量元素Siとを特定の組成比(組成範囲)を選択することで、所期の目的が達成し得ることを見出したものである。その結果、より初期容量が高く高容量でき、初期充放電効率が高く、より一層高いサイクル耐久性を最もバランスよく実現してなるリチウムイオン二次電池を提供できる点で優れている。
以下、負極活物質SiAlについてより詳しく説明する。
(1)合金の合計の質量%値について
上記組成式SiAlを有する合金の合計の質量%値として、式中(1)のx+y+z+a=100である(ここで、x、y、z、及びaは質量%値を表す)。即ち、Si−Al−C系の3元系の合金からなるものでなければならない。言い換えれば、2元系の合金、他の組成の3元系の合金、あるいは別の金属を添加した4元系以上の合金は含まれないものと言える。但し、上述の不可避不純物Aについては含まれていてもよい。なお、本実施形態の負極活物質層15には、少なくとも1種の組成式SiAlを有する合金が含まれていればよく、2種以上の組成の異なる当該合金を併用して用いてもよい。
(2)合金中のSiの質量%値について
上記組成式SiAlを有する合金中のSiの質量%値である、xの範囲は、好ましくは36≦x<100であり、より好ましくは36≦x≦80であり、さらに好ましくは41≦x≦71であり、特に好ましくは43≦x≦61である。これは、合金中の高容量元素Siの質量パーセント値(x値)の数値が高いほど高容量化でき、36≦x<100の範囲であれば、既存のカーボン系負極活物質では実現不可能な格段に高い高容量を実現できるためである。同様に、Sn系負極活物質と比較してもより高い高容量の合金を得ることができるためである(図5参照)。さらに36≦x<100の範囲であれば、50サイクル目の放電容量維持率(サイクル耐久性)にも優れるためである。
合金中の高容量元素Siの質量%値(x値)として好ましくは、高いサイクル特性(50サイクル目の高い放電容量維持率)を維持しつつ、初期容量および充放電効率も高い特性をバランスよく示す負極活物質を提供する観点からは、36≦x≦80の範囲が望ましい。加えて第1添加元素であるAlと第2添加元素のCの組成比が適切である場合に、良好な特性(既存の合金系負極活物質ではトレードオフの関係にあった高容量化とサイクル耐久性、更に充放電効率にも優れた特性)を有するSi合金負極活物質を実現できる。即ち、合金中の高容量元素Siの質量%値(x値)の数値が高いほど高容量化できる反面、サイクル耐久性が低下する傾向にあるが、36≦x≦80の範囲内であれば、高容量化と共に高い充放電効率や高い放電容量維持率を実現できる点で好ましい。
合金中の高容量元素Siの質量%値(x値)としてより好ましくは、より高いサイクル特性(より高い放電容量維持率)を維持しつつ、初期容量及び充放電効率も高い特性をバランスよく示す負極活物質を提供する観点からは、41≦x≦71の範囲がより望ましい。加えて後述する第1添加元素であるAlと第2添加元素のCの比がより適切である場合に、より良好な特性を有するSi合金負極活物質を提供することができる(表1及び図7、8の太い実線で囲われた内部参照)。即ち、より好ましい範囲の41≦x≦71であれば、高容量化(1113mAh/g以上、特に1133mA/g以上)であると共に、高い充放電効率(94%以上)で、50サイクル目のより高い放電容量維持率(64%以上、特に74%以上)を実現できる点でより優れている(表1、図7および図8の太い実線で囲われた内部参照)。
合金中の高容量元素Siの質量%値(x値)として特に好ましくは、特に高いサイクル特性(特に高い放電容量維持率)を維持しつつ、初期容量および充放電効率も高い特性をバランスよく示す負極活物質を提供する観点からは、43≦x≦61の範囲が特に望ましい。加えて後述する第1添加元素であるAlと第2添加元素のCの比がより適切である場合に、最も良好な特性を有する高性能なSi合金負極活物質を提供することができる(表1及び図9の太い実線で囲われた内部参照)。即ち、特に好ましい範囲の43≦x≦61であれば、高容量(1192mAh/g以上)であると共に、高い充放電効率(97%以上)で、50サイクル目の特に高い放電容量維持率(81%以上)を維持できる点で特に優れている(表1及び図9の太い実線で囲われた内部参照)。一方、組成式SiAl(A)で表される3元系の合金に比して高容量元素Siへの添加金属元素(Al、C)のいずれか一方を含まない2元系の合金(y=0のSi−C合金やz=0のSi−Al系合金)では、高い初期充放電効率や高いサイクル特性を実現することができない。特に、高い初期充放電効率や50サイクル目の高い放電容量維持率を十分に維持することができず、初期充放電効率が十分ではなく、サイクル特性が低下(劣化)する。そのため、上記したような高容量であると共に、高い充放電効率で、50サイクル目の特に高い放電容量維持率を最もバランスよく実現することはできていない。また、x=100の場合(Siへの添加金属元素Al、Cを全く含まないpure Siの場合)、容量とサイクル耐久性はトレードオフの関係であり、高容量を示しつつ高サイクル耐久性を向上させることが極めて困難である。即ち、高容量元素であるSiのみであるため、最も高容量である反面、充放電に伴いSiの膨脹収縮現象により、負極活物質としての劣化が顕著であり、最も悪く格段に低い放電容量維持率しか得られていない。そのため、上記したような高容量であると共に、高い充放電効率で、50サイクル目の特に高い放電容量維持率を最もバランスよく実現することはできていない。
ここで、x≧41、特にx≧43の場合には、3200mAh/gもの初期容量を有するSi材料と第1添加元素であるAlと第2添加元素であるCの含有比率(バランス)が最適な範囲(図7〜図9の太い実線で囲われた範囲参照)となり得る。そのため、最も良好な特性を発現することができ、車両用途レベルでの高容量化を長期間にわたって安定且つ安全に維持することができる点で優れている。一方、x≦71、特にx≦61の場合には、3200mAh/gもの初期容量を有する高容量Si材料と第1添加元素であるAlと第2添加元素のCの含有比率(バランス)が最適な範囲(図7〜図9の太い実線で囲われた範囲参照)となり得る。そのため、SiとLiとの合金化の際、アモルファス−結晶の相転移を格段に抑制し、サイクル寿命および充放電効率を大幅に向上させることができる。即ち、50サイクル目の放電容量維持率64%以上、特に74%以上、中でも81%以上を実現できる。また、初期充放電効率94%以上、特に97%以上を実現できる。但し、xが上記の最適な範囲(41≦x≦71、特に43≦x≦61)を外れる場合であっても、上記した本実施形態の作用効果を有効に発現することができる範囲であれば、本発明の技術範囲(権利範囲)に含まれることはいうまでもない。
また、上記した特許文献1の実施例では、僅か5〜6サイクル程度で既にかなりの容量低下によるサイクル特性の劣化現象を示すことが開示されている。即ち、特許文献1の実施例では5〜6サイクル目の放電容量維持率で既に90〜95%にまで低下しており、50サイクル目の放電容量維持率はほぼ50〜0%にまで低下することになる。一方、本実施形態ではSiへの第1添加元素Alと第2添加元素Cという相互補完関係にある組み合わせを、いわば幾多の試行錯誤、加えて多種多様な添加(金属ないし非金属)元素の組み合わせによる過度の実験を通じて選定し得たものである。そして、その組み合わせにおいて、更に高容量Si材料の含有量を上記に示す最適な範囲とすることで、高容量化と共に、50サイクル目の放電容量維持率や初期充放電効率の減少を大幅に低減できる点でも優れている。即ち、SiとLiが合金化する際、第1添加元素Alと、このAlと相互補完関係にある第2添加元素Cとの最適範囲による格別顕著な相乗作用(効果)により、アモルファス状態から結晶状態へ転移を抑制し、大きな体積変化を防止できる。さらに、高容量を示しつつ電極の高いサイクル耐久性を向上させることができる点でも優れている。
(3)合金中のAlの質量%値について
上記組成式SiAlを有する合金中のAlの質量%値であるyの範囲は、好ましくは0<y<64であり、より好ましくは10≦y≦56であり、さらに好ましくは15≦y≦56であり、特に好ましくは20≦y≦54である。これは、合金中のCの濃度が増加しても電極としての容量が減少しない第1添加元素Alの質量パーセント値(y値)の数値が0<y<64の範囲であれば、Cの持つ特性とAlとの相乗特性により、高容量Si材料のアモルファス−結晶の相転移を効果的に抑制することができる。その結果、初期容量が高く高容量化でき、初期充放電効率が高く、サイクル寿命(サイクル耐久性)に優れた効果を発現することができる。具体的には、高い初期容量1113mAh/g以上、特に1133mAh/g以上、中でも1192mAh/g以上で、高い初期充放電効率94%以上、特に97%以上の優れた効果を発現することができる。更に50サイクル目での高い放電容量維持率64%以上、特に74%以上、中でも81%以上の優れた効果も発現することができる(表1、図7〜9参照)。また、高容量Si材料の含有量x値の数値を一定以上(36≦x<100)に保持し得ることができ、既存のカーボン系負極活物質では実現不可能な格段に高い高容量化を実現できる。同様に既存のSn系合金負極活物質と比較してもより高い高容量の合金を得ることができる。
合金中の第1添加元素Alの質量%値(y値)として好ましくは、高いサイクル特性と共に、初期容量および初期充放電効率も高い特性をバランスよく示す負極活物質を提供する観点からは、10≦y≦56の範囲が望ましい。Li合金化の際、アモルファス−結晶の相転移を抑制しサイクル寿命を向上させる第2添加元素Cと、その第2添加元素濃度が増加しても負極活物質(負極)としての容量が減少しない第1添加元素Alの選定が本実施形態においては極めて重要かつ有用である。かかる第1及び第2添加元素により、特許文献1等の従来公知の3元系合金や4元系以上の合金、更にSi−C系合金やSi−Al系合金等の2元系合金との顕著な作用効果の差異が見られることがわかったものである。かかる第1添加元素Al(更にはAlと相互補完関係にある第2添加元素C)の含有比率が適切である場合に、良好な特性を有するSi合金負極活物質となる(表1及び図7の太い実線で囲まれた組成範囲参照)。即ち、合金中の第1添加元素Alの質量%値(y値)の数値が、好ましい範囲の10≦y≦56であれば、第2添加元素Cとの相乗効果(相互補完特性)により、合金化する際、アモルファス−結晶の相転移を抑制しサイクル寿命を向上させる効果を有効に発現できる。その結果、初期容量が高く高容量化でき、初期充放電効率が高く、サイクル寿命(サイクル耐久性)に優れた効果を発現することができる。具体的には、高い初期容量1113mAh/g以上、特に1133mAh/g以上で、高い初期充放電効率94%以上の優れた効果を発現することができる。更に50サイクル目での高い放電容量維持率64%以上の優れた効果も発現することができる(表1、図7参照)。この場合には、参考例Aのサンプル1〜18のなかでも、高容量化でき、高い初期充放電効率およびサイクル寿命(サイクル耐久性)を実現できた組成範囲(特にAl含有量に関しては10≦y≦56)を選択した(図7の太い実線で囲われた六角形とした)ものである。上記組成範囲、特にAl含有量に関しては10≦y≦56を選択することで、第2添加元素Cとの相乗効果(相互補完特性)により、既存の高容量のSn系負極活物質や特許文献1に記載の多元系合金負極活物質と比較しても格段に優れたサイクル耐久性を実現できる。その結果、50サイクル目での放電容量維持率64%以上を実現したSi合金負極活物質を提供できる(表1および図7の太い実線で囲まれた組成範囲参照)。
合金中の第1添加元素Alの質量%値(y値)として特に好ましくは、より高いサイクル特性と共に、初期容量および初期充放電効率も高い特性をバランスよく示す負極活物質を提供する観点から15≦y≦56の範囲が望ましい。Li合金化の際、Cとの相乗効果(相互補完特性)によりアモルファス−結晶の相転移を抑制しサイクル寿命を向上させる効果を奏しうる第1添加元素Alの含有比率がより適切である場合に、さらに良好な特性を有するSi合金負極活物質を提供することができるためである。即ち、特に好ましい範囲の15≦y≦56であれば、Cとの相乗効果(相互補完特性)により合金化する際、アモルファス−結晶の相転移を抑制することができる。その結果、初期容量が高く高容量化でき、初期充放電効率が高く、サイクル寿命(サイクル耐久性)に優れた効果を発現することができる。具体的には、高い初期容量1133mAh/g以上で、高い初期充放電効率94%以上の優れた効果を発現することができる。更に50サイクル目での高い放電容量維持率74%以上の優れた効果も発現することができる(表1、図8参照)。特にこの場合には、参考例Aのサンプル1〜18のなかでも、より高容量化でき、高い初期充放電効率およびより優れたサイクル寿命(サイクル耐久性)を実現できた組成範囲(特にAl含有量に関しては15≦y≦56)を選択したものである。すなわち、図8の太い実線で囲われた小さな六角形の内部の組成範囲としたものである。上記組成範囲、特にAl含有量に関しては15≦y≦56を選択することで、Cとの相乗効果により高容量化と共に、既存の高容量のSn系負極活物質や特許文献1に記載の多元系合金負極活物質と比較しても格段に優れたサイクル耐久性を実現できる。その結果、50サイクル目での放電容量維持率64%以上を実現したバランスのよいSi合金負極活物質を提供できる。
合金中の第1添加元素Alの質量%値(y値)として中でも好ましくは、より高いサイクル特性と共に、初期容量及び初期充放電効率も高い特性を最もバランスよく示す負極活物質を提供する観点から20≦y≦54の範囲が望ましい。Li合金化の際、Cとの相乗効果(相互補完特性)によりアモルファス−結晶の相転移を抑制しサイクル寿命を向上させる作用効果を奏しうる第1添加元素Alの含有比率が最も適切である場合に、最も良好な特性を有するSi合金負極活物質を提供できるためである。即ち、特に好ましい範囲の20≦y≦54であれば、Cとの相乗効果(相互補完特性)により、合金化する際、アモルファス−結晶の相転移をより効果的に抑制することができる。その結果、初期容量が高く高容量化でき、初期充放電効率が高く、サイクル寿命(サイクル耐久性)に優れた効果を発現することができる。具体的には、高い初期容量1192mAh/g以上で、高い初期充放電効率97%以上の優れた効果を発現することができる。更に50サイクル目での高い放電容量維持率81%以上の優れた効果も発現することができる(表1、図9参照)。特にこの場合には、参考例Aのサンプル1〜18のなかでも、より高容量化でき、高い初期充放電効率およびより優れたサイクル寿命(サイクル耐久性)を実現できた組成範囲(特にAl含有量に関しては20≦y≦54)を選択したものである。すなわち、図9の太い実線で囲われた最も小さい六角形の内部の組成範囲としたものである。上記組成範囲、特にAl含有量に関しては20≦y≦54を選択することで、Cとの相乗効果により、高容量化と共に、既存の高容量のSn系負極活物質や特許文献1に記載の多元系合金負極活物質と比較しても格段に優れたサイクル耐久性および初期充放電効率を実現したバランスのよいSi合金負極活物質を提供できる。一方、組成式SiAl(A)で表される3元系の合金のSiへの添加金属元素(Al、C)のいずれか一方を含まない2元系の合金(特に、y=0のSi−C合金)では、高いサイクル特性や充放電効率を維持することができない。特に、50サイクル目の高い放電容量維持率や高い初期充放電効率を維持することができず、初期充放電効率が低下したり、サイクル特性が低下(劣化)する。そのため、上記したような優れたサイクル耐久性と共に、初期容量および充放電効率も高い特性を最もバランスよく実現したSi合金負極活物質を提供することはできていない。
ここで、y≧10、特にy≧15、中でもy≧20の場合には、3200mAh/gもの初期容量を有する高容量Si材料及び第1添加元素Alと、更なる第2添加元素Cとの含有比率(バランス)が最適な範囲(図7〜図9の太い実線で囲われた範囲参照)となり得る。そのため、Alの持つ特性である、アモルファス−結晶の相転移を抑制しうるC濃度が増加しても負極活物質(負極)としての容量の減少を効果的に抑制し、高容量化と共に、サイクル寿命(特に放電容量維持率)や充放電効率を格段に向上させることができる。その結果、負極活物質(負極)としても、最も良好な特性を発現することができ、車両用途レベルでの高容量化を長期間にわたって安定且つ安全に維持することができる点で優れている。一方、y≦56、特にy≦54の場合には、3200mAh/g程度のもの初期容量を有する高容量Si材料と第1添加元素であるAlと、第2添加元素のCとの含有比率(バランス)が最適な範囲(図7〜図9の太い実線で囲われた範囲参照)となり得る。そのため、SiとLiとの合金化の際、アモルファス−結晶の相転移を格段に抑制し、高容量化とともに、サイクル寿命(特に放電容量維持率)や充放電効率を大幅に向上させることができる。即ち、高い初期容量1133mAh/g以上、特に1192mAh/g以上を実現でき、高い初期充放電効率94%以上、特に97%以上も実現できる。更に50サイクル目での高い放電容量維持率64%以上、特に74%以上、中でも81%以上も実現することができる。但し、yが上記の最適な範囲(10≦y≦56、特に15≦y≦56、中でも20≦y≦54)を外れる場合であっても、上記した本実施形態の作用効果を有効に発現することができる範囲であれば、本発明の技術範囲(権利範囲)に含まれることはいうまでもない。
また、上記した特許文献1の実施例では、僅か5〜6サイクル程度で既にかなりの容量低下によるサイクル特性の劣化現象を示すことが開示されている。即ち、特許文献1の実施例では5〜6サイクル目の放電容量維持率で既に90〜95%にまで低下しており、50サイクル目の放電容量維持率はほぼ50〜0%にまで低下することになる。一方、本実施形態では高容量Si材料への第1添加元素のAlと第2添加元素のCという相互補完関係にある組合せを、いわば幾多の試行錯誤、加えて多種多様な添加(金属ないし非金属)元素の組み合わせによる過度の実験を通じて(一通りの組み合わせのみを)選定し得たものである。そして、その組み合わせにおいて、更にAlの含有量を上記に示す最適な範囲とすることで、高容量化とともに、50サイクル目の放電容量維持率および初期充放電効率の減少を大幅に低減できる点でも優れている。即ち、SiとLiが合金化する際、第1添加元素Al(更にはAlと相互補完関係にある第2添加元素C)の最適範囲による格別顕著な相乗作用(効果)により、アモルファス状態から結晶状態へ転移を抑制し、大きな体積変化を防止できる。さらに、高容量および高充放電効率を示しつつ電極の高いサイクル耐久性を向上させることができる点でも優れている。
(4)合金中のCの質量%値について
上記組成式SiAlを有する合金中のCの質量%値であるzの範囲は、好ましくは0<z<64であり、より好ましくは3≦z≦37であり、さらに好ましくは3≦z≦29である。これは、合金中の第2添加元素種Cの質量%値(z値)の数値が0<z<64の範囲であれば、Cの持つ特性、更にAlとの相乗特性により、高容量Si材料のアモルファス−結晶の相転移を効果的に抑制することができる。その結果、サイクル寿命(サイクル耐久性)、特に50サイクル目での高い放電容量維持率(64%以上、特に74%以上、中でも81%以上)に優れた効果を発現することができる(図7〜9参照)。また、初期充放電効率(94%以上、特に97%以上)に優れた効果を発現することができる(表1参照)。また、高容量Si材料の含有量x値の数値を一定以上(36≦x<100)に保持し得ることができ、既存のカーボン系負極活物質では実現不可能な高い高容量化を実現できる。同様に既存のSn系負極活物質と比較してもより高い高容量(初期容量1113mAh/g以上、特に1133mAh/g以上、中でも1192mAh/g以上)の合金を得ることができる(表1および図5〜8参照)。
合金中の第2添加元素Cの質量%値(z値)として好ましくは、高いサイクル特性(50サイクル目の高い放電容量維持率)を維持し、初期容量及び初期充放電効率も高い特性をバランスよく示す負極活物質を提供する観点からは、3≦z≦37の範囲が望ましい。Li合金化の際、アモルファス−結晶の相転移を抑制しサイクル寿命を向上させる作用効果を有するCの含有比率が適切である場合に、良好な特性を有するSi合金負極活物質を提供することができる(表1及び図6の太い実線で囲まれた組成範囲参照)。即ち、合金中の第2添加元素Cの質量%値(z値)の数値が、好ましい範囲の3≦z≦37であれば、合金化する際、アモルファス−結晶の相転移を抑制しサイクル寿命を向上させる作用効果を有効に発現させることができる点で好ましい。この場合には、参考例Aのサンプル1〜18で具体的に高容量化(1113mAh/g以上)、高い初期充放電効率(94%以上)を実現できた組成範囲(特にC含有量に関しては3≦z≦37)を選択した(図6の太い実線で囲われた六角形とした)ものである。上記組成範囲、特にC含有量に関しては3≦z≦37を選択することで、既存のSn系負極活物質や特許文献1に記載の多元系合金負極活物質と比較して高い初期充放電効率やサイクル耐久性を実現したSi合金負極活物質を提供できる。
合金中の第2添加元素Cの質量%値(z値)として特に好ましくは、より高いサイクル特性(50サイクル目での高い放電容量維持率)を維持しつつ、初期容量および初期充放電効率も高い特性を最もバランスよく示す負極活物質を提供する観点から3≦z≦29の範囲が望ましい。Li合金化の際、アモルファス−結晶の相転移を抑制しサイクル寿命を向上させる作用効果を有する第2添加元素Cの含有比率が最も適切である場合に、最も良好な特性を有するSi合金負極活物質を提供することができる(表1及び図7〜9参照)。即ち、特に好ましい範囲の3≦z≦29であれば、合金化する際、アモルファス−結晶の相転移を抑制し、初期容量及び初期充放電効率及びサイクル寿命を向上させる効果をより有効に発現させることができる。その結果、高い初期容量1133mAh/g以上、特に1192mAh/g以上を実現でき、高い初期充放電効率94%以上、特に97%以上も実現できる。更に50サイクル目での高い放電容量維持率64%以上、特に74%以上、中でも81%以上も実現することができる(表1及び図7〜9参照)。特にこの場合には、参考例Aのサンプル1〜18のなかでも、より一層の高容量化、高い初期充放電効率及び50サイクル目での高い放電容量維持率を実現できた組成範囲(特にC含有量に関しては3≦z≦29)を選択した(図7〜9の太い実線で囲われた六角形とした)ものである。上記組成範囲、特にC含有量に関しては3≦z≦29を選択することで、Sn系負極活物質や特許文献1に記載の多元系合金負極活物質と比較して優れたサイクル耐久性と共に、初期容量および充放電効率も高い特性を最もバランスよく実現したSi合金負極活物質を提供できる。一方、組成式SiAl(A)で表される3元系の合金に対してSiへの添加金属元素(Al、C)のいずれか一方を含まない2元系の合金(特に、z=0のSi−Al合金)では、高いサイクル特性や充放電効率を実現することができない。特に、50サイクル目の高い放電容量維持率や高い初期充放電効率を維持することができず、初期充放電効率が低下したり、サイクル特性が低下(劣化)する。そのため、上記したような優れたサイクル耐久性と共に、初期容量および充放電効率も高い特性を最もバランスよく実現したSi合金負極活物質を提供することはできていない。
ここで、z≧3(C含有量が3質量%以上)の場合には、3200mAh/gもの初期容量を有する高容量Si材料及び第1添加元素Alと、第2添加元素Cとの含有比率(バランス)が最適な範囲(図7〜図9の太い実線で囲われた範囲参照)となり得る。そのため、Cの持つ特性(更にはAlとの相乗特性)である、Si材料のアモルファス−結晶の相転移を効果的に抑制し、高容量化と共に、サイクル寿命(特に放電容量維持率)や充放電効率を格段に向上させることができる。その結果、負極活物質(負極)としても、より良好な特性を発現することができ、車両用途レベルでの高容量化を長期間にわたって安定且つ安全に維持することができる点で優れている。一方、z≦29(C含有量が29質量%以下)の場合には、3200mAh/g程度もの初期容量(理論容量)を有する高容量Si材料と第1添加元素であるAlと第2添加元素のCの含有比率(バランス)が最適な範囲(図7〜図9の太い実線で囲われた範囲参照)となり得る。そのため、SiとLiとの合金化の際、アモルファス−結晶の相転移を格段に抑制し、サイクル寿命を大幅に向上させることができる。すなわち、高い初期容量1133mAh/g以上、特に1192mAh/g以上を実現でき、高い初期充放電効率94%以上、特に97%以上も実現できる。更に50サイクル目での高い放電容量維持率64%以上、特に74%以上、中でも81%以上も実現することができる。但し、zが上記の最適な範囲(3≦z≦29)を外れる場合であっても、上記した本実施形態の作用効果を有効に発現することができる範囲であれば、本発明の技術範囲(権利範囲)に含まれることはいうまでもない。
また、上記した特許文献1の実施例では、僅か5〜6サイクル程度で既にかなりの容量低下によるサイクル特性の劣化現象を示すことが開示されている。即ち、特許文献1の実施例では5〜6サイクル目の放電容量維持率で既に90〜95%にまで低下しており、50サイクル目の放電容量維持率はほぼ50〜0%にまで低下することになる。一方、本実施形態では高容量Si材料への第1添加元素Alと第2添加元素Cという相互補完関係にある組み合わせを、いわば幾多の試行錯誤、加えて多種多様な添加(金属ないし非金属)元素種の組み合わせによる過度の実験を通じて(一通りの組み合わせのみを)選定し得たものである。そして、その組み合わせにおいて、更にCの含有量を上記に示す最適な範囲とするとで、50サイクル目の放電容量維持率の減少を大幅に低減できる点でも優れている。即ち、SiとLiが合金化する際、第1添加元素Al、更にはAlと相互補完関係にある第2添加元素Cの最適範囲による格別顕著な相乗作用(効果)により、アモルファス状態から結晶状態へ転移を抑制し、大きな体積変化を防止できる。さらに、高容量を示しつつ電極の高いサイクル耐久性及び初期充放電効率を向上させることができる点でも優れている(表1および図7〜図9参照)。
(5)合金中のAの質量%値について
上記組成式SiAlを有する合金中のAの質量%値であるaの範囲は、0≦a<0.5であり、より好ましくは0≦x<0.1である。Aは、上述のように、Si合金において、原料中に存在したり、製造工程において不可避的に混入するものであり、本来は不要なものであるが、微量であり、Si合金の特性に影響を及ぼさないため、合金中に含有されることが許容される。
(SiAlNbで表される合金)
上記SiAlは、上述のように、第1添加元素であるAlと、第2添加元素であるNbを選択したことによって、Li合金化の際に、アモルファス−結晶の相転移を抑制してサイクル寿命を向上させることができる。また、これによって、従来の負極活物質、例えば炭素系負極活物質よりも高容量のものとなる。
上記合金の組成において、27<x<100であり、0<y<73であり、0<z<58であることが好ましい。なお、この数値範囲は、図11の符号Aで示す範囲に相当する。このような負極活物質は、充放電容量が約300mAh/gである炭素系の負極活物質に比べ、高い放電容量を維持しつつ、優れたサイクル特性を発揮しうるため、リチウムイオン二次電池用負極に好適に用いられる。その結果、車両の駆動電源用や補助電源用のリチウムイオン二次電池として好適に利用できる。このほかにも、携帯電話などの携帯機器向けのリチウムイオン二次電池にも十分に適用可能である。
より詳細に説明すると、上記負極活物質がリチウムイオン二次電池用の負極に用いられる場合上記合金は、電池の充放電の際にリチウムイオンを吸収し、放電の際にリチウムイオンを放出する。そして、上記負極活物質はSi合金負極活物質であるが、その中に、充電によってリチウムと合金化する際に、アモルファス−結晶の相転移を抑制してサイクル寿命を向上させる第1添加元素であるAlを含有し、さらに、この第1添加元素の濃度が増加しても電極としての容量を減少し難くする第2添加元素としてのNbを含有する。これによって、高容量で、高いサイクル耐久性を発揮することができ、さらに初期において高い充放電効率を発揮することができる。
このとき、Si−Al−Nb系合金から成る上記負極活物質において、前記xが27超であれば、十分な初期容量が得られうる。また、前記xが100未満であれば、従来の純ケイ素よりも改善されたサイクル特性が得られうる。また、前記yが0を超える場合は、純ケイ素よりも改善されたサイクル特性が得られ、前記yが73未満であれば、ケイ素の含有量が相対的に高くなるため、初期容量が既存の負極活物質と比べて改善される傾向がある。前記zが0を超える場合は、純ケイ素よりも改善されたサイクル特性が得られ、前記zが58未満であれば、ケイ素の含有量が相対的に高くなるため、初期容量が既存の負極活物質と比べて改善される傾向がある。
そして、より優れたサイクル特性を発揮しうるという観点から、47<x<95であり、2<y<48であり、1<z<23であることが好ましい。なお、この数値範囲は、図12の符号Bで示す範囲に相当する。
また、さらに優れたサイクル特性を発揮しうるという観点から、61<x<84であり、2<y<25であり、2<z<23であることが好ましい。なお、この数値範囲は、図13の符号Cで示す範囲に相当する。
さらに、47<x<56であり、33<y<48であり、1<z<16である場合も、さらに優れたサイクル特性を発揮しうるという観点から好ましい。なお、この数値範囲は、図13の符号Dで示す範囲に相当する。
なお、Aは上述のように、原料や製法に由来する上記3成分以外の不純物(不可避不純物)である。前記aは、0≦a<0.5であり、0≦a<0.1であることがより好ましい。
(Si合金の平均粒子径)
上記Si合金の平均粒子径は、既存の負極活物質層15に含まれる負極活物質の平均粒子径と同程度であればよく、特に制限されない。高出力化の観点からは、好ましくは1〜20μmの範囲であればよい。ただし、上記範囲に何ら制限されるものではなく、本実施形態の作用効果を有効に発現できるものであれば、上記範囲を外れていてもよいことは言うまでもない。なお、Si合金の形状としては、特に制限はなく、球状、楕円状、円柱状、多角柱状、鱗片状、不定形などでありうる。
(合金の製造方法)
本形態に係る組成式SiAlを有する合金の製造方法としては、特に制限されるものではなく、従来公知の各種の製造を利用して製造することができる。即ち、作製方法による合金状態・特性の違いはほとんどないので、ありとあらゆる作製方法が適用できる。
具体的には、例えば、組成式SiAlを有する合金の粒子形態の製造方法としては、例えば、メカニカルアロイ法、アークプラズマ溶融法等を利用することができる。
上記の粒子の形態に製造する方法では、該粒子にバインダ、導電助剤、粘度調整溶剤を加えてスラリーを調整し、該スラリーを用いてスラリー電極を形成することができる。そのため、量産化(大量生産)し易く、実際の電池用電極として実用化しやすい点で優れている。
以上、負極活物質層に必須に含まれる所定のSi合金について説明したが、負極活物質層はその他の負極活物質を含んでいてもよい。上記所定の合金以外の負極活物質としては、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、活性炭、カーボンファイバ、コークス、ソフトカーボン、もしくはハードカーボンなどのカーボン等の炭素系材料;SiやSnなどの純金属;上記所定の組成比を外れる合金系活物質;あるいはTiO、Ti、TiO、もしくはSiO、SiO、SnOなどの金属酸化物;Li4/3Ti5/3もしくはLiMnNなどのリチウムと遷移金属との複合酸化物;Li−Pb系合金、Li−Al系合金、Liなどが挙げられる。ただし、上記所定のSi合金を負極活物質として用いることにより奏される作用効果を十分に発揮させるという観点からは、負極活物質の全量100質量%に占める上記所定のSi合金の含有量は、好ましくは50〜100質量%であり、より好ましくは80〜100質量%であり、さらに好ましくは90〜100質量%であり、特に好ましくは95〜100質量%であり、最も好ましくは100質量%である。
以下、本実施形態の一態様として、上記Si合金との組合せにおいて好適な炭素系材料につき、説明する。
(炭素系材料)
本実施形態の一態様としては、負極活物質として、上記3元系のSi−Al−M系のSi合金に加えて、更に炭素系材料を含むものである。
本実施形態に用いられる炭素系材料は、特に制限されないが、特に制限されないが、天然黒鉛、人造黒鉛等の高結晶性カーボンである黒鉛(グラファイト);ソフトカーボン、ハードカーボン等の低結晶性カーボン;ケッチェンブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック;フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ、カーボンナノホーン、カーボンフィブリル等の炭素材料が挙げられる。これらのうち、黒鉛を用いることが好ましい。
本実施形態では、負極活物質が、上記Si合金とともに、炭素系材料と混合されてなることにより、より高いサイクル特性を維持しつつ、かつ、初期容量も高くバランスよい特性を示すことができる。
上記Si合金を炭素系材料と混合することにより、負極活物質層内にSi合金をより均一に配置することが可能となりうる。その結果、負極活物質層内におけるSi合金はいずれも同等の反応性を示し、サイクル特性のさらなる向上を図ることができる。
なお、炭素系材料が混合される結果、負極活物質層内におけるSi合金の含有量が低下することによって、初期容量は低下しうる。しかしながら、炭素系材料自体はLiイオンとの反応性を有するため、初期容量の低下の度合いは相対的に小さくなる。すなわち、Si合金および炭素系材料を併用する場合には、初期容量の低下の作用と比べて、サイクル特性の向上効果が大きいのである。
また、炭素系材料は、Si合金と対比すると、Liイオンと反応する際の体積変化が生じにくい。そのため、上記Si合金と炭素系材料を併用する場合には、Si合金の体積変化が大きい場合であっても、負極活物質を全体としてみると、Li反応に伴う負極活物質の体積変化の影響を相対的に軽微なものとすることができる。なお、このようなSi合金および炭素系材料を併用する場合における効果は、炭素系材料の含有率が大きいほど(Si合金の含有率が小さいほど)、サイクル特性が高くなる実施例の結果からも理解することができる(表6及び図17を参照)。
また、上記Si合金と炭素系材料を併用することによって、消費電気量(Wh)を向上させることができる。より詳細には、炭素系材料は、Si合金と対比して相対的に電位が低い。その結果、上記Si合金と炭素系材料を併用する場合には、Si合金が有する相対的に高い電位を低減することができる。そうすると、負極全体の電位が低下するため、消費電力量(Wh)を向上させることができるのである。このようなSi合金および炭素系材料を併用する場合における作用、効果は、電気デバイスの中でも、例えば、車両の用途に使用する際に特に有利である。
炭素系材料の形状としては、特に制限はなく、球状、楕円状、円柱状、多角柱状、鱗片状、不定形などでありうる。
(炭素系材料の平均粒子径)
また、炭素系材料の平均粒子径としては、特に制限されないが、5〜25μmであることが好ましく、5〜10μmであることがより好ましい。この際、上述のSi合金との平均粒子径との対比については、炭素系材料の平均粒子径は、Si合金の平均粒子径と同一であっても、異なっていてもよいが、異なることが好ましい。特に、前記合金の平均粒子径が、前記炭素系材料の平均粒子径よりも小さいことがより好ましい。炭素系材料の平均粒子径が合金の平均粒子径よりも相対的に大きいと、均一に炭素系材料の粒子が配置され、当該炭素系材料の粒子間にSi合金が配置した構成を有するため、負極活物質層内においてSi合金が均一に配置されうる。
上記Si合金および炭素系材料を併用する場合において、炭素系材料の平均粒子径とSi合金の平均粒子径との粒子径の比(Si合金の平均粒子径/炭素系材料の平均粒子径)は、1/250〜1未満であることが好ましく、1/100〜1/4であることがより好ましい。
負極活物質のSi合金および炭素系材料を併用する場合の混合比は、特に制限はなく、所望の用途等に応じて適宜選択されうる。なかでも、Si合金および炭素系材料を併用する場合における前記負極活物質中のSi合金の含有率は、3〜70質量%であることが好ましい。一実施形態において、Si合金および炭素系材料を併用する場合における前記負極活物質中のSi合金の含有率は、30〜50質量%であることがより好ましい。また、別の一実施形態においては、Si合金および炭素系材料を併用する場合における前記負極活物質中のSi合金の含有率は、50〜70質量%であることがより好ましい。
Si合金および炭素系材料を併用する場合における前記負極活物質中の前記Si合金の含有率が3質量%以上であると、高い初期容量が得られうることから好ましい。一方、前記Si合金の含有量が70質量%以下であると、高いサイクル特性が得られうることから好ましい。
(負極活物質の製造方法)
負極活物質は、特に制限されず、公知の方法によって製造することができる。通常、負極活物質層は、上記Si合金の製造方法が用いられうる。具体的には、メカニカルアロイ法、アークプラズマ溶融法等を利用して、粒子形態のSi合金を製造した後、炭素系材料(Si合金および炭素系材料を併用する場合)、バインダ、導電助剤、および粘液調整剤を加えてスラリーを調製し、該スラリーを用いてスラリー電極を形成することができる。この際、Si合金および炭素系材料を併用する場合には、粒子形態のSi合金の量および炭素系材料の量を適宜変更することで、Si合金が所望の含有量となる負極活物質を製造することができる。
(負極活物質層の伸び)
本実施形態では、負極活物質として上記した3元系のSi−Al−M系の合金を含み、負極活物質層の伸び(δ)が、1.29<δ<1.70%の範囲であることを特徴とする。上記した3元系のSi−Al−M系の合金を適用した上で負極活物質層の伸び(δ)を1.29%超にすることで、充放電による負極活物質の膨張・収縮による体積変化に対し、活物質以外の電極(負極活物質層)の構成要素が追従することができる。その結果、電極(負極活物質層)全体の体積変化を抑制することができ、放電容量の向上率を大幅に高めることができる。また、上記した3元系のSi−Al−M系の合金を適用した上で負極活物質層の伸び(δ)を1.70%未満にすることで、負極活物質層の伸びが充放電に伴う負極活物質へのリチウムイオンの反応(挿入・脱離)を阻害するのを抑制することができる。その結果、高容量・高サイクル耐久性を有する良好なリチウムイオン二次電池用負極となる。また、本実施形態の負極活物質層を用いてなるリチウムイオン二次電池用負極を用いることで、高容量でサイクル耐久性、特に放電容量向上率に優れる良好な電池特性を有するリチウムイオン二次電池となる。即ち、上記した3元系のSi−Al−M系の合金を適用した上で負極活物質層の伸び(δ)が、1.29以下、および1.70%以上の場合には、図14に示すように、放電容量の向上率が不十分となる。また3元系のSi−Al−M系の合金に代えて、高容量(3200mAh/g)の純Siを適用した場合には、負極活物質層の伸び(δ)を上記範囲内に調整しても、純Siの持つ大きな体積変化(約4倍)により、放電容量の向上率が著しく低下する(図14の比較例1−4、1−5参照)。
上記した3元系のSi−Al−M系の合金を適用した上で負極活物質層の伸び(δ)は、好ましくは1.40≦δ<1.70%、より好ましくは1.40≦δ≦1.66%、更に好ましくは1.40≦δ≦1.57%、特に好ましくは1.47≦δ≦1.57%、なかでも好ましくは1.53≦δ≦1.57%の範囲である。負極活物質層の伸び(δ)を上記したより好適な範囲に調製すればするほど、より高い放電容量の向上率を達成することができる点で優れている(図14参照)。
負極活物質層の伸び(δ)は、JIS K 7163(1994年)の引張試験方法に準じて測定した値により測定することができる。
負極活物質層の伸び(δ)を上記範囲内に調整する手段としては特に制限されるものではなく、負極活物質層中の成分のうち、負極活物質層の伸び(δ)に寄与し得る導電助剤、バインダ等の種類や含有量を適宜調整することができる。なかでも負極活物質層中の各成分の配合比囲については、概ね最適とされる範囲があり、この最適な範囲を変更してまで導電助剤、バインダ等の配合比(含有量)を変更(変動)することは、電池性能を損なう恐れがある。そのため負極活物質層中の各成分の配合比の最適な範囲については変更することなく保持した状態で、導電助剤、バインダ等の種類(導電助剤とバインダの組み合わせ)を変えることで調整するのが望ましい。尚、バインダ等については、その種類を変えることで、その結着力等が変化することから、より好ましくは最適なバインダを用いた上で、導電性能に影響することなく、負極活物質層の伸び(δ)を調整可能な導電助剤の材料(種類)を適宜調整するのが望ましい。詳しくは、導電助剤として使用される炭素材料として、所定の嵩密度(体積)ないし所定の長さを有する短鎖状や繊維状のものを用いるのが望ましい。こうした短鎖状や繊維状の導電助剤を用いることで、充放電により、3元系のSi−Al−M系の合金活物質が所定範囲の体積変化(膨張収縮)した際に、短鎖状や繊維状の導電助剤が合金活物質の所定範囲の体積変化に追従して導電性を確保できるためである。詳しくは、合金活物質が体積収縮した状態では、上記した短鎖状や繊維状の導電助剤が複数の合金活物質粒子に絡まった状態で接触しており、直線状に引き延ばされた状態に比べると十分な伸び代がある状態で3次元の電子(導電性)ネットワークを形成している。一方、合金活物質が所定の範囲内に体積膨張した状態では、上記した短鎖状や繊維状の導電助剤が複数の体積膨張した合金活物質粒子に絡まった状態を保持しながら、ある程度直線状に引きのばされた状態を維持できる(体積変化に追従できる)。そのため、合金活物質が体積膨張した場合でも3次元の電子(導電性)ネットワークを十分に保持できるものと言える。これは高容量かつ所定の範囲内の体積変化を持つ上記した3元系のSi−Al−M系の合金活物質を用いた場合に実現し得る作用効果(メカニズム)といえる。逆に、所定の嵩密度ないし所定の長さを有しないバルーン状(ケッチェンブラック、フラーレン等)や鱗片状(黒鉛など)の導電助剤では、負極活物質層の伸び(δ)を上記範囲よりも小さくなる(比較例2、3参照)。こうした場合には、充放電により、3元系のSi−Al−M系の合金活物質が所定範囲の体積変化(膨張収縮)した際に、バルーン状や鱗片状の導電助剤が合金活物質の所定範囲の体積変化に追従することが困難となり、導電性を確保し難くなる。詳しくは、合金活物質が収縮した状態では、上記したバルーン状や鱗片状の導電助剤が複数の合金活物質粒子表面を被覆するように接触している。しかしながら、体積膨張した状態では、合金活物質粒子の表面積が増大し、合金活物質粒子表面上の導電助剤粒子間に隙間が生じ、体積膨張した合金活物質粒子表面上に導電助剤粒子が分散した状態で担持されるようになる。その結果、バルーン状や鱗片状の導電助剤による3次元の電子(導電性)ネットワークを保持することができず、放電容量向上率の大幅な低下につながるものと言える(図14の比較例1−2、1−3参照)。一方、所定の嵩密度ないし所定の長さを有しない長鎖状の導電助剤(長鎖状アセチレンブラックなど)では、負極活物質層の伸び(δ)を上記範囲よりも大きくなる(比較例1−1参照)。こうした場合には、合金活物質が収縮した状態では、上記した長鎖状の導電助剤が複数の体積膨張した合金活物質粒子に絡まった状態にある。そのため、充電時に合金活物質粒子に絡まった導電助剤(更にはバインダの結着力等)により、合金活物質粒子が体積膨張するのが阻害される。その結果、充放電に伴う負極活物質へのリチウムイオンの反応(挿入・脱離)が阻害され、放電容量向上率の大幅な低下につながるものと言える(図14の比較例1−1参照)。また一部の長鎖状の導電助剤では、合金活物質粒子の体積膨張に追従できず、これらの導電助剤が複数の体積膨張した合金活物質粒子に絡まった状態を保持することができない。そのため、一部の長鎖状の導電助剤と接触する合金活物質粒子間に形成された3次元の電子(導電性)ネットワークが各所で途切れてしまい、放電容量向上率の大幅な低下につながるケースも生じていると言える(図14の比較例1−1参照)。さらに、高容量である反面、非常に大きな体積変化(4倍)を伴う純Siでは、負極活物質層内で上記した短鎖状や繊維状の導電助剤が複数の体積膨張した純Si活物質粒子に絡まった状態にある。これは長鎖状の導電助剤を用いた場合にも同様である。そのため、充電時に純Si活物質粒子に絡まった導電助剤(更にはバインダの結着力等)により、純Siが体積膨張するのが阻害される。その結果、充放電に伴う負極活物質へのリチウムイオンの反応(挿入・脱離)が阻害され、放電容量向上率の大幅な低下につながるものと言える(図14の比較例1−4、1−5参照)。また一部の短鎖状や繊維状の導電助剤では、純Si活物質粒子の体積膨張に追従できず、これらの導電助剤が複数の体積膨張した純Si活物質粒子に絡まった状態を保持することができない。そのため、一部の短鎖状や繊維状の導電助剤と接触する純Si活物質粒子間に形成された3次元の電子(導電性)ネットワークが各所で途切れてしまい、放電容量向上率の大幅な低下につながるケースも生じていると言える(図14の比較例1−4、1−5参照)。
上記した導電助剤が合金活物質の体積変化に追従して導電性を確保することができる作用機序(メカニズム)から言えば、バインダに関しても、合金活物質の所定範囲の体積変化に追従して、その結着力を確保することができるものを用いるのが望ましいといえる。即ち、好適なバインダとしては、合金活物質の所定範囲の体積変化に追従し得る弾性率(伸縮性)を有し、その結着力を保持できるものが望ましいといえる。以上の観点から、本実施形態に利用可能な導電助剤およびバインダにつき、説明する。
(負極用導電助剤)
上記した3元系のSi−Al−M系の合金活物質を含む負極活物質層は、導電助剤を含む。ここで、導電助剤とは、負極活物質層の導電性を向上させるために配合される添加物をいう。これは、負極活物質にLiの挿入・脱離が可能な既存のカーボン(炭素材料)を用いる場合には、導電助剤は特に必要ないが、3元系のSi−Al−M系の合金活物質のように十分な導電性を有しない場合には、導電助剤が必要である。かかる導電助剤としては、短鎖状カーボンブラック(短鎖状アセチレンブラック等)、長鎖状カーボンブラック(長鎖状アセチレンブラック)ケッチェンブラック(ファーネスブラック)、チャネルブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)等のカーボン粉末;気相法炭素繊維又は液相法炭素繊維(カーボンナノチューブ(CNT)、黒鉛ファイバー等)、カーボンナノファイバなどの炭素繊維(カーボンファイバ);バルカン、ブラックパール、カーボンナノホーン、カーボンナノバルーン、ハードカーボン、フラーレン、膨張黒鉛などの炭素材料が挙げられるが、これらに限定されないことはいうまでもない。尚、上記炭素繊維はCNTや炭素ファイバー(黒鉛状、ハードカーボン状等(合成時の燃焼温度によって変化))であるが、これらは液相法でも気相法でも合成可能である。上記した3元系のSi−Al−M系の合金活物質を含む負極活物質層が導電助剤を含むことで、当該負極活物質層の内部における3次元の電子(導電性)ネットワークが効果的に形成され、電池の出力特性の向上に寄与しうる。
とりわけ、負極活物質層の伸び(δ)を上記範囲内に調整するのに導電助剤を用いる場合には、3元系のSi−Al−M系の合金活物質の所定範囲の体積変化に追従して導電性を確保することができる細長い形状や繊維形状の導電助剤を用いるのが特に望ましい。かかる観点から、負極活物質層の伸び(δ)を上記範囲内に調整するのに用いることのできる導電助剤としては、上記した短鎖状や繊維状の導電助剤が望ましい。例えば、短鎖状カーボンブラック(短鎖状アセチレンブラック等);気相法炭素繊維又は液相法炭素繊維(カーボンナノチューブ(CNT)、黒鉛ファイバー等)、カーボンナノファイバなどの炭素繊維(カーボンファイバ)などが挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない。尚、上記炭素繊維についても、CNTや炭素ファイバー(黒鉛状、ハードカーボン状等(合成時の燃焼温度によって変化))であるが、これらは液相法でも気相法でも合成可能である。これらの導電助剤を用いことで、負極活物質層の伸び(δ)を上記範囲内に調整することができ、3元系のSi−Al−M系の合金活物質の所定範囲の体積変化に追従して導電性を確保することができる。なお、本実施形態では負極活物質層の伸び(δ)を上記範囲内に調整するのに、上記導電助剤以外にもバインダを組み合わせてもよい。そうした場合には上記に例示した導電助剤以外であっても、負極活物質層の伸び(δ)を上記範囲内できるものであれば利用可能である。こうした導電助剤とバインダとの組み合わせとしては、例えば、上記した短鎖状や繊維状の導電助剤と、以下に説明する所定の弾性率(1GPa超、7.4GPa未満)を有するバインダとを組み合わせるのが望ましいといえる。
負極活物質層へ混入されてなる導電助剤の含有量としては、3元系のSi−Al−M系の合金活物質を用いる場合には、正極活物質層へ混入されてなる導電助剤の含有量と同程度の含有量とするのが望ましい。即ち、負極活物質層へ混入されてなる導電助剤の含有量も、負極側の電極構成材料の総量に対して、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%、特に好ましくは3〜7質量%の範囲とするのが望ましい。これは、負極活物質に上記した3元系のSi−Al−M系の合金活物質を用いることから、正極活物質と同様に電子導電性が低く導電助剤を配合することによって電極抵抗を低減できるためである。なお、負極活物質自体が優れた電子導電性を有する、グラファイト(黒鉛)、ソフトカーボン、ハードカーボン等の炭素系材料を併用する場合には、負極活物質層への導電助剤の含有量は、上記範囲内であればよいが、上記範囲を外れても導電助剤の添加目的を達成し得るものであれば、本実施形態の範囲に含まれるものとする。
また、上記導電助剤とバインダの機能を併せ持つ導電性結着剤をこれら導電助剤とバインダに代えて用いてもよいし、あるいはこれら導電助剤とバインダの一方ないし双方と併用してもよい。導電性結着剤としては、既に市販のTAB−2(宝泉株式会社製)を用いることができる。
(負極用バインダ)
負極活物質層15は、バインダを含む。負極用のバインダは、活物質同士または活物質と集電体とを結着させて電極構造を維持する目的で添加される。負極活物質層に用いられるバインダとしては、特に限定されないが、例えば、以下の材料が挙げられる。ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物などの熱可塑性高分子、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴム、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアミドイミドであることがより好ましい。これらの好適なバインダは、耐熱性に優れ、さらに電位窓が非常に広く正極電位、負極電位双方に安定であり負極活物質層に使用が可能となる。また、ポリアミドのような相対的に結着力が強いバインダは、Si合金を炭素系材料に好適に保持することができる。更に負極活物質層に用いられるバインダとしては、上記したように3元系のSi−Al−M系の合金活物質の所定範囲の体積変化に追従し得る弾性率(伸縮性)を有し、その結着力を確保することができるものを用いるのが特に望ましい。充電時にSiの中にLiが入っていくことで合金活物質が膨張する。その場合に膨張した活物質粒子間に挟まれて存在するバインダは圧縮されるが、その圧縮力に抗することができる弾性率を有する必要がある。逆に膨張した活物質粒子間を繋ぎとめる位置に存在するバインダは引き伸ばされるが、この場合にも弾性を保持する必要がある。引き伸ばされすぎて弾性体として機能しなくなった場合には、収縮時に引き伸ばされたバインダが元に戻らなくなるため、バインダとして機能しなくなる。従って、バインダの弾性率が以下に規定する下限側の1GPa超であれば、合金活物質の膨張に対してバインダが圧縮されて損傷したり、引き伸ばされて弾性を損なうことなく、高い放電容量の向上率を発現することができる。またバインダのE弾性率が以下に規定する上限側の7.4GPa未満であれば、バインダが硬すぎることもなく、充電時にSiの中にLiが容易に挿入することができる。即ち、バインダの弾性率が高すぎなければ、充放電電時に伴う負極活物質へのLiの挿入・脱離を阻害することなく最適な範囲まで体積変化(膨張収縮)することができる。その結果、負極活物質(Si)へのLiイオンの反応を阻害するのを抑制することができ、高い放電容量の向上率を発現することができる。かかる観点から、上記弾性率を有する、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミドを用いるのが好ましい。これらのバインダは、1種単独で用いてもよいし、2種併用してもよい。特に、上記したように3元系のSi−Al−M系の合金活物質の所定範囲の体積変化に追従し得るバインダのE弾性率(伸縮性)については、以下に説明する好適な態様にて、説明する。
本実施形態の他の態様としては、上記した負極用バインダが、1.00GPa超7.40GPa未満のE弾性率を有する樹脂を含むのが望ましい。これは、バインダのE弾性率が1.00GPa以下であっても7.40以上であっても、Si合金の体積変化にバインダが追随することができず、十分な放電容量を達成することができない虞があるためである。すなわち、バインダは、Si合金を接着する機能を有するが、バインダのE弾性率が1.00GPa以下であると、バインダが柔らかいため、Si合金の膨張時にバインダに対して印加される圧力に耐えることができない。一方、バインダのE弾性率が7.40GPa以上であると、バインダが固いため、Liイオンの挿脱時におけるSi合金の膨張が抑制され、十分なLiイオンをSi合金に導入できない。ここで、上記所定の範囲のE弾性率を有する樹脂は、ポリイミド、ポリアミドイミド、およびポリアミドからなる群から選択される1種または2種以上であることが好ましく、ポリイミドであることが特に好ましい。なお、E弾性率の値は、JIS K 7163(1994年)の引張試験方法に準じて測定した値を採用するものとする。また、複数のバインダが使用される場合には、上記所定のE弾性率を有する樹脂が少なくとも1つ含まれていればよい。
ここで、バインダのE弾性率の値は、バインダの材質、スラリーの濃度(固液比)、架橋の程度、ならびに乾燥温度、乾燥速度および乾燥時間などの熱履歴に依存する。本実施形態では、これらを調整することにより、バインダのE弾性率を上述した所望の範囲に調節することができる。
ここで、上記所定のE弾性率を有する樹脂をバインダとして用いることにより奏される作用効果を十分に発揮させるという観点からは、バインダの全量100質量%に占める上記所定のE弾性率を有する樹脂の含有量は、好ましくは50〜100質量%であり、より好ましくは80〜100質量%であり、さらに好ましくは90〜100質量%であり、特に好ましくは95〜100質量%であり、最も好ましくは100質量%である。
なお、負極活物質層中に含まれるバインダ量は、体積変化の大きな3元系のSi−Al−M系の合金を含む負極活物質を結着することができる量であれば特に限定されるものではないが、好ましくは活物質層に対して、0.5〜15質量%であり、より好ましくは1〜10質量%である
(正極及び負極活物質層13、15に共通する要件)
以下に、正極及び負極活物質層13、15に共通する要件につき、説明する。
正極活物質層13および負極活物質層15に含まれうるその他の添加剤としては、例えば、電解質塩(リチウム塩)、イオン伝導性ポリマー等が挙げられる。
(電解質塩)
電解質塩(リチウム塩)としては、Li(CSON、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO等が挙げられる。
(イオン伝導性ポリマー)
イオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)系およびポリプロピレンオキシド(PPO)系のポリマーが挙げられる。
(各活物質層中に含まれる成分配合比)
正極活物質層および負極活物質層中に含まれる成分の配合比は、特に限定されない。配合比は、非水溶媒系二次電池についての公知の知見を適宜参照することにより、調整されうる。
(各活物質層の厚さ)
各活物質層(集電体片面の活物質層)の厚さについても特に制限はなく、電池についての従来公知の知見が適宜参照されうる。一例を挙げると、各活物質層の厚さは、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮し、通常1〜500μm程度、好ましくは2〜100μmである。
[集電体]
(正極集電体)
正極集電体11は導電性材料から構成される。集電体の大きさは、電池の使用用途に応じて決定される。例えば、高エネルギー密度が要求される大型の電池に用いられるのであれば、面積の大きな集電体が用いられる。集電体の厚さについても特に制限はない。集電体の厚さは、通常は1〜100μm程度である。集電体の形状についても特に制限されない。図1に示す積層型電池10では、集電箔のほか、網目形状(エキスパンドグリッド等)等を用いることができる。なお、負極活物質をスパッタ法等により薄膜合金を負極集電体12上に直接形成する場合には、集電箔を用いるのが望ましい。
集電体を構成する材料に特に制限はない。例えば、金属や、導電性高分子材料または非導電性高分子材料に導電性フィラーが添加された樹脂が採用されうる。具体的には、金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス、チタン、銅などが挙げられる。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材、またはこれらの金属の組み合わせのめっき材などが好ましく用いられうる。また、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる箔であってもよい。なかでも、電子伝導性や電池作動電位、集電体へのスパッタリングによる負極活物質の密着性等の観点からは、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケルが好ましい。
また、導電性高分子材料としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアクリロニトリル、およびポリオキサジアゾールなどが挙げられる。かような導電性高分子材料は、導電性フィラーを添加しなくても十分な導電性を有するため、製造工程の容易化または集電体の軽量化の点において有利である。
非導電性高分子材料としては、例えば、ポリエチレン(PE;高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)など)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、またはポリスチレン(PS)などが挙げられる。かような非導電性高分子材料は、優れた耐電位性または耐溶媒性を有しうる。
上記の導電性高分子材料または非導電性高分子材料には、必要に応じて導電性フィラーが添加されうる。特に、集電体の基材となる樹脂が非導電性高分子のみからなる場合は、樹脂に導電性を付与するために必然的に導電性フィラーが必須となる。導電性フィラーは、導電性を有する物質であれば特に制限なく用いることができる。例えば、導電性、耐電位性、またはリチウムイオン遮断性に優れた材料として、金属および導電性カーボンなどが挙げられる。金属としては、特に制限はないが、Ni、Ti、Al、Cu、Pt、Fe、Cr、Sn、Zn、In、Sb、およびKからなる群から選択される少なくとも1種の金属もしくはこれらの金属を含む合金または金属酸化物を含むことが好ましい。また、導電性カーボンとしては、特に制限はない。好ましくは、アセチレンブラック、バルカン、ブラックパール、カーボンナノファイバ、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノバルーン、およびフラーレンからなる群より選択される少なくとも1種を含むものである。導電性フィラーの添加量は、集電体に十分な導電性を付与できる量であれば特に制限はなく、一般的には、5〜35質量%程度である。
(負極集電体)
負極集電体12は導電性材料から構成される。集電体の大きさは、電池の使用用途に応じて決定される。例えば、高エネルギー密度が要求される大型の電池に用いられるのであれば、面積の大きな集電体が用いられる。
集電体の形状についても特に制限されない。図1に示す積層型電池10では、集電箔のほか、網目形状(エキスパンドグリッド等)等を用いることができるが、本実施形態では集電箔を用いるのが望ましい。
集電体を構成する材料に特に制限はない。例えば、金属や、導電性高分子材料または非導電性高分子材料に導電性フィラーが添加された樹脂が採用されうる。
具体的には、金属としては、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス、チタン、など、またはこれらの合金が挙げられる。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材、またはこれらの金属の組み合わせのめっき材などが用いられうる。また、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる箔であってもよい。電子伝導性や電池作動電位、集電体へのスパッタリングによる負極活物質の密着性等の観点から、後述のように銅が好ましく用いられうる。
また、導電性高分子材料としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアクリロニトリル、およびポリオキサジアゾールなどが挙げられる。かような導電性高分子材料は、導電性フィラーを添加しなくても十分な導電性を有するため、製造工程の容易化または集電体の軽量化の点において有利である。
非導電性高分子材料としては、例えば、ポリエチレン(PE;高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)など)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、またはポリスチレン(PS)などが挙げられる。かような非導電性高分子材料は、優れた耐電位性または耐溶媒性を有しうる。
上記の導電性高分子材料または非導電性高分子材料には、必要に応じて導電性フィラーが添加されうる。特に、集電体の基材となる樹脂が非導電性高分子のみからなる場合は、樹脂に導電性を付与するために必然的に導電性フィラーが必須となる。
導電性フィラーは、導電性を有する物質であれば特に制限なく用いることができる。例えば、導電性、耐電位性、またはリチウムイオン遮断性に優れた材料として、金属および導電性カーボンなどが挙げられる。金属としては、特に制限はないが、Ni、Ti、Al、Cu、Pt、Fe、Cr、Sn、Zn、In、Sb、およびKからなる群から選択される少なくとも1種の金属もしくはこれらの金属を含む合金または金属酸化物を含むことが好ましい。また、導電性カーボンとしては、特に制限はない。好ましくは、アセチレンブラック、バルカン、ブラックパール、カーボンナノファイバ、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノバルーン、およびフラーレンからなる群より選択される少なくとも1種を含むものである。
導電性フィラーの添加量は、集電体に十分な導電性を付与できる量であれば特に制限はなく、一般的には、5〜35質量%程度である。
本実施形態の負極は、集電体の平面方向への弾性伸びが、1.30%以上であることを特徴とする。ここで集電体の弾性伸び(%)は、引張方向への比例限度までの弾性伸びの大きさの、元の大きさに対する割合(%)である。
本実施形態の負極は、負極活物質として特定の三元系Si合金を適用することで、Si負極と同様の高い初期放電容量が得られると同時に、SiとLiとが合金化する際のアモルファス−結晶の相転移を抑制しサイクル寿命を向上させるという作用が得られる。
しかしながら、上記の特定の三元系Si合金をバインダ、導電助剤と共に有する負極活物質層を負極集電体上に塗布した負極を用いて電池を作製した場合、電池の充放電に伴って負極活物質の膨張・収縮が生じうる。これに伴って、負極活物質層が体積変化し、負極活物質層に密着している集電体に応力が働く。このとき、負極活物質層の体積変化に集電体が追随できないと、集電体が塑性変形してしまい、集電体にしわが生じてしまう。集電体にしわが生じると、負極活物質層がゆがんでしまい、正極との電極間距離が不均一になってしまうため、Li反応性が低下したり、電極集中が生じうる。さらには、集電体の塑性変形によって集電体に亀裂、破断が生じたり、負極活物質層の直接的な破壊につながる可能性もある。その結果、電池の放電容量の低下が生じてしまう。
本実施形態の負極は、このような問題を解決するものであって、弾性伸びが1.30%以上の負極を用いることにより、充放電による負極活物質の膨張・収縮による負極活物質層の体積変化に対して、集電体が弾性的に追随しうる。そのため、負極活物質層と密着している集電体に応力が働くことで生じうるしわを抑制することができるため、負極活物質層のゆがみや、負極活物質層または集電体の破断を防ぐことができる。その結果、正極との電極間距離が均一に保たれる。さらに、副反応も生じにくくなる。そのため、高い放電容量が得られうる。さらに、充放電を繰り返しても集電体の塑性変形が起こりにくいため、サイクル耐久性も向上しうる。
また、弾性伸びが1.30%以上の集電体であれば、仮に充放電に伴う負極活物質の膨張・収縮によって負極活物質層の弾性が失われた場合であっても集電体が負極活物質層に密着して弾性変形するため、容量やサイクル耐久性の低下を最小限に抑えることができる。
本実施形態の負極に用いられる集電体の弾性伸びは、好ましくは1.40%以上である。集電体の弾性伸びが1.40%以上であれば、本実施形態で用いられる負極活物質の充放電に伴う体積変化の程度を考慮すると、より追随しやすい。そのため、放電容量の向上率が高く、サイクル特性がより改善されうる。さらに、集電体の弾性伸びが1.50%以上であると、本実施形態の負極活物質を用いた場合、より高い効果が得られうる。
前記集電体の弾性伸びが大きいほど負極活物質層の体積変化に弾性的に追随することができるため、弾性伸びの上限値は、特に限定されない。
本実施形態で用いられる負極活物質は、黒鉛などの炭素材料と比較すると充放電に伴う体積変化が大きいが、上記のような集電体を用いることで集電体の塑性変形を抑えることができ、負極活物質層のゆがみ、およびこれに起因する放電容量の低下を抑えることができる。しかしながら、純Siを負極活物質として用いた場合、充放電に伴う体積変化がさらに大きいため、上記のような集電体を用いても負極活物質層の体積変化に十分に追随できず、放電容量の低下を防ぐことが難しい場合がある。本実施形態で用いられる三元系Si合金の活物質の場合、集電体の弾性伸びが1.30%以上であればよく、放電容量およびサイクル特性に優れた電池が得られる(図16参照)。
なお、本明細書中、集電体の弾性伸び(%)は、JIS K 6251(2010年)の引張試験方法に準じて測定した値を用いるものとする。また、集電体の弾性伸び(%)は、25℃において測定した時の値である。
本実施形態における集電体は、引張強度が、150N/mm以上であることが好ましい。引張強度が150N/mm以上であれば、集電体の破断を防止する効果が高い。
なお、本明細書中、集電体の引張強度(N/mm)は、JIS K 6251(2010年)の引張試験方法に準じて測定した値を用いるものとする。また、集電体の引張強度(N/mm)は、25℃において測定した時の値である。
本実施形態における集電体は、弾性伸びが1.30%以上であれば、上述したように集電体を構成する材料に特に制限はなく、好ましくは銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、コバルトなどの金属、またはこれらの金属の合金が用いられうる。
上記の金属の中でも、銅、ニッケル、ステンレス、またはこれらに他の金属を添加した合金を用いた金属箔が機械的強度、活物質層との密着性、化学的安定性、電池反応が進行する電位における電気化学的な安定性、導電性、コスト等の観点から好ましい。特に銅または銅の合金は、標準酸化還元電位の理由から特に好ましい。
銅箔は、圧延銅箔(圧延法によって得られる銅箔)または電解銅箔(電解法によって得られる銅箔)を用いることができる。銅合金箔についても、電解銅合金箔または圧延銅合金箔のいずれも用いることができる。本実施形態の負極においては、引張強度が大きいこと、屈曲性に優れることから、圧延銅箔または圧延銅合金箔を用いることが好ましい。
銅の合金としては、銅に、例えば、Zr、Cr、Zn、Snなどの元素を添加した合金が好ましく用いられうる。このような合金は、純銅と比較して、弾性率が高く、負極活物質層の体積変化に追随しやすく塑性変形が生じにくい。このため、集電体のしわや破断が生じにくい。また、銅にZr、Cr、Zn、Snなどの元素を添加した合金は純銅と比較して耐熱性が向上しうる。特に、軟化点が、負極の製造工程において負極活物質を含むスラリーを集電体上に塗布して乾燥する際の熱処理温度(約300℃)よりも高い合金であれば、熱処理後も弾性が維持されうるため好ましい。中でも、Cr、Zn、Snを添加した合金が、熱処理後の弾性維持の理由で好ましい。これらの合金元素は、1種類でも、2種類以上含まれてもよい。これらの合金元素の含有量は、合計で、例えば、0.01〜0.9質量%であり、好ましくは0.03〜0.9質量%であり、さらに好ましくは0.3〜0.9質量%である。合金元素の含有量が0.03質量%以上であれば、熱処理後の弾性維持の理由で好適である。
弾性伸びが1.30%以上である集電体を得る方法は特に制限されない。本実施形態の集電体が金属箔からなるものである場合、加熱、冷却、圧力、不純物元素添加により機械的特性を変化させることができる。なお、上記の伸びを有する市販の金属箔を用いてもよい。
負極の集電体の厚さについても特に限定されないが、本実施形態の負極においては、5〜15μmであることが好ましく、5〜10μmであることがより好ましい。負極の集電体の厚さが5μm以上であれば、十分な機械的強度が得られるため好ましい。また負極の集電体の厚さが15μm以下であれば、電池の薄型化の点で好ましい。
なお、双極型電極用の集電体についても、負極集電体と同様のものを用いればよい。特に正極電位および負極電位に対する耐性を有するものを用いるのが望ましい。
[電解質層]
電解質層17を構成する電解質としては、液体電解質またはポリマー電解質が用いられうる。
液体電解質は、可塑剤である有機溶媒に支持塩であるリチウム塩が溶解した形態を有する。可塑剤として用いられうる有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)等のカーボネート類が例示される。また、支持塩(リチウム塩)としては、LiBETI等の電極の活物質層に添加されうる化合物が同様に採用されうる。
一方、ポリマー電解質は、電解液を含むゲル電解質と、電解液を含まない真性ポリマー電解質に分類される。
ゲル電解質は、イオン伝導性ポリマーからなるマトリックスポリマーに、上記の液体電解質(電解液)が注入されてなる構成を有する。マトリックスポリマーとして用いられるイオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、およびこれらの共重合体等が挙げられる。かようなポリアルキレンオキシド系ポリマーには、リチウム塩などの電解質塩がよく溶解しうる。
ゲル電解質中の上記液体電解質(電解液)の割合としては、特に制限されるべきものではないが、イオン伝導度などの観点から、数質量%〜98質量%程度とするのが望ましい。本実施形態では、電解液の割合が70質量%以上の、電解液が多いゲル電解質について、特に効果がある。
なお、電解質層が液体電解質やゲル電解質や真性ポリマー電解質から構成される場合には、電解質層にセパレータを用いてもよい。セパレータ(不織布を含む)の具体的な形態としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンからなる微多孔膜や多孔質の平板、更には不織布が挙げられる。
真性ポリマー電解質は、上記のマトリックスポリマーに支持塩(リチウム塩)が溶解してなる構成を有し、可塑剤である有機溶媒を含まない。したがって、電解質層が真性ポリマー電解質から構成される場合には電池からの液漏れの心配がなく、電池の信頼性が向上しうる。
ゲル電解質や真性ポリマー電解質のマトリックスポリマーは、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発現しうる。架橋構造を形成させるには、適当な重合開始剤を用いて、高分子電解質形成用の重合性ポリマー(例えば、PEOやPPO)に対して熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合等の重合処理を施せばよい。
[集電板およびリード]
電池外部に電流を取り出す目的で、集電板を用いてもよい。集電板は集電体やリードに電気的に接続され、電池外装材であるラミネートシートの外部に取り出される。
集電板を構成する材料は、特に制限されず、リチウムイオン二次電池用の集電板として従来用いられている公知の高導電性材料が用いられうる。集電板の構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましく、より好ましくは軽量、耐食性、高導電性の観点からアルミニウム、銅などが好ましい。なお、正極集電板と負極集電板とでは、同一の材質が用いられてもよいし、異なる材質が用いられてもよい。
正極端子リードおよび負極端子リードに関しても、必要に応じて使用する。正極端子リードおよび負極端子リードの材料は、公知のリチウムイオン二次電池で用いられる端子リードを用いることができる。なお、電池外装材29から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆するのが好ましい。
[電池外装材]
電池外装材29としては、公知の金属缶ケースを用いることができるほか、発電要素を覆うことができる、アルミニウムを含むラミネートフィルムを用いた袋状のケースが用いられうる。該ラミネートフィルムには、例えば、PP、アルミニウム、ナイロンをこの順に積層してなる3層構造のラミネートフィルム等を用いることができるが、これらに何ら制限されるものではない。高出力化や冷却性能に優れ、EV、HEV用の大型機器用電池に好適に利用することができるという観点から、ラミネートフィルムが望ましい。
なお、上記のリチウムイオン二次電池は、従来公知の製造方法により製造することができる。
<リチウムイオン二次電池の外観構成>
図2は、積層型の扁平なリチウムイオン二次電池の外観を表した斜視図である。
図2に示すように、積層型の扁平なリチウムイオン二次電池50では、長方形状の扁平な形状を有しており、その両側部からは電力を取り出すための正極集電板58、負極集電板59が引き出されている。発電要素57は、リチウムイオン二次電池50の電池外装材52によって包まれ、その周囲は熱融着されており、発電要素57は、正極集電板58および負極集電板59を外部に引き出した状態で密封されている。ここで、発電要素57は、図1に示すリチウムイオン二次電池(積層型電池)10の発電要素21に相当するものである。発電要素57は、正極(正極活物質層)13、電解質層17および負極(負極活物質層)15で構成される単電池層(単セル)19が複数積層されたものである。
なお、上記リチウムイオン二次電池は、積層型の扁平な形状のもの(ラミネートセル)に制限されるものではない。巻回型のリチウムイオン電池では、円筒型形状のもの(コインセル)や角柱型形状(角型セル)のもの、こうした円筒型形状のものを変形させて長方形状の扁平な形状にしたようなもの、更にシリンダー状セルであってもよいなど、特に制限されるものではない。上記円筒型や角柱型の形状のものでは、その外装材に、ラミネートフィルムを用いてもよいし、従来の円筒缶(金属缶)を用いてもよいなど、特に制限されるものではない。好ましくは、発電要素がアルミニウムラミネートフィルムで外装される。当該形態により、軽量化が達成されうる。
また、図2に示す正極集電板58、負極集電板59の取り出しに関しても、特に制限されるものではない。正極集電板58と負極集電板59とを同じ辺から引き出すようにしてもよいし、正極集電板58と負極集電板59をそれぞれ複数に分けて、各辺から取り出しようにしてもよいなど、図2に示すものに制限されるものではない。また、巻回型のリチウムイオン電池では、集電板に変えて、例えば、円筒缶(金属缶)を利用して端子を形成すればよい。
上記したように、本実施形態のリチウムイオン二次電池用の負極活物質を用いてなる負極並びにリチウムイオン二次電池は、電気自動車やハイブリッド電気自動車や燃料電池車やハイブリッド燃料電池自動車などの大容量電源として、好適に利用することができる。即ち、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に好適に利用することができる。
なお、上記実施形態では、電気デバイスとして、リチウムイオン電池を例示したが、これに制限されるわけではなく、他のタイプの二次電池、さらには一次電池にも適用できる。また電池だけではなくキャパシタにも適用できる。
本発明を、以下の実施例を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
はじめに、参考例として、本発明に係る電気デバイス用負極を構成する化学式(1)で表されるSi合金についての性能評価を行った。
(参考例A):SiAlについての性能評価
[1]負極の作製
スパッタ装置として、独立制御方式の3元DCマグネトロンスパッタ装置(大和機器工業株式会社製、コンビナトリアルスパッタコーティング装置、ガン−サンプル間距離:約100mm)を使用し、厚さ20μmのニッケル箔から成る基板(集電体)上に、下記の条件のもとで、各組成を有する負極活物質合金の薄膜をそれぞれ成膜することによって、都合23種の負極サンプルを得た(参考例Aのサンプル1〜33)。
(1)ターゲット(株式会社高純度化学研究所製)
Si(4N):直径2インチ、厚さ3mm(厚さ2mmの無酸素銅製バッキングプレート付)
Al(4N):直径2インチ、厚さ5mm
C(5N):直径2インチ、厚さ5mm。
(2)成膜条件
ベース圧力:〜7×10−6Pa
スパッタガス種:Ar(99.9999%以上)
スパッタガス導入量:10sccm
スパッタ圧力:30mTorr
DC電源:Si(185W)、C(50〜200W)、Al(30〜90W)
プレスパッタ時間:1min.
スパッタ時間:10min.
基板温度:室温(25℃)。
すなわち、上記のようなSiターゲット、Alターゲット及びCターゲットを使用し、スパッタ時間を10分に固定し、DC電源のパワーを上記の範囲でそれぞれ変化させることによって、Ni基板上にアモルファス状態の合金薄膜を成膜し、種々の組成の合金薄膜を備えた負極サンプルを得た。サンプル19〜33では、サンプル19がSi金属、サンプル20〜27がSi−Cの二元系合金、サンプル28〜33がSi−Alの2元系合金となるように合金薄膜を成膜した。詳しくは、Si、Al、Cの各ターゲットのうち必要なターゲットのみを使用し、スパッタ時間は固定し、使用するターゲットのDC電源のパワーを上記の範囲でそれぞれ変化させることで、Ni基板上にアモルファス状態のSi薄膜または2元系合金薄膜を成膜した。
ここで、サンプル作製の一例を示せば、サンプル8では、DC電源2(Siターゲット):185W、DC電源1(Cターゲット):100W、DC電源3(Alターゲット):120Wとした。
これら合金薄膜の成分組成を表1及び図3〜10に示す。なお、得られた合金薄膜の分析は、下記の分析法、分析装置によった。
(3)分析方法
組成分析:SEM・EDX分析(JEOL社)、EPMA分析(JEOL社)
膜厚測定(スパッタレート算出のため):膜厚計(東京インスツルメンツ)
膜状態分析:ラマン分光測定(ブルカー社)。
[2]電池の作製
上記により得られた各負極サンプルとリチウム箔(本城金属株式会社製、直径15mm、厚さ200μm)から成る対極とをセパレータ(セルガード社製セルガード2400)を介して対向させたのち、電解液を注入することによってCR2032型コインセルをそれぞれ作製した。
なお、上記電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)を1:1の容積比で混合した混合非水溶媒中に、LiPF(六フッ化リン酸リチウム)を1Mの濃度となるように溶解させたものを用いた。
[3]電池の充放電試験
上記により得られたそれぞれの電池に対して下記の充放電試験を実施した。
すなわち、充放電試験機(北斗電工株式会社製HJ0501SM8A)を使用し、300K(27℃)の温度に設定された恒温槽(エスペック株式会社製PFU−3K)中にて、充電過程(評価対象である負極へのLi挿入過程)では、定電流・定電圧モードとして、0.1mAにて2Vから10mVまで充電した。その後、放電過程(上記負極からのLi脱離過程)では、定電流モードとし、0.1mA、10mVから2Vまで放電した。以上の充放電サイクルを1サイクルとして、これを50回繰り返した。
そして、50サイクル目の放電容量を求め、1サイクル目の放電容量に対する維持率を算出した。長期サイクルの場合、電解液の劣化モードもサイクル特性に含まれる(逆に、高性能電解液を用いるとサイクル特性が良くなる)ことから、合金由来の成分が顕著な50サイクル目のデータを用いた。この結果を表1に併せて示す。この際、放電容量は、合金重量当りで算出した値を示している。なお、「放電容量(mAh/g)」は、pure Si又は合金重量当りのものであり、Si−Al−C合金(Si−C合金、pure SiまたはSi−Al合金)へLiが反応する時の容量を示す。なお、本明細書中で「初期容量」と表記しているものが、初期サイクル(1サイクル目)の「放電容量(mAh/g)」に相当するものである。
また、50サイクル目の「放電容量維持率(%)」は、「初期容量からどれだけ容量を維持しているか」の指標を表す。放電容量維持率(%)の計算式は下記の通りである。
50サイクル目の放電容量維持率を下記数式により算出した。この結果を表1に併せて示す。
表中の「充放電効率(%)」は、1サイクル目の「充放電過程でLiの移動量がどのくらいか」の指標を表す。充放電効率(%)の計算式は下記の通りである。
充放電効率(%)=放電容量(Li脱離時)/充電容量(Li反応時=Li挿入時)×100
表1の結果から、サンプル1〜18の電池、なかでも図7〜9の太い実線で囲った組成範囲のサンプルでは、1サイクル目の放電容量が、既存のカーボン系負極活物質(炭素・黒鉛系負極材料)では実現不可能な格段に高い高容量を実現できることがわかった。同様に既存の高容量のSn系合金負極活物質と比較してもより高い高容量(初期容量1113mAh/g以上)を実現できることが確認できた。またサンプル1〜18の電池では、サンプル19〜33の電池と比べて、1サイクル目の充放電効率が94%以上、好ましくは97%以上と高く、電池としての実効容量に優れることが確認できた。サンプル19〜33の電池では、低初期充放電効率によって電池としての実効容量が低下してしまうものも多くあることがわかった。更に高容量化とトレードオフの関係にあるサイクル耐久性についても、高容量であるがサイクル耐久性に劣る既存のSn系負極活物質や特許文献1に記載の多元系合金負極活物質と比較しても格段に優れたサイクル耐久性を実現できることが確認できた。具体的には、50サイクル目での高い放電容量維持率が64%以上、好ましくは74%以上、特に好ましくは81%以上という格段に優れたサイクル耐久性を実現できることが確認できた。このことから、サンプル1〜18の電池、なかでも図7〜9の太い実線で囲った組成範囲のサンプルでは、他のサンプルの電池に比して、放電容量維持率が大きいことから、高い初期容量及び実効容量の低下を抑えて高容量をより効率良く維持できていることがわかった。
参考例Aの結果から、Li合金化の際、アモルファス−結晶の相転移を抑制しサイクル寿命を向上させる第2添加元素Cと、その第2添加元素濃度が増加しても電極としての容量が減少しない第1添加元素種Alの選定が極めて有用かつ有効であることがわかった。かかる第1及び第2添加元素の選定により、高容量・高サイクル耐久性・高初期充放電効率を有するSi合金系負極活物質を提供できる。その結果、高容量で初期充放電効率、サイクル耐久性がよいリチウムイオン二次電池を提供できることがわかった。また、サンプル19〜33のSi金属又は2元系合金では、高容量で高い初期充放電効率と高いサイクル耐久性の全て特性をバランスよく備えた電池は得られなかった。
サンプル7の電池を用いた上記充放電試験での1〜50サイクルまでの全ての充放電曲線を図10に示す。
図10から、サンプル7の電池では、1〜50サイクル目まで安定した平坦電圧を有する充放電曲線が得られており、50サイクル目まで高容量が維持されており、急激なサイクル特性、容量特性の劣化(急激な充放電曲線=容量の落ち込みなど)は生じていないことが確認できた。
以上の実験結果から、本実施形態の3元系合金が高いサイクル特性(特に、50サイクル目の高い放電容量維持率)を維持しつつ、かつ初期容量及び初期充放電効率も高くバランスよい特性を示すメカニズムにつき以下のように推測することができる。
1.本実施形態の組成式SiAlを有する3元系合金を用いたサンプル1〜18の電池、なかでも図7〜9の太い実線で囲った組成範囲のサンプルでは、サンプル19のpure−Siや特許文献1の3元系や4元系の合金、更にサンプル20〜33の2元系合金と比べて電解液の分解を抑制し、さらにLi−Si合金の結晶相への相転移を抑制することができる。
2.電解液の分解については、この分解によって見かけの充放電容量の減少と充放電効率の悪化がおきる。その結果、サンプル19のpure−Siや特許文献1の3元系や4元系の合金、更にサンプル20〜33の2元系合金では充放電効率の悪化により、充放電効率が低くなっている。これに対し、本実施形態の組成式SiAlを有する三元系合金を用いたサンプル1〜18の電池、なかでも図7〜9の太い実線で囲った組成範囲のサンプルでは、高容量で、放電容量維持率の減少や充放電効率の悪化が抑制されていることがわかる(表1参照)。
3.Li−Si合金の結晶相への相転移については、この相転移が起きると活物質の体積変化が大きくなる。それらによって、活物質自身の破壊、電極の破壊と連鎖が始まることになる。本実施形態の組成式SiAlを有する三元系合金を用いたサンプル1〜18の電池、なかでも図7〜9の太い実線で囲った組成範囲のサンプルでは、相転移に起因した活物質自身の破壊、電極の破壊による充放電容量の減少や充放電効率の悪化が抑制できる。そのため、50サイクル目でも放電容量維持率が高く、容量減少率が小さく抑えられるなど、安定した性能を発現し得る。このことから、相転移を抑制できると判断できる。
(参考例B):SiAlNbについての性能評価
[1]負極の作製
参考例Aの(1)におけるターゲットの「C(5N):直径2インチ、厚さ5mm」を「Nb(3N):直径2インチ、厚さ5mm」に変更し、(2)におけるDC電源の「C(50〜200W)」を「Nb(60〜120W)」に変更したことを除いては、参考例Aと同様の方法で、都合21種の負極サンプルを作製した(参考例B1〜B11および比較参考例B1〜B10)。
なお、前記(2)について、サンプル作製の数例を示せば、参考例B5では、DC電源1(Siターゲット):185W、DC電源2(Alターゲット):60W、DC電源3(Nbターゲット):90Wとした。また、比較参考例B3では、DC電源1(Siターゲット):185W、DC電源2(Alターゲット):72W、DC電源3(Nbターゲット):0Wとした。さらに、比較参考例B9では、DC電源1(Siターゲット):185W、DC電源2(Alターゲット):0W、DC電源3(Nbターゲット):55Wとした。
これら合金薄膜の成分組成を表2及び図11に示す。なお、得られた合金薄膜の分析は、参考例Aと同様の分析法、分析装置によった。
[2]電池の作製
参考例Aと同様の方法でCR2032型コインセルを作製した。
[3]電池の充放電試験
充放電サイクルを100サイクル行い、50サイクル及び100サイクル目の放電容量を求め、1サイクル目の放電容量に対する維持率を算出したことを除いては、参考例Aと同様の方法で電池の充放電試験を行った。結果を表2に示す。
また、50サイクル目又は100サイクル目の「放電容量維持率(%)」は、「初期容量からどれだけ容量を維持しているか」の指標を表す。放電容量維持率(%)の計算式は下記の通りである。
表2より、27質量%超100質量%未満のSiと、0質量%超73質量%未満のAlと、0質量%超58質量%未満のNbとを含み、残部が不可避不純物である合金を有する負極活物質を備える参考例Bの電池は、充放電容量が約300mAh/gである炭素系の負極活物質に比べ、高い放電容量を維持しつつ、優れたサイクル特性を示すことがわかる。図11の符号Aの範囲はこのような合金を表す。
そして、図12の符号Bの範囲は、Siの含有量が47質量%超95質量%未満であり、Alの含有量が2質量%超48質量%未満であり、Nbの含有量が1質量%超23質量%未満であり、残部が不可避不純物である合金を示す。そして、この符号Bの範囲は、参考例B1〜B11の範囲に相当する。表2より、特にこの合金を使用したリチウムイオン二次電池は、50サイクル後における放電容量維持率が優れていることがわかる。
さらに、図13の符号Cの範囲は、Siの含有量が61質量%超84質量%未満であり、Alの含有量が2質量%超25質量%未満であり、Nbの含有量が2質量%超23質量%未満であり、残部が不可避不純物である合金を示す。そして、図13の符号Cの範囲は、参考例B2〜B6に相当する。
さらに、図13の符号Dの範囲は、Siの含有量が47質量%超56質量%未満であり、Alの含有量が33質量%超48質量%未満であり、Nbの含有量が1質量%超16質量%未満であり、残部が不可避不純物である合金を示す。そして、図13の符号Dの範囲は、参考例B8〜B11に相当する。
表2より、特にこの符号Cおよび符号Dの範囲の合金を使用したリチウムイオン二次電池は、100サイクル後における放電容量維持率も優れていることがわかる。
次に、以下の実施例1では、上記Si合金のうちSi50Al47(参考例AのサンプルNo.8に相当)を負極活物質として用い、負極活物質層の伸びを替えた(詳しくは、導電助剤等の種類を替えた負極活物質層を有する)電気デバイス用負極についての性能評価を行った。
なお、前記Si50Al47以外のその他の本発明に用いられる合金(SiAl、およびSiAlNbのうち、Si50Al47以外のもの)についてもSi50Al47を用いた以下の実施例1〜4と同一または類似する結果が得られる。この理由は、参考例A〜Cに示されるように、前記その他の本発明に用いられる合金は、Si50Al47と同様の特性を有するためである。すなわち、同様の特性を有する合金を用いた場合には、合金の種類を変更したとしても同様の結果が得られうる。
(実施例1−1)
[Si合金の製造]
Si合金は、メカニカルアロイ法(または、アークプラズマ溶融法)により製造した。具体的には、ドイツ フリッチュ社製遊星ボールミル装置P−6を用いて、ジルコニア製粉砕ポットにジルコニア製粉砕ボールと各合金の各原料粉末を投入し、600rpm、48hかけて合金化させた。
[負極の作製]
負極活物質90質量部と、導電助剤5質量部と、バインダ5質量部とを混合し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて負極スラリーを得た。ここで、負極活物質には、上記で製造したSi合金(Si50Al47、平均粒子径0.3μm)を用いた。また導電助剤には短鎖状カーボンブラックとして短鎖状アセチレンブラックを用い、バインダにはポリイミド(E弾性率2.1GPa)を用いた。次いで、得られた負極スラリーを、厚さ10μmの銅箔(弾性伸び1.4%)よりなる負極集電体の両面にそれぞれ負極活物質層の厚さが30μmとなるように均一に塗布し、真空中で24時間乾燥させて、負極を得た。
[正極の作製]
正極活物質90質量部と、導電助剤5質量部と、バインダ5質量部とを混合し、NMPに分散させて正極スラリーを得た。ここで、正極活物質には、Li1.85Ni0.18Co0.10Mn0.87を、特開2012−185913号公報の実施例1(段落0046)に記載の手法により作製した。また導電助剤にはアセチレンブラックを用い、バインダにはポリフッ化ビニリデン(PVdF)を用いた。次いで、得られた正極スラリーを、厚さ20μmのアルミニウム箔よりなる正極集電体の両面にそれぞれ正極活物質層の厚さが30μmとなるように均一に塗布し、乾燥させて、正極を得た。
[電池の作製]
上記で作製した正極と、負極とを対向させ、この間にセパレータ(ポリプロピレン製の微多孔膜、膜厚20μm)を配置した。次いで、負極、セパレータ、および正極の積層体をコインセル(CR2032、材質:ステンレス鋼(SUS316))の底部側に配置した。さらに、正極と負極との間の絶縁性を保つためガスケットを装着し、下記電解液をシリンジにより注入し、スプリング及びスペーサを積層し、コインセルの上部側を重ねあわせ、かしこめることにより密閉して、リチウムイオン二次電池を得た。
なお、上記電解液としては、エチレンカーボネート(EC)およびジエチルカーボネート(DEC)を、EC:DC=1:2(体積比)の割合で混合した有機溶媒に、支持塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を、濃度が1mol/Lとなるように溶解させたものを用いた。
(実施例1−2)
負極の導電助剤を液相法炭素繊維であるカーボンナノチューブに変更したことを除いては、実施例1−1と同様の方法で負極および電池を作製した。
(実施例1−3)
負極の導電助剤を気相法炭素繊維である黒鉛ファイバーに変更したことを除いては、実施例1−1と同様の方法で負極および電池を作製した。
(比較例1−1)
負極の導電助剤を長鎖状カーボンブラックである長鎖状アセチレンブラックに変更したことを除いては、実施例1−1と同様の方法で負極および電池を作製した。
(比較例1−2)
負極の導電助剤を人造黒鉛に変更したことを除いては、実施例1−1と同様の方法で負極および電池を作製した。
(比較例1−3)
負極の導電助剤をケッチェンブラックに変更したことを除いては、実施例1−1と同様の方法で負極および電池を作製した。
(比較例1−4)
負極の導電助剤を気相法炭素繊維である黒鉛ファイバーに変更し、負極活物質を純Si(純度99.999%)に変更したことを除いては、実施例1−1と同様の方法で負極および電池を作製した。
(比較例1−5)
負極活物質を純Si(純度99.999%)に変更し、負極のバインダをPVdFに変更したことを除いては、実施例1−1と同様の方法で負極および電池を作製した。
[負極活物質層の伸び(%)の測定]
上記で作製した各リチウムイオン二次電池について以下の方法で負極活物質層の伸び(%)の測定を行った。詳しくは、JIS K 7163(1994年)の引張試験方法に準じて測定した値により、負極活物質層の伸び(%)を測定した。なお、以下の実施例及び比較例で作製した各リチウムイオン二次電池についても上記と同様にして負極活物質層の伸び(%)の測定を行った。
<性能評価>
[サイクル特性の評価]
上記で作製した各リチウムイオン二次電池について以下の方法でサイクル特性評価を行った。各電池について、30℃の雰囲気下、定電流方式(CC、電流:0.1C)で2.0Vまで充電し、10分間休止させた後、定電流(CC、電流:0.1C)で0.01Vまで放電し、放電後10分間休止させた。この充放電過程を1サイクルとし、100サイクルの充放電試験を行い、1サイクル目の放電容量に対する100サイクル目の放電容量の割合(放電容量維持率[%])を求めた。比較例1−1の放電容量維持率を100として、他の実施例及び比較例の放電容量維持率の割合を放電容量向上率(%)とした。得られた結果を下記の表3および図14に示す。
上記表3および図14の結果から、3元系のSi−Al−M系の合金を負極活物質に適用し、更に適切なバインダ種および導電助剤種を組み合わせることで、負極活物質層の伸びを所定範囲に設定できる。負極活物質層の伸び(δ)は1.29<δ<1.70%の範囲とすることで、放電容量向上率の改善を図ることができることがわかった。伸び(δ)を1.40≦δ<1.70%、好ましくは1.40≦δ≦1.66%、より好ましくは1.40≦δ≦1.57%、更に好ましくは1.47≦δ≦1.57%、特に好ましくは1.53≦δ≦1.57%の範囲とすることで放電容量向上率をより改善できる。実施例1−1〜1−3と比較例1−1〜1−3を対比参照のこと)。
特に、負極活物質として純Siに代えて、3元系のSi−Al−M系の合金を用いることで、格段に放電容量向上率の改善を図ることができることも確認できた。(図14の実施例1−1〜1−3及び比較例1−1〜1−3のグラフと比較例1−4〜1−5のデータとが乖離している点を対比参照のこと)。
次に、以下の実施例2では、上記Si合金のうちSi50Al47(参考例AのサンプルNo.8に相当)を負極活物質として用い、これを各種のバインダとともに含む負極活物質層を有する電気デバイス用負極についての性能評価を行った。
(実施例2−1)
[Si合金の製造]
Si合金は、メカニカルアロイ法(または、アークプラズマ溶融法)により製造した。具体的には、ドイツ フリッチュ社製遊星ボールミル装置P−6を用いて、ジルコニア製粉砕ポットにジルコニア製粉砕ボールと各合金の各原料粉末を投入し、600rpm、48hかけて合金化させた。
[負極の作製]
負極活物質80質量部と、導電助剤5質量部と、バインダ15質量部とを混合し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて負極スラリーを得た。ここで、負極活物質には、上記で製造したSi合金(Si50Al47、平均粒子径0.3μm)を用いた。また導電助剤には短鎖状カーボンブラックとして短鎖状アセチレンブラックを用い、バインダにはポリアミドイミド(E弾性率2.00GPa)を用いた。次いで、得られた負極スラリーを、10μmの銅箔(弾性伸び1.4%)よりなる負極集電体の両面にそれぞれ負極活物質層の厚さが30μmとなるように均一に塗布し、真空中で24時間乾燥させて、負極を得た。
[正極の作製]
正極活物質90質量部と、導電助剤5質量部と、バインダ5質量部とを混合し、NMPに分散させて正極スラリーを得た。ここで、正極活物質には、Li1.85Ni0.18Co0.10Mn0.87を、特開2012−185913号公報の実施例1(段落0046)に記載の手法により作製した。また導電助剤にはアセチレンブラックを用い、バインダにはポリフッ化ビニリデン(PVdF)を用いた。次いで、得られた正極スラリーを、厚さ20μmのアルミニウム箔よりなる正極集電体の両面にそれぞれ正極活物質層の厚さが30μmとなるように均一に塗布し、乾燥させて、正極を得た。
[電池の作製]
上記で作製した正極と、負極とを対向させ、この間にセパレータ(ポリプロピレン製の微多孔膜、膜厚20μm)を配置した。次いで、負極、セパレータ、および正極の積層体をコインセル(CR2032、材質:ステンレス鋼(SUS316))の底部側に配置した。さらに、正極と負極との間の絶縁性を保つためガスケットを装着し、下記電解液をシリンジにより注入し、スプリングおよびスペーサを積層し、コインセルの上部側を重ねあわせ、かしこめることにより密閉して、リチウムイオン二次電池を得た。
なお、上記電解液としては、エチレンカーボネート(EC)およびジエチルカーボネート(DEC)を、EC:DC=1:2(体積比)の割合で混合した有機溶媒に、支持塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を、濃度が1mol/Lとなるように溶解させたものを用いた。
(実施例2−2)
バインダとして、ポリアミドイミド(E弾性率2.00GPa)に代えてポリイミド(E弾性率2.10GPa)を用いたことを除いては、実施例2−1と同様の方法で負極および電池を作製した。
(実施例2−3)
バインダとして、ポリアミドイミド(E弾性率2.00GPa)に代えてポリイミド(E弾性率3.30GPa)を用いたことを除いては、実施例2−1と同様の方法で負極および電池を作製した。
(実施例2−4)
バインダとして、ポリアミドイミド(E弾性率2.00GPa)に代えてポリイミド(E弾性率3.73GPa)を用いたことを除いては、実施例2−1と同様の方法で負極および電池を作製した。
(実施例2−5)
バインダとして、ポリアミドイミド(E弾性率2.00GPa)に代えてポリイミド(E弾性率7.00GPa)を用いたことを除いては、実施例2−1と同様の方法で負極および電池を作製した。
(比較例2−1)
バインダとして、ポリアミドイミド(E弾性率2.00GPa)に代えてポリフッ化ビニリデン(PVdF)(E弾性率1.00GPa)を用いたことを除いては、実施例2−1と同様の方法で負極および電池を作製した。
(比較例2−2)
バインダとして、ポリアミドイミド(E弾性率2.00GPa)に代えてポリイミド(E弾性率7.40GPa)を用いたことを除いては、実施例2−1と同様の方法で負極および電池を作製した。
(比較例2−3)
負極活物質として、Si合金に代えて純Siを用いたことを除いては、実施例2−4と同様の方法で負極および電池を作製した。
(比較例2−4)
負極活物質として、Si合金に代えて純Siを用いたことを除いては、比較例2−1と同様の方法で負極および電池を作製した。
<性能評価>
[放電容量の評価]
上記で作製した各リチウムイオン二次電池について以下の方法でサイクル特性評価を行った。各電池について、30℃の雰囲気下、定電流方式(CC、電流:0.1C)で2.0Vまで充電し、10分間休止させた後、定電流(CC、電流:0.1C)で0.01Vまで放電し、放電後10分間休止させた。この充放電過程を1サイクルとし、50サイクルの充放電試験を行い、1サイクル目の放電容量に対する50サイクル目の放電容量の割合(放電容量維持率[%])を求めた。得られた放電容量維持率の結果を、比較例2−1の放電容量維持率を100としたときの相対値(放電容量維持率の向上率)として、下記の表4および図15に示す。
上記表4および図15の結果から、所定範囲のE弾性率を有するバインダを含む実施例2−1〜2−5に係る電池は、高いサイクル特性を示すことが理解される。
次に、以下の実施例3では、上記Si合金のうちSi50Al47(参考例AのサンプルNo.8に相当)を負極活物質として用い、集電体の種類(弾性伸び)を替えた電気デバイス用負極についての性能評価を行った。
(実施例3−1)
[Si合金の製造]
上記Si合金は、メカニカルアロイ法(または、アークプラズマ溶融法)により製造した。具体的には、ドイツ フリッチュ社製遊星ボールミル装置P−6を用いて、ジルコニア製粉砕ポットにジルコニア製粉砕ボールと各合金の各原料粉末を投入し、600rpm、48hかけて合金化させた。
[負極の作製]
負極活物質80質量部、導電助剤5質量部、およびバインダ材料15質量部を溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中で混合し、負極活物質スラリーを調製した。ここで、負極活物質には、上記で製造したSi合金粉末(Si50Al47、一次粒子の平均粒子径0.3μm)を用いた。また、導電助剤には、短鎖状カーボンブラックとして短鎖状アセチレンブラックを用い、バインダにはポリイミド(E弾性率2.1GPa)を用いた。
弾性伸び1.43%、引張強度580N/mmである厚さ10μmの銅合金箔(銅合金1:Cr、Sn、Znがそれぞれ約0.3質量%添加されたCu)を準備した。
本実施例において、集電体の弾性伸び(%)および引張強度(N/mm)は、INSTRON社製デジタル材料試験機5565型を用いて、試験速度10mm/min、チャック間50mmにて測定した。サンプルは、全長70mm、平行部幅5mmの楔形に成形した集電箔を用いた。
得られた負極活物質スラリーを、上記の銅合金箔(銅合金1)の両面に、乾燥後の厚さがそれぞれ50μmとなるように塗布し、真空中で24時間乾燥させて、負極を得た。
(実施例3−2)
負極集電体として、弾性伸び1.53%、引張強度450N/mmである厚さ10μmの銅合金箔(銅合金2:Zrが約0.3質量%添加されたCu)を用いた以外は、実施例3−1と同様の方法で負極を作製した。
(実施例3−3)
負極集電体として、弾性伸び1.39%、引張強度420N/mmである厚さ10μmの銅合金箔(銅合金3:Zrが約0.1質量%添加されたCu)を用いた以外は、実施例3−1と同様の方法で負極を作製した。
(比較例3−1)
負極集電体として、弾性伸び1.28%、引張強度139N/mmである厚さ10μmの銅箔(タフピッチ銅:Cuの純度が99.9質量%以上)を用いた以外は、実施例3−1と同様の方法で負極を作製した。
(比較例3−2)
負極活物質としてケイ素(純Si)粉末(純度:99.999質量%、一次粒子の平均粒子径45μm)80質量部を用いた以外は、比較例3−1と同様の方法で負極を作製した。
(比較例3−3)
バインダ材料としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を用いたことを除いては、比較例3−2と同様の方法で負極を作製した。
[正極の作製]
正極活物質であるLi1.85Ni0.18Co0.10Mn0.87を、特開2012−185913号公報の実施例1(段落0046)に記載の手法により作製した。そして、この正極活物質90質量部と、導電助剤であるアセチレンブラック5質量部と、バインダであるポリフッ化ビニリデン(PVdF)5質量部と、を混合し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて正極スラリーを得た。次いで、得られた正極スラリーを、厚さ20μmのアルミニウム箔よりなる正極集電体の両面にそれぞれ正極活物質層の厚さが30μmとなるように均一に塗布し、乾燥させて、正極を得た。
[電池の作製]
上記で作製した正極と、負極とを対向させ、この間にセパレータ(ポリプロピレン製の微多孔膜、膜厚20μm)を配置した。次いで、負極、セパレータ、および正極の積層体をコインセル(CR2032、材質:ステンレス鋼(SUS316))の底部側に配置した。さらに、正極と負極との間の絶縁性を保つためガスケットを装着し、下記電解液をシリンジにより注入し、スプリングおよびスペーサを積層し、コインセルの上部側を重ねあわせ、かしこめることにより密閉して、リチウムイオン二次電池を得た。
なお、上記電解液としては、エチレンカーボネート(EC)およびジエチルカーボネート(DEC)を、EC:DC=1:2(体積比)の割合で混合した有機溶媒に、支持塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を、濃度が1mol/Lとなるように溶解させたものを用いた。
[電池の充放電試験]
参考例Aと同様の方法で電池の充放電試験を行った。
すなわち、充放電試験機(北斗電工株式会社製HJ0501SM8A)を使用し、300K(27℃)の温度に設定された恒温槽(エスペック株式会社製PFU−3K)中にて、充電過程(評価対象である負極へのLi挿入過程)では、定電流・定電圧モードとして、0.1mAにて2Vから10mVまで充電した。その後、放電過程(上記負極からのLi脱離過程)では、定電流モードとし、0.1mA、10mVから2Vまで放電した。以上の充放電サイクルを1サイクルとして、これを50回繰り返した。
そして、50サイクル目の放電容量を求め、1サイクル目の放電容量に対する放電容量維持率(%)を算出した。50サイクル目の「放電容量維持率(%)」は、「初期容量からどれだけ容量を維持しているか」の指標を表す。放電容量維持率(%)の計算式は下記の通りである。
さらに、得られた放電容量維持率(%)の結果を、比較例3−1の放電容量維持率を100としたときの割合(放電容量維持率の向上率(%))として、下記の表5および図16に示す。
表5および図16の結果から、弾性伸びが1.30%以上の集電体を用いた実施例3−1〜3−3の電池では、比較例3−1〜3−3の電池と比較して高い放電容量維持率を実現できることが確認できた。これは、実施例3−1〜3−3で用いた集電体が、電池の充放電に伴うSi合金を含む負極活物質層の体積変化に弾性的に追随することで、電極層の変形が抑制されたためであると考えられる。特に、集電体の弾性伸びが1.40%以上、または1.50%以上である実施例3−1、3−2においては、より高い放電容量維持率が得られた。
一方で、弾性伸びが所定の値以下の集電体を用いた比較例3−1の電池では、電池の充放電に伴う負極活物質層の体積変化に伴って集電体が塑性変形しやすくなり、その結果、負極活物質層がゆがみ、負極の平面方向において正極との均一な電極間距離を維持することが難しくなってしまい、高い放電容量維持率が得られなかったものと考えられる。
また、負極活物質として純Siを用いた比較例3−2の電池では、電池の充放電に伴う負極活物質の膨張・収縮による体積変化が、Si合金の場合よりも大きい。そのため、負極活物質層の体積変化がより大きいため、負極活物質層の体積変化に集電体が追随できないことに起因する容量の低下がより大きくなっているものと考えられる。
さらに、負極活物質層のバインダとしてPVdFを用いた比較例3−3の電池では、放電容量維持率がより低くなっている。これは、比較例3−3で用いたバインダであるPVdFの弾性率(1.0GPa)が、実施例3−1〜3−3、比較例3−1、3−2で用いたポリイミドの弾性率(3.73GPa)よりも小さいため、充放電に伴う活物質の膨張・収縮にバインダが追随できず、負極活物質層の体積変化が大きくなるためと考えられる。その結果、負極活物質層の体積変化に集電体が追随できないことによる容量の低下がさらに大きくなると考えられる。
次に、以下の実施例4では、上記した上記Si合金のうちSi50Al47(参考例AのサンプルNo.8に相当)を用いて、黒鉛と混合してなる負極活物質を含む電気デバイス用負極についての性能評価を行った。
(実施例4−1)
[Si合金の製造]
Si合金は、メカニカルアロイ法(または、アークプラズマ溶融法)により製造した。具体的には、ドイツ フリッチュ社製遊星ボールミル装置PP−6を用いて、ジルコニア製粉砕ポットにジルコニア製粉砕ボールと各合金の各原料粉末を投入し、600rpm、48hかけて合金化させた。
[負極の作製]
負極活物質である上記で製造したSi合金(Si50Al47、平均粒子径0.3μm)2.76質量部および黒鉛(天然黒鉛;平均粒子径22μm)89.24質量部と、導電助剤である短鎖状アセチレンブラック4質量部と、バインダであるポリイミド(E弾性率2.1GPa)4質量部と、を混合し、N−メチルピロリドンに分散させて負極スラリーを得た。次いで、得られた負極スラリーを、厚さ10μmの銅箔(弾性伸び1.4%)よりなる負極集電体の両面にそれぞれ負極活物質層の厚さが30μmとなるように均一に塗布し、真空中で24時間乾燥させて、負極を得た。なお、負極活物質中のSi合金の含有率は、3%である。
[正極の作製]
正極活物質であるLi1.85Ni0.18Co0.10Mn0.87を、特開2012−185913号公報の実施例1(段落0046)に記載の手法により作製した。そして、この正極活物質90質量部と、導電助剤であるアセチレンブラック5質量部と、バインダであるポリフッ化ビニリデン5質量部と、を混合し、N−メチルピロリドンに分散させて正極スラリーを得た。次いで、得られた正極スラリーを、厚さ20μmのアルミニウム箔よりなる正極集電体の両面にそれぞれ正極活物質層の厚さが30μmとなるように均一に塗布し、乾燥させて、正極を得た。
[電池の作製]
上記で作製した正極と、負極とを対向させ、この間にセパレータ(ポリプロピレン製の微多孔膜、膜厚20μm)を配置した。次いで、負極、セパレータ、および正極の積層体をコインセル(CR2032、材質:ステンレス鋼(SUS316))の底部側に配置した。さらに、正極と負極との間の絶縁性を保つためガスケットを装着し、下記電解液をシリンジにより注入し、スプリング及びスペーサを積層し、コインセルの上部側を重ねあわせ、かしめることにより密閉して、リチウムイオン二次電池を得た。
なお、上記電解液としては、エチレンカーボネート(EC)およびジエチルカーボネート(DEC)を、EC:DC=1:2(体積比)の割合で混合した有機溶媒に、支持塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を、濃度が1mol/Lとなるように溶解させたものを用いた。
(実施例4−2)
Si合金を4.6質量部に変更し、黒鉛を87.4質量部に変更したことを除いては、実施例4−1と同様の方法で負極および電池を作製した。なお、負極活物質中のSi合金の含有率は、5%である。
(実施例4−3)
Si合金を6.4質量部に変更し、黒鉛を85.5質量部に変更したことを除いては、実施例4−1と同様の方法で負極および電池を作製した。なお、負極活物質中のSi合金の含有率は、7%である。
(実施例4−4)
Si合金を9.2質量部に変更し、黒鉛を82.8質量部に変更したことを除いては、実施例4−1と同様の方法で負極および電池を作製した。なお、負極活物質中のSi合金の含有率は、10%である。
(実施例4−5)
Si合金を11.0質量部に変更し、黒鉛を80.96質量部に変更したことを除いては、実施例4−1と同様の方法で負極および電池を作製した。なお、負極活物質中のSi合金の含有率は、12%である。
(実施例4−6)
Si合金を13.8質量部に変更し、黒鉛を78.2質量部に変更したことを除いては、実施例4−1と同様の方法で負極および電池を作製した。なお、負極活物質中のSi合金の含有率は、15%である。
(実施例4−7)
Si合金を18.4質量部に変更し、黒鉛を73.6質量部に変更したことを除いては、実施例4−1と同様の方法で負極および電池を作製した。なお、負極活物質中のSi合金の含有率は、20%である。
(実施例4−8)
Si合金を23.0質量部に変更し、黒鉛を69.0質量部に変更したことを除いては、実施例4−1と同様の方法で負極および電池を作製した。なお、負極活物質中のSi合金の含有率は、25%である。
(実施例4−9)
Si合金を27.6質量部に変更し、黒鉛を64.4質量部に変更したことを除いては、実施例4−1と同様の方法で負極および電池を作製した。なお、負極活物質中のSi合金の含有率は、30%である。
(実施例4−10)
Si合金を36.8質量部に変更し、黒鉛を55.2質量部に変更したことを除いては、実施例4−1と同様の方法で負極および電池を作製した。なお、負極活物質中のSi合金の含有率は、40%である。
(実施例4−11)
Si合金を46.0質量部に変更し、黒鉛を46.0質量部に変更したことを除いては、実施例4−1と同様の方法で負極および電池を作製した。なお、負極活物質中のSi合金の含有率は、50%である。
(実施例4−12)
Si合金を55.2質量部に変更し、黒鉛を36.8質量部に変更したことを除いては、実施例4−1と同様の方法で負極および電池を作製した。なお、負極活物質中のSi合金の含有率は、60%である。
(実施例4−13)
Si合金を64.4質量部に変更し、黒鉛を27.6質量部に変更したことを除いては、実施例4−1と同様の方法で負極および電池を作製した。なお、負極活物質中のSi合金の含有率は、70%である。
<性能評価>
[サイクル特性の評価]
上記で作製した各リチウムイオン二次電池について以下の方法でサイクル特性評価を行った。各電池について、30℃の雰囲気下、定電流方式(CC、電流:0.1C)で2.0Vまで充電し、10分間休止させた後、定電流(CC、電流:0.1C)で0.01Vまで放電し、放電後10分間休止させた。この充放電過程を1サイクルとし、100サイクルの充放電試験を行い、1サイクル目の放電容量に対する100サイクル目の放電容量の割合(放電容量維持率[%])を求めた。得られた結果を下記の表6および図17に示す。
[エネルギー密度の評価]
上記で作製した各リチウムイオン二次電池について以下の方法でサイクル特性評価を行った。各電池について、まず初期充放電として正極の理論容量に対して0.2C相当の電流で、定電流充電後、4.2Vの定電圧充電を合計10時間行い、その後0.2Cの放電電流にて2.7Vまで定電流放電を行った。このときの充放電曲線から電池のエネルギーを算出し、電池質量で除して電池のエネルギー密度を算出した。得られた結果を下記の表6および図17に示す。
上記表6および図17の結果から、実施例4−1〜4−13におけるSi合金および黒鉛を混合されてなる負極活物質を用いた電池は、高いサイクル特性を維持しつつ、かつ、初期容量も高くバランスよい特性を示すことが理解される。
10、50 リチウムイオン二次電池(積層型電池)、
11 正極集電体、
12 負極集電体、
13 正極活物質層、
15 負極活物質層、
17 電解質層、
19 単電池層、
21、57 発電要素、
25、58 正極集電板、
27、59 負極集電板、
29、52 電池外装材(ラミネートフィルム)。

Claims (19)

  1. 集電体と、前記集電体の表面に配置された負極活物質、導電助剤、およびバインダを含む電極層と、を有する電気デバイス用負極であって、
    前記負極活物質が、下記式(1):
    (上記式(1)において、
    Mは、C、Nbおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの金属であり、
    前記Aは、不可避不純物であり、
    x、y、z、およびaは、質量%の値を表し、この際、0<x<100、0<y<100、0<z<100、および0≦a<0.5であり、x+y+z+a=100である。)
    で表される合金を含み、
    かつ、電極層における伸び(δ)が、1.29<δ<1.70%であることを特徴とする電気デバイス用負極。
  2. 前記δが、1.40≦δ<1.70%であることを特徴とする請求項1に記載の電気デバイス用負極。
  3. 前記δが、1.40≦δ≦1.66%であることを特徴とする請求項1または2に記載の電気デバイス用負極。
  4. 前記δが、1.40≦δ≦1.57%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気デバイス用負極。
  5. 前記δが、1.47≦δ≦1.57%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気デバイス用負極。
  6. 前記δが、1.53≦δ≦1.57%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気デバイス用負極。
  7. 前記バインダが、1.00GPa超7.40GPa未満のE弾性率を有する樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気デバイス用負極。
  8. 前記集電体の弾性伸びが、1.30%以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気デバイス用負極。
  9. 前記負極活物質が、前記式(1)で表される合金と、炭素系材料とが混合されてなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電気デバイス用負極。
  10. 前記Mが、Cであり、
    前記x、y、およびzが、36≦x<100であり、0<y<64であり、0<z<64である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の電気デバイス用負極。
  11. 前記x、y、およびzが、36≦x≦80であり、10≦y≦56であり、3≦z≦37である、請求項10に記載の電気デバイス用負極。
  12. 前記x、y、およびzが、41≦x≦71であり、10≦y≦56であり、3≦z≦29である、請求項10または11に記載の電気デバイス用負極。
  13. 前記yが15以上である、請求項12に記載の電気デバイス用負極。
  14. 前記xが43〜61であり、前記yが20〜54である、請求項12に記載の電気デバイス用負極。
  15. 前記Mが、Nbであり、
    前記x、yおよびzが、27<x<100であり、0<y<73であり、0<z<58である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の電気デバイス用の負極。
  16. 前記x、yおよびzが、47<x<95であり、2<y<48であり、1<z<23である、請求項15に記載の電気デバイス用負極。
  17. 前記x、y、およびzが、61<x<84であり、2<y<25であり、2<z<23である、請求項15または16に記載の電気デバイス用負極。
  18. 前記x、y、およびzが、47<x<56であり、33<y<48であり、1<z<16である、請求項15または16に記載の電気デバイス用負極。
  19. 請求項1〜18のいずれか1項に記載の電気デバイス用負極を含む、電気デバイス。
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