本実施形態の流体評価装置によれば、照射手段は、被測定対象に対してレーザ光を照射する。被測定対象の内部には、流体が流れている。レーザ光は、当該流体に対して照射されることが好ましい。尚、被測定対象及び流体の一例として、人間や動物等の生体及び血液があげられる。或いは、被測定対象及び流体の他の一例として、血液が流れる人工的な管路及び血液があげられる。或いは、被測定対象及び流体の他の一例として、光が透過可能な窓を有する管及び透明状のチューブ並びに当該管内又は当該チューブ内を流れる流体(例えば、インクや油や汚水や調味料等の光を散乱する散乱体を少なくとも構成要素として含む流体)があげられる。
受光手段は、照射手段によって被測定対象に照射されたレーザ光を受光する。具体的には、例えば、受光手段は、被測定対象によって散乱されたレーザ光(いわゆる、散乱光)を受光する。このとき、受光手段は、被測定対象を透過してきたレーザ光(いわゆる、透過光に相当する前方散乱光)を受光してもよいし、被測定対象によって反射されたレーザ光(いわゆる、反射光に相当する後方散乱光)を受光してもよい。その結果、受光手段からは、受光したレーザ光(特に、当該レーザ光の散乱光)に応じた受光信号が出力される。
第1算出手段は、受光信号の信号強度(例えば、平均信号強度又は受信信号に含まれるDC成分の信号強度等)に基づく第1受光信号(言い換えれば、受光信号の信号強度を示す信号成分に相当する第1受光信号)から、流体の濃度を算出する。例えば、受光手段が被測定対象を透過してきたレーザ光(つまり、前方散乱光)を受光する場合には、流体の濃度が高ければ高いほど(つまり、レーザ光の透過を妨げる散乱体等が流体内に多く含まれていればいるほど)、受光信号の信号強度(例えば、第1受光信号の振幅値又はピーク値)は小さくなる。或いは、例えば、受光手段が被測定対象によって反射されたレーザ光(つまり、後方散乱光)を受光する場合には、流体の濃度が高ければ高いほど(つまり、レーザ光を反射させる散乱体等が流体内に多く含まれていればいるほど)、受光信号の信号強度は大きくなる。第1算出手段は、このような受光信号の信号強度と濃度との間の関係を用いて、濃度を算出する。
尚、このような受光信号の信号強度と濃度との間の関係を用いて濃度が算出されているため、本実施形態における「流体の濃度」とは、流体内に含まれている散乱体の濃度に相当する。
第2算出手段は、被測定対象に照射されたレーザ光(特に、当該レーザ光の散乱光)のドップラシフトに起因する受光信号の周波数変化に基づく第2受光信号(言い換えれば、受光信号の周波数変化を含む信号成分に相当する第2受光信号)から、流体の流量及び流体の流速の少なくとも一方を算出する。具体的には、例えば、レーザ光が被測定対象に照射されると、被測定対象の内部の流体の流れに起因した散乱光が発生する。この散乱光は、流体に含まれている散乱体(特に、移動している散乱体)により散乱された散乱光と、他の固定組織(特に、皮膚組織や窓や流路を形成する透明チューブ等の移動していない組織)により散乱された散乱光とを含んでいる。移動している散乱体により散乱した散乱光の周波数は、他の固定組織により散乱された散乱光の周波数と比較して、流体の流速に対応したレーザドップラ作用によって変化している。これら2種類の散乱光の相互干渉により、受光信号には、いわゆる周波数差分信号に相当する信号成分が含まれている。この信号成分が解析されることで、流量及び流速の少なくとも一方が算出される。
本実施形態では特に、第2算出手段は、レーザ光のドップラシフトに起因する受光信号の周波数変化に基づく第2受光信号に加えて、第1算出手段が算出した濃度にも基づいて、流量及び流速の少なくとも一方を算出する。例えば、第2算出手段は、従来は、受光信号の周波数変化が同一である場合には、同一の流量(又は、同一の流速)を算出している。しかしながら、本実施形態では、第2算出手段は、受光信号の周波数変化が同一である場合であっても、濃度が異なる場合には、異なる流量(又は、異なる流速)を算出してもよい。例えば、周波数変化が所定の態様であり且つ濃度が第1の濃度である場合に第2算出手段が第1の流量(又は、第1の流速)を算出すると仮定すると、周波数変化が所定の態様であり且つ濃度が第1の濃度とは異なる第2の濃度である場合には、第2算出手段は、第1の流量とは異なる第2の流量(又は、第1の流速とは異なる第2の流速)を算出してもよい。
仮に、第1算出手段が算出した濃度に基づくことなく流量及び流速の少なくとも一方が算出される場合には、流量及び流速の少なくとも一方が好適に算出されないおそれがある。というのも、流体の濃度が相対的に低い場合には、流体中を移動する散乱体の単位体積あたりの個数が少ないので、散乱体の移動により生じるレーザ光のドップラシフトに起因する受光信号中に含まれる光ビート信号のパワーが低下する。一方、被測定対象に照射されたレーザ光の散乱光の受光結果である受光信号を増幅する増幅器の入力端子の寄生容量に起因したノイズのパワーは変化しないので、ノイズによる影響が相対的に大きくなるからである。つまり、流体の濃度が相対的に低い場合には、増幅器の入力端子の寄生容量に起因したノイズによる影響を強く受けて、被測定対象に照射されたレーザ光の散乱光の受光結果である受光信号の周波数変化が、本来現れるべき周波数変化とは異なるものとなってしまうおそれがあるからである。尚、流体の濃度が相対的に高い場合においても、同様の技術的問題は相応に発生する可能性がある。従って、流体の濃度に依存して、被測定対象に照射されたレーザ光の散乱光の受光結果である受光信号の周波数変化が、本来現れるべき周波数変化から意図せず変化してしまうおそれがある。しかるに、本実施形態の流体評価装置は、このようなノイズの影響を排除するべく流体の濃度を参照しているため、流量及び流速の少なくとも一方を好適に算出することができる。
このように、本実施形態の流体評価装置は、流体の濃度を考慮しながら流体の流量及び流体の流速の少なくとも一方を好適に(言い換えれば、高精度に)算出することができる。特に、本実施形態の流体評価装置は、人工透析時に用いられる生体の外部の管路(例えば、透明状のチューブ)を流れる血液(つまり、濃度(例えば、赤血球の濃度等)が相対的に変動しやすい血液)が流体の一例となる場合においても、当該流体(つまり、血液)の流量及び流速の少なくとも一方を好適に算出することができる。もちろん、本実施形態の流体評価装置は、生体の血管内を流れる血液(つまり、濃度が相対的に変動しにくい血液)が流体の一例となる場合においても、当該流体(つまり、血液)の流量及び流速の少なくとも一方を好適に算出することができる。
尚、流体が流れる流路が同一であるという条件下では、流体の流量と流体の流速とは正の相関を有する。つまり、ある流路を流れる流体の流量が多くなれば、当該流路を流れる流体の流速は速くなる一方で、ある流路を流れる流体の流量が少なくなれば、当該流路を流れる流体の流速は遅くなるという相関を有する。従って、流量の算出と流速の算出とは実質的に同一であると言える。つまり、流速の算出は、実質的には、流量の間接的な算出に相当し、流量の算出は、実質的には、流速の間接的な算出に相当する。
この態様によれば、照射手段が、主として濃度を算出するために用いられる第1照射手段と、主として流量及び流速の少なくとも一方を算出するために用いられる第2照射手段とに分離される。従って、第1照射手段は、流量及び流速の少なくとも一方の算出をあまり考慮することなく、濃度の算出に適した計測光(例えば、流体の一例である血流中の酸素飽和度に依存しない805nmの光)を照射することができる。一方で、第2照射手段は、濃度の算出をあまり考慮することなく、流量及び流速の少なくとも一方の算出に適したレーザ光(例えば、単色性及び干渉性が高く且つ広く流通している半導体レーザから照射可能な780nmの光)を照射することができる。
この態様によれば、受光手段が、主として濃度を算出するために用いられる第1受光手段と、主として流量及び流速の少なくとも一方を算出するために用いられる第2受光手段とに分離される。
この態様によれば、照射手段が、主として濃度を算出するために用いられる第1照射手段と、主として流量及び流速の少なくとも一方を算出するために用いられる第2照射手段とに分離される。さらに、受光手段が、主として濃度を算出するために用いられる第1受光手段と、主として流量及び流速の少なくとも一方を算出するために用いられる第2受光手段とに分離される。
この態様によれば、主として濃度を算出するために用いられる第1受光手段の受光面積が相対的に大きくなる。このため、濃度を検出するために用いられる第1受光信号のS/N比を相対的に向上させることができる。一方で、主として流量及び流速の少なくとも一方を算出するために用いられる第2受光手段の受光面積が相対的に小さくなる。このため、流量及び流速の少なくとも一方の算出精度を低下させる一因となる増幅器のノイズの影響(より具体的には、当該ノイズを発生させる一因となる増幅器の入力端子の寄生容量)を相対的に低減することができる。)
尚、第1受光手段及び第2受光手段の双方が好適にレーザ光及び計測光の少なくとも一方を受光することができるように、受光面積が相対的に小さくなる第2受光手段と照射手段との間の距離は、受光面積が相対的に大きくなる第1受光手段と照射手段との間の距離よりも短くなってもよい。言い換えれば、受光面積が相対的に小さくなる第2受光手段は、可能な限り照射手段に近接していることが好ましい。
この態様によれば、第2算出手段は、相関情報に基づいて、比較的容易に、流量及び流速の少なくとも一方を好適に算出することができる。具体的には、第2算出手段は、第1算出手段が算出した濃度に応じた相関関係を参照することで、周波数変化から流量及び流速の少なくとも一方を比較的容易に算出することができる。
この態様によれば、第2算出手段は、相関情報に基づいて、比較的容易に、流量及び流速の少なくとも一方を好適に算出することができる。具体的には、第2算出手段は、第1算出手段が算出した濃度に応じた相関関係を参照することで、周波数変化を解析することで得られる平均周波数から流量及び流速の少なくとも一方を比較的容易に算出することができる。
尚、第2算出手段は、周波数変化を解析することで得られる任意のパラメータと流量及び流速の少なくとも一方との間の相関関係を濃度別に規定する相関情報に基づいて、流量及び流速の少なくとも一方を算出してもよい。
この態様によれば、第2算出手段は、このような相関情報に基づいて、比較的容易に、流量及び流速の少なくとも一方を好適に算出することができる。具体的には、周波数変化を解析することで得られる平均周波数が第1周波数である場合を例に挙げて説明する。この場合、濃度が相対的に低い第1濃度である場合には、第2算出手段は、相対的に小さい流量である第1流量及び相対的に小さい流速である第1流速の少なくとも一方を算出する。他方で、濃度が相対的に高い第2濃度である場合には、第2算出手段は、相対的に大きい流量である第2流量及び相対的に大きい流速である第2流速の少なくとも一方算出する。
尚、この態様の相関情報は、流量及び流速の少なくとも一方が同一である状況下において、濃度が相対的に低い場合の平均周波数が、濃度が相対的に高い場合の平均周波数よりも高くなるように、平均周波数と流量及び流速の少なくとも一方との間の相関関係を濃度別に規定しているとも言える。
また、上述したように、第2算出手段は、周波数変化を解析することで得られる任意のパラメータと流量及び流速の少なくとも一方との間の相関関係を濃度別に規定する相関情報に基づいて、流量及び流速の少なくとも一方を算出してもよい。この場合、相関情報は、周波数変化を解析することで得られる任意のパラメータが同一である状況下において、濃度が相対的に低い場合に算出される流量及び流速の少なくとも一方が、濃度が相対的に高い場合に算出される流量及び流速の少なくとも一方よりも小さくなるように、任意のパラメータと流量及び流速の少なくとも一方との間の相関関係を濃度別に規定してもよい。
この態様によれば、第1算出手段は、相対的に低い周波数を有する受光信号の信号強度(言い換えれば、相対的に低い周波数の信号成分である信号強度)に基づいて、相対的に長い周期で(言い換えれば、相対的に低い頻度で)濃度を算出することができる。また、第2算出手段は、相対的に高い周波数を有する受光信号の周波数変化(言い換えれば、相対的に高い周波数の信号成分である周波数変化)に基づいて、相対的に短い周期で(言い換えれば、相対的に高い頻度で)流量及び流速の少なくとも一方を算出することができる。
この態様によれば、第1算出手段は、血液の濃度(例えば、散乱体である赤血球の濃度等)を算出することができる。また、第2算出手段は、血液の流量(つまり、血流量)及び血液の流速の少なくとも一方を算出することができる。
以上説明したように、本実施形態の流体評価装置は、照射手段と、受光手段と、第1算出手段と、第2算出手段とを備える。本実施形態の流体評価方法は、第1算出工程と、第2算出工程とを備える。従って、流体の濃度を考慮しながら流体の流量及び流体の流速の少なくとも一方が好適に(言い換えれば、高精度に)算出される。
以下、図面を参照しながら、流体評価装置の実施例について説明する。尚、以下では、流体評価装置を、人工透析装置の血流回路を構成するチューブ100の中を流れる血液の流量(つまり、血流量)を検出する血流量算出装置に適用した例について説明を進める。但し、流体評価装置は、生体の血管内を流れる血液の流量(つまり、血流量)や、血液以外の任意の流体(例えば、インクや油や汚水や調味料等)の流量を検出する任意の流量検出装置に適用されてもよい。
(1)第1実施例
はじめに、図1から図7を参照しながら、第1実施例の血流量算出装置1について説明を進める。
(1−1)血流量算出装置の構成
はじめに、図1を参照しながら、第1実施例の血流量算出装置1の構成について説明する。図1は、第1実施例の血流量算出装置1の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、第1実施例の血流量算出装置1は、レーザ素子11と、受光素子12と、増幅器13と、演算回路14とを備えている。
レーザ素子11は、「照射手段」の一具体例を構成しており、チューブ100に対してレーザ光LBを照射する。このとき、レーザ素子11は、チューブ100内の流路(つまり、血液が流れている流路)に対してレーザ光LBを照射することが好ましい。
受光素子12は、「受光手段」の一具体例を構成しており、チューブ100に照射されたレーザ光LBの散乱光を受光する。受光素子12が受光する散乱光には、チューブ100内を流れる血液(特に、当該血液に含まれる、移動している散乱体である血球)によって散乱された散乱光や、静止している組織(例えば、チューブ100自体)によって散乱された散乱光が含まれている。受光素子12は、受光した散乱光を電気信号に変換することで得られる受光信号を生成する。
増幅器13は、受光素子12から出力される電流信号である受光信号を、電圧信号に変換した上で増幅する。
演算回路14は、増幅器13の出力(つまり、受光素子12が受光した散乱光に応じた受光信号)に基づいて、チューブ100内を流れる血液の流量(つまり、血流量)Q及び血液の濃度(血流濃度)Nを算出する。血流量Q及び血流濃度Nを算出するために、演算回路14は、LPF(Low Pass Filter)141と、A/Dコンバータ142と、演算器143と、HPF(High Pass Filter)144と、A/Dコンバータ145と、演算器146とを備えている。
LPF141は、増幅器13の出力(つまり、受光素子12が受光した散乱光に応じた受光信号)に含まれる信号成分のうち低域信号成分以外の他の周波数帯域の信号成分をカットする。その結果、LPF141は、増幅器13の出力に含まれる信号成分のうちの低域信号成分に相当する光強度信号を、A/Dコンバータ142に出力する。尚、光強度信号は、受光素子12が受光した散乱光の光強度(例えば、平均的な光強度)を直接的に又は間接的に示す信号である。
尚、光強度信号は、例えば1kHz以下の周波数の信号成分であることが多い。従って、LPF141は、少なくとも光強度信号を通過する一方で光強度信号よりも高い周波数(例えば、1kHz以上)の信号成分をカットすることが可能なカットオフ周波数を有していることが好ましい。
A/Dコンバータ142は、LPF141から出力される光強度信号に対してA/D変換処理(つまり、量子化処理)を行う。その結果、A/Dコンバータ142は、受光素子12が受光した散乱光に応じた電圧信号に含まれている光強度信号のサンプル値(つまり、量子化された光強度信号)を、演算回路143に出力する。
演算回路143は、「第1算出手段」の一具体例を構成しており、A/Dコンバータ142の出力(つまり、受光素子12が受光した散乱光に応じた電圧信号に含まれている光強度信号のサンプル値)に基づいて、血流濃度Nを算出する。
HPF144は、増幅器13の出力(つまり、受光素子12が受光した散乱光に応じた受光信号)に含まれる信号成分のうち高域信号成分以外の他の周波数帯域の信号成分をカットする。その結果、HPF144は、増幅器13の出力に含まれる信号成分のうちの高域信号成分に相当するビート信号を、A/Dコンバータ145に出力する。尚、HPF144が取り出すビート信号は、例えば、移動している散乱体である血球によって散乱された散乱光と静止している組織によって散乱された散乱光との相互干渉によって生ずるビート信号である。
尚、ビート信号は、例えば1kHz以上の周波数の信号成分であることが多い。従って、HPF144は、少なくともビート信号を通過する一方でビート信号よりも低い周波数(例えば、1kHz以下)の信号成分をカットすることが可能なカットオフ周波数を有していることが好ましい。但し、HPF144に代えて、少なくともビート信号を通過する一方でビート信号の周波数よりも高い周波数の信号成分及びビート信号の周波数よりも低い周波数の信号成分の双方をカットすることが可能なBPF(Band Pass Filter)が用いられてもよい。
A/Dコンバータ145は、HPF144から出力されるビート信号に対してA/D変換処理(つまり、量子化処理)を行う。その結果、A/Dコンバータ145は、受光素子12が受光した散乱光に応じた電圧信号に含まれているビート信号のサンプル値(つまり、量子化されたビート信号)を、演算回路146に出力する。
演算回路146は、「第2算出手段」の一具体例を構成しており、A/Dコンバータ145の出力(つまり、受光素子12が受光した散乱光に応じた電圧信号に含まれているビート信号のサンプル値)に対して、FFT(Fast Fourier Transform)を用いた周波数解析を行う。その結果、演算回路146は、血流量Qを算出する。特に、第1実施例では、後に詳述するように、演算回路146は、A/Dコンバータ145の出力に対して行われるFFTを用いたビート信号の周波数解析の結果に加えて、演算回路143が算出した血流濃度Nにも基づいて、血流量Qを算出する。
尚、演算器143が算出した血流濃度N及び演算器146が算出した血流量Qは、血流量算出装置1の外部に(或いは、血流量算出装置1が内部に備える不図示の処理ブロックに)対して適切なタイミングで出力されてもよい。
(1−2)血流量算出装置の動作
続いて、図2を参照して、第1実施例の血流量算出装置1の動作の流れについて説明する。図2は、第1実施例の血流量算出装置1の動作の流れを示すフローチャートである。
図2に示すように、レーザ素子11は、チューブ100に対してレーザ光LBを照射する(ステップS11)。このとき、レーザ素子11は、チューブ100内の流路(つまり、血液が流れている流路)に対してレーザ光LBを照射することが好ましい。
その後、受光素子12は、チューブ100からのレーザ光LBの散乱光を受光する(ステップS12)。より具体的には、受光素子12は、チューブ100内を流れる血液(特に、当該血液に含まれる、移動している散乱体である血球)によって散乱された散乱光や、静止している組織(例えば、チューブ100自体)によって散乱された散乱光を受光する。尚、散乱光として、チューブ100に照射されたレーザ光LBの透過光に相当する前方散乱光が用いられてもよいし、チューブ100に照射されたレーザ光LBの反射光に相当する後方散乱光が用いられてもよい。
その後、受光素子12は、受光した散乱光を電気信号に変換することで得られる受光信号を生成する(ステップS12)。その後、受光素子12は、生成した受光信号を、増幅器13に出力する。
受光信号には、散乱光の光強度に相当する信号成分(つまり、上述した光強度信号であって、相対的に低域の信号成分)が含まれている。また、受光信号には、移動している散乱体である血球によって散乱された散乱光と静止している組織によって散乱された散乱光との相互干渉によって生ずるビート信号光に相当する信号成分(つまり、上述したビート信号であって、相対的に高域の信号成分)が含まれている。ここで、移動している散乱体である血球によって散乱された散乱光の周波数は、静止している組織によって散乱された散乱光の周波数と比較して、血液の流速vに対応したレーザドップラ作用によって変化している。従って、ビート信号光に相当する信号成分(つまり、ビート信号)は、血液の流速vに応じた周波数の変化を示す信号成分を含んでいる。
その後、増幅器13は、受光素子12から出力される受光信号(つまり、受光素子12が受光した散乱光に応じた受光信号)を、電圧信号に変換した上で増幅する(ステップS13)。その後、増幅器13は、増幅した受光信号を演算回路14に出力する。より具体的には、増幅器13は、増幅した受光信号を、LPF141及びHPF144の双方に出力する。
その後、LPF141は、増幅器13から出力される受光信号に含まれる信号成分のうち、低域信号成分以外の他の周波数帯域の信号成分をカットする。その結果、LPF141は、増幅器13の出力に含まれる信号成分のうちの低域信号成分に相当する光強度信号を取得する(ステップS14)。その後、LPF141は、取得した光強度信号を、A/Dコンバータ142に出力する。
その後、A/Dコンバータ142は、LPF141から出力される光強度信号に対してA/D変換処理(つまり、量子化処理)を行う(ステップS15)。具体的には、例えば、A/Dコンバータ142は、A/Dコンバータ142のサンプリング周期をTa1とすると、周期Ta1毎に、光強度信号のサンプル値(つまり、量子化された光強度信号)を出力する。その後、A/Dコンバータ142は、受光素子12が受光した散乱光の光強度に応じた光強度信号のサンプル値(つまり、量子化された光強度信号)を、演算器143に出力する。
その後、演算器143は、A/Dコンバータ142の出力(つまり受光素子12が受光した散乱光の光強度に応じた光強度信号のサンプル値)に基づいて、血流濃度Nを算出する(ステップS16)。
ここで、図3を参照して、光強度信号に基づく血流濃度Nの算出動作について説明する。図3は、受光素子12がレーザ光LBの前方散乱光を受光する場合の光強度信号と血流濃度Nとの間の相関関係及び受光素子12がレーザ光LBの後方散乱光を受光する場合の光強度信号と血流濃度Nとの間の相関関係を示すグラフである。
図3(a)は、受光素子12がレーザ光LBの前方散乱光を受光する場合の光強度信号(具体的には、光強度信号の信号レベル)と血流濃度Nとの間の相関関係を示している。受光素子12がレーザ光LBの前方散乱光を受光する場合には、血流濃度Nが高ければ高いほど、光強度信号の信号レベルは小さくなる。言い換えれば、受光素子12がレーザ光LBの前方散乱光を受光する場合には、血流濃度Nが低ければ低いほど、光強度信号の信号レベルは大きくなる。つまり、レーザ光LBの透過を妨げる散乱体である血球が血液内に多く含まれていればいるほど、光強度信号は小さくなる。
演算器143は、受光素子12がレーザ光LBの前方散乱光を受光する場合には、演算器143の内部に又は外部に予め保持している図3(a)に示す相関情報を参照することで、A/Dコンバータ142から出力される光強度信号に応じた血流濃度Nを算出する。例えば、A/Dコンバータ142から出力される光強度信号がP1である場合には、演算器143は、「NH1」という血流濃度Nを算出する。一方で、A/Dコンバータ142から出力される光強度信号がP2(但し、P1<P2)である場合には、演算器143は、「NL1(但し、NL1<NH1)」という血流濃度Nを算出する。
一方で、図3(b)は、受光素子12がレーザ光LBの後方散乱光を受光する場合の光強度信号(具体的には、光強度信号の信号レベル)と血流濃度Nとの間の相関関係を示している。受光素子12がレーザ光LBの後方散乱光を受光する場合には、血流濃度Nが高ければ高いほど、光強度信号の信号レベルは大きくなる。言い換えれば、受光素子12がレーザ光LBの後方散乱光を受光する場合には、血流濃度Nが低ければ低いほど、光強度信号の信号レベルは小さくなる。つまり、レーザ光LBを反射させる散乱体である血球が血液内に多く含まれていればいるほど、光強度信号は大きくなる。
演算器143は、受光素子12がレーザ光LBの後方散乱光を受光する場合には、演算器143の内部に又は外部に予め保持している図3(b)に示す相関情報を参照することで、A/Dコンバータ142から出力される光強度信号に応じた血流濃度Nを算出する。例えば、A/Dコンバータ142から出力される光強度信号がP1である場合には、演算器143は、「NL2」という血流濃度Nを算出する。一方で、A/Dコンバータ142から出力される光強度信号がP2(但し、P1<P2)である場合には、演算器143は、「NH2(但し、NL2<NH2)」という血流濃度Nを算出する。
尚、図3(a)及び図3(b)は、光強度信号と血流濃度Nとの間の相関関係をグラフで示す例を示している。しかしながら、演算器143は、光強度信号と血流濃度Nとの間の相関関係を示すグラフに限らず、光強度信号と血流濃度Nとの間の相関関係を示す任意の情報(例えば、数式、テーブル、又はマップ等)を参照することで、A/Dコンバータ142から出力される光信号強度に応じた血流濃度Nを算出してもよい。
また、第1実施例では、演算器143は、図3(a)及び図3(b)に示す光強度信号と血流濃度Nとの相関関係を示す相関情報に基づいて、血流濃度Nを算出している。従って、第1実施例における「血流濃度N」は、実質的には、血液に含まれている血球(つまり、散乱体としての血球)の濃度と同義である。但し、血流濃度Nとして、その他の濃度(例えば、血液に含まれている血球以外の物質の濃度等)が用いられてもよい。
再び図2において、ステップS14からステップS16における血流濃度Nの算出動作に続いて若しくは相前後して又は並行して、HPF144は、増幅器13から出力される受光信号に含まれる信号成分のうち、高域信号成分以外の他の周波数帯域の信号成分をカットする。その結果、HPF144は、増幅器13の出力に含まれる信号成分のうちの高域信号成分に相当するビート信号を取得する(ステップS17)。その後、HPF144は、取得したビート信号を、A/Dコンバータ145に出力する。
その後、A/Dコンバータ145は、HPF144から出力されるビート信号に対してA/D変換処理(つまり、量子化処理)を行う(ステップS18)。具体的には、例えば、A/Dコンバータ145は、A/Dコンバータ145のサンプリング周期をTa2とすると、周期Ta2毎に、ビート信号のサンプル値(つまり、量子化されたビート信号)を出力する。その後、A/Dコンバータ145は、受光素子12が受光した散乱光の干渉成分であるビート信号のサンプル値(つまり、量子化されたビート信号)を、演算器146に出力する。
その後、演算器146は、A/Dコンバータ145の出力(つまり受光素子12が受光した散乱光の干渉成分であるビート信号のサンプル値)及び演算器143の出力(つまり、血流濃度N)に基づいて、血流量Qを算出する(ステップS19)。
(1−3)血流量Qの算出動作
続いて、図4から図7を参照しながら、図2のステップS19における血流濃度Nの算出動作について説明する。図4は、血液の流速vが相対的に速い場合にビート信号のサンプル値に対してFFTを行うことで得られるパワースペクトル(つまり、周波数f−パワーP(f)特性)及び血液の流速vが相対的に遅い場合にビート信号のサンプル値に対してFFTを行うことで得られるパワースペクトルを示すグラフである。図5は、血流濃度Nが相対的に高い場合にビート信号のサンプル値に対してFFTを行うことで得られるパワースペクトル及び血流濃度Nが相対的に低い場合にビート信号のサンプル値に対してFFTを行うことで得られるパワースペクトルの夫々の理想値及び現実値の双方を示すグラフである。図6は、血液の流速vとパワースペクトルの平均周波数Fmとの間の相関関係を、血流濃度N別に示すグラフである。図7は、パワースペクトルの平均周波数Fmから血液の流速vを算出する際に適用される傾き補正値A及び切片補正値Bの夫々と血流濃度Nとの関係を示すグラフである。
血流量Qを算出する場合には、演算器146は、まず、A/Dコンバータ145の出力(つまり受光素子12が受光した散乱光の干渉成分であるビート信号のサンプル値)に対して、FFT(Fast Fourier Transform)を行う。その結果、演算器146は、図4に示すパワースペクトル(つまり、ビート信号のパワーP(f)を周波数f毎に示すパワースペクトル)を取得する。
図4に示すように、血液の流速vが相対的に速い(つまり、血流量Qが相対的に大きい)場合には、血液の流速vが相対的に遅い(つまり、血流量Qが相対的に小さい)場合と比較して、相対的に低い周波数領域におけるビート信号のパワーP(f)が小さくなる。加えて、血液の流速vが相対的に速い(つまり、血流量Qが相対的に大きい)場合には、血液の流速vが相対的に遅い(つまり、血流量Qが相対的に小さい)場合と比較して、相対的に高い周波数領域におけるビート信号のパワーP(f)が大きくなる。
図4に示すパワースペクトルを考慮すれば、血液の流速vは、パワースペクトル上での平均周波数Fmに依存することになる。つまり、平均周波数Fmが高くなればなるほど、血液の流速vは速くなる。言い換えれば、平均周波数Fmが低くなればなるほど、血液の流速vは遅くなる。また、チューブ100が同一である条件下では、血液の流速vと血流量Qとは正の相関を有する。つまり、血液の流速vが速くなればなるほど、血流量Qは大きくなる。言い換えれば、血液の流速vが遅くなればなるほど、血流量Qは小さくなる。
演算器146は、このような平均周波数Fmと血液の流速vと血流量Qとの間の関係を考慮して、血流量Qを算出する。具体的には、演算器146は、数式1を用いて平均周波数Fmを算出する。但し、fは、ビート信号の周波数であり、P(f)は、周波数fのビート信号のパワーである。その後、演算器146は、数式2を用いて血液の流速vを算出する。但し、Kは、流速換算係数である。その後、演算器146は、数式3を用いて、血流量Qを算出する。但し、Lは、流量換算係数である。
演算器146は、仮に血流濃度Nを全く考慮しないと仮定すれば、上述した数式1から数式3を用いて血流量Qを算出することができる。しかしながら、第1実施例では、演算器146は、血流濃度Nを考慮して、血流量Qを算出する。というのも、図5(a)及び図5(b)に示すように、ビート信号のパワースペクトルは、血流濃度Nに応じて変動するからである。
具体的には、図5(a)は、血流濃度Nが相対的に高い場合にビート信号のサンプル値に対してFFTを行うことで得られるパワースペクトル(実線参照)及び血流濃度Nが相対的に低い場合にビート信号のサンプル値に対してFFTを行うことで得られるパワースペクトル(点線参照)の夫々の理想値(つまり、理論値)を示している。理想的には(言い換えれば、理論的には)、血流濃度Nが低くなると、パワースペクトルは、縦軸(つまり、パワーの軸)に沿って平行に移動する。つまり、理想的には、血流濃度Nが変化すると、パワースペクトルは、横軸(つまり、周波数の軸)に沿って移動することなく、縦軸(つまり、パワーの軸)のみに沿って平行に移動する。その結果、理想的には、血流濃度Nに依存してパワースペクトルから算出される平均周波数Fmが変化することはない。従って、理想的には、血流濃度Nがどのような値であっても、演算器146は、上述した数式1から数式3を用いて血流量Qを算出することができるはずである。
しかしながら、現実的には、図5(b)に示すように、パワースペクトルは、血流濃度Nに応じて図5(a)とは異なる態様で変化する。尚、図5(b)は、血流濃度Nが相対的に高い場合にビート信号のサンプル値に対してFFTを行うことで得られるパワースペクトル(実線参照)及び血流濃度Nが相対的に低い場合にビート信号のサンプル値に対してFFTを行うことで得られるパワースペクトル(点線参照)の夫々の現実値(つまり、実測値)を示している。
現実的には、図5に示すように、血流濃度Nが相対的に高い場合には、血流濃度Nが相対的に低い場合と比較して、血液内の散乱体である血球の単位体積当たりの数が相対的に多くなる。従って、血流濃度Nが相対的に高い場合には、血流濃度Nが相対的に低い場合と比較して、ビート信号のパワーP(f)は、全周波数領域に渡って一律に増加する。一方で、血流濃度Nが相対的に低い場合には、血流濃度Nが相対的に高い場合と比較して、血液内の散乱体である血球の単位体積当たりの数が相対的に少なくなる。従って、血流濃度Nが相対的に低い場合には、血流濃度Nが相対的に高い場合と比較して、ビート信号のパワーP(f)は、全周波数領域に渡って一律に減少する。
しかしながら、血流濃度Nが相対的に低い場合にビート信号のパワーP(f)が相対的に減少するがゆえに、血流濃度Nが相対的に低い場合のパワーP(f)は、図5(b)中に一点鎖線で示すアンプノイズ(具体的には、増幅器13の入力端子の寄生容量に起因したアンプノイズ)の影響をより強く受けることになる。図5(b)に示すように、アンプノイズは、周波数fが高くなればなるほど大きくなる特性を有している。このため、血流濃度Nが相対的に低い場合には、特に相対的に高い周波数領域におけるパワーP(f)は、アンプノイズによって支配されやすくなる。従って、血流濃度Nが相対的に低い場合には、特に相対的に高い周波数領域におけるパワーP(f)が、理想値(理論値)ほど減少しなくなる。
その結果、現実的には、血流濃度Nに依存してパワースペクトルから算出される平均周波数Fmが変化してしまう。より具体的には、血液の流速v又は血流量Qが同一である場合であっても、血流濃度Nが相対的に低い場合の平均周波数Fmが、血流濃度Nが相対的に高い場合の平均周波数Fmよりも高くなってしまう。従って、血流量Qを高精度に算出するという観点から見れば、演算器146は、血流濃度Nを考慮しながら血流量Qを算出することが好ましい。このため、第1実施例では、演算器146は、血流濃度Nを考慮しながら血流量Qを算出する。
尚、レーザ素子11から照射されるレーザ光LBのパワーを増大させる(その結果、パワースペクトル上でのパワーを増大させる)ことで、アンプノイズの影響を低減する対策も考えられる。しかしながら、レーザ光LBのパワーを増大させると、血流量算出装置1の消費電力が増大してしまうというデメリットも同時に生ずる。従って、第1実施例では、血流濃度Nを考慮しながら血流量Qが算出されることで、血流量算出装置1の消費電力の増大が抑制される。
具体的には、演算器146は、図6に示すように、平均周波数Fmと血液の流速vとの間の相関関係を、血流濃度N別に示す相関情報を用いて、血流濃度Nが考慮された血流量Qを算出する。尚、図6は、血流濃度NがNLとなる場合の平均周波数Fmと血液の流速vとの間の相関関係、血流濃度NがNM(但し、NM>NL)となる場合の平均周波数Fmと血液の流速vとの間の相関関係、及び、血流濃度NがNH(但し、NH>NM>NL)となる場合の平均周波数Fmと血液の流速vとの間の相関関係を示している。
例えば、演算器143から出力される血流濃度NがNLであり且つ上述の数式1から算出される平均周波数Fmがf1である場合には、演算器146は、図6に示す相関情報に基づいて、血液の流速vとして、VLを算出する。その後、演算器146は、上述の数式3に対して算出した血液の流速v=VLを適用することで、血流量Qを算出する。
同様に、演算器143から出力される血流濃度NがNMであり且つ上述の数式1から算出される平均周波数Fmがf1である場合には、演算器146は、図6に示す相関情報に基づいて、血液の流速vとして、VM(但し、VM>VL)を算出する。その後、演算器146は、上述の数式3に対して算出した血液の流速v=VMを適用することで、血流量Qを算出する。
同様に、演算器143から出力される血流濃度NがNHであり且つ上述の数式1から算出される平均周波数Fmがf1である場合には、演算器146は、図6に示す相関情報に基づいて、血液の流速vとして、VH(但し、VH>VM)を算出する。その後、演算器146は、上述の数式3に対して算出した血液の流速v=VHを適用することで、血流量Qを算出する。
尚、図6に示す相関情報から分かるように、相関情報は、同一の平均周波数Fmに着目すれば、血流濃度Nが高くなるほど血液の流速vが速くなるように、平均周波数Fmと血液の流速vとの間の相関関係を血流濃度N別に示している。相関情報がこのような特徴を有する相関関係を規定しているがゆえに、血流量Qを算出する際のアンプノイズの影響が排除される。
ここで、図6に示す平均周波数Fmと血液の流速vとの間の相関関係は、実質的には1次式で近似される(但し、より細かく見ると、図6に示す平均周波数Fmと血液の流速vとの間の相関関係は、1次式以外の数式によって表現される)。具体的には、血流濃度NがNLとなる場合の平均周波数Fmと血液の流速vとの間の相関関係は、流速v=(1/傾きKL)×(平均周波数Fm−切片CL)という数式で近似される。言い換えれば、血流濃度NがNLとなる場合の平均周波数Fmと血液の流速vとの間の相関関係は、平均周波数Fm=傾きKL×流速v+切片CLという数式で近似される。また、血流濃度NがNMとなる場合の平均周波数Fmと血液の流速vとの間の相関関係は、流速v=(1/傾きKM(但し、KM<KL))×(平均周波数Fm−切片CM(但し、CM<CL))という数式で近似される。言い換えれば、血流濃度NがNMとなる場合の平均周波数Fmと血液の流速vとの間の相関関係は、平均周波数Fm=傾きKM×流速v+切片CMという数式で近似される。また、血流濃度NがNHとなる場合の平均周波数Fmと血液の流速vとの間の相関関係は、流速v=(1/傾きKH(但し、KH<KM))×(平均周波数Fm−切片CH(但し、CH<CM))という数式で近似される。言い換えれば、血流濃度NがNHとなる場合の平均周波数Fmと血液の流速vとの間の相関関係は、平均周波数Fm=傾きKH×流速v+切片CHという数式で近似される。
従って、第1実施例では、演算器146は、図6に示す相関情報を直接的に用いることに加えて又は代えて、相関情報を特定可能な傾き補正値A(図6に示す傾き(つまり、傾きKLや傾きKMや傾きKH)の逆数であって、図7(a)参照)及び切片補正値B(図6に示す切片であって、図7(b)参照)の夫々と血流濃度別Nとの間の相関関係を示す相関情報を用いてもよい。
具体的には、図7(a)に示す相関情報は、傾き補正値Aと血流濃度Nとの間の相関関係を示す。従って、演算器143から出力される血流濃度NがNLである場合には、演算器146は、図7(a)に示す相関情報を参照することで、傾き補正値Aとして1/KLを算出する。同様に、演算器143から出力される血流濃度NがNMである場合には、演算器146は、図7(a)に示す相関情報を参照することで、傾き補正値Aとして1/KMを算出する。同様に、演算器143から出力される血流濃度NがNHである場合には、演算器146は、図7(a)に示す相関情報を参照することで、傾き補正値Aとして1/KHを算出する。
また、図7(b)に示す相関情報は、切片補正値Bと血流濃度Nとの間の相関関係を示す。従って、演算器143から出力される血流濃度NがNLである場合には、演算器146は、図7(b)に示す相関情報を参照することで、切片補正値BとしてCLを算出する。同様に、演算器143から出力される血流濃度NがNMである場合には、演算器146は、図7(b)に示す相関情報を参照することで、切片補正値BとしてCMを算出する。同様に、演算器143から出力される血流濃度NがNHである場合には、演算器146は、図7(b)に示す相関情報を参照することで、切片補正値BとしてCHを算出する。
図7(a)及び図7(b)に示す相関情報を用いる場合、演算器146は、上述した数式1を用いて平均周波数Fmを算出する。その後、演算器146は、数式4に対して算出した平均周波数Fm並びに図7(a)に示す相関情報から算出される傾き補正値A及び図7(b)に示す相関情報から算出される切片補正値Bを適用することで、血液の流速vを算出する。その後、演算器146は、上述した数式3に対して算出した血液の流速vを適用することで、血流量Qを算出する。
尚、血流量算出装置1は、図6に示す相関情報や図7(a)及び図7(b)に示す相関情報を予め保有していることが好ましい。例えば、血流量算出装置1は、異なる血流濃度を有する複数種類の血液を対象として血流量Q等の算出を事前に行うことで、上述した相関情報を予め作成してもよい。
また、図6並びに図7(a)及び図7(b)は、相関関係をグラフで示す例を示している。しかしながら、演算器146は、相関関係を示すグラフに限らず、相関関係を示す任意の情報(例えば、数式、テーブル、又はマップ等)を参照することで、血流量Qを算出してもよい。
以上説明したように、第1実施例の血流量算出装置1によれば、血流濃度Nを考慮しながら血流量Qを好適に(言い換えれば、高精度に)算出することができる。
尚、上述した血流濃度Nを考慮した血流量Qの算出動作(つまり、数式1、数式3及び数式4や、図6及び図7を用いた算出動作)はあくまで一例である。従って、血流量算出装置1は、その他の態様で血流濃度Nを考慮した血流量Qを算出してもよい。要は、血流量算出装置1は、血流濃度Nの違いに応じたアンプノイズの影響が解消されるように血流量Qを算出することができる限りは、どのような態様で血流量Qを算出してもよい。
また、上述したように、血流濃度Nを算出するために用いられる光強度信号の周波数が典型的には1kHz以下であり且つ血流量Qを算出するために用いられるビート信号の周波数が典型的には1kHz以上である。従って、血流濃度Nを算出するためのA/Dコンバータ142のサンプリング周期(つまり、量子化を行う周期)は、血流量Qを算出するためのA/Dコンバータ145のサンプリング周期よりも長くてもよい。同様に、血流濃度Nを算出するための演算器143の演算周期(つまり、血流濃度Nの算出を行う周期)は、血流量Qを算出するための演算器146の演算周期(つまり、血流量Qの算出を行う周期)よりも長くてもよい。
また、上述した説明では、血流量算出装置1は、血流量Q及び流速vの双方を算出している。しかしながら、チューブ100が同一であるという条件下では、血流量Qと流速vとは正の相関を有する。つまり、あるチューブ100を流れる血液の血流量Qが多くなれば、当該チューブ100を流れる血液の流速vは早くなる。一方で、あるチューブ100を流れる血液の血流量Qが少なくなれば、当該チューブ100を流れる血液の流速vは遅くなるという相関を有する。従って、血流量Qの算出と流速vの算出とは実質的に同一であると言える。つまり、流速vの算出は、実質的には、血流量Qの間接的な算出に相当し、血流量Qの算出は、実質的には、流速vの間接的な算出に相当する。従って、血流量算出装置1は、血流量Q及び流速vのいずれか一方を算出する一方で、血流量Q及び流速vのいずれか他方を算出しなくともよい。
(2)第2実施例
続いて、図8を参照しながら、第2実施例の血流量算出装置2について説明を進める。図8は、第2実施例の血流量算出装置2の構成を示すブロック図である。尚、以下の説明では、第1実施例の血流量算出装置1と同一の構成及び動作については、同一の参照符号及びステップ番号を付してその詳細な説明を省略する。
図8に示すように、第2実施例の血流量算出装置2は、第1実施例の血流量算出装置1と比較して、受光素子22及び増幅器23を更に備えているという点で異なっている。更に、第2実施例の血流量算出装置2は、第1実施例の血流量算出装置1と比較して、LPF141が増幅器23の出力(つまり、受光素子22が受光した散乱光に応じた受光信号)に含まれる信号成分のうち低域信号成分以外の他の周波数帯域の信号成分をカットし且つHPF144が増幅器13の出力(つまり、受光素子12が受光した散乱光に応じた受光信号)に含まれる信号成分のうち高域信号成分以外の他の周波数帯域の信号成分をカットするという点で異なっている。第2実施例の血流量算出装置2が備えるその他の構成要素は、第1実施例の血流量算出装置1が備えるその他の構成要素と同一であってもよい。
受光素子22は、チューブ100に照射されたレーザ光LBの散乱光を受光する。受光素子22は、受光した散乱光を電気信号に変換することで得られる受光信号を生成する。
尚、チューブ100に照射されたレーザ光LBの透過光に相当する前方散乱光を受光素子22が受光すると共に、チューブ100に照射されたレーザ光LBの反射光に相当する後方散乱光を受光素子12が受光してもよい。或いは、チューブ100に照射されたレーザ光LBの反射光に相当する後方散乱光を受光素子22が受光すると共に、チューブ100に照射されたレーザ光LBの透過光に相当する前方散乱光を受光素子12が受光してもよい。チューブ100に照射されたレーザ光LBの透過光に相当する前方散乱光を受光素子12及び受光素子22の双方が受光してもよい。或いは、チューブ100に照射されたレーザ光LBの反射光に相当する後方散乱光を受光素子12及び受光素子22の双方が受光してもよい。
増幅器23は、受光素子22から出力される電流信号である受光信号を、電圧信号に変換した上で増幅する。
このような第2実施例の血流量算出装置2は、第1実施例の血流量算出装置1が享受することができる各種効果と同様の効果を、好適に享受することができる。
加えて、第2実施例の血流量算出装置2によれば、主として血流量Qを算出するために用いられる受光素子12と、主として血流濃度Nを算出するために用いられる受光素子22とが別個独立に用意される。
このため、主として血流量Qを算出するために用いられる受光素子12の受光面積を相対的に小さくすることができる。例えば、主として血流量Qを算出するために用いられる受光素子12の受光面積を、主として血流濃度Nを算出するために用いられる受光素子22の受光面積よりも小さくすることができる。その結果、血流量Qの算出精度を低下させる要因となる増幅器13のノイズの影響を相対的に低減させる(例えば、当該ノイズを発生させる一因となる増幅器13の入力端子の寄生容量を相対的に低減させる)ことができる。
一方で、主として血流濃度Nを算出するために用いられる受光素子22の受光面積を相対的に大きくすることができる。例えば、主として血流濃度Nを算出するために用いられる受光素子22の受光面積を、主として血流量Qを算出するために用いられる受光素子12の受光面積よりも大きくすることができる。その結果、血流濃度Nの算出に用いられる光強度信号のS/N比を相対的に向上させることができる。
尚、受光素子12及び受光素子22の双方が好適にレーザ光LBの散乱光を受光することができるように、受光面積を相対的に小さくすることができる受光素子12とレーザ素子11との間の距離は、受光面積を相対的に大きくすることができる受光素子22とレーザ素子11との間の距離よりも短くなってもよい。言い換えれば、受光面積を相対的に小さくすることができる受光素子12は、可能な限りレーザ素子11に近接していることが好ましい。
(3)第3実施例
続いて、図9を参照しながら、第3実施例の血流量算出装置3について説明を進める。図9は、第3実施例の血流量算出装置3の構成を示すブロック図である。尚、以下の説明では、第1実施例の血流量算出装置1と同一の構成及び動作については、同一の参照符号及びステップ番号を付してその詳細な説明を省略する。
図9に示すように、第3実施例の血流量算出装置3は、第1実施例の血流量算出装置1と比較して、APC(Automatic Power Control)回路31を更に備えているという点で異なっている。第3実施例の血流量算出装置3が備えるその他の構成要素は、第1実施例の血流量算出装置1が備えるその他の構成要素と同一であってもよい。
APC回路31は、バックモニタ311と、増幅器312と、減算器313と、制御器314を備えている
バックモニタ311は、レーザ素子11から照射されるレーザ光LB(特に、レーザ素子11の出射端面の反対側の端面から漏れ出たレーザ光LB)を受光する。バックモニタ311は、受光したレーザ光LBを電気信号に変換することで得られる受光信号を生成する。
増幅器312は、バックモニタ311から出力される電流信号である受光信号を、電圧信号に変換した上で増幅する。
減算器313は、増幅器312から出力される電圧信号を所定の目標信号(具体的には、レーザ素子11から照射されるレーザ光LBの目標パワーに相当する信号)から減算する。つまり、減算器313は、レーザ素子11から現在照射されているレーザ光LBのパワーの、目標パワーからの誤差を算出する。減算器313は、当該誤差を示す誤差信号を、制御器314に出力する。
制御器314は、減算器313から出力される誤差信号に対して、安定した負帰還を実行するための位相補償を行う。その後、制御器314は、位相補償が行われた誤差信号に基づいて、レーザ素子11を制御する。その結果、レーザ素子11は、位相補償が行われた誤差信号に応じた量だけパワーを変化されたレーザ光LBを照射する。
このような第3実施例の血流量算出装置3は、第1実施例の血流量算出装置1が享受することができる各種効果と同様の効果を、好適に享受することができる。
加えて、第3実施例の血流量算出装置3によれば、APC回路31は、レーザ素子11から照射されるレーザ光LBのパワーを目標パワーに追従させることができる。従って、レーザ素子11は、安定的にレーザ光LBを照射することができる。その結果、血流量算出装置3は、当該安定したレーザ光LBを用いて、血流量Q及び血流濃度Nをより好適に(言い換えれば、より高精度に)算出することができる。
尚、血流量算出装置3は、バックモニタ311に加えて又は代えて、レーザ素子11から照射されたレーザ光LBを、ビームスプリッタを介して受光するフロントモニタを備えていてもよい。
(4)第4実施例
続いて、図10を参照しながら、第4実施例の血流量算出装置4について説明を進める。図10は、第4実施例の血流量算出装置4の構成を示すブロック図である。尚、以下の説明では、第2実施例の血流量算出装置2と同一の構成及び動作については、同一の参照符号及びステップ番号を付してその詳細な説明を省略する。
図10に示すように、第4実施例の血流量算出装置4は、第2実施例の血流量算出装置2と比較して、LED素子41を更に備えているという点で異なっている。第4実施例の血流量算出装置4が備えるその他の構成要素は、第2実施例の血流量算出装置2が備えるその他の構成要素と同一であってもよい。
LED素子41は、チューブ100に対して、主として血流濃度Nを算出するための計測光を照射する。このとき、LED素子41は、チューブ100内の流路(つまり、血液が流れている流路)に対して計測光を照射することが好ましい。また、血流濃度Nを算出する際に血液の酸素飽和度が影響を与える可能性を少なくするために、計測光の波長は、血液の酸素飽和度に依存しない波長である805nmであることが好ましい。
一方で、レーザ素子11は、チューブ100に対して、主として血流量Qを算出するためのレーザ光LBを照射する。ここで、血流量Qを算出する際には、散乱光の相互干渉に起因したビート信号を検出している。従って、血流量Qを算出するためにチューブ100に照射される光は、ビート信号を検出しやすくするために、干渉性が相対的に高く且つ単色性が相対的に高いことが好ましい。従って、レーザ素子11は、血流量Qを算出するために、このような特性を有しているレーザ光LBを照射する。尚、レーザ光LBの波長は、レーザ素子11の入手の容易性の観点から、780nmであってもよい。
尚、レーザ光LBと計測光との干渉等を防ぐために、レーザ素子11からレーザ光LBが照射されるチューブ100上の領域は、LED素子41から計測光が照射されるチューブ100上の領域と異なっていることが好ましい。言い換えれば、レーザ光LBと計測光との干渉等を防ぐために、レーザ素子11からレーザ光LBが照射されるチューブ100上の領域は、LED素子41から計測光が照射されるチューブ100上の領域から所定距離以上離れていることが好ましい。または、計測光とレーザ光LBの照射タイミングを調整して互いの干渉を防止しても良い。
第4実施例では、受光素子12は、レーザ素子11からチューブ100に照射されたレーザ光LBの散乱光を受光する。一方で、受光素子22は、LED素子41からチューブ100に照射された計測光の散乱光を受光する。
このような第4実施例の血流量算出装置4は、第2実施例の血流量算出装置2が享受することができる各種効果と同様の効果を、好適に享受することができる。
加えて、第4実施例の血流量算出装置4によれば、主として血流量Qを算出するために用いられるレーザ素子11と、主として血流濃度Nを算出するために用いられるLED素子41とが別個独立に用意される。このため、血流量Qを算出するために適したレーザ光LBを用いて血流量Qが算出されると共に、血流濃度を算出するために適した計測光を用いて血流濃度Nが算出される。従って、血流量算出装置4は、血流量Q及び血流濃度Nをより好適に算出することができる。
(5)受光素子12及び増幅器13の具体例
続いて、図11を参照しながら、第1実施例の血流量算出装置1から第4実施例の血流量算出装置4が備えている受光素子12及び増幅器13の具体例について説明を進める。図11は、第1実施例の血流量算出装置1から第4実施例の血流量算出装置4が備えている受光素子12及び増幅器13の具体例の構成を示すブロック図である。
図11に示すように、受光素子12は、PIN型フォトダイオード121と、PIN型フォトダイオード122とを備えている。PIN型フォトダイオード121及びPIN型フォトダイオード122は、互いにアノード同士が接続されるように直列に接続されている。PIN型ダイオード121のカソードは、増幅器13(特に、増幅器13が備える全差動アンプ131の正相入力端子)に接続されている。PIN型ダイオード122のカソードは、増幅器13(特に、増幅器13が備える全差動アンプ131の逆相入力端子)に接続されている。
受光素子12は、PIN型フォトダイオード121が出力する電流IdtAとPIN型フォトダイオード122が出力する電流IdtBとの差分電流IdtC(=IdtB−IdtA)を、受光信号として、増幅器13(特に、増幅器13が備える全差動アンプ131の正相入力端子)に出力する。また、受光素子12は、当該差分電流IdtCの極性が反転された差分電流−IdtCを、受光信号として、増幅器13(特に、増幅器13が備える全差動アンプ131の逆相入力端子)に出力する。
このような構成を有する受光素子12によれば、PIN型フォトダイオード121が出力する電流IdtAのDC成分とPIN型フォトダイオード122が出力する電流IdtBのDC成分とが相殺される。従って、受光素子12は、散乱光に含まれる信号成分(つまり、ビート信号)に相当するAC成分を主として含む差分電流IdtCを、受光信号として出力することができる。このため、増幅器13におけるS/N比を相対的に向上させることができる。
増幅器13は、全差動アンプ131と、帰還抵抗132と、帰還抵抗133と、次段増幅器134とを備える。
全差動アンプ131は、正相入力端子In+に入力される差分電流IdtCを、電圧信号に変換した上で、逆相出力端子Out−から出力する。同様に、全差動アンプ131は、逆相入力端子In−に入力される差分電流−IdtCを、電圧信号に変換した上で、正相出力端子Out+から出力する。つまり、全差動アンプ131は、正相入力端子In+及び逆相入力端子In−に入力される電流を、夫々独立して電圧に変換した上で差動出力するトランスインピーダンスアンプとして動作する。尚、全差動アンプ131の基準電位は、基準電位端子Vrefを介して全差動アンプ131に入力される。
ここで、正相入力端子In+と逆相出力端子Out−との間に接続されている帰還抵抗132は、負帰還を施す。また、逆相入力端子In−と正相出力端子Out+との間に接続されている帰還抵抗133は、負帰還を施す。従って、正相入力端子In+と基準電位端子Vrefとの間の電位差はゼロ(或いは、ゼロと同視し得る値)になっている。同様に、逆相入力端子In−と基準電位端子Vrefとの間の電位差はゼロ(或いは、ゼロと同視し得る値)になっている。従って、正相入力端子In+の電位は逆相入力単位In−の電位と同一(或いは、同一と同視し得る状態)になっている。従って、正相入力端子In+に接続されているPIN型フォトダイオード121のカソードの電位は、逆相入力端子In−に接続されているPIN型フォトダイオード122のカソードの電位と同一(或いは、同一と同視し得る状態)になっている。このため、PIN型フォトダイオード121及びPIN型フォトダイオード122の夫々は、ゼロバイアスの状態で動作する。従って、レーザ素子11に発生する暗電流を低減する又はなくすことができる。このため、暗電流のゆらぎによるノイズが低減されるため、増幅器13におけるS/N比が相対的に向上する。
尚、次段増幅器134は、いわゆる計装アンプとして機能し、全差動アンプ131から出力される差動信号を増幅して出力する。
尚、第1実施例から第4実施例で説明した各構成の一部を適宜組み合わせてもよい。この場合であっても、第1実施例から第4実施例で説明した各構成の一部を適宜組み合わせることで得られる血流量算出装置は、上述した各種効果を好適に享受することができる。
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う血流量算出装置及び方法もまた本発明の技術思想に含まれる。